JP2013254134A - 発熱定着ベルトの製造方法及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

発熱定着ベルトの製造方法及び電子写真画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】画像定着部に装備し、長期間にわたり高温定着環境下で定着処理を行っても、発熱層の抵抗値の変動が抑制され、定着安定性(定着ムラ耐性)に優れた発熱定着ベルトの製造方法を提供する。
【解決手段】電子写真画像形成装置の画像定着部に具備する発熱定着ベルトの製造方法であって、少なくとも、1)樹脂層形成工程、2)熱硬化性樹脂中に導電性材料を含有する発熱層を形成する発熱層形成工程、3)弾性層形成工程、及び4)離型層形成工程を有し、かつ該4)離型層形成工程後に、5)該発熱層に電流を流して発熱させ、200〜450℃の温度範囲内で加熱エージング処理を施す加熱エージング工程を有することを特徴とする発熱定着ベルトの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成装置で用いられる定着装置の主要部をなす発熱定着ベルトの製造方法及びその発熱定着ベルトを具備した電子写真画像形成装置に関し、特に、抵抗発熱層を有する発熱定着ベルトにおいて、使用時の性能安定性が向上した発熱定着ベルトの製造方法及びその発熱定着ベルトを具備した電子写真画像形成装置に関する。
従来、複写機やレーザービームプリンター等の画像形成装置では、トナー現像後、普通紙等の画像支持体上に転写された未定着トナー像を定着させる方法としては、熱ローラ方式を用いた接触加熱定着方式が多く用いられてきた。
しかし、熱ローラ方式は、熱ローラの温度を定着可能な温度まで加熱するのに時間を要し、かつ多量の熱エネルギーを必要とする定着方式である。電源投入からコピースタートまでの時間(ウォーミングアップタイム)の短縮と、省エネルギーの観点から、現在では、熱フィルム定着方式が主流になってきている。
この熱フィルム定着方式を適用した定着装置(定着器)では、ポリイミド等の耐熱性フィルムの外面にフッ素樹脂等から構成される離型層が積層されたシームレスの定着ベルトが、主に用いられている。
しかしながら、このようなシームレスの定着ベルトを用いた熱フィルム定着方式の定着装置では、例えば、セラミックヒーターを介してフィルムが加熱され、その加熱されたフィルム表面でトナー像が定着されるため、フィルムの熱伝導性が重要な要件となる。しかしながら、定着ベルトフィルムを薄膜化して熱伝導性を向上しようとすると、フィルム自身の機械的強度が低下し、高速で定着ベルトを回動させることが難しくなり、高速での高画質画像を形成するのに障害が生じ、かつセラミックヒーター等が破損しやすいという問題を生じてくる。
このような問題を解決する方法として、近年、定着ベルトそのものに発熱体を設け、この発熱体に給電することにより定着ベルトを直接加熱し、トナー像を定着させる発熱定着ベルトを用いた定着方式が提案されている。この方式の画像形成装置は、ウォーミングアップタイムが短く、消費電力もより小さく、熱定着装置として、省エネルギー化と高速化などの面から優れている方式であるとされている。
これらの技術としては、例えば、特開2004−281123号公報には、発熱体として、導電性セラミック、導電性カーボン、金属粉体等の導電性材料と、絶縁性セラミックや耐熱性樹脂等の絶縁性材料から構成されるものを適用した方法が開示されている。また、特開2007−272223号公報には、ポリイミド樹脂にカーボンナノ材料とフィラメント状金属微粒子を分散した発熱層と絶縁層と離型層を有した発熱ベルトが開示されている。また、特開2006−350241号公報には、正温度特性を有する発熱ベルトを用いた定着装置であり、発熱層は導電性酸化物であり、該酸化物と樹脂と混合して形成する方法が開示されている。
しかしながら、上記提案されている各方法では、適用している導電性材料がいずれも高価であり、かつ酸化等による抵抗値の増大等が生じやすく、長期間にわたり安定して使用することが難しいという問題を抱えている。
上記問題に対し、導電性材料として体積固有抵抗が特定の範囲にある薄片状黒鉛粉砕物を、耐熱性樹脂に含有させた定着装置用の発熱定着ベルトが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、少なくとも繊維を含有する絶縁性樹脂層と、導電性材料が樹脂中に混合分散されその両端部に一対の給電用電極を設けた発熱層と、離型層とが順次積層されている発熱定着ベルトが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。上記特許文献1及び2に記載の方法は、発熱定着ベルトとしてのある程度の低抵抗化は達成でき、かつ、定着性能を、一定期間維持することが可能となる特性を備えている。
また、発熱体層と絶縁層と離型層とを有する発熱定着ベルトと、発熱定着ベルトの内側に配置される弾性体ロールと、加圧ロールと、発熱体層に給電する給電手段を有する画像定着装置が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。特許文献3に記載の方法によれば、電源投入からの待機時間が非常に短くクイックスタートができ、消費電力を低く抑えることができると共に、高速で定着を行うことができるとされている。
しかしながら、長期間にわたり使用した際の定着性能を、より一層安定化するという観点からは、更なる改良が求められている。
すなわち、上記特許文献1〜3で開示されている方法においては、発熱層の形成は、基体上に発熱層を形成した後、単に高温条件で乾燥、加熱して形成している。このよう外部からの熱エネルギーを付与させる方法で作製した発熱定着ベルトでは、上述のような特性を発現することはできるが、長期間にわたり高温環境下で定着処理を進めていくと、徐々に発熱層の抵抗値が変化することが判明した。この発熱層の抵抗値の変化により、発熱定着ベルトが発熱した際のベルト表面温度が不安定になり、場合によっては、定着ムラ等が発生することがあることが判明した。上記のような発熱定着ベルトの温度変動に対し、その表面温度を維持するためには、発熱定着ベルトに印加する電圧をその都度制御することが必要となり、常に不規則に変化する抵抗値に合わせて、電圧を制御することは、実用上は困難であった。
