JP2013249462A - ポリグリセリン系樹脂可塑剤、及びそれを含有する熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

ポリグリセリン系樹脂可塑剤、及びそれを含有する熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
高温下でも揮発しない優れた耐熱性を有し、且つ樹脂との相溶性が良好な可塑剤を提供すること、及び、柔軟性、耐ブリード性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】
水酸基価から算出される平均重合度が2から10であるポリグリセリンと、2−エチルヘキサン酸とから構成され、さらに溶解性パラメーター(SP値)が9.0から12.5であるポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルを可塑剤として使用することによって、優れた耐熱性と樹脂との相溶性を両立する熱可塑性樹脂組成物を提供でき、上記の課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリグリセリンと2−エチルヘキサン酸とから構成されるポリグリセリン系樹脂可塑剤、及び、これを含有する柔軟性、及び耐ブリード性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
近年、自然環境保護の見地から、ポリエステル樹脂やポリ乳酸樹脂は、容器、包装材等の用途でよく使用されている。一方、ポリビニルブチラール樹脂は、自動車用、及び建築用の合わせガラス中間膜や太陽電池封止材として、さらに、アイオノマー樹脂については、容器、包装材、太陽電池封止材などとして使用、及び検討されている。一般に、これらの樹脂は、フィルムやシート等へ応用する際に柔軟性が不足するため、加工し易くする目的や成形品に柔軟性を付与させる目的で可塑剤の使用が検討されている。ところが、これらの樹脂は何れも加工時の温度が高いため、揮発性の高い可塑剤では、樹脂組成物中の可塑剤残存量が低下するため性能や物性面で問題が生じ、また作業環境面でも問題となる。そのため、相溶性と耐熱性の両者を満足する可塑剤が求められていた。
一般に、ポリエステル樹脂やポリ乳酸樹脂に使用される可塑剤としては、トリアセチン(特許文献1)、炭素数8〜14のアシル基を有するアセチル化モノグリセライド(特許文献2)、ポリグリセリンアセテート(特許文献3)等が開示されているが、いずれも耐熱性が悪く十分満足できるものではない。また、ジオクチルフタレート等のフタル酸誘導体等(特許文献4)も開示されているが、環境ホルモン等の問題で安全性が指摘されている。
一方、ポリビニルブチラール樹脂に使用される可塑剤としては、トリエチレングリコール2−エチルヘキサン酸エステル(特許文献5)等が開示されており、さらに、アイオノマー樹脂に使用される可塑剤としては、ジグリセリンモノカプリル酸エステル、ジグリセリンモノジステアリン酸エステル、ポリプロピレングリコールなどが開示されている(特許文献6)。これらの可塑剤については、良好な耐熱性と相溶性を有するものの、可塑剤の配合量を増加させた場合や、過酷環境に曝された場合には、耐ブリード性が低下する場合があり、より優れた相溶性が求められていた。
特開平07−177826号公報 特開2002−053742号公報 特開2008−296482号公報 特開2000−198908号公報 特開2011−042552号公報 特開2009−035699号公報
本発明は、こうした事情に鑑み、高温下でも揮発しない優れた耐熱性を有し、且つ樹脂との相溶性が良好な可塑剤を提供すること、及び、柔軟性、耐ブリード性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本発明者が鋭意研究を重ねた結果、水酸基価から算出される平均重合度が2から10であるポリグリセリンと、2−エチルヘキサン酸とから構成されるポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルを用いることによって、上記の課題を解決することができるという知見を見出した。さらに、上記ポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルにおいて、溶解性パラメーター(SP値)が9.0から12.5であることによって、より優れた機能を有する熱可塑性樹脂組成物を提供できることを見出した。
本発明のポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルを熱可塑性樹脂に配合することにより、ガラス転移温度を効率よく低下させ、且つメルトインデックスを適度に向上することができ、さらに長期保存条件下においてブリードが全く見られず、優れた相溶性を有することから、経時的な性能劣化や、品質変化を起こさず、所望の改質性能を長期間維持することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。ただし、部、及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
本発明で使用されるポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルのポリグリセリンは、水酸基価から算出した平均重合度が2〜10のものを使用する。また、この範囲のポリグリセリンを単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。ここで、平均重合度は、末端基分析法による水酸基価から算出されるポリグリセリンの平均重合度(n)である。詳しくは、次式(式1)および(式2)から平均重合度が算出される。
(式1)分子量=74n+18
(式2)水酸基価=56110(n+2)/分子量
上記(式2)中の水酸基価とは、ポリグリセリンに含まれる水酸基数の大小の指標となる数値であり、1gのポリグリセリンに含まれる遊離ヒドロキシル基をアセチル化するために必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。水酸化カリウムのミリグラム数は、社団法人日本油化学会編纂、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法(I)、2003年度版」に準じて算出される。
