JP2013253921A - 液体クロマトグラフィー用カラムの充填方法 - Google Patents

液体クロマトグラフィー用カラムの充填方法 Download PDF

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Abstract

【課題】疎水性の合成吸着剤についてもカラムに均一充填し、安定した分離性能を達成する充填方法を提供する。
【解決手段】下記工程を経る充填方法。(1)合成吸着剤からなる充填剤を極性有機溶媒に分散させたスラリーを調製する工程1。(2)工程1で調製したスラリーをカラムの上端部より送入し、カラム内に合成吸着剤を留めて極性有機溶媒をカラムの下部より排出し、合成吸着剤からなる充填層を形成する工程2。(3)カラムの上端部から水を含む置換液を下降流で通液し、工程2においてカラム内に形成した合成吸着剤の充填層の極性有機溶媒を水媒体に液置換する工程3。(4)工程3において水媒体に液置換したカラム内に水媒体を圧入する工程4。(5)工程4においてカラム内に圧入した水媒体と相溶性を有する展開溶媒をカラムの下部より上向流で注入し、カラム内の水媒体を展開溶媒に置換する工程5。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体クロマトグラフィー用カラムの充填方法に関する。
液体クロマトグラフィーは、各種有機物質の分析・分取手法として広く行われている。この液体クロマトグラフィーに使用されるカラムには、クロマトグラフィー用充填剤(「分離剤」ともいう。以下、単に「充填剤」と記すことがある。)が、カラム内で均一な充填層を形成した状態で充填されていることが求められている。
充填剤をカラムに充填する方法としては、特許文献1に、充填剤を水媒体に分散させたスラリーを使用し、複数の工程を経て充填剤を液体クロマトグラフィーカラムに充填する方法が記載されている。特許文献2には、媒体を含むスラリーをクロマトグラフィーカラムに充填し、充填時のクロマトグラフィーカラムから過剰の流体をスラリー容器に還流するクロマトグラフィーカラムの充填方法が記載されている。特許文献3には、シェル内に可動栓を摺動自在に挿入した可動栓式液体クロマトグラフィー用カラムの分離剤充填方法が記載されている。
特開2010−230575号公報 特表2002−531848号公報 特開2000−346833号公報
ところで、特許文献1に記載された充填方法は、充填剤を水媒体に分散させたスラリーを使用している。このため、例えば、ポリメタクリル系合成吸着剤等の、比較的親水性の充填剤の充填には適用可能である。しかし、ポリスチレン系合成吸着剤等の、疎水性を示す充填剤をカラムに充填しようとすると、充填剤が空気を巻き込む等の不具合が生じる。このため、カラム内で均一な充填層が形成されないという問題がある。
本発明は、充填方法を改良して疎水性の合成吸着剤についてもカラムに均一に充填し、安定した分離性能を達成する充填方法を提供するものである。
本発明によれば、下記(1)〜(5)の工程を経ることを特徴とする液体クロマトグラフィー用カラムの充填方法が提供される。
(1)合成吸着剤からなる充填剤を極性有機溶媒に分散させたスラリーを調製する工程1。
(2)前記工程1で調製した前記スラリーをカラムの上端部より送入し、当該カラム内に前記合成吸着剤を留めて前記極性有機溶媒を当該カラムの下部より排出し、当該合成吸着剤からなる充填層を形成する工程2。
(3)カラムの上端部から水を含む置換液を下降流で通液し、前記工程2において当該カラム内に形成した前記合成吸着剤の前記充填層の前記極性有機溶媒を水媒体に液置換する工程3。
(4)前記工程3において水媒体に液置換した前記カラム内に水媒体を圧入する工程4。
(5)前記工程4においてカラム内に圧入した前記水媒体と相溶性を有する展開溶媒を当該カラムの下部より上向流で注入し、当該カラム内の水媒体を当該展開溶媒に置換する工程5。
前記工程1において、前記スラリーの調製に使用する前記極性有機溶媒中の水比率が50%以下であることが好ましい。
さらに、前記工程1において、前記スラリーの調製に使用する前記極性有機溶媒が、実質的に水を含まないことがより好ましい。
