JP2013250423A - 定着装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】定着装置で用いられる筒状部材の長寿命化を図る。
【解決手段】定着装置は、可撓性を有する筒状部材(定着ベルト110)と、筒状部材の内側に配置された第1定着部材と、第1定着部材との間で筒状部材を挟む第2定着部材と、筒状部材の端面に対面する規制面311A,321Aを有し、筒状部材の端面が規制面311A,321Aに当接することで筒状部材の軸線方向の位置を規制する一対の端面規制部材300とを備える。定着装置は、新品状態のとき、規制面311A,321Aに、筒状部材の端面の周方向に沿って潤滑剤Gが帯状に連続的に塗布されている。
【選択図】図6

Description

本発明は、記録シートに現像剤像を熱定着するための定着装置およびその製造方法に関する。
用紙などの記録シートに現像剤像を熱定着するための定着装置として、筒状の定着フィルムや、フィルム内面ガイド部材との間で定着フィルムを挟む加圧ローラ、定着フィルムの端面を規制して定着フィルムの長手方向への移動を規制するフランジを備えたものが知られている(特許文献1参照)。
特開2008−275755号公報
ところで、定着フィルム(筒状部材)の端面とフランジ(端面規制部材)との間にはグリスなどの潤滑剤を塗布することが考えられるが、潤滑剤を点状に塗布した場合、筒状部材の端面と端面規制部材とが直接当接することがあった。回転する筒状部材の端面と端面規制部材とが直接摺接すると、端面規制部材の筒状部材の端面と摺接する面が摩耗して凸凹(粗面)となり、この凸凹と筒状部材の端面とが干渉することで筒状部材の端面に傷がつくなどして、その部分から割れやすくなるおそれがある。
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、定着装置で用いられる筒状部材の長寿命化を図ることを目的とする。
前記した目的を達成するための本発明は、記録シートに現像剤像を熱定着するための定着装置であって、可撓性を有する筒状部材と、筒状部材の内側に配置された第1定着部材と、第1定着部材との間で筒状部材を挟む第2定着部材と、筒状部材の端面に対面する規制面を有し、端面が規制面に当接することで筒状部材の軸線方向の位置を規制する一対の端面規制部材とを備える。
この定着装置において、新品状態のとき、規制面には、筒状部材の端面の周方向に沿って潤滑剤が帯状に連続的に塗布されている。
この構成によれば、新品状態において、筒状部材の端面と規制面(端面規制部材)との間に潤滑剤が周方向に連続的に塗布されているため、定着装置の使用開始時から、筒状部材の端面と規制面とが直接当接することを抑制することができる。さらに、潤滑剤は、所定の幅を有する帯状に塗布されているため、回転に伴って筒状部材が径方向に動いても、筒状部材の端面と規制面とが直接当接することを抑制することができる。これらにより、筒状部材の端面の割れを抑制できるので、筒状部材の長寿命化を図ることができる。
前記した定着装置において、新品状態のとき、規制面には、筒状部材の端面が当接し得る部分全体に潤滑剤が塗布されていることが望ましい。
これによれば、筒状部材の端面と規制面との間には確実に潤滑剤があることになるため、筒状部材の端面と規制面とが直接当接することをより確実に抑制することができ、筒状部材のさらなる長寿命化を図ることができる。
前記した定着装置において、筒状部材は、金属製の素管を有する構成であってもよい。
金属製の素管は、樹脂製のものと比較して耐久性が高く、筒状部材の長寿命化に寄与し得るが、その一方で端面が規制面と直接当接した場合には、その端面だけではなく、規制面も傷めるおそれがある。そのため、筒状部材の端面と規制面とが直接当接することを抑制できる本発明は、筒状部材が金属製の素管を有する構成において特に有効である。
前記した定着装置において、筒状部材は、素管の少なくとも外周面に形成されたコート層を有することが望ましい。
これによれば、素管の外周面にコート層が形成されていない構成と比較して、コート層の厚みの分だけ筒状部材の端面と端面規制部材の規制面との接触面積を大きくすることができる。これにより、端面規制部材の規制面と筒状部材の端面との接触面圧を下げることができるので、筒状部材の端面に負荷がかかることを抑制することができる。
前記した定着装置において、素管の端面は、コート層で覆われておらず、露出していてもよい。
金属製の素管の端面がコート層で覆われていない場合、素管の端面と規制面とが直接当接し得るため、規制面を傷めるおそれがあることは上記したとおりである。そのため、筒状部材の端面と規制面とが直接当接することを抑制できる本発明は、金属製の素管の端面が露出している構成においても有効である。
