JP2013257011A - ボールジョイント及びラックアンドピニオン機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】負荷の過度な変動を抑制することができる技術を提供すること。
【解決手段】ボールジョイント50は、球面部58を有する金属製のボールスタッド54と、このボールスタッド54を回転可能に支持する樹脂製のホルダ53とからなり、ボールスタッド54及びホルダ53の間に潤滑剤56が充填されてなる。ボールスタッド54の球面部58の一部に、ダイヤモンドライクカーボン膜58aが形成されている。ラックアンドピニオン機構30についても同様である。
【選択図】図2
【解決手段】ボールジョイント50は、球面部58を有する金属製のボールスタッド54と、このボールスタッド54を回転可能に支持する樹脂製のホルダ53とからなり、ボールスタッド54及びホルダ53の間に潤滑剤56が充填されてなる。ボールスタッド54の球面部58の一部に、ダイヤモンドライクカーボン膜58aが形成されている。ラックアンドピニオン機構30についても同様である。
【選択図】図2
Description
本発明は、樹脂製の支持部材と、この支持部材上を摺動する金属製の摺動部材とによって構成される摺動機構に関する。
樹脂製の支持部材と、この支持部材上を摺動する金属製の摺動部材とによって構成される摺動機構が広く知られている。摺動機構の一例として、ホルダと、このホルダに回転可能に支持されていると共にホルダの表面を摺動するボールスタッドとからなるボールジョイントが挙げられる(例えば、特許文献1(Figur1)参照。)。
特許文献1に示されるような、ボールジョイントのホルダは、繊維強化プラスチックに付着性の低い材料を付加した素材が用いられている。このような素材を用いることにより、ボールスタッドとホルダとの摩擦により生ずる摩耗を抑制させる。
ところで、ボールジョイントを回転させる際に、ボールジョイントにトルクが加わる。過度なトルクの変動は、ボールスタッドの疲労の原因となり、好ましくない。
本発明は、負荷の過度な変動を抑制することができる技術の提供を課題とする。
請求項1に係る発明は、球面部を有する金属製のボールスタッドと、このボールスタッドを回転可能に支持する樹脂製のホルダと、ボールスタッド及びホルダの間に充填されボールスタッドの動きを円滑にする潤滑剤とからなるボールジョイントにおいて、ボールスタッドの球面の一部に、ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、球面部を有する金属製のボールスタッドと、このボールスタッドを回転可能に支持する樹脂製のホルダと、ボールスタッド及びホルダの間に充填されボールスタッドの動きを円滑にする潤滑剤とからなるボールジョイントにおいて、ボールスタッドの球面の一部に、ボールスタッドの軸から外周に向かって突出する突起部が形成され、この突起部にダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、樹脂製のラックブッシュによって金属製のラック軸がガイドされ、これらのラックブッシュ及びラック軸の間にラック軸の動きを円滑にする潤滑剤が充填されているラックアンドピニオン機構において、ラック軸の表面の一部に、ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、樹脂製のラックブッシュによって金属製のラック軸がガイドされ、これらのラックブッシュ及びラック軸の間にラック軸の動きを円滑にする潤滑剤が充填されているラックアンドピニオン機構において、ラック軸の表面の一部に、ラック軸の軸から外周に向かって突出する突起部が形成され、この突起部にダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、ダイヤモンドライクカーボン膜は、ボールスタッドの表面の一部に形成されている。ボールスタッドを回転させる際には、力を加えた直後に大きなトルクが加わりやすい。本発明においては、ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されない部位において、ダイヤモンドライクカーボン膜の厚さの分、ダイヤモンドライクカーボン膜とホルダとの間に隙間が生じる。この隙間には潤滑剤が充填されている。即ち、隙間があることによって、ダイヤモンドライクカーボン膜とホルダとの間には、多量の潤滑剤が供給されている。多量の潤滑剤が供給されることにより、ボールスタッドが回転しやすくなる。ボールスタッドを回転しやすくすることにより、ボールスタッドを回転させ始めた際に加わるトルクを抑制できる。
