JP5359114B2 - 水性インクジェットインク及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、記録媒体を加熱して印字するのに用いる水性インクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法に関するものである。
近年、インクジェット記録方式は簡便かつ安価に画像を作製できるため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印刷分野に応用されてきている。
この様なインクジェット記録方式で用いられるインクジェットインクとしては、水と少量の有機溶剤からなる水性インク、有機溶剤を用いて実質的に水を含まない非水系インク、室温では固体のインクを加熱溶融して印字するホットメルトインク、印字後、光等の活性光線により硬化する活性光線硬化性インク等、複数のインクがあり、用途に応じて使い分けられている。
一方、長期の耐候性が求められる屋外掲示物や曲面を有する記録媒体への密着性が求められる印字物等の広い用途で、非吸水性の記録媒体であるポリ塩化ビニル製のシートが使用されている。ポリ塩化ビニル製の記録媒体に記録可能なインクジェットインクの例として、シクロヘキサノンを含有したインクジェットインクが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このようなインクジェットインクは、その溶剤を乾燥させる際に大気中に蒸発、飛散させるため、環境への負荷が課題となっている。加えて、作業者に対しても臭気や安全上の影響が懸念され、十分な換気等の設備対応が必要である。
上記課題に対して、記録媒体としてビニルフィルムまたはビニル樹脂を塗工した記録媒体を対象とし、インク可溶性樹脂を用いて加熱定着する水系顔料インクが開示されている(例えば、特許文献2、3参照。)。しかしながら、これらの特許文献に記載されたインクは、インクジェットにおける射出性と、屋外サイン用途などのプリント物を曲面などに張る観点から、一般に求められる画像部の柔軟性の両立を図ることが困難な課題であった。更に、特に、非吸水性記録媒体を用いた場合、画像の斑や物理的な力に対する画像の強度の改善が望まれている。
特表2002−526631号公報 特開2005−113147号公報 特開2007−297586号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、記録した画像部の柔軟性とインクジェットヘッドのメンテナンス性が良好で、更に画像部のスクラッチ耐性が良好で、ビーディング等の発生がない高品位な画像とインクの保存安定性が得られる水性インクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1. 記録媒体を加熱して印字するのに用いる水性インクジェットインクであって、少なくとも顔料前記顔料を分散させる高分子分散剤と、遊離の水溶性アクリル共重合樹脂、水分散型ポリマー微粒子、グリコールエーテル類もしくは炭素数が4以上である1,2−アルカンジオール類から選ばれる水溶性有機溶剤を有し、前記遊離の水溶性アクリル共重合樹脂のTgが65℃以上であり前記遊離の水溶性アクリル共重合樹脂の酸価が65mgKOH/g以上250mgKOH/g未満であり、前記水分散型ポリマー微粒子のTgが50℃未満であることを特徴とする水性インクジェットインク。
2.前記水分散型ポリマー微粒子のTgが、35℃未満であることを特徴とする前記1に記載の水性インクジェットインク。
3.前記グリコールエーテル類もしくは炭素数が4である1,2−アルカンジオール類から選ばれる水溶性有機溶媒が、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル及び1,2−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記1または2に記載の水性インクジェットインク。
4.前記水分散型ポリマー微粒子と顔料との質量比(水分散型ポリマー微粒子/顔料)が、0.2以上、2.0以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク。
5. 前記遊離の水溶性アクリル共重合樹脂は、中和塩基で中和されていることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク。
6. 前記水分散型ポリマー微粒子は、酸価が40mgKOH/g以上および平均粒子径が30nm以上300nm以下の少なくともいずれか一方の条件を満たすことを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク。
7. 前記1〜のいずれか1項に記載の水性インクジェットインクを用いて、非吸水性記録媒体に記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
8. 前記1〜のいずれか1項に記載の水性インクジェットインクを用いて記録を行った後、乾燥手段により、記録媒体を乾燥することを特徴とするインクジェット記録方法。
