JP2013253212A - 化学蓄熱材成形体およびその製造方法ならびに化学蓄熱装置 - Google Patents

化学蓄熱材成形体およびその製造方法ならびに化学蓄熱装置 Download PDF

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Abstract

【課題】熱移動の効率および物質移動の効率を両立した化学蓄熱材成形体の提供。
【解決手段】化学蓄熱材が充填された多孔質体1と、化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2とを含み、前記化学蓄熱材が充填された多孔質体1と前記化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2とが密接していることを特徴とする化学蓄熱材成形体4。
【選択図】図1

Description

本発明は、化学蓄熱材成形体およびその製造方法ならびに化学蓄熱装置に関する。
化学蓄熱材は、熱エネルギーの利用を図る上で有効なケミカルヒートポンプに代表される化学蓄熱装置や化学蓄熱システムに用いられる。化学発熱反応と化学吸熱反応とが可逆的に起こる化学蓄熱材において、大きな反応熱と、反応がすばやく進行することが必要である。従来の化学蓄熱材としてはさまざまな反応があるが、固体−気体反応系の化学蓄熱材が用いられている。
従来の化学蓄熱材は、固体−気体反応系の場合、容器の中に、例えば、反応する化学蓄熱材の固体を粒状形状として封入する方式、フィン構造などの固体表面に化学蓄熱材を固定する方式、化学蓄熱材と多孔質体との複合化を行う方式などが一般的に周知されている方式である。
反応する化学蓄熱材の固体を粒状形状として封入する方式の例として、特許文献1には、酸化マグネシウムの水和発熱反応と水酸化マグネシウムの脱水吸熱反応とを利用したケミカルヒートポンプであって、前記酸化マグネシウムが、水酸化マグネシウムを450℃以下で加熱してなることを特徴とするケミカルヒートポンプが記載されている。
フィン構造などの固体表面に化学蓄熱材を固定する方式の例として、非特許文献1には、活性炭を用いた吸着式の例が記載されている。
化学蓄熱材と多孔質体との複合化を行う方式の例として、特許文献2〜6には、多孔質体内に化学蓄熱材を担持した例が記載されている。
これらの化学蓄熱材において、固体の化学蓄熱材の表面に反応する気体が接触、また、固体の化学蓄熱材の表面より気体が反応して反応した気体の離脱が行われる。そのための気体移動(物質移動)が可能となる通路が必要である。一方、吸熱反応、放熱反応が生じる熱を、温度差を小さく外部とやりとりするための熱移動が必要である。これらの物質移動と熱移動の両者が達成されることにより、化学反応は進行し、蓄熱・放熱が行われ、蓄熱装置として作動する。すなわち、熱移動の効率および物質移動の効率を十分に高いレベルで両立することが求められていた。
特開平6−213529号公報 特開2007−077199号公報 特開2009−149837号公報 特開2009−149838号公報 特開2009−221289号公報 特開2011−162746号公報
化学工学論文集 Vol. 24, No. 6 p845−850 (1998)
しかしながら、従来の手法においては、熱移動の効率および物質移動の効率を十分に高いレベルで両立した化学蓄熱材成形体を作製することは難しいものであった。
特許文献1に記載されている反応する化学蓄熱材の固体を粒状形状として封入する方式は、各粒状の化学蓄熱材固体間の接触部が小さく、また反応する化学蓄熱材の固体の熱伝導率が小さいことにより、熱移動の効率の面で性能に改善が求められるものであった。
非特許文献1に記載のフィン構造などの固体表面に化学蓄熱材を固定する方式では、確かにすべての化学蓄熱材をフィン構造などの固体表面に固定すれば熱移動の効率および物質移動の効率はある程度発揮されるが、そのような構成では化学蓄熱材の充填率は小さく、体積あたりの蓄熱容量の高い装置とすることが難しいという課題があった。フィン構造などの固体表面に化学蓄熱材の一部を固定し、その他空隙部分に非固定の化学蓄熱材を充填させると、化学蓄熱材どうしの熱伝導の効率が低下してしまうものであった。また、装置作製も容易ではなく、製作コストが高くなる問題もあった。
特許文献2〜6に記載の化学蓄熱材と多孔質体との複合化を行う方式では、熱移動は多孔質体によってある程度効率的に伝わる一方、物質移動に関しては通路を十分に設けられず、物質移動の効率の面で性能に改善が求められるものであった。
本発明が解決しようとする課題は、熱移動の効率および物質移動の効率を両立した化学蓄熱材成形体を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明者が鋭意検討をしたところ、化学蓄熱材と多孔質体との複合化を行う方式において物質移動用の通路を単純に設けると、その部分の熱移動が阻害される問題点があることがわかった。そこで、化学蓄熱材と多孔質体の複合材料の作製時に、化学反応時の物質移動を促進する気相経路を多孔質体の一部として設けることで、熱移動の効率および物質移動の効率を両立できることを見出し、本発明の完成に至った。
前記課題を解決するための具体的手段である本発明は以下のとおりである。
[1] 化学蓄熱材が充填された多孔質体と、化学蓄熱材が充填されていない多孔質体とを含み、前記化学蓄熱材が充填された多孔質体と前記化学蓄熱材が充填されていない多孔質体とが熱移動が十分となるように密接していることを特徴とする化学蓄熱材成形体。
[2] 前記化学蓄熱材が、脱水反応に伴い吸熱または放熱し、水和反応に伴い放熱または吸熱する水和反応系化学蓄熱材であることを特徴とする[1]に記載の化学蓄熱材成形体。
[3] 前記化学蓄熱材がNa2Sである、[1]または[2]に記載の化学蓄熱材成形体。
[4] 前記多孔質体は、多孔質体を貫通する連通細孔で形成されていることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の化学蓄熱材成形体。
[5] 前記多孔質体が、セラミックス、カーボンまたは金属であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の化学蓄熱材成形体。
[6] 前記化学蓄熱材が充填された多孔質体と、前記化学蓄熱材が充填されていない多孔質体が、それぞれ同一の多孔質体の一部の領域であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の化学蓄熱材成形体。
[7] 多孔質体の一部の領域に対して、化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように処理する工程と、前記多孔質体を液体状態の化学蓄熱材に含浸する工程を含むことを特徴とする化学蓄熱材成形体の製造方法。
