JP2013251331A - 光電変換素子および光電変換素子の製造方法 - Google Patents

光電変換素子および光電変換素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】CIGS膜からなる光電変換層の裏面電極側でのキャリア再結合による短絡電流密度の低下を防ぐとともに、光電変換層と裏面電極の間の密着性が優れた光電変換素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】光電変換素子は、基板上に裏面電極およびCIGS系半導体化合物からなるCIGS膜で構成された光電変換層が形成されたものである。裏面電極の表面に、少なくとも表面がCu、Ga、SeからなるCuGaSe系化合物で構成されたナノ粒子が離散して複数配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換層がCIGS系半導体化合物からなるCIGS(Cu(In,Ga)Se)膜で構成された光電変換素子およびその製造方法に関し、特に、裏面電極側でのキャリア再結合を防止するとともに、光電変換層と裏面電極間の剥離を抑制した光電変換素子およびその製造方法に関する。
現在、太陽電池の開発が盛んに行われている。太陽電池は、光吸収により電流を発生する半導体の光電変換層を裏面電極と透明電極とで挟んだ積層構造を有する。
光電変換層にカルコパイライト系型化合物であるCuInSe(CIS)、CuGaSe(以下、CGSという)、Cu(In,Ga)Se(以下、単にCIGSともいう)を用いたものは、効率が比較的高く、光吸収率が高いため薄膜化できることから、盛んに研究されている。
CIGS太陽電池は、例えば、裏面電極上に、光電変換層として、CIGS層を形成し、このCIGS層上にバッファ層を形成し、更にこのバッファ層上に透明電極が形成されている。
具体的には、ガラス基板上に裏面電極となるMo膜を形成し、CIGS膜を形成している。このCIGS膜上に窓層となる半導体薄膜CdS膜とZnO膜および表面電極となるZnO:Al透明導電膜と反射防止膜MgF膜を順次形成した構成の薄膜太陽電池が知られている。上述の薄膜太陽電池では、裏面再結合を防ぐために光吸収層においてGaの組成比を電極側から窓層側へと減少する分布としている。
しかしながら、光吸収層において形成できるGaの組成比の勾配には限界があり、裏面再結合を防ぐ効果は十分でない。このため、裏面再結合が生じてしまい、短絡電流密度の低下が引き起こされてしまう。
そこで、特許文献1では、裏面電極として機能するMo膜の全面に、Inを含まないCGS層を成膜して、その上にCIGS層を形成した太陽電池を提案している。
特許文献1においては、Mo膜付近のCGS層を形成すると、伝導帯に不連続が生じ、エネルギー障壁が形成される。光励起されたキャリア(ここでは電子)のうちMo膜側に移動するものは障壁で反射されるため、pn接合(CdS層とCIGS膜の界面付近)側へと移動する。つまり、Mo膜での裏面再結合を抑制することができることが開示されている。
特開平11−163376号公報
しかし、上述の特許文献1の構成のように、CGS層をMo膜の表面に直接製膜すると、密着性が悪くなり、特に、バッファ層を形成する際に、液相成長法の一種であるCBD法を用いた時、膜剥離が生じやすいという問題点がある。
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、CIGS膜からなる光電変換層の裏面電極側でのキャリア再結合による短絡電流密度の低下を防ぐとともに、光電変換層と裏面電極の間の密着性が優れた光電変換素子およびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、基板上に裏面電極およびCIGS系半導体化合物からなるCIGS膜で構成された光電変換層が形成された光電変換素子であって、裏面電極の表面に、少なくとも表面がCu、Ga、SeからなるCuGaSe系化合物で構成されたナノ粒子が離散して複数配置されていることを特徴とする光電変換素子を提供するものである。
例えば、ナノ粒子は、CuGaSe系化合物で構成されている。また、例えば、ナノ粒子は、コアシェル構造を有し、コアがGaまたはセレン化Gaからなり、シェルがCuGaSe系化合物で構成される。
また、例えば、光電変換層上にバッファ層および透明電極が順次積層されており、透明電極側から光が入射される。この場合、バッファ層と透明電極との間に窓層が形成されていてもよい。また、透明電極上に上部電極端子が形成されていてもよい。
基板上に裏面電極およびCIGS系半導体化合物からなるCIGS膜で構成された光電変換層が形成された光電変換素子の製造方法であって、基板上に裏面電極を形成する工程と、裏面電極の表面に、少なくとも表面がCu、Ga、SeからなるCuGaSe系化合物で構成されたナノ粒子を複数離散して形成する工程と、裏面電極上にナノ粒子を覆うようにして、光電変換層としてCIGS膜を形成する工程とを有することを特徴とする光電変換素子の製造方法を提供するものである。
また、基板上に裏面電極およびCIGS系半導体化合物からなるCIGS膜で構成された光電変換層が形成された光電変換素子の製造方法であって、基板上に裏面電極を形成する工程と、裏面電極の表面に、Gaナノ粒子またはセレン化Gaナノ粒子を複数離散して形成する工程と、裏面電極上にGaナノ粒子またはセレン化Gaナノ粒子を覆うようにして、光電変換層としてCIGS膜を形成する工程とを有し、CIGS膜の形成工程で、Gaナノ粒子またはセレン化Gaナノ粒子は、少なくとも表面がCu、Ga、SeからなるCuGaSe系化合物で構成されたナノ粒子になることを特徴とする光電変換素子の製造方法を提供するものである。