本発明により、記録した画像部の柔軟性とインクジェットヘッドのメンテナンス性が良好で、更にスクラッチ耐性が良好で、ビーディング等の発生がない高品位な画像とインクの保存安定性が得られる水性インクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、少なくとも顔料、遊離の水溶性アクリル共重合樹脂(以下、水溶性樹脂ともいう)、水分散型ポリマー微粒子(以下、ポリマー微粒子ともいう)、及びグリコールエーテル類もしくは炭素数が4以上である1,2−アルカンジオール類から選ばれる水溶性有機溶剤を有し、かつ遊離の水溶性アクリル共重合樹脂のTgが65℃以上で、該水分散型ポリマー微粒子のTgが50℃未満であることを特徴とする水性インクジェットインクは、記録媒体を加熱、印字して形成した画像の柔軟性とヘッドのメンテナンス後の復帰性が良好であり、同時に画像皮膜のスクラッチ耐性が良好で、ビーディングの発生のない高品位な画像が得られ、更にインクの保存性も優れていることを見出し、本発明に至った次第である。
従来、水性インクジェットインクにおいて、記録媒体への画像皮膜の堅牢性や柔軟性の観点から、Tgの低いポリマー微粒子を添加する検討がなされてきたが、記録ヘッドのノズル面に残ったインクが固着しやすく、メンテナンスによる復帰性が低いという課題があった。
この課題に対して、本発明で規定する構成からなるインクのように、Tgが50℃未満のポリマー微粒子に加え、Tgが65℃以上の水溶性樹脂を添加することにより、画像皮膜の柔軟性とインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドあるいはヘッドともいう)のメンテナンス後のノズルの復帰性を両立できることが、本発明者の検討により明らかとなった。
本発明の効果について、明確な解釈には至っていないが次のように考えている。
本発明のインクのように、Tgが65℃以上の水溶性アクリル共重合樹脂をポリマー微粒子と併用することで、ヘッドのノズル面にインクが残留しても、Tgが比較的高い水溶性樹脂により、インク自体の再溶解性が向上し、メンテナンス作業によるノズルの復帰が容易になったと推測している。一方、記録後の画像皮膜の柔軟性については、水溶性樹脂の影響よりも、Tgが50℃未満のポリマー微粒子の寄与が大きいため、Tgの高い水溶性樹脂を加えても、皮膜の柔軟性は維持されると考えている。
また、水溶性溶剤であるグリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類は、インク乾燥時に、水溶性樹脂と水分散型ポリマー微粒子の擬似架橋状態の形成を促進することで、インクの増粘性が高まり、ビーディング等の発生のない高画質を実現できる効果があるからと考えている。
以下、本発明の水性インクジェットインク(以下、単にインクともいう)の詳細について具体的に説明する。
〔水溶性アクリル共重合樹脂〕
はじめに、本発明に係る水溶性アクリル共重合樹脂について説明する。
本発明の水性インクジェットインクに用いる水溶性アクリル共重合樹脂のTgは、65℃以上であることを特徴の一つとする。本発明に係る水溶性アクリル共重合樹脂のガラス転移温度Tgが65℃以上であると、記録ヘッドのノズル面にインクが残ってノズル詰まりが生じた場合にも、インク流路からヘッドへの加圧や吸引によるインクの吐き出しによるメンテナンス作業により、ノズルが復帰しやすくなる。
本発明で規定する水溶性アクリル共重合樹脂のTgは、例えば、DSC−7示差走査カロリーメーター(パーキンエルマー社製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー社製)等の測定装置を用いて求めることができる。
具体的な測定手順として、水溶性アクリル共重合樹脂4.5〜5.0mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、DSC−7サンプルホルダーにセットする。
リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−Cool−Heatの温度制御で行い、その2nd Heatにおけるデータをもとに解析を行う。
ガラス転移温度は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移点として示す。
本発明に係る水溶性アクリル共重合樹脂は、画像の堅牢性(例えば、耐擦過性、アルコール耐性)を高める為に、インク中では安定に溶解しているが、記録媒体上での乾燥後は耐水性が付与される樹脂が好ましい。
このような水溶性樹脂としては、樹脂中に疎水性成分と親水性成分を有するものを設計して用いることができる。この際、親水性成分としては、イオン性のもの、ノニオン性のものどちらを用いても良いが、より好ましくはイオン性のものであり、さらに好ましくはアニオン性のものである。特にアニオン性のものを揮発可能な塩基成分で中和することで水溶性を付与したものが好ましい。
特に、水溶性樹脂の少なくとも1種は、酸性基としてカルボキシル基または、スルホン酸基を有しており、かつ酸価が60mgKOH/g以上、300mgKOH/g未満である樹脂が、本発明の効果発現上好ましい。
