JP5447350B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
ところで、このような内燃機関の燃焼室に燃料を噴射する第1の燃料噴射弁と吸気通路に燃料を噴射する第2の燃料噴射弁とを備えた内燃機関において、始動時から排気ガスを浄化する触媒を早期に活性化する技術が、特許文献2(特開2006−258027号公報)に開示される。
この特許文献2では、圧縮昇温運転処理において、燃焼室噴射用燃料噴射弁の噴射量の割合を吸気通路噴射用燃料噴射弁の噴射量の割合と同等以上とすると共に、点火時期を遅角するように点火装置を制御するので、排気浄化触媒の急速暖機を実施して、始動時におけるエミッションの悪化を生じさせないという点が開示される。
しかし、内燃機関の排気系はエンジン本体に対する触媒取付位置や、取り付け状態が各種異なる点や、触媒種も各種異なる点より、内燃機関の冷態始動時における触媒の温度上昇が不十分となりやすく、冷態始動時における触媒の早期活性化をより的確に図ることが望まれている。
これにより、第1昇温モードでは始動時の燃焼を安定させ触媒を早期に温度上昇させることができ、第2昇温モードでは一部の気筒の吸気行程中に吸気通路へ噴射した燃料の一部の燃焼室への飛び込み量を増加させ、燃料の液膜での流入を回避することとなり、これにより排温上昇を図れ、排気ガス浄化用の触媒を早期に温度上昇させることができる。
排温上昇を図れ、排気ガス浄化用の触媒を早期に温度上昇させることができる。
図1は、本発明の内燃機関の制御装置を適用した内燃機関(以後エンジンと記す)1の全体構成図である。このエンジン1はエンジン本体2の上部のシリンダヘッド3の左右側壁面に吸気マニホールド4及び排気マニホールド5が一体結合され、吸気マニホールド4には吸気路Riが、排気マニホールド5には排気路Reが接続される。
図1に示すように、ここでのエンジン1は4気筒であり、各気筒は主要部をなす燃焼室6を備え、各燃焼室6の吸気路Ri側はそれぞれ対応する吸気マニホールド4を介して共通のサージタンク7に接続されている。
ECU14は、デジタルコンピュータから構成され、双方向性バス141を介して相互に接続されたROM142、RAM143、CPU144、入力ポート145および出力ポート146を備え、後述する制御機能を発揮する。
図1に示すように、エンジン本体2の上部のシリンダヘッド3には機関駆動に連動する動弁系(一部のみ図示する)31の吸気カムシャフト32及び排気カムシャフト33が配備される。両シャフト32、33が駆動されることで不図示の吸排バルブが開閉駆動され、これにより燃焼室6に対して吸気路Ri側の吸気ポートip及び排気路Re側の排気ポートepをそれぞれ開閉作動させ、吸気及び排気作動を行う。
エンジン1の各燃焼室6から延びる排気ポートepは排気マニホールド5の分岐多岐管に接続され、これらにより排気路Reの上流部を成す分岐排気路が形成される。
各分岐排気路は排気マニホールド5の合流部501で単一の排気路Reとなり、その排気路Reの下流は排気管16を介して三元触媒15、マフラー161へと順次接続される。
点火プラグ29には高電圧を出力する点火ユニット36が接続されている。この点火ユニット36は不図示のタイミング制御回路と高圧電源回路と点火コイルとで構成され、ECU14の点火信号に応じて点火コイルに高電圧を発生し、所定点火時期に点火処理を行う。
図1に示すように、第1燃料分配管(コモンレール)19には管内の燃料圧に比例した出力電圧を発生する燃料圧センサ43が取り付けられ、この燃料圧センサ43の出力電圧は、入力ポート145に入力される。
図1に示すように、三元触媒15は理論空燃比(ストイキオ)近傍において排気中のCO、HCの酸化とNOxの還元を行なって排気を浄化することができる。この三元触媒(以後単に触媒と記す)15の不図示の担持体に担持された触媒(プラチナ、ロジウム、パラジウム等)は、ある程度の温度(高温)にならないと、活性化せず、浄化機能が作用しない。
