JP2013255897A - 水砕スラグの熱水処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱水処理と熱水処理後の水砕スラグからの熱水の分離を効率的かつ経済的に行う熱水処理装置を提供することを課題とする。
【解決手段】溶融炉11から排出される溶融スラグを水砕水により冷却固化して水砕スラグを生成する水砕槽10から該水砕スラグを受けて熱水処理する水砕スラグの熱水処理装置20において、一端側に水砕スラグ受口23、他端側に処理スラグ排出口26が設けられていると共に、熱水を受ける熱水受口24と熱水が降温後に温水として排出される温水排出口25が設けられていて上記一端側に対して他端側が高くなるような傾斜角をもって配置され水砕スラグの熱水浴部Aと水切り部Bを有する熱水槽21と、該熱水槽21内に配設されて搬送方向を上記一端側から他端側としていると共に攪拌手段を備えている攪拌搬送装置22とを有している。
【選択図】図1
【解決手段】溶融炉11から排出される溶融スラグを水砕水により冷却固化して水砕スラグを生成する水砕槽10から該水砕スラグを受けて熱水処理する水砕スラグの熱水処理装置20において、一端側に水砕スラグ受口23、他端側に処理スラグ排出口26が設けられていると共に、熱水を受ける熱水受口24と熱水が降温後に温水として排出される温水排出口25が設けられていて上記一端側に対して他端側が高くなるような傾斜角をもって配置され水砕スラグの熱水浴部Aと水切り部Bを有する熱水槽21と、該熱水槽21内に配設されて搬送方向を上記一端側から他端側としていると共に攪拌手段を備えている攪拌搬送装置22とを有している。
【選択図】図1
Description
本発明は、水砕スラグの熱水処理装置、特に、廃棄物の溶融炉等から排出される廃棄物溶融スラグを水砕、磁選、磨砕後に熱水処理する水砕スラグの熱水処理装置に関する。
ごみ処理施設などにおいては、熱分解ガス化溶融炉設備や、ごみ焼却炉と灰溶融炉との組合せた設備などが用いられ、これらの設備で、廃棄物を熱分解した後の残渣や焼却灰は溶融され、排出された溶融スラグを、これらの設備に接続されている水砕装置で、冷却水と接触させ溶融スラグを冷却固化し粒状のスラグを形成したのち、金属分を取り除く磁選工程と所定の粒径範囲に調整する磨砕処理をしている。水砕、磁選、磨砕処理後のスラグ(以下「水砕スラグ」という。)は、例えば道路舗装材等の土木資材、コンクリート二次製品などの骨材として利用されている。
また、家庭ごみや海産物工場から排出される廃棄物には廃貝殻が多量に含まれることがある。貝殻の主成分は炭酸カルシウム(CaCO3)であり、高温の溶融炉内でCaCO3は脱炭酸されて酸化カルシウムCaOを生成する。溶融スラグとCaOとの反応速度は高くなく、CaO粒子が未反応のまま溶融炉から水砕槽へ滴下供給されてしまい、その結果、水砕槽内で遊離CaO粒子として水砕水中に浮遊し、磁選、磨砕処理後も水砕スラグに遊離CaO粒子が混入することとなる。水砕スラグをコンクリート二次製品の骨材として利用する際に、混入している遊離CaO粒子がセメント中の水と反応してCa(OH)2となる際に膨張し、ポップアウトと呼ばれるコンクリート二次製品の表面が一部脱落する欠陥が生じてしまい、コンクリート二次製品が規格を満たさなくなるという問題が生じる。
そのため、スラグに混入している遊離CaOを低減する技術が検討されており、スラグを熱水中で加熱処理し、遊離CaOの水和反応を生じさせることで無害なCa(OH)2を生成して、遊離CaOを低減する技術が開発されている。
特許文献1には、製鉄業で発生する製鋼スラグをコンクリート二次製品に用いるため遊離CaOを低減する技術として、製鋼スラグを熱水にて処理し、遊離CaOを低減する方法およびその装置が開示されている。特許文献1では、製鋼スラグを充填した熱水槽の片側から60〜100℃の熱水を供給し、逆側から排出することで遊離CaOの水和反応を促進させ、短期間で安定化処理された製鋼スラグを得ている。
廃棄物由来の溶融スラグの熱水処理装置として、特許文献2に開示された装置が知られており、この装置によると、溶融スラグを所定の粒径範囲を満足するように破砕機あるいは磨砕機等により破砕した後に、この溶融スラグを熱水容器(熱水槽)に充填してpH調整剤を含む熱水にて加熱し、容器の底からスラグを熱水と一緒にポンプで排出し、排出後に固液分離機によりスラグと熱水を分離し、熱水処理したスラグを得ている。