水溶性樹脂の疎水性モノマーとしては、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなど)、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジルなど)、スチレンなどが挙げられる。
本発明に係る水溶性樹脂の親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドなどが挙げられ、アクリル酸のような酸性基を有するものは、重合後に塩基で中和したものを好ましく用いることができる。
本発明に係る水溶性樹脂の分子量としては、平均分子量で、3000から30000のものを用いることができ、より好ましい分子量の範囲は7000から20000である。
本発明に係る水溶性樹脂のより好ましい酸価としては、65ないし250程度のものを用いることができ、重合方法としては、溶液重合を用いることが好ましい。
本発明に係る水溶性樹脂の酸性モノマー由来の酸性基は部分的あるいは完全に塩基成分で中和することが好ましい。この場合の中和塩基としては、アルカリ金属含有塩基、たとえば水酸化Na,K等や、アミン類(アンモニア、アルカノールアミン、アルキルアミン等を用いることができる)を用いることができる。特に、沸点が200℃未満のアミン類で中和することは、画像堅牢性向上の観点から特に好ましい。
疎水モノマーを重合成分として有する水溶性樹脂は、遊離のポリマーとして0.5質量%以上、8.0質量%以下の範囲で用いることができ。より好ましくは、1質量%以上、5質量%以下の範囲である。水溶性樹脂と本発明に用いる水分散型ポリマー微粒子の総量が1質量%以上、10質量%以下、より好ましくは3質量%以上、8質量%以下に調整することで良好な画像堅牢性と射出安定性が両立しやすい。
本発明でいう遊離ポリマーとは、インク中において顔料に吸着していない水溶性ポリマーを示している。顔料分散体とは別にインク調製時に、後から添加している水溶性ポリマーである。調製後のインクを10000rpmで30時間遠心分離した上澄液を用い、GPCにより遊離ポリマー量を測定すると、後から添加したポリマー量が検出されることから、遊離ポリマーと表現している。
〔水分散型ポリマー微粒子〕
次に、本発明に係る水分散型ポリマー微粒子について説明する。
本発明の水性インクジェットインクに用いる水分散型ポリマー微粒子のTgは49℃以下であることを特徴の1つとし、より好ましくは35℃未満である。ポリマー微粒子のTgが49℃以下であれば、画像部の皮膜の柔軟性が高まり、記録物の折り曲げや曲面への巻きつけなどにも印字部が記録媒体に追従しやすく、画像部のひび割れの発生を防止できる。
本発明に係る水分散型ポリマー微粒子のガラス転移温度Tgは、上記水溶性アクリル共重合樹脂のTgを測定する方法に準じて求めることができる。
本発明に係るポリマー微粒子は、水系で重合された分散物をそのまま、あるいは処理したものを用いてもよいし、溶媒系で重合されたポリマーを水系に分散したものを用いてもよく、アクリル系、ウレタン系、スチレン系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系、塩化ビニル系、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリロニトリル系、エチレン−酢酸ビニル系、ポリブタジエン系、ポリエチレン系、ポリイソブチレン系、ポリエステル系等から選択することができる。
インクの物性として、粘度に対するシェア依存性がないことが好ましく、この観点からポリマー微粒子の分散形態として、界面活性剤などの乳化剤を極力低濃度にするか、乳化剤を用いないソープフリー型の分散ポリマー粒子が好ましい。好ましい水分散型ポリマー微粒子は、カルボキシル基を有する不飽和ビニルを少なくとも単量体成分として重合した共重合体の自己分散型ディスパージョンであり、例えば、アクリル酸エチルなどのアクリル系モノマー単独もしくはアクリル系モノマーと共重合し得るエチレン性の不飽和モノマーからなる組成物にカルボン酸モノマーとしてアクリル酸やマレイン酸などを乳化重合もしくは懸濁重合して得られた分散液をアルカリで膨潤後、機械的せん断により粒子を分割して得られるアクリルヒドロゾルである。なお、アクリルヒドロゾルの中でも、樹脂の屈折率を高めて高い光沢感が得られる観点で、モノマー組成にスチレンを含有することが好ましい。
前記アルカリは、アンモニア、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジ−n−ブチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、2−アミノー2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノールなどのアミンであることが好ましく、アンモニア、2−アミノー2−メチル−1−プロパノールおよび2−メチルアミノエタノールが水分散型ポリマー微粒子の分散安定性において得に好ましい。
前記のアクリルヒドロゾルは、ジョンソンポリマー株式会社のジョンクリル(商標)などが市販されている。
