JP2013234021A - エレベータのガイドレール - Google Patents

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Abstract

【課題】既設の継目部材を取り外すことなく、容易に既設のガイドレールの継目部の剛性を向上させることができるエレベータのガイドレールを提供する。
【解決手段】実施形態のエレベータのガイドレール1は、2本のレール2と継目部材3と複数の締結部材と補強部材5とを備えている。各レール2は乗かごの移動方向に沿って昇降路に配設されている。継目部材3は2本のレール2の移動方向に隣り合う端部21同士を連結する。各締結部材はボルト41及びナット42を含み、継目部材3を2本のレール2の端部21に締結する。補強部材5は、複数の挿通孔51を有し、各締結部材が緩められた後に、各ボルト41のネジ部41bが挿通孔51を通過した状態で、継目部材3と共に2本のレール2の端部21に締結され、全てのボルト41及びナット42が締結した状態でナット42を挿通孔51に挿通させて継目部材3に当接すること等が可能である。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、エレベータのガイドレールに関する。
従来、鉛直方向に連設された所定の長さのレールを、継目部材によって複数本連結して構成されるエレベータのガイドレールが知られている。かかるガイドレールの継目部(2本のレールの鉛直方向に隣り合う端部同士の連結部分)は、例えば、レールのフランジ部を表裏両面から挟み込むように配設された当板(継目部材)を複数のボルト及びナットでレールに固定する構造になっている。
特開昭50−37108号公報
ここで、例えば、既設のエレベータをリニューアルする際、エレベータを構成する機器(例えば、乗かごや釣合錘等)を変更することにより、ガイドレールにかかる荷重が、リニューアル前に比べ大きくなる場合がある。このような場合、レール同士の継目部(継目部材)の剛性を向上させることが必要になるため、複数のボルト及びナットを全て取り外し、既設の継目部材を、所望の剛性を有する新しい継目部材に交換していた。また、このような場合、継目部材を交換するために全てのボルト及びナットを取り外す必要があることから、作業者は、交換作業前にレールとレールとの分離を防止するための治具(分離防止用治具)を取り付け、その後に当該交換作業を行う必要があった。
本発明が解決しようとする課題は、既設の継目部材を取り外すことなく、既設のガイドレールの継目部の剛性を向上させることができるエレベータのガイドレールを提供することである。
実施形態のエレベータのガイドレールは、2本のレールと、継目部材と、複数の締結部材と、補強部材と、を備えている。2本のレールは、エレベータの乗かごの移動方向に沿って昇降路に前記移動方向に並べて配設されている。継目部材は、前記2本のレールの前記移動方向に隣り合う端部同士を連結する。複数の締結部材は、ボルト及びナットを含み、前記継目部材を前記2本のレールの端部に締結する。補強部材は、複数の連通部を有し、前記各締結部材が緩められた後に、前記各ボルトのネジ部が前記連通部を通過した状態で、前記各締結部材によって前記継目部材と共に前記2本のレールの端部に締結される。また、前記補強部材は、全ての前記締結部材が締結した状態で前記ナットを前記連通部に挿通させて前記継目部材に当接すること、あるいは一部の前記締結部材が緩められ、かつ残りの前記締結部材によって前記継目部材が前記2本のレールの端部に締結されたままで、前記ボルトのネジ部が前記連通部を通過するように前記締結部材と前記継目部材との間に挿入されて前記継目部材に当接すること、の少なくともいずれか一方が可能である。
図1は、第1の実施形態に係るエレベータのガイドレールの補強後の継目部の側面図である。 図2は、第1の実施形態に係るエレベータのガイドレールの補強後の継目部の背面図である。 図3は、第1の実施形態に係るエレベータのガイドレールの既設の継目部の側面図である。 図4は、第1の実施形態に係るエレベータのガイドレールの既設の継目部の背面図である。 図5は、第1の実施形態に係るエレベータのガイドレールの継目部材に補強部材を取り付ける手順について説明する説明図である。 図6は、第1の実施形態の変形例に係るエレベータのガイドレールの補強後の継目部の側面図である。 図7は、第2の実施形態に係るエレベータのガイドレールの既設の継目部の背面図である。 図8は、第2の実施形態に係るエレベータのガイドレールの継目部材に補強部材を取り付ける手順について説明する説明図である。 図9は、参考例に係るエレベータのガイドレールの継目部材に補強部材を取り付ける手順について説明する説明図である。