なお、触媒15が活性化したか否かは、触媒15の下流側に設けられる図示しない温度センサの出力値に基づいて触媒15の活性化を判断する。また、エンジン冷却水の水温もしくはエンジンオイルの油温等を検知して触媒15の温度を推定し、その結果に基づいて触媒15の活性化を判断することもできる。
一方、エンジン1の始動モードにおいては、図4に示す始動処理を順次行なう。図4(a)に示すクランキング時には、まず、クランキングが時点ts0に開始されて、各気筒の基本クランク角が検出されると、図4(a)に示すように、180度毎の点火時期(Tnjc)に全筒同時点火を順次行う。更に、各気筒の基本点火時期が検出されると、予め設定された始動時点火時期Tnj1(図4(b)に示す)で点火処理を行う。
この遅角処理によりエンジン回転が不安定化する傾向にあるが、ここではこれを改善するため、スロットルバルブ12の開度が増量補正され、吸入空気量Qaが増量dqaされており、排ガス量が増加され、触媒15の早期活性化を図る処理が同時に行われることとなる。
一方、始動噴射制御部A2−2は、エンジン1の始動時に機能する。この始動噴射制御部A2−2は、1〜4の各気筒の吸気路噴射弁18を用い、所定のクランキング時燃料量Qfcを不図示の演算マップで求め、図4(a)に示すように、クランキング時燃料量Qfcの噴射を1燃焼サイクルあたり2度(360度毎)に分けて全筒同時噴射を行い、適宜の気筒より点火膨張を開始させて、エンジンを起動する。
次に、エンジン回転数Neが上昇し所定回転数Nes(図5参照)を上回る時点ts1に達すると、図4(c)に示す第1昇温モードM1での燃料噴射処理に入る。ここでは始動時の燃焼を安定させ触媒を早期に温度上昇させるよう処理する。
このように筒内噴射弁17の噴射量Qdが増量されることで、着火性を改善し、これにより、点火リタード量の増加を図り、容易化する。これに伴う吸入空気量の増処理を成すことにより、排ガス量の増加を図れ、これにより触媒の早期活性化を促進できる。
この第2昇温モードM2において筒内噴射弁17は第1昇温モードM1と同様に、リタード量δrだけ遅角した噴射時期Id2をそのまま保持する。
一方、吸気路噴射弁18に関しては、一部の気筒(ここでは点火順序が連続しない#1,#4気筒)の吸気行程中に吸気通路へ噴射した燃料の一部の燃焼室への飛び込み量を増加させる。即ち、噴射した燃料を吸入気流に乗せて搬送し、噴射した燃料の吸気ポートの内壁面への付着を低減するようにして、燃焼室での混合気のリッチ化を図るようにする。
次に、図2に示す触媒昇温制御手段A3は、点火時期制御手段A1を介して点火プラグの点火時期を遅角制御し、燃料噴射制御手段A2を介して筒内噴射弁17と吸気路噴射弁18とで分担して運転情報に応じて設定された燃料噴射を行って触媒15を第1、第2昇温モードM1、M2により昇温させる触媒昇温制御を行うよう機能する。
同時に、第2昇温モードM2では、筒内噴射弁17は圧縮行程Id2を保持している。ここでは、基本的に圧縮行程噴射による燃焼安定化により点火リタード限界を拡大でき、これに応じて排ガス量を増加させて早期活性化を図ることが出来る。
更に、他の気筒(ここでは#2,#3)の吸気路噴射弁18は、排気行程噴射を保持し、これにより、エンジンの回転変動を抑制するよう機能することができる。
次に、吸排弁開閉制御手段A5はエンジン回転数Neが所定回転数Nesを上回る時点ts1通過後に時点ts2(図6参照)までの経過時間tαの間は、図4(c)に示すように、吸、排気弁の開弁時期Be,Biのオーバーラップ量(図4(c)、(d)参照)を比較的小さい値Ls1に保持し、回転安定特性を高めている。
この際、図4(d)に示すように、すでに、筒内噴射弁17の噴射をリタード量δrだけ遅角した噴射時期Id2に行っており、燃焼室6で霧化された未燃ガスの発生が増え、その未燃ガスの排気路Reへの流出が増え、この点でも排気路での未燃ガスの燃焼を促進させることとなり、触媒15の早期活性化を確実に図ることを可能としている。
更に、図4(d)に示すように時点ts2以降では、吸気路噴射弁18の内の#1,#4の2つの気筒において噴射が吸気行程の噴射時期Imp2にリタードされ、オーバーラップ量を拡大させることで、排気行程にある気筒では排気ガスの吹き返しが生じて内部EGRが増大し、噴射された燃料の霧化を促進して排出する未燃HCを低減することができる。またEGRの増大により燃焼が緩慢になり排気ガス流量が増加するので、触媒の早期活性化を図れる。
