JP2013244882A - シートベルト用リトラクタ - Google Patents

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    • B60R2022/286Safety belts or body harnesses in vehicles incorporating energy-absorbing devices using deformation of material

Abstract

【課題】衝撃エネルギーを吸収する構造の簡易化及び部品形状の簡素化を図ることができるシートベルト用リトラクタを提供する。
【解決手段】巻取ドラムとロック部材との間に設けられて衝撃エネルギーを吸収する衝撃エネルギー吸収機構部を備え、前記衝撃エネルギー吸収機構部は、巻取ドラムの一端部側面に当接又は近接して同軸上に配置される変形プレート部材と、前記変形プレート部材のウエビング引出方向への回転を阻止する阻止機構部と、を含み、前記変形プレート部材は、巻取ドラムに対して相対回転不能に結合されるリング状の内輪部と、前記内輪部の外周面に対して半径方向外側に所定隙間を形成して配置されるリング状の外輪部と、一端部が前記内輪部に接続されると共に、他端部が前記外輪部に接続されて、内輪部の外周面と外輪部の内周面との間で周方向に沿って折り返されて配置される連結部と、を有している。
【選択図】図16

Description

本発明は、緊急時にウエビングの引き出しを防止するシートベルト用リトラクタに関するものである。
従来より、緊急時にウエビングの引き出しを防止するシートベルト用リトラクタに関して種々提案されている。
例えば、巻取ドラムの一端部に相対回転不能に結合されたトーションバーと、巻取ドラムのフランジ部側面に対向して配置されると共にトーションバーの他端部に相対回転不能に結合されたプレート体と、巻取ドラムのフランジ部とプレート体との相互間に介在され、屈曲路に沿って引出操作されるワイヤとを備える。また、フランジ部に、ワイヤの一端部が取り付けられるワイヤ固定部が備えられると共にワイヤが巻き取られる巻取部が備えられ、プレート体に、フランジ部における径方向外方を囲繞する周壁部が備えられ、該周壁部に屈曲路が備えられたシートベルト用リトラクタがある(例えば、特許文献1参照。)。
特開2007−161001号公報
しかしながら、前記した特許文献1に記載されたシートベルト用リトラクタでは、巻取ドラムのフランジ部に、屈曲溝構造のワイヤ固定部とワイヤが巻き取られる巻取部を形成し、プレート体の外周部に半径方向外側へ突出する略V字状の屈曲路を形成する必要がある。このため、衝撃エネルギーを吸収する構造が複雑になり、巻取ドラムのフランジ部及びプレート体の部品形状が複雑になるという問題がある。更に、ワイヤの引き出しによる摺動抵抗に基づくエネルギー吸収荷重のバリエーションを図るためには、各種変形の屈曲路を有するプレート体と、各屈曲路に対応した形状のワイヤとをそれぞれ各種製作する必要性も考えられ、部品の種類が増加するという問題が考えられる。
また、ワイヤの一端部に形成された屈曲状の固定位置屈曲部を巻取ドラムのフランジ部に形成された屈曲溝構造のワイヤ固定部に押し込む必要があると共に、プレート体を巻取ドラムに取り付ける場合には、ワイヤの固定位置屈曲部に連続して形成された摺動位置屈曲部をプレート体の屈曲路に嵌め込む必要があり、部品形状が複雑になることに起因して組立作業が煩雑になるという問題も考えられる。
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、衝撃エネルギーを吸収する構造の簡易化及び部品形状の簡素化を図ることができるシートベルト用リトラクタを提供することを目的とする。
前記目的を達成するため請求項1に係るシートベルト用リトラクタは、ウエビングが巻装される巻取ドラムと、前記巻取ドラムの一端部に近接配置されて、該巻取ドラムに対して相対回転不能に結合されると共に、緊急時に緊急ロック機構によりウエビング引出方向への回転が阻止されて、更に、前記ウエビングの引出力が所定値を超えた場合には、該巻取ドラムに対して相対回転可能となるように結合されたロック部材と、前記巻取ドラムと前記ロック部材との間に設けられて、前記巻取ドラムと前記ロック部材の相対回転により衝撃エネルギーを吸収する衝撃エネルギー吸収機構部と、を備え、前記衝撃エネルギー吸収機構部は、前記巻取ドラムの一端部側面に当接又は近接して同軸上に配置されると共に、該巻取ドラムに対して相対回転不能に結合される変形プレート部材と、前記変形プレート部材のウエビング引出方向への回転を阻止する阻止機構部と、を含み、前記変形プレート部材は、前記巻取ドラムの一端部側面に対向して同軸上に配置されると共に、該巻取ドラムに対して相対回転不能に結合されるリング状の内輪部と、前記内輪部の外周面に対して半径方向外側に所定隙間を形成して同軸上に配置されるリング状の外輪部と、一端部が前記内輪部の外周面に接続されると共に、他端部が前記外輪部の内周面に接続されて、該内輪部の外周面と該外輪部の内周面との間で周方向に沿って折り返されて配置される連結部と、を有し、前記阻止機構部は、前記外輪部のウエビング引出方向への回転を阻止し、前記衝撃エネルギー吸収機構部は、緊急時に前記緊急ロック機構が作動して、更に、前記ロック部材が前記巻取ドラムに対して相対回転すると共に、前記阻止機構部によって前記外輪部のウエビング引出方向への回転が阻止された場合には、少なくとも前記変形プレート部材における該外輪部と前記内輪部との相対回転によって、前記連結部の折り返された折り返し部に連続する部分が、順次折り曲げ変形されて衝撃エネルギーを吸収することを特徴とする。
また、請求項2に係るシートベルト用リトラクタは、請求項1に記載のシートベルト用リトラクタにおいて、前記ロック部材は、前記巻取ドラムの一端部に前記変形プレート部材を挟んで近接配置され、前記阻止機構部は、前記ロック部材を介して前記外輪部のウエビング引出方向への回転を阻止することを特徴とする。
また、請求項3に係るシートベルト用リトラクタは、請求項2に記載のシートベルト用リトラクタにおいて、前記阻止機構部は、前記外輪部の外周部から回転軸に対して半径方向外側へ突設される突出部と、前記ロック部材の外周部から前記変形プレート部材側へ突設されて前記突出部の周方向ウエビング引き出し側の端面に当接される当接部と、を有することを特徴とする。
また、請求項4に係るシートベルト用リトラクタは、請求項1に記載のシートベルト用リトラクタにおいて、前記変形プレート部材は、前記外輪部の外周部の全周に渡って形成されたラチェットギヤ歯を有し、前記阻止機構部は、前記ラチェットギヤ歯と係合するロックパウルと、任意のタイミングで前記ロックパウルを前記ラチェットギヤ歯に係合させる作動機構部と、を有し、前記ラチェットギヤ歯と前記ロックパウルとの係合は、前記外輪部がウエビング引出方向へ回転する一方向のみへの係合であることを特徴とする。
また、請求項5に係るシートベルト用リトラクタは、請求項4に記載のシートベルト用リトラクタにおいて、前記作動機構部は、シリンダ内にガスを発生させるガス発生部材と、前記ガスの圧力で押圧駆動されて前記シリンダ内を移動する移動部材と、前記移動部材の移動に連動して前記ロックパウルを前記ラチェットギヤ歯に係合させる連動部材と、を有することを特徴とする。
また、請求項6に係るシートベルト用リトラクタは、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のシートベルト用リトラクタにおいて、前記連結部は、前記外輪部と前記内輪部との相対回転によって、該連結部の折り返された折り返し部に連続する部分の折り曲げ変形が終了した後、該外輪部と該内輪部との相対回転によって引張り破断されることを特徴とする。
また、請求項7に係るシートベルト用リトラクタは、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のシートベルト用リトラクタにおいて、前記連結部は、前記内輪部の外周面と前記外輪部の内周面との間で周方向ウエビング巻き取り側に沿って折り返され、該連結部は、前記変形プレート部材における前記外輪部と前記内輪部との相対回転によって、折り返された折り返し部に連続する部分が、周方向ウエビング引き出し側へ引き出されて順次折り曲げ変形されることを特徴とする。
また、請求項8に係るシートベルト用リトラクタは、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のシートベルト用リトラクタにおいて、前記連結部は、前記内輪部の外周面と前記外輪部の内周面との間で周方向ウエビング引き出し側に沿って折り返され、該連結部は、前記変形プレート部材における前記外輪部と前記内輪部との相対回転によって、折り返された折り返し部に連続する部分が、周方向ウエビング引き出し側へ押し出されて順次折り曲げ変形されることを特徴とする。
また、請求項9に係るシートベルト用リトラクタは、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のシートベルト用リトラクタにおいて、前記衝撃エネルギー吸収機構部は、前記巻取ドラムに嵌挿されて軸方向一端側が該巻取ドラムの他端部に相対回転不能に結合され、軸方向他端側が前記ロック部材に相対回転不能に結合されるトーションバーを含み、該衝撃エネルギー吸収機構部は、緊急時に前記緊急ロック機構が作動して、更に、前記ロック部材が前記巻取ドラムに対して相対回転した場合には、少なくとも前記トーションバーが捩れ変形することによって衝撃エネルギーを吸収することを特徴とする。
また、請求項10に係るシートベルト用リトラクタは、請求項9に記載のシートベルト用リトラクタにおいて、前記衝撃エネルギー吸収機構部は、前記連結部の折り返された折り返し部に連続する部分の折り曲げ変形が終了した後、該連結部が前記外輪部と前記内輪部との相対回転によって引張り破断された場合には、その後、少なくとも前記トーションバーが捩れ変形することによって衝撃エネルギーを吸収することを特徴とする。
更に、請求項11に係るシートベルト用リトラクタは、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のシートベルト用リトラクタにおいて、前記ロック部材は、外周部の全周に渡ってラチェットギヤ歯が形成されたラチェットギヤ部材を有し、前記緊急ロック機構は、前記ラチェットギヤ部材のラチェットギヤ歯と係合するパウルを有し、前記ラチェットギヤ部材と前記パウルとの係合は、該ラチェットギヤ部材がウエビング引出方向へ回転する一方向のみへの係合であることを特徴とする。
請求項1に係るシートベルト用リトラクタでは、変形プレート部材の内輪部を巻取ドラムの一端部側面に相対回転不能に結合すればよいため、部品形状の簡素化を図ることができる。また、変形プレート部材は、リング状の内輪部及び外輪部と、内輪部の外周面と外輪部の内周面との間に、両端部が各々に接続されて周方向に沿って折り返されて配置される連結部とによって構成されるため、部品形状の簡素化を図ることができる。
また、変形プレート部材は、内輪部の外周面と外輪部の内周面との間に配置された連結部が、外輪部と内輪部との相対回転によって、この連結部の折り返された折り返し部に連続する部分が、順次折り曲げ変形されて衝撃エネルギーを吸収する。これにより、連結部の折り返された折り返し部に連続する部分の折り曲げ変形に基づくエネルギー吸収荷重のバリエーションを図るためには、連結部の数や連結部の折り返された折り返し部に連続する部分の周方向の長さや厚さ等を各種製作すればよく、各種バリエーションに容易に対応できると共に、変形プレート部材以外の部品の共通化を図ることができる。
また、変形プレート部材は、リング状の内輪部及び外輪部と、内輪部の外周面と外輪部の内周面との間に周方向に沿って折り返されて配置される連結部とによって構成されるため、変形プレート部材を略円板状に形成することができる。これにより、作業者は、略円板状に形成された変形プレート部材を巻取ドラムの他端部側面に当接又は近接させて容易に取り付けることができ、組立作業の簡易化を図ることができる。また、巻取ドラムの回転軸方向における変形プレート部材を取り付けるためのスペースを小さくすることができ、衝撃エネルギー吸収機構部を設けることによる、シートベルト用リトラクタの巻取ドラムの回転軸方向の寸法への影響を小さくして小型化を図ることができる。
また、車両衝突時等の緊急時に、緊急ロック機構が作動して、更に、ロック部材が巻取ドラムに対して相対回転すると共に、阻止機構部によって外輪部のウエビング引出方向への回転が阻止された場合には、少なくとも変形プレート部材における外輪部と内輪部との相対回転によって、連結部の折り返された折り返し部に連続する部分が、順次折り曲げ変形されて衝撃エネルギーを吸収することができ、衝撃エネルギー吸収機構部の構造の簡易化を図ることができる。これにより、巻取ドラムとロック部材の相対回転により衝撃エネルギーを吸収する他の衝撃エネルギー吸収機構と容易に組み合わせることができる。
また、請求項2に係るシートベルト用リトラクタでは、ロック部材は、変形プレート部材を挟んで巻取ドラムの一端部に近接配置されため、ロック部材の変形プレート部材に対向する面を平面状にすることが可能となり、ロック部材の部品形状の簡素化を図ることができる。また、ロック部材を介して変形プレート部材の外輪部のウエビング引出方向への回転を阻止できるため、別部品を設ける必要が無く、衝撃エネルギー吸収機構部の構造を簡易化して部品点数の削減化を図ることができる。また、これにより、衝撃エネルギー吸収機構部を設けることによる、シートベルト用リトラクタの巻取ドラムの回転軸方向の寸法への影響を更に小さくすることができる。
また、請求項3に係るシートベルト用リトラクタでは、ロック部材の外周部から変形プレート部材側へ突設された当接部が、変形プレート部材の外輪部の外周部から回転軸に対して半径方向外側へ突設される突出部の周方向ウエビング引き出し側の端面に当接される。これにより、ロック部材のウエビング引出方向への回転を阻止することによって、変形プレート部材の外輪部のウエビング引出方向への回転が阻止されるため、簡易な構造で阻止機構部を構成することができ、ロック部材の部品の共通化を図ることができる。
また、請求項4に係るシートベルト用リトラクタでは、任意のタイミングで作動機構部を作動させることによって、変形プレート部材の外輪部の外周部の全周に渡って形成されたラチェットギヤ歯にロックパウルを係合させて、当該外輪部のウエビング引出方向への回転を阻止することができる。これにより、衝撃エネルギーを吸収する変形プレート部材の外輪部のウエビング引出方向への回転を阻止する構造を簡易化することができると共に、部品形状の簡素化を図ることができる。
また、緊急時に任意のタイミングで作動機構部を作動させることによって、任意のタイミングで変形プレート部材による衝撃エネルギーの吸収を行うことができる。また、緊急時に作動機構部を作動させないことによって、変形プレート部材による衝撃エネルギーの吸収を行わないようにすることもできる。従って、簡易な構造で、乗員の体格や衝突の大きさ等に基づいて、緊急時に作動機構部の作動の有・無、及び、作動のタイミングを選択することによって、衝撃エネルギー吸収機構部による様々な衝撃エネルギーの吸収特性を適宜選択することができる。
また、請求項5に係るシートベルト用リトラクタでは、ガスの圧力で押圧駆動された移動部材の移動によってロックパウルを一気にラチェットギヤ歯に係合させるため、簡易な構造でロックパウルをラチェットギヤ歯に迅速に係合させて、外輪部のウエビング引出方向への回転を阻止することができる。
また、請求項6に係るシートベルト用リトラクタでは、変形プレート部材の連結部は、外輪部と内輪部との相対回転によって、当該連結部の折り返された折り返し部に連続する部分の折り曲げ変形が終了した後、外輪部と内輪部との相対回転によって引張り破断される。これにより、変形プレート部材によって吸収される衝撃エネルギーの吸収特性を容易に調整することができる。
また、請求項7に係るシートベルト用リトラクタでは、連結部は、内輪部の外周面と外輪部の内周面との間で、両端部が各々に接続されて周方向ウエビング巻き取り側に沿って折り返されて配置されるため、変形プレート部材をプレス加工等によって容易に作成することができる。また、連結部は、外輪部と内輪部との相対回転によって、当該連結部の折り返された折り返し部よりも外輪部側に連続する部分が、周方向ウエビング引き出し側へ引き出されて順次折り曲げ変形されるため、衝撃エネルギーをスムーズに吸収することができる。これにより、変形プレート部材の衝撃エネルギーの吸収特性を容易に設定することができると共に、当該変形プレート部材の衝撃エネルギーを吸収する構造の簡易化を図ることができる。
また、請求項8に係るシートベルト用リトラクタでは、連結部は、内輪部の外周面と外輪部の内周面との間で、両端部が各々に接続されて周方向ウエビング引き出し側に沿って折り返されて配置されるため、変形プレート部材をプレス加工等によって容易に作成することができる。また、連結部は、外輪部と内輪部との相対回転によって、当該連結部の折り返された折り返し部よりも内輪部側に連続する部分が、周方向ウエビング引き出し側へ押し出されて順次折り曲げ変形されるため、衝撃エネルギーをスムーズに吸収することができる。これにより、変形プレート部材の衝撃エネルギーの吸収特性を容易に設定することができると共に、当該変形プレート部材の衝撃エネルギーを吸収する構造の簡易化を図ることができる。
また、請求項9に係るシートベルト用リトラクタでは、衝撃エネルギー吸収機構部を、巻取ドラムとロック部材の相対回転を利用した、変形プレート部材による衝撃エネルギー吸収機構とトーションバーによる衝撃エネルギー吸収機構とを組み合わせた簡易な構造で構成することができる。これにより、車両衝突時等の緊急時に、少なくともトーションバーの捩れ変形(第1のエネルギー吸収)と変形プレート部材の連結部の折り返された折り返し部に連続する部分の折り曲げ変形(第2のエネルギー吸収)との両方で衝撃エネルギーの吸収をすることができ、簡易な構造で様々な衝撃エネルギー吸収特性を実現することができる。また、阻止機構部が任意のタイミングで変形プレート部材の外輪部の回転を阻止する作動機構部を有する場合に、緊急時に作動機構部を作動させないことによって、少なくともトーションバーの捩れ変形(第1のエネルギー吸収)で衝撃エネルギーの吸収をすることができる。
また、請求項10に係るシートベルト用リトラクタでは、変形プレート部材の連結部は、外輪部と内輪部との相対回転によって、当該連結部の折り返された折り返し部に連続する部分の折り曲げ変形が終了した後、外輪部と内輪部との相対回転によって引張り破断されて、その後、少なくともトーションバーが捩れ変形して衝撃エネルギーを吸収する。これにより、変形プレート部材とトーションバーによって吸収される衝撃エネルギーの吸収特性を容易に調整することができる。
更に、請求項11に係るシートベルト用リトラクタでは、ロック部材がラチェットギヤ部材を有し、このラチェットギヤ部材は、変形プレート部材を挟んで巻取ドラムの一端部に近接配置される。このため、ラチェットギヤ部材の変形プレート部材に対向する面を平面状にすることが可能となり、ロック部材の部品形状の簡素化及び緊急ロック機構の構造の簡素化を図ることができる。また、阻止機構部が、ロック部材を介して変形プレート部材の外輪部のウエビング引出方向への回転を阻止するように構成される場合には、当該阻止機構部の構造を簡易化して部品点数の削減化を図ることができる。
