JP2013250097A - イムノクロマトグラフィー用試験片 - Google Patents

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Abstract

【課題】メンブレンにおける標識試薬のバックフローを抑え、検出ないし測定の精度及び確度を高めることができるイムノクロマトグラフィー用試験片を提供する。
【解決手段】検体が付与されるサンプルパッドと、標識粒子と標的物質との複合体を捕捉する試験領域が設けられたメンブレンと、移行してきた標識粒子を吸収保持する吸収パッドとを具備するイムノクロマトグラフィー用試験片であって、前記試験領域に対し前記標識粒子が移行する方向の前方に逆戻り防止領域が設けられ前記逆戻り防止領域には前記標識粒子を捕捉する逆戻り防止用捕捉性物質が配置されており、該逆戻り防止領域において前記試験領域を通過した標識粒子を捕らえ前記試験領域に逆戻りすることを防止するイムノクロマトグラフィー用試験片。
【選択図】図1

Description

本発明は、イムノクロマトグラフィー用試験片に関する。
イムノクロマトグラフィー法(以下、イムノクロマト法と称することがある。)は、ナノ粒子を用いた診断手法である。この手法は操作が簡便で、判定までに要する時間が5〜30分程度と比較的短時間であり、判定に高価な装置を要しないことから優れた簡易診断手法として臨床の現場で多用されている。例えば、インフルエンザウィルスの感染の判定では、患者から採取した咽頭ぬぐい液や鼻腔ぬぐい液を検体として、その場で短時間で判定が可能であり、感染の簡易判定手法として非常に有力なツールとして普及している。
イムノクロマト法では一般的に金コロイドや着色ラテックス粒子等の着色粒子が標識粒子として用いられている。検体の状態や量、あるいは測定する内容によっては、こうした着色粒子を用いたイムノクロマト法では、その感度が十分ではないことがある。場合によっては偽陰性・偽陽性と判定されてしまい、そうすると誤診等の原因ともなりかねない。これらの課題を解決するために、イムノクロマト法の高感度化に向けた試みが行われている。
本出願人は、これまで、イムノクロマト法の高感度化の手法として、蛍光粒子を用いた「蛍光イムノクロマト法」を提案してきた(特許文献1〜3参照)。蛍光イムノクロマト法は、標識粒子として蛍光特性を有するラテックス粒子やシリカ粒子、半導体ナノ粒子等を用い、ラインを蛍光検出するため、着色粒子を用いたイムノクロマト法における目視の判定に比べて高感度な判定が可能となる。
国際公開第2008/018566号パンフレット 国際公開第2007/097377号パンフレット 特開2010−197248号公報
以上のように、蛍光イムノクロマト法は高感度検出に優れた手法であるが、その後の研究を通じ、以下のような課題があることが分かってきた。これについて、図5に基づき、検体に標的物質が含まれていない場合(陰性)を例に説明する。なお、図5においては、図示の煩雑さを避け、コンジュゲートパッド及びバッキングシートを省略して示している。
標識試薬は試験片に付与されており、本例では陰性の検体のためこれと反応せず、試験領域nで捕捉されることなくメンブレン中を移行する(図5(a))。この試薬は、移行方向Lの前方端部にある吸収パッドの吸引力によりさらに前記メンブレン中を移行しながら、最終的に、吸収パッドで回収される。この種の試験においては、しばしば分析測定のために検体を付与した試験片がそのまま静置されるが、その間にメンブレンの水分が蒸発する(図5(b))。このとき、メンブレンは材質が薄いため、吸水力が高く設計された吸収パッドよりも早く水分が蒸発する。そうすると、メンブレンにも吸引力が生じることとなる。その結果、吸収パッドに回収されていた試薬が、一部、メンブレン側に逆戻りする(方向B)(図5)(c))。それが、メンブレンの中央でとどまると、あたかも試験領域nで試薬が捕捉されたかのような状態となり、偽陽性という結果を与えてしまう(図5(d))。生体分子等の定量分析を行う場合に、この影響はより顕著となり、定量誤差を生む原因となってしまう。
上記では蛍光イムノクロマト法を例にその問題点として示したが、これに限定されるものではない。確かに、蛍光イムノクロマト法は高感度の分析測定に適しており、その場合に上記の影響は顕著となる。しかし、これに限らず、吸光微粒子を用いた試験においても、上記のようなバックフロー現象は、測定誤差や誤判定を生む原因となるため改善されることが望ましい。
上記の問題点に鑑み、本発明は、メンブレンにおける標識試薬のバックフローを抑え、検出ないし測定の精度及び確度を高めることができるイムノクロマトグラフィー用試験片の提供を目的とする。
本発明の上記の課題は下記の手段により解決された。
〔1〕検体が付与されるサンプルパッドと、標識粒子と標的物質との複合体を捕捉する試験領域および検体の通過を示す参照領域が設けられたメンブレンと、移行してきた標識粒子を吸収保持する吸収パッドとを具備するイムノクロマトグラフィー用試験片であって、
前記試験領域および参照領域に対し前記標識粒子が移行する方向の前方に逆戻り防止領域が設けられ、前記逆戻り防止領域には前記標識粒子を捕捉する逆戻り防止用捕捉性物質が配置されており、該逆戻り防止領域において前記試験領域および参照領域を通過した標識粒子を捕らえ前記試験領域に逆戻りすることを防止するイムノクロマトグラフィー用試験片。
〔2〕前記逆戻り防止領域が少なくとも下記(a)〜(c)のいずれかの位置に設けられている〔1〕に記載のイムノクロマトグラフィー用試験片。
(a)前記メンブレンにおいて標識粒子が移行する方向でみて前記吸収パッドの手前の位置。
(b)前記メンブレンと前記吸収パッドとが重さなり合った位置。
(c)前記吸収パッドのある位置。
〔3〕前記試験領域と逆戻り防止領域との間に前記参照領域が設けられている〔1〕または〔2〕に記載のイムノクロマトグラフィー用試験片。
〔4〕前記逆戻り防止領域を、前記試験領域および参照領域に対し前記標識粒子が移行する方向の前方で、前記メンブレンの内部もしくは表面、吸収パッドの内部もしくは表面、またはそれらの間に設けたことを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー用試験片。
〔5〕前記逆戻り防止領域で捕捉される標識粒子の数が、標識粒子全量の60数%以上であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー用試験片。
〔6〕前記逆戻り防止用捕捉性物質が、マウス抗体、ヤギ抗体、ラット抗体、アビジン、またはストプトアビジンである〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー用試験片。
〔7〕前記標識粒子に生体分子[A]が固定され、前記逆戻り防止用捕捉性物質が前記生体分子[A]に対して捕捉性を有する生体分子[B]である〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー用試験片。
