JP2013234295A - ガラス用インクジェットインクセット及びそれを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents

ガラス用インクジェットインクセット及びそれを用いたインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液寄りによるピンホールの発生を防止でき、記録画像のガラス表面に対する密着性に優れ、且つノズルの目詰まりを防止して射出安定性に優れるガラス用インクジェットインクセットの提供。
【解決手段】顔料、樹脂、水、及び、グリコールエーテル類又は炭素数が4以上である1,2−アルカンジオール類から選ばれた1又は2種以上を少なくとも含む水溶性溶剤を少なくとも含有する記録インクと、記録インク中の樹脂と共有結合し得る加水分解性シラン化合物と有機溶剤とを少なくとも含有し、水を実質的に含まない反応性インクと、から構成されるガラス用インクジェットインクセットであって、記録インクは、樹脂として、アミンにより該記録インクのpHが7〜9の範囲となるように中和溶解された水溶性アクリル系樹脂を少なくとも含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、記録インクと反応性インクとを含むガラス用インクジェットインクセット及びそれを用いたインクジェット記録方法に関し、詳しくは、水系インクからなる記録インクと、加水分解性シラン化合物と有機溶剤とを含有する反応性インクとを含むガラス用インクジェットインクセット及びそれを用いたインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、比較的簡単な構成の装置で、高精細な画像記録が可能であり、近年、急速な発展を遂げている。また、インクジェット記録方式の用途も多岐にわたり、それぞれの目的にあった記録媒体あるいはインクジェットインクが使用されるようになってきている。
しかるに、ガラス表面へのインクジェット法による描画では、ガラス表面がインクに対して非吸収性であるため、着弾したドット同士の液寄りによって、ドットが本来の位置からずれてしまい、画像中にピンホール(白抜け)を生じる問題があった。
着弾後の液寄りを防止するために、光硬化型のインクを用いることも考えられる。
しかし、光硬化型のインクは、通常、インク成分をそのまま硬化させるものであるため、厚膜になり易い。そのため、薄膜化の要求が高い電子デバイス等の基板に用いられるガラス表面などに対しては、実用的ではなかった。
一方、本出願人は、これまでに、特許文献1において、顔料、界面活性剤、定着樹脂及び水溶性溶剤を含有する水性顔料インクと、少なくとも有機酸を含有する水性処理液とから構成されるインクジェットインクセットであって、該水性顔料インクが含有する該定着樹脂が、カルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物及び水分散型樹脂微粒子であり、該水性顔料インクが含有する水溶性溶剤が、グリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類であり、かつ該水性処理液がノニオン性水分散型樹脂微粒子を含有することを特徴とするインクジェットインクセットを開示し、これにより、非吸水性記録媒体や低吸水性記録媒体上に、高い耐擦過性を備え、かつ故障耐性、鮮鋭性及び粒状性に優れた高画質の画像を形成することができることを開示している。
特開2010−194998号公報
特許文献1に記載の技術は、液寄りによるピンホールの発生を防止して、ガラス表面においても記録画像の薄膜化を実現し得るものであったが、その一方で、ガラス表面に対する密着性に限界があることがわかった。
そこで、本発明者は、加水分解性シラン化合物を併用して密着性を高めることを試みた。
加水分解性シラン化合物は、通常の水系の記録インクと混合すると反応(加水分解及び縮合)の進行により固形物を成長させる。例えば、記録インクと、加水分解性シラン化合物を含む反応性インクとを予め混合せず、それぞれ異なるヘッドから射出する場合であっても、ミスト化した反応性インク中の加水分解性シラン化合物が、記録インク用のヘッドに付着し、ノズルの目詰まりを生じてしまう。
本発明者は、更に鋭意検討し、記録インクが水溶性アクリル系樹脂を含み、且つ該水溶性アクリル系樹脂がアミンにより中和溶解されている場合は、ノズルの目詰まりが防止され、且つガラス表面への密着性が向上することを見出した。
このような作用が得られる理由について、本発明者は以下のように推定している。
即ち、加水分解性シラン化合物は、酸又はアルカリ側で反応活性度が高い。従って、記録インク中のアクリル系樹脂がアミンにより中和溶解されていることで、反応性インクのミストが付着しても固形物の成長が防止される。更に、記録インクがガラス表面に着弾した後は、アミンが蒸発乾燥することによりpHが中性から酸側に低下する。これに伴って、加水分解性シランの反応性が高まる結果、ガラス表面に対する密着性が向上するものと考えられる。つまり、加水分解性シランの反応性が、記録インクのガラス表面着弾後まで好適に温存されているものと推定される。
