JP2013230425A - 電解水製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】2室型の有隔膜式の電解槽を用いてアルカリ性電解水を生成する電解水製造装置において、隔膜に大きな負荷をかけることなく電極と隔膜の密着性を保持し、長期間にわたる安定運転を可能にする。
【解決手段】陽極12を配した陽極室11と、陰極12を配した陰極室13と、陽極室11と陰極室13を隔てる陽イオン交換膜からなる隔膜15とを備える電解槽1を有し、隔膜15の外周部と陰極14との間に電解槽1からの液漏れを防ぐシール部材17が介在し、陰極室13においてアルカリ性電解水を生成する電解水製造装置において、陽極室11内の圧力を陰極室12内の圧力よりも高くして、隔膜15の陰極14への密着状態を保持する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電解質を含む水溶液を電気分解して電解水を製造する装置に関し、特に、電解槽として2室型の有隔膜電解槽を用い、陽極室に電解質溶液を循環供給してアルカリ性電解水を生成する電解水製造装置に関する。
電解質として炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、炭酸カリウム(K2CO3)などのアルカリ金属イオンを含有する塩を用いた水溶液を電解することによって、電解槽の陰極側からはアルカリ性電解水が得られる。アルカリ性電解水は、水酸化物イオンを多量に含んで強いアルカリ性を示すため、油分やたんぱく質を含む汚れに対して強い洗浄力を有するほか、鉄など一部の金属に対して防錆効果があることが知られている。そのため、アルカリ性電解水は、特に金属加工業などの現場での使用が期待されている。アルカリ性電解水の生成に際し、電解質としてアルカリ金属の炭酸塩や炭酸水素塩(重炭酸塩)を用いると、塩化ナトリウム(NaCl)などのハロゲン化物を電解質として用いた場合と異なり、電解槽での陽極反応において塩素などの腐食性や毒性を有するガスを発生しない。
アルカリ性電解水を製造する方法としては、特許文献1に記載されるように、イオン交換機能を有する隔膜を使用して電解槽を陰極室及び陽極室に区分した2室型の有隔膜電解槽を用いる方法がある。陰極室には陰極が備えられ、陽極室には陽極が備えられ、隔膜によって陰極室と陽極室とが仕切られている。このような電解槽を用いた電解水製造装置では、陽極室に対して高濃度の電解質水溶液を循環させることで、隔膜を介して陰極室にそれぞれ陽イオンを安定して供給することが可能となり、陰極室において安定してアルカリ性電解水を生成することが可能となる。その際、陰極室には、電解質を含ませていない原水が、外部に供給されたアルカリ性電解水に見合うだけ供給される。
隔膜としては、一般に、高分子材料からなるイオン交換膜が使用され、そのような膜はたわみ易く容易に変形する。2室型の電解槽では1枚の隔膜の両側に電極が配置されるため、電極によって隔膜を挟持することは可能である。しかしながら実際には、陽極室や陰極室からの液漏れを防ぐ必要があり、また、隔膜は陽極室と陰極室との間での溶液の接触を防ぐ機能を有する必要があるから、電解槽の陽極室側の構造体と隔膜の外周部の間、及び、陰極室側の構造体と隔膜の外周部との間には、ガスケットやO−リングといったシール部材が配置される。陽極及び陰極は、それぞれ陽極室側の構造体及び陰極室側の構造体に取り付けられる。そのため、シール材が厚みを有することによって生ずる隙間や、電極(陽極及び陰極)の傾きなどによって、隔膜と電極と完全に密着させることは難しい。陽極室や陰極室において、隔膜と電極との間に隙間ができて両者間の距離が大きくなると、導電率の低い原水などがその隙間に流れ込んで電気抵抗が生ずることとなり、電解電圧の上昇や電解効率の低下がもたらされるほか、電極や隔膜の劣化を早めるおそれがある。したがって、有隔膜式の電解槽を有する電解水製造装置を長期にわたり安定して運転させるためには、隔膜と電極とを密着させた状態で固定することが必要である。なお、隔膜と電極を密着させて電解水を製造する際には、陰極室と陽極室との間でのイオンの移動を阻害しないために、電極としては多孔形状のもの、例えば、パンチングメタルによるものやメッシュ状のものが使用される。
特開2004−42025号公報
有隔膜式電解槽を用いる電解水製造装置では、電解効率を向上させ、隔膜の寿命を長くし、長期間にわたって安定して電解水生成を行うためには、隔膜と電極との密着性を安定して保持する必要があり、隔膜に大きな負荷を与えずに密着性を保持する有効な手法が求められている。
