JP2013231784A - 光学用フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】分子配向度を具備し、紫外線吸収剤のブリードアウトが抑制された、偏光子プロテクト用フィルムとしても好適に用いることができる光学用ポリエステルフィルムの提供。
【解決手段】面内のレタデーションが7000nm以上、0.1〜10質量%の例えば下記の紫外線吸収剤を含有する厚さ5〜250μmである、光学用ポリエステルフィルム。
Figure 2013231784

【選択図】なし

Description

本発明は、光学用フィルムに関する。特には、偏光子プロテクト用フィルムとして好適に用いられる光学用フィルムに関する。
光学用フィルムとして、特定配向構造を有するフィルムが用いられる。
例えば、液晶表示装置(LCD)等に用いられる偏光板は、通常吸収型のフィルムタイプのものであり、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムをヨウ素で染色して形成した偏光子の通常は両面に、プロテクト用フィルムとしてトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを貼り合わせて保護した構成となっている。ここでTACフィルムが用いられるのは、透明性に優れ、また光学等方性に優れるために面内にほとんど位相差を持たず、入射直線偏光の振動方向を変化させることが極めて少ないためである。一方で、TACフィルムは、溶液キャスト製膜のためにコスト的に不利であったり、薄膜化が困難であったり、また耐湿熱性に劣り、加水分解しやすい等の欠点を有している。
かかるTACフィルムの欠点を解消するために、TACフィルムの代替としてポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートフィルムの適用が検討されている。その際、ポリエチレンテレフタレートのような芳香族ポリエステルは、分子鎖中に分極率の大きい芳香族環を持つため固有復屈折が極めて大きく、優れた透明性、耐熱性、機械特性を付与させるための延伸処理を施すと、分子鎖の配向に伴って復屈折が発現しやすく、偏光子プロテクト用フィルムへの使用に際しては輝度斑、色シフトがしやすいものである。
このような中で、一軸配向ポリエステルフィルムの偏光子プロテクト用フィルムへの適用が検討されている(特許文献1〜6)。
一方、光学用フィルムには、しばしば紫外線吸収機能が要求される。例えば、偏光子におけるヨウ素染色部分は、紫外線に対して弱く、そのため例えば太陽光や、液晶表示装置等の機器が備える光源からの光により劣化してしまう問題がある。
特開昭60−26304号公報 特開昭63−226603号公報 特開2010−277028号公報 特開2011−8169号公報 特開2011−8170号公報 特開2011−53271号公報
上述のような偏光子のヨウ素保護等のために紫外線吸収能を付与するにあたっては、フィルムに紫外線吸収剤を添加する方法が考えられる。しかしながら、フィルムに内添した紫外線吸収剤は、一般的にブリードアウトしやすい。かかる問題は、とりわけフィルムが一軸配向ポリエステルフィルムであると、二軸配向ポリエステルフィルムに比べてその配向結晶構造が少ないため、さらに顕著な問題となる。紫外線吸収剤のブリードアウトが生じると、フィルム白化の問題や、工程汚染の問題に繋がる。
そこで本発明は、上記のような背景技術を鑑み、例えば偏光子プロテクト用フィルムとしても好適に用いることができるような分子配向度を具備し、かつ紫外線吸収剤を含有するポリエステルフィルムであって、該紫外線吸収剤のブリードアウトが抑制された光学用フィルムを提供することを目的とする。
また、光学用フィルムには、耐久性、強度確保の観点から、しばしばハードコート層が設けられるため、優れたハードコート層接着性を有することが望ましい。
そこで、さらに望ましくは、ハードコート層との接着性に優れた光学用フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を採用するものである。
1.面内のレタデーションが7000nm以上であり、ポリエステルフィルムの質量を基準として0.1〜10質量%の紫外線吸収剤を含有するポリエステルフィルムであって、
該紫外線吸収剤が、下記一般式(1)で表される紫外線吸収剤であり、
該ポリエステルフィルムの厚さが5〜250μmである、
光学用フィルム。
Figure 2013231784
(ただし、上記一般式(1)において、Arはn価のビフェニル残基を表す。また、該ビフェニル残基は置換基を有していてもよい。Arに結合している環は、任意の位置に二重結合を有していてもよい。Xa、Xb、Xcは、互いに独立してヘテロ原子を表す。またXa、Xb、Xcは、置換基を有していてもよい。Rは1価の炭化水素基を表す。mは0〜4の整数を表す。nは1〜4の整数を表す。)
2.ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、表面の濡れ指数が40mN/m未満以上、60mN/m未満である易接着層を有する、上記1に記載の光学用フィルム。
3.上記易接着層が、アクリル樹脂からなるバインダー成分を主たる成分として含有する、上記2に記載の光学用フィルム。
4.少なくとも1層のハードコート層を有する、上記1〜3のいずれか1に記載の光学用フィルム。
5.偏光子プロテクト用フィルムとして用いられる、上記1〜4のいずれか1に記載の光学用フィルム。
6.ヨウ素で染色された偏光子の少なくとも片面に、上記5に記載の光学用フィルムを有する偏光板。
本発明によれば、例えば偏光子プロテクト用フィルムとしても好適に用いることができるような分子配向度を具備し、かつ紫外線吸収剤を含有するポリエステルフィルムであって、該紫外線吸収剤のブリードアウトが抑制された光学用フィルムを提供することができる。
そのため本発明のフィルムは、偏光子プロテクト用フィルムとして好適に用いることができる。
本発明のフィルムは、面内のレタデーションが7000nm以上であり、紫外線吸収剤を含有するポリエステルフィルムである。以下、本発明のフィルムを構成する各構成成分について説明する。
[ポリエステルフィルム]
本発明におけるポリエステルフィルムは、ポリエステルから形成されてなる。
(ポリエステル)
かかるポリエステルは、ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなる。ジカルボン酸成分としては、偏光子プロテクト用フィルムとして好ましい分子配向度が得やすいという観点、および機械的特性、熱的特性に優れるといった観点から、芳香族ジカルボン酸成分が好ましい。芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸に由来する成分を好ましく例示することができる。また、グリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールに由来する成分を好ましく例示することができる。なかでもポリエステルとしては、耐熱性、光学特性の観点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。かかるポリエチレンテレフタレートは、本発明の目的を阻害しない限りにおいて共重合成分を含有して共重合ポリエチレンテレフタレートであってもよい。
(レタデーション)
