JP2013241701A - 弾性繊維及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた弾性回復性や、自由度の高い応力−歪特性等を有する弾性繊維を提供する。
【解決手段】ハードセグメントが(a)芳香族ジカルボン酸と(b)アルキレングリコール単位とから構成され、ソフトセグメントが(a)芳香族ジカルボン酸単位と(c)ポリアルキレンエーテルグリコール単位から構成され、ソフトセグメントの長鎖ジオール成分の重量比が50%以上である弾性樹脂を、紡糸速度2000〜10000m/分で溶融紡糸する。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な弾性繊維及びその製造方法に関する。
弾性繊維とは、JISの定義によれば、「ゴム状弾性を持っている繊維(JIS L 0204 742)」の呼称であり、家庭用品品質表示法による統一文字区分でポリウレタンと表示されるポリウレタン系繊維、また、指定外繊維と表示されるポリエーテルエステル系繊維がこれに相当する(注:家庭用品品質表示法には、ポリエーテルエステル系繊維という区分がなく、その他の区分(指定外繊維)に該当する繊維である。)。
工業生産の観点から、弾性繊維を俯瞰すると、その殆どの主流を占めるのは、前述のポリウレタン系繊維、中でもより詳しくは、ポリウレタンウレア樹脂系弾性繊維である。
ポリウレタンウレア樹脂系弾性繊維は、1960年代にアメリカにて検討が行われ、パイオニアであるデュポン社がLycraの商標名で商業生産を開始し、スパンデックス(expandの語源による)の俗称にて、広く市場に浸透していった。
ポリウレタンウレア樹脂系弾性繊維は、主な概念として、芳香族ジイソシアネートと短鎖アルキレンジアミンからなる構成単位をハードセグメント(後述にて定義)とし、長鎖ポリアルキレンエーテルグリコール(代表的には、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが殆ど使用され、繊維性能の改質のために一部、その共重合体が使用される場合がある。)と芳香族ジイソシアネートからなる構成単位をソフトセグメントとする、ミクロ相分離構造を有する樹脂を用いた弾性繊維である。
通常、極性溶媒(主にDMF(ジメチルホルムアミド),DMAc(ジメチルアセトアミド)等)中で重合した当該樹脂溶液を、乾式紡糸法もしくは湿式紡糸法により紡糸されて当該弾性繊維として製造されているが、弾性物性に優れ、大量生産した場合の製造コストや生産安定性等の点から、主に乾式紡糸法が採用されている。
一方、ポリウレタン系繊維の中には、ポリウレタン樹脂系弾性繊維と称されるポリウレタン樹脂を溶融紡糸によって生産されているものも市場中で一部流通されている。
このポリウレタン系繊維は、上記のポリウレタンウレア樹脂系弾性繊維に対して、ハードセグメントを構成する短鎖アルキレンジアミンを短鎖アルキレンジオール(主に1,4−ブタンジオール等)に替え、ソフトセグメントを構成する単位の長鎖ポリアルキレンエーテルグリコールを、長鎖ポリアルキレンエステルポリオール(主にアジピン酸と1,4−ブタンジオールを脱水縮合して得られる)に替えて得られるポリウレタン樹脂を押出機により溶融・吐出する工程を経る溶融紡糸法によって得ることができる(非特許文献1:古谷哲朗、繊維機械学会誌、56, 3, P105 (2003))。
ポリウレタンウレア樹脂系弾性繊維は、弾性繊維の最も基本的な特性である弾性特性(強度、伸び、ヒステリシス損失等)や弾性回復性(通常、回復率として90%以上、更には95%以上)には優れるものの、耐熱性、耐薬品性(耐塩素性、耐アルカリ性)、耐光性等の点で課題を有している。
ポリウレタン樹脂系弾性繊維は、弾性性能や弾性回復性の点ではポリウレタンウレア樹脂系弾性繊維に比べて若干劣るものの耐塩素性に優れる等の利点を有している反面、耐加水分解性及び耐熱性が悪く、防カビ性にも問題がある等の点で課題を抱えている。
その後、ポリウレタンウレア樹脂系弾性繊維が有する耐薬品性等を改善する等の目的で、ポリエーテルエステル系弾性繊維について種々の検討がなされた。
ポリエーテルエステル系弾性繊維は、主な概念として、芳香族ジカルボン酸(主にテレフタル酸)と短鎖アルキレンジオール(主に1,4−ブタンジオールが用いられている)からなる構成単位をハードセグメントとし、長鎖ポリアルキレンエーテルグリコール(ポリテトラメチレンエーテルグリコールが殆ど使用され、繊維性能の改質のために一部、その共重合体が使用される場合がある。)と芳香族ジカルボン酸からなる構成単位をソフトセグメントとする、ミクロ相分離構造を有する樹脂を用いた弾性繊維である。ポリエーテルエステル系樹脂が熱可塑性樹脂であることから、溶融紡糸法によって弾性繊維を得ることが出来る(特許文献1:特開2007−119571)。
しかし、該ポリエーテルエステル系弾性繊維は、ポリウレタンウレア樹脂系弾性繊維やポリウレタン樹脂系弾性繊維に比べて、耐湿熱性、耐光性、耐薬品性(耐塩素性、耐アルカリ性)、熱セット性等の点で優れるものの、弾性性能、特に弾性回復性(弾性回復率が80%程度以下である)等の点で、依然として大きな問題を抱えている。よって、商品化が試みられた例はあるものの、未だに商業化の点では成功には至っていない。
また、上記の何れの弾性繊維の場合でも、通常の合成繊維(ナイロンやポリエステル;PET)の場合と異なり、工業的な生産における紡糸速度は、通常400〜600m/分程度であり、生産性を上げるために高速化されたものであっても、その紡糸速度は最高でも1500m/分程度である(非特許文献1:古谷哲朗、繊維機械学会誌、56, 3, P105 (2003))。従って、生産性の点でも、弾性繊維は、通常の合成繊維に比べると生産性が低い(即ち紡糸速度が遅い)ことが全般的に問題視される場合もある。
以上の背景から、従来の弾性繊維に比べて種々の優れた物性を有する、新規な弾性繊維が求められている。
特開2007−119571号公報
古谷哲朗、繊維機械学会誌、56, 3, P105 (2003)
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、従来の弾性繊維とは異なる種々の物性(例えば、優れた弾性回復性や、自由度の高い応力−歪特性等)を有する新規な弾性繊維を提供するとともに、斯かる新規な弾性繊維を効率的に製造し得る新規な方法を提供することに存する。
本発明者等は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、弾性樹脂から弾性繊維を製造する際に、従来よりも遥かに速い紡糸速度で溶融紡糸を行うことにより、驚くべきことに、従来の弾性樹脂とは異なる種々の物性(例えば、優れた弾性回復性や、自由度の高い応力−歪特性等)を有する新規な弾性樹脂が、しかも高速で効率的に得られることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
[1]弾性繊維を製造する方法であって、ハードセグメントとソフトセグメントとを含む弾性樹脂を、紡糸速度2000〜10000m/分で溶融紡糸する工程を含む方法;
[2]前記ハードセグメントが(a)芳香族ジカルボン酸単位と(b)アルキレングリコール単位とから構成され、前記ソフトセグメントが(a)芳香族ジカルボン酸単位と(c)ポリアルキレンエーテルグリコール単位とから構成される[1]に記載の方法;
[3]前記(b)アルキレングリコール単位が、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、及び1,4−ブタンジオールから選択される少なくとも1種に由来する単位である、[2]に記載の方法。
[4]前記(c)ポリアルキレンエーテルグリコール単位が、ポリトリメチレンエーテルグリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコールから選択される少なくとも1種に由来する単位である、[2]又は[3]に記載の方法。
[5]前記樹脂中における前記ソフトセグメントの長鎖ジオール成分の重量比が50%以上である、[1]〜[4]の何れか一項に記載の方法;
[6]前記樹脂中における前記ソフトセグメントの長鎖ジオール成分の数平均分子量が1000〜10000である、[1]〜[5]の何れか一項に記載の方法;
[7]前記ソフトセグメントを構成する長鎖ジオール成分由来の構成単位のうち、少なくとも50%が、ポリトリメチレンエーテルグリコールに由来する単位からなる、[1]〜[6]の何れか一項に記載の方法;及び
[8][1]〜[7]の何れか一項に記載の方法により製造される弾性繊維;
に存する。