特開2011−248190号公報 特開2012−48101号公報 特開2009−109997号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、画像定着部に装備し、長期間にわたり高温定着環境下で定着処理を行っても、発熱層の抵抗値の変動が抑制され、定着安定性(定着ムラ耐性)に優れた発熱定着ベルトの製造方法及びその発熱定着ベルトを具備した電子写真画像形成装置を提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、電子写真画像形成装置の画像定着部に具備する発熱定着ベルトの製造方法として、1)樹脂層形成工程、2)熱硬化性樹脂中に導電性材料を含有する発熱層を形成する発熱層形成工程、3)弾性層形成工程、及び4)離型層形成工程を有し、かつ該4)離型層形成工程後に、5)該発熱層に電流を流して発熱させ、特定の温度範囲内で加熱エージング処理を施す加熱エージング工程を有することを特徴とする発熱定着ベルトの製造方法により、長期間にわたり、画像定着部に装備し、高温定着環境下で定着処理を行っても、発熱層の抵抗値の変動が抑制され、定着安定性(定着ムラ耐性)に優れた発熱定着ベルトを製造することができることができることを見出し、本発明に至った次第である。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
1.電子写真画像形成装置の画像定着部に具備する発熱定着ベルトの製造方法であって、
少なくとも、1)樹脂層形成工程、2)熱硬化性樹脂中に導電性材料を含有する発熱層を形成する発熱層形成工程、3)弾性層形成工程、及び4)離型層形成工程を有し、かつ該4)離型層形成工程後に、5)該発熱層に電流を流して発熱させ、200〜450℃の温度範囲内で加熱エージング処理を施す加熱エージング工程を有することを特徴とする発熱定着ベルトの製造方法。
2.前記加熱エージング処理の温度が、250〜350℃の範囲内であることを特徴とする第1項に記載の発熱定着ベルトの製造方法。
3.前記発熱層に対する通電条件が、50〜200Vの範囲内の電圧を印加して行うことを特徴とする第1項または第2項に記載の発熱定着ベルトの製造方法。
4.前記熱硬化性樹脂として、ポリイミド樹脂を用いることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の発熱定着ベルトの製造方法。
5.前記発熱層が、前記熱硬化性樹脂に対する前記導電性材料の比率が、15.0〜60体積%の範囲にある発熱層形成用塗布液を用いて形成することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の発熱定着ベルトの製造方法。
6.第1項から第5項までのいずれか一項に記載の発熱定着ベルトの製造方法により製造された発熱定着ベルトを具備することを特徴とする電子写真画像形成装置。
本発明の上記手段により、画像定着部に装備し、長期間にわたり高温定着環境下で定着処理を行っても、発熱層の抵抗値の変動が抑制され、定着安定性(定着ムラ耐性)に優れた発熱定着ベルトの製造方法とその発熱定着ベルトを具備した電子写真画像形成装置を提供することができる。
本発明で規定する構成により、上記問題を解決することができたのは、以下の理由によるものと推測している。
前述のように、従来の発熱定着ベルトの製造方法における発熱層の形成方法としては、例えば、予め離型剤等を塗設した円柱状の芯金に、樹脂層(補強層ともいう)を付与した後、その樹脂層上に、熱硬化性樹脂(耐熱性樹脂、例えば、ポリイミド樹脂)中に導電性材料を含有させた発熱層形成組成物を塗設し、次いで、オーブン等で外部より熱エネルギーを付与して、イミド化して製造している。しかしながら、このような方法で作製した発熱定着ベルトでは、電子写真画像形成装置の画像定着部に搭載して使用している過程で、発熱層の抵抗値が徐々に変動することが判明した。これは、外部エネルギーによる熱硬化率(イミド化率)を高めても、含有している導電性材料近傍の樹脂においては、完全に熱硬化が完了しない状態にあり、その後の使用環境で、通電による発熱により、その領域で熱膨張や熱収縮が発現する。特に、使用している初期段階で、発熱層の抵抗値の変動に伴う発熱温度のムラや変動が生じ、その結果、定着ムラを引き起こす原因となっていた。
本発明では、発熱定着ベルトを製造する過程で、形成した発熱層に予め一定の条件で電流を流し、発熱層内部での加熱を行い、導電性材料近傍で熱硬化されていないマクロな熱硬化樹脂を完全に熱硬化させ、抵抗値を安定化させた後に、電子写真画像形成装置の画像定着部に搭載することにより、本発明の目的を達成することができたものである。
本発明に係る発熱定着ベルトを装備した定着装置の概略図 図1の切断線X−Xで切断した際の定着装置の断面図 本発明に係る発熱定着ベルトの構成の一例を示す概略拡大断面図 本発明に係る発熱定着ベルトを装備したデジタル画像形成装置の内部構成の一例を示す構成断面図
本発明の発熱定着ベルトの製造方法は、電子写真画像形成装置の画像定着部に具備する発熱定着ベルトの製造方法であって、
少なくとも、1)樹脂層形成工程、2)熱硬化性樹脂中に導電性材料を含有する発熱層を形成する発熱層形成工程、3)弾性層形成工程、及び4)離型層形成工程を有し、かつ該4)離型層形成工程後に、5)該発熱層に電流を流して発熱させ、200〜450℃の温度範囲内で加熱エージング処理を施す加熱エージング工程を有することを特徴とし、長期間にわたり、画像定着部に装備し、高温定着環境下で定着処理を行っても、発熱層の抵抗値の変動が抑制され、定着安定性(定着ムラ耐性)に優れた発熱定着ベルトを製造することができる製造方法を実現することができる。この特徴は、請求項1から請求項6に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、発熱層の加熱エージング処理温度を、250〜350℃の温度範囲とすることが好ましい。
