JP2013245368A - 焼結原料へのバインダーの添加方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鉄鉱石として、500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度の粉鉱石である微粉原料を用いる焼結原料に、生石灰及び消石灰のいずれか1又は2からなるバインダーを、生石灰換算で焼結原料の全量の外掛けで0.5質量%以上6質量%以下の量加え、撹拌機で撹拌して造粒機で造粒するに際し、少なくとも撹拌機内及び撹拌機の上流側に配置された原料搬送コンベア上で、バインダーを焼結原料に添加する。また、撹拌機を介さずに造粒機で造粒するに際しては、造粒機内及び造粒機の上流側に配置された原料搬送コンベア上で、バインダーを焼結原料に添加する。
【選択図】図2
Description
例えば、特許文献1には、生石灰粉に予め水を加えてなる生石灰スラリーを、ミキサーの上流側に配置された搬送ベルトに流し込み、この生石灰スラリー上に含鉄粉を切り出し積層して搬送し、これらを混合装置と造粒装置に順次供給して、擬似粒子を製造することで、細粒からの核の形成を促進して、造粒性を向上させ得ることが開示されている。
また、特許文献2には、ミキサーにおいて3分間以上、混合、造粒した焼結原料に、生石灰や消石灰などのバインダーを添加し、更に混合、造粒することで、造粒性を向上できることが開示されている。
特許文献1の方法では、生石灰スラリーをミキサーの上流側に配置された搬送ベルトに流し込むため、水和反応によって生成した消石灰(Ca(OH)2)が多量に含まれる粘着性の高いスラリー上に、含鉄粉を切り出して積層することになる。このため、生石灰スラリー中の消石灰が凝集し(ダマとなり)、これを含鉄粉に均一に分散させることができず、造粒過程で、擬似粒子中に消石灰の濃淡が発生する。その結果、造粒性が低下して未造粒の微粉が増加するため、生石灰の使用量を増加させる必要があり、コストの上昇を招く。
また、特許文献2の方法では、生石灰や消石灰の全量をミキサー内に投入するため、生石灰が消化する時間や、消石灰が水に溶解し分散する時間を、十分に確保できず、生石灰や消石灰の効果を十分に発揮できずに、未造粒の微粉が残存することになる。
特に、近年、劣質な鉄鉱石を粉砕処理し浮遊選鉱処理して得られる難造粒性の粉鉱石(即ち、微粉原料)が増加してきており、この微粉原料を、上記した従来の方法で造粒処理しようとすると、造粒性が著しく低下してしまう。
従って、従来のように、撹拌機内又は造粒機内のみ、又は原料搬送コンベア上のみに(即ち、一箇所に)、バインダーの全量を添加する場合と同じバインダー量で、焼結生産性を改善できるため、生石灰や消石灰のバインダーの使用量を増加させることなく、造粒性を効率的に改善して、難造粒性を有する微粉原料を使用できる。
まず、本発明に想到した経緯について説明する。
はじめに、粉鉱石(鉄鉱石)のうち、難造粒性を示す微粉原料の造粒性について説明する。
本発明が造粒の対象とする焼結原料は、篩目10μmアンダーの粒子(微粒子)が5質量%以下と極めて少なく、500μmアンダーの粒子が50質量%以上と非常に多い、難造粒性を示す微粉原料(鉄鉱石)である。この微粉原料が、通常の鉄鉱石と異なる点は、10μmアンダーの粒子が極めて少ない点であり、例えば、鉄鉱石の粉砕処理と水による比重選鉱処理を繰り返すことで、この特徴が得られることがわかった。なお、500μmアンダーの粒子の質量%の測定に際しては、微粉原料(2kg)を、150℃で1時間乾燥した後、0.5mmの篩目(JIS Z8801−1「試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい」に拠る)で分級し、篩下の質量%を求めた。また、10μmアンダーの微粒子の質量%の測定に際しては、上記乾燥後の微粉原料を対象に、レーザー回折散乱法の測定機器(日機装株式会社製 MICROTRAC(登録商標) MT3300型、測定範囲:0.02〜1400μm)を用いた。
しかし、上記したように、微粉原料中には、この空間を充填する10μmアンダーの微粒子が極めて少ないため、微粉原料は空間を内包したまま造粒され、造粒物の強度が極めて低くなる。このため、例えセルロース等の粘着質のバインダーを用いて微粉原料を造粒し、隣接する微粉原料の粒子同士を粘着できたとしても、造粒物内部には空間が残留するため、造粒物の強度を向上しにくい。