本発明に係るポリマー微粒子の酸価は、30mgKOH/g以上のものが好ましく用いられ、より好ましくは40mgKOH/g以上である。ポリマー微粒子の酸価が30mgKOH/g以上であると、インク乾燥皮膜の良好な再分散・溶解性が得られる点で好ましい。酸化の上限は特に制限されるものではないが、より安定な分散物を得やすいという観点で110未満が好ましい。
本発明に係る水分散型ポリマー微粒子の平均粒子径は、ヘッドのノズルにおける目詰まりがなく、良好な光沢感が得られる点で300nm以下であることが好ましく、より好ましくは130nm以下である。平均粒子径の下限は、微粒子の製造安定性の観点から30nm以上が好ましい。なお、本発明に係る水分散型ポリマー微粒子の平均粒子径は、光散乱方式やレーザードップラー方式を用いた市販の測定装置を使用して簡便に計測することが可能である。また、水分散型ポリマー微粒子の分散物を凍結乾燥し、透過型顕微鏡で観察される粒子から平均粒子径を換算することもできる。
本発明に係る水分散型ポリマー微粒子の含有量は、インク全質量に対し0.7質量%以上、6.0質量%以下が好ましく、良好な定着性(耐擦過性、アルコール耐性)とインクの長期保存安定を得やすい。より好ましくは、1.0質量%以上、4.0質量%以下の範囲である。
〔水溶性有機溶剤〕
次に、本発明に係る水溶性有機溶剤であるグリコールエーテル類、炭素数が4以上である2−アルカンジオール類について説明する。
本発明のインクは、グリコールエーテル類もしくは炭素数が4以上である1,2−アルカンジオール類から選ばれる少なくとも1種の水溶性有機溶剤を含有することを特徴の一つとする。
水溶性有機溶剤の具体例としては、グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
また、炭素数が4以上の1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオールなどが挙げられる。添加量としては、インク全質量に対し、5.0質量%から30質量%の範囲で用いることが好ましい、より好ましくは7.0質量%から20質量%の範囲が、本発明の効果とインクの保存安定性を両立するために有効である。
特に好ましい水溶性有機溶剤は、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、1,2−ヘキサンジオールである。更に、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノアルキルエーテルにおいて、モノアルキルエーテル部分の炭素数が1から3の範囲を選択することが、本発明の効果とインクの保存安定性を両立する点において特に好ましい。
本発明のインクには、本発明に係るグリコールエーテル類、1,2−アルカンジオー類ル以外にも、本発明の目的効果を損なわない範囲で、従来公知の水溶性有機溶剤を添加することができる。
具体的には、本発明に用いることのできる水溶性有機溶剤としては、水性液媒体が好ましく用いられ、例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)などが挙げられる。
本発明において、記録媒体としてポリ塩化ビニル製のものを用いる場合には、ポリ塩化ビニルに対して膨潤性または溶解性が高い水溶性有機溶剤を用いることで、色材である顔料の定着性を向上することができ好ましい。
具体的には、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が挙げられる。
〔顔料〕
次に、本発明に係る顔料について説明する。
本発明において使用できる顔料としては、従来公知のものを特に制限なく使用でき、水分散性顔料、溶剤分散性顔料等何れも使用可能であり、例えば、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料及び、カーボンブラック等の無機顔料を好ましく用いることができる。この顔料は、インク中で分散された状態で存在させ、この分散の方式としては、自己分散、界面活性剤を用いた分散、ポリマー分散、マイクロカプセル分散の何れでも良いが、マイクロカプセル分散がインクの長期保存安定性の点から特に好ましい。
不溶性顔料としては、特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
好ましく用いることのできる具体的顔料としては、以下の顔料が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー15:3、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
本発明の水性インクジェットインクに含有する顔料の分散状態の平均粒子径は、50nm以上、200nm未満であることが好ましい。顔料分散体の平均粒子径が50nm未満あるいは200nm以上では顔料分散体の安定性が悪くなりやすく、インクの保存安定性が劣化しやすくなる。
顔料分散体の粒子径測定は、動的光散乱法、電気泳動法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることが出来るが、動的光散乱法による測定が簡便でこの粒子径領域の精度が良く多用される。