前記した定着装置は、規制面が、凹凸のない平面として形成されている構成とすることができる。
前記した定着装置は、回転する筒状部材の内周面をガイドする内周ガイドを備えていてもよい。
この場合、内周ガイドは、端面規制部材の軸線方向の内側に隣接して設けられる構成とすることができる。
これによれば、規制面から筒状部材の内側に入り込んだ潤滑剤が、端面規制部材に隣接して設けられた内周ガイドと、筒状部材の内周面との間に供給されることになるので、筒状部材の内周面の摩耗を抑制することができ、筒状部材の長寿命化を図ることができる。
前記した定着装置は、筒状部材の内側に配置され、軸線方向に沿って延びるフレーム部材と、フレーム部材の両端から筒状部材の内周面に向けて突出するように設けられ、回転する筒状部材の内周面をガイドする内周ガイドとを備える構成とすることができる。
この場合、内周ガイドは、筒状部材の内周面をガイドするガイド面と、ガイド面の軸線方向の少なくとも内側でフレーム部材に向けて傾斜する傾斜面とを有する構成とすることができる。
これによれば、筒状部材をフレーム部材に挿入していく際に、挿入方向手前側の内周ガイドを越えた後、ガイド面の軸線方向内側にある傾斜面により、筒状部材の端面が挿入方向奥側の内周ガイドに引っ掛かることを抑制することができる。これにより、筒状部材をフレーム部材に対して良好に組み付けることができるので、組立時の筒状部材へのダメージを抑制でき、筒状部材の長寿命化を図ることができる。
また、前記した目的を達成するための本発明は、可撓性を有する筒状部材と、筒状部材の内側に配置された第1定着部材と、第1定着部材との間で筒状部材を挟む第2定着部材と、筒状部材の端面に対面する規制面を有し、端面が規制面に当接することで筒状部材の軸線方向の位置を規制する一対の端面規制部材とを備え、記録シートに現像剤像を熱定着する定着装置の製造方法であって、筒状部材の端面と端面規制部材の規制面を対面させた状態に配置する前に、規制面に対し、筒状部材の端面の周方向に沿うように潤滑剤を連続的に塗布する製造方法である。
この製造方法によれば、製造された定着装置は、当初から、筒状部材の端面と規制面との間に潤滑剤が周方向に連続的に塗布されているため、使用開始の時点から、筒状部材の端面と規制面とが直接当接することを抑制することができる。これにより、筒状部材の端面の割れを抑制できるので、筒状部材の長寿命化を図ることができる。
前記した製造方法では、規制面に潤滑剤を塗布した後、筒状部材の端面と端面規制部材の規制面を対面させた状態に配置する前に、塗布した潤滑剤を平らな帯状にならすことが望ましい。
これによれば、潤滑剤が所定の幅を有することになるため、回転に伴って筒状部材が径方向に動いても、筒状部材の端面と規制面とが直接当接することを抑制することができ、筒状部材の一層の長寿命化を図ることができる。
前記した製造方法では、規制面に対し、筒状部材の端面が当接し得る部分全体に潤滑剤を塗布することが望ましい。
これによれば、筒状部材の端面と規制面との間には確実に潤滑剤があることになるため、筒状部材の端面と規制面とが直接当接することをより確実に抑制することができ、筒状部材のさらなる長寿命化を図ることができる。
本発明によれば、筒状部材の端面と規制面(端面規制部材)とが直接当接することを抑制することができるので、筒状部材の長寿命化を図ることができる。
本発明の一実施形態に係る定着装置を備えたレーザプリンタの概略構成を示す図である。 定着装置の拡大断面図である。 定着装置の分解斜視図である。 右端面規制部材をフレーム部材から外した状態を示す図(a)と、右端面規制部材をフレーム部材に組み付けた状態を示す図(b)である。 左端面規制部材をフレーム部材から外した状態を示す図(a)と、左端面規制部材をフレーム部材に組み付けた状態を示す図(b)である。 規制面を正面から見た図であり、右端面規制部材を示す図(a)と、左端面規制部材を示す図(b)である。 内周ガイドを端面規制部材に隣接して設けたことの効果の説明図である。 内周ガイドに傾斜面を設けたことの効果の説明図である。 定着装置の製造方法における潤滑剤塗布工程の説明図(a)〜(c)である。 変形例に係る定着装置の分解斜視図である。 変形例に係る端面規制部材を潤滑剤塗布用の治具にセットした状態を示す平面図である。
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本発明の一実施形態に係る定着装置100を備えたレーザプリンタ1(画像形成装置)の概略構成を簡単に説明した後、定着装置100の詳細な構成や製造方法について説明する。
