JP2013255871A - 汚泥焼却灰の処理方法および処理装置 - Google Patents

汚泥焼却灰の処理方法および処理装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2013255871A
JP2013255871A JP2012131969A JP2012131969A JP2013255871A JP 2013255871 A JP2013255871 A JP 2013255871A JP 2012131969 A JP2012131969 A JP 2012131969A JP 2012131969 A JP2012131969 A JP 2012131969A JP 2013255871 A JP2013255871 A JP 2013255871A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phosphorus
ash
alkaline
acid
sludge incineration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012131969A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5917306B2 (ja
Inventor
Masao Tabata
雅郎 田畑
Yasunari Sasaki
康成 佐々木
Kazuyoshi Itokawa
和芳 糸川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Metawater Co Ltd
Original Assignee
Metawater Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Metawater Co Ltd filed Critical Metawater Co Ltd
Priority to JP2012131969A priority Critical patent/JP5917306B2/ja
Publication of JP2013255871A publication Critical patent/JP2013255871A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5917306B2 publication Critical patent/JP5917306B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】汚泥焼却灰の処理コストの増加を抑制しつつ、有効利用に適したpHの処理灰を得ることを可能にする。
【解決手段】汚泥焼却灰に含まれているリンをアルカリ性反応液中に抽出し、リン抽出液と、アルカリ処理灰とを得るリン抽出工程S1と、アルカリ処理灰と、酸性溶液とを混合して酸処理灰を得る酸処理工程S5と、リン抽出液中に含まれているリンをリン酸塩として回収するリン回収工程S12と、酸処理灰と、前記リン抽出工程終了後、前記リン回収工程が終了するまでの間に排出されるアルカリ性排液および前記リン抽出工程終了後、前記酸処理工程が終了するまでの間に排出されるアルカリ性排液の少なくとも一方とを混合して酸処理灰のpHを上昇させる中和工程S7とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、下水汚泥焼却灰などの汚泥焼却灰を処理する方法および汚泥焼却灰を処理する装置に関するものである。
従来、下水処理場で発生する下水汚泥などの汚泥を焼却して減量化した際に生じる汚泥焼却灰は、大部分が廃棄物として埋立処分されてきた。
しかし、下水汚泥焼却灰などの汚泥焼却灰には多量のリンが含まれているため、近年では、廃棄物である汚泥焼却灰からリンを回収し、世界的に枯渇が危惧されている資源の一つであるリン資源として再利用することが望まれている。
また、全ての汚泥焼却灰を埋立処分するには広大な埋立処分場を確保する必要がある。そのため、リンを回収した後の汚泥焼却灰(処理灰)をコンクリートの材料等として有効利用し、埋立処分される汚泥焼却灰の量を削減することも望まれている。
そこで、下水汚泥焼却灰からリンを回収しつつ、有害成分の含有量が少なくてコンクリートの材料等として再利用し易い処理灰を得る方法として、下水汚泥焼却灰とアルカリ性反応液とを混合し、下水汚泥焼却灰に含まれているリンと、ヒ素(As)やセレン(Se)等の有害成分とをアルカリ性反応液中に抽出した後、抽出処理後の灰を水や酸性溶液で洗浄することにより、リンを回収しつつ有害成分の含有量が少ない処理灰を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、アルカリ性反応液を用いた上記下水汚泥焼却灰の処理方法では下水汚泥焼却灰中に含まれている鉛(Pb)を抽出・除去することはできないため、上記処理方法を用いて得た処理灰は、低pH環境下に置かれた際に鉛が溶出する可能性がある。そこで、抽出処理後の灰に対して硫酸を添加し、灰中の鉛を難溶性の硫酸鉛にすることにより、低pH環境下でも鉛が流出し難く、コンクリートの材料等として再利用し易い処理灰を得る方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2008−229576号公報 特開2012−11283号公報
しかし、抽出処理後の灰を酸性溶液で洗浄して得た処理灰や、抽出処理後の灰に対して硫酸を添加して得た処理灰は、pHが低いため、そのまま有効利用することが困難である。特に、抽出処理後の灰に対して硫酸を添加して得た処理灰は、pHが非常に低い(例えば、pHが3.5以下である)ため、例えばコンクリートの材料として使用すると、ブリーディング水(固体材料の沈降または分離によって遊離した混練水)の量が多くなり、所望の強度のコンクリートを得ることができない。
ここで、このような問題に対し、水を用いた洗浄や、アルカリ性の薬剤を用いた中和処理により処理灰のpHを有効利用に適したpHまで上昇させることも考えられる。しかし、水を用いた洗浄では、処理灰のpHを十分に上昇させることが困難である。一方、薬剤を使用して処理灰のpHを上昇させた場合には、汚泥焼却灰の処理コストが増加する。