また、他に特許文献3に開示された装置が知られており、この装置によると、溶融スラグに含まれる金属分を磁選機にて除去し、所定の粒径範囲を満足するように破砕機あるいは磨砕機等により破砕した後に得た水砕スラグを、スクリューなどの撹拌機能を有する熱水処理機に充填してpH調整剤を含む熱水にて加熱し、熱水処理機出口から排出して、加熱処理したスラグを得ている。
また、他に特許文献4に開示された装置が知られており、この装置によると、溶融スラグに含まれる金属分を磁選機にて除去し、所定の粒径範囲を満足するように破砕機あるいは磨砕機等により破砕した後に得た水砕スラグを、一軸又は二軸のパドル型の撹拌翼機構を有し、蒸気を熱源として供給し壁面のみ又は壁面及びパドル軸を加温できるようにした熱水処理機に充填してpH調整剤を含む熱水にて加熱し、熱水処理機出口から排出して、加熱処理したスラグを得ている。
しかしながら、特許文献1〜4のいずれにおいても、熱水処理装置から排出されるスラグと熱水の分離の際に、改善すべき点がある。
先ず、特許文献1の製鋼スラグの熱水処理装置では、熱水槽に対して製鋼スラグを効率的に投入または排出する搬送・排出機構を具備していない。そのため、バックホゥなどの別途用意された重機を用いて投入あるいは排出を行うことになり、効率的な方法ではない。また、熱水槽内に処理済みの製鋼スラグが一部残留するため、その排出のための対策が必要であり、非効率である。ましてや、搬送・排出を連続して行いながら熱水処理をも行うということができない。
また、特許文献2に記載の水砕スラグ熱水処理装置では、熱水槽底部に堆積した水砕スラグ粒子を熱水と一緒にそのまま排出するため、熱水がその顕熱をそのまま持ち出してしまい、熱水処理装置を再稼動する際に熱水の再加熱が必要となり経済的ではない。また、水砕スラグと熱水の分離機も大型のものが必要となり、設置スペースと設備コストの面で問題がある。そして、得られた処理スラグは含水率が高いため、そのままでは道路舗装材等の土木資材、コンクリート二次製品などの骨材としては使用できない。そのため、含水率を下げるための自然風乾用のヤードなどが別途必要となるが、これもスペースの面で問題がある。また、大規模な熱水槽を用いる方法では、熱水槽中の熱水の自由表面における空気との接触面積が大きいので、自由表面をなす熱水面からの蒸発と放熱により熱水の温度低下を防止するための断熱が難しく、熱水の温度維持に多大なエネルギーを要する。そして、大規模な熱水槽は保守作業にあたる作業員の落下防止、安全確保にコストがかかることになる。
特許文献3の溶融スラグ熱水処理装置では、スクリュー搬送機構などの搬送手段を用いて筒状の閉鎖系における熱水槽を用いて水砕スラグと熱水を混合しながら加熱することとし、また、特許文献4では、一軸又は二軸のパドル型の撹拌翼機構により水砕スラグと熱水を撹拌混合しながら加熱することとしているが、しかし、特許文献3そして特許文献4のいずれの方法を用いても、水砕スラグと熱水の分離について効果的な機構を有しておらず、熱水処理済みの処理スラグと共に熱水が一緒に多量に熱水加熱装置から排出されてしまうため、熱水処理装置を再稼動する際に、新たに供給される熱水の加熱に多くのエネルギーを消費し、経済的ではないという問題点がある。
本発明は、このような事情に鑑みて、廃棄物溶融スラグを水砕・磁選・磨砕して水砕スラグを生成する際に、水砕スラグに混入する遊離CaOを完全に水和させて無害なCa(OH)2とする水砕スラグの熱水処理において、熱水処理と熱水処理後の熱水からの水砕スラグの分離との両者を連続して行って効率的にかつ熱水の熱を有効に活用して経済的に行うことができる水砕スラグの熱水処理装置を提供することを課題とする。
本発明に係る水砕スラグの熱水処理装置は、溶融炉から排出される溶融スラグを水砕水により冷却固化して水砕スラグを生成する水砕槽から該水砕スラグを受けて熱水処理する。
