JP2013246377A - トナー、トナーの製造方法および画像形成方法 - Google Patents

トナー、トナーの製造方法および画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】着色剤の溶出による滲みなどの画像不良の発生を抑制するトナーおよびその製造方法、並びに画像形成方法を提供すること。
【解決手段】静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を、トナーを含む乾式現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を画像支持体に転写する転写工程と、前記画像支持体に転写されたトナー像に、軟化剤を含む定着液を供給する定着液供給工程とを有する画像形成方法において用いられるトナーであって、前記軟化剤に不溶または難溶の樹脂よりなる樹脂(A)、前記軟化剤に可溶の樹脂よりなる樹脂(B)および着色剤(C)が含有されるトナー粒子よりなり、当該トナー粒子は、前記樹脂(A)中に前記着色剤(C)よりなる微粒子(C)が分散されてなる着色微粒子(D)が、前記樹脂(B)中に含有されてなるものであることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真法による湿式定着方式の画像形成方法において用いられるトナーおよびその製造方法、並びにそのトナーを用いた画像形成方法に関する。
プリンタ、ファクシミリおよび複写機などの画像形成装置は、紙、布およびOHP用シートなどの画像支持体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。
特に、電子写真法による画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため、例えばオフィスなどで広く利用されている。このような電子写真法の画像形成装置においては、画像支持体上のトナー像を構成するトナーを加熱して溶融させると共に、当該トナーを加圧することによって、トナー像を画像支持体上に定着させる熱定着方式が広く用いられている。この熱定着方式は、高い定着速度および高い画像品質を提供することが可能である。
しかしながら、このような熱定着方式の画像形成装置においては、その消費電力の約半分またはそれ以上が、トナーを加熱することに消費されている。一方、近年における環境問題対策の観点からは、低消費電力(省エネルギー)化が図られた定着方法が望まれている。すなわち、トナーを定着させるためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させること、またはトナーを加熱することを必要としない定着方法が望まれている。特に、トナーを加熱することなくトナー像を画像支持体に定着させる非加熱定着方式が低消費電力の点で理想的である。
非加熱定着方式としては、定着液をトナー像に供給して画像支持体に定着させる湿式定着方式が知られている(例えば特許文献1参照)。湿式定着方式は、ウォームアップタイムが不要であることから、クイックスタートが可能である点でも期待されている。
しかしながら、トナーを構成する樹脂を溶解させる定着液には有害なものが多く、安全性に課題が残っているため、オフィスや住居など人が近くにいる環境には適用することが難しかった。このような問題を解決するため、特許文献2および3には、臭気や毒性のない安全性に配慮した定着液やその供給方法が提案されている。
また、近年、トナー粒子中に分散させる着色剤の小径化によって高画質な画像を形成する方法が提案されている。熱定着方式においては、定着後、着色剤は定着画像内に留まっているが、湿式定着方式においては、供給された定着液に着色剤が接触すると着色剤の溶出が生じ、紙内部にまで着色剤が浸透する場合がある。これにより、浸透した着色剤が非画像部にまで及び、滲みなどの画像不良となるという問題がある。着色剤の小粒径化は、この問題をさらに悪化させる要因となる。
特許文献2および3では、上記の問題を解決するため、定着液に不溶の着色剤を用いることが記載されているが、このような着色剤は限定され、着色剤の選択性が狭まるという問題がある。
特開平4−224899号公報 特開2006−119277号公報 特開2007−249067号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、湿式定着方式において、定着液によって確実に定着することができると共に、着色剤の溶出による滲みなどの画像不良の発生を抑制するトナーおよびその製造方法、並びに画像形成方法を提供することにある。
本発明のトナーは、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像を、トナーを含む乾式現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を画像支持体に転写する転写工程と、
前記画像支持体に転写されたトナー像に、軟化剤を含む定着液を供給する定着液供給工程とを有する画像形成方法において用いられるトナーであって、
前記軟化剤に不溶または難溶の樹脂よりなる樹脂(A)、前記軟化剤に可溶の樹脂よりなる樹脂(B)および着色剤(C)が含有されるトナー粒子よりなり、
当該トナー粒子は、前記樹脂(A)中に前記着色剤(C)よりなる微粒子(C)が分散されてなる着色微粒子(D)が、前記樹脂(B)中に含有されてなるものであることを特徴とする。
本発明のトナーにおいては、定着液を構成する軟化剤が、アルキレンカーボネート、脂肪族カルボン酸アルキル、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルおよびヒドロキシカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種よりなるものであることが好ましい。
本発明のトナーにおいては、前記樹脂(A)が、スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体より選ばれる単量体に由来の構造単位を含有する樹脂よりなることが好ましい。
本発明のトナーにおいては、前記樹脂(B)が、少なくとも1つの解離性官能基を有する単量体に由来の構造単位を含有する樹脂またはポリエステル樹脂よりなることが好ましい。
本発明のトナーの製造方法は、上記のトナーを製造する方法であって、
樹脂(A)よりなる微粒子(A)と、着色剤(C)よりなる微粒子(C)とを水系媒体中で会合することにより、体積基準のメジアン径が0.5〜3.0μmの着色微粒子(D)を形成する工程と、
前記着色微粒子(D)と樹脂(B)よりなる微粒子(B)と水系媒体中で会合する工程とを有することを特徴とする。
本発明のトナーの製造方法においては、前記樹脂(A)として、スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体より選ばれる単量体に由来の構造単位を含有する樹脂を用いることが好ましい。
本発明のトナーの製造方法においては、前記樹脂(B)として、少なくとも1つの解離性官能基を有する単量体に由来の構造単位を含有する樹脂またはポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像を、トナーを含む乾式現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を画像支持体に転写する転写工程と、
前記画像支持体に転写されたトナー像に、軟化剤を含む定着液を供給する定着液供給工程とを有する画像形成方法において、
前記トナーは、前記軟化剤に不溶または難溶の樹脂よりなる樹脂(A)、前記軟化剤に可溶の樹脂よりなる樹脂(B)および着色剤(C)が含有されるトナー粒子よりなり、
当該トナー粒子は、前記樹脂(A)中に前記着色剤(C)よりなる微粒子(C)が分散されてなる着色微粒子(D)が、前記樹脂(B)中に含有されてなるものであることが好ましい。
本発明の画像形成方法においては、定着液を構成する軟化剤が、アルキレンカーボネート、脂肪族カルボン酸アルキル、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルおよびヒドロキシカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種よりなるものであることが好ましい。
本発明の画像形成方法においては、前記樹脂(A)が、スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体より選ばれる単量体に由来の構造単位を含有する樹脂よりなることが好ましい。
本発明の画像形成方法においては、前記樹脂(B)が、少なくとも1つの解離性官能基を有する単量体に由来の構造単位を含有する樹脂またはポリエステル樹脂よりなることが好ましい。
本発明のトナーによれば、当該トナーを構成するトナー粒子が、軟化剤に可溶の樹脂よりなる樹脂(B)によって構成されているため、定着液が供給されると、当該樹脂(B)が定着液中の軟化剤により軟化することによって紙などの画像支持体に確実に定着することができ、しかも、当該樹脂(B)中に、軟化剤に不溶または難溶の樹脂よりなる樹脂(A)中に、着色剤(C)よりなる微粒子(C)(以下、「着色剤微粒子(C)」ともいう。)が分散されてなる着色微粒子(D)が含有されているため、着色剤(C)が軟化剤に不溶または難溶の樹脂(A)によって定着液から保護されているので、軟化剤と直接接触することが抑制され、着色剤の溶出による滲みなどの画像不良の発生が抑制される。
本発明のトナーの製造方法によれば、樹脂(A)よりなる微粒子(A)(以下、「樹脂微粒子(A)」ともいう。)および着色剤微粒子(C)との会合粒子である着色微粒子(D)と、樹脂(B)よりなる微粒子(B)(以下、「樹脂微粒子(B)」ともいう。)とを会合する工程を有することにより、上記構成のトナーを容易に製造することができる。
本発明の画像形成方法によれば、上記構成のトナーを用いることにより、着色剤の溶出による滲みなどの画像不良の発生を抑制することができる。
本発明のトナーを構成するトナー粒子の構成の一例を示す説明用断面図である。 本発明の定着液を供給する際に用いられる定着液供給手段の構成の一例を示す説明用断面図である。 本発明の定着液を供給する際に用いられる定着液供給手段および圧力付与手段の構成の一例を示す説明用断面図である。 本発明の定着液を供給する際に用いられる定着液供給手段の構成の他の例を示す説明用断面図である。 本発明の定着液を供給する際に用いられる定着液供給手段の構成のさらに他の例を示す説明用断面図である。 本発明の定着液を供給する際に用いられる定着液供給手段の構成のさらに他の例を示す説明用断面図である。 本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。 実施例の樹脂の軟化度評価に用いられる定着器の構成を示す模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