第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタの外観斜視図である。 シートベルト用リトラクタをユニット別に分解した斜視図である。 シートベルト用リトラクタをユニット別に分解した斜視図である。 ハウジングユニットの分解斜視図である。 巻取バネユニット及びロックユニットの分解斜視図である。 巻取バネユニット及びロックユニットの分解斜視図である。 ロックユニットのメカニズムカバーを外した状態を示す一部切り欠き断面図である。 シートベルト用リトラクタの巻取バネユニット及びロックユニットを含む要部拡大断面図である。 ロックユニットのウエビングの引出加速度による動作説明図(作動開始時)である。 ロックユニットのウエビングの引出加速度による動作説明図(ロック状態への移行時)である。 ロックユニットのウエビングの引出加速度による動作説明図(ロック状態)である。 ロックユニットの車体加速度による動作説明図(作動開始時)である。 ロックユニットの車体加速度による動作説明図(ロック状態への移行時)である。 ロックユニットの車体加速度による動作説明図(ロック状態)である。 巻取ドラムユニットの軸心を含む断面図である。 巻取ドラムユニットの分解斜視図である。 巻取ドラムユニットの分解斜視図である。 巻取ドラムをラチェットギヤの取り付け側から見た正面図である。 図15のX1−X1矢視断面図である。 プリテンショナユニットの分解斜視図である。 プリテンショナユニットの内部構造を示す断面図である。 車両衝突時のパウルの動作を示す説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 車両衝突時の衝撃エネルギーの吸収の一例を示すエネルギー吸収特性図である。 第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタの巻取ドラムユニットの軸心を含む断面図である。 図30の巻取ドラムユニットの分解斜視図である。 図30の巻取ドラムユニットの分解斜視図である。 図30のX2−X2矢視断面図である。 図30の変形プレート部材をロックする阻止機構部の一例を示す模式図である。 車両衝突時のパウル及び阻止機構部の動作の一例を示す説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 車両衝突時の衝撃エネルギーの吸収の一例を示すエネルギー吸収特性図である。 車両衝突時の衝撃エネルギーの吸収の一例を示すエネルギー吸収特性図である。 第3実施形態に係るシートベルト用リトラクタの変形プレート部材を巻取ドラムユニットに装着した状態を示す断面図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 第4実施形態に係るシートベルト用リトラクタの変形プレート部材を巻取ドラムユニットに装着した状態を示す断面図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。 変形プレート部材の一対の連結部を塑性変形させる動作説明図である。
以下、本発明に係るシートベルト用リトラクタについて具体化した第1実施形態乃至第4実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
[概略構成]
先ず、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1の概略構成について図1乃至図3に基づき説明する。図1は第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1の外観斜視図である。図2及び図3はシートベルト用リトラクタ1をユニット別に分解した斜視図である。
図1乃至図3に示すように、シートベルト用リトラクタ1は、車両のウエビング3を巻き取るための装置であって、ハウジングユニット5と、巻取ドラムユニット6と、プリテンショナユニット7と、巻取バネユニット8と、ロックユニット9とから構成されている。
また、ロックユニット9は、メカニズムカバー71(図5参照)に一体に形成された各ナイラッチ9A及び各係止フック9Bによって、ハウジングユニット5を構成するハウジング11の一方の側壁部12に固設されている。そして、ロックユニット9は、後述のようにウエビング3の急激な引き出しや車両の急激な加速度の変化に反応してウエビング3の引き出しを停止するロック機構10を構成する(図7等参照)。また、巻取バネユニット8は、バネケース67(図5参照)に一体に形成された各係止フック8Aによってロックユニット9の巻取ドラムユニット6の回転軸方向外側に固設されている。
また、プリテンショナユニット7は、平面視略コの字状に形成されたハウジング11の側壁部12に相対向する他方の側壁部13に、プリテンショナユニット7の巻取ドラムユニット6の回転軸方向外側から挿通される各ネジ15によってネジ止めされる。また、プリテンショナユニット7は、プリテンショナユニット7の巻取ドラムユニット6の回転軸方向外側から側壁部13に挿通されるストッパーピン16と、該ストッパーピン16に側壁部13の巻取ドラムユニット6の回転軸方向内側から挿入されるプッシュナット18によって固定される。
そして、ウエビング3が巻装される巻取ドラムユニット6は、ハウジングユニット5の側壁部12に固設されたロックユニット9と、側壁部13に固定されたプリテンショナユニット7との間に回転自在に支持される。また、巻取ドラムユニット6は、ロックユニット9の外側に固設された巻取バネユニット8によって、ウエビング3の巻取方向に常時付勢されている。
[ハウジングユニットの概略構成]
次に、ハウジングユニット5の概略構成について図2乃至図4に基づいて説明する。図4はハウジングユニット5の分解斜視図である。
図2乃至図4に示すように、ハウジングユニット5は、ハウジング11と、ブラケット21と、プロテクタ22と、パウル23と、パウルリベット25と、捩りコイルバネ26と、センサカバー27と、車両加速度センサ28と、連結部材32、33と、リベット61とから構成されている。
また、ハウジング11は、車体に固定される背板部31と、その背板部31の両側縁部から相対向する各側壁部12、13が延出されて、平面視略コの字状にスチール材等で形成されている。また、各側壁部12、13は、巻取ドラムユニット6の回転軸方向に長い横長細板状の各連結部材32、33によって互いに連結されている。また、背板部31の中央部には、開口部が形成され、軽量化及びウエビング3の収容量の規制等が図られている。
また、図3及び図4に示すように、側壁部12には巻取ドラムユニット6のラチェットギヤ35が、所定隙間(例えば、約0.5mmの隙間である。)を形成しつつ挿入される貫通孔36が形成されている。この貫通孔36の内側周縁部は、巻取ドラムユニット6側へ中心軸方向内側に所定深さ窪んで、巻取ドラムユニット6のラチェットギヤ35に対向するように構成されている。
また、この貫通孔36の斜め下側(図4中、斜め左下側である。)のパウル23の各係合歯23A、23Bを含む先端側の部分37に対向する周縁部から、該パウル23の回動方向外側へ(パウル23のラチェットギヤ35から離反する回動方向である。)、この先端側の部分37が収容される深さに切り欠かれた切欠部38が形成されている。この切欠部38の背板部31側の横側には、パウル23を回転可能に取り付けるための貫通孔41が形成されている。また、切欠部38の貫通孔41側のパウル23が当接する部分には、該貫通孔41と同軸に円弧状の案内部38Aが形成されている。
一方、スチール材等で形成されたパウル23の案内部38Aに当接して摺動する部分には、側壁部12の厚さ寸法にほぼ等しい高さで、この案内部38Aと同じ曲率半径の円弧状に窪んだ段差部が形成されている。また、パウル23の回動軸方向外側(図4中、手前側である。)の側面の先端部には、ロックユニット9を構成するクラッチ85のガイド孔116(図6参照)に挿入される案内ピン42が立設されている。
また、パウル23の基端部にはパウルリベット25が挿通される貫通孔が形成されると共に、この貫通孔の周縁部から側壁部12の貫通孔41に回動可能に挿通される円筒状のボス部45が、側壁部12の厚さ寸法にほぼ等しい高さで立設されている。そして、パウル23は、ボス部45が側壁部12の貫通孔41にハウジング11の内側から挿通された状態で、側壁部12の外側からボス部45に嵌入されたパウルリベット25によって、回動可能に固定される。これにより、パウル23の各係合歯23A、23Bとラチェットギヤ35の外周面に形成されたラチェットギヤ部35Aとが、側壁部12の外側面とほぼ同一面になるように配置される。
また、パウルリベット25の頭部は、貫通孔41よりも大きい外径で所定厚さ(例えば、厚さ約1.5mmである。)の円板状に形成されている。そして、リターンスプリングの一例として機能する捩りコイルバネ26は、巻き数が1巻きでパウルリベット25の頭部の周囲を囲むように配置され、一端側がパウル23の案内ピン42に取り付けられている。また、捩りコイルバネ26の線径は、パウルリベット25の頭部の高さのほぼ半分の寸法である(例えば、線径約0.6mmである。)。従って、捩りコイルバネ26の1巻き分のバネ高さは、パウルリベット25の頭部の高さとほぼ同じ高さに設定されている。
また、捩りコイルバネ26の他端側は、側壁部12上を摺接可能に一端側の側壁部12側を通った後、側壁部12の内側方向へ略直角に折り曲げられて、側壁部12に形成された取付孔46に挿通されている。また、この他端側の端部は、略U字形に折り曲げられて側壁部12の内側面に当接され、抜け止め部を構成している。これにより、パウル23は、捩りコイルバネ26によって切欠部38の奥側方向へ(図3中、反時計方向である。)回動するように付勢され、各係合歯23A、23Bを含む先端側の部分37が切欠部38の奥側に当接される。従って、パウル23は、捩りコイルバネ26によってラチェットギヤ35から離反する方向へ回動付勢されている。
また、図2乃至図4に示すように、側壁部12の貫通孔36の下方(図4中、下方向である。)には、貫通孔36の中心軸の下方(図4中、下方向である。)から背板部31側の部分に、略四角形の開口部47が形成されている。また、この開口部47には、開口部47とほぼ同じ断面略四角形の浅い略箱体状のセンサカバー27が外側(図4中、手前側である。)から嵌入される。そして、樹脂製のセンサカバー27は、開口側周縁部に形成された鍔部が開口部47の外側周縁部(図4中、手前側周縁部である。)に当接されると共に、センサカバー27の図4中、上下方向両端面に突設された一対の係止爪27Aが開口部47の図4中、上下方向両端部の奥側に嵌入されて弾性的に係止される。
また、車両加速度センサ28は、鉛直方向上側(図4中、上側である。)に開放される略箱形で底面部にすり鉢状の載置部が形成された樹脂製のセンサーホルダ51と、スチール等の金属で球状体に形成されて載置部上に移動可能に載置された慣性質量体52と、慣性質量体52の鉛直方向上側に載置されてパウル23に対して反対側の端縁部(図4中、右端縁部である。)をセンサーホルダ51によって鉛直方向上下(図4中、上下方向である。)に揺動可能に支持される樹脂製のセンサレバー53とから構成されている。
そして、車両加速度センサ28をセンサカバー27へ嵌入して、センサーホルダ51のセンサカバー27内の両側壁部に対向する両側面部に設けられた一対の係止爪51A(図4中、一方の係止爪51Aを図示している。)をセンサカバー27の各係止孔27Bに嵌入して係止することによって、車両加速度センサ28がセンサカバー27を介してハウジング11に取り付けられる。
また、側壁部12には、上端縁部(図4中、上側端縁部である。)の両隅と、貫通孔36の下方(図4中、下方向である。)との3箇所に、ロックユニット9の各ナイラッチ9Aが嵌入されて取り付けられる各取付孔55が形成されている。また、側壁部12の左右側縁部の中央部(図4中、上下方向中央部である。)には、ロックユニット9の各係止フック9Bが弾性的に係止される各係止片56が、巻取ドラムユニット6の回転軸に直交するように張り出して形成されている。
また、側壁部13には、巻取ドラムユニット6が挿通される貫通孔57が中央部に形成されている。また、側壁部13には、下端縁部(図2中、下側端縁部である。)の略中央及び連結部材33側の角部と、上端縁部(図2中、上側端縁部である。)の背板部31側の角部に、各ネジ15がネジ止めされる各ネジ孔58がプリテンショナユニット7側方向へのバーリングによって形成されている。また、側壁部13には、上端縁部(図2中、上側端縁部である。)の連結部材32側の角部にストッパーピン16が挿通される貫通孔59が形成されている。
また、背板部31の上端縁部(図2中、上側端縁部である。)に各リベット61によって取り付けられるブラケット21は、スチール材等で形成されて、背板部31の上端縁部から略直角に連結部材32側方向に延出された延出部に、ウエビング3が引き出される背板部31の幅方向に長い横長の貫通孔62が形成され、ナイロン等の合成樹脂で形成された横長枠状のプロテクタ22が嵌め込まれている。また、背板部31の下端部(図2中、下端部である。)には、車両の締結片(不図示)に取り付ける際に、ボルトが挿通されるボルト挿通孔63が形成されている。
[巻取バネユニットの概略構成]
次に、巻取バネユニット8の概略構成について図2、図3、図5、図6及び図8に基づいて説明する。
図5及び図6は、巻取バネユニット8及びロックユニット9の分解斜視図である。図8はシートベルト用リトラクタ1の巻取バネユニット8及びロックユニット9を含む要部拡大断面図である。
図2、図3、図5、図6及び図8に示すように、巻取バネユニット8は、渦巻バネ65と、この渦巻バネ65の外側端65Aが内側周縁部の底面から立設されたリブ66に固定されると共にこの渦巻バネ65を収容するバネケース67と、渦巻バネ65の内側端65Bが連結されてバネ力が付勢されるバネシャフト68とから構成されている。また、バネケース67は、ロックユニット9を構成するメカニズムカバー71側の端縁部に、ほぼ全周に渡って所定深さ(例えば、深さ約2.5mmである。)の溝部67Aが形成されている。
そして、メカニズムカバー71の外周部の3箇所から巻取バネユニット8側に突設された各弾性係止片72を、バネケース67の外周部の3箇所に設けられた各係止フック8Aに嵌入して弾性的に係止することによって、巻取バネユニット8がロックユニット9の巻取ドラムユニット6の回転軸方向外側に当接された状態で固定される。また、メカニズムカバー71の巻取ドラムユニット6の回転軸方向外側の周縁部に沿って所定高さ(例えば、高さ約2mmである。)で立設された略リング状のリブ部71Aが、バネケース67の溝部67Aに嵌入されて、バネケース67内への粉塵や埃等の侵入が防止される。
また、バネシャフト68は、バネケース67の底面部の略中心位置に立設されたピン69が、底面部の貫通孔68Aに挿入されて、底面部側がピン69の周縁部に回転可能に当接されている。また、バネシャフト68のロックユニット9側の端部は、メカニズムカバー71の略中央部に形成された貫通孔73の背面側周縁部に回転可能に当接されている。
また、ラチェットギヤ35の回転軸方向外側の側面(図3中、左側の側面である。)の中央部には、外周面にスプラインが形成されると共に、先端部が断面略矩形に形成された軸部76が立設されている。そして、軸部76の断面略矩形状に形成された先端部が、メカニズムカバー71の貫通孔73からバネシャフト68の断面矩形状に形成された筒孔68B内に嵌入されて、当該バネシャフト68に対して相対回転不能に連結される(図8参照)。これにより、軸部76はバネシャフト68を介して渦巻バネ65に結合され、渦巻バネ65の付勢力によって巻取ドラムユニット6をウエビング3の巻取方向へ回動するように常時付勢する構造とされている。
[ロック機構の概略構成]
次に、ウエビング3の急激な引き出しや車両の急激な加速度の変化に反応してウエビング3の引き出しを停止するロック機構10を構成するロックユニット9の概略構成について図5乃至図8に基づいて説明する。図7はロックユニット9のメカニズムカバーを外した状態を示す一部切り欠き断面図である。
図5乃至図8に示すように、ロックユニット9は、メカニズムカバー71、ロッキングギヤ81、ロックアーム82、センサスプリング83、クラッチ85及びパイロットレバー86で構成されている。尚、ロックユニット9を構成する各部材のうち、センサスプリング83を除いた部材は、合成樹脂で成形されており、互いに接触した場合の部材間の摩擦係数は小さなものである。
メカニズムカバー71は、ハウジング11の側壁部12側が開口された略円形の底面部を有する略箱体状のメカニズム収容部87が形成され、ロッキングギヤ81やクラッチ85等を収容するように構成されている。また、メカニズムカバー71は、ハウジング11にセンサカバー27を介して取り付けられた車両加速度センサ28に対向する角部(図6中、左下角部である。)に、断面略四角形の凹形状に形成されたセンサ収容部88が設けられている。
そして、メカニズムカバー71を各ナイラッチ9A及び各係止フック9Bによって側壁部12に取り付けた場合には、車両加速度センサ28のセンサーホルダ51がセンサ収容部88に嵌入されて、センサレバー53が鉛直方向上下(図6中、上下方向である。)に揺動可能に収納されるように構成されている。また、メカニズムカバー71のメカニズム収容部87の下端部略中央部(図6中、下端部略中央部である。)には、メカニズム収容部87とセンサ収容部88とが連通するように開設された開口部89が形成されている。
この開口部89は、車両加速度センサ28のセンサレバー53の先端縁部から上方向(図6中、上方向である。)に向けて突設されたロック爪53Aの先端部が鉛直方向上下(図6中、上下方向である。)に進退可能に形成され、通常時には、ロック爪53Aの先端部は、パイロットレバー86の受け板部122の近傍に位置している(図7参照)。そして、後述のように、所定値を超える加速度によって慣性質量体52が移動してセンサレバー53が鉛直方向上側へ回動された場合には、ロック爪53Aは開口部89を介してパイロットレバー86の受け板部122に当接して、パイロットレバー86を鉛直方向上側へ回動させるように構成されている(図12参照)。
また、メカニズム収容部87の略円形の底面部には、中央部に形成された貫通孔73の周縁部から円筒状の支持ボス91が立設されている。この支持ボス91のロッキングギヤ81側の先端部の外周は、全周に渡って先端側へ所定角度(例えば、約30°の傾斜角である。)で傾斜した先細りの面取り部91Aが形成されている。また、この支持ボス91には、ロッキングギヤ81の円板状の底面部92の中央部に、前面側から背面側に貫通するように立設された円筒状の固定ボス93が嵌入され、摺動回転可能に支持される。
ロッキングギヤ81は、円板状の底面部92の全周からクラッチ85側へ円環状に立設されて、外周部にパイロットレバー86に係合するロッキングギヤ歯81Aが形成されている。このロッキングギヤ歯81Aは、ロッキングギヤ81がウエビング引出方向へ回転した時のみ、パイロットレバー86の係合爪部86Aと係合するように形成されている(図12参照)。
また、図5及び図8に示すように、ロッキングギヤ81のメカニズムカバー71に対向する背面側から突出する固定ボス93の基端部の周囲には、全周に渡ってメカニズムカバー71の支持ボス91が、ほぼ全高さに渡って挿入される挿入溝95が、固定ボス93と同軸に形成されている。この挿入溝95の半径方向外側の内側周壁部は、支持ボス91の先端部の傾斜角よりも大きい角度(例えば、約45°の傾斜角である。)で半径方向外側へ傾斜している。