請求項2に係る発明では、ボールスタッドの球面の一部に、ボールスタッドの軸から外周に向かって突出する突起部が形成され、この突起部にダイヤモンドライクカーボン膜が形成されている。ボールスタッドを回転させる際には、力を加えた直後に大きなトルクが加わりやすい。本発明においては、突起部が形成されない部位において、突起部の高さの分、突起部が形成されていない部位におけるDLC膜とホルダとの間に隙間が生じる。この隙間にはグリースが充填されている。即ち、隙間があることによって、DLC膜とホルダとの間には、多量のグリースが供給されている。多量の潤滑剤が供給されることにより、ボールスタッドが回転しやすくなる。ボールスタッドを回転しやすくすることにより、ボールスタッドを回転させ始めた際に加わるトルクを抑制できる。
請求項3に係る発明では、ダイヤモンドライクカーボン膜は、ラック軸の表面の一部に形成されている。ラック軸を移動させる際には、力を加えた直後に大きな負荷が加わりやすい。本発明においては、ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されない部位において、ダイヤモンドライクカーボン膜の厚さの分、ダイヤモンドライクカーボン膜とラックブッシュとの間に隙間が生じる。この隙間には潤滑剤が充填されている。即ち、隙間があることによって、ダイヤモンドライクカーボン膜とラックブッシュとの間には、多量の潤滑剤が供給されている。多量の潤滑剤が供給されることにより、ラック軸が移動しやすくなる。ラック軸を移動しやすくすることにより、ラック軸を移動させ始めた際に加わる負荷を抑制できる。
請求項4に係る発明では、ラック軸の表面の一部に、ラック軸から外周に向かって突出する突起部が形成され、この突起部にダイヤモンドライクカーボン膜が形成されている。ラック軸を移動させる際には、力を加えた直後に大きな負荷が加わりやすい。本発明においては、ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されない部位において、ダイヤモンドライクカーボン膜の厚さの分、ダイヤモンドライクカーボン膜とラックブッシュとの間に隙間が生じる。この隙間には潤滑剤が充填されている。即ち、隙間があることによって、ダイヤモンドライクカーボン膜とラックブッシュとの間には、多量の潤滑剤が供給されている。多量の潤滑剤が供給されることにより、ラック軸が移動しやすくなる。ラック軸を移動しやすくすることにより、ラック軸を移動させ始めた際に加わる負荷を抑制できる。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1に示されるように、電動パワーステアリング装置10は、車両のステアリングホイール21から車両の操舵車輪29,29(例えば前輪)に至るステアリング系20と、このステアリング系20に補助トルクを加える補助トルク機構40とからなる。
ステアリング系20は、ステアリングホイール21にステアリングシャフト22及び自在軸継手23,23を介してピニオン軸24を連結し、ピニオン軸24にラックアンドピニオン機構30を連結し、ラックアンドピニオン機構30のラック軸32(摺動部材32)の両端にボールジョイント50,50、タイロッド27,27及びナックル28,28を介して左右の操舵車輪29,29を連結したものである。
ラックアンドピニオン機構30は、ピニオン軸24に形成されたピニオン31と、ラック軸32と、このラック軸32に形成されピニオン31に噛合うラック33と、ラック軸32をガイドすると共に支持しているガイド部材60とからなる。また、ラック軸32とガイド部材60とにより、摺動機構70が構成される。
ステアリング系20によれば、運転者がステアリングホイール21を操舵することで、この操舵トルクによりラックアンドピニオン機構30を介して、左右の操舵車輪29,29を操舵することができる。
補助トルク機構40は、ステアリングホイール21に加えたステアリング系20の操舵トルクを操舵トルクセンサ41で検出し、この操舵トルクセンサ41のトルク検出信号に基づき制御部42で制御信号を発生し、この制御信号に基づき操舵トルクに応じた補助トルクを電動モータ(電動機)43で発生し、この補助トルクをウォームギヤ機構44を介してピニオン軸24に伝達し、さらに、補助トルクをピニオン軸24からステアリング系20のラックアンドピニオン機構30に伝達するようにした機構である。
操舵トルクセンサ41は、ピニオン軸24に加えられたトルクを検出し、トルク検出信号として出力するものであり、例えば磁歪式トルクセンサやトーションバー式トルクセンサによって構成される。