また、発熱層に対して電流を流して発熱させる通電条件が、50〜200Vの範囲内の電圧を印加して行うことが好ましい。
また、発熱層の形成に用いる熱硬化性樹脂が、ポリイミド樹脂であることが好ましい。
また、発熱層が、熱硬化性樹脂に対する導電性材料の比率が、15.0〜60体積%の範囲にある発熱層形成用塗布液を用いて形成することが好ましい態様である。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本発明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《発熱定着ベルト》
〔発熱定着ベルトの加熱エージング処理〕
本発明の発熱定着ベルトの製造方法においては、後述する方法により作製した発熱定着ベルトは、電子写真画像形成装置の画像定着部に装着する前に、発熱定着ベルトの熱硬化性樹脂及び導電性材料から構成される発熱層に電流を流し、200〜450℃の温度範囲で加熱エージング処理を施して、発熱層を構成している導電性材料近傍の熱硬化性樹脂の熱硬化率を完了させることにより、発熱定着ベルトの発熱層における抵抗率の変動幅を大幅に抑制することができる。そのような加熱エージング処理を施して製造した発熱定着ベルトを、電子写真画像形成装置の画像定着部に装着することにより、実用段階での発熱定着ベルトの抵抗値が安定化することにより、定着ムラの発生を防止できる。
加熱エージング条件としては、作製した発熱定着ベルトに対し、200〜450℃の温度範囲で加熱エージング処理することを特徴とし、好ましくは、250〜350℃の温度範囲である。
また、本発明において、加熱エージング処理を行う際に、発熱層に印加する電圧としては、本発明で規定する加熱エージング温度である200〜450℃の温度範囲を実現できれば特に制限はないが、50〜200Vの範囲内の電圧を印加して行うことが好ましい。電圧を印加する時間としては、特に制限はないが、概ね、5分以上、24時間以下であることが好ましく、更に好ましくは10分以上、5時間以下であり、特に好ましくは15分以上、1時間以下である。
また、本発明に係る発熱層の加熱エージング処理において、処理を行う終点としては、発熱層の抵抗値の変動がなくなる条件、あるいは実用上その抵抗値の変動幅が許容される範囲内まで押さえ込むことが重要である。具体的には、加熱エージングを行なう過程で、下式(1)で示す1分間の加熱エージング間での抵抗値の変動幅が3.0%未満となった時点を、加熱エージング処理の終点とすることが好ましく、更に好ましくは1.0%未満である。
発熱層の抵抗値の変動幅=│1分前の抵抗値−1分後の抵抗値│/1分前の抵抗値×100(%)
抵抗値、詳しくは体積抵抗値の測定方法としては、例えば、LCRメータを用いて測定することができる。使用可能なLCRメータとしては、例えば、LCRメータ3601(アール・エス・ティエンジニアリング社製)、AgilentLCRメータ(Agilent Technologies社製)、LCRハイテスタ3532シリーズ(HIOKI社製)、LCRメータ KC−555(國洋電気工業社製)等を挙げることができる。
次いで、本発明に係る発熱定着ベルトの具体的な構成について、図を交えて説明する。なお、以下に図で示す構成は、本発明に係る発熱定着ベルトの一例を示すものであり、これら例示する構成に限定されるものではない。
〔発熱定着ベルトを装備した定着装置の全体構成〕
はじめに、本発明に係る発熱定着ベルトを装備した定着装置の構成について説明する。
図1は、本発明に係る発熱定着ベルトを装備した定着装置の概略図である。
図1に示す定着装置100は、本発明に係る発熱定着ベルト11、押圧部材である押圧ローラ14、発熱定着ベルト11に電力を供給する一対の給電部材13、および加圧部材である加圧ローラ16から構成される。なお、一対の給電部材13は、導電線21を介して電源22と電気的に接続されている。
発熱定着ベルト11は、円筒状であり、半径方向に押力を加えると弾性変形する。また、変形状態から押力の付与を停止すると自身の復元力により元の状態に戻る。発熱定着ベルト11の寸法は、特に制限はないが、概ね内径が10〜50mmの範囲であり、長さが150〜400mmの範囲である。
発熱定着ベルト11は、その両端部の外周面に電極17を有する。電極17の幅は3〜30mm程度である。一対の給電部材13は、摺動性および導電性を有する銅黒鉛や炭素黒鉛等の材料から成るいわゆるカーボンブラシである。給電部材13は、例えば、バネ等から成る弾性部材によって押圧ローラ14側へと押し込む方向に弾性的に付勢されており、当該付勢力により電極17に圧接されている。さらに、発熱定着ベルト11の内周面側に不図示の裏当て部材を設けることにより、給電部材13は、発熱定着ベルト11から前記押し込む方向とは逆方向の応力を受ける。これにより、給電部材13と電極17との接触状態をより良好に保つことができる。
押圧ローラ14は、長尺状の芯金の周囲に弾性層が積層されて構成される。押圧ローラ14の外径は、発熱定着ベルト11の内径よりも小さく、発熱定着ベルト11の内側に配される。押圧ローラ14と発熱定着ベルト11とは、定着ニップで接する構成となっている。
加圧ローラ16は、長尺状の芯金の周囲に弾性層と離型層とが積層されて構成される。加圧ローラ16は、不図示の付勢機構により付勢されて発熱定着ベルト11の外側から発熱定着ベルト11を介して押圧ローラ14を押圧し、発熱定着ベルト11表面との間に定着ニップを形成する。
押圧ローラ14および加圧ローラ20は、それぞれ、芯金の軸方向両端部が定着装置100の筐体内の軸受部材によって回転自在に支持されている。