更に一般に、粉鉱石は水を用いて造粒するが、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を、微粉原料に30質量%以上60質量%以下含む場合、高結晶水鉱石の気孔に水が吸収され、造粒物強度が経時劣化(低下)する問題もある。
上記状況において、上記した微粉原料の造粒に用いるバインダーには、10μmアンダーの微粒子を供給でき、上記した空間を充填できるものが好ましいことに想到した。
これは、上記したように、微粉原料の粒径が10μmオーバーかつ500μmアンダー程度の大きさに概ね揃っており、一般には広範囲な粒度分布を持つことで撹拌(混練)による原料の混合が進むため、粒子が微粒化せず溶解もしないベントナイトや炭酸カルシウム等を添加しても分散が進まないものと考えられ、この観点からも、別の手段で10μmアンダーの微粒子を添加することが好ましいと考えられた。
以上のことから、本発明者らは、鉄鉱石として、500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度である微粉原料を用いた焼結原料を造粒するに際し、撹拌(混練)や造粒を容易化するバインダーとして、生石灰と消石灰に想到した。なお、焼結パレットに入れる焼結原料は撹拌を行わない場合もある。
生石灰は、混練や造粒中に水と接触することで一部が吸湿し消化(消石灰化)して微粒化し、水と共に微粉原料に均一に混ざり易くなるものであると考えられる。なお、生石灰としては、CaOが例えば84質量%以上のものが多用されている。
ここで、生成した消石灰の一部については、水に溶解することでも、微粉原料に均一に混ざり易くなる。
なお、微粉原料に、生石灰の代わりに、又は生石灰と共に、消石灰を添加する場合も同様であり、一部の消石灰が水に溶解して、微粉原料中に均一に混ざり易くなる。
従って、極力多くの生石灰を消化させること、生成する消石灰の粒径を小さくすること、極力多くの消石灰を造粒水に溶解すること、等で、造粒に寄与する消石灰を多量に生成させて、生成する消石灰を微粉原料全体に分散させ(マクロに分散させ)、各微粉原料の粒子表面に極力付着させる(ミクロに分散させる)こと、が重要となる。
従って、上記した生石灰や消石灰に、炭酸カルシウムは含まれない。
ここで、添加するバインダーの種類が造粒物の造粒性に及ぼす影響について、図1を参照しながら説明する。
詳細条件は、水分:9〜12質量%の範囲で一定、撹拌:周速2.2m/秒、処理時間90秒、造粒:周速1.0m/秒、処理時間60秒、である。なお、周速は、万能ミキサー(撹拌機)とドラムミキサー(造粒機)において、回転するもの(羽根、ドラム等)で、一番速い部分の速度のことを意味する。
まず、上記した造粒処理した微粉原料(2kg)を、150℃で1時間乾燥した後、0.5mmの篩目(JIS Z8801−1「試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい」に拠る)で分級し、0.5mmアンダーの割合を粉率と定義した。なお、粉率は、バインダーを添加していない微粉原料のみの粉率を「1.0」として、それぞれ算出した。
図1から、微粉原料に対して炭酸カルシウムを添加した場合、造粒性の改善が小さい(粉率:0.70)のに対し、微粉原料に対して生石灰又は消石灰を添加した場合は、造粒性が著しく改善(生石灰:0.41、消石灰:0.43)することを、本発明者らは初めて発見した。
これは、生石灰が水と接触することにより微粒化し、更に生成した消石灰(添加した消石灰)の一部が水に溶解することで、微粉原料に均一に混ざり易くなり、固体架橋によって微粉原料の造粒性向上や造粒物の強度向上に大きく寄与したためと考えられる。
一方、上記試験に用いた微粉原料として、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を30〜60質量%配合したものを用いた場合、粉率が全体的に悪化(増加)し、特に、バインダーとして炭酸カルシウムを用いた場合は、概ね2〜3割程度のばらつきを示すのに対し、バインダーとして生石灰や消石灰を用いた場合は、炭酸カルシウムの粉率値のばらつきよりも小さな1割程度であった。これは、造粒時や造粒後に気孔に水が吸収され得る高結晶水鉱石を用いたとしても、バインダーとして炭酸カルシウムを用いると上記した固体架橋が安定せず、一方、生石灰や消石灰を用いると上記した固体架橋が安定するものと推定され、吸湿による消化や水への溶解が起きると、気孔への吸水が起こっても固体架橋が比較的安定しているものと推定された。