しかも、エンジン1が冷態始動時におけるクランキングに入ったことを検出した所定のタイミングで始動制御ルーチンのステップs1に達する。
ステップs1では、エンジン回転数Ne、アクセル開度θa、スロットル開度θs、水温Tw、空燃比A/F、酸素濃度O2等のエンジン運転情報のデータを取り込み、最新データとしてストアし、ステップs2に進む。
ステップs9に達した場合、すでに図4(a)のクランキング処理の後に図4(b)の回転上昇が成され、ここでは、定常制御部A1−1として機能する。ここでは、図3の定常時の燃料噴射処理と定常時の点火時期制御が成され、メインルーチンにリターンする。
冷態始動直後と触媒昇温モードでありステップs5に達すると、始動制御部A1−2としての制御に入る。
ステップs5では、図4(a)のモードで冷態始動に入る。即ち、1〜4の気筒の全吸気路噴射弁18に、始動時燃料量Qfの1/2の噴射量で1燃焼サイクルあたり2度の分割噴射時期I1、I2に同時噴射し、同時に180度毎の点火時期(Tnjc)に全筒同時点火を同時に行い、クランキングを行う。このクランキングによりエンジン回転が上昇し、所定回転数Nesを上回る時点ts1(図5参照)に達すると、所定の始動時燃料量Qfを求め、例えば、筒内噴射弁17の噴射量Qdが吸気路噴射弁18の噴射量Qmpに対し多くなる、6:4の比率で噴射し、回転上昇及び安定化を図る。
次いで、ステップs6に進むと、第1昇温モードM1の制御の後、経過時間tαの経過を待ち、時点ts2に達するとステップs7に達する。
この後、ステップs8に達すると、触媒15が活性化したか否かを触媒15の下流側に設けられる図示しない温度センサの出力値に基づいて触媒15の活性化を判断する。ここでは、三元触媒15の活性化で出力値が出口側排気温度の上昇(酸化反応)が生じたと見做せる所定のしきい値に達したか否か判断し、達するまではステップs6に戻り、しきい値に達すると、触媒温度の昇温が完了し、活性化が進んだと判断すると、メインルーチンにリターンする。
更に、経過時間tαが経過してエンジン回転数が安定化すると見做される時点ts2(図5参照)に達すると、点火順序が連続しない気筒、例えば#1,#4気筒の吸気路噴射弁18の燃料噴射時期を図4(d)に示すように、排気行程から吸気行程に遅角修正するので、エンジン回転数の変動を抑制した上で、吸気通路Riへ噴射された燃料の燃焼室6への飛び込み量を増加でき、この場合、燃焼室6の混合気のリッチ化を図ることとなりこれにより、筒内での火炎の伝播が容易となり、排温上昇を図れ、排気ガス浄化用の触媒を早期に温度上昇させることができる。更に、一部燃料の気化が遅れて燃焼しなくても、それが排気路Reに直接流入し、これが三元触媒15の早期活性化を促進できる。
この第2実施形態は、第1実施形態とはこの全気筒の吸気路噴射弁18の遅角処理を行う以外は同一の構成を採るため、ここでは、重複図面の説明を略し、重複説明を略す。
第2実施形態の場合、吸気路噴射弁18により吸気行程中に吸気通路へ噴射された燃料の一部が直接燃焼室6へ飛び込むという吸気流の作動が全気筒において行われるので、全気筒の吸入行程直後の圧縮、燃焼が促進されて排ガスの昇温を確実に図れ、エンジン暖気が早期に進む。更に、この際、全燃焼室6で直接燃焼室6へ飛び込んだ燃料の一部が霧化されたままで燃焼しなくても、それが排気路Reに達した際に三元触媒15の早期活性化をより確実に促進することができる。
ここでは第1実施形態の内燃機関の制御装置と同様に、燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期が制御されるが、吸、排気弁のオーバーラップ量の増減制御は排除され、図9の始動制御ルーチンによる制御が行われる。
この図9の始動制御ルーチンの制御は、図7の始動制御ルーチンと対比して、ステップs7に代えてステップs7aが行われる点でのみ相違するため、重複部分の説明は簡略化する。
