JP5853858B2 - 放射性汚染土壌の浄化方法 - Google Patents

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本発明は、主に、放射性元素を含有する土壌、焼却灰、スラッジ等の放射性汚染物から、この放射性汚染物中の放射性元素を気化して分離することにより、放射性元素を除去する放射性汚染物の浄化方法に係り、また、気化して分離した放射性元素を濃縮して回収する放射性汚染物の浄化方法に関する。
20世紀に大きく進歩した核利用技術は、原子力発電等のエネルギー利用を目的とした極めて重要な技術であり、化石燃料を必要としないことから、地球温暖化ガスである二酸化炭素の発生を伴わず、かつ、低コストで有効な手段として、広く利用されていることは周知の通りである。この原子力エネルギー利用に関しては、核利用に伴って発生する有害な放射性物質が外部環境に漏洩しないように、放射性物質を外部環境から隔離することが必須であり、さまざまな安全対策が採られている。
しかしながら、原子力発電の利用においては、2011年の津波により被害を受けた発電所から大量の放射性物質が外部に漏洩したように、外部環境への放射性物質の漏洩を完全に防止することが難しい場合もあり得る。そして、このような事態が発生した際には、放射性物質が広範囲に飛散するため、極めて広い地域における土壌汚染等の問題を招き、農地としての使用制限や、半永久的な立ち入り禁止区域を設定しなければならない等の諸問題を招くことになる。特に、放射性セシウムは半減期が約30年といわれていることに加えて、通常は、高濃度に汚染された土壌の量も甚大である。従って、例えば地表50mmまでの汚染土壌を除去できた場合でも、保管量が少なくとも数千万トン(t)レベルに達すると想定される。
ちなみに、放射能に汚染された物質の管理技術としては、例えば活性化炭素質材料で形成されて廃棄物(放射性汚染物)を収容する第一容器と、ゼオライトで形成されて第一容器を包囲する第二容器と、この第二容器を覆う土壌とからなる地下式廃棄物貯蔵施設(特許文献1参照)等のように、厳格な管理施設が要求されるが、上述した甚大な量に及ぶ汚染土壌に対する管理には、用地や管理設備等の面で極めて困難な問題を有している。しかも、これらの放射性汚染物は、単に土壌だけではなく、焼却灰やスラッジ等にも及び、このような放射性汚染物を大量に、かつ、経済的に浄化することは極めて困難な問題である。
一方、放射能によって汚染された放射性汚染物の浄化方法としては、例えば、高温蒸気をパイプによって土中に吹き込む方法(特許文献2参照)や、微生物を利用した方法(特許文献3参照)等が提案されている。しかし、特許文献2に記載の方法では、吹き込んだ高温水蒸気が土中ですぐに冷却されてしまうため、極めて限定された領域での除去であり、実用的ではない。また、特許文献3に記載の方法では、微生物を利用するものであるため、その処理速度が遅く、大量の放射性汚染物の処理には適用が困難であると考えられる。
また、最近では汚染された土壌を高温で蒸し焼きにして除去する手段(非特許文献1参照)が提案されているが、その効果等については開示されていない。
特開昭62−269098号公報 特開2004−243195号公報 特開平4−204295号公報
朝日新聞45096号6頁 2011年10月27日
そこで、本発明は、汚染原因である放射性元素の化学的存在形態とそれに基づく化学反応等を詳しく調査研究することによって見出されたものであり、放射性汚染物中の放射性元素の分解反応を利用することによって、工業的に大量の放射性汚染物から放射性元素を分離し除去して、浄化する技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、原子力発電所から漏洩して飛散した放射性元素を含む土壌、焼却灰、スラッジ等の放射性汚染物を浄化する方法に関する詳しい調査研究を行うことで、効率的な放射性元素の浄化技術を開発するに至った。本発明の要旨は次のとおりである。