前記工程2において、前記カラムの下部より、カラム線速が0.3m/h以上になるように前記極性有機溶媒を排出することがより好ましい。
前記工程3において、前記カラム内に形成した前記充填剤の収縮率が均等になるように、前記置換液に含まれる水比率を少なくとも3段階に分けて増大させることが好ましい。
前記工程4において、一定の圧力で脱気水を前記カラム内に圧入することが好ましい。
本発明によれば、疎水性の合成吸着剤についてもカラムに均一に充填し、安定した分離性能を達成するカラムが得られる。
本発明の方法で得られたカラムを用いて液体クロマトグラフィーによる分離を行うと、良好な分離曲線パターンが得られ、且つ繰り返し充填操作を行っても分離曲線の再現性が高いカラムが得られる。
実施例1で作成した4本の各クロマトグラフィー用カラムにより分離したp−ヒドロキシ安息香酸メチルとp−ヒドロキシ安息香酸イソプロピルのクロマトグラムを示す図である。 実施例2で作成したクロマトグラフィー用カラムにより分離したp−ヒドロキシ安息香酸メチルとp−ヒドロキシ安息香酸イソプロピルのクロマトグラムを示す図である。 実施例3で作成したクロマトグラフィー用カラムにより分離したp−ヒドロキシ安息香酸メチルとp−ヒドロキシ安息香酸イソプロピルのクロマトグラムを示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、使用する図面は、本実施の形態を説明するための一例である。
(液体クロマトグラフィー用カラムの充填方法)
本実施の形態が適用される液体クロマトグラフィー用カラムの充填方法は、下記(工程1)〜(工程5)の5工程を経て、合成吸着剤をカラム内に充填する。
(工程1):
合成吸着剤からなる充填剤を極性有機溶媒に分散させたスラリーを調製する。
(工程2):
スラリーをカラム上部より送入し、カラム内に合成吸着剤を留め、水媒体をカラム下部より排出し、合成吸着剤の充填層を形成する。
(工程3):
カラム内に形成した合成吸着剤の充填層の極性有機溶媒を水媒体に液置換する。
(工程4):
カラム上部より水媒体を一定圧で圧入し、カラム内に合成吸着剤を充填する。
(工程5):
カラム下部より、水媒体と相溶性を有する極性有機溶媒を上向流で注入し、カラム内の水媒体を極性有機溶媒に置換する。
本実施の形態で使用するカラムとしては、通常、液体クロマトグラフィー用カラムとして使用するものであれば、特に制限されない。本実施の形態では、通常、内径30mmφ以上、好ましくは内径30mmφ〜50mmφ、高さ300mmh〜1000mmhのSUS製カラムを使用する。
また、充填剤をカラム内に充填する場合は、カラムの下端部分に分散板と下部導出口を取付け、カラム上部は開放し、カラム下部導出口から液体だけが排出されるようにして垂直に設置する。次に、各工程について説明する。
(工程1)
工程1では、合成吸着剤をカラムに充填する(カラム充填)前に、充填剤として使用する合成吸着剤を極性有機溶媒に分散させたスラリーを調製する。
極性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール(メタノール)、エチルアルコール(エタノール)、イソプロピルアルコール(イソプロパノール)、アセトン、アセトニトリル等が挙げられる。尚、極性有機溶媒中に含まれる水の比率は50(容量)%以下であることが好ましく、さらに、実質的に水が含まれないことがより好ましい。
本実施の形態では、例えば、ポリスチレン系合成吸着剤等の疎水性を示す充填剤を極性有機溶媒に分散させたスラリーを調製している。このとき、水比率が実質的に0%となるように調製した極性有機溶媒を用いると、充填剤と溶媒の間に比重差が生じ、極性有機溶媒中に水が存在する場合と比較して、充填剤の沈降が早まるので好ましい。
スラリー中における合成吸着剤の量は、好ましくは40(容量)%〜60(容量)%であり、50(容量)%がより好ましい。スラリー中における合成吸着剤の量が過度に多いと、スラリーの粘度が増大し、均一な充填層の形成が困難になる傾向がある。また、合成吸着剤の量が過度に少ないと、カラム内にスラリーを移送・充填するのに長時間を要する傾向がある。
尚、本実施の形態では、スラリーを調製する場合、カラム充填操作によってカラム内に充填した合成吸着剤の充填率が1.00〜1.10の範囲になるようにスラリー中の合成吸着剤の量を用意する。