即ち、鉄鉱石として、500μmアンダーが50質量%以上(更には60質量%以上)かつ10μmアンダーが5質量%以下(更には4質量%以下)の粒度の粉鉱石である微粉原料を用いた焼結原料(難造粒性微粉原料)に、生石灰及び消石灰のいずれか1又は2からなるバインダーを、生石灰換算で焼結原料の全量の外掛けで0.5質量%以上6質量%以下の量加え、撹拌機で撹拌して造粒機で造粒するに際し、少なくとも撹拌機内及び撹拌機の上流側に配置された原料搬送コンベア(以下、単にコンベアともいう)上で、バインダーを焼結原料に添加する。
ここで、難造粒性微粉原料の粒度について、500μmアンダーの上限値を規定していないのは100質量%でもよく、また10μmアンダーの下限値を規定していないのは0質量%でもよいためである。
また、撹拌機には、前記した万能ミキサーの他に、従来公知のアイリッヒミキサー、レディゲミキサー、パドルミキサー等があり、混練機と呼ばれる場合もある。
以下、詳しく説明する。
生石灰の添加位置として、撹拌機の上流側に配置されたコンベア上には、他の原料と共に生石灰を載せる方法を採用し、撹拌機内には、生石灰のみを直接装入する方法を採用し、焼結原料として、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を30〜60質量%配合した難造粒性微粉原料を用いた。なお、上記以外の試験条件は、図1に示した試験の詳細条件と略同一とした。
この結果を、図2に示す。なお、図2は、撹拌機の撹拌羽根の周速を1m/秒にした場合において、焼結原料に添加する生石灰を、コンベア上と撹拌機内の双方に分割添加した際に、この分割添加の割合が焼結生産性の向上率に及ぼす影響を示している。
また、図2の横軸は、焼結原料に添加する総生石灰量(生石灰の総量)のうち、撹拌機内へ直接添加した生石灰量の割合を示しており、撹拌機内の添加割合「0」は、添加する生石灰の全量をコンベア上に添加した場合を、また添加割合「1」は、添加する生石灰の全量を撹拌機内に添加した場合を、それぞれ意味している。
図2に示すように、焼結原料への生石灰の総添加量の増加に伴い、焼結生産性の向上率が、全体的に上昇する傾向にある(×印から○印へ)。このとき、添加する生石灰の全量を、撹拌機前のコンベア上のみへ、又は撹拌機内のみへ投入する場合に対し、同量の生石灰を、撹拌機前のコンベア上と撹拌機内の双方に分割して、コンベア上の焼結原料と撹拌機内の焼結原料へ添加することで、焼結生産性が向上する(改善する)傾向が確認された。
生石灰を撹拌機前のコンベア上に添加する場合、焼結原料と接触した生石灰が、焼結原料の水分を吸収して消化し、溶解するため、生石灰を焼結原料中に分散させる時間(例えば、0.5〜5分程度)が確保されるものの、生石灰はコンベア上の焼結原料上に単に載置されるのみであり、機械的な撹拌操作は行われないため、焼結原料と接触できる生石灰量に限界があり、添加量が一定量以上になると、消化や分散が進行しにくくなるためと考えられる。ここで、吸水した生石灰や消石灰が一旦凝集すると(ダマ状になると)、その後の撹拌機において機械的分散作用を与えたとしても、十分な分散確保が困難になるためと推定される。
以上のことから、これらの複合効果として、焼結原料への生石灰の総添加量が少ない場合には、撹拌機前のコンベア上への生石灰の添加割合が多いときに、焼結生産性の改善効果が大きくなるが、生石灰の総添加量が増加すると共に、撹拌機内への生石灰の添加割合を次第(徐々)に増加させた方が、焼結生産性の改善効果が大きい傾向となることを見出した。上記の生石灰や消石灰の事前添加と直接添加の併用効果(分割投入効果)が、一般に水との濡れ性が悪く吸水による造粒の不安定さが指摘されている高結晶水鉱石(結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を30〜60質量%配合した難造粒性微粉原料)で見られたことから、高結晶水鉱石の配合量が低い(結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を0又は0を超え10質量%以下配合した)難造粒性微粉原料でも、同様の効果が得られるものと考えられる。
