JP2013234209A - フッ素樹脂オルガノゾルの製造方法、フッ素樹脂オルガノゾルおよびコーティング用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを含む含フッ素共重合体(ETFE)が有機媒体に高濃度でかつ均一に分散されたフッ素樹脂オルガノゾルを比較的低温で製造する方法およびその方法により得られるフッ素樹脂オルガノゾル、ならびにこれを主成分とするコーティング用組成物を提供する。
【解決手段】ETFEを分散質としETFEの融点以下の温度で該ETFEを溶解しうる溶媒を分散媒とするフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法であって、ETFEを溶媒に溶解して溶液とする溶解工程と、前記溶液において溶媒中にETFEを微粒子として析出させる析出工程と、ETFEを微粒子として含有する溶媒とETFEとの混合物に高剪断力を加えて溶媒に該ETFEの微粒子を均一に分散させる解砕・分散工程と、を有することを特徴とするフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】ETFEを分散質としETFEの融点以下の温度で該ETFEを溶解しうる溶媒を分散媒とするフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法であって、ETFEを溶媒に溶解して溶液とする溶解工程と、前記溶液において溶媒中にETFEを微粒子として析出させる析出工程と、ETFEを微粒子として含有する溶媒とETFEとの混合物に高剪断力を加えて溶媒に該ETFEの微粒子を均一に分散させる解砕・分散工程と、を有することを特徴とするフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、フッ素樹脂オルガノゾルの製造方法、およびそれにより得られるフッ素樹脂オルガノゾル、ならびにこれを主成分とするコーティング用組成物に関する。
フッ素樹脂は、耐溶剤性、低誘電性、低表面エネルギー性、非粘着性、耐候性等に優れていることから、汎用のプラスチックスでは使用できない種々の用途に用いられている。中でもエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(以下、ETFEともいう。)は、耐熱性、難燃性、耐薬品性、耐候性、低摩擦性、低誘電特性、透明性等に優れることから、耐熱電線用被覆材料、ケミカルプラント用耐食配管材料、農業用ビニルハウス用材料、金型用離型フィルム等の幅広い分野に用いられている。
しかし、ETFEは、一般に溶剤に不溶で溶液の塗布による塗膜形成ができないため、ETFEの成形方法としては、下記特許文献のような特殊な場合を除いては、押出成形、射出成形、粉体塗装等のように、ETFEを熱溶融して成形する方法に限られていた。
基材上にETFE塗膜を形成する方法としては、ETFE粉末の回転溶融成形法や静電粉体塗装法などが知られている。しかし、これらの方法では、特殊な装置が必要とされる。さらに、基材に密着し、ピンホールのない十分な物性を持った塗膜を形成するには、上記のようにETFEを溶融して成形する、つまりETFEの融点以上への加熱が必要であった。そのため、ETFEの融点以下で変形する基材上にETFE塗膜を形成することは困難であった。
一方、ETFEの溶液を得る試みが報告されている。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3によれば、アジピン酸ジイソブチルのような高沸点の化合物とETFEとを230℃以上という高温で撹拌してETFEを溶解した後、さらに激しく撹拌しながら冷却することでETFE懸濁液を得る。ついで、ETFEをろ過により分離し、さらにケロセンとアジピン酸ジイソブチルの混合溶媒に分散してETFE分散液を得る。該分散液を銅線に塗布し、450℃という高温で塗膜を形成した旨の記載がある。しかし、この方法では、ETFE懸濁液の調製に煩雑な操作が必要であり、また、十分な物性を持ったETFE被覆電線を得るには高温処理の工程が必要である。
その他に、低分子量のクロロトリフルオロエチレンオリゴマーのオイルを媒体としてETFE溶液を得る試みが報告されている(特許文献4を参照)。しかし、該オイルは沸点が高く、乾燥しにくいことから、ETFE塗膜の形成に用いるのは容易でない。さらに、該オイルを用いて得られたETFE分散液は、室温付近では流動性がなく、塗膜の形成には適用できない。
ところが、最近、特許文献5、6に開示されているように、ETFEが特定の媒体に対して、ETFEの融点よりも50℃以上も低い温度で溶解する例が報告されている。この方法を用いると比較的低い温度で、ETFEの溶液を得ることができ、これを冷却することによって、ETFE分散液を得ることができるが、ETFEの濃度を高くすると、ゲル化してしまったり、均一な分散液が得られないなどの問題点があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを含む含フッ素共重合体が有機媒体に高濃度でかつ均一に分散されたフッ素樹脂オルガノゾルを比較的低温で製造する方法およびその方法により得られるフッ素樹脂オルガノゾル、ならびにこれを主成分とするコーティング用組成物を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する、フッ素樹脂オルガノゾルの製造方法およびその方法により得られるフッ素樹脂オルガノゾル、ならびに該フッ素樹脂オルガノゾルを用いたコーティング用組成物を提供する。
[1]エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを有する含フッ素共重合体を分散質とし、前記含フッ素共重合体の融点以下の温度で該含フッ素共重合体を溶解しうる溶媒を分散媒とするフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法であって、
前記含フッ素共重合体を前記溶媒に溶解して溶液とする溶解工程と、
前記溶液において前記溶媒中に前記含フッ素共重合体を微粒子として析出させる析出工程と、
前記含フッ素共重合体を微粒子として含有する前記溶媒と含フッ素共重合体との混合物に高剪断力を加えて前記溶媒に該含フッ素共重合体の微粒子を均一に分散させる解砕・分散工程と
を有することを特徴とするフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
[1]エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを有する含フッ素共重合体を分散質とし、前記含フッ素共重合体の融点以下の温度で該含フッ素共重合体を溶解しうる溶媒を分散媒とするフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法であって、
前記含フッ素共重合体を前記溶媒に溶解して溶液とする溶解工程と、
前記溶液において前記溶媒中に前記含フッ素共重合体を微粒子として析出させる析出工程と、
前記含フッ素共重合体を微粒子として含有する前記溶媒と含フッ素共重合体との混合物に高剪断力を加えて前記溶媒に該含フッ素共重合体の微粒子を均一に分散させる解砕・分散工程と
を有することを特徴とするフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
[2]前記析出工程と解砕・分散工程を同時に行うことを特徴とする[1]記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
[3]前記高剪断力を高速回転、高圧噴射、高速振動、超音波処理および高圧濾過よりなる群から選ばれる少なくとも1種の方法で加えることを特徴とする[1]または[2]記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
[4]前記溶解を40℃以上前記含フッ素共重合体の融点以下の温度で行い、前記析出を冷却により行う[1]〜[3]のいずれか1項に記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
[3]前記高剪断力を高速回転、高圧噴射、高速振動、超音波処理および高圧濾過よりなる群から選ばれる少なくとも1種の方法で加えることを特徴とする[1]または[2]記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
[4]前記溶解を40℃以上前記含フッ素共重合体の融点以下の温度で行い、前記析出を冷却により行う[1]〜[3]のいずれか1項に記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
[5]前記溶解工程における含フッ素共重合体と溶媒の配合割合が、含フッ素共重合体:溶媒で示される質量比で、1.0:99.0〜70.0:30.0である[1]〜[4]のいずれかに記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
[6]前記溶媒における、下記式(1)で示されるハンセン溶解度パラメータに基づく前記含フッ素共重合体に対する溶解指標(R)が25未満である[1]〜[5]のいずれかに記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
R=4×(δd−15.7)2+(δp−5.7)2+(δh−4.3)2 …(1)
(式(1)中、δd、δpおよびδhは、ハンセン溶解度パラメータにおける、分散項、極性項および水素結合項をそれぞれ示し、単位はいずれも(MPa)1/2である。)
[7]前記含フッ素共重合体の微粒子における平均粒子径が、25℃において、動的光散乱法で測定した個数平均粒子径として0.005〜5μmの範囲にある、[1]〜[6]のいずれかに記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
[6]前記溶媒における、下記式(1)で示されるハンセン溶解度パラメータに基づく前記含フッ素共重合体に対する溶解指標(R)が25未満である[1]〜[5]のいずれかに記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
R=4×(δd−15.7)2+(δp−5.7)2+(δh−4.3)2 …(1)
(式(1)中、δd、δpおよびδhは、ハンセン溶解度パラメータにおける、分散項、極性項および水素結合項をそれぞれ示し、単位はいずれも(MPa)1/2である。)
[7]前記含フッ素共重合体の微粒子における平均粒子径が、25℃において、動的光散乱法で測定した個数平均粒子径として0.005〜5μmの範囲にある、[1]〜[6]のいずれかに記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
[8]前記高剪断力を粘度調整剤の存在下で加えることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
[9]前記粘度調整剤が、ハロゲン基で置換されていてもよく結合末端以外の任意の−CH2−が酸素原子に置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基と、アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、水酸基およびメルカプト基から選ばれる少なくとも1種の官能基と、を有する化合物である[1]〜[8]のいずれかに記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
[10]前記含フッ素共重合体を構成するテトラフルオロエチレンおよびエチレン以外の共単量体に基づく繰り返し単位の割合が、0.1〜50モル%である、[1]〜[9]のいずれかに記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
[11]前記含フッ素共重合体が、カルボン酸基、酸無水物基およびカルボン酸ハライド基から選ばれる少なくとも1種を有する含フッ素共重合体である、[1]〜[10]のいずれかに記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
[12][1]〜[11]のいずれかに記載の製造方法により得られるフッ素樹脂オルガノゾルを主成分とするコーティング用組成物。
[9]前記粘度調整剤が、ハロゲン基で置換されていてもよく結合末端以外の任意の−CH2−が酸素原子に置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基と、アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、水酸基およびメルカプト基から選ばれる少なくとも1種の官能基と、を有する化合物である[1]〜[8]のいずれかに記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
[10]前記含フッ素共重合体を構成するテトラフルオロエチレンおよびエチレン以外の共単量体に基づく繰り返し単位の割合が、0.1〜50モル%である、[1]〜[9]のいずれかに記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
[11]前記含フッ素共重合体が、カルボン酸基、酸無水物基およびカルボン酸ハライド基から選ばれる少なくとも1種を有する含フッ素共重合体である、[1]〜[10]のいずれかに記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
[12][1]〜[11]のいずれかに記載の製造方法により得られるフッ素樹脂オルガノゾルを主成分とするコーティング用組成物。
本発明によれば、エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを含む含フッ素共重合体が有機媒体に高濃度でかつ均一に分散されたフッ素樹脂オルガノゾルを比較的低温で製造可能である。また、本発明のフッ素樹脂オルガノゾルならびにこれを主成分とするコーティング用組成物を用いれば、比較的低温で塗布、乾燥する簡便な方法で均質な塗膜を形成することが可能である。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本明細書において、オルガノゾルとは、固体微粒子が有機溶媒に分散したものをいう。また、フッ素樹脂オルガノゾルとは、上記固体微粒子として、フッ素樹脂の微粒子を含むものをいう。