本発明の新規な弾性繊維は、以下に挙げる少なくとも何れかの利点を有する。
(1)紡糸過程中の配向結晶化により紡糸過程のみで安定した高次構造が得られる。
(2)応力−歪特性を幅広く制御可能である。
(3)弾性回復性に極めて優れる。
(4)ソフトセグメントの材料として、特定の成分(ポリトリメチレンエーテルグリコール)を用いることにより、0℃以下の低温域でも低引張弾性率及び高弾性回復特性を維持する。
また、本発明の新規な製造方法によれば、斯かる新規な弾性繊維を高速で効率的に製造することが可能である。
図1は、一般的な溶融紡糸・巻取装置の構成を模式的に示す図である。 図2は、実施例で使用した溶融紡糸・計測装置の構成を模式的に示す図である。 図3−1(a)及び(b)は、弾性繊維TPE−4/4の紡糸線上の速度変化プロフィールを示す図である。(a)は紡糸速度0.5km/分で紡糸した繊維、(b)は紡糸速度5km/分で紡糸した繊維を表す。 図3−2(a)及び(b)は、弾性繊維TPE−4/3の紡糸線上の速度変化プロフィールを示す図である。(a)は紡糸速度0.5km/分で紡糸した繊維、(b)は紡糸速度5km/分で紡糸した繊維を表す。 図4(a)〜(c)は、弾性繊維TPE−4/4の広角X線回折及び小角X線散乱像を示す図である。(a)は紡糸速度0.27km/分で紡糸した繊維、(b)は紡糸速度1km/分で紡糸した繊維、(c)は紡糸速度5km/分で紡糸した繊維を表す。 図5は、弾性繊維のヒステリシス測定の概要を説明するための図である。 図6は、弾性繊維TPE−4/4及びTPE−4/3の紡糸速度と弾性回復率との関係を示す図である。 図7(a)及び(b)は、紡糸速度を変えて得た弾性繊維の応力−歪曲線を示す図である。(a)はTPE−4/4、(b)はTPE−4/3を表す。 図8(a)及び(b)は、弾性繊維TPE−4/4及びTPE−4/3の破断強度、破断伸度及びヤング率の紡糸速度依存性を示す図である。(a)は破断強度及び破断伸度の紡糸速度依存性、(b)はヤング率の紡糸速度依存性を表す。 図9(a)及び(b)は、種々の紡糸速度における紡糸口からの距離に対する紡糸線の速度変化を示す図である。(a)はTPE−4/4、(b)はTPE−4/3を表す。 図10は、巻取繊維をボビンから外す際の弾性回復率、及び、弾性回復率から算出した実質的紡糸速度の、見かけの紡糸速度に対する依存性を示す図である。 図11は、紡糸速度5km/分で紡糸した弾性繊維TPE−4/4及びTPE−4/3の貯蔵弾性率の温度依存性を示す図である。 図12は、紡糸速度5km/分で紡糸した弾性繊維TPE−4/4及びTPE−4/3の温度変化に伴う繊維長変化を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々に変更して実施することができる。
なお、以下の記載では、ある単量体に由来する共重合体の部分構造単位を、その単量体の名称に「単位」という言葉を付して表す。例えば、ポリトリメチレンエーテルグリコールに由来する部分構造単位は、「ポリトリメチレンエーテルグリコール単位」という名称で表される。
また、同一の部分構造単位を与える単量体を、その部分構造単位の名称の「単位」を「成分」に換えた名称で総称する。例えば、直接重合法では芳香族ジカルボン酸が芳香族ジカルボン酸単位を形成し、エステル交換法では芳香族ジカルボン酸ジエステルが芳香族ジカルボン酸単位を形成する。よって、これらの芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸ジエステルを、「芳香族ジカルボン酸成分」という名で総称する。
[溶融紡糸]
・概要
本発明の弾性繊維の製造方法は、弾性樹脂を溶融紡糸する工程を含む。
溶融紡糸は通常、原料となる樹脂を押出機などを用いて融点以上に加熱して得た溶融状態の樹脂を、紡糸口より空気中もしくは必要に応じて冷却された空気中に吐出し、吐出された溶融糸条を細化させながら空気で冷却固化し、その後一定の速度で巻き取るという手法である。
溶融紡糸法には通常、本技術分野で公知の溶融紡糸・巻取装置が用いられる。
図1は、PETやPA等の合成繊維を工業的に生産する場合に用いられる溶融紡糸・巻取装置の主な構成を模式的に示す図である。図1の溶融紡糸・巻取装置において、供給口(1)から供給されたペレット状の樹脂は、押出機(2)を通じて溶融されながら押出され、紡糸ヘッド(3)に取り付けられた紡糸口より空気中に吐出される。吐出された溶融糸条は、細化されながら空気で冷却固化し、第一ゴデットローラー(4)及び第二ゴデットローラー(5)を経て、最後にボビン(6)に巻き付けられる。
なお、溶融紡糸・巻取装置の構成は、図1に示すものに限定されるものではなく、本発明における溶融紡糸の趣旨を妨げない範囲において、任意の変更を加えることが可能である。例えば、図1では、第一ゴデットローラー(4)として、ネルソンローラーを示しているが、弾性繊維の紡糸においては、通常、単一のゴデットローラーが用いられる。但し、本発明においては、第一ゴデットローラーの巻取り速度が目標とする速度に達すると、その時点で繊維が配向結晶化した高次構造を有するため、PETなどの場合と同様に第一ゴデットローラーと糸との間のすべりによる糸の速度変動を抑制するために、常道に従ってネルソンローラーを用いることが好ましい場合もある。
・紡糸速度
本発明の弾性繊維の製造方法は、当該溶融紡糸の工程を、従来よりも遥かに速い紡糸速度で実施することを特徴とする。
従来、高速紡糸速度で溶融紡糸を行う手法(高速溶融紡糸法)は、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート:PET)やナイロン(ポリアミド:PA)を始めとする様々な非弾性繊維への適用が検討され、その有用性が確認されてきた。しかしながら、弾性繊維に対しては、これまで高速溶融紡糸法は用いられてこなかった。
例えば、弾性繊維の主流であるポリウレタンウレア樹脂系繊維は、通常はポリウレタンウレア樹脂溶液から乾式紡糸法により、200〜1500m/分程度の速度で紡糸して製造される(古谷哲朗、繊維機械学会誌、56, 3, P105 (2003))。しかし、1500m/分を超える高速の紡糸速度は用いられていない。
また、別の弾性繊維として、熱可塑性のポリエーテルエステル樹脂を用いた繊維が挙げられる。ポリエーテルエステル樹脂系繊維の製造には溶融紡糸法の適用が可能である。しかし、従来のポリエーテルエステル樹脂系繊維の溶融紡糸時における紡糸速度は、300〜1000m/分程度であり(特開平9−217242号等)、やはり1000m/分を超える高速紡糸速度による溶融紡糸を適用して、商業生産に成功した例は見当たらない。
これまで弾性繊維の製造に高速溶融紡糸が使用されてこなかった理由は以下のように考えられる。即ち、あまりに速い紡糸速度で弾性樹脂を紡糸すると、樹脂の分子鎖が伸び切ってしまい、弾性特性が悪化するであろうと考えられていた。また、弾性繊維は低引張弾性率及び高伸長回復性を特徴とするが、紡糸過程の繊維に加わる高伸長応力が、繊維の低引張弾性率と相俟って、紡糸線に大きな弾性伸びを生じさせてしまい、これを十分に弛緩させてボビンに巻取る際の操作が、技術的に極めて難易度が高いという懸念があった。即ち、溶融紡糸法の適用が可能な熱可塑性弾性繊維の製造においては、湿式紡糸法や乾式紡糸法に比べ高速化へのポテンシャルが高いとしても、紡糸速度が例えば1500m/分を越える高速紡糸は、いわば常識外の紡糸条件として認識されてきたと言うことができる。
しかし、本発明者等の検討によれば、従来よりも遥かに速い紡糸速度で溶融紡糸を行うことにより、驚くべきことに、従来の弾性樹脂とは異なる、例えば以下の特性を有する新規な弾性樹脂が、高速で効率的に得られることが判明した。
(1)紡糸過程中の配向結晶化により紡糸過程のみで安定した高次構造が得られる。
(2)応力−歪特性を幅広く制御可能である。
(3)弾性回復性に極めて優れる。
(4)ソフトセグメントの材料として、特定の成分(ポリトリメチレンエーテルグリコール)を用いることにより、0℃以下の低温域でも低引張弾性率及び高弾性回復特性を維持する。
具体的に、本発明の製造方法における紡糸速度の下限は、2000m/分以上、好ましくは2300m/分以上、より好ましくは2600m/分以上、より一層好ましくは3000m/分以上である。
紡糸速度が前記下限を下回ると、後述する紡糸時の配向結晶化が不完全となり、所望する理想状態のモルフォロジー(例えば、高結晶化度、高結晶配向性、ミクロ相分離構造等)及び物性(例えば、優れた弾性回復性や、自由度の高い応力−歪特性等)が得られない可能性があるので、好ましくない。
