以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1) 本明細書に開示する太陽光発電システムは、少なくとも1つの負荷装置と、その負荷装置に供給する電力を制御する負荷用パワーコンディション装置をさらに備えていてもよい。このような構成によると、負荷装置毎に、その負荷装置への電力供給量を制御することができる。
(特徴2) 本明細書に開示する太陽光発電システムは、少なくとも1つの蓄電装置と、その蓄電装置への充電と放電の少なくとも一方を制御する蓄電用パワーコンディション装置をさらに備えていてもよい。このような構成によると、蓄電装置毎に、その蓄電装置への充電及び/又は放電を制御することができる。
(特徴3) 本明細書に開示する太陽光発電システムでは、パワーコンディション装置のそれぞれは、他のパワーコンディション装置と無線で通信するための通信回路を有していてもよい。このような構成によると、パワーコンディション装置間で情報を共有化することができ、システムの稼働状況に応じて各装置を適切に制御することができる。
(特徴4) 本明細書に開示する太陽光発電システムでは、発電用パワーコンディション装置のそれぞれは、当該発電用パワーコンディション装置が制御する1又は複数の太陽光発電装置の発電効率を算出してもよい。このような構成によると、発電用パワーコンディション装置毎(1又は複数の太陽光発電装置毎)に発電効率が算出されるため、複数の太陽光発電装置の中から発電効率の悪い太陽光発電装置を見つけることが可能となる。
(特徴5) 本明細書に開示する太陽光発電システムでは、複数の発電用パワーコンディション装置が算出する発電効率から特定される隣接する太陽光発電装置の発電効率の相違度に基づいて、太陽光発電装置の異常を判定する判定部をさらに有していてもよい。太陽光発電装置が隣接して設置されている場合、これらの太陽光発電装置は略等しい日照条件下にあると考えられる場合がある。かかる場合において、隣接する太陽光発電装置の発電効率が大きく相違する状態が長時間続けば、発電効率の悪い太陽光発電装置に何らかの異常が発生している可能性がある。上記の構成によると、隣接する太陽光発電装置の発電効率の相違度から太陽光発電装置の異常を判定するため、太陽光発電装置の異常を適切に発見することができる。
(特徴6) 本明細書に開示する太陽光発電システムでは、複数のパワーコンディション装置の一つがマスタとして機能し、他のパワーコンディション装置がスレーブとして機能してもよい。この場合に、マスタとして機能するパワーコンディション装置が故障したときは、スレーブとして機能している他のパワーコンディション装置の一つがマスタとして機能するように構成してもよい。このような構成によると、マスタとして機能するパワーコンディション装置が故障しても、他のパワーコンディション装置がマスタとなることで、太陽光発電システムの運転を継続することができる。
(特徴7) 本明細書に開示する太陽光発電システムでは、複数のパワーコンディション装置の一つがマスタとして機能し、他のパワーコンディション装置がスレーブとして機能してもよい。この場合に、複数のパワーコンディション装置のそれぞれは、所定の周期毎に、当該パワーコンディション装置の負荷を算出し、算出された負荷の最も小さいパワーコンディション装置がマスタとして選択されるようにしてもよい。このような構成によると、各パワーコンディション装置の負荷に応じて、適切にマスタとして機能するパワーコンディション装置を選択することができる。
(特徴8) 本明細書に開示する太陽光発電システムでは、複数のパワーコンディション装置の一つがマスタとして機能し、他のパワーコンディション装置がスレーブとして機能してもよい。この場合に、マスタとして機能するパワーコンディション装置は、各パワーコンディション装置の稼働状況に基づいて、各パワーコンディション装置の運転モードを決定してもよい。このような構成によると、太陽光発電システムの稼働状況に応じて各部を適切に制御することができる。
(特徴9) 本明細書に開示する太陽光発電システムでは、負荷用パワーコンディション装置の少なくとも1つは、当該負荷用パワーコンディション装置が制御する負荷装置の稼動履歴に基づく予測電力使用量に基づいて、当該負荷装置を制御してもよい。このような構成によると、太陽光発電システムの負荷を平準化することができ、電力使用量の急激な変化を緩和することができる。
本実施例の太陽光発電システム10は、戸建て住宅や集合住宅等に設置され、家庭内で使用する電気機器等に電力を供給する。図1に示すように、本実施例の太陽光発電システム10は、太陽光により発電する発電部(20a〜20c,30a〜30c)と、発電部(20a〜20c,30a〜30c)で発電された電力を蓄電する蓄電部(40a,40b;50a,50b)と、発電部(20a〜20c,30a〜30c)で発電された電力を使用する負荷部(60a,60b;70a,70b)を備えている。
発電部(20a〜20c,30a〜30c)は、複数の発電装置20a〜20cと、これら発電装置20a〜20cを制御する発電用パワーコンディション装置30a〜30cを備えている。発電装置20a〜20cのそれぞれは、1又は複数枚の太陽光発電パネルによって構成されている。発電装置20a〜20cを構成する複数の太陽光発電パネルは、家屋の屋根や集合住宅の屋上等に並べて設置される。太陽光発電パネルは、入射する太陽光を利用して発電する。発電装置20a〜20cで発電された電力(直流電力)は、発電用パワーコンディション装置30a〜30cに入力される。
発電用パワーコンディション装置30a〜30cは、発電装置20a〜20c毎に設けられている。すなわち、1つの発電装置(すなわち、1又は複数の太陽光発電パネル)に1つの発電用パワーコンディション装置が設けられている。発電装置20a〜20cのそれぞれは、発電用パワーコンディション装置30a〜30cのうち対応する1台に接続されている。発電用パワーコンディション装置30a〜30cは、家庭内の交流配線80に接続されている。発電用パワーコンディション装置30a〜30cは、発電装置20a〜20cから入力する直流電力を、家庭内で使用できる電力(交流電力)に変換して交流配線80に供給する。なお、交流配線80は、電力会社が供給する電力系統90に接続されている。すなわち、交流配線80には、外部の電力系統90からも電力が供給可能となっている。
蓄電部(40a,40b;50a,50b)は、複数の蓄電装置40a,40bと、これら蓄電装置40a,40bへの充電及び放電を制御する蓄電用パワーコンディション装置50a,50bを備えている。蓄電装置40a,40bは、発電装置20a〜20cで発電された電力(直流電力)を蓄え、また、必要に応じて蓄えた電力を供給する。蓄電装置40a,40bから供給される電力は、蓄電用パワーコンディション装置50a,50bに入力される。
蓄電用パワーコンディション装置50a,50bは、蓄電装置40a,40b毎に設けられている。すなわち、1つの蓄電装置に1つの蓄電用パワーコンディション装置が設けられている。蓄電装置40a,40bのそれぞれは、蓄電用パワーコンディション装置50a,50bのうち対応する1台に接続されている。蓄電用パワーコンディション装置50a,50bは、家庭内の交流配線80に接続されている。蓄電用パワーコンディション装置50a,50bは、交流配線80から供給される電力を用いて蓄電装置40a,40bに充電し、あるいは、蓄電装置40a,40bに蓄えられた電力を交流配線80に供給する。
負荷部(60a,60b;70a,70b)は、負荷装置60a,60bと、これら負荷装置60a,60bへの電力供給を制御する負荷用パワーコンディション装置70a,70bを備えている。負荷装置60a,60bは、1又は複数の電気機器によって構成される。負荷装置60a,60bを構成する電気機器としては、例えば、家庭内に設置される空調機器、給湯器、照明器具等が挙げられる。負荷装置60a,60bには、負荷用パワーコンディション装置70a,70bから電力が供給される。
負荷用パワーコンディション装置70a,70bは、負荷装置60a,60b毎に設けられている。すなわち、1つの負荷装置(すなわち、1又は複数の電気機器)に1台の負荷用パワーコンディション装置が設けられている。負荷装置60a,60bのそれぞれは、負荷用パワーコンディション装置70a,70bのうち対応する1台に接続されている。負荷用パワーコンディション装置70a,70bは、家庭内の交流配線80に接続されている。負荷用パワーコンディション装置70a,70bには、交流配線80を介して供給される電力が入力し、この電力を用いて負荷装置60a,60bへの電力供給を制御する。