本発明におけるポリエステルフィルムは、面内のレタデーションが7000nm以上である。ここでレタデーションとは、フィルム面内において最大屈折率(nTD)と、かかる最大屈折率を示す方向と垂直な方向における屈折率(nMD)とから、|nTD−nMD|×フィルム厚み(nm)として求められる値である。
ポリエステルフィルムの面内のレタデーションが上記範囲にあることで、偏光子から射出される直線偏光の振動方向の変化を抑制することができる。さらに、外からの光が反射するに際して生じる干渉縞を抑制することができる。かかる観点から、面内のレタデーションは、好ましくは7500nm以上、より好ましくは7800nm以上、さらに好ましくは8000nm以上、特に好ましくは8500nm以上である。他方、直線偏光の振動方向変化抑制の観点からはレタデーションの上限は特に限定されないが、ポリエステルフィルムの延伸配向により上記レタデーションの態様とすることを考慮すると、過剰に高すぎるレタデーションを得ようとするとフィルム破断が生じやすくなったり、また得られたポリエステルフィルムが脆くなったりする傾向にある。かかる観点から、面内のレタデーションの上限は、30000nmであることが好ましい。
(フィルム厚み)
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、光学用フィルムとして、特に偏光子プロテクト用フィルムとして適した強度、コシが得られ、また適したレタデーションが得やすく、透明性に優れる観点から、5〜250μmである。薄すぎると適したレタデーションが得難くなる傾向にあり、強度、コシが低下する傾向にある。また取り扱い性に劣り、他の光学部材との貼り合わせや装置への組み込みが困難となる傾向にある。さらに、製膜が困難となる傾向にある。他方、厚すぎると、ポリエステルフィルムの質量増加により製品質量も増加する傾向にある。また透明性に劣る傾向にある。かかる観点から、厚みは、好ましくは10〜125μm、より好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは25〜100μmである。
[紫外線吸収剤]
本発明におけるポリエステルフィルムは、下記一般式(1)で表される紫外線吸収剤を含有する。
Figure 2013231784
(ただし、上記一般式(1)において、Arはn価のビフェニル残基を表す。また、該ビフェニル残基は置換基を有していてもよい。Arに結合している環は、任意の位置に二重結合を有していてもよい。Xa、Xb、Xcは、互いに独立してヘテロ原子を表す。またXa、Xb、Xcは、置換基を有していてもよい。Rは1価の炭化水素基を表す。mは0〜4の整数を表す。nは1〜4の整数を表す。)
このような構造を有する紫外線吸収剤を採用することによって、フィルムからのブリードアウトが抑制される。
上記一般式(1)中、Arは、1〜4価のビフェニル残基を表す。本発明においては、かかる構造が肝要であり、ブリードアウト抑制の効果は、かかる構造によって奏されるところが大きい。Arは、コストや化合物の得やすさ等の観点から、2〜4価の基であることが好ましく、2価であることがさらに好ましい。
Arは、ビフェニル構造から、1〜4個の水素原子を取り除いた1〜4価のビフェニル残基である。ビフェニル構造から水素原子を取り除く位置は、いずれの箇所でも良い。2価である場合は、例えば3,3’位、4,4’位等が挙げられる。3価である場合は、例えば3,5,3’位等が挙げられる。4価である場合は、例えば3,5,3’,5’位等が挙げられる。
ビフェニル残基Arは、置換基を有していても良い。置換基として1価の置換基が挙げられる。1価の置換基(以下R1とする)の例として、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜20の直鎖または分枝のアルキル基(例えばメチル、エチル)、炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル、ナフチル)、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、置換又は無置換のカルバモイル基(例えばカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、アルキルカルボニル基(例えばアセチル)、アリールカルボニル基(例えばベンゾイル)、ニトロ基、置換または無置換のアミノ基(例えばアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド、エトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド)、イミド基(例えばスクシンイミド、フタルイミド)、イミノ基(例えばベンジリデンアミノ)、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えばメトキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、スルホ基、置換または無置換のスルファモイル基(例えばスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、炭素数6〜20のヘテロ環基(例えばピリジル、モルホリノ)などを挙げることができる。また、置換基は更に置換されていても良く、置換基が複数ある場合は、同じでも異なっても良い。その際、置換基の例としては、上述の1価の置換基R1を挙げることができる。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。
置換基として好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基がある。より好ましくは、アルキル基、アリール基であり、特に好ましくは、アルキル基である。
上記一般式(1)中、Xa、XbおよびXcは、互いに独立してヘテロ原子を表わす。ヘテロ原子としては、例えば、ホウ素原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子等を挙げることができる。ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子である。より好ましくは、窒素原子、酸素原子である。これらのヘテロ原子を選択することにより、紫外線吸収能の向上効果を高くすることができ、その波長特性にも優れ、可視光領域は高透過率であり、紫外光領域は高吸収率であるという、相反する特性の両立が可能になる。また、紫外線吸収剤の安定性、耐熱性を高くすることができ、製造もしやすい。なお、Xa、XbおよびXcは置換基を有していても良い。例えば、Xaとして窒素原子が選択され、Arと結合している炭素とXaとの間の結合が単結合である場合、またXbとして窒素原子が選択され、Arと結合している炭素とXbとの間の結合が単結合である場合、またXcとして窒素原子が選択される場合等は、かかる窒素原子は適宜置換基を有することとなる。また、置換基としては上述した1価の置換基R1の例が挙げられる。
上記Xa、XbおよびXcを含む、Arに結合している環は、任意の位置に二重結合を有していてもよい。例えば、Xaとして窒素原子が選択される場合に、Arと結合している炭素とXaとの間は二重結合であってもよい。またXbとして窒素原子が選択される場合に、Arと結合している炭素とXbとの間は二重結合であってもよい。
Xa、XbおよびXcの特に好ましい態様は、Xaが窒素原子であり、Arと結合している炭素とXaとの間が二重結合であり、XbおよびXcが酸素原子である態様である。これにより紫外線吸収能、波長特性、紫外線吸収剤の安定性、耐熱性をさらに高くすることができる。