〔8〕前記生体分子[A]と前記生体分子[B]との組合せが下表のとおりとなる〔7〕に記載のイムノクロマトグラフィー用試験片。
―――――――――――――――――――――――――――――
生体分子A 生体分子B
―――――――――――――――――――――――――――――
1. ウサギIgG anti−ウサギIgGヤギ抗体
2. マウスIgG anti−マウスIgG
3. マウスIgG anti−マウスIgGヤギ抗体
4. ヤギIgG anti−ヤギIgGラット抗体
5. ビオチン アビジン
6. 抗体 抗原
―――――――――――――――――――――――――――――
〔9〕さらに標識粒子が付与されるコンジュゲートパッドを有する〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー用試験片。
〔10〕〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー用試験片を用いた試験方法であって、前記試験片に検体を付与し、5分以上経過した後に、前記試験領域における前記標識粒子の検出を行う試験方法。
本発明のイムノクロマトグラフィー用試験片は、メンブレンにおける標識試薬のバックフローを抑え、検出ないし測定の精度及び確度を高めることができる。また、特に蛍光イムノクロマト法において顕著な効果を発揮し、微量分析や定量のように高い感度・精度が求められる試験に好適に対応することができる。
本発明に好適に用いられる長尺試験体を模式的に示す分解斜視図である。 本発明に好適に用いられるイムノクロマト試験片の説明図であり、(a)が平面図であり、(b)が展開断面図である。 本発明の好ましい実施形態における試薬の捕捉形態を示した説明図である。 実施例及び比較例で行った為陽性判定結果を示すグラフである。 試薬のバックフローによる偽陽性ないし定量性低下の現象を斜視図により模式的に示す説明図である。
本発明のイムノクロマトグラフィー用試験片は、試薬の逆戻り防止領域を有することを特徴とする。以下、この点について、本発明の好ましい実施形態である蛍光イムノクロマト法を用いた態様を中心に詳細に説明する。
[試験片]
まず、本発明の好ましい実施形態に係る試験片の基本的な構成から説明する。本実施形態のイムノクロマトグラフィー用試験片(テストストリップ)は、下記の部材が相互に毛細管現象が生じるように直列連結している。
・試料添加用部材(サンプルパッド)8a
・標識試薬シリカナノ粒子(蛍光標識体)2を含浸し乾燥して得られる部材(コンジュゲートパッド)8b
・試験領域および参照領域を有するメンブレン(抗体固定化メンブレン)8c
・吸収パッド8d
なお、本発明において試験片を構成する部材に特に制限はなく、メンブレンを有していれば、その他、上記で例示した部材、あるいはそれ以外の部材を組み合わせて使用してもよい。たとえば、上述した部材以外にも、表面を覆う透明フィルムを適用したり、各部材の間に機能性のシートを付与したりしてもよい。
また、検体と標識試薬ナノ粒子の混合液を混合しサンプルパッドに滴下する方法では、コンジュゲートパッドは必要ではない。
本実施形態においては、図1及び図2に示したように、上述した平面試験片10が筐体上部6aと筐体下部6bとで挟持内包され、長尺試験体100をなしている。筐体上部6aには、検出開口部61と検体導入開口部62とが設けられている。この検出開口部61を介して、照射光を内部のメンブレン10に送り、そこで発せられる蛍光を検出・観測することができる。一方、検体導入開口部62を介して検体液Sをメンブレン10に供給し測定試験を行うことができる。
本実施形態においては、上記メンブレン8cに逆戻り防止領域9が設けられている。この詳細については後述するが、この逆戻り防止領域9は試験領域nおよび参照領域nrに対して、試薬の移行方向Lでみて前方に位置している。一方、吸収パッド8dよりは移行方向Lの後方(手前)に配置されている。このような配置形態とすることにより、以下のような作用を奏する。つまり、検体Sが付与され、試薬の標識粒子(標識体)2とともにラテラルフロー方向Lに向けて移行していき、最終的には吸収パッド8dにまで到達する。その後、メンブレン上の検体液の蒸発・乾燥により、吸収パッドに回収された上記試薬と検体液の混合物が一部戻ろうとするが(バックフロー方向B)。しかし、本実施形態においては、そのとき既に試薬中の標識粒子2は、逆戻り防止領域9の部分に固定された逆戻り防止のための捕捉用生体分子5により捕捉されている。この結合は、吸収パッド8dに方向Lに向け移行する際にすでに行われている。これにより、メンブレン8cの乾燥によっても、余剰となった標識粒子2を逆戻りさせず、試験領域nにまで到達さることのないようにすることができる。なお、図1では、説明の便宜から陽性の場合を示している。すなわち検体には標的物質1が含まれており、ラテラルフロー方向Lに向けた移行時に、標識粒子2と標的物質1との複合体が試験用捕捉性物質4により捕捉されている例を示している。このような場合は、逆戻りの防止効果は、偽陽性の防止ではなく、試験領域による検出感度の向上につながるものである。一方、標的物質1が含まれない検体においては、方向Lにむけた移行時に試験領域nに捕捉されるものはなく、前記逆戻り(バックフロー)の防止は、偽陽性の回避につながる。
図2(a)及び(b)を参照して、本実施形態のイムノクロマトグラフィー用テストストリップについてさらに説明するが、本発明はこれらの説明によって制限されるものではない。なお、図2では、バッキングシート8eを省略せずに示している。図2(a)は、本発明のイムノクロマトグラフィー用テストストリップの好ましい実施形態の平面図を示し、図2(b)は、図2(a)で示したイムノクロマトグラフィー用テストストリップの展開縦断面図を示す図である。本実施形態のイムノクロマトグラフィー用テストストリップ10は、上述のように、サンプルパッド8a、コンジュゲートパッド8b、メンブレン8c、吸収パッド8dを具備してなる。さらに、上記各構成部材は、粘着剤付きバッキングシート8eにより裏打ちされている。
図2においては、逆戻り防止領域9の配置箇所について、変形例を併せて示している。まず、領域9aで示したものは、上記図1に基づき説明したものと同義である。つまり、試験領域nおよび参照領域nrよりは移行方向Lでみて前方にあり、吸収パッド8dよりは手前(移行方向Lでみて後方)に配置されている。なお、吸水パッド8dはメンブレンに形成するものであるから、テストラインやコントロールラインの形成と同じように、逆戻り防止捕捉性物質の溶液を含浸させ乾燥させる工程で容易に形成できるものが好ましい。
図2(b)では、メンブレン8cの上面(検体が付与される側の面)に逆戻り防止領域9cを設けたように図示しているが、これは図示の便宜であり、この領域が設けられるのはメンブレン8cの表面であっても内部であってもよい。
次に変形例である逆戻り防止領域9bについてみると、9aよりも移行方向Lの前方に配置されており、吸収パッド8dとメンブレン8cとが重なる位置を含む領域に設定されている。バックフローによって逆戻りする粒子は吸収パッド8dとメンブレン8cとが重なる部分を透過する。したがってこのような配置形態にするとバックフローした粒子は9bを通過するため、粒子の捕捉効率を高くすることができ好ましい。
