JP2013238502A - 甲状腺刺激ホルモンレセプターに対する自己抗体の測定試薬 - Google Patents
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Abstract
【課題】 試料に含まれる成分の影響を回避し、偽陽性や偽陰性の発生を抑制可能な、甲状腺刺激ホルモンレセプターに対する自己抗体(TRAb)測定試薬を提供すること。
【解決手段】 甲状腺刺激ホルモンレセプター(TSHR)を固定化した固相を含む試薬と、標識した甲状腺刺激ホルモン(TSH)を含む試薬と、を含み、かつTSHRを固定化した固相を含む試薬にキレート剤および/または界面活性剤をさらに含んだTRAb測定試薬により、前記課題を解決する。
【選択図】 なし
【解決手段】 甲状腺刺激ホルモンレセプター(TSHR)を固定化した固相を含む試薬と、標識した甲状腺刺激ホルモン(TSH)を含む試薬と、を含み、かつTSHRを固定化した固相を含む試薬にキレート剤および/または界面活性剤をさらに含んだTRAb測定試薬により、前記課題を解決する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、甲状腺刺激ホルモンレセプターに対する自己抗体(TRAb)の測定試薬に関するものである。特に本発明は、従来のTRAb測定試薬と比較し、試料測定時の偽陽性または偽陰性の発生を抑制した試薬に関するものである。
甲状腺刺激ホルモンレセプター(Thyroid Stimulation Hormone Receptor、TSHR)は、甲状腺細胞膜上に存在する分子量約100kDaの糖タンパクである甲状腺刺激ホルモン(Thyroid Stimulation Hormone、TSH)の受容体であり、脳下垂体から分泌されるTSHが甲状腺の細胞膜にあるTSHRに結合すると、甲状腺は代謝機能の調節ホルモンであるトリヨードサイロニン(T3)およびサイロキシン(T4)を分泌する。
バセドウ病や甲状腺機能低下症等の自己免疫性甲状腺疾患の患者血清中には、TSHRに対する自己抗体(TRAb)が認められる。TRAbは、TSHのTSHRへの結合を阻止するため、TSH結合阻止抗体(TSH Binding Inhibitory Immunogiobulin、TBII)ともよばれる。TRAbには、TSHRを刺激して甲状腺機能を亢進させるもの(甲状腺刺激抗体、TSAb)と、TSHのTSHRへの結合を阻害して甲状腺機能を低下させるもの(甲状腺刺激阻害抗体、TSBAb)が知られており、自己免疫性甲状腺疾患の確定診断における補助マーカーとして有用である。
TRAbの測定については、スミスらによって開発された液相法による1ステップ法(第1世代)(非特許文献1および2)から固相に結合したTSHRと標識したTSHを用いた2ステップ法(第2世代)へと進化し、さらに近年、酵素標識抗ヒトTSHRモノクローナル抗体(M22抗体)を用いた測定法が開発されている(非特許文献3)。
Methods in Enzymology,74,405−420,1981
Endocrine Reviews,9,106−120,1988
TSH receptor autoantibody measurements−new and old assays,RSR Ltd.,2005
免疫学的手法を用いたTRAb測定においては、試料中(例えば血液中)に含まれる成分により測定系に影響を及ぼし、正確な測定値を得られない現象(例えば、偽陽性や偽陰性)が発生する問題があった。そこで本発明の目的は、前記試料に含まれる成分による影響を回避し、偽陽性や偽陰性の発生を抑制可能なTRAb測定試薬を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行なった結果、本発明を完成した。
すなわち本発明の第一の態様は、甲状腺刺激ホルモンレセプター(TSHR)を固定化した固相を含む試薬と、標識した甲状腺刺激ホルモン(TSH)を含む試薬と、を含む、TSHRに対する自己抗体(TRAb)を測定する試薬であって、
TSHRを固定化した固相を含む試薬にキレート剤および/または界面活性剤をさらに含んだ、前記TRAbを測定する試薬である。
TSHRを固定化した固相を含む試薬にキレート剤および/または界面活性剤をさらに含んだ、前記TRAbを測定する試薬である。
また本発明の第二の態様は、TSHRを固定化した固相を含む試薬と、標識したTSHを含む試薬とが、それぞれ別の試薬である、前記第一の態様に記載の試薬である。