また、この作用は、図2の試験結果からも明らかなように、生石灰の総添加量が、焼結原料の全量の外掛けで(焼結原料100質量%に対して)0.5質量%から6質量%までの範囲において確認されたことから、生石灰の分割添加を、生石灰の総添加量が焼結原料の全量の外掛けで0.5質量%以上6質量%以下の範囲において行うことを規定した。
この易造粒性原料を含む焼結原料に生石灰を添加した場合、この焼結原料はもともと造粒性が良好であるため、生石灰の添加による焼結生産性の改善効果があまり現れない。このため、このような焼結原料に生石灰を分割添加したとしても、焼結生産性の向上率は、0.5〜1%の間で変動する程度で、添加割合の変動による影響があまり認められない。
従って、従来は、設備コストをかけてまで、コンベア上と撹拌機内の双方に、生石灰の添加装置を設置しなかった。しかし、本発明が造粒対象とする難造粒性微粉原料を含む(からなる)焼結原料では、コンベア上と撹拌機の双方に、生石灰の添加装置を設置することで、焼結生産性が向上し、設備コストに見合った効果が得られる。
図3に示すように、焼結原料へ添加する生石灰の総添加量が、図2の場合と同じであっても、撹拌羽根の周速を高速化(2m/秒)することで、焼結生産性の改善効果がより大きくなることが確認された。また、生石灰を、撹拌機前のコンベア上と撹拌機内の双方に分割して、コンベア上の焼結原料と撹拌機内の焼結原料へ添加することで、焼結生産性の改善効果がより大きくなることも、同様に確認された。
以上のことから、撹拌機は、撹拌羽根の周速を2m/秒以上にできるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、前記した万能ミキサー等を使用できる。なお、撹拌羽根の周速の上限値は、上記した記載から特に限定していないが、世の中で一般的に使用されている撹拌機を考慮すれば、例えば、35m/秒程度である。また、撹拌羽根の直径は、0.1〜1.5m程度である。
また、上記した結果は、撹拌機で撹拌し造粒機で造粒するため、原料の切出し側(上流側)から焼結機側(下流側)へかけて、コンベア、撹拌機、及び造粒機が順次配置された設備を前提とし、生石灰の分割添加を、コンベア上と撹拌機内の双方に行った場合について示したが、更に造粒機内(合計3箇所)に分割添加してもよい。なお、撹拌機を介さずに造粒機で造粒する、コンベアと造粒機が順次配置された設備を前提とし、生石灰の分割添加を、コンベア上と造粒機内の双方に行った場合でも、同様の傾向が得られた。
以上のことから、本発明の焼結原料へのバインダーの添加方法を用いることで、生石灰や消石灰のバインダーの使用量を増加させることなく、造粒性を効率的に改善して、難造粒性を有する微粉原料(焼結原料)を使用できることを確認できた。
Claims (3)
- 鉄鉱石として、500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度の粉鉱石である微粉原料を用いる焼結原料に、生石灰及び消石灰のいずれか1又は2からなるバインダーを、生石灰換算で前記焼結原料の全量の外掛けで0.5質量%以上6質量%以下の量加え、撹拌機で撹拌して造粒機で造粒するに際し、少なくとも前記撹拌機内及び該撹拌機の上流側に配置された原料搬送コンベア上で、前記バインダーを前記焼結原料に添加することを特徴とする焼結原料へのバインダーの添加方法。
- 鉄鉱石として、500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度の粉鉱石である微粉原料を用いる焼結原料に、生石灰及び消石灰のいずれか1又は2からなるバインダーを、生石灰換算で前記焼結原料の全量の外掛けで0.5質量%以上6質量%以下の量加え、撹拌機を介さずに造粒機で造粒するに際し、前記造粒機内及び該造粒機の上流側に配置された原料搬送コンベア上で、前記バインダーを前記焼結原料に添加することを特徴とする焼結原料へのバインダーの添加方法。
- 請求項1記載の焼結原料へのバインダーの添加方法において、前記撹拌機の撹拌羽根の周速を2m/秒以上にすることを特徴とする焼結原料へのバインダーの添加方法。
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