JP2013253959A - レーダ装置 - Google Patents

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Yasuhiro Harasawa
康弘 原沢
Teruyuki Hara
照幸 原
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Abstract

【課題】目標信号の減衰を招くことなく、静止クラッタと移動クラッタを同時に抑圧して、目標を検出することができるレーダ装置を得ることを目的とする。
【解決手段】FFT出力選択部16が、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2によるクラッタ抑圧処理後の受信信号yM(n,k)がFFTされた信号MFk(p)、または、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3によるクラッタ抑圧処理後の受信信号yF(n,k)がFFTされた信号FFk(p)の中から、各々の周波数でフィルタ利得が高い方の信号を選択する。
【選択図】図1

Description

この発明は、アンテナからパルス電波を空間に放射する一方、目標に反射して戻ってきたパルス電波を受信し、そのパルス電波の受信信号に含まれている目標以外の静止物体や移動物体に係るクラッタを抑圧して、目標を検出するレーダ装置に関するものである。
一般に、レーダ装置では、パルス状の電波を空間に放射する一方、目標に反射して戻ってきたパルス電波を受信して、目標までの距離が計測されるが、目標に反射して戻ってきたパルス電波を受信する際、目標からの反射エコーの他に、クラッタ(目標以外の他の物体から反射された不要な反射エコー)を同時に受信することが多い。
特に、地表面などのように、動いていない物体からの反射エコーは静止クラッタと呼ばれる。
このような静止クラッタは、正確な目標検出処理を妨げるため、捜索系のレーダ装置では、従来より、静止クラッタを抑圧する方式として、例えば、MTI(Moving Target Indicators)が備えられている(例えば、特許文献1を参照)。
ここで、MTIは、「移動する目標からの反射エコーにはドップラー周波数が発生するが、地面や建築物などの静止物からの反射エコーである静止クラッタにはドップラー周波数が発生しない」ことを利用して、静止クラッタのみを抑圧する一種の高域通過フィルタである。
つまり、MTIは、各レンジビンの受信信号において、1パルス遅延させた受信信号を差し引くことにより、ドップラー周波数0付近に電力が集中するクラッタを抑圧する方式である。
よく使用されるMTIとして、伝達関数が「1−z-1」で表されるMTIは、単一消去器と呼ばれ、また、(1−z-1M(M>1)で表されるMTIは、多重消去器と呼ばれる。
MTIにおいては、多重化する(フィルタ次数を増やす)ほど、阻止域幅が広くなり、かつ、阻止域減衰量が大きくなって、クラッタの抑圧性能が高くなる傾向がある。
しかしながら、フィルタの零点を多重化させることでのみ、阻止域減衰量を調整していることになるため、次数が高いMTIでは、高いクラッタの抑圧性能を示すが、通過帯域幅が狭いという欠点がある。
即ち、MTIによってクラッタが抑圧される一方で、目標信号もMTIによって減衰される可能性が高くなる欠点がある。
また、MTIのようなクラッタ抑圧フィルタは、一般的なトランスバーサル型のFIR(Finite Impulse Responce)フィルタでも実現することもできる。
フィルタ次数を高くすれば、クラッタの抑圧性能を保ちながら、通過域幅を広くすることが可能である。
しかしながら、設計方法によっては、通過域に大きなリップルが発生して、目標信号の電力を低下させてしまう場合がある。
特公昭58−55474号公報(図1)
従来のレーダ装置は以上のように構成されているので、MTIフィルタによって静止クラッタを抑圧する場合、目標の移動速度によっては、目標信号がMTIフィルタによって大きく減衰されて、目標の検出が困難になることがある課題があった。
また、ドップラー周波数が0ではない移動クラッタが受信された場合、MTIフィルタのノッチ周波数を移動クラッタのドップラー中心周波数に一致させれば、移動クラッタを抑圧することが可能であるが、同様に目標信号がMTIフィルタによって大きく減衰されて、目標の検出が困難になることがある課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、目標信号の減衰を招くことなく、静止クラッタと移動クラッタを同時に抑圧して、目標を検出することができるレーダ装置を得ることを目的とする。
この発明に係るレーダ装置は、パルス電波を空間に放射する一方、目標に反射して戻ってきたパルス電波を受信して、そのパルス電波の受信信号を出力する送受信手段と、送受信手段から出力された受信信号に含まれている移動クラッタ及び静止クラッタを抑圧する双峰性クラッタ用MTIフィルタと、送受信手段から出力された受信信号に含まれている移動クラッタ及び静止クラッタを抑圧する双峰性クラッタ用FIRフィルタと、送受信手段から出力された受信信号の周波数を分析して、その受信信号に含まれているクラッタの強度及び中心周波数を推定するクラッタ強度・中心周波数推定手段と、クラッタ強度・中心周波数推定手段の推定結果に基づいて双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数を設定する双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数設定手段と、クラッタ強度・中心周波数推定手段の推定結果に基づいて双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数を設定する双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数設定手段とを設け、信号選択手段が、双峰性クラッタ用MTIフィルタ及び双峰性クラッタ用FIRフィルタの出力信号を周波数領域の信号に変換し、各周波数領域の信号の中から、各々の周波数でフィルタ利得が高い方の信号を選択し、目標検出手段が、信号選択手段により選択された信号から目標を検出するようにしたものである。
この発明によれば、クラッタ強度・中心周波数推定手段の推定結果に基づいて双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数を設定する双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数設定手段と、クラッタ強度・中心周波数推定手段の推定結果に基づいて双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数を設定する双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数設定手段とを設け、信号選択手段が、双峰性クラッタ用MTIフィルタ及び双峰性クラッタ用FIRフィルタの出力信号を周波数領域の信号に変換し、各周波数領域の信号の中から、各々の周波数でフィルタ利得が高い方の信号を選択し、目標検出手段が、信号選択手段により選択された信号から目標を検出するように構成したので、目標信号の減衰を招くことなく、静止クラッタと移動クラッタを同時に抑圧して、目標を検出することができる効果がある。
この発明の実施の形態1によるレーダ装置を示す構成図である。 一般的なトランスバーサルフィルタを示す構成図である。 4次のMTIフィルタの周波数振幅特性と、4次の通過帯域幅が広いFIRフィルタの周波数振幅特性の一例を示す説明図である。 静止クラッタ用MTIフィルタ、移動クラッタ用MTIフィルタ及び双峰性クラッタ用MTIフィルタの周波数振幅特性を示す説明図である。 静止クラッタ用FIRフィルタ、移動クラッタ用FIRフィルタ及び双峰性クラッタ用FIRフィルタの周波数振幅特性を示す説明図である。 双峰性クラッタ用MTIフィルタ2及び双峰性クラッタ用FIRフィルタ3のフィルタ利得と周波数の関係や、フィルタの切替周波数などを示す説明図である。 この発明の実施の形態2によるレーダ装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態3によるレーダ装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態4によるレーダ装置を示す構成図である。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるレーダ装置を示す構成図である。
図1において、送受信回路1は例えばパルス電波生成器、送受信切替器、アンテナや受信機などから構成されており、パルス電波(パルス状の電波)を空間に放射する一方、目標に反射して戻ってきたパルス電波を受信して、そのパルス電波の受信信号xk(n)を出力する処理を実施する。なお、送受信回路1は送受信手段を構成している。
双峰性クラッタ用MTIフィルタ2は送受信回路1から出力された受信信号xk(n)に含まれている移動クラッタ及び静止クラッタを抑圧する処理を実施する。
双峰性クラッタ用FIRフィルタ3は送受信回路1から出力された受信信号xk(n)に含まれている移動クラッタ及び静止クラッタを抑圧する処理を実施する。
ここで、図2は一般的なトランスバーサルフィルタを示す構成図である。多重消去器型のMTIフィルタについても、トランスバーサルフィルタと等価な構成である。
双峰性クラッタ(静止クラッタ+移動クラッタ)を抑圧するには、静止クラッタを抑圧するフィルタと、移動クラッタを抑圧するフィルタとを縦続接続すればよいが、図1のように、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2と双峰性クラッタ用FIRフィルタ3を併用して、出力信号の選択処理を行うには、縦続接続している2つのフィルタを1つのフィルタに置き換える必要がある。
レーダ装置の送信パルス繰り返し周期が等間隔であれば、縦続接続している2つのフィルタの係数の畳み込み演算によって、等価な1つのフィルタを得ることができる。
クラッタ強度・中心周波数推定部4は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、送受信回路1から出力された受信信号xk(n)を例えば高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)して、周波数領域の信号に変換することで、その受信信号xk(n)の周波数を分析し、その分析結果から受信信号xk(n)に含まれているクラッタの強度及び中心周波数を推定する処理を実施する。なお、クラッタ強度・中心周波数推定部4はクラッタ強度・中心周波数推定手段を構成している。
移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部5は例えばRAMやハードディスクなどの記録媒体から構成されており、移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用MTIフィルタの係数(所望のクラッタ抑圧比が得られる最も次数が低いフィルタ係数)を記憶している。
ただし、移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部5により記憶されているフィルタ係数は、ノッチ周波数の移動処理を容易にするため、基本的にノッチ周波数が0に形成されている実数の係数である。
なお、移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部5は移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段を構成している。
静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6は例えばRAMやハードディスクなどの記録媒体から構成されており、静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用MTIフィルタの係数(所望のクラッタ抑圧比が得られる最も次数が低いフィルタ係数)を記憶している。
静止クラッタは、元々ドップラー周波数0付近に周波数成分が集中するため、ノッチ周波数を移動させるためのフィルタ係数の調整は不要である。クラッタの強度とフィルタ次数の関係は、レーダ装置が設置される環境から概ね予測できるものとしている。
なお、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6は静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段を構成している。
ノッチ周波数補正処理部7は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部5により記憶されている移動クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定された移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用MTIフィルタの係数(所望のクラッタ抑圧比が得られる最も次数が低いフィルタ係数)を取得し、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定された移動クラッタの中心周波数に応じて、その移動クラッタ用MTIフィルタの係数を調整する処理を実施する。なお、ノッチ周波数補正処理部7は移動クラッタ用MTIフィルタ係数調整手段を構成している。
係数畳み込み処理部8は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6により記憶されている静止クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用MTIフィルタの係数(所望のクラッタ抑圧比が得られる最も次数が低いフィルタ係数)を取得し、その静止クラッタ用MTIフィルタの係数と、ノッチ周波数補正処理部7により調整された移動クラッタ用MTIフィルタの係数との畳み込み処理を実施することで、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2の係数を求め、その係数を双峰性クラッタ用MTIフィルタ2に設定する処理を実施する。なお、係数畳み込み処理部8はMTIフィルタ係数設定処理手段を構成している。
移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部9は例えばRAMやハードディスクなどの記録媒体から構成されており、移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用FIRフィルタの係数(所望のクラッタ抑圧比が得られる最も次数が低いフィルタ係数)を記憶している。
ただし、移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部9により記憶されているフィルタ係数は、ノッチ周波数の移動処理を容易にするため、基本的にノッチ周波数が0に形成されている実数の係数である。
なお、移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部9は移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段を構成している。