例えば、ナノ粒子は、CuGaSe系化合物で構成されている。また、例えば、ナノ粒子は、コアシェル構造を有し、コアがGaまたはセレン化Gaからなり、シェルがCuGaSe系化合物で構成してもよい。
本発明によれば、裏面電極の表面に、少なくとも表面がCuGaSe系化合物で構成されたナノ粒子を離散して複数配置することにより、裏面電極全面ではなく、部分的にCuGaSe系化合物領域が作製される。これにより、裏面電極と光電変換層との膜密着性を保ちつつ、光電変換層と裏面電極との界面のバンドギャップを大きくすることができる。裏面電極の界面のバンドギャップを局所的に光電変換層、すなわち、CIGS膜内で最大にすることにより、裏面電極から光電変換層に向かって、バンドギャップが狭くなっていくプロファイルを容易に形成することができる。これにより、裏面電極の界面で生じるキャリア再結合を減らすことができ、光電変換素子の変換効率の特性を改善することができる。
また、本発明の光電変換素子の製造方法によれば、上述のように変換効率の特性が改善された光電変換素子を得ることができる。
本発明の第一の実施形態を示す模式的断面図である。 本発明の第二の実施形態を示す模式的断面図である。 本発明の第一の実施形態の光電変換素子、特許文献1の光電変換素子および一般的な光電変換素子のバンドギャッププロファイルを示すグラフである。 (a)および(b)は、本発明におけるナノ粒子の形成方法を説明するための模式的断面図である。 (a)〜(c)は、CBD法によるバッファ層形成後の状態を示す図面代用写真であり、(a)は、実施例1の結果を示し、(b)は、比較例1の結果を示し、(c)は、比較例2の結果を示す。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の光電変換素子およびその製造方法を詳細に説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態を示す模式的断面図である。図2は、本発明の第二の実施形態を示す模式的断面図である。
光電変換素子10は、基板12と、この基板12上に形成された裏面電極14と、この裏面電極14上に形成された光電変換層16と、この光電変換層16上に形成されたバッファ層18と、このバッファ層18上に形成された透明電極20と、この透明電極20上に形成された集電電極22とを有する。更には、裏面電極14の表面14aに、少なくとも表面がCu、Ga、SeからなるCuGaSe系化合物で構成されたナノ粒子30が離散して複数配置されている。
このように、ナノ粒子30が裏面電極14の表面14aに離散して複数配置されており、裏面電極14の表面14a全面ではなく、部分的にCuGaSe領域が形成されている。複数のナノ粒子30を覆うようにして、光電変換層16が裏面電極14上に形成されている。光電変換素子10では、透明電極20の表面20a側から光Lが入射される。
本実施形態の基板12は、光電変換素子または太陽電池の基板として通常用いられる基板であれば、特に限定されるものではない。例えば、ソーダライムガラス、高歪点ガラス、または無アルカリガラス等のガラス板が用いられる。また、前述の各種のガラス板にモリブデンがコーティングされたものも基板12に用いることができる。この他、基板12には、ポリイミドを用いることもできる。
更には、基板12には、金属基板の表面に、陽極酸化膜等の電気絶縁層が形成された絶縁層付基板を用いることもできる。この場合、金属基板としては、Al基板またはSUS基板等の金属基板、またはAlと、例えば、SUS等の他の金属との複合材料からなる複合Al基板等の複合金属基板を用いることもできる。
本実施形態の基板12は、例えば、平板状であり、その形状および大きさ等は適用される光電変換素子10の大きさ等に応じて適宜決定されるものである。
基板12の厚さは、特に限定されるものではない。光電変換素子10の大きさ、基板12の形成材料、基板12のフレキシブル性の有無等に応じて、十分な強度を確保できれば、基板12の厚さは、いかなる厚さでも構わない。
裏面電極14は、例えば、Mo、Cr、またはW、およびこれらを組合わせたものにより構成される。この裏面電極14は、単層構造でもよいし、2層構造等の積層構造でもよい。裏面電極14は、Moで構成することが好ましい。また、基板12と裏面電極14との間にナトリウムに代表されるアルカリ金属をCIGS層(光吸収層16)へ供給するための供給層を設けてもよい。
また、裏面電極14の形成方法は、特に制限されるものではなく、例えば、電子ビーム蒸着法、スパッタ法等の気相成膜法により形成することができる。
裏面電極14は、一般的に厚さが800nm程度であるが、裏面電極14は、厚さが400nm〜1000nm(1μm)であることが好ましい。
光電変換層16は、光電変換機能を有するものであり、透明電極20およびバッファ層18を通過して到達した光Lを吸収することにより電流が発生する層である。光電変換層16については、後に詳細に説明する。
バッファ層18は、透明電極20の形成時の光電変換層16を保護すること、および透明電極20に入射した光Lを光電変換層16まで透過させることのために形成されたものである。
バッファ層18は、例えば、CdS、Zn(O、S、OH)、In(S、OH)、ZnMgO、またはZnS(O,OH)等の少なくともIIb族元素およびVIb族元素を含む化合物により構成される。このバッファ層18は、光電変換層16とともにpn接合層を構成する。