図示したものでは、メンブレン8cと吸収パッド8dとの間に前記逆戻り防止領域9bを介在させるように示しているが、その断面位置はこれに限定されるものではない。その位置で、メンブレン8cの内部に逆戻り防止用捕捉性物質を含浸させるなどしてその内部上方に配置してもよい(これを吸収パッド側に配置する例は次の逆戻り防止領域9cにあたるものとしてみてもよい。)。あるいは、別の部材に逆戻り防止用捕捉性物質5を仕込んでおき、吸収パッド8dとメンブレン8cとの間に介在させてもよい。
さらなる変形例である逆戻り防止領域9cでは吸収パッドにこれが配置されている。このような配置形態とすることで、メンブレンに逆戻り防止領域を設ける場合はテストラインおよびコントロールラインとの兼ね合いから形成位置が一定程度制限されるのに対し、吸収パッドはこのような制限を受けない。また、一般的に吸収パッドはサンプル液を十分に吸収するために体積が大きく設計されているから、粒子を捕捉するために十分な量の逆戻り防止用捕捉性物質を固定することができ好ましい。
ここで図示したものでは、吸収パッド8dの上面に逆戻り防止領域9cを配置したようにしているが、これは図示の便宜であり、この位置においては吸収パッド8dの内部に逆戻り防止用捕捉性物質を含浸させるなどして、その領域を配置することが好ましい。
図1では、逆戻り防止領域をラインとして示しているが、その機能を十分に果たす観点で、ラテラルフロー方向Lでみて幅のある面状の領域であることが好ましい。この幅は、特に限定されないが、十分な効果を得るために、1mm〜6mmであることが好ましい。
[逆戻り防止用捕捉性物質]
本実施形態においては、前記逆戻り防止領域9が、標識粒子(標識体)2を捕捉する物質(逆戻り防止用捕捉性物質5)を有する領域として構成されている。前記逆戻り防止用捕捉性物質の種類は特に限定されないが、ウサギ抗体、マウス抗体、ヤギ抗体、ラット抗体、アビジン、またはストプトアビジンなどが挙げられる。このことを、生体分子を例にとることにより機能的に示せば、以下のとおりとなる。すなわち、前記標識粒子に生体分子[A]が固定され、前記逆戻り防止用捕捉性物質が、前記生体分子[A]に対して捕捉性を有する生体分子[B]である実施態様が挙げられる。図1、図3に基づき試験領域nとの関係でより具体的に言えば、標識粒子2aに生体分子[A](結合性物質2b)が固定化され、これを介して標的物質1と結合し複合体を形成する。この複合体が試験領域nの試験用捕捉性物質4に捕捉され、そこで固定化される(図3の左(領域nt)参照)。一方、検体が陰性の場合など、標識粒子2aに固定された生体分子[A](結合性物質2b)は標的物質1と結合することなくメンブレン8cを移行する。標的物質1を伴っていないため、これは試験領域nでも捕捉されず、逆戻り防止領域9に到達する。そこには、生体分子[B](逆戻り防止用捕捉性物質5)が固定されており、これと前記生体分子[A](結合性物質2b)が結合する(図3の右(領域9)参照)。これにより、生体分子[A](結合性物質2b)を伴う標識粒子2aがこの位置で固定化され、逆戻りが好適に抑制・防止されることとなる。
前記生体分子[A](結合性物質2b)と前記生体分子[B](逆戻り防止用捕捉性物質5)との組合せは特に限定されないが、好ましい例として下表の物質が挙げられる。
―――――――――――――――――――――――――――
生体分子A 生体分子B
―――――――――――――――――――――――――――
1. ウサギIgG anti−ウサギIgGヤギ抗体
2. マウスIgG anti−マウスIgG
3. マウスIgG anti−マウスIgGヤギ抗体
4. ヤギIgG anti−ヤギIgGラット抗体
5. ビオチン アビジン
6. 抗体 抗原
―――――――――――――――――――――――――――
[標的物質]
本発明において、検出、定量の対象としての標的物質1は、抗原、抗体、DNA、RNA、糖、糖鎖、リガンド、受容体、ペプチド、化学物質等が挙げられる。本発明において、標的物質1を含有する試料としては特に制限はないが、尿、血液などの液体試料が挙げられる。
[サンプルパッド]
サンプルパッド8aは標的物質を含むサンプルを滴下する構成部材である。その材料や寸法等は特に限定されず、この種の製品に適用される一般的なものを利用することができる。
[コンジュゲートパッド]
コンジュゲートパッド8bは標識試薬シリカナノ粒子(蛍光標識体)2が含浸された構成部材である。そして、サンプルパッド8aから毛細管現象により移動してきた試料に含まれる標的物質が抗原抗体反応等の特異的分子認識反応で、前記標識試薬シリカナノ粒子(標識体)によって捕捉され、標識される部分である。
コンジュゲートパッド8bにおける単位面積(cm)当たりの前記標識試薬シリカナノ粒子(標識体)の含有量は特に制限はないが1μg〜100μgが好ましい。含浸方法としては、前記標識試薬シリカナノ粒子の分散液を塗布、滴下ないしは噴霧後、乾燥する方法等が挙げられる。
[メンブレン]
抗体を固定化するメンブレン8cにおける抗体固定化部に、標的物質の有無を判定、すなわち陽性陰性を判定するためのテストライン(試験領域)nを設ける。このテストラインnでは、標的物質捕捉用抗体(試験用捕捉性物質)4が固定化されている。さらに、メンブレン8cには、標識試薬シリカナノ粒子を捕捉するための抗体(参照用捕捉性物質)7が固定化されたコントロールライン(参照領域)nが含まれる。この、試験領域nでは、例えば、固定化抗体−標的物質−標識試薬シリカナノ粒子からなるサンドイッチ型免疫複合体形成反応が行われる。前記メンブレンにおける判定部の形状としては局所的に捕捉用抗体が固定化されている限り特に制限はなく、ライン状、円状、帯状等が挙げられるが、ライン状であることが好ましく、幅0.5〜1.5mmのライン状であることがより好ましい。
上記サンドイッチ型免疫複合体形成反応を通じ、標識された標的物質が捕捉され、標識の程度により標的物質の有無(陽性陰性)を判定することができる。このとき、前記試験領域に標識試薬シリカナノ粒子(標識体)が濃縮され、その蛍光物質の近傍が蛍光発光し、目視的に、又は検出機器を用いて検出、判定できる。
抗体固定化メンブレンにおける判定部は、前記コンジュゲートパッドとの連結端及び前記吸収パッドとの連結端からある程度離れた位置(例えば、前記メンブレンの中程など)に設けておくことが好ましい。これにより、前記サンドイッチ型免疫複合体形成反応を充分に完了させることができる。あるいは、液体試料中の着色又は蛍光物質等の標識による測定への影響や標的物質と結合していない標識体による測定への影響を回避するために、好ましい。
