JP2013257012A - ボールジョイント、ラックアンドピニオン機構及び摺動機構 - Google Patents

ボールジョイント、ラックアンドピニオン機構及び摺動機構 Download PDF

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Abstract

【課題】寿命の長い樹脂製の支持部材を提供すること。
【解決手段】ボールジョイント50は、球面部58を有する金属製のボールスタッド54と、このボールスタッド54の球面部58を囲うようにしてボールスタッド54を支持する樹脂製のホルダ53とからなり、ボールスタッド54とホルダ53との間に潤滑剤56が充填されている。ホルダ53は、ボールスタッド54に対向する面に、ダイヤモンドライクカーボン膜53aが形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、樹脂製の支持部材と、この支持部材上を摺動する金属製の摺動部材とによって構成される摺動機構に関する。
樹脂製の支持部材と、この支持部材上を摺動する金属製の摺動部材とによって構成される摺動機構が広く知られている。摺動機構の一例として、ホルダと、このホルダに回転可能に支持されていると共にホルダの表面を摺動するボールスタッドとからなるボールジョイントが挙げられる(例えば、特許文献1(図1)参照。)。
特許文献1に示されるような、ボールジョイントは、球面部を有する金属製のボールスタッドと、このボールスタッドの球面部を支持する樹脂製のホルダとからなる。これらのボールスタッドとホルダとの間には、ボールスタッドを円滑に回転させるためのグリースが充填されている。
このようなボールジョイントにおいて、金属製のボールスタッドは、樹脂製のホルダ内面に接触しながら回転する。即ち、摺動する。通常、金属製のボールスタッドの硬さの方が樹脂製のホルダの硬さに比して硬いため、ホルダが摩耗しやすい。即ち、樹脂製の支持部材の寿命について改善の余地がある。
特開2006−300204号公報
本発明は、寿命の長い樹脂製の支持部材の提供を課題とする。
請求項1に係る発明は、球面部を有する金属製のボールスタッドと、このボールスタッドの球面部を囲うようにしてボールスタッドを支持する樹脂製のホルダとからなり、ボールスタッドとホルダとの間に潤滑剤が充填されているボールジョイントにおいて、ホルダは、ボールスタッドに対向する面に、ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、樹脂製のラックブッシュによって金属製のラック軸が支持され、これらのラックブッシュ及びラック軸の間に潤滑剤が充填されているラックアンドピニオン機構において、ラックブッシュのラック軸に対向する面に、ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、表面にダイヤモンドライクカーボン膜が形成されている樹脂製の支持部材と、この支持部材に支持されていると共に、ダイヤモンドライクカーボン膜上を摺動する金属製の摺動部材と、からなることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、ホルダのボールスタッドに対向する面に、ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されている。ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されることにより、ボールスタッドは、ダイヤモンドライクカーボン膜に接触し、回転する。即ち、ボールスタッドは、ホルダの樹脂部分に接触しない。ホルダの樹脂部分への接触を防止することにより、ホルダの摩耗を防止し、ホルダの長寿命化を図ることができる。
請求項2に係る発明では、ラックブッシュのラック軸に対向する面に、ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されている。ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されることにより、ラック軸は、ダイヤモンドライクカーボン膜に接触しながら移動する。即ち、ラック軸は、ラックブッシュの樹脂部分に接触しない。ラックブッシュの樹脂部分への接触を防止することにより、ラックブッシュの摩耗を防止し、ラックブッシュの長寿命化を図ることができる。
請求項3に係る発明では、樹脂製の支持部材の表面に、ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されている。ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されることにより、摺動部材は、ダイヤモンドライクカーボン膜に接触し、摺動する。即ち、摺動部材は、支持部材の樹脂部分に接触しない。支持部材の樹脂部分への接触を防止することにより、支持部材の摩耗を防止し、支持部材の長寿命化を図ることができる。