次に、発電部(20a〜20c,30a〜30c)の構成について詳細に説明する。本実施例では、発電装置20a〜20cは全て同一構成であり、発電用パワーコンディション装置30a〜30cも全て同一構成である。このため、以下の説明では、発電装置20a〜20cを区別することなく発電装置20とし、発電用パワーコンディション装置30a〜30cを区別することなく発電用パワーコンディション装置30として説明する。
図2に示すように、発電装置20は、太陽電池(すなわち、太陽光発電パネル)22と、電流センサ24と、温度センサ26を備えている。太陽電池22は、複数の光電変換素子を有しており、これら複数の光電変換素子は同一平面上に並べて配置されている。光電変換素子は、入射する太陽光を電気に変換する。複数の光電変換素子は、直列に接続されており、各光電変換素子で変換された電流(直流電流)が発電用パワーコンディション装置30に入力される。電流センサ24は、太陽電池22から発電用パワーコンディション装置30に入力する電流の電流値を検出する。温度センサ26は、太陽電池22の温度を検出する。電流センサ24の検出値と温度センサ26の検出値は、発電用パワーコンディション装置30(具体的には、後述するMPPTモジュール32)に入力される。
発電用パワーコンディション装置30は、MPPTモジュール32と、電圧調整モジュール34と、通信モジュール36と、プラットフォームモジュール38を備えている。MPPTモジュール32は、太陽電池22の発電効率を最大化するためのMPPT制御を行う。MPPT制御では、太陽電池22から出力される電流の電流値と、太陽電池22に印加される電圧の電圧値との積が最大となるように、太陽電池22に印加する電圧を制御する。太陽電池22の電流値−電圧値の特性は、太陽光の日射強度や太陽電池22の温度によって変化する。このため、MPPTモジュール32は、電流センサ24で検出された電流値(太陽電池22から入力する電流値)と、温度センサ26で検出された太陽電池22の温度に基づいて、太陽電池22の発電効率が最大となるように太陽電池22に流れる電流を制御する。すなわち、本実施例のMPPTモジュール32は、従来、必要とされた電流電圧センサや短絡スイッチを用いることなく、電流センサ24で検出された電流値から最大電力点を検出することで回路の簡素化と低コスト化を実現している。なお、太陽電池22からの電流(直流電流)は、MPPTモジュール32で交流電源に変換され、電圧調整モジュール34に入力される。電圧調整モジュール34は、MPPTモジュール32から入力される交流電源の電圧の昇圧又は降圧を行い、出力する交流電源の電圧を調整する。電圧が調整された交流電源は、交流配線80に供給される。通信モジュール36は、他の発電用パワーコンディション装置30、蓄電用パワーコンディション装置50a,50b、及び、負荷用パワーコンディション装置70a、70bと通信するための回路である。これらのパワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bは、通信モジュール36によって無線で接続され、相互にデータの送受信が可能となっている。通信モジュール36には、例えば、WiFi方式を用いることができる。プラットフォームモジュール38は、CPUやメモリによって構成されており、MPPTモジュール32と電圧調整モジュール34と通信モジュール36の動作を制御する。プラットフォームモジュール38が実行する処理については後述する。
次に、蓄電部(40a,40b;50a,50b)の構成について詳細に説明する。本実施例では、蓄電装置40a,40bは同一構成であり、蓄電用パワーコンディション装置50a,50bも同一構成である。このため、以下の説明では、蓄電装置40a,40bを区別することなく蓄電装置40とし、蓄電用パワーコンディション装置50a,50bを区別することなく蓄電用パワーコンディション装置50として説明する。
図3に示すように、蓄電装置40は、蓄電池42と、充放電センサ44と、温度センサ46を備えている。蓄電池42は、繰り返し充放電が可能な二次電池である。蓄電池42には、公知の二次電池を用いることができ、例えば、リチウム電池、鉛蓄電池等を用いることができる。充放電センサ44は、蓄電池42の充電状態及び放電状態を検出するセンサである。充放電センサ44としては、例えば、蓄電池42に供給される充電電流又は蓄電池42から供給される放電電流の電流値を検出するセンサや、蓄電池42の電圧値を検出するセンサを用いることができる。温度センサ46は、蓄電池42の温度を検出する。充放電センサ44の検出値と温度センサ46の検出値は、蓄電用パワーコンディション装置50(具体的には、後述する蓄電池制御モジュール52)に入力される。
蓄電用パワーコンディション装置50は、蓄電池制御モジュール52と、電圧調整モジュール54と、通信モジュール56と、プラットフォームモジュール58を備えている。蓄電池制御モジュール52は、充放電センサ44の検出値及び温度センサ46の検出値に基づいて、蓄電池42の充電と放電の切替えや、蓄電池42の充放電制御を行う。すなわち、蓄電池制御モジュール52は、発電装置20a〜20cによる発電が充分な場合は、その余剰電力を蓄電池42に充電する。一方、発電装置20a〜20cによる発電が不十分な場合(例えば、雨天や夜間等)、蓄電池42に充電した電力を交流配線80に供給する。また、各センサ44,46の検出値に基づいて蓄電池42の充放電制御を行うことで、蓄電池42の過充電や過放電を防止し、蓄電容量の低下を抑制する。なお、蓄電池42を充電する際は、交流配線80からの交流電流は、その電圧値が電圧調整モジュール54で調整され、その電圧値が調整された交流電流が蓄電池制御モジュール52に入力する。蓄電池制御モジュール52は、入力する交流電流を直流電流に変換し、その変換した直流電流を蓄電池42に供給する。逆に、蓄電池42から放電する際は、蓄電池42からの直流電流を蓄電池制御モジュール52で交流電流に変換する。変換された交流電流は、その電圧値が電圧調整モジュール54で調整され、交流配線80に供給される。通信モジュール56は、通信モジュール36と同様、他のパワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bと通信するための回路である。プラットフォームモジュール58は、CPUやメモリによって構成されており、蓄電池制御モジュール52と電圧調整モジュール54と通信モジュール56の動作を制御する。プラットフォームモジュール58が実行する処理については後述する。
次に、負荷部(60a,60b;70a,70b)の構成について詳細に説明する。本実施例では、負荷用パワーコンディション装置70a,70bは同一構成を有し、負荷装置60a,60bは、種類は異なるが家庭用の電気機器としては同様である。このため、以下の説明では、負荷用パワーコンディション装置70a,70bを区別することなく負荷用パワーコンディション装置70とし、負荷装置60a,60bを区別することなく負荷装置60として説明する。
負荷装置60は、上述したように、家庭内に設置される空調機器や照明器具等の電気機器である。図4に示すように、負荷装置60の近傍には環境センサ64が設置される。環境センサ64は、負荷装置60の種類に応じて、負荷装置60が設置された環境を検知する。例えば、負荷装置60が照明器具である場合、その照明器具が設置された部屋(又は場所)に人がいるか否かを検出する人感センサや、その照明器具が設置された部屋(又は場所)の照度を検出するセンサが環境センサ64として用いられる。また、負荷装置60が空調機器の場合、その空調機器が設置された部屋に人がいるか否かを検出する人感センサや、その空調機器が設置された部屋の温度や湿度を検出するセンサが環境センサ64として用いられる。環境センサ64の検出値は、負荷用パワーコンディション装置70(具体的には、後述する負荷制御モジュール72)に入力される。なお、環境センサ64は、負荷用パワーコンディション装置70に設けられていてもよい。環境センサ64を負荷用パワーコンディション装置70に設けることで、環境センサ64と負荷用パワーコンディション装置70とを配線で接続する作業を容易に行うことができる。
負荷用パワーコンディション装置70は、負荷制御モジュール72と、電圧調整モジュール74と、通信モジュール76と、プラットフォームモジュール78を備えている。負荷制御モジュール72は、環境センサ72の検出値に基づいて負荷装置60のオン/オフ制御や、発電装置20a〜20cの発電状況等に基づいて負荷装置60へ供給する電力量を制御する。電圧調整モジュール74は、交流配線80からの交流電源の電圧を、負荷装置60に応じた電圧に調整(昇圧又は降圧)する。電圧調整モジュール74で調整された交流電源は、負荷制御モジュール72を介して負荷装置60に供給される。通信モジュール76は、通信モジュール36と同様、他のパワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bと通信するための回路である。プラットフォームモジュール78は、CPUやメモリによって構成されており、負荷制御モジュール72と電圧調整モジュール74と通信モジュール76の動作を制御する。プラットフォームモジュール78が実行する処理については後述する。
