従来、自動車のフロントサイドドアやリヤサイドドアといったドアのドアベルトライン位置において、ドアの窓ガラス挿通口に挿通される窓ガラスと金属製のドアアウタパネルとの間をシールするために、種々のドアアウタウェザストリップとその取付構造が提案されている。
例えば、特許文献1(図示せず)には、ドアアウタウェザストリップとして、断面略逆U字状の取付基部の車両内側の(車両内側を向く)側壁に、窓ガラスの外面を当接させるための突起部を設け、取付基部の上壁に、窓ガラスの外面に密着させるためのシールリップを車両内側に向けて斜め上向きに設けたものを用いることで、取付基部の車両内側の側壁にシールリップを設けた場合に比べて、窓ガラスを車両外側に配置して、ドアフレームやドアパネルの外表面と窓ガラスの外表面との間の段差を減少させて、空気抵抗や風切り音を減少させると共に見栄えを向上させることが記載されている。
このドアアウタウェザストリップは、取付基部の車両外側の(車両外側を向く)側壁の内面に設けた保持リップと、取付基部の車両内側の側壁の内面側とで、ドアアウタパネルの上縁のフランジ部を挟み、取付基部の車両内側の側壁の下端の鉤部でフランジ部の下向きの折り返し部の下端を係止することで、ドアアウタパネルに取り付けられる(この取付構造については従来の図11の例で詳述する)。
また、特許文献2(図示せず)には、モール(ドアアウタウェザストリップ)として、横方向の取付部と、横方向の取付部に交差した下向きの取付部と、横方向の取付部と下向きの取付部とから窓ガラスの外面に向けて延設された上下の各リップ部と、横方向の取付部から下向きに設けられた複数の突起部とを備えるものを用い、ドアアウタパネルの略逆U字状の上部パネルの横方向の上壁に設けた取付孔にモールの下向きの突起部を貫通係合させて、モールをドアアウタパネルに固定することが記載されている。
また、特許文献2の従来例(図示せず)には、ドアアウタパネルの略逆U字状の上部パネルの車両内側の(車両内側を向く)壁部から上壁にかけて切欠部を設け、切欠部に断面略S字状の板ばねを嵌合させ、板ばねには、モール(ドアアウタウェザストリップ)の下向きの取付部を嵌合固定させておくことが記載されている。
また、特許文献3(図示せず)には、ドアアウタウェザストリップではなく、ドアインナシール(ドアインナウェザストリップ)として、縦方向の板状のシール本体の車両内側の(車両内側を向く)面にクリップ条片とフック条片とを上下に設け、板状のシール本体の車両外側の(車両外側を向く)面に上下のシールリップを設けたものを使用し、金属製のドアインナパネルの車両内側に配置された合成樹脂製のドアトリムの上部の下向きのウェストフランジ部に上下の挿入孔を設け、上下の挿入孔にクリップ条片とフック条片とを貫通係合させて、ドアインナシールをドアトリムに固定させることが記載されている。
図11(a)(b)は、上記特許文献1の従来例に類似する形態のドアアウタウェザストリップとその取付構造を示すものである。
図11(a)の如く、このドアアウタウェザストリップ26は、断面略逆U字状の取付基部27と、取付基部27の車両内側の(車両内側を向く)側壁22の車両内側の面の上部に設けた大きなシールリップ部38と、同じく側壁22の面の下部側に設けた突起状のスタビライザ23と、同じく側壁22の下端部において車両外側の面に突設した鉤部24と、同じく側壁22の車両外側の面に設けた上下の小さな突起部39と、取付基部27の車両外側の(車両外側を向く)側壁29の内面に設けた中位の大きさのシールリップ部40と、同じく側壁29の下端に設けた小さなシールリップ部41とを備えたものである。鉤部24はドアアウタウェザストリップ26の長手方向(車両前後方向)に複数配設されている。
金属製のドアアウタパネル12’は、略S字状の屈曲部分12a’に続く上向きのフランジ部18’を有し、フランジ部18’は、車両外側の立ち上げ部19’と、立ち上げ部19’の上端から下向きに折り返され、ドアベルトライン部の剛性を高めるために補強用のドアアウタリインフォース14’の上縁部(フランジ部)21’を車両外側の立ち上げ部19’との間で挟み付ける車両内側の折り返し部25とで構成されている。ドアアウタパネル12’のフランジ部18’とドアアウタリインフォース14’のフランジ部21’とは溶接や接着等の手段で固着される。
図11(b)に図11(a)の矢視Y’図を示す如く、ドアアウタパネル12’のフランジ部18’の折り返し部分25において、ドアアウタウェザストリップ26の複数の鉤部24に対応した部分25bのみが下向きに長く略逆台形状に突出されている。図11(b)において、符号14’は、ドアアウタリインフォースを示す。フランジ部18’の突出部25bを除く折り返し部分25は、ドアアウタリインフォース14’を接着ないし溶接するためにあるので、突出部25bよりも短くなっていることが好ましい。
図11(a)の如く、ドアアウタウェザストリップ26の取付基部27が上方からドアアウタパネル12’のフランジ部18’に向けて下向きに組み付けられ、取付基部27の車両内側の側壁22の突起39と車両外側の側壁29のシールリップ部40とでフランジ部18’を挟み、車両内側の側壁22の下端の鉤部24がフランジ部18’の折り返し部25の下端25aに係止され、車両外側の側壁29の下端の小さなシールリップ部41がドアアウタパネル12’の屈曲部12a’の外面に密着する。車両内側の側壁22の上部のシールリップ部38は窓ガラス17の外面に密着する。車両内側の側壁22の下部側のスタビライザ23は、例えば車両の高速走行時等に窓ガラス17がガラスラン(図示せず)の車両幅方向の範囲で車両外側に吸い寄せられて移動したりした際に、窓ガラス17の外面17aに当接して窓ガラス17を安定に支持する。
