以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
[実施例1]
(1)画像形成装置例の全体的な概略説明
図1は、本発明の実施例に係る画像形成装置8の概略構成図である。本実施例の画像形成装置8は、回転可能な像担持体である感光ドラム20に対して帯電、露光、現像、転写およびクリーニングの一連の画像形成プロセスを実行して転写材(記録媒体)7に画像を形成する電子写真方式の画像形成装置である。
より詳しくは、制御部(制御手段:CPU)10にインターフェイス11を介して接続されているホスト装置12から入力する画像データ(電気的な画像情報)に対応した画像を転写材7に形成して画像形成物を出力することができる。転写材7は、普通紙、光沢紙、樹脂シート、葉書、封筒などである。
制御部10は画像形成装置8の動作を統括的に制御する制御手段であり、ホスト装置12や装置操作部(コントロールパネル)13と各種の電気的情報信号の授受をする。また、各種のプロセス機器やセンサなどから入力する電気的情報信号の処理、各種のプロセス機器への指令信号の処理、所定のイニシャルシーケンス制御、所定の作像シーケンス制御を司る。ホスト装置12は、パーソナルコンピュータ、ネットワーク、イメージリーダ、ファクシミリなどである。装置操作部13は本体(メイン)電源スイッチ、各種の操作キー、表示器などが配設されている。
感光ドラム20は矢印Rの時計方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。感光ドラム20の周囲には感光ドラム回転方向に沿って画像形成プロセス手段としての、帯電部材21、露光装置1、現像剤担持体30、転写装置4、クリーニング装置22が順に配されている。
本実施例において、感光ドラム20はアルミ等の導電性のシリンダ上に下引き層、キャリア発生層、キャリア輸送層を形成したものを用いた。帯電部材21は感光ドラム20に接触し、感光ドラム20に従動回転する帯電ローラを用いた。帯電部材21は、金属から成る導電性の支持体上に半導電性の弾性部材を施した構成とした。帯電部材21には所定の帯電電圧が印加され、感光ドラム20を所定の極性・電位に一様に帯電する。本実施例においては、帯電部材21により感光ドラム20を−500Vに一様に帯電させた。
帯電部材21によって一様に帯電した感光ドラム20の表面に対して露光装置1により画像露光がなされる。本実施例において、露光装置1はレーザー走査露光装置であり、レーザー、ポリゴンミラー、レンズ系を含む。露光装置1は画像信号(画像データ)に対応して変調されたレーザー光Lを出力して感光ドラム20の表面を主走査方向露光する。これにより、感光ドラム20の表面に走査露光パターンに対応した静電潜像が形成される。
感光ドラム表面の静電潜像は回転可能な現像剤担持体30により現像剤像(トナー像)として現像(可視像化)される。本実施例において現像剤担持体30は感光ドラム20に接触して感光ドラム20の回転と順方向の所定の周速比をもって矢印の反時計方向に回転駆動される現像ローラを用いた。
現像剤担持体30は、金属から成る導電性の支持体上に半導電性のウレタンゴムなどの弾性部材を施した構成であり、現像剤であるトナーTを担持して搬送する。現像剤担持体30には所定の現像電圧が印加され、静電潜像をトナーTによって現像する。トナーTには、非磁性一成分トナーを用いた。ここでは、非磁性一成分トナーを用いたが、二成分トナーや磁性トナーであってもよい。
現像剤担持体30には回転可能な現像剤供給部材31が接触して配設されている。本実施例において現像剤供給部材31は、金属から成る導電性の支持体の表面に半導電性の発泡ウレタンなどの弾性部材を施した弾性スポンジローラである。現像剤供給部材31は現像剤担持体30に対して並行に配列されて現像剤担持体30に接触し、現像剤担持体30との接触部において現像剤担持体30の回転方向に対してカウンター方向に所定の周速比をもって回転駆動される。これにより、回転する現像剤担持体30の表面に対して現像剤供給部材31からトナーTが薄層として塗布される。
また、現像剤担持体30には現像剤供給部材31よりも現像剤担持体回転方向下流側において現像剤層厚規制部材32が接触して配設されている。本実施例において現像剤層厚規制部材32は導電性の弾性ブレードであり、現像剤担持体30に所定の圧で接触し、現像剤供給部材31により現像剤担持体30に塗布されたトナーTの層厚を規制する。本実施例においては、弾性ブレードにはSUS製の薄板上に薄いエラストマー部材を施したものを用いた。
本実施例においては、現像動作時は、現像剤担持体30に現像電圧として−350Vの直流電圧を印加し、現像剤供給部材31には−400Vの直流電圧のみを印加した。
回転する現像剤担持体30は現像剤供給部材31との接触部において現像剤供給部材31によるトナーTの塗布を受け、更に現像剤層厚規制部材32による塗布トナー層厚規制を受ける。また、トナーが所定の極性に摩擦帯電される。層厚規制されたトナー層が現像剤担持体30の引き続く回転により感光ドラム20と現像剤担持体30との接触部である現像位置に搬送される。そして、現像剤担持体30側のトナー層のトナーが感光ドラム20の表面に対して静電潜像のパターンに対応して選択的に転移する。これにより静電潜像がトナー像として現像される。
静電潜像の現像に供されなかった現像剤供給部材31上のトナーは引き続く現像剤供給部材31の回転により現像剤担持体30と現像剤供給部材31との接触部に戻し搬送されて、現像剤供給部材31により現像剤担持体30上から掻き落とされる。この戻し搬送トナーの掻き落しと共に現像剤担持体30の表面に現像剤供給部材31にトナーTの塗布がなされる。上記のような動作が繰り返されて感光ドラム20面の静電潜像の現像が実行される。
転写装置4は感光ドラム20に形成されたトナー像を転写材7に転写する装置である。本実施例においては転写装置4は導電性の支持体上に半導電性の弾性部材を施した回転可能な転写ローラであり、感光ドラム20に並行に配列されて感光ドラム20に接触し転写ニップ部を形成している。転写装置4は感光ドラム20の回転に順方向で感光ドラム20の回転周速度にほぼ対応した周速度で回転駆動される。
そして、給紙カセット9に積載されて収納されている転写材7が給紙ローラ6を含む給紙機構(不図示)の動作により所定の制御タイミングで一枚分離給送されてシートパス14により転写ニップ部に導入されて挟持搬送される。転写材7が転写ニップ部を挟持搬送されている間、転写装置4には所定の転写電圧が印加される。これにより、感光ドラム20側のトナー像が転写材7側に順次に静電転写される。
転写ニップ部を出た転写材7は感光ドラム20の面から分離されてシートパス15により定着装置5に搬送される。転写材7は定着装置5によって未定着のトナー像が固着画像として定着された後、画像形成物として装置外部の排紙トレイ16に排出される。
また、転写材分離後の感光ドラム20の面はクリーニング装置22により転写残現像剤等の残留物が除去されて清浄面化され、繰り返して画像形成に供される。クリーニング装置22は本実施例においては弾性ブレードからなるクリーニングブレードを用いたブレードクリーニング装置である。クリーニングブレードは先端エッジ部を回転する感光ドラム20の表面にカウンターに当接させて配設してある。感光ドラム表面の残留物はクリーニングブレードにより拭掃されて除去される。
(2)感光ドラムカートリッジと現像カートリッジ
感光ドラム20は繰り返しの使用により消耗する。そのため、感光ドラム20は少なくとも感光ドラム20を含む感光ドラムカートリッジ2(像担持体カートリッジ)としてユニット化されて、容易に画像形成装置8の装置本体(画像形成装置本体)8Aの所定の装着部に対して着脱可能な構成とされる。
本実施例においては、図2の(a)のように、感光ドラム(第二部材)20、帯電部材21、クリーニング装置22、クリーニング容器(クリーニング枠体)23、を一体化して、感光ドラムカートリッジ(第二ユニット)2を構成している。感光ドラム20と帯電部材21はクリーニング容器23に対して回転可能に軸受されて支持されている。クリーニング装置22はクリーニング容器23に固定して支持されている。
また、現像剤Tは、繰り返しの使用により消費する。そのため、トナーTは少なくともトナーTと現像剤担持体30とを含む現像カートリッジ3としてユニット化されて、容易に画像形成装置8の装置本体8Aに対して着脱可能な構成とされる。
本実施例においては、図2の(b)のように、トナーT、現像容器(現像枠体)36、現像剤担持体30、現像剤供給部材(第一部材)31、現像剤層厚規制部材32、を一体化して、現像カートリッジ(第一ユニット)3を構成している。
現像剤担持体30と現像剤供給部材31は現像容器36に対して回転可能に軸受されて支持されている。現像剤層厚規制部材32は現像容器23に固定して支持されている。現像剤(乾式)であるトナーTは現像容器36に収容されている。また、現像カートリッジ3には、更に、揺動中心部(軸部)33、現像加圧手段(弾性部材(付勢部材)である圧縮バネ)34、記憶手段(メモリ)35を具備させてある。
感光ドラムカートリッジ2と現像カートリッジ3は、それぞれ、装置本体8A内において上下に配設されている感光ドラムカートリッジ装着部2A(図3)と現像カートリッジ装着部3Aに対して所定に装着されて使用される。感光ドラムカートリッジ2と現像カートリッジ3はそれぞれ後述する要領にて独立して装置本体8Aの装着部2A,3Aに着脱可能である。
感光ドラムカートリッジ2は装着部2Aに装着される。そして、装置本体8A側の位置決め部(不図示)に対して装置本体8A側の押圧機構(不図示)により押圧されて位置決め固定される。この感光ドラムカートリッジ2の位置決め固定状態において、感光ドラム20は装置本体8A側の転写装置4と所定の押圧力をもって当接している。また、画像形成動作時には装置本体8A側の駆動出力部(不図示)から感光ドラムカートリッジ2側の駆動入力部(不図示)に動力が伝達されて感光ドラム20の回転駆動がなされる。
また、感光ドラムカートリッジ2は装着部2Aに正しく装着されることで、感光ドラムカートリッジ2側の電気接点a,b(図4)が装置本体8A側の電気接点e,fに電気的に接続する。これにより、装置本体8A側の帯電電圧印加手段90から感光ドラムカートリッジ2側の帯電部材21に対して所定の帯電電圧の印加が可能となる。本実施例では帯電電圧として直流電圧を用いたが、この限りではなく、直流電圧に交流電圧を重畳させた帯電電圧を用いてもよい。また、感光ドラム20の導電性のシリンダがアースに接続される。
感光ドラムカートリッジ2が装着部2Aにないとき、或いは装着部2Aに正しく装着されていないときは、感光ドラムカートリッジ2側の電気接点a,bと装置本体8A側の電気接点e,fは接続されない。
現像カートリッジ3は揺動中心部33が装置本体8A側の受部(不図示)に回動可能に支持され、現像加圧手段34が装置本体8A側の力受け部72に受け止められた状態で装置本体8A内の装着部3Aに装着される。
この装着状態において、図4にように、現像カートリッジ3側の電気接点c,dと装置本体8A側の電気接点g,hとが電気的に接続する。これにより、装置本体8A側の現像電圧印加手段94から現像カートリッジ3側の現像剤担持体30に対して現像電圧として所定の直流電圧の印加が可能となる。また、装置本体8A側の検知用電圧印加手段93から現像カートリッジ3側の現像剤供給部材31に対して所定の検知用電圧の印加が可能となる。
装着部3Aに装着されている現像カートリッジ3は装置本体8A側の当接離間部材71であるカムの回転動作により揺動中心部33を中心に回動可能である。この回動により、現像カートリッジ3は図4の(a)の当接位置と(b)の離間位置との2つの位置に位置移動可能(回動動作可能)である。
当接位置は、装着部2Aに位置決めされて装着された感光ドラムカートリッジ2が有する感光ドラム20に対して現像カートリッジ3が有する現像剤担持体30が所定の押圧力で当接している状態となっている現像カートリッジ移動位置である。換言すると、当接位置は現像カートリッジ3の画像形成位置である。
また、離間位置は、装着部2Aに位置決めされて装着された感光ドラムカートリッジ2が有する感光ドラム20から現像カートリッジ3が有する現像剤担持体30が所定に離間している状態となっている現像カートリッジ移動位置である。換言すると、離間位置は現像カートリッジ3の非画像形成位置である。
当接離間部材71であるカムは現像カートリッジ3が装着部3Aに装着されている状態において現像容器36の下面側の所定の部位に対応して位置しており、大隆起部と小隆起部を有している。そして、当接離間部材71は制御部10で制御される駆動源M71により、図4の(a)のように小隆起部が現像容器36の下面に対応した第一回転角姿勢と、(b)のように大隆起部が現像容器36の下面に対応した第二回転角姿勢とに姿勢制御される。
装着部3Aに装着された状態の現像カートリッジ3は現像容器36の上面と装置本体8A側の力受け部72との間に介在している現像加圧部材34の付勢力により揺動中心部33を中心に回動されるモーメントが常時与えられている。その回動モーメントは、現像カートリッジ3側の現像剤担持体30が感光ドラムカートリッジ2側の感光ドラム20に向う方向となるように、揺動中心部33、現像加圧部材34、力受け部72の相対位置が設定されている。
当接離間部材71は小隆起部が現像容器36の下面に対応した第一回転角姿勢において現像容器36に対して非干渉となる。そのため、現像カートリッジ3は現像加圧部材34による上記の回動モーメントにより現像剤担持体30が装着部2Aに装着されている感光ドラムカートリッジ2側の感光ドラム20に所定の押圧力にて当接して受け止められるまで回動する。即ち、現像カートリッジ3は図4の(a)の当接位置に移動された状態になる。現像カートリッジ3を当接位置にする当接離間部材71の第一回転角姿勢を、以下、当接位置(第一の位置)と記す。
現像カートリッジ3は当接位置に移動されている状態において、画像形成動作時には装置本体8A側の駆動出力部(不図示)から現像カートリッジ3側の駆動入力部(不図示)に動力が伝達されて、現像剤担持体30と現像剤供給部材31が回転駆動される。
また、当接離間部材71は大隆起部が現像容器36の下面に対応した第二回転角姿勢において現像容器36を現像加圧部材34の付勢力に抗して押し上げるように作用する。即ち、現像カートリッジ3は当接離間部材71により現像加圧部材34から受ける力よりも大きな逆方向の力を受ける。
そのため、現像カートリッジ3は現像容器36の上面と力受け部72との間に現像加圧部材34を付勢力に抗して圧縮しながら、揺動中心部33を中心に、現像剤担持体30が感光ドラム20から離れる方向に回動されて、所定に離間した回動位置に保持される。即ち、現像カートリッジ3は図4の(b)の離間位置に移動された状態になる。現像カートリッジ3を離間位置にする当接離間部材71の第二回転角姿勢を、以下、離間位置(第二の位置)と記す。
装着部3Aに装着されている現像カートリッジ3の電気接点c,dは、それぞれ、現像カートリッジ3が当接位置に位置しているときも離間位置に位置しているときも装置本体8A側の電気接点g,hと電気的に接続状態を維持するように構成されている。現像カートリッジ3が装着部3Aにないとき、或いは装着部3Aに正しく装着されていないときは、現像カートリッジ3側の電気接点c,dと装置本体8A側の電気接点g,hは接続されない。
また、現像カートリッジ3の記憶手段(メモリ)35と制御部10は現像カートリッジ3が当接位置に位置しているときも離間位置に位置しているときも通信手段(不図示)を介して情報の授受が可能である。