また、前記の水酸基価から算出される平均重合度が2〜10のポリグリセリンにおいては、平均重合度が2であるジグリセリンを除いて、一般には、分子量分布を有する組成物が使用されるが、これらの異なる分子量分布を有するポリグリセリンを2種以上混合してもよく、ポリグリセリン混合物の水酸基価から算出される平均重合度が2〜10であれば、平均重合度が2未満、及び10を超えるポリグリセリンも使用できる。
本発明で使用されるポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルは、炭素数8の分岐アルカン酸である2−エチルヘキサン酸から構成されるが、95%以上の純度を有するものが好ましい。なお、このような、2−エチルヘキサン酸の市販品の例としては、オクチル酸(協和発酵ケミカル株式会社製)などが挙げられる。
本発明のポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルの溶解性パラメーター(SP値)は、9.0から12.5の範囲であり、好ましくは9.0〜11.0、より好ましくは9.0〜10.0の範囲である。ここでいう溶解性パラメーターとは、「Polymer Enineering and Science、Vol.14,No.2,p147−154(1974)」に記載の方法(Fedors法)により計算することが出来る。なお、SP値は、次式で表せる。
SP値(δ)=(ΔH/V)1/2
ただし、式中、ΔHはモル蒸発熱(cal)を、Vはモル体積(cm)を表す。また、ΔH及びVは、上記文献の151〜153頁に記載の原子団のモル蒸発熱の合計(ΔH)とモル体積の合計(V)を用いることができる。この数値が近いもの同士はお互いに混ざりやすく(相溶性が高い)、この数値が離れているものは混ざりにくいことを表す指標である。ポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルにおいて、SP値が9.0未満、及び12.5を超える場合においては、樹脂との相溶性が低下し、経時的にブリードが生じるものとなるため、好ましくない。
本発明のポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルのエステル化率は、好ましくは20mol%以上であり、さらに好ましくは50mol%以上である。この範囲を外れると、樹脂との相溶性が低下する傾向があり、可塑剤がブリードする可能性がある。ここで、エステル化率とは、末端基分析法による水酸基価から算出されるポリグリセリンの平均重合度(n)、このポリグリセリンが有する水酸基数(n+2)、ポリグリセリンに付加している2−エチルヘキサン酸のモル数(M)としたとき、(M/(n+2))×100=エステル化率(%)で算出される値である。また、水酸基価とは、ポリグリセリンに含まれる水酸基数の大小の指標となる数値であり、1gのポリグリセリンに含まれる遊離ヒドロキシル基をアセチル化するために必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。水酸化カリウムのミリグラム数は、社団法人日本油化学会編纂、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法(I)、2003年度版」に準じて算出される。また、平均重合度は、末端基分析法による水酸基価から算出されるポリグリセリンの平均重合度(n)である。詳しくは、次式(式1)および(式2)から平均重合度が算出される。
(式1)分子量=74n+18
(式2)水酸基価=56110(n+2)/分子量
本発明のポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルは、25℃から200℃まで毎分5℃の速度で昇温させた際の、重量減少率が5重量%以下が好ましい。重量減少率が5重量%を超える場合では、熱可塑性樹脂と溶融混練を行う際に揮発量が多くなり、樹脂組成物中の可塑剤残存量が低下するため、性能や物性面で問題が生じる可能性がある。また、作業環境面でも揮発成分による臭気の充満など問題となる可能性があるため、この範囲に抑える必要がある。
本発明のポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルは、一般的なエステル化反応により合成される。一例として、還流装置を備えた合成条件にて、反応温度160℃以上に加熱し、生成水を系外へ除去しながら反応を進行させる。
本発明のポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルは、無触媒、または触媒の存在下にて合成することができ、使用できる触媒としては、塩基性触媒と酸性触媒が挙げられる。塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが好ましい。また、酸性触媒としては、(オルト)リン酸、ポリリン酸、及び、2−エチルヘキシルアシッドホスフェイト、オレイルアシッドホスフェイト、ステアリルアシッドホスフェイトなどの酸性リン酸エステルの何れかが好ましく、これらを単独で使用しても二種類以上を併用しても良い。この他に塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、また、塩化第一スズ、塩化第二スズ、ジブチルスズビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジアセテート、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。
本発明はまた、前述のポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルを提供すると共に、これを含有する熱可塑性樹脂をも提供する。可塑剤成分として配合するポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルの含有割合は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、1から60重量部であることが好ましく、3から40重量部であることがさらに好ましい。ポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルの含有割合が、1重量部未満では可塑化効果が十分に発揮されず、また60重量部を超えると熱可塑性樹脂組成物の機械物性が低下する原因となるためこの範囲が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられる熱可塑性樹脂は、その構造中に極性基を有する高分子であることが好ましい。