バッファ層18は、その厚さが、例えば、20〜100nmである。また、このバッファ層18は、例えば、化学浴析出(CBD:Chemical Bath Deposition)法により形成される。
透明電極20は、バッファ層18上に形成された透明導電膜からなるものである。透明電極20としては、例えば、Al、B、Ga、In等がドープされたZnO、またはITO(インジウム錫酸化物)により構成される。この透明電極20は、単層構造でもよいし、2層構造等の積層構造でもよい。例えば、透明電極20として、ZnO/ITOといった積層構造のものも利用可能である。また、透明電極20の厚さは、特に制限されるものではなく、0.3〜1μmが好ましい。
また、透明電極20の形成方法は、特に制限されるものではなく、電子ビーム蒸着法、スパッタ法、CVD法等の気相成膜法または塗布法により形成することができる。
なお、透明電極20の表面20aに、MgF等からなる反射防止膜が形成されていてもよい。
集電電極22は、透明電極20の表面20aに、例えば、透明電極20に対して局所的に矩形状に形成されるものである。この集電電極22は、光電変換層16で発生した電流を透明電極20から取り出すための電極であり、例えば、矩形状に形成されている。また、集電電極22は、例えば、アルミニウムより構成されるものである。この集電電極22は、例えば、スパッタ法、蒸着法、CVD法等によって形成される。
本実施形態の光電変換素子10においては、バッファ層18と透明電極20との間に窓層が形成された構成でもよい。窓層は、漏れ電流を防ぐとともに、pn接合部に生じる並列抵抗成分を抑制するために、バッファ層18上に形成されるものであり、i−ZnO等からなる高抵抗の絶縁膜により構成される。この窓層は、例えば、スパッタリング法等により形成される。特に、CBD−CdS等のバッファ層18とZnO:Al等の透明電極20との間には、ZnO等の高抵抗膜からなる窓層を形成しておくことが好ましい。
次に、光電変換層16について説明する。
光電変換層16は、CIGS膜で構成される。光電変換層16は、カルコパイライト結晶構造を有するものであるため、光吸収率が高く、光電変換効率が高い。しかも、光照射等による効率の劣化が少なく、耐久性に優れている。
光電変換層16においては、光電変換層16の厚さ方向にGa量の分布を持たせることにより、バンドギャップの幅/キャリアの移動度等を制御できる。これにより、光電変換層16について、シングルグレーデッドバンドギャップ構造、ダブルグレーデッドバンドギャップ構造にすることができる。
光電変換層16(CIGS膜)の厚さは、特に限定されるものではない。しかし、光電変換層16の膜厚が薄すぎると光吸収効率が低いという問題があり、逆に厚すぎると生産適性が低いという問題がある。これらを両立させる点から、光電変換層16の膜厚は、1μm〜3μmが好ましい。
本実施形態の光電変換層16を構成するCIGS膜の成膜方法としては、1)同時蒸着法、2)セレン化法、3)スパッタ法、4)ハイブリッドスパッタ法、5)メカノケミカルプロセス法等が知られている。
このうち、1)同時蒸着法は、CIGSの構成元素を異なる蒸着源から同時に蒸着するもので、成膜方法を制御することにより、Ga濃度勾配を付与したグレーディッドバンドギャップ構造のCIGS光吸収層を成膜することができる。詳しい成膜方法としては、3段階法(J.R.Tuttle et.al,Mat.Res.Soc.Symp.Proc.,Vol.426(1996)p.143.等)と、ECグループの同時蒸着法(L.Stolt et al.:Proc.13th ECPVSEC(1995,Nice)1451.等)とが知られている。
前者の3段階法は、高真空中で最初にIn、Ga、およびSeを基板温度300℃で同時蒸着し、次に500〜560℃に昇温してCuおよびSeを同時蒸着後、In、Ga、およびSeを更に同時蒸着する方法である。後者のECグループの同時蒸着法は、蒸着初期にCu過剰CIGS、後半でIn過剰CIGSを蒸着する方法である。
CIGS膜の結晶性を向上させるため、上記方法に改良を加えた方法として、a)イオン化したGaを使用する方法(H.Miyazaki,et.al, phys.stat.sol.(a),Vol.203(2006)p.2603.等)、
b)クラッキングしたSeを使用する方法(第68回応用物理学会学術講演会 講演予稿集(2007秋 北海道工業大学)7P−L−6等)、
c)ラジカル化したSeを用いる方法(第54回応用物理学会学術講演会 講演予稿集(2007春 青山学院大学)29P−ZW−10等)、
d)光励起プロセスを利用した方法(第54回応用物理学会学術講演会 講演予稿集(2007春 青山学院大学)29P−ZW−14等)等が知られている。
2)次に、セレン化法について説明する。このセレン化法では、最初に、Cu層/In層または(Cu−Ga)層/In層等の積層膜の金属プレカーサをスパッタ法、蒸着法、または電着法等で成膜し、これをセレン蒸気またはセレン化水素中で450〜600℃程度に加熱することにより、熱拡散反応によってCIGS化合物からなる光吸収層を形成する方法である。この方法を気相セレン化法と呼ぶ。この他、金属プリカーサの上に固相セレンを堆積し、この固相セレンをセレン源として固相拡散反応によってセレン化させる固相セレン化法もある。