加圧ローラ16は、不図示の駆動モーターからの駆動力を受けて回転駆動される。加圧ローラ16の回転に従動して、発熱定着ベルト11が加圧ローラ16の回転方向と逆方向に周回走行され、さらに、押圧ローラ14が発熱定着ベルト11と同方向に回転駆動される。なお、押圧ローラ14を駆動側とし、発熱定着ベルト11および加圧ローラ16を従動側としても良い。
図2は、図1の切断線X−Xで切断した際の定着装置の左面から観察したときの断面図である。
図2において、定着装置100は、加圧ローラ16と発熱定着ベルト11を介して内部に配置されている押圧ローラ14により形成されたニップ部Nに未定着トナー像Tが形成された記録材Pが挿入され、トナー像を定着している。なお、図2中、矢印Aは記録材Pの搬送方向を示し、矢印Bは発熱定着ベルト11の回転方向を示している。
〔発熱定着ベルトの構成〕
図3は、本発明に係る発熱定着ベルトの構成の一例を示す概略拡大断面図である。
図3は、発熱定着ベルト11の回転軸を含む図1で示した切断線X−Xで切断した発熱定着ベルト11の一方の端部を含む概略拡大断面図である。なお、図3の紙面下側が、発熱定着ベルト11の内周面側に相当する。
図3に示すように、発熱定着ベルト11は、その内周面側から樹脂層(補強層、あるいは絶縁層ともいう。)110、発熱層111、弾性層112、離型層(表面層ともいう)113がこの順に積層されて構成される。また、発熱定着ベルト11の両端部には、弾性層112および離型層113が形成されていない部分が存在する。当該部分には、発熱層111の上に、メッキ加工による電極17が設けられている。
発熱層111は、電極17を介して給電部材13から給電を受けると、一方の端部から他方の端部へ電流が流れ、発熱層111自体が発熱する。
次いで、本発明に係る発熱定着ベルトの各層の構成材料について説明する。
(樹脂層)
樹脂層110は、発熱層111の形状制御、保持を目的とする層であり、その厚さとしては、概ね20〜100μmの範囲である。
樹脂層110を構成する材料としては、ナノインデンテーション法により測定したヤング率が5.0GPaから15.0GPaの範囲内の材料を用いて形成することが好ましく、8.0GPaから15.0GPaの範囲内の材料がより好ましい。
この様な性能を発現する材料として、例えば、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリエーテル、エーテルケトン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリアミド及びポリフェニレンサルファイド等のいわゆるエンジニアリングプラスチック材料を用いることができる。これらの中でも、ポリフェニレンサルファイド或いはポリイミド樹脂を含有することが好ましい。ポリイミド樹脂は、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸の加熱により形成される。又、ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物や、その誘導体とジアミンのほぼ等モル混合物を有機極性溶媒に溶解させ、溶液状態で反応させることにより得られる。
(発熱層)
本発明に係る発熱層は、熱硬化性樹脂中に導電性材料を含有していることを構成上の特徴とする。
本発明に係る発熱層に適用可能な導電性材料としては、導電性セラミック、導電性カーボン、金属粉体等が挙げられ、具体的には、例えば、カーボンや、Ni、Au、Ag、Fe、Al、Ti、Pd、Ta、Cu、Co、Cr、Pt、Mo、Ru、Rh、W、In等の金属材料の他、VO、RuO、TaN、SiC、ZrO、InO、TaN、ZrN、NbN、VN、TiB、ZrB、HfB、TaB、MoB、CrB、BC、MoB、ZrC、VC、TiC、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイル、フィラメント状金属微粒子、Ag−Pd、Cu−Ni、Cu−Zn等の合金等が挙げられ、好ましくは、カーボンファイバーである黒鉛繊維あるいはステンレス繊維である。
また、本発明に係る発熱層に適用可能な熱硬化性樹脂(耐熱性樹脂ともいう。)としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等、或いはこれらの誘導体よりなる樹脂や種々の変性樹脂を挙げることができ、特に好ましくは、ポリイミド(PI)またはポリアミドイミド(PAI)である。
また、本発明に係る発熱層には、抵抗値制御や熱伝導向上のため絶縁性材料を用いることができ、例えば、AlN、SiN、Al、MgO、VO、SiO、ZrO、Bi、TiO、MoO、WO、NbO、ReO等のセラミック材料が使用される。
本発明に係る発熱層においては、熱硬化性樹脂が、ポリイミド樹脂であることが好ましい。また、熱硬化性樹脂に対する導電性材料の比率が、15.0〜60体積%の範囲にある発熱層形成用塗布液を用いて形成することが好ましい態様である。
本発明に係る発熱層の電気抵抗値としては、導電性材料の種類や量に加えて、電源22の電圧、発熱層111の厚さ、発熱定着ベルト11の回転軸方向の長さなどにより決定される。本発明においては、電気抵抗値としては、例えば、1.0×10−6〜9.9×10−3Ω・mの範囲内であることが好ましく、より好ましくは、1.0×10−5〜5.0×10−3Ω・mである。また、発熱層111の厚さは、例えば、5〜150μmの範囲内であることが好ましい。
(弾性層)
弾性層112は、発熱層111の外側に形成され、樹脂層110と同様に主に、ポリイミド樹脂やシリコーン樹脂を用いることが好ましく。そのほかには、熱可塑性エラストマーやゴム材料等が使われる。弾性層112は、発熱層111からの熱伝導効率を上げるために、5〜300μm程度が望ましい。