また本発明の第三の態様は、少なくともTSHRを固定化した固相を含む試薬が凍結乾燥形態である、前記第二の態様に記載の試薬である。
さらに本発明の第四の態様は、
(1)甲状腺刺激ホルモンレセプター(TSHR)を固定化した固相ならびにキレート剤および/または界面活性剤を含む試薬に試料を添加することで、固相に固定化したTSHRと試料中に含まれるTSHRに対する自己抗体(TRAb)との複合体を形成させる工程、
(2)標識した甲状腺刺激ホルモン(TSH)を含む試薬を添加することで、(1)の複合体を形成しなかったTSHRと標識したTSHとの複合体を形成させる工程、
(3)(2)で形成した複合体中の標識を検出する工程、
を含む試料中に含まれるTRAbを測定する方法である。
(1)甲状腺刺激ホルモンレセプター(TSHR)を固定化した固相ならびにキレート剤および/または界面活性剤を含む試薬に試料を添加することで、固相に固定化したTSHRと試料中に含まれるTSHRに対する自己抗体(TRAb)との複合体を形成させる工程、
(2)標識した甲状腺刺激ホルモン(TSH)を含む試薬を添加することで、(1)の複合体を形成しなかったTSHRと標識したTSHとの複合体を形成させる工程、
(3)(2)で形成した複合体中の標識を検出する工程、
を含む試料中に含まれるTRAbを測定する方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のTRAbを測定する試薬は、
(A)TSHRを固定化した固相を含む試薬と、
(B)標識したTSHを含む試薬と、
を少なくとも含んでいればよい。また前記(A)の試薬と前記(B)の試薬は、両試薬を混合した態様としてもよく、それぞれ別の試薬とする態様としてもよい。ただし、前記(A)の試薬と前記(B)の試薬とを別の試薬とする態様のほうが、偽陽性や偽陰性の発生をより抑えられる点で好ましい。さらに別の試薬とする態様とする場合、少なくとも前記(A)の試薬を凍結乾燥形態とすると、保存安定性が向上するため好ましい。
(A)TSHRを固定化した固相を含む試薬と、
(B)標識したTSHを含む試薬と、
を少なくとも含んでいればよい。また前記(A)の試薬と前記(B)の試薬は、両試薬を混合した態様としてもよく、それぞれ別の試薬とする態様としてもよい。ただし、前記(A)の試薬と前記(B)の試薬とを別の試薬とする態様のほうが、偽陽性や偽陰性の発生をより抑えられる点で好ましい。さらに別の試薬とする態様とする場合、少なくとも前記(A)の試薬を凍結乾燥形態とすると、保存安定性が向上するため好ましい。
本発明におけるキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸やクエン酸またはそれらの金属塩といった、当業者が通常用いるキレート剤の中から適宜選択すればよい。例えばエチレンジアミン四酢酸またはその金属塩をキレート剤として用いる場合、5mMから50mM(好ましくは10mMから20mM)となるよう、TSHRを固定化した固相を含む試薬に含ませればよい。
本発明における界面活性剤は、Triton X−100(Polyoxyethylene(10) Octylphenyl ether)、Tween 20(Polyoxyethylene(20) Sorbitan Monolaurate)、NP−40(Polyoxyethylene(9) Octylphenyl ether)、MEGA−8(Octanoyl−N−methylglucamide)、MEGA−9(Nonanoyl−N−methylglucamide)、MEGA−10(Decanoyl−N−methylglucamide)、sucrose laurate(β−D−Fructopyranosyl−α−D−glucopyranoside Dodecanoate)、n−Dodecyl−β−D−maltosideといった市販の非イオン性界面活性剤や、CHAPS(3−[(3−Cholamidopropyl)dimethylammonio]propanesulfonate)、CHAPSO(3−[(3−Cholamidopropyl)dimethylammonio]−2−hydroxypropanesulfonate)といった市販の両イオン性界面活性剤の中から適宜選択すればよい。また前記界面活性剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。前記界面活性剤をTSHRを固定化した固相を含む試薬に含ませる場合、0.1%(w/v)から2%(w/v)(好ましくは0.2%(w/v)から1%(w/v))の範囲で含ませればよい。
