JP2013231331A - ケーソン誘導管理システム及びこれを利用したケーソンの誘導管理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】新設ケーソン12の注水用の枡22毎に設置される水位計20により、全ての枡22の水位を計測する。又、2台のトータルステーション16により、新設ケーソン12の距離及び角度を計測し、二軸傾斜計18により、新設ケーソン12の傾斜量を計側する。これらの計測データは、既設ケーソン14上に設置されたシステム制御部24に送信される。そして、システム制御部24により、各計測データに基づいた、新設ケーソン12の注水管理を行うために必要な情報と、新設ケーソン12を所定の位置に誘導するために必要な情報とが算出される。このため、これらの情報を参照しながら、新設ケーソン12の注水管理及び誘導を行うことで、リアルタイムに更新される情報に基づいて、新設ケーソン12を所定の位置に正確に据付けることができる。
【選択図】図1
Description
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
本項に記載のケーソン誘導管理システムは、システム制御部が、水位計により計測する全ての枡の水位データに基づいて、隣接する全ての枡間の水位差を算出する。この枡間の水位差を確認しながら、注水量の調整を行うことで、水位差から生じる水圧による各枡を隔てている壁部の損傷を、未然に防止することになる。
又、システム制御部は、二軸傾斜計により計測するケーソンの傾斜量に基づいて、ケーソンの高さ方向の勾配量を算出する。そして、このケーソンの勾配量を確認しながら、注水作業を行うこととすれば、ケーソンが常に水平状態を保つように、注水量が調整されるものとなる。
本項に記載のケーソン誘導管理システムは、ケーソンを所定の位置に誘導するために必要な情報として、ケーソンの現在の位置から所定の位置までの距離と、ケーソンの高さ方向の勾配量とを算出するものである。すなわち、ケーソンを所定の位置に誘導するための、ケーソンの緯度及び経度方向に係る情報を、ケーソンの現在の位置から所定の位置までの距離で表し、ケーソンの高さ方向に係る情報を、ケーソンの勾配量で表すものである。これにより、現在のケーソンの状態を、緯度方向、経度方向、高さ方向の3方向に係る数値で示すことになるため、ケーソンを所定の位置に誘導するための情報を、具体的な内容で提供するものとなる。
更に、平面視したケーソンを矩形として捉え、その矩形の4つの頂角部夫々の高さを、例えば、4つの頂角部のうちの1つを基準位置とした、相対的な高さで表示させる。又、上記と同様に矩形として捉えたケーソンの、4つの頂角部のうちの1つから、その頂角部の対角線上にある頂角部以外の2つの頂角部までの勾配量を、夫々表示させる。これらの表示内容を参照することで、ケーソンが常に水平状態を保つように、注水量が調整されるものとなる。
又、ケーソンの現在位置図における、矩形として表されたケーソンの4つの頂角部夫々の高さを表示させることで、ケーソンが着底するまでの高さを管理するものとなる。
又、ケーソンの現在の傾斜量を正面視方向から表した正面傾斜図と、側面視方向から表した側面傾斜図とを表示させることで、ケーソンの傾斜量が把握される。そして、これらの正面傾斜図及び側面傾斜図と、ケーソンを平面視方向から示した現在位置図とで、ケーソンの現在の状態が三面方向から示されることになる。
本項に記載のケーソン誘導管理システムは、ケーソン上に設置される複数の水位計や二軸傾斜計と、任意の場所に設置されるシステム制御部との通信を、無線で行う無線通信手段を備えているものである。無線通信手段には、例えば、無線LANが用いられ、水位計や二軸傾斜計等で計測したデータは、無線通信手段を介してシステム制御部に送信される。これにより、ケーソンから離れた場所において、ケーソンの各枡の水位データやケーソンの傾斜量が取得されるため、ケーソンの全ての枡への注水管理や、ケーソンの所定位置への誘導を、ケーソンから離れた位置で安全かつ正確に行うものとなる。
本項に記載のケーソン誘導管理システムは、ケーソンの全ての枡に設置される複数の水位計が計測した水位データを収集及び記録するための、ケーソン上に設置されるデータ収録装置を備えるものである。これにより、複数の水位計で計測した水位データが、データ収録装置に集約されることになるため、水位データがシステム制御部に送信される際に、複数の水位計により異なるタイミングで計測された水位データが、不定の順序で送信されるようなことはなく、複数の水位計により略同じタイミングで計測された水位データが、纏められて送信されることになる。更に、無線通信機能を有するデータ収録装置を備えることとすれば、システム制御部側のみに無線通信手段を備えることで、無線による通信を確立するものとなる。