かかる水砕スラグの熱水処理装置において、本発明では、一端側に水砕スラグ受口、他端側に処理スラグ排出口が設けられていると共に、熱水を受ける熱水受口と熱水が降温後に温水として排出される温水排出口が設けられていて上記一端側に対して他端側が高くなるような傾斜角をもって配置され水砕スラグの熱水浴部と水切り部を有する熱水槽と、該熱水槽内に配設されて搬送方向を上記一端側から他端側としていると共に攪拌手段を備えている攪拌搬送装置とを有していることを特徴としている。
このような構成の本発明装置では、外部から熱水受口を経て熱水槽内に熱水が供給されると、熱水は水平面を自由表面として傾斜角をもつ上記熱水槽に収容されるので、この傾斜角によって低位置にある熱水槽の上記一端側には熱水が満水状態の熱水浴部を形成し、そして高位置にある他端側では、熱水が不在の空間で水切り部を形成するようになる。そして一端側から他端側に向け、熱水槽底面と上記自由表面までの距離である熱水の深さは、徐々に減少することとなる。
したがって、一端側の水砕スラグ受口から熱水槽に投入された水砕スラグは、攪拌搬送手段により攪拌されつつ、上記一端側での熱水浴部の熱水により熱水処理を受けて熱水と十分に接触しながら他端側に向け搬送され、搬送の進行に伴い徐々に自由表面より上位の水切り部に位置するようになる。水切り部では、水砕スラグは熱水の自由表面より上方にくるので該水砕スラグが有する顕熱による付着熱水の蒸発と水切りがなされ、十分に水切りされた状態で他端側の処理スラグ排出口から排出される。
本発明において、熱水槽の傾斜角が5〜15°であることが好ましい。上記傾斜角が5°より小さいと、熱水浴部と水切り部の両者を分離して形成することが難しくなり、また15°より大きいと、攪拌搬送手段により水砕スラグを他端側に向け上方へ搬送するための攪拌搬送手段の負荷が大きくなり、そのための駆動エネルギーが過大となる問題を生ずるからである。
本発明において、熱水浴部の熱水の温度が80〜100℃であり、水砕スラグが熱水浴部に滞留される滞留時間が0.5〜1.5時間であることが好ましい。熱水の温度が80℃未満だと遊離CaOの水和反応が十分に行われないし、100℃より高くすることは熱源の面から経済的に好ましくないからである。また、上記滞留時間については、滞留時間が0.5時間未満だと上記遊離CaOの水和反応が十分に行われないし、1.5時間より長くさせるようにするには装置が大規模になり経済的に好ましくないからである。
本発明において、温水排出口が加熱手段を介して熱水受口と接続されていることが好ましい。熱水処理後の温水は、熱水から降温しているとはいえ常温以上であり、熱量を保有しているので、上記加熱手段で或る程度の熱量を加えるだけで熱水として再利用でき、また水そのものも再利用でき経済的に有利である。
本発明において、上記加熱手段が溶融炉に接続されたボイラからの廃熱を受けて温水との熱交換により該温水を加熱して熱水とする熱交換器であるようにすることができる。
以上のように、本発明によれば、溶融スラグを水砕して水砕スラグを得る装置に、本発明の熱水処理装置を併設具備することで、水砕スラグ中に含まれる遊離CaOを経済的に水和させることができる。したがって、水砕スラグを得るための既存の装置に対しても、難なく追加具備させることができる。そして熱水処理装置自体は、水砕スラグに対する熱水処理と水切りが同時に進行して行われ、十分な水切りがなされるので、きわめて効率的かつ経済的となる。さらには、得られる熱水処理後の処理スラグには遊離CaOは含まれていないか、あるいはきわめて少量となるので、水砕スラグを土木資材やコンクリート二次製品等に何の問題もなく利用可能となる。
以下、添付図面の図1にもとづき、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態の水砕スラグの熱水処理装置を備える水砕スラグ製造設備の装置構成を示す図である。
図1において、符号10は水砕槽であり、符号20は該水砕槽10から受けた水砕スラグを熱水処理する熱水処理装置である。