従って、本発明の課題は、液寄りによるピンホールの発生を防止でき、記録画像のガラス表面に対する密着性に優れ、且つノズルの目詰まりを防止して射出安定性に優れるガラス用インクジェットインクセット及びそれを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
1.顔料、樹脂、水、及び、グリコールエーテル類又は炭素数が4以上である1,2−アルカンジオール類から選ばれた1又は2種以上を少なくとも含む水溶性溶剤を少なくとも含有する記録インクと、
前記記録インク中の前記樹脂と共有結合し得る加水分解性シラン化合物と有機溶剤とを少なくとも含有し、水を実質的に含まない反応性インクと、から構成されるガラス用インクジェットインクセットであって、
前記記録インクは、前記樹脂として、アミンにより該記録インクのpHが7〜9の範囲となるように中和溶解された水溶性アクリル系樹脂を少なくとも含むことを特徴とするガラス用インクジェットインクセット。
2.前記1記載のガラス用インクジェットインクセットを用いて、ガラス表面に画像記録を行うインクジェット記録方法であって、
前記ガラス表面に前記反応性インクを付着させ、
次いで、前記ガラス表面における前記反応性インクが付着した領域に、インクジェット法により前記記録インクを付着させて画像記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
3.前記記録インクを付着させる際における前記ガラス表面の温度を35℃以上100℃以下の範囲に調整して加熱乾燥することを特徴とする前記2記載のインクジェット記録方法。
4.同一キャリッジ上に、前記反応性インクを充填した反応性インク用ヘッドと、前記記録インクを充填した記録インク用ヘッドとを備えたインクジェット記録装置を用い、1回のキャリッジスキャンにおいて、前記反応性インクと前記記録インクの双方を前記ガラス表面に付着させることを特徴とする前記2又は3記載のインクジェット記録方法。
本発明によれば、液寄りによるピンホールの発生を防止でき、記録画像のガラス表面に対する密着性に優れ、且つノズルの目詰まりを防止して射出安定性に優れるガラス用インクジェットインクセット及びそれを用いたインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明に係るインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を示す側面図 本発明に係るインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の他の例を示す上面図
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
はじめに、本発明のガラス用インクジェットインクセットについて説明する。
本発明のガラス用インクジェットインクセット(以下、単にインクセットという場合がある。)は、記録インクと反応性インクとから構成される。
1.記録インク
記録インクは、顔料、樹脂、水、及び水溶性溶剤を少なくとも含む。
本発明において、記録インクに含まれる上記水溶性溶剤は、グリコールエーテル類又は炭素数が4以上である1,2−アルカンジオール類から選ばれた1又は2種以上を少なくとも含んで構成される。
本発明において、記録インクは、前記樹脂として、アミンにより当該記録インクのpHが7〜9の範囲となるように中和溶解された水溶性アクリル系樹脂を少なくとも含む。
以下に、記録インクに含有される各成分について更に詳しく説明する。
記録インクに含有される水溶性アクリル系樹脂は、水溶性を有するアクリル系樹脂であれば格別限定されず、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体であっても、(メタ)アクリル酸エステルと他の共重合モノマーとの共重合体であってもよい。
樹脂構造の設計自由度が高く、重合反応で合成しやすく、低コストであること等から、(メタ)アクリル酸エステルと他の共重合モノマーとの共重合体が特に好ましい。
前記共重合体における、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の含有割合は、共重合体を構成する全モノマーに対して60〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルの例には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが含まれる。なかでも、(メタ)アクリル酸のC1−C12アルキルエステルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルは、一種類であっても、二種類以上であってもよい。二種類以上の(メタ)アクリル酸エステルの好ましい組み合わせの例には、メタアクリル酸メチル、アクリル酸C1−C12アルキルエステル、およびメタアクリル酸C2−C12アルキルエステルの組み合わせが含まれる。