〔トナー〕
本発明のトナーは、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、静電潜像を、トナーを含む乾式現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、トナー像を画像支持体に転写する転写工程と、画像支持体に転写されたトナー像に、軟化剤を含む定着液を供給する定着液供給工程とを有する、いわゆる湿式定着方式の画像形成方法において用いられるものである。
本発明のトナーは、定着液を構成する軟化剤に不溶または難溶の樹脂よりなる樹脂(A)、当該軟化剤に可溶の樹脂よりなる樹脂(B)および着色剤(C)が少なくとも含有されるトナー粒子よりなるものであり、トナー粒子には、必要に応じて、離型剤や磁性粉、荷電制御剤などの内添剤が含有されていてもよい。
本発明のトナーが用いられる画像形成方法において使用される定着液を構成する軟化剤としては、一般的に湿式定着方式の軟化剤として用いられるものであれば特に限定されず、例えば、アルキレンカーボネート、脂肪族カルボン酸アルキル、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキル、ヒドロキシカルボン酸エステルなどが挙げられる。
本発明のトナーを構成するトナー粒子は、図1に示すように、着色剤微粒子(C)が、樹脂(A)中に分散された状態で含有されると共に、この樹脂(A)中に着色剤微粒子(C)が分散されてなる着色微粒子(D)が、樹脂(B)中に含有された状態の構成とされている。着色微粒子(D)は、樹脂(B)中に1つまたはそれ以上が包埋または含有されてなるものであればよい。
このようなトナー粒子の構成は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することができる。
〔樹脂(A)〕
本発明のトナーを構成する樹脂(A)は、定着液を構成する軟化剤に不溶または難溶の樹脂よりなるものである。
樹脂(A)としては、軟化剤に不溶または難溶のものであれば、特に限定されないが、スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体より選ばれる単量体に由来の構造単位を含有する樹脂を含むことが好ましく、その他、例えば、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンデンフルオロライド、テトラエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルなどの樹脂が含まれていてもよい。
樹脂(A)を形成するためのスチレン系単量体としては、下記(1)に示す化合物が挙げられる。また、アクリル酸エステル系単量体は、メタクリル酸エステルおよびその誘導体とアクリル酸エステルおよびその誘導体の総称であり、下記(2)および(3)に示す化合物が挙げられる。
(1)スチレンおよびその誘導体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸エステルおよびその誘導体
メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル(EMA)、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等
(3)アクリル酸エステルおよびその誘導体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等。
上記単量体のうち、スチレン系単量体としてはスチレン、アクリル酸エステル系単量体としてはメタクリル酸エステルが好ましく、樹脂(A)としては、これらの単量体を用いて形成される共重合体であることが好ましい。
樹脂(A)は、トナー粒子中10〜70質量%の割合で含有されることが好ましい。
樹脂(A)は、重量平均分子量が3,000〜300,000であることが好ましく、より好ましくは10,000〜100,000である。
結着(A)の重量平均分子量が3,000未満である場合においては、十分な定着強度が得られないだけでなく、定着時に滲みが発生するおそれがある。一方、結着(A)の重量平均分子量が300,000を超える場合においては、十分に定着せずオフセット現象が発生するおそれがある。
本発明において、樹脂の重量平均分子量の測定は、GPCにより測定される。
具体的には、装置「HLC−8220」(東ソー社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/分で流し、試料(樹脂)を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mLになるようにTHFに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出される。検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いる。
樹脂(A)は、ガラス転移点が30〜70℃であることが好ましく、より好ましくは45〜60℃である。
結着(A)のガラス転移点が30℃未満である場合においては、十分な定着強度が得られないだけでなく、定着時に滲みが発生するおそれがある。一方、樹脂(A)のガラス転移点が70℃を超える場合においては、十分に定着せずオフセット現象が発生するおそれがある。
本発明において、樹脂のガラス転移点は、示差走査カロリメーター「DSC8500」(パーキンエルマー社製)を用いて測定される。
具体的には、試料(樹脂)4.5mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パンに封入して、DSC−7サンプルホルダーにセットする。リファレンスは、空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分にて、Heat−Cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを基に解析を行う。第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間における最大傾斜を示す接線との交点の値をガラス転移点とする。
〔樹脂B〕
樹脂(B)は、定着液を構成する軟化剤に可溶の樹脂よりなるものである。
樹脂(B)としては、樹脂(A)を溶解しないまたは溶解しにくい軟化剤に可溶のものであれば、特に限定されないが、少なくとも1つの解離性官能基を有する単量体に由来の構造単位を含有する樹脂(以下、「解離性官能基含有樹脂」ともいう。)またはポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
解離性官能基含有樹脂を形成するための単量体において、解離性官能基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基、アミノ基、ヒドロキシル基などが挙げられ、単量体ユニット中に複数存在してもよい。解離性官能基としてカルボキシル基を有する単量体に由来の構造体単位を含有する共重合体が好ましい。
解離性官能基としてカルボキシル基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、2−ペンテニン二酸、アリルマロン酸、イソプロピリデンコハク酸、2,4−ヘキサシエン二酸、アセチレンジカルボン酸、アコニット酸などが挙げられる。
解離性官能基としてスルホン基を有する単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等が挙げられる。
解離性官能基としてアミノ基を有する単量体としては、例えば、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールア(メタ)クリルアミド、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどが挙げられる。
解離性官能基としてヒドロキシル基を有する単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ポリエステル樹脂は、公知の多価アルコール成分と、公知の多価カルボン酸成分とにより得られるものである。
多価アルコール成分としては、例えば1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどの脂肪族ジオール;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどの3価以上の多価アルコールなどが挙げられる。これらの多価アルコール成分は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、不飽和アルコールとしては、アルケンジオール、具体的には、2−ブチン−1,4ジオールの他、3−ブチン−1,4ジオール、9−オクタデゼン−7,12ジオールなどが挙げられる。
多価カルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族カルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸などがあげられる。また、3価のカルボン酸としては、例えばトリメット酸などが挙げられる。
ポリエステル樹脂は、例えば上記多価アルコール成分と上記多価カルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中において、120〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。縮重合の際においては、必要に応じて公知のエステル化触媒を用いてもよい。
樹脂(B)は、トナー粒子中20〜90質量%の割合で含有されることが好ましい。
樹脂(A)と樹脂(B)との含有比率(樹脂(A):樹脂(B))は、質量比で20:80〜80:20であることが好ましく、より好ましくは、30:70〜70:30である。
樹脂(B)は、重量平均分子量が3,000〜200,000であることが好ましく、より好ましくは10,000〜100,000である。