次に、太陽光発電システム10の動作について説明する。太陽光発電システム10では、複数のパワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bのいずれか1つがマスタとして機能し、他のパワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bがスレーブとして機能する。そして、マスタとして機能するパワーコンディション装置がスレーブとして機能するパワーコンディション装置を制御する。以下の説明では、マスタとして機能するパワーコンディション装置のプラットフォームモジュールが実行する処理と、スレーブとして機能するパワーコンディション装置のプラットフォームモジュールが実行する処理とを分けて説明する。なお、パワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bがマスタとして機能するか、スレーブとして機能するかは、後述するシステム構成変更処理(所定の周期で実行)によって決定される。ただし、太陽光発電システム10を導入した直後の最初の電源投入時においては、最初に電源投入したパワーコンディション装置がマスタとされる。
(1)電源投入時の処理(マスタとして機能するパワーコンディション装置)
まず、マスタとして機能するパワーコンディション装置(以下、マスタ装置ということがある)のプラットフォームモジュールが実行する電源投入時の処理について説明する。図5に示すように、マスタ装置に電源が投入されると、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、まず、マスタ装置が正常か否かを診断する電源投入時診断処理を実行する(S12)。具体的には、マスタ装置のプラットフォームモジュール(より詳細には、CPU)は、メモリ(RAMやプログラム領域)のチェックサムを算出することでメモリが正常か否かを診断し、また、各通信ドライバのループバック、並びに、アナログ信号及びデジタル信号の入出力テストを実施する。なお、電源投入時診断処理による診断結果はメモリに格納される。
次に、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、マスタ装置に異常が生じているか否かを判断する(S14)。すなわち、ステップS12で実行した診断処理により異常が生じているか否かを判断する。マスタ装置に異常が生じている場合(S14でYES)は、そのまま処理を終了する(S16)。したがって、マスタ装置(すなわち、最初に電源投入したパワーコンディション装置)に異常が生じている場合は、マスタ装置の処理が直ちに終了する。これによって、電源投入を行ったユーザは、マスタ装置に異常が生じていることを認識することができ、異常が生じているパワーコンディション装置に対して必要な措置(修理又は交換)を行うことができる。
一方、マスタ装置に異常が生じていない場合(S14でNO)は、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、スレーブとして機能するパワーコンディション装置(以下、スレーブ装置ということがある)のそれぞれに対して、それらスレーブ装置により実行された電源投入時診断処理の診断結果を送信するように要求する(S18)。後述するように、上記のステップS12の電源投入時診断処理は、各スレーブ装置でも実行される。このため、マスタ装置は、各スレーブ装置に対して診断結果を送信するように要求する。
次に、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、各スレーブ装置から送信される診断結果を受信し(S20)、それらの受信結果をメモリに格納する(S22)。これによって、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、システム起動時の各パワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bの状態を把握することができる。
次に、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、スレーブ装置に異常が生じているか否かを判断する(S24)。すなわち、ステップS22で格納した各スレーブ装置の診断結果が異常を示しているか否かを判断する。スレーブ装置に異常が生じていない場合(S24でNO)は、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、ステップS26をスキップし、通常処理に移行する(S24)。
一方、スレーブ装置に異常が生じている場合(S24でYES)は、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、スレーブ装置に異常が生じている旨を表示器(図示しない)に表示し(S26)、通常処理に移行する(S28)。これによって、ユーザは、スレーブ装置に異常が生じていることを認識することができ、異常が生じているパワーコンディション装置に対して必要な措置(修理又は交換)を行うことができる。なお、発電装置20毎、蓄電装置40毎、負荷装置60毎にパワーコンディション装置が設けられているため、一部のパワーコンディション装置が故障していても、マスタ装置のパワーコンディション装置に異常が生じていない限り、太陽光発電システム10全体が停止することはない。また、太陽光発電システム10に複数のパワーコンディション装置を備えることで、1台当たりの扱う電力量が少量となるため、パワーコンディション装置は小型でかつ安価となっている。このため、一部のパワーコンディション装置を交換する場合でも、その費用を低く抑えることができる。また、パワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bは無線で通信するため、各パワーコンディション装置と配線で接続する必要はなく、その上、小型で低電圧とでき、修理又は交換作業が煩雑となることを防止することができる。
(2)電源投入時の処理(スレーブとして機能するパワーコンディション装置)
次に、スレーブ装置のプラットフォームモジュールが実行する電源投入時の処理について説明する。図6に示すように、スレーブ装置に電源が投入されると、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、まず、スレーブ装置が正常か否かを診断する電源投入時診断処理を実行し(S34)、その診断結果をメモリに格納する(S36)。ステップS34,S36の処理は、マスタ装置が実行するステップS12,S14の処理と同一の処理である。
次に、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、当該スレーブ装置に異常が生じているか否かを判断する(S38)。すなわち、ステップS36で格納した診断結果(自己の診断結果)が異常を示しているか否かを判断する。スレーブ装置に異常が生じていない場合(S38でNO)は、ステップS42に進む。スレーブ装置に異常が生じている場合(S38でYES)は、通常処理に移行することなくスレーブ装置の処理を停止する(S40)。
ステップS42では、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、マスタ装置に異常が生じているか否かを判断する。具体的には、マスタ装置から所定時間内に診断結果を送信するよう要求があったか否かを判断する。すなわち、マスタ装置が正常である場合(図5のS14でNO)は、マスタ装置から各スレーブ装置に診断結果を送信するよう指示する(図5のS18)。したがって、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、マスタ装置からの送信要求を所定時間内に受信したか否かによって、マスタ装置に異常が生じているか否かを判断する。マスタ装置に異常が生じている場合(S42でYES)は、通常処理に移行することなくスレーブ装置の処理を停止する(S40)。これにより、マスタ装置に異常がある場合は、全てのパワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bが起動しない。なお、マスタ装置に異常があることは表示器に表示されないが、マスタ装置に異常があると全てのパワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bが起動しないため、ユーザはマスタ装置に異常があることを認識することができる。
