JP2013252725A - ハイブリッド車両のエンジン始動制御装置 - Google Patents

ハイブリッド車両のエンジン始動制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 ハイブリッド車両の燃費を向上することができるエンジン始動制御装置を提供すること。
【解決手段】 エンジンENG又はモータMG或いは両方のトルクにより駆動されるハイブリッド車両に搭載され、ハイブリッド車両がエンジンENGを停止した状態でモータMGのトルクにより駆動されるモータ走行中にモータMGのトルク(エンジン始動用トルク)を用いてエンジンENGを(再)始動することが可能に設けられたエンジン始動制御部10a(エンジン始動制御装置)であって、エンジンENGのクランク角を検出するクランク角検出手段101と、検出されたエンジン停止時のクランク角がモータMGのエンジン始動用トルクが所定値以下となる所定範囲内であるか否かに基づき、モータ走行中のエンジンENGの始動方法を変更する制御手段102とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ハイブリッド車両のエンジン始動制御装置に関する。
従来、エンジン停止時のクランク角(気筒のピストン停止位置)に応じてエンジンの(再)始動方法を変更することでエンジン始動性を向上するエンジン始動制御装置が知られている。例えば特許文献1に記載の装置は、エンジン停止時の膨張行程気筒のピストンの停止位置が所定範囲内にある場合は、エンジン再始動時に、エンジン停止時の圧縮行程気筒に対して燃焼を実行させることでエンジンを逆回転(逆転)させ、上記膨張行程気筒内の圧力を高めた後、当該膨張行程気筒での燃焼により始動を行う。一方、エンジン停止時の膨張行程気筒のピストンの停止位置が上記所定範囲外にある場合は、エンジン再始動時に、上記のようにエンジンを逆転させることなく、スタータ(始動用モータ)でエンジン始動用トルクを発生させてアシストしつつ、エンジン停止時の膨張行程気筒での燃焼により始動を行う。
特開2004−124753号公報
ここで、1つのモータにより車両の駆動力とエンジン始動用トルクの両方を発生させるハイブリッド車両においては、モータのエンジン始動用トルクを低減し、これにより、モータによって車両の駆動力を発生させる領域(モータ走行領域)を拡大することが、燃費向上の観点から望ましい。しかし、上記特許文献1に記載の装置を始めとして従来の技術は、ハイブリッド車両の燃費向上の観点からエンジンの始動方法をどのように変更するかについて考慮していなかった。本発明の目的は、ハイブリッド車両の燃費を向上することができるエンジン始動制御装置を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明のエンジン始動制御装置では、エンジン停止時のクランク角がモータのエンジン始動用トルクを低減可能な所定範囲内であるか否かに基づき、エンジンの始動方法を変更することとした。
よって、モータのエンジン始動用トルクを低減するようにエンジンの始動方法を変更することでモータ走行領域を拡大し、これによりハイブリッド車両の燃費を向上することができる。
実施例1のハイブリッド車両のシステム構成図である。 ピストン停止位置に対するエンジンの始動確率を示す実験結果である。 燃料噴射後の点火時期に対する図示平均有効圧IMEPの大きさを示す実験結果である。 バルブタイミング・ダイヤグラムであり、(a)は従来例、(b)は実施例1を示す。 吸気弁の開口面積に対するガス流速の大きさを示す実験結果である。 モータ走行用トルクの増大による燃費低減率の向上効果を示すグラフである。 ピストン停止位置の確率分布を示す実験結果である。
以下、本発明を実施するため形態を、図面に基づく実施例を用いて説明する。
〔実施例1〕
実施例1のエンジン始動制御装置は、エンジン又はモータ或いはこれら両方のトルクにより駆動されるハイブリッド車両に搭載される。図1は、実施例1のハイブリッド車両のシステム構成図である。ハイブリッド車両の駆動系は、エンジン(内燃機関)ENGと、第1クラッチCL1と、モータジェネレータMGと、第2クラッチCL2と、自動変速機CVTと、駆動輪RL,RRとを有する。
エンジンENGは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、エンジンコントローラ1からのエンジン制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度制御や燃料噴射制御やエンジン始動制御やエンジン停止制御等が行われる。エンジンENGは、1サイクル中に吸入・圧縮・膨張(燃焼)・排気の4工程を含む4ストローク機関であり、複数(実施例では4つ)の気筒を有している。各気筒にはピストンが収装されている。ピストンの上方には燃焼室が形成されていると共に、ピストンはコンロッドを介してクランクシャフトに連結されている。各気筒の燃焼室の頂部には点火プラグが設置され、プラグ先端が燃焼室内に臨んでいる。さらに、燃焼室の側方部には、燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁が設けられている。また、各気筒の燃焼室には吸気ポート及び排気ポートが開口し、これらポートにそれぞれ吸気弁IV及び排気弁EVが設置されている。これらバルブはカムシャフト等からなる動弁機構により駆動され、各気筒が所定の位相差を以て燃焼サイクルを実行するように、各気筒のバルブの開閉時期が設定されている。エンジンENGは、少なくとも吸気弁IVの閉時期IVC(進角・遅角)を変更可能な位相変化型の可変バルブタイミング機構VTCを有すると共に、点火時期の進角・遅角をコントロールする。クランクシャフトには、その回転角(クランク角)を検出するクランク角センサ12が設けられている。クランク角センサ12の検出信号に基づきエンジン回転数Neを算出可能であると共に、例えばクランク角センサ12を複数備えることでクランクシャフトの回転方向(正転と逆転)を検知可能である。エンジン出力軸(クランクシャフト)には、フライホイールFWが設けられている。