結着(B)の重量平均分子量が3,000未満である場合においては、十分な定着強度が得られない。一方、結着(B)の重量平均分子量が200,000を超える場合においては、定着不良を起こすおそれがある。
樹脂(B)は、ガラス転移点が30〜70℃であることが好ましく、より好ましくは40〜50℃である。
結着(B)のガラス転移点が30℃未満である場合においては、十分な定着強度が得られない。一方、樹脂(B)のガラス転移点が70℃を超える場合においては、定着不良を起こすおそれがある。
〔着色剤(C)〕
着色剤(C)は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。
本発明のトナーを構成するトナー粒子においては、着色剤微粒子(C)が、軟化剤に不溶または難溶の樹脂(A)によって含有されているので、定着液が供給されても着色剤の溶出が抑制されることから、顔料および染料を問わず種々の着色剤を選択することが可能となる。
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックや、マグネタイト、フェライトなどの磁性粉が挙げられる。
マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222。
C.I.ソルベントレッド111、C.I.ソルベントレッド135、C.I.ソルベントレッド179、C.I.ソルベントレッド195、C.I.ピグメントレッド181。C.I.ベーシックレッド1、C.I.45160、C.I.Basic Red 1などが挙げられる。
オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ソルベントイエロー93、C.I.ソルベントイエロー98、C.I.ソルベントイエロー114、C.I.ソルベントイエロー133、C.I.ソルベントイエロー145、C.I.ソルベントイエロー147、C.I.ソルベントイエロー163、C.I.ソルベントイエロー192、C.I.ソルベントイエロー196、C.I.ソルベントオレンジ63、ソルベントオレンジ114、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー104などが挙げられる。
グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7、CIダイレクトブルー86、CIベーシック ブルー140、C.I.ソルベントブルー45、C.I.ソルベントブルー67、C.I.ソルベントブルー86、C.I.ソルベントブルー97、C.I.ソルベントブルー104、C.I.ソルベントブルー122、C.I.ソルベントブルー199、C.I.ソルベントグリーン3、C.I.ソルベントグリーン5、C.I.ソルベントグリーン28などが挙げられる。
以上の着色剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
着色剤(C)は、固形分換算でトナー粒子中2〜18質量%の割合で含有されることが好ましい。
また、着色剤(C)は、固形分換算で着色微粒子(D)中5〜60質量%の割合で含有されることが好ましい。
着色剤(C)は、表面改質されたものを使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的には、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤などが挙げられる。
〔離型剤〕
本発明のトナーにおいて、離型剤が含有される場合においては、離型剤としては、例えばワックスが挙げられ、具体的には、以下に示すようなものが挙げられる。
(1)ポリオレフィン系ワックス
ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど
(2)長鎖炭化水素系ワックス
パラフィンワックス、サゾールワックスなど
(3)ジアルキルケトン系ワックス
ジステアリルケトンなど
(4)エステル系ワックス
カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど
(5)アミド系ワックス
エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどである。
離型剤の含有割合は、樹脂(A)および樹脂(B)の合計量100質量部に対して0〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜10質量部である。
〔磁性粉〕
本発明のトナーにおいて、磁性粉が含有される場合においては、磁性粉としては、例えば、マグネタイト、γ−ヘマタイト、各種フェライトなどが挙げられる。
磁性粉の含有割合は、樹脂(A)および樹脂(B)の合計量100質量部に対して10〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜200質量部である。
〔荷電制御剤〕
本発明のトナーにおいて、荷電制御剤が含有される場合においては、荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の帯電を与えることのできる物質であれば特に限定されず、公知の種々の正帯電制御剤および負帯電制御剤を用いることができる。
荷電制御剤の含有割合は、樹脂(A)および樹脂(B)の合計量100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
〔外添剤〕
本発明のトナーは、トナー粒子のみによって構成されていてもよいが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加した状態で用いることができる。
流動化剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化銅、酸化鉛、酸化アンチモン、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、フェライト、ベンガラ、フッ化マグネシウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ジルコニウム、マグネタイト、ステアリン酸マグネシウムなどよりなる無機微粒子などが挙げられる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、トナー粒子の表面への分散性向上、環境安定性向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
クリーニング助剤としては、例えば、ポリスチレン微粒子、ポリメチルメタクリレート微粒子などが挙げられる。
外添剤としては種々のものを組み合わせて用いることができる。
外添剤は、平均一次粒径が30nm以下であることが好ましい。
外添剤の添加割合は、トナー粒子100質量部に対して0.05〜5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜3質量部である。
〔トナーの粒径〕
本発明のトナーは、粒径が体積基準のメジアン径で3.5〜7.0μmであることが好ましく、より好ましくは5.0〜6.5μmである。
トナーの体積基準のメジアン径が上記範囲内にあることにより、トナーの比表面積が十分に確保され、従って、後述する定着液供給工程において、定着液との接触面積が十分に確保されることから、トナー像を画像支持体に確実に定着させることができ、これにより、形成される画像において十分な定着強度を得ることができる。
トナーの体積基準のメジアン径が3.5μm未満である場合においては、形成される画像ががさついたものとなるおそれがある。一方、トナーの体積基準のメジアン径が7.0μmを超える場合においては、トナーの比表面積が小さく、後述する定着液供給工程において、定着液との接触面積が十分に確保されず、トナー像を画像支持体に確実に定着させることができなくなるおそれがある。
本発明において、トナーの体積基準のメジアン径は、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定・算出される。
具体的には、試料(トナー)0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、分散液を調製し、この分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒径が体積基準のメジアン径とされる。
〔トナーの円形度〕
本発明のトナーは、平均円形度が、転写効率の向上の観点から、0.930〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.950〜0.995である。
本発明において、トナーの平均円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定される。
具体的には、試料(トナー)を界面活性剤含有水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)により、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3,000〜10,000個の適正濃度で撮影を行い、個々のトナー粒子について下記式(T)に従って円形度を算出し、各トナー粒子の円形度を加算し、全トナー粒子数で除することにより算出される。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子役影像の周囲長)
本発明のトナーは、ガラス転移点が、耐熱保管性および耐ブロッキング性の観点から、30〜70℃であることが好ましく、より好ましくは35〜50℃である。
本発明において、トナーのガラス転移点は、示差走査カロリメーター「DSC8500」(パーキンエルマー社製)を用いて測定される。
具体的には、試料(トナー)4.5mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パンに封入して、DSC−7サンプルホルダーにセットする。リファレンスは、空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分にて、Heat−Cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを基に解析を行う。第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間における最大傾斜を示す接線との交点の値をガラス転移点とする。