また本発明において、TSHRを固定化した固相を含む試薬には、前述したキレート剤および/または界面活性剤のほかに、目的に応じて、ウシ血清アルブミン等の保剤、アスコルビン酸やビタミンE等の抗酸化剤、カルボキシメチルセルロース等の結合剤、セルロースやポリエチレングリコール等の湿潤剤、合成食用色素等の着色剤、ポリビニルピロリドン等の懸濁化剤、アルキルスルホン酸等の乳化剤、グリセリン等の溶解補助剤、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)塩酸塩等の緩衝剤、D−ソルビトールや塩化ナトリウム等の等張化剤、の中から一つ以上をさらに含んでもよい。
本発明において、TSHRを固定化させる固相に特に限定はなく、ポリビニルアルコール、水酸基を導入したポリメタクレート、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリウレタンなどの合成高分子製ビーズが例示できる。またマイクロタイタープレートのウェルそのものを前記固相として用いてもよい。なお前記ビーズに磁性体を含ませると、TSHRを固定化した固相と試料中に含まれるTRAbとの複合体を、磁石により容易に分離することができるため、好ましい。TSHRの固相への固定化方法についても特に限定はなく、TSHRを直接固相に結合させてもよいし、抗TSHRモノクローナル抗体等を介して間接的に結合させてもよい。
本発明において、TSHへ標識する物質は、当業者が通常用いる物質の中から適宜選択すればよく、アルカリ性ホスファターゼ等の酵素、蛍光物質、ラジオアイソトープ、発光物質が例示できる。またTSHに直接物質を標識せず、ビオチン−アビジン等の反応を利用して間接的に前記物質を標識してもよい。標識物質の検出方法は、標識した物質に依存し、標識物質が酵素の場合は酵素免疫測定法(EIA、ELISA)を、標識物質が蛍光物質の場合は蛍光免疫測定法(FIA)を、標識物質がラジオアイソトープの場合は放射免疫測定法(RIA)を、標識物質が発光物質の場合は発光免疫測定法(LIA)を、それぞれ用いればよい。
本発明のTRAb(甲状腺刺激ホルモン(TSH)に対する自己抗体)測定試薬は、甲状腺刺激ホルモンレセプター(TSHR)を固定化した固相を含む試薬と、標識したTSHを含む試薬と、を含み、かつTSHRを固定化した固相を含む試薬にキレート剤および/または界面活性剤をさらに含むことを特徴としており、これにより試料中(例えば血液中)に含まれる成分の影響を受けることなく、試料中に含まれるTRAbを測定することができる。
以下、固相に固定化したTSHR(Thyroid Stimulation Hormone Receptor)と酵素で標識したTSH(Thyroid Stimulation Hormone)とを用いた、競合法による酵素免疫測定法(EIA)にてTRAb(TSHRに対する自己抗体)を測定した実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は、当該実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1)特許文献1に記載の方法により組換えヒト甲状腺刺激ホルモンレセプター(TSHR)を調製した。
(2)(1)で調製したヒトTSHRを磁性ビーズ(東ソー製)に固定化して得られる固定化ヒトTSHRと、下記に示す溶液とを、試薬容器に添加し、当該容器を凍結乾燥することでTSHRを固定化した固相を含む試薬(試薬AからD)を作製した。
試薬A:1次反応液(1%BSAを含むTris緩衝液)のみ
試薬B:15mM エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(ナカライテスク製)を添加した1次反応液
試薬C:0.5%(w/v)sucrose laurate(同仁化学製)を添加した1次反応液
試薬D:15mM エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物および0.5%sucrose laurateを添加した1次反応液