[8] 前記化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように処理する工程が、前記多孔質体の一部の領域へのフッ素樹脂による表面処理であることを特徴とする[7]に記載の化学蓄熱材成形体の製造方法。
[9] 多孔質体の一部の領域に対して、化学蓄熱材との濡れ性が高くなるように処理する工程と、前記多孔質体を液体状態の化学蓄熱材に含浸する工程を含むことを特徴とする化学蓄熱材成形体の製造方法。
[10] 前記化学蓄熱材との濡れ性が高くなるように処理する工程が、前記多孔質体の一部の領域へのプラズマ処理であることを特徴とする[9]に記載の化学蓄熱材成形体の製造方法。
[11] 第一の多孔質体に化学蓄熱材を充填させる工程と、前記蓄熱材料が充填された第一の多孔質体に対して、化学蓄熱材が充填されていない第二の多孔質体を密接させる工程を含むことを特徴とする化学蓄熱材成形体の製造方法。
[12] 前記化学蓄熱材がNa2Sであることを特徴とする[7]〜[11]のいずれか一項に記載の化学蓄熱材成形体の製造方法。
[13] [7]〜[12]のいずれか一項に記載の化学蓄熱材成形体の製造方法で製造されたことを特徴とする化学蓄熱材成形体。
[14] [1]〜[6]および[13]のいずれか一項に記載の化学蓄熱材成形体が充填された第1の容器と、水を充填させた第2の容器と、該第1の容器と該第2の容器の間をつなぐ流路と、を有することを特徴とする化学蓄熱装置。
[15] 前記第一の容器の内壁に対して、前記化学蓄熱材成形体のうち、前記多孔質体の化学蓄熱材が充填されていない領域が接することを特徴とする[14]に記載の化学蓄熱装置。
本発明によれば、熱移動の効率および物質移動の効率を両立した化学蓄熱材成形体を提供することができる。
本発明の化学蓄熱材成形体の一例であり、断面を示した概略図である。 本発明の化学蓄熱材成形体の他の一例であり、容器に充填したときの断面を示した概略図である。 比較例1の化学蓄熱材成形体であり、容器に充填したときの断面を示した概略図である。 比較例2の化学蓄熱材成形体であり、容器に充填したときの断面を示した概略図である。 本発明の化学蓄熱材成形体の他の一例であり、容器に充填したときの断面を示す概略図である。 本発明の化学蓄熱材成形体の他の一例であり、容器に充填したときの断面を示す概略図である。 本発明の化学蓄熱材成形体の他の一例であり、容器に充填したときの断面を示す概略図である。 本発明の化学蓄熱装置の一例であり、断面を示した概略図である。 本発明の化学蓄熱装置を用いて、蓄熱および放熱を繰り返したときの時間と温度の関係を表すグラフである。 本発明の化学蓄熱装置の他の一例であり、断面を示した概略図である。 本発明の化学蓄熱装置の他の一例を示した概略図である。
以下、本発明の好ましい実施形態に関し、図面を用いてより詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[化学蓄熱材成形体]
本発明の化学蓄熱材成形体は、化学蓄熱材が充填された多孔質体と、化学蓄熱材が充填されていない多孔質体とを含み、前記化学蓄熱材が充填された多孔質体と前記化学蓄熱材が充填されていない多孔質体とが密接していることを特徴とする。
<構造>
本発明の化学蓄熱材成形体の構造について説明する。
図1は、本実施形態の化学蓄熱材成形体の模式的な断面図である。図1に示されるように、本発明の化学蓄熱材成形体は、化学蓄熱材が充填された多孔質体1と、化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2を含み、前記化学蓄熱材が充填された多孔質体と前記化学蓄熱材が充填されていない多孔質体とが密接している。ここで、前記化学蓄熱材が充填された多孔質体と前記化学蓄熱材が充填されていない多孔質体とが「熱移動が十分となるように密接」しているとは、前記化学蓄熱材が充填された多孔質体と前記化学蓄熱材が充填されていない多孔質体とが、常に少なくとも1つの接点において直接接触していることを言う。例えば、化学蓄熱材が充填された真球形状の多孔質体と、化学蓄熱材が充填されていない真球形状の多孔質体が1点で接触している場合も、「熱移動が十ty分となるように密接」した態様に含まれる。また、化学蓄熱材が充填された多孔質体と化学蓄熱材が充填されていない多孔質体は、互いに異なる多孔質体であっても、それぞれ同一の多孔質体の一部の領域(連続する骨格の多孔質体のうち、化学蓄熱材が充填された孔と、化学蓄熱材が充填されていない孔があることを意味する)であってもよいが、同一の多孔質体の場合は当然に化学蓄熱材が充填された多孔質体と化学蓄熱材が充填されていない多孔質体が「熱移動が十分となるように密接」した態様に含まれる。
具体的な密接手段に関して、図2の構成において説明する。図2は、化学蓄熱材が充填された多孔質体1と、化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2が、互いに異なる多孔質体である場合である。このとき、前記化学蓄熱材が充填された多孔質体1と、前記化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2は、容器(反応器ということもある)11に密に入れて充填させることにより、熱移動が十分となるように密接させることができる。また、図2に記載するように、前記化学蓄熱材が充填された多孔質体1と、前記化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2は、それぞれ複数個用いてもよい。
また、図5は、化学蓄熱材が充填された多孔質体1と、化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2が、それぞれ同一の多孔質体の一部の領域である場合である。このとき、多孔質体の化学蓄熱材が充填された領域1’と、多孔質体の化学蓄熱材が充填されていない領域とが同一の多孔質体内に連続して存在させることができ、両者を密接させることができる。また、図5に記載するように、前記多孔質体の化学蓄熱材が充填された領域1’は複数であってもよく、図6のように1領域であってもよい。
本発明によれば、図2および図5のように適切に熱移動および物質移動の経路を設計することができ、化学蓄熱装置において熱移動および物質移動の促進ができ、高性能化が可能となる。
本発明では、前記化学蓄熱材が充填された多孔質体と前記化学蓄熱材が充填されていない多孔質体が、図5のようにそれぞれ同一の多孔質体の一部の領域であっても、図2のように互いに異なる多孔質体であってもよい。本発明では、前記化学蓄熱材が充填された多孔質体と、前記化学蓄熱材が充填されていない多孔質体がそれぞれ同一の多孔質体の一部の領域であることが、好ましい。
化学蓄熱材成形体の形状は、特に制限されることなく、例えば、円柱、円筒、ブロック、べレット、顆粒状等が例示される。ペレット状、顆粒状の形状は、反応器への充填が容易となり、ハンドリングの点から至便性が高い。