また、ロッキングギヤ81のメカニズムカバー71に対向する背面側から突出する固定ボス93の高さは、メカニズムカバー71の支持ボス91の先端部から該メカニズムカバー71の背面部までの距離にほぼ等しく形成されている。これにより、ロッキングギヤ81の背面側から突出する固定ボス93をメカニズムカバー71の支持ボス91に挿通して、挿入溝95内に支持ボス91の先端部を当接させることによって、ロッキングギヤ81の背面側から突出する固定ボス93がほぼ全高さに渡って支持ボス91に対して同軸に取り付けられて軸支される。
また、ロッキングギヤ81の固定ボス93の内周面には、ラチェットギヤ35の軸部76の外周面に形成されたスプライン76A(図3参照)が嵌入されるスプライン溝が形成されている。これにより、ラチェットギヤ35の軸部76をロッキングギヤ81の固定ボス93に嵌入することによって、巻取ドラムユニット6のラチェットギヤ35とロッキングギヤ81とが同軸に相対回転不能に圧入固定されると共に、ラチェットギヤ35の軸部76が固定ボス93を介してメカニズムカバー71の支持ボス91によって軸支される。
図5乃至図8に示すように、ロッキングギヤ81の底面部92のクラッチ85側の面には、固定ボス93に隣接して円筒状の支持ボス96が、ロッキングギヤ歯81Aよりも低い高さで立設されている。そして、固定ボス93を囲むように略弓形に形成された合成樹脂製のロックアーム82は、長手方向略中央部の固定ボス93側の端縁部に立設されたピボット軸97が、この支持ボス96に回転可能に嵌挿され、回動可能に軸支される。
また、ロックアーム82は、ピボット軸97の横側に断面逆L字形の弾性係止片98が、ロッキングギヤ81の底面部92側へ立設されている。この弾性係止片98は、ロッキングギヤ81の支持ボス96の基端部に形成された略扇形で段差部を有する窓部99に挿入され、支持ボス96の軸心回りに回動可能に弾性的に係止される。
また、図7に示すように、ロッキングギヤ81は、固定ボス93の外周面から半径方向外側へ延出されたリブ部に、センサスプリング83の一端側が嵌め込まれるバネ支持ピン101が、該固定ボス93の軸心に対して直交するウエビング引出方向へ立設されている。また、ロックアーム82のバネ支持ピン101に対向する側壁には、センサスプリング83の他端側が嵌め込まれるバネ支持ピン102が立設されている。
従って、図7に示すように、各バネ支持ピン101、102にセンサスプリング83の両端を嵌め込むことによって、ロックアーム82は固定ボス93の軸心に対してウエビング引出方向側へ(図7中、反時計方向である。)回動するように所定荷重で付勢される。そして、ロックアーム82は、クラッチ85のクラッチギヤ106に係合する係合爪105側の端縁部が、ロッキングギヤ81の底面部92に立設されたストッパ107に当接されている。
一方、後述のようにロックアーム82がセンサスプリング83の付勢力に抗してウエビング巻取方向(図7中、時計方向である。)へ回動されてクラッチギヤ106に係合した場合には、係合爪105の係合部とは反対側の端縁部が、ロッキングギヤ81の底面部92に立設された断面紡錘形の回り止め108に当接可能に構成されている(図9参照)。
また、図5乃至図8に示すように、ロッキングギヤ81の固定ボス93は、クラッチ85側の先端部に外径が細くなった段差部93Aが形成されている。この段差部93Aの軸方向の高さ寸法は、クラッチ85の略円板状の板部111の厚さ寸法よりも少し大きくなるように形成されている。そして、クラッチ85の板部111の中央部に形成された貫通孔112が、固定ボス93の段差部93Aに回転可能に嵌入されて、当該クラッチ85はメカニズムカバー71のメカ収容部87に一定の回転範囲内で回転可能に収容される。
また、図8に示すように、クラッチ85の貫通孔112に嵌入されたロッキングギヤ81の固定ボス93の段差部93Aは、ラチェットギヤ35の軸部76の基端部に当接される。これにより、ラチェットギヤ35は、軸部76の基端部に固定ボス93の段差部93Aが当接された状態で、該固定ボス93を介してメカニズムカバー71の支持ボス91に軸支されて、ロッキングギヤ81と一体的に回転可能に軸支される。
また、図5乃至図8に示すように、クラッチ85のメカニズムカバー71側には、貫通孔112に対して同軸に、ロッキングギヤ81のロッキングギヤ歯81Aが形成された円環状のリブの内周径よりも少し小さい外径を有する円環状のリブ部113が立設されている。このリブ部113の内周面には、後述のようにロックアーム82の係合爪105が係合するクラッチギヤ106が形成されている(図9参照)。このクラッチギヤ106は、後述のようにロッキングギヤ81が、貫通孔112の軸心に対してウエビング引出方向への回転した時のみ、ロックアーム82の係合爪105と係合するように形成されている(図9参照)。
また、クラッチ85の板部111の外周部には、リブ部113を囲むように略円環状の外側リブ部115が立設されている。この外側リブ部115のパウル23に対向する角部(図7中、左下角部である。)は、半径方向外側へ延出されて、パウル23の係合歯23Aを含む先端部の側面に立設された案内ピン42がラチェットギヤ35側から遊嵌される略細長状のガイド孔116が形成されている。
このガイド孔116は、図7に示すように、外側リブ部115のパウル23に対向する角部に、ウエビング引出方向(図7中、上下方向である。)とほぼ平行な長溝状に形成されている。これにより、後述のようにクラッチ85がウエビング引出方向(図7中、反時計方向である。)へ回動された場合には、案内ピン42がガイド孔116に沿って移動され、パウル23の各係合歯23A、23Bがラチェットギヤ35のラチェットギヤ部35Aへ近づくように回動される(図9〜図11参照)。
また、パウル23は捩りコイルバネ26の付勢力によってラチェットギヤ35から離反する方向へ回動付勢されており、クラッチ85は、ガイド孔116に遊嵌されたパウル23の案内ピン42により付勢されている。この付勢力によってクラッチ85は、ガイド孔116において、クラッチ85の回転半径方向で最もラチェットギヤ35から離反する位置にある端縁部(図7中、ガイド孔116の下側端縁部である。)に、パウル23の案内ピン42が当接する状態の回転姿勢になるように付勢されることで、ウエビング引出方向とは反対方向に回転付勢されている。そして同時にパウル23は、通常時には、ガイド孔116において、クラッチ85の半径方向で最もラチェットギヤ35から離反する位置にある端縁部(図7中、ガイド孔116の下側端縁部である。)に、パウル23の案内ピン42が当接して回動を規制されるため、切欠部38の奥側近傍に位置するように保持されている。
また、図5乃至図8に示すように、クラッチ85の外側リブ部115の下端縁部(図5中、下端縁部である。)には、ガイド孔116の近傍位置からセンサ収容部88の上方(図5中、上方向である。)に対向する部分において、巻取ドラムユニット6の回転軸方向にメカニズム収容部87の底面部近傍まで延出された板状の延出部117が形成されている。また、延出部117のガイド孔116に対して反対側の端縁部の近傍位置には、パイロットレバー86の円筒状の軸部118に嵌挿される細い円柱状の取付ボス121が、延出部117の延出方向の高さとほぼ同じ高さでメカニズムカバー71側へ立設されている。
ここで、パイロットレバー86は、円筒状の軸部118と、係合爪部86Aと、薄板状の受け板部122と、薄板状の連結板部123とから構成されている。軸部118の軸方向長さは、延出部117の延出方向の高さとほぼ同じ寸法に形成されている。また、係合爪部86Aは、軸部118のリブ部113に対向する外周面から接線方向ガイド孔116側へ、該軸部118の外径のほぼ半分の寸法の幅と厚さで、所定長さ突設されている。
また、受け板部122は、係合爪部86Aに対向するように軸部118の延出部117に対向する外周面の軸方向中央部から係合爪部86Aの幅寸法とほぼ同じ幅寸法で接線方向ガイド孔116側へ突設されて、先端部が係合爪部86Aの先端側へ斜めに曲げられている。また、連結板部123は、係合爪部86Aと受け板部122の先端部を連結するように形成されている。
また、図5及び図7に示すように、延出部117の取付ボス121に対向する端縁部には、パイロットレバー支持ブロック125が延出部117の延出方向の高さと同じ高さでメカニズムカバー71側へ突設されている。このパイロットレバー支持ブロック125の取付ボス121に対向する内側には、延出部117の端縁部から取付ボス121側へ少し斜めに延出され、更に、取付ボス121と同軸で、且つ、パイロットレバー86の軸部118の外周面の半径よりも少し大きい(例えば、約0.1mm大きい。)曲率半径の正面視略半円形状の滑らかな曲面に形成された荷重受け面126が設けられている。
また、延出部117のパイロットレバー支持ブロック125側の端縁部には、取付ボス121のほぼ鉛直方向下側の位置からガイド孔116側へ平面視長方形の開口部127が形成されている。この開口部127は、図7に示すように、軸部118が取付ボス121に嵌挿されたパイロットレバー86が、自重により鉛直方向下側(図7中、下方向である。)へ回動した場合には、受け板部122及び連結板部123が当該開口部127内へ進入可能に形成されている。
また、図6及び図7に示すように、クラッチ85の開口部127は、メカニズムカバー71の開口部89に対向するように設けられており、センサ収容部88に配置された車両加速度センサ28のセンサレバー53が鉛直方向上側へ回動した場合には、ロック爪53Aが進入可能に構成されている。
そして、パイロットレバー86の軸部118をクラッチ85の取付ボス121に嵌挿しつつ、係合爪部86Aの先端をリブ部113の外周面に当接させた場合には、受け板部122と延出部117との間には、狭い隙間(例えば、約1mmの隙間である。)が形成される。
これにより、パイロットレバー86の軸部118をクラッチ85の板部111に当接するまで嵌挿して、当該パイロットレバー86を取付ボス121に回動可能に取り付けることができる。また、軸部118の外周面とパイロットレバー支持ブロック125の荷重受け面126との間には、所定隙間(例えば、約0.1mmの隙間である。)が形成されているため、パイロットレバー86は鉛直方向上下にスムーズに回動する。
その後、パイロットレバー86が、自重により鉛直方向下側(図7中、下方向である。)へ回動した場合には、受け板部122が、開口部127のパイロットレバー支持ブロック125側の端縁部に当接して、鉛直方向下側(図7中、下方向である。)への回転角度が規制される。また、受け板部122の鉛直方向下端部が、当該開口部127のほぼ鉛直方向下端部に位置すると共に、係合爪部86Aがクラッチ85のリブ部113の接線方向に対してほぼ平行な状態となる。つまり、クラッチ85のリブ部113の外周面と係合爪部86Aとの間に、ロッキングギヤ81のロッキングギヤ歯81Aを挿入することが可能な隙間が形成される。
続いて、パイロットレバー86が鉛直方向下側(図7中、下方向である。)に回動した状態で、クラッチ85の貫通孔112にロッキングギヤ81の固定ボス93の段差部93Aを嵌挿することによって、クラッチ85のリブ部113の外周面と係合爪部86Aとの間に、ロッキングギヤ歯81Aが回転可能に配置される。
従って、パイロットレバー86が鉛直方向上側(図7中、上方向である。)へ回動しても、係合爪部86Aがロッキングギヤ歯81Aに当接するため、パイロットレバー86の受け板部122は、開口部127内に位置している。これにより、クラッチ85にロッキングギヤ81を取り付けることによって、パイロットレバー86が取付ボス121から抜けることを防止できる。
また、後述のように、センサレバー53が鉛直方向上側(図7中、上方向である。)へ回動されて、ロック爪53Aによって係合爪部86Aがロッキングギヤ歯81Aに係合された状態で、ロッキングギヤ81がウエビング引出方向(矢印141方向である。)へ回転した場合には(図12参照)、係合爪部86Aには、取付ボス121側方向の大きな荷重が加わる。
そして、係合爪部86Aに加わった荷重によって取付ボス121が撓んだ場合には、軸部118の外周面が、パイロットレバー支持ブロック125の荷重受け面126に当接するため、当該押圧荷重を軸部118を介して荷重受け面126で支持することができる。これにより、パイロットレバー86及び取付ボス121を小さくしても、押圧荷重を支持する軸部118及び取付ボス121の変形や破損を防止できる。
次に、ロック機構10の動作について図7、図9乃至図14に基づいて説明する。図9乃至図14においてウエビング3の引き出し方向は矢印135方向である。また、各図において、反時計方向の回転方向がウエビング3が引き出される時の巻取ドラムユニット6の回転方向(ウエビング引出方向)である。また、ロック機構10の動作の説明上、必要に応じて図面の一部を切り欠いて表示している。
ここで、ロック機構10は、ウエビング3の急な引き出しに対して作動する「ウエビング感応式ロック機構」と、車両の揺れや傾きなどに起因して生ずる加速度に感応して作動する「車体感応式ロック機構」との2種類のロック機構として動作する。また、「ウエビング感応式ロック機構」および「車体感応式ロック機構」では、共にパウル23の動作は共通である。このため、図9乃至図14において、パウル23とラチェットギヤ35との関係を示す部分については、その一部を切り欠いた状態として表示している。
[ウエビング感応式ロック機構の動作説明]
先ず、「ウエビング感応式ロック機構」の動作について図7、図9乃至図11に基づいて説明する。図9乃至図11は、「ウエビング感応式ロック機構」の動作を説明する説明図である。「ウエビング感応式ロック機構」では、パウル23とラチェットギヤ35との関係を示す部分に加えて、ロックアーム82とクラッチギヤ106との関係を示す部分、及びセンサスプリング83の動きを示す部分を切り欠いて示している。
図7及び図9に示すように、ロックアーム82は、ロッキングギヤ81の支持ボス96によってピボット軸97が回動自在に支持されているため、ウエビング3の引出加速度が所定加速度(例えば、約2.0Gである。尚、1G≒9.8m/s2とする。)を超えた場合には、ロッキングギヤ81のウエビング引出方向(矢印136方向である。)への回転に対してロックアーム82に慣性遅れが生じる。
このため、ストッパ107に当接していたロックアーム82は、センサスプリング83の付勢力に抗して初期位置を維持するため、当該ロッキングギヤ81に対してピボット軸97を中心に時計方向に回動され、回り止め108に当接するまで回動される。そのため、ロックアーム82の係合爪105は、ロッキングギヤ81の回転軸に対して半径方向外側へ回動されて、クラッチ85のクラッチギヤ106に係合する。
そして、図9及び図10に示すように、ウエビング3の引き出しが所定加速度を超えて継続された場合には、ロッキングギヤ81が更にウエビング引出方向へ回転されるため、ロックアーム82の係合爪105は、クラッチギヤ106に係合した状態で、回り止め108によってウエビング引出方向(矢印136方向である。)へ回動される。従って、ロックアーム82によってクラッチギヤ106がウエビング引出方向へ回動されるため、クラッチ85は、捩りコイルバネ26によってラチェットギヤ35から離反する方向へ回動付勢されているパウル23の案内ピン42による付勢力に抗して、ロッキングギヤ81の固定ボス93の軸心回りにウエビング引出方向へ回動される。
これにより、クラッチ85のウエビング引出方向への回動に伴って、パウル23の案内ピン42は、当該クラッチ85のガイド孔116によって案内されるため、当該パウル23は捩りコイルバネ26の付勢力に抗して、ラチェットギヤ35側へ回動される(矢印137方向である。)。
そして、図11に示すように、ウエビング3の引き出しが所定加速度を超えて更に継続された場合には、クラッチ85は捩りコイルバネ26によってラチェットギヤ35から離反する方向へ回動付勢されているパウル23の案内ピン42による付勢力に抗して、ウエビング引出方向(矢印136方向である。)へ更に回動される。このため、パウル23の案内ピン42は、当該クラッチ85のガイド孔116によって更に案内されて、当該パウル23は捩りコイルバネ26の付勢力に抗して、ラチェットギヤ35のラチェットギヤ部35Aに係合される。これにより、巻取ドラムユニット6の回転がロックされてウエビング3の引き出しがロックされる。
その後、ウエビング3に加わる引き出し方向の引張力が緩められた場合には、巻取バネユニット8の付勢力によって、巻取ドラムユニット6がウエビング巻取方向(矢印136に対して反対方向である。)に回転される。これにより、ラチェットギヤ35とパウル23との係合が解除されて、パウル23は捩りコイルバネ26によってラチェットギヤ35から離反する方向へ回動される。
従って、ウエビング3に加わる引き出し方向の引張力が緩められて通常時に戻った場合には、パウル23は捩りコイルバネ26の回動付勢力によってラチェットギヤ35から離間し、パウル23による巻取ドラムユニット6のロック状態が解除される(図7参照)。また、パウル23の捩りコイルバネ26の付勢力による回動に伴って、パウル23の案内ピン42がガイド孔116を逆方向に移動するため、クラッチ85はウエビング巻取方向(図11中、時計方向である。)へ回動されて、案内ピン42がガイド孔116の最もラチェットギヤ35から離反する位置にある端縁部(図7中、ガイド孔116の下側端縁部である。)に当接した通常状態の回転姿勢に戻る(図7参照)。
また、ロックアーム82は、センサスプリング83の付勢力によってウエビング引出方向(図11中、反時計方向である。)へ回動されて、ストッパ107に当接され、当該ロックアーム82の係合爪105とクラッチギヤ106との係合が解除される(図7参照)。
[車体感応式ロック機構の動作説明]
次に、「車体感応式ロック機構」の動作について図7、図12乃至図14に基づいて説明する。図12乃至図14は、「車体感応式ロック機構」の動作を説明する説明図である。「車体感応式ロック機構」では、パウル23とラチェットギヤ35との関係を示す部分に加えて、車両加速度センサ28のセンサーホルダ51及びセンサレバー53の部分を切り欠いて示している。
図7及び図12に示すように、車両加速度センサ28の球状体の慣性質量体52は、センサーホルダ51のすり鉢状の底面部に載置されているため、車体の揺れや傾きなどによる加速度が所定加速度(例えば、約2.0Gである。)を超えた場合には、センサーホルダ51の底面部を移動してセンサレバー53を鉛直方向上側へ回動させる。
このため、センサレバー53のロック爪53Aが、クラッチ85の延出部117に設けられた開口部127内に進入し、クラッチ85の取付ボス121に回転自在に取り付けられているパイロットレバー86の受け板部122に当接して、当該パイロットレバー86を鉛直方向上側へ回動させる。従って、パイロットレバー86は取付ボス121の軸心回りに時計方向(矢印138方向である。)に回動され、当該パイロットレバー86の係合爪部86Aの先端部は、ロッキングギヤ81の外周部に形成されたロッキングギヤ歯81Aに係合する。
そして、図12及び図13に示すように、パイロットレバー86がロッキングギヤ81のロッキングギヤ歯81Aに係合した状態で、ウエビング3が引き出された場合には、当該ロッキングギヤ81がウエビング引出方向(矢印141方向である。)へ回動される。また、ロッキングギヤ81のウエビング引出方向への回転は、パイロットレバー86、取付ボス121及びパイロットレバー支持ブロック125を介してクラッチ85へ伝達される。
