JP2013242031A - 油圧緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ピストン油室7とロッド油室8とを画成するシリンダ3と、シリンダ3との間でピストン油室7とロッド油室8とを連通する還流路9を画成し、ダンパケース2との間でリザーバ室10を画成する外筒体4と、シリンダ3および外筒体4に取り付けられ、ピストン油室7と還流路9およびリザーバ室10との間の油の流れを制御するバルブを有するバルブ構造体11と、を備え、バルブ構造体11が、シリンダ3の開口端3Aに取り付けられる第1バルブ構造体24と、外筒体4の開口端4Aに取り付けられる第2バルブ構造体25とに分割構成され、シリンダ3および第1バルブ構造体24からなるシリンダ組立体S1と、外筒体4および第2バルブ構造体25からなる外筒組立体S2とが互いに独立して配される。
【選択図】図1
Description
本発明によれば、1つのバルブ構造体にシリンダと外筒体とを取り付ける構造に比して、シリンダ組立体および外筒組立体を容易に組み立てることができる。その際、シリンダと第1バルブ構造体との取り付け部の状態を目視にて容易に把握できるとともに、外筒体と第2バルブ構造体との取り付け部の状態を目視にて容易に把握できる。そして、シリンダ組立体が外筒組立体の内部に挿入される構造とすることで、シリンダと外筒体とバルブ構造体からなる組立アセンブリを簡単に構成できる。また、シリンダ組立体と外筒組立体とが互いに独立して設けられるため、両者それぞれの設計の自由度が高まり、たとえば一方の組立体を共通仕様にすることで汎用性に優れた油圧緩衝器にすることができる。
図1において、油圧緩衝器1は、筒状のダンパケース2と、ダンパケース2内にダンパケース2と同軸に配され、ピストン5を挟んでピストン油室7とロッド油室8とを画成するシリンダ3と、ダンパケース2内であってシリンダ3の外側にダンパケース2と同軸に配され、シリンダ3との間においてはピストン油室7とロッド油室8とを連通する還流路9を画成し、ダンパケース2との間においてはピストンロッド6の伸退分の油を補償するリザーバ室10を画成する外筒体4と、ピストン油室7側のシリンダ3および外筒体4の各開口端3A,4Aに取り付けられ、ピストン油室7と、還流路9およびリザーバ室10との間の油の流れを制御するバルブを設けたバルブ構造体11と、を備える。
ダンパケース2は、たとえば軸方向一端側(上端側)のみが開口形成された無蓋有底の筒状筐体からなり、有底となる軸方向他端側(下端側)には車輪側に連結する連結部12が取り付けられている。軸方向一端側に形成された開口部13には、車体側に連結するピストンロッド6が挿通される。開口部13周りのダンパケース2の内部には、ピストンロッド6の周面を封止するオイルシール14が設けられ、開口部13周りのダンパケース2の外部にはエンドキャップ15、16がカシメ等によって嵌着される。ダンパケース2の軸方向他端側の内面には、ピストン5の軸心O周りに、軸方向他端外方に向かうにしたがい縮径する環状の傾斜面17が形成されており、後記するようにシリンダ組立体S1および外筒組立体S2をダンパケース2内に組み入れた際には、第2バルブ構造体25の傾斜面49が傾斜面17にガイドされることにより、外筒体4およびシリンダ3の軸方向他端周りがダンパケース2に対して同軸に位置決めされるようになっている。
シリンダ3は軸方向両端が開口形成された筒状部材からなり、その軸方向一端側の開口端は、ダンパケース2内に設けられたリング状のロッドガイド18の小径部に圧入等により固定される。シリンダ3の内部空間は、ピストン5によって、軸方向他端側に位置するピストン油室7と、軸方向一端側に位置しピストンロッド6が中心を通るロッド油室8とに画成される。シリンダ3の開口端が固定されるロッドガイド18の外周面の一部には、ロッド油室8と還流路9とを連通する切欠き流路19が形成される。シリンダ3の軸方向他端側の開口端、つまりピストン油室7側の開口端3Aは、バルブ構造体11を構成する第1バルブ構造体24に固定される。なお、ロッドガイド18の内周とピストンロッド6の外周との間にはブッシュ20が介設される。