[フッ素樹脂オルガノゾルの製造方法]
本発明は、エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを有する含フッ素共重合体を分散質とし、前記含フッ素共重合体の融点以下の温度で該含フッ素共重合体を溶解しうる溶媒を分散媒とするフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法であって、以下の(1)溶解工程、(2)析出工程、および(3)解砕・分散工程を有することを特徴とする。
(1)前記含フッ素共重合体を前記溶媒に溶解して溶液とする溶解工程
(2)前記溶液において前記溶媒中に前記含フッ素共重合体を微粒子として析出させる析出工程
(3)前記含フッ素共重合体を微粒子として含有する前記溶媒と含フッ素共重合体との混合物に高剪断力を加えて前記溶媒に該含フッ素共重合体の微粒子を均一に分散させる解砕・分散工程
本明細書において、オルガノゾルとは、固体微粒子が有機溶媒に分散したものをいう。また、フッ素樹脂オルガノゾルとは、上記固体微粒子として、フッ素樹脂の微粒子を含むものをいう。
[フッ素樹脂オルガノゾルの製造方法]
本発明は、エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを有する含フッ素共重合体を分散質とし、前記含フッ素共重合体の融点以下の温度で該含フッ素共重合体を溶解しうる溶媒を分散媒とするフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法であって、以下の(1)溶解工程、(2)析出工程、および(3)解砕・分散工程を有することを特徴とする。
(1)前記含フッ素共重合体を前記溶媒に溶解して溶液とする溶解工程
(2)前記溶液において前記溶媒中に前記含フッ素共重合体を微粒子として析出させる析出工程
(3)前記含フッ素共重合体を微粒子として含有する前記溶媒と含フッ素共重合体との混合物に高剪断力を加えて前記溶媒に該含フッ素共重合体の微粒子を均一に分散させる解砕・分散工程
なお、本発明の製造方法により得られるフッ素樹脂オルガノゾルとは、常温(5℃〜40℃)、常圧(0.1MPa)条件下でオルガノゾルの性状を示すものであれば、他の温度、圧力条件下での性状は特に制限されない。例えば、常温以上含フッ素共重合体の融点以下のある温度では溶液状態のものであってもよい。また、本発明の製造方法により得られるフッ素樹脂オルガノゾルは、必須成分である含フッ素共重合体の微粒子と溶媒とがオルガノゾルを形成している限りにおいて、これら以外の任意成分を含有していてもよい。
(1)溶解工程
本発明の製造方法における溶解工程は、フッ素樹脂オルガノゾルにおいて微粒子の形態で分散質となる、エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを含有する含フッ素共重合体を、フッ素樹脂オルガノゾルにおいて分散媒として機能する、前記含フッ素共重合体の融点以下の温度で該含フッ素共重合体を溶解しうる溶媒に溶解する工程である。
本発明の製造方法における溶解工程は、フッ素樹脂オルガノゾルにおいて微粒子の形態で分散質となる、エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを含有する含フッ素共重合体を、フッ素樹脂オルガノゾルにおいて分散媒として機能する、前記含フッ素共重合体の融点以下の温度で該含フッ素共重合体を溶解しうる溶媒に溶解する工程である。
(含フッ素共重合体)
本発明のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法に用いる含フッ素共重合体としては、エチレンに基づく繰り返し単位と、テトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを含有する含フッ素共重合体であれば、他に特に限定されない。このような含フッ素共重合体の例として、具体的には、エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレン(CF2=CF2:TFE)に基づく繰り返し単位とを共重合体中の主な繰り返し単位とするETFE等が挙げられる。ここで、本明細書において「ETFE」の用語は、TFEおよびエチレン以外の共単量体に基づく繰り返し単位を共重合体の構成単位として含んでもよい、TFEおよびエチレンを共重合体中の主な繰り返し単位とする含フッ素共重合体の総称として用いるものである。
本発明のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法に用いる含フッ素共重合体としては、エチレンに基づく繰り返し単位と、テトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを含有する含フッ素共重合体であれば、他に特に限定されない。このような含フッ素共重合体の例として、具体的には、エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレン(CF2=CF2:TFE)に基づく繰り返し単位とを共重合体中の主な繰り返し単位とするETFE等が挙げられる。ここで、本明細書において「ETFE」の用語は、TFEおよびエチレン以外の共単量体に基づく繰り返し単位を共重合体の構成単位として含んでもよい、TFEおよびエチレンを共重合体中の主な繰り返し単位とする含フッ素共重合体の総称として用いるものである。
本発明におけるETFEとしては、TFEに基づく繰り返し単位/エチレンに基づく繰り返し単位のモル比が、好ましくは70/30〜30/70、より好ましくは65/35〜40/60、最も好ましくは65/35〜45/55のものが挙げられる。
また、本発明におけるETFEにおいては、得られる共重合体に各種機能を付加するために、TFEおよびエチレンの他に、これら以外の共単量体(コモノマー)に基づく繰り返し単位を含んでいることが好ましい。このような共単量体としては、CF2=CFCl、CF2=CH2等のフルオロエチレン類(ただし、TFEを除く。);CF2=CFCF3、CF2=CHCF3、CH2=CHCF3等のフルオロプロピレン類;CF3CF2CH=CH2、CF3CF2CF2CF2CH=CH2、CF3CF2CF2CF2CF=CH2、CF2HCF2CF2CF=CH2等の炭素数が2〜12のフルオロアルキル基を有する(ポリフルオロアルキル)エチレン類;Rf(OCFXCF2)mOCF=CF2(式中Rfは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基、Xは、フッ素原子またはトリフルオロメチル基、mは、0〜5の整数を表す。)等のペルフルオロビニルエーテル類;CH3OC(=O)CF2CF2CF2OCF=CF2やFSO2CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF=CF2等の、容易にカルボン酸基やスルホン酸基に変換可能な基を有するペルフルオロビニルエーテル類;プロピレン等の炭素数3個のC3オレフィン、ブチレン、イソブチレン等の炭素数4個のC4オレフィン、4−メチル−1−ペンテン、シクロヘキセン、スチレン、α−メチルスチレン等のオレフィン(ただし、エチレンを除く。)類;酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、2−アミノエチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、2−(ビニルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン等のビニルエーテル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−イソシアナトエチル、(メタ)アクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(トリエトキシシリル)プロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;アクリロニトリル等のシアノ基含有単量体類;イソプレン、1,3−ブタジエン等のジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のクロロオレフィン類;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物等のカルボン酸無水物を含むビニル化合物などが挙げられる。これらの共単量体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記ETFEがこれらのTFEおよびエチレン以外の共単量体に基づく繰り返し単位を含有する場合は、その含有割合は、ETFEの全単量体繰り返し単位において、0.1〜50モル%が好ましく、0.1〜30モル%がより好ましく、0.1〜20モル%が最も好ましい。本発明の製造方法に使用するETFEにおいて、TFEおよびエチレン以外の共単量体に基づく繰り返し単位の含有量がこの範囲にあると、ほぼTFEおよびエチレンのみで構成されるETFEが有する特性を損なうことなく、高い溶解性、撥水性、撥油性、架橋性、基材に対する接着性などの機能を付与することが可能になる。
なお、基材に対する接着性の観点から、本発明の製造方法に用いるETFEは、基材に対して接着性を有する官能基を分子構造内に有していてもよい。該官能基は、ETFEの分子末端または側鎖または主鎖のいずれに有していてもよい。さらに、該官能基は、ETFE中に1種が単独で用いられていてもよく、また2種以上が併用されていてもよい。基材に対して接着性を有する官能基の種類、含有量は、この製造方法により得られるフッ素樹脂オルガノゾルが用いられる用途により、その求められる性能に応じて適宜選択される。例えば、コーティング用組成物として用いる場合には、これを塗布する基材の種類、形状、用途、要求される接着性、接着方法、官能基導入方法等により適宜選択される。
上記基材に対して接着性を有する官能基として、具体的には、カルボン酸基、1分子中の2つのカルボキシル基が脱水縮合した残基(以下、酸無水物基という)、ヒドロキシル基、スルホン酸基、エポキシ基、シアノ基、カーボネート基、イソシアネート基、エステル基、アミド基、アルデヒド基、アミノ基、加水分解性シリル基、炭素−炭素二重結合、エーテル基およびカルボン酸ハライド基からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。上記カルボン酸基とは、カルボキシル基とその塩(−COOM1:M1はカルボン酸と塩を形成しうる金属原子または原子団)を、スルホン酸基とは、スルホ基とその塩(−SO3M2:M2はスルホン酸と塩を形成しうる金属原子または原子団)を意味する。上記の官能基の中でも特に、カルボン酸基、酸無水物基、ヒドロキシル基、エポキシ基、カーボネート基、加水分解性シリル基、炭素−炭素二重結合、およびカルボン酸ハライド基からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。最も好ましくは、カルボン酸基、酸無水物基およびカルボン酸ハライド基からなる群から選ばれる少なくとも1種である。このような官能基は、含フッ素共重合体1分子中に異なる種類のものが2種以上存在していてもよく、また1分子中に2個以上存在していてもよい。
ETFEに、接着性を有する官能基(以下、「接着性官能基」ともいう。)を導入する方法としては、(i)ETFEの重合時に、接着性官能基を有する共重合可能な単量体を他の原料単量体とともに共重合する方法、(ii)重合開始剤、連鎖移動剤等により、重合時にETFEの分子末端に接着性官能基を導入する方法、(iii)接着性官能基とグラフト化が可能な官能基とを有する化合物(グラフト化合物)をETFEにグラフトさせる方法等が挙げられる。これらの導入方法は単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。耐久性を考慮した場合、上記(i)および/または(ii)の方法で製造されるETFEが好ましい。
なお、上記接着性官能基以外に必要に応じて導入される各種機能を有する官能基についても、上記接着性官能基を導入するのと同様の方法でETFEに導入することが可能である。
なお、上記接着性官能基以外に必要に応じて導入される各種機能を有する官能基についても、上記接着性官能基を導入するのと同様の方法でETFEに導入することが可能である。
本発明の製造方法においては、上記エチレンに基づく繰り返し単位とTFEに基づく繰り返し単位とを有する含フッ素共重合体として、該含フッ素共重合体の作製に必須の単量体であるエチレンおよびTFEと、さらに任意の共単量体とを通常の方法で共重合させたものを用いることが可能であるが、市販品を用いることもできる。このような含フッ素共重合体:ETFEの市販品として、具体的には、旭硝子社製:Fluon(登録商標)ETFE Series、Fluon(登録商標)LM−ETFE Series、Fluon(登録商標)LM−ETFE AH Series、ダイキン工業社製:ネオフロン(登録商標)、Dyneon社製:Dyneon(登録商標)ETFE、DuPont社製:Tefzel(登録商標)等が挙げられる。
本発明における含フッ素共重合体の融点としては、130〜275℃であることが好ましく、140〜265℃であることがより好ましく、150〜260℃であることが最も好ましい。この範囲にあると、溶解工程での溶媒への溶解性に優れ、強度にも優れる。
本発明における含フッ素共重合体の融点としては、130〜275℃であることが好ましく、140〜265℃であることがより好ましく、150〜260℃であることが最も好ましい。この範囲にあると、溶解工程での溶媒への溶解性に優れ、強度にも優れる。