(メタ)アクリル酸エステルと他の共重合モノマーとの共重合体における他の共重合モノマーの例には、酸性基を有するモノマーが含まれる。酸性基を有するモノマーの例には、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸などが含まれる。なかでも、(メタ)アクリル酸エステルと他の共重合モノマーとの共重合体は、主モノマーとしてのメタアクリル酸メチル、アクリル酸C1−C12アルキルエステルおよびメタアクリル酸C2−C12アルキルエステルと、他の共重合体モノマーとしての酸性基を有するモノマーと、を重合反応させて得られる共重合体であることが好ましい。前記共重合体に含まれる主モノマー(メタアクリル酸メチル、アクリル酸C1−C12アルキルエステルおよびメタアクリル酸C2−C12アルキルエステル)由来の構成単位の合計含有割合は、共重合体を構成する全モノマーに対して80〜95質量%であることが好ましい。
水溶性アクリル系樹脂は、その酸価が80mgKOH/g以上、300mgKOH/g未満であることが好ましいが、これによって該水溶性共重合物の乾燥時の粘度増加が顕著になるとともに、乾燥後も更に強固に固化して顔料の優れた定着性を実現することができる。更に好ましい酸価は90〜250mgKOH/g程度のものである。本発明で規定する酸価は、JIS K0070に準拠して測定できる。
また、水溶性アクリル系樹脂の重合方法としては、溶液重合であることが好ましい。
また、水溶性アクリル系樹脂の分子量としては、重量平均分子量Mwで3,000〜30,000のものを好ましく用いることができ、より好ましくは7,000〜20,000である。
更に、水溶性アクリル系樹脂のTgは、−30℃〜100℃程度のものを好ましく用いることができ、より好ましくは−10℃〜80℃である。
記録インク中における水溶性アクリル系樹脂の含有量は、インク全体に対して1〜15質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましい。
本発明では、記録インク中において、水溶性アクリル系樹脂は、当該記録インクのpHが7〜9の範囲となるようにアミンにより中和溶解されている。
具体的なアミンの例としては、アンモニア、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジ−n−ブチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノールなどを好ましく例示できる。
記録インクは、上述した水溶性アクリル系樹脂の他に、他の樹脂を含有してもよい。他の樹脂としては、水溶性樹脂を好ましく用いることができ、具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等を例示できる。これら他の樹脂として、後に詳述する反応性インクに含まれる加水分解性シラン化合物と共有結合を形成可能なものを用いることも好ましいことである。
記録インクは、水溶性溶剤として、グリコールエーテル類又は炭素数が4以上である1,2−アルカンジオール類から選ばれた1又は2種以上を少なくとも含む。
グリコールエーテル類としては、格別限定されるものではないが、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびトリプロピレングリコールモノメチルエーテル等を好ましく例示できる。
炭素数が4以上である1,2−アルカンジオール類としては、格別限定されるものではないが、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、および1,2−ヘプタンジオール等を好ましく例示できる。
記録インクは、必要に応じて、他の水溶性溶剤をさらに含んでもよい。他の水溶性溶剤の例には、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)等が含まれる。
記録インク中における水溶性溶剤の添加量としては、5質量%以上、30質量%以下の範囲で用いることが好ましく、より好ましくは7質量%以上、20質量%以下の範囲が、本発明の目的効果とインク保存安定性を両立する観点から有効である。
記録インクに適用可能な顔料は、水系で安定に分散できるものであればよく、高分子樹脂により分散した顔料分散体、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料、顔料表面を修飾し分散樹脂を用いなくても分散可能な自己分散顔料等から選択することができる。インクの保存性を特に重視する場合は、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料を選択することが好ましい。