窓ガラス17はドアの前後のガラスラン(図示せず)に沿って上下方向に案内され、ドア内のウインドレギュレータ(図示せず)で昇降駆動される。窓ガラス17は、ドアアウタパネル12’(不図示のドアフレームを含まないドアアウタパネル本体)の上縁と、不図示のドアインナパネルの上縁との間の窓ガラス挿通口30を通って昇降し、窓ガラス17の外面17aとドアアウタパネル12’との間がドアアウタウェザストリップ26でシールされ、窓ガラス17の内面とドアインナパネル(図示せず)との間がドアインナウェザストリップ(図示せず)でシールされる。
しかしながら、上記従来の図11に示すドアアウタウェザストリップとその取付構造にあっては、ドアアウタパネル12’のフランジ部18’の折り返し部分25の折り返し長さLが規定よりも長い場合に、ドアアウタウェザストリップ26の下端の鉤部24を引っ掛けるのに大きな力を要したり、鉤部24を引っ掛けることができなかったりして、ドアアウタウェザストリップ26の組付作業性が低下するという懸念があった。また、ドアアウタパネル12’のフランジ部18’の折り返し部分25の折り返し長さLが規定よりも短い場合には、ドアアウタウェザストリップ26の下端の鉤部24をフランジ部18’の折り返し部分25の下端25aに引っ掛けた際の係止代が小さくないしゼロになって、例えば窓ガラス17の上昇時等において、ドアアウタウェザストリップ26がフランジ部18’から外れ兼ねないという懸念があった。このように、ドアアウタウェザストリップ26の組付作業性や組付精度がドアアウタパネル12’のフランジ部18’の折り返し部分25の寸法精度に左右され兼ねないという懸念があった。
また、ドアアウタウェザストリップ26の取付基部27の車両内側の側壁22を車両外側の側壁29よりも下向きに長く形成して、側壁22の下端に設けた鉤部24を、ドアアウタパネル12’のフランジ部18’の下向きに長く形成した折り返し部分25に係止させるために、ドアアウタウェザストリップ26の車両内側の側壁22の重量が重くなって、ドアアウタウェザストリップ26全体の重量が重くなるという懸念や、フランジ部18’の下向きに長く形成した折り返し部25によって、ドアアウタパネル12’全体の重量が重くなるといった懸念があった。
また、例えば車両ボディの中央のBピラーに対応するフロントドアの後部サッシュの外面に装飾用のブラックアウトテープを貼り付けた車両においては、ドアアウタウェザストリップ26の後端側の部分(断面略逆U字状の取付基部27の車両内側の側壁22に切欠等を設けた形状の部分)で後部サッシュの外面を覆うようにドアアウタウェザストリップ26の全長を断面略逆U字状の取付基部27よりも長く形成し、ドアアウタウェザストリップ26の断面略逆U字状の取付基部27を上から下向きにドアアウタパネル12’のフランジ部18’に嵌合させ、ドアアウタウェザストリップ26の後端側の部分を車両外側(側方)から車両内側に向けて車両幅方向に組み付けるために、二方向の組付作業でドアアウタウェザストリップ26の組付(取付)作業性が低下し兼ねないという懸念があった。
本発明は、上記した点に鑑み、ドアアウタウェザストリップの組付作業性や組付精度がドアアウタパネルのフランジ部の折り返し部分の折り返し精度に左右されるという懸念を解消すると共に、ドアアウタウェザストリップ及びドアアウタパネルの重量を軽減することができ、しかも、ドアアウタパネルへのドアアウタウェザストリップの組付作業性を高めることのできるドアアウタウェザストリップとその取付構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るドアアウタウェザストリップは、自動車ドアの窓ガラス挿通口の車両外側の周縁に立ち上げられたドアパネルのフランジ部に取り付けられるドアアウタウェザストリップであって、該フランジ部の車両外側に配置される側壁と、該側壁の上部に交差した上壁とで、該フランジ部に対する取付基部が構成され、窓ガラスの外面に弾接するシールリップ部が該上壁に設けられ、該フランジ部を厚み方向に貫通する係止用の爪部を有する突起部が、該側壁の内面から車両内側に向けて設けられたことを特徴とする。
上記構成により、係止用の突起部が車両外側(側方)から車両幅方向に車両内側に向けてドアパネルのフランジ部を貫通し、爪部がフランジ部の貫通終端縁に係止されることで、ドアアウタウェザストリップがフランジ部にしっかりと固定される。フランジ部の厚み(板厚)は従来のフランジ部の折り返し部分の折り返し精度よりも寸法精度が高いので、爪部が、フランジ部の厚み方向に貫通してフランジの貫通終端縁にガタつきなくしっかりと係合する。シールリップ部は、窓ガラスの外面に弾性的に接触して取付基部を突起部と共に車両外側に押し、突起部の係止部分である爪部がフランジ部の貫通終端縁にガタつきなく当接して、ドアアウタウェザストリップがフランジ部に安定して固定される。取付基部は、従来の車両内側の下向きに長い側壁を有さないので、従来の車両内側の側壁やフランジ部の折り返し部の折り返し精度に起因するドアアウタウェザストリップの係止力の不足や過大(取付困難)等の懸念が解消される。
請求項2に係るドアアウタウェザストリップは、請求項1記載のドアアウタウェザストリップにおいて、前記係止用の突起部の先端面が、前記窓ガラスの外面を当接させるスタビライザを兼ねていることを特徴とする。
上記構成により、取付基部の車両外側の側壁から車両内側に向けて突出した係止用の突起部がドアパネルのフランジ部を貫通してフランジ部に係止され、突起部の突出先端面が窓ガラスの外面に向けてフランジ部から突出して窓ガラスの外面に対向して位置する。車両の高速走行時等において窓ガラスがドアのガラスランの車幅方向の範囲内で車両外側に移動した際に、窓ガラスの外面が突起部の先端面に当接して、窓ガラスのそれ以上の車両外側への移動が阻止される。
請求項3に係るドアアウタウェザストリップは、請求項1又は2記載のドアアウタウェザストリップにおいて、前記フランジ部の外面に弾接する第二のシールリップ部が、前記突起部の下側において前記側壁の内面に設けられたことを特徴とする。