実施例1によるボールジョイント及びラックアンドピニオン機構が搭載されている電動パワーステアリング装置の模式図である。 図1に示されたボールジョイントの断面図である。 図2に示されたホルダの斜視図である。 図1に示されたラックブッシュの断面図である。 図4の5−5線断面図である。 トルクの変動を観測するために作成したボールスタッドについて説明する図である。 トルクの変動を観測するための試験について説明する図である。 図7で行った試験の結果を説明する図である。 図7の試験結果について理由を説明する図である。 実施例2によるホルダの断面図である。 実施例3によるホルダの断面図である。 実施例4によるホルダの断面図である。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1に示されるように、電動パワーステアリング装置10は、車両のステアリングホイール21から車両の操舵車輪29,29(例えば前輪)に至るステアリング系20と、このステアリング系20に補助トルクを加える補助トルク機構40とからなる。
ステアリング系20は、ステアリングホイール21にステアリングシャフト22及び自在軸継手23,23を介してピニオン軸24を連結し、ピニオン軸24にラックアンドピニオン機構30を連結し、ラックアンドピニオン機構30のラック軸32(摺動部材32)の両端にボールジョイント50,50、タイロッド27,27及びナックル28,28を介して左右の操舵車輪29,29を連結したものである。
ラックアンドピニオン機構30は、ピニオン軸24に形成されたピニオン31と、ラック軸32と、このラック軸32に形成されピニオン31に噛合うラック33と、ラック軸32をガイドすると共に支持しているガイド部材60とからなる。また、ラック軸32とガイド部材60とにより、摺動機構70が構成される。
ステアリング系20によれば、運転者がステアリングホイール21を操舵することで、この操舵トルクによりラックアンドピニオン機構30を介して、左右の操舵車輪29,29を操舵することができる。
補助トルク機構40は、ステアリングホイール21に加えたステアリング系20の操舵トルクを操舵トルクセンサ41で検出し、この操舵トルクセンサ41のトルク検出信号に基づき制御部42で制御信号を発生し、この制御信号に基づき操舵トルクに応じた補助トルクを電動モータ(電動機)43で発生し、この補助トルクをウォームギヤ機構44を介してピニオン軸24に伝達し、さらに、補助トルクをピニオン軸24からステアリング系20のラックアンドピニオン機構30に伝達するようにした機構である。
操舵トルクセンサ41は、ピニオン軸24に加えられたトルクを検出し、トルク検出信号として出力するものであり、例えば磁歪式トルクセンサやトーションバー式トルクセンサによって構成される。
電動パワーステアリング装置10によれば、運転者の操舵トルクに電動モータ43の補助トルクを加えた複合トルクにより、ラック軸32で操舵車輪29,29を操舵することができる。
図2以降においてボールジョイントの詳細を説明する。
図2に示されるように、ボールジョイント50(摺動機構50)は、筒状のケース51と、このケース51の一端を塞いでいる蓋部材52と、これらのケース51及び蓋部材52によって囲われているポリアセタール製のホルダ53(支持部材53)と、このホルダ53によって回転可能に支持されている鋼製のボールスタッド54(摺動部材54)と、このボールスタッド54の一部を囲うように配置されているゴム製のブーツ55と、このブーツ55及びケース51内に充填されボールスタッド54を円滑に回転させるグリース56(潤滑剤56)とからなる。
ホルダ53のうち、ボールスタッド54に対向する面には、ダイヤモンドライクカーボン膜53a(diamond-like-carbon 以下、「DLC膜53a」と記す。)が一体的に形成されている。
ボールスタッド54は、球面状を呈すると共にホルダ53のDLC膜53aに接触している球面部58と、この球面部58に一体的に取付けられているスタッド部59とからなる。
ホルダ53には、ポリアセタールの他、ナイロン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、エラストマーまたはこれらの繊維強化複合材の他、用途に応じて任意の素材を用いることができる。
ボールスタッド54には、普通鋼および特殊鋼を含む鉄鋼製材の他、非鉄金属等の金属を用いることができる。また、用途に応じて球面部58とスタッド部59とで素材を変えることもできる。
非鉄金属としては、アルミニウム、マグネシウム、チタンまたはこれらを主成分とする合金を挙げることができる。
ブーツ55には、天然ゴムの他、合成ゴムを含む任意のエラストマーを用いることができる。
DLC膜53aは、プラズマCVD法によって形成することができる。DLC膜53aの形成には、CVD法の他にPVD法を採用することもできる。