また、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、記録シートの一例としての用紙Sを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙S上にトナー像(現像剤像)を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙S上に転写されたトナー像を熱定着する定着装置100とを主に備えている。
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、給紙機構33によってプロセスカートリッジ5(感光体ドラム61と転写ローラ63との間)に向けて供給される。
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、図示しないレーザ発光部や、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。この露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、感光体ドラム61の表面で高速走査されることで、感光体ドラム61の表面を露光する。
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像ユニット7とから構成されている。
ドラムユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像ユニット7は、ドラムユニット6に対して着脱可能に装着される構成となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナー(現像剤)を収容するトナー収容部74とを主に備えている。
このプロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Sが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
定着装置100は、プロセスカートリッジ5の後方に設けられている。用紙S上に転写されたトナー像(トナー)は、定着装置100を通過することで用紙S上に熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Sは、搬送ローラ23,24によって排紙トレイ22上に排出される。
<定着装置の詳細構成>
図2および図3に示すように、定着装置100は、筒状部材の一例としての定着ベルト110と、ハロゲンランプ120(熱源)と、第1定着部材の一例としてのニップ板130と、第2定着部材の一例としてのバックアップローラ140と、反射部材150と、ステイ160と、サーモスタット170と、2つのサーミスタ180と、フレーム部材200と、左右一対の端面規制部材300とを主に備えている。
定着ベルト110は、耐熱性と可撓性を有する無端状(筒状)のベルトであり、その両端面がフレーム部材200に設けられた内周ガイド240により回転が案内されている。この定着ベルト110は、図7に示すように、ステンレス綱などの金属からなる素管111と、素管111の外周面に形成されたフッ素樹脂などからなるコート層112とを主に有している。本実施形態において、素管111の両端面(一方のみ図示)は、コート層112で覆われておらず、軸線方向外側に露出している。
図2に示すように、ハロゲンランプ120は、通電によって発熱してニップ板130および定着ベルト110を加熱することで用紙S上に転写されたトナーを加熱するヒータであり、定着ベルト110の内側に配置されている。
ニップ板130は、ハロゲンランプ120からの輻射熱を受ける板状の部材であり、その下面が筒状の定着ベルト110の内周面に摺接するように定着ベルト110の内側に配置されている。このニップ板130は、ハロゲンランプ120から受けた輻射熱を定着ベルト110を介して用紙S上のトナーに伝達するため、熱伝導率が大きい、例えば、アルミニウム板などから形成されている。
バックアップローラ140は、定着ベルト110を介してニップ板130との間で用紙Sを搬送するとともに、用紙S上に転写されたトナーを加圧するローラであり、ニップ板130との間で定着ベルト110を挟むようにしてニップ板130の下方に配置されている。このバックアップローラ140は、本体筐体2内に設けられた図示しないモータから駆動力が伝達されることで回転駆動し、このときの定着ベルト110(または用紙S)との摩擦力により定着ベルト110を従動回転させる。トナー像が転写された用紙Sは、加熱された定着ベルト110とバックアップローラ140との間を搬送されることでトナー像(トナー)が熱定着される。
反射部材150は、ハロゲンランプ120からの輻射熱をニップ板130に向けて反射する部材であり、定着ベルト110の内側でハロゲンランプ120を取り囲む(覆う)ように配置されている。この反射部材150は、赤外線および遠赤外線の反射率が大きい、例えば、アルミニウム板などを断面視略U形状に湾曲させて形成されている。
