JP2013244603A - 成形装置 - Google Patents

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誠 外川内
Yasuto Higuchi
靖人 樋口
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Abstract

【課題】専用の駆動装置を用いることなくエジェクタピンを動作させることが可能な成形装置を提供する。
【解決手段】上型25及び下型23の間に形成されるキャビティS1内に成形された車両用内装材10を押し出すためのエジェクタ機構40を備える成形装置20であって、エジェクタ機構40は、上型25の内部に設けられ、下型23に向かって突出する形状をなすエジェクタピン42と、エジェクタピン42と連結されるベース部材50と、を備え、変位部材70が、型開きに連動して下降する過程で、支持部材60を被支持面51Aから遠ざかる方向に変位させることで、支持部材60による被支持面51Aの支持が解除され、ベース部材50が落下する結果、エジェクタピン42の突出端部が上型25の外部に突き出される構成であることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、成形装置に関する。
従来、成形品を成形するための成形装置において、成形品の脱型時に、成形品を押し出すためのエジェクタピンを備えるものが知られている(下記特許文献1参照)。特許文献1に記載のものでは、流体圧シリンダなどの駆動装置を用いて、エジェクタピンを動作させる構成となっている。
特開2003−170463号公報
しかしながら、上記構成においては、エジェクタピンを動作させるために専用の駆動装置が必要となる。これにより、駆動装置の分だけ成形装置のコストが増加する。また、駆動装置のメンテナンスを行う必要も生じる。また、駆動装置のメンテナンスのために、駆動装置を構成する各部品のスペアを準備する必要も生じる。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、専用の駆動装置を用いることなくエジェクタピンを動作させることが可能な成形装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、上型と、前記上型に対して型閉じ及び型開きが可能な下型と、前記上型及び前記下型の間に形成されるキャビティ内に成形された成形品を押し出すためのエジェクタ機構と、を備える成形装置であって、前記エジェクタ機構は、前記上型の内部に設けられ、前記下型に向かって突出する形状をなすエジェクタピンと、前記上型の上方に配され、前記エジェクタピンと連結されるベース部材と、前記ベース部材の面のうち、下方を向く被支持面を下方から支持することで、前記ベース部材の落下を規制する支持部材と、前記型開きに連動して下降する変位部材と、を備え、前記変位部材は、前記型開きに連動して下降する過程で前記支持部材に当接し、前記支持部材を前記被支持面から遠ざかる方向に変位させる構成とされ、前記支持部材が前記被支持面から遠ざかる方向に変位することで、前記支持部材による前記被支持面の支持が解除され、前記ベース部材が落下する結果、前記エジェクタピンが落下して、前記エジェクタピンの突出端部が前記上型の外部に突き出される構成であることに特徴を有する。
本発明によれば、上型に対する下型の型開きに連動して変位部材が下降する。そして、変位部材の下降に起因して、支持部材による被支持面の支持が解除されることで、ベース部材及びエジェクタピンが落下する結果、上型の内部に配されているエジェクタピンの突出端部が上型の外部に突き出す構成となっている。これにより、エジェクタピンによって成形品を押し出すことができる。
このように、本発明においては、ベース部材を落下させることで、エジェクタピンを動かす構成としてある。すなわち、重力を用いてエジェクタピンを動かす構成であるから、エジェクタピンを動作させるための専用の駆動装置が不要となる。
上記構成において、前記ベース部材の側面に凹設された溝部と、前記溝部と同じ高さに配され、前記溝部に挿入可能な挿入部材と、を備え、前記溝部は、当該溝部の奥方に向かうにつれて下降傾斜するとともに下方を向く傾斜面を有しており、前記上型及び前記ベース部材は、前記下型の上方に配される通常位置と、前記下型の上方から退避された退避位置との間で水平方向に沿って変位可能とされ、前記ベース部材が前記通常位置から前記退避位置に変位する過程においては、前記ベース部材が前記挿入部材に向かって変位することで、前記溝部に対して前記挿入部材が挿入される構成とされ、前記挿入部材が前記溝部の奥方に向かうにつれて、前記挿入部材の外周面が前記傾斜面を押し上げることで、前記ベース部材及び前記エジェクタピンが上昇する構成であるものとすることができる。