そこで、本発明は、アルカリ性反応液を用いて汚泥焼却灰からリンを抽出する工程と、リンを抽出した後の汚泥焼却灰を酸性溶液で処理する工程とを含む汚泥焼却灰の処理方法において、汚泥焼却灰の処理コストの増加を抑制しつつ、有効利用に適したpHの処理灰を得ることを可能にすることを目的とする。
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の汚泥焼却灰の処理方法は、汚泥焼却灰と、アルカリ性反応液とを混合して前記汚泥焼却灰に含まれているリンを前記アルカリ性反応液中に抽出し、リン抽出液と、アルカリ処理灰とを得るリン抽出工程と、前記アルカリ処理灰と、酸性溶液とを混合して酸処理灰を得る酸処理工程と、前記リン抽出液中に含まれているリンをリン酸塩として回収するリン回収工程と、前記酸処理灰と、前記リン抽出工程終了後、前記リン回収工程が終了するまでの間に排出されるアルカリ性排液および前記リン抽出工程終了後、前記酸処理工程が終了するまでの間に排出されるアルカリ性排液の少なくとも一方とを混合して前記酸処理灰のpHを上昇させる中和工程とを含むことを特徴とする。このように、汚泥焼却灰を処理する過程で排出されるアルカリ性排液を用いて酸処理灰のpHを上昇させれば、薬剤を使用することなく、酸処理灰のpHを十分に上昇させることができる。従って、汚泥焼却灰の処理コストの増加を抑制しつつ、有効利用に適したpHの処理灰を得ることができる。
なお、本発明において、「リン抽出工程終了後、リン回収工程が終了するまでの間に排出されるアルカリ性排液」としては、特に限定されることなく、リン回収工程においてリン酸塩を析出させた際に排出される排液や、リン回収工程においてリン酸塩を洗浄した際に排出される排液を挙げることができる。また、本発明において、「リン抽出工程終了後、酸処理工程が終了するまでの間に排出されるアルカリ性排液」としては、特に限定されることなく、アルカリ処理灰を洗浄した際に排出される排液を挙げることができる。
ここで、本発明の汚泥焼却灰の処理方法は、前記中和工程において前記酸処理灰のpHを6以上まで上昇させることが好ましい。中和工程において酸処理灰のpHを6以上まで上昇させれば、コンクリートの材料等として有効利用するのに特に適した処理灰を得ることができるからである。
なお、本発明において、「酸処理灰のpH」は、固液分離後に温度110℃の乾燥機内で質量が一定になるまで乾燥させた酸処理灰を純水中に濃度2質量%で分散させた際の懸濁液のpHをJIS Z8802に準拠してガラス電極法で測定することにより求めることができる。
また、本発明の汚泥焼却灰の処理方法は、前記リン回収工程が、前記リン抽出液に対してカルシウム化合物を添加し、リン抽出液中のリンをリン酸カルシウムとして析出させるリン酸カルシウム析出工程と、前記リン酸カルシウムを回収するリン酸カルシウム回収工程と、回収した前記リン酸カルシウムを洗浄する洗浄工程とを含み、前記中和工程において、前記アルカリ性排液として、前記洗浄工程で排出されるアルカリ性の洗浄排液を使用することが好ましい。洗浄工程においてリン酸カルシウムを洗浄した際に排出される洗浄排液は、ヒ素やセレン等の有害成分の含有量が少なく、且つ、適度に高いpHを有しているため、酸処理灰のpHを上昇させるためのアルカリ性排液として特に適しているからである。
更に、本発明の汚泥焼却灰の処理方法は、前記洗浄工程において、前記リン酸カルシウムを、前記汚泥焼却灰の5〜10倍の質量の水を用いて洗浄することが好ましい。リン酸カルシウムを洗浄する際に水を使用し、且つ、洗浄に使用する水の量を汚泥焼却灰の5倍以上とすれば、リン酸カルシウムを十分に洗浄しつつ、ヒ素やセレン等の有害成分の含有量が十分に少ない洗浄排液をアルカリ性排液として使用することができるからである。また、リン酸カルシウムを洗浄する際に水を使用し、且つ、洗浄に使用する水の量を汚泥焼却灰の10倍以下とすれば、pHが十分に高い洗浄排液をアルカリ性排液として使用することができるからである。
そして、本発明の汚泥焼却灰の処理方法は、前記中和工程でpHを上昇させた酸処理灰を水で洗浄する最終洗浄工程を更に含むことが好ましい。pHを上昇させた後の酸処理灰を水で洗浄すれば、有害成分の含有量が十分に少ない処理灰を得ることができるからである。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の汚泥焼却灰の処理装置は、アルカリ性反応液添加手段を備え、アルカリ性反応液と、汚泥焼却灰とを混合して前記汚泥焼却灰に含まれているリンを前記アルカリ性反応液中に抽出し、リン抽出液と、アルカリ処理灰とを得るリン抽出部と、前記アルカリ処理灰に対して酸性溶液を添加する酸添加手段を備え、前記アルカリ処理灰と前記酸性溶液とを混合して酸処理灰を得る酸処理部と、前記リン抽出液中に含まれているリンをリン酸塩として回収するリン回収部と、リン抽出部でリンを抽出した後、リン回収部でリン酸塩を回収するまでの間に排出されるアルカリ性排液およびリン抽出部でリンを抽出した後、酸処理部で酸処理灰を得るまでの間に排出されるアルカリ性排液の少なくとも一方を回収するアルカリ性排液回収手段と、前記酸処理灰と、前記アルカリ性排液回収手段で回収したアルカリ性排液とを混合して前記酸処理灰のpHを上昇させる中和部とを有することを特徴とする。このように、中和部を設け、汚泥焼却灰を処理する過程で排出されるアルカリ性排液を用いて酸処理灰のpHを上昇させれば、薬剤を使用することなく、酸処理灰のpHを十分に上昇させることができる。従って、汚泥焼却灰の処理コストの増加を抑制しつつ、有効利用に適したpHの処理灰を得ることができる。
なお、本発明において、「リン抽出部でリンを抽出した後、リン回収部でリン酸塩を回収するまでの間に排出されるアルカリ性排液」としては、特に限定されることなく、リン回収部においてリン酸塩を析出させた際に排出される排液や、リン回収部においてリン酸塩を洗浄した際に排出される排液を挙げることができる。また、本発明において、「リン抽出部でリンを抽出した後、酸処理部で酸処理灰を得るまでの間に排出されるアルカリ性排液」としては、特に限定されることなく、アルカリ処理灰を洗浄した際に排出される排液を挙げることができる。