一方、本発明の製造方法における紡糸速度の上限は、特に制限されるものではないが、あまりに高速だとゴデットローラー等の機械的制御が困難となるので、通常は10000m/分以下、中でも8000m/分以下、更には7000m/分以下、特に6000m/分以下とすることが好ましい。
斯かる上限は樹脂の種類によっても異なるが、例えば、後述の成分(c)としてポリトリメチレンエーテルグリコールを用いた本発明のポリエーテルエステル樹脂を原料とする場合、通常は8000m/分を超える紡糸速度で溶融紡糸が可能であり、後述の成分(c)としてポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いた本発明のポリエーテルエステル樹脂を原料とする場合、通常は5000m/分を超える紡糸速度で溶融紡糸が可能である。
なお、本発明において「紡糸速度」とは、紡糸口(3)から吐出された樹脂繊維の第一ゴデットローラー(4)による引取速度V1として定義される。製造プロセス内にゴデットローラーが複数存在する場合は、紡糸口直後の第一ゴデットローラー(4)の引取速度に基づいて決定される。
本発明において、上記定義の紡糸速度で溶融紡糸を行うことにより、上記規定の物性を有する理由は定かではないが、例えば2000m/分以上という、通常の弾性繊維の製造から比較すると、極めて高速の紡糸速度で溶融紡糸を行うことにより、紡糸過程において顕著な配向結晶化が生じるものと考えられる。
・紡糸道長
本発明において、紡糸口からゴデットローラーまでの距離(図1においてLで示す距離。以下「紡糸道長」という場合がある)は、溶融樹脂の冷却の観点から、通常50cm以上、中でも100cm以上であることが好ましい。但し、紡糸速度の高速化における空気抵抗応力増加の観点から、通常800cm以下、中でも500cm以下、更には300cm以下であることが好ましい。
・他の溶融紡糸条件
紡糸速度以外の溶融紡糸の条件は、樹脂によっても異なり、限定されないが、例としては以下の通りである。
紡糸温度は、樹脂の融点の観点から、通常180℃以上、中でも200℃以上であることが好ましく、また、熱分解温度の観点から、通常320℃以下、中でも290℃以下であることが好ましい。
吐出口径は、吐出圧力の上限の観点から、通常0.2mm以上、中でも0.3mm以上であることが好ましく、また、吐出安定性の観点から、通常2.0mm以下、中でも1.0mm以下であることが好ましい。
単孔当たりの吐出量は、紡糸安定性の観点から、通常0.2g/分以上、中でも0.4g/分以上であることが好ましく、また、繊維の繊度制御の観点から、通常5.0g/分以下、中でも3.0g/分以下であることが好ましい。
また、これら溶融紡糸の各種条件は、条件相互間の関係や、紡糸に用いる樹脂の種類、紡糸装置全体の設計などから生じる紡糸性の特徴、更には最終的に製品とする弾性繊維の繊維径及びフィラメント数等に応じて、任意に選ぶことが出来る。
[弾性樹脂]
本発明で使用される弾性樹脂は、ハードセグメントとソフトセグメントとを含む樹脂である。
弾性樹脂(エラストマー)とは、古来より天然ゴム、更には天然ゴムに部分的にイオウ(S)を用いて化学的に架橋結合を加えたもの(加硫と称する)が一般的であった。
しかし、その後の合成樹脂の発展に伴って、熱可塑性樹脂等でもゴム様の優れた弾性性能を有する樹脂を形成する事が可能であることが判った。
即ち、長いポリマーの線状分子鎖の中で、凝集力の大きい個所と、凝集力の低い個所を適切な含有比率に設計することにより、弾性樹脂(エラストマー)が出来る。ここで、ポリマーの部分構造のうち、凝集力の大きい部分(或いは結晶構造を構成し得る部分)をハードセグメントと称し、凝集力の小さい部分(或いは結晶構造を構成し難く、そのため流動性有する部分)をソフトセグメントと称する。
ハードセグメントは、例えば縮重合系のポリマーでみれば、連結部位の結合構造の凝集力が高いものが用いられる。例えば、尿素結合,ウレタン結合,アミド結合等は、水素結合力によって極めて高い凝集力を有し、エステル結合等も分子間力によって比較的高い凝集力を有する。凝集力の高い連結部位の構造であれば、上記の例にとらわれることなく、その他の縮合系ポリマーも対象とすることが出来る。また、ハードセグメントを構成する分子に芳香環やCが2〜4程度の短いアルキレン鎖を含むことにより、単に分子間の結合力の問題だけでなく、結晶構造をより容易に形成し易いハードセグメントの構造とすることも重要な要素の一つと考えられる。
一方、ソフトセグメントはハードセグメントとは反対に、適度に分子量が大きく、異なるポリマー鎖間の同類の構造部分との水素結合または分子間力が小さいものであればよい。
従って、実際のポリマー中では、複数の分子鎖が絡み合う様に存在しているため、ハードセグメントが結晶化した場合には、その部位は極めて融点が高く、逆に、ソフトセグメントは融点が低く(通常は室温以下である)流動性の高い部位となり、この様な網目構造により、弾性等を含む種々の特性が表れる。
また、ポリマーにおいて配向性が高いとは、ランダムに絡み合い、かつ分子鎖の自由度が高い状態で存在するソフトセグメント(通常マトリックスとも称する)の中に、結晶化したハードセグメント(通常ミクロドメインとも称する)が規則正しい方向に平行に近い方向性を保って並ぶ(繊維の場合は、繊維軸方向に並ぶことになる)ことを言う。
本発明で使用される弾性樹脂のソフトセグメントを構成する長鎖ジオール成分の数平均分子量(Mn)は、良好な弾性特性を得る観点から、通常、1400以上、中でも1700以上、更には2000以上とすることが好ましい。但し、粘度を適度に抑える等の観点から、通常、10000以下、中でも8000以下、更には5000以下、特に3500以下とすることが好ましい。なお、数平均分子量(Mn)は、各種の公知の手法(例えばゲル浸透クロマトグラフィー、末端基定量法等)により求めることができる。
本発明で使用される弾性樹脂のソフトセグメントを構成する長鎖ジオール成分の、樹脂全体に対する重量比は、樹脂に十分な弾性を付与する観点から、通常50重量%以上、中でも60重量%以上、更には70重量%以上とすることが好ましい。但し、樹脂の強度を維持する観点から、通常95重量%以下、中でも93重量%以下、更には90重量%以下、特に85重量%以下とすることが好ましい。
本発明で使用される弾性樹脂は、上述の定義によるハードセグメント及びソフトセグメントのみからなっていてもよいが、他のセグメントを含んでいてもよい。但し、他のセグメントを含む場合でも、樹脂の(添加剤を除く)ポリマー鎖全体に占めるハードセグメント及びソフトセグメント以外のセグメントの割合は、通常10重量%以下、中でも5重量%以下、更には1重量%以下であることが好ましい。
上述の定義によるハードセグメントとソフトセグメントとを含む弾性樹脂の例としては、ポリウレタンウレア樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエステル樹脂、ポリエーテルエステルアミド樹脂等が挙げられる。
ポリウレタンウレア樹脂は、弾性繊維に用いられる場合には、ハードセグメントとして芳香族ジイソシアネートと短鎖脂肪族ジアミン(通常メチレン鎖が2〜4個程度)が結合した単位を有し、ソフトセグメントとして長鎖ジオール(通常、数平均分子量が、1800程度から3500程度のポリテトラメチレンエーテルグリコール)単位等を有する樹脂である。
ポリウレタン樹脂は、弾性繊維に用いられる場合には、ハードセグメントとして芳香族ジイソシアネートと脂肪族ジオール(通常メチレン鎖が2〜4個程度)が結合した単位を有し、ソフトセグメントとして長鎖ジオール単位(通常数平均分子量が2000程度から4000程度のアジピン酸等と1,4−ブタンジオール等から成るポリアルキレンエステルポリオール)等を有する樹脂である。
ポリエーテルエステル樹脂は、ハードセグメントとして芳香族ジカルボン酸−アルキレングリコール単位(後述の式(1))を有し、ソフトセグメントとして芳香族ジカルボン酸−ポリアルキレンエーテルグリコール単位(後述の式(2))を有する樹脂である。
本発明では、上述の弾性樹脂のうち何れを使用することも可能であるが、何れの樹脂を使用する場合でも、前記ソフトセグメントを構成する長鎖ジオール成分由来の構成単位のうち、少なくとも50重量%以上、中でも60重量%以上、更には70重量%以上、とりわけ80重量%以上が、ポリトリメチレンエーテルグリコールに由来する単位からなることが好ましい。