代表的なものとして、ポリエステル樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アイオノマー樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂など、及びこれらを数種複合する樹脂などが挙げられるがこれに限定するものではない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、ポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルとは別の可塑剤も含有することができる。可塑剤としては、グリセリンジアセトモノカプリレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリン2−エチルヘキサン酸モノエステル、グリセリン2−エチルヘキサン酸ジエステル、グリセリン2−エチルヘキサン酸トリエステルなどのグリセリン脂肪酸エステル類や、トリエチレングリコール2−エチルヘキサン酸エステル、テトラエチレングリコール2−エチルヘキサン酸エステル、ペンタエチレングリコール2−エチルヘキサン酸エステルなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル類などが挙げられる。また、これらの可塑剤は単独のみでなく、2種以上配合することもできる。なお、ポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルとグリセリン脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類を配合することにより、相溶性に優れ、長期間において耐ブリード性を維持することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において使用できる可塑剤は、上記のものの他に、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、アセチルクエン酸トリブチル、アジピン酸エステルに代表されるポリエステル系可塑剤などの一般的な可塑剤を用いることもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、各種添加剤、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、着色剤、発泡剤、難燃剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、フィラーなどを適宜配合することができる。
本発明の樹脂組成物の調製方法としては特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば溶融混練法や溶剤に溶解して混合する方法などにより、樹脂組成物を調製することができるが、これらの方法の中で、溶融混練法が好ましい。この溶融混練法を適用する場合には、熱可塑性樹脂、本発明のポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステル、及び所望により用いられる各種添加剤を配合し、単軸押出機や多軸押出機、ニーダー、バンパリーミキサーなどを用い、80℃以上の温度で溶融混練することが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の柔軟性の指標としては、ガラス転移温度(Tg)、及びメルトインデックス(MI値)を用いることができる。このうち、ガラス転移温度については、可塑剤を含有しない場合に比べて低下することが好ましく、その低下幅が大きいほど、柔軟性の付与効果が高いことを意味する。一方、メルトインデックスについては、可塑剤を含有しない場合に比べて上昇することが好ましく、さらに適度な上昇幅を持つことが望まれる。また、それぞれの数値の好適な範囲は、樹脂の種類や用途によって異なる。
次に、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。尚、今回の合成に使用したポリグリセリンは、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン(何れも阪本薬品工業株式会社製)であり、水酸基価から算出される平均重合度は、それぞれ2、3、4、6、10である。また、2−エチルヘキサン酸は、オクチル酸(協和発酵ケミカル株式会社製)を用いた。さらに、熱可塑性樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ乳酸樹脂、エチレン系アイオノマー樹脂を用いた。以下、本発明の実施例及び比較例を示す。ただし、%は、特に断りのない限り重量基準で示す。
(熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度の測定)
各種可塑剤を溶融混練した熱可塑性樹脂組成物について、示差走査熱量計(Thermo Plus DSC8320、RIGAKU製)を用いて、ガラス転移温度(Tg)を測定した。アルミ製試料セルに試料と、対照物質としてα−アルミナをそれぞれ5mgずつ量り取り、窒素雰囲気下にて室温から200℃まで毎分5℃で昇温させた後、−50℃まで毎分5℃で冷却させ、再び200℃まで毎分5℃の速度で昇温させた際の、二度目の昇温時における吸熱カーブ部分の接線と、ベースラインの延長線との交点からガラス転移温度を求めた。なお、本発明のポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルを含有しない熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、ポリビニルブチラール樹脂が75℃、ポリ乳酸樹脂が60℃、エチレン系アイオノマー樹脂が95℃であった。
(熱可塑性樹脂組成物のメルトインデックス値の測定)
熱可塑性樹脂組成物について、MELT INDEXER TYPE C−5059D(東洋精機製作所製)を用いて、MI値(メルトインデックス値)を測定した。試料10.0g、予熱時間360秒、試験時間600秒、試験温度190℃、試験荷重2.16kgf、A法(CUTT OFF法)の条件にて、JIS K−7210に準じて測定した。なお、本発明のポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルを含有しない熱可塑性樹脂のメルトインデックスは、ポリビニルブチラール樹脂が5.5g/10min、ポリ乳酸樹脂が9.4g/10min、エチレン系アイオノマー樹脂が10.0g/10minであった。