第1クラッチCL1は、エンジンENGとモータジェネレータMGの間に、これらを断接可能な動力伝達手段として介装されたクラッチであり、第1クラッチコントローラ5からの第1クラッチ制御指令に基づき第1クラッチ油圧ユニット6により作り出された第1クラッチ制御油圧により、締結・半締結状態・解放が制御される。この第1クラッチCL1としては、例えば、ノーマルクローズの乾式単板クラッチが用いられる。
モータジェネレータMGは、エンジンENGと自動変速機CVTとの間に設けられ、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、モータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機(モータ)として動作することもできるし(力行)、ロータがエンジンENGや駆動輪RL,RRから回転エネルギーを受ける場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機(ジェネレータ)として機能し、バッテリ4を充電することもできる(回生)。
第2クラッチCL2は、モータジェネレータMGと左右駆動輪RL,RRとの間のうち、モータジェネレータMGと自動変速機CVTとの間を断接可能な動力伝達手段として介装されたクラッチである。この第2クラッチCL2は、CVTコントローラ7からの第2クラッチ制御指令に基づき、第2クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、締結・スリップ締結・解放が制御される。この第2クラッチCL2としては、例えば、ノーマルオープンの湿式多板クラッチ等が用いられる。
自動変速機CVTは、車速VSPやアクセル開度APO等に応じて目標入力回転数を決め、無段階による変速比を自動的に変更するベルト式による無段変速機が用いられる。自動変速機CVTの出力軸には、図外の終減速機構を介してディファレンシャルDFが連結され、ディファレンシャルDFから、左ドライブシャフトDSLと右ドライブシャフトDSRを介してそれぞれに左右駆動輪RL,RRが設けられている。
このハイブリッド車両は、駆動形態の違いによる走行モードとして、電気自動車走行モード(以下、「EVモード」という。)と、ハイブリッド車走行モード(以下、「HEVモード」という。)とを有する。「EVモード」は、第1クラッチCL1を解放状態とし、モータジェネレータMG(以下、単に「モータMG」という)を駆動源として走行可能なモードであり、モータ走行モード(モータMGのみを動力源として走行するモード)・回生走行モードを有し、何れかのモードにより走行する。この「EVモード」は、要求駆動力が低く、バッテリの充電容量(蓄電状態)であるバッテリSOCが確保されているときに選択される。「HEVモード」は、第1クラッチCL1を締結状態とし、エンジンENGとモータMGを駆動源として走行可能なモードであり、モータアシスト走行モード(エンジンENGとモータMGの双方を動力源として走行するモード)・発電走行モード(エンジンENGを動力源として、駆動輪RR,RLを駆動すると同時にモータMGを発電機として機能させるモード)・エンジン走行モード(エンジンENGのみを動力源として走行するモード)を有し、何れかのモードにより走行する。この「HEVモード」は、要求駆動力が高いとき、あるいは、バッテリSOCが不足するようなときに選択される。具体的には、モータ走行モードでは、エンジンENGを停止した状態で、モータMGのトルクにより駆動力を賄う。モータ走行モードは、所定の許可条件、例えば所定車速(例えば30km/h)以下、所定アクセル開度(例えば1/8)以下又は所定加速度要求(例えば0.05G)以下、所定モータ回転数(例えば1000rpm)以下、所定水温(例えば40℃)以上、かつバッテリSOCが所定値(例えば40%)以上、といった条件を全て満たしたときに許可される。これらの条件から外れた場合(例えば、定常走行からのアクセル踏み増しやSOCの低下など)にエンジン始動命令が出され、HEVモードへ移行する。
次に、ハイブリッド車両の制御系を説明する。ハイブリッド車両の制御系は、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、CVTコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。尚、各コントローラ1,2,5,7,9と、統合コントローラ10とは、情報交換が互いに可能なCAN通信線11を介して接続されている。
エンジンコントローラ1は、クランク角センサ12からの情報(エンジンENGのクランク角ないしエンジン回転数Ne)と、統合コントローラ10からの目標エンジントルク指令と、他の必要情報(エンジン水温等)を入力する。そして、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、エンジンENGへ出力する。具体的には、燃料噴射弁に対して燃料噴射量及び噴射時期を制御する信号を出力し、点火装置に対して点火時期制御信号を出力し、スロットルバルブのアクチュエータに対してスロットル開度を制御する信号を出力する。