本発明に用いる含フッ素共重合体の容量流速(以下、Q値という。)は、0.1〜2000mm3/秒が好ましい。Q値は、含フッ素共重合体の溶融流動性を表す指標であり、分子量の目安となる。Q値が大きいと分子量が低く、小さいと分子量が高いことを示す。本明細書におけるQ値とは、島津製作所製フローテスタを用いて、樹脂の融点より50℃高い温度において、荷重7kg下に直径2.1mm、長さ8mmのオリフィス中に押出すときの含フッ素共重合体の押出し速度である。Q値が小さすぎると溶解性が悪くなり、大きすぎると含フッ素共重合体の機械的強度が低下するとともに、塗膜にした場合にひび割れ等が発生しやすくなる。本発明に用いる含フッ素共重合体のQ値は、5〜500mm3/秒がより好ましく、10〜200mm3/秒が最も好ましい。この範囲にあると、含フッ素共重合体は機械的強度に優れ、コーティング用組成物として用いる場合には、塗膜にひび割れ等が発生せず、塗膜特性に優れる。
本発明の製造方法には、これら含フッ素共重合体の1種を単独で用いることも、あるいは2種以上を併用することも可能である。
本発明の製造方法には、これら含フッ素共重合体の1種を単独で用いることも、あるいは2種以上を併用することも可能である。
(溶媒)
本発明のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法に用いる溶媒は、上記含フッ素共重合体の融点以下の温度で該含フッ素共重合体を溶解しうる溶媒であり、さらに以下の工程でこの溶液から含フッ素共重合体の微粒子を析出させ均一に分散させた後は、少なくとも常温常圧において、分散状態でこの微粒子を存在させる分散媒として機能する溶媒である。
本発明のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法に用いる溶媒は、上記含フッ素共重合体の融点以下の温度で該含フッ素共重合体を溶解しうる溶媒であり、さらに以下の工程でこの溶液から含フッ素共重合体の微粒子を析出させ均一に分散させた後は、少なくとも常温常圧において、分散状態でこの微粒子を存在させる分散媒として機能する溶媒である。
本発明における溶媒としては、上記条件に適合する範囲で種々の溶媒が挙げられる。ここで、用いる溶媒が上記条件に適合するためには、その溶媒が有する極性はある特定の範囲にあることが好ましい。本発明においては、上記条件に適合する溶媒を、ハンセン溶解度パラメータ(Hansen solubility parameters)に基づいて、ある特定の範囲の極性を有する溶媒として選択する、以下の方法を用いた。
ハンセン(Hansen)溶解度パラメータは、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメータを、分散項δd,極性項δp,水素結合項δhの3成分に分割し、3次元空間に表したものである。分散項δdは分散力のよる効果、極性項δpは双極子間力による効果、水素結合項δhは水素結合力の効果を示す。
なお、ハンセン溶解度パラメータの定義と計算は、Charles M.Hansen著、Hansen Solubility Parameters: A Users Handbook (CRCプレス,2007年)に記載されている。 また、コンピュータソフトウエア Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP)を用いることにより、文献値等が知られていない媒体に関しても、その化学構造から簡便にハンセン溶解度パラメータを推算することができる。本発明における溶媒は、HSPiPバージョン3を用いて、データベースに登録されている溶媒に関しては、その値を、登録されていない溶媒に関しては、推算値を用いることにより、使用する溶媒を選定することとした。
一般に、特定のポリマーのハンセン溶解度パラメータは、そのポリマーのサンプルをハンセン溶解度パラメータが確定している数多くの異なる溶媒に溶解させて溶解度を測る溶解度試験によって決定され得る。具体的には、上記溶解度試験に用いた溶媒のうちそのポリマーを溶解した溶媒の3次元上の点をすべて球の内側に内包し、溶解しない溶媒の点は球の外側になるような球(溶解度球)を探し出し、その球の中心座標をそのポリマーのハンセン溶解度パラメータとする。
ここで、例えば、上記ポリマーのハンセン溶解度パラメータの測定に用いられなかったある別の溶媒のハンセン溶解度パラメータが(δd,δp,δh)であった場合、その座標で示される点が上記ポリマーの溶解度球の内側に内包されれば、その溶媒は、上記ポリマーを溶解すると考えられる。一方、その座標点が上記ポリマーの溶解度球の外側にあれば、この溶媒は上記ポリマーを溶解することができないと考えられる。
本発明においては、上記ハンセン溶解度パラメータを利用して、フッ素樹脂オルガノゾルが含有する含フッ素共重合体をその融点以下の温度で溶解しうる溶媒であり、室温において該含フッ素共重合体を微粒子として分散する最適な溶媒であるジイソプロピルケトンを基準として、そのハンセン溶解度パラメータである座標(15.7,5.7,4.3)から一定の距離にある溶媒群を好ましい溶媒として使用することができる。
すなわち、下記式(1)で示されるハンセン溶解度パラメータに基づく値であるRを上記含フッ素共重合体:ETFEに対する溶解指標とした。
R=4×(δd−15.7)2+(δp−5.7)2+(δh−4.3)2 …(1)
(式(1)中、δd、δpおよびδhは、ハンセン溶解度パラメータにおける、分散項、極性項および水素結合項をそれぞれ示し、単位はいずれも(MPa)1/2である。)
R=4×(δd−15.7)2+(δp−5.7)2+(δh−4.3)2 …(1)
(式(1)中、δd、δpおよびδhは、ハンセン溶解度パラメータにおける、分散項、極性項および水素結合項をそれぞれ示し、単位はいずれも(MPa)1/2である。)
本発明における溶媒は、その溶媒のハンセン溶解度パラメータ座標(δd,δp,δh)を用いて上記式(1)で算出される溶解指標(R)が25未満であることが好ましく、16未満であることがより好ましく、9未満であることが最も好ましい。上記式(1)で示されるRが、この範囲に入るハンセン溶解度パラメータを有する溶媒は、含フッ素共重合体との親和性が高く、溶解性および微粒子の分散性が高い。
また、本発明における溶媒は、化合物1種からなる溶媒でも、化合物2種以上の混合溶媒であってもよく、上記式(1)によりハンセン溶解度パラメータに基づいて算出されるRの値を、含フッ素共重合体の溶解指標とすることができる。例えば、混合溶媒を用いる場合には、用いる溶媒の混合比(体積比)による平均のハンセン溶解度パラメータを求め、それをハンセン溶解度パラメータとして用いて上記溶解指標(R)を算出することができる。
また、本発明における溶媒の沸点は、取扱い性および塗布後の溶媒除去性の観点から、210℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましく、180℃以下が最も好ましい。また、溶媒の沸点が低すぎると、例えば、組成物をコーティングした後の溶媒の蒸発除去(以下、乾燥ともいう)時に気泡が発生しやすい等の問題があるため、40℃以上が好ましく、55℃以上がさらに好ましく、80℃以上が特に好ましい。
上記のような条件を満たす溶媒としては、炭素数3〜10のケトン類、エステル類、カーボネート類、エーテル類などが好ましく挙げられ、炭素数5〜9のケトン類、エステル類がさらに好ましく挙げられる。具体例としては、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、メチルイソプロピルケトン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ピナコリン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソピロピルケトン、イソアミルメチルケトン、2−オクタノン、2−ノナノン、ジイソブチルケトン、2−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−エチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、イソホロン、(−)−フェンコン、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸sec−ブチル、ギ酸t−ブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、ギ酸ヘキシル、ギ酸シクロヘキシル、ギ酸ヘプチル、ギ酸オクチル、ギ酸2−エチルヘキシル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸t−ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ヘプチル、酢酸オクチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2,2,2−トリフルオロエチル、酢酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、酢酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル、酢酸2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピル、酢酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、酢酸2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル、酢酸3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、酢酸4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプチル、酢酸7,7,8,8,8−ペンタフルオロオクチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸sec−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピオン酸アミル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸シクロヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸sec−ブチル、酪酸t−ブチル、酪酸アミル、酪酸イ
ソアミル、酪酸ヘキシル、酪酸シクロヘキシル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、イソ酪酸sec−ブチル、イソ酪酸t−ブチル、イソ酪酸アミル、イソ酪酸イソアミル、イソ酪酸ヘキシル、イソ酪酸シクロヘキシル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、吉草酸イソプロピル、吉草酸ブチル、吉草酸イソブチル、吉草酸sec−ブチル、吉草酸t−ブチル、吉草酸アミル、吉草酸イソアミル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、イソ吉草酸イソプロピル、イソ吉草酸ブチル、イソ吉草酸イソブチル、イソ吉草酸sec−ブチル、イソ吉草酸t−ブチル、イソ吉草酸アミル、イソ吉草酸イソアミル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸プロピル、ヘキサン酸イソプロピル、ヘキサン酸ブチル、ヘキサン酸イソブチル、ヘキサン酸sec−ブチル、ヘキサン酸t−ブチル、ヘプタン酸メチル、ヘプタン酸エチル、ヘプタン酸プロピル、ヘプタン酸イソプロピル、オクタン酸メチル、オクタン酸エチル、ノナン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸プロピル、シクロヘキサンカルボン酸イソプロピル、シクロヘキサンカルボン酸2,2,2−トリフルオロエチル、こはく酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)、グルタル酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)、トリフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸プロピル、トリフルオロ酢酸イソプロピル、トリフルオロ酢酸ブチル、トリフルオロ酢酸イソブチル、トリフルオロ酢酸sec−ブチル、トリフルオロ酢酸t−ブチル、トリフルオロ酢酸アミル、トリフルオロ酢酸イソアミル、トリフルオロ酢酸ヘキシル、トリフルオロ酢酸ヘプチル、トリフルオロ酢酸オクチル、トリフルオロ酢酸2−エチルヘキシル、ジフルオロ酢酸メチル、ジフルオロ酢酸エチル、酢酸2−プロポキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸2−ペンチルオキシエチル、酢酸2−ヘキシルオキシエチル、1−エトキシ−2−アセトキシプロパン、1−プロポキシ−2−アセトキシプロパン、1−ブトキシ−2−アセトキシプロパン、1−ペンチルオキシ−2−アセトキシプロパン、酢酸3−メトキシブチル、酢酸3−エトキシブチル、酢酸3−プロポキシブチル、酢酸3−ブトキ
シブチル、酢酸3−メトキシ−3−メチルブチル、酢酸3−エトキシ−3−メチルブチル、酢酸3−プロポキシ−3−メチルブチル、酢酸4−メトキシブチル、酢酸4−エトキシブチル、酢酸4−プロポキシブチル、酢酸4−ブトキシブチル、ペンタフルオロ安息香酸メチル、ペンタフルオロ安息香酸エチル、3−(トリフルオロメチル)安息香酸メチル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸メチル、安息香酸2,2,2−トリフルオロエチル、安息香酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、安息香酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、安息香酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル、安息香酸2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピル、安息香酸2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、安息香酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、安息香酸2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジブチル、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、ビス(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)カーボネート、テトラヒドロフラン、ペンタフルオロアニソール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニソールなどが挙げられる。なお、これらの溶媒はいずれも、上記式(1)から算出されるRが25未満の溶媒である。