以下に添付図面を参照して、実施形態に係るエレベータのガイドレールを詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るエレベータのガイドレール1について図1〜図5を用いて具体的に説明する。図1は、第1の実施形態に係るエレベータのガイドレール1の補強後の継目部の側面図である。図2は、第1の実施形態に係るエレベータのガイドレール1の補強後の継目部の背面図である。図3は、第1の実施形態に係るエレベータのガイドレール1の既設の継目部の側面図である。図4は、第1の実施形態に係るエレベータのガイドレール1の既設の継目部の背面図である。図5は、第1の実施形態に係るエレベータのガイドレール1の継目部材3に補強部材5を取り付ける手順について説明する説明図である。なお、図1〜図9においては、位置関係を明確にするために、X軸、Y軸及びZ軸を示す矢印を付し、X軸方向を各ボルト41が継目部材3及び補強部材5を挿通する方向とし、Z軸方向を鉛直方向とし、Y軸方向をX軸方向及びZ軸方向にそれぞれ直交する方向としている。
第1の実施形態に係るエレベータのガイドレール1は、乗かご(図示省略)の鉛直方向への昇降をガイドするものと、釣合錘(図示省略)の鉛直方向への昇降をガイドするものとが、それぞれ一対、昇降路内に鉛直方向に設けられている。なお、各ガイドレール1は、所定長さのレール2が複数連結されて構成されるが、各図面及び以降の記載では、説明を簡単にするために、1のガイドレール1における1の継目部に関して説明する。ここで、継目部とは、2本のレール2の鉛直方向に隣り合う端部21同士の連結部分を指す。
図1及び図2に示すように、エレベータのガイドレール1は、2本のレール2と、継目部材3と、複数のボルト41及びナット42と、補強部材5とを含んで構成されている。ここで、第1の実施形態では、図3及び図4に示すように、2本のレール2と、継目部材3と、複数のボルト41及びナット42とを含んで、既設のガイドレール1が構成されている。補強部材5は、図1及び図2に示すように、既設のガイドレール1の継目部(継目部材3)を補強するために取り付けられ、補強後のガイドレール1を構成する。
レール2は、昇降路に沿って鉛直方向に配設されている。継目部材3は、各レール2の鉛直方向に隣り合う端部21を連結する。各ボルト41及び各ナット42は、各レール2の鉛直方向に隣り合う端部21に継目部材3を締結する。補強部材5は、継目部材3に対して追加して設けられ、継目部材3を補強する。
先ず、既設のガイドレール1の各構成について説明する。図3及び図4に示すように、各レール2は、乗かごや釣合錘の移動を案内するガイド刃部22と、このガイド刃部22の基部からY軸方向両側に広がる一対のフランジ部23とを有している。ガイド刃部22側に面したフランジ部23の正面24の反対側となる背面25は、ガイド刃部22の中心面に対して垂直な平面であり、継目部材3が当接する当接面となっている。
各レール2の端部21のフランジ部23には、正面24と背面25とを貫通するように、ボルト41(のネジ部41b)が挿通する第1ボルト孔26が、複数貫通形成されている。例えば、第1ボルト孔26は、各フランジ部23の一端につき、鉛直方向に2つ並んで形成されている。従って、一対のフランジ部23の端部21には、鉛直方向に2つ並んだ第1ボルト孔26の列が、Y軸方向に2列並ぶことになる。そして、継目部をなす2本のレール2の一対のフランジ部23には、鉛直方向に4つ並んだ第1ボルト孔26の列が、Y軸方向に2列並んでおり、計8つの第1ボルト孔26が形成されている。なお、第1ボルト孔26の形成数及び形成位置は、任意であり、必要に応じて適宜変更することができる。
継目部材3は、一対のフランジ部23の幅と略同一の幅で形成された矩形の板状(例えば、30mm厚)の部材である。継目部材3は、継目部(2本のレール2の鉛直方向に隣り合う端部21同士の連結部分)に対し、背面25から覆い被せるようにして一対のフランジ部23の背面25に当接する。継目部材3には、2本のレール2を連結するために、各レール2の各フランジ部23に形成された第1ボルト孔26に対応する位置に第2ボルト孔31が複数形成されている。例えば、継目部材3には、第1ボルト孔26の形成位置に対応して、鉛直方向に4つ並んだ第2ボルト孔31の列が、Y軸方向に2列並んでおり、計8つの第2ボルト孔31が形成されている。