静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10は例えばRAMやハードディスクなどの記録媒体から構成されており、静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用FIRフィルタの係数(所望のクラッタ抑圧比が得られる最も次数が低いフィルタ係数)を記憶している。
静止クラッタは、元々ドップラー周波数0付近に周波数成分が集中するため、ノッチ周波数を移動させるためのフィルタ係数の調整は不要である。クラッタの強度とフィルタ次数の関係は、レーダ装置が設置される環境から概ね予測できるものとしている。
なお、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10は静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段を構成している。
ノッチ周波数補正処理部11は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部9により記憶されている移動クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定された移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用FIRフィルタの係数(所望のクラッタ抑圧比が得られる最も次数が低いフィルタ係数)を取得し、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定された移動クラッタの中心周波数に応じて、その移動クラッタ用FIRフィルタの係数を調整する処理を実施する。なお、ノッチ周波数補正処理部11は移動クラッタ用FIRフィルタ係数調整手段を構成している。
係数畳み込み処理部12は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10により記憶されている静止クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用FIRフィルタの係数(所望のクラッタ抑圧比が得られる最も次数が低いフィルタ係数)を取得し、その静止クラッタ用FIRフィルタの係数と、ノッチ周波数補正処理部11により調整された移動クラッタ用FIRフィルタの係数との畳み込み処理を実施することで、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の係数を求め、その係数を双峰性クラッタ用FIRフィルタ3に設定する処理を実施する。なお、係数畳み込み処理部12はFIRフィルタ係数設定処理手段を構成している。
FFT処理部13は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2の出力信号に対するコヒーレント積分処理として、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2の出力信号をFFT処理することで、周波数領域の信号に変換する処理を実施する。なお、FFT処理部13は第1の周波数領域変換手段を構成している。
FFT処理部14は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の出力信号に対するコヒーレント積分処理として、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の出力信号をFFT処理することで、周波数領域の信号に変換する処理を実施する。なお、FFT処理部14は第2の周波数領域変換手段を構成している。
切替周波数データベース15は例えばRAMやハードディスクなどの記録媒体から構成されており、後述するFFT出力選択部16がFFT処理部13の出力信号又はFFT処理部14の出力信号を選択する際の信号選択条件として、例えば、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2のフィルタ利得が、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3のフィルタ利得より高くなる周波数範囲を記憶している。なお、切替周波数データベース15は周波数範囲記憶手段を構成している。
FFT出力選択部16は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、信号選択条件として、例えば、切替周波数データベース15により双峰性クラッタ用MTIフィルタ2のフィルタ利得が、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3のフィルタ利得より高くなる周波数範囲が記憶されている場合、FFT処理部13,14により変換された信号のうち、切替周波数データベース15により記憶されている周波数範囲内の周波数では、FFT処理部13により変換された信号を選択し、その周波数範囲外の周波数では、FFT処理部14により変換された信号を選択する処理を実施する。なお、FFT出力選択部16は信号選択処理手段を構成している。
目標検出部17−1〜17−Nは例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、FFT出力選択部16により選択された各周波数チャンネルの信号に対して、例えば、距離方向にCFAR(Constant False Alarm Ratio)等の自動検出処理を実施することで、受信機雑音レベルより大きな目標信号を検出し、その検出結果から、目標までの距離と目標の移動速度を算出する処理を実施する。なお、目標検出部17−1〜17−Nは目標検出手段を構成している。
表示部18は例えばGPU(Graphics Processing Unit)や液晶ディスプレイなどの表示装置から構成されており、目標検出部17−1〜17−Nにより算出された目標までの距離と目標の移動速度などを表示する処理を実施する。なお、表示部18は検出結果出力手段を構成している。
図1の例では、レーダ装置の構成要素である送受信回路1、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3、クラッタ強度・中心周波数推定部4、移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部5、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6、ノッチ周波数補正処理部7、係数畳み込み処理部8、移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部9、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10、ノッチ周波数補正処理部11、係数畳み込み処理部12、FFT処理部13,14、切替周波数データベース15、FFT出力選択部16、目標検出部17−1〜17−N及び表示部18のそれぞれが専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、レーダ装置の全部又は一部がコンピュータ(ソフトウェア)で構成されていてもよい。
例えば、レーダ装置の一部(例えば、送受信回路1と表示部18を除く部分)がコンピュータで構成されている場合、移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部5、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6、移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部9、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10及び切替周波数データベース15をコンピュータの内部メモリ又は外部メモリ上に構成し、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3、クラッタ強度・中心周波数推定部4、ノッチ周波数補正処理部7、係数畳み込み処理部8、ノッチ周波数補正処理部11、係数畳み込み処理部12、FFT処理部13,14、FFT出力選択部16及び目標検出部17−1〜17−Nの処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図3は4次のMTIフィルタの周波数振幅特性と、4次の通過帯域幅が広いFIRフィルタの周波数振幅特性の一例を示す説明図である。
また、図4は静止クラッタ用MTIフィルタ、移動クラッタ用MTIフィルタ及び双峰性クラッタ用MTIフィルタの周波数振幅特性を示す説明図である。
また、図5は静止クラッタ用FIRフィルタ、移動クラッタ用FIRフィルタ及び双峰性クラッタ用FIRフィルタの周波数振幅特性を示す説明図である。
図6は双峰性クラッタ用MTIフィルタ2及び双峰性クラッタ用FIRフィルタ3のフィルタ利得と周波数の関係や、フィルタの切替周波数などを示す説明図である。
次に動作について説明する。
まず、送受信回路1は、パルス電波(パルス状の電波)を生成し、アンテナからパルス電波を空間に放射する。
アンテナから空間に放射されたパルス電波のうち、一部のパルス電波が目標に反射されて戻ってくるので、アンテナが目標に反射されたパルス電波を受信する。
送受信回路1は、アンテナがパルス電波を受信すると、そのパルス電波の位相検波を実施して、ベースバンドの受信信号に変換するとともに、その受信信号に対する標本化処理や量子化処理を実施することで、ディジタルの受信信号xk(n)に変換し、ディジタルの受信信号xk(n)を双峰性クラッタ用MTIフィルタ2、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3及びクラッタ強度・中心周波数推定部4に出力する。
ディジタルの受信信号xk(n)は、アンテナにより受信されたパルス電波の位相を保持しており、I信号(In−phase signal)と、Q信号(Quadrature−phase signal)とを、それぞれ実部及び虚部に持つ複素信号である。
なお、信号の標本化は、全ての受信信号に対して同じタイミングで行われ、送信信号を送信した時点から一定時間後に、一定周期で標本化が行われる。
1つの受信信号からは、x1(n),x2(n),・・・,xk(n)で示される総数k個のディジタルの受信信号が生成される。
ここで、「n」はヒット番号と呼ばれ、受信信号の時間因子を表すパラメータとして扱われる。また、「k」はレンジビン番号と呼ばれ、標本化の順番(レーダからの距離)を表すパラメータとして扱われる。
クラッタ強度・中心周波数推定部4は、送受信回路1からディジタルの受信信号xk(n)を受けると、例えば、その受信信号xk(n)に対するFFT処理を実施することで、周波数領域の信号に変換する。ここでは、FFT処理を実施することで、周波数領域の信号に変換する例を示しているが、周波数領域の信号に変換することができれば、FFT処理に限るものではなく、適宜変更可能である。
クラッタ強度・中心周波数推定部4は、ディジタルの受信信号xk(n)を周波数領域の信号に変換すると、その信号スペクトルから受信信号xk(n)に含まれているクラッタ(静止クラッタ、移動クラッタ)の強度及び中心周波数を推定し、その推定結果をノッチ周波数補正処理部7,11、係数畳み込み処理部8,12及びFFT出力選択部16に出力する。
即ち、静止クラッタの成分は、ドップラー周波数0付近に集中し、移動クラッタの成分は、0付近以外のドップラー周波数に集中するので、ドップラー周波数0付近のピーク値とピークを示す周波数値を検出すれば、静止クラッタを検出することができる。また、0付近以外のドップラー周波数のピーク値とピークを示す周波数値を検出すれば、移動クラッタを検出することができる。
なお、ピーク値はクラッタの強度、ピークを示す周波数値はクラッタの中心周波数である。
ノッチ周波数補正処理部7は、クラッタ強度・中心周波数推定部4の推定結果を受けると、移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部5により記憶されている移動クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定された移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用MTIフィルタの係数(所望のクラッタ抑圧比が得られる最も次数が低いフィルタ係数)を取得する。
ノッチ周波数補正処理部7は、所望のクラッタ抑圧比が得られる最も次数が低いフィルタ係数を取得すると、移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部5により記憶されているフィルタ係数はノッチ周波数の移動処理を容易にするため、基本的にノッチ周波数が0に形成されている実数の係数であるため、下記の式(1)に示すように、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定された移動クラッタの中心周波数に応じて、その移動クラッタ用MTIフィルタの係数を調整する。
Figure 2013253959
式(1)において、Lはフィルタ次数、hkは調整後のフィルタ係数、hhkは調整前のフィルタ係数、kは抑圧処理を行うレンジビン番号、f0は移動クラッタの中心周波数の推定値である。
係数畳み込み処理部8は、クラッタ強度・中心周波数推定部4の推定結果を受けると、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6により記憶されている静止クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用MTIフィルタの係数(所望のクラッタ抑圧比が得られる最も次数が低いフィルタ係数)を取得する。
ただし、静止クラッタは、元々ドップラー周波数0付近に周波数成分が集中するため、ノッチ周波数を移動させるためのフィルタ係数の調整は不要である。クラッタの強度とフィルタ次数の関係は、レーダ装置が設置される環境から概ね予測できるものとしている。
係数畳み込み処理部8は、静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用MTIフィルタの係数を取得すると、その静止クラッタ用MTIフィルタの係数と、ノッチ周波数補正処理部7により調整された移動クラッタ用MTIフィルタの係数との畳み込み処理を実施することで、静止クラッタ用MTIフィルタと移動クラッタ用MTIフィルタからなる1つのフィルタの係数(双峰性クラッタ用MTIフィルタ2の係数)を算出する。
即ち、係数畳み込み処理部8は、静止クラッタ用MTIフィルタの係数をhG、ノッチ周波数補正処理部7により調整された移動クラッタ用MTIフィルタの係数をhWとすると、下記の式(2)によって、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2の係数hGWを算出する。
Figure 2013253959
式(2)において、LGは静止クラッタ用MTIフィルタの次数、LWは移動クラッタ用MTIフィルタの次数である。
係数畳み込み処理部8は、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2の係数hGWを算出すると、その係数hGWを双峰性クラッタ用MTIフィルタ2に設定する。
