JP2013256893A - 内燃機関の運転制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジン1のECU61は、筒内燃料噴射手段23から噴射される燃料の噴射時期及び噴射量を制御する筒内燃料噴射制御手段71と、吸気ポート燃料噴射手段83から噴射される燃料の噴射時期及び噴射量を制御する吸気ポート燃料噴射制御手段85と、エンジン1の冷却水の水温W又は触媒昇温運転の運転開始からの経過時間Tに応じて、MPI比率RAを初期設定値のMPI比率RA1よりも増加させる燃料噴射割合制御手段87と、を備える。
【選択図】 図2
Description
また、筒内燃料噴射手段からの燃料の噴射割合が多くなると、点火装置周辺に形成される成層部分の空燃比がリッチとなり、燃焼が悪化してスモークが発生したり、PN(パティキュレートナンバー)が増加したりする。
排ガス通路に設けられて排ガスを浄化する触媒と、燃料を燃焼室内に直接噴射する筒内燃料噴射手段と、燃料を吸気ポート内に噴射する吸気ポート燃料噴射手段とを有する内燃機関であって、冷態始動時に前記内燃機関の圧縮行程で前記筒内燃料噴射手段より前記燃焼室内に燃料を噴射して空燃比を理論空燃比或いは理論空燃比よりもリーンとした触媒昇温運転を行う内燃機関の運転制御装置において、
前記筒内燃料噴射手段から噴射される燃料の噴射時期及び噴射量を制御する筒内燃料噴射制御手段と、
前記吸気ポート燃料噴射手段から噴射される燃料の噴射時期及び噴射量を制御する吸気ポート燃料噴射制御手段と、
前記内燃機関を冷却する冷却水の温度又は前記触媒昇温運転の運転開始からの経過時間に応じて、前記筒内燃料噴射手段の噴射量に対する前記吸気ポート燃料噴射手段の噴射量の割合を始動時の初期設定値の割合よりも増加させる燃料噴射割合制御手段と、を備えることを特徴とする。
また、吸気ポートに噴射された燃料は、吸気ポート内の空気中に均一に拡散することとなる。この状態で吸気バルブが開弁することで、燃料が均一に拡散された空気を燃焼室内に供給できるため、良好な燃焼を得ることができる。そして、吸気ポート燃料噴射手段の噴射量の割合を増加させることで、燃料が均一に拡散された空気量の割合が増加するため、安定燃焼を得るとともに、排出ガス中の有害成分を低減することができる。
<内燃機関及び制御装置の構成>
図1は、本発明の第一実施形態に係る内燃機関の概略構成図である。図1に示すように、内燃機関(以下、エンジン1という)は4サイクル機関であって、火花点火式で、且つ、燃焼室2内に燃料を直接噴射可能に構成されている。
さらに、シリンダヘッド3には、吸気ポート7内へ燃料を噴射する吸気ポート燃料噴射手段83が設けられている。吸気ポート燃料噴射手段83は、フィードポンプ25を介して燃料タンクに接続されている。燃料タンク内の燃料は、フィードポンプ25により圧送される燃料がそのまま吸気ポート燃料噴射手段83から噴射される。
また、シリンダブロック4には、エンジン1の冷却水の水温を検出する冷却水温度センサ31、クランクシャフト33の回転に同期してクランク角情報を出力するクランク角センサ35が設けられている。クランク角センサ35からのクランク角情報は、後述するECU61に入力されて、エンジン回転数の算出、燃料噴射時期の制御、点火時期の制御等に用いられる。さらに、アクセル開度を検出するアクセルポジションセンサ(図示しない)が設けられている。
排ガス浄化装置47の上流側には、排ガス中に含まれる酸素の濃度を検出する酸素濃度センサ51が設けられている。排ガス中に含まれる酸素量は、理論空燃比(以下、ストイキオという)を境としてその出力が大きく変化する特性を有している。
図2に示すように、ECU61は、タイマーカウンタ63と、回転数制御手段65と、バルブタイミング制御手段67と、点火時期制御手段69と、筒内燃料噴射制御手段71と、吸気ポート燃料噴射制御手段85と、燃料噴射割合制御手段87と、を備えている。
具体的には、極低負荷時に、吸気ポート燃料噴射手段83のみから膨張行程で低圧燃料を噴射する噴射モードを有している。
また、低中負荷時に、筒内燃料噴射手段23と吸気ポート燃料噴射手段83とに分けた分割噴射モードで負荷に応じて噴射割合を燃料噴射割合制御手段87により変えながら膨張行程〜吸気行程で吸気ポート燃料噴射手段83から燃料を噴射し、吸気行程〜圧縮行程で筒内燃料噴射手段23から燃料を噴射する噴射モードを有している。