(1)ロータリーキルンを用いて放射性セシウムを含んだ放射性汚染土壌を浄化する方法であって、前記ロータリーキルン内の雰囲気ガスを水素含有ガスを用いた形式のバーナーによって加熱して、前記放射性汚染土壌7001100℃の温度域、かつ水蒸気分圧が0.1atm以上の雰囲気で水蒸気処理し、前記放射性セシウム水酸化セシウムとして気化させて分離することを特徴とする放射性汚染土壌の浄化方法。
(2)(1)において、放射性汚染土壌中に含有される放射性セシウムは、その30質量%以上が珪素を含む複合酸化物又は複合水酸化物として存在することを特徴とする放射性汚染土壌の浄化方法。
(3)(1)又は(2)において、放射性汚染土壌の水蒸気処理を積算時間で10分以上行うことを特徴とする放射性汚染土壌の浄化方法。
(4)(2)又は(3)において、放射性汚染土壌の水蒸気処理を(1)式の条件下で行うことを特徴とする放射性汚染土壌の浄化方法。
X/MH2O<0.03 ……(1)式
〔MX:処理対象となる放射性セシウムの質量(g)、MH2O:処理に供給される水蒸気の総質量(g)〕
(5)(1)〜(4)のいずれかにおいて、気化分離された放射性セシウムを濃縮して回収することを特徴とする放射性汚染土壌の浄化方法。
本発明によれば、放射性物質の飛散等によって発生し、放射性元素を含む大量の放射性汚染物を、大量に、迅速、かつ経済的に浄化処理することができる。また、除去された放射性物質は高濃度に濃縮して回収することができ、これにより減容化して保管できることから、保管のための用地や設備等の負荷を大幅に低減できるほか、長期間に亘る保管のための監視や管理も容易にすることができる。
図1は、本発明の放射性汚染物の浄化方法について、ロータリーキルンを用いて行う汚染土壌を浄化処理するプロセスを説明するための説明図である。
本発明の実施形態を、図1を参照しながら説明する。なお、本発明は、図1に示されるようなロータリーキルン方式に限られるものではなく、放射性汚染物に対して電気を利用した加熱を行ったり、水素含有ガスを利用したバーナー加熱で処理する等、適宜の方法で実施することができるものである。
図1において、ロータリーキルン1内には、その上部の出口フード近傍からホッパー2を介して放射性元素を含む汚染土壌4が装入される。炉内ガス(雰囲気ガス)6はバーナー3によって所定の温度にまで加熱され、挿入された汚染土壌4は、このキルン1内を移動する間に、雰囲気ガス6中の水蒸気と反応し、水蒸気処理されて浄化する。この浄化した浄化土壌5は、キルン1の下部から土壌容器7内へと移動し、その所定量がこの土壌容器7内に蓄積された後に系外へと搬出される。
このとき、雰囲気ガス6については、その水蒸気分圧を0.1atm以上、好ましくは0.5atm以上にすることが必要であることを実験的に知見した。また、0.1atm以上の水蒸気分圧を達成する方法としては、バーナー3を水素やプロパンガス等の水素含有ガスを用いた形式にしたり、電気ヒーター等を介した外部加熱方式にして、水分を適宜キルン内に供給して水蒸気分圧0.1atm以上の条件を確保するなどの方法が簡易かつ効果的な方法として挙げられる。
汚染土壌4中の放射性物質は、酸化物又は水酸化物の形態で存在しているが、本発明の水蒸気処理により、高温水蒸気雰囲気中に、例えばCsOH等の気相として分離されるので、凝集装置8内で冷却することにより、汚染物質を濃縮した状態に減容化して回収することができる。凝集装置内で濃縮化された汚染物質は、ダスト等として捕集可能である他、水蒸気の凝集に伴い、水酸化セシウム水溶液等の状態で捕集することができ、この場合には、水分の蒸発分離による更なる減容化が可能である他、中和反応によって例えば過塩素酸セシウム等の難水溶製の塩として沈殿濃縮分離する等の手法が採用できる。
