JP2013231715A - 質量分析データ処理方法及び質量分析データ処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】目的化合物と同じカテゴリーである既知の多数の化合物について質量と構成元素個数との関係を調べた結果に基づく近似式を推定モデルとし、或る一つのピークの実測質量が与えられたとき、該推定モデルに基づき化学式を推定する(S231-S232)。該化学式から質量を計算し、その質量と実測質量との差が所定閾値以内であれば、化学式の推定が正しいと判断する(S233-S236)。一方、質量差が閾値を超えている場合にはその差に応じて元素を加減して化学式を修正し、質量を再計算し(S237-S238)S234へ戻る。この繰り返しによって化学式が得られたならば、それに基づき理論同位体分布を計算する(S24)。この理論同位体分布を用いたフィッティングによりマススペクトル上の同位体分布を識別し、モノアイソトピックイオンピークを特定する。
【選択図】図4
Description
なお、本明細書では、質量分析装置により収集されセントロイド処理がなされていない生のデータを「プロファイルスペクトルデータ」と呼び、このデータに基づいて作成されたセントロイド処理がなされる前のいわゆるプロファイルスペクトルを「マススペクトル」と呼ぶこととする。したがって、マススペクトル上において各ピークは質量電荷比軸に沿った方向に山状に現れる。また、マススペクトルは、通常の質量分析(MS1分析)により得られるMS1スペクトルと後述するMSn分析(ここでnは2以上の整数)により得られるMSnスペクトルの両方を含むものとする。
上述したように、一般に、モノアイソトピックイオンピークは同位体ピーククラスタの中の第1ピークであり、その同位体ピーククラスタは実測により得られたマススペクトル上で検出される同位体分布包絡線に基づいて特定される。具体的には、マススペクトル上で例えば同位体ピーククラスタであると推定される同位体分布包絡線が抽出されると、該同位体分布包絡線上の各データ点と理論同位体分布上のデータ点とについて数学的逐点フィッティング法が適用され、その結果に基づいて同位体ピーククラスタであるか否かが判定される。こうした手法は技術的には確立されたものであるが、マススペクトル上のピークプロファイルの形状があまり良好でない、つまりは理論的なモデルとの差異が大きすぎる場合には、あまり有効ではない。
a)前記プロファイルスペクトルデータからイオンピークを抽出し、そのピークに対応する実測質量を求める対象ピーク設定ステップと、
b)目的化合物と主要な元素が共通する同じカテゴリーに属する1又は複数の化合物の既知の質量と元素組成とから導出された質量と元素組成との近似的な関係に基づいて、前記対象ピーク設定ステップにおいて得られた実測質量に対応する元素組成を推定する組成推定ステップと、
c)前記組成推定ステップにおいて得られた元素組成に基づき、各元素の既知の同位体比を用いて理論同位体分布を導出する理論同位体分布導出ステップと、
d)前記対象ピーク設定ステップにおいて抽出されたイオンピークが含まれる所定の質量電荷比範囲内に存在する複数のピーク又はそれらピークを含む曲線を前記理論同位体分布導出ステップにおいて得られた理論同位体分布にフィッティングし、その結果に基づいて、前記抽出されたイオンピークが単一の化合物から発生した同位体ピーククラスタ中のモノアイソトピックイオンピークであるか否かを判定する、及び/又は、前記抽出されたイオンピークが前記所定の質量電荷比範囲内に存在する複数の化合物から発生した複数の同位体ピーククラスタが重畳して構成されたピーククラスタ中のピークであるか否かを判定する判定処理ステップと、
を有することを特徴としている。
a)前記プロファイルスペクトルデータから目的化合物由来であると推定されるイオンピークを抽出し、そのピークに対応する実測質量を求める対象ピーク設定部と、
b)目的化合物と主要な元素が共通する同じカテゴリーに属する1又は複数の化合物の既知の質量と元素組成とから導出された質量と元素組成との近似的な関係に基づいて、前記対象ピーク設定部により得られた実測質量に対応する元素組成を推定する組成推定部と、