本発明の成形装置の動作手順としては、通常位置にある上型と下型とを型閉じすることで、成形品の成形を行った後、型開きを行う。これにより、エジェクタピンが下降して、エジェクタピンの突出端部が上型の外部に(下型に向かって)突き出す。成形品は、エジェクタピンの突出端部に押圧されることで、下型側に変位し、例えば、下型の上面に載置された状態となる。
その後、上型及びベース部材を退避位置に変位させる。上型及びベース部材を退避位置にすることで、成形品を容易に下型から取り出すことができる。そして、ベース部材が退避位置に変位する過程では、挿入部材が溝部の傾斜面を押し上げることで、ベース部材及びエジェクタピンを上昇させることができる。つまり、型開き時に下降したベース部材及びエジェクタピンを、退避位置に変位する過程で上昇させることができる。
また、前記支持部材は、前記被支持面に近づく方向に付勢されており、前記ベース部材が前記通常位置から前記退避位置に変位する過程においては、前記支持部材が前記被支持面に近づく方向に変位するものとされ、前記ベース部材が前記退避位置に配されている状態において、前記支持部材が前記被支持面を下方から支持する構成とされるものとすることができる。
このような構成とすれば、通常位置から退避位置に変位させた状態で、ベース部材の落下を規制することができる。
また、前記ベース部材の側面には、略V字状をなすV字溝が凹設され、前記被支持面は、前記V字溝の内面のうち、下方を向く面とされ、前記支持部材は、長手状をなすとともに、長手方向と直交する軸を回動軸として回動可能とされ、前記支持部材の長手方向における一端部が前記V字溝に嵌合することで、前記被支持面を下方から支持する構成とされ、前記変位部材は、下方に変位する過程で、前記支持部材の他端部を下方に押圧することで前記支持部材の前記一端部を前記V字溝から遠ざかる方向に回動させる構成とされるものとすることができる。
このような構成とすれば、支持部材を被支持面から遠ざかる方向に変位させる構成を比較的容易に実現することができる。
本発明によれば、専用の駆動装置を用いることなくエジェクタピンを動作させることが可能な成形装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る成形装置を示す断面図 図1の状態から型開きを行った状態を示す断面図 図2の状態からベース部材及びエジェクタピンが落下した状態を示す断面図 図3の状態からベース部材及び上型を退避位置に変位させた状態を示す断面図 型閉じを行う過程を示す断面図 図5の状態から変位部材が上昇した状態を示す断面図
本発明の一実施形態を図1ないし図6によって説明する。本実施形態では、図1に示すように、車両用内装材10(成形品)を成形するための成形装置20を例示する。車両用内装材10は、合成樹脂(例えばポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂)から構成される基材11と、基材11の表面を覆う表皮材14と、を備えている。このような車両用内装材10としては、例えば、車両用ドアトリムに設けられるオーナメントを例示することができる。
成形装置20は、図1に示すように、基台21と、下型23と、上型25と、エジェクタ機構40と、を備えている。下型23及び上型25は互いに対向配置されている。下型23は、キャビ型とされ、下型23における上型25との対向面は凹状をなしている。これに対して、上型25は、コア型とされ、上型25における下型23との対向面は凸状をなしている。
下型23は、下型取付板24の上面に取り付けられている。下型取付板24は、駆動ロッド26を介して基台21に対して取り付けられている。駆動ロッド26は、例えば、電動モータなどを用いた駆動装置(図示しない)によって上昇及び下降が可能とされる。これにより、下型取付板24及び下型23を上昇及び下降させることができ、上型25に対して型閉じ及び型開きが可能な構成となっている。
上型25及び下型23を型閉じした状態では、図1に示すように、上型25及び下型23の間にキャビティS1(基材11を成形するための成形空間)が形成される構成となっている。これにより、下型23の成形面(上面)に表皮材14を設置した後、図示しない射出装置から、上型25及び下型23の間に溶融樹脂を射出し、キャビティS1内に充填させることで、キャビティS1内に基材11が成形される構成となっている。また、基材11は、表皮材14の裏面(図1の上面)に対して接合する形で成形される。