水砕槽10は、槽内に冷却用の水が満水状態で収容されている。該水砕槽10は、熱分解ガス化溶融炉(以下「溶融炉」という)11の溶融スラグ排出口と接続されており、該溶融炉11は廃棄物ピット12から廃棄物の投入を受けるようになっている。該廃棄物ピット12から溶融炉11へ投入された廃棄物は上記溶融炉11内で熱分解され、可燃ガスを生成すると共に、熱分解後の残渣や不燃物そして灰分が溶融されて溶融スラグを生じ、さらには金属分が溶融されて溶融メタルを生じ、溶融スラグと溶融メタルは溶融炉11の下部の溶融スラグ排出口から排出される。溶融炉11内から排出される溶融スラグそして溶融メタルは水砕槽10に滴下して急水冷により水砕処理される。水砕槽10には、該水砕槽10に滴下された溶融スラグそして溶融メタルを冷却し水砕処理するために、水砕槽10水面近傍に水砕水ノズル(図示せず)が設けられていて、該水砕水ノズルから高圧で水砕水を噴出させ、水砕槽10の水面近傍に水面に沿った水流を形成し、高温の溶融スラグそして溶融メタルをこの水流で急速に冷却し、平均粒径数mmの粒状に冷却固化して、水砕されて粒塊状に固化した水砕スラグそして水砕メタルを形成する。水砕スラグそして水砕メタルは水砕槽10内の水砕水中を沈降し、水砕槽10底部に堆積し、搬出手段としての掻き出しコンベア(図示せず)により水砕槽10底部から水砕槽10の外部へ搬送排出される。
上記水砕槽10には、該水砕槽10から掻き出しコンベアにより搬出された水砕スラグそして水砕メタルを受ける磁選機13が接続されている。水砕槽10から排出された水砕スラグと水砕メタルの混合物のうち、水砕メタルは鉄分を主に含んでおり、上記磁選機13に供給され、ここで磁力選別機能により水砕スラグと水砕メタルとに選別分離される。また、磁選機13には磨砕機14が接続されていて水砕スラグを受けるようになっており、磁力選別分離後の水砕スラグは所定の粒径範囲を満足するように磨砕機14により磨砕される。
上記水砕槽10には、さらに、水砕水オーバーフロー槽15が接続されていて、水砕槽10における水砕水の水位を所定水位に保持するように、水砕槽10からオーバーフローして流下する水砕水を上記水砕水オーバーフロー槽15で受けるようになっている。水砕槽10では、粒径が大きく重い水砕スラグと、それ自体で重い水砕メタルは、それらの自重により水砕水中を沈降して上記掻き出しコンベアにより搬出され上記磁選機13にもたらされるが、小粒径そして綿状の不定形のスラグ(以下「不定形スラグ」)は軽いために水砕槽10をオーバーフローする水砕水と共に上記水砕水オーバーフロー槽15へもたらされる。
上記水砕水オーバーフロー槽15には、水砕スクリーン16が接続されていて、オーバーフロー水砕水を受けて、水砕水のみを透過し、不定形スラグを除去する。該不定形スラグは適宜処分される。
上記水砕スクリーン16には、廃熱利用のために溶融炉11に接続されたボイラ17から蒸気を受ける熱交換器18が接続されている。該熱交換器18は、後述の熱水処理装置20に接続されている。上記水砕スクリーン16を透過した水砕水は、水砕槽10で溶融スラグそして溶融メタルを熱交換により冷却した関係上、水砕水自体、その熱交換した分だけ昇温しており、その熱量を活用するために、熱交換器18にもたらされてボイラ17からの蒸気との熱交換により、さらに加熱して熱水となって上記熱水処理装置20へ供給される。
熱交換器18は、後述の熱水処理装置20とは別途に設置され、上述のように水砕水を加熱して熱水処理装置20に供給される熱水とする。水源としての水砕水は、溶融スラグを水砕処理する水砕槽10からオーバーフローした際に40〜60℃であり、この水砕水を熱水の水源として用いることが熱交換器の加熱効率を向上させるためにも、望ましいが、他の水源からの水を用いてもよい。上記水砕水を加熱するために、本実施形態のごとく、廃棄物焼却炉または溶融炉からの廃熱をボイラで回収することで発生する約250℃の蒸気を用いて再加熱に供することが外部燃料を用いることなく再加熱できるので望ましい。
しかし、溶融炉から回収した廃熱により水蒸気を発生させ発電に供しているような廃棄物溶融設備で、水砕スラグの熱水処理が間欠運転となる場合は、熱交換器にボイラからの蒸気を常時導入することは発電効率維持向上の観点から好ましくないため、別の熱源として燃料焚きバーナあるいは電気ヒータを併設して用いてもよい。
熱水処理装置20は、本実施形態では、水平面に対し傾斜角をもつ軸線Xを中心とする円筒状ドラムをなす熱水槽21内に、攪拌搬送機構としてのスクリューコンベア22が収められていて上記軸線Xまわりに回転駆動を受けている。また、スクリューコンベア22を回転駆動することに代えて、スクリューコンベア22を熱水槽21に固定取付して、この熱水槽21を上記軸線Xまわりに回転駆動することとしてもよい。