外筒体4は軸方向両端が開口形成された筒状部材からなり、その軸方向一端側の開口端は前記ロッドガイド18の中径部に圧入等により固定され、軸方向他端側の開口端、つまりピストン油室7側の開口端4Aは、バルブ構造体11を構成する第2バルブ構造体25に固定される。開口端4Aはシリンダ3の開口端3Aよりもさらに下方に位置する。
ピストン5はリング状を呈した部材であり、ピストンロッド6の先端の小径部に外嵌されたうえでナット26によりピストンロッド6に固定される。本実施形態および後記する第2、第3実施形態では、ピストン5に伸び行程用減衰バルブV1が設けられる。伸び行程用減衰バルブV1はロッド油室8からピストン油室7への油の流れを絞る絞り弁であって、ピストン油室7とロッド油室8とを連通するように軸心Oに沿ってピストン5に貫通形成されたバルブ孔21と、ピストン油室7内においてピストンロッド6の小径部に支持されバルブ孔21を開閉する複数の環状のバルブシート22と、から構成される。符号23は、ピストンロッド6の小径部に取り付けられバルブシート22の開度を規制するバルブストッパである。
バルブ構造体11は、図2に拡大して示すように、シリンダ3の開口端3Aに取り付けられる第1バルブ構造体24と、外筒体4の開口端4Aに取り付けられる第2バルブ構造体25とに分割して構成される。
第1バルブ構造体24は、シリンダ3の開口端3Aの内周に圧入嵌合されることでバルブ部を除いて開口端3Aを閉塞する円盤状のベース部27と、ベース部27の外周縁から軸方向他端側に向けて延設され、その外径がベース部27よりも大径に形成された略円筒状のスカート部28とを有した形状からなる。スカート部28の内部空間は、第1バルブ構造体24と第2バルブ構造体25との間に形成されるバルブ連通室29を構成する。
第2バルブ構造体25は、外筒体4の開口端4Aの内周に圧入嵌合されることでバルブ部を除いて開口端4Aを閉塞する円盤状のベース部40と、ベース部40からバルブ連通室29に突出しその内部にバルブ連通室29とリザーバ室10とを連通する連通孔41が形成された筒状突部42と、筒状突部42から径外方向に延設しその外縁が第1バルブ構造体24の前記段差面39に軸方向に突き当たる環状のシリンダ支持板部43とを有した形状からなる。
以上の構成からなる油圧緩衝器1の作用を説明する。図11は油圧緩衝器1の構造を簡略化し各バルブを記号化して示したものであり、(a)、(b)にそれぞれ伸び行程、圧縮行程における油の流れを示した。以下、図1、図2および図11を適宜参照して説明する。
図1、図2、図11(a)において、ピストン5が上方に移動してロッド油室8内の油が圧力を受けると、ロッド油室8内の油がバルブ孔21を通ってバルブシート22を押し開きピストン油室7に流れる。つまり油が伸び行程用減衰バルブV1を通過し、これにより油圧緩衝器1に伸び側減衰力が発生する。ピストンロッド6の退出容積分の油は、リザーバ室10から連通孔41、バルブ連通室29、伸び行程用チェックバルブV3を経由してピストン油室7に補給されることで補償される。圧縮行程用チェックバルブV4の存在により還流路9からバルブ連通室29への油の流れは生じない。伸び行程用チェックバルブV3を通過する油量はピストンロッド6の退出容積分のみのため、伸び行程用チェックバルブV3のバルブ孔34は小径の孔で済む。したがって第1バルブ構造体24の外径も小さなもので済み、小径仕様のシリンダ3に容易に適用できる。
図1、図2、図11(b)において、ピストン5が下方に移動してピストン油室7内の油が圧力を受けると、ピストン油室7内の油がバルブ孔30を通ってバルブシート31を押し開きバルブ連通路29に流れる。つまり油が圧縮行程用減衰バルブV2を通過し、これにより油圧緩衝器1に圧縮側減衰力が発生する。ピストンロッド6の進入容積分の油は、連通孔41を経由してリザーバ室10に流れることで補償される。ロッド油室8の増大容積分の油はバルブ連通室29から圧縮行程用チェックバルブV4、連通流路46、切欠き開口部37、溝38、還流路9、切欠き流路19を経由してロッド油室8に流れる。