c)前記組成推定部により得られた元素組成に基づき、各元素の既知の同位体比を用いて理論同位体分布を導出する理論同位体分布導出部と、
d)前記対象ピーク設定部により抽出されたイオンピークが含まれる所定の質量電荷比範囲内に存在する複数のピーク又はそれらピークを含む曲線を前記理論同位体分布導出部により得られた理論同位体分布にフィッティングし、その結果に基づいて、前記抽出されたイオンピークが単一の化合物から発生した同位体ピーククラスタ中のモノアイソトピックイオンピークであるか否かを判定する、及び/又は、前記抽出されたイオンピークが前記所定の質量電荷比範囲内に存在する複数の化合物から発生した複数の同位体ピーククラスタが重畳して構成されたピーククラスタ中のピークであるか否かを判定する判定処理部と、
を備えることを特徴としている。
また、目的化合物のカテゴリーが例えばタンパク質やペプチドであるとき、元素の一つとして硫黄を含む場合がある。そこで、目的化合物のカテゴリーが例えばペプチドである場合には、上記組成推定ステップは、炭素、水素、窒素、及び酸素からなる元素組成を初期的に推定し、その推定された元素組成から計算される質量と実測質量値との差が所定の閾値以下に収まらない場合に、硫黄を加えて元素組成を推定するようにしてもよい。
上記プロファイルスペクトルデータからの所定の質量電荷比範囲内に存在する複数のピークの頂点を取得するとともに、理論同位体分布からも複数のピークの頂点を取得し、
その理論同位体分布から取得した複数のピークの頂点の質量電荷比値及び信号強度値をそれぞれ相対化して求めた複数のデータ点に対しカーブフィッティングを行うことで近似曲線を取得し、
上記プロファイルスペクトルデータによる複数のピークの頂点の質量電荷比値及び信号強度値をそれぞれ相対化して求めた複数のデータ点を上記近似曲線にフィッティングし、その結果に基づいて、プロファイルスペクトルデータから取得した複数のピークが一つの同位体ピーククラスタを構成するか否かを判定する構成とすることができる。
例えば本発明に係る質量分析データ処理方法及び質量分析データ処理装置をペプチド等の同定に利用すれば、同定のための解析に供するイオンの質量電荷比値の精度が向上するので、同定の精度向上が期待できる。
処理の手順としては、まず、試料に対する質量分析を実行した結果として例えばハードディスク等の記憶装置に格納されている、所定の質量電荷比範囲に対応するプロファイルスペクトルデータが読み出される(ステップS1)。前述のように、このプロファイルスペクトルデータは質量分析装置で収集された生の、つまりはセントロイド処理されていないデータである。
まず、上述したようにプロファイルスペクトルデータから抽出された一つのピークの頂点に対応した実測質量値が与えられると(S231)、次に述べるような元素組成推定モデルに基づいて、実測質量値に対応する化学式(元素組成を表す組成式)を推定する(ステップS232)。
周知のように、ペプチドはアミノ酸が結合したものであり、アミノ酸は、基本的に、炭素C、水素H、窒素N、及び酸素Oを構成元素としている。また、一部のアミノ酸(システインCys及びメチオニンMet)は上記四元素以外に、硫黄Sを構成元素としている。そこで、元素組成が既知である複数のペプチドについてそれぞれ、ペプチドの質量と該ペプチドに含まれる各元素の個数との関係を求め、ペプチドの質量と各元素の個数との関係の近似式を規定しておく。
以上のようにして、本実施例の質量分析データ処理装置では、或るイオンの実測質量が与えられたときに、その実測質量に対する精度の高い理論同位体分布が計算される。
上述したように、ステップS25では、実測のマススペクトル上で検出される同位体分布包絡線を理論同位体分布にフィッティングさせ、そのフィッティングの適合度を判定することによって同位体分布包絡線が本当に同位体ピーククラスタによるものか否かを確認する。このフィッティングに際して、マススペクトル上で隣接するピークが図1に示したように十分に分離されていれば、ピークプロファイル波形そのものを用いたフィッティングを実施しても適切に適合度を求めることができるが、隣接ピークは常にこのように十分に分離されているわけではない。