上型25は、上型取付板27の下面に取り付けられている。上型取付板27は、図示しない駆動装置によって、水平方向に沿ってスライド移動可能とされる。これにより、上型25(及び後述するベース部材50)が、下型23の上方に配される通常位置(図1で示す位置)と、下型23の上方から退避された退避位置(図4に示す位置)との間で変位可能とされる。
基材11(車両用内装材10)は、例えば、基材11を構成する合成樹脂がキャビティS1内で冷却されることに起因してわずかに収縮する。これにより、殆どの場合、成形後の基材11は、コア型である上型25に貼り付いた状態となる。上型25に貼り付いた基材11は、エジェクタ機構40によって、上型25から押し出される構成となっている。これにより、上型25から、車両用内装材10を脱型させることができる。
次にエジェクタ機構40の構成について説明をする。エジェクタ機構40は、図1に示すように、上型25の内部に設けられるエジェクタプレート41及びエジェクタピン42と、ベース部材50と、ベース部材50に隣接して配される支持部材60と、支持部材60に隣接して配される変位部材70と、を備えている。なお、以下の説明では、上型25及び下型23が型閉じされた状態(図1の状態)におけるエジェクタ機構40の構成を説明するものとする。
エジェクタピン42は、エジェクタプレート41の下面から下型23に向かって突出する形状をなしており、複数本設けられている。各エジェクタピン42の突出端面は、上型25における成形面と面一をなしている。
ベース部材50は、上型取付板27の上方(上型25の上方)に配されている。ベース部材50は、例えば、金属製のブロック体とされる。ベース部材50の下面からは、連結ロッド43がエジェクタプレート41に向かって延設されている。この連結ロッド43は、上型取付板27及び上型25の内部を上下方向に貫通し、エジェクタプレート41と連結されている。これにより、連結ロッド43を介して、ベース部材50とエジェクタプレート41とが連結されている。
支持部材60は、長手状をなしており、正面視において方形状をなしている。支持部材60は、その上端部(長手方向における一端部)がベース部材50側に向かう形で鉛直方向に対して傾斜されている。
上型取付板27の上面には、支持ロッド61が立設されている。支持部材60は、支持ロッド61の上部に対してヒンジピン62を介して取り付けられている。これにより、支持部材60は、長手方向と直交する軸(図1の紙面貫通方向に沿う軸)を回動軸(ヒンジピン62の軸)として回動可能とされる。
ベース部材50の側面のうち、支持部材60側の側面50Aには、略V字状をなすV字溝51が凹設されている。支持部材60の長手方向における一端部は、V字溝51に嵌合される構成なっている、支持部材60の上端面60Aは、V字溝51の内面のうち下方を向く被支持面51Aを下方から支持する構成とされる。これにより、支持部材60の上端面60Aによって、ベース部材50が支持されている。
支持部材60は、ヒンジピン62を中心として、その上端部がベース部材50側に向かうように回動する方向に付勢されている。支持部材60の付勢方向(図1における時計回り)を図1において矢線P1で示す。つまり、支持部材60は、その上端部が被支持面51Aに近づく方向に付勢されている。支持部材60の上端部が、V字溝51の内面に当接することで、支持部材60の回動が規制されている。
なお、支持部材60を回動させるための付勢手段としては、例えば、支持ロッド61と支持部材60との間にトーションバネなどを介在させる構成を例示することができる。また、トーションバネのような付勢手段を用いずに、例えば、支持部材60の上端部の重量を下端部の重量よりも重くするなどして、上端部がベース部材50側に回動するような構成としてもよい。
支持部材60によってベース部材50が支持された状態では、ベース部材50の下面と上型取付板27の上面との間には、隙間S3が設けられている。これにより、ベース部材50は、隙間S3の分だけ、落下可能となっているものの、支持部材60によって支持されることで、その落下が規制される構成となっている。
上型取付板27には、挿通孔27Aが貫通形成されており、この挿通孔27Aには、取付ロッド75が挿通されている。取付ロッド75の上端部には、変位部材70がヒンジピン76を介して回動可能に取り付けられている。
変位部材70は、正面視略台形状をなしている。変位部材70は、支持部材60と隣接してほぼ同じ高さに配される。変位部材70において支持部材60側の側面の上部には、支持部材60側に突き出す突出部71が設けられている。この突出部71は、略水平方向に沿って突出され、図1に示すように、支持部材60の下端部(支持部材の他端部)を上方から覆う構成となっている。