例えば、静止クラッタ用MTIフィルタの次数LGを2次、移動クラッタ用MTIフィルタの次数LWを3次として、式(2)にしたがって双峰性クラッタ用MTIフィルタ2の係数hGWを算出すると、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2の周波数振幅特性は、図4(c)のようになる。
図4において、横軸はドップラー周波数がパルス繰り返し周期で規格化された値、縦軸は各周波数でのフィルタ振幅を表している。
図4では、移動クラッタの正規化ドップラー中心周波数が0.2である例を示している。
図4(a)は、静止クラッタ用MTIフィルタの周波数振幅特性であり、静止クラッタの成分が集中する周波数0に深いノッチが形成されている。
図4(b)は、移動クラッタ用MTIフィルタの周波数振幅特性であり、移動クラッタの成分が集中する周波数0.2に深いノッチが形成されている。
図4(c)は、静止クラッタ用MTIフィルタの係数hGと移動クラッタ用MTIフィルタの係数hWが畳み込まれたhGWを係数とする双峰性クラッタ用MTIフィルタの周波数振幅特性であり、静止クラッタ及び移動クラッタの成分に対して深いノッチが形成されている。
一方、MTIフィルタよりも通過帯域幅が広いFIRフィルタについても、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の係数gGWを算出する(双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の係数gGWの算出処理は後述する)。
通過帯域幅が広いFIRフィルタの伝達関数G0(z)は、下記の式(3)で定義することができる。
Figure 2013253959
式(3)において、αはフィルタ係数を正規化するための定数であり、MはFIRフィルタ全体の次数であり、M0はFIRフィルタの零点多重度を表している。また、a(m)はフィルタの通過域幅を調整するための0でない定数である。
この実施の形態1では、出来るだけ低い次数で、かつ、出来るだけ少ない設計パラメータでフィルタ通過域を広げる効果を得る点を重視することから、式(3)の右辺第2項(Σの項)は、a(0)=1、a(1)=rと設定する。
このとき、式(3)は、下記の式(4)で表される。
Figure 2013253959
式(4)では、MTIフィルタには無い新たな変数rが設けられていることで、クラッタ抑圧フィルタの通過帯域幅を変化させることができる。
式(4)の右辺第一項は、多次のMTIフィルタと同じ形になっており、ドップラー周波数0のフィルタ利得を著しく下げてクラッタを抑圧する効果がある。
式(4)の右辺第二項は、通過域である領域の利得を敢えて下げたような1次ノッチフィルタと似た特性を示している。この両者を掛け合わせることで、通過域での利得をやや犠牲にしたリップルが発生するが、その分だけ、通過域幅を広げることが可能になる。
図3は4次のMTIフィルタの周波数振幅特性と、4次の通過帯域幅が広いFIRフィルタの周波数振幅特性の一例を示している。
図3では説明を容易にするため、周波数範囲を0から0.5までとしている。
図3から明らかなように、通過帯域幅が広いFIRフィルタは、MTIフィルタと比べて、通過帯域幅が広いことが分かる。
しかしながら、通過帯域幅が広いFIRフィルタは、リップルの影響によって、通過域内で、MTIフィルタよりもフィルタ利得が小さくなる領域がある。この領域のドップラー周波数を持つ目標信号が受信された場合、通過帯域幅が広いFIRフィルタは、MTIフィルタよりも目標信号の電力が減衰してしまうという欠点がある。
図1の双峰性クラッタ用FIRフィルタ3においても、この通過域リップルの発生は避けられないため、この実施の形態1では、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2と、通過帯域幅が広いFIRフィルタに基づいた双峰性クラッタ用FIRフィルタ3とを併用して、適宜、フィルタの出力信号を選択することで、両者の欠点を補う構成になっている。
以下、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の係数gGWの設定処理を具体的に説明する。
ノッチ周波数補正処理部11は、クラッタ強度・中心周波数推定部4の推定結果を受けると、移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部9により記憶されている移動クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定された移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用FIRフィルタの係数(所望のクラッタ抑圧比が得られる最も次数が低いフィルタ係数)を取得する。
ノッチ周波数補正処理部11は、所望のクラッタ抑圧比が得られる最も次数が低いフィルタ係数を取得すると、移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部9により記憶されているフィルタ係数はノッチ周波数の移動処理を容易にするため、基本的にノッチ周波数が0に形成されている実数の係数であるため、ノッチ周波数補正処理部7と同様に、式(1)によって、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定された移動クラッタの中心周波数に応じて、その移動クラッタ用FIRフィルタの係数を調整する。
係数畳み込み処理部12は、クラッタ強度・中心周波数推定部4の推定結果を受けると、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10により記憶されている静止クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用FIRフィルタの係数(所望のクラッタ抑圧比が得られる最も次数が低いフィルタ係数)を取得する。
ただし、静止クラッタは、元々ドップラー周波数0付近に周波数成分が集中するため、ノッチ周波数を移動させるためのフィルタ係数の調整は不要である。クラッタの強度とフィルタ次数の関係は、レーダ装置が設置される環境から概ね予測できるものとしている。
係数畳み込み処理部12は、静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用FIRフィルタの係数を取得すると、その静止クラッタ用FIRフィルタの係数と、ノッチ周波数補正処理部11により調整された移動クラッタ用FIRフィルタの係数との畳み込み処理を実施することで、静止クラッタ用FIRフィルタと移動クラッタ用FIRフィルタからなる1つのフィルタの係数(双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の係数)を算出する。
即ち、係数畳み込み処理部12は、静止クラッタ用FIRフィルタの係数をgG、ノッチ周波数補正処理部11により調整された移動クラッタ用FIRフィルタの係数をgWとすると、下記の式(5)によって、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の係数gGWを算出する。
Figure 2013253959
式(5)において、MGは静止クラッタ用FIRフィルタの次数、MWは移動クラッタ用FIRフィルタの次数である。
係数畳み込み処理部12は、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の係数gGWを算出すると、その係数gGWを双峰性クラッタ用FIRフィルタ3に設定する。
例えば、静止クラッタ用FIRフィルタの次数MGを3次、移動クラッタ用FIRフィルタの次数MWを4次として、式(5)にしたがって双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の係数gGWを算出すると、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の周波数振幅特性は、図5(c)のようになる。ただし、通過帯域幅が広いFIRフィルタの通過帯域幅が最大になるように、式(4)において、r=1としている。
図5において、横軸はドップラー周波数がパルス繰り返し周期で規格化された値、縦軸は各周波数でのフィルタ振幅を表している。
図5では、移動クラッタの正規化ドップラー中心周波数が0.2である例を示している。
図5(a)は、静止クラッタ用FIRフィルタの周波数振幅特性であり、静止クラッタの成分が集中する周波数0に深いノッチが形成されている。図4(a)のMTIフィルタと異なる点は、通過帯域幅が最大になるようにパラメータを設定(r=1)しているため、ノッチ周波数から正規化周波数値で0.5離れた場所に細いノッチができている。これは、上述した通過帯域でのリップルである。
図5(b)は、移動クラッタ用FIRフィルタの周波数振幅特性であり、移動クラッタの成分が集中する周波数0.2に深いノッチが形成されている。ここでも同様に、ノッチ周波数から正規化周波数値で0.5離れた場所に細いノッチができている。
図5(c)は、静止クラッタ用FIRフィルタの係数gGと移動クラッタ用FIRフィルタの係数gWが畳み込まれたgGWを係数とする双峰性クラッタ用FIRフィルタの周波数振幅特性であり、静止クラッタ及び移動クラッタの成分に対して深いノッチが形成されている。
双峰性クラッタ用MTIフィルタ2は、図2に示すようなトランスバーサル型フィルタであり、係数畳み込み処理部8によりフィルタ係数hGWが設定されると、下記の式(6)に示すクラッタ抑圧処理を実施することで、送受信回路1から出力された受信信号xk(n)に含まれている移動クラッタ及び静止クラッタを抑圧する。
クラッタ抑圧処理は、基本的にレンジビン毎に行われるので、下記の式(6)では、レンジビン番号kのフィルタ係数をhGW(n,k)で表している。
Figure 2013253959
式(6)において、nはパルスヒット番号、yM(n,k)は双峰性クラッタ用MTIフィルタ2によるクラッタ抑圧処理後の受信信号を表している。
双峰性クラッタ用FIRフィルタ3についても、図2に示すようなトランスバーサル型フィルタであり、係数畳み込み処理部12によりフィルタ係数gGWが設定されると、下記の式(7)に示すクラッタ抑圧処理を実施することで、送受信回路1から出力された受信信号xk(n)に含まれている移動クラッタ及び静止クラッタを抑圧する。
クラッタ抑圧処理は、基本的にレンジビン毎に行われるので、下記の式(7)では、レンジビン番号kのフィルタ係数をgGW(n,k)で表している。
Figure 2013253959
式(7)において、nはパルスヒット番号、yF(n,k)は双峰性クラッタ用FIRフィルタ3によるクラッタ抑圧処理後の受信信号を表している。
FFT処理部13は、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2からクラッタ抑圧処理後の受信信号yM(n,k)を受けると、S/Nを改善するために、その受信信号yM(n,k)のコヒーレント積分処理を行う。
即ち、FFT処理部13は、受信信号yM(n,k)のコヒーレント積分処理として、下記の式(8)に示す離散フーリエ変換を行うが、ここでは、高速に離散フーリエ変換を実施することが可能なFFT処理の例を示している。
Figure 2013253959
式(8)において、Nは受信信号xk(n)のヒット数、Pはフーリエ変換の点数を表している。
FFT処理部14は、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3からクラッタ抑圧処理後の受信信号yF(n,k)を受けると、S/Nを改善するために、その受信信号yF(n,k)のコヒーレント積分処理を行う。
即ち、FFT処理部14は、受信信号yF(n,k)のコヒーレント積分処理として、下記の式(9)に示す離散フーリエ変換を行うが、ここでは、高速に離散フーリエ変換を実施することが可能なFFT処理の例を示している。
Figure 2013253959
式(9)において、Nは受信信号xk(n)のヒット数、Pはフーリエ変換の点数を表している。
なお、FFT処理部13により変換された信号MFk(p)と、FFT処理部14により変換された信号FFk(p)は、パルス繰り返し周波数で制限される受信信号の周波数成分がP分割され、P分割された周波数成分毎の信号強度が並べられた数値列になる。
従って、FFT処理部13,14からFFT出力選択部16への入力は2×P点の信号になる。
FFT出力選択部16は、P個の周波数成分毎に、信号MFk(p)又は信号FFk(p)のいずれか一方を選択して、P個の数値列を目標検出部17−1〜17−Nに転送する。
以下、FFT出力選択部16における信号の選択処理を具体的に説明する。
図6には、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2の周波数振幅特性と双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の周波数振幅特性が重ねて表示されている。
図中、「MTI−GW」が双峰性クラッタ用MTIフィルタ2の周波数振幅特性であり、「FIR−GW」が双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の周波数振幅特性である。
MTI−GWとFIR−GWを比較すると、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3は、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2よりも通過帯域幅が広がっているが、フィルタ利得が正規化周波数0.4〜0.7の範囲で大きく落ち込んでいることがわかる。
従って、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2と双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の周波数振幅特性を比較して、フィルタ利得が高い方を選択すると、図6において、「併用方式」と表記している太線で示された特性になる。
このような周波数振幅特性を持つフィルタを実現することができれば、通過帯域幅が広くて、通過域でのフィルタ利得の劣化もない双峰性クラッタ抑圧フィルタが得られる。
しかしながら、このような周波数振幅特性からFIRフィルタの係数を逆算して求めることは不可能である。
そこで、フィルタの周波数振幅特性から、どの周波数範囲で、どちらのフィルタを使用するかという選択基準を決定し、その選択基準に基づいて、コヒーレント積分処理後の信号を選択することによって、図6の併用方式のような周波数振幅特性を持つフィルタによるクラッタ抑圧処理と等価な効果が得られる。
FFT出力選択部16は、上記の処理を実現するため、図6に示すように、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2の周波数振幅特性と、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の周波数振幅特性とが交差する周波数の値を切替周波数として設定し、その切替周波数に応じて信号MFk(p)又は信号FFk(p)のいずれか一方を選択する。信号MFk(p)又は信号FFk(p)を選択する際には、クラッタ強度・中心周波数推定部4の推定結果も参照する。
ここで、切替周波数は、フィルタの組み合わせ毎に事前に算出されて、切替周波数データベース15に記憶されている。