本発明のトナーは、軟化点が、定着強度の観点から、90〜120℃であることが好ましく、より好ましくは100〜115℃である。
本発明において、トナーの軟化点は以下のようにして測定される。
すなわち、温度20±1℃、湿度50±5%RHの環境下において、試料(トナー)1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、温度24±5℃、湿度50±20%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット温度Toffsetを軟化点として、測定されるものである。
以上のようなトナーは、当該トナーを構成するトナー粒子が、軟化剤に不溶または難溶の樹脂よりなる樹脂(A)、軟化剤に可溶の樹脂よりなる樹脂(B)および着色剤(C)を含有するものであると共に、樹脂(A)中に着色剤微粒子(C)が分散されてなる着色微粒子(D)が樹脂(B)中に含有されてなる構成である。このようなトナーに定着液が供給されると、樹脂(B)が定着液中の軟化剤によって軟化することによって紙などの画像支持体に定着しながらも、着色剤(C)は、軟化剤に不溶または難溶の樹脂(A)によって保護されているので、軟化剤と直接接触することが抑制され、着色剤の溶出が抑制される。従って、本発明のトナーによれば、定着液によって確実に定着することができると共に、着色剤の溶出による滲みなどの画像不良の発生を抑制することができる。
〔乾式現像剤〕
以上のトナーは、磁性または非磁性のトナーのみよりなる一成分現像剤として用いることができ、また、トナーとキャリアとが混合されてなる二成分現像剤として用いることもできる。
二成分現像剤である場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、これらとアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆した樹脂被覆型キャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる分散型キャリアなどを用いてもよい。
キャリアは、粒径が体積基準のメジアン径で15〜100μmであることが好ましく、より好ましくは20〜80μmである。
本発明において、キャリアの体積基準のメジアン径は、湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定される。
〔トナーの製造方法〕
本発明のトナーの製造方法は、上記構成のトナーを製造する方法であって、具体的には、下記工程を有するものである。
(1−1)水系媒体中において、樹脂(A)よりなる微粒子(A)が分散されてなる分散液を調製する樹脂微粒子分散液(A)調製工程、
(1−2)水系媒体中において、樹脂(B)よりなる微粒子(B)が分散されてなる分散液を調製する樹脂微粒子分散液(B)調製工程、
(1−3)水系媒体中において、着色剤(C)による微粒子(C)が分散されてなる分散液を調製する着色剤微粒子分散液(C)調製工程、
(2)樹脂微粒子分散液(A)および着色剤微粒子分散液(C)を混合し、樹脂微粒子(A)および着色剤微粒子(C)を会合することにより、体積基準のメジアン径が0.5〜3μmの着色微粒子(D)を形成する着色微粒子(D)形成工程、
(3)着色微粒子(D)が分散されてなる水系媒体中に、樹脂微粒子分散液(B)を添加し、着色微粒子(D)と樹脂微粒子(B)とを会合することにより、トナー粒子を形成するトナー粒子形成工程、
(4)熱エネルギーにより熟成させて、トナー粒子の形状を調整する熟成工程、
(5)トナー粒子の分散系(水系媒体)からトナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する洗浄工程、
(6)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程、
から構成され、必要に応じて、
(7)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程
を加えることができる。
本発明において、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
(1−1)樹脂微粒子分散液(A)調製工程
樹脂微粒子(A)は、例えば乳化重合法により形成することができ、具体的には、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中に、樹脂(A)を形成するための単量体に必要に応じて離型剤や荷電制御剤などのトナー粒子構成成分を溶解あるいは分散させた単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで、水溶性のラジカル重合開始剤を添加して、液滴中において重合反応を進行させることにより樹脂微粒子(A)を形成することができる。なお、前記液滴中に油溶性の重合開始剤が含有されていてもよい。この工程においては、機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の形成)処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリンなどの強い撹拌または超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。
この工程において得られる樹脂微粒子(A)の粒径は、体積基準のメジアン径で50〜300nmであることが好ましい。
本発明において、樹脂微粒子(A)の体積基準のメジアン径は、「UPA−150」(マイクロトラック社製)を用いて測定される。
〔界面活性剤〕
界面活性剤としては、公知の種々のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などを使用することができる。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデイシルトリメチルアンオニウムブロマイドなどが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ノリルフェニルポリキオシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル、スチリルフェニルポリオキシエチレンエーテル、モノデカノイルショ糖などが挙げられる。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウムなどの脂肪族石鹸や、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどが挙げることができる。
以上の界面活性剤は、所望に応じて、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
〔重合開始剤〕
重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤であれば適宜のものを使用することができる。例えば、過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)、アゾ系化合物(4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸およびその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩など)、パーオキシド化合物などが挙げられる。
〔連鎖移動剤〕
樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、例えば、2−クロロエタノール、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタンおよびスチレンダイマーなどを挙げることができる。
(1−2)樹脂微粒子分散液(B)調製工程
この工程においては、樹脂(B)として、解離性官能基含有樹脂を用いる場合においては、上記(1−1)樹脂微粒子分散液(A)調製工程において示した乳化重合法により樹脂微粒子(B)を形成することができる。また、樹脂(B)として、ポリエステル樹脂を用いる場合においては、溶解脱溶法により樹脂微粒子(B)を形成することができる。
以下、溶解脱溶法について具体的に説明する。
溶解脱溶法は、例えば、ポリエステル樹脂と、ポリエステル樹脂が溶解可能な非水溶性有機溶媒とを含む樹脂溶液を調製する工程と、分散剤および水を含む水系媒体を調製する工程と、樹脂溶液と水系媒体とを混合して、水系媒体中に樹脂溶液を分散させ、水系媒体中に樹脂溶液の油滴粒子が分散されてなる分散液を調製する工程と、油滴粒子分散液から、油滴に含まれる非水溶性有機溶媒を除去し、樹脂粒子を形成する工程と、樹脂粒子の表面に残存する分散剤を分解除去する工程とを有する。
〔非水溶性有機溶媒〕
樹脂溶液に使用される非水溶性有機溶媒としては、用いる樹脂が溶解可能なものであって、水に対して相溶しないものであれば特に制限されず、公知のものを使用でき、例えば、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ブタノールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族類などが挙げられる。
〔分散剤〕
分散剤としては、油滴粒子の分散を促進し得るものであれば特に制限されず、例えば、水に対する溶解度が低いアルカリ土類金属塩(難水溶性アルカリ土類金属塩)を使用できる。難水溶性アルカリ土類金属塩の水に対する溶解度は特に制限されないが、好ましくは温度20℃の水1リットルに対する溶解度が50mg以下、より好ましくは30mg以下である。このような難水溶性アルカリ土類金属塩としては、例えば、カルシウムの炭酸塩、リン酸塩など、マグネシウムの炭酸塩、リン酸塩など、バリウムの炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩などが挙げられる。これらの中でも、得られるトナー粒子の粒度分布の幅をできるだけ狭くし、形状を均一にするという点を考慮すると、カルシウムの炭酸塩(以下、炭酸カルシウム塩と称する)、カルシウムのリン酸塩(以下、リン酸カルシウム塩と称する)が好ましい。分散剤は1種単独でまたは2種以上を併用することができる。
