JP2013248683A - 多関節ロボットの弾性変形補償制御装置および制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】弾性変形補償制御装置50は、関節角度指令値計算部100、軸力トルク計算部200、動特性演算部300、400、410、オブザーバ5000を含むフィードバック制御部5500およびモータ角度指令値計算部600で構成される。第3の動特性演算部410は、オブザーバ5000で推定された関節側の状態量(関節角度)の目標値である関節角度指令値計算部100からの出力θlcを、ローパスフィルタ処理することにより振動成分を除外して状態フィードバック制御の目標値として与える。
【選択図】図12
Description
フィードフォワード制御などが行われていないのでモータは指令値どおりに動作せず、弾性変形補償は十分に機能していない。
すなわち、従来技術では、以下のような問題を解決できていない。
(2)溶接ロボットのウィービング動作では、ウィービング周期での位相遅れおよびゲイン特性を各軸そろえることが非常に重要であるが、減速器による弾性変形によるサーボ特性変化や軸毎での特性の差異によって、位相・ゲイン特性を高周波ウィービング動作でそろえることが非常に困難である。さらに、外乱として溶接ロボットのアームが障害物に衝突したりして加振力が加わったときに、速やかにその外乱に基づく振動を早期に収束できず、高精度なウィービング動作を実現できていない。
即ち、本発明に係る多関節ロボットの弾性変形補償制御装置は、多関節ロボットの関節軸を駆動するモータとアームとが弾性変形する減速器を介して結合された多関節ロボットに取り付けられたツールに所望の動作を行わせるように複数の関節軸を駆動させる。この弾性変形補償制御装置は、所望のツール動作を実現するための各関節軸の関節角度指令値θlcを算出して出力する関節角度指令値計算部と、前記関節角度指令値θlc通りに動作した際に発生する各関節軸に作用する軸力トルクfcを、動力学モデルに基づいて関節角度指令値θlcから算出して出力する軸力トルク計算部と、関節軸の剛性パラメータを含むパラメータに基づいて、関節角度指令値θlcと軸力トルクfcとからモータ角度指令値θmcを算出して出力するモータ角度指令値計算部と、ロボットの固有振動周波数よりも低いカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備え、前記モータ角度指令値θmcをフィルタリング処理して、処理後のモータ角度目標値θmdを出力する第1の動特性演算部と、前記モータ角度目標値θmdが前記モータに対する目標値として入力されるモータ角度制御部と、前記第1の動特性演算部よりも低いまたは同等のカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備え、関節角度指令値θlcまたは関節角速度指令値θlc’をフィルタリング処理して、処理後の関節角度目標値θldまたは関節角速度目標値θld’を出力する第2の動特性演算部と、検出された関節角度または関節角速度に基づいて、関節角度フィードバック値θlまたは関節角速度フィードバック値θl’を推定して出力する観測器と、前記第2の動特性演算部から出力される関節角度目標値θldまたは関節角速度目標値θld’と、前記観測器から出力される関節角度フィードバック値θlまたは関節角速度フィードバック値θl’とに基づいて、制御量を算出する制御器と、前記モータ角度制御部から出力されるモータトルク指令値に、前記制御器から出力される制御量が加算された値が目標値として入力されるモータ電流制御部と、を含んで構成されていることを特徴とする。
前記目標値に、前記軸力トルク補償値fdが加算された値が目標値として入力されるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記観測器は、軸力トルク補償値fを推定して出力するように構成され、前記モータ電流制御部には、前記目標値に、前記軸力トルク補償値fが加算された値が目標値として入力されるように構成することができる。
また、本発明の別の形態に係る多関節ロボットの弾性変形補償制御方法は、所望のツール動作を実現するための各関節軸の関節角度指令値θlcを算出して出力する関節角度指令値計算ステップと、前記関節角度指令値θlc通りに動作した際に発生する各関節軸に作用する軸力トルクfcを、動力学モデルに基づいて関節角度指令値θlcから算出して出力する軸力トルク計算ステップと、関節軸の剛性パラメータを含むパラメータに基づいて、関節角度指令値θlcと軸力トルクfcとからモータ角度指令値θmcを算出して出力するモータ角度指令値計算ステップと、ロボットの固有振動周波数よりも低いカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備え、前記モータ角度指令値θmcをフィルタリング処理して、処理後のモータ角度目標値θmdを出力する第1の動特性演算ステップと、前記モータ角度目標値θmdが前記モータに対する目標値として入力されるモータ角度制御ステップと、前記第1の動特性演算ステップよりも低いまたは同等のカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備え、関節角度指令値θlcまたは関節角速度指令値θlc’をフィルタリング処理して、処理後の関節角度目標値θldまたは関節角速度目標値θld’を出力する第2の動特性演算ステップと、観測器を用いて、検出された関節角度または関節角速度に基づいて、関節角度フィードバック値θlまたは関節角速度フィードバック値θl’を推定して出力する観測ステップと、前記第2の動特性演算ステップから出力される関節角度目標値θldまたは関節角速度目標値θld’と、前記観測ステップから出力される関節角度フィードバック値θlまたは関節角速度フィードバック値θl’とに基づいて、制御量を算出する制御ステップと、前記モータ角度制御ステップから出力されるモータトルク指令値に、前記制御ステップから出力される制御量が加算された値が目標値として入力されるモータ電流制御ステップと、を含んで構成されていることを特徴とする。