感光ドラムカートリッジ2と現像カートリッジ3がそれぞれ装着部2A、3Aに正しく装着され、且つ、当接離間部材71が当接位置にあるとき、現像カートリッジ3は当接位置をとり、現像剤担持体30と感光ドラム20とが接触する当接状態となる。この当接状態にて画像形成が行われる。感光ドラムカートリッジ2と現像カートリッジ3が装着部2A、3Aに正しく装着され、且つ、当接離間部材71が離間位置にあるとき、現像カートリッジ3は離間位置をとり、現像剤担持体30と感光ドラム20が非接触に離間される離間状態となる。
ここで、本実施例では、当接離間部材71としてカムを用いて現像カートリッジ3を当接位置と離間位置とに選択的に移動可能な構成とした。しかし、現像カートリッジ3を当接位置と離間位置とに移動可能にする構成はこの限りではなく、別の構成をとっても良い。また、感光ドラムカートリッジ2を移動可能な構成としてもよい。
(3)感光ドラムカートリッジと現像カートリッジの着脱構成
次に、感光ドラムカートリッジ2と現像カートリッジ3の各装着部2A、3Aに対する着脱構成について説明する。
本実施例の画像形成装置においては、装置本体8Aの所定の側壁側に上下2箇所部に、感光ドラムカートリッジ2を出し入れするための第一の開口部81と、現像カートリッジ3を出し入れするための第二の開口部82が配設されている。また、その第一と第二の開口部81,82をそれぞれ開閉するための第一と第二のドア83,84が配設されている。第一と第二のドア83,84は、それぞれ、下辺側のヒンジ軸部83a,84aを中心に第一と第二の開口部81,82に対して開閉回動操作することができる。
第一と第二のドア83,84が、それぞれ、図1の実線示のようにヒンジ軸部83a,84aを中心に装置本体8Aの側壁面に対して閉じ回動されていることで、第一と第二の開口部81,82は閉鎖される。また、第一と第二のドア83,84が、それぞれ、図1の二点鎖線示、図3の実線示のようにヒンジ軸部83a,84aを中心に装置本体8Aの外側に所定の角度まで倒し回動されることで、第一と第二の開口部81,82は、それぞれ、大きく開放される。
SW1は第一のドア83の開閉を検知する第一のドアスイッチであり、装置本体8A側に配設されている。第一のドアスイッチSW1は第一のドア83が所定に閉じられるとオンになり、開かれるとオフになる。SW2は第二のドア84の開閉を検知する第二のドアスイッチであり、装置本体8A側に配設されている。第二のドアスイッチSW2は第二のドア84が所定に閉じられるとオンになり、開かれるとオフになる。
第一と第二のドアスイッチSW1,SW2が共にオンである、即ち、第一と第二のドア83,84が共に閉じられていることで、画像形成装置の電源回路(不図示)は閉成される。また、第一と第二のドアスイッチSW1,SW2の何れか一つあるいは2つともオフである、即ち、第一と第二のドア83,84の何れか一つあるいは2つとも開かれていることで、電源回路は開成される。
装着部2Aに装着されている感光ドラムカートリッジ2の取り出しは次のようになされる。第一のドア83を開いて第一の開口部81を大きく開放する。第一のドア83が開かれることで、第一のドアスイッチSW1がオフになり電源回路が開成される。また、装置本体8A側の押圧機構(不図示)による感光ドラムカートリッジ2の押圧が解除される。即ち、装置本体8A側の位置決め部に対する感光ドラムカートリッジ2の位置決め固定が解除される。
そこで、使用者は第一の開口部81から装置本体8A内に手を入れて感光ドラムカートリッジ2を掴む。そして、感光ドラムカートリッジ2をガイド部(不図示)に沿って装着部2Aから第一の開口部81側にスライド移動させて第一の開口部81から装置本体8Aの外に取り出すことができる。
感光ドラムカートリッジ2の装着は上記と取り出しとは逆の手順となる。即ち、感光ドラムカートリッジ2を手で掴み、感光ドラム20側を先にして第一の開口部81から装置本体8A内に挿入し、ガイド部に沿って装着部2Aに十分に押し込んで位置させる。
そして、第一のドア83を閉じ込む。この第一のドア83の閉じ込み回動に連動する機構により、装置本体8A側の押圧機構が押圧動作する。これにより感光ドラムカートリッジ2は装置本体8A側の位置決め部に対して位置決め固定される。また、感光ドラムカートリッジ2側の電気接点a,bが装置本体8A側の電気接点e,fに電気的に接続する。そして、第一のドアスイッチSW1がオンになり電源回路が閉成される。
また、装着部3Aに装着されている現像カートリッジ3の取り出しは次のようになされる。第二のドア84を開いて第二の開口部82を大きく開放する。第二のドア84が開かれることで、第二のドアスイッチSW2がオフになり電源回路が開成される。また、当接離間部材71は離間位置にあれば当接位置に転換される。
そこで、使用者は第二の開口部82から装置本体8A内に手を入れて当接位置に位置している現像カートリッジ3を掴み、現像カートリッジ2をガイド部(不図示)に沿って装着部3Aから第一の開口部81側にスライド移動させる。そうすると、スライド移動の初期において現像カートリッジ2の揺動中心部33が装置本体8A側の受部から外れると共に、現像加圧部材34が装置本体8A側の力受け部72から外れる。当接離間部材71は当接位置になっているから、現像カートリッジ3の上記の取り出し過程において現像容器36に対して非干渉であり、現像カートリッジ取り出しの邪魔をしない。
そして、引き続き現像カートリッジ2をガイド部に沿って第一の開口部81側にスライド移動させて第二の開口部81から装置本体8Aの外に取り出すことができる。
現像カートリッジ3の装着は上記の取り出しとは逆の手順となる。即ち、現像カートリッジ2を手で掴み、現像剤担持体30側を先にして第二の開口部82から装置本体8A内に挿入し、ガイド部に沿って第二の開口部82から装着部3Aに十分に押し込む。
十分に押し込まれると、現像カートリッジ2の揺動中心部33が装置本体8A側の受部に係合して保持されると共に、現像加圧部材34が装置本体8A側の力受け部72に位置して受け止められる。これにより現像カートリッジ2は当接位置に保持される。当接離間部材71は当接位置になっているから、現像カートリッジ3の上記の挿入過程において現像容器36に対して非干渉であり、現像カートリッジ挿入の邪魔をしない。そして、第二のドア84を閉じ込む。第二のドアスイッチSW2がオンになり電源回路が閉成される。
本実施例においては、感光ドラムカートリッジ2と現像カートリッジ3は、それぞれ独立して装置本体8Aに着脱可能としたが、同一の開口から装着しても良く、感光ドラムカートリッジ2を装着した後に現像カートリッジ3を装着する構成としても良い。また逆に現像カートリッジ3を装着した後に感光ドラムカートリッジ2を装着する構成としても良い。
(4)現像カートリッジ3のトナー残量検知
前述したように、感光ドラムカートリッジ2が装着部2Aに位置決めされると、感光ドラム20は電気接点b,fを介してアースに接続される。また、帯電部材21は電気接点a,eを介して所定の帯電電圧を印加する装置本体8A側の帯電電圧印加手段90に接続される。本実施例では帯電電圧として直流電圧を用いたが、この限りではなく直流電圧に交流電圧を重畳させた帯電電圧を用いてもよい。
また、現像カートリッジ3が装着部2Aにおいて当接位置または離間位置にあるとき、現像剤供給部材31には電気接点d,hを介して装置本体8A側の検知用電圧印加手段93が接続される。検知用電圧印加手段93は、少なくとも交流電圧を印加する交流電圧印加手段91を含んで構成される。本実施例では、直流電圧を印加する直流電圧印加手段92と交流電圧印加手段91から構成される。
また、現像カートリッジ3が当接位置または離間位置にあるとき、現像剤担持体30には電気接点c,gを介して現像電圧として所定の直流電圧を印加する装置本体8A側の現像電圧印加手段94と静電容量検出手段95が接続される。
なお、感光ドラムカートリッジ2、現像カートリッジ3が装着部2A,3Aにないとき、或いは装着部2A,3Aに正しく装着されていないときは、各々の電気接点b,f、a,e、d,h、c,gは接続されない。
静電容量検出手段95は、現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間に流れる電流を検知する電流検知手段である。静電容量検出手段95は、現像剤供給部材31に少なくとも交流成分を含む所定の検知電圧を印加した際、現像剤担持体30に誘起される交流電流量を検出することによって、現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間の静電容量を検出できる。
静電容量の検出は、交流電流を印加し交流電流量を検知する構成でなくても、直流電圧を印加し直流電流量を検知する構成であってもよい。直流電圧を印加し直流電流量で検知する構成では、現像剤担持体30と現像剤供給部材31が形成するコンデンサに電位差を設け、静電容量をもつコンデンサを充電する際に極短時間で流れる電流量を検知できる構成とする必要がある。
本実施例では、現像剤担持体30に出入りする交流電流が静電容量検出手段95を通る構成であり、静電容量検出手段95はこの交流電流量に応じて、電圧を降下させる回路を構成する。つまり静電容量検出手段95を通る電流の値が大きくなるほど、静電容量検出手段95から出力される電圧は低下する。静電容量検出手段95は、静電容量検出手段95から制御部10に出力される電圧(検出電圧)が所定の基準電圧V0からどれだけ降下(低下)するのかを測定するものである。そしてこの結果から静電容量検出手段95はコンデンサに流れる交流電流量(静電容量検出手段95を通る電流量)を測定する。
現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間の静電容量がより大きければ、現像剤担持体30に誘起される交流電流量もより大きくなる(静電容量検出手段95を通る電流量も大きくなる)。この結果、静電容量検出手段95によって検出される検出電圧は基準電圧V0に対して大きく低下し、より小さい値を示す。具体的には、コンデンサの静電容量Cは以下の式から求められる。
Iac=2πfcv
ここで、Iacはコンデンサに流れる交流電流量であり、すなわち静電容量検出手段95によって求められる電流量である。またVとは、検知用電圧印加手段93が現像剤供給部材31に印加する電圧の実効電圧である。現像剤供給部材31に印加する電圧が矩形波であって、そのピーク間電圧がVppだとすると、実効電圧VはV=Vpp/2となる。Fは検知用電圧印加手段93が現像剤供給部材31に印加する電圧の周波数である。
本実施例では、この静電容量検出手段95を用いて、現像容器36内のトナー(現像剤)Tの残量検知を行っている。静電容量検出手段95は、現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間の静電容量に応じた検出電圧を制御部10に出力する。現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間にトナーがより多く存在すると、現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間の静電容量はより大きくなる。反対に、現像動作によってトナーが消費され、現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間のトナー量が少なくなると現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間の静電容量は小さくなる。
よって、現像剤供給部材31に少なくとも交流成分を含む検知用電圧を印加し、静電容量検出手段95によって、現像剤担持体30に誘起された交流電流量に応じた電圧を検出することによって、トナー残量検知が可能となる。トナー残量検知は、現像カートリッジ3が当接位置にあっても離間位置にあってもどちらでも可能であるが、静電容量検出手段95によって検出する検出電圧は、現像カートリッジ3の感光ドラムカートリッジ2に対する当接状態と、離間状態とで異なる。
これは、当接状態では離間状態に比べ、感光ドラムカートリッジ2が現像剤担持体30に当接することによって、現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間の見かけ上の静電容量が小さくなるからである。言い換えれば、現像カートリッジ3の当接状態では離間状態に比べ、現像剤供給部材31に検知用電圧を印加した際、現像剤担持体30だけでなく、感光ドラムカートリッジ2に誘起電流が流れてしまい、現像剤担持体30に流れる交流電流量が減少するからである。
即ち、現像カートリッジ3の当接状態での静電容量検出手段95の検出電圧は離間状態の検出電圧と比較して大きくなる。よって、トナー残量検知は、当接状態または離間状態のどちらか一方で行うことが望ましい。本実施例では現像カートリッジ3の離間状態時の非現像動作時にトナー残量検知を行う。
図5に現像容器36内のトナー残量と静電容量検出手段95によって検出した検出電圧との関係を示す。感光ドラムカートリッジ2、現像カートリッジ3はそれぞれ装置本体8Aの装着部に正しく装着した。実線が当接位置(当接状態)で検出したトナー残量に対する静電容量検出手段95の検出電圧の検出結果Xである。一点鎖線が離間位置(離間状態)で検出したトナー残量に対する静電容量検出手段95の検出電圧の検出結果Yである。
検知用電圧としては、周波数50khz、振幅0.1kvの正弦波の交流電圧を印加した。画像形成装置8の使用環境は、温度23℃、湿度50%RHであった。トナー残量は、現像カートリッジ3が新品であるときのトナー残量を100%とし、トナーを消費し、ベタ画像が出力できなくなったときのトナー残量を0%とした。V0は基準電圧である。
図5に示すように、当接位置で検出した検出結果X、離間位置で検出した検出結果Yとも、トナー残量が少なくなるにつれ、静電容量検出手段95の検出電圧は上昇する。これはトナーが消費されることによって、現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間の静電容量が減少するためである。また、当接位置で検出した検出結果Xは、離間位置で検出した検出結果Yよりも検出電圧が大きい。これは、当接状態では離間状態に比べ、感光ドラムカートリッジ2がもつ静電容量の影響によって現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間の静電容量が小さくなるためである。
当接位置もしくは離間位置で検出した静電容量検出手段95の検出電圧は、現像カートリッジ3のトナー残量と相関がある。そのため、現像カートリッジ3の記憶手段35にあらかじめ静電容量検出手段95の検出電圧とトナー残量の関係を記憶させておけば、静電容量検出手段95の検出電圧から現像カートリッジのトナー残量を検知することができる。本実施例では、現像カートリッジ3がもつ記憶手段35に静電容量検出手段95の検出電圧とトナー残量の関係を記憶させたが別の記憶手段に記憶させておいても構わない。
なお、画像形成装置8の使用環境は温度23℃、湿度50%RHであったが、他の使用環境であった場合でも、検出結果の大きさは多少異なるが同様の結果が得られる。
(5)感光ドラムカートリッジと現像カートリッジの装着状態の検出構成
次に、装置本体8Aに対してそれぞれ着脱可能な感光ドラムカートリッジ2及び現像カートリッジ3がそれぞれの装着部に2A,3Aに対して正しく装着されているかどうかを判別する方法について説明する。図6は感光ドラムカートリッジ2と現像カートリッジ3とを、各々、及び両方を装置本体8Aの装着部に装着した際の静電容量検出手段95の検出結果である。