ここで、本発明の汚泥焼却灰の処理装置は、前記リン回収部が、前記リン抽出液に対してカルシウム化合物を添加するカルシウム添加手段を備え、前記リン抽出液中のリンをリン酸カルシウムとして析出させるリン酸カルシウム析出槽と、前記リン酸カルシウムを回収するリン酸カルシウム回収手段と、回収した前記リン酸カルシウムを洗浄する洗浄槽とを有し、前記アルカリ性排液回収手段が、前記洗浄槽から排出されるアルカリ性の洗浄排液を前記アルカリ性排液として回収することが好ましい。洗浄槽においてリン酸カルシウムを洗浄した際に排出される洗浄排液は、ヒ素やセレン等の有害成分の含有量が少なく、且つ、適度に高いpHを有しているため、酸処理灰のpHを上昇させるためのアルカリ性排液として特に適しているからである。
本発明によれば、アルカリ性反応液を用いて汚泥焼却灰からリンを抽出する工程と、リンを抽出した後の汚泥焼却灰を酸性溶液で処理する工程とを含む汚泥焼却灰の処理方法において、汚泥焼却灰の処理コストの増加を抑制しつつ、有効利用に適したpHの処理灰を得ることができる。
本発明に従う代表的な汚泥焼却灰の処理方法を用いて下水汚泥焼却灰を処理する際の操作フローである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明に係る汚泥焼却灰の処理方法は、例えば、下水処理場で発生する初沈汚泥や余剰汚泥等の下水汚泥を焼却した際に生じる下水汚泥焼却灰などの汚泥焼却灰を処理する際に用いることができる。なお、本発明の汚泥焼却灰の処理方法で処理される汚泥焼却灰は、下水汚泥焼却灰に限定されることは無く、本発明の汚泥焼却灰の処理方法は、リンと、ヒ素、セレンおよび鉛等の有害成分とを含む汚泥焼却灰の処理に用いることができる。また、本発明の汚泥焼却灰の処理方法は、本発明の汚泥焼却灰の処理装置を用いて実施することができる。
ここで、本発明に係る汚泥焼却灰の処理方法の一例では、図1に操作フローチャートを示すように、まず、下水汚泥焼却灰に対し、リン抽出工程(S1)および第1の固液分離工程(S2)を順次実施して、アルカリ処理灰とリン抽出液とを得る。次に、アルカリ処理灰に対し、水洗浄工程(S3)および第2の固液分離工程(S4)を順次実施して、水で洗浄されたアルカリ処理灰(以下「洗浄済アルカリ処理灰」という。)を得る。その後、洗浄済アルカリ処理灰に対し、酸処理工程(S5)および第3の固液分離工程(S6)を実施して、酸処理灰を得る。
更に、この一例の汚泥焼却灰の処理方法では、酸処理灰に対し、中和工程(S7)、第4の固液分離工程(S8)、最終洗浄工程(S9)および第5の固液分離工程(S10)を順次実施して、処理灰を得る。
また、この一例の汚泥焼却灰の処理方法では、第1の固液分離工程(S2)で得たリン抽出液に対し、リン抽出液中に含まれているリンをリン酸塩(この一例では、リン酸カルシウム)として回収するリン回収工程(S11〜S13)を実施して、下水汚泥焼却灰中のリンをリン酸カルシウムとして回収する。
そして、この一例の汚泥焼却灰の処理方法は、下水汚泥焼却灰を処理してリン酸塩(リン酸カルシウム)および処理灰を得る過程で生じるアルカリ性の排液を中和工程(S7)において用いることを特徴とする。
なお、下水汚泥焼却灰を処理してリン酸塩(リン酸カルシウム)および処理灰を得る過程で生じるアルカリ性の排液としては、下記(A)および(B)が挙げられる。
(A)リン抽出工程(S1)の終了後、リン回収工程(S11〜S13)が終了するまでの間に排出されるアルカリ性排液
(B)リン抽出工程(S1)の終了後、酸処理工程(S5)が終了するまでの間に排出されるアルカリ性排液
具体的には、上記(A)のアルカリ性排液としては、例えば、リン回収工程中の、リン酸カルシウム析出工程(S11)の後のリン酸カルシウム回収工程(S12)で得られるアルカリ性排液や、リン回収工程中の洗浄工程(S13)で得られるアルカリ性排液が挙げられる。また、上記(B)のアルカリ性排液としては、例えば、水洗浄工程(S3)の後の第2の固液分離工程(S4)で得られるアルカリ性排液が挙げられる。
ここで、リン抽出工程(S1)は、下水汚泥焼却灰と、アルカリ性反応液とを例えば抽出槽内(リン抽出部)で撹拌混合し、下水汚泥焼却灰に含まれているリンをアルカリ性反応液中に抽出することで、抽出されたリンを含有するアルカリ性反応液からなるリン抽出液と、含有するリンの一部または全部が抽出された下水汚泥焼却灰からなるアルカリ処理灰との混合物を得る工程である。なお、リン抽出工程(S1)では、原理的には明らかではないが、下水汚泥焼却灰にセレンやヒ素等の有害成分が含まれている場合には、下水汚泥焼却灰中のセレンやヒ素もリンと共にアルカリ性反応液中に抽出される。従って、アルカリ処理灰のリン、ヒ素、セレン等の含有量は、下水汚泥焼却灰よりも低減している。
因みに、アルカリ性反応液としては、水酸化ナトリウム水溶液や、水酸化カリウム水溶液などを用いることができる。そして、アルカリ性反応液のpHは、例えば13〜14とすることができる。また、抽出槽内に下水汚泥焼却灰を投入する手段としては、ホッパー等を用いることができ、抽出槽内にアルカリ性反応液を供給するアルカリ性反応液添加手段としては、ポンプ等を用いることができる。
なお、下水汚泥焼却灰に含まれているリンのアルカリ性反応液中への抽出は、原理的には明らかではないが、下水汚泥焼却灰にPなどの形態で含まれているリンが、例えば下記反応式(1)に示すような反応によりアルカリ性反応液中へ溶出することで起きていると推察される。
+6OH → 2PO 3−+3HO ・・・(1)
第1の固液分離工程(S2)は、リン抽出工程(S1)で得たリン抽出液とアルカリ処理灰との混合物を、例えば沈降分離装置やろ過装置などの既知の固液分離手段を用いてリン抽出液とアルカリ処理灰とに分離する工程である。
水洗浄工程(S3)は、例えばアルカリ処理灰と水とを水洗浄槽内で撹拌混合し、アルカリ処理灰に付着しているアルカリ性反応液を水洗除去して、アルカリ性反応液が除去された洗浄済アルカリ処理灰と、アルカリ処理灰に付着していたアルカリ性反応液を含むアルカリ性排液(洗浄排液)との混合物を得る工程である。そして、この一例の汚泥焼却灰の処理方法では、ヒ素やセレン等を含むアルカリ性反応液が水洗浄工程(S3)でアルカリ処理灰から除去されるので、酸処理工程(S5)において添加する酸性溶液がアルカリ性反応液の中和反応に消費されるのを防止し、酸処理工程(S5)で使用する酸性溶液の量を低減して処理コストを削減することができる。