前記抗体固定化部(試験領域)nにおける抗体固定化量は特に制限ないが、形状がライン状の場合、単位長さ(cm)当たりの0.5μg〜5μgが好ましい。固定化方法としては、抗体溶液を塗布、滴下ないしは噴霧後、乾燥して物理吸着により固定化する方法等が挙げられる。前述の抗体固定化後に、非特異的吸着による測定への影響を防止するために前記抗体固定化メンブレン全体をいわゆるブロッキング処理を施しておくことが好ましい。例えば、アルブミン、カゼイン、ポリビニルアルコール等のブロッキング剤を含有する緩衝液中に適当な時間浸漬した後乾燥する方法等が挙げられる。市販の前記ブロッキング剤としては、例えば、スキムミルク(DIFCO社製)、4%ブロックエース(明治乳業社製)などが挙げられる。
メンブレン8cには、上述のように、さらに参照領域nが設けられている。そこには標的物質が捕捉されていない蛍光粒子(標識体)2が捕捉される。これにより、テスト領域nでの蛍光と対比して、標的物質の有無や量を同定することができる。この機能を果たすために、試験用結合性物質2bには、標的物質との結合性を有する一方、参照用捕捉性物質(図示せず)との結合性を有するものが選定される。あるいは、参照領域nrに、検体液中の液体等と反応して発色する成分を含ませてもよい。これにより検体の通過を示すことができ、参照領域nrに、上記のような試験領域ntとの対比による機能を持たせることができる。このような発色成分としては、この種の製品に用いられる、液体と接触して発色する色素等が挙げられる。
[吸収パッド]
吸収パッド8aは、毛細管現象でメンブレンを移動してきた検体S(標的物質を含む液体など)及び標識試薬シリカナノ粒子(標識体)2の混合物を吸引し、系内に一定の流れを生じさせるための構成部材である。
これら各構成部材の材料としては特に制限は無く、イムノクロマトグラフィー用テストストリップに用いられる部材が使用できる。サンプルパッドおよびコンジュゲートパッドとしてはGlass Fiber Conjugate Pad(商品名、MILLIPORE社製)等のガラスファイバーのパッドが好ましい。メンブレンとしてはHi−Flow Plus120メンブレン(商品名、MILLIPORE社製)等のニトロセルロースメンブレンが好ましい。吸収パッドとしてはCellulose Fiber Sample Pad(商品名、MILLIPORE社製)等のセルロースメンブレンが好ましい。前記粘着剤付きバッキングシートとしては、AR9020(商品名、Adhesives Research社製)等が挙げられる。
[技術用語の意味]
本明細書で用いる技術用語の意味を確認すると、標的物質1(図1中の符号を併せて示すが、これにより限定して解釈されるものではない。)はラテラルフロー法による検出対象となる物質であり、検体中の被検物質と同義である。結合性物質2bはそれぞれ前記標的物質及び捕捉性物質に対する結合能を有する物質であり、好ましくは生体分子である。結合性物質2bが導入された標識粒子2aを標識体2と呼ぶ。ただし、広義には、標識粒子という用語を標識体を含む意味で用いることがある。一方、試験領域でメンブレンに固定され、標的物質1を介して標識体2を捕捉するものが試験用捕捉性物質4である。他方、参照領域でメンブレンに固定されたものが参照用捕捉性物質7であり、これに標識体2が標的物質1を介さずに捕捉される。あるいは、参照領域に検体液の液体等と反応する成分を含ませて、検体の通過を示すようにする。さらに、逆戻り防止領域9でメンブレンに固定されたものが逆戻り防止用捕捉性物質5であり、これに標識体2が標的物質1を介さずに捕捉される。
[蛍光シリカ粒子]
本発明で用いる蛍光イムノクロマト法用標識粒子(標識体)2としては、蛍光シリカ粒子や蛍光ラテックス粒子、半導体ナノ粒子などの標識粒子2aと、結合性生体分子2bとを組み合わせて用いることができる。本発明においては、特に蛍光シリカ粒子を用いることが好ましい。
蛍光シリカ粒子の調製方法に特に制限はなく、任意のいかなる調製方法によって得られたシリカ粒子であってもよい。例えば、Journal of Colloid and Interface Science,159,150−157(1993)に記載のゾル−ゲル法が挙げられる。
本発明において、国際公開2007/074722A1公報に記載された蛍光色素化合物含有コロイドシリカ粒子の調製方法に準じて得られた、機能性化合物を含有するシリカ粒子を用いることが特に好ましい。前記機能性化合物の具体例としては、蛍光色素化合物、吸光化合物、磁性化合物、放射線標識化合物、pH感受性色素化合物等が挙げられる。
具体的には、前記機能性化合物を含有するシリカ粒子は、前記機能性化合物とシランカップリング剤とを反応させ、共有結合、イオン結合その他の化学的に結合若しくは吸着させて得られた生成物に1種又は2種以上のシラン化合物を縮重合させシロキサン結合を形成させることにより調製することができる。これによりオルガノシロキサン成分とシロキサン成分とがシロキサン結合してなるシリカ粒子が得られる。
前記機能性化合物を含有するシリカ粒子の好ましい調製方法の態様としては、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基、マレイミド基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、アルデヒド基、パラニトロフェニル基、ジエトキシメチル基、エポキシ基、シアノ基等の活性基を有する又は付加した前記機能性化合物と、それら活性基と対応して反応する置換基(例えば、アミノ基、水酸基、チオール基)を有するシランカップリング剤とを反応させ、共有結合させて得られた生成物に1又は2種以上のシラン化合物を縮重合させシロキサン結合を形成させることにより調製することができる。
前記シランカップリング剤としてγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、シラン化合物としてテトラエトキシシラン(TEOS)を用いた場合を下記に例示する。
前記活性基を有する又は付加した前記機能性化合物の具体例として、5−(及び−6)−カルボキシテトラメチルローダミン−NHSエステル(商品名、emp Biotech GmbH社製)、下記式でそれぞれ表されるDY550−NHSエステル又はDY630−NHSエステル(いずれも商品名、Dyomics GmbH社製)等のNHSエステル基を有する蛍光色素化合物を挙げることができる。
前記置換基を有するシランカップリング剤の具体例として、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル−トリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤を挙げることができる。中でも、APSが好ましい。
前記縮重合させる前記シラン化合物としては特に制限はないが、TEOS、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、3−チオシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、及び3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル−トリエトキシシランを挙げることができる。中でも、前記シリカ粒子内部のシロキサン成分を形成する観点からはTEOSが好ましく、前記シリカ粒子内部のオルガノシロキサン成分を形成する観点からはMPS又はAPSが好ましい。