一方、マスタ装置に異常が生じていない場合(S42でNO)は、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、ステップS36でメモリに格納した診断結果をマスタ装置に送信する(S44)。次いで、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、通常処理(図11の処理)に移行する(S46)。
(3)通常処理(マスタとして機能するパワーコンディション装置)
次に、マスタ装置のプラットフォームモジュールが実行する通常処理について説明する。図7に示すように、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、まず、オンライン診断処理を実行するタイミングが否かを判断する(S48)。すなわち、本実施例の太陽光発電システム10では、各パワーコンディション装置は、オンライン診断処理を所定の周期(例えば、数分周期)で実行する。したがって、ステップS48では、まず、オンライン診断処理を実行するタイミングか否かを判断する。
オンライン診断処理を実行するタイミングでない場合(S48でNO)は、ステップS52に進む。オンライン診断処理を実行するタイミングである場合(S48でYES)は、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、オンライン診断処理を実行する(S50)。ステップS50のオンライン診断処理について、図8に基づいて詳細に説明する。
(3−1)オンライン診断処理(マスタ装置)
図8に示すように、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、まず、マスタ装置自身のオンライン診断処理を実行する(S60)。具体的には、各モジュールに診断指示を出力し、各モジュールからの診断結果をメモリに格納する。例えば、マスタ装置が発電用パワーコンディション装置30の場合、プラットフォームモジュール38は、MPPTモジュール32、電圧調整モジュール34及び通信モジュール36に診断指示を出力する。MPPTモジュール32、電圧調整モジュール34及び通信モジュール36は、診断指示に従って予め定められた処理を実行し、その処理結果をプラットフォームモジュール38に出力する。プラットフォームモジュール38は、各モジュール32,34,36からの処理結果を診断結果データとしてメモリに格納する。なお、診断結果データには、各モジュールの稼働状況も含まれる。例えば、MPPTモジュール32の場合、そのMPPTモジュール32が制御する発電装置20の発電量(発電効率)が診断結果データとして格納される。また、蓄電池制御モジュール52の場合、その蓄電池モジュール52が制御する蓄電池42の蓄電状況が診断結果データとして格納される。また、負荷制御モジュール72の場合、その負荷制御モジュール72が制御する負荷装置60の駆動状況が診断結果データとして格納される。
次に、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、マスタ装置に異常が発生しているか否かを診断する(S62)。具体的には、ステップS60で実行したオンライン診断処理によって各部に異常が生じているか否かを判断する。マスタ装置に異常が生じている場合(S62でYES)は、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、マスタ装置に異常が生じている旨を表示器(図示しない)に表示し(S64)、マスタ装置の処理を停止する(S66)。これによって、ユーザは、マスタ装置に異常が生じていることを認識することができ、必要な措置(修理又は交換)を採ることができる。また、マスタ装置に異常が生じている場合、後述するマスタ装置からスレーブ装置への診断結果の送信要求が出されない(すなわち、ステップS68の処理が実行されない)。これによって、スレーブ装置は、マスタ装置に異常が生じたことを認識することができる。
一方、マスタ装置に異常が生じていない場合(S62でNO)は、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、通信モジュールを介して各スレーブ装置にオンライン診断処理によって得られた診断結果データをマスタ装置に送信するよう指示する(S68)。後述するように、スレーブ装置のプラットフォームモジュールも、マスタ装置のプラットフォームモジュールと同様、オンライン診断処理を所定の周期(例えば、数分周期)で実行する。このため、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、各スレーブ装置に対してオンライン診断結果を送信するよう要求する。これによって、各スレーブ装置から当該スレーブ装置の診断結果データがマスタ装置に送信される。なお、マスタ装置のオンライン診断処理とスレーブ装置のオンライン診断処理とが同一のタイミングで行われるよう、各パワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bが備える時計の時刻合わせが行われている。これによって、各パワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bにおいて、オンライン診断処理が同一のタイミングで起動される。
次に、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、各スレーブ装置から送信された診断結果データを受信し(S70)、その受信した診断結果データをメモリに格納する(S72)。なお、スレーブ装置に異常が生じ、正常にプログラムを実行できない場合は、スレーブ装置からマスタ装置に診断結果データが送信されない。このため、マスタ装置がスレーブ装置から診断結果データを受信できない場合は、受信できなかったスレーブ装置に異常が発生していると判断される。
次に、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、マスタ装置自身の診断結果データと、各スレーブ装置の診断結果データに基づいて、マスタ装置と各スレーブ装置に異常が発生しているか否かを診断する(S74)。すなわち、マスタ装置のプラットフォームモジュールのメモリには、各パワーコンディション装置(マスタ装置も含む)の診断結果データが記憶されている。オンライン診断処理は所定の周期で実行されるため、診断結果データも所定の周期毎に時系列順に格納されている。このため、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、各パワーコンディション装置の稼働状況の推移を特定することができ、その稼働状況の推移から各パワーコンディション装置の異常を発見することができる。例えば、発電用パワーコンディション装置30の診断結果データからは、対応する発電装置20の発電量(発電効率)の推移を算出することができる。したがって、発電量(発電効率)が急激に変化している場合は、その発電装置及び/又は発電用パワーコンディション装置に異常が生じていると判断することができる。
なお、発電装置20の発電量は、日照条件等によって大きく変化する。このため、発電量(発電効率)が急激に変化したとしても、その変化が発電装置20の異常(故障)によるものなのか、日照条件の変化によるものなのかが判断し難い。そこで、本実施例では、隣接して配置された発電装置20(すなわち、隣接して配置された太陽光発電パネル)の発電効率の差(相違度)に基づいて、発電装置20に異常が生じているか否かを判断する。例えば、隣接して配置された発電装置20の発電効率の差が設定値を超えた状態が所定時間だけ継続したときに、発電装置20に異常が生じていると判断する。これによって、誤検出を防止しながら、発電装置20の異常を適切に検出することができる。
次に、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、スレーブ装置に異常が生じているものがないか否かを判断する(S76)。具体的には、診断結果データを受信できなかったスレーブ装置があるか否か、ステップS70で受信した診断結果データが異常となっているスレーブ装置があるか否か、及び、ステップS74の処理によって異常が生じていると判断されるスレーブ装置(すなわち、稼働状況から異常と判断されるスレーブ装置)があるか否かを判断する。なお、ステップS76においては、稼働状況からマスタ装置が異常と判断されるか否かも判断される。異常が生じているスレーブ装置(マスタ装置を含む)が存在しない場合(S76でNO)は、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、そのままオンライン診断処理を終了する。