弾性層112を形成するゴム材料や熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ハイスチレンゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロロヒドリンゴム及びノルボルネンゴム等から選ぶことができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。一方、熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル系、ポリウレタン系、スチレン−ブタジエントリブロック系、ポリオレフィン系などを用いることができる。
(離型層)
離型層113に適用する構成材料としては、トナーの発熱定着ベルトからの離型性を上げる特性を備え、上記弾性層よりも高い弾性率を有する樹脂であれば特に限定はなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、アルコール可溶性ナイロン、ポリカーボネート、ポリアリレート、フェノール、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリホスファゼン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンエーテル、ポリパラバン酸、ポリアリルフェノール、フッ素、ポリ尿素、アイオノマー、シリコーン等の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂、及びこれら2種以上からなる混合物又は共重合体等を挙げることが出来る。特にフッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が好ましい。
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキビニルエーテル(PFA)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフロライドの共重合体(THV)、ポリビニリデンフロライド(PVDF)などを使用することが出来る。上記フッ素樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
ウレタン樹脂としては塗料の分野において公知のポリウレタン樹脂が使用可能である。特に水系ポリウレタン樹脂が好ましい。ポリウレタン樹脂を構成するポリオール化合物としては、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール(ポリジエン系ポリオールを水素添加したポリオールを含む。)、ポリブタジエン系ポリオール、ポリイソプレン系ポリオール、アクリル樹脂系ポリオールなどがある。
ウレタン樹脂の硬化剤としては、ウレタン樹脂の原料として一般的に用いられているイソシアネート化合物を用いることが出来る。この場合、イソシアネート化合物とは、分子中に2個以上のイソシアネート基を持つ化合物であり、この様なイソシアネート化合物として具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、リジンエステルジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート(LDI)、ウンデカントリイソシアネート、ヘキサメチレントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、及び上記イソシアネート化合物の重合体、誘導体、変性体、水素添加体等が挙げられる。
シリコーン樹脂としては、2官能性(D単位)、3官能性(T単位)のシロキサン単位を10mol%以上、好ましくは主骨格として構成している公知の樹脂で、フェニル系シリコーン樹脂、メチル系シリコーン樹脂、メチルフェニル系シリコーン樹脂などが用いられるが、これらに限定されるものではない。更に硬化機構も加熱硬化型、室温硬化型に限定されるものではない。更にシリコーンゴムからなる層を用いることも出来る。シリコーンゴム層としては、公知のメチルシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、メチルビニルシリコーンゴムなどが用いられるが、これらに限定されるものではない。更にシリコーンゴムと添加物による過酸化反応、縮合反応、付加反応物を行うことによって、架橋構造を持たせてもよい。更にシリカなどの添加剤によって補強することも可能である。
アクリル系樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線の様な活性エネルギー線を照射することによって硬化させて形成される。特にバインダーとしてアクリル系の活性エネルギー線硬化樹脂を主成分とすることが好ましい。活性エネルギー線硬化アクリレート系樹脂としては、例えば、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂等が挙げられる。
アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、又はプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る。例えば、特開昭59−151110号公報に記載のものを用いることが出来る。例えば、ユニディック17−806(DIC(株)製)100部と、コロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることが出来、特開昭59−151112号公報に記載のものを用いることが出来る。
〔発熱定着ベルトの製造方法〕
本発明の発熱定着ベルトの製造方法は、1)樹脂層形成工程、2)熱硬化性樹脂中に導電性材料を含有する発熱層を形成する発熱層形成工程、3)弾性層形成工程、及び4)離型層形成工程を有し、かつ該4)離型層形成工程後に、5)該発熱層に電流を流して発熱させ、200〜450℃の温度範囲内で加熱エージング処理を施す加熱エージング工程を有することを特徴とする。
本発明に係る上記構成からなる発熱定着ベルトの製造において、上記の1)〜4)の工程については、公知の方法に従って製造をすることができる。具体的な製造方法としては、例えば、特開2012−37823号公報、特開2012−30415号公報に記載されている方法等を挙げることができる。