電動パワーステアリング装置10によれば、運転者の操舵トルクに電動モータ43の補助トルクを加えた複合トルクにより、ラック軸32で操舵車輪29,29を操舵することができる。
図2以降においてボールジョイントの詳細を説明する。
図2以降においてボールジョイントの詳細を説明する。
図2に示されるように、ボールジョイント50(摺動機構50)は、筒状のケース51と、このケース51の一端を塞いでいる蓋部材52と、これらのケース51及び蓋部材52によって囲われているポリアセタール製のホルダ53(支持部材53)と、このホルダ53によって回転可能に支持されている鋼製のボールスタッド54(摺動部材54)と、このボールスタッド54の一部を囲うように配置されているゴム製のブーツ55と、このブーツ55及びケース51内に充填されボールスタッド54を円滑に回転させるグリース56(潤滑剤56)とからなる。
ボールスタッド54は、表面が略球面状に形成されている球面部58と、この球面部58に一体的に取付けられているスタッド部59とからなる。
球面部58には、ダイヤモンドライクカーボン膜58a(diamond-like-carbon 以下、「DLC膜58a」と記す。)が一体的に形成されている。DLC膜58aは、球面部58に対して、帯状に2本形成されている。DLC膜58aは、ボールスタッド54の回転方向に沿って形成されている。
ホルダ53には、ポリアセタールの他、ナイロン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、エラストマーまたはこれらの繊維強化複合材の他、用途に応じて任意の素材を用いることができる。
ボールスタッド54には、普通鋼および特殊鋼を含む鉄鋼製材の他、非鉄金属等の金属を用いることができる。また、用途に応じて球面部58とスタッド部59とで素材を変えることもできる。
非鉄金属としては、アルミニウム、マグネシウム、チタンまたはこれらを主成分とする合金を挙げることができる。
非鉄金属としては、アルミニウム、マグネシウム、チタンまたはこれらを主成分とする合金を挙げることができる。
ブーツ55には、天然ゴムの他、合成ゴムを含む任意のエラストマーを用いることができる。
DLC膜58aは、プラズマCVD法によって形成することができる。DLC膜58aの形成には、CVD法の他にPVD法を採用することもできる。
また、球面部58の一部にマスクを被せて処理することにより、球面部58の一部に対して任意の形状にDLC膜58aを形成することができる。
DLC膜58aは、プラズマCVD法によって形成することができる。DLC膜58aの形成には、CVD法の他にPVD法を採用することもできる。
また、球面部58の一部にマスクを被せて処理することにより、球面部58の一部に対して任意の形状にDLC膜58aを形成することができる。
図3も合わせて参照して、ホルダ53には、4箇所にスリット53bが形成されている。これらのスリット53bは、ボールスタッド54の軸CLに沿って形成されている。スリット53bが形成されていることにより、ホルダ53を撓ませることができる。球面部58をホルダ53に向かって押し込むことにより、ホルダ53を撓ませながら球面部58が取付けられる。ホルダ53を撓ませることのできる構成とすることにより、球面部58の全体を1つのホルダ53によって覆うことができる。
図4以降において、ガイド部材(図1、符号60)の詳細を説明する。
図4以降において、ガイド部材(図1、符号60)の詳細を説明する。
図4及び図5に示されるように、ガイド部材60は、金属製のカバー部材61にポリアセタール製のラックブッシュ62(支持部材62)が収納され、ラック軸32とラックブッシュ62との間には潤滑剤63が充填されている。DLC膜32aは、ラック軸32の表面に対して等間隔に4箇所形成されている。
なお、潤滑剤63としては、グリースが好ましい。以下、潤滑剤63を適宜グリース63という。
このような摺動機構について、トルクの変動を測定した。詳細を図6以降において説明する。
なお、潤滑剤63としては、グリースが好ましい。以下、潤滑剤63を適宜グリース63という。
このような摺動機構について、トルクの変動を測定した。詳細を図6以降において説明する。
図6(a)に示されるような参考例に係るボールスタッド284と、図6(b)に示されるような好適例に係るボールスタッド84とを作成し、トルクの変動を測定した。
より詳細には、図6(a)の参考例に係るボールスタッド284は、球面部288の表面の全体にわたってDLC膜288aが形成されている。図6(b)に示される好適例に係るボールスタッド84は、球面部88の表面に回転方向に沿って2本のDLC膜88aが形成されている。これらのボールスタッド84,284について行った測定について、図7に沿って説明する。