ステイ160は、ニップ板130を反射部材150を介して支持することでバックアップローラ140から荷重が加わるニップ板130の剛性を確保する部材であり、反射部材150を覆うように配置されている。このステイ160は、比較的剛性が大きい、例えば、鋼板などを折り曲げることで形成されている。
図3に示すように、サーモスタット170およびサーミスタ180は、ニップ板130の温度を検出する部材であり、定着ベルト110の内側で、温度検出面(下面)が、ニップ板130の後端から後方に向けて延びる突出部132,133の上面に対向するように配置されている。サーモスタット170およびサーミスタ180は、それぞれ、コイルバネ191,192により突出部132,133に向けて付勢されている。これにより、ニップ板130との位置関係が安定するため、温度を精度良く検出可能となっている。サーモスタット170は、ハロゲンランプ120に接続され、所定の温度を検出したときにハロゲンランプ120への通電を遮断する。また、サーミスタ180が検出した温度の情報は、本体筐体2内に設けられた図示しない制御基板に出力され、ハロゲンランプ120の制御(定着装置100の温度制御)に利用される。
フレーム部材200は、サーモスタット170やサーミスタ180、端面規制部材300などを支持する部材であり、定着ベルト110の内側に配置されている。このフレーム部材200は、定着ベルト110の軸線方向(左右方向)に沿って長く延びるように形成され、ステイ160を覆うように配置される断面視略U形状の第1フレーム210と、第1フレーム210を覆うように配置される断面視略L形状の第2フレーム220とを備えて構成されている。
第1フレーム210には、サーモスタット170が係合する第1位置決め部211と、サーミスタ180が係合する2つの第2位置決め部212が形成されている。サーモスタット170およびサーミスタ180は、対応する位置決め部211,212に係合することで、前後方向および左右方向に位置決めされる。また、第2フレーム220の上壁の下面には、コイルバネ191,192が係合するボス状の支持部221が3つ(1つのみ図示)形成されている。コイルバネ191,192は、支持部221に係合し、若干押し縮められた状態で、第2フレーム220の上壁と、サーモスタット170またはサーミスタ180との間に配置されている。第1フレーム210と第2フレーム220は、その間にハロゲンランプ120とサーモスタット170を接続する図示しないケーブルが配置された状態で、ネジ261,262によりステイ160に固定されている。
図4および図5に示すように、フレーム部材200は、左右両端に形成された、内周ガイド240と、端面規制部材300が係合する凹状の被取付部250とを備えている。
内周ガイド240は、回転する定着ベルト110の内周面をガイドする部分であり、第1ガイド241と、第2ガイド242とから構成されている。第1ガイド241は、第1フレーム210の左右両端から側面視において弧を描くように略前方(定着ベルト110の内周面)に向けて突出して設けられ、第2ガイド242は、第2フレーム220の左右両端から側面視において弧を描くように略上方(定着ベルト110の内周面)に向けて突出して設けられている。この内周ガイド240は、定着ベルト110の内周面に略平行に形成されて定着ベルト110の内周面をガイドするガイド面240Aと、ガイド面240Aの左右両側でフレーム部材200(定着ベルト110の内周面とガイド面240Aから遠ざかる方向)に向けて傾斜する傾斜面240Bとを有している(図7,8も参照)。
被取付部250は、端面規制部材300が取り付けられる部分であり、内周ガイド240の左右方向外側に隣接して設けられている。言い換えると、本実施形態において、内周ガイド240は、フレーム部材200に組み付けられた状態の端面規制部材300の左右方向内側に隣接して設けられている。
端面規制部材300は、定着ベルト110の左右方向の位置を規制する部材であり、定着ベルト110の右側に配置される右端面規制部材310と、定着ベルト110の左側に配置される左端面規制部材320とから構成されている。右端面規制部材310および左端面規制部材320は、それぞれ、板状の規制部311,321と、規制部311,312の下端から上方に向けて凹むように形成された取付部312,322とを主に有している。
規制部311,321は、左右方向内側の面(定着ベルト110の端面と対面する面)が規制面311A,321Aとなっている。各規制面311A,321Aは、凹凸のない平面として形成されている。端面規制部材300は、回転に伴って左右方向にも移動する定着ベルト110の端面が、規制面311Aまたは規制面321Aに当接することで、定着ベルト110の左右方向への移動を規制し、これによって、定着ベルト110の左右方向の位置を規制する。なお、本実施形態において、「凹凸のない平面」とは、規制面311A,321Aに、例えば、定着ベルト110の内周面や外周面をガイドするためのガイド部などの部位が突出して一体的に設けられていないことを意味する。