上記構成により、第二のシールリップがドアパネルのフランジ部の車両外側の外面に弾性的に当接して、係止用の突起部を取付基部と一体に車両外側に向けて押すことで、突起部の爪部がフランジ部の貫通終端縁にガタつきなく確実に当接して、係止の信頼性が高まる。突起部は、下側の第二のシールリップ部と上側(第一)のシールリップ部との間に配置されているので、上側のシールリップ部が窓ガラスの外面に弾接した際の反力と、第二のシールリップ部がフランジ部の外面に弾接した際の反力とで、フランジ部への突起部の係止が一層ガタつきなく安定して行われると共に、フランジ部に対するドアアウタウェザストリップの組付姿勢が安定する。
請求項4に係るドアアウタウェザストリップの取付構造は、請求項1〜3の何れかに記載のドアアウタウェザストリップを前記フランジ部に取り付けるためのドアアウタウェザストリップの取付構造であって、該フランジ部が、前記突起部を貫通させるための孔部を備えたことを特徴とする。
上記構成により、ドアパネルのフランジ部に設けた孔部にドアアウタウェザストリップの係止用の突起部が車両外側から車両内側に向けて挿入されて、孔部の上端面と下端面と前後の側端面とで突起部が四方を囲まれて、ガタつきや傾きや抜け出しなく安定に位置決め支持される。ドアパネルはドアアウタパネルのみで構成してもよく(その場合、フランジ部はドアアウタパネルのフランジ部のみで構成される)、ドアアウタパネルと補強用のドアアウタリインフォースとで構成してもよい(その場合、フランジ部はドアアウタパネルのフランジ部とドアアウタリインフォースの上縁部すなわちフランジ部とで構成される)。また、孔部の他に切欠部をドアアウタパネルのフランジ部の立ち上げ部又は折り返し部やドアアウタリインフォースの上縁部に設けることも可能である。孔部と切欠部の組み合わせは適宜設定可能である。
請求項5に係るドアアウタウェザストリップの取付構造は、請求項4記載のドアアウタウェザストリップの取付構造において、前記ドアパネルがドアアウタパネルとドアアウタリインフォースとで成り、前記フランジ部が、該ドアアウタパネルの車両外側の立ち上げ部と該立ち上げ部に続く車両内側の折り返し部と、該立ち上げ部と該折り返し部との間に接合された該ドアアウタリインフォースの上縁部とで成り、該立ち上げ部に前記孔部が設けられ、該孔部に対向して該上縁部と該折り返し部とにそれぞれ切欠部が設けられたことを特徴とする。
上記構成により、フランジ部の折り返し部の下端側に切欠部が形成され、切欠部内にフランジ部の立ち上げ部の孔部又はドアアウタリインフォースの上縁部の切欠部が露出して孔部(孔形状部)として位置する。ドアアウタリインフォースの上縁部の切欠部は、上縁部の上端から下向きに且つ孔部に比べて容易に且つ孔部に比べてラフな加工精度で切欠形成可能である。フランジ部の折り返し部の切欠部の上端とドアアウタリインフォースの上縁部の切欠部の下端との間に孔部(孔形状部)を構成することも可能である。フランジ部の折り返し部の下端は孔部又はドアアウタリインフォースの切欠部の下端よりも下側に延長する必要がないので(孔部の車両前後方向の端縁すなわち折り返し部の切欠部の車両前後方向の端縁は、係止用の突起部の爪部を係止させる部分となるので必要である)、折り返し部の折り返し長さが短くて済み、ドアアウタパネルが軽量化される。
請求項1記載の発明によれば、ドアアウタウェザストリップの取付基部を車両外側の側壁と上壁とで構成して、従来の車両内側の側壁を排除したので、従来の車両内側の側壁の下端の鉤部をドアアウタパネルのフランジ部の折り返し部分の下端に係止させる必要がなくなり、ドアアウタウェザストリップの組付作業性や組付精度がフランジ部の折り返し部分の折り返し精度に左右されるという懸念を解消して、フランジ部の折り返し部分よりも寸法精度のよいフランジ部の厚み方向に係止用の突起部を貫通させて、突起部の爪部をフランジ部にガタつきなく確実に係止させることができる。
また、シールリップ部を窓ガラスの外面に弾接させた際の反力で係止用の突起部を取付基部と共に車両外側に押して、突起部の爪部をフランジ部に一層ガタつきなく確実に係止させることができる。また、ドアアウタウェザストリップの取付基部を車両外側の側壁と上壁とで簡素に構成したことで、ドアアウタウェザストリップをコンパクト化、軽量化することができ、しかも、ドアアウタパネルのフランジ部の折り返し部分をドアアウタウェザストリップの係止のために用いないので、フランジ部の折り返し部分を短く折り返し形成してドアアウタパネルを軽量化することができる。
さらに、ドアアウタウェザストリップを全長に渡って車両外側から車両幅方向に車両内側に向けて組み付けることができるので、例えば自動車のフロントドアの窓ガラス挿通口の周縁から後部サッシュの外面にかけてドアアウタウェザストリップを組み付ける車両の場合に、従来のように上側と側方との二方向からではなく側方のみの一方向から組み付けることができるので、ドアパネルへのドアアウタウェザストリップの組付作業性を高めることができる。
請求項2記載の発明によれば、係止用の突起部の先端面を従来の突起状のスタビライザに代えて用いることで、従来の突起状のスタビライザを不要として、ドアアウタウェザストリップの構造を簡素化、軽量化、低コスト化することができる。
請求項3記載の発明によれば、第二のシールリップ部をドアパネルのフランジ部の外面に弾接させた際の反力で係止用の突起部を取付基部と共に車両外側に押して、突起部の爪部をフランジ部にガタつきなく確実に係止させることができる。また、係止用の突出部を支点として上側のシールリップ部の弾性反力と下側の第二のシールリップ部の弾性反力とでドアアウタウェザストリップをフランジ部に安定な姿勢でしっかりと保持させることができる。
請求項4記載の発明によれば、ドアパネルのフランジ部に設けた孔部にドアアウタウェザストリップの係止用の突起部を挿入貫通させ、孔部内に突起部を位置決め保持させて、ドアアウタウェザストリップをフランジ部に位置ずれ等なく安定に固定させることができる。
