JP2013238631A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、設置姿勢が変更可能な画像形成装置において、いずれの姿勢でも定着部における加熱回転体の温度を精度よく検出する。
【解決手段】
横置きもしくは縦置きのいずれの姿勢で設置されても画像形成が可能なプリンター1であって、定着ローラー31を加圧ローラー32で押圧してなる定着ニップに記録シートSを通紙してトナー像を熱定着する定着部30と、定着ローラー31の表面温度を検出する温度センサー34と、定着ローラー31を加熱するヒーター33と、上記表面温度の検出結果に基づき、定着ローラー31を温調制御する制御部50とを備え、温度センサー34は、横置きもしくは縦置きのいずれの姿勢においても、鉛直方向において、定着ローラー31の回転軸よりも上方となる位置に配設されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、設置姿勢が変更可能な画像形成装置に関し、特に、当該画像形成装置における定着器内の温度検出に関する。
通常、プリンターなどの画像形成装置は、給紙トレイのシート載置面が略水平状態となるような姿勢(横置き姿勢)で使用される。その方が、給紙トレイに積載された記録シートが撓むことなく円滑に給紙できるからである。
しかし、例えば、一般家庭で使用するような場合には、設置スペースにそれほど余裕がないため、画像形成装置を縦置きにして使用できれば便利である。
そこで、近年では、設置スペースに応じ、横置き・縦置きのいずれでも使用が可能な画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開平8−314333号公報 特開2009−180917号公報
しかしながら、特に、電子写真方式の画像形成装置において、これを縦置きにして使用すると、以下に示すように、その定着器における定着ローラーなどの加熱回転体の温度を精度よく制御できないおそれがある。
一般に、加熱回転体の周面の温度は、当該周面を傷つけないように非接触状態で、かつ、周面に近接配置されたサーミスターなどの温度センサーによって検出されており、その検出結果に基づいて加熱回転体用のヒーターをON・OFF制御することにより、当該加熱回転体周面が所定の温度に維持されるようになっている。
ところが、このような非接触型の温度センサーでは、主として加熱回転体と温度センサーとの間に介在する空気の自然対流に伴う熱伝導により温度を検出する構成となっているため、画像形成装置の設置姿勢を変更して、加熱回転体に対する温度センサーの相対的な位置を変化させると、加熱回転体と温度センサー間の対流状況も変化して、温度センサーの検出結果に差異が生じることがある。
例えば、加熱回転体の回転中心から鉛直方向上方の位置に温度センサーを設けた場合には、検出結果はあまりばらつかずに安定しているため、検出精度も高くなっているが、加熱回転体の回転中心から水平方向の位置に温度センサーを設けた場合には、検出結果にばらつきが生じて検出精度が低下する。
そのため、横置き姿勢において、温度センサーの検出結果に基づいて的確に加熱回転体の温度制御を行うように設計しても、縦置き姿勢にすると、必ずしも望ましい温度に制御することができないという問題が生じてしまう。
そこで、縦置き姿勢においては、温度センサーの出力値を加熱回転体の表面温度に換算する補正係数の値を見直すことで対応することも考えられるが、温度センサーの配置によっては対応しきれないものがある。
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたものであって、設置姿勢が変更可能な画像形成装置において、設置姿勢が変更されても、定着器における加熱回転体の表面温度を精度よく検出し、的確な温度制御が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、装置が第1の姿勢で設置された場合と、第1の姿勢と水平方向に対する傾きが異なる第2の姿勢で設置された場合のいずれの場合でも画像形成が可能な画像形成装置であって、加熱回転体の周面に加圧部材を押圧して定着ニップを形成し、当該定着ニップに通紙される記録シート上のトナー像を熱定着する定着手段と、前記加熱回転体の表面温度を非接触で検出する温度検出手段と、前記加熱回転体を加熱する加熱手段と、前記温度検出手段の検出結果に基づき、加熱手段を制御して加熱回転体の温度を制御する制御手段とを備え、装置が第1の姿勢および第2の姿勢のいずれにあるときも、前記温度検出手段による測定位置が、鉛直方向において、前記加熱回転体の回転中心よりも上方となっていることを特徴とする。
また、前記温度検出手段は、1つの温度計測部を有し、前記第2の姿勢の、第1の姿勢からの傾き角をθ[°]とすると、第1の姿勢において、前記加熱回転体の回転軸方向からみたとき、前記加熱回転体の回転中心を通って鉛直方向上方に伸びる直線に対して、第1から第2の姿勢に傾ける方向と反対方向に90[°]−θ/2[°]だけ傾いた位置に、前記温度計測部の位置が決定されていることが望ましい。
さらに、前記θの大きさは、90[°]であることが望ましい。
もしくは、前記温度検出手段は、装置が第1の姿勢にあるときと、第2の姿勢にあるときとで、前記加熱回転体の表面温度の検出誤差が所定の範囲内となるように、第1と第2の姿勢の変更に応じて加熱回転体に対する前記測定位置を第1と第2の位置に変更する変更手段を備えることが望ましい。
そして、前記温度検出手段は、第1の姿勢のときに加熱回転体に対して第1の位置にある非接触型の第1の温度センサーと、第2の姿勢のときに加熱回転体に対して第2の位置にある非接触型の第2の温度センサーと、現在の設置姿勢が第1と第2のいずれの姿勢であるかに関する情報を取得する取得手段とを備え、前記変更手段は、前記取得手段で取得した設置姿勢に関する情報に基づき、第1と第2の温度センサーのうち対応する位置にある温度センサーを選択することにより、前記測定位置を変更することが望ましい。
もしくは、前記温度検出手段は、非接触型の温度センサーであって、前記変更手段は、装置の第1の姿勢から第2の姿勢への変更に伴い、前記温度センサーを、前記第1の位置から、第2の位置まで移動する移動手段を有することが望ましい。
また、前記移動手段は、前記温度センサーを、第1の位置から第2の位置まで移動可能に保持する保持部材と、筺体の側面であって、第2の姿勢に変更したときに床面に対向する側面から、外方に進退可能に突出する突出部材と、装置を第2の姿勢に姿勢変更する際に、前記突出部材が床面に当接して前記筺体内に後退するときの移動を、前記温度センサーが第1の位置から第2の位置に移動する動作に変換して前記保持機構に伝達するリンク機構とを備えることが望ましい。
ここで、第1および第2の姿勢共通の補正テーブルを記憶する記憶手段を備え、前記制御手段は、前記補正テーブルと、前記温度検出手段の検出結果とにもとづいて、前記加熱回転体の表面温度を推定することが望ましい。