また、この他、セレン化法においては、セレン化の際に生ずる急激な体積膨張を回避するために、金属プリカーサ膜に予めセレンをある割合で混合しておく方法(T.Nakada et.al,, Solar Energy Materials and Solar Cells 35(1994)204-214.等)、および金属薄層間にセレンを挟み込んで(例えばCu層/In層/Se層…Cu層/In層/Se層と積層する)多層化プリカーサ膜を形成しておく方法(T.Nakada et.al,, Proc. of 10th European Photovoltaic Solar Energy Conference(1991)887-890. 等)等が知られている。
また、セレン化法において、グレーディッドバンドギャップ構造を持つCIGS膜の成膜方法として、最初にCu−Ga合金膜を堆積し、その上にIn膜を堆積することで、セレン化する際の自然熱拡散を利用してGa濃度を膜厚方向で傾斜させる方法がある(K.Kushiya et.al, Tech.Digest 9th Photovoltaic Science and Engineering Conf. Miyazaki, 1996(Intn.PVSEC-9,Tokyo,1996)p.149.等)。
3)スパッタ法としては、CuInSe多結晶をターゲットとした方法、CuSeとInSeをターゲットとし、スパッタガスにHSe/Ar混合ガスを用いる2源スパッタ法(J.H.Ermer,et.al, Proc.18th IEEE Photovoltaic SpecialistsConf.(1985)1655-1658.等)、およびCuターゲットと、Inターゲットと、SeまたはCuSeターゲットとをArガス中でスパッタする3源スパッタ法(T.Nakada,et.al, Jpn.J.Appl.Phys.32(1993)L1169-L1172.等)が知られている。
4)ハイブリッドスパッタ法としては、前述のスパッタ法において、CuとIn金属は直流スパッタで、Seのみは蒸着とするハイブリッドスパッタ法(T.Nakada,et.al., Jpn.Appl.Phys.34(1995)4715-4721.等)が知られている。
5)メカノケミカルプロセス法は、CIGSの組成に応じた原料を遊星ボールミルの容器に入れ、機械的なエネルギーによって原料を混合してCIGS粉末を得、その後、スクリーン印刷によって基板上に塗布し、アニールを施して、CIGSの膜を得る方法である(T.Wada et.al, Phys.stat.sol.(a), Vol.203(2006)p2593等)。
その他のCIGS成膜法としては、スクリーン印刷法、およびスプレー法等が挙げられる。例えば、スクリーン印刷法またはスプレー法等で、Ib族元素、IIIb族元素、およびVIb族元素を含む微粒子膜を基板上に形成し、熱分解処理(この際、VIb族元素雰囲気での熱分解処理でもよい)を実施する等により、所望の組成の結晶を得ることができる(特開平9−74065号公報、特開平9−74213号公報等)。
以上の光電変換層16の成膜方法のうち、CIGS膜のGa濃度分布、CIGS膜中のCu組成等を詳細に制御する点では、特に同時蒸着法が好ましい。
次に、ナノ粒子30について説明する。
ナノ粒子30は、裏面電極14と光電変換層16との膜密着性を保ちつつ、CIGS膜で構成された光電変換層16と裏面電極14との界面(以下、光電変換層16と裏面電極14との界面を、裏面電極14界面という)のバンドギャップを大きくするものである。裏面電極14界面のバンドギャップを局所的に光電変換層16(CIGS膜)内で最大にすることにより、裏面電極14からCIGS膜中のある領域までバンドギャップが徐々に狭くなっていくプロファイルを容易に形成することができる。その結果、裏面電極14界面で生じるキャリア再結合を減らすことができる。これにより、光電変換素子10の短絡電流密度(Jsc)を増加させることができ、変換効率を高くすることができる。
ここで、図3に本発明の実施形態の光電変換素子、特許文献1の光電変換素子および一般的な光電変換素子のバンドギャッププロファイルを示す。
図3において、光電変換素子10のバンドギャッププロファイルは符号Aで表わされる。特許文献1の光電変換素子は、裏面電極全面にCGS層が形成されたものであり、バンドギャッププロファイルは符号Bで表わされるが、密着性が悪く、剥離が生じてしまう。一般的な光電変換素子は、裏面電極全面にCIGS層が単に形成されたものであり、バンドギャッププロファイルは符号Cで表わされる。
図3に示すように、一般的な光電変換素子のバンドギャッププロファイル(符号C参照)では、光電変換層16のある位置から光電変換層と裏面電極との界面に向かってバンドギャップが単調に大きくなっている。
これに対して、本実施形態の光電変換素子10のバンドギャッププロファイル(符号A参照)は特許文献1の光電変換素子のバンドギャッププロファイル(符号B参照)と同様である。本実施形態の光電変換素子10のバンドギャッププロファイル(符号A参照)および特許文献1の光電変換素子のバンドギャッププロファイル(符号B参照)では、光電変換層16のある位置から裏面電極14界面に向かってバンドギャップが単調に大きくなっており、更に符号αで表わす裏面電極14界面近傍でバンドギャップが急激に大きくなっている。本実施形態の光電変換素子10と、全面にCGS層が形成された特許文献1の光電変換素子とは、バンドギャップが裏面電極14界面で同レベルである。しかしながら、特許文献1の光電変換素子は、裏面電極界面での膜密着性が悪く、剥離が生じてしまう。