ソアミル、酪酸ヘキシル、酪酸シクロヘキシル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、イソ酪酸sec−ブチル、イソ酪酸t−ブチル、イソ酪酸アミル、イソ酪酸イソアミル、イソ酪酸ヘキシル、イソ酪酸シクロヘキシル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、吉草酸イソプロピル、吉草酸ブチル、吉草酸イソブチル、吉草酸sec−ブチル、吉草酸t−ブチル、吉草酸アミル、吉草酸イソアミル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、イソ吉草酸イソプロピル、イソ吉草酸ブチル、イソ吉草酸イソブチル、イソ吉草酸sec−ブチル、イソ吉草酸t−ブチル、イソ吉草酸アミル、イソ吉草酸イソアミル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸プロピル、ヘキサン酸イソプロピル、ヘキサン酸ブチル、ヘキサン酸イソブチル、ヘキサン酸sec−ブチル、ヘキサン酸t−ブチル、ヘプタン酸メチル、ヘプタン酸エチル、ヘプタン酸プロピル、ヘプタン酸イソプロピル、オクタン酸メチル、オクタン酸エチル、ノナン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸プロピル、シクロヘキサンカルボン酸イソプロピル、シクロヘキサンカルボン酸2,2,2−トリフルオロエチル、こはく酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)、グルタル酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)、トリフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸プロピル、トリフルオロ酢酸イソプロピル、トリフルオロ酢酸ブチル、トリフルオロ酢酸イソブチル、トリフルオロ酢酸sec−ブチル、トリフルオロ酢酸t−ブチル、トリフルオロ酢酸アミル、トリフルオロ酢酸イソアミル、トリフルオロ酢酸ヘキシル、トリフルオロ酢酸ヘプチル、トリフルオロ酢酸オクチル、トリフルオロ酢酸2−エチルヘキシル、ジフルオロ酢酸メチル、ジフルオロ酢酸エチル、酢酸2−プロポキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸2−ペンチルオキシエチル、酢酸2−ヘキシルオキシエチル、1−エトキシ−2−アセトキシプロパン、1−プロポキシ−2−アセトキシプロパン、1−ブトキシ−2−アセトキシプロパン、1−ペンチルオキシ−2−アセトキシプロパン、酢酸3−メトキシブチル、酢酸3−エトキシブチル、酢酸3−プロポキシブチル、酢酸3−ブトキ
シブチル、酢酸3−メトキシ−3−メチルブチル、酢酸3−エトキシ−3−メチルブチル、酢酸3−プロポキシ−3−メチルブチル、酢酸4−メトキシブチル、酢酸4−エトキシブチル、酢酸4−プロポキシブチル、酢酸4−ブトキシブチル、ペンタフルオロ安息香酸メチル、ペンタフルオロ安息香酸エチル、3−(トリフルオロメチル)安息香酸メチル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸メチル、安息香酸2,2,2−トリフルオロエチル、安息香酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、安息香酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、安息香酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル、安息香酸2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピル、安息香酸2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、安息香酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、安息香酸2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジブチル、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、ビス(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)カーボネート、テトラヒドロフラン、ペンタフルオロアニソール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニソールなどが挙げられる。なお、これらの溶媒はいずれも、上記式(1)から算出されるRが25未満の溶媒である。
これらのうちでも、本発明に用いる溶媒としてより好ましい化合物として、具体的には、以下の化合物が例示できる。
メチルエチルケトン、2−ペンタノン、メチルイソプロピルケトン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ピナコリン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソピロピルケトン、イソアミルメチルケトン、2−オクタノン、2−ノナノン、ジイソブチルケトン、4−エチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、イソホロン、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチル、ギ酸sec−ブチル、ギ酸t−ブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、ギ酸ヘキシル、ギ酸ヘプチル、ギ酸オクチル、ギ酸2−エチルヘキシル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ヘプチル、酢酸オクチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2,2,2−トリフルオロエチル、酢酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、酢酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル、酢酸2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピル、酢酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸sec−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピオン酸アミル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸シクロヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸sec−ブチル、酪酸t−ブチル、酪酸アミル、酪酸イソアミル、酪酸ヘキシル、酪酸シクロヘキシル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、イソ酪酸sec−ブチル、イソ酪酸t−ブチル、イソ酪酸アミル、イソ酪酸イソアミル、イソ酪酸ヘキシル、イソ酪酸シクロヘキシル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、吉草酸イソプロピル、吉草酸ブチル、吉草酸イソブチル、吉草酸sec−ブチル、吉草酸t−ブチル、吉草酸アミル、吉草酸イソアミル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、イソ吉草酸イソプロピル、イソ吉草酸ブチル、イソ吉草酸イソブチル、イソ吉草酸sec−ブチル、イソ吉草酸t−ブチル、イソ吉草酸アミル、イソ吉草酸イソアミル、ヘキサン
酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸プロピル、ヘキサン酸イソプロピル、ヘキサン酸ブチル、ヘキサン酸イソブチル、ヘキサン酸sec−ブチル、ヘキサン酸t−ブチル、ヘプタン酸メチル、ヘプタン酸エチル、ヘプタン酸プロピル、ヘプタン酸イソプロピル、オクタン酸メチル、オクタン酸エチル、ノナン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸プロピル、シクロヘキサンカルボン酸イソプロピル、シクロヘキサンカルボン酸2,2,2−トリフルオロエチル、こはく酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)、グルタル酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)、トリフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸プロピル、トリフルオロ酢酸イソプロピル、トリフルオロ酢酸ブチル、トリフルオロ酢酸イソブチル、トリフルオロ酢酸sec−ブチル、トリフルオロ酢酸t−ブチル、トリフルオロ酢酸アミル、トリフルオロ酢酸イソアミル、トリフルオロ酢酸ヘキシル、トリフルオロ酢酸ヘプチル、トリフルオロ酢酸オクチル、トリフルオロ酢酸2−エチルヘキシル、ジフルオロ酢酸メチル、ジフルオロ酢酸エチル、酢酸2−プロポキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸2−ペンチルオキシエチル、酢酸2−ヘキシルオキシエチル、1−エトキシ−2−アセトキシプロパン、1−プロポキシ−2−アセトキシプロパン、1−ブトキシ−2−アセトキシプロパン、酢酸3−エトキシブチル、酢酸3−プロポキシブチル、酢酸3−メトキシ−3−メチルブチル、酢酸3−エトキシ−3−メチルブチル、酢酸4−メトキシブチル、酢酸4−エトキシブチル、酢酸4−プロポキシブチル、安息香酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、安息香酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、安息香酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル、安息香酸2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピル、安息香酸2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、安息香酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、安息香酸2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジブチル、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、ペンタフルオロアニソール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニソール。なお、これらの溶
媒はいずれも、上記式(1)から算出されるRが16未満の溶媒である。
メチルエチルケトン、2−ペンタノン、メチルイソプロピルケトン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ピナコリン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソピロピルケトン、イソアミルメチルケトン、2−オクタノン、2−ノナノン、ジイソブチルケトン、4−エチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、イソホロン、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチル、ギ酸sec−ブチル、ギ酸t−ブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、ギ酸ヘキシル、ギ酸ヘプチル、ギ酸オクチル、ギ酸2−エチルヘキシル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ヘプチル、酢酸オクチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2,2,2−トリフルオロエチル、酢酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、酢酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル、酢酸2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピル、酢酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸sec−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピオン酸アミル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸シクロヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸sec−ブチル、酪酸t−ブチル、酪酸アミル、酪酸イソアミル、酪酸ヘキシル、酪酸シクロヘキシル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、イソ酪酸sec−ブチル、イソ酪酸t−ブチル、イソ酪酸アミル、イソ酪酸イソアミル、イソ酪酸ヘキシル、イソ酪酸シクロヘキシル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、吉草酸イソプロピル、吉草酸ブチル、吉草酸イソブチル、吉草酸sec−ブチル、吉草酸t−ブチル、吉草酸アミル、吉草酸イソアミル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、イソ吉草酸イソプロピル、イソ吉草酸ブチル、イソ吉草酸イソブチル、イソ吉草酸sec−ブチル、イソ吉草酸t−ブチル、イソ吉草酸アミル、イソ吉草酸イソアミル、ヘキサン
酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸プロピル、ヘキサン酸イソプロピル、ヘキサン酸ブチル、ヘキサン酸イソブチル、ヘキサン酸sec−ブチル、ヘキサン酸t−ブチル、ヘプタン酸メチル、ヘプタン酸エチル、ヘプタン酸プロピル、ヘプタン酸イソプロピル、オクタン酸メチル、オクタン酸エチル、ノナン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸プロピル、シクロヘキサンカルボン酸イソプロピル、シクロヘキサンカルボン酸2,2,2−トリフルオロエチル、こはく酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)、グルタル酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)、トリフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸プロピル、トリフルオロ酢酸イソプロピル、トリフルオロ酢酸ブチル、トリフルオロ酢酸イソブチル、トリフルオロ酢酸sec−ブチル、トリフルオロ酢酸t−ブチル、トリフルオロ酢酸アミル、トリフルオロ酢酸イソアミル、トリフルオロ酢酸ヘキシル、トリフルオロ酢酸ヘプチル、トリフルオロ酢酸オクチル、トリフルオロ酢酸2−エチルヘキシル、ジフルオロ酢酸メチル、ジフルオロ酢酸エチル、酢酸2−プロポキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸2−ペンチルオキシエチル、酢酸2−ヘキシルオキシエチル、1−エトキシ−2−アセトキシプロパン、1−プロポキシ−2−アセトキシプロパン、1−ブトキシ−2−アセトキシプロパン、酢酸3−エトキシブチル、酢酸3−プロポキシブチル、酢酸3−メトキシ−3−メチルブチル、酢酸3−エトキシ−3−メチルブチル、酢酸4−メトキシブチル、酢酸4−エトキシブチル、酢酸4−プロポキシブチル、安息香酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、安息香酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、安息香酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル、安息香酸2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピル、安息香酸2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、安息香酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、安息香酸2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジブチル、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、ペンタフルオロアニソール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニソール。なお、これらの溶
媒はいずれも、上記式(1)から算出されるRが16未満の溶媒である。
上記溶媒は、上記本発明の条件を満たす範囲であれば、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記条件を満たしていれば、上記溶媒に上記以外の溶媒を混合して用いてもよい。
本発明の製造方法に、上記単独で用いることができる溶媒と組み合わせて用いることで使用可能な溶媒としては、混合溶媒の状態で上記条件を満たす溶媒であれば特に限定されない。このような組合せの具体例を挙げれば、上記ピナコリン(ハンセン溶解パラメータ:15.2、5.7、5.3、R:2.0)と、ベンゾニトリル(ハンセン溶解パラメータ:18.8、12.0、3.3、R:79.1)の体積比90:10の混合溶媒(ハンセン溶解度パラメータ:15.6、6.3、5.1、R:1.1)、ギ酸t−ブチル(ハンセン溶解パラメータ:14.8、5.4、7.4、R:12.9)と、アセトフェノン(ハンセン溶解パラメータ:18.8、9.0、4.0、R:49.4)の体積比71:29の混合溶媒(ハンセン溶解度パラメータ:16.0、6.4、6.4、R:5.3)、酢酸イソブチル(ハンセン溶解パラメータ:15.1、3.7、6.3、R:9.4)と、安息香酸メチル(ハンセン溶解パラメータ:18.9、8.2、4.7、R:47.4)の体積比74:26の混合溶媒(ハンセン溶解パラメータ:16.1、4.9、5.9、R:3.8)、ギ酸t−ブチル(ハンセン溶解パラメータ:14.8、5.4、7.4、R:12.9)と、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(ハンセン溶解パラメータ:17.0、6.8、0.0、R:26.5)の体積比59:41の混合溶媒(ハンセン溶解度パラメータ:15.7、6.0、4.4、R:0.1)等の組合せが挙げられる。
このような混合溶媒において、混合溶媒を構成する各溶媒のハンセン溶解パラメータとその体積比から算出される溶解指標(R)は、25未満が好ましく、16未満がより好ましく、9未満が最も好ましい。なお、上記組合せは例示であって、本発明のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法に用いることが可能な混合溶媒がこれらの組合せに限定されるものではない。
また、本発明のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法においては、溶解工程で、上記含フッ素共重合体を上記溶媒に溶解させ含フッ素共重合体溶液を得る。含フッ素共重合体溶液の作製に用いる含フッ素共重合体と溶媒の配合割合は、含フッ素共重合体:溶媒で示される質量比で、1.0:99.0〜70.0:30.0であることが好ましく、2.0:98.0〜60.0:40.0であることがより好ましい。
なお、溶解工程における含フッ素共重合体と溶媒の配合割合は、得られるフッ素樹脂オルガノゾルにおける含フッ素共重合体微粒子と分散媒の含有比と一致する。フッ素樹脂オルガノゾルを、例えば、コーティング用組成物として使用する場合には、目的とする成形物の膜厚に応じて上記配合割合を適宜変えることができる。フッ素樹脂オルガノゾルにおける含フッ素共重合体と溶媒の配合割合がこの範囲にあると、例えば、コーティング用組成物として用いた場合に、粘度、乾燥速度、膜の均一性等の取り扱い性に優れ、含フッ素共重合体からなる均質な塗膜を形成できる。
上記溶解工程における温度、圧力、撹拌等の条件としては、上記溶媒に上記含フッ素共重合体が溶解される条件であれば特に限定されない。該溶解工程における温度条件としては、用いる含フッ素共重合体の融点以下の温度であることが好ましい。本発明における含フッ素共重合体、すなわち上記で説明したETFEの融点は、最も高いもので概ね275℃であることから、上記溶媒にこれを溶解する工程の温度は、概ね275℃以下の温度であることが好ましい。前記含フッ素共重合体を前記溶媒に溶解する温度としては、230℃以下がより好ましく、200℃以下が特に好ましい。また、この溶解工程の温度の下限としては、40℃が好ましく、60℃がより好ましく、操作性等を考慮すると80℃以上がさらに好ましい。前記溶解工程の温度が40℃未満では、十分な溶解状態が得られない場合があり、275℃を超える温度では、実際作業を行う上で、容易に実行できないことがある。
本発明のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法が有する上記溶解工程において、温度以外の条件は特に限定されるものではなく、通常は常圧〜0.5MPa程度の微加圧の条件下に実施することが好ましい。含フッ素共重合体や溶媒の種類によって、溶媒の沸点が溶解工程の温度より低い場合等には、耐圧容器中で、少なくとも自然発生圧力以下、好ましくは3MPa以下、より好ましくは2MPa以下、さらに好ましくは1MPa以下の条件下、最も好ましくは常圧以下の条件下で溶解する方法が挙げられるが、一般的には、0.01〜1MPa程度の条件下で溶解を実施することができる。
溶解時間は、本発明の製造方法で得られるフッ素樹脂オルガノゾルにおける上記含フッ素共重合体の含有量や該含フッ素共重合体の形状等に依存する。用いる含フッ素共重合体の形状は、溶解時間を短くする作業効率の点から、粉末状のものが好ましいが、入手のし易さ等からペレット状等、その他の形状のものを用いることもできる。
上記溶解工程における溶解の手段は特に限定されるものではなく、一般的な方法を用いることができる。フッ素樹脂オルガノゾルの必須構成成分である含フッ素共重合体と溶媒の所定量と、これにより得られるフッ素樹脂オルガノゾルが用いられる用途により、その求められる性能に応じて適宜選択されて配合される任意成分の添加量、例えば、これをコーティング用組成物として用いる場合には、任意に添加する後述の各種成分の添加量を秤量し、均一に混合、溶解させればよい。
また、本発明のフッ素樹脂オルガノゾルを製造する過程において、上記溶液が含有することが好ましい任意成分としては、例えば、粘度調節の機能を有する増粘剤、減粘剤等、劣化防止の機能を有する紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。なお、本発明の製造方法において得られるフッ素樹脂オルガノゾルが含有するこれら任意成分の合計配合量は、フッ素樹脂オルガノゾル全量に対して30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。言い換えれば、フッ素樹脂オルガノゾルが含有する上記含フッ素共重合体と溶媒の合計量は、フッ素樹脂オルガノゾル全量に対して70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
さらに、フッ素樹脂オルガノゾルを使用する上で機能する任意成分については、以下の(3)解砕・分散工程後に、得られたフッ素樹脂オルガノゾルに添加することも可能である。
さらに、フッ素樹脂オルガノゾルを使用する上で機能する任意成分については、以下の(3)解砕・分散工程後に、得られたフッ素樹脂オルガノゾルに添加することも可能である。
混合温度は、40℃以上用いる含フッ素共重合体の融点以下が好ましく、60〜230℃がより好ましく、80〜200℃が最も好ましい。溶解工程において各種原料成分の混合と加熱は同時に行ってもよく、各種原料成分を混合した後、必要に応じて撹拌しながら加熱する方法をとってもよい。
加圧下に溶解する場合には、撹拌機付きオートクレーブ等の装置を用いることができる。撹拌翼の形状としては、マリンプロペラ翼、パドル翼、アンカー翼、タービン翼等が用いられる。小スケールで行う場合には、マグネティックスターラー等を用いてもよい。
(2)析出工程
上記(1)溶解工程で得られた、上記含フッ素共重合体を上記溶媒に溶解した溶液を、該含フッ素共重合体が微粒子として上記溶媒中に析出する条件下、一般的には常温常圧下におくことで、含フッ素共重合体の微粒子が上記溶媒中に析出し、含フッ素共重合体の微粒子が溶媒中に分散した組成物が得られる。
析出工程は、具体的には、上記(1)溶解工程で得られる溶液を含フッ素共重合体が微粒子として析出する温度以下の温度まで、通常は常温まで冷却することにより上記含フッ素共重合体の微粒子を上記溶媒中に析出させることができる。この場合、冷却の方法は、特に限定されず、徐冷でもよく、急冷であってもよい。
上記(1)溶解工程で得られた、上記含フッ素共重合体を上記溶媒に溶解した溶液を、該含フッ素共重合体が微粒子として上記溶媒中に析出する条件下、一般的には常温常圧下におくことで、含フッ素共重合体の微粒子が上記溶媒中に析出し、含フッ素共重合体の微粒子が溶媒中に分散した組成物が得られる。
析出工程は、具体的には、上記(1)溶解工程で得られる溶液を含フッ素共重合体が微粒子として析出する温度以下の温度まで、通常は常温まで冷却することにより上記含フッ素共重合体の微粒子を上記溶媒中に析出させることができる。この場合、冷却の方法は、特に限定されず、徐冷でもよく、急冷であってもよい。
ここで、この(2)析出工程で得られる組成物における含フッ素共重合体の微粒子の分散状態は、一部または全体がゲル化していたり、該微粒子が溶媒中に偏在して不均一に分散していたりするような分散状態である。このような分散状態は、溶媒に対する含フッ素共重合体の配合割合が高いほど顕著に現れる。この組成物、すなわち、含フッ素共重合体を微粒子として含有する、溶媒と含フッ素共重合体との混合物を、含フッ素共重合体の微粒子が溶媒中に均一に分散した、取り扱い性に優れたフッ素樹脂オルガノゾルとするために、以下の解砕・分散工程を行う。
(3)解砕・分散工程
解砕・分散工程は、上記(2)析出工程で得られた、上記含フッ素共重合体を微粒子として含有する、上記溶媒と含フッ素共重合体との混合物に対して、高剪断力を加えて溶媒に該含フッ素共重合体の微粒子を均一に分散させる工程である。