本発明の目的は、2室型の有隔膜式の電解槽を用いてアルカリ性電解水を生成する電解水製造装置であって、隔膜に大きな負荷をかけることなく電極と隔膜の密着性を保持することができ、長期間にわたる安定運転が可能な電解水製造装置を提供することにある。
本発明の電解水製造装置は、多孔形状の陽極を配した陽極室と、多孔形状の陰極を配した陰極室と、陽極室と陰極室を隔てる陽イオン交換膜からなる隔膜とを備える電解槽を有し、隔膜の外周部と陰極との間に電解槽からの液漏れを防ぐシール部材が介在し、陰極室においてアルカリ性電解水を生成する電解水製造装置において、陽極室に供給される電解質水溶液を保持するタンクと、タンクから電解質水溶液を陽極室に循環供給する循環供給手段と、を備え、陽極室内の圧力を陰極室内の圧力よりも高くして隔膜の陰極への密着状態を保持することを特徴とする。
本発明は、陽極室内の圧力を陰極室内の圧力よりも高くすることにより、隔膜の外周部と陰極室との間にシール部材が介在する場合であっても、隔膜及び各電極に対する負荷を低減させつつ隔膜を陰極に密着させることができて電解の効率を向上させることができる。また、変形の繰り返しによる隔膜の劣化を防ぐことができる。これらにより、2室型の有膜式電解槽を有する電解水製造装置を長期にわたり安定して運転させることができる、という効果がある。
本発明の実施の一形態の電解水製造装置の構成を示す図である。 (a),(b)は、それぞれ、シール部材の表面との段差が生じないように形成された陰極の断面図と上面図である。 本発明の別の実施の形態の電解水製造装置の構成を示す図である。 隔膜に当接する支持体を示す斜視図である。 各電極及び隔膜を保持する支持体の配置を示す平面図である。 図5に示した支持体の斜視図である。 実施例1、参考例1及び比較例1−1,1−2における陰極室の圧力と電極間電圧の関係を示すグラフである。 実施例2及び比較例2−1,2−2における陰極室の圧力と電極間電圧の関係を示すグラフである。 陽極室に供給される電解質溶液の導電率と電極間電圧との関係を示すグラフである。 図9に示した関係を炭酸水素ナトリウムの濃度により示したグラフである。 電解質として炭酸カリウム溶液を用いた仮定して図9に示した関係を炭酸カリウムの濃度に換算したグラフである。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す本発明の実施の一形態の電解水製造装置は、アルカリ性電解水を生成する2室型の有隔膜式の電解槽1を備えている。電解槽1は、陽極12を配した陽極室11と、陰極14を配した陰極室13とを備えている。陽極室11と陰極室13との間は、陽イオン交換膜からなる隔膜15によって仕切られている。陽極室11及び陰極室13は、いずれも、例えば、隔膜15が配置されるべき位置に開口を有する略直方体の容器状の構造体として形成されており、電解槽1は、陽極室11側の構造体の開口面(例えばフランジ面)と陰極室13側の構造体の開口面とによって隔膜15を挟み込んだ構造を有している。隔膜15によって陽極室11と陰極室13とが完全に仕切られ、かつ、電解槽1からの液漏れが生じないように、陽極室11側の開口面と隔膜15の外周部との間には、ガスケットあるいはO−リングなどのシール部材16が配置されており、同様に、陰極室13側の開口面と隔膜15の外周部との間にもシール部材17が配置されている。シール部材16,17の厚みは、例えば、0.1mm〜1mm程度のものである。図示していないが、外部の直流電源により、陽極12が正(+)に陰極15が負(−)となるように直流電圧が印加されるようになっている。
陽極12及び陰極14は、多孔形状の板状電極として構成されるものであって、例えば、金属メッシュ、パンチングメタルなどからなる。陽極12は、その隔膜15側の表面が陽極室11の開口面によって形成される平面上にあるように陽極室11内に配置され、同様に、陰極14は、その隔膜15側の表面が陰極室13の開口面によって形成される平面上にあるように陰極室13内に配置されている。後述するように本実施形態では、隔膜15が陰極14の表面に対して密着するように構成されている。しかしながらシール部材17があるので、隔膜15はシール部材17の厚さの分だけたわんで陰極14に密着することになる。その分、陽極12と隔膜15との間には隙間が生じている。