高分子樹脂により分散した顔料分散体を用いる場合、高分子樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等のような樹脂である。
顔料の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることができる。
顔料分散体を調製するには、顔料分散体の粗粒分を除去する目的で遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましく用いられる。
また、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料を用いる場合の水不溶性樹脂とは、弱酸性ないし弱塩基性の水に対して不溶な樹脂であり、好ましくは、pH4〜10の水溶液に対する溶解度が2質量%未満の樹脂である。
このような樹脂としては、アクリル系、スチレン−アクリル系、アクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニル系、酢酸ビニル−アクリル系、酢酸ビニル−塩化ビニル系、ポリウレタン系、シリコン−アクリル系、アクリルシリコン系、ポリエステル系、エポキシ系の各樹脂を挙げることができる。
また、本発明では、顔料を分散するのに用いる樹脂として疎水性モノマーと親水性モノマーを構成成分として作成された樹脂を用いることができる。
疎水性モノマーとしては、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル等)、スチレン等が挙げられる。
親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド等が挙げられ、アクリル酸のような酸性基を有するものは、重合後に塩基で中和したものを好ましく用いることができる。
樹脂の分子量としては、重量平均分子量Mwで、3,000〜500,000のものを用いることができる。好ましくは、7,000〜200,000のものを用いることができる。
樹脂のTgは−30〜100℃程度のものを用いることができ、好ましくは−10〜80℃程度のものを用いることができる。
重合方法としては、溶液重合、乳化重合を用いることができる。重合はあらかじめ顔料と別途行ってもよいし、顔料を分散した系内にモノマーを供給して重合してもよい。
顔料を樹脂で被覆する方法としては、公知の種々の方法を用いることができるが、好ましくは、転相乳化法や酸析法の他に、顔料を重合性界面活性剤を用いて分散し、そこへモノマーを供給し、重合しながら被覆する方法から選択することがよい。より好ましい方法としては、水不溶性樹脂をメチルエチルケトン等の有機溶剤に溶解し、さらに塩基にて樹脂中の酸性基を部分的または完全に中和後、顔料及びイオン交換水を添加し、分散した後、有機溶剤を除去、必要に応じて加水し調製する製造方法が好ましい。
顔料と樹脂の質量比率は、顔料/樹脂比で100/40〜100/150から選択することができる。特に画像耐久性と射出安定性やインク保存性が良好なのは100/60〜100/110である。
水不溶性樹脂で被覆された顔料粒子の平均粒子径は、80〜150nm程度がインク保存安定性、発色性の観点から好ましい。
顔料粒子の平均粒子径は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることができる。また、透過型電子顕微鏡による粒子像撮影を少なくとも100粒子以上に対して行い、この像をImage−Pro(メディアサイバネティクス製)等の画像解析ソフトを用いて統計的処理を行うことによっても求めることが可能である。
また、自己分散顔料としては、表面処理済みの市販品を用いることもでき、例えば、CABO−JET200、CABO−JET300(以上、キャボット社製)、ボンジェットCW1(オリエント化学工業社製)等を挙げることができる。
本発明に使用できる顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料が使用できる。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料、カーボンブラック等の有機顔料が挙げられる。
具体的な有機顔料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
黒色用の顔料としてはカーボンブラックを好ましく用いることができる。
記録インクは、更に界面活性剤を含んでもよい。本発明で用いることのできる界面活性剤に特に制限はなく、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、および脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩類、および第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤;シリコン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤などを用いることができる。
本発明に係る記録インクにおいては、上記説明した以外に、必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、多糖類、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤等を挙げることができる。
本発明に係る記録インクでは、インクの粘度としては、25℃で1〜40mPa・sであることが好ましく、より好ましくは5〜40mPa・sであり、更に好ましくは5〜20mPa・sである。
2.反応性インク
本発明に係る反応性インクは、加水分解性シラン化合物を含有することにより、本発明に係る記録インク成分をガラス表面に対して密着させる機能を有する。
反応性インクは、インク中の樹脂と共有結合し得る加水分解性シラン化合物と有機溶剤を少なくとも含有し、水を実質的に含まないことを特徴とする。
反応性インクに含有される加水分解性シラン化合物は、インク中の樹脂と共有結合し得るものであれば格別限定されない。
加水分解性シラン化合物としては、例えば、加水分解性基としてアルコキシ基を有するアルコキシシランを好ましく挙げることができる。
加水分解性シラン化合物とインク中の樹脂との共有結合は、例えば加水分解性シラン化合物が有するアルコキシ基の加水分解により生じたOH基と樹脂との間で形成され得るものであってもよいし、加水分解性シラン化合物が有する他の反応性官能基と樹脂との間で形成され得るものがより好ましい。
例えば、加水分解性シラン化合物が有するアルコキシ基(RO)の加水分解により生じたOH基は、ガラス表面のシラノール基およびアクリル系樹脂等が有するカルボキシル基と共有結合を形成し得る。
また、上述した加水分解性シラン化合物が有する他の反応性官能基としては、共有結合対象となる樹脂が例えばアクリル系樹脂であれば、アミノ基やエポキシ基を好ましく用いることができる。反応性官能基の種類は、これに限定されず、記録インク中に含まれるアクリル系樹脂あるいはアクリル系樹脂以外の他の樹脂に合わせて、共有結合を形成可能な官能基を適宜選択して用いることができる。
本発明に係る反応性インクに適用可能な、インク中の樹脂と共有結合し得る加水分解性シラン化合物としては、具体的には、下記一般式(I)で表されるアルコキシシランを好ましく用いることができる。
(RO)SiX ・・・(I)
(式(I)中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基を表し、Xは水素、アルキル基、アリール基又は他の反応性官能基を表し、m+n=4、m=1〜4、n=0〜3である。)
他の反応性官能基としては、格別限定されないが、下記一般式(II)で表される官能基を好ましく用いることができる。
−RY ・・・(II)
(式(II)中、Rはアルキル基を表し、Yはアミノ基、ビニル基、メタクリル基、イソシアネート基、メルカプト基、ウレイド基、エポキシ基又は環状エポキシ基を表す。)
具体的なアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン等を好ましく例示できる。一般式(II)で表される官能基を有する加水分解性シラン化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等を好ましく例示できる。
反応性インクに含有される有機溶剤は、用いる加水分解性シラン化合物を溶解できるものであれば特に限定されず用いることができる。例えば、グリコールエーテルのモノアルキルエーテル類として、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびトリプロピレングリコールモノメチルエーテル等、グリコールエーテルのジアルキルエーテル類として、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、グリコールアセテート類として、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、等を単独または組合わせて用いることができるが、これらに限定するものではない。反応性インクに用いる有機溶剤の沸点は、インクジェットによる良好な吐出安定性を確保するために170℃以上であることが好ましい。
本発明において、反応性インクが水を実質的に含有しないのは、記録インクとの混合前において、加水分解性シラン化合物の加水分解の進行を防止するためである。実質的に含有しないとは、通常、反応性インクにおける水の含有量が、1重量%以下の範囲であることをいう。
反応性インクは、必要に応じてその他の成分を更に含んでもよい。その他の成分の例には、記録インクと同様の界面活性剤や添加剤等が含まれる。