[全体構成]
まず、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置が適用される垂直多関節ロボット(以下、単に多関節ロボットと記載する場合がある)の概要について説明する。
図1は、溶接トーチを傾動動作(ウィービング動作)させるロボットの一例であって、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置が適用される多関節ロボット1の概要を示す図である。この多関節ロボット1は、垂直多関節型であってJ1〜J6の6関節を備え、J6軸の先端に溶接トーチが設けられ、溶接トーチから送りだされる溶接ワイヤによりアーク溶接が行われる。この多関節ロボット1は、予め定められた溶接開始点と溶接終了点との間が溶接作業区間であって、溶接開始点と溶接終了点とを結ぶ溶接線方向に移動しつつ、溶接ワイヤを予め定められた振幅および周波数で傾動する動作(ウィービング動作)を行うようにセットされている。
制御装置(サーボ制御部)は、多関節ロボット1に設けられた溶接トーチを、予め教示したプログラムに従って、上述した溶接線に倣ってウィービング動作して移動するように制御する。教示プログラムは、制御装置に接続された教示ペンダントを使用して作成する場合や、上位コンピュータを利用したオフライン教示システムを使用して作成する場合がある。いずれの場合であっても、教示プログラムは、実際の動作の前に予め作成される。上位コンピュータでは、溶接パスが生成されたり、それに基づくウィービング動作指令が生成されたりする。
図2に、図1の多関節ロボット1を制御する弾性変形補償制御装置10の制御ブロック図を示す。上述したように、この弾性変形補償制御装置10は、上位CPUで実現される部分とサーボ制御部で実現される部分とを含んで構成されている。
図2に示すように、この弾性変形補償制御装置10は、多関節ロボット1に取り付けら
れたツール(ここでは溶接トーチ)に所望の動作(ここではウィービング動作)を行わせるように複数の関節軸を駆動させる。
軸力トルク計算部200は、関節角度指令値計算部100から出力された関節角度指令値θlc通りに動作した際に発生する各関節軸に作用する軸力トルクfcを、動力学モデルに基づいて関節角度指令値θlcから算出して出力する。
より詳しくは、軸力トルク計算部200が、関節角度指令値θlcに基づいて指令値どおりに動作した際に各軸に作用する軸力トルクfcを算出し、モータ角度指令値計算部600が、軸力トルクfcから軸剛性Kや粘性Bなどに基づいて(粘性は小さいため省略可能)弾性変形量ecを算出し、関節角度指令値θlcと弾性変形量ecとからモータ角度指令値θmcを算出する。
第2の動特性演算部400は、軸力トルク計算部200への入力および軸力トルク計算部200からの出力の少なくともいずれかをフィルタリング処理して、処理後の軸力トルク補償値fdを出力する。なお、図2において、第2の動特性演算部400は、軸力トルク計算部200からの出力をフィルタリング処理している。この第2の動特性演算部400は、第1の動特性演算部300よりも低いまたは同等のカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備える。
モータ電流制御部520には、モータ角度制御部510から出力されるモータトルク指令値に、第2の動特性演算部400から出力された軸力トルク補償値fdが加算された値が目標値として入力される。
非線形項である軸力トルク計算部200の前および/または後(ここでは後のみ)に第2の動特性演算部400を配置し、この第2の動特性演算部400を第1の動特性演算部300の高周波遮断特性以上の高周波帯域を遮断する特性を与えている(第2の動特性演算部400のカットオフ周波数は、第1の動特性演算部300のカットオフ周波数よりも低いか同等)。
することができる。これにより、多関節ロボット1に発生する高周波振動を抑制することができる。
以上のような構成を備えた弾性変形補償制御装置10を用いて多関節ロボット1を制御した場合の制御特性(ウィービング軌跡)について説明する。
図3に、第2の動特性演算部400の高周波遮断特性として、第1の動特性演算部300と同等の高周波遮断特性を与えた場合のウィービング軌跡を示す。
図4に、最も一般的な多関節ロボットの制御ブロック図を示す。図4に示すように、この制御ブロックは、位置制御部と速度制御部と電流制御部とから構成され、位置制御部は関節角度をフィードバック制御し、角度偏差を比例制御(P制御)し、速度指令として速度制御部に指令する。速度制御部は関節角速度をフィードバック制御し、与えられた速度指令との偏差を比例積分制御(PI制御)し、電流制御指令として電流制御に指令する。電流制御は与えられた電流制御指令に基づきモータ電流を制御する。