<材料>
(化学蓄熱材)
前記化学蓄熱材において、吸熱反応により脱水和反応が生じ、水和反応により発熱反応が生じる水和反応系化学蓄熱材であることが好ましい。
前記水和反応系化学蓄熱材としては、例えば、Na2SやMgCl2などを挙げることができる。
前記水和反応系化学蓄熱材の中でも、吸熱容量(反応熱)が大きく、安価であることから、Na2Sが好ましく用いられる。Na2Sは、脱水に伴って発熱し、水和(Na2S・nH2O(nは自然数)への復元)に伴って吸熱(蓄熱)する。
水和していないNa2Sは、1.856g/cm3であり、融点1176℃である。
Na2S・5H2Oは、1.58g/cm3であり、融点100℃である。
Na2S・9H2Oは、1.43g/cm3であり、融点50℃である。
化学蓄熱材であるNa2Sは、下記式(1)に示す反応で蓄熱、放熱を可逆的に繰り返しうる。なお、下記式(1)中、「⇔」は平衡反応であることを表す。
式(1)
Na2S(s)+5H2O(g) ⇔ Na2S・5H2O(s)+ΔH
(ΔH=−308KJ/mol(Na2S))
なお、Na2Sは、下記式(2)に示す反応を起こしてもよい。反応熱が約1.5倍大きいNa2S・9H2Oを利用することができると、より体積あたりの熱容量を向上させることができる。なお、下記式(2)中、「⇔」は平衡反応であることを表す。
式(2)
Na2S・9H2O ⇔ Na2S・5H2O+4H2O(g)+ΔH’
(ΔH’=−225〜−215KJ/mol)
化学蓄熱材は多孔質体に担持されているので、蓄熱放熱反応を繰り返しても化学蓄熱材の崩壊・凝集を防ぐことができ、繰り返し蓄熱放熱反応に使用することができる。
化学蓄熱材は、化学蓄熱材成形体の全体に対する含有量が30〜95体積%が好ましい。20体積%未満であると、十分な蓄熱放熱能力が得られないとともに多孔質体内に埋没している割合が多くなり蓄熱放熱効率が低下し好ましくない。98体積%を超えると、多孔質体の割合が少なくなり、蓄熱放熱反応に伴って化学蓄熱材が崩壊・凝集を生じやすく蓄熱放熱反応を繰り返すと反応効率が低下することがあり好ましくない。
化学蓄熱材は、放熱後蓄熱前の状態と蓄熱後放熱前の状態が異なるが、本明細書における化学蓄熱材の平均粒子径および含有量は、放熱後蓄熱前の状態での平均粒子径および含有量をいう。
Na2Sを化学蓄熱材とする化学蓄熱材成形体は、50〜100℃の化学蓄熱材として使用することができ、100℃以下の化学蓄熱材として使用することが求められる場合にも好ましく使用することができる。
(多孔質体)
多孔質体は、細孔を有するものであれば、特に制限はない。
前記細孔は、化学蓄熱材の蓄熱の際に反応生成物としての気体(式(1)においては水蒸気)を供給し、放熱の際に反応物としての気体(式(1)においては水蒸気)を排出するための流路として機能する。したがって、反応効率の点から、化学蓄熱材は、多孔質体中にランダムに分散し保持されている構成が好ましく、化学蓄熱材は細孔内に表面が露出するように保持されている構成が好ましく、細孔は多孔質体を貫通する連通細孔を形成していることが好ましい。
多孔質体の形状としては特に制限はなく、円柱形状、直方体形状、断面が真円となる形状(真球形状)、断面が多角形となるような多角形柱形状、断面が略楕円となる形状(ピーナッツやラグビーボールのような形状)、ピーナッツの殻や雲のような不定形の形状などを挙げることができる。ここで、本発明の化学蓄熱材成形体において、化学蓄熱材が充填された多孔質体と化学蓄熱材が充填されていない多孔質体が互いに異なる多孔質体である場合、前記化学蓄熱材が充填された多孔質体と前記化学蓄熱材が充填されていない多孔質体との接触部分は広いことが好ましい。このような場合、多孔質体の形状は、接点が1カ所となってしまう断面が真円となる形状(真球形状)よりも、接触面積を広くすることができるその他の形状であることが好ましく、断面が略楕円となる形状およびピーナッツの殻のような不定形の形状であることがより好ましい。
前記多孔質体の材質としては特に制限はないが、例えば、セラミックス、カーボンまたは金属であることが好ましい。前記多孔質体の材料自身の熱伝導率は高いことが好ましい。
前記多孔質体がセラミックスである場合は、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
前記多孔質体が金属である場合は、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
前記多孔質体がカーボンである場合は、樹脂を加熱して形成された発泡カーボンなどのものを好ましく用いることができる。たとえば、樹脂を加熱して一部または全部を熱分解して炭素化することにより形成された多孔質体が例示される。この場合、樹脂材料または加熱条件を調整することにより、あるいは樹脂材料を気孔形成材とともに加熱することにより、多孔質体を形成することができる。または、多数の樹脂粒子からなる樹脂を加熱して各粒子同士を融着することにより形成された多孔質体が例示される。樹脂を加熱して炭素化して形成された多孔質体は、蓄熱反応における加熱により変化することがなく、化学蓄熱材成形体を繰り返し利用するのに好適である。
多孔質体の形成に用いられる樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂などの熱硬化性樹脂、あるいは、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などの熱可塑性樹脂のうちの1種類または2種類以上を混合して用いることができる。
<用途>
本発明の化学蓄熱材成形体は、ケミカルヒートポンプ用蓄熱材料として排熱利用冷暖房システム、自動車エンジン熱利用の暖房、エンジン保温システムなどに用いることができる。
また、最近の電力事情より、自家発電設備の導入、燃料電池、コジェネレーションによる熱供給併用が期待されるが、吸熱時との熱需要ずれ解消のための蓄熱技術として、本発明の化学蓄熱材成形体を用いた化学蓄熱装置を利用することができる。
また、本発明の化学蓄熱材成形体は、ごみ発電時の熱や、太陽熱を利用することもできる。
[化学蓄熱材成形体の製造方法]
本発明の化学蓄熱材成形体は、その製造方法に制限はないが、以下の3態様の製造方法によって容易に製造することができる。
本発明の化学蓄熱材成形体の製造方法の第1の態様は、多孔質体の一部の領域に対して、化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように処理する工程と、前記多孔質体を液体状態の化学蓄熱材に含浸する工程を含むことを特徴とする。
本発明の化学蓄熱材成形体の製造方法の第2の態様は、多孔質体の一部の領域に対して、化学蓄熱材との濡れ性が高くなるように処理する工程と、前記多孔質体を液体状態の化学蓄熱材に含浸する工程を含むことを特徴とする。