本発明で用いられる顔料は、分散剤及びその他所望する諸目的に応じて必要な添加物と共に分散機により分散して用いることが好ましい。分散機としては従来公知のボールミル、サンドミル、ラインミル、高圧ホモジナイザー等が使用できる。中でもサンドミルによる分散により製造されるインクの粒度分布がシャープであり好ましい。また、サンドミル分散に使用するビーズの材質はビーズ破片やイオン成分のコンタミネーションの点から、ジルコニアまたはジルコンが好ましい。さらに、このビーズ径としては0.3mm〜3mmが好ましい。
また、本発明のインクにおいては、本発明に係る水分散型ポリマー微粒子と顔料との質量比(水分散型ポリマー微粒子/顔料)が、0.2以上、2.0以下であることが、本発明の目的効果をより発現でき、特に、柔軟性及びメンテナンス性の両立を図ることができ、画像皮膜の強度が高まる観点からも好ましい。
〔高分子分散剤〕
本発明のインクでは、上記の顔料分散において高分子分散剤を用いることができる。
本発明でいう高分子分散剤とは、分子量が5000以上、200000以下の高分子成分を有する。高分子分散剤の種類としては、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩、ポリオキシアルキレン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等を挙げることができる。
酸性の高分子分散剤の場合、中和塩基で中和して添加することが好ましい。ここで中和塩基は特に限定されないが、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン等の有機塩基であることが好ましい。
また、本発明において、高分子分散剤の添加量としては、顔料に対し10〜100質量%であることが好ましい。
本発明に用いる顔料分散物は、顔料を樹脂で被覆したいわゆるカプセル顔料が特に好ましい。顔料を樹脂で被覆する方法としては公知の種々の方法を用いることができるが、好ましくは、展相乳化法や酸析法の他に、顔料を重合性界面活性剤を用いて分散し、そこへモノマーを供給し、重合しながら被覆する方法から選択することがよい。
より好ましい方法としては、水不溶性樹脂をメチルエチルケトンなどの有機溶剤に溶解し、さらに塩基にて樹脂中の酸性基を部分的、もしくは完全に中和後、顔料およびイオン交換水を添加し、分散したのち、有機溶剤を除去、必要に応じて加水し作製する製造方法が好ましい。
顔料と樹脂の質量比率は、顔料:樹脂比で100:40から100:150の範囲で選択することができる。特に画像耐久性と射出安定性やインク保存性が良好なのは100:60から100:110の範囲である。
〔界面活性剤〕
次に、本発明に適用することができる界面活性剤について説明する。
本発明において、吸水性記録媒体に対する浸透性や非吸水性記録媒体に対する十分な濡れ性を有する必要性から、インクの表面張力は32mN/m以下が好ましく、30mN/m以下に調整することがより好ましい。
本発明に用いることができる界面活性剤は、インクの表面張力を32mN/m以下に調整できるものであれば、特に制限なく用いることができるが、インクのほかの構成成分にアニオン性の化合物を含有することから、界面活性剤のイオン性はアニオン、ノニオンまたはベタイン型が好ましい。
本発明において、好ましくは静的な表面張力の低下能が高いフッ素系またはシリコン系界面活性剤や、動的な表面張力の低下能が高い、ジオクチルスルホサクシネートなどのアニオン性活性剤、比較的低分子量のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アセチレングリコール類、プルロニック型界面活性剤、ソルビタン誘導体などのノニオン性界面活性剤が好ましく用いられる。フッ素系またはシリコン系活性剤と、前記動的な表面張力の低下能が高い界面活性剤を併用して用いることも好ましい。
〔その他のインク添加剤〕
本発明のインクには、上記以外にも、必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤等、を適宜選択して用いることができ、例えば流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号等に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載の退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載される蛍光増白剤等を挙げることができる。
〔記録媒体〕
次に、本発明に係る非吸水性記録媒体について説明する。
本発明のインクは、塩化ビニルシートなどの非吸収性媒体へのプリントはもとより、普通紙、コート紙、インクジェット専用紙などへのプリントに適している。
非吸収性記録媒体としては、高分子シート、ボード(例えば、軟質塩化ビニル、硬質塩化ビニル、アクリル板、ポリオレフィン系など)、ガラス、タイル、ゴム、合成紙などが挙げられる。
低吸収性もしくは吸収性記録媒体としては、普通紙(例えば、コピー紙、印刷用普通紙)、コート紙、アート紙、インクジェット専用紙、インクジェット光沢紙、ダンボール、木材などが挙げられる。
特に、良好な画像と高い画像堅牢性が得られる好ましい非吸水性記録媒体は、記録面側に少なくともポリ塩化ビニルを有する記録媒体である。