更に、ここでは、運転情報から算出の燃料噴射量Qfが分割され、筒内噴射弁17の噴射量Qdが吸気路噴射弁18の噴射量Qmpに対し多くなるよう、例えば、7:3の比率となるようにして噴射している。これに加え、吸気路噴射弁18のうち、噴射時期Id3をリタード(リタード量δq)した#1,#4の2つの気筒の燃料噴射量Qmp’を減量調整し、図6に示すように#1,#4の2つの気筒の空燃比A/Fが所定量βだけリーン化するよう修正する。
この後、ステップs8に達すると、触媒15が活性化したか否かを触媒15の下流側に設けられる図示しない温度センサの出力値に基づいて触媒15の活性化を判断し、メインルーチンにリターンする。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
6 燃焼室
11 エアフローメータ
12 スロットルバルブ
121 電動モータ
14 ECU
15 触媒(三元触媒)
17 筒内噴射弁(第1の燃料噴射弁)
18 吸気路噴射弁(第2の燃料噴射弁)
28 スロットル開度センサ
29 点火プラグ
31 点火装置
34、35 動弁装置
36 点火ユニット
37 高圧駆動回路(インジェクタドライバ)
38 低圧駆動回路(インジェクタドライバ)
41 アクセル開度センサ(運転情報検出手段)
42 回転数センサ
45 O2センサ
46 水温センサ
tα 経過時間(所定時間)
ts1 所定回転数Nesを上回る時点
ts2 エンジン回転数が安定化すると見做される経過後の時点
A1 点火時期制御手段
A2 燃料噴射制御手段
A2−1 定常噴射制御部
A2−2 始動噴射制御部
A3 触媒昇温制御手段
Ls1,Ls2 オーバーラップ量
Nes 所定回転数
Id 第1の燃料噴射弁の噴射時期
Imp 第2の燃料噴射弁の噴射時期
Re 排気路
Ri 吸気通路
Qf 燃料量
M1 第1昇温モード
M2 第2昇温モード
Claims (4)
- 複数の気筒を有する内燃機関の各燃焼室に燃料を噴射する第1の燃料噴射弁と、内燃機関の各吸気通路に燃料を噴射する第2の燃料噴射弁と、燃料に点火する点火プラグと、内燃機関の排気路に設けられ排気を浄化する触媒と、前記点火プラグの点火時期を遅角制御して前記触媒を昇温させる触媒昇温制御手段と、を具備した内燃機関の制御装置であって、
前記触媒昇温制御手段は、
前記第1の燃料噴射弁の噴射時期を圧縮行程と設定し、前記第2の燃料噴射弁の噴射時期を排気行程と設定して燃料噴射を行う第1昇温モードと、
前記第1昇温モード後に前記第1の燃料噴射弁の噴射時期を圧縮行程と設定し、前記第2の燃料噴射弁の噴射時期を一部の気筒を吸気行程に設定すると共に他の気筒を排気行程に設定する第2昇温モードを備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関の運転情報を検出する運転情報検出手段と、
前記運転情報に応じて設定された燃料量の燃料噴射を前記第1の燃料噴射弁と前記第2の燃料噴射弁とで分担して行うよう各燃料噴射弁を制御する燃料噴射制御手段と、を備え、
前記燃料噴射制御手段は、前記触媒昇温制御手段による前記触媒の昇温制御中に前記第2の燃料噴射弁の燃料量より前記第1の燃料噴射弁の燃料量が多くなるように分担することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記燃料噴射制御手段は、前記第2昇温モード中の前記第2の燃料噴射弁において、前記一部の気筒の第2の燃料噴射弁の噴射量を前記他の気筒の第2の燃料噴射弁の噴射量より少なくすることを特徴とする請求項2記載の内燃機関の制御装置。
- 前記運転情報に基づき前記内燃機関の吸、排気弁の開閉時期を調整する可変動弁装置を制御する動弁制御手段、を有し、
前記動弁制御手段は、前記第2昇温モード中に前記吸、排気弁のオーバーラップ量を拡大させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置。
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