モータコントローラ2は、モータMGのロータ回転位置を検出するレゾルバ13からの情報と、統合コントローラ10からの目標MGトルク指令および目標MG回転数指令と、他の必要情報を入力する。そして、モータMGのモータ動作点(Nm,Tm)を制御する指令をインバータ3へ出力する。また、モータコントローラ2は、バッテリSOCを監視していて、このバッテリSOC情報を、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
第1クラッチコントローラ5は、第1クラッチストロークセンサ15からのセンサ情報と、統合コントローラ10からの目標CL1トルク指令と、他の必要情報を入力する。そして、第1クラッチCL1の締結・半締結・解放を制御する指令を油圧コントロールバルブユニットCVU内の第1クラッチ油圧ユニット6に出力する。
CVTコントローラ7は、アクセル開度センサ16と、車速センサ17と、他のセンサ類18等からの情報を入力する。そして、Dレンジを選択しての走行時、アクセル開度APOと車速VSPにより決まる目標入力回転数をシフトマップにより検索し、検索された目標入力回転数(変速比)を得る制御指令を油圧コントロールバルブユニットCVUに出力する。この変速制御に加えて、統合コントローラ10から目標CL2トルク指令を入力した場合、第2クラッチCL2へのクラッチ油圧を制御する指令を油圧コントロールバルブユニットCVU内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する第2クラッチ制御を行う。また、エンジン始動制御やエンジン停止制御等において、統合コントローラ10から変速制御指令が出力された場合、通常の変速制御に優先し、変速制御指令にしたがった変速制御を行う。
ブレーキコントローラ9は、4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ19と、ブレーキストロークセンサ20からのセンサ情報と、統合コントローラ10からの回生協調制御指令と、他の必要情報を入力する。そして、例えば、ブレーキ踏み込み制動時、ブレーキストロークBSから求められる要求制動力に対し回生制動力だけでは不足する場合、その不足分を機械制動力(液圧制動力やモータ制動力)で補うように、回生協調ブレーキ制御を行う。
統合コントローラ10は、車両全体の消費エネルギーを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、モータ回転数Nmを検出するモータ回転数センサ21や他のセンサ・スイッチ類22からの必要情報およびCAN通信線11を介して情報を入力する。そして、エンジンコントローラ1へ目標エンジントルク指令、モータコントローラ2へ目標MGトルク指令および目標MG回転数指令、第1クラッチコントローラ5へ目標CL1トルク指令、CVTコントローラ7へ目標CL2トルク指令、ブレーキコントローラ9へ回生協調制御指令を出力する。
統合コントローラ10は、エンジン始動制御装置としてのエンジン始動制御部10aを有している。エンジン始動制御部10aは、モータ走行中に、モータMGのトルクTmを用いてエンジンENGを始動することが可能に設けられており、モータ走行中にエンジン始動命令が出された場合、予め待機させておいたモータMGのエンジン始動用トルクを用いてエンジンENGを始動させる。エンジン始動用トルクとしては、走行中に要求される車両の駆動力が最大となる場面においても駆動力応答性を満足できるよう、常に大きなトルク(最大トルク)を待機させており、下記式が成り立つ。
(モータ走行用トルク)=(モータ定格トルク)−(エンジン始動用トルク)
モータ走行用トルクはモータ定格トルクからエンジン始動用トルクを除いた分であり、このトルクの範囲内で発生しうる駆動力により、モータ走行を実行する。但し、運転者の要求する駆動力をモータ走行用トルクで発生し得ない場合には速やかにエンジンENGを始動させる。また、エンジン始動時には、エンジン始動用トルクの範囲内で発生しうるトルク(クランキングトルク)により、エンジンENGのクランキングをアシストする。
エンジン始動制御では、モータMGのエンジン始動用トルク(クランキングトルク)をエンジンENGに伝達すべく、半締結領域内で目標締結容量TCL1*を設定し、第1クラッチCL1のスリップ制御を行う。締結容量TCL1が発生すると、モータMGから第1クラッチCL1を介してクランキングトルクが伝達される。本実施例1ではこのトルクをアシストトルクとして用いつつ、エンジン停止時の膨張行程気筒αの燃焼により発生するトルクを用いてエンジン出力軸(クランクシャフト)を回し、エンジンENGのクランキングを行う。エンジンENGが完爆し、エンジン回転数Neが自立回転を示す値になったことを確認すると、第1クラッチCL1を完全締結状態として、エンジン始動を完了する。上記エンジン始動中は、締結容量TCL2を目標駆動力tFoOに基づき設定し、第2クラッチCL2をスリップ制御する。また、モータMGの制御モードを、モータトルクTmを目標トルクに制御するトルク制御から、モータ回転数Nmを目標回転数に制御する回転数制御へ切り替える。このモータ回転数制御では、第2クラッチCL2のモータ側回転要素の回転数が駆動輪側回転要素の回転数よりも所定量だけ大きくなるように目標回転数Nm*が設定されることで、第2クラッチCL2の過剰なスリップが防止される。尚、第1クラッチCL1の締結容量TCL1を増大させる際、モータMGに作用する負荷(クランキングトルク)が増大すると、モータMGから第2クラッチCL2へ出力されるトルク及びモータ回転数Nmが一時的に低下する。しかし、上記モータ回転数制御により、この低下した回転数を上昇させるよう、高い目標モータトルクが自動的に再設定される。よって、車両走行に必要な駆動力が減少することはなく、駆動輪RR,RLには締結容量TCL2相当のトルクが確実に出力される。エンジン始動が完了すると、モータMGの回転数制御からトルク制御に再び切り換えると共に、スリップ制御していた第2クラッチCL2を完全締結する。