ここで、カラム内に充填した合成吸着剤の充填率は、以下のように定義される。
充填率=(充填された合成吸着剤の体積)/(カラム容積)
尚、合成吸着剤の充填率が1.10となる合成吸着剤量を計量する方法は以下の通りである。
(1)先ず、スラリー調製に先立ち、合成吸着剤を、実質的に水を含まない極性有機溶媒で十分湿潤させる。
(2)次に、湿潤した合成吸着剤を、展開溶媒においてカラム体積の1.10倍の体積(ml)に相当する量を、メスシリンダーにより計量する。
(工程2)
工程2では、工程1で調製したスラリーをカラム内に注入する。工程2において、合成吸着剤が充填されたカラムの上端部分にパッカーを取り付け、カラムの下端部分に分散板と導出口を取り付ける。
本実施の形態では、注入操作は、カラムの上部にパッカーを取り付け、スラリーを撹拌しながら、スラリーをカラムの上部からカラム壁面に沿って流下させながら注入し、下降流で沈降させることにより充填層を形成する。この際、カラム下部導出口から極性有機溶媒を排出させる。カラム下部から極性有機溶媒を排出させる際のカラム線速は、少なくとも0.3m/hであることが好ましい。
注入操作は、極性有機溶媒の排出により生じた合成吸着剤層の上位の空間部へスラリーを再度注入し、極性有機溶媒を排出する操作を、合成吸着剤層の上面がカラム上端に達するまで繰り返して行う。尚、カラム及びパッカーにスラリーを投入する方法としては、カラム上端部分に圧送用の配管を接続し、配管の反対側にポンプ等で置換液を圧送することができるようにしてもよい。
本実施の形態では、スラリーをカラム内に投入する際、カラムの下部から排出する際のカラム線速を0.3m/h以上にすると、カラム線速が0.3m/h未満の場合と比較して、充填剤がカラム管壁から受ける影響が低減し、カラム内の充填層の均一性が高まるので好ましい。
(工程3)
工程3では、カラム上端部から水を含む置換液を下向流で通液し、工程2においてカラム内に形成した合成吸着剤の充填層の極性有機溶媒を水媒体に液置換する。具体的には、ポンプを用いて置換液を圧入する場合は、一定の圧力(例えば、差圧0.4MPa〜1.0MPa程度)にて行うことが好ましい。
本実施の形態において、展開溶媒を用いて、充填剤を所定の充填率でカラム中に充填するには、充填剤を一旦収縮させる必要がある。充填剤を収縮させるには、カラムに充填された充填層中の極性有機溶媒を水に置換することで達成される。
尤も、このとき、極性有機溶媒を急激に水に液置換すると、充填剤が急激に収縮するため、充填層の均一性が低下し、分離性能の安定性が低下する傾向がある。
そこで、本実施の形態では、充填層の極性有機溶媒に含まれる水の含有率(%)を段階的に増大するように調製すると、極性有機溶媒を急激に水に液置換する場合と比較して、充填剤の収縮率が均等になり、充填剤の急激な収縮による充填層への影響が低減するので好ましい。
すなわち、工程3では、充填層の溶媒を水に置換する際、急激に水に置換すると充填層の均一性が損なわれるので、充填剤の収縮率が均等になるように、少なくとも3段階に分けて溶媒中の水比率を増大させることが好ましい。尚、無段階のリニアグラジエントにより溶媒中の水比率を増大させることも可能である。
本実施の形態では、水を含む置換液は、具体的にはカラム体積の2倍以上、好ましくは2倍〜5倍の量の水を、カラムに下向流で通液させる。
本実施の形態が適用される充填方法によれば、充填剤としての合成吸着剤を充填したカラムに水を含む置換液を下向流で通液し、カラム内に形成した合成吸着剤の充填層の極性有機溶媒を水媒体に液置換するという操作(工程3)を経ることにより、充填剤が均一な充填層を形成するカラムを調製することができる。
このようなカラムを用いて液体クロマトグラフィーによる分離を行った場合、分離曲線パターンは良好で、且つ高い再現性が得られる。
(工程4)
工程4では、工程3において水媒体に液置換されたカラム上端部分に圧送用の配管を接続し、カラム下端部分に排出用の配管を接続する。そして、カラム内にカラム上部より水媒体を下降流で注入する。水媒体としては、充填層に発生する気泡が取り除かれることから、脱気水を使用することが好ましい。脱気水はカラム内に一定の圧力で圧入されることが好ましい。具体的には、ポンプを用いて置換液を圧入する場合、脱気水を圧入する際の差圧は0.4MPa〜1.0MPaの範囲が好ましい。