図6(a),(b)に示すように、規制面311A,321Aには、潤滑剤Gが塗布されている。より詳細に、潤滑剤Gは、定着ベルト110の周方向に沿って帯状に、かつ、定着ベルト110の周方向に隙間なく連続的に塗布されている。さらに言えば、潤滑剤Gは、定着ベルト110が回転に伴ってその径方向に若干移動することを考慮して、定着ベルト110の端面が当接し得る部分全体に塗布されていることが望ましい。具体的には、例えば、少なくとも、定着ベルト110の径方向において、定着ベルト110の端面が最も内側にある位置から、端面が最も外側にある位置までの間(幅)に塗布されていることが望ましい。帯状に塗布された潤滑剤Gの幅(定着ベルト110の径方向の幅)は、定着ベルト110の径方向の移動量に応じて適宜設定可能であるが、一例として、4〜4.5mmとすることができる。なお、潤滑剤Gとしては、例えば、耐熱性のフッ素グリスなどを使用することができる。
本実施形態において、潤滑剤Gは、定着装置100が新品状態のとき、言い換えれば、定着装置100が組み立てられた直後に、すでに、定着ベルト110の周方向に沿って帯状に、かつ、連続的に塗布された状態となっている。言い換えると、潤滑剤Gは、定着装置100がレーザプリンタ1に組み付けられた後、回転駆動する定着ベルト110の端面によって伸ばされることで定着ベルト110の周方向に連続した形状をなすのではなく、定着ベルト110が回転駆動する前の段階において、すでに連続した帯状に塗布されている。
図4および図5に示すように、取付部312,322は、フレーム部材200に形成された被取付部250に係合する部分である。端面規制部材300は、主に取付部312,322が被取付部250に係合することで、フレーム部材200に取り付けられる。
以上によれば、本実施形態において以下のような作用効果を得ることができる。
図6に示したように、新品状態において、定着ベルト110の端面と規制面311A,321Aとの間に潤滑剤Gが周方向に連続的に塗布されているため、定着装置100の使用開始時から、定着ベルト110の端面と規制面311A,321Aとが直接当接することを抑制することができる。また、潤滑剤Gは、所定の幅を有する帯状に塗布されているため、回転に伴って定着ベルト110が径方向に動いても、定着ベルト110の端面と規制面311A,321Aとが直接当接することを抑制することができる。これらにより、定着ベルト110の端面の割れなどを抑制できるので、定着ベルト110の長寿命化を図ることができる。
また、潤滑剤Gを、規制面311A,321Aの、定着ベルト110の端面が当接し得る部分全体に塗布することで、定着ベルト110の端面と規制面311A,321Aとの間には確実に潤滑剤Gがあることになるため、定着ベルト110の端面と規制面311A,321Aとが直接当接することをより確実に抑制することができる。これにより、定着ベルト110のさらなる長寿命化を図ることができる。
なお、本実施形態では、定着ベルト110が金属製の素管111を有しているので、樹脂製の定着ベルトと比較して耐久性が高く、長寿命となっている。一方、素管111は、両端面が露出しているため、仮に、その端面が規制面311A,321Aと直接当接した場合には、素管111の端面だけではなく、規制面311A,321Aも摩耗させたりして傷めるおそれがある。しかし、定着装置100では、帯状に連続的に塗布された潤滑剤Gにより、定着ベルト110の端面と規制面311A,321Aとが直接当接することを抑制できるので、本発明は、定着ベルト110が金属製の素管111を有する構成において特に有効である。
また、本実施形態では、素管111の外周面にフッ素樹脂などからなるコート層112が形成されているため、素管111の外周面にコート層が形成されていない構成と比較して、コート層112の厚みの分だけ定着ベルト110の端面と規制面311A,321Aとの接触面積を大きくすることができる。これにより、規制面311A,321Aと定着ベルト110の端面との接触面圧を下げることができるので、定着ベルト110の端面に負荷がかかることを抑制することができる。
また、図7に示すように、内周ガイド240が端面規制部材300の左右方向内側に隣接して設けられているため、定着ベルト110の駆動によって、規制面311A,321A(一方のみ図示)から定着ベルト110の内側に入り込んだ潤滑剤Gが、内周ガイド240のガイド面240Aと定着ベルト110の内周面との間に供給されることになる。これにより、定着ベルト110の内周面の摩耗を抑制することができるので、定着ベルト110の長寿命化を図ることができる。