3.インクジェット記録方法
本発明に係るインクジェット記録方法では、以上に説明したガラス用インクセットを用いて、インクジェット記録ヘッドより出射してガラス表面に付着させて画像形成する。
具体的には、ガラス表面上の同一領域において、記録インクと反応性インクとを接触させることにより画像が形成される。より具体的には、まずガラス表面に反応性インクを付着させ、次いでガラス表面における反応性インクが付着した領域に、インクジェット法により記録インクを付着させて画像記録を行うことが好ましい。
ガラス表面の画像形成領域に対する反応性インクの付与量は、特に制限は無いが、流れによる画像の乱れや、光沢の劣化などを引き起こさず、高品質な画像を得るという観点からは、0.5ml/m以上、15ml/m以下の範囲であり、更に好ましくは1.0ml/m以上、10ml/m以下の範囲である。
また、本発明に係るインクジェット記録方法では、記録インクをガラス表面に付与する際に、該ガラス表面を加熱した状態で記録インクを着弾させることが、本発明の効果を顕著に奏するという観点において好ましい。具体的には、記録インクを付着させる際におけるガラス表面の温度を35℃以上100℃以下の範囲に調整することが好ましい。これにより、ガラス表面に着弾した記録インク中からのアミンの蒸発が好適に促進され、pHが中性から酸側に低下することで、当該記録インクが、反応性インク中の加水分解性シランの反応性を高め易くなる。
ガラス表面の加熱方法としては、ガラス板搬送系もしくはプラテン部材に発熱ヒーターを組み込み、ガラス板背面から接触式で加熱する方法や、ランプ等により下方または上方から非接触で加熱する方法を選択することができる。
また、本発明では、印字後の後処理として、120〜180℃に加熱し、最終画像とすることも、好ましく選択することができる。
本発明のインクジェット記録方法では、ライン方式とシリアル方式の何れも適用できる。ライン方式とは、記録媒体の幅以上の長尺の固定された記録ヘッドを用いて、搬送される記録媒体に画像を形成する方式である。また、シリアル方式とは、記録ヘッドを搭載したキャリッジが、記録媒体の搬送方向に対して垂直方向に走査して画像を形成する方式である。
本発明に係るインクジェット記録方法では、以下に説明するように、シリアル方式を好ましく用いることができる。
図1は、本発明に係るインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を示す側面図である。
図1に示すように、本発明において、シリアル方式で画像形成する場合は、反応性インクを充填した反応性インク用ヘッド11と、記録インクを充填した記録インク用ヘッド12とを、第1ヘッドキャリッジ101と、第2ヘッドキャリッジ102とにそれぞれ搭載した2軸方式のインクジェット記録装置を用いることができる。第1及び第2ヘッドキャリッジ101、102は、それぞれ独立して設けられたキャリッジ軸(不図示)に沿って走査可能とされている。
画像記録時には、第1及び第2ヘッドキャリッジ101、102をそれぞれ独立して走査させながら、図中矢印方向に搬送されるガラス板G表面に各ヘッド11、12からインクを吐出させ、先に着弾した反応性インク上に、記録インクを着弾させるようにして画像記録を行う。
符号3〜5は、ヒーター(加熱手段)であり、ガラス板Gを搬送する搬送ステージ6の裏側に設けられている。ヒーター3〜5は、画像記録時において、ガラス板Gの裏面側から該ガラス板Gを加熱し、好ましくは、記録インクを付着させる際におけるガラス表面の温度を35℃以上100℃以下の範囲に調整する。
図2は、本発明に係るインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の他の例を示す上面図である。図中、図1と同符号は同構成を指す。
図2に示すように、本発明において、シリアル方式で画像形成する場合は、反応性インク用ヘッド11と記録インク用ヘッド12とを、キャリッジ軸103aに沿って走査する同一のヘッドキャリッジ103に搭載した1軸方式のインクジェット記録装置を用いることも好ましい。
ヘッドキャリッジ103には、ガラス板Gの搬送方向上流側に反応性インク用ヘッド11が配設され、下流側に記録インク用ヘッド12が配設されている。
画像記録時には、ヘッドキャリッジ103を走査させながら、図中矢印方向に搬送されるガラス板G表面に各ヘッド11、12からインクを吐出させ、先に着弾した反応性インク上に、記録インクを着弾させるようにして画像記録を行う。
反応性インク用ヘッド11と記録インク用ヘッド12とが、ガラス板Gの搬送方向に離間して配設されることにより、画像記録時において、反応性インクの着弾後、該反応性インクの着弾位置に記録インクを着弾させるまでの時間を確保し易い。これにより、記録インクの着弾前に、先に着弾した反応性インクの乾燥を十分に進行させることが容易になるため、液寄りによるピンホールの発生を更に防止でき、記録画像のガラス表面に対する密着性に更に優れる効果を得ることができる。