尚、水媒体の注入速度は、工程3において置換液をカラム内に注入したときと同様な条件で行うことが好ましい。また、水媒体の注入量は、パッカー上部のフランジを外し、カラムの上から覗いて、充填層がカラム内に充填されたことを確認して圧入終了とする。本実施の形態では、水媒体を、差圧0.4MPaでカラム体積の170倍量圧入した時点で、カラム内に充填層が充填されたことを確認している。
(工程5)
工程5では、所望の展開溶媒(極性溶媒・水混合の溶液)を、上方向でSV(space velocity:空間速度)=0.1〜1で注入する。展開溶媒の量は、通常、カラム体積の2倍量〜5倍量の溶液を通液させる。
展開溶媒は、クロマト分離に実際に使用される分離対象物質により異なるので、画一的に決められないが、置換液として使用された極性有機溶媒と相溶性のあるものが好ましい。
展開溶媒の具体例としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン等の飽和脂肪族系炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素等の溶媒が挙げられる。さらに、水、メタノール、アセトニトリル、エタノール等の極性溶媒から適宜選択して使用される。これらの展開溶媒は、任意の割合で混合して使用することができる。
工程5において展開溶媒を通液した後、カラム上部から下降流で展開溶液を通液する。展開溶液の量は、カラム体積の1倍量〜2倍量の展開溶液を通液する。この工程により、充填剤の充填操作は終了する。
(合成吸着剤)
本実施の形態で充填剤として使用される合成吸着剤は、通常、イオン交換基を持たない多孔性構造を有する球状の架橋高分子であって、樹脂内の細孔表面と被吸着物質間の物理的相互作用により溶液中から種々の有機物を吸着することができ、疎水性相互作用により、主に有機物の分離精製に使用されるものである。
合成吸着剤は、液体クロマトグラフィーに使用されている公知のものから適宜選択して使用することができる。合成吸着剤の平均粒子径は、通常50μm〜200μmであり、特にこの範囲内で、均一係数が1.2以下の均一粒径品が好ましく、このような粒子の合成吸着剤は、流動性もよく、充填密度も均一化される。また、合成吸着剤は、多孔性であることが分離時の処理量を高めることから有利であり、その細孔容積は、通常0.2ml/g〜3.0ml/gである。
合成吸着剤としては、スチレン系架橋(共)重合体からなる芳香族系合成吸着剤、(メタ)アクリル酸エステル系架橋(共)重合体からなるメタクリル酸エステル系合成吸着剤等が挙げられる。これらのなかでも、疎水性が高い芳香族系合成吸着剤が好ましい。
合成吸着剤としては、上記の特性を満たす限り市販品から適宜選定することができる。例えば、市販されている芳香族系合成吸着剤の具体例としては、ダイヤイオンシリーズ(HP20、HP21、HP20SS)、セパビーズシリーズ(SP825L、SP850、SP700、SP207、SP70、SP20SS、SP207SS)、MCIGELシリーズ(CHP20/P20、CHP20/P30、CHP20/P50、CHP20/P70、CHP20/P120、CHP50/P20、CHP50/P30、CSP50/P120)(以上、三菱化学株式会社製);アンバーライトシリーズ(XAD2000、XAD4、FPX66、XAD1180、XAD−2)(以上、ダウ・ケミカル株式会社製);PAD350、PAD400、PAD500、PAD550、PAD600、PAD700、PAD900、PAD910(以上、ピュロライト株式会社製)等が挙げられる。
メタクリル酸エステル系合成吸着剤の具体例としては、ダイヤイオンHP2MG、セパビーズHP2MGS、MCIGELシリーズ(CMG20/P10、CMG20/P30、CMG20/P150)(以上、三菱化学株式会社製);XAD7HP(ダウ・ケミカル株式会社製);PAD300(ピュロライト株式会社製)等が挙げられる。