請求項5記載の発明によれば、位置精度の必要な孔部をドアアウタパネルのフランジ部の立ち上げ部のみに設ければよく、フランジ部の折り返し部とドアアウタリインフォースの上縁部とには精度のラフな切欠部を設けて、ドアパネルのフランジ部の貫通部分の加工を低コストで容易に行うことができる。また、フランジ部の折り返し部に孔部を設けないので、折り返し部の折り返し長さを短く規定して、ドアアウタパネルを軽量化することができる。
図1〜図5は、本発明に係るドアアウタウェザストリップとその取付構造の一実施形態を示すものである。
図1の如く、このドアアウタウェザストリップ1は、合成ゴム、熱可塑性エラストマーないし合成樹脂を材料として、車両外側の(車両外側を向く)垂直な側壁2と、側壁2の上端から車両内側に向けて庇状に突出した上側の壁部(上壁)3とで成る断面略逆L字状の取付基部4と、上側の壁部3の突出先端から車両内側に向けて斜め上向きに突出した大きな上側(第一)のシールリップ部5と、側壁2の車両内側の内面2aの下部側から車両内側に向けて突出した中位の大きさの中間(第二)のシールリップ部6と、側壁2の下端から車両内側に向けて斜め下向きに突出した小さな下側(第三)のシールリップ部7と、側壁2に直交して側壁2の内面2aから車両内側に向けて突出形成された複数の係止用の突起部8とで構成されたものである。
側壁2と側壁2の上部に交差した上壁3とで成る取付基部4は、ドアアウタウェザストリップ1の前端1aから後端にかけてウェザストリップ長手方向に延設され、上側のシールリップ部5と中間のシールリップ部6と下側のシールリップ部7は取付基部4と一体にウェザストリップ長手方向に延設されている。複数の係止用の突起部8は、取付基部4の長手方向の水平な仮想直線上において、所要の位置に一つずつ配設され(好ましくは等ピッチで配設され)、取付基部4の前端1aの近傍に一つの突起部8が配設されている。
断面略逆L字状の取付基部4は硬質の合成ゴム、熱可塑性エラストマーないし合成樹脂で形成され、上側のシールリップ部5と中間のシールリップ部6と下側のシールリップ部7とは軟質の弾性の合成ゴム、熱可塑性エラストマーないし合成樹脂で形成され、取付基部4の側壁2から車両内側に向けて突出した突起部8は、取付基部2と一体のないしは取付基部2とは別の異なる硬質のないしは軟質の合成ゴム、熱可塑性エラストマーないし合成樹脂で形成される。
図2の如く、自動車のフロントサイドドア10やリヤサイドドア11におけるドアアウタパネル12,13のドアベルトラインに図1のドアアウタウェザストリップ1,1’が車両外側から車両内側に向けて車両幅方向に略水平方向に組み付けられる。リヤサイドドア用のドアアウタウェザストリップ1’はフロントサイドドア用のドアアウタウェザストリップ1を短くした形状となっている。明細書ではフロントサイドドア10にドアアウタウェザストリップ1を組み付ける例で説明する。図1のドアアウタウェザストリップ1が前後反転した状態で、図2の右側のフロントサイドドア10に組み付けられる。左右の各サイドドア(自動車ドア)10,11に組み付けられる各ドアアウタウェザストリップ1,1’は左右対称に形成されている。
フロントサイドドア10は、車両外側の金属製のドアアウタパネル12と、ドアアウタパネル12を補強するための金属製のドアアウタリインフォース14(図3参照)と、車両内側の金属製のドアインナパネル(図示せず)とを備えている。明細書では、ドアアウタパネル12とドアアウタリインフォース14とを(少なくともドアアウタパネル12を)ドアパネル15(図3)と総称する。ドアアウタパネル12と不図示のドアインナパネルはそれぞれドアフレーム16を有し、例えばドアアウタパネル12は下半のドアアウタパネル本体(符号12で代用)と上半のドアフレーム16とで構成され、ドアアウタパネル本体(12)の上縁すなわちドアベルトラインに図1のドアアウタウェザストリップ1が車両外側から車両内側に向けて略水平方向に(正確には図3(a)で示す如く水平よりも少し斜め下向きに)組み付けられる。なお、フロントサイドドア10は、プレスドアの場合には上記のようにドアアウタパネル12とドアインナパネルはそれぞれドアフレーム16と一体で構成され、サッシュドアの場合にはドアアウタパネル12及びドアインナパネルとドアフレーム16とは別体(別部品)で構成される。
車両の種類によっては、ドアアウタウェザストリップ1の後端部をドアフレーム16の後部フレーム16aの車両外側の外面16a’に沿って延設配置するものがあるが、その場合においても図1のドアアウタウェザストリップ1の後端部を後部フレーム16aの幅寸法で延長し、ドアアウタウェザストリップ1の不図示の後端延設部分に図1におけると同様な係止用の突起部8を設けて、後端延設部分を含めてドアアウタウェザストリップ1を全長に渡って車両外側から車両内側に向けて略水平方向に組み付けることができる。
図3(a)は、図1のA−A断面(ドアアウタウェザストリップ1の係止用の突起部8に沿って破断した断面)と、図2のA’−A’断面(ドアアウタパネル12をドアアウタウェザストリップ1と共に破断した断面)とを合わせて示すものである。
図3(a)においてドア10の窓ガラス17を鎖線で示し、ドアアウタウェザストリップ1の上側のシールリップ部5は、窓ガラス17の外面17aに接触した状態を鎖線で示し、自由状態の形状を実線で示している。また、ドアアウタウェザストリップ1の中間のシールリップ部6と下端のシールリップ部7とは、ドアアウタパネル12の車両外側の面に接触した状態を実線で示し、自由状態の形状を鎖線で示している。
窓ガラス17は上に向かうにつれて車両内側に向けて少し傾斜しており、ドアアウタパネル12の上縁のドアベルトラインにおける上向きのフランジ部18と、フランジ部18の車両外側の立ち上げ部19と車両内側の下向きの折り返し部20との間に挟まれて接着ないし溶接で固定されたドアアウタリインフォース14の上縁部(フランジ部)21とは、窓ガラス17に沿って平行に傾斜している。ドアアウタパネル12のフランジ部18と不図示のドアインナパネルのフランジ部との間に窓ガラス挿通口30が形成され、ドアアウタパネル12のフランジ部18は窓ガラス挿通口30の車両外側の周縁に立ち上げられている。