この実験は、ドラムカートリッジ2と現像カートリッジ3とを、各々、及び両方を装置本体8Aの装着部に装着する。そして、まず、当接離間部材71を駆動させて当接位置に転換する。そして、検知用電圧印加手段93から現像剤供給部材31に交流電圧を含む検知用電圧を印加して、静電容量検出手段95で検出電圧Xを検出する。検出電圧Xを検出後、検知用電圧印加手段93をオフにする。
続いて、当接離間部材71を駆動させて離間位置に転換する。そして、検知用電圧印加手段93から現像剤供給部材31に上記の当接位置で印加した電圧と同じ検知用電圧を印加して、静電容量検出手段95で検出電圧Yを検出する。検出電圧Yを検出後、検知用電圧印加手段93をオフにする。
ここで、トナー残量50%の現像カートリッジ3を用い、検知用電圧としては、周波数50khz、振幅0.1kvの正弦波の交流電圧を印加した。画像形成装置8の使用環境は、温度23℃、湿度50%RHであった。
図6の(a)は、感光ドラムカートリッジ2、現像カートリッジ3が共に装着されていない場合、及び感光ドラムカートリッジ2が装着されていて、現像カートリッジ3が装着されていない場合の検出結果である。現像カートリッジ3が装着されていないため、現像剤担持体30と現像剤供給部材31間の静電容量を検出できず、当接位置での検出電圧X、離間位置での検出電圧Yともに基準電圧V0と略等しい値を示す。
図6の(b)は、現像カートリッジ3が装着されていて、感光ドラムカートリッジ2が装着されていない場合の検出結果である。当接位置においても離間位置においても、感光ドラムカートリッジ2が装着されていないため、現像剤担持体30は離間されている状態である。よって、当接位置での検出電圧Xも離間位置での検出電圧Yも図5のトナー残量50%のときの検出電圧Yと略等しい値となる。
図6の(c)は、感光ドラムカートリッジ2、現像カートリッジ3が共に装着されている場合の検出結果である。当接位置での検出電圧Xは、感光ドラムカートリッジ2、現像カートリッジ3が共に装着されているため、感光ドラム20と現像剤担持体30が所定の圧をもって当接する。よって、当接位置での検出電圧Xは図5のトナー残量50%のときの検出電圧Xと略等しい値を示す。
離間位置では、感光ドラムカートリッジ2と現像剤担持体30が非接触に離間されているため、当接位置での静電容量と比較してみかけ上の静電容量が大きくなる。よって離間位置の検出電圧Yは、当接位置での検出電圧Xより小さい値を示す。言い換えれば、離間位置での検出電圧Yは、図5に示されるトナー残量50%のときの検出電圧Yと略等しい値を示す。
上記実験は、トナー残量が50%の現像カートリッジ3を用いたが、他のトナー残量である現像カートリッジを用いても同様の結果が得られる。
これらの結果から、感光ドラムカートリッジ2が有する感光ドラム20と現像カートリッジ3が有する現像剤担持体30とを当接離間可能な構成とする。そして、現像カートリッジ3に接続し得る静電容量検出手段95を用い、当接位置と離間位置とで現像剤担持体30と現像剤供給部材31によって形成されるコンデンサの静電容量を検出する。
これによって、感光ドラムカートリッジと現像カートリッジの装置本体8Aに対する装着状態に関して少なくとも下記1)〜3)の状態が使用環境やトナー残量に依らず判別できることがわかる。
1)現像カートリッジ3(コンデンサが設けられたカートリッジ)が正しく装着されていない状態
2)現像カートリッジ3が正しく装着されていて感光ドラムカートリッジ2が正しく装着されていない状態
3)現像カートリッジ3と感光ドラムカートリッジ2が共に正しく装着されている状態
即ち、感光ドラムカートリッジと現像カートリッジの装置本体8Aに対する装着状態に関して静電容量検出手段95のみで、少なくとも上記1)〜3)の3つ状態が判別できる。つまり画像形成が可能であるか否かについて詳細な情報を得ることができる。画像形成が可能な状態である場合には画像形成の準備を開始する一方で、画像形成ができないと判断された場合には、画像形成装置を停止したり、ユーザーに注意を喚起したりするなど適切な対応をとることが可能となる。
図7は本実施例での、感光ドラムカートリッジ2と現像カートリッジ3の装置本体8Aへの装着状態を判断するシーケンスチャートである。本シーケンスは制御部10により実行される。
第一及び第二のドア83,84が閉じられていることで第一及び第二のドアスイッチSW1,SW2がオンであり、且つ、本体電源スイッチがオンになった時に本シーケンスが開始される(Step100)。または、本体電源スイッチがオンであり、且つ、第一及び第二の83,84が共に閉じられることで第一及び第二のドアスイッチSW1,SW2がオンになった時に、本シーケンスが開始される(Step100)。
まず、Step101において、制御部10は当接離間部材71が離間位置に位置している状態になっている場合には当接位置に転換する。次に、Step102において、検知用電圧印加手段93をオンにして検知用電圧を印加して、静電容量検出手段95で当接位置での検出電圧X(第一の検出結果)を検出する。検知用電圧としては、現像動作時とは異なり、トナー残量検知時と同じ周波数50khz、振幅0.1kvの正弦波の交流電圧を印加した。しかしこの限りではなく、前述したように現像剤担持体30と現像剤供給部材31間の静電容量を検出できる電圧であればよい。
続いて、Step103において、検出電圧Xとあらかじめ制御部10に記憶された閾値A(第一の所定値)との比較を行う。閾値Aは、下に示す式(1)の範囲の値であらかじめ決定しておく。ここで、Xmaxとは、使用環境や検出結果のバラツキなども考慮した、トナー残量0%〜100%の検出電圧Xの最大値である。
Xmax<A<V0・・・式(1)
検出電圧Xが閾値A以上の場合、Step110に進み、検知用電圧をオフにする。そして、Step111にて、制御部10は「現像カートリッジを正しく装着してください」など、現像カートリッジ3が正しく装着されていない旨を装置操作部13の表示部に表示させ、使用者に報知する。この場合において、使用者は第二のドア84を開いて、装着されていない現像カートリッジ3を装着する、あるいは正しく装着されていない現像カートリッジ3を正しく装着する。そして、第二のドア84を閉じる。制御部10は再び本シーケンスを開始する(Step100)。
なお、Step111で制御部10は、現像カートリッジ3に関する情報を装置操作部13の表示部に表示させたが、画像形成装置8に接続されたホスト装置12に表示させてもよい。つまりStep111において制御部10は画像形成装置8が画像形成できないことを何らかの形で使用者に報知すればよいのであって、その手段は画像形成装置8の構成や使用形態に応じて適宜選択されるものである。
Step103において検出電圧Xが閾値Aより小さい場合、Step104に進み、検知用電圧印加手段93をオフにした後、Step105にて、当接離間部材71を駆動させ離間位置とする。
次に、Step106において、検知用電圧印加手段93をオンにして検知用電圧を印加して、静電容量検出手段95で離間位置での検出電圧Y(第二の検出結果)を検出する。続いて、Step107において、検出電圧Xと検出電圧Yとの差(X−Y)とあらかじめ制御部10に記憶された閾値B(第二の所定値)との比較を行う。閾値Bは、下に示す式(2)の範囲の値であらかじめ決定しておく。ここで、(X−Y)minとは、使用環境や検出結果のバラツキなども考慮した、トナー残量0%〜100%の検出電圧Xと検出電圧Yの差の最小値である。
0<B<(X−Y)min・・・式(2)
検出電圧Xと検出電圧Yとの差(X−Y)が閾値B以下の場合、Step112に進み、検知用電圧印加手段93をオフにする。そして、Step113にて、「感光ドラムカートリッジを正しく装着してください」など、感光ドラムカートリッジ2が正しく装着されていない旨を装置操作部13の表示部に表示し、使用者に報知する。
使用者はこの報知により第一のドア83を開いて、装着されていない感光ドラムカートリッジ2を装着する、あるいは正しく装着されていない感光ドラムカートリッジ2を正しく装着する。そして、第一のドア83を閉じる。制御部10は再び本シーケンスを開始する(Step100)。
Step107において、検出電圧Xと検出電圧Yとの差(X−Y)が閾値Bより大きい場合、Step108に進み、検知用電圧印加手段93をオフにした後、Step109に進み当接離間部材71を駆動し当接位置とする。
そして、Step114にて、プリントジョブを待つスタンバイ状態となる。スタンバイ状態にてプリントジョブを受信すると、プリントスタートし、画像形成を行う。
このように、現像カートリッジ3の装着状態を判断した後に、感光ドラムカートリッジ2の装着状態を判断するシーケンスが好ましい。なぜなら、現像カートリッジ3は当接時の検出電圧Xのみで装着状態が確認でき、現像カートリッジ3が正しく装着されていないが故に画像形成が実行できないことを早く使用者に報知できるからである。
検出電圧Xと検出電圧Yとの比較は、差(X−Y)を用いたが、比やその他のパラメータであっても比較ができれば構わない。例えばStep107において、検出電圧Xと検出電圧Yの比をとり、X/Yが所定の閾値Cよりも大きくなるときに感光ドラムカートリッジ2が装着されていると判断するような制御でもよい。
以上説明したように、本実施例においては、静電容量検出手段95のみで、少なくとも
1)現像カートリッジ3が正しく装着されていない状態と、
2)現像カートリッジ3が正しく装着されていて感光ドラムカートリッジ2が正しく装着されていない状態と、
3)現像カートリッジ3と感光ドラムカートリッジ2が共に正しく装着されている状態と、
が判別できる。
上記の本実施例1の画像形成装置8をまとめると次のとおりである。現像カートリッジ(第一ユニット)3と感光ドラムカートリッジ(第二ユニット)2とが装着可能な画像形成装置8である。現像カートリッジ3に保持され、現像剤を担持する現像剤担持体30を有する。現像カートリッジ3に保持され、導電性を持ち、現像剤担持体30と対をなしてコンデンサを構成する現像材供給部材(第一部材:導電性部材)31を有する。感光ドラムカートリッジ2に保持され、現像剤担持体30に接触可能に設けられた感光ドラム(第二部材)20を有する。
現像剤担持体30に供給するための現像剤Tを収容する現像容器36を備え、前記コンデンサは現像容器36の内部に配置されている。現像剤担持体30と現像材供給部材(第一部材)31との間に流れる電流を検知する電流検知手段95を有する。即ち、コンデンサを構成する部材30,31に電圧が印加された際に前記コンデンサの静電容量に関する値をkwん出する検出手段95を有する。この検出手段が検出した検出結果に基づいて現像容器36に収容された現像剤の量が検出できる。
現像剤担持体30と感光ドラム20とを接触させる当接位置(第一の位置)と、現像剤担持体30と感光ドラム20とを離間させる離間位置(第二の位置)とを移動可能な当接離間部材71を有する。
当接離間部材71が当接位置において現像剤担持体30と現像材供給部材31の一方に電圧を印加した時の電流検知手段95の検出値を第一の検出結果Xとする。当接離間部材71が離間位置において現像剤担持体30と現像材供給部材31の一方に電圧を印加した時の、電流検知手段95の検出値を第二の検出結果Yとする。そして、第一の検出結果Xと第二の検出結果Yに基づいて、現像カートリッジ3と感光ドラムカートリッジ2の装着状態に関する情報信号を発信可能な制御部(制御手段)10を有することを特徴とする。
制御部(制御手段)10は、
1)装置本体8Aに現像カートリッジ(第一ユニット:コンデンサが設けられたカートリッジ)3が装着されていない状態、
2)装置本体8Aに現像カートリッジ3は装着されているが感光ドラムカートリッジ(第二ユニット:コンデンサが設けられていないカートリッジ)2が装着されていない状態、
3)装置本体8Aに現像カートリッジ3および感光ドラムカートリッジ2が装着されている状態、
の3つの状態に関する情報信号を発信可能であることを特徴とする。
制御部(制御手段)10は、第一の結果により現像カートリッジ(第一ユニット)3が装着されていないと判断される場合は、第一の結果の取得を行わずに、現像カートリッジ3が装着されていない状態に関する情報信号を発信することを特徴とする。
上記の装置構成によって、2つの検出手段を用いずとも2つのカートリッジ2,3の装着状態を検出でき、より安価な画像形成装置の提供が可能になる。より小型の画像形成装置の提供が可能になる。
またトナー残量検知を現像剤担持体30と現像剤供給部材31等の導電部材間の静電容量を検知することによって行う画像形成装置においては、現像カートリッジ3と感光ドラムカートリッジ2の装着状態の判断を新たな部材を追加することなく行うことができる。よって、より安価な画像形成装置の提供が可能になる。より小型の画像形成装置の提供が可能になる。
[実施例2]
本発明の第2の実施形態について説明する。本実施例における第一ユニットは現像カートリッジ3、第二ユニットは感光ドラムカートリッジ2、第一部材は現像剤層厚規制部材32、第二部材は感光ドラム20、第一の位置は当接位置、第二の位置は離間位置である。図8の(a)は現像剤担持体30と感光ドラム20が接触する当接状態の概略図である。(b)は、現像剤担持体30と感光ドラム20が非接触の状態に離間された離間状態の概略図である。
感光ドラムカートリッジ2が装着部2Aに位置決め固定されると、感光ドラム20はアースに接続される。帯電部材21は所定の帯電電圧を印加する帯電電圧印加手段90に接続される。
現像カートリッジ3が装着部3Aにおいて当接位置または離間位置にあるとき、現像剤層厚規制部材(導電性部材)32には検知用電圧印加手段93が接続される。検知用電圧印加手段93は交流電圧を印加する交流電圧印加手段91を含んで構成される。現像カートリッジ3が当接位置または離間位置にあるとき、現像剤担持体30には、現像電圧として所定の直流電圧を印加する現像電圧印加手段94と、静電容量検出手段(電流検知手段)95が接続される。
なお、感光ドラムカートリッジ2、現像カートリッジ3が装着部2A,3Aに装着されていないとき、或いは装着部2A,3Aに正しく装着されていないときは、各々の電気接点b,f、a,e、d,h、c,gは接続されない。
現像動作時は、感光ドラム20を−500Vに帯電させ、現像電圧は−350Vの直流電圧を印加し、現像剤供給部材31には−400Vの直流電圧を印加した。また、現像剤層厚規制部材32には−450Vの直流電圧のみを印加した。
検知用電圧としては、現像動作時とは異なる周波数50khz、振幅0.1kvの正弦波の交流電圧を現像剤層厚規制部材32に印加した。しかし、この限りではなく、現像剤層厚規制部材32と現像剤担持体30間の静電容量を検出できる電圧を印加すればよい。
本実施例においては、現像剤層厚規制部材32は導電性ブレードを用いた構成をとったがこの限りではない。導電性の部材を持ち、導電性部材と現像剤担持体30との間の静電容量を検出できる構成であればよい。
その他の構成および制御については実施例1と同一なので、同一の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
本実施例においても、静電容量検出手段95のみで、実施例1の前記1)〜3)と同様の3つの装着状態が判別できる。よって、2つの検出手段を用いずとも2つのカートリッジの装着状態を検出でき、より安価な画像形成装置の提供が可能になる。より小型の画像形成装置の提供が可能になる。本実施例のように、現像剤担持体30と対をなしてコンデンサを構成する部材は、現像カートリッジ3が有する導電性部材であれば本発明は実施可能である。
[実施例3]
本発明の第3の実施形態について説明する。本実施例における第一ユニットは現像カートリッジ3、第二ユニットは感光ドラムカートリッジ2、第一部材は現像剤供給部材31、第二部材は感光ドラム20、第一の位置は当接位置、第二の位置は離間位置である。