さらに、脂肪族エステル系合成吸着剤であるPAD610、PAD950(ピュロライト株式会社製)、HPERSOL−MACTONETシリーズ(MN100、MN200、MN500、MN150、MN250、MN170、MN270)(以上、ピュロライト株式会社製)等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。但し、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例の内容に限定されるものではない。
(実施例1)
(工程1)
先ず、充填剤として、予め、エチルアルコール(以下、「EtOH」と記す。)に湿潤させたポリスチレン系合成吸着剤(三菱化学株式会社製HP20SS)を計量した。ここで、計量したポリスチレン系合成吸着剤は、展開剤60%−EtOHにおいて、カラム容積の1.00〜1.10となる充填剤量に相当する。尚、60%−EtOHとは、水40%(容量)/EtOH60%(容量)の比率で混合した液を表す。次いで、この計量した充填剤に同量のEtOHを加えて撹拌し、50%(容量)スラリーを調製した。
(工程2)
次に、カラムとして、底部に分散板(フィルター)が装着され、内径41.2mm×高さ550mmのSUS製カラム(内容積731ml)を準備し、このSUS製カラムの上部にパッカーとして同サイズの短管(高さ150mm)を取り付けた。
続いて、SUS製カラムの下部から自然滴下で液抜きしながら(カラム線速0.3m/hから20.0m/hの範囲)、SUS製カラム内に前述したスラリーを全量投入した。
(工程3)
次に、下記に示すように3段階でスラリー中の水比率が増大するように、パッカーの上部から、SUS製カラム内に液を送入し、SUS製カラム内を液置換した。尚、SUS製カラム内への送液は、過流ポンプを用い、各段階において定圧(差圧0.4MPa)で行った。
(第1段階):60%−EtOHを1462ml
(第2段階):20%−EtOHを1462ml
(第3段階):脱気水を2193ml
(工程4)
次いで、工程3と同様に、過流ポンプを用いてSUS製カラム内に脱気水を圧入した。SUS製カラム内に充填剤が全量入りきった時点でパッカーを取り外し、SUS製カラムの上端部分に分散板を取り付けた。
(工程5)
次に、SUS製カラムの下部より展開剤60%−EtOHをSV(space velocity:空間速度)=0.5で2BV注入した。ここで、BVは、流出液量/カラム容積である。
最後に、SUS製カラムの上部より、60%−EtOH溶液を下降流・SV=1で供給し、SUS製カラムの内部を60%−EtOH溶液に置換し、カラム充填を終了した。
尚、充填カラムの分離性能の再現性を確認するため、上記と同じ操作によるカラム充填を繰り返し、合成吸着剤を充填した、合計4本のSUS製カラムを作成した。
[カラム性能試験]
上記の操作により合成吸着剤を充填した4本のSUS製カラムについて、試料としてp−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピルを用い、クロマトグラフィー用カラムとしての分離性能を評価した。
その結果、p−ヒドロキシ安息香酸メチルとp−ヒドロキシ安息香酸イソプロピルについて、それぞれ良好なピーク形状のクロマトグラム(分離曲線)が得られた。また、作成した4本のSUS製カラムの全てにおいて、再現性良く、同じ分離性能が得られた。
図1は、実施例1で作成した4本のクロマトグラフィー用カラムにより分離したp−ヒドロキシ安息香酸メチルとp−ヒドロキシ安息香酸イソプロピルのクロマトグラムを示す図である。測定条件を以下に示す。尚、2種類の試料のリテンションタイム、流出液量(BV(ml))は、それぞれ以下の通りである。
p−ヒドロキシ安息香酸メチル:84分(BV=1.43)
p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル:120分(BV=2.04)
(測定条件)
充填剤(分離剤):ポリスチレン系合成吸着剤(三菱化学株式会社製HP20SS)
カラム:内径(φ)41.2mm×高さ550mm(内容積731ml)
試料:p−ヒドロキシ安息香酸メチル(1重量%)
p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル(1重量%)
注入量:各試料36ml
溶離液:水/EtOH=40/60
流量:12.18ml/min.