ナノ粒子30は、例えば、Cu、Ga、SeからなるCuGaSe系化合物で構成される。このCuGaSe系化合物で構成されたナノ粒子30を、単にCGS系化合物のナノ粒子ともいう。
なお、ナノ粒子30は、少なくとも表面がCuGaSe系化合物で構成されたナノ粒子であればよい。このため、図2に示す第二の実施形態の光電変換素子10aのように、コアシェル構造のナノ粒子32であってもよい。コアシェル構造のナノ粒子32においては、例えば、コア34がGaまたはセレン化Gaからなり、シェル36がCuGaSe系化合物で構成される。
ナノ粒子の構成としては、コアシェル構造のナノ粒子32として、シェル36がCuGaSe系化合物で構成され、コア34がGaで構成されたもの(以下、CGS系化合物/Gaと表記する)が単一種で存在しても、シェル36がCuGaSe系化合物で構成され、コア34がセレン化Gaで構成されたもの(以下、CGS系化合物/GaSeと表記する)が単一種で存在してもよく、CGS系化合物/GaとCGS系化合物/GaSeとが混在してもよい。
更には、ナノ粒子の構成としては、CGS系化合物のナノ粒子とCGS系化合物/Gaとが混在しても、CGS系化合物のナノ粒子とCGS系化合物/GaSeとが混在しても、更にはCGS系化合物のナノ粒子とCGS系化合物/GaとCGS系化合物/GaSeとが混在してもよい。
上述のナノ粒子30およびナノ粒子32は、例えば、直径が10〜60nmである。
上述のナノ粒子30およびナノ粒子32は、いずれも、その形状は、特に限定されるものではなく、球状に限定されるものでもない。ナノ粒子30およびナノ粒子32としては、例えば、楕円球状、多面体状、球体が歪んだもの、多面体が歪んだものも含まれる。このように、ナノ粒子30およびナノ粒子32は、いびつな形状であってもよい。
ナノ粒子30は、例えば、図4(a)、(b)に示すようにして形成される。まず、裏面電極14の表面14aにGaを、数ナノメートルの厚さに蒸着し、蒸着後に、加熱処理を施して、図4(a)に示すように、裏面電極14の表面14aにGaナノ粒子38を形成する。
図4(b)に示すように、Gaナノ粒子38を覆うようにして光電変換層16としてCIGS膜を裏面電極14の表面14aに形成する。これにより、Gaナノ粒子38がCuGaSe系化合物に変化し、CuGaSe系化合物で構成されたナノ粒子30になる。
なお、Gaに代えて、裏面電極14の表面14aにGaおよびSeを、数ナノメートルの厚さに蒸着し、蒸着後に、加熱処理を施してセレン化Gaナノ粒子を形成する。その後、セレン化Gaナノ粒子を覆うようにして光電変換層16としてCIGS膜を裏面電極14の表面14aに形成しても、セレン化Gaナノ粒子がCuGaSe系化合物に変化し、CuGaSe系化合物で構成されたナノ粒子30になる。
また、コアシェル構造のナノ粒子32は、例えば、以下のようにして形成される。このコアシェル構造のナノ粒子32は、ナノ粒子30に比して、裏面電極14の表面14aに蒸着するGa、またはGaおよびSeの厚さが、例えば、数十ナノメートルである。蒸着後、加熱処理を施してGaナノ粒子またはセレン化Gaナノ粒子を形成する。その後、裏面電極14の表面14aに、Gaナノ粒子またはセレン化Gaナノ粒子を覆うようにして光電変換層16としてCIGS膜を形成する。このとき、Gaナノ粒子またはセレン化Gaナノ粒子は、表面がCuGaSe系化合物に変化し、表面がCuGaSe系化合物で構成されたコアシェル構造のナノ粒子32になる。
なお、コアシェル構造のナノ粒子32を形成する際、Gaナノ粒子またはセレン化Gaナノ粒子のうち、表面だけではなく全てがCuGaSe系化合物に変化するものがある。この場合には、ナノ粒子30とコアシェル構造のナノ粒子32とが形成される。
更には、上述のナノ粒子30およびナノ粒子32のいずれも、上述のGaナノ粒子またはセレン化Gaナノ粒子を裏面電極14の表面14aに直接分散させることにより形成することもできる。
また、上述のナノ粒子30およびナノ粒子32のいずれも、上述のGa膜を裏面電極14の表面14aの全面に形成した後、スクライブ加工等を施すことにより、Gaナノ粒子を形成する。その後、上述のように光電変換層16としてCIGS膜を形成することにより、ナノ粒子30またはナノ粒子32を裏面電極14の表面14aに形成することができる。
本実施形態の光電変換素子10においては、光電変換素子10の光電変換層16で発生した電流は、裏面電極14および集電電極22から光電変換素子10の外部に取り出される。なお、裏面電極14が正極であり、集電電極22が負極である。また、裏面電極14と、集電電極22とは極性が逆であってもよく、光電変換層16の構成、光電変換素子10構成等に応じて適宜変わるものである。
また、光電変換素子10の表面側に封止接着層(図示せず)、水蒸気バリア層(図示せず)および表面保護層(図示せず)を配置し、光電変換素子10の裏面側、すなわち、基板12の裏面側に封止接着層(図示せず)およびバックシート(図示せず)を配置して、例えば、真空ラミネート法によりラミネート加工してこれらを一体化する。これにより、薄膜太陽電池を得ることができる。
次に、本実施形態の光電変換素子10の製造方法について説明する。
まず、基板12として、例えば、所定の大きさのソーダライムガラス板を用意する。
次に、基板12の表面には、Mo膜が、例えば、600nmの厚さに形成されており、このMo膜が裏面電極14となる。なお、例えば、成膜装置を用いてDCスパッタ法により、裏面電極14としてMo膜を基板12上に形成してもよい。