この手法で特徴的であるのは、実測マススペクトルから得られる同位体分布包絡線の曲線そのものに基づくフィッティングを行うのではなく、同位体分布包絡線及び理論同位体分布におけるピークの頂点のみを考慮したフィッティングを行うことである。
即ち、理論同位体分布には複数のピークが存在し、実測マススペクトルに基づく同位体分布包絡線内にも複数のピークが現れる。ただし、それら複数のピークの頂点の位置、つまり質量電荷比値は必ずしも一致しない。そこで、複数のピークの頂点の質量電荷比値及び信号強度値を求め、さらにその複数のピークの質量電荷比値及び信号強度値を相対的に比較可能であるように相対化(例えば規格化)する。そうして得られるピーク頂点に対応したデータ点を繋ぎ合わせる曲線を考える。
ここで、rtは実測マススペクトルに基づく各データ点の最良適合曲線(上記近似曲線)からの偏差の2乗の和であり、与えられた質量における理想的な同位体分布を表す。即ち、rtは(2)式で表される。
rt=Σ(yi−yt)2 …(2)
(2)式において、ytは理論同位体分布からの規格化強度値、yiは実測マススペクトル(同位体分布包絡線)からの規格化強度値である。
また、(1)式におけるrmは各点yiと平均値ymとの間の距離の2乗の和である。即ち、rmは(3)式で表される。
rm=Σ(yi−ym)2 …(3)
なお、(2)、(3)式ともに、Σはi=1からNまでの総和であり、Nは使用されたピークの個数である。
なお、図7に示したフローチャートによる一連の処理は、コンピュータ上の実際のソフトウエアにおいては、次のように二段構えで逐次実行されるフローによって実現されるものとすることができる。即ち、第一段階として、ステップS257の工程を「化合物の化学式推定へ戻る」として実行し、上述したように元素組成推定の元となるピークを質量電荷比範囲内の1番目のピークから順に走査していって、適合度Rが許容範囲内となる(ステップS255でYesである)結果が得られればその時点でピークの走査を終了する。設定した質量電荷比範囲内で対象となる全ピークについて適合度Rが許容範囲内とならなれば、第二段階としてステップS257の工程を「同位体分布のオーバーラップ識別処理」として実行し、今度は上述したようにオーバーラップを考慮した判定を実施する。もちろん、第一段階と第二段階の処理内容を逆にしてもよい。
図12はこのオーバーラップ識別処理の手順を示すフローチャートである。
このオーバーラップ識別処理を実施するに先立って、構造が既知である複数のペプチドに基づいて、同位体分布包絡線内の複数のピーク間の信号強度値の比が計算される。図13は、質量が比較的大きな(1700〜3000Da)ペプチドにおけるピークの信号強度比の計算結果を示す図である。この信号強度比は、同位体分布包絡線内に存在する複数のピークの中で第1ピークの信号強度値に対する第2ピークの信号強度値の比である。図13に示している質量電荷比範囲においては、観測可能であるモノアイソトピックイオンピーク(第1ピーク)は通常、最大強度を示すピークではなく、第2ピークが最大強度を示すピークである。つまり、ここでは、第1ピークの信号強度値に対する第2ピークの信号強度値の比が、プロファイルスペクトルデータから抽出されたイオンピークと該ピークを除き信号強度が最大である他のピークとの信号強度比に相当する。この図13から、ペプチドの質量と信号強度比との関係はほぼ線形となることが分かる。また、ここでは示していないが、同位体分布包絡線内の第3ピーク、第4ピークなど、他のピークの信号強度比も同様の関係を示す。
上述したように、同定の重要な手掛かりであるプリカーサイオンの質量電荷比値の精度は従来よりも向上するため、同定の精度も向上し、例えば従来であれば同定できなかったペプチドが同定できるようになる、或いは、複数の候補の中で正解である候補のランクが上がる、といった効果が得られる。
11…イオントラップ
12…質量分析器
13…検出器
14…分析制御部
15…データ処理部
151…データ格納部
152…スペクトル作成部
153…ピーク情報収集部
154…質量修正処理部