なお、本実施形態では、内周ガイド240と端面規制部材300とが別体(別部品)として設けられているので、例えば、内周ガイドに相当する構成を各規制面311A,321Aから左右方向内側に向けて突出させて設ける必要がない。これにより、規制面311A,321Aを凹凸のない平面として形成しやすいので、規制面311A,321Aに対し潤滑剤Gを、点状ではなく、帯状に容易に塗布することができる。
<定着装置の製造方法>
次に、定着装置100の製造方法、具体的には、定着装置100の製造方法の一連の工程うち、端面規制部材300の規制面311A,321Aに潤滑剤Gを塗布する工程(潤滑剤塗布工程)の一例について主に説明する。
潤滑剤塗布工程は、定着ベルト110の端面と端面規制部材300の規制面311A,321Aを対面させた状態に配置する前、具体的には、端面規制部材300をフレーム部材200に組み付ける前に行われる。
潤滑剤塗布工程では、まず、図9(a)に示すように、右端面規制部材310と左端面規制部材320を、規制面311A,321Aを上方に向け、かつ、取付部312,322を対面させた状態で治具500にセットする。その後、端面規制部材300がセットされた治具500を、図示しない潤滑剤塗布装置にセットする。
そして、図9(b)に示すように、治具500を図示時計回り方向に回転させながら、潤滑剤塗布装置のディスペンサ610から潤滑剤Gを所定量供給することで、規制面311A,321Aに対し、定着ベルト110の端面の周方向に沿うように潤滑剤Gを連続的に塗布する。また、塗布とほぼ同時に、潤滑剤Gは、治具500の回転と、治具500の回転方向におけるディスペンサ610の下流側に隣接して設けられたヘラ620とによって平らな帯状にならされる。
本実施形態の潤滑剤塗布工程では、治具500を2回転させる。1回転目は、上記したとおり、ディスペンサ610から潤滑剤Gを供給しながら回転方向に連続的に塗布するとともに、ヘラ620によって潤滑剤Gを平らな帯状にならす。そして、2回転目は、図9(c)に示すように、ディスペンサ610からの潤滑剤Gの供給を停止し、ヘラ620による潤滑剤Gを平らな帯状にならす工程だけが実行される。
治具500の回転が停止した後、治具500を潤滑剤塗布装置から取り外し、さらに、端面規制部材300を治具500から取り出す。
以上の工程により、端面規制部材300の規制面311A,321Aには、潤滑剤Gが円弧をなす連続した帯状に塗布される(図6も参照)。なお、潤滑剤Gは、端面規制部材300が治具500から取り出された状態において、規制面311A,321Aに対し、定着ベルト110の端面が当接し得る部分全体に塗布されていることが望ましい。
潤滑剤塗布工程の後、端面規制部材300は、組立工程においてフレーム部材200に組み付けられ、規制面311A,321Aが定着ベルト110の端面と対面した状態に配置される。なお、組立工程においては、図8に示すように、まず、左右一方の端面規制部材300がフレーム部材200に組み付けられ、次に、フレーム部材200の端面規制部材300が組み付けられた側とは反対側の端面から定着ベルト110が組み付けられる。その後、図示しないもう一方の端面規制部材300がフレーム部材200に組み付けられ、規制面311A,321Aは、定着ベルト110の端面と対面した状態に配置される。
なお、フレーム部材200に設けられた内周ガイド240は、ガイド面240Aの左右両側に傾斜面240Bを有するので、定着ベルト110をフレーム部材200に挿入していく際に、傾斜面240Bによって定着ベルト110の端面がガイドされることで、定着ベルト110の端面が内周ガイド240に引っ掛かることを抑制することができる。これにより、定着ベルト110をフレーム部材200に対して良好に組み付けることができるので、組立時の定着ベルト110へのダメージを抑制でき、定着ベルト110の長寿命化を図ることができる。
以上のようにして製造された定着装置100は、当初から、定着ベルト110の端面と規制面311A,321Aとの間に潤滑剤Gが周方向に連続的に塗布されているため、使用開始の時点から、定着ベルト110の端面と規制面311A,321Aとが直接当接することを抑制することができる。また、潤滑剤塗布工程において、塗布した潤滑剤Gは平らな帯状にならされるため、潤滑剤Gが所定の幅を有することになり、使用時の回転に伴って定着ベルト110が径方向に動いても、定着ベルト110の端面と規制面311A,321Aとが直接当接することを抑制することができる。