本発明の製造方法において、弾性樹脂としては、一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明では、ハードセグメントとなる構成単位が、分子鎖の構造上から直線状の結晶構造(いわゆる棒状の結晶構造)を取り易いといった利点から、以下に説明するポリエーテルエステル樹脂(以降「本発明のポリエーテルエステル樹脂」という場合がある。)が好ましい。また、該ポリエーテルエステル樹脂は、特性上、弾性繊維にした場合においても、既存の弾性繊維(ポリウレタンウレア樹脂等による弾性繊維)に比べて、耐熱性,耐加水分解性,耐薬品性,耐光性などに優れるといった利点がある。
以下、本発明のポリエーテルエステル樹脂について詳しく説明する。
[ポリエーテルエステル樹脂]
本発明のポリエーテルエステル樹脂は、下記式(1)で表されるハードセグメントと、下記式(2)で表わされるソフトセグメントとを主な構成単位とする共重合体である。
式(1)及び(2)において、R1は各々独立に、ベンゼン核を持つ炭素環式化合物及び/又は非ベンゼノイド芳香族化合物由来の化学構造を表わす。なお、ここで「ベンゼン核」とは、芳香族性を持つ炭素六員環を表わし、「非ベンゼノイド芳香族化合物」とは、アズレンや芳香族性を示す複素環式化合物等の、ベンゼン核を持たないが芳香族性を示す化合物を表わす。
式(1)において、R2は、C2〜8、好ましくはC2〜6のアルキレン基を表わす。
中でもC2〜6アルキレン基が好ましく、特に直鎖状のC2〜4アルキレン基が好ましい。
式(2)において、nは、R3の繰り返し数を表わす整数である。
式(2)において、R3は、C1〜6アルキレン基を表わす。
なお、式(1)のハードセグメントは、下記式(a)で表される芳香族ジカルボン酸単位と、下記式(b)で表されるアルキレングリコール単位とに分けられる。
一方、式(2)のソフトセグメントは、下記式(a)の芳香族ジカルボン酸単位と、下記式(c)で表されるポリアルキレンエーテルグリコール単位とに分けられる(以降、夫々「単位(a)」、「単位(b)」、「単位(c)」という場合がある。)。
式(a)〜(c)において、R1、R2、R3及びnは、式(1)及び(2)と同じ定義を表す。
以下、単位(a)〜(c)及びその原料について説明する。
・単位(a)/成分(a):
単位(a)の原料(これを「芳香族ジカルボン酸成分」或いは単に「成分(a)」という場合がある。)としては、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸エステル等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸は、後述の直接重合法に用いられ、芳香族ジカルボン酸エステルは、後述のエステル交換法に用いられる。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、限定されるものではないが、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸、ジフェノキシジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸等が挙げられる。中でも、ハードセグメントとしての凝集力が高い等の理由から、テレフタル酸及び、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等が好ましく、取り扱いの容易さや汎用性及びコスト面で有利な点からテレフタル酸等が特に好ましい。
芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルの具体例としては、上記芳香族ジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等が挙げられる。
本発明の製造方法において、成分(a)は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
・単位(b)/成分(b):
単位(b)の原料(これを「アルキレングリコール成分」(または短鎖ジオール成分とも称する)或いは単に「成分(b)」という場合がある。)としては、C2〜8、好ましくはC2〜6のアルキレングリコール等が挙げられる。具体例としては、限定されるものではないが、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。中でも、樹脂の合成反応の平易さ及びハードセグメントとしての結晶性が良い等の理由から、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール等が好ましく、更に得られる樹脂の弾性特性等が優れる又は結晶化速度が比較的速い等の理由から、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール等が特に好ましい。
本発明の製造方法において、成分(b)は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
・単位(c)/成分(c):
単位(c)の原料(これを「ポリアルキレンエーテルグリコール成分」或いは単に「成分(c)」という場合がある。)としては、C1〜6のアルキレンエーテル鎖を繰り返し単位とするポリアルキレンエーテルグリコールが挙げられる。
斯かるポリアルキレンエーテルグリコール成分の具体例としては、限定されるものではないが、ポリメチレンエーテルグリコール、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリ−1,2−プロピレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール(通称PO3G)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(通称PO4G)、ポリネオペンチレンエーテルグリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック又はランダム共重合体、エチレンオキシドとTHFとのブロック又はランダム共重合体等が挙げられる。
中でも、弾性繊維としての弾性特性に優れる点で、成分(c)としては、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が好ましい。
特に、成分(c)としては、ポリトリメチレンエーテルグリコールがとりわけ好ましい。成分(c)としてポリトリメチレンエーテルグリコールを用いた弾性樹脂を原料として得られる本発明の弾性繊維は、後述のように、従来実現が不可能とされてきた0℃以下の低温域でも、低引張弾性率及び高弾性回復特性を維持するという利点がある。更には、PO3Gが、植物由来による原料である1,3−プロパンジオールから成る事より、今日的に重要視されている非石油由来物質(言い換えると、再生可能性材料;Renewable Materialsと称する場合がある。)に近い製品とみなされる利点もある。
なお、ポリトリメチレンエーテルグリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコールは、それぞれ対応する単量体成分(例えば、それぞれ1,3−プロパンジオール等及びテトラヒドロフラン(THF)等)を重合して得られるが、得られた弾性繊維の弾性性能、特に低温条件下も含む高弾性回復特性やソフト性を改善させる等の目的で、重合の際に、上記の単量体成分に、メチル基やエチル基などの側鎖を有するC4〜9のアルキレングリコールを加えて共重合させることもある。共重合成分となるC4〜9のアルキレングリコールの例としては、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオール,3−エチル−1,5−ペンタンジオール,3,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオールなどが挙げられる。これら共重合成分を使用する場合、成分(c)に対するその使用比率は、5重量%以上、中でも10重量%以上、また、30重量%以下、中でも20重量%以下が好ましい。該共重合成分の含有量が多過ぎると、弾性性能がかえって悪化したりする等の問題があり、少な過ぎると目的とする低温条件下も含む高弾性回復特性やソフト性の改善が十分に得られないといった問題が生じる。これらの共重合体成分は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
成分(c)の重合度(即ち、式(2)及び(c)におけるn)は、限定されるものではないが、通常は成分(c)の数平均分子量(Mn)に応じて決定することが好ましい。成分(c)の数平均分子量(Mn)(これはソフトセグメントの数平均分子量(Mn)に概ね対応する。)は、良好な弾性特性を得る観点から、通常1400以上、中でも1700以上、更には2000以上とすることが好ましい。但し、粘度を適度に抑える観点から、通常10000以下、中でも8000以下、更には5000以下、特に3500以下とすることが好ましい。なお、数平均分子量(Mn)は、各種の公知の手法(例えばゲル浸透クロマトグラフィー、末端基定量法等)により求めることができる。
