JP2007077199A - 水蒸気収脱着型蓄熱材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 腐食や潮解の問題を起こすことなく、200℃程度の排熱を高密度で蓄熱することができる水蒸気収脱着型蓄熱材を提供すること。
【解決手段】 本発明による水蒸気収脱着型蓄熱材は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物を多孔質アルミナに対して1〜50質量%担持してなる。該アルカリ金属はリチウムであり、該アルカリ土類金属はカルシウムであり、かつ、該ハロゲン化物は塩化物であることが好ましい。該多孔質アルミナはメソポーラスアルミナであることが好ましい。
【選択図】 図2
【解決手段】 本発明による水蒸気収脱着型蓄熱材は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物を多孔質アルミナに対して1〜50質量%担持してなる。該アルカリ金属はリチウムであり、該アルカリ土類金属はカルシウムであり、かつ、該ハロゲン化物は塩化物であることが好ましい。該多孔質アルミナはメソポーラスアルミナであることが好ましい。
【選択図】 図2
Description
本発明は、新規な水蒸気収脱着型蓄熱材およびその製造方法に関する。
近年、化石燃料の使用削減(二酸化炭素排出規制)が求められており、各プロセスの省エネルギー化に加え、排熱の利用を進める必要がある。工場やごみ焼却場等からは多くの熱エネルギーが未利用のまま排出されており、200℃程度の比較的質の高い熱も少なくない。このような排熱の民生利用を進めるためには、より効率の高い蓄熱技術を開発する必要がある。
効率の高い蓄熱技術として化学蓄熱法が挙げられる。化学蓄熱法は、物質の吸着、水和等の化学変化を伴うため、材料自体(水、溶融塩等)の潜熱や顕熱による蓄熱法に比べて単位質量当たりの蓄熱量が高くなる。化学蓄熱法としては、大気中水蒸気の収脱着による方法、金属塩へのアンモニア吸収(アンミン錯体生成反応)、アルコール等の有機物の収脱着反応等が提案されているが、環境への負荷や装置の簡便性を考慮すると、水蒸気収脱着法が最も有利である。水蒸気収脱着法に用いられる蓄熱材としては、酸化マグネシウム、ゼオライト等の金属酸化物が知られている(特許文献1)。こうした化学蓄熱法は、冷暖房用に供することも出来る。すなわち、水蒸気等を脱着した蓄熱材を室内において室内の水蒸気等を収着させることで暖房に、また、水蒸気等を脱着した蓄熱材を室外において室内の水蒸気等を収着除去させれば冷房に用いることができる。水蒸気等を収着した蓄熱材は、産業排熱で脱着し、繰り返し使用できる。
酸化マグネシウムやゼオライトを蓄熱材とする水蒸気収脱着法では、蓄熱材の再生温度、すなわち蓄熱に必要な熱源(排熱)温度が250℃以上である。したがって、より低温で、例えば200℃程度の排熱で効率的に蓄熱可能な蓄熱材が求められる。200℃程度で蓄熱可能な材料としてシリカ、アルミナ等が知られているが、ゼオライト等に比べて蓄熱密度(単位質量当たりの発熱量)が低い。また、金属塩水和物の脱水反応は高いエンタルピーを要し、その利用が多数検討されているが、腐食性や潮解性のため、金属塩水和物をそのまま使用することはできず、特殊な材料を反応器として用いる必要がある。したがって、本発明は、腐食や潮解の問題を起こすことなく、200℃程度の排熱を高密度で蓄熱することができる水蒸気収脱着型蓄熱材を提供することを目的とする。
本発明によると、
(1)アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物を多孔質アルミナに対して1〜50質量%担持してなる水蒸気収脱着型蓄熱材;
(2)該アルカリ金属がリチウムであり、該アルカリ土類金属がカルシウムであり、かつ、該ハロゲン化物が塩化物である、(1)に記載の水蒸気収脱着型蓄熱材;
(3)該多孔質アルミナが、50〜2000m2/gの比表面積を有するメソポーラスアルミナである、(1)または(2)に記載の水蒸気収脱着型蓄熱材;ならびに
(4)アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物を多孔質アルミナに担持するに際し、該多孔質アルミナを該ハロゲン化物のアルコール溶液に浸漬することを特徴とする、(1)に記載の水蒸気収脱着型蓄熱材の製造方法
が提供される。