この水蒸気処理の際の処理温度は、600℃以上1450℃以下、好ましくは700℃以上1100℃以下に設定される。温度の下限を600℃と規定したのは、放射性物質の内で最も問題となる放射性セシウムが水酸化セシウム蒸気として分離されたときに、その蒸気圧の発生が促進される温度以上の温度を確保することが必要であることによる。一方、上限の1450℃の規定理由は、本発明者らが一般の畑、田園の土壌に対して実施した融点測定実験の結果、得られた融点が1450℃であり、また、この融点を超えて加熱すると、濃度の高い化合物として析出状態にある放射性元素の化合物が溶融状態にある周囲の物質中に速やかに拡散融解して活量が著しく低下し、高温水蒸気による分離反応の進行が大きく阻害されるためである。また、好ましい処理温度の上限値を1100℃と規定した理由は、セシウムとシリカの複合酸化物の融点が1100℃程度であり、この温度を超えた場合には、複合酸化物が溶融し土壌中へ拡散して固溶し、セシウム活量低下を招き、反応低下が生じるためである。
ここで、処理温度とは、処理対象となる放射性汚染物と接するガス雰囲気温度を意味しており、熱電対等により測定することができる。
また、放射性汚染物と接する雰囲気ガスの水蒸気分圧の上限は規定しないが、10atmを超える場合には特殊な耐高圧装置が必要であるために設備的に不利であり、また、完全密閉構造を維持することも設備的に容易ではないことから、水蒸気分圧は0.1atm〜大気圧とすることが好ましい。その他、炉内ガス成分は規定しないが、安定な反応を維持するためには、窒素や二酸化炭素等の不活性ガスを主成分とすることが望ましく、再酸化等の悪影響を抑制するためには、炉内の酸素分圧を0.03atm以下に抑制することが望ましい。
ちなみに、本発明の方法は、浄化対象として種々の放射性元素を含有した汚染物に適用することが可能であり、放射性元素としては、放射性セシウムのほか、放射性ストロンチウム、放射性ヨウ素等を挙げることができるが、特に、半減期が長期で特に分離除去が困難である放射性セシウム〔Cs134(134Cs),Cs137(137Cs)等〕の浄化に好適に適用することができる。また、放射性汚染物としては、例えば、上記の放射性元素を含む土壌、焼却灰、スラッジ、粉塵、ばい塵等を挙げることができる。
また、分離除去対象物質が放射性セシウムである場合、土壌や焼却灰、スラッジ等に混入したセシウムは、周囲に大量に存在するシリカと容易に反応して安定な複合酸化物や複合水酸化物を形成している。そこで、例えば、放射性セシウムが極めて熱力学的に安定とされるCs2O・4SiO2として存在している場合であっても、本発明の浄化方法に従って水蒸気処理を行うと、下記の(2)式に従ってCs2O・4SiO2は分解され、生成した放射性セシウムが金属蒸気となって土壌成分から分離し、除去される。従って、このような比較的高温を利用した還元反応プロセスは、特に、シリカと化学的に安定結合した物質に対して有効である。
Cs2O・4SiO2+H2O→2CsOH↑+4SiO2 ……(2)
すなわち、本発明者らの実験的な知見によれば、放射性セシウムの30質量%以上が珪素を含む複合酸化物又は複合水酸化物として放射性汚染物に含有されている場合には、CsOHやCsCO3等の単独で存在する場合に適用される様な、例えば水洗による除去等の簡易的な方法では分離除去することが困難であることが分った。ところが、本発明によれば、放射性セシウムの30質量%以上が珪素を含む複合酸化物又は複合水酸化物として含有されている場合でも、放射性セシウムが気化されて分離除去することが可能であり、本発明による高温水蒸気反応利用プロセスを行うことが特に有効である。
上記手段による放射性物質除去(例:(2)式)を有利に進めるためには、水蒸気処理の処理時間を、連続的な又は断続的な積算時間として、10分間以上確保することが好ましく、これにより良好な除去率を得ることが可能である。このときの積算処理時間については、上限はないが、5時間を超える処理を行っても、単位時間当たりの処理効率が低下し、また、除去率の向上効率も低下するので、5時間以内であるのがよい。
また、放射性物質除去(例:(2)式)を更に有利に進めるためには、対象となる放射性元素の質量に対する水蒸気量を増加させることがより好ましいことに着目し、本発明者らで検討した結果、下記の(1)式で定義される条件での処理が特に望ましいことが実験的に知見された。
X/MH2O<0.03 ……(1)式
〔MX:処理対象となる放射性元素の質量(g)、MH2O:処理に供給される水蒸気の総質量(g)〕