次に、裏面電極14の表面14aに、上述のように、例えば、Gaを厚さ5nm蒸着し、その後、加熱処理を実施する。これにより、裏面電極14の表面14aにGaナノ粒子38(図4(a)参照)を離散して複数形成する。なお、光電変換層16を形成する際、400℃〜500℃程度の温度に基板12を加熱するため、加熱処理はしなくてもよい。
次に、裏面電極14の表面14aに、光電変換層16として、例えば、MBE装置を用いて、上述の3段階法またはバイレイヤー法により膜厚1.8μmのCIGS膜を、複数のGaナノ粒子38(図4(a)参照)を覆うようにして形成する(図4(b)参照)。このとき、Gaナノ粒子38(図4(a)参照)はCuGaSe系化合物に変化する。これにより、裏面電極14の表面14aに、CuGaSe系化合物で構成されたナノ粒子30が離散して、複数配置される(図4(b)参照)。この光電変換層16の形成の際の基板加熱温度は、例えば、520℃である。
なお、上述のように、Gaナノ粒子38(図4(a)参照)に代えて、セレン化Gaナノ粒子を形成しても、CuGaSe系化合物で構成されたナノ粒子30を、離散して複数配置されることができる。
次に、光電変換層16上に、例えば、バッファ層18となる厚さ50nmのCdS層(n型半導体層)を、CBD法により形成する。これにより、光電変換層16とバッファ層18とでpn接合層が構成される。
なお、バッファ層18としては、CdS層に限定されるものではなく、In(S,OH)、またはZn(O,OH,S)等の少なくともIIb族元素およびVIb族元素を含む化合物層を、例えば、CBD法により形成してもよい。
バッファ層18形成後、バッファ層18上に、窓層として、例えば、厚さ10nmのZnO層を形成する。
次に、透明電極20となる、例えば、AlがドープされたZnO層を、成膜装置を用いて、DCスパッタ法により、例えば、厚さ300nm形成する。これにより、透明電極20が形成される。
次に、透明電極20の表面20aに、例えば、スパッタ法、蒸着法、CVD法により、アルミニウムからなる集電電極22を形成する。これにより、図1に示す光電変換素子10を形成することができる。
本実施形態においては、裏面電極14の表面14aに、CuGaSe系化合物で構成されたナノ粒子30を形成したが、これに限定されるものではない。ナノ粒子30に代えて、図2に示すコアシェル構造のナノ粒子32を形成してもよい。この場合、裏面電極14の表面14a上に、例えば、Ga、またはGaおよびSeを厚さ10nm蒸着し、その後、加熱処理を実施し、Gaナノ粒子またはセレン化Gaナノ粒子を裏面電極14の表面14a上に離散して複数形成する。なお、後工程の光電変換層16を形成工程で、400℃〜500℃程度の温度に基板12を加熱するため、加熱処理はしなくてもよい。
次に、複数のGaナノ粒子またはセレン化Gaナノ粒子を覆うようにして、上述のようにCIGS膜を形成する。このとき、Gaナノ粒子またはセレン化Gaナノ粒子は、その表面がCuGaSe系化合物に変化してコアシェル構造になる。これにより、裏面電極14の表面14aに表面がCuGaSe系化合物で構成されたコアシェル構造のナノ粒子32が離散して、複数配置される。
なお、上述のように、コアシェル構造のナノ粒子32を形成する際、Gaナノ粒子またはセレン化Gaナノ粒子のうち、表面だけではなく全てがCuGaSe系化合物に変化するものがある。この場合には、ナノ粒子30とコアシェル構造のナノ粒子32とが形成される。
本実施形態の光電変換素子10の製造方法においては、裏面電極14の表面14aにナノ粒子30を形成することにより、バッファ層18となるCdS層を、液相成長法の一種であるCBD法を用いて形成しても、裏面電極14と光電変換層16との膜密着性が保たれ、裏面電極14界面での剥離が抑制される。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の光電変換素子およびその製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
以下、本発明の光電変換素子の効果について、より具体的に説明する。なお、以下に示す例に、本発明は限定されるものではない。
本実施例においては、本発明の効果を確認するために、下記表1に示すナノ粒子構成およびナノ粒子構成を有する実施例1〜実施例8の光電変換素子を作製し、それぞれについて電流密度−電圧特性を測定した。
実施例1〜実施例8のナノ粒子については、光電変換層(CIGS膜)を形成した後に、SEM観察およびEDX(エネルギー分散型X線分光法)により、ナノ粒子形態、ナノ粒子の構成および組成を特定し、更には粒子密度を測定した。
なお、下記表1に示すナノ粒子形態の欄の「単一」とは、CGS系化合物のナノ粒子のことを示している。
また、比較のためにナノ粒子を設けることなくCGS層を裏面電極全面に形成した比較例1の光電変換素子、およびナノ粒子を設けることなくCIGS層を裏面電極全面に形成した比較例2の光電変換素子を作製した。後に詳細に説明するように比較例1では、光電変換素子を作製することができなかった。このため、比較例1については電流密度−電圧特性は測定しなかった。そこで、下記表1の変換効率の欄および短絡電流密度の欄には「測定せず(剥離)」と記した。比較例2については電流密度−電圧特性を測定した。
なお、比較例1、2は、ナノ粒子を設けていないため、下記表1のナノ粒子形態の欄および粒子密度の欄は「−」と記している。
実施例1〜実施例8ならびに比較例2の光電変換素子の各電流密度−電圧特性から、変換効率(η)および短絡電流密度(Jsc)を求めた。その結果を下記表1に示す。