もしくは、第1の姿勢に対応する第1の補正テーブルと第2の姿勢に対応する第2の補正テーブルとを記憶する記憶手段と、現在の設置姿勢が第1と第2のいずれの姿勢であるかに関する情報を取得する取得手段とを備え、前記制御手段は、第1および第2の補正テーブルのうち現状の姿勢に対応するもの選択し、当該選択された補正テーブルと前記温度検出手段の検出結果とにもとづいて、前記加熱回転体の表面温度を推定することが望ましい。
また、ユーザーから装置の設置姿勢についての入力を受け付ける受付手段を備え、前記取得手段は、前記受付手段を介して、現在の設置姿勢が第1と第2のいずれの姿勢であるかに関する情報を取得することが望ましい。
もしくは、装置本体の設置姿勢を検出する姿勢検出手段を備え、前記取得手段は、前記姿勢検出手段の検出結果を、現在の設置姿勢が第1と第2のいずれの姿勢であるかに関する情報として取得することが望ましい。
前記温度検出手段による測定位置が、第1と第2のいずれの姿勢においても、対流が滞りにくい位置、即ち、鉛直方向において、前記加熱回転体の回転軸よりも上方となる位置に配設されているので、加熱回転体および上記測定位置間の熱の移動がスムーズに行われて、比較的安定した検出結果が得られる。
これにより、温度検出手段により検出される温度は、加熱回転体の温度がより反映されたものとなるので、加熱回転体定着ローラーの表面温度を精度よく検出することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置が、横置き姿勢で設置されている状態を示す概略断面図である。 上記画像形成装置が、縦置き姿勢で設置されている状態を示す概略図である。 上記画像形成装置の制御部とこれの制御対象とを示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置が、横置き姿勢で設置されている状態を示す概略断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置が、縦置き姿勢で設置されている状態を示す概略断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る制御部において実行される温調制御の実行手順を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置が、横置き姿勢で設置されている状態を示す概略部分断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置が、縦置き姿勢で設置されている状態を示す概略部分断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置の制御部において実行される温調制御の実行手順を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施の形態に係る画像形成装置が、横置き姿勢で設置されている状態を示す概略部分断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る定着部周辺の構成を示す斜視図である。 本発明の第4の実施の形態に係る画像形成装置が、縦置き姿勢で設置されている状態を示す概略断面図である。 (a)および(b)は、本発明の変形例に係る画像形成装置を、それぞれ横置き姿勢および縦置き姿勢で設置した状態を示す概略部分断面図である。
(1)第1の実施の形態
以下、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。
(1−1)画像形成装置の構成
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるプリンターの構成を説明するための概略断面図である。
プリンター1は、直方体状の筐体2を有しており、この筐体2の面2aを下向きにして給紙トレイ21が水平に近い状態で設置する姿勢(以下、「横置き姿勢」という。)と、この面2aに直交すると共に、面2aよりも面積が小さい面2bを下向きにして設置する姿勢(以下、「縦置き姿勢」という。)との間で択一的に設置可能な構成となっており、図1では、横置き姿勢の状態を示している。
つまり、ユーザーは、プリンター1の設置姿勢として、通常、横置き姿勢を選択し、また、設置スペースが限られている場合には、縦置き姿勢を選択することができる。
プリンター1は、矢印Aで示す方向に回転駆動される円筒状の感光体ドラム12を有している。
この感光体ドラム12の周囲には、電子写真方式によってトナー画像を記録シート上に形成するための帯電器14、光学部15、現像器16、転写ローラー17が、感光体ドラム12の回転方向(同図の反時計回り)に沿って、この順番で設けられている。
このプリンター1では、制御部50において、外部機器から入力される画像データがレーザダイオードの駆動信号に変換され、その駆動信号によって、光学部15に設けられたレーザダイオードが駆動される。
これにより、光学部15からは画像データに応じたレーザ光Lが感光体ドラム12の表面に照射される。
感光体ドラム12の表面は、予め帯電器14によって所定電位に帯電されており、光学部15から照射されるレーザ光Lが露光されることより、感光体ドラム12の表面上に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像器16において、トナーによって現像されてトナー画像が形成される。
感光体ドラム12の下方には、給紙部20が設けられており、当該給紙部20は、用紙、OHPシート等の複数枚の記録シートS(図中の二点鎖線部分)が積載状態で収容される給紙トレイ21とピックアップローラー25などからなる。
ピックアップローラー25によって、給紙トレイ21内の複数の記録シートSのうちの最上位にあるものが1枚ずつ繰り出されて感光体ドラム12に向けて搬送経路26に送り出される。
なお、給紙トレイ21の昇降板22aは、カム機構などの不図示の駆動機構により昇降する構成となっており、記録シートSを搬送経路26に繰り出す際に上昇して、最上位の記録シートをピックアップローラー25に押し当てる。
矢印B方向に回転する転写ローラー17が、感光体ドラム12の周面に圧接した状態で配されており、これにより転写ニップ27が形成される。搬送経路26を通過した記録シートSは、転写ニップ27内に搬送される。
記録シートSが転写ニップ27を通過する間に、転写ローラー17に印加された転写電圧によって発生する転写電界の作用により、感光体ドラム12上に担持されたトナー像が記録シートS上に転写される。
トナー画像が記録シートSに転写された後の感光体ドラム12の表面は、不図示のクリーニングブレードによってクリーニングされる。
一方、トナー画像が転写された記録シートSは、定着部30へ搬送される。