一方、異常が生じているスレーブ装置が存在する場合(S76でYES)は、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、異常が生じているスレーブ装置の情報を表示器(図示しない)に表示する(S78)。これによって、ユーザは、異常が生じているスレーブ装置を認識することができ、当該スレーブ装置に対して必要な措置(修理又は交換)を行うことができる。後述するように、スレーブ装置に異常が生じた場合は、そのスレーブ装置が自動的に処理を停止するため、異常が生じているスレーブ装置に他のパワーコンディション装置が影響を受けることはない。なお、ステップS74によりマスタ装置に稼働状況から異常が生じていると判断される場合も、マスタ装置のプラットフォームモジュールはマスタ装置の処理を停止する。この場合は、次に行われるシステム構成変更処理によって、正常に機能しているスレーブ装置から新たにマスタ装置が選択される。
図8に示すオンライン診断処理が終了すると、図7のステップS52に戻って、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、システム構成を変更するタイミングが否かを判断する。すなわち、本実施例の太陽光発電システム10では、システム構成を変更する処理を所定の周期(例えば、1日周期)で実行する。したがって、ステップS52では、システム構成変更処理を実行するタイミングか否かを判断する。なお、本実施例では、システム構成変更処理の周期が、オンライン診断処理の周期よりも長くされている。
システム構成変更処理を実行するタイミングでない場合(S52でNO)は、ステップS56に進む。システム構成変更処理を実行するタイミングである場合(S52でYES)は、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、システム構成変更処理を実行する(S54)。ステップS54のシステム構成変更処理について、図9に基づいて詳細に説明する。
(3−2)システム構成変更処理(マスタ装置)
図9に示すように、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、マスタ装置が行った処理量(すなわち、直前のシステム構成変更処理から今回のシステム構成変更処理までの間に行った処理量)から負荷量を算出する(S86)。次いで、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、各スレーブ装置に当該スレーブ装置の負荷量をマスタ装置に送信するよう指示し(S88)、各スレーブ装置より当該スレーブ装置の負荷量を受信する(S90)。これによって、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、全てのパワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bの負荷量を把握することができる。後述するように、スレーブ装置のプラットフォームモジュールも、マスタ装置のプラットフォームモジュールと同様、システム構成変更処理を所定の周期(例えば、1日周期)で実行し、各スレーブ装置の負荷量を算出する。したがって、ステップS88でマスタ装置から負荷量を送信するよう指示があると、それに応じて各スレーブ装置からマスタ装置に負荷量が算出される。このため、ステップS90で、マスタ装置は各スレーブ装置から送信された当該スレーブ装置の負荷量を受信する。なお、マスタ装置の時計と各スレーブ装置の時計は時刻合わせがされているため、システム構成変更処理も同一のタイミングで起動される。
次に、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、負荷量が最小となる装置を特定し(S92)、その特定された装置がマスタ装置であるか否かを判断する(S94)。特定された装置がマスタ装置でない場合(S94でNO)、負荷量が最小となる装置(スレーブ装置)にマスタ装置となることを指示する(S96)。これによって、負荷量が最小となるスレーブ装置(すなわち、処理量の最も少なかったスレーブ装置)が新たにマスタ装置となる。一方、特定された装置がマスタ装置である場合(S94でYES)、マスタ装置の変更を行う必要がないため、ステップS98に進む。なお、パワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bの処理量は、通常はそれほど変化しないため、一度マスタとして選択されたパワーコンディション装置がマスタとして選択されることが多い。ただし、マスタ装置に何らかの異常等が生じると、マスタ装置の処理量が増加するため、その場合には、マスタとして機能するパワーコンディション装置が変更することとなる。
ステップS98に進むと、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、全てのパワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bの負荷量を、各スレーブ装置に送信し(S98)、システム構成変更処理を終了する。これによって、各パワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bは、稼動している全てのパワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bの負荷量を把握することができる。このため、マスタ装置に異常が生じたと判断される場合に、各スレーブ装置が、自律的にマスタ装置となるスレーブ装置(負荷量が最小となるスレーブ装置)を選択することができる。
(3−3)運転モード決定処理(マスタ装置)
図9に示すシステム構成変更処理が終了すると、図7のステップS56に戻って、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、各パワーコンディション装置の運転モードを決定する(S56)。運転モード決定処理について、図10に基づいて詳細に説明する。
図10に示すように、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、まず、電力系統90に関する情報を取得する(S100)。すなわち、電力系統90を供給する電力会社から提供される情報(例えば、電力の需給バランスを維持するためのピークカットや一時的な停電の情報、デマンドレスポンス等)を取得する。
次に、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、ステップS100で得られた電力系統90に関する情報と、各パワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bの稼働状況に基づいて、各パワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bの運転モードを決定する(S102)。例えば、電力系統90の電力供給が正常であり、蓄電装置50の蓄電状況が十分であり、発電装置20による太陽光発電が可能な場合は、通常運転モード(発電装置20の発電を優先、負荷装置60の使用制限なし)と決定する。一方、電力系統90の電力供給が制約され、蓄電装置50の蓄電状況が十分であり、発電装置20による太陽光発電が可能な場合は、制約レベルモード1と決定する。また、電力系統90の電力供給が制約され、蓄電装置50の蓄電状況が不十分であり、発電装置20による太陽光発電が可能な場合は、制約レベルモード2と決定する。また、電力系統90の電力供給が制約され、蓄電装置50の蓄電状況が十分であり、発電装置20による太陽光発電が不可能な場合は、制約レベルモード3と決定する。そして、電力系統90からの電力供給が不可の場合(すなわち、停電の場合)は、制約レベルモード4と決定する。制約レベルモード1〜4は、負荷装置60への電力供給が一部制限されるモードであり、制約レベルモードの数字が大きくなるに従って電力供給制限が厳しく設定される。