図9の(a)は現像剤担持体30と感光ドラム20が接触する当接状態の概略図である。(b)は、現像剤担持体30と感光ドラム20が非接触の状態に離間された離間状態の概略図である。
感光ドラムカートリッジ2が装置本体8Aの装着部2Aに位置決め固定されると、感光ドラム20はアースに接続される。帯電部材21は所定の帯電電圧を印加する帯電電圧印加手段90に接続される。
現像カートリッジ3が装着部3Aにおいて当接位置または離間位置にあるとき、現像剤担持体30には、検知用電圧印加手段93と現像電圧印加手段94が接続される。検知用電圧印加手段93は、交流電圧を印加する交流電圧印加手段93を含んで構成される。現像カートリッジ3が当接位置、及び離間位置にあるとき、現像剤供給部材31には、静電容量検出手段(電流検知手段)95が接続される。
なお、感光ドラムカートリッジ2、現像カートリッジ3が装置本体8Aに装着されていないとき、或いは正しく所定の位置に装着されていないときは、各々の電気接点b,f、a,e、d,h、c,gは接続されない。
現像動作時は、感光ドラム20を−500Vに帯電させ、現像電圧は−350Vの直流電圧のみを印加し、現像剤供給部材31には−400Vの直流電圧を印加した。検知用電圧としては、現像動作時とは異なる周波数50khz、振幅0.1kvの正弦波の交流電圧を現像剤担持体30に印加した。しかしこの限りではなく、前述したように現像剤担持体30と現像剤供給部材31間の静電容量を検出できる電圧であればよい。
その他の構成および制御については実施例1と同一なので、同一の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
本実施例においても、静電容量検出手段95のみで、実施例1の前記1)〜3)と同様の3つの装着状態が判別できる。よって、2つの検出手段を用いずとも2つのカートリッジの装着状態を検出でき、より安価な画像形成装置の提供が可能になる。より小型の画像形成装置の提供が可能になる。本実施例のように、現像剤担持体30と現像カートリッジ3が有する導電性部材間の静電容量の検出は、現像剤担持体30と現像カートリッジ3が有する導電性部材のどちらに検知用電圧を印加しても実施可能である。
[実施例4]
本発明の第4の実施形態について説明する。本実施例における第一ユニットは感光ドラムカートリッジ2、第二ユニットは現像カートリッジ3、第一部材は帯電部材21、第二部材は現像剤担持体30、第一の位置は当接位置、第二の位置は離間位置である。本実施例では静電容量検出手段95によって静電容量が検出されるコンデンサが感光ドラムカートリッジに設けられることを特徴とする。以下、詳細に説明する。
図10の(a)は現像剤担持体30と感光ドラム20が接触する当接状態の概略図である。(b)は現像剤担持体30と感光ドラム20が非接触の状態に離間された離間状態の概略図である。
感光ドラムカートリッジ2が装着部2Aに位置決め固定されると、感光ドラム20は電気接点b,fの接続により静電容量検出手段(電流検知手段)95を介してアースに接続される。帯電部材21は電気接点a,eの接続により所定の帯電電圧を印加する帯電電圧印加手段90と検知用電圧印加手段93とに接続される。検知用電圧印加手段93は、交流電圧を印加する交流電圧印加手段93を含んで構成される。
本実施例では帯電電圧として直流電圧に交流電圧を重畳させた帯電電圧を用いた。本実施例において、感光ドラムカートリッジが新品の時の帯電電圧は、−500Vの直流電圧に、周波数2khz、振幅0.9kvの正弦波の交流電圧を重畳させた電圧を用いた。しかしこの限りではなく、他の交流電圧を用いても、直流電圧のみで感光ドラムを帯電させても構わない。
装着部3Aに装着された現像カートリッジ3の現像剤担持体30には、電気接点c,gの接続により現像電圧印加手段94が接続される。本実施例では、現像カートリッジ3が当接位置でも離間位置でも、現像剤担持体30には現像電圧印加手段94が接続されている。しかし、少なくとも当接位置において現像剤担持体30に現像電圧印加手段が接続される構成であればよい。
なお、感光ドラムカートリッジ2、現像カートリッジ3が装着部2Aに装着されていないとき、或いは装着部2Aに正しく装着されていないときは、各々の電気接点b,f、a,e、c,gは接続されない。
静電容量検出手段95は、帯電部材21に交流成分を含む所定の検知用電圧を印加した際、感光ドラム20に誘起される交流電流量を検出することによって、帯電部材21と感光ドラム20との間の静電容量を検出できる。本実施例では、所定の基準電圧V0を、検出した交流電流量に応じて電圧降下させ、検出電圧とし、制御部10に出力する回路を用いた。
即ち、本実施例での静電容量検出手段95は、帯電部材21と感光ドラム20との間の静電容量がより大きければ、感光ドラム20に誘起される交流電流量もより大きくなり、結果、検出電圧はより小さい値を示す。静電容量の検出は、交流電流を印加し交流電流量を検知する構成でなくても、直流電圧を印加し直流電流量を検知する構成であってもよい。直流電圧を印加し直流電流量で検知する構成では、感光ドラム20と帯電部材21が形成するコンデンサに電位差を設け、静電容量をもつコンデンサを充電する際に極短時間で流れる電流量を検知できる構成とする必要がある。
図11に感光ドラム20の膜厚と静電容量検出手段95によって検出した検出電圧との関係を示す。感光ドラムカートリッジ2、現像カートリッジ3は装着部2A,3Aに正しく装着した。実線が当接位置で検出した感光ドラム膜厚に対する静電容量検出手段95の検出電圧の検出結果Pである。一点鎖線が離間位置で検出した感光ドラム膜厚に対する静電容量検出手段の検出電圧の検出結果Qである。検知用電圧としては、周波数2khz、振幅0.9kvの正弦波の交流電圧を印加した。画像形成装置8の使用環境は、温度23℃、湿度50%RHであった。
感光ドラム膜厚は、感光ドラムカートリッジ2が新品であるときを100%とし、感光ドラムカートリッジの寿命時を0%とした。ここでV0は基準電圧である。
図11に示すように、当接位置で検出した検出結果P、離間位置で検出した検出結果Qとも、感光ドラム膜厚が少なくなるにつれ、静電容量検出手段95の検出電圧は減少する。これは感光ドラム膜厚が使用によって薄くなることによって、帯電部材21と感光ドラム20との間の静電容量が上昇するためである。また、当接位置で検出した検出結果Pは、離間位置で検出した検出結果Qよりも検出電圧が大きい。これは、当接状態では離間状態に比べ、現像カートリッジ3がもつ静電容量の影響によって帯電部材21と感光ドラム20との間の静電容量が小さくなるためである。
なお、画像形成装置8の使用環境は温度23℃、湿度50%RHであったが、他の使用環境であった場合でも、検出結果の大きさは多少異なるが同様の結果が得られる。
本実施例の画像形成時の帯電電圧制御は、静電容量検出手段95を用いて、感光ドラム20の膜厚や使用環境が異なっても、帯電部材21と感光ドラム20間に流れる交流電流量を一定に維持するように交流電圧を制御する交流電流の定電流制御を行っている。この定電流制御は、感光ドラム20の摩耗が抑制できる制御であり有用である。
続いて、感光ドラムカートリッジ2、及び現像カートリッジ3が装着部2A,3Aに正しく装着されているかどうかを判別する方法について説明する。
図12は感光ドラムカートリッジ2と現像カートリッジ3とを、各々、及び両方を装着部2A,3Aに装着した際の静電容量検出手段95の検出結果である。この実験は、ドラムカートリッジ2と現像カートリッジ3とを、各々、及び両方を装着部2A,3Aに装着する。そして、まず当接離間部材71を駆動させ当接位置(第一の位置)とした後、帯電部材21に交流電圧を含む検知用電圧を印加して、静電容量検出手段95で検出電圧Pを検出した。検出電圧Pを検出後、検知用電圧をオフにした。
続いて、当接離間部材71を駆動させ離間位置(第二の位置)とした後、帯電部材21に当接位置で印加した電圧と同じ検知用電圧を印加して、静電容量検出手段95で検出電圧Qを検出した。検出電圧Qを検出後、検知用電圧をオフにした。ここで、感光ドラム膜厚50%の感光ドラムカートリッジ2を用い、検知用電圧としては、周波数2khz、振幅0.9kvの正弦波の交流電圧を印加した。画像形成装置8の使用環境は、温度23℃、湿度50%RHであった。
図12の(a)は、感光ドラムカートリッジ2、現像カートリッジ3が共に装着部2A,3Aに装着されていない場合、及び現像カートリッジ3が装着部3Aに装着されていて、感光ドラムカートリッジ2が装着部2Aに装着されていない場合の検出結果である。感光ドラムカートリッジ2が装着されていないため、帯電部材21と感光ドラム20間の静電容量を検出できず、当接位置での検出電圧P、離間位置での検出電圧Qともに基準電圧V0と略等しい値を示す。
図12の(b)は、感光ドラムカートリッジ2が装着部2Aに装着されていて、現像カートリッジ3が装着部3A装着されていない場合の検出結果である。当接位置においても離間位置においても、現像カートリッジ3が装着されていないため、現像剤担持体30は離間されている状態である。よって、当接位置での検出電圧Pも離間位置での検出電圧Qも図11の感光ドラム膜厚50%のときの検出電圧Qと略等しい値となる。
図12の(c)は、感光ドラムカートリッジ2、現像カートリッジ3が共に装着部2A,3Aに装着されている場合の検出結果である。当接位置での検出電圧Pは、感光ドラムカートリッジ2、現像カートリッジ3が共に装着されているため、感光ドラム20と現像剤担持体30が所定の圧をもって当接する。よって、当接位置での検出電圧Pは図11の感光ドラム膜厚50%のときの検出電圧Pと略等しい値を示す。離間位置では、感光ドラムカートリッジ2と現像剤担持体30が非接触に離間されているため、当接位置での静電容量と比較してみかけ上の静電容量が大きくなる。
よって離間位置の検出電圧Qは、当接位置での検出電圧Pより小さい値を示す。言い換えれば、離間位置での検出電圧Qは、図11に示される感光ドラム膜厚50%のときの検出電圧Qと略等しい値を示す。
上記実験は、感光ドラム膜厚が50%の感光ドラムカートリッジ2を用いたが、他の感光ドラム膜厚である感光ドラムカートリッジ2を用いても同様の結果が得られる。
これらの結果から、感光ドラムカートリッジ2が有する感光ドラム20と現像カートリッジ3が有する現像剤担持体30とを当接離間可能な構成とする。感光ドラムカートリッジ2に接続し得る静電容量検出手段95を用いて、当接位置と離間位置とで帯電部材21と感光ドラム20によって形成されるコンデンサの静電容量を検出する。
これによって、少なくとも
1)感光ドラムカートリッジ2(コンデンサが設けられたカートリッジ)が正しく装着されていない状態と、
2)感光ドラムカートリッジ2が正しく装着されていて現像カートリッジ3が正しく装着されていない状態と、
3)現像カートリッジ3と感光ドラムカートリッジ2が共に正しく装着されている状態と、
が使用環境や感光ドラム膜厚に依らず判別できることがわかる。
即ち、感光ドラムカートリッジ2と現像カートリッジ3の装置本体8Aに対する装着状態に関して静電容量検出手段95のみで、少なくとも上記1)〜3)の3つ状態が判別できる。
図13は本実施例での、感光ドラムカートリッジ2と現像カートリッジ3の装置本体8Aへの装着状態を判断するシーケンスチャートである。本シーケンスは制御部10により実行される。
第一及び第二のドア83,84が閉じられていることで第一及び第二のドアスイッチSW1,SW2がオンであり、且つ、本体電源スイッチがオンになった時に本シーケンスが開始される(Step100)。または、本体電源スイッチがオンであり、且つ、第一及び第二の83,84が共に閉じられることで第一及び第二のドアスイッチSW1,SW2がオンになった時に、本シーケンスが開始される(Step200)。
まず、Step201において、制御部10は当接離間部材71が離間位置に位置している状態になっている場合には当接位置に転換する。次に、Step202において、検知用電圧を印加して、静電容量検出手段95で当接位置での検出電圧(第一の結果)Pを検出する。検知用電圧としては、直流電圧は印加せず、周波数2khz、振幅0.9kvの正弦波の交流電圧を印加した。しかしこの限りではなく、前述したように、帯電部材21と感光ドラム20間の静電容量を検出できる電圧であればよい。
続いて、Step203において、検出電圧Pとあらかじめ制御部10に記憶された閾値Cとの比較を行う。閾値Cは、下に示す式(3)の範囲の値であらかじめ決定しておく。ここで、Pmaxとは、使用環境や検出結果のバラツキなども考慮した、感光ドラム膜厚0%〜100%の検出電圧Pの最大値である。
Pmax<C<V0・・・式(3)
検出電圧Pが閾値B以上の場合、Step210に進み、検知用電圧をオフにする。そして、Step211にて、「感光ドラムカートリッジを正しく装着してください」など、感光ドラムカートリッジが正しく装着されていない旨を装置操作部13の表示器(表示部)に表示し、使用者に報知する。この場合において、使用者は第一のドア83を開いて、装着されていない感光ドラムカートリッジ2を装着する、あるいは正しく装着されていない感光ドラムカートリッジ2を正しく装着する。そして、第一のドア83を閉じる。制御部10は再び本シーケンスを開始する(Step200)。
Step203において、検出電圧Pが閾値Cより小さい場合、Step204に進み、検知用電圧をOffにした後、Step205にて、当接離間部材71を駆動させ離間位置とする。次に、Step206において、検知用電圧を印加して、静電容量検出手段95で離間位置での検出電圧Qを検出する。
続いて、Step207において、検出電圧Pと検出電圧Qとの差(P−Q)とあらかじめ制御部10に記憶された閾値Dとの比較を行う。閾値Dは、下に示す式(4)の範囲の値であらかじめ決定しておく。ここで、(P−Q)minとは、使用環境や検出結果のバラツキなども考慮した、感光ドラム膜厚0%〜100%の検出電圧Pと検出電圧Qの差の最小値である。
0<D<(P−Q)min・・・式(4)
検出電圧Pと検出電圧Qとの差(P−Q)が閾値D以下の場合、Step212に進み、検知用電圧をオフにする。そして、Step213にて、「現像カートリッジを正しく装着してください」など、現像カートリッジが正しく装着されていない旨を装置操作部13の表示器に表示し、使用者に報知する。この場合において、使用者は第二のドア84を開いて、装着されていない現像カートリッジ3を装着する、あるいは正しく装着されていない現像カートリッジ3を正しく装着する。そして、第二のドア84を閉じる。制御部10は再び本シーケンスを開始する(Step200)。
Step207において、検出電圧Pと検出電圧Qとの差(P−Q)が閾値Dより大きい場合、Step208に進み、検知用電圧をオフにした後、Step209に進み当接離間部材71を駆動し当接位置とする。そして、Step214にて、プリントジョブを待つスタンバイ状態となる。スタンバイ状態にてプリントジョブを受信すると、プリントスタートし、画像形成を行う。
このように、感光ドラムカートリッジ2の装着状態を判断した後に、現像カートリッジ3の装着状態を判断するシーケンスが好ましい。なぜなら、感光ドラムカートリッジ2は当接時の検出電圧Pのみで装着状態が確認でき、カートリッジが正しく装着されていないが故に画像形成が実行できないことを早くユーザーに報知できるからである。
検出電圧Xと検出電圧Yとの比較は、差(P−Q)を用いたが、比やその他のパラメータであっても比較ができれば構わない。
その他の構成および制御については第1の実施形態と同一なので、同一の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