樹脂溶液と水系媒体との混合は、撹拌下において行うことが好ましく、さらにせん断力を加えながら行うことがより好ましい。このとき、加熱または加熱および加圧してもよい。樹脂溶液と水系媒体との混合は、さらに具体的には、例えば、乳化機や分散機などを用いて行われる。このような乳化機および分散機は市販されている。その具体例としては、例えば、「ウルトラタラックス」(IKAジャパン株式会社製)、「ポリトロンホモジナイザー」(キネマティカ社製)、「TKオートホモミクサー」(特殊機化工業株式会社製)などのバッチ式乳化機、「エバラマイルダー」(株式会社荏原製作所製)、「TKパイプラインホモミクサー」、「TKホモミックラインフロー」、「フィルミックス」(以上、特殊機化工業株式会社製)、「コロイドミル」(神鋼パンテック(株)製)、「スラッシャー」、「トリゴナル湿式微粉砕機」(以上、三井三池化工機(株)製)、「キャビトロン」((株)ユーロテック製)、「ファインフローミル」(太平洋機工(株)製)などの連続式乳化機、「クレアミックス」(エム・テクニック(株)製)、「フィルミックス」(特殊機化工業(株)製)などが挙げられる。また、これら以外にも、前述の樹脂溶液の調製に用いられる市販の乳化機、分散機を用いることもできる。
〔イオン性物質〕
樹脂粒子表面からの分散剤の除去は、例えば、非水溶性有機溶媒の除去後の混合液に、イオン性物質を添加することによって行うことができる。
イオン性物質としては、水への溶解性を有しており、水中で解離することによって分散剤を分解し、分散剤の水への溶解性を増大させるものであれば特に制限されず、公知のものを使用できる。その中でも、無機酸、有機酸などの酸が好ましい。無機酸としては公知のものを使用でき、その中でも、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸などの水溶性無機酸が好ましく、塩酸が特に好ましい。有機酸としても公知のものを使用でき、その中でも、ギ酸、酢酸などの水溶性有機酸が好ましく、酢酸が特に好ましい。
この工程において得られる樹脂微粒子(B)の粒径は、体積基準のメジアン径で例えば50〜300nmであることが好ましい。
本発明において、樹脂微粒子(B)の体積基準のメジアン径は、「UPA−150」(マイクロトラック社製)を用いて測定される。
(1−3)着色剤微粒子分散液(C)調製工程
着色剤微粒子分散液(C)は、着色剤(C)を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中において界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機としては、公知の種々の分散機を用いることができる。
使用される界面活性剤としては、例えば上述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。
この工程において得られる着色剤微粒子(C)の粒径は、体積基準のメジアン径で20〜100nmであることが好ましい。
本発明において、着色剤微粒子(C)の体積基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定される。
(2)着色微粒子(D)形成工程
着色微粒子(D)は、例えば、水系媒体中に凝集剤を臨界凝集濃度以上となるよう添加し、次いで、樹脂微粒子(A)のガラス転移点以上であって、かつ、これら混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することによって、樹脂微粒子(A)および着色剤微粒子(C)を会合、具体的には塩析を進行させると同時に融着を並行して進め、所望の粒径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するために加熱を継続して行うことにより形成することができる。
〔凝集剤〕
凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。金属塩としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの一価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属塩;鉄、アルミニウムなどの三価の金属塩などが挙げられる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、二価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
使用される界面活性剤としては、例えば上述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。
この工程において得られる着色微粒子(D)の粒径は、体積基準のメジアン径で0.5〜5.0μmとされ、好ましくは1.0〜3.0μmである。
着色微粒子(D)の粒径が上記範囲であることにより、トナー中の着色剤分散性が良好となり、現像転写性や帯電安定性が得られる。
本発明において、着色微粒子(D)の体積基準のメジアン径は、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)によって測定される。
(3)トナー粒子形成工程
トナー粒子は、着色微粒子(D)の分散液中に樹脂微粒子分散液(B)を添加して、着色微粒子(D)と樹脂微粒子(B)とを会合、具体的には凝集、融着させることにより形成することができる。
(4)熟成工程
上記トナー粒子形成工程における加熱温度の制御によりある程度トナーにおけるトナー粒子の形状の均一化を図ることができるが、さらなる形状の均一化を図るために、熟成工程を経る。
(5)洗浄工程〜(6)乾燥工程
洗浄工程および乾燥工程は、公知の種々の方法を採用して行うことができる。
(7)外添剤添加工程
この工程は、乾燥処理したトナー粒子に必要に応じて外添剤を添加、混合する。
本発明のトナーの製造方法によれば、樹脂微粒子(A)および着色剤微粒子(C)との会合粒子である着色微粒子(D)と、樹脂微粒子(B)とを会合する工程を有することにより、本発明のトナーを容易に製造することができる。
〔画像形成方法〕
本発明の画像形成方法は、少なくとも、(a)静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、(b)静電潜像を、トナーを含む乾式現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、(c)トナー像を画像支持体に転写する転写工程と、(d)画像支持体に転写されたトナー像に、軟化剤を含む定着液を供給する定着液供給工程とを有し、トナーとして本発明のトナーを用いる方法である。
(a)静電潜像形成工程
静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
静電潜像担持体としては、特に限定されるものではないが、例えばアモルファスシリコン、セレンなどの無機感光体、または、ポリシラン、フタロポリメチンなどの有機感光体よりなるドラム状のものが挙げられる。
静電潜像の形成は、例えば、静電潜像担持体の表面を帯電手段により一様に帯電させ、露光手段により静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行われる。
帯電手段および露光手段としては、特に限定されず、電子写真方式において一般的に使用されているものを用いることができる。
(b)現像工程
現像工程は、静電潜像を、本発明のトナーを含む乾式現像剤により現像してトナー像を形成する工程である。
トナー像の形成は、トナーを含む乾式現像剤を用いて、例えば、トナーを摩擦撹拌させて帯電させる撹拌器と、回転可能なマグネットローラとよりなる現像手段を用いて行われる。具体的には、現像手段においては、例えば、トナーとキャリアとが混合撹拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラは、静電潜像担持体近傍に配置されているため、マグネットローラの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、静電潜像がトナーにより現像されて静電潜像担持体の表面にトナー像が形成される。
(c)転写工程
転写工程は、トナー像を画像支持体に転写する工程である。
トナー像の画像支持体への転写は、トナー像を画像支持体に剥離帯電することにより行われる。
転写手段としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラなどを用いることができる。
また、転写工程は、例えば、中間転写体を用い、中間転写体上にトナー像を一次転写した後、このトナー像を画像支持体上に二次転写する態様の他、静電潜像担持体上に形成されたトナー像を直接画像支持体に転写する態様などによって行うこともできる。
画像支持体としては、特に限定されず、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができる。
(d)定着液供給工程
定着液供給工程は、画像支持体に転写されたトナー像に定着液を供給する工程である。
〔定着液〕
本発明の画像形成方法に用いられる定着液は、トナーの結着樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させて軟化させる軟化剤を含み、必要に応じて、希釈剤や分散剤など他の成分が含有されていてもよい。
〔軟化剤〕
軟化剤としては、一般的に湿式定着方式の軟化剤として用いられるものであれば特に限定されないが、アルキレンカーボネート、脂肪族カルボン酸アルキル、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルおよびヒドロキシカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種よりなるものであることが好ましい。
アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどが挙げられる。これらの中でも、定着液の安定性の観点から、プロピレンカーボネートが好ましい。
脂肪族カルボン酸アルキルとしては、具体的には、下記一般式(1)で表わされる化合物を用いることが好ましい。
一般式(1):R1 COOR2
〔一般式(1)中、R1 は、炭素数8〜18のアルキル基またはアルケニル基を示し、R2 は、炭素数3〜18の直鎖型または分岐型のアルキル基またはアルケニル基を示す。〕
一般式(1)で表わされる化合物としては、具体的には、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、ステアリン酸イソセチルなどが挙げられる。これらの中でも、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルが好ましい。
脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、下記一般式(2)で表わされる化合物を用いることが好ましい。
一般式(2):R3 (COOR4 −O−R5 2
〔一般式(2)中、R3 は、炭素数2〜8のアルキレン基を示し、R4 は、炭素数2〜4のアルキレン基を示し、R5 は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。〕
一般式(2)で表わされる化合物としては、具体的には、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、コハク酸ジ(2−(2−エトキシエトキシ)エタン−1−オール)エステル、アジピン酸ジメトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチルなどが挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸エステルは、水酸基を有するカルボン酸とアルコールとの脱水縮合反応により得られるヒドロキシカルボン酸のエステル化合物(ヒドロキシアルカノエート)であり、具体的には、乳酸エチル、乳酸イソアミル、3−ヒドロキシ酪酸エチル、2−ヒドロキシ酪酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、3−ヒドロキシ吉草酸エチル、2−ヒドロキシ吉草酸エチル、2−ヒドロキシ−4−メチル吉草酸エチル、3−ヒドロキシヘキサン酸エチル、2−ヒドロキシヘキサン酸エチル、5−ヒドロキシヘキサン酸エチル、3−ヒドロキシオクタン酸エチル、5−ヒドロキシオクタン酸エチルなどが挙げられる。
軟化剤は、定着液に対して10〜100質量%の割合で含有されることが好ましく、より好ましくは20〜70質量%である。
〔希釈剤〕
定着液には、軟化剤を希釈・分散させる希釈剤が含有されている。希釈剤としては、例えば水、具体的にはイオン交換水が挙げられる。また、軟化剤を溶解可能な溶媒、具体的には、イソパラフィン、シリコーンオイルなどを用いることもできる。
希釈剤は、定着液に対して10〜90質量%の割合で含有されることが好ましく、より好ましくは20〜70質量%である。
〔分散剤〕
定着液には、必要に応じて、軟化剤の希釈剤への溶解性または分散性を向上させるものとして分散剤が含有されていてもよい。
分散剤としては、例えば界面活性剤、具体的には、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
活性剤としてのアニオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類;ポリエトキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩、およびその誘導体類などを挙げることができる。カチオン系界面活性剤としては、例えば脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などを挙げることができる。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックコポリマー、ショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステル類などが挙げられる。
分散剤は、定着液に対して0.1〜5.0質量%の割合で含有されることが好ましく、より好ましくは0.5〜3.0質量%である。
〔定着液の供給量〕
定着液の供給量は、例えば、A4サイズの画像支持体当たり0.01g以上0.4g以下が好ましく、より好ましくは0.05g以上0.1g以下である。
〔定着液の製造方法〕
定着液の製造方法としては、例えば、定着液供給用のタンクに、軟化剤および必要に応じて分散剤を順次投入後、希釈剤を投入し超音波ホモジナイザーを用い、室温下で5分間撹拌する方法が挙げられる。これにより、軟化剤の分散粒径が150〜250μmの定着液を調製することができる。
〔定着液の供給手段〕
定着液供給工程においては、定着液供給手段を用い、例えば定着液を液状または泡状に噴射、噴霧または塗布することにより、トナー像に定着液を供給する。
定着液供給手段としては、例えば、インクジェットノズル、超音波振動子を用いた噴霧器、圧縮空気を用いた噴霧器、静電的に液滴にする噴霧器、ローラなどが挙げられる。
以下、本発明の画像形成方法において用いられる定着液供給手段について具体的に説明する。
図2は、本発明の画像形成方法において用いられる定着液供給手段の構成の一例を示す説明用断面図である。
この定着液供給手段50Aは、ライン型インクジェットノズルよりなるものであり、トナー像担持体31の下流側に配置されている。
このような定着液供給手段50Aにおいては、液滴化された定着液Fが、画像支持体P上に転写されたトナー像Tの領域に従って、当該トナー像Tに供給される。
このような定着液供給手段50Aを構成するライン型インクジェットは、解像度が300dpi以上であることが好ましい。また、インクジェットの液滴サイズは、0.5〜50plであることが好ましい。
なお、定着液供給手段50Aとしてインクジェットノズルを用いる場合においては、定着液には耐溶剤性が必要とされる。
また、定着液が室温以上の温度で液体ではない場合、または、定着液の粘度が高い場合においては、定着液供給手段50Aにヒーターを設ける構成とすることもできる。
また、定着液供給工程の後において、定着液Fが供給されたトナー像Tに圧力を付与する圧力付与工程を行うこと好ましい。具体的には、図3に示すように、定着液供給工程の後、一対の加圧ローラよりなる圧力付与手段70により、定着液Fが供給されたトナー像Tに圧力を付与することを行うことできる。
圧力付与手段としては、例えば、表面が離型性を有するローラなど用いることもできる。加圧力は、特に限定されないが、例えば50kPa〜1MPaであることが好ましい。
この圧力付与工程が行われることにより、形成される画像においてより高い定着強度が得られる。
図4は、本発明の画像形成方法において用いられる定着液供給手段の構成の他の例を示す説明用断面図である。
この定着液供給手段50Bは、定着液塗布ローラ51と、この定着液塗布ローラ51に対向して設けられた加圧ローラ52とにより構成される。この定着液塗布ローラ51は、その一部が例えば液状の定着液Fに浸漬されている。また、トナー像T上に供給すべき定着液Fの量を制御するメタリングブレード53が、その先端部分が定着液塗布ローラ51の表面から離間した状態で設けられている。
このような定着液供給手段50Bにおいては、定着液Fが、定着液塗布ローラ51および加圧ローラ52の回転駆動により、定着液塗布ローラ51上の液状の定着液Fがその供給量がメタリングブレード53により規制されて、トナー像Tが転写された画像支持体P上の全面に液膜Mとして供給されると共に、加圧ローラ52において圧力が付与される。
液膜Mの膜厚は、特に限定されないが、例えば1〜100μmが好ましい。
また、加圧ローラ52の加圧力は、例えば150〜250MPaが好ましい。
図5は、本発明の画像形成方法において用いられる定着液供給手段の構成のさらに他の例を示す説明用断面図である。
この定着液供給手段50Cは、定着液を泡状に噴射させる泡状発生装置54と、定着液塗布ローラ55と、この定着液塗布ローラ55に対向して設けられた加圧ローラ56とにより構成される。また、トナー像T上に供給すべき定着液Fの量を制御する規制ブレード57が、その先端部分が定着液塗布ローラ55の表面から離間した状態で設けられている。
このような定着液供給手段50Cにおいては、定着液Fが、定着液塗布ローラ55および加圧ローラ56の回転駆動により、定着液塗布ローラ55上の泡状の定着液Fがその供給量が規制ブレード57により規制されて、トナー像Tが転写された画像支持体P上の全面に泡状膜Bとして供給されると共に、加圧ローラ56において圧力が付与される。
泡状膜Bの膜厚は、特に限定されないが、例えば50〜80μmが好ましい。
また、加圧ローラ56の加圧力は、例えば150〜250MPaが好ましい。
図6は、本発明の画像形成方法において用いられる定着液供給手段の構成のさらに他の例を示す説明用断面図である。
この定着液供給手段50Dは、圧縮空気を用いた噴霧器よりなるものでものであり、トナー像担持体31の下流側に配置されている。
このような定着液供給手段50Dにおいては、液状の定着液Fが噴霧され、画像支持体P上に転写されたトナー像Tに供給される。
〔画像形成装置〕
以上のような本発明の画像形成方法は、例えば、以下の画像形成装置により実行することができる。
図7は、本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。
この画像形成装置10は、タンデム型のフルカラー画像形成装置であって、ベルト状の中間転写体20に沿って設けられた複数の画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kと、中間転写体20上に各画像形成ユニットにより形成されたトナー像を画像支持体Pに転写する二次転写手段40と、画像支持体P上に転写されたトナー像に定着液を供給する定着液供給手段50とが設けられている。
画像形成ユニット30Yは、イエローのトナー像を形成するものであって、静電潜像担持体であるドラム状の感光体31Yを備え、この感光体31Yの周囲に帯電手段32Y、露光手段33Y、現像手段34Y、一次転写手段35Y、クリーニング手段36Yが配置されて構成されている。
画像形成ユニット30M,30C,30Kは、各々、イエローのトナー像を形成する代わりにマゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する他は、画像形成ユニット30Yと同様の構成を有する。
中間転写体20は、複数の支持ローラ21A,21B,21Cに張架され、循環移動可能に支持されている。
二次転写手段40は、トナー像を画像支持体Pに剥離帯電して転写する転写器よりなるものである。
定着液供給手段50は、トナー像に対して定着液を液滴にて供給するものであり、例えばライン型インクジェットノズルよりなるものである。
この画像形成装置10においては、以下のような画像形成処理が行われる。