ポリ塩化ビニルからなる記録媒体の具体例としては、SOL−371G、SOL−373M、SOL−4701(以上、ビッグテクノス株式会社製)、光沢塩ビ(株式会社システムグラフィ社製)、KSM−VS、KSM−VST、KSM−VT(以上、株式会社きもと製)、J−CAL−HGX、J−CAL−YHG、J−CAL−WWWG(以上、株式会社共ショウ大阪製)、BUS MARK V400 F vinyl、LITEcal V−600F vinyl(以上、Flexcon社製)、FR2(Hanwha社製)LLBAU13713、LLSP20133(以上、桜井株式会社製)、P−370B、P−400M(以上、カンボウプラス株式会社製)、S02P、S12P、S13P、S14P、S22P、S24P、S34P、S27P(以上、Grafityp社製)、P−223RW、P−224RW、P−249ZW、P−284ZC(以上、リンテック株式会社製)、LKG−19、LPA−70、LPE−248、LPM−45、LTG−11、LTG−21(以上、株式会社新星社製)、MPI3023(株式会社トーヨーコーポレーション社製)、ナポレオングロス 光沢塩ビ(株式会社二樹エレクトロニクス社製)、JV−610、Y−114(以上、アイケーシー株式会社製)、NIJ−CAPVC、NIJ−SPVCGT(以上、ニチエ株式会社製)、3101/H12/P4、3104/H12/P4、3104/H12/P4S、9800/H12/P4、3100/H12/R2、3101/H12/R2、3104/H12/R2、1445/H14/P3、1438/One Way Vision(以上、Inetrcoat社製)、JT5129PM、JT5728P、JT5822P、JT5829P、JT5829R、JT5829PM、JT5829RM、JT5929PM(以上、Mactac社製)、MPI1005、MPI1900、MPI2000、MPI2001、MPI2002、MPI3000、MPI3021、MPI3500、MPI3501(以上、Avery社製)、AM−101G、AM−501G(以上、銀一株式会社製)、FR2(ハンファ・ジャパン株式会社製)、AY−15P、AY−60P、AY−80P、DBSP137GGH、DBSP137GGL(以上、株式会社インサイト社製)、SJT−V200F、SJT−V400F−1(以上、平岡織染株式会社製)、SPS−98、SPSM−98、SPSH−98、SVGL−137、SVGS−137、MD3−200、MD3−301M、MD5−100、MD5−101M、MD5−105(以上、Metamark社製)、640M、641G、641M、3105M、3105SG、3162G、3164G、3164M、3164XG、3164XM、3165G、3165SG、3165M、3169M、3451SG、3551G、3551M、3631、3641M、3651G、3651M、3651SG、3951G、3641M(以上、Orafol社製)、SVTL−HQ130(株式会社ラミーコーポレーション製)、SP300 GWF、SPCLEARAD vinyl(以上、Catalina社製)、RM−SJR(菱洋商事株式会社製)、Hi Lucky、New Lucky PVC(以上、LG社製)、SIY−110、SIY−310、SIY−320(以上、積水化学工業株式会社製)、PRINT MI Frontlit、PRINT XL Light weight banner(以上、Endutex社製)、RIJET 100、RIJET 145、RIJET165(以上、Ritrama社製)、NM−SG、NM−SM(日栄化工株式会社製)、LTO3GS(株式会社ルキオ社製)、イージープリント80、パフォーマンスプリント80(以上、ジェットグラフ株式会社製)、DSE 550、DSB 550、DSE 800G、DSE 802/137、V250WG、V300WG、V350WG(以上、Hexis社製)、Digital White 6005PE、6010PE(以上、Multifix社製)等が挙げられる。
〔インクジェット記録方法〕
本発明のインクジェット記録方法においては、本発明のインクを用いて記録媒体上に画像を記録する際に、記録媒体の記録面側を加熱して記録することを特徴とする。記録媒体を加熱することにより、インクの乾燥性および増粘速度が向上し、高画質が得られ、加えて、形成した画像の耐久性も向上する観点から好ましい。
加熱温度としては、記録媒体の記録面側の表面温度を35℃以上、90℃以下になるように加熱することが好ましい。35℃以上、90℃以下に加熱することで、高画質と、十分な画像耐久性が得やすいことに加え、乾燥に時間の短縮、インク射出に大きな影響を与えずに、安定にプリントすることができる。より好ましくは、記録媒体の記録表面温度を40℃以上、60℃以下である。
加熱方法としては、記録媒体搬送系もしくはプラテン部材に発熱ヒーターを組み込み、記録媒体下方より接触式で加熱する方法や、ランプ等により下方、もしくは上方から非接触で加熱方法を選択することができる。
〔インクジェットヘッド〕