図13を参照して油圧緩衝器1の組み立て手順の一例を説明する。先ず、シリンダ3の軸方向他端側の開口端3A周りに第1バルブ構造体24のベース部27の外周面を圧入することにより、両者が一体化されたシリンダ組立体S1を作成する(図13(a))。次いで、このシリンダ組立体S1を外筒体4の内部に挿入する(図13(b))。第1バルブ構造体24のスカート部28の最大外径部は外筒体4の内周面に対してさほど面圧がかからずに接触する程度に設定されており、外筒体4へのシリンダ組立体S1の挿入作業はスムースに行える。次いで、外筒体4の軸方向他端側の開口端4A周りに第2バルブ構造体25のベース部40の外周面を圧入する(図13(c))。これにより、外筒体4の内部にシリンダ組立体S1が挿入された状態で、外筒体4と第2バルブ構造体25とが一体化されてなる外筒組立体S2が作成される。
図5および図6を参照して第2実施形態を説明する。本実施形態において第1実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付してその説明は省略する。
第2実施形態が第1実施形態と異なる点は第2バルブ構造体25の部品構成であり、第1実施形態がベース部40と筒状突部42とシリンダ支持板部43の三者をそれぞれ個別に製作した部材としたのに対し、第2実施形態では、ベース部40と筒状突部42とが一体に成形された部材からなる。
伸び行程および圧縮行程の油の流れの作用や油圧緩衝器1全体の組み立て手順については第1実施形態と同様である。
図7および図8を参照して第3実施形態を説明する。本実施形態において第1実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付してその説明は省略する。
第3実施形態についても、第1実施形態と異なる点は第2バルブ構造体25の部品構成であり、第1実施形態がベース部40と筒状突部42とシリンダ支持板部43の三者をそれぞれ個別に製作した部材としたのに対し、第3実施形態では、筒状突部42とシリンダ支持板部43とが一体に成形されている。
伸び行程および圧縮行程の油の流れの作用や油圧緩衝器1全体の組み立て手順については第1実施形態と同様である。
図9および図10を参照して第4実施形態を説明する。本実施形態において第1実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付してその説明は省略する。
第1〜3実施形態が伸び行程用減衰バルブV1をピストン5に設けた形態であるのに対し、第4実施形態は伸び行程用減衰バルブV1を第2バルブ構造体25に設けた形態である。つまり、第4実施形態は、第1バルブ構造体24に圧縮行程用減衰バルブV2と伸び行程用チェックバルブV3とが設けられ、第2バルブ構造体25に伸び行程用減衰バルブV1と圧縮行程用チェックバルブV4とが設けられるものであり、ピストン5にはピストン油室7とロッド油室8とを連通するバルブは何ら形成されていない。
第4実施形態の油圧緩衝器1の作用を説明する。図12は第4実施形態の油圧緩衝器1の構造を簡略化し各バルブを記号化して示したものであり、(a)、(b)にそれぞれ伸び行程、圧縮行程における油の流れを示した。以下、図9、図10および図12を適宜参照して説明する。
図9、図10、図12(a)において、ピストン5が上方に移動してロッド油室8内の油が圧力を受けると、ロッド油室8内の油が切欠き流路19を通って還流路9に流れる。ピストン油室7の容積が増大する分、油は還流路9から伸び行程用減衰バルブV1を通過してバルブ連通室29に流れ、伸び行程用チェックバルブV3を経由してピストン油室7に流れる。油が伸び行程用減衰バルブV1を通過することにより油圧緩衝器1に伸び側減衰力が発生する。ピストンロッド6の退出容積分の油は、リザーバ室10から連通孔41、バルブ連通室29、伸び行程用チェックバルブV3を経由してピストン油室7に補給されることで補償される。