本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、ケーソンの各枡に設置した水位計により計測した水位データに基づいて、システム制御部により、隣接する各枡間の水位差を算出する。そして、各枡間の水位差を確認しながら注水量の調整を行うことで、各枡を隔てている壁部が、水位差から生じる水圧によって損傷されることを未然に防止するものとなる。
又、本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、ケーソン上に設置した二軸傾斜計により計測したケーソンの傾斜量に基づいて、システム制御部によりケーソンの勾配量を算出する。そして、このケーソンの勾配量を確認しながら注水量の調整を行うため、常にケーソンが水平状態を維持するように、注水量を調整するものとなる。
本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、2台のトータルステーションにより計測するケーソンの距離及び角度データと、ケーソン上に設置した二軸傾斜計により計測するケーソンの傾斜量とに基づいて、システム制御部により、ケーソンの現在の位置からケーソンを据付ける所定位置までの距離及びケーソンの勾配量を算出する。そして、これらの情報を確認しながらケーソンの誘導を行うため、より正確にケーソンを誘導することとなる。
又、システム制御部に任意の時間を入力し、現在の各枡への注水量を保った状態で、入力した任意の時間が経過した場合の、各枡の予測水位を表示する。そして、この予測水位を目安にすることで、注水を停止するタイミングを予測するものとなる。
更に、平面視したケーソンを矩形として捉え、この矩形の4つの頂角部夫々の高さを、例えば、4つの頂角部のうちの1つを基準位置とした相対的な高さで表示する。又、4つの頂角部のうちの1つから、その頂角部の対角線上にある頂角部以外の2つの頂角部までの、夫々の勾配量を表示する。そして、これらの表示内容を参照しながら、注水量の調整を行うことで、ケーソンが常に水平状態を保つように注水量を調整するものとなる。
又、ケーソンの現在位置図における、矩形として表したケーソンの4つの頂角部夫々の高さを表示することで、ケーソンが着底するまでの高さ方向の管理を行うものとなる。
又、ケーソンの現在の傾斜量を正面視方向から表した正面傾斜図と、側面視方向から表した側面傾斜図とを表示することにより、ケーソンの傾斜量が把握される。そして、これらの正面傾斜図及び側面傾斜図と、ケーソンを平面視方向から示した現在位置図とで、ケーソンの現在の状態を三面方向から示すことになる。
本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、ケーソン上に設置される複数の水位計や二軸傾斜計と、任意の場所に設置されるシステム制御部との通信を、無線通信手段を用いて行うものである。無線通信手段として、例えば、無線LANを用いることができる。これにより、水位計で計測した水位データや二軸傾斜計で計測したケーソンの傾斜量等を、無線通信手段を介して、ケーソンから離れた場所に設置するシステム制御部に送信するものとなるため、ケーソンの全ての枡への注水管理や、ケーソンの所定位置への誘導を、ケーソンから離れた位置で安全かつ正確に行うものとなる。
本項に記載のケーソンの誘導管理方法は、ケーソンの全ての枡に設置される複数の水位計が計測した水位データを、ケーソン上に設置されるデータ収録装置を用いて、収集及び記録するものである。これにより、複数の水位計で計測した水位データを、データ収録装置に集約することになるため、水位データをシステム制御部に送信する際に、複数の水位計により異なるタイミングで計測した水位データを、不定の順序で送信するようなことはなく、複数の水位計により略同じタイミングで計測した水位データを、纏めて送信するものとなる。更に、無線通信機能を有するデータ収録装置を使用することとすれば、システム制御部側のみに無線通信手段を設置することで、無線による通信を行うものとなる。