定着部30は、並行配置された定着ローラー31および加圧ローラー32を有しており、定着ローラー31と加圧ローラー32間で定着ニップ部Nが形成される。
定着ローラー31は、不図示の駆動源により矢印C方向に回転駆動されるものであって、制御部50により温調制御されるヒーター33(ハロゲンランプ)が内蔵されており、これによって、定着ニップ部Nを通過する直前の表面温度(以下、単に「表面温度」という。)が目標の温度となるように加熱される構成となっている。
加圧ローラー32は、定着ローラー31が回転駆動されるのに伴い、矢印D方向に従動回転する。
なお、加圧ローラー32が回転駆動され、定着ローラー31がこれに伴い従動回転する構成であっても構わない。
さらに、定着部30には、定着ローラー31の長手方向(紙面奥行方向)の中央部に、当該定着ローラー31の表面温度を検出する温度センサー34が設けられている。
ここで、温度センサー34は、サーミスターや熱電対などの比較的安価な熱型の温度検出素子であって、定着ローラー31の表面を傷つけないように、当該表面から僅かに離れた位置に設けられており、対流する空気の熱伝導により定着ローラー31の表面温度を検出している。
第1の実施の形態では、温度センサー34として、例えば、NTCサーミスターを用いている。
記録シートSに転写された未定着のトナー像は、定着ニップ部Nを通過する間に、定着ローラー31によって所定の温度で加熱・加圧されて、記録シートSに定着される。
定着ニップ部Nを通過した記録シートSは、定着ローラー31および加圧ローラー32によって排紙ローラー40へ搬送され、排紙ローラー40によって排紙トレイ41上に排出される。
なお、排紙トレイ41の下流側には、着脱式の延長トレイ41aが装着されており、記録シートSが大サイズであっても、先端が垂れ下がらないようになっている。
制御部50は、プリンター1の各部を統括的に制御してプリントジョブを円滑に実行させる。その制御の一環として、温度センサー34によって定着ローラー31の表面温度を計測しつつ、ヒーター33をON・OFFして、目標温度に近づける温調制御を実行する。
図2は、プリンター1の縦置き姿勢の状態を示す概略断面図であり、筐体2の面2bが下向きとなるように載置されている。
ユーザーは、プリンター1を縦置き姿勢で設置する際、支軸22を中心にして、給紙トレイ21を矢印E方向に揺動させる。
これにより、給紙トレイ21の載置面21aが、鉛直方向から少し傾斜してやや上向きとなり、記録シートSを給紙トレイ21に立て掛けるようにして載置することが可能となる。
また、給紙トレイ21の幅方向(紙面奥行方向)両端には、1対のガイド板21bが設けられており、記録シートSの幅方向における側縁を揃えて案内する共に、縦置き姿勢における給紙トレイ21の外側への揺動により筐体2との間に生じた隙間を塞いで、記録シートSが脱落しないように構成されている。
ここで、ピックアップローラー25およびこれに連結された不図示の駆動源は、給紙トレイ21と一体となって揺動する構成となっており、プリンター1の設置姿勢が変更されても、ピックアップ時において、ピックアップローラー25が最上位の記録シートSに接触可能な構成となっている。
また、ユーザーは、プリンター1を縦置き姿勢で設置する際、同図に示すように、延長トレイ41a(図1参照)を取り外し、別の延長トレイ42を筐体2に取着する。
これにより、鉛直方向から少し傾いたやや上向きの載置面42aが形成されるため、排紙された記録シートSを積載していくことができる。なお、延長トレイ41aを、縦置きの際にも使用できるような形状に設計しておけば、別途延長トレイ42を備える必要がなくなり、備品のコストを低減することができる。
第1の実施の形態における温度センサー34は、温度検出感度が高い部分(以下、「感熱部」という。)34aを有している。
横置き姿勢における温度センサーの感熱部34a位置は、図1に示すように、定着ローラー31の回転中心を通って鉛直方向上方に伸びる直線に対して、横置きから縦置き姿勢するためにプリンター1を傾ける方向と反対方向に45[°]だけ傾いた位置に設けられている。
定着ローラー31表面から感熱部34aまでの最小距離D1は、2.3[mm]±0.3[mm]となるように設定されている(図1参照)。
このD1の値は、組み付け誤差等に起因する感熱部34aと定着ローラー31の表面との接触を防止して、当該表面に傷などが生じないようにしつつ、定着ローラー31との表面温度を精度よく検出することができるように設定された値である。
ここで、プリンター1を横置き姿勢から縦置き姿勢に変更するには、面2aと面2bとが直交しているため、横置き姿勢のプリンター1を90[°]傾けることになる。
すると、図1に示す横置き姿勢において、定着ローラー31の軸心方向の紙面手前側から奥側を見たとき、当該定着ローラー31の回転中心を通って鉛直方向上方に伸びる直線(以下、単に「鉛直線」ということもある。)に対して左側45[°]の位置にあった感熱部34aは、縦置き姿勢では、図2に示すように、同鉛直線の右側45[°]の位置に移動し、横置き姿勢における位置と当該鉛直線に対し対称の位置になる。
定着ローラー31の加熱に起因する自然対流の様子は、定着ローラー31の軸方向から見たときに、上記鉛直線を挟んでほぼ左右対称と解されるから、定着ローラー31の表面から温度センサー34に伝わる熱量は、横置き姿勢および縦置き姿勢の場合において、ほぼ同等であると評価できる。
(1−2)制御部の構成
図3は、プリンター1における制御部50の構成と、これの制御対象となる主構成要素との関係を示す図である。
制御部50は、主な構成要素として、CPU150、通信インターフェース(I/F)部151、RAM152、ROM153、EEPROM154、補正テーブル記憶部155を備えている。
通信I/F部151は、LANカード、LANボードといったLANに接続するためのインターフェースである。
RAM(Random Access Memory)152は、揮発性のメモリーであって、CPU150におけるプログラム実行時のワークエリアとなる。
ROM(Read Only Memory)153には、プリントの実行に関連する制御を行うための制御プログラムなどが格納されている。
EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)154は、不揮発性のメモリーであって、CPU150のデータ保存エリアとなる。
補正テーブル記憶部155は、EEPROMからなり、後述の温調制御に用いる補正テーブルを記憶している。
CPU(Central Processing Unit)150は、ROM153に格納されている制御プログラムを実行することにより、ウォーミングアップやプリントの実行などを実施する。
その際、CPU150は、定着部30の温度センサー34から出力される信号にもとづき、定着ローラー31内に設けられたヒーター33をON・OFFして、定着ローラー31の表面温度を目標の温度に調整する以下のような温調制御を実施する。