そして、高負荷時に、筒内燃料噴射手段23のみから排気行程〜吸気行程で高圧燃料を噴射する噴射モードを有している。
これらの噴射モードは、ECU61によって、予めROM等のメモリに格納されたエンジン1の運転領域のマップにしたがって選択される。
圧縮S/L運転を開始するとECU61に設けられたタイマーカウンタ63により運転開始からの経過時間が計測される。そして、経過時間が上記経過時間情報として出力される。
次に、圧縮S/L運転時に係る制御フローについて、図3〜図5を用いて説明する。
なお、本明細書では、MPI比率RAを、筒内燃料噴射手段23からの燃料噴射量に対する吸気ポート燃料噴射手段83からの燃料噴射量の割合とする。
また、始動直後のMPI比率RA及び空燃比A/Fは、それぞれ圧縮S/L運転領域の各マップにしたがって設定されており、燃料噴射割合制御手段87は、当該各マップを読み込むことによりMPI比率RA及び空燃比A/Fを算出する。
冷却水の水温Wが、閾値Wthよりも大きい場合には、触媒は十分に暖められているとして、通常の制御運転を実施する(ステップS4)。
エンジン1が圧縮S/L運転状態で無い場合は、圧縮S/L運転を開始する(ステップS6)。
圧縮S/L運転を開始するとともに、筒内燃料噴射制御手段71、吸気ポート燃料噴射制御手段85、燃料噴射割合制御手段87は、それぞれ筒内燃料噴射手段23の燃料噴射時期IT、吸気ポート燃料噴射手段83の燃料噴射時期MPIT、MPI比率RA、空燃比A/Fについて、冷態始動時のアイドル運転用に予め設定された初期設定値の燃料噴射時期IT1、燃料噴射時期MPIT1、MPI比率RA1、空燃比A/F1に設定する。
また、図5(G)に示すように、圧縮S/L運転を開始するとともに、タイマーカウンタ63は、当該タイマーカウンタ63の値を0(ゼロ)にリセットして、圧縮S/L運転の経過時間の計測を開始する。
圧縮S/L運転開始後、図5(F)に示すように、時間の経過とともに水温Wは徐々に上昇する。
したがって、圧縮S/L運転を実施することにより、反応性に富むCO、H2と余剰O2とを排気流路15を経て排ガス浄化装置47へ同時供給することができ、排気流路15及び排ガス浄化装置47内での酸化反応によるCO、H2とO2との反応熱によって排ガス浄化装置47(三元触媒49)の昇温が図られることになる。
所定時間Tth1は、予め実験等により設定された値であり、本実施形態では、例えば10秒とした。なお、この値に限定されるものではない。
経過時間Tが、所定時間Tth1未満の場合には、そのまま圧縮S/L運転を継続する。そして、再び、ステップS2を実施する。
所定時間Tendは、予め実験等により設定された圧縮S/L運転の運転時間である。即ち、所定時間Tendを経過したら、圧縮S/L運転を終了する。本実施形態では、所定時間Tendを、例えば90秒とした。なお、この値に限定されるものではない。
経過時間Tが、所定時間Tend以上の場合には、圧縮S/L運転が充分に実施されて触媒が暖められたとして、ステップS4にて通常制御を実施する。
運転制御その1では、図4に示すように、ECU61は、タイマーカウンタ63により計測された経過時間Tから所定時間Tth1を減算して時間差分ΔTを算出するとともに、当該時間差分ΔTが、予め設定された時間差分ΔTth未満か否かを判定する(ステップS31)。
時間差分ΔTthは、予め実験等により設定された値であり、本実施形態では、例えば10秒とした。なお、この値に限定されるものではない。
時間差分ΔTが、時間差分ΔTth未満の場合には、後述するステップS32を実施する。
具体的には、図5(A)〜図5(C)に示すように、吸気ポート燃料噴射手段83からの噴射量を増加させるとともに、筒内燃料噴射手段23からの噴射量を減少させて新たなMPI比率RAとする。このとき、吸気ポート燃料噴射手段83からの噴射量は増加するが、筒内燃料噴射手段23からの噴射量は減少するため、空燃比A/Fは変化しない。その後、ステップS2を実施する。
一方、ステップS32にて、ステップS2で算出されたMPI比率RAが、閾値RAth以上の場合は、MPI比率RAを変化させることなく、再びステップS2を実施する。即ち、MPI比率RAは、閾値RAthよりも大きくならないように設定されている。
ステップS34では、燃料噴射割合制御手段87は、ステップS2にて算出された空燃比A/Fが、予め設定された閾値A/Fth未満か否かを判定する。閾値A/Fthは、予め実験等により設定された値である。