上述のように調製すると、球状、もしくは、球状に近いシリカ粒子が製造できる。球状に近いシリカ粒子とは、具体的には長軸と短軸の比が2以下の形状である。
所望の平均粒径のシリカ粒子を得るためには、YM−10、YM−100(いずれも商品名、ミリポア社製)等の限外ろ過膜を用いて限外ろ過を行い、粒径が大きすぎたり小さすぎる粒子を除去するか、または適切な重力加速度で遠心分離を行い、上清または沈殿のみを回収することで可能である。
前記シリカ粒子の表面に吸着又は結合させる生体分子としては、抗原、抗体、DNA、RNA、糖、糖鎖、リガンド、受容体、タンパク質又はペプチドが挙げられる。ここで、リガンドとはタンパク質と特異的に結合する物質をいい、例えば、酵素に結合する基質、補酵素、調節因子、あるいはホルモン、神経伝達物質などをいい、低分子量の分子やイオンばかりでなく、高分子量の物質も含む。
蛍光シリカ粒子の平均粒径が1nm〜1μmであることが好ましく、20nm〜500nmであることがより好ましい。
本発明において、前記平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)等の画像から無作為に選択した100個の標識試薬シリカ粒子の合計の投影面積から標識試薬シリカ粒子の占有面積を画像処理装置によって求め、この合計の占有面積を、選択した標識試薬シリカ粒子の個数(100個)で割った値に相当する円の直径の平均値(平均円相当直径)を求めたものである。
なお、前記平均粒径は、一次粒子が凝集してなる二次粒子を含む概念の後述する「動的光散乱法による粒度」とは異なり、一次粒子のみからなる粒子の平均粒径である。
本明細書において、前記「動的光散乱法による粒度」とは、動的光散乱法により測定され、前記の平均粒径とは異なり、一次粒子だけでなく、一次粒子が凝集してなる二次粒子をも含めた概念であり、前記複合粒子の分散安定性を評価する指標となる。
動的光散乱法による粒度の測定装置としては、ゼータサイザーナノ(商品名;マルバーン社製)が挙げられる。この手法は、微粒子などの光散乱体による光散乱強度の時間変動を測定し、その自己相関関数から光散乱体のブラウン運動速度を計算し、その結果から光散乱体の粒度分布を導出するというものである。
本発明の粒子は粒状物質として単分散であることが好ましく、粒度分布の変動係数いわゆるCV値は特に制限はないが、10%以下が好ましく、8%以下がより好ましい。
[検出方法]
本発明のイムノクロマト法による標的物質の検出方法においては、毛細管現象等を利用して移動する標識試薬シリカナノ粒子(標識体)2を利用して、判定部で前記粒子を集積させ、判定を行う検出方法であり、例えばイムノクロマト法やマイクロ流路チップ等を利用して行うことが好ましい。このとき、標識試薬シリカナノ粒子はラテラルフロー用標識体として好適に用いることができる。さらに、本発明の標的物質の検出方法において、ラテラルフロータイプのイムノクロマト法を利用して標的物質を検出することが好ましい。
前記テストストリップの作製法としては、サンプルパッド、コンジュゲートパッド、抗体固定化メンブレン、吸収パッドの並び順に、各部材間で毛管現象を生じさせ易くするために、それら各部材の両端を隣接する部材と1〜5mm程度重ね合わせて(好ましくはバッキングシート上に)貼付することで作製することができる。
前記イムノクロマト法用蛍光検出システムとしては、少なくとも(1)サンプルパッド、蛍光物質を含有してなる標識試薬シリカナノ粒子又はラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子を含浸した部材(コンジュゲートパッド)、抗体固定化メンブレン及び吸収パッドからなるテストストリップ、並びに(2)励起光源からなることが好ましい。
前記蛍光検出システムにおいて、前記標識試薬シリカナノ粒子(標識体)が発する蛍光を目視等によって検出する観点から、前記励起光源が、波長200nm〜400nmの励起光を発することが好ましい。前記励起光源としては、水銀ランプ、ハロゲンランプ及びキセノンランプが挙げられる。本発明においては、特にレーザダイオードまたは発光ダイオードから照射した励起光を用いることが好ましい。
また、前記蛍光検出システムは、前記励起光源から特定の波長の光のみを透過するためのフィルタを備えていることがより好ましく、さらに、蛍光のみを目視等で検出する観点から、前記励起光を除去し蛍光のみを透過するフィルタを備えていることがさらに好ましい。
前記蛍光検出システムは、前記蛍光を受光する光電子倍増管又はCCD検出器を備えることが特に好ましく、これにより目視では確認できない強度ないしは波長の蛍光も検出でき、さらにはその蛍光強度を測定できることから標的物質の定量もでき、高感度検出及び定量が可能となる。
前記励起光の波長は、300nm〜700nmであることが好ましい。前記蛍光の波長は目視で認識できる波長が好ましく、350nm〜800nmであることが好ましい。また、目視で観察した時に高い視感度が得られることから、530nm〜580nmであることがより好ましい。このとき、励起光の波長は、上記の波長帯域の蛍光を効率的に生成させるために、500nm〜550nmであることが好ましい。
[変更態様]
(吸光微粒子)
本発明のイムノクロマトグラフィー用試験片は、吸光微粒子を用いたイムノクロマト法に適用するものであってもよい。ここで用いられる吸光微粒子は、蛍光微粒子のときと同様に、標的物質、参照用捕捉性物質、逆戻り防止用捕捉性物質に対して結合性を有する生体分子等で表面修飾されていることが好ましい。吸光微粒子の表面修飾の実施形態は前記蛍光微粒子と同様である。
吸光微粒子の種類や形状は特に限定されない。吸光微粒子の平均粒径、構成材料等の好ましいものは前記蛍光微粒子と同様である。標識物質としては、微粒子の構成材料が吸光性のものであれば特に用いなくてもよい。標識物質(吸光物質)を適用する場合には、多環顔料やアゾ顔料などの有機顔料、カーボンブラックやウルトラマリン青などの無機顔料を用いることができる。例えば、前記シリカ粒子やラテックス粒子に前記吸光物質を内包させてもよい。また、吸光微粒子には下記の半導体微粒子等を用いることも好ましい。
・半導体粒子等
前記半導体粒子の材質は特に制限されないが、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、InP、InAs、GaN、GaP、GaAs、TiO、WO、PbS、又はPbSeが好ましく例示される。例えば、特許第3897285号公報等に記載の半導体ナノ粒子を用いることができる。前記半導体ナノ粒子は、チオール化合物の−SH基が半導体ナノ粒子の表面のS、O、Se、Te、P、As、N等の原子と置換することにより表面修飾することができる。前記金粒子、前記金属ナノ粒子としては、特開2003−26638明細書等に記載の金コロイド粒子及び金属コロイド粒子を用いることができる。前記金属コロイド粒子の具体例としては、白金、銅、酸化鉄等の金属コロイド粒子が挙げられる。前記無機結晶としては、酸化鉄(III)(Fe)、酸化銀(I)(AgO)、酸化スズ(IV)(SnO)、酸化チタン(IV)(TiO)、インジウムスズ酸化物(ITO)等が挙げられる。例えば、特開2005−76064公報に記載の無機結晶を用いることができる。