(1−3)温調制御の内容
以下、第1の実施の形態に係る、制御部50における定着ローラー31の温調制御について説明する。
CPU150は、ウォーミングアップやプリントの実行時など、温度センサー34の検出結果を用いて定着ローラー31の表面温度を取得し、当該定着ローラー31の温調制御を実行する。
ここで、定着ローラー31の表面温度は、以下の理由により、温度センサー34の検出結果と補正テーブルとを用いて求めている。
上述のように温度センサー34は、非接触型であるため、実際の定着ローラー31の表面温度そのものを検出しているのではなく、実際には、自然対流により感熱部34aへと運ばれる空気の温度を検出している。
そこで、あらかじめ、横置き姿勢の状態で実際の定着ローラー31の表面温度の検出値と温度センサー34の検出値とを実験により取得して、温度センサー34の検出値ごとに、それらを実際の定着ローラー31の表面温度に換算するための補正係数を求めておき、当該温度センサー34の検出値と補正係数を対応させた補正テーブルを作成し、これを補正テーブル記憶部155に格納している。
ところで、自然対流の下では、熱せられた空気が下方から上方に向かって流れるため、感熱部34aの位置が、定着ローラー31の直上から周方向に逸れば逸れるほど、定着ローラー31の加熱により生じる自然対流の主流から離れてしまい対流が滞り易くなる。
その結果、温度センサー34の検出値に定着ローラー31の表面温度が反映され難くなる一方、雰囲気温度の影響が大きくなる。
したがって、定着ローラー31の回転軸方向から見たとき、定着ローラー31の回転中心を通って鉛直方向上方に伸びる直線に対する感熱部34aの配置角度(以下、単に「配置角度」という。)が大きいほど、実際の定着ローラー31の表面温度と温度センサー34の検出値との相関関係が薄くなる。
その結果、定着ローラー31の表面温度が変化しても、温度センサー34の検出結果があまり変化しなかったり、反対に表面温度が同じであっても、雰囲気温度の影響により温度センサー34の検出結果が大きく変化するような事態も発生し、とても補正テーブルでは補正しきれなくなる。
定着ローラー31の温度制御においては、安定した定着性を維持するため、許容される表面温度の検出誤差が+−5%以内であることが望ましい。
そこで、発明者らは、感熱部34aと定着ローラー31表面との最小距離D1を維持しつつ、上記配置角度を順次変化させながら、実際の定着ローラー31の表面温度と温度センサー34の検出値との相関を調べる試験を実施して、補正テーブルにより上記表面温度の推定が可能な範囲を特定した。
その結果、定着ローラー31の回転中心を通る水平面上およびこれよりも下方に感熱部34aが存在すると、温度センサー34の検出値は、定着ローラー31の表面温度を反映するのは難しくなり、実際の定着ローラー31の表面温度とのばらつきが生じてしまうため、もはや検出誤差を上記誤差範囲内に収束可能な補正テーブルが作るのが困難であることが判明した。
このため、定着ローラー31の表面温度を精度よく検出するためには、横置き姿勢および縦置き姿勢のいずれにおいても、感熱部34aを定着ローラー31の回転中心を通る水平面よりも上方に配置する必要がある。
この点、第1の実施形態における感熱部34aの位置、即ち、定着ローラー31の回転中心を通って鉛直方向上方に伸びる直線に対して45[°]傾いた位置では、検出誤差を定着品質の維持に必要な検出誤差範囲内に収めることができた。
また、本実施の形態では、横置きおよび縦置き姿勢における感熱部34aの位置が、定着ローラー31の回転中心を通る鉛直面を挟んで、面対称の位置となる。
これにより、各姿勢における感熱部34a周辺では、対流状況などを含めた熱伝導条件が略等しくなっているため、各姿勢共通の補正テーブルを用いて、定着ローラー31の表面温度を精度よく推定することができる。
また、各姿勢共通の補正テーブルを用いるため、補正テーブルを格納する補正テーブル記憶部155の記憶容量の節約が可能となる。
(2)第2の実施の形態
(2−1)画像形成装置の構成
以下、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるプリンターについて、図面を参照しながら説明する。
第2の実施の形態に係るプリンターの構成は、基本的に上記第1の実施の形態に係るプリンター1と共通するが、第2の実施の形態に係るプリンター200では、新たに姿勢検出部51が追加され、これの検出値が制御部50に出力される点、また、温度センサー34の設置位置が変更されており、さらに、補正テーブルの数が2つになっている点で、第1の実施の形態とは異なる。
以下では、共通の構成部分には第1の実施の形態と同じ符号を付して、その説明は省略するか簡略するにとどめ、相違する点を中心に説明する。
図4は、第2の実施の形態に係るプリンター200を横置き姿勢で設置した状態の概略断面図である。
同図に示すように、プリンター200は、設置姿勢を検出する姿勢検出部51を備えている。
姿勢検出部51は、筐体2の面2aから外方に突出するアクチュエーター51aを有するプッシュスイッチであり、当該アクチュエーター51aが設置面に当接して押し上げられることにより、現在横置き姿勢であることを示す信号を制御部50に出力する。
また、定着部130の温度センサー34は、横置き姿勢時において、図4に示すように、定着ローラー31の幅方向の中央部において、これの回転中心を通って鉛直方向上方に伸びる直線に対して、同図の反時計方向にθ1[°]傾いた位置に温度センサー34の感熱部34aが位置し、また、縦置き姿勢において、図5に示すように、定着ローラー31の幅方向の中央部において、これの回転中心を通って鉛直方向上方に伸びる直線に対して、上記回転中心から同図の時計方向にθ2[°]傾いた方向に温度センサー34の感熱部34aが位置するように設けられている。
なお、横置き姿勢から縦置き姿勢への姿勢変更に要する傾き角が90[°]となっているため、θ1[°]+θ2[°]=90[°]となる。
また、上述のように、定着ローラー31の表面温度を精度よく検出するためには、横置き姿勢および縦置き姿勢のいずれにおいても、感熱部34aを定着ローラー31の回転中心を通る水平面よりも上方に配置する必要がある。
以上の条件を満足するためには、θ1[°]およびθ2[°]の値は、いずれも90[°]未満であると共に、負の値は取り得ない。
なお、第2の実施形態では、θ1[°]の値は、θ2[°]の値よりも大きいものとする。
制御部50の構成は、基本的に上記第1の実施の形態に係るプリンター1と共通するが、横置き姿勢と縦置き姿勢とで、定着ローラー31の回転中心を通って鉛直方向上方に伸びる直線に対する感熱部34aの位置が異なっていることから、補正テーブル記憶部155に、第1補正テーブルおよび第2補正テーブルの2つを記憶している点が、第1の実施の形態と異なる。
(2−2)温調制御の内容
以下、第2の実施の形態に係る、制御部50における定着ローラー31の温調制御について、図6のフローチャートに基づき説明する。