より詳細には、図6(a)の参考例に係るボールスタッド284は、球面部288の表面の全体にわたってDLC膜288aが形成されている。図6(b)に示される好適例に係るボールスタッド84は、球面部88の表面に回転方向に沿って2本のDLC膜88aが形成されている。これらのボールスタッド84,284について行った測定について、図7に沿って説明する。
図7に示されるように、好適例に係るボールジョイント80のケース81を、板材95,96の間に挟んで固定した。なお、板材95にはボールスタッド84のスタッド部98を突出させる穴部が設けられており、この穴部からボールスタッド84のスタッド部89を突出させている。
板材95から突出しているスタッド部89にトルクレンチ99を取り付け、トルクレンチ99を回転させてトルクの変動を測定した。なお、測定は、25℃の環境温度下、トルクレンチ99の回転速度を5°/秒とし、25〜30秒間回転させた。
参考例に係るボールジョイントについても同様に測定を行った。
図8において測定結果について説明する。
参考例に係るボールジョイントについても同様に測定を行った。
図8において測定結果について説明する。
図8に示されるように、参考例(1点鎖線)において、トルクが安定する前の状態、即ち、試験の開始直後にはトルクが直線的に所定の値P1まで上昇し、所定の値P1から急激にP2まで下降していることが分かった。
一方、好適例(実線)によるボールスタッドのトルクは、試験の開始直後からトルクが直線的に上昇し、所定の値P3まで達した後、P4まで僅かに下降した。参考例の場合に比べて、頂点に達した後のトルクの下降量が少ない。好適例によるボールスタッドによれば、DLC膜88aを球面部88の一部に形成することにより、よりトルクを安定させることができることが分かった。
このような結果になった理由について、図6及び図9を参照して考察する。
このような結果になった理由について、図6及び図9を参照して考察する。
図6(a)及び図9(a)の参考例に示されるように、球面部288の全体にDLC膜288aが形成されているボールスタッド254は、DLC膜288aが広範囲に亘ってホルダ253に接触している。DLC膜288aが広範囲に接触しているため、ボールスタッド284とホルダ283との間の隙間が狭い。隙間が狭いため、ボールスタッド284とホルダ283との間に充填されるグリース286の量は少ない。グリース286の量が少ないため、ボールスタッド284を回転させようとした場合に、回転させるまでに大きな力が必要となる。回転させるまでに大きな力が必要であるため、回転する直前のボールスタッド284には大きなトルクが加わっているものと考えられる。トルクはボールスタッド284の捻れ方向に加わっている力ということもできるから、ボールスタッド284が回転を始めた直後に、捻れていたボールスタッド284は元に戻ろうとする。ボールスタッド284が元に戻ろうとすることにより、トルクが急激に下降するものと考えられる。
一方、図6(b)及び図9(b)の好適例に示されるように、球面部88の一部にDLC膜88aが形成されているボールスタッド84は、DLC膜88aがホルダ83に接触する面積が小さい。DLC膜88aの接触面積が小さいため、ボールスタッド84とホルダ83との間の隙間が広い。隙間が広いため、ボールスタッド84とホルダ83との間に充填されるグリース86の量が多い。グリース86の量が多いため、ボールスタッド84を回転させようとした場合に、回転させるまでに小さな力があれば足りる。即ち、回転する直前においてボールスタッド84に加わっているトルクが小さいことにより、回転を始めた直後に捻れていたボールスタッド84が元に戻ろうとする力が小さい。元に戻ろうとする力が小さいことにより、回転し始めた直後のトルクの下降量が少ないものと考えられる。
以上から、本発明者らは、摺動部材と支持部材との間の隙間を大きくすることにより、回転した直後におけるトルクの急激な低下を防止すると共に、DLC膜を用いることにより、回転中のトルクを安定させることができることを知見した。
この知見に基づき、以下のこともいえる。
この知見に基づき、以下のこともいえる。
図4及び図5に戻り、DLC膜32aは、ラック軸32の表面の一部に形成されている。ラック軸32を移動させる際には、動きだすまでの間にラック軸32に大きな負荷が加わる。DLC膜32aの厚さの分、ラック軸32とラックブッシュ62との間に隙間が生じる。この隙間にはグリース63が充填されている。多量のグリース63が供給されることにより、ラック軸32が移動しやすくなる。ラック軸32を移動しやすくすることにより、ラック軸32が移動し始めた際に加わる負荷を抑制できる。