ただし、多関節ロボットでは各軸間で干渉トルクが、重力項などを含めて非線形項として各リンクに作用し、リンクとモータとがバネ要素として作用する減速器を介して結合されており、軸力がリンクとモータとに作用・反作用として作用する。この軸力および弾性変形の影響は甚大である。特に溶接ロボットのウィービング動作では、上下にぶれることなく(上下方向の動きを発生させることなく)所望方向に所望の振幅で溶接トーチを揺動させることが必要であるために、非常に高精度な動的制御が必要とされる。
図7には、図6の制御ブロックで示される制御装置で多関節ロボットを制御した場合のウィービング軌跡を示す。目標値ベースのフィードフォワード補償であるため、位相遅れの影響によりフィードフォワードタイミングがずれてしまい、却って、上下方向の動きを悪化させる結果となっている。
Uにて目標値ベースでおこなっているのが一般的である。
このような従来技術に係る制御による結果(ウィービング軌跡)を示す図5および図7に対して、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置10による結果(ウィービング軌跡)は、図3に示すように、上下動成分は発生しているものの従来技術に係る制御と比較して格段に上下動成分が抑制されていることがわかる。なお、図3は、第2の動特性演算部400における高周波遮断特性を、第1の動特性演算部300における高周波遮断特性と同等とした場合の結果である。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置について説明する。なお、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置は、上述した第1の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置10が備えなかった速度フィードフォワード制御および/または加速度フィードフォワード制御が加えられている点が異なる。それ以外は、第1の実施の形態と同じであるので、上述した説明と重複する部分についてはここでは繰り返さない。
図12は、第2の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置30(速度フィードフォワード制御および加速度フィードフォワード制御を備える)のブロック図を示す。
この図12に示す制御ブロックの場合、各軸サーボフィードバック制御の動特性(サーボFB制御動特性)は、以下の式(1)で与えられる。なお、「動特性1」は、第1の動特性演算部300における動的特性を、「動特性2」は、第2の動特性演算部400における動的特性をそれぞれ示している。
なお、ここで、GdaおよびGdvは加速度フィードフォワードおよび速度フィードフォワードゲインであり、0〜1の値をとる。また、JdはJmの予測値である。
以上のようにして、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置によると、速度フィードフォワード制御および加速度フィードフォワード制御を加えて、各軸の弾性変形の影響を補償して、高い軌跡精度でウィービング等の動作を可能とすることができる。
るようにしても構わない。より詳しくは、軸力トルク計算部200の前に動特性(21)を、軸力トルク計算部200の後に動特性(22)を、それぞれ配置した。ここで、動特性(21)×動特性(22)が上述した動特性(2)と一致するように与えれば、これまでの実施の形態と同等の効果が得られる。ここで、θleは関節角度指令値θlcを動特性(21)に入力したときの出力値であり、θleに基づいて軸力トルク計算部200にて算出された軸力トルクfcを動特性(22)に入力したときの出力値が軸力トルク補償値fdである。このような弾性変形補償制御装置によると、多関節ロボットにおいて、各軸の弾性変形の影響を分割して配置された第2の動特性演算部により補償して、高い軌跡精度でウィービング等の動作を可能とすることができる。
以下、本発明の第3の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置について説明する。なお、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置は、上述した第2の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置10が備えなかったオブザーバ(観測器)およびPID制御器が加えられている点が異なる。これらの加えられた機器により状態フィードバック制御が実現されている。それ以外は、第2の実施の形態と同じであるので、上述した説明と重複する部分についてはここでは繰り返さない。