画像形成ユニット30Yにおいて、感光体31Yが回転駆動されると、帯電手段32Yにより、トナーと同極性のコロナ放電によって当該感光体31Yの表面に一様な電位が与えられる。一様に帯電された感光体31Yの表面上に画像データに基づいて、露光手段33Yにより、感光体31Yの回転方向に対して平行に走査し、露光を行うことによって静電潜像が形成される。次に、現像手段34Yにより、感光体31Yの表面電位と同極性に帯電されたトナーが感光体31Yの静電潜像に付着して反転現像が行われることによって、トナー像が形成され、循環移動する中間転写体20上に一次転写手段35Yにより転写される。これらの処理が、画像形成ユニット30M,30C,30Kにおいても行われ、各画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kより形成された各色のトナー像が、中間転写体20上に重畳されてカラートナー像が形成される。このカラートナー像が、所定のタイミングで搬送される画像支持体P上に二次転写手段40によりに二次転写される。次いで、定着液装置50により画像データに基づいて定着液が、画像支持体Pに二次転写されたトナー像に対して供給される。定着液が供給されたトナー像は画像支持体Pに定着し画像が形成される。
一方、二次転写手段40により画像支持体Pにカラートナー像を転写した後、クリーニング手段60においては、画像支持体Pを曲率分離した中間転写体20上に残留する未転写トナーが除去される。また、クリーニング手段36Y,36M,36C,36Kにおいては、感光体31Y,31M,31C,31K上にそれぞれ残留する未転写トナーが除去される。
本発明の画像形成方法によれば、上記構成のトナーを用いることにより、着色剤の溶出による滲みなどの画像不良の発生を抑制することができる。
〔トナーの作製例1〕
<樹脂微粒子分散液(A−1)の調製>
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を備えた反応容器に、イオン交換水558質量部と界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム「E−27C」(花王社製)1.7質量部とを投入し、230rpmで撹拌しながら溶解させて80℃まで昇温した。これに、過硫酸カリウム3.0質量部をイオン交換水60質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、スチレン(以下、「St」ともいう。)136質量部、n−ブチルアクリレート(以下、「BA」ともいう。)24質量部、連鎖移動剤2.2質量部を滴下し、4時間反応させて樹脂微粒子分散液(A−1)を調製した。この樹脂微粒子の重量平均分子量は20,000、ガラス転移点は62℃、体積基準のメジアン径は80nmであった。
<樹脂微粒子分散液(B−1)の調製>
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を備えた反応容器に、イオン交換水580質量部とポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム「E−27C」(花王社製)1.7質量部とを投入し、230rpmで撹拌しながら溶解させて80℃まで昇温した。これに、過硫酸カリウム3質量部をイオン交換水60質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、スチレン140質量部、n−ブチルアクリレート23質量部、メタクリル酸(以下、「MAA」ともいう。)13質量部、連鎖移動剤2.2質量部を滴下し、4時間反応させ、樹脂微粒子分散液(B−1)を調製した。この樹脂微粒子の重量平均分子量は20,000、ガラス転移点は45℃、体積基準のメジアン径は102nmであった。
<着色剤微粒子分散液(C−1)の調製>
界面活性剤としてn−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に撹拌溶解することによって界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液に、「C.I.ソルベントレッド49」7.5質量部と「C.I.ピグメントレッド9」18質量部を徐々に添加し、次いで、「クレアミックスWモーションCLM−0.8」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子分散液(C−1)を調製した。この着色剤微粒子の粒径は、体積基準のメジアン径で126nmであった。
なお、着色剤微粒子の体積基準のメジアン径は、「MICROTRAC UPA 150」(HONEYWELL社製)を用い、サンプル屈折率1.59、サンプル比重1.05(球状粒子換算)、溶媒屈折率1.33、溶媒粘度0.797(30℃)および1.002(20℃)の測定条件により、測定セルにイオン交換水を投入することによって0点調整を行なうことによって測定した。
<トナー粒子(1)の形成>
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、イオン交換水1600質量部、着色剤微粒子分散液(C−1)27質量部(固形分換算)、樹脂微粒子分散液(A−1)128質量部(固形分換算)を投入し、撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調整後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8〜11に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水100質量部に溶解した水溶液を、撹拌の下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置後に昇温を開始し、この系を60分間かけて70℃まで昇温させ、上記微粒子の会合を行い、体積基準のメジアン径が2.1μmの着色微粒子(D)を形成した。温度が75℃に到達したときに樹脂微粒子分散液(B−1)300質量部(固形分換算)を20分間かけて投入した。この状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)を用いて会合粒子の粒径測定を行い、会合粒子の体積基準メジアン径が6.5μmになったときに、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解させた水溶液を添加して会合を停止させ、トナー粒子(1)を得た。
<熟成、洗浄、乾燥>
会合停止後、さらに熟成処理として液温を80℃にして2時間にわたり加熱撹拌を行うことにより、樹脂の融着を継続させた。
さらに、8℃/分の速度で30℃に冷却して、濾別し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄した後、40℃の温風で乾燥した。トナー粒子(1)の粒径は、体積基準のメジアン径で6.4μmであった。
<外添剤の添加>
このトナー粒子〔1〕100質量部に、「ヘンシェルミキサー」(三井三池鉱業社製)を用いて、ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)1質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合した。回転翼の周速を24m/sとし、20分間混合した後、400MESHの篩を通過させてトナー(1)を作製した。
〔トナーの作製例2〕
トナーの作製例1の樹脂微粒子分散液(A−1)の調製において、スチレン136質量部の代わりにメタクリル酸メチル(以下、「MMA」ともいう。)136質量部を用い、また、n−ブチルアクリレート24質量部の添加量を21質量部に変更し、さらに、メタクリル酸2質量部を加えたことの他は同様にして樹脂微粒子分散液(A−2)を調製し、樹脂微粒子分散液(A−1)の代わりに樹脂微粒子分散液(A−2)を用いたことの他は同様にしてトナー(2)を作製した。
〔トナーの作製例3〜5、比較用トナーの作製例1〜3〕
トナーの作製例1の樹脂微粒子分散液(A−1)の調製、または、樹脂微粒子分散液(B−1)の調製において、単量体の組成を表1に示す単量体の種類および添加量に変更したことの他は同様にして、樹脂微粒子分散液(A−3)〜(A−5)および樹脂微粒子分散液(B−1)〜(B−3)をそれぞれ調製し、樹脂微粒子分散液(A−1)および樹脂微粒子分散液(B−1)の代わりにそれぞれ表1に示す組み合わせの分散液を用いたことの他は同様にしてトナー(3)〜(5)、比較用トナー(1)〜(3)を作製した。
〔トナーの作製例6〕
トナーの作製例1において、樹脂微粒子分散液(B−1)の代わりに下記に示す樹脂微粒子分散液(B−6)を用いたことの他は同様にしてトナー(6)を作製した。
<樹脂微粒子分散液(B−6)の調製>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物675質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物88質量部、テレフタル酸281質量部、無水トリメリット酸25質量部およびジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧下230℃で7時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧下で5時間反応し、ポリエステル樹脂を得た。ポリエステル樹脂の重量平均分子量は3000、ガラス転移点は54℃であった。
ポリエステル樹脂320質量部、ベヘン酸ベヘニル(融点:76℃)64質量部および銅フタロシアニン16質量部に、酢酸エチル1500質量部を加え、撹拌しながら75℃まで昇温した。その後75℃で3時間撹拌し、固形分25質量%の樹脂微粒子分散液(B−6)を調製した。この樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は110nmであった。
〔トナーの作製例7〕
トナーの作製例1の着色剤微粒子分散液(C−1)の調製において、「C.I.ソルベントレッド49」7.5質量部の添加量を25質量部に変更し、「C.I.ピグメントレッド9」18質量部を添加しないことの他は同様にして、着色剤微粒子分散液(C−2)を調製し、着色剤微粒子分散液(C−1)の代わりに着色剤微粒子分散液(C−2)を用いたことの他は同様にしてトナー(7)を作製した。
〔トナーの作製例8〕
トナーの作製例1の着色剤微粒子分散液(C−1)の調製において、「C.I.ソルベントレッド49」を添加せず、「C.I.ピグメントレッド9」18質量部の代わりに「C.I.ピグメントレッド122」25質量部に変更したことの他は同様にして、着色剤微粒子分散液(C−3)を調製し、着色剤微粒子分散液(C−1)の代わりに着色剤微粒子分散液(C−3)を用いたことの他は同様にしてトナー(8)を作製した。
<現像剤の作製例1〜8、比較用現像剤の作製例1〜3>