なお、負荷装置60への電力供給を制限する方法は、種々の方法を採ることができる。例えば、負荷装置60の稼働と停止を周期的に行う制御を採用し、制約レベルモードに応じて停止期間の長さを調整するようにしてもよい。すなわち、制約レベルモード1では停止期間が短く、制約レベルモードが上がるに応じて停止期間を長くしてもよい。また、負荷装置60が照明器具の場合は、制約レベルモードに応じて一律に照度を落とすようにしてもよい。また、負荷装置毎に優先順位を予め設定し、優先順位の低い負荷装置から順に電力供給を停止するようにしてもよい。例えば、居間のTV、居間の照明器具、トイレの照明器具を優先レベル1に設定し、居間の空調機器を優先レベル2に設定し、居間以外の各部屋の照明器具を優先レベル3に設定する。そして、制約レベルモード1のときは、優先レベル3の負荷装置60への電力供給を停止し、制約レベルモード2のときは、優先レベル2及び3の負荷装置60への電力供給を停止し、制約レベルモード3のときは、優先レベル1の一部の負荷装置60(例えば、居間の空調機器)と、優先レベル2及び3の負荷装置60への電力供給を停止する。そして、制約レベルモード4のときは、優先レベル1の一部の負荷装置60(例えば、居間の照明器具)のみに電力供給を行うようにする。このように構成することで、負荷装置60への電力供給を段階的に停止するようにしてもよい。あるいは、照明器具や各家電への電力供給を1部屋に限定したり、あるいは、給湯器や空調機器などの高電力を必要とする機器への電力供給を停止するようにしてもよい。
上記のステップS102で運転モードが決定されると、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、各スレーブ装置に決定された運転モードを送信する(S104)。これによって、太陽光発電システム10の発電部(20a〜20c,30a〜30c)と蓄電部(40a,40b;50a,50b)と負荷部(60a,60b;70a,70b)が、決定された運転モードで制御される。その結果、電力系統90の状況等に応じて、システム全体が適切に制御される。
(3−4)基本処理(マスタ装置)
図10に示す運転モード決定処理が終了すると、図7のステップS57に戻って、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、基本処理を実行する(S57)。基本処理は、マスタ装置が発電用パワーコンディション装置30である場合と、マスタ装置が蓄電用パワーコンディション装置50である場合と、マスタ装置が負荷用パワーコンディション装置70である場合とで異なる。
マスタ装置が発電用パワーコンディション装置30の場合、マスタとして機能するプラットフォームモジュール38は、MPPTモジュール32、電圧調整モジュール34及び通信モジュール36の制御(駆動)を行う。また、発電装置20で生成される電力量をモニタし、発電効率を算出する処理を行う。算出した発電効率はメモリに格納される。メモリに格納された発電効率は、ユーザの要求に応じて表示器(図示しない)に表示される。
マスタ装置が蓄電用パワーコンディション装置50の場合、マスタとして機能するプラットフォームモジュール58は、蓄電池制御モジュール52、電圧調整モジュール54及び通信モジュール56の制御(駆動)を行う。また、蓄電池42に蓄電されている電気量をモニタし、蓄電装置40に蓄えられている蓄電量を算出する処理を行う。算出した蓄電量はメモリに格納される。メモリに格納された蓄電量は、ユーザの要求に応じて表示器(図示しない)に表示される。
マスタ装置が負荷用パワーコンディション装置70の場合、マスタとして機能するプラットフォームモジュール78は、負荷制御モジュール72、電圧調整モジュール74及び通信モジュール76の制御(駆動)を行う。この場合、プラットフォームモジュール78は、負荷制御モジュール72に運転モードを指示し、負荷制御モジュール72が指示された運転モードに従って、各負荷装置60への電力供給を制御する。また、プラットフォームモジュール78は、環境センサ64の検出結果に応じて負荷装置60への電力供給をオン/オフする。さらに、負荷装置60に供給される電力量をモニタし、負荷装置60に供給される電力量の履歴をメモリに格納する。プラットフォームモジュール78は、格納された電力量の履歴に基づいて、負荷装置60に供給する電力量を予測制御する。なお、負荷用パワーコンディション装置70の基本処理については、後で詳述する。
上述したステップS57の基本処理が終了すると、マスタ装置のプラットフォームモジュールは、ステップS48に戻って、ステップS48からの処理を繰返す。これによって、定期的にオンライン診断処理(S50)、システム構成処理(S54)、運転モード決定処理(S56)及び基本処理(S57)が実行される。
(4)通常処理(スレーブとして機能するパワーコンディション装置)
次に、スレーブ装置のプラットフォームモジュールが実行する通常処理について説明する。図11に示すように、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、まず、オンライン診断処理を実行するタイミングが否かを判断する(S106)。上述したように、本実施例の太陽光発電システム10では、各パワーコンディション装置は、所定の周期でオンライン診断処理を実行する。したがって、ステップS106では、まず、オンライン診断処理を実行するタイミングか否かを判断する。
オンライン診断処理を実行するタイミングでない場合(S106でNO)は、ステップS110に進む。オンライン診断処理を実行するタイミングである場合(S106でYES)は、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、オンライン診断処理を実行する(S108)。ステップS108のオンライン診断処理について、図12に基づいて詳細に説明する。
(4−1)オンライン診断処理(スレーブ装置)
図12に示すように、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、まず、当該スレーブ装置のオンライン診断処理を実行する(S114)。具体的には、各モジュールに診断指示を出力し、各モジュールからの診断結果及び稼働状況をメモリに格納する。
次に、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、当該スレーブ装置に異常が発生しているか否かを診断する(S116)。具体的には、ステップS114で実行したオンライン診断処理によって各部に異常が生じているか否かを判断する。スレーブ装置に異常が生じている場合(S116でYES)は、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、スレーブ装置の処理を停止する(S118)。したがって、ステップS114の処理によってスレーブ装置に異常が生じていると判断される場合は、スレーブ装置からマスタ装置へオンライン診断結果データが送信されることはない。このため、スレーブ装置からのオンライン診断結果データを受信できない場合は、マスタ装置は、当該スレーブ装置に異常が発生していると判断することができる。これによって、マスタ装置は、スレーブ装置に異常が生じていることを報知することができる。
スレーブ装置に異常が生じていない場合(S116でNO)は、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、マスタ装置に異常が生じているか否かを判断する(S120)。具体的には、マスタ装置から所定時間内にオンライン診断結果データの送信要求を受けたか否かを判断する。すなわち、マスタ装置が正常である場合(図8のS62でNO)は、マスタ装置から各スレーブ装置にオンライン診断結果を送信するよう指示する(図8のS68)。したがって、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、マスタ装置からの送信要求を所定時間内に受信したか否かによって、マスタ装置に異常が生じているか否かを判断する。
マスタ装置に異常が生じている場合(S120でYES)は、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、システム構成変更処理が必要な旨のフラグをオンし(S126)、オンライン診断処理を終了する。これによって、後述するシステム構成変更処理(スレーブ装置)によって、正常に動作するスレーブ装置の中から新たなマスタ装置が選択される。すなわち、マスタ装置からの送信要求を受信できない場合、マスタ装置に異常が発生しているため、システム構成の変更が必要な旨のフラグ(すなわち、マスタ装置の変更が必要な旨のフラグ)をオンし、オンライン診断処理を終了する。
一方、マスタ装置に異常が生じていない場合(S120でNO)は、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、ステップS114で実行した診断処理の結果をマスタ装置に送信し(S124)、オンライン診断処理を終了する。