(3)(2)で作製した試薬に、試料を添加して37℃で10分間撹拌した。試料としては、甲状腺刺激ホルモン(Eテスト「TOSOH」II(TSH)(東ソー製)で測定)、遊離サイロキシン(Eテスト「TOSOH」II(FT4)(東ソー製)で測定)、遊離トリヨードサイロニン(Eテスト「TOSOH」II(FT3)(東ソー製)で測定)濃度が正常な健常人血清試料および、甲状腺刺激ホルモンレセプターに対する自己抗体(TSHレセプター抗体 CT「コスミック」(コスミック製)で測定)で参考正常値以上となったバセドウ病患者のTRAb陽性患者血清試料を用いた。
(4)洗浄水で洗浄することで遊離の試料成分を除去後、アルカリ性ホスファターゼ標識アビジンとビオチン標識TSH(シグマアルドリッチ製)を含む2次反応液(1%BSA、1mM塩化マグネシウム、0.1mM塩化亜鉛を含むTris緩衝液(pH7.5))を添加し、37℃で10分間撹拌した。
(5)洗浄水で洗浄することで遊離のアルカリ性ホスファターゼ標識アビジンとビオチン標識TSHを除去後、磁性ビーズに結合した酵素の活性を測定するために、基質(4−メチルウンベリフェリルりん酸)を添加し、蛍光物質(4−メチルウンベリフェロン)の生成速度(レート値)を市販のエンザイムイムノアッセイ装置(AIA−2000(東ソー製))で測定した。TRAb量は陰性コントロール、すなわち試験試料中にTRAbが存在しない時の測定値を基準にし、TRAbが存在することで抑制される度合(=INH)で測定した。INH(%)は下記式に従って計算し、10%以上をTRAb陽性と判断した。
(1)特許文献1に記載の方法により組換えヒト甲状腺刺激ホルモンレセプター(TSHR)を調製した。
(2)(1)で調製したヒトTSHRを磁性ビーズ(東ソー製)に固定化して得られる固定化ヒトTSHRと、下記に示す溶液とを、試薬容器に添加し、当該容器を凍結乾燥することでTSHRを固定化した固相を含む試薬(試薬AからD)を作製した。
試薬A:1次反応液(1%BSAを含むTris緩衝液)のみ
試薬B:15mM エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(ナカライテスク製)を添加した1次反応液
試薬C:0.5%(w/v)sucrose laurate(同仁化学製)を添加した1次反応液
試薬D:15mM エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物および0.5%sucrose laurateを添加した1次反応液
(3)(2)で作製した試薬に、試料を添加して37℃で10分間撹拌した。試料としては、甲状腺刺激ホルモン(Eテスト「TOSOH」II(TSH)(東ソー製)で測定)、遊離サイロキシン(Eテスト「TOSOH」II(FT4)(東ソー製)で測定)、遊離トリヨードサイロニン(Eテスト「TOSOH」II(FT3)(東ソー製)で測定)濃度が正常な健常人血清試料および、甲状腺刺激ホルモンレセプターに対する自己抗体(TSHレセプター抗体 CT「コスミック」(コスミック製)で測定)で参考正常値以上となったバセドウ病患者のTRAb陽性患者血清試料を用いた。
(4)洗浄水で洗浄することで遊離の試料成分を除去後、アルカリ性ホスファターゼ標識アビジンとビオチン標識TSH(シグマアルドリッチ製)を含む2次反応液(1%BSA、1mM塩化マグネシウム、0.1mM塩化亜鉛を含むTris緩衝液(pH7.5))を添加し、37℃で10分間撹拌した。
(5)洗浄水で洗浄することで遊離のアルカリ性ホスファターゼ標識アビジンとビオチン標識TSHを除去後、磁性ビーズに結合した酵素の活性を測定するために、基質(4−メチルウンベリフェリルりん酸)を添加し、蛍光物質(4−メチルウンベリフェロン)の生成速度(レート値)を市販のエンザイムイムノアッセイ装置(AIA−2000(東ソー製))で測定した。TRAb量は陰性コントロール、すなわち試験試料中にTRAbが存在しない時の測定値を基準にし、TRAbが存在することで抑制される度合(=INH)で測定した。INH(%)は下記式に従って計算し、10%以上をTRAb陽性と判断した。
INH(%)=
(陰性コントロールの測定値−試験試料の測定値)÷
(陰性コントロールの測定値―陽性コントロールの測定値)×100