取付ロッド75には、コイルばね78が巻回されている。コイルばね78は、取付ロッド75の下端部77と上型取付板27との間に圧縮された状態で介在されている。これにより、取付ロッド75及び変位部材70は、下方へ付勢される構成となっている。
下型取付板24の上面において、取付ロッド75の下方となる箇所には、受け部材80が上方に向けて立設されている。受け部材80の上端部81は、下方に付勢された取付ロッド75の下端部77を受ける構成となっている。つまり、受け部材80は、取付ロッド75及び変位部材70の下降を規制する規制部材とされる。
ベース部材50において、V字溝51が形成された側面50Aと反対側の側面50Bには、溝部53が凹設されている。この溝部53は、下方を向く傾斜面53Aを有しており、傾斜面53Aは、溝部53の奥方に向かうにつれて下降傾斜する面とされる。
基台21の上面には、上方に向かって立壁部85が設けられている。立壁部85には、溝部53に挿入可能な形状をなす円柱状のローラー部材86(挿入部材)が設けられている。ローラー部材86は、溝部53(より正確には、溝部53の傾斜面53A)と同じ高さに配されている。
ローラー部材86は、立壁部85に対して回動可能に取り付けられており、その回動軸R1がベース部材50のスライド方向(図1の左右方向)に直交する方向、及び水平方向に沿うものとされる。
次に、成形装置20の作用について説明する。本実施形態では、上型25及び下型23が型閉じされた状態で、例えば射出成形などによって、キャビティS1内に溶融樹脂を充填させることで、基材11(車両用内装材10)を成形する。次に、車両用内装材10が成形された状態(図1の状態)から、上型25及び下型23を型開きする。具体的には、駆動ロッド26を駆動させて下型23(及び下型取付板24)を下降させる。
すると、下型取付板24に取り付けられている受け部材80が下降する。これによって、コイルばね78によって下方に付勢されている取付ロッド75が下降する。取付ロッド75が下降することで、変位部材70も下降する結果、変位部材70の突出部71が支持部材60の下端部に対して上方から当接する。
これによって、支持部材60の下端部(他端部)が突出部71によって下方に押圧されると、支持部材60は、ヒンジピン62を中心として、図1及び図2の反時計回りに回動する。これにより、V字溝51に嵌合されている支持部材60の上端部は、V字溝51から遠ざかる方向(外れる方向)に回動し(V字溝51の被支持面51Aから遠ざかる方向に変位し)、V字溝51から抜ける(図2の状態)。
支持部材60の上端部が、V字溝51から抜けることで、支持部材60の上端部による被支持面51Aの支持が解除される。すると、図3に示すように、ベース部材50が、ベース部材50の下面と上型取付板27の上面との間の隙間S3の分だけ落下して、上型取付板27の上面に載置される。この結果、ベース部材50に連結されているエジェクタピン42も同時に落下し、エジェクタピン42の突出端部(突出端面)が上型25の外部(下型23側)に突き出される。言い換えると、エジェクタピン42の突出端面が、上型25の成形面よりも下方に変位する。
以上のことから、上型25及び下型23の型開きに連動して、エジェクタピン42の突出端部が上型25の外部に突き出される。これにより、上型25に貼り付いた状態であった車両用内装材10(基材11の意匠面とは反対側の面)が、エジェクタピン42の突出端面によって下方に押圧され、脱型される。
なお、エジェクタピン42によって脱型された車両用内装材10は、下型23の上面に載置された状態となる。また、エジェクタピン42によって車両用内装材10を下方に押圧する力は、主にベース部材50の自重によるものとされる。つまり、ベース部材50は、その自重によってエジェクタピン42を下方に押圧する押圧部材とされる。なお、ベース部材50の材質は、金属に限定されず適宜変更可能であるが、エジェクタピン42を押圧して、車両用内装材10を脱型するためには、ある程度の重量を有することが好ましく、金属製とするのが好適である。
また、ベース部材50が下降した状態では、図3に示すように、支持部材60の上端部は、V字溝51よりも上方に配される。支持部材60は、ヒンジピン62を中心として、その上端部がベース部材50側に向かうように回動される形で付勢されている。このため、支持部材60の上端部は、ベース部材50の側面50Aに当接した状態となっている。
車両用内装材10が脱型された後、通常位置(下型23の上方となる位置)にある上型25及びベース部材50を、水平方向にスライドさせることで、退避位置(図4に示す位置)まで変位させる。これによって、作業者は、下型23に載置された車両用内装材10を容易に回収することができる。