陽極室11に対して炭酸水素ナトリウム溶液、炭酸水素カリウム(KHCO3)溶液などの電解質溶液を供給するために電解質溶液貯留タンク3が設けられており、電解質溶液貯留タンク3からポンプ4により供給配管5を介して電解質溶液は陽極室11の下端に供給され、陽極室11の上端から排出配管6を経て電解質溶液貯留タンク3に戻されるようになっている。すなわち、供給配管5に設けられたポンプ4によって陽極室11と電解質溶液貯留タンク3との間で電解質溶液が循環供給されることとなり、陽極室11内では電解質溶液は下から上へと流れる。電解質溶液貯留タンク3には、常時、高濃度の電解質溶液が貯留されている。例えば、循環する電解質溶液を飽和溶液とするために、電解質溶液貯留タンク3には固形状の電解質(例えば固体の炭酸水素ナトリウム)を投入しておいてもよい。電解質溶液としては、上記の炭酸水素ナトリウム溶液及び炭酸水素カリウム溶液のほか、例えば、炭酸ナトリウム(Na2CO3)溶液あるいは炭酸カリウム溶液など、各種のアルカリ金属炭酸塩溶液やアルカリ金属炭酸水素塩溶液などを用いることができる。
陰極室13には、その下端から、純水や軟化器で処理した軟水など、硬度成分を含まない水を原水として供給する。カルシウムやマグネシウムなどの硬度成分を含まない水を原水として供給するのは、pHが高いアルカリ性電解水中で硬度成分がスケールとして析出するのを防ぐためである。電解反応により陰極室13で生成したアルカリ性電解水は、陰極室13の上端から外部に供給されるようになっている。したがって、この電解水製造装置では、陽極室11及び陰極室13のいずれにおいてもその内部での水の流れも下から上に向かう方向となっている。
この電解水製造装置では、ポンプ4により電解質溶液を陽極室11に循環させつつ陰極室13に原水を供給し、陽極12と陰極14との間に直流電圧を印加することによって、陽極室11内の陽イオンが隔膜15を介して陰極室13側に移動する。その結果、電解水生成に関する公知の反応により、陰極室13からはアルカリ性電解水が得られることになる。
本実施形態の電解水製造装置では、陽極室11内の圧力を陰極室13よりも高く設定することで、隔膜15である陽イオン交換膜を陰極14側に押し付けて密着させ、隔膜15と陰極14との間での電圧降下の発生を防止し、電解の効率を向上させる。陽極室11内の圧力を上げるために、排出配管6には、圧力調整用のニードル弁7が設けられている。ニードル弁7は、配管に設けられて流量に応じた圧力差を発生する絞り手段として機能するものである。ポンプ4での吐出量とニードル弁7の開度とを調整することにより陽極室11内の圧力を制御できるから、陰極室13内での圧力変動を考慮して陽極室11内の圧力を設定することによって、陽極室11内の圧力を陰極室13内の圧力よりも高くすることができる。隔膜15がたわんで陰極14の表面に密着した結果、隔膜15と陽極12の表面との間に隙間が形成されてこの隙間内に電解質溶液が入り込むことになるが、陽極室11内の電解質溶液は陰極室13内の原水に比べて導電率が著しく高いので、後述の実施例3で示すように、隔膜15と陽極12の表面の間で発生する電圧降下は微々たるものであり、電解効率を低下させない。
陽極室11内の圧力を陰極室13内の圧力よりも高くする手法としては、上述した排出配管6にニードル弁や絞りを設けるもののほか、陽極室11を出た後の電解質溶液の出口を電解槽1よりも高い位置で大気に開放し、電解槽1と電解質溶液出口との高低差の分だけの水頭圧が陽極室11に加わるような方法を用いることができる。
ところで、図1に示した構成では、ガスケットなどのシール部材17の分だけ隔膜15をたわませて隔膜15を陰極14の表面に密着させている。この場合、陰極14の接液部(すなわち陰極14の隔膜15側の表面であってシール部材17によって覆われない部分)であってシール部材17の近傍の位置(すなわち接液部の外縁部)では、隔膜15と陰極14とが十分に密着しないおそれがあり、また、たわませたことの影響が隔膜15に及ぶおそれもある。そこで、陰極14として、シール部材17の厚さの分だけ接液部が押し出されて形成され、それにより、接液部の周囲に対してシール部材17がフィットして、シール部材17の隔膜15側の表面と接液部の表面との間に段差が生じないようにしたものを使用することもできる。図2は、そのような陰極14の構造を示すものであって、(a)は断面図であり、(b)は平面図である。陰極14は略長方形の板状の部材として設けられており、直流電源との電気的な接続のためにタブ状の給電端子14aを備えている。陽極室11と陰極室13との間のイオンの移動を妨げないように、陰極14には多数の孔部14bが形成されている。接液部14cに対応して陰極14はシール部材17の厚みの分だけ厚く形成されており、これによって、シール部材17の内周面に接液部14cがぴったりと嵌まり込み、シール部材17の表面と接液部14cの表面との間に段差が生じないようになる。このような陰極14を用いると、陽極室11内の圧力を陰極室13内の圧力を高めることにより、隔膜15がたわまないでぴったりと陰極14の接液部14cの表面に密着することとなる。これにより、隔膜15に機械的なストレスを加えることなく、隔膜15と陰極14との間で生じる電圧をさらに低下させることができるようになる。