これらにより、定着ベルト110の端面の割れを抑制できるので、定着ベルト110の長寿命化を図ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記実施形態では、内周ガイド240は、ガイド面240Aの軸線方向の両側に傾斜面240Bを有する構成であったが、本発明はこれに限定されず、例えば、ガイド面の軸線方向の内側だけに傾斜面を有する構成であってもよい。筒状部材をフレーム部材に挿入していく際、挿入方向手前側の内周ガイドは、筒状部材を傾けるなどして比較的容易に越えることができるが、挿入方向奥側にいくに従い、筒状部材の角度を変えることが難しくなるため、筒状部材の端面が奥側の内周ガイドに引っ掛かる可能性が高くなる。しかし、ガイド面の軸線方向の内側に傾斜面があることで、筒状部材が特に奥側の内周ガイドに引っ掛かることを抑制することができる。また、前記実施形態では、内周ガイド240は、端面規制部材300の軸線方向の内側に隣接して設けられていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、端面規制部材から離れて設けられていてもよい。また、前記実施形態では、図4および図5に示したように、内周ガイド240が、第1フレーム210に設けられた第1ガイド241と、第2フレーム220に設けられた第2ガイド242とから構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図10に示すように、内周ガイド260は、第1フレーム210を覆うように配置される(第1フレーム210の外側に配置される)第2フレーム220だけに、ガイド面(符号省略)が側面視略半円弧状をなすように突出して設けられていてもよい。これによれば、内周ガイド260のガイド面に切れ目ができないため、回転する定着ベルト110(筒状部材)の内周面をより良好にガイドすることができる。また、内周ガイドは、フレーム部材の両端とその間に合計3つ以上設けられていてもよい。
前記実施形態で示したフレーム部材200の具体的な構成は一例であり、本発明は前記した実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、フレーム部材200は、第1フレーム210と第2フレーム220の2部品から構成されていたが、本発明はこれに限定されず、1部品から構成されていてもよいし、3部品以上から構成されていてもよい。
前記実施形態では、定着ベルト110(筒状部材)は、素管111の端面が露出していたが、本発明はこれに限定されず、例えば、素管の端面はコート層で覆われていてもよい。また、前記実施形態では、素管111が金属製であったが、本発明はこれに限定されず、例えば、ポリイミド樹脂などの樹脂から形成されていてもよいし、ゴムなどの弾性を有する材料から形成されていてもよい。また、前記実施形態では、定着ベルト110は、素管111と、素管111の外周面に形成されたコート層112とを有する多層構造であったが、本発明はこれに限定されず、例えば、素管のみからなる単層構造であってもよい。また、前記実施形態では特に述べていないが、素管は、内周面にコート層が形成されていてもよい。
前記実施形態では、第1定着部材としてニップ板130を例示し、第2定着部材としてバックアップローラ140を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1定着部材は、熱源としてのセラミックヒータを支持する、特許文献1のフィルム内面ガイド部材のような部材などであってもよい。また、第2定着部材は、ベルト状のバックアップ部材や、回転駆動しない板状のバックアップ部材などであってもよい。
前記実施形態で示した端面規制部材300の具体的な構成は一例であり、本発明は前記した実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、図11に示すように、端面規制部材300を構成する右端面規制部材330と左端面規制部材340は、潤滑剤塗布工程の際に、規制面331A,341Aを上方に向け、かつ、取付部332,342を対面させた状態で治具500にセットされたとき、対向する端面331B,341Bの間に大きな隙間ができないような平面視略U形状に形成されていてもよい。これによれば、規制面331A,341Aに対して潤滑剤Gを無駄なく塗布することができる。また、端面規制部材は、特許文献1のフランジのような構成などであってもよい。
前記実施形態では、記録シートとして、普通紙やはがきなどの用紙Sを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
前記実施形態では、本発明の定着装置を備える画像形成装置として、モノクロの画像を形成するレーザプリンタ1を例示したが、これに限定されず、例えば、カラーの画像を形成するプリンタであってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。