なお、水洗浄工程(S3)で使用する水としては、特に限定されることなく、下水処理水(再生水)を用いることができる。因みに、水洗浄工程(S3)でアルカリ処理灰を洗浄する際に使用する洗浄液としては、洗浄排液がアルカリ性になる洗浄液であれば、水以外の溶液を使用しても良い。また、水洗浄槽内に再生水を供給する手段としては、ポンプ等を用いることができる。
ここで、水洗浄工程(S3)で生じるアルカリ性排液は、水と、アルカリ処理灰に付着していたアルカリ性反応液との混合液であるから、アルカリ性排液のpHは、例えば9〜11である。また、アルカリ性排液は、少量のヒ素やセレン等を含んでいる。
第2の固液分離工程(S4)は、水洗浄工程(S3)で得た洗浄済アルカリ処理灰とアルカリ性排液との混合物を、例えば沈降分離装置やろ過装置などの既知の固液分離手段を用いて洗浄済アルカリ処理灰とアルカリ性排液とに分離する工程である。なお、分離されたアルカリ性排液は、図1に実線で示すように適当な排液処理手段を用いて処理されるか、或いは、図1に破線で示すように中和工程(S7)において酸処理灰のpHを上昇させる際に使用される。
酸処理工程(S5)は、洗浄済アルカリ処理灰と、酸性溶液とを例えば酸処理槽内(酸処理部)で撹拌混合し、酸性溶液で処理された酸処理灰と、酸処理溶液との混合物を得る工程である。
なお、酸処理槽内に洗浄済アルカリ処理灰を投入する手段としては、スラリーポンプ等を用いることができ、酸処理槽内に酸性溶液を供給する酸添加手段としては、ポンプ等を用いることができる。
ここで、酸処理工程(S5)で使用する酸性溶液としては、塩酸、硫酸水溶液、硝酸水溶液などを用いることができるが、下水汚泥焼却灰中に鉛が含まれている場合、即ち洗浄済アルカリ処理灰中に鉛が含まれている場合には、酸性溶液として硫酸水溶液を使用することが好ましい。酸性溶液として硫酸水溶液を使用すれば、洗浄済アルカリ処理灰中の鉛を難溶性の硫酸鉛(PbSO)へと変化させ、灰中の鉛を不溶化することができるからである。
なお、酸性溶液として硫酸水溶液を用いる場合、酸処理工程(S5)では、酸処理灰のpHが3.5以下となるように洗浄済アルカリ処理灰と硫酸水溶液とを混合することが好ましい。
第3の固液分離工程(S6)は、酸処理工程(S5)で得た酸処理灰と酸処理溶液との混合物を、例えば沈降分離装置やろ過装置などの既知の固液分離手段を用いて酸処理灰と酸処理溶液とに分離する工程である。なお、分離された酸処理溶液は、酸性の溶液であり、適当な排液処理手段を用いて処理される。
中和工程(S7)は、酸処理灰と、アルカリ性排液とを例えば中和槽内(中和部)で撹拌混合し、酸処理灰のpHを上昇させる工程である。そして、中和工程(S7)では、pHが上昇した酸処理灰(中和灰)と、中和処理溶液との混合物が得られる。
なお、中和槽内に酸処理灰を投入する手段としては、スラリーポンプ等を用いることができ、中和槽内にアルカリ性排液を供給する手段としては、ポンプ等を用いることができる。
ここで、中和工程(S7)で使用するアルカリ性排液としては、リン抽出工程(S1)の終了後、リン回収工程(S11〜S13)が終了するまでの間に排出されるアルカリ性排液、または、リン抽出工程(S1)の終了後、酸処理工程(S5)が終了するまでの間に排出されるアルカリ性排液、或いは、それらの混合物を挙げることができる。具体的には、アルカリ性排液としては、リン回収工程中のリン酸カルシウム回収工程(S12)で得られるアルカリ性排液と、リン回収工程中の洗浄工程(S13)で得られるアルカリ性排液と、第2の固液分離工程(S4)で得られるアルカリ性排液とよりなる群から選択される少なくとも一種を用いることができる。そして、上述したアルカリ性排液は、例えば、アルカリ性排液回収用ポンプおよびアルカリ性排液貯槽よりなるアルカリ性排液回収手段を用いて回収することができる。また、アルカリ性排液貯槽内のアルカリ性排液は、ポンプを用いて中和槽へと供給することができる。
なお、図1に示す汚泥焼却灰の処理方法の中和工程(S7)では、リン回収工程中の洗浄工程(S13)で排出されるアルカリ性排液を使用して酸処理灰のpHを上昇させている。
また、中和工程(S7)では、酸処理灰のpHを6以上まで上昇させることが好ましく、酸処理灰のpHを6以上10.5以下まで上昇させることが更に好ましい。中和工程(S7)において酸処理灰のpHを6以上まで上昇させれば、処理灰をコンクリートの材料等として利用した際にブリーディング水の量が多くなるのを抑制し、所望の強度のコンクリートを得ることができるからである。即ち、コンクリートの材料等として有効利用するのに特に適した処理灰を得ることができるからである。また、酸処理灰のpHを上昇させ過ぎると、処理灰のアルカリ性が強くなり過ぎ、灰が凝集して沈殿する等の問題が起こって有効利用し難くなると共に、中和工程で使用するアルカリ性排液の量が増加するからである。
第4の固液分離工程(S8)は、中和工程(S7)で得た中和灰と中和処理溶液との混合物を、例えば沈降分離装置やろ過装置などの既知の固液分離手段を用いて中和灰と中和処理溶液とに分離する工程である。なお、分離された中和処理溶液は、適当な排液処理手段を用いて処理される。
最終洗浄工程(S9)は、中和灰(中和工程でpHを上昇させた酸処理灰)と、水とを例えば最終洗浄槽内で撹拌混合し、中和灰に付着している中和処理溶液を水洗除去して、中和処理溶液が除去された処理灰と、中和灰に付着していた中和処理溶液を含む最終洗浄排液との混合物を得る工程である。そして、この一例の汚泥焼却灰の処理方法では、最終洗浄工程(S9)において中和処理溶液が除去されるので、ヒ素やセレン等の有害成分の含有量が十分に少ない処理灰を得ることができる。即ち、中和工程(S7)において使用したアルカリ性排液中にヒ素やセレン等の有害成分が含まれていた場合、該有害成分は中和処理溶液中にも含まれることとなるが、最終洗浄工程(S9)において中和灰から中和処理溶液を除去すれば、有害成分の含有量が十分に少ない処理灰を得ることができる。
ここで、最終洗浄工程(S9)で使用する水としては、特に限定されることなく、下水処理水(再生水)を用いることができる。
なお、最終洗浄工程(S9)は、第4の固液分離工程(S8)においてろ過装置を用いて中和灰と中和処理溶液とを固液分離した後、中和灰をろ材に付着させたまま水を通水することにより行っても良い。ろ材に付着させたままの中和灰を通水洗浄すれば、押出し流れに近い状態で中和灰を洗浄することができ、中和灰に付着した中和処理溶液を効率的かつ十分に除去することができるからである。