上記円筒ドラム状の熱水槽21は、軸線方向両端が閉塞されていて、槽内の熱水そしてその熱が外部に漏出しないようになっている。軸線Xに対して傾斜角をもって設置されている熱水槽21は、低位置にある一端側の上部に、磨砕機14からの水砕スラグを受ける水砕スラグ受口23が、そして該水砕スラグ受口23よりも上方に位置する中間位置の上部に、熱交換器18からの熱水を受ける熱水受口24がそれぞれ設けられている。
さらに、上記熱水槽21は上記一端側の下部に、熱水が槽内で降温した状態の温水を排出するための温水排出口25と、他端側の下部に、水砕スラグを熱水処理し水切りした後の処理スラグを槽内から排出するための処理スラグ排出口26とが設けられている。上記温水排出口25は、上記水砕スクリーン16から熱交換器18へ水砕水を送水する管路27へ接続されていて、熱水を得るために再利用されるようになっている。この再利用を行う理由は、次のごとくである。
熱水槽21にて水砕スラグを熱水処理する際に、槽内の熱水は水砕スラグとの熱交換により、その温度が徐々に低下するので、熱水槽21の熱水温度保持のため定期的に熱水槽21下部から温水を排出する。この際、この温水の温度は前述の水砕スクリーン16からの水砕水の温度より高いため、そのまま廃棄することは経済的に好ましくない。そのため、熱交換器18に上記水砕スクリーン16からの水砕水にこの温水を混入させてから再加熱し、熱水として再び熱水槽21に供給することが好ましい。
このように構成される本実施形態装置では、水砕スラグの熱水処理は、以下の要領で行われる。
熱交換器18で加熱されて昇温した熱水は、熱水槽21の熱水受口24から傾斜角をもつ該熱水槽21内へ供給される。本実施形態では、熱水槽21内の熱水は、その自由表面(水平面)が、下方位置にある熱水槽21の一端側の上端に位置する程度に維持されている。したがって、下方位置にある一端側では熱水量が多い熱水浴部Aを形成し、上方位置にある他端側に向け徐々に熱水量が減じ、他端側では熱水不存在の水切り部Bを形成する。
上記熱水槽21の一端側に設けられた水砕スラグ受口23からは、磨砕機14からの水砕スラグが投入される。熱水槽21内では攪拌搬送機構としてのスクリューコンベア22が回転しており、上記水砕スラグは、該スクリューコンベア22により熱水中で攪拌されながら一端側から他端側へ搬送される。その際、水砕スラグは熱水浴部Aで熱水処理され、水切り部Bに到達したときには、十分に水切りがなされている。本発明によると、処理スラグを熱水槽の中で水切りして該熱水槽から排出することで、水砕スラグに含まれる遊離CaOを完全に水和すると同時に、処理スラグの水分率をコンクリート二次製品に適用する際のハンドリング性を確保できる範囲に調整することができる。このように、処理スラグを熱水槽の中で水切りして該熱水槽から排出することで、処理スラグと熱水を分離する分離装置を不要とし、経済的に優れた熱水処理を行うことができる。水切りされた水砕スラグは、処理済のスラグとして他端側の処理スラグ排出口26から排出され、貯留ヤード28に貯留される。
上記熱水槽21内の熱水は水砕スラグを熱水処理することで降温して温水となるので、この温水を温水排出口25から排出させて、管路27を流れる水砕スクリーン16からの水砕水に合流させ、この合流水を熱交換器18で昇温させて熱水としてから熱水受口24を経て熱水槽21内に供給する。
本発明の熱水槽内に設けられる攪拌搬送機構は、図示のスクリューコンベアに限らず、パドルコンベアであってもよい。その際、水砕スラグを攪拌搬送するスクリューコンベア又はパドルコンベアのスクリュー軸又はパドル軸の回転数を可変にしておき、処理する水砕スラグに含まれる遊離CaO量に応じて回転数を変化させて滞留時間を調整できるようにしておくことが望ましい。
また、スクリューコンベア又はパドルコンベアの回転軸内に中空部を設け、その中空内に水蒸気又は温風を通気させ、熱水の温度を保持、調整する機構を設けてもよい。さらに、熱水の温度の保持のためには、熱水槽外周に、ヒータを巻きつけておき、さらにその外周に保温材を設けることしてもよい。さらには、上記温水の回収に代え、熱水槽から排出された水蒸気(遊離CaOの水和反応により発生)を回収して熱交換器により再加熱し、熱水槽に供給する熱水として用いてもよい。