一方、ステップS34にて空燃比A/Fが、閾値A/Fth以上の場合は、空燃比A/Fをリーン化させることなくそのまま保持する。即ち、空燃比A/Fは、閾値FAthよりもリーンにならないように設定されている。その後、後述するステップS36を実施する。
一方、ステップS36にて燃料噴射時期MPITが、閾値MPITth以下の場合は、燃料噴射時期MPITを進角させることなく、そのまま燃料噴射時期MPITを保持する。即ち、燃料噴射時期MPITは、閾値MPITthよりも進角しないように設定されている。その後、ステップS2を実施する。
上述した第一実施形態によれば、筒内燃料噴射制御手段71、吸気ポート燃料噴射制御手段85及び燃料噴射割合制御手段87を備えて、圧縮S/L運転の所定時間Tth1経過後に、吸気ポート燃料噴射手段83の噴射量を増加(即ちMPI比率RAを増加)させることで、昇温された吸気ポート7内で効率良く気化された燃料を燃焼室2へ供給することができる。即ち、時間の経過による吸気ポート7の昇温によって燃料の気化が促進され、燃焼効率が良くなり燃費を向上させることができる。
次に、本発明の第二実施形態について説明する。以下の説明において、上述した第一実施形態に対応する部分には同一の符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
第二実施形態の運転制御は、圧縮S/L運転が所定時間Tth1経過すると、後述する運転制御その2を実施し、圧縮S/L運転が所定時間Tth2(>Tth1)経過すると、後述する運転制御その3を更に実施し、圧縮S/L運転が所定時間Tth3(>Tth2)経過すると、第一実施形態と同様に、運転制御その1を更に実施するものである。
運転制御その2及び運転制御その3については、以下で説明する。
本実施形態に係る圧縮S/L運転時に係る制御フローについて、図6〜図14を用いて説明する。
なお、ステップS6において、圧縮S/L運転を開始する際は、回転数制御手段65、バルブタイミング制御手段67、点火時期制御手段69は、それぞれエンジン回転数Ne、バルブオーバーラップ角VOL(吸気バルブ開弁時期In及び排気バルブ閉止時期Outから算出)、点火時期SAについて、冷態始動時のアイドル運転用に予め設定された初期設定値のエンジン回転数Ne1、バルブオーバーラップ角VOL1(吸気バルブ開弁時期In1及び排気バルブ閉止時期Out1から算出)、点火時期SA1に設定する。
一方、経過時間Tが所定時間Tend未満の場合には、運転制御その2を実施する(ステップS10)。
運転制御その2では、図7に示すように、回転数制御手段65は、ステップS2´にて算出されたエンジン回転数Neが予め設定された閾値Nthよりも大きいか否かを判定する(ステップS11)。閾値Nthは、予め実験等により設定された値である。
一方、ステップ2´にて算出されたエンジン回転数Neが、閾値Nth以下の場合は、エンジン回転数Neを低下させることなく、続いてステップS13を実施する。即ち、エンジン回転数Neは、閾値Nthよりも低下しないように設定されている。
ドライバビリティを考慮して水温Wが高くなるにつれてエンジン回転数Neを低下させることに伴って、排出ガス量の低下をバルブオーバーラップ角VOLの増加によって抑制できるため、冷態始動時の排ガス浄化装置47(三元触媒49)の昇温効果を保持できる。
ステップS14の後に、後述するステップS15(図6参照)を実施する。
所定時間Tth2は、予め実験等により設定された値であり、本実施形態では、例えば20秒とした。なお、この値に限定されるものではない。
経過時間Tが、所定時間Tth2未満の場合には、再び、ステップS2´を実施する。
一方、経過時間Tが、所定時間Tth2以上の場合には、運転制御その3を更に実施する(ステップS20)。
一方、ステップS21にて、ステップS2´にて算出された点火時期SAが、閾値SAth以下の場合は、点火時期SAを進角させることなく、続いてステップS23を実施する。即ち、点火時期SAは、閾値SAthよりも進角しないように設定されている。
一方、ステップS23にて、ステップS2´にて算出された燃料噴射時期ITが、閾値ITth以下の場合は、燃料噴射時期ITを進角させることなく、続いてステップS25を実施する。即ち、燃料噴射時期ITは、閾値ITthよりも進角しないように設定されている。