本発明の製造方法において、成分(c)は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
・成分(a)〜(c)の比率:
本発明のポリエーテルエステル樹脂に使用される成分(a)〜(c)の総量に対する成分(c)の含有率は、樹脂に十分な弾性を付与する観点から、通常50重量%以上、中でも60重量%以上、更には70重量%以上とすることが好ましい。但し、樹脂の強度を維持する観点から、通常95重量%以下、中でも93重量%以下、更には90重量%以下、特に85重量%以下とすることが好ましい。
・その他の成分
本発明のポリエーテルエステル樹脂は、上述の単位(a)〜(c)に加えて、他の成分に由来する部分構造単位を併用してもよい。但し、その場合でも、本発明のポリエーテルエステル樹脂は、主に上述の単位(a)〜(c)から構成される。具体的には、本発明のポリエーテルエステル樹脂に対する、上述の単位(a)〜(c)の合計の量比(即ち、本発明のポリエーテルエステル樹脂の製造時に使用される全単量体成分の合計量に対する、成分(a)〜(c)の合計量の比)は、通常70重量%以上、中でも80重量%以上、更には90重量%以上が好ましい。
本発明のポリエーテルエステル樹脂が、上述の成分(a)〜(c)に加えて、他に併用していてもよい共重合成分としては、成分(a)以外の追加のカルボン酸成分や、成分(b)及び(c)以外の追加のアルコール成分等が挙げられる。
追加のカルボン酸成分としては、コハク酸、アジピン酸、シュウ酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸等の3官能以上の多価カルボン酸;無水トリメリット酸等の多価カルボン酸無水物、トリメチロールプロパン、グリセリン等の多価アルコール成分;等が挙げられる。これらは何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。脂肪族ジカルボン酸を使用する場合、その使用量は、成分(a)を含めたカルボン酸成分の総量に対して、50モル%未満が好ましく、30モル%以下が更に好ましい。脂肪族ジカルボン酸の使用量が多過ぎる場合、ブロック共重合体の耐熱性を損ない、品質が低下することがある。多価カルボン酸及び/又はその無水物を使用する場合、その使用量は、成分(a)を含めた全カルボン酸成分の総量に対して、ジカルボン酸成分の20モル%以下、中でも10モル%以下が好ましい。
また、追加の多価アルコール成分を使用する場合も、その使用量は、成分(b)及び(c)を含めた全グリコール成分の総量に対して、20モル%以下、好ましくは10モル%以下が好ましい。これらの多価化合物を上記の範囲を超えて使用すると、粘度が上がり過ぎて製造時の抜き出しが困難になる、成形性が悪化する、成形物にブツが発生して機械的物性が悪化する等の傾向がある。
[ポリエーテルエステル樹脂の製造方法]
本発明のポリエーテルエステル樹脂を製造する方法は制限されず、従来公知の任意のポリエーテルエステル樹脂の製造方法を採用することができる。具体例としては、以下の方法が挙げられる。
(i)成分(a)として芳香族ジカルボン酸を用い、これを成分(b)及び(c)、並びに必要に応じて用いられる他の単量体成分とエステル交換反応させ、続いて得られた反応生成物を減圧下で共重合(重縮合)する方法(以下「直接重合法」という場合がある。)。
(ii)成分(a)として芳香族ジカルボン酸エステルを用い、これを過剰量の成分(b)及び(c)、並びに必要に応じて用いられる他の単量体成分とエステル交換反応させ、続いて得られた反応生成物を減圧下で共重合(重縮合)する方法(以下「エステル交換法」という場合がある。)。
その他にも、予め短鎖ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート)を作っておき、これに他の芳香族ジカルボン酸成分と成分(c)を加えて重縮合する方法や、二軸押出機等を用いて、他の共重合ポリエステルを加えてエステル交換する方法等が挙げられるが、本発明では何れの方法を選択してもよい。
・触媒
本発明のポリエーテルエステル樹脂の合成時には触媒を使用してもよい。触媒を使用する場合、直接重合法ではエステル交換反応時及び/又は重縮合反応時、エステル交換法ではエステル交換反応時及び/又は重縮合反応時に使用することができる。何れの反応に使用するかは任意であるが、直接重合法及びエステル交換法ともに、少なくとも重縮合反応時に触媒を用いることが好ましい。
エステル交換反応又はエステル交換反応と共重合反応に共通の触媒としては、Ti、Sn、Mg、Pb、Zr、Zn、Sb、Ge、P等の金属化合物が有用である。中でも、チタン化合物、スズ化合物が好ましい。
チタン化合物(チタン系触媒)の例としては、テトラ(イソプロポキシ)チタネート、テトラ(n−ブトキシ)チタネートに代表されるテトラアルキルチタネート、これらテトラアルキルチタネートとアルキレングリコールとの反応生成物、テトラアルキルチタネートの部分加水分解物、チタニウムヘキサアルコキサイドの金属塩、チタンのカルボン酸塩、チタニル化合物等が挙げられる。
スズ化合物(スズ系触媒)の例としては、モノ−n−ブチルモノヒドロキシスズオキサイド、モノ−n−ブチルスズトリアセテート、モノ−n−ブチルスズモノオクチレート、モノ−n−ブチルスズモノアセテート等のモノアルキルスズ化合物、ジ−n−ブチルスズオキサイド、ジ−n−ブチルスズジアセテート、ジフェニルスズオキサイド、ジフェニルスズジアセテート、ジ−n−ブチルスズジオクチレート等のジアルキル(又はジアリール)スズ化合物等が挙げられる。
これらの触媒は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。特に、一種の触媒を単独で使用する場合は、テトラアルキルチタネートが好適である。また、二種以上の触媒を組み合わせて使用する場合には、テトラアルキルチタネートと酢酸マグネシウムを併用することが好ましい。
触媒の使用量は、生成するポリエーテルエステル樹脂に対する比率で、通常0.001重量%以上、好ましくは0.003重量%以上、また、通常0.5重量%以下、好ましくは0.2重量%以下である。触媒の使用量が少な過ぎると、反応が進行し難く、生産性が悪くなる場合がある。一方、触媒の使用量が多過ぎると、生成するポリエーテルエステル樹脂が着色したり、共重合体成形品の表面外観がブツ等により悪化する場合がある。
・結晶核剤
本発明のポリエーテルエステル樹脂は、共重合体として製造した後、各成分の種類や重量比率等によっては、その結晶化速度が遅いために、樹脂自体が軟らかく、かつ、樹脂表面の粘着性が高くなる場合がある。従って、実際の樹脂製造における抜き出し工程において、抜き出したストランド同士が融着したり、通常のペレタイザーではカッティングができなかったり、またカッティングした後に、ペレット同士が融着する等の弊害が生じる場合がある。その様な場合には、結晶核剤を導入することによって、上記の問題を抑制出来ることがある。
使用される結晶核剤の種類に制限は無いが、例としては、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、窒化ホウ素、酸化ケイ素等の無機系化合物;安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カリウム、モンタン酸カルシウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸カルシウム等の有機カルボン酸金属塩;ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、エルカ酸アミド等のカルボン酸アミド;低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、及び、これらのポリオレフィンを含有するポリオレフィンワックス;半芳香族ポリエステル(ポリブチレンテレフタレート等)、脂肪族ポリエステル等のポリエステル、並びにオリゴマー;エチレン−(メタ)アクリル酸コポリマーのナトリウム塩又はカリウム塩;ベンジリデンソルビトール及びその誘導体;ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等のリン酸エステル金属塩;等が挙げられる。
なお、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸及び/又はアクリル酸を指す。