そのため、FFT出力選択部16は、切替周波数データベース15により記憶されている切替周波数の中から、使用しているフィルタの組み合わせ(図1の例では、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2と双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の組み合わせ)に対応する切替周波数を取得する。
例えば、使用しているフィルタの組み合わせに対応する切替周波数値をα,β(α<β)であるとすると、FFT出力選択部16は、以下に示す信号選択条件(A)〜(C)に基づいて、P個の周波数成分毎に、信号MFk(p)又は信号FFk(p)のいずれか一方を選択して、P個の数値列を目標検出部17−1〜17−Nに転送する。
[信号選択条件(A)]
周波数チャンネル番号(p/P)が0〜αの範囲の値をとる場合
→ 双峰性クラッタ用FIRフィルタ3によるクラッタ抑圧処理後の受信信号yF(n,k)がFFTされた信号FFk(p)を選択する。
[信号選択条件(B)]
周波数チャンネル番号(p/P)がα〜βの範囲の値をとる場合
→ 双峰性クラッタ用MTIフィルタ2によるクラッタ抑圧処理後の受信信号yM(n,k)がFFTされた信号MFk(p)を選択する。
[信号選択条件(C)]
周波数チャンネル番号(p/P)がβ〜1の範囲の値をとる場合
→ 双峰性クラッタ用FIRフィルタ3によるクラッタ抑圧処理後の受信信号yF(n,k)がFFTされた信号FFk(p)を選択する。
なお、周波数チャネル番号(p/P)=α、または、周波数チャネル番号(p/P)=βである場合には、信号MFk(p)又は信号FFk(p)のどちらの信号を選択してもよい。
切替周波数α,βは、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2及び双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の次数や、畳み込み処理を行う前のフィルタ次数や移動クラッタのドップラー周波数によって変化するため、これらのパラメータが事前に組み合わされた各フィルタの周波数振幅特性を算出しておき、その周波数振幅特性をパラメータ毎に切替周波数データベース15に記憶しておく必要がある。
上述した処理を全てのレンジビンkに対して行うことにより、FFT出力選択部16の出力は、距離と周波数の2次元データになる。
目標検出部17−1〜17−Nは、FFT出力選択部16により選択された各周波数チャンネルの信号に対して、例えば、距離方向にCFAR等の自動検出処理を実施することで、受信機雑音レベルより大きな目標信号が検出し、その検出結果から、目標までの距離と目標の移動速度を算出する。
目標検出部17−1〜17−Nによる目標までの距離や目標の移動速度を算出する処理自体は公知技術であるため詳細な説明を省略する。
図1の目標検出部17−1〜17−Nでは、処理負荷を考慮して、一次元の目標検出処理を想定しているが、二次元の目標検出処理を行うように構成してもよい。
表示部18は、目標検出部17−1〜17−Nにより算出された目標までの距離と目標の移動速度などを表示する。
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、クラッタ強度・中心周波数推定部4の推定結果に基づいて双峰性クラッタ用MTIフィルタ2の係数を設定する係数畳み込み処理部8と、クラッタ強度・中心周波数推定部4の推定結果に基づいて双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の係数を設定する係数畳み込み処理部12とを設け、FFT出力選択部16が、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2によるクラッタ抑圧処理後の受信信号yM(n,k)がFFTされた信号MFk(p)、または、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3によるクラッタ抑圧処理後の受信信号yF(n,k)がFFTされた信号FFk(p)の中から、各々の周波数でフィルタ利得が高い方の信号を選択し、目標検出部17−1〜17−Nが、FFT出力選択部16により選択された信号から目標を検出するように構成したので、目標信号の減衰を招くことなく、静止クラッタと移動クラッタを同時に抑圧して、目標を検出することができる効果を奏する。
即ち、通過帯域幅が広い双峰性クラッタ用FIRフィルタ3と、フィルタ通過域利得が高い双峰性クラッタ用MTIフィルタ2を組み合わせてクラッタ抑圧処理を行うように構成したので、クラッタ抑圧性能と目標信号保存性能を両立させることができる。また、従来行われてきたような双峰性クラッタ用MTIフィルタ2を単独で用いる場合と比較して、フィルタ振幅特性による目標信号電力の劣化が軽減され、目標検出性能を改善することができる。
また、この実施の形態1によれば、FFT出力選択部16が、信号選択条件(A)〜(C)に基づいて、P個の周波数成分毎に、信号MFk(p)又は信号FFk(p)のいずれか一方を選択するように構成したので、受信信号の周波数チャンネルに応じて最適なフィルタ処理結果を選択することができる。
なお、この実施の形態1では、静止クラッタと移動クラッタをそれぞれ1つずつ受信している例を示したが、複数種類の移動クラッタが受信された場合には、複数の移動クラッタに対してノッチを有するフィルタを用いるようにすれば、複数の移動クラッタを抑圧することができる。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、静止クラッタと移動クラッタを同時に抑圧するレーダ装置を示したが、一般的には、移動クラッタのドップラー周波数が未知であるため、静止クラッタ用抑圧フィルタと移動クラッタ用抑圧フィルタの畳み込み処理をリアルタイムで実施する必要があり、処理が煩雑になる。
そこで、この実施の形態2では、想定される移動クラッタのドップラー周波数毎に予め双峰性クラッタ用抑圧フィルタを設計しておくことで、クラッタ抑圧処理における演算負荷を軽減することが可能なレーダ装置について説明する。
図7はこの発明の実施の形態1によるレーダ装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部21は例えばRAMやハードディスクなどの記録媒体から構成されており、移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数を記憶している。なお、双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部21は双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段を構成している。
双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部22は例えばRAMやハードディスクなどの記録媒体から構成されており、移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数を記憶している。なお、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部22は双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段を構成している。
フィルタ係数選定部23は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部21により記憶されている双峰性クラッタ用MTIフィルタ2の係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定されたクラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用MTIフィルタ2の係数を取得し、その係数を双峰性クラッタ用MTIフィルタ2に設定する処理を実施する。なお、フィルタ係数選定部23はMTIフィルタ係数設定処理手段を構成している。
フィルタ係数選定部24は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部22により記憶されている双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定されたクラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の係数を取得し、その係数を双峰性クラッタ用FIRフィルタ3に設定する処理を実施する。なお、フィルタ係数選定部24はFIRフィルタ係数設定処理手段を構成している。
図7の例では、レーダ装置の構成要素である送受信回路1、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3、クラッタ強度・中心周波数推定部4、双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部21、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部22、フィルタ係数選定部23,24、FFT処理部13,14、切替周波数データベース15、FFT出力選択部16、目標検出部17−1〜17−N及び表示部18のそれぞれが専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、レーダ装置の全部又は一部がコンピュータで構成されていてもよい。
例えば、レーダ装置の一部(例えば、送受信回路1と表示部18を除く部分)がコンピュータで構成されている場合、双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部21、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部22及び切替周波数データベース15をコンピュータの内部メモリ又は外部メモリ上に構成し、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3、クラッタ強度・中心周波数推定部4、フィルタ係数選定部23,24、FFT処理部13,14、FFT出力選択部16及び目標検出部17−1〜17−Nの処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
次に動作について説明する。
双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部21、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部22及びフィルタ係数選定部23,24以外は、上記実施の形態1と同様であるため、ここでは、双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部21、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部22及びフィルタ係数選定部23,24の処理内容だけを説明する。
双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部21は、移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数を記憶しており、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部22は、移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数を記憶しているが、具体的には、上記実施の形態1では、リアルタイムで実施されていた静止クラッタ抑圧フィルタの係数と移動クラッタ抑圧フィルタの係数との畳み込み処理がオフラインで実施されて、その畳み込み処理結果である双峰性クラッタ用の抑圧フィルタ係数を記憶しているものである。
ただし、一般的には、未知数である移動クラッタのドップラー周波数を想定しながらフィルタ係数を多数設計しなければならない。
具体的には、(1)静止クラッタ抑圧フィルタの次数、(2)移動クラッタ抑圧フィルタの次数、(3)移動クラッタの正規化ドップラー周波数などをパラメータとして、1種類の双峰性クラッタ抑圧フィルタの係数が決まる。この係数に、静止クラッタ抑圧性能と移動クラッタ抑圧性能がタグとして付記される。
フィルタ係数選定部23は、クラッタ強度・中心周波数推定部4の推定結果を受けると、双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部21により記憶されている双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定されたクラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用MTIフィルタ2の係数を取得し、その係数を双峰性クラッタ用MTIフィルタ2に設定する。
即ち、フィルタ係数選定部23は、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定されたクラッタの中心周波数に最も近いノッチ周波数が設定されているフィルタ係数群を特定し、そのフィルタ係数群の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定されたクラッタの強度に基づいて、所望のクラッタ抑圧性能を実現することができるフィルタ係数候補を複数種類選択する。
そして、フィルタ係数選定部23は、複数種類のフィルタ係数候補の中から、双峰性クラッタ用MTIフィルタ2としてのフィルタ次数が最も小さいフィルタ係数を抽出し、そのフィルタ係数を双峰性クラッタ用MTIフィルタ2に設定する。
フィルタ係数選定部24は、クラッタ強度・中心周波数推定部4の推定結果を受けると、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部22により記憶されている双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定されたクラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用FIRフィルタ3の係数を取得し、その係数を双峰性クラッタ用FIRフィルタ3に設定する。
即ち、フィルタ係数選定部24は、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定されたクラッタの中心周波数に最も近いノッチ周波数が設定されているフィルタ係数群を特定し、そのフィルタ係数群の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部4により推定されたクラッタの強度に基づいて、所望のクラッタ抑圧性能を実現することができるフィルタ係数候補を複数種類選択する。
そして、フィルタ係数選定部24は、複数種類のフィルタ係数候補の中から、双峰性クラッタ用FIRフィルタ3としてのフィルタ次数が最も小さいフィルタ係数を抽出し、そのフィルタ係数を双峰性クラッタ用FIRフィルタ3に設定する。
以降の処理は、上記実施の形態1と同様である。
以上のように、この実施の形態2によれば、想定される移動クラッタのドップラー周波数毎に予め双峰性クラッタ用抑圧フィルタを設計しておくことで、クラッタ抑圧処理における演算負荷を軽減することが可能である。
この実施の形態2では、静止クラッタと移動クラッタをそれぞれ1つずつ受信している例を示したが、複数種類の移動クラッタが受信された場合には、複数の移動クラッタに対してノッチを有するフィルタを用いるようにすれば、複数の移動クラッタを抑圧することができる。
実施の形態3.