・吸光係数
吸光微粒子は、可視光を吸収し着色して視認できるものであることが好ましい。そのモル吸光係数εが5×10−1cm−1以上である粒子であることが好ましく、モル吸光係数εが5×10−1cm−1〜1×1010−1cm−1であることがより好ましい。
ここで、モル吸光係数εは下記ランベルト−ベールの式から算出することができる。
A=Log10(I/I)=εbp=abp’
[A:吸光度、I:透過光の強度、I0:入射光の強度、ε:モル吸光係数(M−1cm−1)、b:光路長(cm)、p:標識粒子(着色粒子及び蛍光微粒子の混合分散液を含む。)の濃度(M(mol/l))、a:比吸光度、p’:標識粒子(着色粒子及び蛍光微粒子の混合分散液を含む。)の濃度(g/l)]
上記濃度p’(g/l)は、一定量(例えば1ml)の標識粒子分散液から標識粒子のみを回収し、乾燥させて得られた質量を決定して得られた値である。一方、上記濃度p(mol/l)は、標識粒子の大きさをTEM写真から求め、一粒子の体積を決定し、粒子の密度(例えばシリカ粒子の場合は2.3g/cm)から一粒子の質量を決定し、一定量(例えば1ml)の標識粒子分散液から標識粒子のみを回収し、乾燥させて得られた標識粒子の質量からモル数を決定して得られた値である。本発明において、「標識粒子のモル吸光係数ε」とは、標識粒子分散液について吸光度を測定し、前記ランベルト−ベールの式に適用することにより得られた、前記分散液中における標識粒子のモル吸光係数εをいう。標識粒子の吸光度、吸光スペクトル及びεは、任意の吸光光度計ないしはプレートリーダーを用いて、水分散液、エタノール分散液、N,N−ジメチルフォルムアミド分散液等の分散液として測定できる。
本発明の好ましい実施形態に係る試験片は、本発明の実施形態としては、偽陽性の生じやすい抗体例えば、各種ポリクローナル抗体、特にウサギポリクローナル抗体を用いたイムノクロマト法に使用されることが好ましい。また、疎水性が高く偽陽性を生じやすいラテックス粒子を標識ナノ粒子として用いたイムノクロマト法に使用されることが好ましい。
イムノクロマト法は、標識粒子に標識された抗体とメンブレンに固定された抗体で標的物質をサンドイッチ型に結合することで標識粒子がテストラインに集積し、ラインが発色するものである。したがって、標的物質が含まれない検体ではラインが発色しないはずである。しかし、標識粒子に標識された抗体とメンブレンに固定された抗体のいずれかまたは両方にポリクローナル抗体を用いた場合、抗体同士の疎水性相互作用または抗体同士の交差反応による偽陽性が生じやすく、イムノクロマト法に使用できないことが少なからずある。
本発明のイムノクロマトグラフィー用試験片を用いると、バックフローが抑制され、偽陽性が大幅に改善することから、従来の方法では偽陽性が生じることから使用できなかったポリクローナル抗体を使用してイムノクロマト検査薬が作製できる。
周知のように、モノクローナル抗体を作製することは多大なコストと時間を要し、イムノクロマト法に使用できる品質のモノクローナル抗体が作製できない場合もある。他方、ポリクローナル抗体は比較的容易に作製できる。
したがって、本発明のイムノクロマトグラフィー用試験片を用いればモノクローナル抗体を作製することが困難な標的物質についてもイムノクロマト法による検出が可能となる。
また、高感度イムノクロマト法として蛍光イムノクロマト法が知られている。蛍光イムノクロマト法に用いられる蛍光ナノ粒子の一例として蛍光ラテックス粒子が挙げられるが、蛍光ラテックス粒子を用いた蛍光イムノクロマト法は偽陽性が生じやすいという課題を抱えている。これは蛍光ラテックス粒子の表面に疎水性部分が存在し、メンブレンに固定した抗体と疎水性相互作用による吸着を生じるからである。本発明のイムノクロマトグラフィー用試験片を用いれば蛍光ラテックス粒子を用いた場合でも大幅に偽陽性の発生を低減できるため、良好なイムノクロマト法による検出が可能となる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
調製例1(シリカナノ粒子の調製)
5−(及び−6)−カルボキシテトラメチルローダミン・スクシンイミジルエステル(商品名、emp Biotech GmbH社製)2.9mgを1mLのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。ここに1.3μLのAPSを加え、室温(24℃)で1時間反応を行った。
得られた反応液600μLと、エタノール140mL、TEOS6.5mL、蒸留水35mL及び28質量%アンモニア水15mLを混合し、室温で24時間反応を行った。
反応液を15000×gの重力加速度で30分間遠心分離を行い、上清を除去した。沈殿したシリカ粒子に蒸留水を4mL加え、粒子を分散させ、再度15000×gの重力加速度で20分間遠心分離を行った。本洗浄操作をさらに2回繰り返し、シリカナノ粒子分散液に含まれる未反応のTEOSやアンモニア等を除去し、平均粒径173nmのシリカナノ粒子1.71gを得た。収率約97%。
調製例2(シリカ粒子と抗体の複合粒子の調製)
調製例1で調製したローダミン6G含有シリカ粒子(平均粒径173nm)の分散液100μL(濃度5mg/ml、分散媒:蒸留水)に、蒸留水775μL、濃度10mg/mLのアルギン酸ナトリウム水溶液(重量平均分子量70000)100μL及び28重量%のアンモニア水溶液を25μL加え、室温(24℃)で1時間緩やかに混合した。得られたコロイドを12,000×gの重力加速度で30分遠心分離し、上清を除去した。ここに蒸留水を875μL加え、粒子を再分散させた。続いて、10mg/mLのアルギン酸ナトリウム水溶液を100μL加え撹拌子でよく撹拌したあと、28重量%のアンモニア水溶液を25μL加え、1時間緩やかに混合した。このコロイドを12,000×gの重力加速度で30分遠心分離し、上清を除去後、蒸留水を1mL加え粒子を分散させた。同様にして更に2回遠心分離と蒸留水への分散を繰り返して粒子を洗浄し、蒸留水200μLに分散させ、ローダミン6G含有シリカ粒子/アルギン酸の複合粒子のコロイドを得た(収量2.5mg/mL×200μL)。
前記ローダミン6G含有シリカ粒子/アルギン酸の複合粒子のコロイドに、0.5MのMES(2−Morpholinoethanesulfonic acid、monohydrate)バッファー(pH6.0)を100μL、蒸留水395μL、50mg/mLのNHS(N−Hydroxysuccinimide)水溶液230μL、及び19.2mg/mLのEDC(1−ethyl−3−(3−dimethylaminopropyl)carbodiimide)水溶液75μLを順に加えて10分間混合した。