CPU150は、定着ローラー31を温調の開始のタイミングとなるまで待機し(ステップS11:NO)、プリンター200の電源投入直後や、プリントジョブを受け付けた場合などに、温調開始のタイミングであると判定して(ステップS11:YES)、姿勢検出部51の出力信号を現在のプリンター200の設置姿勢に関する情報として取得する(ステップS12)。
当該情報によりプリンター200の設置状態が横置き姿勢となっていると判定された場合には(ステップS13:YES)、第1補正テーブルを温度換算用の補正テーブルとして選択し(ステップS14)、温度センサーの検出値を取得する(ステップS16)。
また、プリンター200の設置状態が縦置き姿勢となっている場合(ステップS13:NO)、第2補正テーブルを温度換算用の補正テーブルとして選択し(ステップS15)、温度センサーの検出値を取得する(ステップS16)。
そして、CPU150は、このように選択された補正テーブルと温度センサーの検出値とを用いて、定着ローラー31の表面温度を推定する(ステップS17)。
ここで、第1補正テーブルと第2補正テーブルについて説明する。
第1補正テーブルは、横置き姿勢時において、温度センサー34の検出値を定着ローラー31の表面温度に換算するために、以下のように最適化されたテーブルであり、また、第2補正テーブルは、設置姿勢が縦置き姿勢において、温度センサー34の検出値を定着ローラー31の表面温度に換算するために、以下のように最適化されたテーブルである。
つまり、本実施の形態では、温度センサー34は、図4および図5に示すように、縦置き姿勢の場合の方が横置き姿勢の場合よりも、感熱部34aへと運ばれる気流の上流側、即ち、感熱部34aへの下方側において定着ローラー31が占める割合が大きいので、より定着ローラー31の表面温度を反映した温度を検出することができる。
反対に横置き姿勢の場合には、上述とは逆の傾向となり、温度センサー34による検出結果は、縦置き姿勢のときよりも、より雰囲気温度による影響を受け易い。
第1および第2補正テーブルは、このように設置姿勢毎に対流条件が異なることにより生じる温度検出誤差を補正し、定着ローラー31の温調制御が問題なく行える範囲(+−5[%])に納まるように、それぞれ各検出値に対応する補正係数を見直したものである。
続いて、CPU150は、上記補正テーブルにより推定された定着ローラー31の表面温度t1が、目標温度t0より低い場合には(ステップS18:YES)、ヒーター33をONにして定着ローラー31を加熱し(ステップS19)、表面温度t1が、目標温度t0より高い場合には(ステップS18:NO)、ヒーター33をOFF(ステップS20)にする。
そして、温調終了か否かを判定する(ステップS21)。例えば、プリントジョブが終了したとき、もしくは、プリントジョブが終了してから所定の待機時間が経過したときに、CPU150により温調終了と判定される。
温調終了ではないと判定された場合には(ステップS21:NO)、上記ステップS16〜S21までの動作が繰り返し実行される。
温調終了であると判定された場合には(ステップS21:YES)、そのときのヒーター33の状態を確認し、ON状態であれば、OFF状態にした後(ステップS22)、温調制御を終了する。
以上のように、第2の実施の形態では、プリンター200の設置姿勢に応じて、定着ローラー31の回転中心を通って鉛直方向上方に伸びる直線に対する感熱部34aの位置が変わったとしても、第1補正テーブルと第2補正テーブルとを使い分けることにより、定着ローラー31の表面温度を精度よく検出することができる。
(3)第3の実施の形態
(3−1)画像形成装置の構成
以下、本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるプリンターについて、図面を参照しながら説明する。
第3の実施の形態に係るプリンターの構成は、基本的に上記第2の実施の形態に係るプリンター200と共通するが、第3の実施の形態に係るプリンター300では、定着ローラー31の温調制御に用いる温度センサーが2つ設けられており、これらの検出値が制御部50に出力される点、および、制御部50により実行される制御の内容が第2の実施の形態における制御の内容から若干変更されている点で、第2の実施の形態とは異なる。
さらに、補正テーブル記憶部155に第3補正テーブルおよび第4補正テーブルが記憶されている点で、第2の実施の形態とは異なる。第3補正テーブルおよび第4補正テーブルの内容については後述する。
以下では、共通の構成部分には第2の実施の形態と同じ符号を付して、その説明は省略するか簡略するにとどめ、相違する点を中心に説明する。
図7は、第3の実施の形態に係るプリンター300を横置き姿勢で設置した状態を示す概略部分断面図であり、また、図8は、第3の実施の形態に係るプリンター300を縦置き姿勢で設置した状態を示す概略部分断面図である。
図7に示すように、プリンター300は、定着部30において、定着ローラー31の表面温度を検出する第1温度センサー134と第2温度センサー135とを備えている。
第1温度センサー134および第2温度センサー135は、第1の実施の形態における温度センサー34と同一の構成であり、それぞれ感熱部134aおよび135aを有している。
横置き姿勢において、感熱部134aは、図7に示すように、定着ローラー31の幅方向の中央部において、これの回転中心を通る鉛直線上であって、かつ、定着ローラー31の真上の位置(以下、単に、「ローラー中央真上の位置」という。)に配されている。
また、縦置き姿勢において、感熱部135aは、図8に示すように、ローラー中央真上の位置に配されている。
なお、第1の実施の形態における温度センサー34と同様に理由により、感熱部134aから定着ローラー31表面までの最小距離D2と、感熱部135aから定着ローラー31表面までの最小距離D3が、いずれも2.3[mm]±0.3[mm]となるように設定されている(図7参照)。
(3−2)温調制御の内容
以下、第3の実施の形態に係る、制御部50における定着ローラー31の温調制御について、図9のフローチャートに基づき説明する。
先ず、CPU150は、定着ローラー31を温調の開始のタイミングとなるまで待機し(ステップS31:NO)、プリンター300の電源投入直後や、プリントジョブを受け付けた場合などに、温調開始のタイミングであると判定して(ステップS31:YES)、姿勢検出部51の出力信号を現在のプリンター300の設置姿勢に関する情報として取得する(ステップS32)。
当該情報によりプリンター300の設置状態が横置き姿勢となっていると判定された場合には(ステップS33:YES)、第1温度センサー134を温調制御用の温度センサーとして選択すると共に、第3補正テーブルを温調制御用の補正テーブルとして選択する(ステップS34)。