図3も合わせて参照して、ホルダ53には、4箇所にスリット53bが形成されている。これらのスリット53bは、ボールスタッド54の軸CLに沿って形成されている。スリット53bが形成されていることにより、ホルダ53を撓ませることができる。球面部58をホルダ53に向かって押し込むことにより、ホルダ53を撓ませながら球面部58が取付けられる。ホルダ53を撓ませることのできる構成とすることにより、球面部58の全体を1つのホルダ53によって覆うことができる。
DLC膜53aが形成されることにより、金属製のボールスタッド54は、DLC膜53aに接触する。即ち、ボールスタッド54は、ホルダ53の樹脂部分に接触しない。ホルダ53の樹脂部分への接触を防止することにより、ホルダ53の摩耗を防止し、ホルダ53の長寿命化を図ることができる。
図4以降において、ガイド部材(図1、符号60)の詳細を説明する。
図4及び図5に示されるように、ガイド部材60は、金属製のカバー部材61にポリアセタール製のラックブッシュ62(支持部材62)が収納され、このラックブッシュ62の内周面にDLC膜62aが形成され、ラック軸32とラックブッシュ62との間には潤滑剤63が充填されている。DLC膜62aは、等間隔に4箇所形成されている。
なお、潤滑剤63としては、グリースが好ましい。以下、潤滑剤63を適宜グリース63という。
DLC膜62aが形成されることにより、ラック軸32は、DLC膜62aに接触しながら移動する。即ち、ラック軸32は、ラックブッシュ62の樹脂部分に接触しない。ラックブッシュ62の樹脂部分への接触を防止することにより、ラックブッシュ62の摩耗を防止し、ラックブッシュ62の長寿命化を図ることができる。
図2を合わせて参照して、本発明によれば、樹脂製の支持部材53,62の表面に、硬いDLC膜53a,62aを形成することとした。DLC膜53a,62aの形成によって、支持部材53,62が保護される。
このような摺動機構について、トルクの変動を測定した。詳細を図6以降において説明する。
図6(a)に示されるような参考例に係るボールスタッド284と、図6(b)に示されるような好適例に係るボールスタッド84とを作成し、トルクの変動を測定した。
より詳細には、図6(a)の参考例に係るボールスタッド284は、球面部288の表面の全体にわたってDLC膜288aが形成されている。図6(b)に示される好適例に係るボールスタッド84は、球面部88の表面に回転方向に沿って2本のDLC膜88aが形成されている。これらのボールスタッド84,284について行った測定について、図7に沿って説明する。
図7に示されるように、好適例に係るボールジョイント80のケース81を、板材95,96の間に挟んで固定した。なお、板材95にはボールスタッド84のスタッド部98を突出させる穴部が設けられており、この穴部からボールスタッド84のスタッド部89を突出させている。
板材95から突出しているスタッド部89にトルクレンチ99を取り付け、トルクレンチ99を回転させてトルクの変動を測定した。なお、測定は、25℃の環境温度下、トルクレンチ99の回転速度を5°/秒とし、25〜30秒間回転させた。
参考例に係るボールジョイントについても同様に測定を行った。
図8において測定結果について説明する。
図8に示されるように、参考例(1点鎖線)において、トルクが安定する前の状態、即ち、試験の開始直後にはトルクが直線的に所定の値P1まで上昇し、所定の値P1から急激にP2まで下降していることが分かった。
一方、好適例(実線)によるボールスタッドのトルクは、試験の開始直後からトルクが直線的に上昇し、所定の値P3まで達した後、P4まで僅かに下降した。参考例の場合に比べて、頂点に達した後のトルクの下降量が少ない。好適例によるボールスタッドによれば、DLC膜88aを球面部88の一部に形成することにより、よりトルクを安定させることができることが分かった。
このような結果になった理由について、図6及び図9を参照して考察する。
図6(a)及び図9(a)の参考例に示されるように、球面部288の全体にDLC膜288aが形成されているボールスタッド254は、DLC膜288aが広範囲に亘ってホルダ253に接触している。DLC膜288aが広範囲に接触しているため、ボールスタッド284とホルダ283との間の隙間が狭い。隙間が狭いため、ボールスタッド284とホルダ283との間に充填されるグリース286の量は少ない。グリース286の量が少ないため、ボールスタッド284を回転させようとした場合に、回転させるまでに大きな力が必要となる。回転させるまでに大きな力が必要であるため、回転する直前のボールスタッド284には大きなトルクが加わっているものと考えられる。トルクはボールスタッド284の捻れ方向に加わっている力ということもできるから、ボールスタッド284が回転を始めた直後に、捻れていたボールスタッド284は元に戻ろうとする。ボールスタッド284が元に戻ろうとすることにより、トルクが急激に下降するものと考えられる。