本実施例においては、静電容量検出手段95のみで、少なくとも
1)感光ドラムカートリッジ2が正しく装着されていない状態と、
2)感光ドラムカートリッジ2が正しく装着されていて現像カートリッジ3が正しく装着されていない状態と、
3)現像カートリッジ3と感光ドラムカートリッジ2が共に正しく装着されている状態と、
が使用環境や感光ドラム膜厚に関わらず判別できる。
上記の本実施例の画像形成装置8をまとめると次のとおりである。感光ドラムカートリッジ(第一ユニット)2と現像カートリッジ(第二ユニット)3とが装着可能で、記録媒体に画像を形成する画像形成装置8である。感光ドラムカートリッジ2に保持され、現像剤像を担持する感光ドラム(像担持体)20を有する。感光ドラムカートリッジ2に保持され、感光ドラム20と対をなしてコンデンサを構成する帯電部材(第一部材)21を有する。現像カートリッジ3に保持され、感光ドラム20に接触可能に設けられた現像剤担持体(第二部材)30を有する。
また、感光ドラム20と帯電部材21との間に流れる電流を検知する電流検知手段95を有する。感光ドラム20と現像剤担持体30とを当接させる当接位置(第一の位置)と、感光ドラム20と現像剤担持体30とを離間させる離間位置(第二の位置)とを移動可能な当接離間部材71を有する。
当接離間部材71が当接位置において帯電部材21に電圧を印加した時の電流検知手段95の検出値を第一の検出結果とする。当接離間部材71が離間位置において帯電部材21に電圧を印加した時の、電流検知手段95の検出値を第二の検出結果とする。そして、第一の検出結果と第二の検出結果に基づいて、現像カートリッジ3と感光ドラムカートリッジ2の装着状態に関する情報信号を発信可能な制御部(制御手段)10を有することを特徴とする。
制御部(制御手段)10は、
1)装置本体8Aに感光ドラムカートリッジ2が装着されていない状態、
2)装置本体8Aに感光ドラムカートリッジ2は装着されているが現像カートリッジ3が装着されていない状態、
3)装置本体8Aに感光ドラムカートリッジ2および現像カートリッジ3が装着されている状態、
の3つの状態に関する情報信号を発信可能であることを特徴とする。
制御部(制御手段)10は、第一の結果により感光ドラムカートリッジ2が装着されていないと判断される場合は、第一の結果の取得を行わずに、感光ドラムカートリッジ2が装着されていない状態に関する情報信号を発信することを特徴とする。
上記の装置構成よって、2つの検出手段を用いずとも2つのカートリッジの装着状態を検出でき、より安価な画像形成装置の提供が可能になる。より小型の画像形成装置の提供が可能になる。また、定電流制御など静電容量の検出によって帯電制御を行っている画像形成装置においては、現像カートリッジと感光ドラムカートリッジの装着状態の判断を、新たな部材を追加することなく行うことができる。
本実施例のように、感光ドラム20と現像剤担持体30を当接離間可能な構成とし、感光ドラム20と感光ドラムカートリッジ2が有する導電性部材間の静電容量を検出する構成であっても本発明は実施可能である。
[実施例5]
本発明の第5の実施形態について説明する。本実施例における第一ユニットは感光ドラムカートリッジ2、第二ユニットは現像カートリッジ3、第一部材は帯電部材21、第二部材は現像剤担持体30、第一の位置は当接位置、第二の位置は離間位置である。
図14の(a)は現像剤担持体30と感光ドラム20が接触する当接状態の概略図である。(b)は、現像剤担持体30と感光ドラム20が非接触の状態に離間された離間状態の概略図である。
感光ドラムカートリッジ2が装置本体8Aの装着部2Aに位置決め固定されると、感光ドラム20は電気接点b,fの接続によりアースに接続される。帯電部材21は電気接点a,eの接続により電気静電容量検出手段95を介し、所定の帯電電圧を印加する帯電電圧印加手段90と検知用電圧印加手段93とに接続される。検知用電圧印加手段93は、交流電圧を印加する交流電圧印加手段93を含んで構成される。本実施例では帯電電圧として直流電圧に交流電圧を重畳させた帯電電圧を用いた。
装置本体8Aの装着部3Aに装着された現像剤担持体30には、電気接点c,gの接続により現像電圧印加手段94が接続される。本実施例では、現像カートリッジ3が当接位置でも離間位置でも、現像剤担持体30には現像電圧印加手段94が接続されている。しかし、少なくとも当接位置において現像剤担持体30に現像電圧印加手段が接続される構成であればよい。
なお、感光ドラムカートリッジ2、現像カートリッジ3が装置本体8Aに装着されていないとき、或いは正しく所定の位置に装着されていないときは、各々の電気接点b,f、a,e、c,gは接続されない。
その他の構成および制御については実施例4と同一なので、同一の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
本実施例においても、静電容量検出手段95のみで、実施例4の前記1)〜3)と同様の3つの装着状態が判別できる。よって、2つの検出手段を用いずとも2つのカートリッジの装着状態を検出でき、より安価な画像形成装置の提供が可能になる。より小型の画像形成装置の提供が可能になる。また、定電流制御など静電容量の検出によって帯電制御を行っている画像形成装置においては、現像カートリッジと感光ドラムカートリッジの装着状態の判断を、新たな部材を追加することなく行うことができる。
本実施例のように、電流検知手段である静電容量検出手段95は、検知用電圧印加手段93の電流量を検知できる構成であれば、感光ドラム20のアース側に設けなくても本発明は実施可能である。
[実施例6]
本発明の第6の実施形態について説明する。本実施例における第一ユニットは感光ドラムカートリッジ2、第二ユニットは現像カートリッジ3、第一部材はクリーニング装置22、第二部材は現像剤担持体30、第一の位置は当接位置、第二の位置は離間位置である。
図15の(a)は現像剤担持体30と感光ドラム20が接触する当接状態の概略図である。(b)は現像剤担持体30と感光ドラム20が非接触の状態に離間された離間状態の概略図である。
本実施例においては、クリーニング装置22として導電性の支持体上に弾性部材を施したクリーニングローラを用いた。
感光ドラムカートリッジ2が装着部2Aに位置決め固定されると、感光ドラム20は電気接点b,fの接続によりアースに接続される。帯電部材21は電気接点a,eの接続により帯電電圧印加手段90に接続される。クリーニング装置22は電気接点i,jの接続により静電容量検出手段(電流検知手段)95を介し、所定のクリーニング電圧を印加するクリーニング電圧印加手段96と検知用電圧印加手段93とに接続される。検知用電圧印加手段93は、交流電圧を印加する交流電圧印加手段93を含んで構成される。
本実施例においては、画像形成時のクリーニング電圧としては、+100Vの直流電圧のみを印加し、検知用電圧は直流電圧を印加せず、周波数2khz、振幅0.9kvの正弦波の交流電圧を印加した。しかしこの限りではなく、前述したようにクリーニング装置22と感光ドラム20間の静電容量を検出できる電圧であればよい。
装着部3Aに装着された現像カートリッジ3の現像剤担持体30には、電気接点c,gの接続により現像電圧印加手段94が接続される。本実施例では、現像カートリッジ3が当接位置でも離間位置でも、現像剤担持体30には現像電圧印加手段94が接続されている。しかし、少なくとも当接位置において現像剤担持体30に現像電圧印加手段が接続される構成であればよい。
なお、感光ドラムカートリッジ2、現像カートリッジ3が画像形成装置8に装着されていないとき、或いは正しく所定の位置に装着されていないときは、各々の電気接点b,f、a,e、i,j、c,gは接続されない。
その他の構成および制御については実施例4と同一なので、同一の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
本実施例においても、静電容量検出手段95のみで、実施例4の前記1)〜3)と同様の3つの装着状態が判別できる。よって、2つの検出手段を用いずとも2つのカートリッジの装着状態を検出でき、より安価な画像形成装置の提供が可能になる。より小型の画像形成装置の提供が可能になる。本実施例のように、感光ドラム20と対をなしてコンデンサを構成する部材は感光ドラムカートリッジ2が有するクリーニング部材であっても本発明は実施可能である。
以上説明したように、感光ドラム20と現像剤担持体30を当接離間可能な構成とし、感光ドラム20を有する感光ドラムカートリッジ2と現像剤担持体30を有する現像カートリッジ3を別ユニットとして構成する。そして、現像剤担持体30と現像カートリッジ3が有する導電性部材間の静電容量を検知する構成であれば実施可能である。或いは、感光ドラム20と感光ドラムカートリッジ2が有する導電性部材間の静電容量を検知する構成であれば実施可能である。
導電部材は、現像容器内やクリーニング容器内に配してもよい。例えば、現像容器内に、トナー残量を検出する金属製のアンテナであるプレートアンテナなどの部材を配置し、現像剤担持体とプレートアンテナ間の静電容量を検出するような構成であっても実施可能である。
[実施例1から実施例6に関するその他の事項]
1)装置本体8Aの装着部3Aに装着されている現像カートリッジ3は常時は離間位置をホームポジションとして待機させて、画像形成時には当接位置に移動させ、非画像形成時には離間位置に戻す制御してもよいし、常時は当接位置に位置させておく制御でもよい。
2)コンデンサが設けられたカートリッジの装着検知を行う際(Step103)、第一の検知結果と閾値(第一の所定値)との大小関係を比較したが、第二の検知結果と閾値の大小関係を比較してもよい。つまりこの場合は、カートリッジの装着検知を行う際に、当接離間部材71を離間位置(第二の位置)に配置させておく。
3)画像形成装置は実施例の電子写真方式に限られない。像担持体として静電記録誘電体や磁気記録磁性体を用いる静電記録方式や磁気記録方式などの画像形成装置とすることもできる。
[実施例1から実施例6の効果]
以上、説明した実施例1から実施例6の効果についてまとめると以下のとおりである。上記各実施例では、画像形成装置の装置本体に対して、感光ドラムカートリッジ2(像担持体カートリッジ)、現像カートリッジ3という、複数のカートリッジが着脱される構成であった。この場合には、画像形成装置8が画像形成できるか否かを判断するには、各カートリッジの装着状態を検知することが必要である。
ここで本実施例では、感光ドラムカートリッジ2または現像カートリッジ3のいずれか一方のカートリッジにコンデンサを設けている。そして当接離間部材71が、感光ドラム20(像担持体)と現像剤担持体30を当接させる位置(第一の位置)にあるときと、感光ドラム20と現像剤担持体30を離間させる位置(第二の位置)にある時の双方で、このコンデンサの静電容量に関する値を検出する。この際の検出結果(検出電圧Xと検出電圧Y)を用いることで、各カートリッジの装着状態を検知することが可能である。すなわち以下の3つの状態を判別可能である。
(1)感光ドラムカートリッジ2と現像カートリッジ3の2つのカートリッジのうち、コンデンサを設けたカートリッジが装着されていない状態(第一の状態)、
(2)2つのカートリッジのうち、コンデンサを設けたカートリッジが装着され、他方のカートリッジ(コンデンサを設けていないカートリッジ)が装着されていない状態(第二の状態)、
(3)コンデンサを設けたカートリッジとコンデンサが設けられていないカートリッジがともに装着された状態(第三の状態)。
すなわち、1つのカートリッジに設けられたコンデンサという簡易な構成を用いるだけで、複数のカートリッジの装着状態を知ることができる。換言すると簡易な構成で画像形成装置による画像形成が可能か否かに関して、詳細な情報を得ることができる。
なお、カートリッジが装着されている状態とは、カートリッジが画像形成装置の装置本体において、画像形成が可能となる時の位置、姿勢に配置されていることを言う。またカートリッジが装着されていない状態とは、カートリッジが画像形成装置の装置本体から取り出されている場合の他に、カートリッジが装置本体において、画像形成が可能となる位置、姿勢で配置されていない状態も含むものである。
なお、当接離間部材71が第一の位置にあるときに静電容量検出手段95(検出手段)によって検出される値を第一の検出結果とする。当接離間部材71が第二の位置にあるときに検出手段95に検出される値を第二の検出結果とする。そして上記の3状態を以下のように判別している。
第一の検出結果又は第二の検出結果と、第一の所定値との大小関係によって、コンデンサが設けられたカートリッジが装着されているか否かを判断する。例えば実施例1では検出電圧X(第一の検出結果)の最大値Xmaxが閾値A(第一の所定値)以上であるときに(1)の第一の状態の状態であると判断している。一方、Xmaxが閾値Aより小さいときには、(2)の第二の状態か(3)の第三の状態の状態であると判断している。
(2)か(3)の状態である場合には、更に第一の検出結果と第二の検出結果の比較からどちらの状態かを判断する。実施例1では第一の検出結果と第二の検出結果の差を求め、この差と第二の所定値との大小関係によって(2)か(3)の状態のいずれかを判別する。例えば実施例1では検出電圧Xと検出電圧Yの差X−Yの最小値(X−Y)minが閾値B(第二の所定値)以下のとき、つまり『(X−Y)min≦B』を満たす範囲内にあるときには(2)の状態であって画像形成できないと判断する。
一方、この差(X−Y)minが閾値Bより大きいときは(3)の状態であって画像形成できると判断する。第一の検出結果と第二の検出結果の比較する際は、必ずしも両者の差を取る必要はなく、例えば両者の比と、閾値の大小関係を比較するような構成であってもよい。
[実施例7]
以下、別の実施例について説明する。上述した各実施例は、像担持体(感光ドラム20)と現像剤担持体30が、それぞれ別のカートリッジ(感光ドラムカートリッジ2と、現像カートリッジ3)に設けられて画像形成装置の装置本体に装着されていた。これに対して以下に示す実施例では、像担持体と現像剤担持体およびコンデンサが同一のプロセスカートリッジ(カートリッジCR)に設けられ、このプロセスカートリッジを装置本体に着脱可能としたことを特徴とする。
本実施例の画像形成装置はプロセスカートリッジの装着状態を検知することができることを特徴とする。またプロセスカートリッジが装置本体に装着されている場合には、画像形成装置は、像担持体と現像剤担持体が、当接と離間を切り替え可能かどうか検知することを特徴とする。
(1)画像形成装置例の全体的な概略構成
図16は、本発明の実施例に係る画像形成装置8の概略構成図である。本実施例の画像形成装置8は、回転可能な像担持体である感光ドラム20に対して帯電、露光、現像、転写およびクリーニングの一連の画像形成プロセスを実行して転写材(記録媒体)7に画像を形成する電子写真方式の画像形成装置である。
より詳しくは、制御部(制御手段:CPU)10にインターフェイス11を介して接続されているホスト装置12から入力する画像データ(電気的な画像情報)に対応した画像を転写材7に形成して画像形成物を出力することができる。転写材7は、普通紙、光沢紙、樹脂シート、葉書、封筒などである。
制御部10は画像形成装置8の動作を統括的に制御する制御手段であり、ホスト装置12や装置操作部(コントロールパネル)84と各種の電気的情報信号の授受をする。また、各種のプロセス機器やセンサなどから入力する電気的情報信号の処理、各種のプロセス機器への指令信号の処理、所定のイニシャルシーケンス制御、所定の作像シーケンス制御を司る。ホスト装置12は、パーソナルコンピュータ、ネットワーク、イメージリーダ、ファクシミリなどである。装置操作部13は本体(メイン)電源スイッチ、各種の操作キー、表示部85などが配設されている。