本発明のインクジェット記録方法で、本発明のインクを吐出して画像形成を行う際に使用するインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。又吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)等など何れの吐出方式を用いても構わない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《インクの調製》
〔シアン顔料分散体の調製〕
顔料分散剤としてスチレンーアクリル酸共重合体(ジョンクリル678、分子量8500、酸価215mgKOH/g)3.0部、ジメチルアミノエタノール1.3部、イオン交換水80.7部を70℃で攪拌混合し溶解した。
次いで、上記溶液にC.I.ピグメントブルー15:3を15部添加し、プレミックスした後、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、シアン顔料の含有量が15%のシアン顔料分散液を調製した。
〔水性インクジェットインクの調製〕
(インク1の調製)
上記シアン顔料分散体の20.0部を攪拌しながら、表1に記載の水溶性アクリル共重合物水溶液A(ジョンクリル60J、ジョンソンポリマー株式会社製、Tg85℃、固形分濃度34.0%)5.9部を添加し、次いで、下記に示す各化合物を順次添加してインク組成物を調製した後、0.8μmのフィルターによりろ過してて、インク1を得た。
顔料分散液 20.0部
水溶性アクリル共重合物水溶液A(ジョンクリル60J) 5.9部
水分散型ポリマー微粒子c(ジョンクリルPDX−7692、ジョンソンポリマー株式会社製、Tg49℃、固形分濃度36.5%) 4.1部
1,2−ヘキサンジオール 8.0部
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル 10.0部
プロピレングリコール 10.0部
界面活性剤(BYK−347、ビックケミー社製) 0.5部
イオン交換水 41.5部
(インク2〜16の調製)
上記インク1の調製において、表1に記載の水溶性アクリル共重合物水溶液と水分散型ポリマー微粒子の種類、水溶性有機溶剤の種類と添加量を表2に示すように変更した以外は同様にしてインク2〜16を作製した。なお、表2に示す水溶性アクリル共重合物水溶液および水分散型ポリマー微粒子の添加量は、固形分質量に換算したものとして表す。
なお、表2において略称で記載した各水溶性有機溶剤の詳細は、以下の通りである。
〈水溶性有機溶剤〉
HDO:1,2−ヘキサンジオール
TPGME:トリプロピレングリコールモノメチルエーテル
DPGME:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
PGPE:プロピレングリコールモノプロピルエーテル
DEGBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
DEG:ジエチレングリコール
PG:プロピレングリコール
Figure 0005359114
《画像の形成》
ノズル口径28μm、駆動周波数18kHz、ノズル数512、最小液適量14pl、ノズル密度180dpi(dpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりのノズル数を表す)であるピエゾ型ヘッドを搭載し、最大記録密度が1440×1440dpiであるオンデマンド型インクジェットプリンタに、各インクを装填した。
次いで、各インクを、ポリ塩化ビニル製の記録媒体であるJT5929PM(Mactac社製)に印字解像度:720dpi×720dpi、ヘッド搬送速度:200mm/sec双方向プリントの条件で出射し、10cm×10cmのベタ画像をプリントし記録画像とした。
なお、ポリ塩化ビニル製の記録媒体へのプリント中は、記録媒体を裏面から加温して、画像記録時の記録媒体の表面温度が45℃になるようにヒーターで制御した。記録後は、加熱ファンを用いて記録物を乾燥した。尚、記録媒体の表面温度は、非接触温度計(IT−530N形 (株)堀場製作所社製)を用いて測定した。
《記録画像の評価》
上記作成した記録画像について、下記の方法に従い評価を行った。
(柔軟性の評価)
3mm径のステンレス棒に各記録画像の形成面を外側にして巻きつけ、その時に発生したヒビ割れの発生度合いを目視観察し、下記の基準に則り柔軟性を評価した。
◎:折り曲げ(巻きつけ)により全くヒビが発生しない
○:10回以上折り曲げ(巻きつけ)ると、弱いひび割れの発生が認められる
△:2回以上10回未満折り曲げ(巻きつけ)ると、弱いひび割れの発生が認められる
×:一度折り曲げ(巻きつけ)ると、明らかにヒビ割れが発生する
(メンテナンス復帰性の評価)
15℃,40%RHの環境下で、インクを5分間連続吐出後、ノズル面にキャップをせずに10分間放置した。その後、メンテナンス作業を行い、各ノズルの復帰性について確認を行い、下記の基準に従ってメンテナンス復帰性の評価を行った。
◎:1回のメンテナンス作業で正常に復帰する
○:2回のメンテナンス作業で正常に復帰する
△:3〜6回のメンテナンス作業で正常に復帰する
×:6回のメンテナンス作業でも正常に復帰しない
(スクラッチ耐性の評価)