前記実施形態では、定着装置100の製造方法(潤滑剤塗布工程)において、規制面311A,321Aに対し、ディスペンサ610で潤滑剤Gを塗布しながら、同時に、ヘラ620で平らな帯状にならす方法を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、筒状部材の端面と規制面を対面させた状態に配置する前において、規制面に潤滑剤を筒状部材の端面の周方向に連続的に塗布した後、別工程で規制面に塗布した潤滑剤を平らな帯状にならすようにしてもよい。また、筒状部材の端面と規制面を対面させた状態に配置する前において、規制面に潤滑剤を点状に数箇所塗布した後、別工程で規制面に塗布した潤滑剤を連続した帯状に伸ばすようにしてもよい。
100 定着装置
110 定着ベルト
111 素管
112 コート層
130 ニップ板
140 バックアップローラ
200 フレーム部材
240 内周ガイド
240A ガイド面
240B 傾斜面
300 端面規制部材
311A 規制面
321A 規制面
G 潤滑剤
S 用紙

Claims (11)

  1. 記録シートに現像剤像を熱定着するための定着装置であって、
    可撓性を有する筒状部材と、
    前記筒状部材の内側に配置された第1定着部材と、
    前記第1定着部材との間で前記筒状部材を挟む第2定着部材と、
    前記筒状部材の端面に対面する規制面を有し、前記端面が前記規制面に当接することで前記筒状部材の軸線方向の位置を規制する一対の端面規制部材と、を備え、
    新品状態のとき、前記規制面には、前記筒状部材の端面の周方向に沿って潤滑剤が帯状に連続的に塗布されていることを特徴とする定着装置。
  2. 新品状態のとき、前記規制面には、前記筒状部材の端面が当接し得る部分全体に潤滑剤が塗布されていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記筒状部材は、金属製の素管を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記筒状部材は、前記素管の少なくとも外周面に形成されたコート層を有することを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記素管の端面は、前記コート層で覆われておらず、露出していることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
  6. 前記規制面は、凹凸のない平面として形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
  7. 回転する前記筒状部材の内周面をガイドする内周ガイドを備え、
    前記内周ガイドは、前記端面規制部材の前記軸線方向の内側に隣接して設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の定着装置。
  8. 前記筒状部材の内側に配置され、前記軸線方向に沿って延びるフレーム部材と、
    前記フレーム部材の両端から前記筒状部材の内周面に向けて突出するように設けられ、回転する前記筒状部材の内周面をガイドする内周ガイドと、を備え、
    前記内周ガイドは、前記筒状部材の内周面をガイドするガイド面と、前記ガイド面の前記軸線方向の少なくとも内側で前記フレーム部材に向けて傾斜する傾斜面とを有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の定着装置。
  9. 可撓性を有する筒状部材と、前記筒状部材の内側に配置された第1定着部材と、前記第1定着部材との間で前記筒状部材を挟む第2定着部材と、前記筒状部材の端面に対面する規制面を有し、前記端面が前記規制面に当接することで前記筒状部材の軸線方向の位置を規制する一対の端面規制部材とを備え、記録シートに現像剤像を熱定着する定着装置の製造方法であって、
    前記筒状部材の端面と前記端面規制部材の規制面を対面させた状態に配置する前に、前記規制面に対し、前記筒状部材の端面の周方向に沿うように潤滑剤を連続的に塗布することを特徴とする定着装置の製造方法。
  10. 前記規制面に潤滑剤を塗布した後、前記筒状部材の端面と前記端面規制部材の規制面を対面させた状態に配置する前に、塗布した潤滑剤を平らな帯状にならすことを特徴とする請求項9に記載の定着装置の製造方法。
  11. 前記規制面に対し、前記筒状部材の端面が当接し得る部分全体に潤滑剤を塗布することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の定着装置の製造方法。
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