そして、CPU150は、選択された第1温度センサー134の検出値と選択された第3補正テーブルとを用いて、定着ローラー31の表面温度を推定する(ステップS36)。
また、プリンター300の設置状態が縦置き姿勢となっている場合(ステップS33:NO)、第2温度センサー135を温調制御用の温度センサーとして選択すると共に、第4補正テーブルを選択し(ステップS35)、選択された第2温度センサー135の検出値と選択された第4補正テーブルとを用いて、定着ローラー31の表面温度を推定する(ステップS36)。
なお、横置き姿勢・縦置き姿勢のそれぞれにおいて、選択された温度センサーの感知部が、定着ローラー31の直上に位置するため、自然対流の条件は共通であり、共通の補正テーブルを使用することも可能である。
しかし、本実施の形態ではさらに表面温度の推定精度を高めるため、以下の要因を考慮して第3、第4の補正テーブルを作成している。
すなわち、定着品質に直接影響するのは、定着ニップ部Nに到る直前の定着ローラー31の表面温度であると解されるところ、温度センサーとの定着ニップ部Nとの相対的位置の相違により、定着ニップ部Nを通過後、温度センサーによる測定位置に達するまでの時間が相違し、その間の温度変化量も多少なりとも異なってくる。
そこで、横置き姿勢と縦置き姿勢のそれぞれについて最適な補正テーブルを求めて、第3と第4の補正テーブルとしているのである。
続いて、CPU150は、上述のように求められた定着ローラー31の表面温度t1が、目標温度t0よりも低い場合には(ステップS37:YES)、ヒーター33をON状態にして定着ローラー31を加熱し(ステップS38)、表面温度t1が目標温度t0より高い場合には(ステップS37:NO)、ヒーター33をOFF状態にする(ステップS39)。
そして、温調終了か否かを判定する(ステップS40)。例えば、プリントジョブが終了したとき、もしくは、プリントジョブが終了してから所定の待機時間が経過したときに、CPU150により温調終了と判定される。
温調終了ではないと判定された場合には(ステップS40:NO)、上記ステップS36〜S40までの動作が繰り返し実行される。
温調終了であると判定された場合には(ステップS40:YES)、そのときのヒーター状態を確認し、ON状態であれば、OFF状態にした後(ステップS41)、温調制御を終了する。
以上のように、第3の実施の形態では、第3および第4補正テーブルは、それぞれ第1温度センサー134および第2温度センサー135と定着ニップ部Nとの相対的位置の違いに起因する温度変動分を見込んで、定着ニップ部Nを通過する直前の定着ローラー31の表面温度を推定できるように作成されている。
さらに、第1温度センサー134および第2温度センサー135は、それぞれの感熱部134aおよび135aが、対応する姿勢において、定着ローラー31により熱せられた上昇気流の主流の通過するローラー中央真上の位置に設けられている。
このため、定着ローラー31の表面温度のより高精度な検出が可能となる。
(4)第4の実施の形態
(4−1)画像形成装置の構成
以下、本発明の第4の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるプリンターについて、図面を参照しながら説明する。
第4の実施の形態に係るプリンターの構成は、基本的に上記第3の実施の形態に係るプリンター300と共通するが、第4の実施の形態に係るプリンター400では、定着ローラー31の温調制御用の温度センサーとして、定着ローラー31の外周面に沿って移動可能なものが1つのみ設けられている点がプリンター300とは異なる。
以下では、共通の構成部分には第1の実施の形態と同じ符号を付して、その説明は省略するか簡略するにとどめ、相違する点を中心に説明する。
図10は、第4の実施の形態に係るプリンター400の定着部30における要部構成を示す部分概略断面図である。同図では、プリンター400を横置き姿勢で設置した状態を示している。
同図に示すように、定着ローラー31の温調制御用の温度センサーとして、温度センサー36が1つのみ設けられている。
この温度センサー36は、第1の実施の形態における温度センサー34と同一の構成であり、感熱部36aを有している。
図11は、温度センサー36の支持機構230構造を説明する斜視図である。
同図に示すように、支持機構230は、定着ローラー31と並行に配された支持板231を、その両端部を90[°]折り曲げてなる側板部231a、231bを介して、定着ローラー31の回転軸31aに回転自在に軸支されている。
温度センサー36は、定着ローラー31の回転軸方向に沿って設けられた支持板231の長手方向の中央部に固定されている。
そして、側板部231aの上記軸支位置から少し離れた位置に突設されたピン231cを介してロッド232の端部が軸支され、ロッド232と支持板231とでリンク機構が構成される。
ロッド232は、側板部231aに軸支されている端部とは反対側の端部232aが、筐体2の面2bに設けられた貫通孔2cから外方に突出している。
さらに、ロッド232と筐体2の面2b側との間に、引張ばね233が留め掛けられており、これによりロッド232は、貫通孔2cから外方に突出するように付勢される。
ロッド232の途中には、鍔状のストッパー部232bが設けられており、当該ストッパー部232bが、筐体2の内側に当接することにより、ロッド232の外側の端部232aの突出量が規制される。
横置き姿勢の状態で、ロッド232がこの位置で停止することにより、図11に示すように支持板231に固定された温度センサー36の感熱部36aが、丁度定着ローラー31のローラー中央真上の位置に存するようになっている。
ここで、プリンター400の設置姿勢を横置きから図12に示すように縦置きに変更すると、面2b側が筐体2の底面となるため、ロッド232の面2bから外側の端部232aが設置面に当接し、引張ばね233の付勢力に抗して矢印Fで示す方向に押し込まれる。
これにより、支持板231は、矢印Gで示す方向に揺動すると共に、これに保持された温度センサー36が定着ローラー31の外周面に沿って移動することとなる。
そして、プリンター400を縦置き姿勢で設置した状態で、温度センサー36の感熱部36aが、ローラー中央真上の位置に移動するように、支持機構230の各部材の寸法、軸支位置が設定されている。
なお、本実施の形態でも定着ローラー31表面から温度センサー36の感熱部36aまでの最小距離は、いずれの設置姿勢であっても、第1の実施の形態と同様に、2.3[mm]±0.3[mm]に設定されている。
なお、プリンター400を縦置き姿勢から横置き姿勢に戻した場合、ロッド232は、設置面から離れて装置内部に押し込まれる力が解除され、引張ばね233の作用によって筐体2から飛び出す。
これより、支持板231が矢印H方向に戻り、これに固定された温度センサー36も点線で示す位置に復帰する。