上記一般式(1)中、Rは、1価の炭化水素基を表わす。かかる炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であってもよいし、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基においては、直鎖状であってもよいし、分岐構造を含むものであってもよいし、環状構造を含むものであってもよい。また、飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和結合を有するものであってもよい。さらに、置換基を有するものであってもよい。
炭化水素基としては、紫外線吸収剤の安定性の観点から、炭素数1〜20の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜10の1価の炭化水素基がより好ましい。また、飽和で鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。炭素数は1〜4がさらに好ましく、メチル基、エチル基、1,2−プロピル基、1,3−プロピル基、1,4−ブチル基、1,6−ヘキシル基が好ましい。さらに炭素数は1〜2がさらに好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
上記一般式(1)中、mは、0〜4の整数を表す。吸収波長および紫外線吸収剤の安定性の観点から、mとして好ましくは0〜2であり、より好ましくは0〜1であり、特に好ましくは0である。
上記一般式(1)中、nは、1〜4の整数を表す。紫外線吸収能の向上効果を高める、また紫外線吸収剤の安定性および製造のしやすさ等の観点から、nとして好ましくは1〜3であり、さらに好ましくは1〜2であり、特に好ましくは2である。nが小さいと昇華しやすくなる傾向にあり、nが大きいと合成難くなる傾向にあり、また可視光領域の光を吸収しやすくなる傾向にあり、透過率低下と色相悪化の傾向にある。
(一般式(2)で表される紫外線吸収剤)
さらに、前記一般式(1)で表わされる紫外線吸収剤は、下記一般式(2)で表わされる紫外線吸収剤であることが好ましい。このような構成とすることによって、前記一般式(1)で表わされる紫外線吸収剤に対して、ブリードアウト抑制効果を保持したまま、あるいはさらに優れたものとした上で、紫外線吸収能をさらに優れたものとすることができる。また、化合物としての安定性が向上し、長期にわたって紫外線吸収能を維持することができるようになる。さらに、合成が容易であり、コスト、生産性に優れる。
Figure 2013231784
(ただし、上記一般式(2)において、Arはn価のビフェニル残基を表す。また、該ビフェニル残基は置換基を有していてもよい。Rは1価の炭化水素基を表す。mは0〜4の整数を表す。nは1〜4の整数を表す。)
上記一般式(2)中、Arは、前記一般式(1)におけるArと同義であり、好ましい態様および得られる効果も同様である。
上記一般式(2)中、Rは、前記一般式(1)におけるRと同義であり、好ましい態様および得られる効果も同様である。
上記一般式(2)中、mは、前記一般式(1)におけるmと同義であり、好ましい態様および得られる効果も同様である。
上記一般式(2)中、nは、前記一般式(1)におけるnと同義であり、好ましい態様および得られる効果も同様である。
(一般式(3)で表される紫外線吸収剤)
さらに、前記一般式(2)で表わされる紫外線吸収剤は、下記一般式(3)で表わされる紫外線吸収剤であることが好ましい。このような構成とすることによって、前記一般式(2)で表わされる化合物に対して、紫外線吸収能を保持したまま、あるいはこれらをさらに優れたものとした上で、ブリードアウト抑制効果をさらに優れたものとすることができる。また、化合物としての安定性がさらに向上し、より長期にわたって紫外線吸収能を維持することができるようになる。さらに、合成がより容易であり、コスト、生産性にさらに優れる。
Figure 2013231784
本発明におけるポリエステルフィルムは、上述の紫外線吸収剤を、ポリエステルフィルムの質量を基準として0.1〜10質量%含有する。かかる含有量とすることにより、適した紫外線吸収能を効率よく奏することができ、偏光子プロテクト用においては偏光子のヨウ素を好適に保護することができる。同時に、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制することができる。また透明性にも優れる。含有量が少なすぎると紫外線吸収能が低くなる傾向にある。かかる観点から、紫外線吸収剤の含有量は、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上である。他方、含有量が多すぎると、ブリードアウトしやすくなる傾向にあり、また透明性に劣る傾向にある。かかる観点から、紫外線吸収剤の含有量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
(紫外線吸収剤の製造方法)
前記一般式(1)〜(3)のいずれかで表わされる紫外線吸収剤は、任意の方法で合成することができる。例えば、公知の特許文献等、例えば特開昭57−209979号公報の実施例および比較例、特開平7−11231号公報の実施例および比較例、特開2009−286717号公報の実施例および比較例等を参考にして、任意のアントラニル酸と任意の酸クロライドから合成することができる。
(他の添加剤)
本発明におけるポリエステルフィルムには、上記紫外線吸収剤以外にも、本発明の目的を損なわない範囲において、滑剤(ワックス等)、粒子(有機粒子、無機粒子、有機無機複合粒子等)、酸化防止剤、帯電防止剤、離型剤、蛍光増白剤等の添加剤を含有していてもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲において、他の紫外線吸収剤(金属系紫外線吸収剤や、例えば特開平7−11231号公報に記載の紫外線吸収剤等)を併用することもできる。
[ポリエステルフィルムの製造方法]
以下、本発明におけるポリエステルフィルムの製造方法について一例を挙げて説明する。
まず、上述のポリエステルに所定量の紫外線吸収剤および任意に他の添加剤を添加したポリエステル組成物を得る。例えば、ポリエステルからなり紫外線吸収剤を含有したマスターバッチと、希釈用のポリエステルチップとを、得られるポリエステルフィルム中の紫外線吸収剤の含有量が所定の範囲となるように混合すればよい。得られたポリエステル組成物を、熱風乾燥機や真空装置等を用いて充分に乾燥する。その後、押出機に投入して、ポリエステルの融点以上の温度、例えば260〜320℃で溶融し、かかる溶融樹脂をフィルターにより濾過して異物を除去し、スリット状の口金を備えるダイから溶融シートを押し出し、冷却された、例えば10〜70℃程度のキャスティングドラム上にて急冷固化させて未延伸フィルムを得る。ここで得られる未延伸フィルムの厚みは、得ようとするフィルムの厚みおよび延伸倍率を考慮して決定すればよい。
次いで未延伸フィルムを、製膜機械軸方向(以下、縦方向または長手方向またはMDという場合がある。)または製膜機械軸方向と厚み方向とに垂直な方向(以下、横方向または幅方向またはTDという場合がある。)の一軸方向に延伸する。なお、ここで「一軸方向に延伸」とは、必ずしも二軸方向に延伸しないことを限定するものではなく、本発明が規定する面内の分子配向度(レタデーション)を満たす範囲であれば、二軸方向に延伸されたものであってもよい。かかる一軸方向の延伸は、フィルムの製造中に易接着層を形成しやすい観点、生産性の観点から、横方向の一軸方向に延伸することが好ましい。以下、横方向の一軸方向に延伸する場合について説明する。