また、本発明においては、1回のキャリッジスキャンにおいて、記録インク用ヘッド12が、先に着弾した反応性インクの位置に記録インクを付着させると共に、反応性インク用ヘッド11が、ガラス板G表面における新たな画像形成領域に反応性インクを付着させることが好ましい。つまり、1回のキャリッジスキャンにおいて、反応性インクと記録インクの双方をガラス板G表面に付着させることが好ましい。
図2の例において、符号7、8は、ヘッドキャリッジ103に搭載された温風ヒーターであり、ヘッド11、12の走査方向両側に1つずつ設けられている。温風ヒーター7、8は、画像記録時において、ガラス板Gに着弾後のインクに向けて温風を送風し、乾燥を促進させる。温風ヒーターは、図1で説明した2軸方式のインクジェット記録装置においても、第1及び第2ヘッドキャリッジ101、102に適宜設けることができる。
また、図2の例においても、図1と同様に、ガラス板Gを搬送する搬送ステージ6の裏側にヒーターを設けることが好ましい。これにより、画像記録時において、ガラス板Gの裏面側からの加熱によって、該ガラス板Gを加熱し、好ましくは、反応性インク及び記録インクを付着させる際におけるガラス表面の温度を35℃以上100℃以下の範囲に調整する。
本発明において、反応性インク用ヘッド11と記録インク用ヘッド12とを同一のヘッドキャリッジ103に搭載する場合には、上記の例に限定されず、例えば、ガラス板Gの搬送方向と垂直な方向に反応性インク用ヘッド11及び記録インク用ヘッド12を並列してもよい。
本発明のインクセットが画像記録の対象とするガラスとしては、格別限定されるものではないが、ソーダ石灰ガラス、カリクリスタルガラス、鉛クリスタルガラス、硼珪酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス等を好ましく例示できる。ガラスはカリウム等とイオン交換した、いわゆる強化ガラスでもよい。ガラスは、透明であっても不透明であってもよく、また、可撓性を有するものであってもよい。
本発明に係るガラス用インクジェットインクセット及びそれを用いたインクジェット記録方法によって画像が記録されたガラスの用途は、格別限定されないが、例えば、表示装置のカラーフィルター用のブラックマトリックス、種々電子部材やレンズの光学制御に用いる遮光用途、ステンドグラスなどガラス向けグラフィック用途等に用いることが、薄膜で高濃度が得られ、耐久性の高い膜が得られる等の観点から、本発明による効果が特に活かされるため好ましい。
1.インクセットの調製
(顔料分散体の調製)
高分子分散剤としてスチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル678、分子量8500、酸価215)3質量部、顔料(カーボンブラック)15部、残部にイオン交換水を加えた液をプレミックスした後、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、顔料の含有量が15質量%の顔料分散液を調製した。この顔料分散体に含まれる顔料粒子の平均粒子径は122nmであった。なお、粒径測定はマルバーン社製ゼータサイザ1000HSにより行った。
(水溶性アクリル樹脂の合成)
滴下ロート、窒素導入管、還流冷却管、温度計および攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。そこへ、メタクリル酸メチルを87.2g、アクリル酸を7.8g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸を5g、メチルエチルケトン50g、開始剤(AIBN)500mgの混合物を滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後さらに6時間、加熱還流した。放冷後、減圧下加熱しメチルエチルケトンを留去した。イオン交換水100mlに上記重合物残渣を添加した液を表1に示す中和塩基で溶解し、表1に示すpHになるように中和塩基の量を調整した。イオン交換水で調整し固形分30%の水溶性アクリル樹脂水溶液を得た。
1−1.記録インク
顔料分散体33重量%、水溶性アクリル系樹脂水溶液17重量%、水30重量%、並びに、表1に示される水溶性溶剤20重量%を含み、且つ表1に示される中和塩基によってインクのpHを表1に示す値に調整された記録インク1〜13を得た。
1−2.反応性インク
反応性インクとしは、加水分解性シラン化合物(化合物名:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)1重量%、ジエチレングリコールジエチルエーテル99重量%からなるインクを用意した。
2.インクジェット記録方法