本発明の化学蓄熱材成形体の製造方法の第3の態様は、第一の多孔質体に化学蓄熱材を充填させる工程と、前記蓄熱材料が充填された第一の多孔質体に対して、化学蓄熱材が充填されていない第二の多孔質体を密接させる工程を含むことを特徴とする。
従来、性能の高い化学蓄熱材成形体が作製されていなかった原因は、化学蓄熱材成形体の製造において、自由に熱移動および物質移動の両者の経路の確保を行うための作製方法が、簡便な方法で行えない点にある。これに対し、上述の本発明の化学蓄熱材成形体の製造方法によれば、簡易に、熱移動および物質移動がそれぞれ行える経路を化学蓄熱材内に作製した、本発明の化学蓄熱材成形体を製造することが可能となる。
以下、本発明の化学蓄熱材成形体の製造方法の各態様について、説明する。
<第1の態様>
本発明の化学蓄熱材成形体の製造方法の第1の態様は、多孔質体の一部の領域に対して、化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように処理する工程と、前記多孔質体を液体状態の化学蓄熱材に含浸する工程を含むことを特徴とする。
化学蓄熱材と多孔質体の複合材料である化学蓄熱材成形体の作製において、化学蓄熱材を融解して作製する場合、多孔質体のうち化学蓄熱材の液が濡れにくいところでは化学蓄熱材は存在しにくく、その部分に空間を生じさせる。この空間により気相経路が形成される。この空間内においても多孔質体により熱移動は生じる。
まず、本発明の化学蓄熱材成形体の製造方法の第1の態様は、多孔質体の一部の領域に対して化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように処理する工程が、化学蓄熱材との濡れ性が高い多孔質体の一部の領域に対して化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように処理する工程であることが好ましい。この場合、後述する多孔質体を液体状態の化学蓄熱材に含浸する工程において、化学蓄熱材に対して濡れにくい部分には液体状態の化学蓄熱材が付着しない一方、化学蓄熱材に対して濡れやすい場所では、化学蓄熱材は多孔質体に付着して、存在する。このように多孔質体と反応材料の濡れ性を利用して、簡易に、熱移動、物質移動が行える経路を蓄熱材料内に作製する手段が可能となる。
次に、本発明の化学蓄熱材成形体の製造方法の第1の態様は、多孔質体の一部の領域に対して化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように処理する工程が、化学蓄熱材との濡れ性が低い多孔質体の一部の領域に対して化学蓄熱材との濡れ性がより低くなるように処理する工程であることも好ましい。この場合、後述する多孔質体を液体状態の化学蓄熱材に含浸する工程において、濡れ性が相対的により低くなるように処理した領域には化学蓄熱材が充填されずに、未処理の領域に充填されるように圧力を加えて化学蓄熱材を押し込むことで、化学蓄熱材との濡れ性が低い多孔質体の一部の領域(相対的には、濡れ性が相対的により低くなるように処理した領域よりも濡れ性が高い領域を意味する)に化学蓄熱材を充填することができる。
このような方法により、図5に示すように濡れやすい部分、濡れにくい部分を設計的に配置することができ、簡易に、熱移動、物質移動が行える経路を蓄熱材料内に作製することができる。熱移動は、多孔質体による伝導伝熱が期待できるため、熱伝導用のフィンを配置している従来方法と比較して、簡易に、安価で、格段の熱移動促進が期待できる。
(多孔質体の一部の領域に対して、化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように処理する工程)
本発明の化学蓄熱材成形体の製造方法の第1の態様では、前記化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように多孔質体を処理する工程としては、多孔質体の表面を処理するための素材自体の濡れ性が、多孔質体と化学蓄熱材との濡れ性よりも濡れにくい処理材を用いて前記多孔質体に表面処理をして前記多孔質体上に表面処理材の層を積層する方法や、多孔質体自体を表面処理することで濡れにくくする方法を挙げることができる。
前記化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように多孔質体を処理する工程は、多孔質体の表面を処理するための素材自体の濡れ性が、多孔質体と化学蓄熱材との濡れ性よりも濡れにくい処理材を用いて前記多孔質体を表面処理して前記多孔質体の上に他の層を積層する方法であることが好ましく、前記多孔質体の一部の領域へのフッ素樹脂による表面処理であることがより好ましい。なお、ここで表面処理して前記多孔質体の上に他の層を積層する方法としては、塗布、噴霧などを挙げることができる。
また、前記化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように多孔質体を処理する工程は、前記孔質体の一部または全部領域に対して化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように表面処理をした後に、多孔質体の一部の領域に化学蓄熱材との濡れ性の高くなる表面処理を行う工程または化学蓄熱材との濡れ性の低い表面処理を除去する工程であってもよい。ここで、前記多孔質体の一部の領域に化学蓄熱材との濡れ性の高くなる表面処理を行う工程としては、プラズマ表面処理などを挙げることができる。また、化学蓄熱材との濡れ性の低い表面処理(フッ素樹脂による表面処理など)を除去する工程としては、具体的な方法として例えば、局所的に400℃程度に加熱することによって化学蓄熱材との濡れ性の低い表面処理を除去することができる。なお、化学蓄熱材との濡れ性の低い表面処理を除去する代わりに、スパッタなどで化学蓄熱材との濡れ性の低い表面処理の上に膜を積層して化学蓄熱材との濡れ性を高めても同様の効果を得ることができる。
(多孔質体を液体状態の化学蓄熱材に含浸する工程)
前記化学蓄熱材との濡れ性が高い多孔質体の一部の領域に対して、化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように処理する工程の後に、前記多孔質体を液体状態の化学蓄熱材に含浸する工程を行うことにより、前記多孔質体の一部の領域に化学蓄熱材を充填することができる。
前記多孔質体の一部の領域に対して、化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように表面処理をした後に、多孔質体の化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように表面処理をした部分の中の一部の領域にさらに濡れ性の高くなる表面処理を行う工程または濡れ性の低い表面処理を除去する工程を行うことにより、化学蓄熱材との濡れ性が低くなる領域をさらに調整してから、多孔質体を液体状態の化学蓄熱材に含浸してもよい。このように化学蓄熱材との濡れ性が低くなる領域をさらに調整することで、例えば[図5]のように化学蓄熱材が充填されるように化学蓄熱材との濡れ性の低い表面処理を一度行った後に、[図5B]のように化学蓄熱材の充填領域を一部拡張する調整を行い、化学蓄熱材が充填される領域を好ましい形状にすることができる。