上記実施の形態1,2では、静止クラッタと移動クラッタを同時に抑圧するレーダ装置を示したが、静止クラッタや移動クラッタを単独で受信した場合、クラッタスペクトルは単峰性になり、上記実施の形態1,2によるレーダ装置でも、2つのノッチのどちらか一方で、単峰性のクラッタを抑圧することができる。
しかし、2つのノッチのどちらか一方で、単峰性のクラッタを抑圧する場合、必要がないノッチを形成したままになるため、係数計算のための余計な演算時間が必要になる。また、フィルタの次数分だけ、S/N改善に使用できるパルスヒット数が減少するため、目標の検出性能が劣化する可能性がある。
また、不要なノッチの周波数近辺のドップラー周波数を有する目標信号を受信した場合には、目標信号が大きく減衰することになるため、目標の検出性能の劣化を招く可能性がある。
そこで、この実施の形態3では、受信したクラッタスペクトルが単峰性であるのか、双峰性であるのかを推定して、単峰性クラッタ用のクラッタ抑圧処理と、双峰性クラッタ用のクラッタ抑圧処理とを個別に行うレーダ装置について説明する。このようなレーダ装置では、クラッタ抑圧フィルタによる目標信号の減衰量を低減して、目標の検出性能を改善することが可能になる。
図8はこの発明の実施の形態3によるレーダ装置を示す構成図であり、図において、図1及び図7と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
MTIフィルタ31は図2に示すようなトランスバーサルフィルタであり、送受信回路1から出力された受信信号xk(n)に含まれている移動クラッタ又は静止クラッタのいずれか一方の抑圧処理、あるいは、その受信信号xk(n)に含まれている移動クラッタ及び静止クラッタの双方の抑圧処理を実施する。
FIRフィルタ32は図2に示すようなトランスバーサルフィルタであり、送受信回路1から出力された受信信号xk(n)に含まれている移動クラッタ又は静止クラッタのいずれか一方の抑圧処理、あるいは、その受信信号xk(n)に含まれている移動クラッタ及び静止クラッタの双方の抑圧処理を実施する。
クラッタ強度・中心周波数推定部33は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、図1のクラッタ強度・中心周波数推定部4と同様に、送受信回路1から出力された受信信号xk(n)を例えば高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)して、周波数領域の信号に変換することで、その受信信号xk(n)の周波数を分析し、その分析結果から受信信号xk(n)に含まれているクラッタの強度及び中心周波数を推定する処理を実施する。
また、クラッタ強度・中心周波数推定部33は送受信回路1から出力された受信信号xk(n)に含まれているクラッタの種類を判別する処理を実施する。
なお、クラッタ強度・中心周波数推定部33はクラッタ強度・中心周波数推定手段を構成している。
ノッチ周波数補正処理部34は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、クラッタ強度・中心周波数推定部33により移動クラッタが含まれていると判別された場合、図1のノッチ周波数補正処理部7と同様に、移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部5により記憶されている移動クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用MTIフィルタの係数(所望のクラッタ抑圧比が得られる最も次数が低いフィルタ係数)を取得し、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された移動クラッタの中心周波数に応じて、その移動クラッタ用MTIフィルタの係数を調整する処理を実施する。なお、ノッチ周波数補正処理部34は移動クラッタ用MTIフィルタ係数調整手段を構成している。
切替スイッチ35はクラッタ強度・中心周波数推定部33により静止クラッタだけが含まれていると判別された場合、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6をMTIフィルタ31に接続する処理を実施する。これにより、MTIフィルタ31は静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6により記憶されている静止クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用MTIフィルタの係数を取得し、その係数をフィルタ係数として設定する。
また、切替スイッチ35はクラッタ強度・中心周波数推定部33により移動クラッタだけが含まれていると判別された場合、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6をMTIフィルタ31及び係数畳み込み処理部8の両方に接続しないオープン状態になる。これにより、MTIフィルタ31はノッチ周波数補正処理部34により調整された移動クラッタ用MTIフィルタの係数を取得し、その係数をフィルタ係数として設定する。
また、切替スイッチ35はクラッタ強度・中心周波数推定部33により静止クラッタと移動クラッタの双方が含まれていると判別された場合、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6を係数畳み込み処理部8に接続する処理を実施する。これにより、MTIフィルタ31は係数畳み込み処理部8により求められた双峰性クラッタ抑圧用のMTIフィルタの係数を取得し、その係数をフィルタ係数として設定する。
なお、係数畳み込み処理部8、MTIフィルタ31及び切替スイッチ35からMTIフィルタ係数設定処理手段が構成されている。
ノッチ周波数補正処理部36は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、クラッタ強度・中心周波数推定部33により移動クラッタが含まれていると判別された場合、図1のノッチ周波数補正処理部11と同様に、移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部9により記憶されている移動クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用FIRフィルタの係数(所望のクラッタ抑圧比が得られる最も次数が低いフィルタ係数)を取得し、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された移動クラッタの中心周波数に応じて、その移動クラッタ用FIRフィルタの係数を調整する処理を実施する。なお、ノッチ周波数補正処理部36は移動クラッタ用FIRフィルタ係数調整手段を構成している。
切替スイッチ37はクラッタ強度・中心周波数推定部33により静止クラッタだけが含まれていると判別された場合、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10をFIRフィルタ32に接続する処理を実施する。これにより、FIRフィルタ32は静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10により記憶されている静止クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用FIRフィルタの係数を取得し、その係数をフィルタ係数として設定する。
また、切替スイッチ37はクラッタ強度・中心周波数推定部33により移動クラッタだけが含まれていると判別された場合、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10をFIRフィルタ32及び係数畳み込み処理部12の両方に接続しないオープン状態になる。これにより、FIRフィルタ32はノッチ周波数補正処理部36により調整された移動クラッタ用FIRフィルタの係数を取得し、その係数をフィルタ係数として設定する。
また、切替スイッチ37はクラッタ強度・中心周波数推定部33により静止クラッタと移動クラッタの双方が含まれていると判別された場合、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10を係数畳み込み処理部12に接続する処理を実施する。これにより、FIRフィルタ32は係数畳み込み処理部12により求められた双峰性クラッタ抑圧用のFIRフィルタの係数を取得し、その係数をフィルタ係数として設定する。
なお、係数畳み込み処理部12、FIRフィルタ32及び切替スイッチ37からFIRフィルタ係数設定処理手段が構成されている。
次に動作について説明する。
図8のレーダ装置は、受信クラッタのスペクトルが単峰性である場合のクラッタ抑圧処理と、双峰性である場合のクラッタ抑圧処理を個別に行う。
ここでいう単峰性とは、スペクトルの大きなピークが一つであることを意味しており、グランドクラッタが単独で受信された場合や、ウェザクラッタが単独で受信されたような場合が該当する。
一方、双峰性とは、スペクトルの大きなピークが二つであることを意味しており、ドップラー周波数が異なるグランドクラッタとウェザクラッタが同時に受信されたような場合が該当する。
クラッタ強度・中心周波数推定部33は、送受信回路1から受信信号xk(n)を受けると、図1のクラッタ強度・中心周波数推定部4と同様に、その受信信号xk(n)を例えばFFTして、周波数領域の信号に変換することで、その受信信号xk(n)の周波数を分析し、その分析結果から受信信号xk(n)に含まれているクラッタの強度及び中心周波数を推定する。
また、クラッタ強度・中心周波数推定部33は、送受信回路1から出力された受信信号xk(n)に含まれているクラッタの種類を判別する。
例えば、その受信信号xk(n)の周波数を分析し、ドップラー周波数0のスペクトルピークが検出されれば、静止クラッタが受信信号xk(n)に含まれていると判定する。
また、ドップラー周波数0以外でスペクトルピークが検出されれば、移動クラッタが受信信号xk(n)に含まれていると判定する。
(1)単峰性クラッタ(静止クラッタのみ)の場合
クラッタ強度・中心周波数推定部33は、受信クラッタのスペクトルが単峰性であり、その受信クラッタが静止クラッタであると判別すると、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6をMTIフィルタ31に接続する旨を指示する制御信号を切替スイッチ35及びMTIフィルタ31に出力するとともに、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10をFIRフィルタ32に接続する旨を指示する制御信号を切替スイッチ37及びFIRフィルタ32に出力する。
切替スイッチ35は、クラッタ強度・中心周波数推定部33から静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6をMTIフィルタ31に接続する旨を指示する制御信号を受けると、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6をMTIフィルタ31に接続する。
これにより、MTIフィルタ31は、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6により記憶されている静止クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用MTIフィルタの係数を取得し、その係数をフィルタ係数として設定することで、静止クラッタの抑圧処理を行う。
切替スイッチ37は、クラッタ強度・中心周波数推定部33から静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10をFIRフィルタ32に接続する旨を指示する制御信号を受けると、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10をFIRフィルタ32に接続する。
これにより、FIRフィルタ32は、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10により記憶されている静止クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用FIRフィルタの係数を取得し、その係数をフィルタ係数として設定することで、静止クラッタの抑圧処理を行う。
(2)単峰性クラッタ(移動クラッタのみ)の場合
クラッタ強度・中心周波数推定部33は、受信クラッタのスペクトルが単峰性であり、その受信クラッタが移動クラッタであると判別すると、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6をMTIフィルタ31及び係数畳み込み処理部8の両方に接続しないオープン状態とする旨を示す制御信号を切替スイッチ35、ノッチ周波数補正処理部34及びMTIフィルタ31に出力する。
また、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10をFIRフィルタ32及び係数畳み込み処理部12の両方に接続しないオープン状態とする旨を示す制御信号を切替スイッチ37、ノッチ周波数補正処理部36及びFIRフィルタ32に出力する。
ノッチ周波数補正処理部34は、クラッタ強度・中心周波数推定部33からオープン状態とする旨を示す制御信号を受けると、受信クラッタが移動クラッタであるため、図1のノッチ周波数補正処理部7と同様に、移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部5により記憶されている移動クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用MTIフィルタの係数を取得し、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された移動クラッタの中心周波数に応じて、その移動クラッタ用MTIフィルタの係数を調整する。
ノッチ周波数補正処理部36は、クラッタ強度・中心周波数推定部33からオープン状態とする旨を示す制御信号を受けると、受信クラッタが移動クラッタであるため、図1のノッチ周波数補正処理部11と同様に、移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部9により記憶されている移動クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用FIRフィルタの係数を取得し、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された移動クラッタの中心周波数に応じて、その移動クラッタ用FIRフィルタの係数を調整する。
切替スイッチ35は、クラッタ強度・中心周波数推定部33からオープン状態とする旨を示す制御信号を受けると、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6をMTIフィルタ31に接続せず、係数畳み込み処理部8にも接続しないオープン状態にする。
これにより、係数畳み込み処理部8は、ノッチ周波数補正処理部34から調整後の移動クラッタ用MTIフィルタの係数を受けるが、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6から静止クラッタ用MTIフィルタの係数を受けないので、畳み込み処理を実施せずに、調整後の移動クラッタ用MTIフィルタの係数をそのままMTIフィルタ31に出力する。
MTIフィルタ31は、係数畳み込み処理部8から調整後の移動クラッタ用MTIフィルタの係数を受けると、その係数をフィルタ係数として設定することで、移動クラッタの抑圧処理を行う。
切替スイッチ37は、クラッタ強度・中心周波数推定部33からオープン状態とする旨を示す制御信号を受けると、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10をFIRフィルタ32に接続せず、係数畳み込み処理部12にも接続しないオープン状態にする。
これにより、係数畳み込み処理部12は、ノッチ周波数補正処理部36から調整後の移動クラッタ用FIRフィルタの係数を受けるが、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10から静止クラッタ用FIRフィルタの係数を受けないので、畳み込み処理を実施せずに、調整後の移動クラッタ用FIRフィルタの係数をそのままFIRフィルタ32に出力する。
FIRフィルタ32は、係数畳み込み処理部12から調整後の移動クラッタ用FIRフィルタの係数を受けると、その係数をフィルタ係数として設定することで、移動クラッタの抑圧処理を行う。
(3)双峰性クラッタ(静止クラッタ+移動クラッタ)の場合
クラッタ強度・中心周波数推定部33は、受信クラッタのスペクトルが双峰性であり、受信信号xk(n)に静止クラッタと移動クラッタが含まれている判別すると、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6を係数畳み込み処理部8に接続する旨を指示する制御信号を切替スイッチ35、ノッチ周波数補正処理部34及びMTIフィルタ31に出力する。
また、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10を係数畳み込み処理部12に接続する旨を指示する制御信号を切替スイッチ37、ノッチ周波数補正処理部36及びFIRフィルタ32に出力する。
ノッチ周波数補正処理部34は、クラッタ強度・中心周波数推定部33から上記の制御信号を受けると、受信信号xk(n)に移動クラッタが含まれているため、図1のノッチ周波数補正処理部7と同様に、移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部5により記憶されている移動クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用MTIフィルタの係数を取得し、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された移動クラッタの中心周波数に応じて、その移動クラッタ用MTIフィルタの係数を調整する。
ノッチ周波数補正処理部36は、クラッタ強度・中心周波数推定部33から上記の制御信号を受けると、受信信号xk(n)に移動クラッタが含まれているため、図1のノッチ周波数補正処理部11と同様に、移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部9により記憶されている移動クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用FIRフィルタの係数を取得し、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された移動クラッタの中心周波数に応じて、その移動クラッタ用FIRフィルタの係数を調整する。
切替スイッチ35は、クラッタ強度・中心周波数推定部33から静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6を係数畳み込み処理部8に接続する旨を指示する制御信号を受けると、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6を係数畳み込み処理部8に接続する。
これにより、係数畳み込み処理部8は、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部6により記憶されている静止クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用MTIフィルタの係数を取得し、その静止クラッタ用MTIフィルタの係数と、ノッチ周波数補正処理部34により調整された移動クラッタ用MTIフィルタの係数との畳み込み処理を実施することで、双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数を求め、その係数をMTIフィルタ31に設定する。
MTIフィルタ31は、係数畳み込み処理部8により設定されたフィルタ係数で双峰性クラッタの抑圧処理を行う。
切替スイッチ37は、クラッタ強度・中心周波数推定部33から静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10を係数畳み込み処理部12に接続する旨を指示する制御信号を受けると、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10を係数畳み込み処理部12に接続する。
これにより、係数畳み込み処理部12は、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部10により記憶されている静止クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用FIRフィルタの係数を取得し、その静止クラッタ用FIRフィルタの係数と、ノッチ周波数補正処理部36により調整された移動クラッタ用FIRフィルタの係数との畳み込み処理を実施することで、双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数を求め、その係数をFIRフィルタ32に設定する。
FIRフィルタ32は、係数畳み込み処理部12により設定されたフィルタ係数で双峰性クラッタの抑圧処理を行う。
その他の処理は、上記実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
この実施の形態3では、静止クラッタと移動クラッタが1つずつ含まれている例を示したが、複数種類の移動クラッタが受信された場合には、複数の移動クラッタに対してノッチを有するフィルタを用いるようにすれば、複数の移動クラッタを抑圧することができる。
実施の形態4.