このため、ロッキングギヤ81のウエビング引出方向への回転に伴って、当該クラッチ85は、捩りコイルバネ26によってラチェットギヤ35から離反する方向へ回動付勢されているパウル23の案内ピン42による付勢力に抗して、ロッキングギヤ81の固定ボス93の軸心回りにウエビング引出方向へ回動される。これにより、クラッチ85のウエビング引出方向への回動に伴って、パウル23の案内ピン42は、当該クラッチ85のガイド孔116に案内されるため、当該パウル23はラチェットギヤ35側へ回動される(矢印142方向である。)。
そして、図14に示すように、ウエビング3の引き出しが更に継続された場合には、クラッチ85は、捩りコイルバネ26によってラチェットギヤ35から離反する方向へ回動付勢されているパウル23の案内ピン42による付勢力に抗して、ウエビング引出方向(矢印141方向である。)へ更に回動される。このため、パウル23の案内ピン42は、当該クラッチ85のガイド孔116に案内されて、当該パウル23はラチェットギヤ35のラチェットギヤ部35Aに係合される。これにより、巻取ドラムユニット6の回転がロックされてウエビング3の引き出しがロックされる。
その後、ウエビング3に加わる引き出し方向の引張力が緩められた場合には、巻取バネユニット8の付勢力によって、巻取ドラムユニット6がウエビング巻取方向(矢印141に対して反対方向である。)に回転される。これにより、ラチェットギヤ35とパウル23との係合が解除されて、パウル23は捩りコイルバネ26によってラチェットギヤ35から離反する方向へ回動される。また、パイロットレバー86とロッキングギヤ歯81Aとの係合が解除されて、パイロットレバー86は開口部127内方向へ自重により回動される。
従って、ウエビング3に加わる引き出し方向の引張力が緩められて通常時に戻ると共に、車両加速度センサ28の慣性質量体52が、センサーホルダ51のすり鉢状の底面中央部に位置する通常時に戻った場合には、パウル23は捩りコイルバネ26の回動付勢力によってラチェットギヤ35から離間し、パウル23による巻取ドラムユニット6のロック状態が解除される(図7参照)。
また、パウル23の捩りコイルバネ26の付勢力による回動に伴って、パウル23の案内ピン42がガイド孔116を逆方向に移動するため、クラッチ85はウエビング巻取り方向(図14中、時計方向である。)へ回動されて、案内ピン42がガイド孔116の最もラチェットギヤ35から離反する位置にある端縁部(図7中、ガイド孔116の下側端縁部である。)に当接した通常状態の回転姿勢に戻る(図7参照)。また、パイロットレバー86は自重により車両加速度センサ28側へ回動され、受け板部122が開口部127内に入って、センサレバー53のロック爪53Aの近傍に位置する(図7参照)。
[巻取ドラムユニットの概略構成]
次に、巻取ドラムユニット6の概略構成について図2、図3、図15乃至図19に基づいて説明する。図15は巻取ドラムユニット6の軸心を含む断面図である。図16及び図17は巻取ドラムユニット6の分解斜視図である。図18は巻取ドラム151をラチェットギヤ35の取り付け側から見た正面図である。図19は図15のX1−X1矢視断面図である。
図15乃至図17に示すように、巻取ドラムユニット6は、巻取ドラム151と、トーションバー152と、変形プレート部材153と、ラチェットギヤ35とから構成されている。
図2、図3、図15乃至図17に示すように、巻取ドラム151は、アルミダイカストや亜鉛ダイカスト等により形成されて、プリテンショナユニット7側の端面部が閉塞された略円筒状に形成されている。また、巻取ドラム151の軸心方向のプリテンショナユニット7側の端縁部には、外周部から径方向に延出され、更に略直角外側方向(図15中、左側方向である。)に延出されたフランジ部155が形成されている。また、このフランジ部155の内周面には、後述のように車両衝突時に各クラッチパウル202(図20参照)が係合してピニオンギヤ185(図20参照)の回転が伝達される内歯ギヤ156が形成されている。
また、巻取ドラム151のプリテンショナユニット7側の端面部中央位置には、円筒状のボス157が立設されている。このボス157は、後述のポリアセタール等の合成樹脂材により形成されたベアリング205(図20参照)に嵌入され、ボス157の基端部がベアリング205に当接される。これにより、巻取ドラムユニット6の一端側は、ベアリング205を介してプリテンショナユニット7を構成するピニオンギヤ185のボス部185D(図20参照)に回転可能に支持される。従って、巻取ドラムユニット6は、プリテンショナユニット7とロックユニット9とによって回転軸方向のガタツキを防止して回転可能に支持される。
また、巻取ドラム151の内側には、中心軸に沿って徐々に細くなるように抜き勾配が形成された軸孔151Aが形成されている。また、図15及び図18に示すように、この軸孔151A内のフランジ部155側端部の内周面には、断面略台形状の5個の突出部158A〜158Eが、周方向一定間隔で半径方向内側へリブ状に突設されている。また、トーションバー152は、スチール材等により形成され、断面円形の棒状をした軸部152Cと、この軸部152Cの両端部に形成された各スプライン152A、152Bとから構成されている。
また、各突出部158A〜158Eは、スチール材等により形成されるトーションバー152の一端部に形成されたスプライン152Aの各突起部の間に嵌合可能に突設されている。これにより、図15乃至図17に示すように、トーションバー152のスプライン152A側を巻取ドラム151の軸孔151Aに挿入して各突出部158A〜158E間へ圧入することによって、トーションバー152は巻取ドラム151内に相対回転不能に圧入固定される。
また、図15乃至図18に示すように、巻取ドラム151の軸心方向のロックユニット9側の端縁部には、外周部から径方向に延出された正面視リング状のフランジ部161が形成されている。このフランジ部161の外径は、プリテンショナユニット7側の端縁部に形成されたフランジ部155の外径よりも僅かに小さい外径寸法に形成されている。
また、巻取ドラム151の軸心方向のロックユニット9側の端面には、軸孔151Aの開口部の周縁部から軸方向外側に円筒状の筒部165が突設されている。この筒部165は軸孔151A内に圧入されたトーションバー152の他端側のスプライン152Bを所定隙間を形成して囲むように設けられている。また、筒部165の外周面には、中心軸に対して平行に半径方向外側へ突出する断面矩形状の8個の突出リブ165Aが、周方向等ピッチで軸方向全高さに渡って形成されている。また、各突出リブ165Aの周方向の幅寸法は、各突出リブ165Aが設けられるピッチ間の周方向長さの約半分の長さである。
また、図15乃至図17に示すように、ラチェットギヤ35は、アルミダイカストや亜鉛ダイカスト等により形成され、軸断面略リング状で外周部にラチェットギヤ部35Aが形成され、その内側中央位置に円筒状の固定ボス166が立設されている。固定ボス166の内周面には、トーションバー152の他端側に形成されるスプライン152Bが圧入されるスプライン溝166Aが形成されている。また、ラチェットギヤ部35Aの内周部は、巻取ドラム151の筒部165が嵌挿可能な内径に形成されている。
尚、トーションバー152の他端側に形成されるスプライン152Bの外径は、該トーションバー152の一端側に形成されるスプライン152Aの外径よりも少し小さい径に形成されている。
また、図15乃至図17に示すように、ラチェットギヤ35は、ラチェットギヤ部35Aの巻取ドラム151側の端面部から全周に渡って半径方向外側に延出された正面視リング状のフランジ部167が形成されている。このフランジ部167の外径は、変形プレート部材153の外輪部172の外径よりも大きい外径寸法に形成されている。また、フランジ部167の軸方向内側の外周縁部には、軸方向内側へ直角に突出する正面視円弧状の4個の当接部168が、周方向等ピッチで形成されている。
各当接部168の半径方向内側面は、変形プレート部材153の外輪部172の外径にほぼ等しい直径の同心円上に設けられている。また、各当接部168は、変形プレート部材153の厚さにほぼ等しい高さで立設されると共に、周方向幅寸法は、各当接部168が設けられるピッチ間の周方向長さの約半分の長さに形成されている(図19参照)。また、フランジ部167には、円周方向に長い断面略長方形の4個の貫通孔169が、周方向等ピッチで、各当接部168間に形成され、軽量化が図られている。
また、図15乃至図17、図19に示すように、変形プレート部材153は、スチール材やステンレス材等の金属材からなる正面視略リング状で、軸方向所定厚さ(例えば、厚さ約2mmである。)の側面視平板状に形成され、内輪部171と、外輪部172と、内輪部171と外輪部172の間に配置される一対の連結部173とから構成されている。
内輪部171は、半径方向所定厚さ(例えば、厚さ約4mmである。)の正面視略リング状に形成されると共に、巻取ドラム151の筒部165の外径にほぼ等しい内径に形成されている。また、内輪部171の内周面には、筒部165の外周面に中心軸に対して平行に突設された各突出リブ165Aが嵌挿される8個のキー溝171Aが、周方向等ピッチで軸方向全幅に渡って形成されている。従って、各キー溝171Aの溝幅は、各突出リブ165Aの周方向の幅にほぼ等しい幅寸法に形成されている。
外輪部172は、半径方向所定厚さ(例えば、厚さ約2mmである。)の正面視略リング状に形成されて、内輪部171の外周面に対して半径方向外側に所定隙間(例えば、隙間約12mmである。)を形成して同軸上に配置されている。また、外輪部172の外径は、ラチェットギヤ35の相対向する各当接部168間の内径にほぼ等しい外径寸法に形成されている。
また、外輪部172の外周面には、ラチェットギヤ35のフランジ部167の外径にほぼ等しい外径で、半径方向外側へ突出する正面視円弧状の4個の突出部172Aが、周方向等ピッチで軸方向全幅に渡って形成されている。各突出部172Aの周方向の幅は、ラチェットギヤ35の各当接部168の周方向の幅よりも短い長さ(例えば、各当接部168の周方向の幅の約半分の長さである。)に形成されている。
また、図19に示すように、各突出部172Aは、ラチェットギヤ35の固定ボス166をトーションバー152のスプライン152Bに嵌入した場合に、各突出部172Aの周方向ウエビング引き出し側の端面(矢印174方向側の端面である。)に、ラチェットギヤ35の各当接部168が当接するように設けられている。
また、図15乃至図17、図19に示すように、一対の連結部173は、各々の一端部が、内輪部171の外周面の直径方向相対向する位置に接続されると共に、各々の他端部が、外輪部172の内周面の各一端部に対向する位置に接続されている。また、一対の連結部173の各々の半径方向の厚さは、内輪部171の外周面と外輪部172の内周面との間に形成される半径方向の隙間の約1/5の長さに形成されている。
そして、一対の連結部173は、それぞれ、内輪部171の外周面と外輪部172の内周面との間に、周方向ウエビング巻き取り側(図19中、矢印174の反対方向側である。)へ周方向約半周分の長さで周方向に沿って折り返されて、略U字状の折り返し部175を形成している。従って、一対の連結部173は、変形プレート部材153の回転中心に対してほぼ点対称になるように形成されている。尚、一対の連結部173は、周方向ウエビング巻き取り側(図19中、矢印174の反対方向側である。)へ周方向約半周分の長さよりも短い長さで周方向に沿って折り返されて、略U字状の折り返し部175を形成するようにしてもよい。
ここで、変形プレート部材153のラチェットギヤ35及び巻取ドラム151への取り付けについて図15乃至図17、図19に基づいて説明する。
図15乃至図17、図19に示すように、先ず、変形プレート部材153の内輪部171にラチェットギヤ35の固定ボス166を挿通して、変形プレート部材153をラチェットギヤ35のフランジ部167の周縁部に突設された4個の当接部168内に嵌入する。
続いて、変形プレート部材153の外輪部172の外周面から突設された各突出部172Aの周方向ウエビング引き出し側の端面(図19中、矢印174方向側の端面である。)に、ラチェットギヤ35の各当接部168を当接させる。そして、この状態で、変形プレート部材153の内輪部171に形成された各キー溝171Aに、巻取ドラム151の筒部165の外周面に形成された各突出リブ165Aを嵌挿する。
また、同時に、ラチェットギヤ35の固定ボス166を巻取ドラム151の筒部165内に挿入して、トーションバー152の他端側に形成されたスプライン152Bを当該固定ボス166のスプライン溝166Aに圧入して、変形プレート部材153を巻取ドラム151のフランジ部161に当接させる。
これにより、巻取ドラム151のフランジ部161とラチェットギヤ35のフランジ部167との間に、変形プレート部材153が配置されると共に、ラチェットギヤ35が巻取ドラム151に装着される。また、変形プレート部材153の内輪部171が、巻取ドラム151の筒部165に対して同軸上に配置されると共に、該巻取ドラム151に対して相対回転不能に結合される。また、変形プレート部材153の外輪部172が、ラチェットギヤ35に対して同軸上に配置されると共に、該ラチェットギヤ35に対してウエビング引出方向への相対回転が阻止された状態で取り付けられる。
[プリテンショナユニットの概略構成]
次に、プリテンショナユニット7の概略構成について図2、図3、図20及び図21に基づいて説明する。図20はプリテンショナユニット7の分解斜視図である。図21はプリテンショナユニット7の内部構造を示す断面図である。
プリテンショナユニット7は、車両衝突時等の緊急時に巻取ドラム151をウエビング巻取方向に回転させて、ウエビング3の弛みを除去し、乗員を座席にしっかりと拘束するように構成されている。
図20及び図21に示すように、プリテンショナユニット7は、ガス発生部材181と、パイプシリンダ182と、ピストン183と、ピニオンギヤ185と、クラッチ機構186と、ベアリング205を備えている。
ガス発生部材181は、火薬等のガス発生剤を含んでおり、図示省略の制御部からの着火信号によりガス発生剤を着火させて当該ガス発生剤の燃焼でガスを発生させるように構成されている。
また、パイプシリンダ182は、直線状のピストン案内筒部182Aの一端部にガス導入部182Bが連接されたL字状の筒部材に形成されている。このガス導入部182Bにはガス発生部材181が収納される。従って、ガス発生部材181により発生したガスは、ガス導入部182Bからピストン案内筒部182A内に導入される。また、ピストン案内筒部182Aの一側部における長手方向中間部には、開口部187が形成され、後述のようにピニオンギヤ185のピニオンギヤ歯185Aの一部が配設される。
このパイプシリンダ182は、ハウジング11の側壁部13側のベースプレート188と、外側のカバープレート191とによって挟持されると共に、これらの間でベースブロック192とカバープレート191とによって挟持された状態で、各ネジ15によって側壁部13の外面に取り付け固定される。
また、ピストン案内筒部182Aの上端部には、プリテンショナユニット7を側壁部13に取り付けると共に、ピストン183の抜け止め及びパイプシリンダ182の抜け止め、回転止めとして機能するストッパーピン16を挿通可能な一対の貫通孔182Cが相対向して形成されている。
ピストン183は、スチール材等の金属部材で形成されて、ピストン案内筒部182Aの上端側から挿入可能な断面略長方形で、全体として長尺状の形状を有している。また、ピストン183のピニオンギヤ185側の側面には、ピニオンギヤ歯185Aに噛合するラック183Aが形成されている。また、ピストン183のガス発生部材181側の端面は、ピストン案内筒部182Aの断面形状に応じた円形端面183Bに形成されている。この円形端面183Bには、ゴム材等によって形成されたシールプレート193が取り付けられている。
このピストン183は、その長手方向に沿って長い断面矩形状の貫通孔183Cが形成され、両側面部が連通されている。また、シールプレート193のガスを受圧する受圧側面から貫通孔183Cに連通するガス抜き孔195が、ピストン183とシールプレート193に形成されている。このピストン183は、図21に示すように、プリテンショナユニット7が動作する前、つまり、ガス発生部材181によりガスが発生しない通常時の待機状態の場合には、ラック183Aがピニオンギヤ歯185Aと非噛合状態となる位置まで、ピストン案内筒部182Aの奥側に挿入配置される。
ピニオンギヤ185は、スチール材等で形成された円柱状部材であり、その外周部にはラック183Aに噛合可能なピニオンギヤ歯185Aが形成されている。また、ピニオンギヤ歯185Aよりカバープレート191側へ延出された円筒状の支持部185Bが形成されている。この支持部185Bが側壁部13に取り付けられるカバープレート191に形成された支持孔196に回転可能に嵌入される。
そして、支持部185Bが支持孔196に回転可能に嵌入された状態では、ピニオンギヤ歯185Aの一部が、ピストン案内筒部182Aの開口部187内に配設されている。そして、図21に示すように、ピストン183が通常時の待機状態よりピストン案内筒部182Aの先端側に移動すると、ラック183Aがピニオンギヤ歯185Aに噛合して、ピニオンギヤ185がウエビング巻取方向へ回転する。
また、このピニオンギヤ185の回転は、クラッチ機構186を介して巻取ドラム151に伝達される。
即ち、ピニオンギヤ185の軸心方向の側壁部13側の端部には、軸心方向に沿って突出する円筒状のボス部185Dが形成されている。ボス部185Dの外周面には、基端部の外径を有する3個ずつのスプラインが中心角約120度間隔で形成されている。このボス部185Dはベースプレート188に形成された貫通孔197に回転可能に嵌入されて、巻取ドラム151側に突出配置される。
また、クラッチ機構186は、通常時においてピニオンギヤ185に対して巻取ドラム151を自由回転させる状態(クラッチパウル202が収納された状態)から、プリテンショナユニット7の作動時において、ピニオンギヤ185の回転を巻取ドラム151に伝達する状態(クラッチパウル202が突出した状態)へ切り替え可能に構成されている。
クラッチ機構186は、スチール材等で形成されたパウルベース201と、スチール材等で形成された3個のクラッチパウル202と、ポリアセタール等の合成樹脂で形成されて、パウルベース201と共に各クラッチパウル202を支持する略円環状のパウルガイド203とから構成されている。
パウルベース201の中央部には、ピニオンギヤ185のボス部185Dが嵌め込まれるようにスプライン溝が中心角約120度間隔で3個ずつ形成された嵌合孔206が設けられ、この嵌合孔206にボス部185Dが圧入されることによって、パウルベース201がピニオンギヤ185に対して相対回転不能に取り付けられる。つまり、パウルベース201とピニオンギヤ185とは一体回転するように構成されている。