なお、延伸の前に、後述する易接着層を形成するための塗液をフィルム表面に塗布することが好ましい。これにより、続く横延伸工程や熱固定工程における熱により、塗液を乾燥したり、塗液中の成分の反応を促進させたり、易接着層とフィルムとの密着性を向上したりすることができる。
そして、好ましくは塗液が塗布された未延伸フィルムを、ステンターに導き、横方向に、好ましくは80〜110℃で、好ましくは2.0〜6.0倍、さらに好ましくは3.0〜4.5倍で延伸を行い、横一軸延伸フィルムを得る。本発明においては、このような延伸条件を採用することにより、望ましいレタデーションを有するポリエステルフィルムを得ることができる。
続いて一軸延伸フィルムは、好ましくはポリエステルの結晶化温度以上、融点未満の温度、好ましくは150〜240℃で1〜60秒間熱処理(熱固定という。)を行う。これにより、機械特性、耐熱性、透明性をさらに向上させることができる。このようにして、横一軸配向フィルムを得る。
なお、横一軸配向フィルムは、さらに必要に応じて上記熱処理温度より10〜20℃低い温度で縦方向および/または幅方向に0〜20%収縮させながら再熱処理を行うことにより、熱収縮率を調整することができる。
縦方向に一軸延伸するに際しても、上記条件を参考にして、同様に行うことができる。
[易接着層(HC易接着層)]
ハードコート層(HC層)を形成するに際しては、本発明のフィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、表面の濡れ指数が40mN/m以上、60mN/m未満である易接着層(HC易接着層と呼称する場合がある。)を有する態様を、好ましい態様として例示できる。かかるHC易接着層により、ハードコート層との接着性に優れる。濡れ指数は高すぎる場合はハードコート層を形成するための剤が濡れ広がり難く、結果として接着性に劣る傾向にあり、他方低すぎる場合も表面が不活性すぎることにより接着性が低下する傾向にある。かかる観点から、HC易接着層の表面の濡れ指数は、40mN/m以上が好ましく、45mN/m以上がより好ましく、また60mN/m以下が好ましく、55mN/m以下がより好ましい。
HC易接着層は、上記濡れ指数範囲のものであれば特に限定されないが、アクリル樹脂からなるバインダー成分を主たる成分として含有する態様が好ましい。これによりポリエステルフィルムとHC層との両方の接着性により優れる。なお、ここで「主たる成分」とは、後述するHC易接着層における任意成分以外のその余をバインダー成分が占める態様であればよい。例えばHC易接着層の質量に対して60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上であることを示す。
(アクリル樹脂)
HC易接着層のアクリル樹脂は、ガラス転移点(Tg)が、好ましくは20〜80℃、さらに好ましくは25〜70℃である。これによりHC易接着性により優れる。また耐ブロッキング性に優れる。ガラス転移点が20℃未満であるとフィルムブロッキング性が悪化し、ガラス転移点が80℃より高いと造膜性が低くなり、またHC易接着性の向上効果が低くなる傾向にある。アクリル樹脂は、水に可溶性または分散性のアクリル樹脂が特に好ましいが、多少の有機溶剤を含有する水に可溶性または分散性であってもよい。
かかるアクリル樹脂は、以下のようなアクリルモノマーを重合して製造することができる。アクリルモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート(アクリレートとメタクリレートとを合わせて(メタ)アクリレートを記載することがある。また、ここでアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等である。);2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等のカルボキシ基またはその塩を含有するモノマー;(メタ)アクリルアミド(アクリルアミドとメタクリルアミドとを合わせて(メタ)アクリルアミドと記載することがある。)、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(ここでアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド(ここでアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、アクリロイルモルホリン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド等のアミド基を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物のモノマー;ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン(ただし共重合成分として)、α−メチルスチレン(ただし共重合成分として)、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アルキルイタコン酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエン等のモノマーが挙げられる。
アクリル樹脂は、特開昭63−37167号公報の製造例1〜3に記載の方法に準じて製造することができる。即ち、四つ口フラスコに、界面活性剤としてラウリルスルホン酸ナトリウム所定量、およびイオン交換水所定量を仕込んで窒素気流中で60℃まで昇温させ、次いで重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5部、亜硝酸水素ナトリウム0.2部を添加し、更に所望の機能を発現できる各モノマー類の混合物を3時間にわたり、液温が60〜70℃になるよう調整しながら滴下して、滴下終了後も同温度範囲に2時間保持しつつ撹拌下に反応を継続させ、次いで冷却することにより、アクリル樹脂の水分散体を得ることができる。
(粒子)
HC易接着層中にはフィルムに滑り性を付与したり、耐傷性を付与したりする目的で、HC易接着層の質量を基準として0.1〜10質量%の粒子を含有することが好ましい。粒子の含有量は0.2〜3.0質量%であることがさらに好ましい。粒子の含有量が下限値に満たないとフィルムの滑性、すなわち搬送性が不足する傾向にあり、また耐傷性の向上効果が低くなる傾向にあり、一方、上限を超える場合はフィルムのヘーズ値が高くなる傾向にあり、また易接着層の凝集力が低くなる傾向にあり、それにより接着性が低くなる傾向にある。
かかる粒子として、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、ケイ酸ソーダ、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化錫、三酸化アンチモン、カーボンブラック、二硫化モリブデン等の無機微粒子、アクリル系架橋重合体、スチレン系架橋重合体、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂等の有機微粒子を挙げることができる。これらのうち、水不溶性の固体物質は、水分散液中で沈降するのを避けるため、比重が3を超えない粒子を選ぶことが好ましい。また、これらは1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