所定時間Tth3は、予め実験等により設定された値であり、本実施形態では、例えば30秒とした。なお、この値に限定されるものではない。
経過時間Tが、所定時間Tth3未満の場合には、再び、ステップS2´を実施する。
一方、経過時間Tが、所定時間Tth3以上の場合には、図9(G)〜図9(K)に示すように、運転制御その1を更に実施する(ステップS30)。運転制御その1の制御内容は、第一実施形態と同様である。
上述した第二実施形態によれば、回転数制御手段65を備え、圧縮S/L運転の所定時間Tth1経過後に、エンジン回転数Neを減少させることによって、冷態始動時におけるドライバビリティを向上させることができる。
また、点火時期制御手段69を備えており、圧縮S/L運転の所定時間Tth2経過後に、点火時期SAを進角させることで良好な燃焼を得て触媒を昇温させるとともに、燃費を向上させることができる。
そして、所定時間Tth2経過後に、運転制御その3を更に実施するため、始動時のエンジン回転数Neを安定保持しつつ排ガス浄化装置47の昇温を燃費良く効率的に行う事ができる。
さらに、所定時間Tth3経過後に、運転制御その1を更に実施するため、始動時のエンジン回転数Neを安定保持しつつ燃費を向上させることができる。
2 燃焼室
3 シリンダヘッド
4 シリンダブロック
5 吸気バルブ
7 吸気ポート
9 排気バルブ
11 排気ポート
13 吸気流路
15 排気流路
17 吸気バルブタイミング調整装置
19 排気バルブタイミング調整装置
23 筒内燃料噴射手段
24 燃料タンク
25 フィードポンプ
27 高圧ポンプ
29 点火装置
31 冷却水温度センサ
33 クランクシャフト
35 クランク角センサ
37 ピストン
39 コンロッド
41 電子スロットル
43 フローセンサ
45 エアクリーナ
47 排ガス浄化装置
49 三元触媒
51 酸素濃度センサ
61 ECU
63 タイマーカウンタ
65 回転数制御手段
67 バルブタイミング制御手段
69 点火時期制御手段
71 筒内燃料噴射制御手段
83 吸気ポート燃料噴射手段
85 吸気ポート燃料噴射制御手段
87 燃料噴射割合制御手段
Claims (4)
- 排ガス通路に設けられて排ガスを浄化する触媒と、燃料を燃焼室内に直接噴射する筒内燃料噴射手段と、燃料を吸気ポート内に噴射する吸気ポート燃料噴射手段とを有する内燃機関であって、冷態始動時に前記内燃機関の圧縮行程で前記筒内燃料噴射手段より前記燃焼室内に燃料を噴射して空燃比を理論空燃比或いは理論空燃比よりもリーンとした触媒昇温運転を行う内燃機関の運転制御装置において、
前記筒内燃料噴射手段から噴射される燃料の噴射時期及び噴射量を制御する筒内燃料噴射制御手段と、
前記吸気ポート燃料噴射手段から噴射される燃料の噴射時期及び噴射量を制御する吸気ポート燃料噴射制御手段と、
前記内燃機関を冷却する冷却水の温度又は前記触媒昇温運転の運転開始からの経過時間に応じて、前記筒内燃料噴射手段の噴射量に対する前記吸気ポート燃料噴射手段の噴射量の割合を始動時の初期設定値の割合よりも増加させる燃料噴射割合制御手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の運転制御装置。 - 前記筒内燃料噴射手段の噴射量に対する前記吸気ポート燃料噴射手段の噴射量の割合を増加させる制御を、前記冷却水が所定温度又は前記触媒昇温運転の運転開始から所定時間に達した後に実施することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の運転制御装置。
- 前記吸気ポート燃料噴射制御手段は、前記吸気ポート燃料噴射手段の噴射時期を始動時の初期設定値の噴射角度よりも進角させる制御を実施することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の運転制御装置。
- 前記燃料噴射割合制御手段は、前記筒内燃料噴射手段の噴射量を始動時の初期設定値の噴射量よりも低減することで、前記筒内燃料噴射手段の噴射量に対する前記吸気ポート燃料噴射手段の噴射量の割合を増加させることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の運転制御装置。
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