図9に、第2の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置の制御ブロック図(図8)により制御された、加振力が加わった場合の多関節ロボット1のウィービング軌跡を示す。この図9に示すように、時間0で加わった加振力は、0.5秒後の上下方向においても減衰しないで、振動を持続している。これは、第2の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置30においては、上述したようにフィードフォワード制御をベースにしているため、関節側に外乱などの加振力が加わった場合、振動を速やかに抑制することができない。このような上下方向の大きな振幅の振動が持続するという現象は、ウィービング動作における高精度な動的精度を確保することができていないことを示す。
図11に、図10に示す制御ブロック図により制御された、加振力が加わった場合の多関節ロボット1のウィービング軌跡を示す。この図11に示すように、オブザーバ5000で推定されて出力された関節側の状態量と目標値との偏差に基づいて状態フィードバック制御すると、上下方向の振幅が異常に大きな大鋸歯状に悪化し、上下方向の振動がウィービング振幅よりも大きくなってしまう。このように、ウィービング波形ではウィービング振幅の5倍以上の上下動が発生するなど、非常に好ましくないウィービング波形となっている。これは、偏差を演算する場合の目標値が適正に与えられていないことが原因と考えられる。
410を設けた。それ以外の構成は図10と同じく、関節側の状態量を推定するオブザーバ5000、オブザーバ5000で推定されて出力された関節側の状態量と関節角度目標値θldとの偏差に基づいてPID制御するPID制御器5010とを備え、PID制御器5010での演算結果が、モータ角度制御部3510から出力されるモータトルク指令値に加算される。
以上のようにして、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置によると、関節側の状態量をオブザーバで推定して、その状態量の目標値をローパスフィルタ処理して振動成分を目標値から除外してから与えることにより、外乱として多関節ロボットのアームが障害物に衝突したり加振力が加わったりしても、速やかに振動を収束させることができ、各軸の弾性変形の影響を補償して、高い軌跡精度でウィービング等の動作を可能とすることができる。
次に、第3の実施の形態の2つの変形例に係る弾性変形補償制御装置について説明する。
1つめの変形例である第1の変形例に係る弾性変形補償制御装置60の制御ブロック図を図14に示す。図12に示した制御ブロック図との差は、(1)オブザーバ5000への入力側に微分演算を備える点、(2)オブザーバ5000からの出力である関節側の状態量が関節角度ではなく関節角速度である点、(3)これら2点に対応して、第3の動特性演算部410の出力後に微分演算を備える点、である。
次に、2つめの変形例である第2の変形例に係る弾性変形補償制御装置70の制御ブロック図を図15に示す。図14に示した制御ブロック図との差は、(1)第2の動特性演算部400を備えずこれによりフィルタリング処理された軸力トルク補償値fdにより軸力補償されていない点、(2)オブザーバ5000からの出力により軸力補償している点、である。
はオブザーバ5000からの出力となり、それが軸力トルク計算部200からの出力である第3の実施の形態と異なる。弾性変形補償制御装置50および弾性変形補償制御装置60では、軸力をフィードフォワード的に補償しているが、第2の変形例に係る弾性変形補償制御装置70のようにオブザーバ5000などで推定しフィードバック補償することも可能である。ただし、フィードバック補償のため、応答遅れがありウィービング精度は若干悪くなるが、従来の補償しない場合に比べて断然良い精度および振動抑制が可能となっている。
上述した第1〜第3の実施の形態のように、以下のように弾性変形補償制御装置を構成したため、モータとアームとが弾性変形する減速器を介して結合された多関節ロボットにおいて、高い軌跡精度でウィービング等の動作を可能とすることができる。
(1)目標値から固有振動周期を遮断するローパスフィルタ特性を与え、振動成分を目標角度から除去するとともに、軸力トルクについてもローパスフィルタ処理し、目標値と軸力トルクの位相を揃え、振動抑制しつつ弾性変形補償を行う。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10、30、50、60、70 弾性変形補償制御装置
100 関節角度指令値計算部
200 軸力トルク計算部(軸力FF)
300 第1の動特性演算部(動特性(1))
400 第2の動特性演算部(動特性(2))
410 第3の動特性演算部(動特性(3))
500、5500 フィードバック制御部(サーボ制御FB特性)
600 モータ角度指令値計算部(弾性変形補償)
510 モータ角度制御部
520 モータ電流制御部(電流制御)
5000 オブザーバ
5010 PID制御器
Claims (6)
- 多関節ロボットの関節軸を駆動するモータとアームとが弾性変形する減速器を介して結合された多関節ロボットに取り付けられたツールに所望の動作を行わせるように複数の関節軸を駆動させる多関節ロボットの弾性変形補償制御装置において、
所望のツール動作を実現するための各関節軸の関節角度指令値θlcを算出して出力する関節角度指令値計算部と、
前記関節角度指令値θlc通りに動作した際に発生する各関節軸に作用する軸力トルクfcを、動力学モデルに基づいて関節角度指令値θlcから算出して出力する軸力トルク計算部と、
関節軸の剛性パラメータを含むパラメータに基づいて、関節角度指令値θlcと軸力トルクfcとからモータ角度指令値θmcを算出して出力するモータ角度指令値計算部と、