各ボルト41は、そのネジ部41bをフランジ部23の正面24から、第1ボルト孔26及び第2ボルト孔31を挿通し、継目部材3から突出したネジ部41bの先端にナット42が螺合される。これにより、複数のボルト41及びナット42は、各第1ボルト孔26及び各第2ボルト孔31に対応する位置で、フランジ部23及び継目部材3を貫通し、これらを互いに固定する。なお、各ボルト41は、フランジ部23の背面25(継目部材3)側から装着されてもよい。また、ボルト41の頭部41aとフランジ部23との間、及び、ナット42と継目部材3との間に座金(平座金やバネ座金等)を挿入してもよい。なお、第1の実施形態では、締結部材として、ボルト41及びナット42を用いているが、これに限定されない。互いに取り付け・取り外しが可能な締結部材であればよい。
以上のように、既設のガイドレール1は、複数のボルト41及びナット42を用いて固定した継目部材3によって、複数のレール2が連結されて構成されている。ここで、既設のエレベータをリニューアルする際、エレベータを構成する機器の変更により、既設のガイドレール1にかかる荷重が、リニューアル前に比べ大きくなる場合がある。この場合、レール2よりも小さな断面性能(面積、断面係数、断面2次モーメント、断面2次半径等)を持つ継目部材3を用いている場合には、逆曲げ(フランジ部23(レール2)の正面24方向から背面25方向に曲がる。)により、その部分の影響で応力及びたわみが大きくなることを考慮しなければならない。
従って、エレベータのリニューアルの際に、継目部材3の断面性能が小さく、ガイドレール1として十分な強度を得ることができない場合には、継目部(継目部材3)を補強する必要がある。このため、第1の実施形態に係るガイドレール1は、必要な断面性能を満たすことができるように、継目部材3に対し、補強部材5を追加する構成になっている。
第1の実施形態に係るエレベータのガイドレール1における補強部材5について説明する。図1及び図2に示すように、補強部材5は、継目部材3と略同一の形状及び大きさ(厚みを除く。)で形成された略矩形の板状(例えば、5mm厚)の部材である。補強部材5には、継目部材3を各レール2の端部21に締結(固定)した状態の各ナット42に対応する位置に、挿通孔51(挿通部)が複数形成されている。すなわち、補強部材5には、8つの挿通孔51が形成されている。
各挿通孔51は、板厚方向に貫通する円形の孔である。各挿通孔51は、ナット42が挿通することができ、かつ、挿通孔51内に臨むナット42を工具によって正逆回転させる(締付ける及び緩める)ことができる直径で開口している。このため、補強部材5は、各ボルト41及び各ナット42が締結状態であっても、フランジ部23の背面25側から継目部材3の表面に当接することができる。そして、補強部材5は、継目部材3によって2本のレール2の端部21を連結したままで、複数のボルト41及びナット42によって継目部材3と共に2本のレール2の端部21に締結可能になっている。補強部材5は、継目部材3と一体に固定されることで、所望の断面性能を有する継目部(継目構造)を構成する。なお、各ボルト41が継目部材3の表面から装着されている場合には、各挿通孔51は、各ボルト41の頭部41aが挿通することができ、かつ、挿通孔51内に臨むボルト41の頭部41aを工具によって正逆回転させることができる直径を有していればよい。
次に、図5を参照して、既設のガイドレール1の継目部である継目部材3に補強部材5を取り付ける手順について説明する。まず、作業者は、全てのボルト41とナット42とが締結状態において、各挿通孔51に各ナット42が通るように、補強部材5を位置合せする(図5に示す(a)参照)。なお、締結状態とは、工具を使用することなくボルト41とナット42とを互いに緩めることができない状態を指す。そして、作業者は、各挿通孔51に各ナット42を通して、補強部材5を継目部材3の表面に当接させる(図5に示す(b)参照)。