ドアアウタパネル12のフランジ部18とドアアウタリインフォース14の上縁部(フランジ部)21とをドアアウタウェザストリップ1の係止用の突起部8が貫通して、本例においてドアアウタパネル12のフランジ部18の折り返し部分20の車両内側の面20aに突起部8の係止面8a(図3(b))が当接係止されている。突起部8はフランジ部18に直交して、突起部8の先端方向すなわち車両内側に向かうにつれて少し斜め下向きに傾斜している。従って、ドアアウタパネル12へのドアアウタウェザストリップ1の取付方向は水平よりも少し斜め下向きである。突起部8の基端(先端とは反対側の端部)はドアアウタウェザストリップ1の取付基部4の側壁2の内面2aに直交し、側壁2はフランジ部18に沿ってフランジ部18と同様に上に向かうにつれて車両内側に向けて少し傾斜し、側壁2の上端に鈍角的な内角(開き角)で交差して続く上壁3は略水平に近い角度で位置している。
図3(b)は、係止用の突起部8を示す図3(a)の矢視Z平面図であり、係止用の突起部8は、図1にも示す如く平板状に形成され、幅狭の支持板部8bと、支持板部8bの先端側において車両前後方向に一体に幅広に突出形成された一対の爪部8cとで構成されている。支持板部8bの基端部分が図3(a)の側壁2の車両内側の面2aに直交して一体に続いている。一対の爪部8cは前端ないし後端の傾斜面8dと車両外側の係止面8aとを有し、前側の傾斜面8dは突起部8の先端面8eから車両外側に向かうにつれて前向きに傾斜し、後側の傾斜面8dは突起部8の先端面8eから車両外側に向かうにつれて後向きに傾斜し、前後の各係止面8aは支持板部8bの前後の平行な側面8gに直交している。
図1の例で、突起部8の先端面8eは支持板部8bの幅と同程度の幅で形成されているが、図3(b)の例では、突起部8の先端面8eは支持板部8bの幅よりも幅広に形成されている。何れにおいても、突起部8の先端面8eと前後一対の傾斜面8dと、前後一対の係止面8aとで囲まれて、一対の爪部8cを含んで略台形状の突起先端部8fをなしている。突起部8の先端面8eは幅広であることが好ましい。これは、図3(a)において、突起部8の先端面8eが、車両の高速走行時等においてドア10のガラスラン(図示せず)の車幅方向の範囲内で車両外側に移動した窓ガラス17の外面17aを受けるスタビライザとしての機能をも有しているからである。
図3(a)において、窓ガラス17は例えば車両停止時等における自由状態の位置を示しているが、車両の高速走行時等において窓ガラス17が車両外側に吸い出されて図2のドアフレーム16の内側のガラスランに対して車幅方向外側に少し移動した際に、窓ガラス17の外面17aがドアアウタウェザストリップ1の突起部8の先端面8eに当接して、突起部8の先端面8eが窓ガラス17の外面17aを受けることで、窓ガラス17のそれ以上の車幅方向外側への移動が阻止されて窓ガラス17が安定して支持される。
突起部8の略台形の突起先端部8fは、ドアアウタパネル12のフランジ部18の折り返し部分20の車両内側の面20aよりも車両内側に向けて突出し、折り返し部分20の車両内側の面20aと窓ガラス17の外面17aとの間に位置している。突起部8の上方にドアアウタウェザストリップ1の上壁3が対向して位置し、フランジ部18の上端の屈曲部18aが上壁3の幅方向ほぼ中間部の下面3aに隙間を存して対向し、突起先端部8fの上方に、上壁3の車両内側を向く先端3bと、先端3bから車両内側に向けて斜め上向きに突出したシールリップ部5の付根部分5aとが対向して位置している。
シールリップ部5の付根部分5aは突起部8の先端面8eよりも車両外側に配置されている。これは、窓ガラス17が車両外側に移動して窓ガラス17の外面17aが突起部8の先端面8eに当接した際に、窓ガラス17の外面17aがシールリップ部5の付根部分5aを車両外側に強く押してシールリップ部5を車両外側に反らせる(それによりシール性が低下してしまう)ことがないようにするためである。必要に応じて、ドアアウタウェザストリップ1の上壁3の車幅方向中間部の外面3cにシールリップ部5の付根部分5aを配設することも可能である。
突起部8の下側に、ドアアウタウェザストリップ1の取付基部4の側壁2の内面2aから突出した中間のシールリップ部6が隙間を存して位置し、中間のシールリップ部6はドアアウタパネル12のフランジ部18の立ち上げ部分19の車両外側の面19aに弾性的に当接密着し、中間のシールリップ部6の弾性反力(反発力)で取付基部4が係止用の突起部8と一体に車両外側に向けて付勢され、突起部8の先端の爪部8cの係止面8aがフランジ部18の折り返し部分20の車両内側の面20aに当接して、爪部8cの係止面8aとフランジ部18の折り返し部分20の車両内側の面20aとの間のガタつきが防止され、中間のシールリップ部6の先端部6aと突起部8の爪部8cの係止面8aとでフランジ部18を厚み方向(車両幅方向)に挟んで、ドアアウタウェザストリップ1がフランジ部18にしっかりと固定される。
取付基部4の下端のシールリップ部7は、ドアアウタパネル12のフランジ部18の下側の車両外側の屈曲面12aに弾性的に接触密着して取付基部4を上向きに付勢支持するので、下端のシールリップ部7と中間のシールリップ部6と突起部8との相乗作用でドアアウタウェザストリップ1がドアアウタパネル12にしっかりと且つ安定に支持固定される。
上側のシールリップ部5は、窓ガラス17の外面17aに弾性的に接触(弾接)して取付基部4に車両外側方向の反発力を付与し、係止用の突起部8が取付基部4と一体に車両外側方向に押されて、突起部8の先端側の爪部8cがドアアウタパネル12のフランジ部18の折り返し部分20の車両内側の面20aに当接して、折り返し部分20の面20aと爪部8cの係止面8aとの間のガタつきが防止され、ドアアウタウェザストリップ1が安定してフランジ部18に保持される。