上記混合物に高剪断力を加える方法として、具体的には、高速回転、高圧噴射、高速振動、超音波処理、高圧濾過等の方法が挙げられる。なかでも簡便な方法であることから、高速回転、高圧噴射、高速振動(以下、これらを総称して「撹拌」という)による方法が好ましい。また、これら高剪断力を加える方法は単独で行ってもよく、2種以上の方法、例えば、撹拌と超音波処理を併用してもよい。
解砕・分散工程は、上記(2)析出工程で得られた、上記含フッ素共重合体を微粒子として含有する、上記溶媒と含フッ素共重合体との混合物に対して、高剪断力を加えて溶媒に該含フッ素共重合体の微粒子を均一に分散させる工程である。
上記混合物に高剪断力を加える方法として、具体的には、高速回転、高圧噴射、高速振動、超音波処理、高圧濾過等の方法が挙げられる。なかでも簡便な方法であることから、高速回転、高圧噴射、高速振動(以下、これらを総称して「撹拌」という)による方法が好ましい。また、これら高剪断力を加える方法は単独で行ってもよく、2種以上の方法、例えば、撹拌と超音波処理を併用してもよい。
撹拌により上記混合物に高剪断力を加えるには、高剪断力を加えながら液状物を撹拌するために通常用いられる撹拌装置が、特に制限なく使用可能である。このような撹拌装置として、上記解砕・分散工程には、タービン翼やエッジドタービン翼など通常の撹拌翼の中でも剪断力が大きい撹拌翼を有する撹拌装置を使用することもできるが、より高い剪断力が得られる以下の撹拌、分散装置を用いることが好ましい。なお、これらの撹拌装置を用いて、上記溶媒と含フッ素共重合体との混合物に、高剪断力を加える際の、具体的条件、例えば、回転数、圧力、処理時間、処理温度等は、混合物の状態や用いる装置により適宜選択される。以下(a)〜(c)および(e)は高速回転による撹拌装置であり、(d)は高圧噴射による分散装置である。
(a)TKホモミクサー(プライミクス社製)、ウルトラタラックス(IKA社製)、ポリトロン(KINEMATICA社製)等に代表される撹拌装置、すなわち、撹拌翼の外周近傍に固定環を組み合わせた撹拌装置であって、該ローターを高速で回転させ、撹拌翼と固定環との微細な間隙で起こる強力な剪断効果、衝撃力を利用して、微粒化効果を高める装置;高剪断力を加える際の回転数として、具体的には、1000〜30000回転/分等が挙げられる。
(b)クレアミックス(エム・テクニック社製)等に代表される撹拌装置、すなわち、高速で回転するローターとそれを取り囲むスクリーンに生じる剪断力、衝突力、圧力変動、キャビテーション及びポテンシャルコアの作用によって攪拌する装置;高剪断力を加える際の回転数として、具体的には、1000〜22000回転/分等が挙げられる。
(c)キャビトロン(ユーロテック社製)、DRS2000(IKA社製)等に代表される撹拌装置、すなわち、同心上に配置された櫛歯形状の回転子および固定子を備えた攪拌装置であって、該回転子を高速で回転させ、その回転子内側から固定子外側に攪拌する混合液を流通させて、回転子と固定子との間隙で混合液を撹拌させる装置;高剪断力を加える際の撹拌翼先端速度として、具体的には、2〜50m/秒等が挙げられる。
(b)クレアミックス(エム・テクニック社製)等に代表される撹拌装置、すなわち、高速で回転するローターとそれを取り囲むスクリーンに生じる剪断力、衝突力、圧力変動、キャビテーション及びポテンシャルコアの作用によって攪拌する装置;高剪断力を加える際の回転数として、具体的には、1000〜22000回転/分等が挙げられる。
(c)キャビトロン(ユーロテック社製)、DRS2000(IKA社製)等に代表される撹拌装置、すなわち、同心上に配置された櫛歯形状の回転子および固定子を備えた攪拌装置であって、該回転子を高速で回転させ、その回転子内側から固定子外側に攪拌する混合液を流通させて、回転子と固定子との間隙で混合液を撹拌させる装置;高剪断力を加える際の撹拌翼先端速度として、具体的には、2〜50m/秒等が挙げられる。
(d)マントン・ゴーリンホモジナイザー(ゴーリン社製)等に代表される分散装置、すなわち、高圧プランジャポンプなどで処理液を圧入し、排出部の特殊バルブの調整で高圧で噴射させ、出口の固定板に超高速で叩き付けて分散させる装置;高剪断力を加える際の圧力として、具体的には、1〜100MPa等が挙げられる。
(e)TKフィルミックス(プライミクス社製)に代表される攪拌装置、すなわち、処理する混合液を遠心力によって分散槽側壁に押し付けて、液膜を形成し、該液膜に超高速で回転する撹拌具の先端が触れることによって攪拌する装置;高剪断力を加える際の撹拌翼先端速度として、具体的には、2〜50m/秒が挙げられる。
(e)TKフィルミックス(プライミクス社製)に代表される攪拌装置、すなわち、処理する混合液を遠心力によって分散槽側壁に押し付けて、液膜を形成し、該液膜に超高速で回転する撹拌具の先端が触れることによって攪拌する装置;高剪断力を加える際の撹拌翼先端速度として、具体的には、2〜50m/秒が挙げられる。
高圧濾過により上記混合物に高剪断力を加えるには、高圧で液状物をフィルタ等の細孔に通過させる市販の高圧濾過装置が、特に制限なく適用可能である。なお、高圧濾過装置を用いて、上記溶媒と含フッ素共重合体との混合物に、高剪断力を加える際の、具体的条件、例えば、圧力、フィルタの孔径、処理時間、処理温度等は、混合物の状態や用いる装置により適宜選択される。より具体的には、圧力0.1〜2.0Mpa、フィルタの孔径0.1〜5μm等の条件が挙げられる。
超音波処理により上記混合物に高剪断力を加えるには、市販の、超音波洗浄機や超音波発信器などを使用できる。この場合も、上記溶媒と含フッ素共重合体との混合物に、高剪断力を加える際の、具体的条件、例えば、周波数、処理時間、処理温度等は、混合物の状態や用いる装置により適宜選択される。より具体的には、発振周波数として、10〜200kHz等の条件が挙げられる。
なお、本発明の製造方法においては、必要に応じて上記(2)析出工程と、(3)解砕・分散工程を同時に行ってもよい。
なお、本発明の製造方法においては、必要に応じて上記(2)析出工程と、(3)解砕・分散工程を同時に行ってもよい。
また、上記と同様の理由から、本発明の製造方法の(3)解砕・分散工程においては、上記高剪断力を粘度調整剤(「減粘剤」ともいう。)の存在下で加えることが好ましい。用いる粘度調整剤としては、上記溶媒と含フッ素共重合体との混合物の粘度を低減できるものであれば、特に制限されない。具体的には、ハロゲン基で置換されていてもよく結合末端以外の任意の−CH2−が酸素原子に置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基と、さらに、アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、水酸基およびメルカプト基から選ばれる少なくとも1種の官能基と、を有する化合物が挙げられる。
このような、粘度調整剤として、より具体的には、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、イコシルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、2−(エチルアミノ)エタノール、4−エチルアミノ−1−ブタノール、2−(ブチルアミノ)エタノール、4−(ブチルアミノ)−1−ブタノール、オクタンアミド、ノナンアミド、デカンアミド、ドデカンアミド、トリデカンアミド、テトラデカンアミド、ペンタデカンアミド、ヘキサデカンアミド、ヘプタデカンアミド、オクタデカンアミド、1−オクタンスルホンアミド、1−ノナンスルホンアミド、1−デカンスルホンアミド、1−ウンデカンスルホンアミド、1−ドデカンスルホンアミド、1−トリデカンスルホンアミド、1−テトラデカンスルホンアミド、1−ペンタデカンスルホンアミド、1−ヘキサデカンスルホンアミド、1−ヘプタデカンスルホンアミド、1−オクタデカンスルホンアミド、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、1−オクタンチオール、1−ノナンチオール、1−デカンチオール、1−ウンデカンチオール、1−ドデカンチオール、1−トリデカンチオール、1−テトラデカンチオール、1−ペンタデカンチオール、1−ヘキサデカンチオール、1−ヘプタデカンチオール、1−オクタデカンチオール等が挙げられる。これらのうちでも、3−ブトキシプロピルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン等が好ましい。これらは、1種を単独で用いることも、2種以上を併用することも可能である。
また、用いる粘度調整剤の量としては、上記混合物中の含フッ素共重合体に対して、0.1〜20質量%の量が好ましく、0.5〜10質量%の量がより好ましい。なお、粘度調整剤の量は、その他の任意成分との合計量で、フッ素樹脂オルガノゾルの全量に対して30質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。また、粘度調整剤の添加の時期は、(3)解砕・分散工程の前であれば特に制限されない。例えば、上記(1)溶解工程で添加してもよいし、上記(2)析出工程後に添加してもよい。ただし、析出工程後に添加する場合、粘度調整剤が上記溶媒と含フッ素共重合体との混合物中に均一に存在するように、ボールミル等で十分な撹拌を行うことが好ましい。
このようにして本発明の製造方法により、上記含フッ素共重合体の微粒子を分散質とし、上記溶媒を分散媒とする、上記含フッ素共重合体の微粒子が上記溶媒に均一に分散したフッ素樹脂オルガノゾルが得られる。
このようにして本発明の製造方法により、上記含フッ素共重合体の微粒子を分散質とし、上記溶媒を分散媒とする、上記含フッ素共重合体の微粒子が上記溶媒に均一に分散したフッ素樹脂オルガノゾルが得られる。
[フッ素樹脂オルガノゾル]
上記本発明の製造方法により得られるフッ素樹脂オルガノゾル(以下、本発明のフッ素樹脂オルガノゾルという。)においては、上記含フッ素共重合体の微粒子は、上記溶媒を分散媒としてこの分散媒中に均一に分散した状態で存在する。本発明のフッ素樹脂オルガノゾルにおいて、含フッ素共重合体の微粒子の平均粒子径は、25℃において、動的光散乱法で測定した個数平均粒子径として、0.005〜5μmが好ましく、0.005〜2μmがより好ましく、0.01〜1μmが最も好ましい。ここで、個数平均粒子径は、得られる平均粒子径から見て、それより粒子径が小さな粒子の数と、それより粒子径が大きな粒子の数の割合が同一になる粒子径である。
上記本発明の製造方法により得られるフッ素樹脂オルガノゾル(以下、本発明のフッ素樹脂オルガノゾルという。)においては、上記含フッ素共重合体の微粒子は、上記溶媒を分散媒としてこの分散媒中に均一に分散した状態で存在する。本発明のフッ素樹脂オルガノゾルにおいて、含フッ素共重合体の微粒子の平均粒子径は、25℃において、動的光散乱法で測定した個数平均粒子径として、0.005〜5μmが好ましく、0.005〜2μmがより好ましく、0.01〜1μmが最も好ましい。ここで、個数平均粒子径は、得られる平均粒子径から見て、それより粒子径が小さな粒子の数と、それより粒子径が大きな粒子の数の割合が同一になる粒子径である。
本発明のフッ素樹脂オルガノゾルにおいて、含フッ素共重合体の微粒子の平均粒子径が、上記範囲にあれば、例えば、これをコーティング用組成物として用いた場合に、均質で透明性、平坦性、密着性に優れた塗膜を形成することができる。なお、特に断りのない限り本明細書において、平均粒子径とは、平均1次粒子径をいう。
[コーティング用組成物]
本発明のコーティング用組成物は、上記本発明のフッ素樹脂オルガノゾルを主成分として含有するコーティング用組成物である。本発明のコーティング用組成物は、上記含フッ素共重合体の微粒子と上記溶媒のみからなるフッ素樹脂オルガノゾル、または上記含フッ素共重合体の微粒子と上記溶媒にさらに任意成分を含むフッ素樹脂オルガノゾルにより構成されていてもよく、このようなフッ素樹脂オルガノゾルを主成分とし、これにさらに任意成分が添加されたものであってもよい。
本発明のコーティング用組成物は、上記本発明のフッ素樹脂オルガノゾルを主成分として含有するコーティング用組成物である。本発明のコーティング用組成物は、上記含フッ素共重合体の微粒子と上記溶媒のみからなるフッ素樹脂オルガノゾル、または上記含フッ素共重合体の微粒子と上記溶媒にさらに任意成分を含むフッ素樹脂オルガノゾルにより構成されていてもよく、このようなフッ素樹脂オルガノゾルを主成分とし、これにさらに任意成分が添加されたものであってもよい。
本発明のコーティング用組成物は、上記含フッ素共重合体の微粒子と上記条件を満たす溶媒とがオルガノゾルを形成したものを必須成分として含有するが、必要に応じてその他任意成分を本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。このような任意成分として、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、架橋剤、滑剤、可塑剤、増粘剤、分散安定剤、充填剤(フィラー)、強化剤、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤等の各種添加剤が挙げられる。また、本発明の効果を損なわないその他任意成分の含有量としては、コーティング用組成物全量に対して30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
また、本発明のコーティング用組成物は、塗料として用いる際には、一般的なフッ素塗料で行われているように、非フッ素樹脂を混合して塗料として使用してもよい。
また、本発明のコーティング用組成物は、塗料として用いる際には、一般的なフッ素塗料で行われているように、非フッ素樹脂を混合して塗料として使用してもよい。
なお、これら任意成分は、上記フッ素樹脂オルガノゾルの製造工程の(1)溶解工程において原料成分に添加してもよく、これら任意成分を含有せずに製造された上記含フッ素共重合体の微粒子と上記溶媒のみからなるフッ素樹脂オルガノゾルに添加してもよい。また、これら任意成分のうちのいくつかを上記(1)溶解工程において原料成分に添加してフッ素樹脂オルガノゾルを製造し、さらにこれに同じまたは別の種類の任意成分を添加する方法をとってもよい。
本発明のコーティング用組成物による基材上への含フッ素共重合体塗膜の形成は、以下の塗膜の形成方法により行うことができる。