図12に示すオンライン診断処理が終了すると、図11のステップS110に戻って、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、システム構成変更処理を実行する必要があるか否かを判断する(S110)。具体的には、システム構成変更処理を実行するタイミングか否かを判断し、また、システム構成変更処理が必要な旨のフラグがオンとなっているか否かを判断する。すなわち、本実施例の太陽光発電システム10では、各パワーコンディション装置は、所定の周期でシステム構成変更処理を実行するようにプログラムされている。また、マスタ装置に異常が生じている場合、上述したオンライン診断処理において、システム構成変更処理が必要な旨のフラグがオンされている(図12のS126)。したがって、ステップS110では、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、オンライン診断処理を実行するタイミングか否かと、システム構成変更処理が必要な旨のフラグがオンされているか否かを判断する。
システム構成変更処理を実行する必要がない場合(S110でNO)は、ステップS113に進む。システム構成変更処理を実行する必要がある場合(S110でYES)は、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、システム構成変更処理を実行する(S112)。ステップS112のシステム構成変更処理について、図13に基づいて詳細に説明する。
(4−2)システム構成変更処理(スレーブ装置)
図13に示すように、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、まず、当該スレーブ装置の負荷量を算出する(S128)。スレーブ装置の負荷量を算出する処理は、マスタ装置の負荷量を算出する処理と同一である。次いで、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、マスタ装置に異常が生じているか否かを判断する(S130)。具体的には、マスタ装置から所定時間内に算出した負荷量をマスタ装置に送信するよう指示されたか否かを判断する。すなわち、マスタ装置が正常である場合、マスタ装置から各スレーブ装置にオンライン診断結果を送信するよう指示する(図9のS88)。したがって、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、マスタ装置からの送信要求が所定時間内に受信できたか否かによって、マスタ装置に異常が生じているか否かを判断する。
マスタ装置に異常が生じている場合(S130でYES)は、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、直前の周期のシステム構成変更処理で算出された当該スレーブ装置の負荷量がマスタ装置の次に最小の値であったか否かを判断する(S134)。すなわち、マスタ装置に異常が発生している場合、正常に機能しているスレーブ装置の中から新たなマスタ装置を選択する必要がある。ここで、各スレーブ装置は、全てのパワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bの負荷量(詳細には、直前の周期のシステム構成変更処理で算出された負荷量)を把握している(図9のS98)。このため、ステップS134では、当該スレーブ装置の負荷量がマスタ装置の次に最小の値であったか否かを判断する。
負荷量がマスタ装置の次に最小の値であった場合(S134でYES)は、当該スレーブ装置がマスタ装置として設定され(S135)、次いで、マスタ装置として図9のステップS88,S90,S98の処理を実行する(S136)。これによって、マスタ装置に異常が生じていても、正常に機能しているスレーブ装置の中から新たなマスタ装置が選択され、太陽光発電システムの処理が継続される。
負荷量がマスタ装置の次に最小の値でない場合(S134でNO)は、ステップS130に戻って、ステップS130からの処理を繰返す。すなわち、当該スレーブ装置の負荷量がマスタ装置の次に最小の値でない場合は、他のスレーブ装置が新たなマスタ装置として選択されることとなる。したがって、当該スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、ステップS130に戻り、新たに選択されたマスタ装置に異常が生じているか否か、すなわち、新たに選択されたマスタ装置からの送信要求があったか否かを判断する。なお、負荷量がマスタ装置の次に最小となるスレーブ装置にも異常が生じている場合、当該スレーブ装置にマスタ装置からの送信要求が送られないこととなる。その場合は、ステップS134,S135の処理において、2番目に負荷量の小さいスレーブ装置が、最も負荷量の小さいスレーブ装置として選択される。以下、同様の処理が繰返される。これによって、正常に機能しているスレーブ装置の中で最も負荷量の小さい装置がマスタ装置として選択される。その結果、正常に機能しているパワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bが存在する限り、自律的にマスタ装置が選択され、太陽光発電システム10の処理が続行される。
一方、マスタ装置に異常が生じていない場合(S130でNO)は、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、ステップS128によって得られた当該スレーブ装置の負荷量をマスタ装置に送信する(S137)。次に、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、新たなマスタ装置となるよう指示されたか否かを判断する(S138)。すなわち、マスタ装置の負荷量がスレーブ装置の負荷量より大きい場合(図9のS94でNO)は、マスタ装置は正常に機能しているスレーブ装置の中で最も負荷量が小さいスレーブ装置にマスタ装置となるよう指示する(図9のS96)。このため、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、マスタ装置から新たなマスタ装置となるよう指示されたか否かを判断する。
新たなマスタ装置となるよう指示されている場合(S138でYES)は、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、マスタ装置用のプログラムを起動させる(S139)。これによって、当該スレーブ装置は、新たにマスタ装置として機能する。新たなマスタ装置となるよう指示されていない場合(S138でNO)は、ステップS139をスキップしてステップS140に進む。
ステップS140では、スレーブ装置のプラットフォームモジュール(ただし、ステップS139を実行した場合は、新たにマスタ装置として機能するプラットフォームモジュール)は、全てのパワーコンディション装置の負荷量を受信したか否かを判断する(S140)。すなわち、図9のステップS98でマスタ装置は、全てのパワーコンディション装置の負荷量を各パワーコンディション装置に送信するため、ステップS140では、これらの情報(負荷量)を受信したか否かを判断する。
マスタ装置から全てのパワーコンディション装置の負荷量を受信していない場合(S140でNO)は、マスタ装置から負荷量を受信するまで待機する。マスタ装置から全てのパワーコンディション装置の負荷量を受信している場合(S140でYES)は、その受信した負荷量をメモリに格納して(S141)、システム構成変更処理を終了する。
(4−3)基本処理(スレーブ装置)
図13に示すシステム構成変更処理が終了すると、図11のステップS113に戻って、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは基本処理を実行する(S113)。スレーブ装置の基本処理は、マスタ装置の基本処理と同一である。
上述したステップS113の基本処理が終了すると、スレーブ装置のプラットフォームモジュールは、ステップS106に戻って、ステップS106からの処理を繰返す。これによって、スレーブ装置では、オンライン診断処理(S108)、システム構成処理(S112)及び基本処理(S113)が定期的に実行される。
最後に、負荷用パワーコンディション装置70のプラットフォームで実行される基本処理について説明する。ここでは、負荷用パワーコンディション装置70がスレーブ装置として機能しているとして説明する。