さらには、熱水槽に複数の水位検知センサーを具備し、必要に応じて熱水を補給できるようにすることが望ましい。
実施例として図1に示す本実施形態の水砕スラグの熱水処理装置にて、廃棄物溶融炉から排出される水砕スラグの熱水処理を、熱水の温度を80〜100℃とし熱水浴部Aでの滞留時間を30分とする条件で半年間にわたり試みた。このとき、廃棄物中には廃貝殻が投入廃棄物量の1〜5%含まれていた。比較例として熱水処理を行わない水砕スラグも評価試験を行った。
評価方法としては、熱水処理を行った処理スラグと行なわない水砕スラグを1ヶ月毎にサンプリングし、コンクリート二次製品の骨材として利用した時のポップアウト発生評価試験を実施した。
実施例として熱水処理を行った処理スラグにおいては、6回全ての評価試験においてコンクリート二次製品のポップアウトは発生しなかった。本実施例ではポップアウトを発生させない処理スラグを得ることができることを確認した。これに対し、比較例では、コンクリート二次製品のポップアウトが発生した。
また、熱水処理において、熱水の温度を60℃以上80℃未満としたところ、ポップアウトの発生が認められた。熱水の温度を80〜100℃として、熱水浴部Aでの滞留時間を20分に短縮したところ、やはりポップアウトの発生が認められた。
このことにより、適切な熱水温度と処理時間を確保することにより、熱水処理により水砕スラグ中の遊離CaO粒子を効果的に水和でき、コンクリート二次製品の骨材として利用した時のポップアウト発生を防止できることが明らかになった。
また、熱水槽から排出された処理スラグの水分率を測定したところ、5〜7%の範囲であった。貯留ヤードに保管している処理スラグからの水の染み出しも確認されなかった。熱水槽に投入する前の水砕スラグの水分率が3〜5%であったことから、処理スラグの水分率は水砕スラグと遜色ないものであり、貯留ヤードから処理スラグを出荷する際のハンドリング性が確保できることを確認した。
10 水砕槽
11 溶融炉
18 加熱手段(熱交換器)
20 熱水処理装置
21 熱水槽
22 攪拌搬送装置(スクリューコンベア)
23 水砕スラグ受口
24 熱水受口
25 温水排出口
26 処理スラグ排出口
A 熱水浴部
B 水切り部
11 溶融炉
18 加熱手段(熱交換器)
20 熱水処理装置
21 熱水槽
22 攪拌搬送装置(スクリューコンベア)
23 水砕スラグ受口
24 熱水受口
25 温水排出口
26 処理スラグ排出口
A 熱水浴部
B 水切り部
Claims (5)
- 溶融炉から排出される溶融スラグを水砕水により冷却固化して水砕スラグを生成する水砕槽から該水砕スラグを受けて熱水処理する水砕スラグの熱水処理装置において、一端側に水砕スラグ受口、他端側に処理スラグ排出口が設けられていると共に、熱水を受ける熱水受口と熱水が降温後に温水として排出される温水排出口が設けられていて上記一端側に対して他端側が高くなるような傾斜角をもって配置され水砕スラグの熱水浴部と水切り部を有する熱水槽と、該熱水槽内に配設されて搬送方向を上記一端側から他端側としていると共に攪拌手段を備えている攪拌搬送装置とを有していることを特徴とする水砕スラグの熱水処理装置。
- 熱水槽の傾斜角が5〜15°であることとする請求項1に記載の水砕スラグの熱水処理装置。
- 熱水浴部の熱水の温度が80〜100℃であり、水砕スラグが熱水浴部に滞留される滞留時間が0.5〜1.5時間であることとする請求項1又は2に記載の水砕スラグの熱水処理装置。
- 温水排出口が加熱手段を介して熱水受口と接続されていることとする請求項1乃至3のいずれかに記載の水砕スラグの熱水処理装置。
- 加熱手段が溶融炉に接続されたボイラからの廃熱を受けて温水との熱交換により該温水を加熱して熱水とする熱交換器であることとする請求項4に記載の水砕スラグの熱水処理装置。
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- 2012-06-13 JP JP2012133761A patent/JP5853872B2/ja not_active Expired - Fee Related
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