HC易接着層における粒子の平均粒径は、例えば20〜300nm、好ましくは60〜300nm、さらに好ましくは80〜250nmであり、滑性、耐傷性および粒子脱落抑制の効果のバランスが良い。平均粒径が大きすぎると、粒子の落脱が発生しやすくなる傾向にあり、他方小さすぎると、滑性および耐傷性が低下する傾向にある。
(架橋剤)
HC易接着層は、架橋剤と含有し、易接着層をより強固にすることが好ましい。これにより接着性の向上効果が高くなる。
かかる架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、オキサゾリン系、ウレタン系、メラミン系等の架橋剤を用いることができる。なかでも接着性により優れる観点から、オキサゾリン系架橋剤が好ましい。また、オキサゾリン架橋剤は、取り扱いがしやすく、塗布液のポットライフが比較的長い。なお、架橋剤は2種以上を併用してもよい。
オキサゾリン系架橋剤としては、オキサゾリン基を含有する重合体が好ましい。付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーとしては、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限はなく、例えばアルキル(メタ)アクリレート(ここでアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2ーエチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミドN−アルキル(メタ)アクリルアミドN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(ここでアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリル酸のエステル部にポリアルキレンオキシドを付加させたもの等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα、β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン、等のα、β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができる。
架橋剤の含有量は、上記効果の観点から、バインダー成分の質量を基準として0.1〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは10〜25質量%である。少なすぎると易接着層の凝集力が高まり難くなる傾向にあり、接着性の向上効果が低くなる傾向にある。他方多すぎると、易接着層が非常に硬くなり、応力緩和が少なくなる傾向にあり、接着性の向上効果が低くなる傾向にある。
(易接着層の厚さ)
HC易接着層の厚さは、好ましくは40〜100nmである。これにより上記濡れ性を達成し易くなる。易接着層の厚さが薄過ぎると、濡れ性が低くなる傾向にあり、接着性の向上効果が低くなる傾向にある。他方厚すぎると、ブロッキングを起こしたり、ヘーズ値が高くなったりする可能性がある。かかる観点から、易接着層の厚さは、より好ましくは50〜90nmである。
[易接着層の形成方法]
易接着層は、易接着層を構成する成分を含有する水溶液、水分散液あるいは乳化液等の水性塗液(以下、単に塗液を呼称する場合がある。)の形態で使用され、それを塗布して塗膜を形成し、かかる塗膜を乾燥、必要に応じて効果して形成することが好ましい。塗液には、塗膜を形成するために、必要に応じて、前記成分以外の他の成分、例えば帯電防止剤、着色剤、界面活性剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
塗液の固形分濃度は、通常20質量%以下であるが、特に1〜10質量%であることが好ましい。この割合が下限値に満たないとポリエステルフィルムへの塗れ性が不足することがあり、一方、上限値を超えると塗液の安定性や易接着層の外観が悪化することがある。
塗液のポリエステルフィルムへの塗布は任意の段階で実施することができるが、ポリエステルフィルムの製造過程で実施するのが好ましく、更には配向結晶化が完了する前のポリエステルフィルムに塗布するのが好ましい。ここで、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムとは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向の何れか一方に配向せしめた一軸配向フィルム等を含むものである。なかでも、本発明においては、未延伸フィルムに、上記組成物の水性塗液を塗布し、そのまま縦延伸または横延伸と熱固定とを施すのが好ましい。
塗液をフィルムに塗布する際には、塗布性を向上させるための予備処理としてフィルム表面にコロナ表面処理、火炎処理、プラズマ処理等の物理処理を施すか、あるいは組成物と共にこれと化学的に不活性な界面活性剤を併用することが好ましい。
かかる界面活性剤は、ポリエステルフィルムへの塗液の濡れを促進するものであり、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン型、ノニオン型界面活性剤を挙げることができる。界面活性剤は、塗膜を形成する組成物中に、1〜10質量%含まれていることが好ましい。
塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法等を単独または組合せて用いることができる。尚、易接着層は、必要に応じ、フィルムの片面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよい。
[フィルムの特性]
(紫外線吸収能(分光透過率))
本発明のフィルムは、特定構造の紫外線吸収剤が用いられているために、優れた紫外線吸収能を有すると同時に、紫外線吸収剤のブリードアウトが少なく、またそれにより加熱時の昇華物も少なく、外観に優れ、欠点が少なく、品質に優れたものである。
本発明のフィルムは、波長360nmにおける光線透過率が10%以下であることが好ましい。このような範囲であると、紫外線吸収能に優れ、偏光子プロテクトフィルムとしてはヨウ素の劣化を抑制することができる。波長360nmにおける光線透過率は、さらに好ましくは5.0%以下、特に好ましくは1.0%以下である。また、同時に、波長390nmにおける光線透過率が80%以上であることが好ましい。このように、紫外領域から可視光領域にかけて、光線透過率が急峻に変化する態様であると、紫外線を吸収することによる可視光領域における余分な吸収が抑制されており、それによりフィルムの変色が抑制され、無色性に優れる。また、可視光領域の光線透過率が向上し、輝度の高い液晶表示装置を得ることができる。このことから、波長390nmにおける光線透過率は、さらに好ましくは81%以上であり、特に好ましくは82%以上である。このような態様とするためには、本発明が規定する紫外線吸収剤を用いればよい。また、添加量を本発明が好ましく規定する範囲とすればよい。
[偏光板]
本発明の光学用フィルムを、偏光子プロテクト用フィルムとして、偏光子の支持基材として用い、偏光子と複合化させることで偏光板を製造することができる。本発明のフィルムを偏光子の支持基材として用いることにより、偏光子の耐久性を高めつつ、ヨウ素の保護ができ、さらに色相再現性に優れる。