温度:40℃
検出:紫外線(UV)波長230nm
(実施例2)
実施例1で行った操作条件の工程1において、水比率が80%(容量)であるEtOHを使用してスラリーを調製し、それ以外は実施例1と同様な条件と操作によりカラム充填を行い、合成吸着剤を充填したSUS製カラムを作成した。このように作成した合成吸着剤を充填したSUS製カラムについて、実施例1と同様に、試料としてp−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピルを用い、クロマトグラフィー用カラムとしての分離性能を評価した。
図2は、実施例2で作成したクロマトグラフィー用カラムにより分離したp−ヒドロキシ安息香酸メチルとp−ヒドロキシ安息香酸イソプロピルのクロマトグラムを示す図である。図2に示す結果から、2種類の試料の各クロマトグラム(分離曲線)は、リーディングとテイリングが見られるものの、実施例1と同様なリテンションタイムでピーク形状と再現性が得られた。
(実施例3)
実施例1で行った操作条件の工程2において、SUS製カラムの下部からの液排出の際のカラム線速を0.1m/hとし、それ以外は実施例1と同様な条件と操作によりカラム充填を行い、合成吸着剤を充填したSUS製カラムを作成した。このように作成した合成吸着剤を充填したSUS製カラムについて、実施例1と同様に、試料としてp−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピルを用い、クロマトグラフィー用カラムとしての分離性能を評価した。
図3は、実施例3で作成したクロマトグラフィー用カラムにより分離したp−ヒドロキシ安息香酸メチルとp−ヒドロキシ安息香酸イソプロピルのクロマトグラムを示す図である。図3に示す結果から、2種類の試料の各クロマトグラム(分離曲線)は、リーディングとテイリングが見られるものの、実施例1と同様なリテンションタイムでピーク形状と再現性が得られた。
(実施例4)
実施例1で行った操作条件の工程3において、下記に示すように2段階でスラリー中の水比率が増大するように、パッカーの上部から、SUS製カラム内に液を送入し、SUS製カラム内を液置換した。
(第1段階):50%−EtOHを1462ml
(第2段階):脱気水を2193ml
尚、SUS製カラム内への送液は、過流ポンプを用い、各段階において定圧(差圧0.4MPa)で行った。それ以外は、実施例1と同様な条件と操作によりカラム充填を行い、合成吸着剤を充填したSUS製カラムを作成した。このように作成した合成吸着剤を充填したSUS製カラムについて、実施例1と同様に、試料としてp−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピルを用い、クロマトグラフィー用カラムとしての分離性能を評価した。その結果、2種類の試料の各クロマトグラム(分離曲線)は、リーディングとテイリングが見られるものの、実施例1と同様なリテンションタイムで良好なピーク形状と再現性が得られた。
(比較例1)
実施例1で行った操作条件において、工程3のカラム内に形成した充填層の溶媒を水に液置換する操作を行わず、それ以外は、実施例1と同様な条件と操作によりカラム充填を行い、合成吸着剤を充填したSUS製カラムを作成した。
このように作成した合成吸着剤を充填したSUS製カラムについて、実施例1と同様に、試料としてp−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピルを用い、クロマトグラフィー用カラムとしての分離性能を評価した。その結果、4本のSUS製カラムにおける充填剤の充填率が変動し、そのため、2種類の試料の各クロマトグラム(分離曲線)の再現性が低下した。

Claims (6)

  1. 下記(1)〜(5)の工程を経ることを特徴とする液体クロマトグラフィー用カラムの充填方法。
    (1)合成吸着剤からなる充填剤を極性有機溶媒に分散させたスラリーを調製する工程1。
    (2)前記工程1で調製した前記スラリーをカラムの上端部より送入し、当該カラム内に前記合成吸着剤を留めて前記極性有機溶媒を当該カラムの下部より排出し、当該合成吸着剤からなる充填層を形成する工程2。
    (3)カラムの上端部から水を含む置換液を下降流で通液し、前記工程2において当該カラム内に形成した前記合成吸着剤の前記充填層の前記極性有機溶媒を水媒体に液置換する工程3。
    (4)前記工程3において水媒体に液置換した前記カラム内に水媒体を圧入する工程4。
    (5)前記工程4においてカラム内に圧入した前記水媒体と相溶性を有する展開溶媒を当該カラムの下部より上向流で注入し、当該カラム内の水媒体を当該展開溶媒に置換する工程5。
  2. 前記工程1において、前記スラリーの調製に使用する前記極性有機溶媒中の水比率が50%以下であることを特徴とする請求項1に記載の液体クロマトグラフィー用カラムの充填方法。
  3. 前記工程1において、前記スラリーの調製に使用する前記極性有機溶媒が、実質的に水を含まないことを特徴とする請求項1に記載の液体クロマトグラフィー用カラムの充填方法。
  4. 前記工程2において、前記カラムの下部より、カラム線速として0.3m/h以上で前記極性有機溶媒を排出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフィー用カラムの充填方法。
  5. 前記工程3において、前記カラム内に形成した前記充填剤の収縮率が均等になるように、前記置換液に含まれる水比率を少なくとも3段階に分けて増大させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフィー用カラムの充填方法。
  6. 前記工程4において、一定の圧力で脱気水を前記カラム内に圧入することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフィー用カラムの充填方法。
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