本発明の別実施例について、図10以降において説明する。
本発明の別実施例について、図10以降において説明する。
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。
図10は実施例2のボールジョイントの断面構成を示し、上記図2に対応させて表している。
図10に示されるように、ボールジョイント110は、ボールスタッド114の球面部118に2本の帯状のDLC膜118aが形成されてなる。DLC膜118aを正面から見た場合に、DLC膜118aは、ボールスタッド114の軸に平行に形成されている。即ち、球面部118の回転方向に垂直に形成されている。
図10は実施例2のボールジョイントの断面構成を示し、上記図2に対応させて表している。
図10に示されるように、ボールジョイント110は、ボールスタッド114の球面部118に2本の帯状のDLC膜118aが形成されてなる。DLC膜118aを正面から見た場合に、DLC膜118aは、ボールスタッド114の軸に平行に形成されている。即ち、球面部118の回転方向に垂直に形成されている。
このような構成のボールスタッド114を用いた場合においても、本発明所定の効果を得ることができる。即ち、ボールスタッド114を回転させる際には、力を加えた直後に大きなトルクが加わりやすい。本発明においては、DLC膜118aが形成されない部位において、DLC膜118aの厚さの分、DLC膜118aとホルダ53との間に隙間が生じる。この隙間にはグリース56が充填されている。即ち、隙間があることによって、DLC膜118aとホルダ53との間には、多量のグリース56が供給されている。多量の潤滑剤が供給されることにより、ボールスタッド114が回転しやすくなる。ボールスタッド114を回転しやすくすることにより、ボールスタッド114を回転させ始めた際に加わるトルクを抑制できる。
次に、本発明の実施例3を図面に基づいて説明する。
図11は実施例3のボールジョイントの断面構成を示し、上記図2に対応させて表している。
図11に示されるように、ボールジョイント120は、ボールスタッド124の球面部128に水玉状のDLC膜128aが複数形成されてなる。
図11は実施例3のボールジョイントの断面構成を示し、上記図2に対応させて表している。
図11に示されるように、ボールジョイント120は、ボールスタッド124の球面部128に水玉状のDLC膜128aが複数形成されてなる。
このような構成のボールスタッド124を用いた場合においても、本発明所定の効果を得ることができる。即ち、ボールスタッド124を回転させる際には、力を加えた直後に大きなトルクが加わりやすい。本発明においては、DLC膜128aが形成されない部位において、DLC膜128aの厚さの分、DLC膜128aとホルダ53との間に隙間が生じる。この隙間にはグリース56が充填されている。即ち、隙間があることによって、DLC膜128aとホルダ53との間には、多量のグリース56が供給されている。多量の潤滑剤が供給されることにより、ボールスタッド124が回転しやすくなる。ボールスタッド124を回転しやすくすることにより、ボールスタッド124を回転させ始めた際に加わるトルクを抑制できる。
次に、本発明の実施例4を図面に基づいて説明する。
図12及び図13は、実施例4のボールジョイントの断面構成を示し、図12は、上記図2に対応させて表している。図13は図12の13−13線断面図である。
図12及び図13に示されるように、ボールジョイント130は、ボールスタッド134の球面部138には、一部に周方向に向かって突出する突起部138bが形成されている。このような突起部138が形成されている球面部138の全体にDLC膜138aが形成されている。
図12及び図13は、実施例4のボールジョイントの断面構成を示し、図12は、上記図2に対応させて表している。図13は図12の13−13線断面図である。
図12及び図13に示されるように、ボールジョイント130は、ボールスタッド134の球面部138には、一部に周方向に向かって突出する突起部138bが形成されている。このような突起部138が形成されている球面部138の全体にDLC膜138aが形成されている。