上記実施の形態3では、静止クラッタや移動クラッタを単独で受信する場合や、静止クラッタと移動クラッタを同時に受信する場合にも、これらのクラッタを抑圧するレーダ装置について示したが、一般的には、上記実施の形態2で示したように、移動クラッタのドップラー周波数が未知であるため、静止クラッタ用抑圧フィルタと移動クラッタ用抑圧フィルタの畳み込み処理をリアルタイムで実施する必要があり、処理が煩雑になる。
そこで、この実施の形態4では、上記実施の形態3で示したレーダ装置において、想定される移動クラッタのドップラー周波数毎に、予め双峰性クラッタ用抑圧フィルタを設計しておくことで、クラッタ抑圧処理における演算負荷を軽減することが可能なレーダ装置について説明する。
図9はこの発明の実施の形態4によるレーダ装置を示す構成図であり、図において、図8と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部41は例えばRAMやハードディスクなどの記録媒体から構成されており、ドップラー周波数0にノッチを形成する複数種類のMTIフィルタ係数(静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用MTIフィルタの係数)を記憶している。なお、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部41は静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段を構成している。
移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部42は例えばRAMやハードディスクなどの記録媒体から構成されており、移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する複数種類のMTIフィルタ係数(移動クラッタ用MTIフィルタの係数)を記憶している。なお、移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部42は移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段を構成している。
双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部43は例えばRAMやハードディスクなどの記録媒体から構成されており、静止クラッタと移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する複数種類の双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数を記憶している。なお、双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部43は双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段を構成している。
切替スイッチ44はクラッタ強度・中心周波数推定部33により静止クラッタだけが含まれていると判別された場合、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部41をMTIフィルタ31に接続するとともに、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部41により記憶されている静止クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用MTIフィルタの係数を取得し、その係数をMTIフィルタ31に設定する処理を実施する。
また、切替スイッチ44はクラッタ強度・中心周波数推定部33により移動クラッタだけが含まれていると判別された場合、移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部42をMTIフィルタ31に接続するとともに、移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部42により記憶されている移動クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する移動クラッタ用MTIフィルタの係数を取得し、その係数をMTIフィルタ31に設定する処理を実施する。
また、切替スイッチ44はクラッタ強度・中心周波数推定部33により静止クラッタと移動クラッタの双方が含まれていると判別された場合、双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部43により記憶されている双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定されたクラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数を取得し、その係数をMTIフィルタ31に設定する処理を実施する。
なお、切替スイッチ44はMTIフィルタ係数設定処理手段を構成している。
この実施の形態4では、切替スイッチ44が、主体的にフィルタ係数をMTIフィルタ31に設定する例を示すが、切替スイッチ44は、単に、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部41、移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部42又は双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部43をMTIフィルタ31に接続する処理を実施するだけで、MTIフィルタ31が、接続されたMTIフィルタ係数記憶部の中から、適正なMTIフィルタの係数を読み込んで、その係数をフィルタ係数として設定するようにしてもよい。
静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部45は例えばRAMやハードディスクなどの記録媒体から構成されており、ドップラー周波数0にノッチを形成する複数種類のFIRフィルタ係数(静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用FIRフィルタの係数)を記憶している。なお、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部45は静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段を構成している。
移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部46は例えばRAMやハードディスクなどの記録媒体から構成されており、移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する複数種類のFIRフィルタ係数(移動クラッタ用FIRフィルタの係数)を記憶している。なお、移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部46は移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段を構成している。
双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部47は例えばRAMやハードディスクなどの記録媒体から構成されており、静止クラッタと移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する複数種類の双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数を記憶している。なお、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部47は双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段を構成している。
切替スイッチ48はクラッタ強度・中心周波数推定部33により静止クラッタだけが含まれていると判別された場合、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部45をFIRフィルタ32に接続するとともに、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部45により記憶されている静止クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用FIRフィルタの係数を取得し、その係数をFIRフィルタ32に設定する処理を実施する。
また、切替スイッチ48はクラッタ強度・中心周波数推定部33により移動クラッタだけが含まれていると判別された場合、移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部46をFIRフィルタ32に接続するとともに、移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部46により記憶されている移動クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する移動クラッタ用FIRフィルタの係数を取得し、その係数をFIRフィルタ32に設定する処理を実施する。
また、切替スイッチ48はクラッタ強度・中心周波数推定部33により静止クラッタと移動クラッタの双方が含まれていると判別された場合、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部47により記憶されている双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定されたクラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数を取得し、その係数をFIRフィルタ32に設定する処理を実施する。
なお、切替スイッチ48はFIRフィルタ係数設定処理手段を構成している。
この実施の形態4では、切替スイッチ48が、主体的にフィルタ係数をFIRフィルタ32に設定する例を示すが、切替スイッチ48は、単に、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部45、移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部46又は双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部47をFIRフィルタ32に接続する処理を実施するだけで、FIRフィルタ32が、接続されたFIRフィルタ係数記憶部の中から、適正なFIRフィルタの係数を読み込んで、その係数をフィルタ係数として設定するようにしてもよい。
次に動作について説明する。
図9のレーダ装置は、受信クラッタのスペクトルが単峰性である場合のクラッタ抑圧処理と、双峰性である場合のクラッタ抑圧処理を個別に行う。
ここでいう単峰性とは、スペクトルの大きなピークが一つであることを意味しており、グランドクラッタが単独で受信された場合や、ウェザクラッタが単独で受信されたような場合が該当する。
一方、双峰性とは、スペクトルの大きなピークが二つであることを意味しており、ドップラー周波数が異なるグランドクラッタとウェザクラッタが同時に受信されたような場合が該当する。
クラッタ強度・中心周波数推定部33は、送受信回路1から受信信号xk(n)を受けると、図1のクラッタ強度・中心周波数推定部4と同様に、その受信信号xk(n)を例えばFFTして、周波数領域の信号に変換することで、その受信信号xk(n)の周波数を分析し、その分析結果から受信信号xk(n)に含まれているクラッタの強度及び中心周波数を推定する。
また、クラッタ強度・中心周波数推定部33は、送受信回路1から出力された受信信号xk(n)に含まれているクラッタの種類を判別する。
例えば、その受信信号xk(n)の周波数を分析し、ドップラー周波数0のスペクトルピークが検出されれば、静止クラッタが受信信号xk(n)に含まれていると判定する。
また、ドップラー周波数0以外でスペクトルピークが検出されれば、移動クラッタが受信信号xk(n)に含まれていると判定する。
(1)単峰性クラッタ(静止クラッタのみ)の場合
クラッタ強度・中心周波数推定部33は、受信クラッタのスペクトルが単峰性であり、その受信クラッタが静止クラッタであると判別すると、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部41をMTIフィルタ31に接続する旨を指示する制御信号を切替スイッチ44に出力するとともに、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部45をFIRフィルタ32に接続する旨を指示する制御信号を切替スイッチ48に出力する。
なお、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部41は、静止クラッタの強度に対応する複数種類の静止クラッタ用MTIフィルタの係数を記憶しており、静止クラッタの場合、クラッタの中心周波数は0付近であるため、想定されるクラッタの強度のみをパラメータとして、1種類の静止クラッタ用MTIフィルタの係数が決まる。この係数には、静止クラッタ抑圧性能がタグとして付記されている。
また、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部45は、静止クラッタの強度に対応する複数種類の静止クラッタ用FIRフィルタの係数を記憶しており、静止クラッタの場合、クラッタの中心周波数は0付近であるため、想定されるクラッタの強度のみをパラメータとして、1種類の静止クラッタ用FIRフィルタの係数が決まる。この係数には、静止クラッタ抑圧性能がタグとして付記されている。
切替スイッチ44は、クラッタ強度・中心周波数推定部33から静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部41をMTIフィルタ31に接続する旨を指示する制御信号を受けると、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部41をMTIフィルタ31に接続する。
また、切替スイッチ44は、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部41により記憶されている静止クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用MTIフィルタの係数を取得し、その係数をMTIフィルタ31に設定する。
即ち、切替スイッチ44は、静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部41により記憶されている静止クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用MTIフィルタの係数の候補(所望のクラッタ抑圧性能を実現することができるフィルタ係数候補)を複数種類選択する。
そして、切替スイッチ44は、複数種類のフィルタ係数候補の中から、静止クラッタ用MTIフィルタとしてのフィルタ次数が最も小さいフィルタ係数を抽出し、そのフィルタ係数をMTIフィルタ31に設定する。
MTIフィルタ31は、切替スイッチ44により設定されたフィルタ係数で静止クラッタの抑圧処理を行う。
切替スイッチ48は、クラッタ強度・中心周波数推定部33から静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部45をFIRフィルタ32に接続する旨を指示する制御信号を受けると、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部45をFIRフィルタ32に接続する。
また、切替スイッチ48は、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部45により記憶されている静止クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用FIRフィルタの係数を取得し、その係数をFIRフィルタ32に設定する。
即ち、切替スイッチ48は、静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部45により記憶されている静止クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用FIRフィルタの係数の候補(所望のクラッタ抑圧性能を実現することができるフィルタ係数候補)を複数種類選択する。
そして、切替スイッチ48は、複数種類のフィルタ係数候補の中から、静止クラッタ用FIRフィルタとしてのフィルタ次数が最も小さいフィルタ係数を抽出し、そのフィルタ係数をFIRフィルタ32に設定する。
FIRフィルタ32は、切替スイッチ48により設定されたフィルタ係数で静止クラッタの抑圧処理を行う。
(2)単峰性クラッタ(移動クラッタのみ)の場合
クラッタ強度・中心周波数推定部33は、受信クラッタのスペクトルが単峰性であり、その受信クラッタが移動クラッタであると判別すると、移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部42をMTIフィルタ31に接続する旨を指示する制御信号を切替スイッチ44に出力するとともに、移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部46をFIRフィルタ32に接続する旨を指示する制御信号を切替スイッチ48に出力する。
移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部42は、移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する移動クラッタ用MTIフィルタの係数を記憶している。一般的には、移動クラッタのドップラー周波数は未知数であるため、想定されるドップラー周波数に従ってフィルタ係数を多数設計しなければならない。
具体的には、(a)移動クラッタ抑圧フィルタの次数、(b)移動クラッタの正規化ドップラー周波数などをパラメータとして、1種類の移動クラッタ抑圧フィルタの係数が決まる。この係数には、移動クラッタ抑圧性能がタグとして付記されている。
また、移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部46は、移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する移動クラッタ用FIRフィルタの係数を記憶している。一般的には、移動クラッタのドップラー周波数は未知数であるため、想定されるドップラー周波数に従ってフィルタ係数を多数設計しなければならない。
具体的には、(a)移動クラッタ抑圧フィルタの次数、(b)移動クラッタの正規化ドップラー周波数などをパラメータとして、1種類の移動クラッタ抑圧フィルタの係数が決まる。この係数には、移動クラッタ抑圧性能がタグとして付記されている。
切替スイッチ44は、クラッタ強度・中心周波数推定部33から移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部42をMTIフィルタ31に接続する旨を指示する制御信号を受けると、移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部42をMTIフィルタ31に接続する。
また、切替スイッチ44は、移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部42により記憶されている移動クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する移動クラッタ用MTIフィルタの係数を取得し、その係数をMTIフィルタ31に設定する。