なお、電流密度−電圧特性の測定には、Air Mass(AM)=1.5のソーラーシミュレータで、100mW/cmの擬似太陽光を用いた。
(実施例1)
実施例1では、基板に、裏面電極として厚さ600nmのMo膜が形成されたSLG基板(ソーダライムガラス基板)を用いた。SLG基板は、ATOK製で、厚さが1mmである。
基板のMo膜上に、Gaを厚さ10nm蒸着した後、温度200℃で10分の加熱処理を実施し、ナノ粒子をMo膜上に形成した。また、ナノ粒子は直径が40±20nmであり、ナノ粒子の粒子密度は70%であった。
次に、エピクエスト社製のMBE装置を用い、3段階法により、Mo膜上にナノ粒子を覆うようにして、膜厚が1.8μmのCIGS膜を作製した。これにより、ナノ粒子はシェルがCGS系化合物、コアがGaのコアシェル構造となった。なお、基板加熱温度は、520℃とした。
CIGS膜製膜後、CIGS膜上にバッファ層として、厚さ50nmのCdS層を、CBD法により形成した。
バッファ層形成後、スパッタリング法により、バッファ層(CdS層)上に窓層として、厚さ10nmのZnO層を形成し、連続して窓層(ZnO層)上に透明電極として、厚さが300nmのZnO:Al膜を連続製膜した。
次に、透明電極の表面に、スパッタ法にて、アルミニウムからなる集電電極を形成して光電変換素子を作製した。なお、実施例1の光電変換素子は、図2に示す光電変換素子10aと同様の構成である。
(実施例2)
実施例2は、実施例1に比して、基板上に、GaSeを厚さ10nm蒸着した後、温度200℃で10分の加熱処理を実施した後、膜厚が1.8μmのCIGS膜を作製し、シェルがCGS系化合物、コアがセレン化Gaのコアシェル構造のナノ粒子を形成した点以外は、実施例1と全く同様にして作製したものである。このため、実施例2の構成および作製方法に関する詳細な説明は省略する。なお、ナノ粒子は直径が40±20nmであり、ナノ粒子の粒子密度は70%であった。
(実施例3)
実施例3は、実施例1に比して、基板上に、Gaを厚さ5nm蒸着した後、温度200℃で10分の加熱処理を実施した後、膜厚が1.8μmのCIGS膜を作製し、CGS系化合物のナノ粒子を形成した点以外は、実施例1と全く同様にして作製したものである。このため、実施例3の構成および作製方法に関する詳細な説明は省略する。なお、実施例3の光電変換素子は、図1に示す光電変換素子10と同様の構成である。また、ナノ粒子は直径が30±20nmであり、ナノ粒子の粒子密度は60%であった。
(実施例4)
実施例4は、実施例1に比して、基板上に、GaSeを厚さ10nm蒸着した後、温度200℃で10分の加熱処理を実施した後、膜厚が1.8μmのCIGS膜を作製し、シェルがCGS系化合物、コアがセレン化Gaのコアシェル構造のナノ粒子と、シェルがCGS系化合物、コアがGaのコアシェル構造のナノ粒子とを形成した点以外は、実施例1と全く同様にして作製したものである。このため、実施例4の構成および作製方法に関する詳細な説明は省略する。なお、ナノ粒子は直径が40±20nmであり、ナノ粒子の粒子密度は70%であった。
(実施例5)
実施例5は、実施例1に比して、基板上に、Gaを厚さ10nm蒸着した後、温度200℃で10分の加熱処理を実施した後、膜厚が1.8μmのCIGS膜を作製し、シェルがCGS系化合物、コアがGaのコアシェル構造のナノ粒子と、CGS系化合物のナノ粒子とを形成した点以外は、実施例1と全く同様にして作製したものである。このため、実施例5の構成および作製方法に関する詳細な説明は省略する。なお、ナノ粒子は直径が40±20nmであり、ナノ粒子の粒子密度は70%であった。
(実施例6)
実施例6は、実施例1に比して、基板上に、GaSeを厚さ10nm蒸着した後、温度100℃で5分の加熱処理を実施した後、膜厚が1.8μmのCIGS膜を作製し、シェルがCGS系化合物、コアがセレン化Gaのコアシェル構造のナノ粒子と、CGS系化合物のナノ粒子とを形成した点以外は、実施例1と全く同様にして作製したものである。このため、実施例6の構成および作製方法に関する詳細な説明は省略する。なお、ナノ粒子は直径が40±20nmであり、ナノ粒子の粒子密度は70%であった。
(実施例7)
実施例7は、実施例1に比して、基板上に、GaSeを厚さ10nm蒸着した後、温度100℃で5分の加熱処理を実施した後、膜厚が1.8μmのCIGS膜を作製し、シェルがCGS系化合物、コアがセレン化Gaのコアシェル構造のナノ粒子と、シェルがCGS系化合物、コアがGaのコアシェル構造のナノ粒子と、CGS系化合物のナノ粒子とを形成した点以外は、実施例1と全く同様にして作製したものである。このため、実施例7の構成および作製方法に関する詳細な説明は省略する。なお、ナノ粒子は直径が40±20nmであり、ナノ粒子の粒子密度は70%であった。
(実施例8)
実施例8は、実施例1に比して、基板上に、Gaを厚さ2nm蒸着した後、温度200℃で10分の加熱処理を実施した後、膜厚が1.8μmのCIGS膜を作製し、CGS系化合物のナノ粒子を形成した点以外は、実施例1と全く同様にして作製したものである。このため、実施例8の構成および作製方法に関する詳細な説明は省略する。なお、実施例8の光電変換素子は、図1に示す光電変換素子10と同様の構成である。なお、ナノ粒子は直径が15±10nmであり、ナノ粒子の粒子密度は20%であった。
(比較例1)