中でも、結晶核剤としては、ステアリン酸ナトリウム、モンタン酸ナトリウム等の有機カルボン酸金属塩、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が好ましい。
結晶核剤の配合量は、樹脂全体(添加剤を除く)に対して、通常0.01重量%以上、中でも0.1重量%以上、更には0.5重量%以上、また、通常15重量%以下、中でも10重量%以下、更には5重量%以下とすることが好ましい。結晶核剤の配合量が少な過ぎても多過ぎても、結晶化速度の促進としての効果が得られなかったする場合がある。また、大過剰量を用いると、異物として繊維の表面を荒らしたり、機械的物性を損なう場合がある。
結晶核剤の導入時期は任意である。例えば、樹脂の製造の際に原料とともに仕込んでもよく、また、反応の途中の段階で任意に仕込んでもよい。また、樹脂を製造してから後に、押出機等を利用して混練する際に樹脂ペレットと共に成形機中に導入して混ぜ合わせることも可能である。
・酸化防止剤
本発明のポリエーテルエステル樹脂の製造時には、酸化防止剤を使用してもよい。
酸化防止剤は、ポリエーテルエステル樹脂の製造中又は製造後の任意の時期に加えることが出来る。特に、ポリアルキレンエーテルグリコール成分(c)が高温に曝される時点、例えば共重合反応に入る時点で、ポリアルキレンエーテルグリコール成分の酸化劣化を防止するために、共重合反応を阻害せず、また触媒の機能を損なわない限りにおいて、酸化防止剤を加えることが望ましい。
酸化防止剤の例としては、燐酸、亜燐酸の脂肪族、芳香族又はアルキル基置換芳香族エステルや、次亜燐酸誘導体、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等のリン化合物、ヒンダードフェノール化合物等のフェノール系誘導体、チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプロピオン酸エステル等のイオウを含む化合物、スズマレート、ジブチルスズモノオキシド等のスズ系化合物等を用いることができる。
これらの酸化防止剤は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても構わない。
酸化防止剤の使用量は、ポリエーテルエステル樹脂成分の総重量を100%として、通常0.001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、また、通常3重量%以下、好ましくは2重量%以下の範囲である。酸化防止剤の使用量が少な過ぎると、酸化防止剤の効果が発現し難くなる場合がある。一方、酸化防止剤の使用量が多過ぎると、生成するポリエーテルエステル樹脂が着色したり、樹脂の表面にブツ等を生じる場合がある。概ブツ等が発生すると、紡糸中に糸切れの原因となったり、更には、繊維の物性を悪化させる場合がある。
・製造時の反応条件
本発明のポリエーテルエステル樹脂を製造する際の反応条件としては、公知の常用条件を用いることができる。例えば、直接重合法やエステル交換法においては、以下の通りである。
即ち、前段のエステル交換反応又はエステル交換反応は、通常120℃以上、好ましくは140℃以上、また、通常280℃以下、好ましくは270℃以下の反応温度で、通常1時間以上、10時間以下に亘って行なわれる。反応温度が低過ぎると、反応が進行し難く生産性が悪くなる場合があり、反応温度が高過ぎると、生成するポリエーテルエステル樹脂が着色する場合がある。また、反応時間が短過ぎると、エステル交換反応又はエステル交換反応が十分に進行していないために後続の重縮合反応が進行しない場合があり、反応時間が長過ぎると、それまでの間にエステル交換反応又はエステル交換反応が十分に進行しているために生産効率が悪くなる場合がある。
また、後段の重縮合反応は、通常1.3kPa以下の減圧下、通常200℃以上、好ましくは220℃以上、また、通常280℃以下、好ましくは270℃以下の反応温度で、通常1時間以上、10時間以下に亘って行なわれる。反応温度が低過ぎると、反応が進行し難く生産性が悪くなる場合があり、反応温度が高過ぎると、生成するポリエーテルエステル樹脂が着色する場合がある。また、反応時間が短過ぎると、重縮合反応が十分に進行していないために生成する共重合体の重合度が極めて低くなる場合があり、反応時間が長過ぎると、生成する共重合体が着色したり、解重合反応が起こり共重合体の重合度が低下する場合がある。
・その他
通常、上記のように溶融重縮合して得られた本発明のポリエーテルエステル樹脂は、その融点以上の温度で保持され、順次、反応缶等の反応器から吐出、ペレタイジング等の成形が行なわれる。なお、ここで得られたペレットは、必要に応じて、更に固相重合してもよい。
なお、得られた本発明のポリエーテルエステル樹脂に対し、必要に応じて、本発明の目的、効果を損なわない範囲で、任意の成分を配合することができる。
具体例としては、シリカ、タルク、マイカ、二酸化チタン、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、ケイソウ土、アスベスト、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等の充填剤や補強材;ステアリン酸亜鉛やステアリン酸ビスアマイド等の離型剤ないしは滑剤;着色の為のカーボンブラック、群青、酸化チタン、亜鉛華、べんがら、紺青、アゾ顔料、ニトロ顔料、レーキ顔料、フタロシアニン顔料等の染顔料;オクタブロモジフェニル、テトラブロモビスフェノールポリカーボネート等の難燃化剤;ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤;ベンゾトリアゾール化合物等の紫外線吸収剤;炭酸ナトリウム等の無機塩やクエン酸ナトリウム等の有機塩等の発泡剤;エポキシ化合物やイソシアネート化合物等の架橋剤;鉱物油、植物油、シリコーンオイル、シリコーン樹脂等の粘度調整剤;置換アミド化合物、脂肪酸アミド化合物等の摺動性改良剤;導電性付与のための各種導電材等、公知の各種の添加剤が挙げられる。
これらの添加剤は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても構わない。
[弾性繊維]
上述した本発明の製造方法によって得られる弾性繊維(本発明の弾性繊維)は、以下の特徴を有する。
(1)紡糸過程中の配向結晶化により紡糸過程のみで安定した高次構造が得られる。
(2)応力−歪特性を幅広く制御可能である。
(3)弾性回復性に極めて優れる。
(4)ソフトセグメントの材料として、特定の成分(ポリトリメチレンエーテルグリコール)を用いることにより、0℃以下の低温域でも低引張弾性率及び高弾性回復特性を維持する。
本発明の繊維は、例えば、各種の衣料用繊維、工業用繊維や各種フィルター等の繊維製品等として使用することができる。
また、本発明の繊維は、自動車の内装用に使用される繊維製品としても適する。
以下に実施例を示して本発明をより詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更を加えて実施することが可能である。
[インヘレント粘度及び数平均分子量の計算法]
ポリエーテルエステル樹脂の重合度を表すインヘレント粘度(ηinh)及び、ポリアルキレンエーテルグリコールの数平均分子量(Mn)は、以下の方法に基づき実施した。
(1)インヘレント粘度
ウベローデ型粘度計を使用し、次の要領で求めた。すなわち、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃において、濃度0.5g/dlのポリマー溶液および溶媒のみの落下秒数を測定し、以下の式により求めた。
ηinh=lnηrel/c
ηrel=ポリマー溶液の落下秒数/溶媒の落下秒数
c=濃度(g/dl)
(2)ポリアルキレンエーテルグリコールの数平均分子量(Mn)
ポリアルキレンエーテルグリコール末端の水酸基を無水フタル酸でエステル化させ、未反応の無水フタル酸をフタル酸に分解後、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリで逆滴定(末端基滴定法)することにより水酸基価を求め、その値から算出した。
[弾性樹脂の製造]
<ポリエーテルエステル樹脂の製造例1;PBT−PO4G樹脂>