また、本発明の方法において、放射性汚染物から気化して分離された放射性元素は、これを濃縮して回収するのがよく、適宜乾式又は湿式等の集塵方法によって、濃縮して回収される。ここで、乾式集塵方法としては、気化して分離された放射性元素をゼオライトに吸着させて回収する方法が例示でき、一方、湿式集塵方法としては、気化して分離された放射性元素を水中に吹き込んで集塵捕集し、その後、水分を蒸発させて回収する方法が例示できる。また、本発明の水蒸気処理では高温水蒸気中に水酸化物として放射性物質が気化分離されることから、上記のような集塵以外にも、ガス冷却によって水蒸気中の放射性物質をそのまま水酸化物水溶液として補修でき、更に、この水酸化物水溶液を乾燥したり、水酸化物を塩として回収するなどして減容化効率を更に高めることも可能である。いずれの方法も、放射性物質が濃縮されて回収できるため、処理対象の放射性元素含有物の容積に対して、減容化することが可能である。
次に、本発明を実施例で更に説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
〔実施例1〜3、5、参考例1〜3及び比較例1〜4〕
本発明の効果を確認するために、浄化装置として3kg規模試験ロータリーキルンを用い、全圧を大気圧条件で以下の実験(実施例1〜3、5、参考例1〜3及び比較例1〜4)を実施した。
キルンの加熱は純酸素+水素バーナー及び電気加熱を用いて行い、実験中の温度測定は熱電対を用いて行い、キルン内ガス雰囲気の採取は吸引ガスサンプリングにより行った。このときの水素バーナーの燃焼によって発生する水蒸気量については、水素流量200NL/分+酸素流量100NL/分の完全燃焼条件としたことから、161g/分とした。これは、水素毎分200NL(分子量2、0℃で1atm時のガス体積22.4Lで計算される場合17.9gとして算定)、酸素毎分100NL(分子量32で同様に算定される142.9g)の合計に相当する。
なお、本実験に先立ち、後述の実験サンプル中に事前に含まれる僅かな水分の蒸発に起因する水蒸気や、装置内に不可避的に混入するリークガス中の水蒸気は0.5g/分未満であることを予備実験にて確認している。また、意図的な水蒸気混入も行っていないため、雰囲気内の水蒸気は全量発生量バーナー燃焼によって発生する水蒸気(2H2+O2→2H2O↑)と見なすことができる。従って、装置内に通過させた水蒸気流量は161g/分であるとして実験を行った。
また、実施例1〜3、参考例1及び比較例1〜3における水蒸気分圧の変更は、上記バーナー燃焼によって発生する水蒸気量に対して、各水準の分圧となるように窒素ガス流量を変更することにより、水蒸気分圧を変更している。このとき、窒素ガス混入による温度低下などの影響については、電気加熱量を変更することによって各水準の温度にコントロールした。更に、雰囲気ガス中の水蒸気分圧の確認は、実験中にガス(窒素+水蒸気)を容器にサンプリングして、採取したガスを常温に冷却して常温にて液体の水として凝集した水の質量と、残留ガス体積を測定することにより行った。その結果、各水準ともに所望の水蒸気分圧となっていることが確認された。
また、汚染土壌としては、シリカ分を90質量%以上の割合で含有し、その他成分として、マグネシア、アルミナ、水分等を含んだ土壌2kg中に、放射性セシウムに代えて試薬配合による焼成セシウム化合物Cs2O・4SiO2(炭酸セシウムとシリカとをモル比1:4で混合し、Ar雰囲気下800℃×60分の条件で焼成して得られたもので、粉末X線にて同定するとCs2O・4SiO2がほぼ100質量%のもの)20gを添加し、混合して調製した模擬汚染土壌を用いた(従って、模擬汚染土壌中Cs質量は10.2gとなる)。
化学反応は同位体元素である放射性元素でも同一の結果が得られることから、本実験においては、安全面から、放射性セシウムは用いず、試薬セシウムを用いた疑似試験を行った。因みに、放射性元素を用いた実験の時には、濃度測定をガンマ線等の発生量などで評価してもよい。