また、ベース部材50が通常位置から退避位置に変位する過程においては、ベース部材50がローラー部材86に向かって変位する。これにより、溝部53に対してローラー部材86が挿入され、ローラー部材86の外周面86Aが溝部53の傾斜面53Aに当接する。
ローラー部材86は、溝部53の奥方(図4の左側)に向かう過程では、回動軸R1を中心として回動しつつ、傾斜面53Aを押圧する。傾斜面53Aは、溝部53の奥方に向かうにつれて下降傾斜しているから、ローラー部材86は、傾斜面53Aに対して上向きの力を作用させる。つまり、ローラー部材86は、傾斜面53Aを押し上げることになり、ベース部材50が上昇する。
ローラー部材86によるベース部材50の上昇量は、ベース部材50の下面と上型取付板27の上面との間の隙間S3と同じ大きさとされる。つまり、型閉じ時におけるベース部材50の下降量と同じだけ上昇する。なお、ローラー部材86によるベース部材50の上昇量は、例えば、傾斜面53Aの傾斜角度や水平方向における長さなどを調整することで設定することができる。
ベース部材50が上昇することで、連結ロッド43を介してベース部材50と連結されているエジェクタピン42が上昇する。これにより、上型25の外部に突出されていたエジェクタピン42の突出端部が、上型25の内部に収容される。
また、ベース部材50が上昇することで、図4に示すように、V字溝51が支持部材60の上端部と隣接する位置に配される。支持部材60は、ヒンジピン62を中心として、その上端部がベース部材50側に向かうように回動される形で付勢されている。このため、V字溝51が支持部材60の上端部と隣接する位置に配されると、支持部材60が回動する結果、V字溝51に対して、支持部材60の上端部が嵌合する。言い換えると、支持部材60は、鉛直方向に対する傾斜角度がより大きくなる方向に回動する。
このように、支持部材60の上端部がV字溝51の被支持面51Aに近づく方向に変位する結果、ベース部材50が退避位置に配されている状態においては、被支持面51Aが支持部材60の上端部によって支持された状態になる(図4の状態)。
つまり、ベース部材50を通常位置から退避位置に変位させることで、ベース部材50を上昇させることができるとともに、支持部材60によって、ベース部材50を上昇した位置で支持することができる。なお、図4の状態では、変位部材70の突出部71の上方に支持部材60の下端部が配されている。
続いて、退避位置にあるベース部材50及び上型25を通常位置まで移動させた後、下型23を上昇させる。すると、受け部材80の上端部81が上昇する結果、取付ロッド75の下端部77を上方に押圧する。これにより、取付ロッド75及び変位部材70が上昇する。
変位部材70の突出部71の上方には、支持部材60の下端部が配されているため、変位部材70が上昇する過程においては、突出部71は、支持部材60の下端部に対して下方から当接する。ここで、変位部材70は、ヒンジピン76を中心として回動となっている。
このため、突出部71が、支持部材60の下端部に対して下方から当接した状態から、さらに上昇すると、図5に示すように、突出部71が下方に向かうようにして変位部材70が回動する。これにより、変位部材70は、支持部材60と干渉することがない。そして、図5の状態から、さらに変位部材70が上昇すると、突出部71が、変位部材70の下端部よりも上方に配される。
なお、変位部材70は、例えば、その重心がヒンジピン76の下方に配されるような形状をなしており、外力が作用していない状態では、その突出部71が略水平状となる姿勢
(図4及び図6の姿勢)で保持される構成となっている。これにより、変位部材70は、支持部材60に下方から当接する際には、一時的に回動するものの、突出部71が変位部材70の下端部よりも上方に配された状態(図6)では、突出部71が略水平状となる姿勢に復帰する。なお、トーションばねなどの付勢手段によって、変位部材70が図4の姿勢に復帰する構成としてもよい。
このように、下型23を上昇させることで、変位部材70の突出部71を支持部材60の下端部の上方に配することができる。これにより、変位部材70の突出部71を、初期状態(図1及び図6に示す状態)に復帰させることができる。
以上のように、本実施形態において、エジェクタ機構40におけるエジェクタピン42の下降は、ベース部材50の自重、すなわち重力を用いて行われる。また、エジェクタピン42の上昇は、ベース部材50及び上型25を退避位置に変位させる過程で行われる。つまり、エジェクタピン42の上昇は、上型取付板27(つまり、ベース部材50及び上型25)を水平方向にスライド移動させるための駆動装置の動力を利用して行われる。このように、本実施形態のエジェクタ機構40においては、エジェクタピン42の下降及び上昇を行うための専用の駆動装置を備える必要がない。