即ち、切替スイッチ44は、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定されたクラッタの中心周波数に最も近いノッチ周波数が設定されているフィルタ係数群を特定し、そのフィルタ係数群の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定されたクラッタの強度に基づいて、所望のクラッタ抑圧性能を実現することができるフィルタ係数候補を複数種類選択する。
そして、切替スイッチ44は、複数種類のフィルタ係数候補の中から、移動クラッタ用MTIフィルタとしてのフィルタ次数が最も小さいフィルタ係数を抽出し、そのフィルタ係数をMTIフィルタ31に設定する。
MTIフィルタ31は、切替スイッチ44により設定されたフィルタ係数で移動クラッタの抑圧処理を行う。
切替スイッチ48は、クラッタ強度・中心周波数推定部33から移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部46をFIRフィルタ32に接続する旨を指示する制御信号を受けると、移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部46をFIRフィルタ32に接続する。
また、切替スイッチ48は、移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部46により記憶されている移動クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定された移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する移動クラッタ用FIRフィルタの係数を取得し、その係数をFIRフィルタ32に設定する。
即ち、切替スイッチ48は、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定されたクラッタの中心周波数に最も近いノッチ周波数が設定されているフィルタ係数群を特定し、そのフィルタ係数群の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定されたクラッタの強度に基づいて、所望のクラッタ抑圧性能を実現することができるフィルタ係数候補を複数種類選択する。
そして、切替スイッチ48は、複数種類のフィルタ係数候補の中から、移動クラッタ用FIRフィルタとしてのフィルタ次数が最も小さいフィルタ係数を抽出し、そのフィルタ係数をFIRフィルタ32に設定する。
FIRフィルタ32は、切替スイッチ48により設定されたフィルタ係数で移動クラッタの抑圧処理を行う。
(3)双峰性クラッタ(静止クラッタ+移動クラッタ)の場合
クラッタ強度・中心周波数推定部33は、受信クラッタのスペクトルが双峰性であり、受信信号xk(n)に静止クラッタと移動クラッタが含まれている判別すると、双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部43をMTIフィルタ31に接続する旨を指示する制御信号を切替スイッチ44に出力するとともに、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部47をFIRフィルタ32に接続する旨を指示する制御信号を切替スイッチ48に出力する。
双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部43は、静止クラッタと移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する複数種類の双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数を記憶している。
即ち、上記実施の形態3では、静止クラッタ抑圧フィルタの係数と移動クラッタ抑圧フィルタの係数との畳み込み処理がリアルタイムで実施されているが、この実施の形態4では、静止クラッタ抑圧フィルタの係数と移動クラッタ抑圧フィルタの係数との畳み込み処理がオフラインで実施され、その畳み込み処理結果である双峰性クラッタ用の抑圧フィルタ係数を記憶している。
ただし、一般的には、未知数である移動クラッタのドップラー周波数を想定しながらフィルタ係数を多数設計しなければならない。
具体的には、(a)静止クラッタ抑圧フィルタの次数、(b)移動クラッタ抑圧フィルタの次数、(c)移動クラッタの正規化ドップラー周波数などをパラメータとして、1種類の双峰性クラッタ抑圧フィルタの係数が決まる。この係数には、静止クラッタ抑圧性能と移動クラッタ抑圧性能がタグとして付記されている。
また、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部47は、静止クラッタと移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する複数種類の双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数を記憶している。
即ち、上記実施の形態3では、静止クラッタ抑圧フィルタの係数と移動クラッタ抑圧フィルタの係数との畳み込み処理がリアルタイムで実施されているが、この実施の形態4では、静止クラッタ抑圧フィルタの係数と移動クラッタ抑圧フィルタの係数との畳み込み処理がオフラインで実施され、その畳み込み処理結果である双峰性クラッタ用の抑圧フィルタ係数を記憶している。
ただし、一般的には、未知数である移動クラッタのドップラー周波数を想定しながらフィルタ係数を多数設計しなければならない。
具体的には、(a)静止クラッタ抑圧フィルタの次数、(b)移動クラッタ抑圧フィルタの次数、(c)移動クラッタの正規化ドップラー周波数などをパラメータとして、1種類の双峰性クラッタ抑圧フィルタの係数が決まる。この係数には、静止クラッタ抑圧性能と移動クラッタ抑圧性能がタグとして付記されている。
切替スイッチ44は、クラッタ強度・中心周波数推定部33から双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部43をMTIフィルタ31に接続する旨を指示する制御信号を受けると、双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部43をMTIフィルタ31に接続する。
また、切替スイッチ44は、双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部43により記憶されている双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定されたクラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数を取得し、その係数をMTIフィルタ31に設定する。
即ち、切替スイッチ44は、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定されたクラッタの中心周波数に最も近いノッチ周波数が設定されているフィルタ係数群を特定し、そのフィルタ係数群の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定されたクラッタの強度に基づいて、所望のクラッタ抑圧性能を実現することができるフィルタ係数候補を複数種類選択する。
そして、切替スイッチ44は、複数種類のフィルタ係数候補の中から、双峰性クラッタ用MTIフィルタとしてのフィルタ次数が最も小さいフィルタ係数を抽出し、そのフィルタ係数をMTIフィルタ31に設定する。
MTIフィルタ31は、切替スイッチ44により設定されたフィルタ係数で、双峰性クラッタの抑圧処理を行う。
切替スイッチ48は、クラッタ強度・中心周波数推定部33から双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部47をFIRフィルタ32に接続する旨を指示する制御信号を受けると、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部47をFIRフィルタ32に接続する。
また、切替スイッチ48は、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部47により記憶されている双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定されたクラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数を取得し、その係数をFIRフィルタ32に設定する。
即ち、切替スイッチ48は、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定されたクラッタの中心周波数に最も近いノッチ周波数が設定されているフィルタ係数群を特定し、そのフィルタ係数群の中から、クラッタ強度・中心周波数推定部33により推定されたクラッタの強度に基づいて、所望のクラッタ抑圧性能を実現することができるフィルタ係数候補を複数種類選択する。
そして、切替スイッチ48は、複数種類のフィルタ係数候補の中から、双峰性クラッタ用FIRフィルタとしてのフィルタ次数が最も小さいフィルタ係数を抽出し、そのフィルタ係数をFIRフィルタ32に設定する。
FIRフィルタ32は、切替スイッチ48により設定されたフィルタ係数で、双峰性クラッタの抑圧処理を行う。
以上のように、この実施の形態4によれば、想定される移動クラッタのドップラー周波数毎に、予め双峰性クラッタ用抑圧フィルタを設計しておくことで、クラッタ抑圧処理における演算負荷を軽減することが可能である。
この実施の形態4では、静止クラッタと移動クラッタが1つずつ含まれている例を示したが、複数種類の移動クラッタが受信された場合には、複数の移動クラッタに対してノッチを有するフィルタを用いるようにすれば、複数の移動クラッタを抑圧することができる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
1 送受信回路(送受信手段)、2 双峰性クラッタ用MTIフィルタ、3 双峰性クラッタ用FIRフィルタ、4 クラッタ強度・中心周波数推定部(クラッタ強度・中心周波数推定手段)、5 移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部(移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段、双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数設定手段)、6 静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部(静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段、双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数設定手段)、7 ノッチ周波数補正処理部(移動クラッタ用MTIフィルタ係数調整手段、双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数設定手段)、8 係数畳み込み処理部(MTIフィルタ係数設定処理手段、双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数設定手段)、9 移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部(移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数設定手段)、10 静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部(静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数設定手段)、11 ノッチ周波数補正処理部(移動クラッタ用FIRフィルタ係数調整手段、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数設定手段)、12 係数畳み込み処理部(FIRフィルタ係数設定処理手段、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数設定手段)、13 FFT処理部(第1の周波数領域変換手段、信号選択手段)、14 FFT処理部(第2の周波数領域変換手段、信号選択手段)、15 切替周波数データベース(周波数範囲記憶手段、信号選択手段)、16 FFT出力選択部(信号選択処理手段、信号選択手段)、17−1〜17−N 目標検出部(目標検出手段)、18 表示部(検出結果出力手段)、21 双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部(双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段、双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数設定手段)、22 双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部(双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数設定手段)、23 フィルタ係数選定部(MTIフィルタ係数設定処理手段、双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数設定手段)、24 フィルタ係数選定部(FIRフィルタ係数設定処理手段、双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数設定手段)、31 MTIフィルタ(MTIフィルタ係数設定処理手段)、32 FIRフィルタ(FIRフィルタ係数設定処理手段)、33 クラッタ強度・中心周波数推定部(クラッタ強度・中心周波数推定手段)、34 ノッチ周波数補正処理部(移動クラッタ用MTIフィルタ係数調整手段)、35 切替スイッチ(MTIフィルタ係数設定処理手段)、36 ノッチ周波数補正処理部(移動クラッタ用FIRフィルタ係数調整手段)、37 切替スイッチ(FIRフィルタ係数設定処理手段)、41 静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部(静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段)、42 移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部(移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段)、43 双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶部(双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段)、44 切替スイッチ(MTIフィルタ係数設定処理手段)、45 静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部(静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段)、46 移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部(移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段)、47 双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶部(双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段)、48 切替スイッチ(FIRフィルタ係数設定処理手段)。

Claims (12)

  1. パルス電波を空間に放射する一方、目標に反射して戻ってきた上記パルス電波を受信して、上記パルス電波の受信信号を出力する送受信手段と、
    上記送受信手段から出力された受信信号に含まれている移動クラッタ及び静止クラッタを抑圧する双峰性クラッタ用MTIフィルタと、
    上記送受信手段から出力された受信信号に含まれている移動クラッタ及び静止クラッタを抑圧する双峰性クラッタ用FIRフィルタと、
    上記送受信手段から出力された受信信号の周波数を分析して、上記受信信号に含まれているクラッタの強度及び中心周波数を推定するクラッタ強度・中心周波数推定手段と、
    上記クラッタ強度・中心周波数推定手段の推定結果に基づいて上記双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数を設定する双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数設定手段と、
    上記クラッタ強度・中心周波数推定手段の推定結果に基づいて上記双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数を設定する双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数設定手段と、
    上記双峰性クラッタ用MTIフィルタ及び上記双峰性クラッタ用FIRフィルタの出力信号を周波数領域の信号に変換し、各周波数領域の信号の中から、各々の周波数でフィルタ利得が高い方の信号を選択する信号選択手段と、
    上記信号選択手段により選択された信号から目標を検出する目標検出手段と
    を備えたレーダ装置。
  2. 双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数設定手段は、
    移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用MTIフィルタの係数を記憶している移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段と、
    静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用MTIフィルタの係数を記憶している静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段と、
    上記移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段により記憶されている移動クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定された移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用MTIフィルタの係数を取得し、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定された移動クラッタの中心周波数に応じて上記移動クラッタ用MTIフィルタの係数を調整する移動クラッタ用MTIフィルタ係数調整手段と、
    上記静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段により記憶されている静止クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用MTIフィルタの係数を取得し、上記静止クラッタ用MTIフィルタの係数と上記移動クラッタ用MTIフィルタ係数調整手段により調整された移動クラッタ用MTIフィルタの係数との畳み込み処理を実施することで、上記双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数を求め、上記係数を上記双峰性クラッタ用MTIフィルタに設定するMTIフィルタ係数設定処理手段と
    から構成されていることを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
  3. 双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数設定手段は、