各実施例1〜3、参考例1及び各比較例1〜3において、上記の模擬汚染土壌2kgをキルン中に装入し、表1に示す条件で水蒸気処理を行い、この水蒸気処理後の土壌中のセシウム濃度を化学分析によって求め、その除去率を計算した。
結果を表1に示す。
Figure 0005853858
本発明の実施例1及び2は、水蒸気分圧をそれぞれ1.0atm、及び0.2atmにして800℃で20分間処理したものであるが、共に80%以上の高い除去率が得られている。また、本発明の実施例3は、水蒸気分圧を1.0atmとして800℃で60分間処理したものであるが、実施例1と比較して、処理時間の延長作用により除去率が更に向上した。参考例1は、更に処理時間を300分(6時間)に延長して630℃で処理したものであるが、除去率の向上効果は実施例3と比較して比較的小さかった。実施例5、及び参考例2、3は実験温度を1000℃以上にして行った水準であるが、実施例5(1050℃)では特に良好な除去率(93.3%)が得られているが、それ以上高温条件である参考例2、3では、上記セシウム化合物溶融による一部土壌拡散による活量低下の悪影響が見られ、温度の上昇に対して除去率は低下傾向であったが、目標の除去率70%の確保は達成できている。
一方、比較例1では、処理温度を550℃としたものであるが、処理温度が低いために除去率は低い値しか得られていない。また、比較例2では、水蒸気分圧が低すぎることに起因して、分解反応が不十分であり、除去率は低い値しか得られていない。また、比較例3、4の高温条件においては、土壌溶融状態となり、セシウム化合物が均一溶融したと思われることから、除去率は著しく低下している。これら比較例1〜4においては、いずれの場合も50%に満たない低い除去率となっている。
また、実験中にキルンの出口側に設置した冷却装置により、水蒸気と気化分離された水酸化セシウムとを水酸化セシウム水溶液として回収した。そして、化学分析によって測定された水溶液中のセシウム濃度と水溶液の液量とから求められた回収水溶液中のセシウム量と、キルン内に残留したダスト中のセシウム濃度分析値とダスト量とから求められた残留セシウム量とを求め、これら回収水溶液中のセシウム量と残留セシウム量とから、この実験におけるセシウムの回収効率を評価した。結果は、模擬汚染土壌から気化して分離したセシウムを、系外に排出させることなく、効率良く凝集装置に回収できることが確認された。
1:ロータリーキルン
2:ホッパー
3:バーナー
4:汚染土壌
5:浄化土壌
6:雰囲気ガス
7:土壌容器
8:凝集装置

Claims (5)

  1. ロータリーキルンを用いて放射性セシウムを含んだ放射性汚染土壌を浄化する方法であって、前記ロータリーキルン内の雰囲気ガスを水素含有ガスを用いた形式のバーナーによって加熱して、前記放射性汚染土壌7001100℃の温度域、かつ水蒸気分圧が0.1atm以上の雰囲気で水蒸気処理し、前記放射性セシウム水酸化セシウムとして気化させて分離することを特徴とする放射性汚染土壌の浄化方法。
  2. 放射性汚染土壌中に含有される放射性セシウムは、その30質量%以上が珪素を含む複合酸化物又は複合水酸化物として存在することを特徴とする請求項記載の放射性汚染土壌の浄化方法。
  3. 放射性汚染土壌の水蒸気処理を積算時間で10分以上行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の放射性汚染土壌の浄化方法。
  4. 放射性汚染土壌の水蒸気処理を(1)式の条件下で行うことを特徴とする請求項2又は3記載の放射性汚染土壌の浄化方法。
    X/MH2O<0.03 ……(1)式
    〔MX:処理対象となる放射性セシウムの質量(g)、MH2O:処理に供給される水蒸気の総質量(g)〕
  5. 気化分離された放射性セシウムを濃縮して回収することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の放射性汚染土壌の浄化方法。
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