ロボットの固有振動周波数よりも低いカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備え、前記モータ角度指令値θmcをフィルタリング処理して、処理後のモータ角度目標値θmdを出力する第1の動特性演算部と、
前記モータ角度目標値θmdが前記モータに対する目標値として入力されるモータ角度制御部と、
前記第1の動特性演算部よりも低いまたは同等のカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備え、関節角度指令値θlcまたは関節角速度指令値θlc’をフィルタリング処理して、処理後の関節角度目標値θldまたは関節角速度目標値θld’を出力する第2の動特性演算部と、
検出された関節角度または関節角速度に基づいて、関節角度フィードバック値θlまたは関節角速度フィードバック値θl’を推定して出力する観測器と、
前記第2の動特性演算部から出力される関節角度目標値θldまたは関節角速度目標値θld’と、前記観測器から出力される関節角度フィードバック値θlまたは関節角速度フィードバック値θl’とに基づいて、制御量を算出する制御器と、
前記モータ角度制御部から出力されるモータトルク指令値に、前記制御器から出力される制御量が加算された値が目標値として入力されるモータ電流制御部と、
を含んで構成されていることを特徴とする多関節ロボットの弾性変形補償制御装置。 - 前記第1の動特性演算部よりも低いまたは同等のカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備え、前記軸力トルク計算部への入力および前記軸力トルク計算部からの出力の少なくともいずれかをフィルタリング処理して、処理後の軸力トルク補償値fdを出力する第3の動特性演算部をさらに含んで構成され、
前記モータ電流制御部には、前記目標値に、前記軸力トルク補償値fdが加算された値が目標値として入力されるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の多関節ロボットの弾性変形補償制御装置。 - 前記第2の動特性演算部は、前記第3の動特性演算部と同じ構成であることを特徴とする、請求項2に記載の多関節ロボットの弾性変形補償制御装置。
- 前記観測器は、軸力トルク補償値fを推定して出力するように構成され、
前記モータ電流制御部には、前記目標値に、前記軸力トルク補償値fが加算された値が目標値として入力されるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の多関節ロボットの弾性変形補償制御装置。 - 前記制御器は、PID制御器であるように構成されていることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の多関節ロボットの弾性変形補償制御装置。
- 多関節ロボットの関節軸を駆動するモータとアームとが弾性変形する減速器を介して結合された多関節ロボットに取り付けられたツールに所望の動作を行わせるように複数の関節軸を駆動させる多関節ロボットの弾性変形補償制御方法において、
所望のツール動作を実現するための各関節軸の関節角度指令値θlcを算出して出力する関節角度指令値計算ステップと、
前記関節角度指令値θlc通りに動作した際に発生する各関節軸に作用する軸力トルクfcを、動力学モデルに基づいて関節角度指令値θlcから算出して出力する軸力トルク計算ステップと、
関節軸の剛性パラメータを含むパラメータに基づいて、関節角度指令値θlcと軸力トルクfcとからモータ角度指令値θmcを算出して出力するモータ角度指令値計算ステップと、
ロボットの固有振動周波数よりも低いカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備え、前記モータ角度指令値θmcをフィルタリング処理して、処理後のモータ角度目標値θmdを出力する第1の動特性演算ステップと、
前記モータ角度目標値θmdが前記モータに対する目標値として入力されるモータ角度制御ステップと、
前記第1の動特性演算ステップよりも低いまたは同等のカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備え、関節角度指令値θlcまたは関節角速度指令値θlc’をフィルタリング処理して、処理後の関節角度目標値θldまたは関節角速度目標値θld’を出力する第2の動特性演算ステップと、
観測器を用いて、検出された関節角度または関節角速度に基づいて、関節角度フィードバック値θlまたは関節角速度フィードバック値θl’を推定して出力する観測ステップと、
前記第2の動特性演算ステップから出力される関節角度目標値θldまたは関節角速度目標値θld’と、前記観測ステップから出力される関節角度フィードバック値θlまたは関節角速度フィードバック値θl’とに基づいて、制御量を算出する制御ステップと、
前記モータ角度制御ステップから出力されるモータトルク指令値に、前記制御ステップから出力される制御量が加算された値が目標値として入力されるモータ電流制御ステップと、
を含んで構成されていることを特徴とする多関節ロボットの弾性変形補償制御方法。
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