以下、発熱定着ベルトの製造方法の一例を説明する。
発熱定着ベルトの製造装置は、主には、保持装置、塗布装置及び硬化装置から構成されている。
保持装置は、発熱定着ベルトの各構成層を形成するのに用いる円柱状の芯金を保持及び回転させる装置である。保持装置に装備されている駆動用モーターの回転により、円柱状の芯金を回転及び停止が可能となっている。
塗布装置は、塗布手段と駆動部とを有し、塗布手段としては、ノズルが挙げられる。ノズルの樹脂層形成用塗布液の吐出口の形状は特に限定はなく、例えば、円形、矩形等が挙げられ、各構成層形成用塗布液を、円柱状の芯金上に塗布する装置である。
硬化装置は、円柱状の芯金の周面に形成された樹脂塗膜を硬化させるために円柱状の芯金の下に配設されている。硬化装置としては塗布液に使用する樹脂により適宜変更することが可能である。例えば、熱硬化性樹脂の場合は、赤外線ランプ、ニクロム線、熱風等の熱源が挙げられる。活性エネルギー線硬化樹脂の場合には、紫外線、電子線、γ線等で、形成された活性エネルギー線硬化型樹脂を活性化させるエネルギー源であれば制限なく使用出来るが、紫外線、電子線が好ましい。特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。又、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることが出来る。スポット状の活性エネルギー線を照射するには紫外線レーザーを使用することが好ましい。
次いで、上記製造装置を使用し、発熱定着ベルトを製造する工程(ステップA→ステップB→ステップC→ステップD)の概要を、以下に説明する。
はじめに、ステップAとして、
ステップA1.保持装置に保持した円柱状の芯金を回転した状態で、塗布手段としてのノズルを芯金の回転軸に平行に、回転軸方向に移動させながら、芯金の塗布領域に樹脂層形成用塗布液をノズルより吐出し、芯金の周面に螺旋状に塗布して樹脂層形成用塗膜を付与する。
ステップA2.保持装置を使用した平坦化処理により、周面に形成した樹脂層形成用塗膜を平坦化する。
ステップA3.平坦化処理により平坦化した樹脂層形成用塗膜を、硬化装置で硬化処理を行い、樹脂層を形成する。
次いで、ステップBとして、
ステップB1.保持装置に保持した円柱状の芯金を回転した状態で、塗布手段としてのノズルを芯金の回転軸に平行に、回転軸方向に移動させながら、芯金の塗布領域に発熱層塗布液をノズルより吐出し、芯金の周面に螺旋状に塗布して発熱層形成用塗膜を付与する。
ステップB2.保持装置を使用した平坦化処理により、周面に形成した発熱層形成用塗膜を平坦化する。
ステップB3.平坦化処理により平坦化した発熱層形成用塗膜を、硬化装置で硬化処理を行い、発熱層を形成する。
次いで、上記ステップと同様にして、ステップC(ステップC1〜C3)で、弾性層形成用塗布液を用いて弾性層を形成する。
次いで、上記ステップと同様にして、ステップD(ステップD1〜D3)で、離型層形成用塗布液を用いて離型層を形成する。
最後に、芯金を抜き取ることで、各層が積層された筒状の発熱定着ベルトが製造される。
その後、発熱層の上に、メッキ加工により、電極が設けられる。
《電子写真画像形成装置》
次いで、本発明に係る発熱定着ベルトを含む定着装置を装備した電子写真画像形成装置の全体構成について説明する。
図4は、本発明に係る発熱定着ベルトを装備したデジタル画像形成装置の内部構成の一例を示す構成断面図である。
デジタル画像形成装置(以下、単位「画像形成装置」と言う)1は、下部に複数の記録材収納部20を有している。記録材収納部20の上方には画像形成部40と中間転写ベルト50が設置されており、装置本体の上部には原稿読取部30が設置されている。
記録材収納部20は、装置前面側(図1における紙面手前側)に引き出し可能となっている。
画像形成部40は、Y、M、C、Kの各色のトナー像を形成するための4組の画像形成手段400Y、400M、400C、400Kを有している、画像形成手段400Y、400M、400C、400Kは、この順で上から下方向に直線状に配列されており、各々同じ構成となっている。画像形成手段400Yを例にとって構成を説明すると、画像形成手段400Yは反時計方向に回転する感光体410、スコロトロン帯電手段420、露光手段430及び現像手段440を有する。
クリーニング手段450は、感光体410の最下部に対向した領域を含んで配置されている。
装置本体の中央部に位置する中間転写ベルト50は、無端状であり、適宜の体積抵抗率を有する。また、中間転写ベルト50は、例えば、編成ポリイミド、熱硬化ポリイミド、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンアロイ等のエンジニアリングプラスチックに導電材料を分散した半導電性フィルム基体の外側に、フッ素コーティングを行った2層から構成されている。また、シリコーンゴムあるいはウレタンゴム等に導電材料を分散したものもあり得る。
一次転写電極510は、中間転写ベルト50を挟んで感光体410と対向する位置に設置されている。
次に、カラー画像を形成するプロセスについて説明する。