偏光子との複合化の方法については特に限定されるものでなく、二色性分子をマトリックス中に一軸配向させたフィルム状偏光子との貼合せが例示される。二色性分子は、ポリヨウ素イオンが用いられる。またフィルム状偏光子素材として、多くの場合はポリビニルアルコール(PVA)フィルムが用いられる。
偏光子との複合化の方法について、偏光子フィルムと積層させる方法以外に塗布方法を用いてもよい。塗布タイプにおいては、液晶分子をコーティング剪断力により配向させたり、塗布した反応性液晶分子を偏光などの照射により配向固化させたりする方法などを例示することができる。
かかる偏光板は、さらに具体的には、偏光子と本発明のフィルムとが、偏光子の透過軸方向と、本発明のフィルムにおいて面内で最大屈折率を示す方向とが平行になるように複合化させることによって得ることができ、そうすることで、本発明のフィルムによる直線偏光への影響、すなわち偏光状態の変化を小さくすることが可能となる。
また得られた偏光板は、液晶ディスプレイの色シフトおよび色斑を防止することができる光軸の安定性を確保することができ、ディスプレイに組み込んだ場合に表示画像品位の画面内のばらつきが少ない、より高性能の表示画像品位が発現する。
偏光子との貼合せにおいて、偏光子の両側に貼り合せる支持基板のうち、一方のみに本発明のフィルムを用いてもよく、両方に用いてもよい。また、偏光子と本発明のフィルムとの複合化に際し、フィルムと偏光子とは、ポリビニルアルコール(PVA)系の水糊等の接着層を介して、偏光子と接着層とを積層し、さらに該接着層と本発明のフィルムとを貼り合せることが好ましい。その際は、接着層が偏光板の光学的機能を損なわないように注意する必要がある。また、易接着層は偏光子と貼り合わせる側とは反対側となるようにすることが好ましい。そうすることで、偏光板にハードコート層易接着性を付与することができるためである。
[ハードコート層]
本発明のフィルムや偏光板は、任意にハードコート層を有することができる。例えばディスプレイ使用時の傷付防止目的であれば視認側に有することができるし、また加工工程での傷付防止目的であればバックライト側に有することができる。偏光板においてハードコート層を有する際には、フィルムとしては、少なくとも一方の面にHC易接着層を有する態様が好ましい。偏光子においては、このようなフィルムを、少なくとも偏光子とは反対側にHC易接着層がくるように用いることが好ましい。
ハードコート層の厚みは、十分な耐性を付与する観点から、好ましくは1.0〜6.0μmである。
(硬化性樹脂)
かかるハードコート層は、主たる成分として、熱硬化性樹脂や放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂より形成されてなる。本発明においては、優れた硬度が得られ、偏光板に優れた耐性を付与することができるという観点から、放射線硬化性樹脂が好ましく、中でも紫外線硬化性樹脂が好ましい。本発明におけるハードコート層は、主たる成分として以下の放射線硬化性樹脂よりなることが好ましい。なお、ここで「主たる成分として」とは、ハードコート層の質量を基準として、50質量%以上、好ましくは80質量%以上であることを意味する。
放射線硬化性樹脂は、放射線により架橋し、硬化させることができるモノマー、オリゴマー、あるいはポリマーである。本発明における放射線硬化性樹脂としては、硬化後の架橋密度を高くすることができ、表面硬度の向上効果を高くすることができ、かつ透明性の向上効果を高くすることができるという観点から、多官能(メタ)アクリレートモノマー、多官能(メタ)アクリレートオリゴマー、あるいは多官能(メタ)アクリレートポリマー等の多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよび/またはメタクリレートを表わす。
かかる多官能(メタ)アクリレート化合物は、分子内に(メタ)アクリロイル基を含有する化合物であるが、分子内に少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含有することが好ましく、そのような態様とすることによって、放射線硬化性樹脂の架橋反応が進行しやすくなり、表面硬度の向上効果を高くすることができる。なお、本発明における多官能(メタ)アクリレート化合物は、分子内に(メタ)アクリロイル基以外の他の重合性官能基を含有してもよい。なお、ここで「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を表わす。
分子内に少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、例えばネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート)、メラミン(メタ)アクリレート等のモノマー、およびこれらのうち少なくとも1種からなる2〜20量体程度のオリゴマー、これらのうち少なくとも1種からなるポリマーを挙げることができる。このような多官能(メタ)アクリレート化合物は、一種類を単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。
多官能(メタ)アクリルオリゴマー/ポリマーの繰り返し単位数は、特には制限されないが、例えば数平均分子量で150〜1000000、好ましくは1000〜500000であることが好ましく、塗布外観の向上効果を高くすることができる。数平均分子量が150に満たない場合や、1000000を超える場合は、粘度が低すぎたり高すぎたりする傾向にあり、塗布外観の向上効果が低くなる傾向にある。
以上のような、分子内に少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物は、例えばアロニックスM−400、M−450、M−305、M−309、M−310、M−315、M−320、TO−1200、TO−1231、TO−595、TO−756(以上、東亞合成製)、KAYARD D−310、D−330、DPHA、DPHA−2C(以上、日本化薬製)、ニカラックMX−302(三和ケミカル社製)等の市販品として入手することができる。
(ハードコート層の形成方法)
ハードコート層は、ハードコート層を形成するための塗液(HC剤)を、ハードコート層を形成したい面に塗布し、加熱乾燥し、硬化することにより得ることができる。
本発明におけるHC剤は、溶媒に、上述の硬化性樹脂および任意成分を添加し、混合した溶液である。各成分の添加にあたっては、粉体等の固体として添加してもよいし、固体を適当な溶媒を用いて溶液あるいは分散体の態様としたものを添加してもよい。HC剤に用いられる溶媒は、特に限定はされないが、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、セカンダリーブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸ブチル、酢酸エチルなどのエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類等を用いることができ、HC剤の分散性が良好となり、ハードコート層の外観が良好となる。中でも、溶解性が良好であるという観点から、ケトン類が好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが特に好ましい。HC剤の固形分濃度としては、1〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、このような態様とすることによって、塗り斑等の欠点を低減することができる。