エンジン始動制御部10aは、CAN通信線11を介して入力された情報に基づきエンジンENGのクランク角を検出するクランク角検出手段101と、このクランク角検出手段101により検出されたエンジン停止時のクランク角に基づき、モータ走行中のエンジンENGの始動方法を変更する制御手段102とを備える。制御手段102は、検出されたエンジン停止時のクランク角が所定範囲内であるか否かに基づき、モータ走行中のエンジンENGの(再)始動方法を変更する。具体的には、下記の始動モード(1)(2)((2−1)(2−2))を選択的に実行する。
上記「所定範囲」は、モータMGのエンジン始動用トルクが所定値以下となるクランク角の範囲であり、具体的には50〜135degATDC(膨張行程気筒)である。図2は、エンジン停止時の任意のクランク角において、膨張行程気筒αの燃焼によりエンジンENGが始動可能である確率を示す実験結果であり、横軸にエンジン停止時のクランク角として膨張行程気筒αのピストンの停止位置degATDC(上死点後角度)をとり、縦軸にエンジンENGが始動可能である確率としてこのピストンが上死点TDCを越える割合をとる。図2の縦軸方向の矢印で、モータMGのエンジン始動用トルク(アシストトルク)の付加により上死点TDCを超える割合が増大することを示す。エンジン停止時の膨張行程気筒αの燃焼によりエンジンENGが始動可能な確率が高いということは、その分だけモータMGのエンジン始動用トルクが小さくて済むことを意味する。エンジン停止時のクランク角が上記所定範囲内、すなわちピストン停止位置が50〜135degATDCの範囲内では、上記ピストンが上死点TDCを超える割合が大きい。すなわち、エンジンENGの始動に必要なモータMGのトルク(アシストトルク)が小さくて済む。具体的には、モータMGのエンジン始動用トルクが所定値(例えば30Nm)以下で済む。特に、90degATDCを挟んだ70〜110degATDCの範囲では、ピストンが上死点TDCを超える割合が最大となり、エンジン始動用トルクが最小(例えば20Nm)となる。一方、ピストン停止位置が50〜135degATDC以外の範囲(0〜50 degATDC,135〜180degATDC)では、ピストンがTDCを超える割合が少なくなり、エンジンENGの始動に必要なモータMGのトルクが増大する(例えば40Nm)。
始動モード(1)では、検出されたエンジン停止時のクランク角(膨張行程気筒αのピストン停止位置degATDC)が上記所定範囲内である場合、クランク角(膨張行程気筒αのピストン停止位置degATDC)を特に変更することなく、モータMGの(上記所定値30Nm以下である)エンジン始動用トルクを用いつつ、膨張行程気筒αを燃焼させてエンジンENGを正回転させ、エンジンENGを始動させる。具体的には、モータMGと第1クラッチCL1を上記のように制御してモータMGのトルクをエンジンENGに伝達すると共に、エンジン停止時の膨張行程気筒α及び圧縮行程気筒βのピストン位置(燃焼室の空気量)に見合った(空燃比が理論空燃比付近となるような)量の燃料をこれらの気筒に噴射した後、燃料の気化時間を考慮した所定時間経過後に上記膨張行程気筒αに点火する。そして、所定クランク角となったとき(例えば上記圧縮行程気筒βのピストンが上死点TDCを越えるとき)、上記圧縮行程気筒βに対して点火する。尚、エンジン停止時のピストン位置から、燃焼室の容積を求めることができる。また、実施例1ではエンジン停止の際には燃料カット後にエンジンENGが数回転してから停止するように設けているため、各気筒は新気で満たされた状態にある。さらに、エンジン停止中に各気筒内は略大気圧となる。よって、上記燃焼室の容積から新気量(燃焼室の空気量)を求めることができる。所定の空燃比となるように、上記空気量に見合った量の燃料を噴射する。
始動モード(2)では、検出されたエンジン停止時のクランク角が上記所定範囲から外れている場合、エンジン始動に適切な所定のクランク角まで回転させた後、エンジン停止時の膨張行程気筒αの燃焼により正転方向のトルクを生じさせ、エンジンENGを始動させる。以下、場合分けして説明する。
エンジン停止時のクランク角(膨張行程気筒αのピストン停止位置degATDC)が0〜50degATDCである場合、始動モード(2−1)を実行する。まず、モータMGのエンジン始動用トルクを用いずに、エンジン停止時の膨張行程気筒αでの初回の燃焼により正転方向のトルクを生じさせてエンジンENGを正回転させ、クランク角(上記膨張行程気筒αのピストン位置degATDC)を上記所定範囲内(50〜135degATDC)とする。その後、モータMGのエンジン始動用トルクを用いつつ、上記膨張行程気筒αの2回目の燃焼により正転方向のトルクを生じさせてエンジンENGを正回転させ、エンジンENGを始動させる。この場合、上記「エンジン始動に適切な所定のクランク角」は、上記所定範囲(50〜135degATDC)内の任意の角度である。
具体的には、エンジン停止時の膨張行程気筒αのピストン停止位置(燃焼室の空気量)に応じて空燃比が理論空燃比よりもリーンとなるような量の燃料をこの気筒に噴射した後、燃料の気化時間を考慮した所定時間経過後に上記膨張行程気筒αに点火することで、上記初回の燃焼を行う。その後、検出される上記膨張行程気筒αのピストン位置が上記所定範囲(50〜135degATDC)内になると、モータMGと第1クラッチCL1を上記のように制御してモータMGのトルクをエンジンENGに伝達すると共に、上記膨張行程気筒αの燃焼室の残存空気量及び圧縮行程気筒βの当初のピストン停止位置(燃焼室の空気量)に見合った(空燃比が理論空燃比付近となるような)量の燃料をそれぞれの気筒に噴射した後、燃料の気化時間を考慮した所定時間経過後に上記膨張行程気筒αに点火する。そして、所定クランク角となったとき上記圧縮行程気筒βに対して点火する。尚、上記膨張行程気筒αへの2回目の燃焼の際の空燃比が理論空燃比よりもリッチとなるように設定し、上記2回目の燃焼におけるトルクを稼ぐ(エンジン正転方向の駆動力を高める)ようにしてもよい。