このような構成のボールスタッド134を用いた場合においても、本発明所定の効果を得ることができる。即ち、ボールスタッド134を回転させる際には、力を加えた直後に大きなトルクが加わりやすい。本発明においては、突起部138bが形成されない部位において、突起部138bの高さの分、突起部138bが形成されていない部位におけるDLC膜138aとホルダ53との間に隙間が生じる。この隙間にはグリース56が充填されている。即ち、隙間があることによって、DLC膜138aとホルダ53との間には、多量のグリース56が供給されている。多量の潤滑剤が供給されることにより、ボールスタッド134が回転しやすくなる。ボールスタッド134を回転しやすくすることにより、ボールスタッド134を回転させ始めた際に加わるトルクを抑制できる。
また、ボールスタッド134の表面に突起部138bを形成した場合には、球面部138の全体にDLC膜138aを形成してもよい。即ち、DLC膜138aの形成を行う際に球面部138にマスクを被せる必要がない。
なお、図4に示されたラックアンドピニオン機構においても、ラック軸の一部に軸線を基準として周方向に向かって広がるように突出する突起部を形成することができる。この場合、図12及び図13に示されたボールジョイント130と同様の効果を得ることができる。
尚、本発明に係るボールジョイントは、電動パワーステアリング装置に搭載する例を基に説明したが、他の装置にも適用可能であり、電動パワーステアリング装置に搭載するものに限られない。
本発明のボールジョイント及びラックアンドピニオン機構は、電動パワーステアリング装置に搭載するのに好適である。
30…ラックアンドピニオン機構、32…ラック軸、32a…ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)、50,110,120…ボールジョイント、53…ホルダ、54,114,124…ボールスタッド、56…グリース(潤滑剤)、58,118,128…球面部、58a,118a,128a…ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)、62…ラックブッシュ、63…グリース。
Claims (4)
- 球面部を有する金属製のボールスタッドと、このボールスタッドを回転可能に支持する樹脂製のホルダと、前記ボールスタッド及び前記ホルダの間に充填され前記ボールスタッドの動きを円滑にする潤滑剤とからなるボールジョイントにおいて、
前記ボールスタッドの球面の一部に、ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていることを特徴とするボールジョイント。 - 球面部を有する金属製のボールスタッドと、このボールスタッドを回転可能に支持する樹脂製のホルダと、前記ボールスタッド及び前記ホルダの間に充填され前記ボールスタッドの動きを円滑にする潤滑剤とからなるボールジョイントにおいて、
前記ボールスタッドの球面の一部に、前記ボールスタッドの軸から外周に向かって突出する突起部が形成され、この突起部にダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていることを特徴とするボールジョイント。 - 樹脂製のラックブッシュによって金属製のラック軸がガイドされ、これらのラックブッシュ及びラック軸の間に前記ラック軸の動きを円滑にする潤滑剤が充填されているラックアンドピニオン機構において、
前記ラック軸の表面の一部に、ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていることを特徴とするラックアンドピニオン機構。 - 樹脂製のラックブッシュによって金属製のラック軸がガイドされ、これらのラックブッシュ及びラック軸の間に前記ラック軸の動きを円滑にする潤滑剤が充填されているラックアンドピニオン機構において、
前記ラック軸の表面の一部に、前記ラック軸から外周に向かって突出する突起部が形成され、この突起部にダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていることを特徴とするラックアンドピニオン機構。
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CN105352742A (zh) * | 2015-12-14 | 2016-02-24 | 重庆赫杰精密机械有限公司 | 用于汽车检具碳纤维支架的球关节组件 |
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CN105352742A (zh) * | 2015-12-14 | 2016-02-24 | 重庆赫杰精密机械有限公司 | 用于汽车检具碳纤维支架的球关节组件 |
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