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態によれば、上型25に対する下型23の型開きに連動して変位部材70が下降する。そして、変位部材70の下降に起因して、支持部材60による被支持面51Aの支持が解除されることで、ベース部材50及びエジェクタピン42が落下する結果、上型25の内部に配されているエジェクタピン42の突出端部が上型25の外部に向かって突き出す構成となっている。これにより、エジェクタピン42によって車両用内装材10を押し出すことができる。
このように、本実施形態においては、ベース部材50を落下させることで、エジェクタピン42を動かす構成としてある。すなわち、重力を用いてエジェクタピン42を動かす構成であるから、エジェクタピン42を動作させるための専用の駆動装置が不要となる。
上記構成において、ベース部材50の側面50Bに凹設された溝部53と、溝部53と同じ高さに配され、溝部53に挿入可能なローラー部材86と、を備え、溝部53は、当該溝部53の奥方に向かうにつれて下降傾斜するとともに下方を向く傾斜面53Aを有しており、上型25及びベース部材50は、下型23の上方に配される通常位置と、下型23の上方から退避された退避位置との間で水平方向に沿って変位可能とされ、ベース部材50が通常位置から退避位置に変位する過程においては、ベース部材50がローラー部材86に向かって変位することで、溝部53に対してローラー部材86が挿入される構成とされ、ローラー部材86が溝部53の奥方に向かうにつれて、ローラー部材86の外周面86Aが傾斜面53Aを押し上げることで、ベース部材50及びエジェクタピン42が上昇する構成とされる。
本実施形態の成形装置20の動作手順としては、通常位置にある上型25と下型23とを型閉じすることで、車両用内装材10の成形を行った後、型開きを行う。これにより、エジェクタピン42が下降して、エジェクタピン42の突出端部が上型25の外部に(下型23に向かって)突き出す。車両用内装材10は、エジェクタピン42の突出端部に押圧されることで、下型23側に変位し、例えば、下型23の上面に載置された状態となる。
その後、上型25及びベース部材50を退避位置に変位させる。上型25及びベース部材50を退避位置にすることで、車両用内装材10を容易に下型23から取り出すことができる。そして、ベース部材50が退避位置に変位する過程では、ローラー部材86が溝部53の傾斜面53Aを押し上げることで、ベース部材50及びエジェクタピン42を上昇させることができる。つまり、型開き時に下降したベース部材50及びエジェクタピン42を、退避位置に変位する過程で上昇させることができ、元の位置(高さ)まで復帰させることができる。
また、ベース部材50が通常位置から退避位置に変位する過程においては、支持部材60が被支持面51Aに近づく方向に変位するものとされ、ベース部材50が退避位置に配されている状態において、支持部材60が被支持面51Aを下方から支持する構成とされるものとすることができる。
このような構成とすれば、通常位置から退避位置に変位させた状態で、ベース部材50の落下を規制することができる。
また、ベース部材50の側面50Aには、略V字状をなすV字溝51が凹設され、被支持面51Aは、V字溝51の内面のうち、下方を向く面とされ、支持部材60は、長手状をなすとともに、長手方向と直交する軸を回動軸(ヒンジピン62)として回動可能とされ、支持部材60の長手方向における一端部(上端部)がV字溝51に嵌合することで、被支持面51Aを下方から支持する構成とされ、変位部材70は、下方に変位する過程で、支持部材60の他端部(下端部)を下方に押圧することで支持部材60の一端部をV字溝51から遠ざかる方向に回動させる構成とされる。
このような構成とすれば、支持部材60を被支持面51Aから遠ざかる方向に変位させる構成を比較的容易に実現することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、成形品として、オーナメントなどの車両用内装材10を例示したが、これに限定されない。成形品は、上型と下型を用いて成形されるものであればよい。成形品は、射出成形によって成形されるものであってもよいし、上型及び下型によるプレス成形によって成形されるものであってもよい。
(2)上記実施形態では、コイルばね78を用いて、型開き時に変位部材70を下降させる構成としたが、これに限定されない。例えば、コイルばね78を備えていなくてもよく、型開き時に変位部材70の自重によって、変位部材70が下降する構成としてもよい。