図1は、本発明の実施の形態に係るケーソン誘導管理システム10を用いて、新設ケーソン12の注水管理や既設ケーソン14に隣接する目標位置への誘導を行う様子を、平面視方向から概略的に示したものである。ケーソン誘導管理システム10は、図示のように、新設ケーソン12上に、二軸傾斜計18と、新設ケーソン12に設けられている枡22毎に設置される複数の水位計20と、複数の水位計20の全てに接続されているデータ収録装置28とを備えている。又、既設ケーソン14上に、自動追尾機能を有する2台のトータルステーション16と、システム全体の制御を行うシステム制御部24とを備えており、システム制御部24には、システム制御部24が算出する情報を表示するための監視モニター26が接続されている。更に、新設ケーソン12と既設ケーソン14との双方に、無線通信手段30を備えている。
なお、図1の例では、新設ケーソン12に20個の枡22が設けられており、5個の枡22毎に4つの注水グループに分けられている。そして、同じ注水グループの5つの枡22は、内部が水路により接続されており、注水された水を注水グループ内で共有している。このため、少なくとも4台の水中ポンプ42を用いることにより、水中ポンプ42の配置を変更せずに、4つの注水グループに分かれた全ての枡22への注水量が調整されることになる。
なお、図中の符号14Lは、既設ケーソン14を示したものである。
更に、注水管理情報システム画面SD2の右側には、全ての枡22の現在の水位22CLが、枡22の断面をイメージした図と共に、枡22の配置を示す複数の矩形22Lと同じ配置で示されている。現在の水位22CLの表示内容は、各矩形22Lの内部に表示する水位と同様である。又、現在の水位22CLの上側には、現在の注水量を維持した状態で、符号TIで示す箇所で入力された任意の時間が経過した場合の、予測水位22ELが表示されている。
S10:据付を行う新設ケーソン12の事前測量をする。すなわち、新設ケーソン12の曳航を行う前に、新設ケーソン12の出来形測定を行い、新設ケーソン12の大きさ等を正確に把握する。これらの測定結果は、必要に応じてケーソン誘導管理システム10のシステム制御部に入力される。
S30:上記S20において設置した、各計測機器のキャリブレーションを行う。更に、各装置が正常に動作することを確認してもよい。
S50:新設ケーソン12に設けられている各枡22に対して、水中ポンプ42により注水を行う。この際、システム制御部24により監視モニター26に表示される、図3で示すような注水管理情報システム画面SD2において、各枡22の水位や各枡22間の水位差を確認しながら、各枡22間の水位差が過度に大きくなることのないようにバランス良く注水を行い、据付時の計画注水量の8割程度の注水量となるように、各枡22の水位を調整する。こうすることで、新設ケーソン12は、水流等の影響により大きく移動することのない安定した重量を有しながらも、据付の目標位置近辺で浮上した状態となる。なお、水中ポンプ42の操作は、監視モニター26と同じく既設ケーソン14上の管理室50に設置されている、ポンプ遠隔装置46を用いて行う。
S70:上記S60において、新設ケーソン12を目標位置まで誘導した後に、再度、新設ケーソン12の各枡22に対して、水中ポンプ42により注水を行う。この際、注水管理情報システム画面SD2において、各枡22の水位や各枡22間の水位差を確認しながら、各枡22間の水位差が過度に大きくなることのないようにバランス良く注水を行い、据付時の計画注水量、或いは、その場で適切と判断される注水量となるように調整を行う。
S90:沈設した状態の新設ケーソン12の出来形測定を行い、新設ケーソン12が目標位置に正確に沈設されているか否かの判定を行う。そして、新設ケーソン12が目標位置に正確に沈設されていると判定した場合(YES)は、S110へ移行し、新設ケーソン12が目標位置に正確に沈設されていないと判定した場合(NO)は、S100へ移行する。
S110:上記S90において、新設ケーソン12が目標位置に正確に沈設されていると判定した場合は、新設ケーソン12の据付が完了となる。
又、新設ケーソン12上に設置した二軸傾斜計18により計測する、新設ケーソン12の傾斜量に基づいて、システム制御部24により、新設ケーソン12の高さ方向の勾配量を算出することとすれば、勾配量を確認しながら注水作業を行うことができるため、新設ケーソン12が常に水平状態を保つように、注水量を調整することが可能となる。
更に、平面視した新設ケーソン12を矩形12Iとして表示させ、その矩形12Iの4つの頂角部夫々の高さFSを、図3の例では左下の頂角部を基準位置とした、相対的な高さで表示させる。又、4つの頂角部のうちの1つから、その頂角部の対角線上にある頂角部以外の2つの頂角部まで(図3では左下の頂角部から左上の頂角部及び右下の頂角部まで)の、夫々の勾配量SL1及びSL2を表示させる。そして、これらの表示内容を参照しながら、注水量の調整を行うことで、新設ケーソン12が常に水平状態を保つように、容易に注水量を調整することができる。