次に、作業者は、補強部材5を継目部材3の表面に当接させた状態で、挿通孔51内に臨む任意の1のナット42を工具により緩めて取り外す。続いて、挿通孔51の直径よりも大きな外径を有する平座金52をボルト41のネジ部41bの先端から通す。その後、取り外したナット42をボルト41のネジ部41bの先端に再び螺合させ、工具により締め付ける(図5に示す(c)参照)。なお、平座金52は、挿通孔51の直径よりも大きな外径を有すると共に、ボルト41のネジ部41bの外径より大きくかつナット42の外径よりも小さい孔(孔部)がその中央に貫通形成されている。締め付けられたナット42は、平座金52に当接すると共に、挿通孔51の直径よりも大径の平座金52を挿通孔51の縁部に押し当てる。これにより、ボルト41及びナット42は、フランジ部23、継目部材3、補強部材5及び平座金52を貫通し、これらを互いに固定する。
この作業を、他のボルト41及びナット42に対して順次1つずつ行う。この作業を、全てのボルト41及びナット42に対して行うことにより、全てのボルト41及びナット42は、フランジ部23、継目部材3及び補強部材5を貫通し、これらを互いに固定する。これにより、補強部材5は、継目部材3と一体となって2本のレール2の端部21に締結される。
第1の実施形態に係るエレベータのガイドレール1は、複数のボルト41及びナット42に対応する複数の挿通孔51を有する補強部材5を備えている。各挿通孔51は、ナット42が挿通することができ、かつ、挿通孔51内に臨むナット42を工具によって緩めたり締め付けたりすることができる直径を有している。このため、補強部材5は、全てのボルト41及びナット42の締結状態を維持したまま、継目部材3に接触することができる。また、補強部材5は、締結状態を維持したボルト41及びナット42を複数残して、一部のボルト41及びナット42から順に、継目部材3と共に2本のレール2の端部21に締結される。従って、2本のレール2の連結を維持できるため、継目部材3の交換作業に必要なレール2同士の分離防止用治具の取付けを省略することができる。これにより、継目部材3を補強する補強部材5の追加取付作業を、手間と時間を要することなく容易に行うことができる。
また、第1の実施形態に係るエレベータのガイドレール1は、継目部材3と一体となって、2本のレール2の端部21を連結する補強部材5を備えている。このため、継目部材3と補強部材5とが一体となることにより、2本のレール2の継目部(継目構造)が補強され、エレベータをリニューアルする際に求められる断面性能を満たすことができる。従って、継目部材3単体で断面性能を満たすものよりも、安価な補強部材5で足りると共に、交換により生じる既設の継目部材3が廃棄物になることを防止することができる。
なお、前述の補強部材5の取り付け手順では、ナット42を1つずつ取り外していたが、2つ以上のナット42を取り外してから平座金52を入れ、再びナット42を締め付けてもよい(全てのボルト41及びナット42を取り外した状態を除く。)。ただし、各レール2に少なくとも1つ以上のボルト41及びナット42が締結状態であることが好ましい。また、各挿通孔51に代えて、補強部材5のY軸方向一端から、ボルト41の頭部41a又はナット42が通過する幅で切り欠きを設けてもよい。
また、前述の説明では、既設のボルト41をそのまま使用したが、ナット42を取り外した際に、ボルト41を交換してもよい。例えば、補強部材5を追加したことにより、相対的に短くなってしまったボルト41を、より長いボルト41に交換してもよい。また、ナット42を交換してもよい。例えば、挿通孔51よりも大きな外径のフランジ付きナットに交換してもよい。この場合、平座金52は不要になる。また、平座金52に代えてバネ座金を用いてもよい。なお、平座金52及びフランジ付きナット等は、縁部当接部材に該当する。
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態の変形例に係るエレベータのガイドレール1について図6を用いて具体的に説明する。図6は、第1の実施形態の変形例に係るエレベータのガイドレール1の補強後の継目部の側面図である。なお、図6において、前述した第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
第1の実施形態の変形例では、図6に示すように、補強部材5は、継目部材3の上端面に掛合する掛合部53が鉛直方向上端部に形成されている。従って、第1の実施形態の変形例の補強部材5は、側面から見るとL字型に形成されている。また、補強部材5の各挿通孔51は、掛合部53を継目部材3の上端面に掛合させ、補強部材5を継目部材3の表面に当接させたときに、各ナット42の中心と各挿通孔51の中心とが一致するように形成されている。