以上のように、第4の実施の形態に係るプリンター400では、1つの温度センサー36の感熱部36aが、設置姿勢に応じて、定着ローラー31により熱せられた上昇気流の主流の通過するローラー中央真上の位置へと移動するので、第3の実施の形態に係るプリンター300のように、温度センサーを2つ設ける必要もなく、また、温度サンサーを選択する必要もない。
なお、本実施の形態における温調制御の実行手順も、第3の実施の形態における図9のフローチャートとほぼ同じであるが、ステップS34、S35において、第1と第2温度センサーを選択する処理は不要となる。
本実施の形態でも、第3の実施の形態に係るプリンター300と同様、各設置姿勢において定着ローラー31の表面温度をより高精度に検出することが可能となる。
<変形例>
本発明は、上述のような実施の形態に限られるものではなく、次のような変形例も実施することができる。
(1)上記第1の実施の形態では、プリンター1の筐体2において、面2aと面2bとが直交するとしたが、直交しなくても構わない。
図13(a)および図13(b)は、このようなプリンターの構成であって、それぞれ横置き姿勢および縦置き姿勢で設置されている状態を示す概略部分断面図である。
ここで、定着ローラー31の回転軸方向から見て、筐体2の面2aと面2bとが直交せずに、角度θ3で交差しているものとする。
すると、横置き姿勢から縦置き姿勢に変更する場合、横置き姿勢のプリンター1を角度θ3[°]傾ける必要があるが、横置き姿勢における温度センサーの感熱部34aは、定着ローラー31の回転中心を通って鉛直方向上方に伸びる直線に対して、上述の傾ける方向と反対方向に90[°]−θ3 /2[°]だけ傾いた位置に配される。
このような位置に温度センサー34を設けることで、縦置き姿勢においては、図13(b)に示すように、定着ローラー31の軸心方向から見たときに、定着ローラー31の回転中心を通って鉛直方向上方に伸びる直線に対して、横置き姿勢のおける位置とは反対側の90[°]−θ3 /2[°]の位置に感熱部34aを配することができる。
つまり、横置き姿勢および縦置き姿勢における感熱部34aの位置を、互いの対流状況が略同様となる位置、即ち、互いに定着ローラー31の回転中心を通る鉛直面を挟んで、面対称となる位置に設定することができるため、各設置姿勢における感熱部34a周辺では、対流の状況を含む熱伝導条件が略同じになる。
これにより、1つの補正テーブルを用いるだけで、各設置姿勢における定着ローラー31の表面温度の推定が可能となり、補正テーブルを格納する補正テーブル記憶部155の記憶容量の節約が可能となる。
(2)また、上記第4の実施の形態では、プリンター400の設置姿勢に応じて、温度センサー36の感熱部36aが、横置き姿勢および縦置き姿勢のいずれにおいても、丁度ローラー中央真上となるように移動可能な構成としたが、これに限らない。
例えば、感熱部36aが、ローラー中央真上の位置になくても、第2の実施の形態のように、それぞれの姿勢および位置に応じた補正テーブルを用いることで、定着ローラー31の表面温度の推定が可能となる。
また、これと同様の理由で、上記第3の実施の形態において、第1温度センサー134および第2温度センサー135は、それぞれ横置き姿勢および縦置き置姿勢において、必ずしもローラー中央真上の位置に配する必要がないことは言うまでもない。
(3)上記実施の形態では、横姿勢の場合における温度センサーの出力から実際の定着ローラー31の表面温度を推定するための補正係数を格納した補正テーブルを補正テーブル記憶部155内に格納していた。
しかし、定着ローラー31の温度検出の精度をさらに向上させるため、きめ細かい補正テーブルを作成してもよい。
厳密に言えば、温度センサーは、定着ローラー31の表面から対流などの熱伝導より伝わる熱と、定着部30のハウジング内の温度(以下、「雰囲気温度」という。)の双方に影響されて検出値を出力する。
したがって、温調開始時の定着部30の雰囲気温度によって、実際の定着ローラー31の表面温度と温度センサーの検出結果との誤差も微妙に変化することになる。
つまり、雰囲気温度が低いと、温度センサーは、定着ローラー31の表面温度を反映しやすいが、雰囲気温度が高くなるとその温度の温度センサーの検出値に対する影響も大きくなり、補正係数の修正が必要となる。
そこで、たとえば、上記の温調制御用に主に定着ローラー31表面温度を検出する温度センサー(以下、「温調用温度センサー」という。)とは別に定着ローラー31から離れた位置に主に雰囲気温度を検出するための温度センサー(以下、「雰囲気温度センサー」)を設けて、雰囲気温度ごとに補正係数を求めて補正テーブルを作成して、補正テーブル記憶部155に格納しておき、温調制御時には、まず、雰囲気温度センサーの検出値に基づき、補正テーブルを選択して、温調用温度センサーの検出値を当該選択した補正テーブルで補正するようにすることにより、定着ローラー31の表面温度をより正確に推定することができる。
このように、それぞれの設置姿勢における補正テーブルの種類が多くなると、それらの記憶に必要な記憶容量も多くなるが、上述のように本発明によれば、一方の設置姿勢における補正テーブルを他方の設置姿勢における補正テーブルと共通に使用できるので、記憶容量の節約の効果が大きい。
(4)上記第2の実施の形態では、プリンター200の設置姿勢を取得する取得手段として、姿勢検出部51を用いたが、これに限られない。
例えば、プリンター200の操作パネル(不図示)あるいは他の適当な手動スイッチを受付手段として、ユーザーから設置姿勢の指定を受け付けてもよく、また、設置姿勢を検出する手段として上記のプッシュボタンなどのほか、傾きセンサーや加速度センサーなどを用いて重力加速度の作用する方向を検出することにより、プリンターの設置姿勢を検出してもよい。
(5)上記実施の形態では、定着ローラー31は、これに内蔵されたヒーター33によって加熱されていたが、これに限られない。
近年、定着ローラー内にヒーターを内蔵させるのではなく、ローラーの外径よりも僅かに内径が大きい発熱層を含む無端状の定着ベルトに当該ローラーを遊嵌し、当該定着ベルトの発熱層を誘導加熱する所謂ゆるばめ式の定着装置が考えられている。
本構成では、定着ベルトにおける外周の一部のみをローラーの外周面に接触させているため断熱効率が高く、ウォーミングアップ時間を短縮することができるというメリットがある。
当該ゆるばめ式の定着装置では、温度検出の対象は、定着ローラーではなく定着ベルトとなる。このように、温度検出の対象は、様々なものが考えられるため、加熱回転体であれば、どのようなものであっても構わない。
(6)上記実施の形態では、定着ニップ部Nを形成するために、定着ローラーと加圧ローラーとを圧接させていたが、これに限らない。
例えば、加圧ローラーの代わりに、表面が低摩擦材料などで覆われた加圧パッドなどを定着ローラーに圧接させる構成としてもよく、要するに、定着ローラーを加圧する加圧部材としては、表面に適当な摺動性を有して加圧できるものであれば、どのようなものであってもよい。