結果を表1に示す。固定化ヒトTSHRに1次反応液のみを添加して作製した試薬(試薬A)では、一部の健常人検体(健常人EおよびJ)で陽性判定となった。一方、1次反応液にキレート剤であるエチレンジアミン四酢酸(試薬B)または非イオン性界面活性剤であるsucrose laurate(試薬C)を添加して作製した試薬では、当該健常人検体を含め全ての健常人検体が陰性判定(INHが10%未満)となった。さらに、1次反応液にキレート剤であるエチレンジアミン四酢酸および非イオン性界面活性剤であるsucrose laurateを添加して作製した試薬(試薬D)では、ほぼ全ての健常人検体でINHが5%以下となり、TRAb陽性患者血清との区別がより明確となった。なおTRAb陽性患者血清は、試薬AからD、いずれの試薬を用いても陽性判定となっており、エチレンジアミン四酢酸や非イオン性界面活性剤の添加により、試薬の感度に悪影響を与えないことがわかる。
(陰性コントロールの測定値−試験試料の測定値)÷
(陰性コントロールの測定値―陽性コントロールの測定値)×100
結果を表1に示す。固定化ヒトTSHRに1次反応液のみを添加して作製した試薬(試薬A)では、一部の健常人検体(健常人EおよびJ)で陽性判定となった。一方、1次反応液にキレート剤であるエチレンジアミン四酢酸(試薬B)または非イオン性界面活性剤であるsucrose laurate(試薬C)を添加して作製した試薬では、当該健常人検体を含め全ての健常人検体が陰性判定(INHが10%未満)となった。さらに、1次反応液にキレート剤であるエチレンジアミン四酢酸および非イオン性界面活性剤であるsucrose laurateを添加して作製した試薬(試薬D)では、ほぼ全ての健常人検体でINHが5%以下となり、TRAb陽性患者血清との区別がより明確となった。なおTRAb陽性患者血清は、試薬AからD、いずれの試薬を用いても陽性判定となっており、エチレンジアミン四酢酸や非イオン性界面活性剤の添加により、試薬の感度に悪影響を与えないことがわかる。
実施例1(2)において、固定化ヒトTSHRとともに試薬容器に添加する溶液を、下記に示す溶液に変更した他は、実施例1と同様の実験を行なった。
試薬A:1次反応液(1%BSAを含むTris緩衝液)のみ
試薬C:0.5%(w/v)sucrose laurate(同仁化学製)を添加した1次反応液
試薬E:0.5%(w/v)n−dodecyl−β−D−maltoside(同仁化学製)を添加した1次反応液
試薬F:0.5%(w/v)CHAPS(同仁化学製)を添加した1次反応液
試薬G:0.5%(w/v)CHAPSO(同仁化学製)を添加した1次反応液
結果を表2に示す。固定化ヒトTSHRに1次反応液のみを添加して作製した試薬(試薬A)では、一部の健常人検体(健常人I、KおよびL)で陽性判定となった。一方、1次反応液に非イオン性界面活性剤であるsucrose laurate(試薬C)、n−dodecyl−β−D−maltoside(試薬E)や、両イオン性界面活性剤であるCHAPS(試薬F)、CHAPSO(試薬G)を添加して作製した試薬では、当該健常人検体を含め全ての健常人検体が陰性判定(INHが10%未満)となった。なおTRAb陽性患者血清は、いずれの試薬を用いても陽性判定となっており、非イオン性界面活性剤や両イオン性界面活性剤の添加により、試薬の感度に悪影響を与えないことがわかる。
Claims (4)
- 甲状腺刺激ホルモンレセプター(TSHR)を固定化した固相を含む試薬と、標識した甲状腺刺激ホルモン(TSH)を含む試薬と、を含む、TSHRに対する自己抗体(TRAb)を測定する試薬であって、
TSHRを固定化した固相を含む試薬にキレート剤および/または界面活性剤をさらに含んだ、前記TRAbを測定する試薬。 - 甲状腺刺激ホルモンレセプター(TSHR)を固定化した固相を含む試薬と、標識した甲状腺刺激ホルモン(TSH)を含む試薬とが、それぞれ別の試薬である、請求項1に記載の試薬。
- 少なくともTSHRを固定化した固相を含む試薬が凍結乾燥形態である、請求項2に記載の試薬。
- (1)甲状腺刺激ホルモンレセプター(TSHR)を固定化した固相ならびにキレート剤および/または界面活性剤を含む試薬に試料を添加することで、固相に固定化したTSHRと試料中に含まれるTSHRに対する自己抗体(TRAb)との複合体を形成させる工程、
(2)標識した甲状腺刺激ホルモン(TSH)を含む試薬を添加することで、(1)の複合体を形成しなかったTSHRと標識したTSHとの複合体を形成させる工程、
(3)(2)で形成した複合体中の標識を検出する工程、
を含む試料中に含まれるTRAbを測定する方法。
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