エンジン停止時のクランク角(エンジン停止時の膨張行程気筒αのピストン停止位置degATDC)が135〜180degATDCである場合、始動モード(2−2)を実行する。まず、エンジン停止時の圧縮行程気筒βの燃焼により逆転方向のトルクを生じさせてエンジンENGを逆転させ、クランク角(上記膨張行程気筒αのピストン位置degATDC)を上死点TDCの近傍(0degATDC以上)とする。その後、モータMGのエンジン始動用トルクを用いつつ、上記膨張行程気筒αの燃焼により正転方向のトルクを生じさせてエンジンENGを正回転させ、エンジンENGを始動させる。この場合、上記「エンジン始動に適切な所定のクランク角」は、上死点TDCの近傍(0degATDC以上)の任意の角度である。
具体的には、エンジン停止時の膨張行程気筒α及び圧縮行程気筒βのピストン位置(燃焼室の空気量)に見合った(空燃比が理論空燃比付近となるような)量の燃料をこれらの気筒に略同時に噴射した後、燃料の気化時間を考慮した所定時間経過後に上記圧縮行程気筒βに点火する。上記「所定時間」は、燃料噴射後の燃料の気化時間に相関しており、例えば100msに設定する。図3は、点火時期の実験結果を示し、横軸に燃料噴射後に点火を行うまでの経過時間をとり、縦軸に図示平均有効圧IMEPをとる。図3に示すように、経過時間が100ms(100000μs)のときにIMEPが最大となる。すなわち、上記所定時間は、IMEP(エンジン性能)を最大とするような、燃料噴射後の点火タイミングであり、実験等により設定することができる。
そして、上記圧縮行程気筒βの燃焼によりエンジンENGが逆転し、所定のクランク角まで回転した(上記膨張行程気筒αのピストン位置degATDCが上死点TDC近傍になった)後、当該膨張行程気筒αに点火する。具体的には、検出される上記膨張行程気筒αのピストン位置degATDCが上死点TDC近傍になると、モータMGと第1クラッチCL1を上記のように制御してモータMGのトルクをエンジンENGに伝達すると共に、上記膨張行程気筒αに点火して着火させることで正転方向のトルクを発生させ、これと略同時に、上記圧縮行程気筒βのピストン位置(上記逆転後の上記所定のクランク角における燃焼室の空気量)に見合った(空燃比が理論空燃比付近となるような)量の燃料を上記圧縮行程気筒βに噴射する。そして、エンジン正転後に所定クランク角となったとき上記圧縮行程気筒βに対して点火する。
制御手段102は、エンジン停止時の圧縮行程気筒βをエンジン逆転のために初回燃焼させる際、可変バルブタイミング機構VTCを制御して、当該気筒の吸気弁IVの閉時期(閉タイミング)IVCを遅閉じ側に変更し、その後に当該気筒を燃焼させる。具体的には、吸気弁IVの閉時期IVCを従来よりも遅閉じのタイミングに変更してから、当該気筒に対する初回の燃料噴射を実施する。図4は、バルブ作用角を表すバルブタイミング・ダイヤグラムであり、(a)は従来例、(b)は実施例1を示す。図4の時計回り方向が正転方向である。エンジン停止時の膨張行程気筒αと圧縮行程気筒βの位置、及びエンジン逆転後の両気筒α、βの停止位置を併せて示す。図4に示すように、(b)の実施例では、(a)の従来例よりも、吸気弁IVの閉時期IVCが遅閉じ側に変更される。変更後の閉時期IVCは、エンジン停止時の圧縮行程気筒βの燃焼によりエンジンENGが逆転し、所定のクランク角まで回転した(膨張行程気筒αのピストン位置degATDCが上死点TDC近傍になった)ときに、当該圧縮行程気筒βの吸気弁IVの開口面積が所定値S1以上となるように設定する。上記「所定値S1」とは、例えば吸気弁IVの開口部におけるガスの流速が音速未満となる最小面積である。図5は、上記所定値S1の実験結果を示し、横軸に吸気弁IVの開口面積をとり、縦軸に吸気弁IVの開口部におけるガス流速をとる。図4に示すように、開口面積が所定値S1以上のときにガス流速が音速未満となる。
次に、作用を説明する。
モータ走行中のエンジンENGの始動方法をエンジン停止時のクランク角に基づき変更することで、エンジン始動失敗のリスクを回避しつつ、燃費効果の最大化を図ることができる。すなわち、図2に示すように、エンジン始動に必要なモータMGのトルク(エンジン始動用トルク)は、エンジン停止時のクランク角(エンジン停止時の膨張行程気筒αのピストン位置degATDC)によって変わる。その要因の1つは、エンジン停止時のクランク角に応じて、エンジン停止時の膨張行程気筒αの燃焼トルク(燃焼により発生するトルク)が変化することにある。このように、エンジン停止時のクランク角によっては、エンジン始動に必要なモータMGのトルクが少なくて済む場合がある一方、モータMGのトルクを多く用いなくてはエンジン始動を失敗する可能性が高い場合がある。よって、これらの各場合に応じてエンジン始動方法(始動モード)を変更し、クランク角(上記膨張行程気筒のピストン位置degATDC)が、モータMGのエンジン始動用トルクを低減可能な適切な角度となるように制御してから、(モータMGの少ないエンジン始動用トルクを用いつつ)エンジンENGを始動することで、エンジン始動失敗のリスクを回避しつつ、燃費を向上することができる。すなわち、モータMGのエンジン始動用トルクを低減する(モータMGのトルクをエンジン始動用に極力用いないようにする)ことで、モータ走行用トルクを増大させてモータ走行領域を拡大し、これにより燃費を向上することができる。図6は、モータ走行用トルクの増大による燃費低減率の向上効果を示す。つまり、モータ走行領域拡大のためには、モータ定格トルクを増大させるか、又はエンジン始動用トルクを低減させる必要がある。一般に、モータ定格トルクはシステム電圧、モータ径などによって決まり、定格トルク増大のためにはコストが増大する。そこで、実施例1では、エンジン始動用トルクを低減することによりモータ走行領域を拡大することで、コストの増大を抑制しつつ燃費を向上できる。