155…ピークリスト作成部
156…同定処理部
Claims (20)
- 試料に対する質量分析を行うことで収集されたプロファイルスペクトルデータを処理する質量分析データ処理方法であって、
a)前記プロファイルスペクトルデータからイオンピークを抽出し、そのピークに対応する実測質量を求める対象ピーク設定ステップと、
b)目的化合物と主要な元素が共通する同じカテゴリーに属する1又は複数の化合物の既知の質量と元素組成とから導出された質量と元素組成との近似的な関係に基づいて、前記対象ピーク設定ステップにおいて得られた実測質量に対応する元素組成を推定する組成推定ステップと、
c)前記組成推定ステップにおいて得られた元素組成に基づき、各元素の既知の同位体比を用いて理論同位体分布を導出する理論同位体分布導出ステップと、
d)前記対象ピーク設定ステップにおいて抽出されたイオンピークが含まれる所定の質量電荷比範囲内に存在する複数のピーク又はそれらピークを含む曲線を前記理論同位体分布導出ステップにおいて得られた理論同位体分布にフィッティングし、その結果に基づいて、前記抽出されたイオンピークが単一の化合物から発生した同位体ピーククラスタ中のモノアイソトピックイオンピークであるか否かを判定する、及び/又は、前記抽出されたイオンピークが前記所定の質量電荷比範囲内に存在する複数の化合物から発生した複数の同位体ピーククラスタが重畳して構成されたピーククラスタ中のピークであるか否かを判定する判定処理ステップと、
を有することを特徴とする質量分析データ処理方法。 - 請求項1に記載の質量分析データ処理方法であって、
前記カテゴリーは、タンパク質、該タンパク質の分解生成物であるペプチド、又は核酸のいずれかあり、前記主要な元素は、炭素、水素、窒素、及び酸素であることを特徴とする質量分析データ処理方法。 - 請求項1又は2に記載の質量分析データ処理方法であって、
前記組成推定ステップは、前記質量と元素組成との近似的な関係を利用して、前記対象ピーク設定ステップにおいて得られた実測質量値に対応する元素組成を初期的に推定し、その推定された元素組成から計算される質量と実測質量値との差を求め、この差が所定の閾値以下に収まるように元素組成を修正することで最も確からしい元素組成を求めることを特徴とする質量分析データ処理方法。 - 請求項3に記載の質量分析データ処理方法であって、
前記主要な元素は、炭素、水素、窒素、及び酸素であり、前記組成推定ステップは、炭素、水素、窒素、及び酸素からなる元素組成を初期的に推定し、その推定された元素組成から計算される質量と実測質量値との差が所定の閾値以下に収まらない場合に、硫黄を加えて元素組成を推定することを特徴とする質量分析データ処理方法。 - 請求項3に記載の質量分析データ処理方法であって、
前記組成推定ステップは、推定された元素組成に含まれる各元素の個数を1個又は複数個減らす又は増やすことで元素組成を修正し、修正された元素組成に対応する質量を計算し、その計算された質量と実測質量値との差が所定の閾値以下に収まるまで、元素の個数の増減と質量差の計算及び確認を繰り返すことで、最終的に最も確からしい元素組成を求めることを特徴とする質量分析データ処理方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の質量分析データ処理方法であって、
前記組成推定ステップにおいて利用される、前記質量と元素組成との近似的な関係は、元素毎に、化合物の質量と該化合物に含まれる当該元素の個数との関係を近似的に表したものであることを特徴とする質量分析データ処理方法。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の質量分析データ処理方法であって、
前記対象ピーク設定ステップは、前記プロファイルスペクトルデータから同一の元素組成を有するイオンに対応すると推測される複数のピークからなる同位体分布包絡線を求め、該同位体分布包絡線内で質量電荷比が最小である第1ピークを前記目的化合物由来であると推定されるイオンピークとして抽出することを特徴とする質量分析データ処理方法。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の質量分析データ処理方法であって、