図14に示すように、負荷用パワーコンディション装置70のプラットフォームモジュール78は、マスタ装置から送信された運転モードが制約レベルモードか否かを判断する(S142)。マスタ装置から送信された運転モードが制約レベルモードでない場合(S142でNO)は、ステップS154に進む。一方、マスタ装置から送信された運転モードが制約レベルモードの場合、プラットフォームモジュール78は、運転モードをマスタ装置から指示された制約レベルモードに変更し(S144)、その変更した制約レベルモードを負荷制御モジュール72に出力する(S146)。これにより、負荷制御モジュール72は、制約レベルモードに応じた電力を負荷装置60に供給する。その結果、負荷装置60への電力供給が抑制され、太陽光発電システム全体の電力使用量が抑えられる。
次に、プラットフォームモジュール78は、環境センサ64の検出結果を取得する(S148)。次いで、プラットフォームモジュール78は、環境センサ64の検出結果から、負荷装置60の運転を制限できるか否かを判断する(S150)。負荷装置60の運転を制限できない場合(S150でNO)、そのまま基本処理を終了する。一方、負荷装置60の運転を制限できる場合(S150でYES)、その負荷装置60への電力供給を制限し(S152)、基本処理を終了する。例えば、環境センサ64が人感センサである場合において、環境センサ64の検出結果から負荷装置60を設置した空間に人が存在しないときは、その負荷装置60(例えば、照明器具、空調機器、床暖房、テレビ、ラジオ等)への電力供給をオフしてもよい。また、環境センサ64が照度センサであり、負荷装置60が照明器具である場合において、環境センサ64の検出結果から負荷装置60を設置した空間が明るいときは、その負荷装置60(すなわち、照明器具)への電力供給をオフしてもよい。また、環境センサ64が温度センサであり、負荷装置60が冷暖房機器(例えば、空調機器、床暖房)である場合は、環境センサ64で検出した温度に基づいて、負荷装置60(冷暖房機器)の温度設定を変更してもよい。あるいは、環境センサ64が湿度センサであり、負荷装置60が湿度調整装置(例えば、加湿器、除湿器)である場合において、環境センサ64の検出結果(湿度)に基づいて、負荷装置60(湿度調整装置)の運転レベルを変更してもよい。これによって、太陽光発電システム全体の電力使用量を適切に抑えることができる。
一方、ステップS154では、プラットフォームモジュール78は、マスタ装置から送信された運転モードが通常運転モードか否かを判断する(S154)。マスタ装置から送信された運転モードが通常運転モードでない場合(S154でNO)は、マスタ装置から運転モードが指示されていない状態等であるため、そのまま基本処理を終了する。
マスタ装置から送信された運転モードが通常運転モードである場合(S154でYES)は、プラットフォームモジュール78は、負荷装置60の稼動履歴から負荷装置60の予測制御を行うタイミングか否かを判断する(S156)。負荷装置60の予測制御を行うタイミングでない場合(S156でNO)は、そのまま基本処理を終了する。一方、負荷装置60の予測制御を行うタイミングである場合(S156でNO)は、プラットフォームモジュール78は、負荷装置60の稼動履歴に基づいて、負荷装置60への電力供給を開始する(S158)。ここで、予測制御とは、負荷装置60の稼動履歴に基づいて、負荷装置60が使用されると予測される時間よりも前に、負荷装置60の駆動を開始する制御をいう。すなわち、発電装置20による太陽光発電の状況がよい場合や、蓄電装置40に充分に蓄電されている場合(すなわち、余剰電力がある場合)には、稼動履歴に基づく負荷装置60の今後の稼動予測から、負荷装置60を先行して駆動する。例えば、負荷装置60が空調機器である場合に、稼動履歴から夕方の帰宅時間を予測し、帰宅時間の前から負荷装置60(空調機器)を駆動することで、帰宅前に部屋の温度を目標温度に近づける制御を行う。これによって、帰宅後に部屋の温度の目標温度とするまでの消費電力を抑えることができる。
以上に説明したように、本実施例に係る太陽光発電システム10では、発電装置(太陽光発電パネル)20毎に発電用パワーコンディション装置30が設けられ、発電装置20毎にMPPT制御が行われる。このため、一部の発電装置20の発電効率が悪くても、その影響が他の発電装置20に及ぶことを防止でき、太陽光発電システム10全体の発電効率を高くすることができる。
また、発電装置(太陽光発電パネル)20毎に発電用パワーコンディション装置30が設けられ、各発電装置20の稼働状況(例えば、発電効率)がモニタされる。その結果、発電装置20の異常を検出し易くなる。また、隣接して配置された発電装置(太陽光発電パネル)20の発電効率を比較して異常か否かを判断できるため、異常検出の精度を高めることができる。これによって、経年劣化や欠損によって発電効率が悪化した発電装置(太陽光発電パネル)20を適切に特定することができ、発電効率の悪い発電装置20のみを交換することができる。
さらに、太陽光発電システム10が複数のパワーコンディション装置30,50,70を有することで、1台のパワーコンディション装置30,50,70を小型化することができ、低コストで製造することができる。その結果、パワーコンディション装置30,50,70の交換費用を抑えることができ、ランニングコストを低減することができる。また、各パワーコンディション装置30,50,70は無線で通信し、小型でかつ低電圧であるため、設置作業及び交換作業を容易に行うことができる。
最後に、上述した実施例と請求項との対応関係を説明しておく。太陽光発電パネル20a〜20cが請求項でいう「太陽光発電装置」の一例であり、通信モジュール36,56,76が請求項でいう「通信回路」の一例であり、マスタ装置のプラットフォームモジュールが請求項6の「判定部」の一例である。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
上述した実施例では、複数のパワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bの1つがマスタ装置として機能したが、本発明はこのような形態に限られない。パワーコンディション装置とは別にマスタとして機能する装置を設けてもよい。また、1台の発電用パワーコンディション装置が制御する太陽光発電パネルは適宜の枚数とすることができ、1枚の太陽光発電パネルでもよいし、複数枚の太陽光発電パネルであってもよい。
また、上述した実施例では、パワーコンディション装置に異常が生じた場合は、そのまま処理を停止していたが(例えば、図5のS14,S16参照)、本発明はこのような形態に限られない。例えば、パワーコンディション装置に異常が生じていても致命的な障害でない場合(例えば、通信機能等は正常な場合)は、その異常情報をメモリに記憶し、また、その異常状態を他のパワーコンディション装置やユーザに報知してから処理を停止するようにしてもよい。このような構成によると、パワーコンディション装置に異常が生じていることを直ちに知ることができるため、パワーコンディション装置の異常に迅速に対応することができる。
また、上述した実施例では、マスタ装置に異常が生じているか否かを、マスタ装置からの送信要求があったか否かでスレーブ装置が判断していたが(例えば、図6のS42参照)、本発明はこのような形態に限られない。例えば、マスタ装置に異常が生じていても致命的な障害でない場合(例えば、通信機能等は正常な場合)は、マスタ装置が異常であることを各スレーブ装置に通知するようにしてもよい。このような構成によると、スレーブ装置は、マスタ装置に異常が生じたことを直ちに知ることができ、システム構成変更処理等の必要な処理を直ちに行うことができる。
また、上述した太陽光発電システム10では、太陽光発電システム10の各部20a〜20c,30a〜30c,40a,40b,50a、50b,60a,60b,70a,70bの異常や稼動状況が、マスタ装置として機能するパワーコンディション装置から外部の表示器に表示されるようになっていたが、ユーザへの報知は種々の形態で行うことができる。例えば、複数のパワーコンディション装置30a〜30c,50a,50b,70a,70bのいずれかに異常が生じた場合は、インターネット等を経由してユーザ端末(例えば、ユーザのスマートフォン)等に異常が生じた旨のみを表示し、詳細な情報は表示しないようにしてもよい。そして、ユーザが故障に関する詳細な情報を取得するには、ユーザ端末とパワーコンディション装置とをP2P(Peer to Peer)等によって無線で接続し、パワーコンディション装置からユーザ端末に1対1で送信するようにしてもよい。かかる構成を採ることで、太陽光発電システムのセキュリティを向上することができる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。