図7は、エンジン停止時のクランク角(圧縮行程気筒βのピストン停止位置degBTDC)の確率分布を示す実験結果であり、横軸に圧縮行程気筒βのピストン停止位置(上死点前角度)degBTDCをとり、縦軸に停止確率をとる。エンジン停止時のクランク角が上記所定範囲内にある確率、具体的には圧縮行程気筒βのピストン停止位置degBTDCが45〜130degATDC(膨張行程気筒αのピストン停止位置degATDCが50〜135degATDC)にある確率が最も大きい。検出されたエンジン停止時のクランク角(膨張行程気筒αのピストン停止位置degATDC)が上記所定範囲内(50〜135degATDC)である場合、始動モード(1)を選択する。すなわち、この場合、エンジン停止時の膨張行程気筒αの燃焼トルクが大きいため、クランク角を特に変更することなく、モータMGのエンジン始動用トルクを用いつつ、当該膨張行程気筒αを燃焼させてエンジンENGを始動させる。このとき、モータMGのエンジン始動用トルクは小さくて済む。図7に示すように、この場合が生起する確率が最も大きい。この要因の1つは、エンジン停止時、燃料カット後に、圧縮行程気筒βのピストンが上死点TDCに近づくにつれて当該気筒内の空気が圧縮されてピストンを押し返す方向に圧力が作用し、これによりエンジンENGが逆回転すると膨張行程気筒αのピストンが上死点TDC側に移動し、同様に当該気筒のピストンが押し返されるところ、ピストンが上死点TDCに近いほど上記押し返す力が強いため、ピストンの停止位置が行程中間部に近い位置となることが多いからである。尚、エンジン停止時にスロットル弁を制御し、エンジン停止前に吸入空気量を増大することで上記押し返す力を大きくし、これにより上記所定範囲内にクランク角が位置する確率を増大させることとしてもよい。この場合、始動モード(1)を選択する場合が増加し、追加的な始動モード(2)を実行する手間を省くことができる。
検出されたエンジン停止時のクランク角が上記所定範囲から外れ、エンジン停止時の膨張行程気筒αのピストン位置degATDCが上死点TDC近傍(0〜50degATDC)にある場合、始動モード(2−1)を選択する。すなわち、当該膨張行程気筒αを燃焼させ、クランク角(上記膨張行程気筒αのピストン位置degATDC)を上記所定範囲内(50〜135degATDC)まで回転させた後、モータMGのエンジン始動用トルクを用いつつ、当該膨張行程気筒αを燃焼させてエンジンENGを始動させる。この所定範囲内(50〜135degATDC)では、クランク機構の特性上、当該膨張行程気筒αの燃焼トルクが大きいため、モータMGのエンジン始動用トルクは小さくて済む。尚、初回の燃焼時の空燃比をリーンとすることで、初回燃焼後も当該気筒に空気が確実に残存することとなるため、2回目の燃焼が容易となる。また、4気筒よりも多い気筒を有するエンジンENG(例えば8気筒)に適用した場合、エンジン停止時の膨張行程気筒αが2以上存在するため、そのうち1つを燃焼させることで所定範囲内(50〜135degATDC)まで回転させた後、その他の上記膨張行程気筒αを燃焼させてエンジンENGを始動することとすれば、燃焼トルクを効率的に増大することができる。上記の場合、エンジン停止時の圧縮行程気筒βのピストン位置degBTDCは下死点BDCの近傍(130〜180degBTDC)にあり、図7に示すように、このクランク角でエンジンENGが停止する確率は小さい。しかし、このクランク角で停止した場合に備え、従来はモータMGのエンジン始動用トルクを大きく確保しておく必要があるのに対し、本実施例1では適切な(膨張行程気筒αの燃焼トルクが大きい)所定のクランク角まで回転させた後、モータMGのエンジン始動用トルクを用いることで、このエンジン始動用トルクを予め大きく確保しておく必要がない。
検出されたエンジン停止時のクランク角が上記所定範囲から外れ、エンジン停止時の膨張行程気筒αのピストン位置degATDCが下死点BDCの近傍(135〜180degATDC)にある場合、始動モード(2−2)を選択する。すなわち、エンジン停止時の圧縮行程気筒βを燃焼させ、クランク角(上記膨張行程気筒αのピストン位置degATDC)を上死点TDC近傍(0degATDC以上)まで逆転させた後、モータMGのエンジン始動用トルクを用いつつ、上記膨張行程気筒αを燃焼させてエンジンENGを始動(正転)させる。上死点TDC近傍(0degATDC以上)では当該膨張行程気筒α内で十分な量の空気が圧縮されて高い筒内圧力となり、当該気筒の燃焼トルクが大きいため、モータMGのエンジン始動用トルクは小さくて済む。上記の場合、当初のエンジン停止時の圧縮行程気筒βのピストン位置degBTDCは上死点TDC近傍(0〜45degATDC)にあり、図7に示すように、このクランク角で停止する確率は小さい。しかし、このクランク角で停止した場合に備え、従来はモータMGのエンジン始動用トルクを大きく確保しておく必要があるのに対し、本実施例1では適切な(膨張行程燃焼トルクが大きい)所定のクランク角まで回転させた後、モータMGのエンジン始動用トルクを用いることで、このエンジン始動用トルクを予め大きく確保しておく必要がない。