ドアアウタウェザストリップ1の成形方法としては、例えば、図1の如く、断面略逆L字状の硬質の取付基部4と、取付基部4の上壁3から車両内側に向けて突出する上側の軟質のシールリップ部5と、取付基部4の車両外側の側壁2の内面2aに突出する中間の軟質のシールリップ部6と、同じく側壁2の下端から車両内側に向けて突出する下側の軟質のシールリップ部7と、同じく側壁2の内面2aから車両内側に向けて突出する係止用の複数の突起部8を含む硬質のないしは軟質の不図示の板状母材とを、押出成形(二色成形)によってウェザストリップ長手方向に連続して形成し、取付基部4と一体に押出成形された不図示の板状母材をプレス打ち抜き等の手法でカットして係止用の複数の突起部8を形成する(突起部8以外の不要な板状母材はカットして廃棄する)ことで、図1のドアアウタウェザストリップ1を得ることができる。
また、ドアアウタウェザストリップ1の他の成形方法としては、図1の如く、断面略逆L字状の硬質の取付基部4と、取付基部4の上壁3から車両内側に向けて突出する上側の軟質のシールリップ部5と、取付基部4の車両外側の側壁2の内面2aに突出する中間の軟質のシールリップ部6と、同じく側壁2の下端から車両内側に向けて突出する下側の軟質のシールリップ部7とを、押出成形(二色成形)によってウェザストリップ長手方向に連続して形成し、次いで、この取付基部4と各シールリップ部5〜7とで成る一次成形体における取付基部4の側壁2の内面2aに、係止用の硬質のないしは軟質の複数の突起部8を押出成形とは別の合成樹脂材、別の熱可塑性エラストマーないしは別の合成ゴム材を用いてインジェクション成形によって接着形成することで、図1のドアアウタウェザストリップ1を得ることができる。
図4は、図3のドアアウタウェザストリップ1の取付基部4の形状を従来の図11のドアアウタウェザストリップの取付基部と比較したものである。
従来の図11のドアアウタウェザストリップは、断面略逆U字状の取付基部の一部である車両内側の側壁22と、側壁22の下部の車両内側の面22aに設けられた突起状のスタビライザ23と、側壁22の下端の車両外側の面22bに設けられた係止用の鉤部24とを有していたが、本発明の図3のドアアウタウェザストリップ1は、これら取付基部の車両内側の側壁22と、車両内側の側壁22に設けられたスタビライザ23と係止用の鉤部24とを有していない(不要とした)ので、ドアアウタウェザストリップ1がコンパクト化、簡素化、軽量化されている。
また、下端の鉤部24がなく、鉤部24でドアアウタパネル12のフランジ部18の折り返し部分20の下端を係止する必要がないので、折り返し部分20を従来の折り返し部分25よりも折り返し方向に短く形成して、フランジ部18の軽量化すなわちドアアウタパネル12の軽量化を図ることができる。
従来の図11に示すドアアウタウェザストリップ26とその取付構造にあっては、ドアアウタパネル12’のフランジ部18’の折り返し部分25の折り返し長さLが規定よりも長い場合に、ドアアウタウェザストリップ26の鉤部24を引っ掛けるのに大きな力を要したり、鉤部24を引っ掛けることができなかったりして、ドアアウタウェザストリップ26の組付作業性が低下するという懸念があったが、本発明のドアアウタウェザストリップ1とその取付構造においては、取付基部4の車両外側の側壁2から車両内側に向けて係止手段である突起部8を設けて、従来の取付基部27(図11)の車両内側の側壁22と、車両内側の側壁22の下端における係止用の鉤部24とを不要としたので、従来の係止用の鉤部24の上下方向位置やドアアウタパネル12’のフランジ部18’の折り返し部分25の上下方向長さのばらつきに起因した不完全係止や、係止用の鉤部24をフランジ部18’の折り返し部分25の下端25aに係合させるのに大きな力を要したりする不具合が解消されている。
本発明のドアアウタウェザストリップ1の係止用の突起部8は、ドアアウタパネル12のフランジ部18の厚み方向に貫通係合するものであり、フランジ部18の厚み(板厚)はフランジ部18の折り返し部20の上下(縦)方向長さすなわち折り返し長さ(図11の符号L参照)に比べて寸法ばらつきが極めて少ないので、係止用の突起部8を小さな力でスムーズ且つ確実にフランジ部18の孔部28(図4)ないし切欠部に貫通して係止させることができる。
また、従来の図11に示すドアアウタウェザストリップ26とその取付構造にあっては、ドアアウタウェザストリップ26の取付基部27の車両内側の側壁22を車両外側の側壁29よりも下向きに長く形成し、側壁22の下端に設けた鉤部24を、ドアアウタパネル12’のフランジ部18’の下向きに長く形成した折り返し部分25の下端25aに係止させるために、ドアアウタウェザストリップ26の車両内側の側壁22の重量が重くなって、ドアアウタウェザストリップ26全体の重量が重くなるという懸念や、フランジ部18’の下向きに長く形成した折り返し部25によって、ドアアウタパネル12’全体の重量が重くなるといった懸念があったが、本発明のドアアウタウェザストリップ1は、前述の如く、取付基部4(図4)を車両外側の側壁2と上側の壁部3とで構成し、車両外側の側壁2よりも上下方向に長い車両内側の側壁22(図4)を排除したので、車両内側の側壁22のない分だけ重量が軽減されている。また、従来の取付基部27(図11)の車両内側の側壁22の下端に設けた鉤部24を金属製のドアアウタパネル12’のフランジ部18’の折り返し部25の下端25aに係止させる構成を排除したので、折り返し部20(図4)を下向きに長く形成する必要がなくなって、折り返し部20の重量が軽減され、ドアアウタパネル12全体の軽量化が可能となった。