第1の実施形態の変形例の補強部材5を、既設のガイドレール1の継目部である継目部材3に取り付ける場合、作業者は、各挿通孔51に各ナット42を通し、かつ、掛合部53を継目部材3の上端面に接触させながら、補強部材5を継目部材3の表面に当接させる。
第1の実施形態の変形例の補強部材5は、継目部材3の表面に当接した状態で、掛合部53で継目部材3の上端面に引っ掛かっている。また、このとき、各挿通孔51内に臨む各ナット42は、各挿通孔51の中心に位置している。これにより、補強部材5は、継目部材3に対する当接状態を安定させることができ、補強部材5の追加取付作業を効率良く行うことができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るエレベータのガイドレール1について図7及び図8を用いて具体的に説明する。図7は、第2の実施形態に係るエレベータのガイドレール1の既設の継目部の背面図である。図8は、第2の実施形態に係るエレベータのガイドレール1の継目部材3に補強部材6を取り付ける手順について説明する説明図である。なお、図7及び図8において、前述した第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
第2の実施形態に係るエレベータのガイドレール1では、図7に示すように、補強部材6は、例えば、Y軸方向略中央で2つに分割された一対の分割補強部材6a,6bから構成されている。一対の分割補強部材6a,6bは、それぞれ、Y軸方向の一方の端面を互いに突き合わせることで、継目部材3と略同一の形状及び大きさ(厚みを除く。)の補強部材6を構成する(図8に示す(b)参照)。各分割補強部材6a,6bは、略矩形の板状の部材である。各分割補強部材6a,6bは、継目部材3を各レール2の端部21に締結状態の各ボルト41及び各ナット42に対応する位置に対応して形成された切欠き部61を複数有している。例えば、1の分割補強部材6a,6bには、4つの切欠き部61が形成されている。
各切欠き部61は、分割補強部材6a,6bのY軸方向一端から切り欠かれている。各切欠き部61は、ナット42の外径より狭く(小さく)、かつ、ボルト41のネジ部41b(ネジが切られていない部分を含む。)の外径より広い(大きい)幅で形成されている。つまり、各切欠き部61は、ボルト41のネジ部41bが通る幅で切り欠かれている。また、切欠き部61は、一対の分割補強部材6a,6bのY軸方向端面を互いに突き合わせたときに、第1ボルト孔26と第2ボルト孔31とを貫通したボルト41のネジ部41bが納まる位置まで切り欠かれている。すなわち、背面25から見て(平面視)、各ボルト41のネジ部41bは、各切欠き部61が形成する領域に納まるようになっている。詳細には、フランジ部23、継目部材3及び分割補強部材6a,6bを貫通したボルト41のネジ部41bと、切欠き部61の終端とが、突き当たる又は僅かな間隙を有する状態となるような奥行き(長さ)に切り欠かれている。なお、各ボルト41が継目部材3の表面から装着されている場合には、各切欠き部61は、各ボルト41の頭部41aの外径より狭く(小さく)、かつ、ボルト41のネジ部41bの外径より広い(大きい)幅で形成されていればよい。
次に、図7及び図8を参照して、既設のガイドレール1の継目部である継目部材3に補強部材6を取り付ける手順について説明する。前述したように、鉛直方向に4つ並んだボルト41及びナット42の列は、Y軸方向に2列並んでいる。作業者は、このうち、一方の列(例えば、図7及び図8では右側の列)の鉛直方向に並んだ4つのボルト41及びナット42を工具により緩める。詳細には、各ボルト41に対して各ナット42を緩め、継目部材3と各ナット42との間に分割補強部材6aの厚み以上の隙間を設ける。なお、当該ナット42は、各ボルト41に対して緩めるのみで、各ボルト41から取り外す必要はないが、当該ナット42を各ボルト41から取り外してもよい。
次に、作業者は、各切欠き部61の開放端面をレール2の軸心(図7の一点鎖線参照)に向けた状態の分割補強部材6aを、フランジ部23の外側からレール2の軸心に向かって、継目部材3とナット42との隙間に挿入する(図8に示す(a)参照)。このとき、各ボルト41のネジ部41bが対応する各切欠き部61を通るようにし、各ボルト41のネジ部41bが、切欠き部61の終端に突き当たる又は当該終端との間に僅かな間隙を有する位置まで分割補強部材6aを挿入する。あるいは、分割補強部材6aの外側端(切欠き部61の開放端とは反対の端)を、継目部材3の外側端部に合わせるように挿入してもよい。なお、各ボルト41が継目部材3の表面から装着されている場合には、各分割補強部材6a,6bは、各ボルト41の頭部41aと継目部材3との間に挿入されることになる。