(熱可塑性樹脂組成物の可塑剤ブリード試験)
さらに、熱可塑性樹脂組成物について、25℃、1ヶ月間、その後10℃、1ヶ月間放置した際の可塑剤のブリードの有無を外観目視にて判定した。25℃、10℃の何れにおいてもブリードが全く生じないものを◎、25℃ではブリードが全く生じず、10℃においてブリードが僅かに生じたものを○、25℃ではブリードが生じず、10℃においてブリードが生じたものを△、25℃で可塑剤のブリードが生じたものを×と評価した。そして、◎評価の熱可塑性樹脂組成物を好ましい例と判断した。
(合成例1)
温度計、攪拌機、窒素吹き込み管、Dean−Stark還流装置を備えた反応器に、ポリグリセリン(阪本薬品工業株式会社製、ジグリセリン)を317.7g、2−エチルヘキサン酸を551.2g仕込み、一定量の窒素を吹き込み、且つ撹拌しながら200℃から250℃でエステル化反応を行った。その結果、色相がAPHA20、酸価が0.1mgKOH/g、水酸基価が268.5mgKOH/g、エステル化率が50mol%、200℃における熱重量減少が2.8重量%、SP値が10.7であるポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステル(略号:2G2EH)を得た。
(合成例2から18)
ポリグリセリン、又は、多価アルコールの種類、脂肪酸の種類と、それらの仕込み量を変更した以外は、合成例1と同様の方法で、各種エステル化合物を合成した。得られた結果を表1、及び表2に示した。

Figure 2013249462
Figure 2013249462
(実施例1)
ポリビニルブチラール樹脂100.0gに対して、合成例1で得られたポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステル(略号:2G2EH)を30.0g添加し、二軸押出し機を用いて190℃にて溶融混練を行うことにより、ポリビニルブチラール樹脂組成物を得た。この樹脂組成物のTgは10℃、メルトインデックスは28g/10minであり、10℃、25℃の何れにおいても可塑剤のブリードは全く見られず◎評価であり、良好であった。
(実施例2から15、及び比較例1から13)
熱可塑性樹脂の種類、可塑剤の種類と添加量を変更した以外は、実施例1と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物の調整、及び評価を行った。得られた結果を表3、及び表4に示した。




Figure 2013249462
Figure 2013249462
本発明において、水酸基価から算出される平均重合度が2から10のポリグリセリンと、2−エチルヘキサン酸とから構成されるポリグリセリン脂肪酸エステルを添加した熱可塑性樹脂、さらに、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルと、グリセリン2−エチルヘキサン酸エステル、及び/又はポリエチレングリコール2−エチルヘキサン酸エステルを添加した熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂に配合されることによって、ガラス転移温度を効率良く低下させ、且つメルトインデックスを適度に上昇することができる、さらに長期保存条件下においてブリードが全く見られず、経時的な性能劣化や、品質変化を起こさず、所望の改質性能を長期間維持できることが分かった。
本発明の効果の要因については明らかとはなっていないものの、平均重合度が2から10のポリグリセリンを用いて、特定のエステル化率、または特定のSP値に制御することより、ポリグリセリン骨格中のエーテル結合部の極性が影響し、部分的に極性基を有する熱可塑性樹脂に対して優れた相溶性、及び改質効果を示すものと考えられる。
本発明のポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルを熱可塑性樹脂に配合することにより、ガラス転移温度を効率よく低下させ、且つメルトインデックスを適度に向上することができ、さらに長期保存条件下においてブリードが全く見られず、優れた相溶性を有することから、経時的な性能劣化や、品質変化を起こさず、所望の改質性能を長期間維持することができることから、各種フィルム・シート類、プラスチック成型品などの用途において応用できる。

Claims (7)

  1. 水酸基価から算出される平均重合度が2から10であるポリグリセリンと2−エチルヘキサン酸から構成されるポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルであることを特徴とする樹脂可塑剤。
  2. 前記ポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルの溶解性パラメーター(SP値)が9.0から12.5であることを特徴とする請求項1記載の樹脂可塑剤。
  3. 前記ポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルの、水酸基価から算出されるエステル化率が20mol%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂可塑剤。
  4. 前記ポリグリセリン2−エチルヘキサン酸エステルの、25℃から200℃まで毎分5℃の速度で昇温させた際の重量減少率が5重量%以下であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の樹脂可塑剤。
  5. 請求項1から4何れかに記載の樹脂可塑剤と熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  6. グリセリン2−エチルヘキサン酸エステル、及び/又はポリエチレングリコール2−エチルヘキサン酸エステルを含有することを特徴とする請求項5記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 前記熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アイオノマー樹脂より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の熱可塑性樹脂組成物。
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