また、従来の図11に示すドアアウタウェザストリップ26とその取付構造にあっては、断面略逆U字状の取付基部26の車両内側の側壁22に、窓ガラス17の外面17aを当接させる突起状のスタビライザ23を設けていたが、本発明のドアアウタウェザストリップ1は、取付基部4の車両外側の側壁2から車両内側に向けて設けた係止用の突起部8の先端面8eに窓ガラス17の外面17aを当接させて、突起部8の先端面8eでスタビライザを兼ねているので、ドアアウタウェザストリップ1の構造が簡素化、軽量化、低コスト化されている。
また、従来の図11に示すドアアウタウェザストリップ26とその取付構造にあっては、例えば、断面略逆U字状の取付基部27をフロントサイドドア10のドアアウタパネル12’のフランジ部18’に上方から下向きに組み付けると共に、ドアアウタウェザストリップ26の取付基部27よりも後の後端側部分をドアアウタパネル12’の後部サッシュ16a(図2参照)の外面16a’に車両外側(側方)から車両幅方向に組み付けるというように、二方向からの組付を必要としたが、本発明のドアアウタウェザストリップ1は、その取付基部4が車両外側の壁部2と上側の壁部3とで断面略逆L字状に構成され、車両外側の側壁2から車両内側に向けて係止用の突起部8が設けられているので、ドアアウタウェザストリップ1を全長に渡って、ドアアウタパネル本体(12)の上縁(窓ガラス挿通口30の周縁)とドアアウタパネル12の後部サッシュ16aとに、車両外側(側方)から車両内側に向けて一方向から同時に組み付けることができ、ドアアウタパネル12へのドアウェザストリップ1の組付作業性を高めることができる。
図5は、図3(a)のドアアウタパネル12とドアアウタリインフォース14とを車両内側から矢印Y方向に見た図を示すものである。
ドアアウタパネル12の上縁のフランジ部18は車両内側において下向きに折り返された折り返し部20を有しており、フランジ部18にドアアウタウェザストリップ1(図1)の略水平方向の複数の突起部8を貫通係合させる横長矩形状の複数の孔部28がフランジ部長手方向(車両前後方向)に本例で等ピッチに配設されている。図5においてフランジ部18の折り返し部分20の下端20bよりも下側にドアアウタリインフォース14が露出して見えている。ドアアウタリインフォース14の上縁部(フランジ部)21(図3)はドアアウタパネル12の上縁の断面略逆U字状のフランジ部18の内側に挟み込まれている。図5におけるドアアウタリインフォース14の横方向(車両前後方向)の各線31は車両幅方向の屈曲部分を示している。
以下に、図6(a)(b)〜図9(a)(b)を用いて、ドアアウタパネル12とドアアウタリインフォース14との上縁のフランジ部18,21にドアアウタウェザストリップ1の略水平方向の突起部8を貫通係合させるためのドアアウタウェザストリップ1の取付構造の各例を説明する。
図6(a)〜図9(a)は、図5のA”−A”線で切断した位置の各断面形状を示し、図6(b)〜図9(b)は、図6(a)〜図9(a)の要部を車両内側から矢印Y方向に見た図を示している。図6(a)〜図9(a)において鎖線で示す符号17は窓ガラスである。各図においてドアアウタパネル12等の符号は便宜上共通で使用する。
図6(a)(b)のドアアウタウェザストリップ1の取付構造は、ドアアウタパネル12の上縁のフランジ部18の車両外側の立ち上げ部19と車両内側の折り返し部20とにそれぞれ横長矩形状の孔部28,32を貫通して設け、フランジ部18の立ち上げ部分19と折り返し部分20との間に挟まれたドアアウタリインフォース14の上縁部(フランジ部)21に、上縁部21の上端21aから下向きに矩形状に切欠された切欠部33を設けて、ドアアウタウェザストリップ1の突起部8を車両外側(側方)からドアアウタパネル12の立ち上げ部19の孔部28からドアアウタリインフォース14の切欠部33を経てドアアウタパネル12の折り返し部20の孔部32に貫通させて、折り返し部20の孔部32の車両前後方向の周縁32a(図6(b))に突起部8(図3)の先端の前後一対の爪部8cを係合(係止)させるものである。
ドアアウタパネル12の各孔部28,32は、ドアアウタパネル12のフランジ部18を折り返す前のフランジ部18の展開状態において、フランジ部18に上下一対の孔部32,28をプレス加工で形成することが好ましい。ドアアウタリインフォース14の切欠部33は、ドアアウタリインフォース14をドアアウタパネル12に接合する前にプレス加工で形成しておく。図6(b)の如く、各孔部28,32は、車両前後方向の平行な短い縦辺部28a,32aと、上下の平行な長い横辺部28b,32bとで構成されている。
図7(a)(b)のドアアウタウェザストリップ1の取付構造は、ドアアウタパネル12の上縁のフランジ部18の車両外側の立ち上げ部19と車両内側の折り返し部20とにそれぞれ横長矩形状の孔部28,32を貫通して設け、フランジ部18の立ち上げ部分19と折り返し部分20との間に挟まれたドアアウタリインフォース14の上縁部(フランジ部)21に同様の孔部34を貫通して設け(孔部34の大きさはドアアウタパネル側の孔部28,32よりも一周り大きくてもよい)、ドアアウタパネル側の各孔部28,32とドアアウタリインフォース側の孔部34とを同心に連通させ、ドアアウタウェザストリップ1(図3)の突起部8を車両外側(側方)からドアアウタパネル12の立ち上げ部19の孔部28からドアアウタリインフォース14の孔部34を経てドアアウタパネル12の折り返し部20の孔部32に貫通させて、折り返し部20の孔部32の車両前後方向の周縁32a(図7(b))に突起部8(図3)の先端の前後一対の爪部8cを係合(係止)させるものである。
ドアアウタパネル12の各孔部28,32は、ドアアウタパネル12のフランジ部18を折り返す前のフランジ部18の展開状態で、フランジ部18に上下一対の孔部32,28をプレス加工で形成し、ドアアウタリインフォース14の孔部34は、ドアアウタリインフォース14をドアアウタパネル12に接合する前にプレス加工で形成しておくことが好ましい。ドアアウタリインフォース14をドアアウタパネル12のフランジ部19内に接合した状態で、プレス加工ないしドリル加工で各孔部28,32,34を同時に形成することも可能である。以下の図8〜図10の各例においても上記同様の方法で孔部や切欠部を形成可能である。