感光ドラム20は矢印Rの時計方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。感光ドラム20の周囲には感光ドラム回転方向に沿って画像形成プロセス手段としての、帯電部材21、露光装置1、現像剤担持体30、転写装置4、クリーニング装置22が順に配されている。
本実施例において、感光ドラム20はアルミ等の導電性のシリンダ上に下引き層、キャリア発生層、キャリア輸送層を形成したものを用いた。帯電部材21は感光ドラム20に接触し、感光ドラム20に従動回転する帯電ローラを用いた。帯電部材21は、導電性の支持体上に半導電性の弾性部材を施した構成とした。帯電部材21には所定の帯電電圧が印加され、感光ドラム20を所定の極性・電位に一様に帯電する。
帯電部材21によって一様に帯電した感光ドラム20の表面に対して露光装置1により画像露光がなされる。本実施例において、露光装置1はレーザー走査露光装置であり、レーザー、ポリゴンミラー、レンズ系を含む。露光装置1は画像信号(画像データ)に対応して変調されたレーザー光Lを出力して感光ドラム20の表面を主走査方向露光する。これにより、感光ドラム20の表面に走査露光パターンに対応した静電潜像が形成される。
感光ドラム表面の静電潜像は回転可能な現像剤担持体30により現像剤像(トナー像)として現像(可視像化)される。現像剤担持体30は感光ドラム20の表面に形成された静電潜像を現像するための現像剤を担持して感光ドラム20に適用する部材である。本実施例において現像剤担持体30は感光ドラム20に接触して感光ドラム20の回転と順方向の所定の周速比をもって矢印の反時計方向に回転駆動される現像ローラを用いた。
現像剤担持体30は、金属から成る導電性の支持体上に半導電性のウレタンゴムなどの弾性部材を施した構成であり、現像剤であるトナーTを担持して搬送する。現像剤担持体30には所定の現像電圧が印加され、静電潜像がトナーTによって現像される。トナーTには、非磁性一成分トナーを用いた。
現像剤担持体30には回転可能な現像剤供給部材31が接触して配設されている。本実施例において現像剤供給部材31は、金属から成る導電性の支持体の表面に半導電性の発泡ウレタンなどの弾性部材を施した弾性スポンジローラである。現像剤供給部材31は現像剤担持体30に対して並行に配列されて現像剤担持体30に接触し、現像剤担持体30との接触部において現像剤担持体30の回転方向に対してカウンター方向に所定の周速比をもって回転駆動される。これにより、回転する現像剤担持体30の表面に対して現像剤供給部材31からトナーTが薄層として塗布される。
また、現像剤担持体30には現像剤供給部材31よりも現像剤担持体回転方向下流側において現像剤層厚規制部材32が接触して配設されている。本実施例において現像剤層厚規制部材32は導電性の弾性ブレードであり、現像剤担持体30に所定の圧で接触し、現像剤供給部材31により現像剤担持体30に塗布されたトナーTの層厚を規制する。本実施例においては、弾性ブレードにはSUS製の薄板上に薄いエラストマー部材を施したものを用いた。
回転する現像剤担持体30は現像剤供給部材31との接触部において現像剤供給部材31によるトナーTの塗布を受け、更に現像剤層厚規制部材32による塗布トナー層厚規制を受ける。また、トナーが所定の極性に摩擦帯電される。層厚規制されたトナー層が現像剤担持体30の引き続く回転により感光ドラム20と現像剤担持体30との接触部である現像位置に搬送される。そして、現像剤担持体30側のトナー層のトナーが感光ドラム20の表面に対して静電潜像のパターンに対応して選択的に転移する。これにより静電潜像がトナー像として現像される。
静電潜像の現像に供されなかった現像剤供給部材31上のトナーは引き続く現像剤供給部材31の回転により現像剤担持体30と現像剤供給部材31との接触部に戻し搬送されて、現像剤供給部材31により現像剤担持体30上から掻き落とされる。この戻し搬送トナーの掻き落しと共に現像剤担持体30の表面に現像剤供給部材31によるトナーTの塗布がなされる。上記のような動作が繰り返されて感光ドラム20面の静電潜像の現像が実行される。
転写装置4は感光ドラム20に形成されたトナー像を転写材7に転写する装置である。本実施例においては転写装置4は導電性の支持体上に半導電性の弾性部材を施した回転可能な転写ローラであり、感光ドラム20に並行に配列されて感光ドラム20に接触し転写ニップ部を形成している。転写装置4は感光ドラム20の回転に順方向で感光ドラム20の回転周速度にほぼ対応した周速度で回転駆動される。
そして、給紙カセット9に積載されて収納されている転写材7が給紙ローラ6を含む給紙機構(不図示)の動作により所定の制御タイミングで一枚分離給送されてシートパス510により転写ニップ部に導入されて挟持搬送される。転写材7が転写ニップ部を挟持搬送されている間、転写装置4には所定の転写電圧が印加される。これにより、感光ドラム20側のトナー像が転写材7側に順次に静電転写される。
転写ニップ部を出た転写材7は感光ドラム20の面から分離されてシートパス511により定着装置5に搬送される。転写材7は定着装置5によって未定着のトナー像が固着画像として定着された後、シートパス512を通って排紙ローラ513により画像形成物として装置外部の排紙トレイ16に排出される。
また、転写材分離後の感光ドラム20の面はクリーニング装置22により転写残現像剤等の残留物が除去されて清浄面化され、繰り返して画像形成に供される。クリーニング装置22は本実施例においては弾性ブレードからなるクリーニングブレードを用いたブレードクリーニング装置である。クリーニングブレードは先端エッジ部を回転する感光ドラム20の表面にカウンターに当接させて配設してある。感光ドラム表面の残留物はクリーニングブレードにより拭掃されて除去される。
(2)プロセスカートリッジ
画像形成装置を構成する部材は、繰り返しの使用によって消耗する。特に消耗頻度の高い消耗部材として感光ドラム20、トナーTがある。本実施例の画像形成装置8は、消耗した部材を容易に画像形成装置に着脱、交換可能とするためにプロセスカートリッジ構成をとる。CRはそのプロセスカートリッジ(以下、カートリッジと記す)であり、画像形成装置8の装置本体(画像形成装置本体)8A内の所定の装着部8Bに対して所定の要領にて装着可能(着脱可能)である。本実施例におけるカートリッジCRは、帯電クリーニング装置502と現像装置503をユニット化し、一体型とした。
本実施例においては、帯電クリーニング装置502は、クリーニング容器(クリーニング枠体)23に、像担持体としての感光ドラム20、帯電部材21、クリーニング装置22、を組み付けたものである。感光ドラム20と帯電部材21はクリーニング容器23に対して回転可能に軸受されて支持されている。クリーニング装置22はクリーニング容器23に対して固定して支持されている。
また、現像装置503は、現像枠体(現像容器)33に、現像剤担持体30、現像剤供給部材31、現像剤層規制部材32、現像加圧部材(弾性部材(付勢部材)である圧縮バネ)34、記憶手段(メモリ)M、を組み付けたものである。現像剤担持体30と現像剤供給部材31は現像枠体33に対して回転可能に軸受されて支持されている。現像剤層規制部材32、現像加圧部材34、記憶手段Mは現像枠体33に対して固定して支持されている。現像容器である現像枠体33には現像剤(乾式)としてのトナーTが収容されている。
そして、クリーニング容器23に対して現像枠体33を揺動中心部535を中心に揺動可能に連結している。これにより帯電クリーニング装置502と現像装置503とを結合させてカートリッジCRとしている。
カートリッジCRが装置本体8A内の装着部8Bに対して所定に装着されている状態において、帯電クリーニング装置502はクリーニング容器23が装置本体8A側の位置決め部(不図示)に押圧機構(不図示)により押圧されて位置決め固定されている。即ち、帯電クリーニング装置502が装置本体8A側の位置決め部に対して位置決め固定されている。
この帯電クリーニング装置502の位置決め固定状態において、感光ドラム20は装置本体8A側の転写装置4と所定の押圧力をもって当接している。また、画像形成動作時には装置本体8A側の駆動出力部(不図示)から帯電クリーニング装置502側の駆動入力部(不図示)に動力が伝達されて感光ドラム20の回転駆動がなされる。
また、帯電クリーニング装置502側の電気接点a,b(図17)が装置本体8A側の電気接点e,fに電気的に接続する。これにより、装置本体8A側の帯電電圧印加手段90から帯電クリーニング装置502側の帯電部材21に対して所定の帯電電圧の印加が可能となる。本実施例では帯電電圧として直流電圧を用いたが、この限りではなく、直流電圧に交流電圧を重畳させた帯電電圧を用いてもよい。また、感光ドラム20の導電性のシリンダがアースに接続される。
カートリッジCRが装着部8Bに装着されていないとき、或いは装着部8Bに正しく装着されていないときは、帯電クリーニング装置502側の電気接点a,bと装置本体8A側の電気接点e,fは接続されない。
また、カートリッジCRが装着部8Bに所定に装着されている状態において現像装置503は現像加圧部材34が装置本体8A側の力受け部72に受け止められている。また、装置本体8A側の当接離間部材71が現像装置503側の力受け部536に対応している。
また、現像装置503側の電気接点c,dと装置本体8A側の電気接点g,hとが電気的に接続する。これにより、現像装置503側の現像剤担持体30に装置本体8A側の現像電圧印加手段94と静電容量検出手段95が接続されて、現像電圧印加手段94から現像剤担持体30に対して現像電圧として所定の直流電圧の印加が可能となる。また、検知用電圧印加手段93から現像装置503側の現像剤供給部材31に対して所定の検知用電圧の印加が可能となる。
検知用電圧印加手段93は、少なくとも交流電圧を印加する交流電圧印加手段91を含んで構成される。本実施例では、直流電圧を印加する直流電圧印加手段92と交流電圧印加手段91から構成される。
現像装置503は装置本体8A側の当接離間部材71であるカムの回転動作により揺動中心部535を中心に回動可能である。この回動により、現像装置503は図17の(a)の当接位置と(b)の離間位置との2つの位置に位置移動可能(回動動作可能)である。
当接位置は、装置本体8Aに位置決め固定されている帯電クリーニング装置502が有する感光ドラム20に対して現像装置503が有する現像剤担持体30が所定の押圧力で当接可能な現像装置移動位置である。換言すると、当接位置は現像装置503の画像形成位置である。
また、離間位置は、装置本体8Aに位置決め固定されている帯電クリーニング装置502が有する感光ドラム20に対して現像装置503が有する現像剤担持体30が所定に離間可能な現像装置移動位置である。換言すると、離間位置は現像装置503の非画像形成位置である。
当接離間部材71であるカムは現像装置503側の力受け部536に対応して位置しており、大隆起部と小隆起部を有している。そして、当接離間部材71は制御部10で制御される駆動源M71により、図17の(a)のように小隆起部が現像装置503側の力受け部536に対応した第一回転角姿勢に姿勢制御される。また、(b)のように大隆起部が現像装置503側の力受け部536に対応した第二回転角姿勢に姿勢制御される。
現像装置503は現像枠体33の上面と装置本体側の力受け部72との間に介在している現像加圧部材34の付勢力により揺動中心部535を中心に回動されるモーメントが常時与えられている。その回動モーメントは、現像装置503側の現像剤担持体30が帯電クリーニング装置502側の感光ドラム20に向う方向となるように、揺動中心部535、現像加圧部材34、力受け部72の相対位置が設定されている。
当接離間部材71は小隆起部が現像装置503側の力受け部536に対応した第一回転角姿勢において現像装置503に対して非干渉となる。そのため、現像装置503は現像加圧部材34による上記の回動モーメントにより現像剤担持体30が帯電クリーニング装置502側の感光ドラム20に所定の押圧力にて当接して受け止められるまで回動する。即ち、現像装置503は図17の(a)の当接位置に移動された状態になる。現像装置503を当接位置にする当接離間部材71の第一回転角姿勢を、以下、当接位置(第一の位置)と記す。
現像装置503が当接位置に移動されている状態において、画像形成動作時には装置本体8A側の駆動出力部(不図示)から現像装置503側の駆動入力部(不図示)に動力が伝達されて、現像剤担持体30と現像剤供給部材31が回転駆動される。
また、当接離間部材71は大隆起部が現像装置503側の力受け部536に対応した第二回転角姿勢において現像装置503を現像加圧部材34の付勢力に抗して押し上げるように作用する。即ち、現像装置503は当接離間部材71により現像加圧部材34から受ける力よりも大きな逆方向の力を受ける。
そのため、現像装置503は現像枠体33の上面と装置本体8A側の力受け部72との間に現像加圧部材34を付勢力に抗して圧縮しながら、揺動中心部535を中心に、現像剤担持体30が感光ドラム20から離れる方向に回動される。そして、所定に離間した回動位置に保持される。即ち、現像装置503は図17の(b)の離間位置に移動された状態になる。現像装置503を離間位置にする当接離間部材71の第二回転角姿勢を、以下、離間位置(第二の位置)と記す。
カートリッジCRが装着部8Bに装着されているときの現像装置503の電気接点c,dは、それぞれ、現像装置503が当接位置に移動しているときも離間位置に移動しているときも装置本体8A側の電気接点g,hと電気的に接続状態を維持する。
カートリッジCRが装着部8Bに装着されていないとき、或いは装着部8Bに正しく装着されていないときは、現像装置503側の電気接点c,dと装置本体8A側の電気接点g,hは接続されない。
また、現像装置503の記憶手段(メモリ)35と制御部10は現像装置503が当接位置に位置しているときも離間位置に位置しているときも通信手段(不図示)を介して情報の授受が可能である。
本実施例では、当接離間部材71としてのカムを用いて現像装置503を当接位置と離間位置に移動可能な構成としたが、この限りではなく、別の構成をとっても良い。
(3)現像装置503のトナー残量検知
静電容量検出手段95は、現像剤担持体30と現像剤供給部材31によって構成されるコンデンサの静電容量に関する値を検出する。本実施例では、静電容量検出手段95は、現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間に流れる電流を検知する電流検知手段である。
静電容量検出手段95は、現像剤供給部材31に少なくとも交流成分を含む所定の検知電圧を印加した際、現像剤担持体30に誘起される交流電流量を検出することによって、現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間の静電容量を検出できる。本実施例においては、現像剤供給部材31が、現像剤担持体30と対をなして現像剤担持体30との間に静電容量を発生させる導電性部材として機能している。
本実施例では、所定の基準電圧V0を、検出した交流電流量に応じて電圧降下させ、検出電圧とし、制御部10に出力する回路を用いた。即ち、本実施例での静電容量検出手段95は、現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間の静電容量がより大きければ、現像剤担持体30に誘起される交流電流量もより大きくなり、結果、検出電圧はより小さい値を示す。