一方、図6(b)及び図9(b)の好適例に示されるように、球面部88の一部にDLC膜88aが形成されているボールスタッド84は、DLC膜88aがホルダ83に接触する面積が小さい。DLC膜88aの接触面積が小さいため、ボールスタッド84とホルダ83との間の隙間が広い。隙間が広いため、ボールスタッド84とホルダ83との間に充填されるグリース86の量が多い。グリース86の量が多いため、ボールスタッド84を回転させようとした場合に、回転させるまでに小さな力があれば足りる。即ち、回転する直前においてボールスタッド84に加わっているトルクが小さいことにより、回転を始めた直後に捻れていたボールスタッド84が元に戻ろうとする力が小さい。元に戻ろうとする力が小さいことにより、回転し始めた直後のトルクの下降量が少ないものと考えられる。
以上から、本発明者らは、摺動部材と支持部材との間の隙間を大きくすることにより、回転した直後におけるトルクの急激な低下を防止すると共に、DLC膜を用いることにより、回転中のトルクを安定させることができることを知見した。
この知見に基づき、以下のこともいえる。
図4及び図5に戻り、DLC膜62aは、ラックブッシュ62の表面の一部に形成されている。ラック軸32を移動させる際には、ラック軸32が動くまでの間にラック軸32に大きな負荷が加わる。DLC膜62aが形成されない部位において、DLC膜62aの厚さの分、DLC膜62aとラック軸32との間に隙間が生じる。この隙間にはグリース63が充填されている。即ち、隙間があることによって、DLC膜62aとラックブッシュとの間には、多量のグリース63が供給されている。多量のグリース63が供給されることにより、ラック軸32が移動しやすくなる。ラック軸32を移動しやすくすることにより、ラック軸32を移動させ始めた際に加わる負荷を抑制できる。
本発明の別実施例について、図10以降において説明する。
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。
図10は実施例2のボールジョイントの断面構成を示し、上記図2に対応させて表している。
図10に示されるように、ボールジョイント110(摺動機構110)は、ホルダ113(支持部材113)の内周面に帯状のDLC膜113aが2本形成されてなる。DLC膜113aは、ボールスタッド54の回転方向に沿って形成されている。
ホルダ113の内周面の一部にマスクを被せて処理することにより、内周面の一部に対して任意の形状にDLC膜113aを形成することができる。
このような構成のホルダ113を用いた場合においても、本発明所定の効果を得ることができる。即ち、DLC膜113aが形成されることにより、ボールスタッド54は、DLC膜113aに接触し、回転する。即ち、ボールスタッド54は、ホルダ113の樹脂部分に接触しない。ホルダ113の樹脂部分への接触を防止することにより、ホルダ113の摩耗を防止し、ホルダ113の長寿命化を図ることができる。
さらに、DLC膜113aは、ホルダ113の表面の一部に形成されている。ボールスタッド54を回転させる際には、力を加えた直後に大きなトルクが加わりやすい。本発明においては、DLC膜113aが形成されない部位において、DLC膜113aの厚さの分、DLC膜113aとホルダ113との間に隙間が生じる。この隙間にはグリース(図2、符号56)が充填されている。即ち、隙間があることによって、DLC膜113aとボールスタッド54との間には、多量のグリースが充填されている。多量のグリースが充填されることにより、ボールスタッド54が回転しやすくなる。ボールスタッド54を回転しやすくすることにより、ボールスタッド54を回転させ始めた際のトルクの急激な変化を抑制できる。
次に、本発明の実施例3を図面に基づいて説明する。
図11は実施例3のボールジョイントの断面構成を示し、上記図2に対応させて表している。
図11に示されるように、ボールジョイント120(摺動機構120)は、ホルダ123(支持部材123)の内周面に複数の水玉状のDLC膜123aが形成されてなる。
このような構成のホルダ123を用いた場合においても、本発明所定の効果を得ることができる。即ち、DLC膜123aが形成されることにより、ボールスタッド54は、DLC膜123aに接触し、回転する。即ち、ボールスタッド54は、ホルダ123の樹脂部分に接触しない。ホルダ123の樹脂部分への接触を防止することにより、ホルダ123の摩耗を防止し、ホルダ123の長寿命化を図ることができる。