第5の固液分離工程(S10)は、最終洗浄工程(S9)で得た処理灰と最終洗浄排液との混合物を、例えば沈降分離装置やろ過装置などの既知の固液分離手段を用いて処理灰と最終洗浄排液とに分離する工程である。なお、分離された最終洗浄排液は適当な排液処理手段を用いて処理される。
リン回収工程(S11〜S13)は、第1の固液分離工程(S2)で得たリン抽出液中に含まれているリンをリン酸塩として回収する工程であり、リン酸カルシウム析出工程(S11)と、リン酸カルシウム回収工程(S12)と、洗浄工程(S13)とを含んでいる。
なお、リン回収工程(S11〜S13)は、リン抽出液中のリンをリン酸カルシウムとして析出させるリン酸カルシウム析出槽、リン酸カルシウム析出槽からリン酸カルシウムを回収するリン酸カルシウム回収手段およびリン酸カルシウム回収手段で回収したリン酸カルシウムを洗浄する洗浄槽を有するリン回収部において行われる。
リン酸カルシウム析出工程(S11)は、第1の固液分離工程(S2)で得たリン抽出液に対し、例えば水酸化カルシウム(Ca(OH))などのカルシウム化合物を添加することで、リン抽出液中に含まれているリンをリン酸カルシウム(Ca(PO)などのリン酸塩として析出させ、リン酸カルシウムと、リンが除去されたリン抽出液からなるアルカリ性排液との混合物を得る工程である。
なお、リン抽出液に対するカルシウム化合物の添加は、リン酸カルシウム析出槽内で行うことができる。また、リン酸カルシウム析出槽内にリン抽出液を供給する手段としては、ポンプ等を用いることができ、リン酸カルシウム析出槽内にカルシウム化合物を投入する手段としては、ホッパー等を用いることができる。
ここで、リン酸カルシウム析出工程で生じるアルカリ性排液は、リンが除去されたリン抽出液からなる溶液であるから、アルカリ性排液のpHは、例えば13〜14である。また、アルカリ性排液は、比較的多くのヒ素やセレン等を含んでいる。
なお、リン酸カルシウム析出工程(S11)においてリン抽出液中に添加する水酸化カルシウムの量は、モル比で、リン抽出液中に含まれているリンの量の1.0〜1.4倍とすることが好ましい。水酸化カルシウム添加量/リン抽出液中のリン量(モル比)が1.0未満では、リン抽出液中のリンをリン酸カルシウムとして十分に析出させることができないだけでなく、十分に高いpHのアルカリ性排液(即ち、リン抽出工程や中和工程での再利用に適したアルカリ性排液)を得ることができないからである。また、水酸化カルシウム添加量/リン抽出液中のリン量(モル比)が1.4超では、ヒ素等の有害成分がリン酸カルシウムと共に析出してしまうからである。因みに、リン抽出液中に含まれているリンの量は、例えばJIS K0102に準拠してモリブデンブルー法でリン抽出液中のリン濃度を求めることにより算出することができる。
また、リン酸カルシウム析出工程(S11)において使用するカルシウム化合物としては、塩化カルシウムなどを用いることもできるが、薬剤コストを削減しつつ十分に高いpHのアルカリ性排液を得る観点からは、カルシウム化合物として水酸化カルシウムを使用することが好ましい。
リン酸カルシウム回収工程(S12)は、リン酸カルシウム析出工程(S11)で得たリン酸カルシウムとアルカリ性排液との混合物を、例えば沈降分離装置やろ過装置などの既知の固液分離手段(リン酸カルシウム回収手段)を用いてリン酸カルシウムとアルカリ性排液とに分離する工程である。なお、分離されたアルカリ性排液は、図1に実線で示すようにアルカリ性反応液としてリン抽出工程(S1)で再利用されるか、或いは、図1に破線で示すように中和工程(S7)において酸処理灰のpHを上昇させる際に使用される。そして、前述したように、アルカリ性排液をリン抽出工程(S1)や中和工程(S7)で再利用する場合には、アルカリ性排液のpHは高い方が好ましい。
洗浄工程(S13)は、リン酸カルシウム回収工程(S12)で得たリン酸カルシウムと、水とを例えば洗浄槽内で撹拌混合し、リン酸カルシウムに付着しているアルカリ性排液(リンが除去されたリン抽出液からなる溶液)を水洗除去して、洗浄済リン酸カルシウムと、リン酸カルシウムに付着していたアルカリ性排液を含むアルカリ性の洗浄排液との混合物を得る工程である。そして、この一例の汚泥焼却灰の処理方法では、リン酸カルシウムに付着していた、リン酸カルシウム析出工程(S11)由来のアルカリ性排液が洗浄工程(S13)において除去されるので、ヒ素やセレン等の有害成分の含有量が十分に少ないリン酸カルシウムを得ることができる。即ち、リン抽出液中にヒ素やセレン等の有害成分が含まれていた場合、該有害成分はアルカリ性排液中にも含まれることとなるが、洗浄工程(S13)においてリン酸カルシウムからアルカリ性排液を除去すれば、有害成分の含有量が十分に少ない洗浄済リン酸カルシウムを得て、リン資源として有効活用することができる。
ここで、洗浄工程(S13)で使用する水としては、特に限定されることなく、下水処理水(再生水)を用いることができる。
なお、洗浄工程(S13)は、リン酸カルシウム回収工程(S12)においてろ過装置を用いてリン酸カルシウムとアルカリ性排液とを固液分離した後、リン酸カルシウムをろ材に付着させたまま水を通水することにより行っても良い。ろ材に付着させたままのリン酸カルシウムを通水洗浄すれば、押出し流れに近い状態でリン酸カルシウムを洗浄することができ、リン酸カルシウムに付着したアルカリ性排液を効率的かつ十分に除去することができるからである。因みに、リン酸カルシウムをろ材に付着させたまま通水洗浄する場合には、ろ過装置が洗浄槽として機能する。
そして、洗浄工程(S13)で得た洗浄済リン酸カルシウムとアルカリ性の洗浄排液との混合物は、例えば沈降分離装置やろ過装置などの既知の固液分離手段を用いて洗浄済リン酸カルシウムとアルカリ性の洗浄排液とに分離される。なお、洗浄済リン酸カルシウムはリン資源として再利用され、アルカリ性の洗浄排液は、図1に実線で示すように、中和工程(S7)において酸処理灰のpHを上昇させる際にアルカリ性排液として使用される。
ここで、洗浄工程(S13)で生じるアルカリ性の洗浄排液は、水と、リン酸カルシウムに付着していたアルカリ性排液(リンが除去されたリン抽出液からなる溶液)との混合液であるから、アルカリ性の洗浄排液のpHは、例えば11〜12である。また、アルカリ性の洗浄排液は、少量のヒ素やセレン等を含んでいる。