(1)アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物を多孔質アルミナに対して1〜50質量%担持してなる水蒸気収脱着型蓄熱材;
(2)該アルカリ金属がリチウムであり、該アルカリ土類金属がカルシウムであり、かつ、該ハロゲン化物が塩化物である、(1)に記載の水蒸気収脱着型蓄熱材;
(3)該多孔質アルミナが、50〜2000m2/gの比表面積を有するメソポーラスアルミナである、(1)または(2)に記載の水蒸気収脱着型蓄熱材;ならびに
(4)アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物を多孔質アルミナに担持するに際し、該多孔質アルミナを該ハロゲン化物のアルコール溶液に浸漬することを特徴とする、(1)に記載の水蒸気収脱着型蓄熱材の製造方法
が提供される。
本発明による蓄熱材は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物、特に塩化カルシウム、を用いたことにより、200℃程度の排熱を高密度で蓄熱することができる。さらに本発明による蓄熱材は、多孔質アルミナ、特にメソポーラスアルミナ、を用いたことにより、腐食や潮解の問題を極力防止することができ、その取扱いも容易である。
本発明による水蒸気収脱着型蓄熱材は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物を多孔質アルミナに対して1〜50質量%担持してなる。アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、200℃程度で水が脱離することにより蓄熱され、かつ、室温付近で大気中の水蒸気と反応(水和)することにより発熱するいずれのアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物でも用いることができる。アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられ、またアルカリ土類金属としてはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられる。好ましいアルカリ金属はリチウムであり、また好ましいアルカリ土類金属はカルシウムである。本発明によると、特にカルシウムを用いることが好ましい。ハロゲン化物としてはフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物が挙げられ、特に塩化物を用いることが好ましい。アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物は、市販品を使用することができる。
このようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物、例えば塩化カルシウムの水和物は、200℃付近まで加熱することにより可逆的に脱水されて塩化カルシウム無水物となる。一方、塩化カルシウム無水物は、室温付近で大気中の水蒸気に晒されることにより化学量論的に水和物となり水和反応熱を放出する。この水和反応熱は、従来の酸化マグネシウム、ゼオライト等の金属酸化物と比べて十分に高いため、蓄熱の高密度化に寄与することができる。
本発明によると、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物を多孔質アルミナに担持させる。多孔質アルミナに担持させることにより、高湿度下で潮解したアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物の水溶液が多孔質アルミナの細孔内に保持され、よって反応器の腐食が防止される。潮解したアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物の水溶液を十分に保持するためには、比表面積が高く、またその目的に適したサイズの細孔を有する多孔質アルミナを用いることが好ましい。特に、多孔質アルミナは比表面積が50〜2000m2/gの範囲内にあることが好ましく、さらには比表面積が200〜1500m2/gの範囲内にあることがより好ましい。また、このような潮解液を保持するのに適したサイズとして、多孔質アルミナの細孔径が2〜50nmの範囲内にあることが好ましい。このような細孔径を有する多孔質アルミナとしては、有機物が形成するミセルを「鋳型」として利用する方法(モービル法)で得られる、メソポーラスアルミナが知られている。この方法は、前駆体となるアルミニウムアルコキシド溶液を有機物界面活性剤の存在下で加水分解させ、得られた析出物を洗浄し、乾燥し、そして焼成する工程を含む。使用する界面活性剤の炭素鎖の長さによって、多孔質アルミナの細孔径を数nmのレベルで均一に制御することができる。メソポーラスアルミナは、市販品を使用することができる。
アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物の多孔質アルミナに対する担持量は、一般に1〜50質量%、好ましくは5〜35質量%の範囲内とする。担持量が1質量%より少ないと、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物による水和反応熱が不十分となり、蓄熱の高密度化が図れない。反対に担持量が50質量%より多いと、水蒸気収着量の増大に伴いアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物の潮解液が多孔質アルミナの細孔から溢れ出して蓄熱材表面に析出しやすくなる。
本発明による水蒸気収脱着型蓄熱材は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物の水溶液またはアルコール溶液を多孔質アルミナに含浸させ、蒸発乾固および乾燥工程を経ることにより調製される。アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物の水溶液またはアルコール溶液中濃度は、個別具体的な組み合わせに対応する溶解度が上限となること以外、特に制限はない。アルコールを用いる場合には、高い溶解度を得るため、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコールを用いることが好ましい。含浸処理の温度、時間等に特に制限はなく、室温で30分程度の撹拌操作を行なえばよい。また、多孔質アルミナの細孔内へ効率よく含浸させるため、真空引きを行ってもよい。蒸発乾固処理は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物の水溶液またはアルコール溶液に多孔質アルミナを懸濁させた流体の流動性がなくなるまで行なう。例えばエタノール溶液を用いた場合、水浴とロータリーエバポレーターを使用し、40℃、1×104Paで30分〜1時間程度で蒸発乾固させることができる。乾燥処理は、空気中常圧にて100〜120℃で12時間程度行なえばよい。多孔質アルミナに対するアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物の担持量は、水溶液またはアルコール溶液中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物と多孔質アルミナとの質量比を変化させることにより、容易に調節することができる。
本発明による水蒸気収脱着型蓄熱材の性能は、その形状には制限されない。ペレット成型する場合の粒子径は、一般に0.5mm〜10mm、好ましくは1mm〜5mmの範囲内となる。本発明による水蒸気収脱着型蓄熱材は、シート状、ハニカム状等に成形することもできる。また、本発明による水蒸気収脱着型蓄熱材に銅プレート等の伝熱促進材料を併用してもよい。
本発明による水蒸気収脱着型蓄熱材は、200℃程度の熱源、例えば工場排熱等の未利用熱によって蓄熱材を加熱脱水することにより蓄熱することができる。脱水された蓄熱材は、乾燥状態に保つことにより容易に蓄熱状態を維持することができ、またその蓄熱状態を維持しながら所望の場所へ持ち運ぶことができる。放熱(またはエントロピー変化による冷熱源化)する場合には、所定温度で大気中の水蒸気と接触させることにより水和反応熱(水蒸気収着熱)を熱エネルギーとして取り出すことができる。また、気密封鎖空間内の一方で水蒸気収着を行わせ、他方では水を蒸発させることにより冷熱を発生させることもできる。このような蓄熱・蓄冷システム自体については、当業者であればこれを容易に理解し、実施することが可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
例1:水蒸気収脱着型蓄熱材の調製
蓄熱材の担体として、メソポーラスアルミナ(担体A1、担体A2)、メソポーラスシリカ(担体S)、Y型ゼオライトおよび活性炭を以下のように調製または用意した。