尚、逆転後の膨張行程気筒αの燃焼トルクを十分に確保できるのであれば、逆転させる目標クランク角(所定のクランク角)として、上死点TDC近傍まで逆転させる必要はなく、例えば上記所定範囲内(50〜135degATDC)まで逆転させることとしてもよい。このように所定のクランク角まで逆転させるために、実施例1ではエンジン停止時の圧縮行程気筒βの燃焼を利用する構成であるため、新たな装置を追加する必要がない。
また、エンジン停止時の圧縮行程気筒βに燃料を噴射した後、所定時間をおいてから当該気筒に点火することで、当該気筒における混合気形成を良好にし、逆転時の着火性、発生トルク及び排気性能を向上できる。また、当該圧縮行程気筒βにおいてエンジン停止時のピストン位置(空気量)に見合った量の燃料を噴射することで、空燃比を適切にし、逆転のためのトルクを十分に得ることができる。
また、エンジン停止時の膨張行程気筒αに点火する前に予め当該気筒に燃料を供給しておくことで、当該膨張行程気筒αにおける混合気形成を良好にし、正転時の着火性、発生トルク及び排気性能を向上できる。尚、膨張行程気筒αに対する燃料供給のタイミングは、圧縮行程気筒βに対する燃料供給と略同時でなくてもよく、例えば圧縮行程気筒βの初回燃焼後であってもよい。また、当該膨張行程気筒αにおいてエンジン停止時のピストン位置(空気量)に見合った量の燃料を噴射することで、空燃比を適切にし、正転のためのトルクを十分に得ることができる。
さらに、吸気弁IVの閉時期IVCを従来よりも遅閉じ側に変更することで、逆転後の上記圧縮行程気筒βを掃気し、新気を一部補給できる。よって、逆転後の上記圧縮行程気筒β内が既燃ガスで満たされることを抑制できるため、正転時にも上記圧縮行程気筒βを燃焼させることができ、正転のためのトルクを十分に得ることができる。ここで、逆転終了時に吸気弁IVの開口面積が所定値S1以上となるように設定することで、逆転後の上記圧縮行程気筒βを適切に掃気できる。よって、正転時の燃焼トルクを増大させることができる。尚、吸気弁IVの閉時期IVCを遅閉じ側に変更する際、エンジン停止時の圧縮行程気筒βのピストン位置に応じて吸気弁IVの閉時期IVCを可変とするように構成してもよい。この場合、エンジン停止時のクランク角(上記圧縮行程気筒βのピストン停止位置)に影響されることなくより確実に逆転終了時の吸気弁IVの開口面積を確保して、上記圧縮行程気筒βをより確実に掃気できる。
次に、効果を説明する。
実施例1のエンジン始動制御装置にあっては、以下に列挙する効果を奏する。
(1) エンジンENG又はモータMG或いは両方のトルクにより駆動されるハイブリッド車両に搭載され、ハイブリッド車両がエンジンENGを停止した状態でモータMGのトルクにより駆動されるモータ走行中にモータMGのトルク(エンジン始動用トルク)を用いてエンジンENGを(再)始動することが可能に設けられたエンジン始動制御部10a(エンジン始動制御装置)であって、エンジンENGのクランク角を検出するクランク角検出手段101と、検出されたエンジン停止時のクランク角がモータMGのエンジン始動用トルクが所定値以下となる所定範囲内であるか否かに基づき、モータ走行中のエンジンENGの始動方法を変更する制御手段102とを備える。
よって、モータMGのエンジン始動用トルクを低減するようにエンジンENGの始動方法を変更することでモータ走行領域を拡大し、これによりハイブリッド車両の燃費を向上することができる。
(2)制御手段102は、検出されたエンジン停止時のクランク角が所定範囲から外れている場合、エンジン始動に適切な所定のクランク角まで回転させた後、エンジンENGを始動させる。
よって、モータMGのエンジン始動用トルクを低減可能なクランク角まで回転させた後にエンジンENGを始動させることで、モータMGからのアシストトルクを低減し、燃費を向上できる。
(3)制御手段102は、検出されたエンジン停止時のクランク角が所定範囲から外れている場合、エンジン停止時の圧縮行程気筒βの燃焼により逆転方向のトルクを生じさせて所定のクランク角まで回転させた後、エンジン停止時の膨張行程気筒αの燃焼により正転方向のトルクを生じさせてエンジンENGを始動する。
よって、適切なクランク角まで回転させるために新たな装置を追加する必要がないため、エンジン始動制御装置の構成の簡素化やコスト低減を図ることができる。
(4)制御手段102は、エンジン停止時の圧縮行程気筒βを燃焼させる際、エンジン停止時の圧縮行程気筒βのピストン位置に応じた量の燃料を圧縮行程気筒βに噴射した後、所定時間経過後に圧縮行程気筒βに点火する。
よって、圧縮行程気筒βの燃焼による逆転時の着火性、発生トルク及び排気性能を向上し、エンジン始動性能を向上することができる。
(5)制御手段102は、エンジン停止時の膨張行程気筒αを燃焼させる際、圧縮行程気筒βと略同時に、エンジン停止時の膨張行程気筒αのピストン位置に応じた量の燃料を膨張行程気筒αに噴射し、圧縮行程気筒βの燃焼により所定のクランク角まで回転した後、膨張行程気筒αに点火する。
よって、膨張行程気筒αの燃焼による正転時の着火性、発生トルク及び排気性能を向上し、エンジン始動性能を向上することができる。
(6)少なくとも吸気弁IVの閉時期IVCを変更可能な可変バルブタイミング機構VTCを備え、制御手段102は、エンジン停止時の圧縮行程気筒βの吸気弁IVの閉時期IVCを遅閉じ側に変更してから、圧縮行程気筒βを燃焼させる。
よって、逆転後の圧縮行程気筒β内が既燃ガスで満たされることを抑制することで正転時の発生トルクを向上し、エンジン始動性能を向上することができる。
(7)変更後の閉時期IVCは、圧縮行程気筒βの燃焼により所定のクランク角まで回転したときに、吸気弁IVの開口面積が所定値S1以上となる時期である。
よって、逆転後の圧縮行程気筒βを適切に掃気して、正転時の発生トルクを増大させることができる。
(8)制御手段102は、エンジン停止時の圧縮行程気筒βのピストン位置に応じて吸気弁IVの閉時期IVCを可変とすることとしてもよい。