そして、ボス部185Dがパウルベース201の嵌合孔206に圧入された状態で、円筒状に形成されたボス部185Dにポリアセタール等の合成樹脂材により形成されたベアリング205が嵌め込まれる。また、ベアリング205には、巻取ドラム151のプリテンショナユニット7側の端面部中央位置に立設されたボス157が回転可能に嵌入される。このパウルベース201には、各クラッチパウル202が収容姿勢で支持されている。収容姿勢は、各クラッチパウル202の全体をパウルベース201の外周縁部内に収めた姿勢である。
パウルガイド203は、略円環状の部材であり、パウルベース201及び各クラッチパウル202に対向する位置に配設されている。このパウルガイド203のベースプレート188側の側面には3個の位置決突起(不図示)が突設されており、各位置決突起がベースプレート188の各位置決め孔188Aに嵌入されて、待機状態において、パウルガイド203がベースプレート188に回転不能な状態で取付固定される。
また、パウルガイド203のパウルベース201側の面には、各クラッチパウル202に対応して各姿勢変更用突起部203Aが突設されている。そして、プリテンショナユニット7の作動によってパウルベース201とパウルガイド203とが相対回転すると、各クラッチパウル202が姿勢変更用突起部203Aにそれぞれ当接して、収容姿勢から係止姿勢に姿勢変更されるようになっている。係止姿勢は、クラッチパウル202の先端部をパウルベース201の外周縁部外方へ突出させた姿勢である。
また、各クラッチパウル202が係止姿勢に姿勢変更すると、巻取ドラム151に係合する。具体的には、ベアリング205を介してクラッチ機構186は、巻取ドラム151のボス157に嵌入され、巻取ドラム151を回転可能に支持しており、各クラッチパウル202がパウルベース201の外周縁部外方へ突出した場合には、フランジ部155の内周面に形成された内歯ギヤ156に係合可能とされている。
そして、各クラッチパウル202が係止姿勢に姿勢変更すると、各クラッチパウル202の先端部が内歯ギヤ156に係合し、これにより、パウルベース201が巻取ドラム151を回転させるようになる。尚、クラッチパウル202と内歯ギヤ156との係合は、巻取ドラム151をウエビング3の巻取方向へ回転させる、一方向のみへの係合構造である。
また、一度係合すると各クラッチパウル202が互いに変形を伴って内歯ギヤ156に噛み込むので、係合後、巻取ドラム151がウエビング引出方向へ回転すると、ピニオンギヤ185を、プリテンショナユニット7が作動する際とは逆の方向に、クラッチ機構186を介して回転させて、ピストン183を作動方向とは逆方向に押し戻す。そして、ピストン183のラック183Aと、ピニオンギヤ185のピニオンギヤ歯185Aとの噛み合いが外れる位置までピストン183が押し戻されると、ピニオンギヤ185はピストン183から外れるので、巻取ドラム151はピストン183に対して自由回転できるようになる。
次に、上記のように構成されたプリテンショナユニット7が作動してウエビング3を巻き取る動作について図21及び図22に基づいて説明する。図22は車両衝突時のパウル23の動作を示す説明図である。
図21に示すように、車両衝突時等において、プリテンショナユニット7のガス発生部材181が作動した場合には、発生したガスの圧力によりピストン183がピストン案内筒部182Aの先端側に向けて移動すると共に、ラック183Aと噛み合ったピニオンギヤ歯185Aを有するピニオンギヤ185が回転する(図21中、左回転する。)。
また、車両衝突時等において、車両加速度センサ28の慣性質量体52が、センサーホルダ51の底面部を移動してセンサレバー53を鉛直方向上側へ回動させるため、上記の通り、センサレバー53のロック爪53Aが、パイロットレバー86を鉛直方向上側へ回動させる。そして、パイロットレバー86の係合爪部86Aが、ロッキングギヤ81の外周部に形成されたロッキングギヤ歯81Aに当接される。
尚、パイロットレバー86の係合爪部86Aとロッキングギヤ歯81Aとの係合は、巻取ドラム151をウエビング3の引出方向へ回転させない方向に作動する、一方向のみへの係合構造である。従って、プリテンショナユニット7が作動している際に、パイロットレバー86の係合爪部86Aがロッキングギヤ歯81Aに当接しても、巻取ドラム151は、ウエビング3の巻取方向へスムーズに回転する。
そして、図21に示すように、ピニオンギヤ185が回転すると、当該ピニオンギヤ185と一緒にパウルベース201が回転する。この際、パウルガイド203に対してパウルベース201が相対回転することになるため、パウルガイド203に形成された各姿勢変更用突起部203Aがクラッチパウル202に当接して、各クラッチパウル202が係止姿勢に変更される。
これにより、各クラッチパウル202の先端部が、巻取ドラム151の内歯ギヤ156に係合して、ピストン183がピストン案内筒部182Aの先端側へ移動しようとする力が、ピニオンギヤ185、パウルベース201、各クラッチパウル202及び内歯ギヤ156を介して巻取ドラム151に伝達されて、巻取ドラム151がウエビング3の巻取方向へ回転駆動され、ウエビング3が巻取ドラム151に巻き取られる。
また、車両衝突時等において、プリテンショナユニット7の作動後、引き続いて、ウエビング3が引き出され、巻取ドラム151がウエビング引出方向へ回転された場合には、パイロットレバー86の係合爪部86Aが、ロッキングギヤ81の外周部に形成されたロッキングギヤ歯81Aに係合して、クラッチ85が回動され、当該クラッチ85のガイド孔116に案内されたパウル23がラチェットギヤ35のラチェットギヤ部35Aに係合される。
従って、車両衝突時等において、プリテンショナユニット7の作動後、引き続いて、ウエビング3が引き出された場合には、パウル23とラチェットギヤ部35Aとの係合によって、巻取ドラムユニット6のラチェットギヤ35は、ウエビング3の引出方向へ回転するのが抑止される。尚、パウル23とラチェットギヤ部35Aとの係合は、巻取ドラム151をウエビング3の引出方向へ回転させる、一方向のみへの係合構造である。
[エネルギー吸収]
次に、車両衝突時等でプリテンショナユニット7の作動後、パウル23とラチェットギヤ35のラチェットギヤ部35Aとが係合されている状態で、乗員が車両に対して相対的に前側へ移動した場合には、ウエビング3に大きな引き出し力が作用する。そして、ウエビング3に作用する引出力が予め設定された所定値を超えて引き出された場合には、巻取ドラム151にウエビング引出方向への回転トルクが作用する。
そして、巻取ドラム151に作用するウエビング引出方向への回転トルクによって、トーションバー152の巻取ドラム151の軸孔151Aの奥側に圧入固定されたスプライン152A側が回転され、トーションバー152の軸部152Cが捻れて塑性変形する捻れ変形が開始される。このトーションバー152の軸部152Cの捻れ変形に伴って巻取ドラム151がウエビング3の引出方向に回転し、「第1のエネルギー吸収機構」としてのトーションバー152の捻れ変形による衝撃エネルギーの吸収がなされる。
また同時に、巻取ドラム151が回転された場合には、パウル23とラチェットギヤ35とは係合されているため、このラチェットギヤ35と巻取ドラム151との相互間においても相対回転が生じる。それにより、巻取ドラム151の回転に伴って変形プレート部材153の内輪部171と外輪部172との相互間においても相対回転が生じ、「第2のエネルギー吸収機構」としての変形プレート部材153の一対の連結部173の略U字状に折り返された折り返し部175に連続する外輪部172側の部分の塑性変形による衝撃エネルギーの吸収がなされる。
[連結部173の引き出し動作]
ここで、変形プレート部材153によって衝撃エネルギーを吸収する際の、当該変形プレート部材153の一対の連結部173の略U字状に折り返された折り返し部175に連続する部分を塑性変形させる動作について図19、図23乃至図28に基づいて説明する。図23乃至図28は変形プレート部材153の一対の連結部173を塑性変形させる動作説明図である。
図19に示すように、ラチェットギヤ35と巻取ドラム151との初期状態においては、変形プレート部材153の一対の連結部173は、内輪部171の外周面に接続された各々の一端部と、外輪部172の内周面に接続された各々の他端部とは、半径方向に相対向して位置している。
そして、図23乃至図26に示すように、ウエビング3の引き出しによって巻取ドラム151がウエビング引出方向(矢印208方向である。)へ回転した場合には、ラチェットギヤ35はパウル23によって回転が阻止されている。また、変形プレート部材153の外輪部172は、突出部172Aがラチェットギヤ35の当接部168に当接して、ウエビング引出方向への回転が阻止される。一方、変形プレート部材153の内輪部171は、巻取ドラム151の回転に伴ってウエビング引出方向(矢印208方向である。)へ外輪部172に対して相対回転されていく。
これにより、内輪部171の外周面に接続された一対の連結部173の各々の一端部は、他方の連結部173の内輪部171に対向する半径方向内側面と、内輪部171の外周面との間に押し込まれながら、ウエビング引出方向(矢印208方向である。)へ移動する。
また、一対の連結部173は、それぞれの略U字状に折り返されている折り返し部175よりも外輪部172側に連続する部分が、内輪部171の外周面に接続された他方の一端部に連続する連結部173の半径方向外側面と、外輪部172の内周面との隙間で、順次略U字状に折り曲げ変形されて、塑性変形しながら周方向ウエビング引き出し側(図23中、矢印208方向側である。)へ引き出されていく。尚、この際には、一対の連結部173のそれぞれの略U字状に折り返されている折り返し部175よりも外輪部172側に連続する部分が、順次折り曲げ変形により塑性変形すると同時に、巻取ドラム151の回転に伴ってトーションバー152も捻れ変形により塑性変形している。
このため、一対の連結部173の各々は、内輪部171の外周面に接続された他方の一端部に連続する連結部173の半径方向外側面と、外輪部172の内周面との隙間で、折り返し部175よりも外輪部172側に連続する部分が、順次略U字状に折り曲げ変形されて、塑性変形しながら周方向ウエビング引き出し側へ引き出される際に、一対の連結部173が塑性変形することによる抵抗に加えて、一対の連結部173の相互間にも摺動抵抗が生じる。これらの抵抗(主には塑性変形による抵抗である。)によって、変形プレート部材153による衝撃エネルギーの吸収がなされる。
続いて、図26乃至図28に示すように、内輪部171が外輪部172に対してウエビング引出方向(矢印208方向である。)へ約1回転した場合には、一対の連結部173は、折り返し部175よりも外輪部172側に連続する部分が全て折り曲げ変形されて、塑性変形が終了する。その後、更に、巻取ドラム151がウエビング引出方向(矢印208方向である。)へ回転した場合には、内輪部171は外輪部172に対してウエビング引出方向へ相対回転するため、内輪部171の外周面に接続された一対の連結部173の各々の一端部が周方向ウエビング引き出し側へ引っ張られる。
これにより、外輪部172の内周面に接続された一対の連結部173の各々の他端部の周方向ウエビング巻き取り側(矢印208方向に対して反対側である。)の基端部に破断基点173Aが発生し、各々の他端部が破断基点173Aから引張り破断されて、変形プレート部材153による衝撃エネルギーの吸収が終了する。尚、一対の連結部173が破断基点173Aから引張り破断した後は、巻取ドラム151の回転に伴ってトーションバー152が捻れ変形して、衝撃エネルギーを吸収する。
ここで、変形プレート部材153及びトーションバー152による衝撃エネルギーの吸収特性について図29に基づいて説明する。図29は変形プレート部材153及びトーションバー152による衝撃エネルギーの吸収の一例を示す吸収特性図である。
図29に示すように、ウエビング3の引き出しが開始されてから変形プレート部材153の一対の連結部173が、周方向ウエビング引き出し側へ引き出されて破断する時点までの間は、変形プレート部材153の一対の連結部173のそれぞれの折り返し部175よりも外輪部172側に連続する部分の折り曲げ変形による塑性変形と、トーションバー152の捩れ変形による塑性変形によって、衝撃エネルギーの吸収(EA:Energy Absorption )が、同時になされる。また、変形プレート部材153の一対の連結部173が、周方向ウエビング引き出し側へ引き出されて破断するまでの間は、エネルギー吸収荷重が乗員に悪影響を与えない最大荷重F1よりも小さい所定荷重にできるだけ沿うように設定することが可能である。
そして、変形プレート部材153の一対の連結部173が破断した場合には、この一対の連結部173のそれぞれの塑性変形による衝撃エネルギーの吸収は終了し、以降は巻取ドラム151の回転に伴ってトーションバー152の捻れ変形による衝撃エネルギーの吸収のみとなる。
以上詳細に説明した通り、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1では、変形プレート部材153は、正面視略リング状で、側面視平板状に形成されて、内輪部171と、外輪部172と、内輪部171と外輪部172の間に、両端部が各々に接続されて周方向ウエビング巻き取り側に沿って折り返されて配置される一対の連結部173とによって構成されるため、部品形状の簡素化を図ることができる。また、変形プレート部材153をプレス加工等によって容易に作成することができる。
また、変形プレート部材153の内輪部171は、内輪部171の内周面に形成された8個のキー溝171Aを、巻取ドラム151の一端部から突出した筒部165の外周面に設けられた8個の突出リブ165Aに嵌入することによって、該巻取ドラム151に対して相対回転不能に結合することができ、変形プレート部材153と巻取ドラム151の部品形状の簡素化を図ることができる。
また、変形プレート部材153は、外輪部172と内輪部171との相対回転によって、内輪部171の外周面と外輪部172の内周面との間に配置された一対の連結部173のそれぞれの略U字状に折り返されている折り返し部175よりも外輪部172側に連続する部分が、周方向ウエビング引き出し側へ引き出されて、順次略U字状に折り曲げ変形されて、塑性変形することによって衝撃エネルギーをスムーズに吸収することができる。これにより、変形プレート部材153の衝撃エネルギーの吸収特性を容易に設定することができると共に、当該変形プレート部材153の衝撃エネルギーを吸収する構造の簡易化を図ることができる。
また、一対の連結部173の塑性変形による抵抗に基づくエネルギー吸収荷重のバリエーションを図るためには、一対の連結部173の折り返し部175よりも外輪部172側に連続する部分の周方向の長さや厚さ等を各種製作すればよく、各種バリエーションに容易に対応できると共に、巻取ドラム151とラチェットギヤ35の共通化を図ることができる。
また、ラチェットギヤ35のフランジ部167の外周縁部から変形プレート部材153側へ突設された各当接部168が、変形プレート部材153の外輪部172の外周面から回転軸に対して半径方向外側へ突設された各突出部172Aの周方向ウエビング引き出し側の端面に当接される。これにより、ラチェットギヤ35のウエビング引出方向への回転をパウル23によって阻止することによって、変形プレート部材153の外輪部172のウエビング引出方向への回転を阻止できるため、簡易な構造で外輪部172の回転を阻止することができ、部品点数の削減化を図ることができる。
また、変形プレート部材153は、リング状の内輪部171及び外輪部172と、内輪部171の外周面と外輪部172の内周面との間に、周方向ウエビング巻き取り側へ周方向約半周分の長さで周方向に沿って折り返して形成された一対の連結部173とによって構成されるため、変形プレート部材153を略円板状に形成することができる。
これにより、当該変形プレート部材153を挟持する巻取ドラム151のフランジ部161の回転軸方向外側面と、ラチェットギヤ35のフランジ部167の回転軸方向内側面とを平面状にすることが可能となり、巻取ドラム151及びラチェットギヤ35の部品形状の簡素化を図ることができる。また、作業者は、略円板状に形成された変形プレート部材153の内輪部171を巻取ドラム151の筒部165に嵌入してフランジ部161に当接又は近接させて容易に取り付けることができ、組立作業の簡易化を図ることができる。また、巻取ドラム151の回転軸方向における変形プレート部材153を取り付けるためのスペースを小さくすることができ、シートベルト用リトラクタ1の巻取ドラムユニット6の回転軸方向の寸法への影響を小さくして小型化を図ることができる。
また、車両衝突時等でプリテンショナユニット7の作動後、パウル23とラチェットギヤ35のラチェットギヤ部35Aとが係合されている状態で、ウエビング3に作用する引出力が予め設定された所定値を超えて引き出された場合には、トーションバー152の捩れ変形(第1のエネルギー吸収)と変形プレート部材153の一対の連結部173の略U字状に折り返された折り返し部175に連続する外輪部172側の部分の塑性変形(第2のエネルギー吸収)との両方で衝撃エネルギーの吸収をすることができ、簡易な構造で様々な衝撃エネルギー吸収特性を実現することができる。
更に、変形プレート部材153の一対の連結部173が、外輪部172と内輪部171との相対回転によって引張り破断された後は、トーションバー152が捩れ変形して衝撃エネルギーを吸収する。これにより、変形プレート部材153の一対の連結部173の折り返し部175よりも外輪部172側に連続する部分の周方向の長さを設定することによって、トーションバー152の捩れ変形による塑性変形と、一対の連結部173の略U字状に折り返された折り返し部175に連続する外輪部172側の部分が、周方向ウエビング引き出し側へ引き出されて、順次折り曲げ変形される塑性変形とによって吸収される衝撃エネルギーの吸収特性を容易に調整することができる。
また、車両衝突時等でプリテンショナユニット7の作動後、パウル23とラチェットギヤ35のラチェットギヤ部35Aとが係合されている状態で、乗員が車両に対して相対的に前側へ移動して、巻取ドラム151がウエビング引出方向へ回転した場合には、ラチェットギヤ35と巻取ドラム151との相互間においても相対回転が生じる。それにより、巻取ドラム151の回転に伴って変形プレート部材153の内輪部171と外輪部172との相対回転によって一対の連結部173の略U字状に折り返された折り返し部175に連続する外輪部172側の部分が、順次折り曲げ変形される塑性変形によって衝撃エネルギーを吸収することができ、衝撃エネルギー吸収する構造の簡易化を図ることができる。これにより、変形プレート部材153による衝撃エネルギーを吸収する構成と、ラチェットギヤ35と巻取ドラム151との相対回転を利用したトーションバー152の捻れ変形による衝撃エネルギーを吸収する構成とを容易に組み合わせることができる。
尚、変形プレート部材153による衝撃エネルギーを吸収する構成に対して他の衝撃エネルギーを吸収する構成を組み合わせてもよい。例えば、ラチェットギヤ35と巻取ドラム151との間に設けられたワイヤー等の長尺状の部材を当該ラチェットギヤ35と巻取ドラム151との相対回転を利用して塑性変形させる機構や、ラチェットギヤ35と巻取ドラム151との相対回転を利用して、ラチェットギヤ35により、巻取ドラム151の一部を塑性変形させる機構等と組み合わせてもよい。