担体A1及び担体A2は次のように調製した。アルミニウムトリs−ブトキシド8.21グラム(g)をs−ブタノール6.18g中に25℃で撹拌することにより溶解させて溶液Aを得た。これとは別に、界面活性剤としてラウリン酸1.33g(担体A1)又はステアリン酸1.89g(担体A2)をs−ブタノール6.18g中に70℃で撹拌することにより溶解させて溶液Bを得た。溶液Aと溶液Bを混合し、これに水10mLを少量ずつ加え、生成した白色沈殿を室温で24時間撹拌した。その後得られた白色沈殿を濾別し、エタノールで洗浄した後、室温で48時間乾燥した。さらにアルゴン気流下450℃(昇温速度1℃/分)で3時間焼成し、担体A1及び担体A2を得た。
担体Sは、富士シリシア化学株式会社製FSM16をそのまま用いた。
Y型ゼオライトは、触媒学会参照触媒JRC−Y−4.8(触媒化成工業株式会社製)をそのまま用いた。
活性炭は、呉羽化学工業株式会社製球状活性炭をそのまま用いた。
例1:水蒸気収脱着型蓄熱材の調製
蓄熱材の担体として、メソポーラスアルミナ(担体A1、担体A2)、メソポーラスシリカ(担体S)、Y型ゼオライトおよび活性炭を以下のように調製または用意した。
担体A1及び担体A2は次のように調製した。アルミニウムトリs−ブトキシド8.21グラム(g)をs−ブタノール6.18g中に25℃で撹拌することにより溶解させて溶液Aを得た。これとは別に、界面活性剤としてラウリン酸1.33g(担体A1)又はステアリン酸1.89g(担体A2)をs−ブタノール6.18g中に70℃で撹拌することにより溶解させて溶液Bを得た。溶液Aと溶液Bを混合し、これに水10mLを少量ずつ加え、生成した白色沈殿を室温で24時間撹拌した。その後得られた白色沈殿を濾別し、エタノールで洗浄した後、室温で48時間乾燥した。さらにアルゴン気流下450℃(昇温速度1℃/分)で3時間焼成し、担体A1及び担体A2を得た。
担体Sは、富士シリシア化学株式会社製FSM16をそのまま用いた。
Y型ゼオライトは、触媒学会参照触媒JRC−Y−4.8(触媒化成工業株式会社製)をそのまま用いた。
活性炭は、呉羽化学工業株式会社製球状活性炭をそのまま用いた。
塩化カルシウム(塩化カルシウム六水和物)1.30gをエタノール200mLに溶かした溶液に、担体A1、担体A2又は担体S(各1.34g)を懸濁させ、室温で30分撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターを用いて減圧(1×104Pa)しながら40℃でエタノールを蒸発させることにより懸濁液を蒸発乾固させた。次いで、蒸発乾固体を100〜120℃で12時間乾燥させ、塩化カルシウム担持量33質量%の蓄熱材を得た。塩化カルシウム担持量の調節は、懸濁液中の塩化カルシウムと担体との質量比を変更することにより行なった。
得られた各蓄熱材を、粒子径約2mmの錠剤にペレット成型し、これを450℃、1.33×10−3Paで2時間加熱排気処理した。その後錠剤を容器に充填し、25℃、相対湿度0〜0.8で水蒸気を導入し、各錠剤による水蒸気収着量を自動吸着測定装置(ベックマンコールター株式会社製型式OMNISORP100CX)で測定した。
表1に以下の測定に用いた各種担体の窒素吸着測定による結果を示す。またそれぞれの入手先、簡単な調製方法も示す。窒素吸着測定は、上記各錠剤について、日本ベル株式会社製BELSORP−miniを用いて行なった。
例2:担体の水蒸気収着量
担体自体の水蒸気収着量を25℃において相対湿度との関係で測定した結果(水蒸気収着等温線)を図1に示す。従来の水蒸気収着材であるY型ゼオライトは、相対湿度0.1以下の領域で水蒸気収着量が急激に増大したが、相対湿度0.2以上では収着量が飽和し、それ以上の収着量の増大はほとんどなかった。活性炭は、表面が疎水性であることから、相対湿度0.5以下では水蒸気収着がほとんど起こらず、相対湿度0.6以上において収着量が増大した。一方、担体S(メソポーラスシリカ)は、相対湿度の増大とともに水蒸気収着量が直線的に増大し、相対湿度0.6付近でメソ孔への水蒸気の毛管凝縮による収着量の急激な増大が観測された。担体A1(メソポーラスアルミナ)は、相対湿度0.05以下の領域で水蒸気収着量が急激に増大し、さらに相対湿度の増大とともに収着量が直線的に増大する傾向が認められた。担体Sと担体A1は、相対湿度0.6以上の領域において、Y型ゼオライトより水蒸気収着量が多くなった。