本発明のコーティング用組成物を基材に塗布して溶媒含有塗膜を形成する塗布工程、および、前記溶媒含有塗膜から溶媒を除去して溶媒を含有しない塗膜とする溶媒除去工程を経ることで、本発明のコーティング用組成物から含フッ素共重合体の塗膜を簡便に得ることができる。
本発明のコーティング用組成物を基材に塗布して溶媒含有塗膜を形成する塗布工程、および、前記溶媒含有塗膜から溶媒を除去して溶媒を含有しない塗膜とする溶媒除去工程を経ることで、本発明のコーティング用組成物から含フッ素共重合体の塗膜を簡便に得ることができる。
(塗布工程)
本発明のコーティング用組成物を用いる塗膜形成方法の塗布工程において、基材へのコーティング用組成物の塗布に用いる手段は特に限定されるものではなく、一般的に用いられる方法を用いることができる。塗布に用いる手段としては、例えば、グラビアコーティング、ディップコーティング、ダイコーティング、スプレーコーティング、静電塗装、刷毛塗り、スクリーン印刷、ロールコーティング、スピンコーティングなどの方法が挙げられる。
本発明のコーティング用組成物を用いる塗膜形成方法の塗布工程において、基材へのコーティング用組成物の塗布に用いる手段は特に限定されるものではなく、一般的に用いられる方法を用いることができる。塗布に用いる手段としては、例えば、グラビアコーティング、ディップコーティング、ダイコーティング、スプレーコーティング、静電塗装、刷毛塗り、スクリーン印刷、ロールコーティング、スピンコーティングなどの方法が挙げられる。
上記塗布工程において、本発明のコーティング用組成物は、必ずしも含フッ素共重合体が前記溶媒に溶解した状態で塗布される必要はない。本発明のコーティング用組成物は、上記溶媒に分散した含フッ素共重合体が溶解する温度以下においても、含フッ素共重合体が上記溶媒に均一に分散した状態であることを特徴としている。したがって、上記塗布工程は、この分散液、すなわち、上記本発明のコーティング用組成物を、上記含フッ素共重合体が上記溶媒に溶解する温度未満の温度下で基材に塗布し、以下に説明する比較的低い温度で溶媒を除去(乾燥)することが可能であり、またそうすることが以下の点や作業性の観点から好ましい。本発明のコーティング用組成物を用いた塗膜の形成方法においては、塗布温度や乾燥温度をこのように低い温度に調整することで緻密で平坦な塗膜を得ることができる。
上記塗布工程における塗布温度は、用いるコーティング用組成物によって変化するが、0〜210℃がより好ましく、0〜130℃がさらに好ましく、0〜50℃が最も好ましい。上記塗布温度が0℃未満では含フッ素共重合体の分散状態が十分とはいえず、210℃を超えると含有される溶媒が揮発し易くなり、気泡等の発生する可能性があるので好ましくない。
(溶媒除去工程)
上記溶媒除去工程は、上記塗布工程で得られた溶媒含有塗膜から溶媒を除去して溶媒を含有しない塗膜とする工程である。
上記溶媒除去工程における溶媒の除去温度、すなわち乾燥温度は、0〜350℃が好ましく、10〜270℃がさらに好ましく、20〜240℃が最も好ましい。
この溶媒除去時の温度(乾燥温度)が0℃未満では、溶媒の除去に時間がかかり過ぎ、350℃を超えると着色や分解等が発生する可能性があるので好ましくない。
また、コーティング用組成物を用いて、塗膜を形成した後に、40〜350℃で、熱処理することも好ましい。熱処理温度は、70〜270℃がより好ましく、100〜240℃が最も好ましい。熱処理を行うことにより塗膜がより緻密になり、基材との密着性を高めることができる。これにより、耐久性が向上し、基材をより効果的に保護することが可能となる。
上記溶媒除去工程は、上記塗布工程で得られた溶媒含有塗膜から溶媒を除去して溶媒を含有しない塗膜とする工程である。
上記溶媒除去工程における溶媒の除去温度、すなわち乾燥温度は、0〜350℃が好ましく、10〜270℃がさらに好ましく、20〜240℃が最も好ましい。
この溶媒除去時の温度(乾燥温度)が0℃未満では、溶媒の除去に時間がかかり過ぎ、350℃を超えると着色や分解等が発生する可能性があるので好ましくない。
また、コーティング用組成物を用いて、塗膜を形成した後に、40〜350℃で、熱処理することも好ましい。熱処理温度は、70〜270℃がより好ましく、100〜240℃が最も好ましい。熱処理を行うことにより塗膜がより緻密になり、基材との密着性を高めることができる。これにより、耐久性が向上し、基材をより効果的に保護することが可能となる。
このように、本発明のコーティング用組成物を用いた含フッ素共重合体の塗膜の形成方法では、コーティング用組成物の塗布や乾燥を高温で行う必要がないことから、プラスチックや紙、布のような耐熱性の低い材料に対しても、基材の分解または変形を起こさずに塗膜を形成することが可能になる。
なお、含フッ素共重合体によってコートされる基材の材質や形状は特に限定されず、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、銅、銀等の金属類、窓ガラス、鏡、合成石英等のガラス、シリコン、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、フッ素樹脂などの有機材料、石材、木材、セラミックス、布、紙などに塗布することができる。
ここで、本発明のコーティング用組成物を用いた含フッ素共重合体の塗膜の形成方法においては、基材と塗膜の密着性の向上などを目的として、基材に前処理を行ってもよい。例えば、基材にシランカップリング剤やポリエチレンイミンなどを塗布したり、サンドブラスト等により表面を物理的に処理したり、コロナ放電等による処理などを行うことができる。
上記本発明の製造方法により得られるフッ素樹脂オルガノゾルを主成分とするコーティング用組成物を、このようにして基材に塗工することによって、上記含フッ素共重合体の塗膜およびこの塗膜によってコートされた物品を提供することができる。
また、上記塗膜の形成方法により得られる上記含フッ素共重合体の塗膜は、基材と分離することにより、フィルム状の成型体として使用することもできる。このようにして得られる上記含フッ素共重合体、すなわちETFEの膜は一般的な溶融成形で得られるETFEフィルムに比べて、薄くかつ均一である。
得られる塗膜、もしくは、フィルム状の成型体の厚みは目的に応じて自由に選択することができる。濃度の高い溶液もしくは分散液を用いれば、厚みのある膜が得られ、濃度の低い溶液もしくは分散液を用いれば、薄い塗膜を得ることができる。また、塗布工程を複数回繰り返して行うことで、より厚みのある膜を得ることもできる。
上記のような特徴を有することから、本発明のフッ素樹脂オルガノゾルを主成分とするコーティング用組成物の用途としては、光ファイバークラッド材、レンズ、太陽電池用物品、表示パネル・ディスプレイ用物品、光ディスク、半導体素子、ハイブリッドIC、液晶セル、プリント基板、感光ドラム、フィルムコンデンサ、ガラス窓、樹脂窓、各種フィルムなどの光学分野、電気、電子分野における保護コート剤、撥水コート剤、低反射コート剤、電気絶縁性の被覆材、電荷保持層、電車、バス、トラック、自動車、船舶、航空機等の輸送機器用物品、外壁、屋根材、シーラント部分、橋やトンネル等の建築用物品、注射器、ピペット、体温計、ビーカー類、シャーレ、メスシリンダーなどの医療分野、化学分野における物品、その他ソルダーマスク、ソルダーレジスト、ゴム、プラスチックの保護、耐候、防汚コート剤、繊維、布帛の保護コート剤、シーラントの防汚コート剤、IC封止剤として、防錆塗料、樹脂付着防止剤、インキ付着防止剤、分離膜用物品、ラミネート鋼板用プライマー、各種接着剤、結着剤などが挙げられる。
上記太陽電池用物品としてさらに詳しくは、ガラスまたは樹脂で構成された保護カバー材、透明導電部材、バックシートなどの保護コート剤、ガスバリア層、薄板ガラスのサポート樹脂層、接着層などが挙げられる。
上記表示パネル・ディスプレイ用物品としてさらに詳しくは、液晶表示パネル、プラズマディスプレイパネル、エレクトロクロミックディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイパネル、タッチパネルに用いられる透明部材(ガラス基板および樹脂基板)の保護コート剤、防汚コート剤、低反射コート剤、薄板ガラスのサポート樹脂などが挙げられる。
上記輸送機器用物品としてさらに詳しくは、輸送機器に装着された表示機器表面材などの外装部材、計器盤表面材などの内装部材、ボディ、鏡などの保護コート剤、防汚コート剤、低反射コート剤、安全ガラス用積層材などが挙げられる。
上記分離膜用物品としてさらに詳しくは、逆浸透膜、ナノ濾過膜などの機能層、二酸化炭素、水素等を分離するガス分離膜の機能層、膜モジュール製造における接着剤、防汚コート剤などが挙げられる。
上記分離膜用物品としてさらに詳しくは、逆浸透膜、ナノ濾過膜などの機能層、二酸化炭素、水素等を分離するガス分離膜の機能層、膜モジュール製造における接着剤、防汚コート剤などが挙げられる。
また、本発明のコーティング用組成物は、半導体素子や集積回路装置における層間絶縁膜や保護膜を作製するための材料組成物として有利に用いることができる。このような用途に本発明のフッ素樹脂オルガノゾルを主成分とするコーティング用組成物を用いれば、含フッ素共重合体のもつ低吸水性、低誘電率、高耐熱性といった特性を生かした応答速度が速く誤動作の少ない半導体素子集積回路装置を得ることができる。
さらに本発明のコーティング用組成物は、集光型太陽熱発電に用いられる集光用ミラーの保護コート剤、防汚コート剤、集光ミラーの裏打ち樹脂など封止部分の保護コート剤などに有利に用いることができる。このような用途に本発明のフッ素樹脂オルガノゾルを主成分とするコーティング用組成物を用いれば、フッ素樹脂のもつ高耐熱性、低吸水性といった特性により、高耐久性でメンテナンスを必要としない発電システムを得ることができる。
また、本発明のフッ素樹脂オルガノゾルは、コーティング用途以外にも、接着剤、結着剤、トナー用添加剤等の用途に利用可能である。
また、本発明のフッ素樹脂オルガノゾルは、コーティング用途以外にも、接着剤、結着剤、トナー用添加剤等の用途に利用可能である。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(溶解手順)
以下に示す実施例および比較例は、特に記載がない限り、次の方法で行われたものである。
肉厚4mm、外径30mmの硼珪酸ガラス製耐圧反応容器に、含フッ素共重合体、溶媒および撹拌子を入れた。含フッ素共重合体と溶媒の相対的な量は、溶媒量に対する含フッ素共重合体の量として5〜10質量%となるようにした。
反応容器は、よく撹拌され温度制御されたオイルバスを用いて加熱された。
含フッ素共重合体が溶解したかどうかは、目視で観察し、試験管の内容物が透明で均一な溶液となっていれば溶解状態と判定した。
(溶解手順)
以下に示す実施例および比較例は、特に記載がない限り、次の方法で行われたものである。
肉厚4mm、外径30mmの硼珪酸ガラス製耐圧反応容器に、含フッ素共重合体、溶媒および撹拌子を入れた。含フッ素共重合体と溶媒の相対的な量は、溶媒量に対する含フッ素共重合体の量として5〜10質量%となるようにした。
反応容器は、よく撹拌され温度制御されたオイルバスを用いて加熱された。
含フッ素共重合体が溶解したかどうかは、目視で観察し、試験管の内容物が透明で均一な溶液となっていれば溶解状態と判定した。
(微粒子分散液、塗膜評価方法)
実施例で得られた微粒子分散液、および塗膜に対する評価を以下の項目について以下の方法で行った。
(1)個数平均粒子径
分散液中のETFE微粒子の個数平均粒子径は、粒径分布測定装置(Microtrac社製Nanotrac)を用いて、25℃の温度条件下、動的光散乱法にて測定した。また、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製JEM−1230)により、ETFE微粒子の1次粒子径を観察し、上記動的光散乱法で得られた結果が確かなものであることを確認した。
実施例で得られた微粒子分散液、および塗膜に対する評価を以下の項目について以下の方法で行った。
(1)個数平均粒子径
分散液中のETFE微粒子の個数平均粒子径は、粒径分布測定装置(Microtrac社製Nanotrac)を用いて、25℃の温度条件下、動的光散乱法にて測定した。また、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製JEM−1230)により、ETFE微粒子の1次粒子径を観察し、上記動的光散乱法で得られた結果が確かなものであることを確認した。
(2)膜厚
ポッティングおよびバーコーターで得られた塗膜については、触針式表面形状測定器(Sloan社製、DEKTAK 3ST)にて、前記以外の方法で得られた塗膜については、非接触光学式薄膜測定装置(フィルメトリクス社製、Filmetrics F−20)にて膜厚を測定した。
ポッティングおよびバーコーターで得られた塗膜については、触針式表面形状測定器(Sloan社製、DEKTAK 3ST)にて、前記以外の方法で得られた塗膜については、非接触光学式薄膜測定装置(フィルメトリクス社製、Filmetrics F−20)にて膜厚を測定した。
(3)密着性
密着性の試験は、JIS−K−5600(1999年)に準拠して行われた。すなわち、基材上の含フッ素共重合体薄膜にカッターナイフを用いて2mm間隔の直行する11本の切傷を付け、100個の碁盤目を作り、この碁盤目上にセロファン粘着テープを強く圧着し、このテープの端を持ち、瞬間的に引き剥がし、表皮表面上に剥離せず残存している薄膜状態を観察した。5回の剥離試験の後の剥離の状態により評価した。91マス以上が接着していたものを○(優)、90〜51マス接着していたものを△(普通)、50〜0マス以上が接着していたものを×(不良)とする。
密着性の試験は、JIS−K−5600(1999年)に準拠して行われた。すなわち、基材上の含フッ素共重合体薄膜にカッターナイフを用いて2mm間隔の直行する11本の切傷を付け、100個の碁盤目を作り、この碁盤目上にセロファン粘着テープを強く圧着し、このテープの端を持ち、瞬間的に引き剥がし、表皮表面上に剥離せず残存している薄膜状態を観察した。5回の剥離試験の後の剥離の状態により評価した。91マス以上が接着していたものを○(優)、90〜51マス接着していたものを△(普通)、50〜0マス以上が接着していたものを×(不良)とする。
[実施例1]