作成した各ベタ画像に対して、スクラッチ強度試験機 HEIDON−18(HEIDON社製)を用い、測定針は0.8mmRのサファイヤ針を用いて測定した。測定は一定荷重で10cmの引掻き試験を3回行い、支持体まで傷が入った箇所が存在しない限度荷重を本発明のスクラッチ強度とし、以下の基準で判断した。
○:100g以上
△:100g未満で50g以上
×:50g未満
(ビーディング耐性の評価)
作成した各ベタ画像について、目視でビーディング(画像の斑)の発生を観察し、下記の基準に従ってビーディング耐性の評価を行った。
◎:いずれの濃度でも画像の斑は生じておらず、均一な画像が得られている
○:中間領域の濃度で画像のまだらが僅かに生じているが、概ね均一な画像が得られている
△:中間領域の濃度で画像の弱い斑が生じているが、許容範囲にある
×:ほとんどの濃度領域で画像の斑が生じており、全体的に均一性に欠ける画像となっている
(インク保存性の評価)
調製した各インクを70℃で2週間保存した後、特開2002−363469号公報の図2に記載のストロボ発光方式のインク飛翔観察装置を用いて、吐出周期と発光周期を同期させCCDカメラにより、各インクの飛翔状態をモニターした。下記基準に従い出射安定性の評価とした。
○:2週間の保存において全ノズルで射出異常なし
△:2週間の保存において、飛翔方向の曲がりが観測されるノズルが見られるが実用上許容できる範囲である
×:2週間の保存において、1個以上のノズルで目詰まりが発生し実用上許容範囲外である
以上により得られた結果を、表2に示す。
Figure 0005359114
表2に記載の結果より明らかなように、本発明の要件を満たすインクは印字部の膜の柔軟性とヘッドのメンテナンス性との両立に有効であり、さらにはビーディングの発生が抑制された画像が得られ、スクラッチ耐性およびインクの保存性も良好な結果を示した。
実施例2
《インクの調製》
(インク17〜22の調製)
実施例1で調製したインク3において、顔料分散体と水分散型ポリマー微粒子の添加量およびそれらの比率(質量比)を表3に示すように変更した以外は同様にして、インク17〜22を調製した。なお、表3に示す顔料分散体および水分散型ポリマー微粒子の添加量は、固形分質量に換算したものとして表す。
《画像の形成》
実施例1と同様の条件で、各インクをポリ塩化ビニル製の記録媒体に、10cm×10cmのベタ画像をプリントし記録画像とした。
《記録画像の評価》
上記作成した各記録画像について、実施例1と同様の方法で、柔軟性の評価およびメンテナンス復帰性の評価を行った。
以上により得られた結果を、表3に示す。
Figure 0005359114
表3に記載の結果より明らかなように、水分散型ポリマー微粒子と顔料との質量比(水分散型ポリマー微粒子/顔料)が、0.2以上、2.0以下の範囲にあるインクは、より一層柔軟性及びメンテナンス性の両立を図ることができる、ことが分かる。

Claims (8)

  1. 記録媒体を加熱して印字するのに用いる水性インクジェットインクであって
    少なくとも顔料前記顔料を分散させる高分子分散剤と、遊離の水溶性アクリル共重合樹脂、水分散型ポリマー微粒子、グリコールエーテル類もしくは炭素数が4以上である1,2−アルカンジオール類から選ばれる水溶性有機溶剤を有し、
    前記遊離の水溶性アクリル共重合樹脂のTgが65℃以上であり前記遊離の水溶性アクリル共重合樹脂の酸価が65mgKOH/g以上250mgKOH/g未満であり、
    前記水分散型ポリマー微粒子のTgが50℃未満であることを特徴とする水性インクジェットインク。
  2. 前記水分散型ポリマー微粒子のTgが、35℃未満であることを特徴とする請求項1に記載の水性インクジェットインク。
  3. 前記グリコールエーテル類もしくは炭素数が4である1,2−アルカンジオール類から選ばれる水溶性有機溶媒が、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル及び1,2−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性インクジェットインク。
  4. 前記水分散型ポリマー微粒子と顔料との質量比(水分散型ポリマー微粒子/顔料)が、0.2以上、2.0以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク。
  5. 前記遊離の水溶性アクリル共重合樹脂は、中和塩基で中和されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク。
  6. 前記水分散型ポリマー微粒子は、酸価が40mgKOH/g以上であることおよび平均粒子径が30nm以上300nm以下であることの少なくともいずれか一方の条件を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の水性インクジェットインクを用いて、非吸水性記録媒体に記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の水性インクジェットインクを用いて記録を行った後、乾燥手段により、記録媒体を乾燥することを特徴とするインクジェット記録方法。
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