担体自体の水蒸気収着量を25℃において相対湿度との関係で測定した結果(水蒸気収着等温線)を図1に示す。従来の水蒸気収着材であるY型ゼオライトは、相対湿度0.1以下の領域で水蒸気収着量が急激に増大したが、相対湿度0.2以上では収着量が飽和し、それ以上の収着量の増大はほとんどなかった。活性炭は、表面が疎水性であることから、相対湿度0.5以下では水蒸気収着がほとんど起こらず、相対湿度0.6以上において収着量が増大した。一方、担体S(メソポーラスシリカ)は、相対湿度の増大とともに水蒸気収着量が直線的に増大し、相対湿度0.6付近でメソ孔への水蒸気の毛管凝縮による収着量の急激な増大が観測された。担体A1(メソポーラスアルミナ)は、相対湿度0.05以下の領域で水蒸気収着量が急激に増大し、さらに相対湿度の増大とともに収着量が直線的に増大する傾向が認められた。担体Sと担体A1は、相対湿度0.6以上の領域において、Y型ゼオライトより水蒸気収着量が多くなった。
例3:蓄熱材の水蒸気収着量
蓄熱材の25℃における水蒸気収着等温線を図2に示す。担体A2の合成時に用いられた界面活性剤(ステアリン酸)は、担体A1の合成時に用いられた界面活性剤(ラウリン酸)よりも炭素鎖が長いため、担体A2は担体A1よりも比表面積および細孔容積が大きくなり(表1)、その結果水蒸気収着量が高くなった。さらに、担体A2に塩化カルシウムを10質量%〜33質量%担持させたことにより、水蒸気収着量が一層増大した。特に、塩化カルシウムを33質量%担持させた場合、相対湿度0.2以上でY型ゼオライトの水蒸気収着量より高くなった。このように、メソポーラスアルミナの合成時に用いられる界面活性剤の種類と金属塩(塩化カルシウム)の担持量を変えることにより、水蒸気収着挙動を制御できることがわかった。同様に、担体S(メソポーラスシリカ)に塩化カルシウムを33質量%担持させた蓄熱材について25℃における水蒸気収着等温線を測定し、その結果を図3に示した。メソポーラスアルミナの場合と同様、塩化カルシウムを担持させたことにより水蒸気収着量が増大した。塩化カルシウムを33質量%担持させたメソポーラスアルミナ(図2)とメソポーラスシリカ(図3)を比較すると、相対湿度0.2以下の領域では、メソポーラスアルミナ(担体A2)の方が多くの水蒸気を収着したことがわかる。
蓄熱材の25℃における水蒸気収着等温線を図2に示す。担体A2の合成時に用いられた界面活性剤(ステアリン酸)は、担体A1の合成時に用いられた界面活性剤(ラウリン酸)よりも炭素鎖が長いため、担体A2は担体A1よりも比表面積および細孔容積が大きくなり(表1)、その結果水蒸気収着量が高くなった。さらに、担体A2に塩化カルシウムを10質量%〜33質量%担持させたことにより、水蒸気収着量が一層増大した。特に、塩化カルシウムを33質量%担持させた場合、相対湿度0.2以上でY型ゼオライトの水蒸気収着量より高くなった。このように、メソポーラスアルミナの合成時に用いられる界面活性剤の種類と金属塩(塩化カルシウム)の担持量を変えることにより、水蒸気収着挙動を制御できることがわかった。同様に、担体S(メソポーラスシリカ)に塩化カルシウムを33質量%担持させた蓄熱材について25℃における水蒸気収着等温線を測定し、その結果を図3に示した。メソポーラスアルミナの場合と同様、塩化カルシウムを担持させたことにより水蒸気収着量が増大した。塩化カルシウムを33質量%担持させたメソポーラスアルミナ(図2)とメソポーラスシリカ(図3)を比較すると、相対湿度0.2以下の領域では、メソポーラスアルミナ(担体A2)の方が多くの水蒸気を収着したことがわかる。
例4:蓄熱材の脱水挙動
水蒸気収着した蓄熱材の昇温脱水挙動を測定した。予め水蒸気圧1.33×103Pa(25℃での相対湿度0.43)で水蒸気収着させておいた各蓄熱材試料を、窒素気流下10℃/分の速度で昇温し、脱離した水蒸気を熱伝導度検出器(ジーエルサイエンス株式会社製GC−320)を用いて測定した。各蓄熱材の脱水挙動を図4に示す。Y型ゼオライトの脱水温度ピークは150℃付近にあるが、塩化カルシウムを10質量%担持させたメソポーラスアルミナは85℃付近に、塩化カルシウムを33質量%担持させたメソポーラスアルミナは75℃付近に、それぞれ脱水温度ピークを有しており、どちらもY型ゼオライトに比べ顕著に低温で脱水(蓄熱)できることがわかる。図4の昇温脱離による脱水量を積分し、各温度までの脱水量の全脱水量に対する割合で定義した脱水率を図5に示した。図5より、塩化カルシウム担持多孔質アルミナは、160℃以下の温度域において、Y型ゼオライトよりも脱水率が高いため、より低温での蓄熱操作においてY型ゼオライトより有利であることがわかる。