窒素導入口,減圧口等を供えたエステル交換反応に適した反応槽の容量が1mの重合反応器を用いて、エステル交換法により目標とするポリエーテルエステル樹脂の重合反応を行った。反応槽に、テレフタル酸ジメチル54.69kg、1,4−ブタンジオール31.93kg、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(Mn;1979)144.53kgを仕込み、そこにTi系触媒を加え減圧置換後、窒素下で昇温しながらエステル交換反応を行った。その後、更にTi系触媒とヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加し、引き続き重縮合反応を行い、目的とするインヘレント粘度(ηinh)に到達した時点で重合反応を終了した。反応終了後は、速やかに窒素置換と共に減圧を解除し、反応槽の底部より溶融状態の樹脂を抜出し、水槽で冷却固化させながらペレタイザーを用いてペレット状のポリエーテルエステル樹脂を得た。
得られたポリエーテルエステル樹脂PBT−PO4Gのインヘレント粘度(ηinh)は、1.91であった。
また、ポリエーテルエステル樹脂PBT−PO4Gのハードセグメントとソフトセグメントとの重量比(%)及びモル比(%)は、計算により各々以下の通りであった。
ハードセグメント/ソフトセグメントの重量比(%):23.0/77.0
ハードセグメント/ソフトセグメントのモル比(%):74.1/25.9
<ポリエーテルエステル樹脂の製造例2;PBT−PO3G樹脂>
ポリアルキレンエーテルグリコールとしてポリトリメチレンエーテルグリコールを用い、テレフタル酸ジメチル、1,4−ブタンジオール、ポリトリメチレンエーテルグリコールの各仕込み重量を調整した他は、製造例1と同様の方法により目標とするポリエーテルエステル樹脂を得た。各々の仕込み重量は、テレフタル酸ジメチル52.53kg、1,4−ブタンジオール31.33kg、ポリトリメチレンエーテルグリコール(Mn;2166)145.33kgである。
得られたポリエーテルエステル樹脂PBT−PO3Gのインヘレント粘度(ηinh)は、1.80であった。
また、ポリエーテルエステル樹脂PBT−PO3Gのハードセグメントとソフトセグメントとの重量比(%)及びモル比(%)は、計算により各々以下の通りであった。
ハードセグメント/ソフトセグメントの重量比(%):22.5/77.5
ハードセグメント/ソフトセグメントのモル比(%):75.2/24.8
[高速紡糸弾性繊維の製造]
図2は、実施例で使用した溶融紡糸・計測装置の構成を模式的に示す図である。図2に示す基本構成の溶融紡糸・計測装置を用いて、紡糸速度を種々変更しながら製造した上記の弾性樹脂PBT−PO4G繊維(以下「TPE−4/4」という場合もある)及びPBT−PO3G繊維(以下「TPE−4/3」という場合もある)を溶融紡糸し、繊維を作製した。なお、図2に示す巻取ロールの巻取速度が、図1を用いて上に説明した、繊維構造形成に関わる紡糸速度(第1ゴデットローラーにおける引取速度)に対応する。また、図2に示す紡糸口から巻取ロールまでの距離が、図1における紡糸道長Lに対応する。
紡糸条件は、紡糸温度210℃、吐出口(紡糸口)径0.5mm、1ホールのノズルを用い、吐出量は3g/分とした。巻取ロールの引取速度(紡糸速度)を、0.27km/分、0.5km/分、1km/分とし、以降は1km/分刻みで最高速度まで巻き取り、最大巻取速度を可紡性として評価した。
[高速溶融紡糸時の速度変化プロフィールの検討]
紡糸線上の速度変化プロフィールを調べる為に、弾性樹脂の溶融紡糸時に、オンラインでの外径・速度計測を行った。繊維の外径は外径測定器(Zimmere OHG、Model460/A10)を用いて、紡糸ヘッド(ノズル)の吐出口(紡糸口)下10cmの位置から10cm刻みで260cmまで計測した。サンプリング周波数は1kHzとし、測定時間は6秒間とした。繊維の速度は、レーザードップラー速度計(TSI、Ls520)を用いて、ノズルの吐出口下20cmの位置から10cm刻みで280cmまで、更に285cm、289cmの位置で行った。サンプリング周波数は1kHzとし、各位置につき2000点のサンプリングが出来るまで測定した。
図3−1及び図3−2は、それぞれ弾性繊維TPE−4/4及びTPE−4/3の紡糸線上の速度変化プロフィールを示す図である。図3−1及び図3−2の各々において、(a)は紡糸速度(即ち、巻取ロールにおける巻取速度)0.5km/分で紡糸した繊維、(b)は紡糸速度5km/分で紡糸した繊維を表す。なお、図3−1及び3−2の(a)及び(b)の各々において、紡糸口からの距離を表す右側軸の最下端が、巻取ロールにおける巻き取り位置に対応する。図3−1及び3−2から明らかなように、弾性材料であるポリエステルエーテル樹脂の溶融紡糸において、紡糸速度0.5km/分では、紡糸口から巻取ロールまでの紡糸線に沿って紡糸線速度が滑らかな速度増加を示すのに対し、紡糸速度5km/分では、紡糸口からおよそ150〜250cm程度の位置で、急激な紡糸線速度の速度増加(急激な直径の減少)を示すことが観測された。これは、紡糸過程中に配向結晶化が起こることを実証した結果と言える。即ち、弾性材料の高速紡糸においても、PET、PA等の紡糸と同様の配向結晶化が生じることが明らかになった。これは、紡糸工程の後に延伸・熱処理等の付加的な工程を加えることなく、最終用途に適用可能な弾性繊維の製造が可能であることを意味している。
[弾性繊維の広角X線回折(WAXD)及び小角X線散乱(SAXS)の検討]
高速紡糸弾性繊維の広角X線回折(WAXD)及び小角X線散乱(SAXS)を調べるために、X線発生装置(Rigaku、RMT-18HFVE)を用いて、電圧45kV、電流60mAで出力し、CCDカメラ(Rigaku、CCD MERCURY)を用いて回折像を得た。広角X線回折(WAXD)については、照射時間10秒で5回積算することにより回折像を得た。小角X線散乱(SAXS)については、照射時間5分で6回積算することにより回折像を得た。
図4(a)〜(c)は、弾性繊維TPE−4/4の広角X線回折及び小角X線散乱像を示す図である。(a)は紡糸速度0.27km/分で紡糸した繊維、(b)は紡糸速度1km/分で紡糸した繊維、(c)は紡糸速度5km/分で紡糸した繊維を表す。図4に示すとおり、低速域で得られた繊維が、広角X線回折では殆ど明瞭な結晶反射が観測されず、小角X線散乱でも散漫な子午線方向に2点像が得られるのに対し、速度の増加に伴い広角X線回折では、ハードセグメントに由来する高度に発達した高配向結晶の生成が確認され、一方、小角X線回折においては、先ず、子午線方向に明瞭な2点像が得られ、この2点像が徐々に方位角方向に広がるという特徴を示す。
[高速紡糸弾性繊維の弾性回復率(ヒステリシス)の検討]
紡糸速度の異なる弾性繊維について、2倍伸長後(100%伸長後)の弾性回復率(ヒステリシス)を、以下の手順により、1度目の伸長及び2度目の伸長についてそれぞれ調べた。
図5は、弾性繊維のヒステリシス測定(本実施例では、100%伸長、すなわち繊維試料が2倍の長さに伸びるまで引っ張った。)の概要を説明するための図である。測定には、引張試験機(SHIMADZU, AUTOGRAPH AG-1)を用いた。試料長は20mmとし、各巻取速度の繊維について、以下の手順で評価した。
1.歪速度1/分で繊維に1.0の歪を与え、2分間保持(図5中O→A→B)。
2.同じ速度(20mm/分)で初期長まで戻し(図5中B→C→O)、5分間保持。
3.同じ速度で引張り、応力の立ち上がり位置を確認(図5中O→D)。
4.1〜3をもう1サイクル行い、再度応力の立ち上がり位置を確認。
弾性回復率(%)を、下記式(I)を用いて導出した。弾性回復率は、1回目と2回目の応力の立ち上がり位置からと、2回目と3回目の応力の立ち上がり位置からの、計2つ(1st vs 2nd、2nd vs 3rd)を算出した。
図6は、弾性繊維はTPE−4/4及びTPE−4/3の紡糸速度と弾性回復率との関係を示す図である。図6から明らかなように、1回目の伸長の弾性回復率は全て90%以上の高い値を示しているが、紡糸速度の増加とともに急激に増加し、2000m/分以上では、96〜97%という高い値に達する。一方、2回目の伸長の回復率の紡糸速度依存性は小さいが、全て99%程度の高い値を示している。
弾性繊維の応力−歪曲線の特徴は、(1)低ヤング率(初期弾性率)、(2)伸長に伴う緩慢な応力増加、(3)ある伸度以降での応力の立ち上がりで特徴づけられる。
図7(a)及び(b)は、紡糸速度を変えて得た弾性繊維の応力−歪曲線を示す図である。(a)はTPE−4/4、(b)はTPE−4/3を表す。紡糸速度の増加に伴って応力の立ち上がり点が低伸度側に移行し、破断強度が増加するとともに、破断伸度は低下している。