図8(a)(b)のドアアウタウェザストリップ1の取付構造は、ドアアウタパネル12の上縁のフランジ部18の車両外側の立ち上げ部19に横長矩形状の孔部28を貫通して設けると共に、フランジ部18の車両内側の折り返し部20の下端20bから上向きに略台形状ないしは矩形状の切欠部35を切欠して設け、フランジ部18の立ち上げ部分19と折り返し部分20との間に挟まれたドアアウタリインフォース14の上縁部(フランジ部)21の上端21aから下向きに矩形状の切欠部36を切欠して設け、ドアアウタリインフォース14の切欠部36は折り返し部20の切欠部35の上端35bよりも上側に延長され、立ち上げ部19の孔部28をドアアウタリインフォース14の切欠部36と折り返し部20の切欠部35とに連通させたものである。
そして、ドアアウタウェザストリップ1(図3)の突起部8を車両外側(側方)からドアアウタパネル12の立ち上げ部19の孔部28からドアアウタリインフォース14の切欠部36を経てドアアウタパネル12の折り返し部20の切欠部35に貫通させて、折り返し部20の切欠部35の車両前後方向の周縁に突起部8(図3)の先端の前後一対の爪部8cを係合(係止)させる。
突起部8の先端の前後一対の爪部8cを折り返し部20の切欠部35の車両前後方向の周縁35a(図8(b))に係合させるには、折り返し部20の切欠部35の車両前後方向の内幅寸法W1(図8(b))をドアアウタリインフォース14の切欠部36の車両前後方向の内幅寸法W2に近づけることが好ましい。また、突起部8の先端の前後一対の爪部8cを折り返し部20の切欠部35ではなくドアアウタリインフォース14の切欠部36の車両前後方向の周縁36aに係合させる場合には、ドアアウタリインフォース14の切欠部36の車両前後方向の内幅寸法W2を突起部8の支持板部8b(図3(b))の外幅寸法に近づけて、且つ折り返し部20の切欠部35の前後方向幅W1を拡げることが好ましい。
本例のドアアウタパネル12の折り返し部20の下端20bは、孔部28の下端28b及び切欠部36の下端36bとほぼ同一平面上に位置して、折り返し部20の折り返し長さLが他の例に比べて最も短く規定されている。これにより、折り返し部20すなわちドアアウタパネル12が最も軽量化されている。
図9(a)(b)のドアアウタウェザストリップ1の取付構造は、ドアアウタパネル12の上縁のフランジ部18の車両外側の立ち上げ部19から車両内側の折り返し部20にかけて縦長矩形状の切欠部37を連続して設け、フランジ部18の立ち上げ部分19と折り返し部分20との間に挟まれたドアアウタリインフォース14の上縁部(フランジ部)21に横長矩形状の孔部34を設け、ドアアウタパネル12のフランジ部18の切欠部37とドアアウタリインフォース14の孔部34とを連通させ、ドアアウタウェザストリップ1(図3)の突起部8を車両外側(側方)からドアアウタパネル12の立ち上げ部19の切欠部分37からドアアウタリインフォース14の孔部34を経てドアアウタパネル12の折り返し部20の切欠部分37に貫通させて、折り返し部20の切欠部分37の車両前後方向の周縁37a(図9(b))に突起部8の先端の前後一対の爪部8cを係合(係止)させるものである。
図10(a)のドアアウタウェザストリップ1の取付構造は、ドアアウタパネル12の上縁のフランジ部を車両外側の立ち上げ部19のみで構成し(他の例の車両内側の折り返し部20は形成しない)、フランジ部(立ち上げ部)19の車両内側にドアアウタリインフォース14の上向きに立ち上げた上縁部(フランジ部)21を配置して接合するドアパネルの構造において、ドアアウタパネル12の立ち上げ部19とドアアウタリインフォースの上縁部(フランジ部)21とに横長矩形状の孔部28,34を貫通して(連通させて)設け、ドアアウタウェザストリップ1(図3)の突起部8を車両外側(側方)からドアアウタパネル12の立ち上げ部19の孔部28からドアアウタリインフォース14の孔部34に貫通させて、ドアアウタリインフォース14の孔部34の車両前後方向の周縁に突起部8の先端の前後一対の爪部8cを係合(係止)させるものである。
図10(b)のドアアウタウェザストリップ1の取付構造は、例えばドアアウタパネル12を機械的に強い高剛性の金属材で形成した場合や車両の種類によって要求されるドアベルトラインの剛性が十分な場合等に、ドアアウタパネル12の上縁のフランジ部を車両外側の立ち上げ部分19のみで構成し(他の例の車両内側の折り返し部20は形成しない)、立ち上げ部19の車両内側に他の例のドアアウタリインフォース14を配置することなく、ドアアウタリインフォース14を省略したドアパネルの構造において、ドアアウタパネル12のフランジ部(立ち上げ部)19に横長矩形状の孔部28を貫通して設け、ドアアウタウェザストリップ1(図3)の突起部8を車両外側(側方)からドアアウタパネル12の立ち上げ部19の孔部28に貫通させて、立ち上げ部19の孔部28の車両前後方向の周縁に突起部8の先端の前後一対の爪部8cを係合(係止)させるものである。
上記図6〜図10の実施形態の他にも、ドアアウタパネル12のフランジ部18やドアリインフォース14の上縁部(フランジ部)21に、ドアアウタウェザストリップ1の突起部8を貫通させる各種形態の孔部や切欠部を必要に応じて適宜組み合わせて形成することができる。突起部8の断面形状及び孔部28,32,34の形状は、横長矩形状に限定されるものではなく、正方形、円形状、楕円形状ないし長円形状(半径の等しい二つの円を共通外接線でつないだ形状)等であってもよい。切欠部33,35,36,37の形状についても、突起部8、孔部28,32,34の形状に合わせて適宜形成することができる。突起部8の断面形状が矩形状でない場合、突起部8は、上述したインジェクション成形によって形成することができる。