又、新設ケーソン12の現在位置図12Lにおける、矩形として表された新設ケーソン12の4つの頂角部夫々の高さを、四隅標高FHとして表示させることで、新設ケーソン12が着底するまでの高さ管理を、容易に行うことができる。
そして、これらの側面傾斜図CI1及び正面傾斜図CI2と、新設ケーソン12を平面視方向から示した現在位置図12Lとで、新設ケーソン12の現在の状態が三面方向から示されることになる。すなわち、2台のトータルステーション16と二軸傾斜計18との計測結果から、新設ケーソン12の現在の状態を三次元的に表示することが可能となる。
Claims (8)
- 水面に浮上しているケーソンに注水を行い、既設構造物に隣接する所定の位置に据付けるためのケーソン誘導管理システムであって、
前記ケーソンに設けられた注水用の枡毎に設置される複数の水位計と、前記ケーソンに設置される二軸傾斜計と、前記既設構造物側に設置される、自動追尾機能を有する2台のトータルステーションと、システム全体の制御を行うシステム制御部とを含み、
該システム制御部は、前記複数の水位計により計測される枡の水位データに基づいて、前記ケーソンに設けられた全ての枡への注水を管理するために必要な情報を算出し、前記2台のトータルステーションと前記二軸傾斜計とにより計測される前記ケーソンの位置及び角度データに基づいて、前記ケーソンを前記所定の位置に誘導するために必要な情報を算出することを特徴とするケーソン誘導管理システム。 - 前記システム制御部は、前記ケーソンに設けられた全ての枡の水位と、隣接する枡間の水位差と、入力された時間経過後の予測水位と、前記ケーソンを平面視した場合の4つの頂角部夫々の、所定の高さを基準位置とした相対的な高さと、前記4つの頂角部のうちの1つから、その頂角部を形成する端辺に沿って離れた位置に存在する2つの頂角部までの夫々の勾配量との、少なくとも1つを含む注水管理情報を、表示部の画面に出力することを特徴とする請求項1記載のケーソン誘導管理システム。
- 前記ケーソン上に設置される装置と前記システム制御部との通信を行うための無線通信手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のケーソン誘導管理システム。
- 前記複数の水位計により計測された水位データを収集及び記録するデータ収録装置を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のケーソン誘導管理システム。
- 水面に浮上しているケーソンに注水を行い、既設構造物に隣接する所定の位置に誘導する方法であって、
前記ケーソンに設けられた注水用の枡毎に設置される複数の水位計と、前記ケーソンに設置される二軸傾斜計と、前記既設構造物側に設置される、自動追尾機能を有する2台のトータルステーションと、前記ケーソンに設置される二軸傾斜計と、システム全体の制御を行うシステム制御部とを利用し、
前記複数の水位計を用いて、前記ケーソンに設けられた全ての枡の水位を計測し、
前記2台のトータルステーションと前記二軸傾斜計とを用いて、前記ケーソンの位置及び角度を計測し、
前記システム制御部を用いて算出する情報を利用して、前記ケーソンに設けられた全ての枡への注水管理と、前記ケーソンの前記所定の位置への誘導とを行うことを特徴とするケーソンの誘導管理方法。 - 前記システム制御部が表示部の画面に出力する、前記ケーソンに設けられた全ての枡の水位と、隣接する枡間の水位差と、入力された時間経過後の予測水位と、前記ケーソンを平面視した場合の4つの頂角部夫々の、所定の高さを基準位置とした相対的な高さと、前記4つの頂角部のうちの1つから、その頂角部を形成する端辺に沿って離れた位置に存在する2つの頂角部までの夫々の勾配量との、少なくとも1つを含む注水管理情報に基づいて、各枡への注水量を調整することを特徴とする請求項5記載のケーソンの誘導管理方法。
- 無線通信手段を用いて、前記ケーソン上に設置される装置と前記システム制御部との通信を行うことを特徴とする請求項5又は6記載のケーソンの誘導管理方法。
- 前記ケーソンに設置するデータ収録装置を用いて、前記複数の水位計が計測したデータを収集及び記録することを特徴とする請求項5から7のいずれか1項記載のケーソンの誘導管理方法。
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