トナー(1)〜(8)および比較用トナー(1)〜(3)に対し、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径50nmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6質量%である乾式現像剤(1)〜(8)および比較用乾式現像剤(1)〜(3)をそれぞれ作製した。
〔定着液の調製例1〕
軟化剤としてコハク酸ジエトキシエチル33質量部に対し、イオン交換水65質量部、イオン性界面活性剤0.5質量部を超音波ホモジナイザーで5分間撹拌して定着液(1)を調製した。
〔定着液の調製例2〕
定着液の調製例1において、コハク酸ジエトキシエチルを3−ヒドロキシヘキサン酸エチルに変更したことの他は同様にして定着液(2)を調製した。
〔樹脂の軟化度評価〕
以下のようにして、樹脂の軟化度を評価した。
得られた樹脂微粒子分散液(A−1)〜(A−7)および樹脂微粒子分散液(B−1)〜(B−6)を24時間、50℃/50%RHの環境下で乾燥させた後に乳鉢ですり潰し、樹脂(A−1)〜(A−7)および樹脂(B−1)〜(B−6)を得た。樹脂が10質量%になるようにTHF(テトラヒドロキシフラン)と混合し、樹脂溶液を調製した。ドクターブレード法を用いて、THF乾燥後の膜厚が20μmになるようにポリプロピレン製フィルムへ樹脂溶液を塗布し、樹脂薄膜を作製した。
得られた樹脂薄膜に定着液の軟化成分であるコハク酸ジエトキシエチルを供給し、そこにワイヤーを押しあてることで、軟化剤に対する樹脂の軟化度合いを評価した。
なお、軟化剤81は1g/m2 の供給量になるようにエアブラシ82を用いて散布した。また、画像形成装置「bizhub C 253」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)の加熱定着器を取り外して、定着ローラ84aの一方に直径100μmのワイヤー83を巻き付けた(図8参照)。軟化剤81を塗布した樹脂薄膜80を一定時間放置した後、非加熱の状態の定着器84へ通紙して通紙直後のワイヤー跡の有無を光学顕微鏡を用いて20倍で観察した。結果を表2に示す。
−評価基準−
3:軟化剤供給から5秒間以内にワイヤー跡を観察(非常に軟化しやすい樹脂)
2:軟化剤供給から30秒間以内にワイヤー跡を確認(やや軟化しやすい樹脂)
1:軟化剤供給から1分間以内にワイヤー跡が確認できない(軟化しづらい樹脂)
0:軟化剤供給量を2倍にし、1分間以内にワイヤー跡が確認できない(非常に軟化しづらい樹脂)
なお、記載の時間は樹脂薄膜に軟化剤を供給してから定着器に通紙するまでの時間を示す。
〔実施例1〜9、比較例1〜3〕
画像形成装置「bizhub C 253」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)の加熱定着器を取り外して、下記に示す定着器〔1〕を搭載し、乾式現像剤および定着液の種類を下記表2に示す組み合わせに従い、画像支持体「Jペーパー」(コニカミノルタ社製)上に、トナー付着量10g/m2 として線幅が約0.3mmのライン画像を出力し、光学顕微鏡(レーザー顕微鏡「9500VP」キーエンス社製)を用いて観察した。光学顕微鏡像から線幅を測定し、下記式(1)によって滲みの度合い「画像滲み度」を評価した。線幅の測定は異なる3点の線幅の平均値を用いた。定着前画像とは、トナー粒子が紙面に転写され、定着液供給工程に入る前の画像を示す。この画像形成においては、非加熱の状態で定着が行われた。結果を表2に示す。
式(1):画像滲み度=(定着後画像の線幅)/(定着前画像の線幅)
−評価基準−
3:画像滲み度が1.00〜1.10(滲みが殆どなく、良好な画像)
2:画像滲み度が1.11〜1.20(滲みが認められるが、遜色のない画像)
1:画像滲み度が1.21〜1.45(滲みが認められ、劣化が確認できる画像)
0:画像滲み度が1.46以上(滲みが大きく、使用に問題がある画像)
〔定着器〔1〕〕
定着器〔1〕は、図2に示すようなライン型インクジェットノズルよりなる定着液供給手段から構成されるものである。定着液供給手段を構成するライン型インクジェットは、解像度が600dpiであり、液滴サイズが10〜15plである。定着液の設定供給量は、0.3g/A4である。
10 画像形成装置
20 中間転写体
21A,21B,21C 支持ローラ
30Y,30M,30C,30K 画像形成ユニット
31 トナー像担持体
31Y,31M,31C,31K 感光体
32Y,32M,32C,32K 帯電手段
33Y,33M,33C,33K 露光手段
34Y,34M,34C,34K 現像手段
35Y,35M,35C,35K 一次転写手段
36Y,36M,36C,36K クリーニング手段
40 二次転写手段
50,50A,50B,50C,50D 定着液供給手段
51 定着液塗布ローラ
52 加圧ローラ
53 メタリングブレード
54 泡状発生装置
55 定着液塗布ローラ
56 加圧ローラ
57 規制ブレード
60 クリーニング手段
70 圧力付与手段
80 樹脂薄膜
81 軟化剤
82 エアブラシ
83 ワイヤー
84 定着器
84a 定着ローラ
B 泡状膜
F 定着液
M 液膜
T トナー像
P 画像支持体

Claims (11)

  1. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
    前記静電潜像を、トナーを含む乾式現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
    前記トナー像を画像支持体に転写する転写工程と、
    前記画像支持体に転写されたトナー像に、軟化剤を含む定着液を供給する定着液供給工程とを有する画像形成方法において用いられるトナーであって、
    前記軟化剤に不溶または難溶の樹脂よりなる樹脂(A)、前記軟化剤に可溶の樹脂よりなる樹脂(B)および着色剤(C)が含有されるトナー粒子よりなり、
    当該トナー粒子は、前記樹脂(A)中に前記着色剤(C)よりなる微粒子(C)が分散されてなる着色微粒子(D)が、前記樹脂(B)中に含有されてなるものであることを特徴とするトナー。
  2. 定着液を構成する軟化剤が、アルキレンカーボネート、脂肪族カルボン酸アルキル、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルおよびヒドロキシカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種よりなるものであることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記樹脂(A)が、スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体より選ばれる単量体に由来の構造単位を含有する樹脂よりなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトナー。
  4. 前記樹脂(B)が、少なくとも1つの解離性官能基を有する単量体に由来の構造単位を含有する樹脂またはポリエステル樹脂よりなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のトナー。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のトナーを製造する方法であって、
    樹脂(A)よりなる微粒子(A)と、着色剤(C)よりなる微粒子(C)とを水系媒体中で会合することにより、体積基準のメジアン径が0.5〜3.0μmの着色微粒子(D)を形成する工程と、
    前記着色微粒子(D)と樹脂(B)よりなる微粒子(B)と水系媒体中で会合する工程とを有することを特徴とするトナーの製造方法。
  6. 前記樹脂(A)として、スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体より選ばれる単量体に由来の構造単位を含有する樹脂を用いることを特徴とする請求項5に記載のトナーの製造方法。
  7. 前記樹脂(B)として、少なくとも1つの解離性官能基を有する単量体に由来の構造単位を含有する樹脂またはポリエステル樹脂を用いることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のトナーの製造方法。
  8. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
    前記静電潜像を、トナーを含む乾式現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
    前記トナー像を画像支持体に転写する転写工程と、
    前記画像支持体に転写されたトナー像に、軟化剤を含む定着液を供給する定着液供給工程とを有する画像形成方法において、
    前記トナーは、前記軟化剤に不溶または難溶の樹脂よりなる樹脂(A)、前記軟化剤に可溶の樹脂よりなる樹脂(B)および着色剤(C)が含有されるトナー粒子よりなり、
    当該トナー粒子は、前記樹脂(A)中に前記着色剤(C)よりなる微粒子(C)が分散されてなる着色微粒子(D)が、前記樹脂(B)中に含有されてなるものであることを特徴とする画像形成方法。
  9. 定着液を構成する軟化剤が、アルキレンカーボネート、脂肪族カルボン酸アルキル、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルおよびヒドロキシカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種よりなるものであることを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
  10. 前記樹脂(A)が、スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体より選ばれる単量体に由来の構造単位を含有する樹脂よりなることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の画像形成方法。
  11. 前記樹脂(B)が、少なくとも1つの解離性官能基を有する単量体に由来の構造単位を含有する樹脂またはポリエステル樹脂よりなることを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれかに記載の画像形成方法。
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