前記多孔質体を液体状態の化学蓄熱材に含浸する工程は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。前記化学蓄熱材との濡れ性が高い多孔質体の全体周囲に対して、化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように表面処理をした場合、必要に応じて圧力を加えて充填することで、図5のように多孔質体の化学蓄熱材が充填された領域1’の全体周囲を、多孔質体の化学蓄熱材が充填されていない領域2’で包み込むことができる。図5のような構成とすることにより、化学蓄熱材が融解して液化したときでも多孔質体から融け出さない化学蓄熱材成形体を製造することができる。
液体状態の化学蓄熱材を調製する方法としては、容易に溶融可能な化学蓄熱材を用いる場合は化学蓄熱材を任意の容器(るつぼ)に入れて加熱し、溶融することが好ましい。
前記多孔質体を液体状態の化学蓄熱材に含浸する方法としては、上述のようにるつぼ内で調製した溶融された化学蓄熱材の中に前記多孔質体を浸漬させてもよく、逆に前記多孔質体に対して液体状態の化学蓄熱材を塗布、噴霧などしてもよい。
(多孔質体の形成)
本発明の化学蓄熱材成形体の製造方法では、多孔質体の形成方法については特に制限はなく、商業的に購入した多孔質体を用いてもよく、本発明の化学蓄熱材成形体の製造方法中において、任意の材料を用いて多孔質体を形成する工程を含んでいてもよい。多孔質体を形成する工程としては特に制限はないが、例えば多孔質体としてカーボンである前記多孔質体を形成する場合は、熱処理によって任意の材料を炭化させると同時に発泡させて、発泡カーボンを形成する工程を挙げることができる。なお、本発明で用いる多孔質体は、発泡したものに限定されるものではない。
カーボンを用いて前記多孔質体を形成する場合、熱処理工程を含むことが好ましい。前記熱処理工程においては、所定の形状に成形した混合材料を加熱し、例えば樹脂を熱分解させることにより、炭素からなる多孔質体に化学蓄熱材が担持されている化学蓄熱材成形体を製造することができる。また、熱処理工程において、気孔を形成するための気孔形成材を添加してもよい。
気孔形成材としては、樹脂中の細孔の形成を促進する材料が用いられる。混合材料の加熱に伴って分解し、混合材料中で気孔形成材が占めていた空間が化学蓄熱材成形体中の細孔となるような材料が好ましく用いられる。気孔形成材は、特に制限されるものではないが、馬鈴薯、とうもろこし由来のでん粉が好適に用いられる。なお、気孔形成材としてでん粉を用いた場合、化学蓄熱材成形体を温水に浸漬してでん粉を溶出除去する方法でも細孔を形成することができる。
樹脂としては、上述の通り熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂いずれであっても使用することができる。例えば、熱硬化性樹脂の粉末状初期縮合物を用い、所定量の気孔形成材と化学蓄熱材とを混合して混合材料を調整し、混合材料を加熱して樹脂を硬化させることにより化学蓄熱材が多孔質体に担持された化学蓄熱材成形体を製造することができる。
いずれの樹脂を用いる場合においても、熱処理工程において、樹脂の全部が炭化するように加熱してもよいし、樹脂の一部が炭化するように加熱してもよい。
<第2の態様>
本発明の化学蓄熱材成形体の製造方法の第2の態様は、多孔質体の一部の領域に対して、化学蓄熱材との濡れ性が高くなるように処理する工程と、前記多孔質体を液体状態の化学蓄熱材に含浸する工程を含むことを特徴とする。
本発明の化学蓄熱材成形体の製造方法の第2の態様は、多孔質体の一部の領域に対して化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように処理する工程が、化学蓄熱材との濡れ性が低い多孔質体の一部の領域に対して化学蓄熱材との濡れ性が高くなるように処理する工程であっても、化学蓄熱材との濡れ性が高い多孔質体の一部の領域に対して化学蓄熱材との濡れ性がより高くなるように処理する工程であってもよい。
多孔質体の一部の領域に対して、化学蓄熱材との濡れ性が高くなるように処理する工程としては、化学蓄熱材との濡れ性が高い処理材を用いて前記多孔質体を表面処理して前記多孔質体上に他の層を積層することで、多孔質体表面を濡れやすくすることができる。ここでいう表面処理して前記多孔質体の上に他の層を積層する方法としては、塗布、噴霧などを挙げることができる。
本発明の化学蓄熱材成形体の製造方法の第2の態様ではその中でも、前記化学蓄熱材との濡れ性が高くなるように処理する工程が、前記多孔質体表面を表面処理により濡れやすくする処理であることが好ましく、前記多孔質体の一部の領域へのプラズマ処理であることがより好ましい。
第2の態様における前記多孔質体を液体状態の化学蓄熱材に含浸する工程の好ましい態様は、第1の態様における前記多孔質体を液体状態の化学蓄熱材に含浸する工程の好ましい態様と同様である。
<第3の態様>
本発明の化学蓄熱材成形体の製造方法の第3の態様は、第一の多孔質体に化学蓄熱材を充填させる工程と、前記蓄熱材料が充填された第一の多孔質体に対して、化学蓄熱材が充填されていない第二の多孔質体を密接させる工程を含むことを特徴とする。
第一の多孔質体に化学蓄熱材を充填させる工程としては特に制限はなく、上記第1の態様における多孔質体を液体状態の化学蓄熱材に含浸する工程と同様である。
前記蓄熱材料が充填された第一の多孔質体に対して、化学蓄熱材が充填されていない第二の多孔質体を密接させる工程としては熱移動が十分となるように密接させることができる限りにおいて特に制限はないが、任意の治具を用いて固定する方法や、容器内に蓄熱材料が充填された第一の多孔質体と化学蓄熱材が充填されていない第二の多孔質体を互いに接するように並べて該容器内に充填させることができる。
[化学蓄熱装置]
本発明の化学蓄熱装置は、本発明の化学蓄熱材成形体が充填された第1の容器と、第2の容器と、該第1の容器と該第2の容器の間をつなぐ流路と、を有することを特徴とする。
<構造>
図7は、化学蓄熱装置の概略構成を示す模式図である。化学蓄熱装置20は、化学蓄熱材が含まれた多孔質体3を含む第1の容器11と、水を充填させた第2の容器12と、第1の容器11と第2の容器12の間をつなぐ流路13を有する。多孔質体3は、化学蓄熱材が充填された領域1’と、化学蓄熱材が充填されていない領域2’を有し、この実施態様では、多孔質体3の化学蓄熱材が充填されていない領域2’のみが第1の容器11の内壁に接しており、多孔質体3の化学蓄熱材が充填された領域1’は第1の容器11の内壁に接しないように配置される。