本実施例では、この静電容量検出手段95を用いて、現像装置内のトナー(現像剤)Tの残量検知を行っている。静電容量検出手段95は、現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間の静電容量に応じた検出電圧を制御部10に出力する。現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間にトナーがより多く存在すると、現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間の静電容量はより大きくなる。反対に、現像動作によってトナーが消費され、現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間のトナー量が少なくなると現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間の静電容量は小さくなる。
よって、現像剤供給部材31に少なくとも交流成分を含む検知電圧を印加し、静電容量検出手段95によって、現像剤担持体に誘起された交流電流量に応じた電圧を検出することによって、トナー残量検知が可能となる。
トナー残量検知は、現像装置503が当接状態、離間状態のどちらであっても可能であるが、静電容量検出手段95によって検出する検出電圧は、現像装置503の当接位置と、離間位置とで異なる。
これは、当接位置では離間位置に比べ、所定の検知電圧を現像剤供給部材31に印加した際に、誘起電流が現像剤担持体30だけではなく、他にも流れてしまうからである。即ち、アースに接続された感光ドラム20、及び帯電電圧印加手段90を通じてアースに接続された帯電部材21にも誘起電流が流れてしまうからである。よって、トナー残量検知は、当接状態、或いは離間状態のどちらか一方で行うことが望ましい。
図18に現像装置503内のトナー残量と静電容量検出手段95によって検出した検出電圧との関係を示す。カートリッジCRは装置本体8Aの装着部8Bに正しく装着した。実線が当接位置(当接状態)で検出したトナー残量に対する静電容量検出手段95の検出電圧の検出結果Xである。一点鎖線が離間位置(離間状態)で検出したトナー残量に対する静電容量検出手段の検出電圧の検出結果Yである。
検知用電圧としては、周波数50khz、振幅0.1kvの正弦波の交流電圧を印加した。画像形成装置8の使用環境は、温度23℃、湿度50%RHであった。トナー残量は、プロセスカートリッジCRが新品であるときのトナー残量を100%とし、トナーを消費し、ベタ画像が出力できなくなったときのトナー残量を0%とした。V0は基準電圧である。
図18に示すように、当接位置で検出した検出結果X、離間位置で検出した検出結果Yとも、トナー残量が少なくなるにつれ、静電容量検出手段95の検出電圧は上昇する。これはトナーが消費されることによって、現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間の静電容量が減少するためである。また、当接位置で検出した検出結果Xは、離間位置で検出した検出結果Yよりも検出電圧が高い。これは、当接状態では離間状態に比べ、感光ドラム20、或いは、帯電部材21の影響によって現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間の見かけ上の静電容量が小さくなるためである。
言い換えれば、当接状態では離間状態に比べ、所定の検知電圧を現像剤供給部材31に印加した際に、現像剤担持体30だけではなく、他にも誘起電流が流れてしまうためである。即ち、アースに接続された感光ドラム20、及び帯電電圧印加手段90を通じてアースに接続された帯電部材21に誘起電流が流れてしまうためである。
当接位置もしくは離間位置で検出した静電容量検出手段95の検出電圧は、現像装置503のトナー残量と相関がある。そのため、あらかじめ記憶手段Mに静電容量検出手段95の検出電圧とトナー残量の関係を記憶させておけば、静電容量検出手段95の検出電圧から現像装置503のトナー残量を検知することができる。本実施例では、現像装置503がもつ記憶手段Mに静電容量検出手段95の検出電圧とトナー残量の関係を記憶させたが別の記憶手段に記憶させておいても構わない。
なお、画像形成装置8の使用環境は温度23℃、湿度50%RHであったが、他の使用環境であった場合でも、検出結果の大きさは多少異なるが同様の結果が得られる。
(4)画像形成装置の各種の装置状態の検出
カートリッジCRの現像装置503を移動可能にした構成においては、その構成がより複雑化し、部品のバラツキ、またその組立てのバラツキなどによって、現像装置503が正常に移動されないという問題が生じることがあった。
そこで、装置本体8Aに装着したカートリッジCRが所定の装着部8Bに正しく装着されているかどうか、また、現像装置503が確実に当接位置と離間位置とに移動しているかを判別し、正常または異常を判断する。即ち、制御部10は画像形成装置の各種の装置状態を判別し、正常または異常を判断する。
図19は、カートリッジCRが各種の状態にあるときの静電容量検出手段95の検出結果である。
この実験は、当接離間部材71を駆動させて当接位置とした後、現像剤供給部材31に少なくとも交流電圧を含む検知用電圧を印加して、静電容量検出手段95で検出電圧Xを検出した。検出電圧X(第一の検出結果)を検出後、検知用電圧をオフにした。
続いて、当接離間部材71を駆動させて離間位置とした後、現像剤供給部材31に当接位置で印加した電圧と同じ検知用電圧を印加して、静電容量検出手段95で検出電圧Y(第二の検出結果)を検出した。検出電圧Yを検出後、検知用電圧をオフにした。
ここで、トナー残量80%の現像装置503を用い、検知用電圧としては、周波数50khz、振幅0.1kvの正弦波の交流電圧を印加した。画像形成装置8の使用環境は、温度23℃、湿度50%RHであった。
図19の(a)は、カートリッジCRが装置本体8Aの装着部8Bに装着されていない、あるいは正しく装着されていない場合の検出結果である。この場合は、現像剤担持体30と現像剤供給部材31間の静電容量を検出できず、当接位置での検出電圧X、離間位置での検出電圧Yともに基準電圧V0と略等しい値を示す。
図19の(b)は、装置本体8Aの装着部8Bに装着されているカートリッジCRの現像装置503に離間不良が発生したときの結果である。カートリッジCRは装着されているため、当接位置での検出電圧Xは図18のトナー残量80%のときの検出電圧Xと略等しい値となる。離間位置では、離間不良が発生しているため、感光ドラム20と現像剤担持体30が離間せず当接したままである。それゆえ、離間位置の検出電圧Yは、当接位置での検出電圧Xと略等しい値を示す。
図19の(c)は、装置本体8Aの装着部8Bに装着されているカートリッジCRの現像装置503に当接不良が発生したときの結果である。カートリッジCRは装着されているため、離間位置での検出電圧Yは図18のトナー残量80%のときの検出電圧Yと略等しい値となる。当接位置では、当接不良が発生しているため、感光ドラム20と現像剤担持体30が当接せず離間したままである。それゆえ、感光ドラム20、帯電部材21の影響を受けず、みかけの静電容量が離間位置での静電容量と比較して減少しない。よって、当接位置の検出電圧Xは、離間位置での検出電圧Yと略等しい値を示す。
図19の(d)は、現像装置503の当接・離間動作が正常に行われた場合の検出結果である。当接位置での検出電圧Xは、正常に当接されているため、図18のトナー残量80%のときの検出電圧Xと略等しい値を示す。離間位置での検出電圧Yは、正常に離間しているため、図18に示されるトナー残量80%のときの検出電圧Yと略等しい値を示す。よって、検出電圧Xと検出電圧Yは、感光ドラムと帯電ローラの影響分だけ異なる出力を示す。
言い換えれば、現像装置503の当接位置での検出電圧Xは、現像剤担持体30と感光ドラムが当接していて、離間している状態に比べ見かけの静電容量が小さくなる。そのため、検出電圧Yよりも大きい値となる。この検出電圧Xと検出電圧Yに所定以上の差が生じた場合、正常に当接離間動作が行われているとみなす。
上記の実験は、トナー残量が80%のカートリッジCRを用いたが、他のトナー残量であるカートリッジCRを用いても同様の結果が得られる。
これらの結果から、感光ドラム20と現像剤担持体30とを当接離間可能な構成とする。現像剤担持体30に接続し得る静電容量検出手段95を用いる。そして、当接離間部材71の当接位置と離間位置とで現像剤担持体30と現像剤供給部材31との間の静電容量を検出する。これによって、
1)カートリッジCRが装着されていない或いは正しく装着されていない状態と、
2)カートリッジCRが正しく装着されていて、現像装置503が離間不良、或いは当接不良が発生している状態と、
3)カートリッジCRが正しく装着されていて、現像装置503も当接・離間動作が正常に行われる状態と、
が、使用環境やトナー残量に依らず判別できることがわかる。
即ち、トナー残量検知に用いる静電容量検出手段95で、カートリッジCRの上記1)〜3)の3つの装置状態が判別でき、現像装置503の当接・離間動作の異常検知が可能となる。つまり、カートリッジCRが装着されているかのカートリッジ装着検知ができる。また、感光ドラム20と現像剤担持体30が当接する当接状態と、感光ドラム20と現像剤担持体が非接触に離間する離間状態とをとることが可能かどうかを検知する当接離間検知ができる。
トナー残量検知に用いる静電容量検出手段95を用いるので、異常検知のために追加の部材や検知手段を必要としない。更に、検知用電圧として交流電圧を使用しているため、検知を行う際に、感光ドラム20と現像剤担持体30を回転駆動させる必要もない。
図20は本実施例における上記の異常検知のシーケンスチャートである。本シーケンスは制御部10により実行される。
本体電源スイッチがオンになった時、または、非画像形成時の任意のタイミングで、本シーケンスが開始される(Step300)。まず、Step301において、当接離間部材71を駆動させて当接位置とする。次に、Step302において、検知用電圧印加手段93をオンにして検知用電圧を印加して、静電容量検出手段95で当接位置での検出電圧X(第一の検出結果)を検出する。
続いて、Step303において、検出電圧Xとあらかじめ画像形成装置の記憶手段(不図示)に記憶された閾値A(第一の所定値)との比較を行う。閾値Aは、下に示す式(1)の範囲の値であらかじめ決定しておく。ここで、Xmaxとは、使用環境や検出結果のバラツキなども考慮した、トナー残量0%〜100%の検出電圧Xの最大値である。
Xmax<A<V0・・・式(1)
例えば、図18に示される、X0%<A<V0、の範囲に設定される。
検出電圧Xが閾値A以上の場合、Step310に進み、検知用電圧印加手段93をオフにして検知用電圧をオフにする。そして、Step311にて、「プロセスカートリッジを正しく装着してください」など、カートリッジCRが正しく装着されていない旨を装置操作部13の表示部85に表示し、使用者に報知する。
使用者はこの報知により、装着されていないカートリッジCRを装着する、あるいは正しく装着されていないカートリッジCRを正しく装着する。制御部10は再び本シーケンスを開始する(Step300)。
Step303において、検出電圧Xが閾値Aより小さい場合、Step304に進み、検知用電圧印加手段93をオフにして検知用電圧をオフにした後、Step305にて、当接離間部材71を駆動させて離間位置とする。
次に、Step306において、検知用電圧印加手段93をオンにして検知用電圧を印加して、静電容量検出手段95で離間位置での検出電圧Y(第二の検出結果)を検出する。続いて、Step307において、検出電圧Xと検出電圧Yとの差(X−Y)とあらかじめ画像形成装置の記憶手段(不図示)に記憶された閾値B(第二の所定値)との比較を行う。閾値Bは、下に示す式(2)の範囲の値であらかじめ決定しておく。ここで、(X−Y)minとは、使用環境や検出結果のバラツキなども考慮した、トナー残量0%〜100%の検出電圧Xと検出電圧Yの差の最小値である。
0<B<(X−Y)min・・・式(2)
例えば、図18に示される、0<B<(X100%−Y100%)、の範囲に設定される。
検出電圧Xと検出電圧Yとの差(X−Y)が閾値B以下の場合、Step312に進み、検知用電圧印加手段93をオフにして検知用電圧をオフにする。その後、Step313にて、「装置異常です」など装置本体が異常である旨を表示部85に表示し、使用者に報知して対処を促す。
即ち、制御部10は、当接離間検知を行い、当接状態と離間状態とをとることが可能な場合は正常であると判断し、当接状態と離間状態とをとることが不可能な場合は異常であると判断する。
Step307において、検出電圧Xと検出電圧Yとの差(X−Y)が閾値Bより大きい場合、Step308に進み、検知用電圧をオフにした後、Step309に進み、当接離間部材71を駆動させて当接位置とする。その後、Step314に進み、プリントジョブを待つスタンバイ状態となる。制御部10は、スタンバイ状態にてプリントジョブを受信すると、プリントスタートし、画像形成を行う。
このように、カートリッジCRの装着状態を判断(カートリッジ装着検知)した後に、当接・離間が正常に行われるかを判断(当接離間検知)するシーケンスが好ましい。即ち、制御部10は、カートリッジCRの装着状態を検知し、装着されていないと判断した場合は、当接離間検知は行わずに、異常であると判断する。そして、カートリッジCRが装着されていると判断した場合は、続いて、当接離間検知を行う。
なぜなら、カートリッジCRの装着は当接時の検出電圧Xのみで装着状態が確認でき、カートリッジCRが装着されていない或いは正しく装着されていないが故に画像形成が実行できないことを早く使用者に報知できるからである。
以上説明したように、本実施例においては、トナー残量検知に用いる静電容量検出手段95で、前記の1)〜3)のカートリッジCRの状態が判別でき、現像装置503の当接・離間の異常検知が可能となる。トナー残量検知を現像剤担持体と現像剤供給部材等の導電部材間の静電容量を検知することによって行う画像形成装置においては、新たな部材、もしくは検知手段を追加することなく当接離間の異常検知行うことができる。また検知の際にプロセスカートリッジCRを駆動する必要もない。
よって、より安価な画像形成装置の提供が可能になる。また、より小型の画像形成装置の提供が可能になる。また、より早い装置状態の検知が可能となり、よりユーザビリティの高い画像形成装置を提供することができる。
[実施例8]
本発明の第8の実施形態について説明する。本実施例においては、現像剤層厚規制部材32に検知用電圧を印加し、現像剤担持体30に流れる誘起電流を検知する。本実施例においては、現像剤層厚規制部材32が現像剤担持体30と対をなして現像剤担持体30との間に静電容量を発生させる導電部材として機能する。このように、現像剤層厚規制部材32に交流電圧を含む検知用電圧を印加し、現像剤担持体30に流れる誘起電流を検知する構成であっても、本発明は採用可能である。
図21の(a)は、現像剤担持体30と感光ドラム20が接触する当接状態の概略図である。(b)は、現像剤担持体30と感光ドラム20が非接触の状態に離間された離間状態の概略図である。
カートリッジCRが装置本体8Aの装着部8Bに位置決め固定されると、感光ドラム20はアースに接続される。帯電部材21は所定の帯電電圧を印加する帯電電圧印加手段90に接続される。本実施例では帯電電圧として直流電圧を用いたが、この限りではなく直流電圧に交流電圧を重畳させた帯電電圧を用いてもよい。