そして、上記一例の汚泥焼却灰の処理方法によれば、リン抽出工程(S1)で下水汚泥焼却灰からリンを抽出し、抽出したリンをリン回収工程(S11〜S13)においてリン酸カルシウムとして回収しているので、下水汚泥焼却灰からリンを有効に回収することができる。
また、上記一例の汚泥焼却灰の処理方法では、リン抽出工程(S1)で、下水汚泥焼却灰中に含まれているヒ素やセレン等の有害成分もリンと一緒に抽出されるので、ヒ素やセレンの含有量が少ない処理灰を得ることができる。
更に、上記一例の汚泥焼却灰の処理方法では、酸処理工程(S5)で、汚泥焼却灰に含まれている鉛を硫酸鉛として不溶化させているので、低pH条件下に置かれた場合であっても鉛が溶出し難い処理灰を得ることができる。
また、上記一例の汚泥焼却灰の処理方法によれば、中和工程(S7)を設け、洗浄工程(S13)で排出されるアルカリ性の洗浄排液等の、汚泥焼却灰を処理する過程で排出されるアルカリ性排液を用いて酸処理灰のpHを上昇させているので、薬剤を使用することなく、酸処理灰のpHを十分に上昇させることができる。従って、汚泥焼却灰の処理コストの増加を抑制しつつ、有効利用に適したpHの処理灰を得ることができる。
更に、上記一例の汚泥焼却灰の処理方法では、最終洗浄工程(S9)を設けているので、アルカリ性排液を用いて酸処理灰のpHを上昇させた場合であっても、ヒ素やセレン等の有害成分の含有量が少ない処理灰を得ることができる。
なお、上記一例の汚泥焼却灰の処理方法では、洗浄工程(S13)で生じたアルカリ性の洗浄排液を中和工程(S7)で使用したので、リン酸カルシウム析出工程(S11)で生じたアルカリ性排液、即ちリン酸カルシウム回収工程(S12)で得られたアルカリ性排液を使用する場合と比較し、ヒ素やセレン等の有害成分の含有量が少ないアルカリ性排液を用いて酸処理灰のpHを上昇させることができる。また、上記一例の汚泥焼却灰の処理方法では、洗浄工程(S13)で生じたアルカリ性の洗浄排液を中和工程(S7)で使用したので、水洗浄工程(S3)で生じたアルカリ性排液、即ち第2の固液分離工程(S4)で得られたアルカリ性排液を使用する場合と比較し、pHが高いアルカリ性排液を用いて酸処理灰のpHを効率的に上昇させることができる。
因みに、洗浄工程(S13)で生じたアルカリ性の洗浄排液を中和工程(S7)で使用する場合、リン酸カルシウムを十分に洗浄しつつ、pHの高いアルカリ性の洗浄排液を得る観点からは、洗浄工程(S13)では、リン酸カルシウムを、汚泥焼却灰の5〜10倍の質量の水を用いて洗浄することが好ましい。水の量が汚泥焼却灰の量の5倍未満の場合、リン酸カルシウムを十分に洗浄することができない可能性があると共に、アルカリ性の洗浄排液中の有害成分の濃度が高くなり、中和処理後の酸処理灰中の有害成分量が増加する可能性があるからである。また、水の量が汚泥焼却灰の量の10倍超の場合、十分に高いpHのアルカリ性の洗浄排液を得ることができない可能性があるからである。
以上、一例を用いて本発明の汚泥焼却灰の処理方法および処理装置について説明したが、本発明の汚泥焼却灰の処理方法および処理装置は、上記一例に限定されることはなく、本発明の汚泥焼却灰の処理方法および処理装置には、適宜変更を加えることができる。
具体的には、本発明の汚泥焼却灰の処理方法では、例えば最終洗浄工程(S9)や第5の固液分離工程(S10)を実施しなくても良い。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示す操作フローチャートに従い、表1に示す条件で、本発明に係る汚泥焼却灰の処理方法を用いて10kgの下水汚泥焼却灰を処理した。なお、洗浄工程(S13)では、水100kgを用いてリン酸カルシウムを洗浄した。
そして、得られた処理灰の性状を下記の方法で評価した。また、洗浄工程で生じたアルカリ性の洗浄排液の性状を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
<処理灰の性状>
[pH]
得られた処理灰を温度110℃の乾燥機内で一定質量になるまで乾燥させた後、純水中に濃度2質量%で分散させて処理灰懸濁液を調製した。そして、処理灰懸濁液のpHをpHメーター(HORIBA製)で測定し、処理灰のpHとした。
[ヒ素 環境省告示46号試験値]
環境省告示46号試験に準拠し、溶媒(純水に塩酸を加え、pHを5.8以上6.3以下としたもの)を用いた溶出およびろ過を行った後、JIS K0102に準拠して、ヒ素溶出量を測定した。
[セレン 環境省告示46号試験値]
環境省告示46号試験に準拠し、溶媒(純水に塩酸を加え、pHを5.8以上6.3以下としたもの)を用いた溶出およびろ過を行った後、JIS K0102に準拠して、セレン溶出量を測定した。
<排液の性状>
[pH]
温度20℃での排液のpHをpHメーター(HORIBA製)で測定した。
[ヒ素濃度]
JIS K0102に準拠し、水素化物発生原子吸光法を用いて排液中のヒ素濃度を測定した。
[セレン濃度]
JIS K0102に準拠し、水素化物発生原子吸光法を用いて排液中のセレン濃度を測定した。
(実施例2)
中和工程(S7)において、アルカリ性の洗浄排液ではなく、水洗浄工程(S3)で生じたアルカリ性排液(即ち、第2の固液分離工程(S4)で得られたアルカリ性排液)を使用した以外は、実施例1と同様にして下水汚泥焼却灰を処理した。なお、水洗浄工程(S3)では、水100kgを用いてアルカリ処理灰を洗浄した。
そして、得られた処理灰の性状を実施例1と同様の方法で評価した。また、水洗浄工程で生じたアルカリ性排液の性状を実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
中和工程(S7)において、アルカリ性の洗浄排液ではなく、リン酸カルシウム析出工程(S11)で生じたアルカリ性排液(即ち、リン酸カルシウム回収工程(S12)で得られたアルカリ性排液)を使用した以外は、実施例1と同様にして下水汚泥焼却灰を処理した。
そして、得られた処理灰の性状を実施例1と同様の方法で評価した。また、リン酸カルシウム析出工程で生じたアルカリ性排液の性状を実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
(実施例4〜6)
洗浄工程(S13)においてリン酸カルシウムの洗浄に使用する水の量を変化させ、使用水量/下水汚泥焼却灰の量(質量比)を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして下水汚泥焼却灰を処理した。