前記判定処理ステップは、
前記プロファイルスペクトルデータからの前記所定の質量電荷比範囲内に存在する複数のピークの頂点を取得するとともに、前記理論同位体分布からも複数のピークの頂点を取得し、
前記理論同位体分布から取得した複数のピークの頂点の質量電荷比値及び信号強度値をそれぞれ相対化して求めた複数のデータ点に対しカーブフィッティングを行うことで近似曲線を取得し、
前記プロファイルスペクトルデータによる複数のピークの頂点の質量電荷比値及び信号強度値をそれぞれ相対化して求めた複数のデータ点を前記近似曲線にフィッティングし、その結果に基づいて、前記プロファイルスペクトルデータから取得した複数のピークが一つの同位体ピーククラスタを構成するか否かを判定することを特徴とする質量分析データ処理方法。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の質量分析データ処理方法であって、
前記対象ピーク設定ステップにおいて抽出されたイオンピークが含まれる所定の質量電荷比範囲内に存在する複数のピークの中で、該抽出されたイオンピークと該ピークを除き信号強度が最大である他のピークとの信号強度比を算出し、該信号強度比に基づいて、それら複数のピークが一つの同位体ピーククラスタを構成するものであるか否かを判定するオーバーラップ判定ステップをさらに有することを特徴とする質量分析データ処理方法。 - 請求項7に記載の質量分析データ処理方法であって、
前記オーバーラップ判定ステップは、前記所定の質量電荷比範囲内に存在する複数のピークの中で、質量電荷比が最小である第1ピークを前記抽出されたイオンピークとし、該ピークを除き信号強度が最大である他のピークとして第1ピークに隣接する第2ピークを選択し、その第1ピークと第2ピークの信号強度比に基づいて、前記複数のピークが一つの同位体ピーククラスタを構成するものであるか否かを判定し、一つの同位体ピーククラスタを構成しないと判定された場合に、前記第1ピーク及び第2ピークをそれぞれ異なるモノアイソトピックイオンピークであると特定することを特徴とする質量分析データ処理方法。 - 試料に対する質量分析を行うことで収集されたプロファイルスペクトルデータを処理する質量分析データ処理装置において、
a)前記プロファイルスペクトルデータから目的化合物由来であると推定されるイオンピークを抽出し、そのピークに対応する実測質量を求める対象ピーク設定部と、
b)目的化合物と主要な元素が共通する同じカテゴリーに属する1又は複数の化合物の既知の質量と元素組成とから導出された質量と元素組成との近似的な関係に基づいて、前記対象ピーク設定部により得られた実測質量に対応する元素組成を推定する組成推定部と、
c)前記組成推定部により得られた元素組成に基づき、各元素の既知の同位体比を用いて理論同位体分布を導出する理論同位体分布導出部と、
d)前記対象ピーク設定部により抽出されたイオンピークが含まれる所定の質量電荷比範囲内に存在する複数のピーク又はそれらピークを含む曲線を前記理論同位体分布導出部により得られた理論同位体分布にフィッティングし、その結果に基づいて、前記抽出されたイオンピークが単一の化合物から発生した同位体ピーククラスタ中のモノアイソトピックイオンピークであるか否かを判定する、及び/又は、前記抽出されたイオンピークが前記所定の質量電荷比範囲内に存在する複数の化合物から発生した複数の同位体ピーククラスタが重畳して構成されたピーククラスタ中のピークであるか否かを判定する判定処理部と、
を備えることを特徴とする質量分析データ処理装置。 - 請求項11に記載の質量分析データ処理装置であって、
前記カテゴリーは、タンパク質、該タンパク質の分解生成物であるペプチド、又は核酸のいずれかあり、前記主要な元素は、炭素、水素、窒素、及び酸素であることを特徴とする質量分析データ処理装置。 - 請求項11又は12に記載の質量分析データ処理装置であって、