現像装置503が当接位置または離間位置にあるとき、現像剤層厚規制部材32には検知用電圧印加手段93が接続される。検知用電圧印加手段93は、少なくとも交流電圧を印加する交流電圧印加手段91を含んで構成される。本実施例では、直流電圧を印加する直流電圧印加手段92から構成される。現像装置503が当接位置から離間位置に移動しても、逆に離間位置から現像位置に移動しても、現像剤層厚規制部材32には検知用電圧印加手段93に接続されている。
現像装置503が当接位置または離間位置にあるとき、現像剤担持体30には、現像電圧として所定の直流電圧を印加する現像電圧印加手段94と、静電容量検出手段95が接続される。即ち、現像装置503が当接位置から離間位置に移動しても、逆に離間位置から現像位置に移動しても、現像剤担持体30には現像電圧印加手段94と静電容量検出手段95に接続されている。
なお、カートリッジCRが装着部8Bに装着されていないとき、或いは着部8Bに正しく装着されていないときは、各電気接点a,e、b,f、c,g、d,hは接続されない。
本実施例においては、現像剤層厚規制部材32は導電性の支持体に弾性ブレードを用いた構成をとったがこの限りではない。導電性の部材を持ち、導電性部材に交流電圧を印加した際に、現像剤担持体30に交流電流を誘起できる構成であればよい。
その他の構成および制御については実施例7と同一なので、同一の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
本実施例においても、静電容量検出手段95で、実施例7の前記1)〜3)と同様の3つの装置状態が判別できる。現像剤担持体30に静電容量検出手段95が接続される画像形成装置においては、新たな部材、もしくは検知手段を追加することなく現像装置503の当接離間の異常検知行うことができる。また、検知の際にカートリッジCRを駆動する必要もない。
よって、より安価な画像形成装置の提供が可能になる。また、より小型の画像形成装置の提供が可能になる。また、より早い装置状態の検知が可能となり、よりユーザビリティの高い画像形成装置を提供することができる。
[実施例9]
本発明の第9の実施形態について説明する。現像剤担持体30がウレタンゴムなどの弾性部材を有する構成のとき、長期間に渡って感光ドラム20と当接していると、当接部に凹みが生じ、横スジ画像などの不良画像が発生する場合がある。当接状態が長期間に渡る場合としては、カートリッジCRの製造出荷時から使用者によって初めて使用される期間に起こる場合が考えられる。
このとき発生する横スジ画像を防止するために、出荷時にあらかじめ現像剤担持体30と感光ドラム20の当接を防止する当接防止部材を有するカートリッジが知られている。この当接防止部材は使用者がカートリッジCRを初めて使う際に取り外さなければならない部材である。
しかしながら、使用者は当接防止部材を外し忘れてしまうことがある。特に、装置本体8A内に同梱されて出荷されたカートリッジCRにおいては、当接防止部材を外し忘れて使用を開始しようとしてしまうことが多い。
もし、使用者が当接防止部材を外し忘れてカートリッジCRの使用を開始し、画像形成しようとすると、白抜け画像などの画像不良が発生してしまう。これは、現像剤担持体30と感光ドラム20とが離間されたまま画像形成してしまうからである。
またカートリッジを駆動する装置本体8A側の駆動部のトルクが大きくなってしまうため、装置本体8A、もしくはカートリッジCRが故障してしまう場合もある。
そこで、カートリッジCRを駆動せずに、カートリッジCRに当接防止部材が装着されているか否かを検知する必要がある。この当接防止部材の外し忘れを検知し、使用者に報知する画像形成装置が求められる。本実施例においては、この当接防止部材の外し忘れの検知(当接防止部材検知)を行う。
図22に本実施例におけるカートリッジCRの概略図を示す。当接防止部材50は感光ドラム20と現像剤担持体30の当接を防止するように、カートリッジCRに着脱可能に設けられる。この当接防止部材50は感光ドラム20、現像剤担持体30間の軸方向端部両側、もしくは片側の画像領域外に固定され、感光ドラム20と現像剤担持体30の軸方向画像領域部の当接を防止する。両者の当接を防止することで、長期間に渡って放置されても、現像剤担持体30の弾性部が凹むことによる画像弊害を防止できる。
この当接防止部材50はカートリッジCRに装着された状態で出荷され、使用者がカートリッジCRを使用する際にカートリッジCRから取り外されるべき部材である。当接防止部材50が装着されたカートリッジCRは、装置本体8Aに着脱可能であり、当接防止部材50が装着されたカートリッジCRを装置本体内に同梱して出荷することも可能である。
図23は、カートリッジCRが各種状態にあるときの静電容量検出手段95の検出結果である。
この実験は、当接離間部材71を駆動させて当接位置とした後、現像剤供給部材31に少なくとも交流電圧を含む検知用電圧を印加して、静電容量検出手段95で検出電圧X(第一の検出結果)を検出した。検出電圧Xを検出後、検知用電圧をオフにした。
続いて、当接離間部材71を駆動させ離間位置とした後、現像剤供給部材31に離間位置で印加した電圧と同じ検知用電圧を印加して、静電容量検出手段95で検出電圧Y(第二の検出結果)を検出した。検出電圧Yを検出後、検知用電圧をオフにした。
ここで、トナー残量80%の現像装置503を用い、検知用電圧としては、周波数50khz、振幅0.1kvの正弦波の交流電圧を印加した。画像形成装置8の使用環境は、温度23℃、湿度50%RHであった。
図23の(a)は、カートリッジCRが装置本体に正しく装着されていない状態である。カートリッジCRが装着されていない、もしくは正しく装着されていないと静電容量検出手段95の検出電圧は、検出電圧X、検出電圧Yともに基準電圧V0と略等しい値となる。
図23の(b)は、当接防止部材50が装着されたカートリッジCRが装置本体に装着されている状態である。当接離間部材71の当接位置での検出電圧Xは、当接防止部材50が装着されていて、感光ドラム20と現像剤担持体30が当接できないため、離間位置の検出電圧Yと略等しい値となる。当接離間部材71の離間位置での検出結果Yは、感光ドラム20と現像剤担持体30が離間されているため離間時の値となる。
図23の(c)は、当接防止部材50が取り外されたカートリッジCRが装置本体に装着されている状態である。当接防止部材50が取り外されているため、感光ドラム20と現像剤担持体30が当接・離間可能であるため、当接位置での検出電圧Xと離間位置での検出電圧Yは前述したように異なる値となる。
図24に本実施例における当接防止部材50の検知シーケンスチャートを示す。本体電源スイッチがオンになった時、または、カートリッジCRの装着を検知すべき任意のタイミングで、本シーケンスが開始される(Step400)。
まず、Step401において、当接離間部材71を駆動させて当接位置とする。次に、Step402において、検知用電圧を印加して、静電容量検出手段95で当接位置での検出電圧X(第一の検出結果)を検出する。続いて、Step403において、検出電圧Xとあらかじめ画像形成装置の記憶手段(不図示)に記憶された閾値A(第一の所定値)との比較を行う。
閾値Aは、下に示す式(1)の範囲の値であらかじめ決定しておく。ここで、Xmaxとは、使用環境や検出結果のバラツキなども考慮した、トナー残量0%〜100%の検出電圧Xの最大値である。
Xmax<A<V0・・・式(1)
例えば、図18に示される、X0%<A<V0、の範囲に設定される。
検出電圧Xが閾値A以上の場合、Step410に進み、検知用電圧をオフにした後、Step411にて、「プロセスカートリッジを正しく装着してください」など、カートリッジCRが正しく装着されていない旨を表示部85に表示し、使用者に報知する。
使用者はこの報知により、装着されていないカートリッジCRを装着する、あるいは正しく装着されていないカートリッジCRを正しく装着する。制御部10は再び本シーケンスを開始する(Step400)。
Step403において、検出電圧Xが閾値Aより小さい場合、Step404に進み、検知用電圧をオフにした後、Step305にて、当接離間部材71を駆動させ離間位置とする。次に、Step406において、検知用電圧を印加して、静電容量検出手段95で離間位置での検出電圧Y(第二の検出結果)を検出する。
続いて、Step407において、検出電圧Xと検出電圧Yとの差(X−Y)とあらかじめ画像形成装置8の記憶手段(不図示)に記憶された閾値B(第二の所定値)との比較を行う。閾値Bは、下に示す式(2)の範囲の値であらかじめ決定しておく。ここで、(X−Y)minとは、使用環境や検出結果のバラツキなども考慮した、トナー残量0%〜100%の検出電圧Xと検出電圧Yの差の最小値である。
0<B<(X−Y)min・・・式(2)
例えば、図18に示される、0<B<(X100%−Y100%)、の範囲に設定される。
検出電圧Xと検出電圧Yとの差(X−Y)が閾値B以下の場合、Step412に進み、検知用電圧をオフにする。その後、Step413にて、「当接防止部材を取り外してプロセスカートリッジを再装着してください」などカートリッジCRに当接防止部材50が装着されたままである旨を表示部85に表示し、使用者に報知する。
使用者はこの報知により、カートリッジCRを装置本体8Aから取り外し、当接防止部材を除去してから再装着する。制御部10は再び本シーケンスを開始する(Step400)。
検出電圧Xと検出電圧Yとの差(X−Y)が閾値Bより大きい場合、Step408に進み、検知用電圧をオフにした後、Step409に進み、当接離間部材71を駆動させ当接位置とする。その後、Step414に進み、プリントジョブを待つスタンバイ状態となる。スタンバイ状態にてプリントジョブを受信すると、プリントスタートし、画像形成を行う。
このように、カートリッジCRに着脱可能であって、現像剤担持体30と感光ドラム20との当接を防止する当接防止部材50の検知が可能である。
即ち、制御部10は、当接状態と離間状態とをとることが可能な場合は当接防止部材50がカートリッジCRに装着されていないと判断する。そして、当接状態と離間状態とをとることが不可能な場合は当接防止部材50がカートリッジCRに装着されていると判断する。
本実施例においては、現像剤担持体30に接続された静電容量検出手段95で、
1)カートリッジCRが正しく装着されていない状態と、
2)当接防止部材50が装着されたカートリッジCRが装着されている状態と、
3)カートリッジCRが装着されていて現像装置503が当接・離間動作が正常に行われる状態(当接防止部材50が脱離されたカートリッジCRが装着されている状態)と、
が判別でき、加えて、当接防止部材50の外し忘れ検知(当接防止部材検知)が可能となる。また、検知の際にカートリッジCRを駆動必要はない。
その他の構成および制御については実施例7もしくは実施例8と同一なので、同一の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
以上説明したように、現像剤担持体30に静電容量検出手段95が接続される画像形成装置においては、新たな部材、もしくは検知手段を追加することなく当接防止部材50の外し忘れ検知を行うことができる。また、検知の際にカートリッジCRを駆動する必要もない。
よって、より安価な画像形成装置の提供が可能になる。また、より小型の画像形成装置の提供が可能になる。また、より早い装置状態の検知が可能となり、よりユーザビリティの高い画像形成装置を提供することができる。
[実施例7から実施例9に関するその他の事項]
1)装置本体8Aの装着部8Bに装着されているカートリッジCRの現像装置503は常時は離間位置をホームポジションとして待機させて、画像形成時には当接位置に移動させ、非画像形成時には離間位置に戻す制御してもよい。また、常時は当接位置に位置させておく制御でもよい。
2)カートリッジCRの装着検知を行う際(Step303)には第一の検出結果を閾値Aと比較したが、第二の検出結果を用いて閾値と比較してもよい。この場合は、カートリッジCRの装着検知を行う際には、当接離間部材71を、感光ドラム20と現像剤担持体30を離間させる離間位置(第二の位置)に配置する。
3)また、実施例7から実施例9では、現像剤担持体30によって形成されるコンデンサの静電容量を検知した。しかし実施例4のように像担持体(感光ドラム20)によって形成されるコンデンサの静電容量を検知してもよい。
4)画像形成装置は実施例の電子写真方式に限られない。像担持体として静電記録誘電体や磁気記録磁性体を用いる静電記録方式や磁気記録方式などの画像形成装置とすることもできる。
[実施例7から実施例9の効果]
上述した実施例7から実施例9の効果をまとめると、以下のとおりである。各実施例では、画像形成装置8の装置本体8Aに対して、像担持体(感光ドラム20)と現像剤担持体30を有するプロセスカートリッジ(カートリッジCR)が着脱される構成であった。この場合には、画像形成装置が画像形成できるか否かを判断するには、プロセスカートリッジの装着状態を検知することが必要である。また、プロセスカートリッジが装着されている場合には、像担持体と現像剤担持体30が当接した状態と離間した状態を切り替えられることを確認することが望ましい。
そこで実施例7から実施例9では、カートリッジCRにコンデンサを設けている。このコンデンサは、現像剤担持体または感光ドラム20によって形成される。そして当接離間部材71が、感光ドラム20と現像剤担持体を当接させる位置(第一の位置)にあるときと、感光ドラム20と現像剤担持体30を離間させる位置(第二の位置)にある時の双方で、このコンデンサの静電容量に関する値を検知する。
この際の検知結果(第一の検出結果と第二の検出結果)を用いることで、カートリッジCRの装着状態および感光ドラム20と現像剤担持体30との当接と離間状態を検知することが可能である。すなわち以下の3つの状態を検知可能である。
(1)カートリッジCRが装着されていない第一の状態、
(2)カートリッジCRが装着されているが、感光ドラム20と現像剤担持体30が当接と離間を切り替えられない第二の状態、
(3)カートリッジCRが装着されていて、感光ドラム20と現像剤担持体30が当接と離間を切り替えられる第三の状態。
すなわち、簡易な構成で画像形成装置が画像形成可能であるか否かに関して、詳細な情報を得ることができる。
なお、当接離間部材71が第一の位置にあるときに検出手段(静電容量検出手段95)によって検出される値を第一の検出結果、当接離間部材が第二の位置にあるときに検出手段に検出される値を第二の値として、上記3状態を以下のように判別している。
第一の検出結果又は第二の検出結果と第一の所定値との大小関係によって、コンデンサが設けられたカートリッジが装着されているか否かを判断する。例えば実施例7では第一の検出結果である検出電圧Xが第一の所定値(閾値A)以上であるときに(1)の状態であると判断している。一方、検出電圧Xが閾値Aより小さいときには、(2)か(3)の状態であると判断している。
(2)か(3)の状態である場合には、更に第一の検出結果と第二の検出結果の比較することでどちらの状態であるかを判別する。例えば両者の差を求め、この差と第二の所定値との大小関係によって(2)か(3)の状態のいずれかを判別する。
実施例7では検出電圧Xと検出電圧Yの差の最小値(X−Y)minが閾値B以下のとき、つまり第一の検出結果と第二の検出結果の差が、『(X−Y)min≦B』を満たす範囲内にあるときには(2)の状態であると判断する。一方、この差(X−Y)minが閾値Bより大きいときは(3)の状態であると判断する。なお第一の検出結果と第二の検出結果の比較をするときに必ずしも両者の差を求める必要はない。例えば両者の比と、閾値の大小関係を比較するような構成であってもよい。