そして、得られた処理灰の性状を実施例1と同様の方法で評価した。また、洗浄工程で生じたアルカリ性の洗浄排液の性状を実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
中和工程(S7)に替えて、酸処理灰を水で3回洗浄する工程を実施した以外は、実施例1と同様にして下水汚泥焼却灰を処理した。なお、水は合計で300L(=100L×3回)使用した。
そして、得られた処理灰の性状を実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
Figure 2013255871
表1より、実施例1〜6では、処理灰のpHを効率的に上昇させ、有効利用に適したpHの処理灰を得ることができるが、比較例1では、大量の水を使用しても処理灰のpHを十分に上昇させることができないことが分かる。また、実施例1,3,5,6では、実施例2,4よりも処理灰のpHを効率的に上昇させることができることがわかる。更に、実施例1,6で得られる処理灰は、実施例3,5で得られる処理灰よりもヒ素やセレン等の有害成分の含有量が少ないことが分かる。
本発明によれば、アルカリ性反応液を用いて汚泥焼却灰からリンを抽出する工程と、リンを抽出した後の汚泥焼却灰を酸性溶液で処理する工程とを含む汚泥焼却灰の処理方法において、汚泥焼却灰の処理コストの増加を抑制しつつ、有効利用に適したpHの処理灰を得ることができる。

Claims (7)

  1. 汚泥焼却灰と、アルカリ性反応液とを混合して前記汚泥焼却灰に含まれているリンを前記アルカリ性反応液中に抽出し、リン抽出液と、アルカリ処理灰とを得るリン抽出工程と、
    前記アルカリ処理灰と、酸性溶液とを混合して酸処理灰を得る酸処理工程と、
    前記リン抽出液中に含まれているリンをリン酸塩として回収するリン回収工程と、
    前記酸処理灰と、前記リン抽出工程終了後、前記リン回収工程が終了するまでの間に排出されるアルカリ性排液および前記リン抽出工程終了後、前記酸処理工程が終了するまでの間に排出されるアルカリ性排液の少なくとも一方とを混合して前記酸処理灰のpHを上昇させる中和工程と、
    を含むことを特徴とする、汚泥焼却灰の処理方法。
  2. 前記中和工程において前記酸処理灰のpHを6以上まで上昇させることを特徴とする、請求項1に記載の汚泥焼却灰の処理方法。
  3. 前記リン回収工程が、
    前記リン抽出液に対してカルシウム化合物を添加し、リン抽出液中のリンをリン酸カルシウムとして析出させるリン酸カルシウム析出工程と、
    前記リン酸カルシウムを回収するリン酸カルシウム回収工程と、
    回収した前記リン酸カルシウムを洗浄する洗浄工程と、
    を含み、
    前記中和工程において、前記アルカリ性排液として、前記洗浄工程で排出されるアルカリ性の洗浄排液を使用することを特徴とする、請求項1または2に記載の汚泥焼却灰の処理方法。
  4. 前記洗浄工程において、前記リン酸カルシウムを、前記汚泥焼却灰の5〜10倍の質量の水を用いて洗浄することを特徴とする、請求項3に記載の汚泥焼却灰の処理方法。
  5. 前記中和工程でpHを上昇させた酸処理灰を水で洗浄する最終洗浄工程を更に含むことを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の汚泥焼却灰の処理方法。
  6. アルカリ性反応液添加手段を備え、アルカリ性反応液と、汚泥焼却灰とを混合して前記汚泥焼却灰に含まれているリンを前記アルカリ性反応液中に抽出し、リン抽出液と、アルカリ処理灰とを得るリン抽出部と、
    前記アルカリ処理灰に対して酸性溶液を添加する酸添加手段を備え、前記アルカリ処理灰と前記酸性溶液とを混合して酸処理灰を得る酸処理部と、
    前記リン抽出液中に含まれているリンをリン酸塩として回収するリン回収部と、
    リン抽出部でリンを抽出した後、リン回収部でリン酸塩を回収するまでの間に排出されるアルカリ性排液およびリン抽出部でリンを抽出した後、酸処理部で酸処理灰を得るまでの間に排出されるアルカリ性排液の少なくとも一方を回収するアルカリ性排液回収手段と、
    前記酸処理灰と、前記アルカリ性排液回収手段で回収したアルカリ性排液とを混合して前記酸処理灰のpHを上昇させる中和部と、
    を有することを特徴とする、汚泥焼却灰の処理装置。
  7. 前記リン回収部が、
    前記リン抽出液に対してカルシウム化合物を添加するカルシウム添加手段を備え、前記リン抽出液中のリンをリン酸カルシウムとして析出させるリン酸カルシウム析出槽と、
    前記リン酸カルシウムを回収するリン酸カルシウム回収手段と、
    回収した前記リン酸カルシウムを洗浄する洗浄槽と、
    を有し、
    前記アルカリ性排液回収手段が、前記洗浄槽から排出されるアルカリ性の洗浄排液を前記アルカリ性排液として回収することを特徴とする、請求項6に記載の汚泥焼却灰の処理装置。
JP2012131969A 2012-06-11 2012-06-11 汚泥焼却灰の処理方法および処理装置 Active JP5917306B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012131969A JP5917306B2 (ja) 2012-06-11 2012-06-11 汚泥焼却灰の処理方法および処理装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012131969A JP5917306B2 (ja) 2012-06-11 2012-06-11 汚泥焼却灰の処理方法および処理装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013255871A true JP2013255871A (ja) 2013-12-26
JP5917306B2 JP5917306B2 (ja) 2016-05-11

Family

ID=49952779