    移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用FIRフィルタの係数を記憶している移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段と、
    静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用FIRフィルタの係数を記憶している静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段と、
    上記移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段により記憶されている移動クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定された移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用FIRフィルタの係数を取得し、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定された移動クラッタの中心周波数に応じて上記移動クラッタ用FIRフィルタの係数を調整する移動クラッタ用FIRフィルタ係数調整手段と、
    上記静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段により記憶されている静止クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用FIRフィルタの係数を取得し、上記静止クラッタ用FIRフィルタの係数と上記移動クラッタ用FIRフィルタ係数調整手段により調整された移動クラッタ用FIRフィルタの係数との畳み込み処理を実施することで、上記双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数を求め、上記係数を上記双峰性クラッタ用FIRフィルタに設定するFIRフィルタ係数設定処理手段と
    から構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のレーダ装置。
  4. 双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数設定手段は、
    移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数を記憶している双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段と、
    上記双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段により記憶されている双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定されたクラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数を取得し、上記係数を上記双峰性クラッタ用MTIフィルタに設定するMTIフィルタ係数設定処理手段と
    から構成されていることを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
  5. 双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数設定手段は、
    移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数を記憶している双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段と、
    上記双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段により記憶されている双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定されたクラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数を取得し、上記係数を上記双峰性クラッタ用FIRフィルタに設定するFIRフィルタ係数設定手処理段と
    から構成されていることを特徴とする請求項1または請求項4記載のレーダ装置。
  6. 信号選択手段は、
    双峰性クラッタ用MTIフィルタの出力信号を周波数領域の信号に変換する第1の周波数領域変換手段と、
    双峰性クラッタ用FIRフィルタの出力信号を周波数領域の信号に変換する第2の周波数領域変換手段と、
    上記双峰性クラッタ用MTIフィルタのフィルタ利得が、上記双峰性クラッタ用FIRフィルタのフィルタ利得より高くなる周波数範囲を記憶している周波数範囲記憶手段と、
    上記第1及び第2の周波数領域変換手段により変換された信号のうち、上記周波数範囲記憶手段により記憶されている周波数範囲内の周波数では、上記第1の周波数領域変換手段により変換された信号を選択し、上記周波数範囲外の周波数では、上記第2の周波数領域変換手段により変換された信号を選択する信号選択処理手段と
    から構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のレーダ装置。
  7. 目標検出手段の検出結果を出力する検出結果出力手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のレーダ装置。
  8. パルス電波を空間に放射する一方、目標に反射して戻ってきた上記パルス電波を受信して、上記パルス電波の受信信号を出力する送受信手段と、
    上記送受信手段から出力された受信信号に含まれている移動クラッタ又は静止クラッタを抑圧し、あるいは、上記移動クラッタ及び上記静止クラッタを抑圧するMTIフィルタと、
    上記送受信手段から出力された受信信号に含まれている移動クラッタ又は静止クラッタを抑圧し、あるいは、上記移動クラッタ及び上記静止クラッタを抑圧するFIRフィルタと、
    上記送受信手段から出力された受信信号の周波数を分析して、上記受信信号に含まれているクラッタの強度及び中心周波数を推定するクラッタ強度・中心周波数推定手段と、
    上記クラッタ強度・中心周波数推定手段の推定結果に基づいて上記MTIフィルタの係数を設定するMTIフィルタ係数設定手段と、
    上記クラッタ強度・中心周波数推定手段の推定結果に基づいて上記FIRフィルタの係数を設定するFIRフィルタ係数設定手段と、
    上記MTIフィルタ及び上記FIRフィルタの出力信号を周波数領域の信号に変換し、各周波数領域の信号の中から、各々の周波数でフィルタ利得が高い方の信号を選択する信号選択手段と、
    上記信号選択手段により選択された信号から目標を検出する目標検出手段と
    を備えたレーダ装置。
  9. クラッタ強度・中心周波数推定手段は、受信信号に含まれているクラッタの種類を判別する処理を実施し、
    MTIフィルタ係数設定手段は、
    移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用MTIフィルタの係数を記憶している移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段と、
    静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用MTIフィルタの係数を記憶している静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段と、
    上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により移動クラッタが含まれていると判別された場合、上記移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段により記憶されている移動クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定された移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用MTIフィルタの係数を取得し、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定された移動クラッタの中心周波数に応じて上記移動クラッタ用MTIフィルタの係数を調整する移動クラッタ用MTIフィルタ係数調整手段と、
    上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により静止クラッタだけが含まれていると判別された場合、上記静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段により記憶されている静止クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用MTIフィルタの係数を取得して、上記係数を上記MTIフィルタに設定し、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により移動クラッタだけが含まれていると判別された場合、上記移動クラッタ用MTIフィルタ係数調整手段により調整された移動クラッタ用MTIフィルタの係数を上記MTIフィルタに設定し、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により静止クラッタと移動クラッタの双方が含まれていると判別された場合、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用MTIフィルタの係数と上記移動クラッタ用MTIフィルタ係数調整手段により調整された移動クラッタ用MTIフィルタの係数との畳み込み処理を実施することで、双峰性クラッタを抑圧するためのMTIフィルタの係数を求め、上記係数を上記MTIフィルタに設定するMTIフィルタ係数設定処理手段と
    から構成されていることを特徴とする請求項8記載のレーダ装置。
  10. クラッタ強度・中心周波数推定手段は、受信信号に含まれているクラッタの種類を判別する処理を実施し、
    FIRフィルタ係数設定手段は、
    移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用FIRフィルタの係数を記憶している移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段と、
    静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用FIRフィルタの係数を記憶している静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段と、
    上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により移動クラッタが含まれていると判別された場合、上記移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段により記憶されている移動クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定された移動クラッタの強度に対応する移動クラッタ用FIRフィルタの係数を取得し、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定された移動クラッタの中心周波数に応じて上記移動クラッタ用FIRフィルタの係数を調整する移動クラッタ用FIRフィルタ係数調整手段と、
    上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により静止クラッタだけが含まれていると判別された場合、上記静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段により記憶されている静止クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用FIRフィルタの係数を取得して、上記係数を上記FIRフィルタに設定し、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により移動クラッタだけが含まれていると判別された場合、上記移動クラッタ用FIRフィルタ係数調整手段により調整された移動クラッタ用FIRフィルタの係数を上記FIRフィルタに設定し、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により静止クラッタと移動クラッタの双方が含まれていると判別された場合、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用FIRフィルタの係数と上記移動クラッタ用FIRフィルタ係数調整手段により調整された移動クラッタ用FIRフィルタの係数との畳み込み処理を実施することで、双峰性クラッタを抑圧するためのFIRフィルタの係数を求め、上記係数を上記FIRフィルタに設定するFIRフィルタ係数設定処理手段と
    から構成されていることを特徴とする請求項8または請求項9記載のレーダ装置。
  11. クラッタ強度・中心周波数推定手段は、受信信号に含まれているクラッタの種類を判別する処理を実施し、
    MTIフィルタ係数設定手段は、
    静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用MTIフィルタの係数を記憶している静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段と、
    移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する移動クラッタ用MTIフィルタの係数を記憶している移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段と、
    静止クラッタと移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数を記憶している双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段と、
    上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により静止クラッタだけが含まれていると判別された場合、上記静止クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段により記憶されている静止クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用MTIフィルタの係数を取得して、上記係数を上記MTIフィルタに設定し、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により移動クラッタだけが含まれていると判別された場合、上記移動クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段により記憶されている移動クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定された移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する移動クラッタ用MTIフィルタの係数を取得して、上記係数を上記MTIフィルタに設定し、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により静止クラッタと移動クラッタの双方が含まれていると判別された場合、上記双峰性クラッタ用MTIフィルタ係数記憶手段により記憶されている双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数の中から、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定されたクラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用MTIフィルタの係数を取得して、上記係数を上記MTIフィルタに設定するMTIフィルタ係数設定処理手段と
    から構成されていることを特徴とする請求項8記載のレーダ装置。
  12. クラッタ強度・中心周波数推定手段は、受信信号に含まれているクラッタの種類を判別する処理を実施し、
    FIRフィルタ係数設定手段は、
    静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用FIRフィルタの係数を記憶している静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段と、
    移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する移動クラッタ用FIRフィルタの係数を記憶している移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段と、
    静止クラッタと移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数を記憶している双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段と、
    上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により静止クラッタだけが含まれていると判別された場合、上記静止クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段により記憶されている静止クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定された静止クラッタの強度に対応する静止クラッタ用FIRフィルタの係数を取得して、上記係数を上記FIRフィルタに設定し、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により移動クラッタだけが含まれていると判別された場合、上記移動クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段により記憶されている移動クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定された移動クラッタの強度及び中心周波数に対応する移動クラッタ用FIRフィルタの係数を取得して、上記係数を上記FIRフィルタに設定し、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により静止クラッタと移動クラッタの双方が含まれていると判別された場合、上記双峰性クラッタ用FIRフィルタ係数記憶手段により記憶されている双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数の中から、上記クラッタ強度・中心周波数推定手段により推定されたクラッタの強度及び中心周波数に対応する双峰性クラッタ用FIRフィルタの係数を取得して、上記係数を上記FIRフィルタに設定するFIRフィルタ係数設定処理手段と
    から構成されていることを特徴とする請求項8または請求項11記載のレーダ装置。
JP2012224967A 2012-05-08 2012-10-10 レーダ装置 Pending JP2013253959A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106899279A (zh) * 2017-01-24 2017-06-27 西安电子科技大学 一种综合的动目标检测滤波器设计方法

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