前記組成推定部は、前記質量と元素組成との近似的な関係を利用して、前記対象ピーク設定部により得られた実測質量値に対応する元素組成を初期的に推定し、その推定された元素組成から計算される質量と実測質量値との差を求め、この差が所定の閾値以下に収まるように元素組成を修正することで最も確からしい元素組成を求めることを特徴とする質量分析データ処理装置。 - 請求項13に記載の質量分析データ処理装置であって、
前記主要な元素は、炭素、水素、窒素、及び酸素であり、前記組成推定部は、炭素、水素、窒素、及び酸素からなる元素組成を初期的に推定し、その推定された元素組成から計算される質量と実測質量値との差が所定の閾値以下に収まらない場合に、硫黄を加えて元素組成を推定することを特徴とする質量分析データ処理装置。 - 請求項13に記載の質量分析データ処理装置であって、
前記組成推定部は、推定された元素組成に含まれる各元素の個数を1個又は複数個減らす又は増やすことで元素組成を修正し、修正された元素組成に対応する質量を計算し、その計算された質量と実測質量値との差が所定の閾値以下に収まるまで、元素の個数の増減と質量差の計算及び確認を繰り返すことで、最終的に最も確からしい元素組成を求めることを特徴とする質量分析データ処理装置。 - 請求項11〜15のいずれかに記載の質量分析データ処理装置であって、
前記組成推定部において利用される、前記質量と元素組成との近似的な関係は、元素毎に、化合物の質量と該化合物に含まれる当該元素の個数との関係を近似的に表したものであることを特徴とする質量分析データ処理装置。 - 請求項11〜16のいずれかに記載の質量分析データ処理装置であって、
前記対象ピーク設定部は、前記プロファイルスペクトルデータから同一の元素組成を有するイオンに対応すると推測される複数のピークからなる同位体分布包絡線を求め、該同位体分布包絡線内で質量電荷比が最小である第1ピークを前記目的化合物由来であると推定されるイオンピークとして抽出することを特徴とする質量分析データ処理装置。 - 請求項11〜17のいずれかに記載の質量分析データ処理装置であって、
前記判定処理部は、
前記プロファイルスペクトルデータからの前記所定の質量電荷比範囲内に存在する複数のピークの頂点を取得するとともに、前記理論同位体分布からも複数のピークの頂点を取得し、
前記理論同位体分布から取得した複数のピークの頂点の質量電荷比値及び信号強度値をそれぞれ相対化して求めた複数のデータ点に対しカーブフィッティングを行うことで近似曲線を取得し、
前記プロファイルスペクトルデータによる複数のピークの頂点の質量電荷比値及び信号強度値をそれぞれ相対化して求めた複数のデータ点を前記近似曲線にフィッティングし、その結果に基づいて、前記プロファイルスペクトルデータから取得した複数のピークが一つの同位体ピーククラスタを構成するか否かを判定することを特徴とする質量分析データ処理装置。 - 請求項11〜18のいずれかに記載の質量分析データ処理装置であって、
前記対象ピーク設定部により抽出されたイオンピークが含まれる所定の質量電荷比範囲内に存在する複数のピークの中で、該抽出されたイオンピークと該ピークを除き信号強度が最大である他のピークとの信号強度比を算出し、該信号強度比に基づいて、それら複数のピークが一つの同位体ピーククラスタを構成するものであるか否かを判定するオーバーラップ判定部をさらに備えることを特徴とする質量分析データ処理装置。 - 請求項19に記載の質量分析データ処理装置であって、
前記オーバーラップ判定部は、前記所定の質量電荷比範囲内に存在する複数のピークの中で、質量電荷比が最小である第1ピークを前記抽出されたイオンピークとし、該ピークを除き信号強度が最大である他のピークとして第1ピークに隣接する第2ピークを選択し、その第1ピークと第2ピークの信号強度比に基づいて、前記複数のピークが一つの同位体ピーククラスタを構成するものであるか否かを判定し、一つの同位体ピーククラスタを構成しないと判定された場合に、前記第1ピーク及び第2ピークをそれぞれ異なるモノアイソトピックイオンピークであると特定することを特徴とする質量分析データ処理装置。
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