また、第1の容器11には、化学蓄熱材を投入する蒸発・凝縮器、化学蓄熱材を加熱する電気炉、第1の容器11内の圧力を測定する圧力ゲージ、第1の容器11内の水分を吸引する真空ポンプが設けられていてもよい。
第2の容器12には、水を投入する蒸発・凝縮器、水を加熱する電気炉、第2の容器12内の圧力を測定する圧力ゲージが設けられていてもよい。
第1の容器11と第2の容器12の間をつなぐ流路13は、さらに蒸発・凝縮器や真空ポンプおよび外部と連結していてもよい。また、流路13はバルブを備えていてもよい。
前記第1の容器の内壁に対して、前記化学蓄熱材成形体のうち、前記多孔質体の化学蓄熱材が充填されていない領域が接することが好ましい。気相の物質移動ができる経路である前記多孔質体の化学蓄熱材が充填されていない領域を第1の容器内壁との間に設けることにより、従来の課題である腐食の問題を解決することが可能である。すなわち、腐食性のある化学蓄熱材は、このような構成とすることにより第1の容器内壁に触れず、容器材料の選択肢および/または化学蓄熱材の選択肢が広がることとなる。また材料の制約条件の緩和により、コストが安価な装置を作製することができる。
ここで、Na2Sは鉄などに対して腐食性を有するため、従来は化学蓄熱材としてあまり採用されていなかった。本発明では、上記構成とすることにより、前記第1の容器内壁の材質が、金属(例えば鉄)、セラミック、ガラスとしても化学蓄熱材に腐食されず、かつ、容器材料コストを抑制して安価な化学蓄熱装置とできる観点から好ましい。
また、化学蓄熱材がH2O(気体)によって水和されてNa2S・5H2O(固体)となる、気体−固体の反応例を説明してきたが、固体が融点(Na2S・5H2Oでは100℃)以上になると融解して液化する場合がある。また、Na2S・5H2Oを化学蓄熱材として利用する場合において、さらに水和が進んで融点50℃のNa2S・9H2Oが形成されて、化学蓄熱材が液体となる場合もある。
化学蓄熱材が液体となる場合、多孔質体の毛細管力により保持する効果はあるが、図7の構成のように化学蓄熱材の周囲を濡れない部分とすることにより、化学蓄熱材の保持がより効果的となる。
その他の化学蓄熱材を利用するときを含め、反応により生成される物質の融点が低い場合はしばしば存在する。そのため、前記第一の容器の内壁に対して、前記化学蓄熱材成形体のうち、前記多孔質体の化学蓄熱材が充填されていない領域が接する構成により、従来使用できなかった化学蓄熱材の選択肢が広がる。
この場合、融点が低い物質を生成するような化学蓄熱材としては、上述のNa2Sの水和系の他、MgCl2などを挙げることができる。
<使用態様>
このような構成の本発明の化学蓄熱装置は、任意の熱源によって化学蓄熱材を反応させることにより蓄熱することができる。例えばNa2Sの水和系を化学蓄熱材として用いる場合は、所定温度で大気中の水蒸気と接触させることにより水和反応熱(水蒸気収着熱)を熱エネルギーとして取り出すことができる。また、気密封鎖空間内の一方で水蒸気吸着を行わせ、他方では水を蒸発させることもできる。蓄熱後は、水和状態に保つことにより容易に蓄熱状態を維持することができ、またその蓄熱状態を維持しながら所望の場所へ持ち運ぶことができる。
図7に示した構成の化学蓄熱装置を用いて、水和反応系化学蓄熱材であるNa2Sを用いた場合の本発明の化学蓄熱装置へ蓄熱するときの使用態様について説明する。この構成では、化学蓄熱装置全体を気密封鎖空間とし、水を導入した第2の容器12を加熱して水を蒸発させる。蒸発した水は、流路13を通じて第1の容器11に移動させることができる。第1の容器11に移動した水蒸気を化学蓄熱材であるNa2Sに水蒸気吸着させてNa2S・5H2Oなど(その他水和物、例えばNa2S・9H2Oなどへ反応させてもよい)へと反応させ、この吸熱反応によって第2の容器12の加熱に用いた熱を蓄熱することができる。
一方、放熱する場合には、化学蓄熱材を加熱脱水することにより放熱することができる。気密封鎖空間内の一方で加熱脱水を行わせ、他方では水を液化させることもできる。脱水された化学蓄熱材は、水蒸気の流路のバルブを閉めることにより、乾燥状態を保つことができる。
図7に示した構成の化学蓄熱装置を用いて、水和反応系化学蓄熱材であるNa2Sを用いた場合の本発明の化学蓄熱装置から放熱するときの使用態様について説明する。この構成では、化学蓄熱装置全体を気密封鎖空間とし、Na2S・5H2Oを含む第1の容器11を加熱して、水和水を水蒸気として蒸発させる発熱反応を起こし、任意の方法で第1の容器11を加熱したときよりも大きな反応熱を取り出すことができる。なお、第1の容器11から蒸発した水は、流路13を通じて第2の容器12に移動させることができる。第2の容器12に移動した水蒸気は、適宜、液体状態の水へと戻すことができる。
本発明の化学蓄熱装置は、吸熱および放熱を複数回繰り返し行うことができる。特に、水和反応系化学蓄熱材を用いた場合、水蒸気の可逆的収脱着による蓄熱/放熱の繰り返し操作が容易にできる。
なお、本発明の化学蓄熱装置を用いて吸熱および放熱を複数回繰り返し行う場合も、化学蓄熱材成形体中における化学蓄熱材が充填された多孔質体と、化学蓄熱材が充填されていない多孔質体の配置が維持されることが好ましい。
なお、本発明の化学蓄熱装置を利用した蓄熱システムについては、上記の使用態様に制限されるものではなく、公知のその他の態様に本発明の化学蓄熱装置を利用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例に限定されるものではない。
[実施例1、比較例1および2]
(化学蓄熱材成形体の製造)
化学蓄熱材が充填された多孔質体1は、るつぼに入れた市販の粒状のNa2S・5H2Oを100℃以上に加熱して溶融し、その中に多孔質体を含浸させることにより、調製した。
上記にて調製した化学蓄熱材が充填された多孔質体1を用いて、化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2を互いに熱伝導できるように密接させて配置し、容器11に入れた実施例1の化学蓄熱材成形体4を製造した。図2に、それぞれ別に用意した化学蓄熱材が充填された多孔質体1と、化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2を複数用いた実施例1の化学蓄熱材成形体4の構造を示す。
一方、化学蓄熱材がすべての領域に充填された多孔質体1のみを用いて、図3に示したように容器11に入れた比較例1の化学蓄熱材成形体を製造した。
化学蓄熱材がすべての領域に充填された多孔質体1のみを用いて、図4に示したように互いに密着するように器に入れた比較例2の化学蓄熱材成形体を製造した。
(評価)