次に、作業者は、分割補強部材6aを継目部材3と各ナット42との間に挿入させた状態で各ナット42を工具により締め付ける。各切欠き部61の幅はナット42の外径より狭いため、締め付けられた各ナット42は、切欠き部61の縁部に接触する。これにより、一方の列の鉛直方向に並んだ4つのボルト41及びナット42は、フランジ部23、継目部材3及び分割補強部材6aを貫通し、これらを互いに固定する。
続いて、作業者は、上記と同様の手順で、他方の列(例えば、図7及び図8では左側の列)の鉛直方向に並んだ4つのボルト41及びナット42を工具により緩め、分割補強部材6bを追加し固定する(図8に示す(b)参照)。これにより、他方の列の鉛直方向に並んだ4つのボルト41及びナット42は、フランジ部23、継目部材3及び分割補強部材6bを貫通し、これらを互いに固定する。そして、2つの分割補強部材6a,6bは、互いに各切欠き部61の開放端面を突き合わせて固定され、継目部材3と一体となって、2本のレール2の端部21を連結する。
第2の実施形態に係るエレベータのガイドレール1は、複数のボルト41及びナット42に対応する複数の切欠き部61を有する2つの分割補強部材6a,6bからなる補強部材6を備えている。各切欠き部61は、ナット42の外径より狭く、かつ、ボルト41のネジ部41bの外径より広い幅で形成されている。このため、一部(例えば、半分)のボルト41及びナット42を緩めた状態として分割補強部材6a,6bを装着することができ、残りのボルト41及びナット42は締結状態を維持することができる。従って、当該締結状態を維持したボルト41及びナット42によって、2本のレール2の連結を維持できるため、継目部材3の交換作業に必要なレール2同士の分離防止用治具の取付けを省略することができる。これにより、継目部材3を補強する補強部材6(2つの分割補強部材6a,6b)の追加取付作業を、手間と時間を要することなく容易に行うことができる。
また、各切欠き部61の幅はナット42の外径より狭いため、分割補強部材6a,6bを固定する際に、例えば、フランジ付きナットへの交換や座金の追加等をすることなく、既設のナット42を、そのまま使用することができる。従って、低コストでかつ簡単に分割補強部材6a,6bの追加取付作業を行うことができる。
なお、第2の実施形態では、2つの分割補強部材6a,6bにより補強部材6が構成されているが、これに限定されるものではなく、ボルト41及びナット42の数や配置を考慮して、3つ以上の分割補強部材6a,6bにより補強部材6を構成してもよい。また、鉛直(上下)方向に分割するように分割補強部材6a,6bを構成してもかまわない。この場合は、各切欠き部61は鉛直方向に切り欠かれて形成される。また、この場合、1の分割補強部材6a(6b)が、2本のレール2の端部21に対して固定されるように分割する位置を設定する。
なお、各切欠き部61の奥行き(長さ)は、任意である。例えば、2つの分割補強部材6a,6bが継目部材3と一体となって固定することができる範囲で、各切欠き部61の奥行きを設定すればよい。また、各切欠き部61に納めることができるボルト41(のネジ部41b)の数も任意である。例えば、ボルト41及びナット42の数や配置によって、1つ以上のボルト41(のネジ部41b)が納まるようにしてもよい。
さらに、第2の実施形態の分割補強部材6a,6bは、第1の実施形態に係るもの及び第1の実施形態の変形例に係るもののうち少なくとも一方を相互に適用することができる。例えば、分割補強部材6a,6bの少なくとも一方の複数の切欠き部61に代えて、第1の実施形態のものと同様に複数の挿通孔51を形成してもよい。また、例えば、第1の実施形態の変形例のものと同様に、補強部材6に掛合部53を設けてもよい。
(参考例)
参考例に係るエレベータのガイドレール1について図9を用いて具体的に説明する。図9は、参考例に係るエレベータのガイドレール1の継目部材3に補強部材7を取り付ける手順について説明する説明図である。なお、図9において、前述した第1の実施形態又は第2の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