(3)ベース部材50の形状は、上記実施形態で例示したものに限定されない。また、上記実施形態では、V字溝51の内面を被支持面51Aとしたが、これに限定されない。被支持面51Aは、ベース部材50において下方を向く面であればよく、支持部材60によって下方から支持可能な面であればよい。
(4)上記実施形態では、挿入部材としてローラー部材86を例示したが、これに限定されない。挿入部材は、溝部53に挿入される過程で、傾斜面53Aに対して上向きの力を作用させる構成のものであればよい。しかしながら、回動可能なローラー部材86を用いることで、溝部53に挿入される際の傾斜面53Aに対する摩擦を低減することができ、好適である。
(5)上記実施形態では、支持部材60がヒンジピン62を中心として回動することで、その上端部がV字溝51(被支持面51A)に対して離間(又は接近)する構成としたが、これに限定されない。例えば、型開きと連動して、支持部材60全体がV字溝51から遠ざかる方向にスライド移動する構成としてもよい。
10…車両用内装材(成形品)、20…成形装置、23…下型、25…上型、40…エジェクタ機構、42…エジェクタピン、50…ベース部材、50A…側面(V字溝が凹設されたベース部材の側面)、50B…側面(溝部が凹設されたベース部材の側面)、51…V字溝、51A…被支持面、53…溝部、53A…傾斜面、60…支持部材、62…ヒンジピン(回動軸)、70…変位部材、86…ローラー部材(挿入部材)、86A…外周面(挿入部材の外周面)、S1…キャビティ

Claims (4)

  1. 上型と、
    前記上型に対して型閉じ及び型開きが可能な下型と、
    前記上型及び前記下型の間に形成されるキャビティ内に成形された成形品を押し出すためのエジェクタ機構と、を備える成形装置であって、
    前記エジェクタ機構は、
    前記上型の内部に設けられ、前記下型に向かって突出する形状をなすエジェクタピンと、
    前記上型の上方に配され、前記エジェクタピンと連結されるベース部材と、
    前記ベース部材の面のうち、下方を向く被支持面を下方から支持することで、前記ベース部材の落下を規制する支持部材と、
    前記型開きに連動して下降する変位部材と、を備え、
    前記変位部材は、前記型開きに連動して下降する過程で前記支持部材に当接し、前記支持部材を前記被支持面から遠ざかる方向に変位させる構成とされ、
    前記支持部材が前記被支持面から遠ざかる方向に変位することで、前記支持部材による前記被支持面の支持が解除され、前記ベース部材が落下する結果、前記エジェクタピンが落下して、前記エジェクタピンの突出端部が前記上型の外部に突き出される構成である成形装置。
  2. 前記ベース部材の側面に凹設された溝部と、
    前記溝部と同じ高さに配され、前記溝部に挿入可能な挿入部材と、を備え、
    前記溝部は、当該溝部の奥方に向かうにつれて下降傾斜するとともに下方を向く傾斜面を有しており、
    前記上型及び前記ベース部材は、前記下型の上方に配される通常位置と、前記下型の上方から退避された退避位置との間で水平方向に沿って変位可能とされ、
    前記ベース部材が前記通常位置から前記退避位置に変位する過程においては、前記ベース部材が前記挿入部材に向かって変位することで、前記溝部に対して前記挿入部材が挿入される構成とされ、前記挿入部材が前記溝部の奥方に向かうにつれて、前記挿入部材の外周面が前記傾斜面を押し上げることで、前記ベース部材及び前記エジェクタピンが上昇する構成である請求項1に記載の成形装置。
  3. 前記支持部材は、前記被支持面に近づく方向に付勢されており、
    前記ベース部材が前記通常位置から前記退避位置に変位する過程においては、前記支持部材が前記被支持面に近づく方向に変位するものとされ、
    前記ベース部材が前記退避位置に配されている状態において、前記支持部材が前記被支持面を下方から支持する構成とされる請求項2に記載の成形装置。
  4. 前記ベース部材の側面には、略V字状をなすV字溝が凹設され、
    前記被支持面は、前記V字溝の内面のうち、下方を向く面とされ、
    前記支持部材は、長手状をなすとともに、長手方向と直交する軸を回動軸として回動可能とされ、
    前記支持部材の長手方向における一端部が前記V字溝に嵌合することで、前記被支持面を下方から支持する構成とされ、
    前記変位部材は、下方に変位する過程で、前記支持部材の他端部を下方に押圧することで前記支持部材の前記一端部を前記V字溝から遠ざかる方向に回動させる構成とされる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の成形装置。
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