水蒸気収着した蓄熱材の昇温脱水挙動を測定した。予め水蒸気圧1.33×103Pa(25℃での相対湿度0.43)で水蒸気収着させておいた各蓄熱材試料を、窒素気流下10℃/分の速度で昇温し、脱離した水蒸気を熱伝導度検出器(ジーエルサイエンス株式会社製GC−320)を用いて測定した。各蓄熱材の脱水挙動を図4に示す。Y型ゼオライトの脱水温度ピークは150℃付近にあるが、塩化カルシウムを10質量%担持させたメソポーラスアルミナは85℃付近に、塩化カルシウムを33質量%担持させたメソポーラスアルミナは75℃付近に、それぞれ脱水温度ピークを有しており、どちらもY型ゼオライトに比べ顕著に低温で脱水(蓄熱)できることがわかる。図4の昇温脱離による脱水量を積分し、各温度までの脱水量の全脱水量に対する割合で定義した脱水率を図5に示した。図5より、塩化カルシウム担持多孔質アルミナは、160℃以下の温度域において、Y型ゼオライトよりも脱水率が高いため、より低温での蓄熱操作においてY型ゼオライトより有利であることがわかる。
例5:蓄熱材の発熱量
各蓄熱材の水蒸気収着による発熱量を測定した。各蓄熱材試料を、450℃、1.33×10−3Paで2時間加熱排気処理し、その後各試料を試料容器に充填し、断熱容器内で25℃で所定の相対湿度で水蒸気を導入し、その際の発熱量を熱量計(株式会社東京理工製MMC−5111)を用いて測定した。各蓄熱材について測定された発熱量を図6に示す。メソポーラスシリカ(担体S)およびメソポーラスアルミナ(担体A1、A2)は、25℃、相対湿度0.79の高水蒸気圧条件下においてY型ゼオライトよりも発熱量が高くなった。さらにメソポーラスアルミナに塩化カルシウムを33質量%担持させたことにより、その発熱量はY型ゼオライトの場合の2倍以上となった。
各蓄熱材の水蒸気収着による発熱量を測定した。各蓄熱材試料を、450℃、1.33×10−3Paで2時間加熱排気処理し、その後各試料を試料容器に充填し、断熱容器内で25℃で所定の相対湿度で水蒸気を導入し、その際の発熱量を熱量計(株式会社東京理工製MMC−5111)を用いて測定した。各蓄熱材について測定された発熱量を図6に示す。メソポーラスシリカ(担体S)およびメソポーラスアルミナ(担体A1、A2)は、25℃、相対湿度0.79の高水蒸気圧条件下においてY型ゼオライトよりも発熱量が高くなった。さらにメソポーラスアルミナに塩化カルシウムを33質量%担持させたことにより、その発熱量はY型ゼオライトの場合の2倍以上となった。
例6:蓄熱/放熱操作
底部直径3cm、底部高さ1cm、上部直径1cm及び上部高さ2cmのガラス製凸形反応容器に、それぞれ塩化カルシウムを33質量%担持させた担体Sと担体A2を底面から高さ約2mm程度充填し、蓄熱操作と放熱操作を繰り返した。蓄熱操作を200℃で行ない、そして放熱操作を25℃で行なったときの発熱量を熱量計で測定し、その結果を表2に示す。
底部直径3cm、底部高さ1cm、上部直径1cm及び上部高さ2cmのガラス製凸形反応容器に、それぞれ塩化カルシウムを33質量%担持させた担体Sと担体A2を底面から高さ約2mm程度充填し、蓄熱操作と放熱操作を繰り返した。蓄熱操作を200℃で行ない、そして放熱操作を25℃で行なったときの発熱量を熱量計で測定し、その結果を表2に示す。
表2より、蓄熱操作と放熱操作を繰り返した際に発熱量(蓄熱量)の減少がなかったことがわかる。すなわち、本発明による水蒸気収脱着型蓄熱材は、水蒸気の可逆的収脱着による蓄熱/放熱の繰り返し操作が可能であることが確認された。
Claims (4)
- アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物を多孔質アルミナに対して1〜50質量%担持してなる水蒸気収脱着型蓄熱材。
- 該アルカリ金属がリチウムであり、該アルカリ土類金属がカルシウムであり、かつ、該ハロゲン化物が塩化物である、請求項1に記載の水蒸気収脱着型蓄熱材。
- 該多孔質アルミナが、50〜2000m2/gの比表面積を有するメソポーラスアルミナである、請求項1または2に記載の水蒸気収脱着型蓄熱材。
- アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物を多孔質アルミナに担持するに際し、該多孔質アルミナを該ハロゲン化物のアルコール溶液に浸漬することを特徴とする、請求項1に記載の水蒸気収脱着型蓄熱材の製造方法。
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