感光体410がメインモーター(図示せず)により駆動され、感光体410の表面が電源(図示せず)により電圧供給され、スコロトロン帯電手段420の放電により正極性に帯電される(本実施例では+800V)。次に、露光手段430により画像情報に応じた光書込がなされ、感光体410上に静電潜像が形成される。形成された静電潜像が現像手段440を通過すると、現像手段内で正極性に帯電されたトナーが正極性現像バイアスの印加により潜像画像の部分に付着し、感光体410上にトナー像が形成される。形成されたトナー像は感光体410と圧着する中間転写ベルト50に転写される。転写後に残留した感光体410上のトナーはクリーニング手段450により清掃される。画像形成手段400Y、400M、400C及び400K各々で形成されたトナー像が中間転写ベルト50に重複して転写されることにより、中間転写ベルト50上にカラー画像が形成される。記録材Pは記録材収納部20により1枚ずつ排出され、レジストローラ60の位置まで搬送される。レジストローラ60により記録材Pの先端が整列された後、中間転写ベルト50上のトナー像と画像位置が一致するタイミングで記録材Pがレジストローラ60より給送される。レジストローラ60により給送された記録材Pは、ガイド板より案内され、中間転写ベルト50と転写部70により形成された転写ニップ部へ送り込まれる。ローラにより構成される転写部70は記録材Pを中間転写ベルト50側へ押圧している。トナーと逆極性のバイアス(−500V)が転写部70に印可されることにより、静電気力の作用で、中間転写ベルト50上のトナー像が記録材Pへ転写させる。記録材Pは、除電針からなる分離手段(図示せず)により除電されて中間転写ベルト50から分離され、本発明に係る発熱定着ベルト11を介した弾性体ローラ21、加圧ローラ16の対からなる定着装置100へ送られる。その結果、トナー像が記録材Pへ定着され、画像形成された記録材Pが装置外へ排出される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
《発熱定着ベルトの作製》
〔発熱定着ベルト1の作製〕
特開2012−37823号公報の図2に記載の管状物の製造装置を用い、下記の方法に従って、発熱定着ベルト1を作製した。
(円柱状の芯金の準備)
アルミニウム製の真円度が25μm、直径が30mm、長さが500mm、両端に保持部材を有し、表面に離型剤を付与した円柱状の芯金を準備した。
(樹脂層の形成)
芳香族テトラカルボン酸二無水物として3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、芳香族ジアミンとしてパラフェニレンジアミン(PDA)をN−メチル−2−ピロリドン中で重合したポリアミド酸溶液(固形分濃度20質量%)を調製し、これを樹脂層形成用塗布液とした。
円柱状の芯金上に、特開2012−37823号公報の図2に記載の管状物の製造装置を用い、上記調製した樹脂層形成用塗布液を、乾燥後の厚さが40μmとなる条件で螺旋状に塗布した後、120℃で60分間の加熱乾燥と、200℃で30分間の加熱乾燥を行い、樹脂層を形成した。
(発熱層形成用塗布液の調製)
熱硬化性樹脂としてポリアミド酸(宇部興産社製:U−ワニスS301)の100gと、導電性材料として導電性黒鉛繊維(XN−100:日本グラファイトファイバー社)の20gとを混合した後、遊星方式の混合機を用いて十分に混合して、発熱層形成用塗布液を調製した。
(発熱層の形成)
上記調製した発熱層形成用塗布液を、樹脂層の形成と同様の方法で、樹脂層上に、厚さが500μmとなる条件で塗布した後、150℃で3時間の加熱乾燥と、窒素雰囲気下での450℃で2時間の加熱乾燥を行い、発熱層を形成した。
(弾性層の形成)
上記発熱層まで形成した円柱状の芯金に、図3に示すように、電極17の形成部を除いて、プライマー(信越化学社製商品名“X331565”)をはけ塗りし、常温で30分乾燥させた。
その後、シリコーンゴム“KE1379”(信越化学製商品名)の液状ゴム及びシリコーンゴム“DY356013”(商品名;東レダウコーニングシリコーン社製)の2液を予め2:1の割合で混合した組成物を、プライマー上に200μmの厚みで塗布してシリコーンゴム層を形成した。
その後、150℃の温度で30分一次加硫し、さらに200℃で4時間ポスト加硫を行い、発熱層上に、200μmの厚みでシリコーンゴムから構成される弾性層を形成した。
(離型層の形成)
シリコーンゴムから構成される弾性層表面を洗浄した後、フッ素樹脂(B)として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂ディスパージョン(デュポン社製、商品名“30J”)を用いて、この中に回転させながら3分間浸漬し、取り出し、常温で20分間乾燥し、次いでシリコーンゴム表面のフッ素樹脂を布で拭き取った。
その後、フッ素樹脂(A)として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂とテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキビニルエーテル(PFA)樹脂を7:3の割合で混合し、固形分濃度45%、粘度:110mPa・sに調整したフッ素樹脂ディスパーション(デュポン社製商品名“855−510”)中に、弾性層まで形成した管状物を浸漬し、最終の厚さで15μmとなるようにコーティングし、室温で30分乾燥後、230℃で30分間加熱した。その後、炉内温度が270℃に設定した内径100mmの管状炉内を、約10分で通過させ、シリコーンゴム表面にコーティングされたフッ素樹脂を焼成した。
次いで、冷却した後、円柱状の芯金を分離して、加熱エージングを施していない発熱定着ベルトAを得た。
(加熱エージング処理)
上記作製した発熱定着ベルトAに、図3に示すように、発熱層上の両端部に、メッキ加工により電極17を形成した。ついで、この電極17上に、カーボンブラシである給電部材13をそれぞれ設け、給電部材13と電源22との間を導電線21で接続した。
次いで、電源より、電極17に200Vの電圧を印加し、発熱層に電流を流して発熱させ、発熱層を450℃にして、0.15時間その状態を保持して、加熱エージング処理を行って、加熱エージング処理を施した発熱定着ベルト1を作製した。
〔発熱定着ベルト2〜5の作製〕
上記発熱定着ベルト1の作製において、加熱エージング処理を施していない発熱定着ベルトAに対し、表1に記載のエージング温度で加熱エージング処理を行った以外は同様にして、発熱定着ベルト2〜5を作製した。
〔発熱定着ベルト6の作製〕
上記発熱定着ベルト2の作製において、発熱層で用いた導電性材料である導電性黒鉛繊維(XN−100:日本グラファイトファイバー社)を、下記の薄片状黒鉛粉(日本黒鉛社製:UP10)に変更した以外は同様にして、発熱定着ベルト6を作製した。