また、変形プレート部材153による衝撃エネルギーを吸収する構成に対して、必ずしもトーションバー152の捻れ変形等の他の衝撃エネルギーを吸収する構成を組み合わせる必要はない。つまり、変形プレート部材153による衝撃エネルギーの吸収時におけるウエビング3の張力や、一対の連結部173の略U字状に折り返された折り返し部175に連続する外輪部172側の部分の塑性変形が終了するまでの、内輪部171の外輪部172に対するウエビング引出方向への回転量の範囲内、即ち、巻取ドラム151の回転量の範囲内で、十分に衝撃エネルギーを吸収可能、且つ、ウエビング3の引き出しが完了する場合等においては、変形プレート部材153のみで衝撃エネルギーを吸収するように構成してもよい。つまり、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1において、ラチェットギヤ35と巻取ドラム151との間に、変形プレート部材153のみを配置して、トーションバー152を使用しない構成にしてもよい。
次に、第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ211について図30乃至図43に基づいて説明する。尚、以下の説明において、上記図1乃至図29に示す第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1の構成等と同一符号は、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。
この第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ211の概略構成は、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1とほぼ同じ構成である。
但し、第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ211は、巻取ドラムユニット6に替えて、図30乃至図33に示す巻取ドラムユニット212が設けられている点で異なっている。このため、図34及び図35に示すように、変形プレート部材213の外輪部172のウエビング引出方向への回転を阻止する阻止機構部215が設けられている点でも異なっている。
[巻取ドラムユニットの概略構成]
先ず、巻取ドラムユニット212の概略構成について図30乃至図33に基づいて説明する。図30は巻取ドラムユニット212の軸心を含む断面図である。図31及び図32は巻取ドラムユニット212の分解斜視図である。図33は図30のX2−X2矢視断面図である。
図30乃至図33に示すように、巻取ドラムユニット212は、巻取ドラムユニット6とほぼ同じ構成で、巻取ドラム151と、トーションバー152が設けられている。但し、巻取ドラムユニット212は、変形プレート部材153に替えて変形プレート部材213が設けられ、ラチェットギヤ35に替えてラチェットギヤ216が設けられている。
変形プレート部材213は、変形プレート部材153とほぼ同じ構成で、スチール材やステンレス材等の金属材からなる正面視略リング状で、軸方向所定厚さ(例えば、厚さ約2mmである。)の側面視平板状に形成され、内輪部171と、外輪部172と、内輪部171と外輪部172の間に配置される一対の連結部173とから構成されている。
但し、外輪部172の外周面には、4個の突出部172Aに替えて、後述のロックパウル218(図34参照)が係合するラチェットギヤ歯172Bが全周に渡って形成されている。また、外輪部172の外周面の外径は、巻取ドラム151のフランジ部161の外径より大きくなるように形成されており、ラチェットギヤ歯172Bの各歯底は、巻取ドラム151のフランジ部161の外周面よりも半径方向外側に位置するように形成されている。
また、図30乃至図32に示すように、ラチェットギヤ216は、ラチェットギヤ35とほぼ同じ構成で、アルミダイカストや亜鉛ダイカスト等により形成され、軸断面略リング状で外周部にラチェットギヤ部35Aが形成され、その内側中央位置に円筒状の固定ボス166が立設されている。
但し、上記ラチェットギヤ35のフランジ部167に替えて、ラチェットギヤ部35Aの巻取ドラム151側の端面部から全周に渡って半径方向外側に延出された正面視リング状のフランジ部217が形成されている。このフランジ部217の外径は、一対の連結部173の半径方向略中央部、つまり、周方向ウエビング巻き取り側へ周方向に沿って折り返された略U字状の折り返し部175に対向するように形成されると共に(図34参照)、フランジ部217の巻取ドラム151側の端面部は平面状に形成され、上記フランジ部167の4個の当接部168は設けられていない。
ここで、変形プレート部材213及びラチェットギヤ216の巻取ドラム151への取り付けについて図30乃至図33に基づいて説明する。
図30乃至図33に示すように、先ず、変形プレート部材213の内輪部171に形成された各キー溝171Aに、巻取ドラム151の筒部165の外周面に形成された各突出リブ165Aを嵌挿する。
続いて、ラチェットギヤ216の固定ボス166を巻取ドラム151の筒部165内に挿入して、トーションバー152の他端側に形成されたスプライン152Bを当該固定ボス166のスプライン溝166Aに圧入して、変形プレート部材213を巻取ドラム151のフランジ部161に当接させる。
これにより、巻取ドラム151のフランジ部161とラチェットギヤ216のフランジ部217との間に、変形プレート部材213が配置されると共に、ラチェットギヤ216が巻取ドラム151に装着される。また、変形プレート部材213の内輪部171が、巻取ドラム151の筒部165に対して同軸上に配置されると共に、該巻取ドラム151に対して相対回転不能に結合される。
また、変形プレート部材213の外輪部172が、ラチェットギヤ216に対して同軸上に配置される。また、変形プレート部材213のラチェットギヤ歯172Bの各歯底は、巻取ドラム151のフランジ部161及びラチェットギヤ216のフランジ部217のそれぞれの外周面よりも半径方向外側に位置するように設けられる。
[阻止機構部の概略構成]
次に、変形プレート部材213の外輪部172のウエビング引出方向への回転を阻止する阻止機構部215について図34及び図35に基づいて説明する。図34は変形プレート部材213の外輪部172のウエビング引出方向への回転を阻止する阻止機構部215の一例を示す模式図である。図35は車両衝突時のパウル23及び阻止機構部215の動作の一例を示す説明図である。
図34に示すように、阻止機構部215は、ロックパウル218と、ガス発生部材219と、シリンダ221と、移動部材222と、連動部材223とから構成されている。
ロックパウル218は、スチール材等で形成され、パウル23の回動軸方向内側(巻取ドラムユニット212側である。)に隣接して配置されて、変形プレート部材213のラチェットギヤ歯172Bに対向するように設けられている。また、ロックパウル218は、基端部(図34中、右端部である。)が、パウルリベット25によってパウル23の回動軸と同軸に、上下方向に回動可能に設けられている。
また、通常時は、ロックパウル218の先端部(図34中、左端部である。)に形成された各係合歯218A、218Bが、変形プレート部材213のラチェットギヤ歯172Bに対して所定隙間(例えば、隙間約1mm〜3mmである。)を形成して対向するように設けられている。尚、ロックパウル218の各係合歯218A、218Bとラチェットギヤ歯172Bとの係合は、変形プレート部材213の外輪部172がウエビング引出方向へ回転する一方向のみへの係合である。
ガス発生部材219は、火薬等のガス発生剤を含んでおり、図示省略の制御部からの着火信号によりガス発生剤を着火させて当該ガス発生剤の燃焼でガスを発生させるように構成されている。また、シリンダ221は、略箱体状に形成され、ネジ等によって側壁部12に取り付けられている。また、シリンダ221は、左右方向に連通する連通孔225の左端部にガス発生部材219が収納され、連通孔225の右端部には、断面円形又は断面矩形の平板状の移動部材222が外側方向(図34中、右方向である。)へ移動可能に配置されている。
また、連動部材223は、側面視略逆L字型に形成され、角部に形成された貫通孔226が、側壁部12の内側面に立設された取付ピン227に回動可能に嵌入され、この取付ピン227の中心軸回りに回動可能に支持されている。また、連動部材223の一端部は、ロックパウル218の変形プレート部材213に対して反対側の端面部に当接又は所定隙間(例えば、隙間約0.5mm〜3mmである。)を形成して対向するように設けられている。また、連動部材223の他端部は、移動部材222の移動方向側(図34中、右側方向である。)の端面に当接するように設けられている。
尚、不図示の捩りコイルバネ等によって、連動部材223の他端部が、通常時は、移動部材222の移動方向側(図34中、右側方向である。)の端面に当接するように付勢してもよい。
従って、図35に示すように、車両衝突時等において、車両加速度センサ28の慣性質量体52が、センサーホルダ51の底面部を移動してセンサレバー53を鉛直方向上側へ回動させるため、上記の通り、クラッチ85のガイド孔116に案内されたパウル23がラチェットギヤ216のラチェットギヤ部35Aに係合される。
また、車両衝突時等において、阻止機構部215のガス発生部材219が作動した場合には、発生したガスの圧力により移動部材222が外側方向(図35中、右側方向である。)へ移動して、連動部材223の他端部を押圧して上側方向へ回動させる。これにより、連動部材223が上側方向へ回動すると、連動部材223の一端部がロックパウル218を上側方向へ押圧して回動させ、ロックパウル218の各係合歯218A、218Bが、変形プレート部材213の外輪部172のラチェットギヤ歯172Bに係合される。
従って、車両衝突時等において、プリテンショナユニット7の作動後、引き続いて、ウエビング3が引き出された場合には、パウル23とラチェットギヤ部35Aとの係合によって、巻取ドラムユニット212のラチェットギヤ216は、ウエビング引出方向(矢印228方向である。)へ回転するのが抑止される。また、阻止機構部215のガス発生部材219が作動した後、引き続いて、ウエビング3が引き出された場合には、ロックパウル218とラチェットギヤ歯172Bとの係合によって、変形プレート部材213の外輪部172は、ウエビング引き出し方向(矢印228方向である。)へ回転するのが抑止される。
[エネルギー吸収]
次に、車両衝突時等でプリテンショナユニット7の作動後、パウル23とラチェットギヤ216のラチェットギヤ部35Aとが係合されている状態で、乗員が車両に対して相対的に前側へ移動した場合には、ウエビング3に大きな引き出し力が作用する。そして、ウエビング3に作用する引出力が予め設定された所定値を超えて引き出された場合には、巻取ドラム151にウエビング引出方向への回転トルクが作用する。
そして、巻取ドラム151に作用するウエビング引出方向への回転トルクによって、トーションバー152の巻取ドラム151の軸孔151Aの奥側に圧入固定されたスプライン152A側が回転され、トーションバー152の軸部152Cが捻れて塑性変形する捻れ変形が開始される。このトーションバー152の軸部152Cの捻れ変形に伴って巻取ドラム151がウエビング3の引出方向に回転し、「第1のエネルギー吸収機構」としてのトーションバー152の捻れ変形による衝撃エネルギーの吸収がなされる。
また同時に、巻取ドラム151が回転された場合には、ロックパウル218と変形プレート部材213の外輪部172のラチェットギヤ歯172Bとは係合されているため、この変形プレート部材213の外輪部172と巻取ドラム151との相互間においても相対回転が生じる。それにより、巻取ドラム151の回転に伴って変形プレート部材213の内輪部171と外輪部172との相互間においても相対回転が生じ、「第2のエネルギー吸収機構」としての変形プレート部材213の一対の連結部173の略U字状に折り返された折り返し部175に連続する外輪部172側の部分の塑性変形による衝撃エネルギーの吸収がなされる。
[連結部173の引き出し動作]
ここで、変形プレート部材213によって衝撃エネルギーを吸収する際の、当該変形プレート部材213の一対の連結部173の略U字状に折り返された折り返し部175に連続する部分を塑性変形させる動作について図33、図36乃至図41に基づいて説明する。図36乃至図41は変形プレート部材213の一対の連結部173を塑性変形させる動作説明図である。
図33に示すように、初期状態においては、変形プレート部材213の外輪部172のラチェットギヤ歯172Bとロックパウル218とは係合していない。従って、変形プレート部材213は巻取ドラム151と一体的に回転する。
続いて、図36乃至図39に示すように、車両衝突時等において、阻止機構部215のガス発生部材219が作動した場合には、発生したガスの圧力により移動部材222がシリンダ221内を外側に向かって移動して、連動部材223を上側方向へ回動させる。このため、ロックパウル218が連動部材223によって上側方向へ回動されて、各係合歯218A、218Bが変形プレート部材213の外輪部172のラチェットギヤ歯172Bに係合する。
そして、ウエビング3の引き出しによって巻取ドラム151がウエビング引出方向(矢印231方向である。)へ回転した場合には、ラチェットギヤ216はパウル23によって回転が阻止されている。また、変形プレート部材213の外輪部172は、ロックパウル218によってウエビング引出方向への回転が阻止されている。一方、変形プレート部材213の内輪部171は、巻取ドラム151の回転に伴ってウエビング引出方向(矢印231方向である。)へ外輪部172に対して相対回転されていく。
これにより、内輪部171の外周面に接続された一対の連結部173の各々の一端部は、他方の連結部173の内輪部171に対向する半径方向内側面と、内輪部171の外周面との間に押し込まれながら、ウエビング引出方向(矢印231方向である。)へ移動する。
また、一対の連結部173は、それぞれの略U字状に折り返されている折り返し部175よりも外輪部172側に連続する部分が、内輪部171の外周面に接続された他方の一端部に連続する連結部173の半径方向外側面と、外輪部172の内周面との隙間で、順次略U字状に折り曲げ変形されて、塑性変形しながら周方向ウエビング引き出し側(図36中、矢印231方向側である。)へ引き出されていく。尚、この際には、一対の連結部173のそれぞれ略U字状に折り返されている折り返し部175よりも外輪部172側に連続する部分が、順次折り曲げ変形により塑性変形すると同時に、巻取ドラム151の回転に伴ってトーションバー152も捻れ変形により塑性変形している。
このため、一対の連結部173の各々は、内輪部171の外周面に接続された他方の一端部に連続する連結部173の半径方向外側面と、外輪部172の内周面との隙間で、折り返し部175よりも外輪部172側に連続する部分が、順次略U字状に折り曲げ変形されて、塑性変形しながら周方向ウエビング引き出し側へ引き出される際に、一対の連結部173が塑性変形することによる抵抗に加えて、一対の連結部173の相互間にも摺動抵抗が生じる。これらの抵抗(主には塑性変形による抵抗である。)によって、変形プレート部材213による衝撃エネルギーの吸収がなされる。
続いて、図39乃至図41に示すように、内輪部171が外輪部172に対してウエビング引出方向(矢印231方向である。)へ約1回転した場合には、一対の連結部173は、折り返し部175よりも外輪部172側に連続する部分が全て折り曲げ変形されて、塑性変形が終了する。その後、更に、巻取ドラム151がウエビング引出方向(矢印231方向である。)へ回転した場合には、内輪部171は外輪部172に対してウエビング引出方向へ相対回転するため、内輪部171の外周面に接続された一対の連結部173の各々の一端部が周方向ウエビング引き出し側へ引っ張られる。
これにより、外輪部172の内周面に接続された一対の連結部173の各々の他端部の周方向ウエビング巻き取り側(矢印231方向に対して反対側方向である。)の基端部に破断基点173Aが発生し、各々の他端部が破断基点173Aから引張り破断されて、変形プレート部材213による衝撃エネルギーの吸収が終了する。尚、一対の連結部173が破断基点173Aから引張り破断した後は、巻取ドラム151の回転に伴ってトーションバー152が捻れ変形して、衝撃エネルギーを吸収する。
ここで、阻止機構部215のガス発生部材219が、プリテンショナユニット7のガス発生部材181とほぼ同時に作動した場合における、変形プレート部材213及びトーションバー152による衝撃エネルギーの吸収特性について図42に基づいて説明する。図42は変形プレート部材213及びトーションバー152による衝撃エネルギーの吸収の一例を示す吸収特性図である。
図42に示すように、ウエビング3の引き出しが開始されてから変形プレート部材213の一対の連結部173が、周方向ウエビング引き出し側へ引き出されて破断する時点までの間は、変形プレート部材213の一対の連結部173のそれぞれの折り返し部175よりも外輪部172側に連続する部分の折り曲げ変形による塑性変形と、トーションバー152の捩れ変形による塑性変形によって、衝撃エネルギーの吸収(EA:Energy Absorption )が、同時になされる。また、変形プレート部材213の一対の連結部173が、周方向ウエビング引き出し側へ引き出されて破断するまでの間は、エネルギー吸収荷重が乗員に悪影響を与えない最大荷重F1よりも小さい所定荷重にできるだけ沿うように設定することが可能である。
そして、変形プレート部材213の一対の連結部173が破断した場合には、この一対の連結部173のそれぞれの塑性変形による衝撃エネルギーの吸収は終了し、以降は巻取ドラム151の回転に伴ってトーションバー152の捻れ変形による衝撃エネルギーの吸収のみとなる。
次に、プリテンショナユニット7が作動した後、ウエビング3の引き出しが開始されてから長さL1だけ引き出された時点で、阻止機構部215のガス発生部材219が作動した場合における、変形プレート部材213及びトーションバー152による衝撃エネルギーの吸収特性について図43に基づいて説明する。図43は変形プレート部材213及びトーションバー152による衝撃エネルギーの吸収の一例を示す吸収特性図である。
図43に示すように、ウエビング3の引き出しが開始されてから長さL1だけ引き出される時点までは、変形プレート部材213は巻取ドラム151と一体的に回転するため、トーションバー152の捻れ変形による衝撃エネルギーの吸収(EA:Energy Absorption )のみとなる。
そして、ウエビング3の引き出しが開始されてから長さL1だけ引き出された時点で、阻止機構部215のガス発生部材219が作動した場合には、変形プレート部材213の一対の連結部173が、周方向ウエビング引き出し側へ引き出されて破断する時点まで、変形プレート部材213の一対の連結部173のそれぞれの折り返し部175よりも外輪部172側に連続する部分の折り曲げ変形による塑性変形と、トーションバー152の捩れ変形による塑性変形によって、衝撃エネルギーの吸収(EA:Energy Absorption )が、同時になされる。また、変形プレート部材213の一対の連結部173が、周方向ウエビング引き出し側へ引き出されて破断するまでの間は、エネルギー吸収荷重が乗員に悪影響を与えない最大荷重F1よりも小さい所定荷重にできるだけ沿うように設定することが可能である。