得られた実施例1の化学蓄熱材成形体は、化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2が、化学蓄熱材が充填された多孔質体1が吸熱または発熱反応を行ったときに移動する水蒸気の物質移動を行える経路としての性質を有し、かつ、熱移動を行える経路としての性質も有する。
一方、比較例1の化学蓄熱材成形体は、物質移動のための空間を作ると、熱移動を効率的に行うことができない。
比較例2の化学蓄熱材成形体は、化学蓄熱材がすべての領域に充填された多孔質体を接触させると熱移動は効率的に行うことができるが、物質移動を効率的に行うことができない。
効果を実証した実験結果の一例を示す。物質移動のための空間を多孔質体でつくった実施例1の場合の性能と、物質移動のための空間をつくらなかった比較例2の場合の性能比較である。
実施例1で製造した化学蓄熱材成形体を用いて、図7に示す構成である実施例1の化学蓄熱装置を製造した。具体的には、実施例1で製造した化学蓄熱材成形体を第1の容器11として用いて、水を充填させた第2の容器12と、流路13を介して接続させ、化学蓄熱装置20とした。その後、第1の容器11を加熱し、Na2S・5H2Oから水和水を除き、Na2Sを化学蓄熱材として用いた実施例1の化学蓄熱装置を製造した。
比較例2で製造した化学蓄熱材成形体を用いて、図7に示す構成である比較例2の化学蓄熱装置を製造した。具体的には、比較例2で製造した化学蓄熱材成形体を第1の容器11として用いて、水を充填させた第2の容器12と、流路13を介して接続させ、化学蓄熱装置20とした。その後、第1の容器11を加熱し、Na2S・5H2Oから水和水を除き、Na2Sを化学蓄熱材として用いた比較例2の化学蓄熱装置を製造した。
実施例1および比較例2の化学蓄熱装置を用いて、以下の方法で蓄熱および発熱を行ったときの蓄熱材料の温度を測定し、その時間ごとの変化を記録した結果を図8に示す。具体的な操作は、まず、系全体を密閉した状態で真空ポンプにより10Pa(0.0001atm)とし、蓄熱材料の水和水を除いたNa2Sの状態とし、弁を閉じた。その後、弁を開け、第2の容器12は40℃で3200秒間の間保持し、水蒸気を発生させ、流路13を通じて第1の容器11の化学蓄熱材が充填された多孔質体1においてNa2Sへ水蒸気を反応させる水和発熱反応を行い、蓄熱した熱の放熱をさせた。この放熱過程において、蓄熱材料の温度は60℃程度まで上昇した。その後、弁を閉じて流路13を閉じ、加熱開始から3200〜6400秒までの3200秒間において、系全体を密閉した状態で真空ポンプにより再び10Pa(0.0001atm)とし、蓄熱材料の水和水を除いた状態とした。その後、同様に発熱操作を行い、この場合、若干第1回目の温度上昇より劣るが、第2回目の温度上昇が測定された。
物質移動のための空間を多孔質体でつくった実施例1の場合のグラフ31は、反応により温度上昇が測定されるのに対し、物質移動のための空間を多孔質体でつくらない比較例2の場合、すなわち、蓄熱材料だけを封入して融解凝固させた材料の場合のグラフ32は反応がほとんど起こらず、温度上昇が測定されていない。
以上より、実施例1の化学蓄熱材成形体は、化学蓄熱材が充填された多孔質体1を単独で用いた比較例2の場合よりも、熱移動の効率及び物質移動の効率において、特に、物質移動の効率が良い化学蓄熱材成形体であることがわかった。
[実施例2]
(化学蓄熱材成形体の製造)
円柱状の多孔質体(一体物)に対して、その底面部および側面部の一定の領域に、テフロン(登録商標)のスプレーを噴霧した。
その後、るつぼに入れた市販の粒状のNa2S・5H2Oを100℃以上に加熱して溶融し、その中に上記にて調製した多孔質体を含浸させた。
その結果、図6のように、化学蓄熱材が充填されていない領域2’が底面部および側面部に形成され、内部に化学蓄熱材が充填された領域1’が形成された化学蓄熱材成形体が得られた。得られた化学蓄熱材成形体を、図6に示すように、化学蓄熱材が充填されていない領域2’が容器内壁と接触するように、容器11内に配置した。
(評価)
得られた実施例2の化学蓄熱材成形体は、多孔質体の化学蓄熱材が充填されていない領域2’が、多孔質体の化学蓄熱材が充填された領域1’が吸熱または発熱反応を行ったときに移動する水蒸気の物質移動を行える経路としての性質を有し、かつ、熱移動を行える経路としての性質も有するものであり、熱移動の効率および物質移動の効率が良い化学蓄熱材成形体であることがわかった。
また、図6の構成とすることにより、化学蓄熱材が容器内壁に触れないので容器内壁の腐食の問題を解決することが可能であることがわかった。
実施例2で製造した化学蓄熱材成形体を用いて、図7に示す構成である実施例2の化学蓄熱装置を製造した。具体的には、実施例2で製造した化学蓄熱材成形体を第1の容器11として用いて、水を充填させた第2の容器12と、流路13を介して接続させ、化学蓄熱装置20とした。その後、第1の容器11を加熱し、Na2S・5H2Oから水和水を除き、Na2Sを化学蓄熱材として用いた実施例2の化学蓄熱装置を製造した。
製造した実施例2の化学蓄熱装置を用いて、第2の容器12を40℃に加熱して、水蒸気を発生させ、第1の容器11の多孔質体の化学蓄熱材が充填された領域1’においてNa2Sへ水蒸気を反応させる水和吸熱反応を行い、蓄熱した。その後、第1の容器11を80℃に加熱して、水和後の化学蓄熱材から水和水を除き、発熱させた。その後、同様に蓄熱操作を行ったところ、2回目の蓄熱操作においても多孔質体の化学蓄熱材が充填されていない領域2’には、化学蓄熱材が充填していないことを確認した。
[実施例3]
(化学蓄熱材成形体の製造)
実施例1と同様にして、化学蓄熱材が充填された多孔質体1を、るつぼに入れた市販の粒状のNa2S・5H2Oを100℃以上に加熱して溶融し、その中に多孔質体を含浸させることにより、調製した。
上記にて調製した化学蓄熱材が充填された多孔質体1を用いて、化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2を互いに熱伝導できるように密接させて配置し、容器11に入れた実施例3の化学蓄熱材成形体4を製造した。図9に、それぞれ別に用意した化学蓄熱材が充填された多孔質体1と、化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2を複数用いた実施例3の化学蓄熱材成形体4の構造を示す。
(評価)
得られた実施例3の化学蓄熱材成形体は、化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2が、化学蓄熱材が充填された多孔質体1が吸熱または発熱反応を行ったときに移動する水蒸気の物質移動を行える経路としての性質を有し、かつ、熱移動を行える経路としての性質も有するものであり、熱移動の効率および物質移動の効率が良い化学蓄熱材成形体であることがわかった。
また、図9の構成とすることにより、化学蓄熱材が容器内壁に触れないので容器内壁の腐食の問題を解決することが可能であることがわかった。