HC剤を塗布する方法としては、それ自体公知の方法を採用できる。例えばリップダイレクト法、コンマコーター法、スリットリバース法、ダイコーター法、グラビアロールコーター法、ブレードコーター法、スプレーコーター法、エアーナイフコート法、ディップコート法、バーコーター法等を好ましく挙げることができる。これらの塗布方法によって、透明基材上にHC剤を塗布し、塗膜を形成し、得られた塗膜を加熱乾燥する。加熱乾燥の条件としては、50〜150℃で10〜180秒間加熱することが好ましく、50〜120℃で20〜150秒間加熱することがさらに好ましく、50〜80℃で30〜120秒間加熱することが特に好ましい。加熱乾燥後、紫外線照射または電子線照射によりHC塗膜を硬化する。紫外線照射の場合、その照射量は、好ましくは10〜2,000mJ/cm、さらに好ましくは50〜1,500mJ/cm、特に好ましくは100〜1,000mJ/cmである。かくしてハードコート層を形成することができる。
以下、本発明を、実施例を用いて詳細に説明する。物性は以下の方法で測定、評価した。なお、「PET」はポリエチレンテレフタレートを表わす。
(1)フィルム厚み
フィルムサンプルをスピンドル検出器(安立電気(株)製K107C)にはさみ、デジタル差動電子マイクロメーター(安立電気(株)製K351)にて、異なる位置で厚みを10点測定し、平均値を求めフィルム厚みとした。
(2)フィルムの屈折率およびレタデーション
JIS−K7105に従い、アッベ屈折計(光源:ナトリウムD線589nm、マウント液:ヨウ化メチレン)で測定した。測定は、フィルムの横方向を0°とし、5°毎に屈折率を測定し、最大屈折率nTDと、かかる最大屈折率と直交する方向における屈折率nMDを求めた。
次いで、上記で求めたnTDおよびnMDを下記式に当てはめ、計算される値をレタデーション(Re、単位:nm)とした。
Re(nm)=|nTD−nMD|×フィルム厚み(nm)
なお、フィルム厚みは屈折率を測定した場所の厚みを上記(1)の方法に準じて測定した値を使用する。
(3)分光透過率(紫外線吸収能)
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)を用いて、波長範囲300〜800において、スキャン速度200nm、スリット幅20nm、サンプリングピッチ1.0nmの条件で、波長360nm、390nmにおける光線透過率を測定し、下記基準で評価した。
360nm・・・◎:1%以下、○:1%を超え5%以下、△:5%を超え10%以下、×:10%を超える
390nm・・・◎:82%以上、○:81%以上82%未満、△:80%以上81%未満、×:70%以上80%未満、××:70%未満
(4)濡れ指数
JIS−C2151に従い、温度23±2℃、湿度50±5%に調節された室内において測定した。濡れ指数液として、ホルムアミドとエチレングリコールモノエチルエーテルが各々所定の割合で混合され、着色度の高い染料をごく少量加えられた和光純薬工業(株)製のものを使用した。綿棒に濡れ指数液をたれない程度にたっぷりしみこませ、試料に水平にあて、一方向に移動して濡れ指数液を塗布した。塗布は0.5秒で完了するようにした。この液膜が破れを生じないで、2秒間以上、塗布されたときの状態を保っている場合は、さらに次に表面張力の高い混合液に進み、また逆に、2秒未満で液膜が破れ、また全体に収縮を生じた場合は、次の表面張力の低い液に進む。この作業を繰り返し、表面を正確に2秒間濡らすのに最も近い濡れ指数液を選ぶことができるまで継続する。選ばれた濡れ指数液の表面張力の数値(単位:mN/m)をその箇所の濡れ指数とした。測定は場所を変えて5回行い、平均値を結果とした。
(5)HC易接着性(クロスカット試験)
実施例において得られたハードコート層を有するフィルムを用いて、JIS K5400(1990)における碁盤目テープ試験に準拠して行い、HC接着性について評価した。
まず、試験面(ハードコート面)においてハードコート層にカッターナイフとカッターガイドを用いて、2mm×2mm四方の碁盤目の切り傷を25マス入れた。かかる碁盤目部分にセロハンテープを強く圧着させ、テープの端を45°の角度で一気に引き剥がし、碁盤目における偏光子の剥離の状態(剥がれたマス目数)を観察し、以下の評価基準で判定した。
(HC易接着性判定基準)
◎:0
○:1〜5
△:6〜9
×:10個以上
なお、ここで1/4以上剥がれたマスは1マスと数え、剥がれたのが1/4未満のものは剥がれないと判定した。
(6)ヘーズ、全光線透過率
JIS−K7136に従い、ヘーズ測定器(日本電色工業社製NDH―2000)を用いて、ヘーズ及び全光線透過率を測定した。任意の5箇所の平均とした。なお、全光線透過率は以下の基準で評価した。
(全光線透過率判定基準)
○:88%以上
△:85%以上88%未満
×:85%未満
(7)ブリードアウト性(Δヘーズ)
実施例で得られたフィルムについて、オーブンにて150℃×60分加熱し、その前後のヘーズ変化量(ヘーズ差、Δヘーズ1)を求めた。
次に、各フィルムサンプルに対して、紫外線吸収剤を含有しない以外は同様にして基本フィルムを作成し、オーブンにて150℃×60分加熱し、その前後のヘーズ変化量(ヘーズ差、Δヘーズ0)を求めた。
Δヘーズ1の値から、紫外線吸収剤のブリードアウトに起因しないヘーズ変化量(Δヘーズ0)の値を差し引き、紫外線吸収剤のブリードアウトに起因するヘーズ変化量(Δヘーズ)を求め、かかる値から紫外線吸収剤のブリードアウト性について下記基準で評価した。なお、ヘーズの測定方法は上記(6)のとおりとした。
(ブリードアウト性判定基準)
◎ :Δヘーズが1.5%以下
○ :Δヘーズが1.5%を超え3%以下
△ :Δヘーズが3%を超え5%以下
× :Δヘーズが5%を超え8%以下
××:Δヘーズが8%を超える
(8)干渉縞評価
市販の液晶ディスプレイ(20インチ)において、もともと組み込まれていた視認側の偏光板の代わりに、本発明のフィルムを用いて得られた偏光板(HCを有するもの)を配置し、再度ディスプレイを組み立てた。ディスプレイを寝かせて画面を上向きにし、画面上方30cmの位置に蛍光灯(三波長管)を設置した。画面には白色を表示させ、上方に設置した蛍光灯により画面を照らして、目視により干渉縞を観察する。その際、見る方向を変えて、干渉縞の特に見え易い位置を探して、下記の指標によって評価を行なった。
(干渉縞判定基準)
◎:干渉縞が見えない。
○:干渉縞がほとんど見えない。
△:干渉縞が少し見える。
×:干渉縞が強く見える。
[実施例1]
下記一般式(3)で表される紫外線吸収剤5質量部とポリエチレンテレフタレート(PET、固有粘度0.65(o−クロロフェノール、25℃))95質量部とを準備し、これらを押出機に投入し、紫外線吸収剤をPET中に練り込み、紫外線吸収剤を5質量%含有するマスターバッチ(固有粘度0.60(o−クロロフェノール、25℃))を作成した。
Figure 2013231784
希釈用に上記のポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、上記で得られた紫外線吸収剤を含有するマスターバッチと混合し、紫外線吸収剤の含有量が得られるフィルム中に1質量%になるように配合して、押出機より押し出し、未延伸フィルムを作成した。
次いで未延伸フィルムの片面に、下記組成からなる水性塗液1を、乾燥後の塗布厚みが60nmとなるように塗布した。
(水性塗液1)