30mLの硼珪酸ガラス製耐圧反応容器に、含フッ素共重合体として、ETFE(構成単量体に基づく繰り返し単位のモル比:テトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位/エチレンに基づく繰り返し単位/3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテンに基づく繰り返し単位/無水イタコン酸に基づく繰り返し単位=57.5/39.9/2.3/0.3、融点:240℃、以下、「ETFE1」という。)の0.80g、ジイソプロピルケトン(上記式(1)で算出されるR(以下、単に「R」と表す。)=0)の15.20gを入れ、撹拌しながら185℃に加熱したところ、均一で透明な溶液となった。
30mLの硼珪酸ガラス製耐圧反応容器に、含フッ素共重合体として、ETFE(構成単量体に基づく繰り返し単位のモル比:テトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位/エチレンに基づく繰り返し単位/3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテンに基づく繰り返し単位/無水イタコン酸に基づく繰り返し単位=57.5/39.9/2.3/0.3、融点:240℃、以下、「ETFE1」という。)の0.80g、ジイソプロピルケトン(上記式(1)で算出されるR(以下、単に「R」と表す。)=0)の15.20gを入れ、撹拌しながら185℃に加熱したところ、均一で透明な溶液となった。
該試験管を徐々に室温まで冷却したところ、均一な含フッ素共重合体のゲル状物(ETFE1の濃度5質量%)が得られた。このゲル状物を、プライミクス社製、TKフィルミックス40−40型を用いて、30m/秒で2分間撹拌し、均一な分散液(本発明のフッ素樹脂オルガノゾル)を得た。含フッ素共重合体の微粒子の平均粒子径は、25℃において、動的光散乱法で測定した個数平均粒子径として58nmであった。
また、この分散液を0.05質量%に希釈して、透過型電子顕微鏡で観察したところ、1次粒子径は、40〜50nmであることが確認できた。図1に透過型電子顕微鏡(TEM)写真(10万倍)を示す。なお、TEM写真撮影においては、試料作製時に分散液中の溶媒は除去されるため、得られる写真では、例えば、図1の写真に示すように含フッ素共重合体の粒子は凝集粒子を形成していると考えられる。図1の写真を観察すると、写真内に大きな1個の塊状粒子が存在し、その塊状粒子はそれぞれそれより小さな粒子の多数が集まって形成されていることが分かる。この塊状粒子がETFE1の凝集粒子を示し、その塊状粒子を構成する個々の粒子がETFE1の1次粒子である。上記観察した個数平均粒子径とは、写真の粒子をこのように識別したETFE1の1次粒子が分散液中で単独で、あるいはいくつかの一次粒子が集まって形成する2次粒子として存在している考えた場合に、全体の粒子の個数の50%にあたる粒子の粒子径をいう。
この分散液をガラス基板(クラウンガラス、厚さ1mm)上に室温でバーコーターにより塗布し、室温で乾燥した。180℃のホットプレート上で3分間加熱して、表面にETFE1の薄膜が形成されたガラス基板を得た。得られた薄膜の表面を光学顕微鏡(100倍)で観察したところ、均一で平滑な膜であることを確認した。図2にこのETFE1からなる薄膜表面の光学顕微鏡写真(100倍)を示す。また、触針式表面形状測定器にて膜厚を測定したところ、3μmであった。得られたETFE1膜の密着性を評価したところ、全く剥離は見られなかった。すなわち密着性の評価は、○(優)であった。
[実施例2]
実施例1で得られたフッ素樹脂オルガノゾルを、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(東洋紡社製コスモシャイン(登録商標)A4300;厚さ100μm)上に室温でバーコーターにより塗布し、室温で乾燥した。100℃のホットプレート上で3分間加熱して、PETフィルム上にETFE1の薄膜を形成した。また、触針式表面形状測定器にて膜厚を測定したところ、3μmであった。得られたETFE1膜のPETフィルムとの密着性を評価したところ、全く剥離は見られなかった。すなわち密着性の評価は、○(優)であった。
実施例1で得られたフッ素樹脂オルガノゾルを、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(東洋紡社製コスモシャイン(登録商標)A4300;厚さ100μm)上に室温でバーコーターにより塗布し、室温で乾燥した。100℃のホットプレート上で3分間加熱して、PETフィルム上にETFE1の薄膜を形成した。また、触針式表面形状測定器にて膜厚を測定したところ、3μmであった。得られたETFE1膜のPETフィルムとの密着性を評価したところ、全く剥離は見られなかった。すなわち密着性の評価は、○(優)であった。
[実施例3]
実施例1で得られたフッ素樹脂オルガノゾルを、アルミニウム板(厚さ200μm)上に室温でバーコーターにより塗布、乾燥後、230℃のホットプレート上で3分間加熱して、アルミニウム板上にETFE1の薄膜を形成した。得られたETFE1膜とアルミニウム板との密着性を評価したところ、全く剥離は見られなかった。すなわち密着性の評価は、○(優)であった。
実施例1で得られたフッ素樹脂オルガノゾルを、アルミニウム板(厚さ200μm)上に室温でバーコーターにより塗布、乾燥後、230℃のホットプレート上で3分間加熱して、アルミニウム板上にETFE1の薄膜を形成した。得られたETFE1膜とアルミニウム板との密着性を評価したところ、全く剥離は見られなかった。すなわち密着性の評価は、○(優)であった。
[実施例4]
含フッ素共重合体として、ETFE1を1.60g、ジイソプロピルケトンを14.4g用いる以外は、実施例1と同様にして、均一な含フッ素共重合体のゲル状物(ETFE1の濃度10質量%)を得た。このゲル状物に粘度調整剤として、ドデシルアミン(0.03g)を加えて、遊星ボールミル(シンキー社製、あわとり練太郎ARE−310)を用いて、2000回転/分で10分間撹拌した。得られたスラリーを、プライミクス社製、TKフィルミックス40−40型を用いて、30m/秒で2分間撹拌し、均一な分散液(本発明のフッ素樹脂オルガノゾル)を得た。この分散液を用いて実施例1と同様にして表面にETFE1の薄膜が形成されたガラス基板を得た。得られたETFE1膜を光学顕微鏡で観察したところ、均一で平滑な膜であることを確認した。また、触針式表面形状測定器にて膜厚を測定したところ、6μmであった。得られたETFE1膜の密着性を評価したところ、全く剥離は見られなかった。すなわち密着性の評価は、○(優)であった。
含フッ素共重合体として、ETFE1を1.60g、ジイソプロピルケトンを14.4g用いる以外は、実施例1と同様にして、均一な含フッ素共重合体のゲル状物(ETFE1の濃度10質量%)を得た。このゲル状物に粘度調整剤として、ドデシルアミン(0.03g)を加えて、遊星ボールミル(シンキー社製、あわとり練太郎ARE−310)を用いて、2000回転/分で10分間撹拌した。得られたスラリーを、プライミクス社製、TKフィルミックス40−40型を用いて、30m/秒で2分間撹拌し、均一な分散液(本発明のフッ素樹脂オルガノゾル)を得た。この分散液を用いて実施例1と同様にして表面にETFE1の薄膜が形成されたガラス基板を得た。得られたETFE1膜を光学顕微鏡で観察したところ、均一で平滑な膜であることを確認した。また、触針式表面形状測定器にて膜厚を測定したところ、6μmであった。得られたETFE1膜の密着性を評価したところ、全く剥離は見られなかった。すなわち密着性の評価は、○(優)であった。
[実施例5]
実施例1と同様にして、ETFE1の均一なゲル状物(ETFE1の濃度5質量%)を得た。このゲル状物を、KINEMATICA社製ポリトロンPT10−35型を用いて、22000回転/分で5分間撹拌し、均一な分散液(本発明のフッ素樹脂オルガノゾル)を得た。
この分散液を実施例1と同様にして表面にETFE1の薄膜が形成されたガラス基板を得た。得られたETFE1膜の表面を光学顕微鏡で観察したところ、均一で平滑な膜であることを確認した。
実施例1と同様にして、ETFE1の均一なゲル状物(ETFE1の濃度5質量%)を得た。このゲル状物を、KINEMATICA社製ポリトロンPT10−35型を用いて、22000回転/分で5分間撹拌し、均一な分散液(本発明のフッ素樹脂オルガノゾル)を得た。
この分散液を実施例1と同様にして表面にETFE1の薄膜が形成されたガラス基板を得た。得られたETFE1膜の表面を光学顕微鏡で観察したところ、均一で平滑な膜であることを確認した。
(耐薬品性保護コーティング)
[実施例6]
実施例3で得られたETFE1が塗布されたアルミ基板(保護コート付きアルミ基板)を1N塩酸に浸し、変化を観察した。結果を、保護コートなしのアルミ基板を同様に処理した結果とともに表1に示す。
[実施例6]
実施例3で得られたETFE1が塗布されたアルミ基板(保護コート付きアルミ基板)を1N塩酸に浸し、変化を観察した。結果を、保護コートなしのアルミ基板を同様に処理した結果とともに表1に示す。
表1に示すように、本発明のフッ素樹脂オルガノゾルをコーティングすることにより、アルミ板の耐薬品性を著しく向上させることができた。
本発明のフッ素樹脂オルガノゾルによれば、これをコーティング用組成物として用いた場合に、塗布によるエチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを有する含フッ素共重合体:ETFEの塗膜形成が容易であり、耐熱性、難燃性、耐薬品性、耐候性、低摩擦性、低誘電特性、透明性等を必要とする表面処理等の用途に適する。
Claims (12)
- エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを有する含フッ素共重合体を分散質とし、前記含フッ素共重合体の融点以下の温度で該含フッ素共重合体を溶解しうる溶媒を分散媒とするフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法であって、
前記含フッ素共重合体を前記溶媒に溶解して溶液とする溶解工程と、
前記溶液において前記溶媒中に前記含フッ素共重合体を微粒子として析出させる析出工程と、
前記含フッ素共重合体を微粒子として含有する前記溶媒と含フッ素共重合体との混合物に高剪断力を加えて前記溶媒に該含フッ素共重合体の微粒子を均一に分散させる解砕・分散工程と
を有することを特徴とするフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。 - 前記析出工程と解砕・分散工程を同時に行うことを特徴とする請求項1記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
- 前記高剪断力を高速回転、高圧噴射、高速振動、超音波処理および高圧濾過よりなる群から選ばれる少なくとも1種の方法で加えることを特徴とする請求項1または2記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
- 前記溶解を40℃以上前記含フッ素共重合体の融点以下の温度で行い、前記析出を冷却により行う請求項1〜3のいずれか1項に記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
- 前記溶解工程における含フッ素共重合体と溶媒の配合割合が、含フッ素共重合体:溶媒で示される質量比で、1.0:99.0〜70.0:30.0である請求項1〜4のいずれか1項に記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
- 前記溶媒における、下記式(1)で示されるハンセン溶解度パラメータに基づく前記含フッ素共重合体に対する溶解指標(R)が25未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
R=4×(δd−15.7)2+(δp−5.7)2+(δh−4.3)2 …(1)
(式(1)中、δd、δpおよびδhは、ハンセン溶解度パラメータにおける、分散項、極性項および水素結合項をそれぞれ示し、単位はいずれも(MPa)1/2である。) - 前記含フッ素共重合体の微粒子における平均粒子径が、25℃において、動的光散乱法で測定した個数平均粒子径として0.005〜5μmの範囲にある、請求項1〜6のいずれか1項に記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
- 前記高剪断力を粘度調整剤の存在下で加えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
- 前記粘度調整剤が、ハロゲン基で置換されていてもよく結合末端以外の任意の−CH2−が酸素原子に置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基と、アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、水酸基およびメルカプト基から選ばれる少なくとも1種の官能基と、を有する化合物である請求項1〜8のいずれか1項に記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
- 前記含フッ素共重合体を構成するテトラフルオロエチレンおよびエチレン以外の共単量体に基づく繰り返し単位の割合が、0.1〜50モル%である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
- 前記含フッ素共重合体が、カルボン酸基、酸無水物基およびカルボン酸ハライド基から選ばれる少なくとも1種を有する含フッ素共重合体である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のフッ素樹脂オルガノゾルの製造方法。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法により得られるフッ素樹脂オルガノゾルを主成分とするコーティング用組成物。
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