〔発熱定着ベルト7の作製〕
上記発熱定着ベルト2の作製において、発熱層で用いた導電性材料である導電性黒鉛繊維(日本グラファイトファイバー社:XN−100)を、ステンレス繊維(JFEスチール社製:SUSUTEC)に変更した以外は同様にして、発熱定着ベルト7を作製した。
〔発熱定着ベルト8の作製〕
上記発熱定着ベルト2の作製において、発熱層で用いた熱硬化性樹脂として、ポリアミド酸(宇部興産社製:U−ワニスS301)の100gに代えて、ポリアミドイミド(日立化成工業社製:HPC−9000)の66gを用いた以外は同様にして、発熱定着ベルト8を作製した。
〔発熱定着ベルト9の作製〕
上記発熱定着ベルト2の作製において、発熱層で用いた熱硬化性樹脂として、ポリアミド酸(宇部興産社製:U−ワニスS301)に代えて、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(ダイセル・エボニック社製:ベスタキープ)を用いた以外は同様にして、発熱定着ベルト9を作製した。
〔発熱定着ベルト10の作製〕
上記発熱定着ベルト1の作製において、加熱エージング処理を施していない、発熱定着ベルトAを発熱定着ベルト10とした。
《発熱定着ベルトの評価》
上記作製した各発熱定着ベルトを、コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製のbizhubC550市販の複合機の定着装置に搭載した電子写真画像形成装置1〜10を作製し、下記の各評価を行った。
(抵抗安定性の評価)
各電子写真画像形成装置を用い、A4サイズの普通紙を用い、印字率5%で100万枚のコピーを行なった後、電子写真画像形成装置より各発熱定着ベルトを取り出して、LCRメータ(アール・エス・ティエンジニアリング社製:LCRメータ3601)を用いて、発熱定着ベルトの抵抗値Rを測定した。次いで、印字前の各発熱定着ベルトの抵抗値Rを同様にして測定し、下式(2)に従って、抵抗値変動率を測定した。
式(2)
抵抗値変動率=│抵抗値R−抵抗値R│/抵抗値R×100(%)
以上により測定した抵抗値変動率を基に、下記の基準に従って、抵抗安定性を評価した。
○:抵抗値変動率が、1.0%未満である
△:抵抗値変動率が、1.0%以上、5.0%未満である
×:抵抗値変動率が、5.0%以上である
上記評価ランクが、△以上であれば、実用上許容される品質であると判定した。
(定着ムラ耐性の評価)
上記方法で作製した印字率5%でテストパターンを100万枚コピーした後の耐久試験後のコピー試料の印字画像を目視観察し、下記の基準に従って、定着ムラ耐性の評価を行った。
○:耐久試験後のコピー試料において、定着ムラの発生が全く認められない
△:耐久試験後のコピー試料において、弱い定着ムラの発生が一部で認められるが、実用上許容される品質である
×:耐久試験後のコピー試料において、明らかな定着ムラの発生がほぼ全面で認められ、実用に耐えない品質である
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2013254134
表1に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する条件で、予め加熱エージングを施した発熱定着ベルトを用いた本発明の電子写真画像形成装置は、比較例に対し、抵抗変動安定性及び定着ムラ耐性に優れた効果を発揮し、長期間にわたりプリントを行なっても、安定した品質のプリント物を得ることができる。
1 画像形成装置
11 発熱定着ベルト
13 給電部材
14 押圧ローラ
16 加圧ローラ
17 電極
20 記録材収納部
21 導電線
22 電源
30 原稿読取部
40 画像形成部
50 中間転写ベルト
60 レジストローラ
70 転写部
100 定着装置
110 樹脂層
111 発熱層
112 弾性層
113 離型層
400Y、400M、400C、400K 画像形成手段
410 感光体
420 スコロトロン帯電手段
430 露光手段
440 現像手段
450 クリーニング手段
P 記録材
N ニップ部

Claims (6)

  1. 電子写真画像形成装置の画像定着部に具備する発熱定着ベルトの製造方法であって、
    少なくとも、1)樹脂層形成工程、2)熱硬化性樹脂中に導電性材料を含有する発熱層を形成する発熱層形成工程、3)弾性層形成工程、及び4)離型層形成工程を有し、かつ該4)離型層形成工程後に、5)該発熱層に電流を流して発熱させ、200〜450℃の温度範囲内で加熱エージング処理を施す加熱エージング工程を有することを特徴とする発熱定着ベルトの製造方法。
  2. 前記加熱エージング処理の温度が、250〜350℃の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の発熱定着ベルトの製造方法。
  3. 前記発熱層に対する通電条件が、50〜200Vの範囲内の電圧を印加して行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発熱定着ベルトの製造方法。
  4. 前記熱硬化性樹脂として、ポリイミド樹脂を用いることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の発熱定着ベルトの製造方法。
  5. 前記発熱層が、前記熱硬化性樹脂に対する前記導電性材料の比率が、15.0〜60体積%の範囲にある発熱層形成用塗布液を用いて形成することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の発熱定着ベルトの製造方法。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の発熱定着ベルトの製造方法により製造された発熱定着ベルトを具備することを特徴とする電子写真画像形成装置。
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