図9、図10、図12(b)において、ピストン5が下方に移動してピストン油室7内の油が圧力を受けると、ピストン油室7内の油がバルブ孔30を通ってバルブシート31を押し開きバルブ連通路29に流れる。つまり油が圧縮行程用減衰バルブV2を通過し、これにより油圧緩衝器1に圧縮側減衰力が発生する。ピストンロッド6の進入容積分の油は、連通孔41を経由してリザーバ室10に流れることで補償される。ロッド油室8の油はバルブ連通室29から圧縮行程用チェックバルブV4、連通流路46、切欠き開口部37、溝38、還流路9、切欠き流路19を経由してロッド油室8に流れる。
なお、油圧緩衝器1全体の組み立て手順については第1実施形態と略同様である。
2 ダンパケース
3 シリンダ
3A 開口端
4 外筒体
4A 開口端
5 ピストン
6 ピストンロッド
7 ピストン油室
8 ロッド油室
9 還流路
10 リザーバ室
11 バルブ構造体
24 第1バルブ構造体
25 第2バルブ構造体
29 バルブ連通室
40 ベース部
41 連通孔
42 筒状突部
43 シリンダ支持板部
46 連通流路
S1 シリンダ組立体
S2 外筒組立体
V1 伸び行程用減衰バルブ
V2 圧縮行程用減衰バルブ
V3 伸び行程用チェックバルブ
V4 圧縮行程用チェックバルブ
Claims (5)
- 筒状のダンパケースの内部に、
ピストンを挟んでピストン油室とロッド油室とを画成するシリンダと、
シリンダの外側に配され、シリンダとの間においてはピストン油室とロッド油室とを連通する還流路を画成し、ダンパケースとの間においてはピストンロッドの伸退分の油を補償するリザーバ室を画成する外筒体と、
ピストン油室側のシリンダおよび外筒体の各開口端に取り付けられ、ピストン油室と還流路およびリザーバ室との間の油の流れを制御するバルブを設けたバルブ構造体と、
を備えた油圧緩衝器であって、
前記バルブ構造体が、シリンダの開口端に取り付けられる第1バルブ構造体と、外筒体の開口端に取り付けられる第2バルブ構造体とに分割構成され、
シリンダおよび第1バルブ構造体からなるシリンダ組立体と、外筒体および第2バルブ構造体からなる外筒組立体とが、互いに独立していることを特徴とする油圧緩衝器。 - 前記ピストンは伸び行程用減衰バルブを備え、
前記第1バルブ構造体は圧縮行程用減衰バルブと伸び行程用チェックバルブとを備え、
前記第2バルブ構造体は圧縮行程用チェックバルブを備えることを特徴とする請求項1に記載の油圧緩衝器。 - 前記第1バルブ構造体は圧縮行程用減衰バルブと伸び行程用チェックバルブとを備え、
前記第2バルブ構造体は伸び行程用減衰バルブと圧縮行程用チェックバルブとを備えることを特徴とする請求項1に記載の油圧緩衝器。 - 前記第1バルブ構造体と前記第2バルブ構造体との間にバルブ連通室が形成され、
前記第2バルブ構造体は、外筒体の開口端に嵌合されるベース部と、ベース部からバルブ連通室に突出しその内部にバルブ連通室と前記リザーバ室とを連通する連通孔が形成された筒状突部と、筒状突部から径外方向に延設しその外縁が第1バルブ構造体の内周の段差面に軸方向に突き当たる環状のシリンダ支持板部と、を有し、
前記圧縮行程用チェックバルブは、シリンダ支持板部に貫通形成されたバルブ孔と、前記筒状突部に支持され前記バルブ孔を開閉する環状のバルブシートと、から構成されることを特徴とする請求項2に記載の油圧緩衝器。 - 前記シリンダの開口端と前記外筒体の開口端との間において、前記第1バルブ構造体の外周が外筒体の内周に当接することによりシリンダの開口端周りが外筒体に対して同軸に位置決めされることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の油圧緩衝器。
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