さらに、DLC膜123aは、ホルダ123の表面の一部に形成されている。ボールスタッド54を回転させる際には、力を加えた直後に大きなトルクが加わりやすい。本発明においては、DLC膜123aが形成されない部位において、DLC膜123aの厚さの分、DLC膜123aとホルダ123との間に隙間が生じる。この隙間にはグリース(図2、符号56)が充填されている。即ち、隙間があることによって、DLC膜123aとボールスタッド54との間には、多量のグリースが充填されている。多量のグリースが充填されることにより、ボールスタッド54が回転しやすくなる。ボールスタッド54を回転しやすくすることにより、ボールスタッド54を回転させ始めた際のトルクの急激な変化を抑制できる。
次に、本発明の実施例4を図面に基づいて説明する。
図12は実施例4のボールジョイントの断面構成を示し、上記図2に対応させて表している。
図12に示されるように、ボールジョイント130(摺動機構130)は、ホルダ133(支持部材133)の内周面に、ボールスタッドの軸に向かって突出する突起部133bが2本形成されている。このようなホルダ133の内周面の全体にDLC膜133aが形成されている。
このような構成のホルダ133を用いた場合においても、本発明所定の効果を得ることができる。即ち、DLC膜133aが形成されることにより、ボールスタッド54は、DLC膜133aに接触し、回転する。即ち、ボールスタッド54は、ホルダ133の樹脂部分に接触しない。ホルダ133の樹脂部分への接触を防止することにより、ホルダ133の摩耗を防止し、ホルダ133の長寿命化を図ることができる。
さらに、ホルダ133には突起部133bが形成され、このようなホルダ133の内周面にDLC膜133aが形成されている。ボールスタッド54を回転させる際には、力を加えた直後に大きなトルクが加わりやすい。本発明においては、突起部133bが形成されない部位において、突起部133bの高さの分、突起部133bが形成されていない部位におけるDLC膜133aとホルダ133との間に隙間が生じる。この隙間にはグリース(図2、符号56)が充填されている。即ち、隙間があることによって、DLC膜133aとボールスタッド54との間には、多量のグリースが充填されている。多量のグリースが充填されることにより、ボールスタッド54が回転しやすくなる。ボールスタッド54を回転しやすくすることにより、ボールスタッド54を回転させ始めた際のトルクの急激な変化を抑制できる。
また、ホルダ133の表面に突起部133bを形成した場合には、ホルダ133の内周面の全体にDLC膜133aを形成してもよい。即ち、DLC膜133aの形成を行う際にホルダ133の内周面にマスクを被せる必要がない。
なお、図4に示されたラックアンドピニオン機構においても、ラックブッシュの一部にラック軸に向かって突出する突起部を形成することができる。この場合、図12に示されたボールジョイント130と同様の効果を得ることができる。
尚、本発明に係るボールジョイントは、電動パワーステアリング装置に搭載する例を基に説明したが、他の装置にも適用可能であり、電動パワーステアリング装置に搭載するものに限られない。
本発明のボールジョイント、ラックアンドピニオン機構及び摺動機構は、電動パワーステアリング装置に搭載するのに好適である。
30…ラックアンドピニオン機構、32…ラック軸(摺動部材)、50,110,120…ボールジョイント(摺動機構)、53,113,123…ホルダ(支持部材)、53a,113a,123a…ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)、54…ボールスタッド、56…グリース(潤滑剤)、58…球面部、62…ラックブッシュ(支持部材)、62a…ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)、63…グリース(潤滑剤)、70…摺動機構。

Claims (3)

  1. 球面部を有する金属製のボールスタッドと、このボールスタッドの球面部を囲うようにして前記ボールスタッドを支持する樹脂製のホルダとからなり、前記ボールスタッドと前記ホルダとの間に潤滑剤が充填されているボールジョイントにおいて、
    前記ホルダは、前記ボールスタッドに対向する面に、ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていることを特徴とするボールジョイント。
  2. 樹脂製のラックブッシュによって金属製のラック軸が支持され、これらのラックブッシュ及びラック軸の間に潤滑剤が充填されているラックアンドピニオン機構において、
    前記ラックブッシュの前記ラック軸に対向する面に、ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていることを特徴とするラックアンドピニオン機構。
  3. 表面にダイヤモンドライクカーボン膜が形成されている樹脂製の支持部材と、
    この支持部材に支持されていると共に、前記ダイヤモンドライクカーボン膜上を摺動する金属製の摺動部材と、からなることを特徴とする摺動機構。
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