参考例に係るエレベータのガイドレール1では、図9に示す(a)に示すように、補強部材7は、第1の実施形態における複数の挿通孔51に代えて、一端から切り欠かれた複数の切欠き部71が形成されたものとなっている。参考例における各切欠き部71は、複数(例えば、2つ)のボルト41及びナット42が納まるように形成されている点が、第2の実施形態の切欠き部61と異なる。
補強部材7は、継目部材3を各レール2の端部21に締結状態の各ボルト41及び各ナット42に対応する位置に対応して、Y軸方向一端から切り欠かれた4つの切欠き部71を有している。各切欠き部71の切り欠きの幅は、第2の実施形態に係るものと同様である。また、各切欠き部71は、Y軸方向に並んだ2つのボルト41のネジ部41bが納まる奥行き(長さ)で切り欠かれている。すなわち、背面25から見て(平面視)、Y軸方向に並んだ2つのボルト41のネジ部41bは、1の切欠き部71が形成する領域に納まるようになっている。詳細は後述するが、参考例の補強部材7は、第2の実施形態の分割補強部材6a,6bと同様に、各ナット42を緩めて、継目部材3と各ナット42との間に挿入して取り付けるものである。各切欠き部71は、その終端と、補強部材7を挿入する際、先に切欠き部71を通るボルト41のネジ部41bとが、突き当たる又は僅かな間隙を有する状態となるような長さ(奥行き)に切り欠かれている。
次に、既設のガイドレール1の継目部である継目部材3に補強部材7を取り付ける手順について説明する。まず、作業者は、全てのボルト41に対して全てのナット42を緩め、継目部材3と各ナット42との間に補強部材7の厚み以上の隙間を設ける(図9に示す(a)参照)。なお、各ナット42は、各ボルト41に対して緩めるのみで、各ボルト41から取り外す必要はない。
次に、作業者は、各切欠き部71の開放端面をレール2に向けた状態の補強部材7を、フランジ部23の外側から、継目部材3とナット42との隙間に挿入する(図9に示す(b)参照)。このとき、切欠き部71毎に、Y軸方向に並んだ2つのボルト41のネジ部41bが通るようにする。そして、各切欠き部71に対し、先に通った各ボルト41のネジ部41bが、切欠き部71の終端に突き当たる又は当該終端との間に僅かな間隙を有する位置まで補強部材7を挿入する。あるいは、補強部材7のY軸方向両端を、継目部材3の両端に合わせるように挿入してもよい。なお、各ボルト41が継目部材3の表面から装着されている場合には、各補強部材7は、各ボルト41の頭部41aと継目部材3との間に挿入されることになる。
次に、作業者は、補強部材7を継目部材3と各ナット42との間に挿入させた状態で全てのナット42を工具により締め付ける。これにより、ボルト41及びナット42は、フランジ部23、継目部材3及び補強部材7を貫通し、これらを互いに固定する。すなわち、継目部材3と補強部材7とが一体となって、2本のレール2の端部21を連結する。
参考例に係るエレベータのガイドレール1は、複数のボルト41及びナット42に対応する複数の切欠き部71を有する補強部材7を備えている。各切欠き部71は、ナット42の外径より狭く、かつ、ボルト41のネジ部41bの外径より広い幅で形成されていると共に、複数のボルト41のネジ部41bが納まるように形成されている。このため、全てのボルト41及びナット42を取り外した状態にすることなく、全てのボルト41及びナット42を緩めるだけで、継目部材3に補強部材7を追加することができる。従って、レール2同士の分離防止用治具の取付けを省略することができるため、継目部材3を補強する補強部材7の追加取付作業を、手間と時間を要することなく容易に行うことができる。
また、各切欠き部71の幅はナット42の外径より狭いため、補強部材7を固定するために座金の追加等を不要とし、既設のナット42を、そのまま使用することができる。従って、低コストでかつ簡単に補強部材7の追加取付作業を行うことができる。
なお、参考例では、各切欠き部71がY軸方向一端から切り欠かれているが、これに限定されるものではなく、例えば、各切欠き部71がZ軸(鉛直)方向一端から切り欠かれていてもよい。また、各切欠き部71に納めることができるボルト41(のネジ部41b)の数も任意である。例えば、ボルト41及びナット42の数や配置によって、3つ以上のボルト41(のネジ部41b)が納まるようにしてもよい。
さらに、参考例の補強部材7は、第1の実施形態の変形例に係るものを相互に適用することができる。例えば、第1の実施形態の変形例のものと同様に、補強部材7に掛合部53を設けてもよい。