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012131969A Active JP5917306B2 (ja) 2012-06-11 2012-06-11 汚泥焼却灰の処理方法および処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5917306B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996019304A1 (en) * 1994-12-22 1996-06-27 ABB Fläkt AB Stabilisation of ashes
JP2004203641A (ja) * 2002-12-24 2004-07-22 Kawasaki City 汚泥焼却灰からリン酸カルシウムを製造する方法
JP2007261878A (ja) * 2006-03-28 2007-10-11 Ngk Insulators Ltd 汚泥焼却灰からのリン回収方法
JP2008230940A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Metawater Co Ltd 下水汚泥焼却灰からのリン回収方法
JP2008229576A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Metawater Co Ltd 焼却灰の処理方法
JP2012011283A (ja) * 2010-06-29 2012-01-19 Metawater Co Ltd 汚泥焼却灰の処理方法および処理装置
JP2012056784A (ja) * 2010-09-07 2012-03-22 Metawater Co Ltd 汚泥焼却灰からのリン回収方法および回収装置

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996019304A1 (en) * 1994-12-22 1996-06-27 ABB Fläkt AB Stabilisation of ashes
JPH10510759A (ja) * 1994-12-22 1998-10-20 アーベーベー、フレークト、アクチエボラーグ 灰分の安定化
JP2004203641A (ja) * 2002-12-24 2004-07-22 Kawasaki City 汚泥焼却灰からリン酸カルシウムを製造する方法
JP2007261878A (ja) * 2006-03-28 2007-10-11 Ngk Insulators Ltd 汚泥焼却灰からのリン回収方法
JP2008230940A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Metawater Co Ltd 下水汚泥焼却灰からのリン回収方法
JP2008229576A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Metawater Co Ltd 焼却灰の処理方法
JP2012011283A (ja) * 2010-06-29 2012-01-19 Metawater Co Ltd 汚泥焼却灰の処理方法および処理装置
JP2012056784A (ja) * 2010-09-07 2012-03-22 Metawater Co Ltd 汚泥焼却灰からのリン回収方法および回収装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5917306B2 (ja) 2016-05-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN102811967A (zh) 含氯废料的水泥原料化处理方法和处理装置
JP6503898B2 (ja) 焼却灰の処理方法
JP2006347831A (ja) セメント工場から排出されるダストの処理方法
JP4758377B2 (ja) 焼却灰の処理方法
JP2014193456A (ja) ごみ焼却灰のセメント原料化方法及び原料化装置
CN107214186A (zh) 一种含六价铬的污染土壤的修复工艺
JP2007261878A (ja) 汚泥焼却灰からのリン回収方法
JP2009011920A (ja) 重金属を含有する排水の処理方法
JP2010036066A (ja) し尿処理施設等の貯留槽に堆積した汚泥の脱水方法
JP2014117688A (ja) 重金属類汚染土壌用洗浄液組成物及び重金属類汚染土壌の洗浄方法
JP5917306B2 (ja) 汚泥焼却灰の処理方法および処理装置
JP2006175410A (ja) 廃棄物の脱塩洗浄方法
JP2003334510A (ja) 溶融飛灰の塩素除去処理方法
JP5718590B2 (ja) 汚泥焼却灰の処理方法および処理装置
JP2006346618A (ja) セレン含有排水の処理方法
JP2011206714A (ja) リン回収方法
JP6198651B2 (ja) 焼却灰のセメント原料化方法及び原料化装置
TW201912209A (zh) 垃圾電廠焚化飛灰穩定化方法
JP3743729B2 (ja) 酸処理による焼却灰からのカルシウム、リン、金属の分別回収法
JPH10510759A (ja) 灰分の安定化
JP5934706B2 (ja) 焼却灰からのリン抽出方法
JP2003334509A (ja) 溶融飛灰の減量化処理方法
TW201602055A (zh) 利於垃圾焚化飛灰再利用之系列處理方法
JP2009240952A (ja) 廃棄物の処理方法
JP6198635B2 (ja) 焼却灰のセメント原料化方法及び原料化装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150219

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160202

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160301

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160322

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160406

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5917306

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250