アクリル樹脂:メチルメタクリレート65モル%、エチルアクリレート28モル%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2モル%、N−メチロールアクリルアミド5モル%であるアクリル樹脂(Tg25℃)の水分散体を用いた。
架橋剤:メタクリル酸15モル%、メチルメタクリレート33モル%、ポリエチレングリコール(n=10)メタクリレート6モル%、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン46モル%であるオキサゾリン系架橋剤の水分散体を用いた。
界面活性剤:組成がC1835O−(CO)12−Hであるポリオキシエチレンオレイルエーテルの界面活性剤を用いた。
次いで、上記のアクリル樹脂の水分散体と、オキサゾリン系架橋剤の水分散体と、界面活性剤とを、固形分質量比率が80:15:5となるように混合し、固形分濃度4.0質量%となるようにイオン交換水にて希釈し、水性塗液1とした。
次いで、水性塗液を塗布した未延伸フィルムをステンターに導いて、100℃で余熱し延伸温度110℃にて横方向に4.0倍(横延伸倍率)に延伸した。この後、結晶化ゾーンにて235℃にて10秒間熱処理して積層フィルムを得た。なお、熱処理の際に、縦方向1.5%および横方向2.0%に弛緩を入れて熱収縮率を調整した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
[実施例2、3、比較例1]
横延伸倍率を表1に示すようにした他は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
[実施例4]
フィルムの厚みを75μmに変更した他は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
[実施例5]
水性塗液1を塗布せずに、HC易接着層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。実施例5で得られたフィルムは、HC層との密着性が不足するものであった。
[比較例2]
紫外線吸収剤を、下記一般式(4)で表わされる紫外線吸収剤に代えた以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 2013231784
[製造例1]偏光板の作成
上記で得られたフィルム(PETフィルムと呼称する。)を用いて、以下の方法により偏光板を作成した。
1.ポリビニルアルコール(PVA)フィルムの製作
(1)重合度1800以上のPVA10gを、水100mlに投入し、加熱しながら攪拌してPVAを溶解し、PVA水溶液を得る。
(2)ガラス板(40cm×40cm程度)1枚と厚さ1mmの短冊状(1cm×40cm)に切ったプラスチック板2枚及びガラス棒(50cm)1本を用意し、上記で得られたPVA溶液をガラス板に垂らし、プラスチックの短冊をスペーサーにして、ガラス棒で均一に延ばす。
(3)PVAを延ばし後、ガラス板を水平な台上に静置し、水分を蒸発させてPVAフィルムを作成する。
2.ヨウ素染色と延伸
(1)少量の水に0.2gのヨウ素と0.5gのヨウ化カリウムを加え、ヨウ素を溶解させる。この溶液を500mlの4%硼酸溶液に加えて染色液とする。
(2)適当な大きさに切断したPVAフィルムを染色液に約15秒間浸漬する。
(3)フィルムを染色液より引き上げ、ろ紙上に広げ水滴を吸収させる。
(4)2台の引き延ばし器を用意し、短冊状の板にフィルムの端を巻き付け、3〜3.5倍引き延ばし、引き延ばしたまま約30分放置し乾燥させる。かくして偏光子が得られる。
3.貼り合わせ
上記で得られた偏光子をPETフィルムと貼り合わせやすい形状に整える。次いで、PETフィルムの表面に、PVAが5質量%の濃度になるように調合した塗液を10g/mで均一に塗布し、その上に偏光子を貼り合わせる。この際、偏光子の配向方向とPETフィルムの配向方向とは、配向方向が平行となるようにした。偏光子の反対面にも同様にPETフィルムを貼り合わせて、偏光板を作成した。なお、片面にHC易接着層を有する場合は、HC易接着層を有しない側の面と偏光子とを貼りあわせた。
[製造例2]ハードコート層の形成
上記で得られたフィルムの片面(HC易接着層を有する場合は該HC易接着層の表面)に、以下の方法によりハードコート層を形成した。
ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(構造式(5))と、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(構造式(6))を、乾燥時の質量比率が50:50となるように配合する。それをメチルエチルケトンと酢酸ブチルを質量比率50:50になるように配合した有機溶剤で濃度20〜30質量%になるように希釈し、ハードコート層を形成するための塗布液を作成した。かかる塗布液を、乾燥時の厚みが3μmになるように、マイヤーバー#6を用いてフィルムに塗布した。
Figure 2013231784
Figure 2013231784
塗布後、70℃のオーブンにて1分間乾燥し、その後、300mJ/cmの強度の紫外線を照射し、十分に硬化させ、ハードコート層を形成した。
また、得られたハードコート層を有するフィルムを用いて、上記製造例1と同様にして、ハードコート層を有する偏光板を作成した。
Figure 2013231784
本発明の光学用フィルムは、特に偏光板において偏光子を保護する偏光子プロテクト用フィルムとして、好適に用いることができる。本発明のフィルムにより、偏光子のヨウ素を保護しながら、紫外線吸収剤のブリードアウトによる問題のない偏光板を得ることができる。また、好ましい態様によれば、ハードコート層と優れた接着性を有する光学用フィルムを得ることができる。

Claims (6)

  1. 面内のレタデーションが7000nm以上であり、ポリエステルフィルムの質量を基準として0.1〜10質量%の紫外線吸収剤を含有するポリエステルフィルムであって、
    該紫外線吸収剤が、下記一般式(1)で表される紫外線吸収剤であり、
    該ポリエステルフィルムの厚さが5〜250μmである、
    光学用フィルム。
    Figure 2013231784
    (ただし、上記一般式(1)において、Arはn価のビフェニル残基を表す。また、該ビフェニル残基は置換基を有していてもよい。Arに結合している環は、任意の位置に二重結合を有していてもよい。Xa、Xb、Xcは、互いに独立してヘテロ原子を表す。またXa、Xb、Xcは、置換基を有していてもよい。Rは1価の炭化水素基を表す。mは0〜4の整数を表す。nは1〜4の整数を表す。)
  2. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、表面の濡れ指数が40mN/m未満以上、60mN/m未満である易接着層を有する、請求項1に記載の光学用フィルム。
  3. 上記易接着層が、アクリル樹脂からなるバインダー成分を主たる成分として含有する、請求項2に記載の光学用フィルム。
  4. 少なくとも1層のハードコート層を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学用フィルム。
  5. 偏光子プロテクト用フィルムとして用いられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学用フィルム。
  6. ヨウ素で染色された偏光子の少なくとも片面に、請求項5に記載の光学用フィルムを有する偏光板。
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