比較例1は、実施例1に比して、ナノ粒子を形成することなく、基板上に、厚さ100nmのCGS層を形成し、光電変換層として膜厚が1.7μmのCIGS膜を形成した点以外は、実施例1と全く同様にして作製したものである。このため、比較例1の構成および作製方法に関する詳細な説明は省略する。なお、比較例1は、後に詳細に説明するにように、バッファ層形成後に剥離が生じてしまい光電変換素子を作製することができなかった。この比較例1は、特許文献1の光電変換素子の構成に相当するものである。
(比較例2)
比較例2は、実施例1に比して、ナノ粒子を形成することなく、基板上に直接、厚さが1.8μmのCIGS膜を形成した点以外は、実施例1と全く同様にして作製したものである。このため、比較例2の構成および作製方法に関する詳細な説明は省略する。この比較例2は、光電変換層がCIGS膜で構成された一般的な光電変換素子である。
なお、本実施例においては、実施例1〜実施例8ならびに比較例1および比較例2について膜密着性を評価している。
図5(a)〜(c)は、CBD法によるバッファ層形成後の状態を示す図面代用写真であり、(a)は、実施例1の結果を示し、(b)は、比較例1の結果を示し、(c)は、比較例2の結果を示す。
図5(a)に示す実施例1および図5(c)に示す比較例2は、CBD法でバッファ層40を形成しても剥離は生じなかった。
実施例1以外の実施例2〜実施例8も、CBD法でバッファ層を形成しても剥離は生じないことを確認している。
しかしながら、比較例1は、図5(b)に示すように、CBD法でバッファ層40を形成した場合、バッファ層40等の膜の一部が剥離し、剥離領域42が生じた。このため、比較例1では光電変換素子を作製することができなかった。
上記表1に示すように、ナノ粒子を有する実施例1〜実施例8は、一般的な構成の比較例2に比して、短絡電流密度が増えている。この短絡電流密度が増えた原因としては、裏面再結合が減ったためであると考えられる。短絡電流密度が増えたことにより、比較例2に比して変換効率も高い。
また、実施例1〜実施例8は、膜剥離が発生することなく光電変換素子を作製することができた。
上述のように、比較例1は、裏面電極と光電変換層との膜密着性が悪く、光電変換素子を作製することができなかったため、変換効率および短絡電流密度の特性評価をすることができなかった。
10、10a 光電変換素子
12 基板
14 裏面電極
16 光電変換層
18 バッファ層
20 透明電極
22 集電電極
30、32 ナノ粒子

Claims (10)

  1. 基板上に裏面電極およびCIGS系半導体化合物からなるCIGS膜で構成された光電変換層が形成された光電変換素子であって、
    前記裏面電極の表面に、少なくとも表面がCu、Ga、SeからなるCuGaSe系化合物で構成されたナノ粒子が離散して複数配置されていることを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記ナノ粒子は、前記CuGaSe系化合物で構成されている請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記ナノ粒子は、コアシェル構造を有し、コアがGaまたはセレン化Gaで構成され、シェルが前記CuGaSe系化合物で構成されている請求項1に記載の光電変換素子。
  4. 前記光電変換層上にバッファ層および透明電極が順次積層されており、前記透明電極側から光が入射される請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 前記バッファ層と前記透明電極との間に窓層が形成されている請求項4に記載の光電変換素子。
  6. 前記透明電極上に上部電極端子が形成されている請求項4または5に記載の光電変換素子。
  7. 基板上に裏面電極およびCIGS系半導体化合物からなるCIGS膜で構成された光電変換層が形成された光電変換素子の製造方法であって、
    前記基板上に前記裏面電極を形成する工程と、
    前記裏面電極の表面に、少なくとも表面がCu、Ga、SeからなるCuGaSe系化合物で構成されたナノ粒子を複数離散して形成する工程と、
    前記裏面電極上に前記ナノ粒子を覆うようにして、前記光電変換層として前記CIGS膜を形成する工程とを有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  8. 基板上に裏面電極およびCIGS系半導体化合物からなるCIGS膜で構成された光電変換層が形成された光電変換素子の製造方法であって、
    前記基板上に前記裏面電極を形成する工程と、
    前記裏面電極の表面に、Gaナノ粒子またはセレン化Gaナノ粒子を複数離散して形成する工程と、
    前記裏面電極上に前記Gaナノ粒子または前記セレン化Gaナノ粒子を覆うようにして、前記光電変換層として前記CIGS膜を形成する工程とを有し、
    前記CIGS膜の形成工程で、前記Gaナノ粒子または前記セレン化Gaナノ粒子は、少なくとも表面がCu、Ga、SeからなるCuGaSe系化合物で構成されたナノ粒子になることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  9. 前記ナノ粒子は、前記CuGaSe系化合物で構成されている請求項7または8に記載の光電変換素子の製造方法。
  10. 前記ナノ粒子は、コアシェル構造を有し、コアがGaまたはセレン化Gaで構成され、シェルが前記CuGaSe系化合物で構成されている請求項7または8に記載の光電変換素子の製造方法。
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