図8(a)及び(b)は、弾性繊維TPE−4/4及びTPE−4/3の破断強度、破断伸度及びヤング率の紡糸速度依存性を示す図である。(a)破断強度及び破断伸度の紡糸速度依存性、(b)はヤング率の紡糸速度依存性を表す。驚くべきことに、ヤング率は紡糸速度の増加に伴って増加せず、むしろ低下の傾向を示すことを見出した。ここから、ソフト性に富む新たな弾性繊維の創出の可能性があることが分かった。
即ち、これらの結果から、高度な弾性回復特性と低弾性率という弾性繊維に必要な特徴を維持しつつ、応力の立ち上がり挙動を自由に制御した弾性繊維が、高速溶融紡糸法における紡糸速度の制御により製造できることが明らかになった。このような応力の立ち上がり挙動は、例えばこの繊維を衣料用途に適用した場合、型崩れし難いストレッチ素材としての利点を有している。応力の立ち上がり特性は、ハードセグメントとソフトセグメントの組成等の分子設計により、更に変化させることが可能と考えられる。
[高速溶融紡糸挙動と繊維の力学特性との関係]
弾性繊維の紡糸挙動と得られる繊維物性の関係については、高速紡糸過程中に紡糸線に加わる高い伸長応力により、製造途中の繊維が弾性変形することを考慮しなければならない。高速域での紡糸線応力増加の2大要因は慣性力(材料が低速から高速に加速するときに生じる力)と、空気抵抗力であり、従って、紡糸線の下流域ほど伸長応力は高くなる。
PET、PA等の汎用繊維の高速紡糸においては、繊維の弾性率が十分に高いため、紡糸線の伸長応力が繊維を弾性変形させる量は無視できるほど小さい。即ち、ネック状変形の後、紡糸線の直径(速度)はほぼ一定となる。一方、通常の繊維に比べ弾性率が1/100〜1/1000程度であり、しかも大きな弾性回復特性を示す弾性繊維の場合は、糸切れすることなく弾性変形を受けながら繊維を溶融紡糸することができる。
図9(a)及び(b)は、種々の紡糸速度における紡糸口からの距離に対する紡糸線の速度変化を示す図である。(a)はTPE−4/4、(b)はTPE−4/3を表す。図9から明らかなように、高次構造形成がほぼ完了すると考えられているネック状変形の後、更に継続的に速度が増加していることが明瞭に観測される。この速度増加は、既に構造形成の完了した繊維の弾性変形による伸長に対応するものと考えられる。
上述した図1の装置の基本要素図において、第一ゴデットローラー(4)の速度V1が、繊維構造形成に関わる紡糸速度に対応する。一方、ボビン(6)の速度V2は、紡糸過程で繊維に加わった弾性変形を十分に解放し、伸長応力を低下させた状態で巻き取る必要があるため、必然的にV1>V2となる。繊維製造の観点からの実質的な紡糸速度はV2である。
ここで、吐出量を一定としたまま紡糸速度を増加させた場合、出来上がる繊維の引張弾性率が一定とすると、慣性力の増加およびネック状変形の紡糸線上流方向へのシフトによる空気抵抗応力の増加に伴い弾性変形量は増加する。すなわち、紡糸速度の増加に伴いV2/V1の値は低下するはずである。
図10は、図2の装置を用いて巻き取り張力を制御せずにTPE−4/4を巻き取りロールに巻付けた場合の、巻取繊維をボビンから外す際の弾性回復率及び実質的紡糸速度(言い換えると、図1にいう通常の紡糸装置におけるボビン(6)での巻取り時の紡糸速度)の、見かけの紡糸速度(言い換えると、上記の図3−1における第一ゴデットローラー(4)での紡糸線速度)に対する依存性を示す図である。このグラフから、巻き取り繊維が高速域では、50%に近い収縮を示していることがわかる。これは、例えば第一ゴデットローラー(4)の速度を5000m/分として紡糸しても、実質的な紡糸速度は3000m/分以下であることを意味している。なお、本発明で得られる繊維が高い弾性回復特性を有するのは、上記のとおり高速溶融紡糸過程で、繊維が一度伸長回復履歴を経ているためと考えられる。
一方、V2/V1は、紡糸速度(言い換えると、上記の図3−1における第一ゴデットローラー(4)での紡糸線速度)以外の紡糸条件の影響も受けることに注意しなければならない。例えば紡糸道長Lを増大させると、空気抵抗の影響が大きくなり、高次構造形成後の繊維に付加される弾性変形量が大きくなるため、V2/V1の値は低下する。
なお、紡糸後の繊維の弾性収縮率から見積もられる実質の紡糸速度(言い換えると、図1の通常の紡糸装置におけるボビン(6)での巻取り時の紡糸速度)を、紡糸線速度プロフィール(上述の図9の(a)及び(b))と比較すると、その速度域はネック状変形の中間点付近に対応することを見出した。この結果は、先に述べた、紡糸線上の繊維の高次構造形成はネック状変形終了点以降で急速に進むとする考え方と一見矛盾しているように見える。これらのデータは、ネック状変形完了後に配向結晶化により繊維が出来上がる時点で、ソフトセグメントの伸長変形が既に内在されているという特異挙動が起こっていることを意味している。
[低温特性]
一般の弾性繊維では、ハードセグメントが結晶化等による凝集力により架橋点として作用することで繊維の形態保持性が保たれるとともに、ソフトセグメントが、ガラス転移点以上の無定形の状態で、自由な分子運動による低弾性率特性に寄与している。従って、ソフトセグメントにガラス転移や結晶化が起こると弾性特性を喪失する。
ここで、繊維TPE−4/3のソフトセグメントを構成するPO3G成分は、そのガラス転移まで温度を下げても結晶化しないため、低温域でも弾性特性を保持している(最大−60℃程度まで、弾性繊維として機能することが十分に期待できる。)。
図11は、紡糸速度5km/分で紡糸した繊維TPE−4/4及びTPE−4/3の貯蔵弾性率の温度依存性を示す図である。TPE−4/4繊維が0℃以下に冷却すると急激に弾性率が増大するのに対し、TPE−4/3繊維は低弾性率を維持していることがわかる。
図12は、紡糸速度5km/分で紡糸した繊維TPE−4/4及びTPE−4/3の温度変化に伴う繊維長変化(TMA装置を用いて測定した結果である。)を示す図である。繊維TPE−4/3は、温度低下に対し、線膨張率に依存して長さが単調に短くなるのに対し、繊維TPE−4/4は、0℃付近において、通常の繊維には見られない約8%もの急激な伸長を示している。これは、繊維TPE−4/4のPO4G成分の結晶化による自発伸長によるものである。即ち、繊維の形態安定性の観点からも、PO3G成分は良好な性質を示すことが見出された。
本発明によれば、従来の弾性繊維とは異なる種々の物性(優れた弾性回復性や、自由度の高い応力−歪特性等)を有する新規な弾性繊維が提供されるため、弾性繊維が適用される衣料等の各種用途に好適に使用することができる。

Claims (8)

  1. 弾性繊維を製造する方法であって、ハードセグメントとソフトセグメントとを含む弾性樹脂を、紡糸速度2000〜10000m/分で溶融紡糸する工程を含む方法。
  2. 前記ハードセグメントが(a)芳香族ジカルボン酸単位と(b)アルキレングリコール単位とから構成され、前記ソフトセグメントが(a)芳香族ジカルボン酸単位と(c)ポリアルキレンエーテルグリコール単位とから構成される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記(b)アルキレングリコール単位が、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、及び1,4−ブタンジオールから選択される少なくとも1種に由来する単位である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記(c)ポリアルキレンエーテルグリコール単位が、ポリトリメチレンエーテルグリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコールから選択される少なくとも1種に由来する単位である、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記樹脂中における前記ソフトセグメントの長鎖ジオール成分の重量比が50%以上である、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
  6. 前記樹脂中における前記ソフトセグメントの長鎖ジオール成分の数平均分子量が1000〜10000である、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
  7. 前記ソフトセグメントを構成する長鎖ジオール成分由来の構成単位のうち、少なくとも50重量%が、ポリトリメチレンエーテルグリコールに由来する単位からなる、請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の方法により製造される弾性繊維。
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