コロイドを12,000×Gの重力加速度で10分遠心分離し、上清を除去した。ここに50mMKHPO(pH7.0)を500μL加え、粒子を分散させ、さらに抗インフルエンザ抗体(Influenza A Virus Hemagglutinin(15A46)Antibody,santa cruz biotechnology社製)500μL(100μg/mL)を加え、室温で30分間緩やかに混合し、抗インフルエンザ抗体を前記シリカナノ粒子に共有結合させた。
続いて、コロイドを12,000×Gの重力加速度で10分遠心分離し、上清を除去した。ここに50mMKHPO(pH7.0)を1mL加え、粒子を分散させ、12,000×Gの重力加速度で10分遠心分離後、上清を除去した。ここに50mMKHPO(pH7.0)を1mL加え、粒子を分散させ、12,000×Gの重力加速度で10分遠心分離後、上清を除去した。ここに50mMKHPO(pH7.0)を1mL加え、粒子を分散させ、シリカ粒子と抗インフルエンザ抗体の複合粒子コロイド0.5mg/mlを1mL得た。
実施例1・比較例1(イムノクロマトグラフィー用テストストリップの作製及び評価)
調製例1で得られた複合粒子のコロイド240μLと50mMKHPO(pH7.0)560μLを混合した。得られた混合液800μLをGlass Fiber Conjugate Pad(GFCP、MILLIPORE社製)(8×150mm)に均等に塗布した。デシケーター内で室温下、一夜減圧乾燥し、調製例2で得られた複合粒子を含有してなるコンジュゲートパッドを作製した。
次に、抗体固定化メンブレンを以下の方法で作製した。
メンブレン(丈25mm、商品名:Hi−Flow Plus120 メンブレン、MILLIPORE社製)の中央付近(端から約12mm)に、幅約1mmのテストライン[n]として、抗インフルエンザA,Bウサギ抗体(Polyclonal Anti−Human Influenza A,B、タカラバイオ株式会社製)を1mg/mL含有する溶液((50mMKH2PO4,pH7.0)+5%スクロース)を0.75μL/cmの塗布量で塗布した。
続いて、コントロールライン[n]として、抗マウスIgG抗体(Goat Anti−Mouse IgG(H+L)、Biodesign International社製)を1mg/mL含有する溶液((50mMKH2PO4,pH7.0)シュガー・フリー)を0.75μL/cmの塗布量で塗布した。なお、テストラインとコントロールラインの間隔は3mmとした。
続いて、図2の9bに当たる位置に幅約1mmの逆戻り防止領域をなすライン(以下ストップラインと言う。)として、抗マウスIgG抗体(Goat Anti−Mouse IgG(H+L)、Biodesign International社製)を20mg/mL含有する溶液((50mMKH2PO4,pH7.0)シュガー・フリー)を1μL/cmの塗布量で塗布し、50℃で30分乾燥させた。なお、コントロールラインとストップラインとの間隔は4mmとした。
サンプルパッド(Glass Fiber Conjugate Pad(GFCP)、MILLIPORE社製)、前記コンジュゲートパッド、前記抗体固定化メンブレン、及び吸収パッド(Cellulose Fiber Sample Pad(CFSP)、MILLIPORE社製)をバッキングシート(商品名AR9020,Adhesives Research社製)上でこの順に組み立てた。
続いて、5mm幅、長さ60mmのストリップ状に切断し、図2(a)及び(b)に示した構成のテストストリップ101を得た。なお、各構成部材は、図2(a)及び図2(b)に示すように、各々その両端を隣接する部材と2mm程度重ね合わせて貼付した(以下、同様である)。
比較例として、ストップラインを設けず、それ以外は実施例1と同じ方法でテストストリップc11を作製した。
<試験1:偽陽性判定>
PBS(リン酸緩衝生理食塩液)を上記で作成したテストストリップのサンプルパッド部分に100μL滴下し、0〜60分経過時に蛍光リーダーでテストラインの判定を行った。ここで蛍光リーダーとは、波長532nmのレーザダイオードと光学フィルターからなる装置であり、メンブレンのライン領域に前記レーザダイオードを照射し、光学フィルムを介してラインを観察することによって、蛍光粒子の発する蛍光のみを観察する装置である。
判定の結果を表1に示す。図中「+」はテストラインが見えたことを意味し、「−」はテストラインが見えなかったことを意味する。
比較例では20分でテストラインの蛍光が検出されてしまった(偽陽性)のに対し、実施例では60分経過してもテストラインに蛍光は検出されなかった。この結果から、本発明の逆戻り防止領域を設けた試験片によれば、検体の付与後に長時間にわたり静置される条件でも偽陽性を生じない良好な検出が可能であることが分かる。
<試験2:逆戻り防止領域の捕捉粒子割合の評価>
試験1で試験を実施した試験片101とc11について、レーザダイオードを励起光源として照射しフォトダイオードで蛍光を受光するスキャナを使用して、コンジュゲートパッド側から吸収パッド側に前記スキャナを移動させながらメンブレンの蛍光強度分布を測定し、得られたメンブレンの蛍光プロファイルからコントロールラインとストップラインそれぞれの蛍光強度を測定し、それぞれの領域に存在する標識粒子が、もともとコンジュゲートパッドに固定されていた粒子に対してどのくらいの割合であるか評価した。
測定の結果を表2に示す。逆戻り防止領域では、もともとコンジュゲートパッドに固定されていた粒子の72%が捕捉されており、コントロールラインよりも10倍以上多い粒子が捕捉されることが分かる。
<試験3:インフルエンザウイルス ヘマグルチニンタンパク質の迅速判定>
PBSおよびインフルエンザウイルス ヘマグルチニンタンパク質(Sino Biological社製)を50μg/Lに希釈した液をサンプルとして、それぞれ20回ずつ試験を行い、ライン強度のばらつきを評価した。このとき、滴下から蛍光検出までの時間を30分とした。その結果を図4のグラフとして示す。
この結果から分かるとおり、実施例(本発明)の試験片(101)においては、ばらつきのない極めて安定した検出測定が可能であることが分かる。一方、比較例の試験片(c11)では、ばらつきが大きく精度を要する定量測定等には不向きであることが分かる。
<調製例3(蛍光ラテックス粒子と抗体の複合粒子の調製)>
100mg/mLの蛍光ラテックス粒子(FC02F/10031、Bangs Laboratories社製)100μLに50mMKHPO(pH7.0)を900μL加え、混合した。このコロイドを12,000×gの重力加速度で30分遠心分離し、上清を除去後、0.1M MESバッファーを10mL加え粒子を分散させた。
続いて、EDC10mgを加え、室温で15分混合した。
反応液を50mMKHPO(pH7.0)で2回洗浄した後、50mMKHPO(pH7.0)500μLに粒子を分散させた。ここに、抗体液を500μL加え2時間室温で混合した。
続いて、1%グリシンと0.5%BSA(ウシ血清アルブミン)を含む50mMKHPO(pH7.0)で粒子を1回洗浄後、同じバッファー1mLに粒子を分散させ、室温で30分混合した。