以上述べた少なくともひとつの実施形態及び変形例に係るエレベータのガイドレール1によれば、補強部材5,6が、複数のボルト41及びナット42に対応する複数の挿通孔51及び複数の切欠き部61のうち少なくとも一方を有し、2本のレール2の端部21と継目部材3とが締結された状態から、複数のボルト41及びナット42を継目部材3から取外すことなく、複数のボルト41及びナット42によって、継目部材3と共に2本のレール2の端部21に締結される。これにより、既設の継目部材3を取り外すことなく、既設のガイドレール1の継目部の断面性能を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及び変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 ガイドレール
2 レール
3 継目部材
5,6,7 補強部材
6a,6b 分割補強部材
21 端部
41 ボルト
42 ナット
41a 頭部
41b ネジ部
51 挿通孔
52 平座金
53 掛合部
61,71 切欠き部

Claims (6)

  1. エレベータの乗かごの移動方向に沿って昇降路に前記移動方向に並べて配設された2本のレールと、
    前記2本のレールの前記移動方向に隣り合う端部同士を連結する継目部材と、
    ボルト及びナットを含み、前記継目部材を前記2本のレールの端部に締結する複数の締結部材と、
    複数の連通部を有し、前記各締結部材が緩められた後に、前記各ボルトのネジ部が前記連通部を通過した状態で、前記各締結部材によって前記継目部材と共に前記2本のレールの端部に締結される補強部材と、を備え、
    前記補強部材は、全ての前記締結部材が締結した状態で前記ナットを前記連通部に挿通させて前記継目部材に当接すること、あるいは一部の前記締結部材が緩められ、かつ残りの前記締結部材によって前記継目部材が前記2本のレールの端部に締結されたままで、前記ボルトのネジ部が前記連通部を通過するように前記締結部材と前記継目部材との間に挿入されて前記継目部材に当接すること、の少なくともいずれか一方が可能であることを特徴とするエレベータのガイドレール。
  2. 前記補強部材は、それぞれが前記継目部材に当接し、かつ前記各締結部材によって前記継目部材と共に前記2本のレールの端部に締結される複数の分割補強部材からなる請求項1に記載のエレベータのガイドレール。
  3. 前記各連通部は、前記2本のレールの端部と前記継目部材とが締結された状態で、前記ボルト及びナットが挿通する挿通部であり、
    前記各締結部材は、前記挿通部の直径よりも大きな外径を有し、かつ前記ボルトのネジ部が通過可能な孔部を有する縁部当接部材を更に有し、
    前記各縁部当接部材は、前記各挿通部に前記各ボルトが挿通された状態で、前記補強部材と前記各ナットとの間に追加され、若しくは前記各ナットと交換され、前記各挿通部の縁部に当接して前記補強部材を前記継目部材と共に前記2本のレールの端部に締結する請求項1又は2に記載のエレベータのガイドレール。
  4. 前記各連通部は、前記各ナットの外径より狭く、前記ボルトのネジ部の外径より広い幅で、かつ少なくとも前記ボルトのネジ部が納まる奥行きで、前記補強部材の一端から切り欠かれて形成された切欠き部であり、
    前記補強部材は、一部の前記締結部材を緩めた状態とし、前記各ボルトの軸方向に直交する方向から、前記各ボルトの頭部と前記継目部材との間、若しくは前記各ナットと前記継目部材との間に、前記各ボルトのネジ部が前記各切欠き部に納まるように挿入される請求項1又は2に記載のエレベータのガイドレール。
  5. 前記各切欠き部は、一部の前記締結部材を緩めた状態とし、前記補強部材を前記各ボルトの軸方向に直交する方向から、前記各ボルトの頭部と前記継目部材との間、若しくは前記各ナットと前記継目部材との間に挿入したときに、前記挿入方向に並ぶ複数の前記ボルトのネジ部が納まる奥行きに形成されている請求項4に記載のエレベータのガイドレール。
  6. 前記補強部材には、前記継目部材の移動方向上端に掛合する掛合部が形成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載のエレベータのガイドレール。
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