(7)なお、上記実施の形態では、本発明に係る画像形成装置をモノクロ式プリンターに適用した場合の例を説明したが、これに限られず、タンデム型カラーデジタルプリンターに適用してもよく、要するに、設置姿勢が変更可能であって、加熱回転体を有する定着装置を備える画像形成装置一般に適用することができる。
また、上記実施の形態および上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
本発明は、設置姿勢が変更可能であって、加熱回転体の外周面に加圧部材を押圧して定着ニップ部を形成し、未定着画像の形成されたシートを当該定着ニップに通紙して熱定着する画像形成装置に広く適用することができる。
1 、200 、300 、400 プリンター
12 感光体ドラム
14 帯電器
15 光学部
16 現像器
17 転写ローラー
20 給紙部
21 給紙トレイ
21a 載置面
21b ガイド板
22 支軸
22a 昇降板
25 ピックアップローラー
27 転写ニップ
30 、130 、330 定着部
31 定着ローラー
31a 回転軸
32 加圧ローラー
33 ヒーター
34 、 36 温度センサー
34a、 36a、134a、135a 感熱部
40 排紙ローラー
41 排紙トレイ
42a 載置面
50 制御部
51 姿勢検出部
51a アクチュエーター
134 第1温度センサー
135 第2温度センサー
150 CPU
151 通信I/F部
155 補正テーブル記憶部
230 支持機構
231 支持板
232 ロッド
231a 側板部
231c ピン
232a 端部

Claims (11)

  1. 装置が第1の姿勢で設置された場合と、第1の姿勢と水平方向に対する傾きが異なる第2の姿勢で設置された場合のいずれの場合でも画像形成が可能な画像形成装置であって、
    加熱回転体の周面に加圧部材を押圧して定着ニップを形成し、当該定着ニップに通紙される記録シート上のトナー像を熱定着する定着手段と、
    前記加熱回転体の表面温度を非接触で検出する温度検出手段と、
    前記加熱回転体を加熱する加熱手段と、
    前記温度検出手段の検出結果に基づき、加熱手段を制御して加熱回転体の温度を制御する制御手段とを備え、
    装置が第1の姿勢および第2の姿勢のいずれにあるときも、前記温度検出手段による測定位置が、鉛直方向において、前記加熱回転体の回転中心よりも上方となっていることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記温度検出手段は、
    1つの温度計測部を有し、
    前記第2の姿勢の、第1の姿勢からの傾き角をθ[°]とすると、
    第1の姿勢において、前記加熱回転体の回転軸方向からみたとき、前記加熱回転体の回転中心を通って鉛直方向上方に伸びる直線に対して、第1から第2の姿勢に傾ける方向と反対方向に90[°]−θ/2[°]だけ傾いた位置に、前記温度計測部の位置が決定されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記θの大きさは、90[°]である
    ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記温度検出手段は、
    装置が第1の姿勢にあるときと、第2の姿勢にあるときとで、前記加熱回転体の表面温度の検出誤差が所定の範囲内となるように、第1と第2の姿勢の変更に応じて加熱回転体に対する前記測定位置を第1と第2の位置に変更する変更手段を
    備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記温度検出手段は、
    第1の姿勢のときに加熱回転体に対して第1の位置にある非接触型の第1の温度センサーと、第2の姿勢のときに加熱回転体に対して第2の位置にある非接触型の第2の温度センサーと、
    現在の設置姿勢が第1と第2のいずれの姿勢であるかに関する情報を取得する取得手段とを備え、
    前記変更手段は、前記取得手段で取得した設置姿勢に関する情報に基づき、第1と第2の温度センサーのうち対応する位置にある温度センサーを選択することにより、前記測定位置を変更する
    ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記温度検出手段は、非接触型の温度センサーであって、
    前記変更手段は、
    装置の第1の姿勢から第2の姿勢への変更に伴い、前記温度センサーを、前記第1の位置から、第2の位置まで移動する移動手段を有する
    ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  7. 前記移動手段は、
    前記温度センサーを、第1の位置から第2の位置まで移動可能に保持する保持部材と、
    筺体の側面であって、第2の姿勢に変更したときに床面に対向する側面から、外方に進退可能に突出する突出部材と、
    装置を第2の姿勢に姿勢変更する際に、前記突出部材が床面に当接して前記筺体内に後退するときの移動を、前記温度センサーが第1の位置から第2の位置に移動する動作に変換して前記保持機構に伝達するリンク機構と
    を備えることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 第1および第2の姿勢共通の補正テーブルを記憶する記憶手段を備え、
    前記制御手段は、前記補正テーブルと、前記温度検出手段の検出結果とにもとづいて、前記加熱回転体の表面温度を推定することを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
  9. 第1の姿勢に対応する第1の補正テーブルと第2の姿勢に対応する第2の補正テーブルとを記憶する記憶手段と、
    現在の設置姿勢が第1と第2のいずれの姿勢であるかに関する情報を取得する取得手段とを備え、
    前記制御手段は、第1および第2の補正テーブルのうち現状の姿勢に対応するもの選択し、当該選択された補正テーブルと前記温度検出手段の検出結果とにもとづいて、前記加熱回転体の表面温度を推定することを特徴とする請求項4から7のいずれかに記載の画像形成装置。
  10. ユーザーから装置の設置姿勢についての入力を受け付ける受付手段を備え、
    前記取得手段は、前記受付手段を介して、現在の設置姿勢が第1と第2のいずれの姿勢であるかに関する情報を取得する
    ことを特徴とする請求項5または9に記載の画像形成装置。
  11. 装置本体の設置姿勢を検出する姿勢検出手段を備え、
    前記取得手段は、前記姿勢検出手段の検出結果を、現在の設置姿勢が第1と第2のいずれの姿勢であるかに関する情報として取得する
    ことを特徴とする請求項5または9に記載の画像形成装置。
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