[実施例4および5]
(化学蓄熱材成形体の製造)
断面が略楕円となる形状(ピーナッツ形状)やピーナッツの殻の形状などのランダムな形状の多孔質体を多数(断面が略楕円となる形状が最も割合が高い)用いた以外は実施例1と同様にして、るつぼに入れた市販の粒状のNa2S・5H2Oを100℃以上に加熱して溶融し、その中に断面が略楕円となる形状の多孔質体を含浸させることにより、断面が略楕円となる形状の化学蓄熱材が充填された多孔質体1を多数調製した。
上記にて調製した化学蓄熱材が充填された断面が略楕円となる形状の多孔質体1と、化学蓄熱材が充填されていない断面が略楕円となる形状の多孔質体2を互いに熱伝導できるように密接させて多数配置し、円柱状の容器11に入れた実施例4の化学蓄熱材成形体4を製造した。図10に、それぞれ別に用意した化学蓄熱材が充填された多孔質体1と、化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2を複数用いた実施例4の化学蓄熱材成形体4の構造を示す。図10では、化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2が容器11の内壁に接する位置に配置されている。また、図10では、化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2は、化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2同士または化学蓄熱材が充填された多孔質体1とのみ接し、かつ、容器11の内壁に接しないように配置されている。
一方、断面が略楕円となる形状の割合が高い多孔質体の代わりに断面が真円形状(真球形状)の多孔質体を用いた以外は実施例4と同様にして、断面が真円形状の化学蓄熱材が充填された多孔質体1と、断面が真円形状の化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2を互いに熱伝導できるように密接させて配置し、円柱状の容器11に入れた実施例5の化学蓄熱材成形体を製造した。
(評価)
得られた実施例4および5の化学蓄熱材成形体は、いずれも化学蓄熱材が充填されていない多孔質体2が、化学蓄熱材が充填された多孔質体1が吸熱または発熱反応を行ったときに移動する水蒸気の物質移動を行える経路としての性質を有し、かつ、熱移動を行える経路としての性質も有するものであり、熱移動の効率および物質移動の効率が良い化学蓄熱材成形体であることがわかった。
また、実施例4より、図10の構成とすることにより、化学蓄熱材が容器内壁に触れないので容器内壁の腐食の問題を解決することが可能であることがわかった。
さらに、実施例4のような断面が略楕円となる形状の多孔質体を用いた場合は、実施例5の断面が真円の多孔質体を用いた場合よりも多孔質体どうしの接触面積が増加し、熱伝導の効率がさらに高まることがわかった。
1 化学蓄熱材が充填された多孔質体
1’ 多孔質体の化学蓄熱材が充填された領域
2 化学蓄熱材が充填されていない多孔質体
2’ 多孔質体の化学蓄熱材が充填されていない領域
3 多孔質体
4 化学蓄熱材成形体
11 第1の容器
12 第2の容器
13 流路
20 化学蓄熱装置
31 実施例1の化学蓄熱装置を操作したときの蓄熱材料の温度変化
32 比較例2の化学蓄熱装置を操作したときの蓄熱材料の温度変化

Claims (15)

  1. 化学蓄熱材が充填された多孔質体と、化学蓄熱材が充填されていない多孔質体とを含み、
    前記化学蓄熱材が充填された多孔質体と前記化学蓄熱材が充填されていない多孔質体とが熱移動が十分となるように密接していることを特徴とする化学蓄熱材成形体。
  2. 前記化学蓄熱材が、脱水反応に伴い吸熱または放熱し、水和反応に伴い放熱または吸熱する水和反応系化学蓄熱材であることを特徴とする請求項1に記載の化学蓄熱材成形体。
  3. 前記化学蓄熱材がNa2Sである、請求項1または2に記載の化学蓄熱材成形体。
  4. 前記多孔質体は、多孔質体を貫通する連通細孔で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化学蓄熱材成形体。
  5. 前記多孔質体が、セラミックス、カーボンまたは金属であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化学蓄熱材成形体。
  6. 前記化学蓄熱材が充填された多孔質体と、前記化学蓄熱材が充填されていない多孔質体が、それぞれ同一の多孔質体の一部の領域であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の化学蓄熱材成形体。
  7. 多孔質体の一部の領域に対して、化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように処理する工程と、
    前記多孔質体を液体状態の化学蓄熱材に含浸する工程を含むことを特徴とする化学蓄熱材成形体の製造方法。
  8. 前記化学蓄熱材との濡れ性が低くなるように処理する工程が、前記多孔質体の一部の領域へのフッ素樹脂による表面処理であることを特徴とする請求項7に記載の化学蓄熱材成形体の製造方法。
  9. 多孔質体の一部の領域に対して、化学蓄熱材との濡れ性が高くなるように処理する工程と、
    前記多孔質体を液体状態の化学蓄熱材に含浸する工程を含むことを特徴とする化学蓄熱材成形体の製造方法。
  10. 前記化学蓄熱材との濡れ性が高くなるように処理する工程が、前記多孔質体の一部の領域へのプラズマ処理であることを特徴とする請求項9に記載の化学蓄熱材成形体の製造方法。
  11. 第一の多孔質体に化学蓄熱材を充填させる工程と、
    前記蓄熱材料が充填された第一の多孔質体に対して、化学蓄熱材が充填されていない第二の多孔質体を密接させる工程を含むことを特徴とする化学蓄熱材成形体の製造方法。
  12. 前記化学蓄熱材がNa2Sであることを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載の化学蓄熱材成形体の製造方法。
  13. 請求項7〜12のいずれか一項に記載の化学蓄熱材成形体の製造方法で製造されたことを特徴とする化学蓄熱材成形体。
  14. 請求項1〜6および13のいずれか一項に記載の化学蓄熱材成形体が充填された第1の容器と、
    水を充填させた第2の容器と、
    該第1の容器と該第2の容器の間をつなぐ流路と、を有することを特徴とする化学蓄熱装置。
  15. 前記第一の容器の内壁に対して、前記化学蓄熱材成形体のうち、前記多孔質体の化学蓄熱材が充填されていない領域が接することを特徴とする請求項14に記載の化学蓄熱装置。
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