そして、変形プレート部材213の一対の連結部173が破断した場合には、この一対の連結部173のそれぞれの塑性変形による衝撃エネルギーの吸収は終了し、以降は巻取ドラム151の回転に伴ってトーションバー152の捻れ変形による衝撃エネルギーの吸収のみとなる。
以上詳細に説明した通り、第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ211では、変形プレート部材213は、正面視略リング状で、側面視平板状に形成されて、内輪部171と、外輪部172と、内輪部171と外輪部172の間に、両端部が各々に接続されて周方向ウエビング巻き取り側に沿って折り返されて配置される一対の連結部173とによって構成されるため、部品形状の簡素化を図ることができる。また、変形プレート部材213をプレス加工等によって容易に作成することができる。
また、変形プレート部材213の内輪部171は、内輪部171の内周面に形成された8個のキー溝171Aを、巻取ドラム151の一端部から突出した筒部165の外周面に設けられた8個の突設リブ165Aに嵌入することによって、該巻取ドラム151に対して相対回転不能に結合することができ、変形プレート部材213と巻取ドラム151の部品形状の簡素化を図ることができる。
また、変形プレート部材213は、外輪部172と内輪部171との相対回転によって、内輪部171の外周面と外輪部172の内周面との間に配置された一対の連結部173のそれぞれの略U字状に折り返されている折り返し部175よりも外輪部172側に連続する部分が、周方向ウエビング引き出し側へ引き出されて、順次略U字状に折り曲げ変形されて、塑性変形することによって衝撃エネルギーをスムーズに吸収することができる。これにより、変形プレート部材213の衝撃エネルギーの吸収特性を容易に設定することができると共に、当該変形プレート部材213の衝撃エネルギーを吸収する構造の簡易化を図ることができる。
また、車両衝突時等の緊急時に、プリテンショナユニット7の作動後、パウル23とラチェットギヤ216のラチェットギヤ部35Aとの係合とが係合されている状態で、任意のタイミングで阻止機構部215のガス発生部材219を作動させることによって、変形プレート部材213の外輪部172の外周部の全周に渡って形成されたラチェットギヤ歯172Bにロックパウル218を係合させて、当該外輪部172のウエビング引出方向への回転を阻止することができる。
これにより、衝撃エネルギーを吸収する変形プレート部材213の外輪部172のウエビング引出方向への回転を阻止する構造を簡易化することができると共に、部品形状の簡素化を図ることができる。また、車両衝突時等の緊急時に、プリテンショナユニット7が作動した後、任意のタイミングで阻止機構部215のガス発生部材219を作動させることによって、ウエビング3に作用する引出力が予め設定された所定値を超えて引き出された場合には、トーションバー152の捩れ変形(第1のエネルギー吸収)と、変形プレート部材213の一対の連結部173の略U字状に折り返された折り返し部175に連続する外輪部172側の部分が任意のタイミングで周方向ウエビング引き出し側へ引き出される塑性変形(第2のエネルギー吸収)とによって衝撃エネルギーの吸収を行うことができ、簡易な構造で様々な衝撃エネルギー吸収特性を実現することができる。
また、車両衝突時等の緊急時に、阻止機構部215のガス発生部材219を作動させないことによって、変形プレート部材213による衝撃エネルギーの吸収を行わないようにすることもできる。従って、簡易な構造で、乗員の体格や衝突の大きさ等に基づいて、緊急時に阻止機構部215のガス発生部材219の作動の有・無、及び、作動のタイミングを選択することによって、トーションバー152と変形プレート部材213とによる様々な衝撃エネルギーの吸収特性を適宜選択することができる。
また、ガス発生部材219のガスの圧力で押圧駆動された移動部材222の移動によって連動部材223が回動されて、ロックパウル218が一気にラチェットギヤ歯172Bに係合されるため、簡易な構造でロックパウル218をラチェットギヤ歯172Bに迅速に係合させて、外輪部172のウエビング引出方向への回転を阻止することができる。
また、変形プレート部材213は、リング状の内輪部171及び外輪部172と、内輪部171の外周面と外輪部172の内周面との間に、周方向ウエビング巻き取り側へ周方向約半周分の長さで周方向に沿って折り返して形成された一対の連結部173とによって構成されるため、変形プレート部材213を略円板状に形成することができる。
これにより、当該変形プレート部材213を挟持する巻取ドラム151のフランジ部161の回転軸方向外側面と、ラチェットギヤ216のフランジ部217の回転軸方向内側面とを平面状にすることが可能となり、巻取ドラム151及びラチェットギヤ216の部品形状の簡素化を図ることができる。また、作業者は、略円板状に形成された変形プレート部材213の内輪部171を巻取ドラム151の筒部165に嵌入してフランジ部161に当接又は近接させて容易に取り付けることができ、組立作業の簡易化を図ることができる。また、巻取ドラム151の回転軸方向における変形プレート部材213を取り付けるためのスペースを小さくすることができ、シートベルト用リトラクタ211の巻取ドラムユニット212の回転軸方向の寸法への影響を小さくして小型化を図ることができる。
更に、変形プレート部材213の一対の連結部173が、外輪部172と内輪部171との相対回転によって引張り破断された後は、トーションバー152が捩れ変形して衝撃エネルギーを吸収する。これにより、変形プレート部材213の一対の連結部173の折り返し部175よりも外輪部172側に連続する部分の周方向の長さを設定することによって、トーションバー152の捩れ変形による塑性変形と、一対の連結部173の略U字状に折り返された折り返し部175に連続する外輪部172側の部分が、周方向ウエビング引き出し側へ引き出されて、順次折り曲げ変形される塑性変形とによって吸収される衝撃エネルギーの吸収特性を容易に調整することができる。
次に、第3実施形態に係るシートベルト用リトラクタ241について図44乃至図50に基づいて説明する。尚、以下の説明において、上記図1乃至図29に示す第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1の構成等と同一符号は、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。
この第3実施形態に係るシートベルト用リトラクタ241の概略構成は、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1とほぼ同じ構成である。
但し、第3実施形態に係るシートベルト用リトラクタ241は、巻取ドラムユニット6の変形プレート部材153に替えて、図44に示す変形プレート部材242が設けられている点で異なっている。
[変形プレート部材242の概略構成]
先ず、変形プレート部材242の概略構成について図44に基づいて説明する。図44は第3実施形態に係るシートベルト用リトラクタ241の変形プレート部材242を巻取ドラムユニット6に装着した状態を示す断面図である。
図44に示すように、変形プレート部材242は、変形プレート部材153とほぼ同じ構成で、スチール材やステンレス材等の金属材からなる正面視略リング状で、軸方向所定厚さ(例えば、厚さ約2mmである。)の側面視平板状に形成され、内輪部171と、外輪部172と、内輪部171と外輪部172の間に配置される一対の連結部243とから構成されている。
変形プレート部材242の内輪部171の構成は、上記実施形態1に係る変形プレート部材153の内輪部171と同様に、正面視略リング状に形成されて、内輪部171の内周面には、8個のキー溝171Aが、周方向等ピッチで軸方向全幅に渡って形成されている。また、変形プレート部材242の外輪部172の構成は、上記実施形態1に係る変形プレート部材153の外輪部172と同様に、正面視略リング状に形成されて、外輪部172の外周面には、4個の突出部172Aが、周方向等ピッチで軸方向全幅に渡って形成されている。
また、一対の連結部243は、各々の一端部が、内輪部171の外周面の直径方向相対向する位置に接続されると共に、各々の他端部が、外輪部172の内周面の各一端部に対向する位置に接続されている。また、一対の連結部243の各々の半径方向の厚さは、内輪部171の外周面と外輪部172の内周面との間に形成される半径方向の隙間の約1/5の長さに形成されている。
但し、一対の連結部243は、それぞれ、内輪部171の外周面と外輪部172の内周面との間に、周方向ウエビング引き出し側(図44中、矢印174方向側である。)へ周方向約半周分の長さで周方向に沿って折り返されて、略U字状の折り返し部245を形成している。従って、一対の連結部243は、変形プレート部材242の回転中心に対してほぼ点対称になるように形成されている。尚、一対の連結部243は、周方向ウエビング引き出し側(図44中、矢印174方向側である。)へ周方向約半周分の長さよりも短い長さで周方向に沿って折り返されて、略U字状の折り返し部245を形成するようにしてもよい。
また、一対の連結部243の各々の外輪部172の内周面に接続される他端部は、周方向ウエビング巻き取り側(図44中、矢印174方向に対して反対側である。)の基端部に、周方向ウエビング引き出し側へ斜めに傾斜する傾斜面246が、軸方向全幅に渡って形成されている。
従って、変形プレート部材242は、上記変形プレート部材153と同様に、ラチェットギヤ35及び巻取ドラム151へ取り付けることができる(図15乃至図17、図19参照)。
[連結部243の押し出し動作]
次に、変形プレート部材242によって衝撃エネルギーを吸収する際の、当該変形プレート部材242の一対の連結部243の略U字状に折り返された折り返し部245に連続する部分を塑性変形させる動作について図44乃至図50に基づいて説明する。図45乃至図50は変形プレート部材242の一対の連結部243を塑性変形させる動作説明図である。
図44に示すように、ラチェットギヤ35と巻取ドラム151との初期状態においては、変形プレート部材242の一対の連結部243は、内輪部171の外周面に接続された各々の一端部と、外輪部172の内周面に接続された各々の他端部とは、半径方向に相対向して位置している。
そして、図45乃至図48に示すように、ウエビング3の引き出しによって巻取ドラム151がウエビング引出方向(矢印247方向である。)へ回転した場合には、ラチェットギヤ35はパウル23によって回転が阻止されている。また、変形プレート部材242の外輪部172は、突出部172Aがラチェットギヤ35の当接部168に当接して、ウエビング引出方向への回転が阻止される。一方、変形プレート部材242の内輪部171は、巻取ドラム151の回転に伴ってウエビング引出方向(矢印247方向である。)へ外輪部172に対して相対回転されていく。
これにより、内輪部171の外周面に接続された一対の連結部243の各々の一端部は、それぞれの略U字状に折り返されている折り返し部245よりも外輪部172側に連続する部分の半径方向内側面と、内輪部171の外周面との間に押し込まれながら、ウエビング引出方向(矢印247方向である。)へ移動する。
また、一対の連結部243は、それぞれの略U字状に折り返されている折り返し部245よりも内輪部171側に連続する部分が、外輪部172の内周面と内輪部171の外周面との隙間で、順次略U字状に折り曲げ変形されて、塑性変形しながら周方向ウエビング引き出し側(図45中、矢印247方向側である。)へ押し出される。そして、一対の連結部243は、それぞれの順次略U字状に折り曲げ変形される部分が、外輪部172の内周面に接続された他方の連結部243の他端部に形成された傾斜面246に沿って、当該他方の連結部243の半径方向内側面と、内輪部171の外周面との隙間に押し出される。
続いて、一対の連結部243は、外輪部172の内周面に接続された他方の連結部243の半径方向内側面と、内輪部171の外周面との隙間で、それぞれ順次略U字状に折り曲げ変形されて、塑性変形しながら周方向ウエビング引き出し側(図45中、矢印247方向側である。)へ押し出されていく。尚、この際には、一対の連結部243のそれぞれの略U字状に折り返されている折り返し部245よりも内輪部171側に連続する部分が、順次折り曲げ変形により塑性変形すると同時に、巻取ドラム151の回転に伴ってトーションバー152も捻れ変形により塑性変形している。
このため、一対の連結部243の各々は、外輪部172の内周面に接続された他方の連結部243の半径方向内側面と、内輪部171の外周面との隙間で、折り返し部245よりも内輪部171側に連続する部分が、順次略U字状に折り曲げ変形されて、塑性変形しながら周方向ウエビング引き出し側へ押し出される際に、一対の連結部243が塑性変形することによる抵抗に加えて、一対の連結部243の相互間にも摺動抵抗が生じる。これらの抵抗(主には塑性変形による抵抗である。)によって、変形プレート部材242による衝撃エネルギーの吸収がなされる。
続いて、図48乃至図50に示すように、内輪部171が外輪部172に対してウエビング引出方向(矢印247方向である。)へ約1回転した場合には、一対の連結部243は、折り返し部245よりも内輪部171側に連続する部分が全て折り曲げ変形されて、塑性変形が終了する。その後、更に、巻取ドラム151がウエビング引出方向(矢印247方向である。)へ回転した場合には、内輪部171は外輪部172に対してウエビング引出方向へ相対回転するため、内輪部171の外周面に接続された一対の連結部243の各々の一端部が周方向ウエビング引き出し側へ引っ張られる。
これにより、図49に示すように、内輪部171の外周面に接続された一対の連結部243の各々の一端部の周方向ウエビング引き出し側(矢印247方向側である。)の基端部に破断基点248が発生し、各々の一端部が破断基点248から引張り破断されて、変形プレート部材242による衝撃エネルギーの吸収が終了する。尚、一対の連結部243が破断基点248から引張り破断した後は、巻取ドラム151の回転に伴ってトーションバー152が捻れ変形して、衝撃エネルギーを吸収する。
従って、変形プレート部材242及びトーションバー152による衝撃エネルギーの吸収特性は、上記第1実施形態に係る変形プレート部材153及びトーションバー152による衝撃エネルギーの吸収特性とほぼ同じである(図29参照)。
以上詳細に説明した通り、第3実施形態に係るシートベルト用リトラクタ241では、上記第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1とほぼ同じ効果を奏することができる。つまり、変形プレート部材242は、正面視略リング状で、側面視平板状に形成されて、内輪部171と、外輪部172と、内輪部171と外輪部172の間に、両端部が各々に接続されて周方向ウエビング引き出し側に沿って折り返されて配置される一対の連結部243とによって構成されるため、部品形状の簡素化を図ることができる。また、変形プレート部材242をプレス加工等によって容易に作成することができる。
また、変形プレート部材242は、外輪部172と内輪部171との相対回転によって、内輪部171の外周面と外輪部172の内周面との間に配置された一対の連結部243のそれぞれの略U字状に折り返されている折り返し部245よりも内輪部171側に連続する部分が、周方向ウエビング引き出し側へ押し出されて、順次略U字状に折り曲げ変形されて、塑性変形することによって衝撃エネルギーをスムーズに吸収することができる。これにより、変形プレート部材242の衝撃エネルギーの吸収特性を容易に設定することができると共に、当該変形プレート部材242の衝撃エネルギーを吸収する構造の簡易化を図ることができる。
また、一対の連結部243の塑性変形による抵抗に基づくエネルギー吸収荷重のバリエーションを図るためには、一対の連結部243の折り返し部245よりも内輪部171側に連続する部分の周方向の長さや厚さ等を各種製作すればよく、各種バリエーションに容易に対応できると共に、巻取ドラム151とラチェットギヤ35の共通化を図ることができる。
更に、変形プレート部材242の一対の連結部243が、外輪部172と内輪部171との相対回転によって引張り破断された後は、トーションバー152が捩れ変形して衝撃エネルギーを吸収する。これにより、変形プレート部材242の一対の連結部243の折り返し部245よりも内輪部171側に連続する部分の周方向の長さを設定することによって、トーションバー152の捩れ変形による塑性変形(第1のエネルギー吸収)と、一対の連結部243の略U字状に折り返された折り返し部245に連続する内輪部171側の部分が、周方向ウエビング引き出し側へ押し出されて、順次折り曲げ変形される塑性変形(第2のエネルギー吸収)とによって吸収される衝撃エネルギーの吸収特性を容易に調整することができる。
次に、第4実施形態に係るシートベルト用リトラクタ251について図51乃至図57に基づいて説明する。尚、以下の説明において、上記図30乃至図43に示す第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ211の構成等と同一符号は、第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ211の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。
この第4実施形態に係るシートベルト用リトラクタ251の概略構成は、第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ211とほぼ同じ構成である。
但し、第4実施形態に係るシートベルト用リトラクタ251は、巻取ドラムユニット212の変形プレート部材213に替えて、図51に示す変形プレート部材252が設けられている点で異なっている。
[変形プレート部材252の概略構成]
先ず、変形プレート部材252の概略構成について図51に基づいて説明する。図51は第4実施形態に係るシートベルト用リトラクタ251の変形プレート部材252を巻取ドラムユニット212に装着した状態を示す断面図である。
図51に示すように、変形プレート部材252は、変形プレート部材213とほぼ同じ構成で、スチール材やステンレス材等の金属材からなる正面視略リング状で、軸方向所定厚さ(例えば、厚さ約2mmである。)の側面視平板状に形成され、内輪部171と、外輪部172と、内輪部171と外輪部172の間に配置される一対の連結部253とから構成されている。
変形プレート部材252の内輪部171の構成は、上記実施形態2に係る変形プレート部材213の内輪部171と同様に、正面視略リング状に形成されて、内輪部171の内周面には、8個のキー溝171Aが、周方向等ピッチで軸方向全幅に渡って形成されている。また、変形プレート部材252の外輪部172の構成は、上記実施形態2に係る変形プレート部材213の外輪部172と同様に、正面視略リング状に形成されて、外輪部172の外周面には、ラチェットギヤ歯172Bが全周に渡って形成されている。
また、一対の連結部253は、各々の一端部が、内輪部171の外周面の直径方向相対向する位置に接続されると共に、各々の他端部が、外輪部172の内周面の各一端部に対向する位置に接続されている。また、一対の連結部253の各々の半径方向の厚さは、内輪部171の外周面と外輪部172の内周面との間に形成される半径方向の隙間の約1/5の長さに形成されている。