実施例に用いた評価プリンタは、図1に示した2軸方式のインクジェット記録装置と同様の構成を備えており、第1ヘッドキャリッジ1と第2ヘッドキャリッジ2が設置され、それぞれの下部と両ヘッドの間にヒーター3〜5が設置されている。第1ヘッドキャリッジ1には反応性インクを導入したヘッド11が搭載されており、第2ヘッドキャリッジには記録インクを導入したヘッド12が搭載されている。
搬送されるガラス板(ガラス板G)をヒーター3〜5によって加熱しながら、ガラス表面に反応性インクを付着させ、次いで、該ガラス表面における反応性インクが付着した領域に、記録インクを付着させて画像記録を行った。
3.評価方法
反応性インク1〜13のそれぞれについて、ガラス表面に形成された画像を、以下の評価方法で評価した。
3−1.液寄り(ピンホール)耐性
記録画像をマイクロスコープで観察し、ピンホールの発生の有無を観察した。下記基準に従って、液寄り(ピンホール)耐性を評価した。
○:ピンホールが発生していない
×:ピンホールが発生している
3−2.密着性の評価
記録画像について、乾いた木綿(カナキン3号)で擦り、下記基準に従って、密着性を評価した。
◎:50回以上擦っても画像はほとんど変化しない
○:50回擦った段階でわずかに傷が残るが、画像濃度にはほとんど影響しない
△:20〜50回擦る間に、画像濃度がやや低下するが、実用上許容される品質である
×:20回未満擦る間に、画像濃度が低下し、実用上は問題となる品質である
3−3.射出安定性の評価
A4サイズの前記記録媒体上に、連続して10枚のベタ画像を作成した後、インクジェットヘッドを25℃、55%RHの環境下で60分間放置した。その後、再度画像を形成して、得られた11枚目のベタ画像の画質を目視観察した。下記基準に従って、射出安定性を評価した。
◎:画像欠陥(スジ故障)は全く認められず、均一な画像である
○:画像の書き出し部(書き出し部から2mm以下の範囲)に、ごくわずかにかすれの発生が認められる
△:インクの射出不良に起因する画像欠陥(スジ故障)の発生がわずかに認められる
×:インクの射出不良に起因する画像欠陥(スジ故障)の発生が認められる
4.評価
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 2013234295
表1より、本発明に係るインクセットを用いたインク1〜3、10及び11は、液寄り(ピンホール)耐性、密着性及び射出安定性に優れることがわかる。
これに対して、記録インクのpHが7〜9の範囲外であるインク4、5、及び、中和塩基がアミンではないインク6〜9では、密着性及び射出安定性に劣ることがわかる。
また、溶媒としてグリコールエーテル類又は炭素数が4以上である1,2−アルカンジオール類を含んでいないインク12、13では、液寄り(ピンホール)耐性及び密着性に劣ることがわかる。
11:反応性インク用ヘッド
12:記録インク用ヘッド
101:第1ヘッドキャリッジ
102:第2ヘッドキャリッジ
103:ヘッドキャリッジ
103a:キャリッジ軸
3、4、5:ヒーター(加熱手段)
6:搬送ステージ
7、8:温風ヒーター
G:ガラス板(画像記録媒体)

Claims (4)

  1. 顔料、樹脂、水、及び、グリコールエーテル類又は炭素数が4以上である1,2−アルカンジオール類から選ばれた1又は2種以上を少なくとも含む水溶性溶剤を少なくとも含有する記録インクと、
    前記記録インク中の前記樹脂と共有結合し得る加水分解性シラン化合物と有機溶剤とを少なくとも含有し、水を実質的に含まない反応性インクと、から構成されるガラス用インクジェットインクセットであって、
    前記記録インクは、前記樹脂として、アミンにより該記録インクのpHが7〜9の範囲となるように中和溶解された水溶性アクリル系樹脂を少なくとも含むことを特徴とするガラス用インクジェットインクセット。
  2. 請求項1記載のガラス用インクジェットインクセットを用いて、ガラス表面に画像記録を行うインクジェット記録方法であって、
    前記ガラス表面に前記反応性インクを付着させ、
    次いで、前記ガラス表面における前記反応性インクが付着した領域に、インクジェット法により前記記録インクを付着させて画像記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
  3. 前記記録インクを付着させる際における前記ガラス表面の温度を35℃以上100℃以下の範囲に調整して加熱乾燥することを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録方法。
  4. 同一キャリッジ上に、前記反応性インクを充填した反応性インク用ヘッドと、前記記録インクを充填した記録インク用ヘッドとを備えたインクジェット記録装置を用い、1回のキャリッジスキャンにおいて、前記反応性インクと前記記録インクの双方を前記ガラス表面に付着させることを特徴とする請求項2又は3記載のインクジェット記録方法。
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