この場合、エンジン停止時のピストン位置に関わらず逆転後の圧縮行程気筒βを効果的に掃気して、正転時の発生トルクをより確実に増大させることができる。
〔他の実施例〕
以上、本発明を実施するための形態を、図面に基づく実施例により説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、実施例では、モータMGのエンジン始動用トルクを用いてエンジンENGを始動させることとしたが(始動モード(1)(2))、モータMGのエンジン始動用トルクを用いなくても膨張行程気筒αの燃焼トルクのみでエンジン始動可能なクランク角の範囲が存在する場合には、この範囲内でエンジン始動用トルクを用いずにエンジンENGを始動してもよい。また、実施例では、4気筒エンジンENGの例を示したが、8気筒等、他の気筒数のエンジンに本発明のエンジン始動制御装置を適用してもよい。
10a エンジン始動制御部(エンジン始動制御装置)
101 クランク角検出手段
102 制御手段
ENG エンジン
MG モータジェネレータ(モータ)
VTC 可変バルブタイミング機構
α 膨張行程気筒
β 圧縮行程気筒

Claims (8)

  1. エンジン又はモータ或いは両方のトルクにより駆動されるハイブリッド車両に搭載され、前記ハイブリッド車両が前記エンジンを停止した状態で前記モータのトルクにより駆動されるモータ走行中に前記モータのトルクを用いて前記エンジンを始動することが可能に設けられたエンジン始動制御装置であって、
    前記エンジンのクランク角を検出するクランク角検出手段と、
    検出されたエンジン停止時のクランク角が前記モータのエンジン始動用トルクが所定値以下となる所定範囲内であるか否かに基づき、前記モータ走行中の前記エンジンの始動方法を変更する制御手段とを備える
    ことを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。
  2. 請求項1に記載のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
    前記制御手段は、前記検出されたエンジン停止時のクランク角が前記所定範囲から外れている場合、エンジン始動に適切な所定のクランク角まで回転させた後、前記エンジンを始動させることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。
  3. 請求項2に記載のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
    前記制御手段は、前記検出されたエンジン停止時のクランク角が前記所定範囲から外れている場合、エンジン停止時の圧縮行程気筒の燃焼により逆転方向のトルクを生じさせて前記所定のクランク角まで回転させた後、エンジン停止時の膨張行程気筒の燃焼により正転方向のトルクを生じさせて前記エンジンを始動することを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。
  4. 請求項3に記載のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
    前記制御手段は、前記エンジン停止時の圧縮行程気筒を燃焼させる際、前記エンジン停止時の圧縮行程気筒のピストン位置に応じた量の燃料を前記圧縮行程気筒に噴射した後、所定時間経過後に前記圧縮行程気筒に点火することを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。
  5. 請求項4に記載のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
    前記制御手段は、前記エンジン停止時の膨張行程気筒を燃焼させる際、前記圧縮行程気筒と略同時に、前記エンジン停止時の膨張行程気筒のピストン位置に応じた量の燃料を前記膨張行程気筒に噴射し、前記圧縮行程気筒の燃焼により前記所定のクランク角まで回転した後、前記膨張行程気筒に点火することを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。
  6. 請求項3ないし5のいずれかに記載のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
    少なくとも吸気弁の閉時期を変更可能な可変バルブタイミング機構を備え、
    前記制御手段は、前記エンジン停止時の圧縮行程気筒の前記吸気弁の閉時期を遅閉じ側に変更してから、前記圧縮行程気筒を燃焼させることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。
  7. 請求項6に記載のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
    前記変更後の閉時期は、前記圧縮行程気筒の燃焼により前記所定のクランク角まで回転したときに、前記吸気弁の開口面積が所定値以上となる時期であることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。
  8. 請求項6または7に記載のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
    前記制御手段は、前記エンジン停止時の圧縮行程気筒のピストン位置に応じて前記吸気弁の閉時期を可変とすることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。
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