但し、一対の連結部253は、それぞれ、内輪部171の外周面と外輪部172の内周面との間に、周方向ウエビング引き出し側(図51中、反時計方向側である。)へ周方向約半周分の長さで周方向に沿って折り返されて、略U字状の折り返し部255を形成している。従って、一対の連結部253は、変形プレート部材252の回転中心に対してほぼ点対称になるように形成されている。尚、一対の連結部253は、周方向ウエビング引き出し側(図51中、反時計方向側である。)へ周方向約半周分の長さよりも短い長さで周方向に沿って折り返されて、略U字状の折り返し部255を形成するようにしてもよい。
また、一対の連結部253の各々の外輪部172の内周面に接続される他端部は、周方向ウエビング巻き取り側(図51中、時計方向側である。)の基端部に、周方向ウエビング引き出し側へ斜めに傾斜する傾斜面256が、軸方向全幅に渡って形成されている。
従って、変形プレート部材252は、上記変形プレート部材213と同様に、ラチェットギヤ216及び巻取ドラム151へ取り付けることができる(図30乃至図33参照)。
[連結部253の押し出し動作]
次に、変形プレート部材252によって衝撃エネルギーを吸収する際の、当該変形プレート部材252の一対の連結部253の略U字状に折り返された折り返し部255に連続する部分を塑性変形させる動作について図51乃至図57に基づいて説明する。図52乃至図57は変形プレート部材252の一対の連結部253を塑性変形させる動作説明図である。
図51に示すように、初期状態においては、変形プレート部材252の外輪部172のラチェットギヤ歯172Bとロックパウル218とは係合していない。従って、変形プレート部材252は巻取ドラム151と一体的に回転する。
続いて、図52乃至図55に示すように、車両衝突時等において、阻止機構部215のガス発生部材219が作動した場合には、発生したガスの圧力により移動部材222がシリンダ221内を外側に向かって移動して、連動部材223を上側方向へ回動させる。このため、ロックパウル218が連動部材223によって上側方向へ回動されて、各係合歯218A、218Bが変形プレート部材252の外輪部172のラチェットギヤ歯172Bに係合する。
そして、ウエビング3の引き出しによって巻取ドラム151がウエビング引出方向(矢印257方向である。)へ回転した場合には、ラチェットギヤ216はパウル23によって回転が阻止されている。また、変形プレート部材252の外輪部172は、ロックパウル218によってウエビング引出方向への回転が阻止されている。一方、変形プレート部材252の内輪部171は、巻取ドラム151の回転に伴ってウエビング引出方向(矢印257方向である。)へ外輪部172に対して相対回転されていく。
これにより、内輪部171の外周面に接続された一対の連結部253の各々の一端部は、それぞれの略U字状に折り返されている折り返し部255よりも外輪部172側に連続する部分の半径方向内側面と、内輪部171の外周面との間に押し込まれながら、ウエビング引出方向(矢印257方向である。)へ移動する。
また、一対の連結部253は、それぞれの略U字状に折り返されている折り返し部255よりも内輪部171側に連続する部分が、外輪部172の内周面と内輪部171の外周面との隙間で、順次略U字状に折り曲げ変形されて、塑性変形しながら周方向ウエビング引き出し側(図52中、矢印257方向側である。)へ押し出される。そして、一対の連結部253は、それぞれの順次略U字状に折り曲げ変形される部分が、外輪部172の内周面に接続された他方の連結部253の他端部に形成された傾斜面256に沿って、当該他方の連結部253の半径方向内側面と、内輪部171の外周面との隙間に押し出される。
続いて、一対の連結部253は、外輪部172の内周面に接続された他方の連結部253の半径方向内側面と、内輪部171の外周面との隙間で、それぞれ順次略U字状に折り曲げ変形されて、塑性変形しながら周方向ウエビング引き出し側(図52中、矢印257方向側である。)へ押し出されていく。尚、この際には、一対の連結部253のそれぞれの略U字状に折り返されている折り返し部255よりも内輪部171側に連続する部分が、順次折り曲げ変形により塑性変形すると同時に、巻取ドラム151の回転に伴ってトーションバー152も捻れ変形により塑性変形している。
このため、一対の連結部253の各々は、外輪部172の内周面に接続された他方の連結部253の半径方向内側面と、内輪部171の外周面との隙間で、折り返し部255よりも内輪部171側に連続する部分が、順次略U字状に折り曲げ変形されて、塑性変形しながら周方向ウエビング引き出し側へ押し出される際に、一対の連結部253が塑性変形することによる抵抗に加えて、一対の連結部253の相互間にも摺動抵抗が生じる。これらの抵抗(主には塑性変形による抵抗である。)によって、変形プレート部材252による衝撃エネルギーの吸収がなされる。
続いて、図55乃至図57に示すように、内輪部171が外輪部172に対してウエビング引出方向(矢印257方向である。)へ約1回転した場合には、一対の連結部253は、折り返し部255よりも内輪部171側に連続する部分が全て折り曲げ変形されて、塑性変形が終了する。その後、更に、巻取ドラム151がウエビング引出方向(矢印257方向である。)へ回転した場合には、内輪部171は外輪部172に対してウエビング引出方向へ相対回転するため、内輪部171の外周面に接続された一対の連結部253の各々の一端部が周方向ウエビング引き出し側へ引っ張られる。
これにより、図56に示すように、内輪部171の外周面に接続された一対の連結部253の各々の一端部の周方向ウエビング引き出し側(矢印257方向側である。)の基端部に破断基点258が発生し、各々の一端部が破断基点258から引張り破断されて、変形プレート部材252による衝撃エネルギーの吸収が終了する。尚、一対の連結部253が破断基点258から引張り破断した後は、巻取ドラム151の回転に伴ってトーションバー152が捻れ変形して、衝撃エネルギーを吸収する。
従って、阻止機構部215のガス発生部材219が、プリテンショナユニット7のガス発生部材181とほぼ同時に作動した場合における、変形プレート部材252及びトーションバー152による衝撃エネルギーの吸収特性は、上記第2実施形態に係る変形プレート部材213及びトーションバー152による衝撃エネルギーの吸収特性とほぼ同じである(図42参照)。
また、プリテンショナユニット7が作動した後、ウエビング3の引き出しが開始されてから長さL1だけ引き出された時点で、阻止機構部215のガス発生部材219が作動した場合における、変形プレート部材252及びトーションバー152による衝撃エネルギーの吸収特性も、上記第2実施形態に係る変形プレート部材213及びトーションバー152による衝撃エネルギーの吸収特性とほぼ同じである(図43参照)。
以上詳細に説明した通り、第4実施形態に係るシートベルト用リトラクタ251では、上記第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ211とほぼ同じ効果を奏することができる。つまり、変形プレート部材252は、正面視略リング状で、側面視平板状に形成されて、内輪部171と、外輪部172と、内輪部171と外輪部172の間に、両端部が各々に接続されて周方向ウエビング引き出し側に沿って折り返されて配置される一対の連結部253とによって構成されるため、部品形状の簡素化を図ることができる。また、変形プレート部材252をプレス加工等によって容易に作成することができる。
また、変形プレート部材252は、外輪部172と内輪部171との相対回転によって、内輪部171の外周面と外輪部172の内周面との間に配置された一対の連結部253のそれぞれの略U字状に折り返されている折り返し部255よりも内輪部171側に連続する部分が、周方向ウエビング引き出し側へ押し出されて、順次略U字状に折り曲げ変形されて、塑性変形することによって衝撃エネルギーをスムーズに吸収することができる。これにより、変形プレート部材252の衝撃エネルギーの吸収特性を容易に設定することができると共に、当該変形プレート部材252の衝撃エネルギーを吸収する構造の簡易化を図ることができる。
また、一対の連結部253の塑性変形による抵抗に基づくエネルギー吸収荷重のバリエーションを図るためには、一対の連結部253の折り返し部255よりも内輪部171側に連続する部分の周方向の長さや厚さ等を各種製作すればよく、各種バリエーションに容易に対応できると共に、巻取ドラム151とラチェットギヤ216の共通化を図ることができる。
更に、変形プレート部材252の一対の連結部253が、外輪部172と内輪部171との相対回転によって引張り破断された後は、トーションバー152が捩れ変形して衝撃エネルギーを吸収する。これにより、変形プレート部材252の一対の連結部253の折り返し部255よりも内輪部171側に連続する部分の周方向の長さを設定することによって、トーションバー152の捩れ変形による塑性変形(第1のエネルギー吸収)と、一対の連結部253の略U字状に折り返された折り返し部255に連続する内輪部171側の部分が、周方向ウエビング引き出し側へ押し出されて、順次折り曲げ変形される塑性変形(第2のエネルギー吸収)とによって吸収される衝撃エネルギーの吸収特性を容易に調整することができる。
尚、本発明は前記第1実施形態乃至第4実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
(A)例えば、図19又は図44において、各突出部172Aの周方向ウエビング引き出し方向側(図19又は図44中、反時計方向側である。)の端面と、ラチェットギヤ35の各当接部168との間に所定隙間(例えば、約1mm乃至5mmの隙間である。)を形成するようにしてもよい。これにより、車両衝突時等の緊急時に、プリテンショナユニット7の作動後、パウル23とラチェットギヤ35のラチェットギヤ部35Aとが係合されている状態で、ウエビング3に作用する引出力が予め設定された所定値を超えて引き出された場合には、トーションバー152の捩れ変形による塑性変形(第1のエネルギー吸収)の開始タイミングと、変形プレート部材153の一対の連結部173又は変形プレート部材242の一対の連結部243の塑性変形(第2のエネルギー吸収)の開始タイミングとをずらすことが可能となり、簡易な構造で様々な衝撃エネルギー吸収特性を実現することが可能となる。
(B)また、例えば、各変形プレート部材153、213、242、252の内輪部171の外周面と外輪部172の内周面との間に、1個の各連結部173、243、253を設けるようにしてもよい。これにより、各変形プレート部材153、213、242、252の部品形状の更なる簡素化を図ることが可能となる。
また、各連結部173、243、253の数が1個になって、各折り返し部175、245、255も1個になることで、各折り返し部175、245、255に連続する部分が順次略U字状に折り曲げ変形して塑性変形する箇所も1ヶ所になる。このため、衝撃エネルギーの吸収時のウエビング張力が低減する反面、各連結部173、243、253の塑性変形が完了するまでの内輪部171の外輪部172に対するウエビング引出方向への回転量を容易に増加して、各変形プレート部材153、213、242、252による衝撃エネルギーの吸収時における、巻取ドラム151の最大回転量を容易に増加させることができる。
また、各変形プレート部材153、213、242、252の内輪部171の外周面と外輪部172の内周面との間に、各折り返し部175、245、255が形成された各連結部173、243、253を3個以上設けるようにしてもよい。
これにより、各連結部173、243、253の個数を増やすことによって、各連結部173、243、253の塑性変形が終了するまでの内輪部171の外輪部172に対するウエビング引出方向への回転量が減少する反面、各連結部173、243、253の個数が増えて、各折り返し部175、245、255の個数が増える。そのため、各折り返し部175、245、255に連続する部分が略U字状に折り曲げ変形して塑性変形する箇所も増えて、各変形プレート部材153、213、242、252による衝撃エネルギーの吸収時における、ウエビング張力を容易に増加させることができる。
1、211、241、251 シートベルト用リトラクタ
3 ウエビング
6、212 巻取ドラムユニット
23 パウル
28 車両加速度センサ
35、216 ラチェットギヤ
35A ラチェットギヤ部
152 トーションバー
153、213、242、252 変形プレート部材
168 当接部
171 内輪部
172 外輪部
172A 突出部
172B ラチェットギヤ歯
173、243、253 連結部
175、245、255 折り返し部
218 ロックパウル
219 ガス発生部材
221 シリンダ
222 移動部材
223 連動部材

Claims (11)

  1. ウエビングが巻装される巻取ドラムと、
    前記巻取ドラムの一端部に近接配置されて、該巻取ドラムに対して相対回転不能に結合されると共に、緊急時に緊急ロック機構によりウエビング引出方向への回転が阻止されて、更に、前記ウエビングの引出力が所定値を超えた場合には、該巻取ドラムに対して相対回転可能となるように結合されたロック部材と、
    前記巻取ドラムと前記ロック部材との間に設けられて、前記巻取ドラムと前記ロック部材の相対回転により衝撃エネルギーを吸収する衝撃エネルギー吸収機構部と、
    を備え、
    前記衝撃エネルギー吸収機構部は、
    前記巻取ドラムの一端部側面に当接又は近接して同軸上に配置されると共に、該巻取ドラムに対して相対回転不能に結合される変形プレート部材と、
    前記変形プレート部材のウエビング引出方向への回転を阻止する阻止機構部と、
    を含み、
    前記変形プレート部材は、
    前記巻取ドラムの一端部側面に対向して同軸上に配置されると共に、該巻取ドラムに対して相対回転不能に結合されるリング状の内輪部と、
    前記内輪部の外周面に対して半径方向外側に所定隙間を形成して同軸上に配置されるリング状の外輪部と、
    一端部が前記内輪部の外周面に接続されると共に、他端部が前記外輪部の内周面に接続されて、該内輪部の外周面と該外輪部の内周面との間で周方向に沿って折り返されて配置される連結部と、
    を有し、
    前記阻止機構部は、前記外輪部のウエビング引出方向への回転を阻止し、
    前記衝撃エネルギー吸収機構部は、緊急時に前記緊急ロック機構が作動して、更に、前記ロック部材が前記巻取ドラムに対して相対回転すると共に、前記阻止機構部によって前記外輪部のウエビング引出方向への回転が阻止された場合には、少なくとも前記変形プレート部材における該外輪部と前記内輪部との相対回転によって、前記連結部の折り返された折り返し部に連続する部分が、順次折り曲げ変形されて衝撃エネルギーを吸収することを特徴とするシートベルト用リトラクタ。
  2. 前記ロック部材は、前記巻取ドラムの一端部に前記変形プレート部材を挟んで近接配置され、
    前記阻止機構部は、前記ロック部材を介して前記外輪部のウエビング引出方向への回転を阻止することを特徴とする請求項1に記載のシートベルト用リトラクタ。
  3. 前記阻止機構部は、
    前記外輪部の外周部から回転軸に対して半径方向外側へ突設される突出部と、
    前記ロック部材の外周部から前記変形プレート部材側へ突設されて前記突出部の周方向ウエビング引き出し側の端面に当接される当接部と、
    を有することを特徴とする請求項2に記載のシートベルト用リトラクタ。
  4. 前記変形プレート部材は、前記外輪部の外周部の全周に渡って形成されたラチェットギヤ歯を有し、
    前記阻止機構部は、
    前記ラチェットギヤ歯と係合するロックパウルと、
    任意のタイミングで前記ロックパウルを前記ラチェットギヤ歯に係合させる作動機構部と、
    を有し、
    前記ラチェットギヤ歯と前記ロックパウルとの係合は、前記外輪部がウエビング引出方向へ回転する一方向のみへの係合であることを特徴とする請求項1に記載のシートベルト用リトラクタ。
  5. 前記作動機構部は、
    シリンダ内にガスを発生させるガス発生部材と、
    前記ガスの圧力で押圧駆動されて前記シリンダ内を移動する移動部材と、
    前記移動部材の移動に連動して前記ロックパウルを前記ラチェットギヤ歯に係合させる連動部材と、
    を有することを特徴とする請求項4に記載のシートベルト用リトラクタ。
  6. 前記連結部は、前記外輪部と前記内輪部との相対回転によって、該連結部の折り返された折り返し部に連続する部分の折り曲げ変形が終了した後、該外輪部と該内輪部との相対回転によって引張り破断されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のシートベルト用リトラクタ。
  7. 前記連結部は、前記内輪部の外周面と前記外輪部の内周面との間で周方向ウエビング巻き取り側に沿って折り返され、
    該連結部は、前記変形プレート部材における前記外輪部と前記内輪部との相対回転によって、折り返された折り返し部に連続する部分が、周方向ウエビング引き出し側へ引き出されて順次折り曲げ変形されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のシートベルト用リトラクタ。
  8. 前記連結部は、前記内輪部の外周面と前記外輪部の内周面との間で周方向ウエビング引き出し側に沿って折り返され、
    該連結部は、前記変形プレート部材における前記外輪部と前記内輪部との相対回転によって、折り返された折り返し部に連続する部分が、周方向ウエビング引き出し側へ押し出されて順次折り曲げ変形されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のシートベルト用リトラクタ。
  9. 前記衝撃エネルギー吸収機構部は、前記巻取ドラムに嵌挿されて軸方向一端側が該巻取ドラムの他端部に相対回転不能に結合され、軸方向他端側が前記ロック部材に相対回転不能に結合されるトーションバーを含み、
    該衝撃エネルギー吸収機構部は、緊急時に前記緊急ロック機構が作動して、更に、前記ロック部材が前記巻取ドラムに対して相対回転した場合には、少なくとも前記トーションバーが捩れ変形することによって衝撃エネルギーを吸収することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のシートベルト用リトラクタ。
  10. 前記衝撃エネルギー吸収機構部は、前記連結部の折り返された折り返し部に連続する部分の折り曲げ変形が終了した後、該連結部が前記外輪部と前記内輪部との相対回転によって引張り破断された場合には、その後、少なくとも前記トーションバーが捩れ変形することによって衝撃エネルギーを吸収することを特徴とする請求項9に記載のシートベルト用リトラクタ。
  11. 前記ロック部材は、外周部の全周に渡ってラチェットギヤ歯が形成されたラチェットギヤ部材を有し、
    前記緊急ロック機構は、前記ラチェットギヤ部材のラチェットギヤ歯と係合するパウルを有し、
    前記ラチェットギヤ部材と前記パウルとの係合は、該ラチェットギヤ部材がウエビング引出方向へ回転する一方向のみへの係合であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のシートベルト用リトラクタ。
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