続いて、50mMKHPO(pH7.0)で2回洗浄した後、50mMKHPO(pH7.0)1mLに分散させ蛍光ラテックス粒子と抗hCG抗体の複合粒子コロイド10mg/mlを1mL得た。
実施例2・比較例2(イムノクロマトグラフィー用テストストリップの作製及び評価)
調製例3で得られた複合粒子のコロイド(10mg/mL)24μLと50mMKHPO(pH7.0)776μLを混合した。得られた混合液800μLをGlass Fiber Conjugate Pad(GFCP、MILLIPORE社製)(8×150mm)に均等に塗布した。デシケーター内で室温下、一夜減圧乾燥し、調製例2で得られた複合粒子を含有してなるコンジュゲートパッドを作製した。さらに、抗体固定化メンブレンを実施例と同様の方法及び材料で作製した(テストストリップ102)。ただし、テストラインとして、抗hCG抗体(alpha subunit of FSH(LH),clone code/6601、Medix Biochemica社製)を1mg/mL含有する溶液((50mMKHPO,pH7.0)+5%スクロース)を0.75μL/cmの塗布量で塗布した。
比較例として、ストップラインを設けず、それ以外は実施例1と同じ方法でテストストリップc12を作製した。
<試験4:偽陽性判定>
PBS(リン酸緩衝生理食塩液)を上記で作成したテストストリップのサンプルパッド部分に100μL滴下し、0〜60分経過時に蛍光リーダーでテストラインの判定を行った。
判定の結果を表3に示す。図中「+」はテストラインが見えたことを意味し、「−」はテストラインが見えなかったことを意味する。
比較例では10分でテストラインの蛍光が検出されてしまった(偽陽性)のに対し、実施例では60分経過してもテストラインに蛍光は検出されなかった。この結果から、本発明の逆戻り防止領域を設けた試験片によれば、標識粒子に蛍光ラテックス粒子を用いた場合であっても、検体の付与後に長時間にわたり静置される条件でも偽陽性を生じない良好な検出が可能であることが分かる。
<試験5:逆戻り防止領域の捕捉粒子割合の評価>
試験4で試験を実施した試験片102とC12について、前記試験2と同様にして試験を行い評価した。測定の結果を表4に示す。逆戻り防止領域では、もともとコンジュゲートパッドに固定されていた粒子の66%が捕捉されており、コントロールラインよりも10倍以上多い粒子が捕捉されることが分かる。
実施例3・比較例3
実施例2で作製したテストストリップ102に対して、ストップラインを図2の9aおよび9cの位置に変更した以外同様にして、テストストリップ103,104を作製した。これらについて、上記偽陽性判定試験および逆戻り防止性評価試験を行った。その結果、テストストリップ102と同様に、良好な偽陽性の防止性と、逆戻り防止性が得られることが確認された。
1 標的物質(被検物質)
2 蛍光標識体
2a 蛍光微粒子
2b 結合性物質
4 試験用捕捉性物質
5 逆戻り防止用捕捉性物質
6 筐体
61 検出開口部
62 検体導入開口部
6a 筐体上部
6b 筐体下部
8a サンプルパッド
8b コンジュゲートパッド
8c メンブレン
8d 吸収パッド
8e バッキングシート
7 参照用捕捉性物質
9 逆戻り防止領域(ストップライン)
10 試験片(テストストリップ)
100 長尺試験体
試験領域(テストライン)
L ラテラルフロー方向
B バックフロー方向
S 検体

Claims (10)

  1. 検体が付与されるサンプルパッドと、標識粒子と標的物質との複合体を捕捉する試験領域および検体の通過を示す参照領域が設けられたメンブレンと、移行してきた標識粒子を吸収保持する吸収パッドとを具備するイムノクロマトグラフィー用試験片であって、
    前記試験領域および参照領域に対し前記標識粒子が移行する方向の前方に逆戻り防止領域が設けられ、前記逆戻り防止領域には前記標識粒子を捕捉する逆戻り防止用捕捉性物質が配置されており、該逆戻り防止領域において前記試験領域および参照領域を通過した標識粒子を捕らえ前記試験領域に逆戻りすることを防止するイムノクロマトグラフィー用試験片。
  2. 前記逆戻り防止領域が少なくとも下記(a)〜(c)のいずれかの位置に設けられている請求項1に記載のイムノクロマトグラフィー用試験片。
    (a)前記メンブレンにおいて標識粒子が移行する方向でみて前記吸収パッドの手前の位置。
    (b)前記メンブレンと前記吸収パッドとが重さなり合った位置。
    (c)前記吸収パッドのある位置。
  3. 前記試験領域と逆戻り防止領域との間に前記参照領域が設けられている請求項1または2に記載のイムノクロマトグラフィー用試験片。
  4. 前記逆戻り防止領域を、前記試験領域および参照領域に対し前記標識粒子が移行する方向の前方で、前記メンブレンの内部もしくは表面、吸収パッドの内部もしくは表面、またはそれらの間に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー用試験片。
  5. 前記逆戻り防止領域で捕捉される標識粒子の数が、標識粒子全量の60数%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー用試験片。
  6. 前記逆戻り防止用捕捉性物質が、マウス抗体、ヤギ抗体、ラット抗体、アビジン、またはストプトアビジンである請求項1〜5のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー用試験片。
  7. 前記標識粒子に生体分子[A]が固定され、前記逆戻り防止用捕捉性物質が前記生体分子[A]に対して捕捉性を有する生体分子[B]である請求項1〜6のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー用試験片。
  8. 前記生体分子[A]と前記生体分子[B]との組合せが下表のとおりとなる請求項7に記載のイムノクロマトグラフィー用試験片。
    ―――――――――――――――――――――――――――――
    生体分子A 生体分子B
    ―――――――――――――――――――――――――――――
    1. ウサギIgG anti−ウサギIgGヤギ抗体
    2. マウスIgG anti−マウスIgG
    3. マウスIgG anti−マウスIgGヤギ抗体
    4. ヤギIgG anti−ヤギIgGラット抗体
    5. ビオチン アビジン
    6. 抗体 抗原
    ―――――――――――――――――――――――――――――
  9. さらに標識粒子が付与されるコンジュゲートパッドを有する請求項1〜8のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー用試験片。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー用試験片を用いた試験方法であって、前記試験片に検体を付与し、5分以上経過した後に、前記試験領域における前記標識粒子の検出を行う試験方法。
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