以上説明した電解水製造装置では、陽極室11内を陰極室13内よりも高い圧力として隔膜15を陰極14の表面に密着させている。しかしながら、陰極室11からのアルカリ性電解水の供給先の変更などにより、陰極室13内の方が陽極室11内よりも圧力が高くなる場合がある。そのような場合においても電解槽1への負荷を低減するため、隔膜15を陰極14に当接させる支持体を陽極室11内に設け、隔膜15を陰極14により確実に密着させるようにすることもできる。図3はこのような支持体を設けた電解水製造装置を示している。図3に示したものでは、陽極12と隔膜15とに当接する支持体20を設けけ、隔膜25と陰極14との密着性を維持するようにしている。支持体20を設ける空間を確保するために、陽極12は、図1に示したものに比べ、陽極室11の内部方向に後退して設けられている。図4は、支持体20の構成を示している。図4においては、支持体20と隔膜15との位置関係を明示するために、陽極12については点線で示して陽極12によって隠れるべき部分も図示されるようにしている。支持体20は、陽極室11内における水の流れを阻害しないように、電解槽1内で上下方向(すなわち水の流れ方向)に延びて対向する2側面がそれぞれ陽極12及び隔膜15に当接する角柱状の複数本の角棒部材21と、これらの複数本の角棒部材21に対して垂直に交わる丸棒部材22によって構成されている。
さらに、陽極12や陰極14のたわみや傾きを抑えるために、陽極12自体を保持する支持体や陰極14自体を保持する支持体をそれぞれ陽極室11や陰極室13内に設けてもよい。図5は、陽極12と隔膜15との間に設けられる支持体20の他に、陽極12自体を保持する支持体23と、陰極14自体を保持する支持体24を電解槽1内に備えた構成を示す平面図であり、図6は支持体20,23,24を示す斜視図である。支持体23は、陽極12をその隔膜15に面しない方の面から保持するものであり、図4に示した支持体20と同様に、陽極室11内での水の流れ方向に延びて側面が陽極12に当接する複数本の角棒部材21と、これらの複数本の角棒部材21に対して垂直に交わる丸棒部材22によって構成されている。陽極12は、支持体20と支持体23とによって挟まれることになる。陰極室13内にあって陰極14を保持する支持体24は、陰極14をその隔膜15に面しない方の面から支持するものであり、支持体23と同じ形状のものであって、陰極室13内での水の流れ方向に延びて側面が陰極14に当接する複数本の角棒部材21と、これらの複数本の角棒部材21に対して垂直に交わる丸棒部材22によって構成されている。これにより、陰極14及び隔膜15は、支持体20と支持体24とによって挟まれることになる。ここで重要なことは、隔膜15に対して過度の負荷をかけないように、隔膜15側の支持体20における角棒部材21の位置と陰極15側の支持体24における角棒部材21の位置とが重なりあわないようにすることであり、図示したものでは、角棒部材21の位置は互い違いとなっている。
上述した各支持体20,23,24は、電解質溶液や電解水に対して耐食性を有する材料で構成される。例えば、塩化ビニル樹脂によって支持体は構成される。このような支持体は、電解槽からは分離可能なように構成されてもよいし、電解槽に対して直接接着されていてもよいし、あるいは電解槽と一体となった形状のものであってもよい。
ここで示している例では、例えばニードル弁7を設けることによって陽極室11内の圧力の方が陰極室13内の圧力より高くなるようにしているので、支持体20は、隔膜15を強く陰極14に押圧するものである必要はなく、各電極及び隔膜15に軽く当接する程度のものでよい。
次に、上述した電解水製造装置を実際に製作し、アルカリ性電解水を製造した例について説明する。
《実施例1》
(1)陽イオン交換膜
隔膜15に用いる陽イオン交換膜として、フッ素系陽イオン交換膜(デュポン製ナフィオンN−424、厚さ183μm)を縦12cm、横11cmに切断したものを使用した。
(2)電解水製造装置
上記の陽イオン交換膜を隔膜として用いて、図1に示した構成の電解水製造装置を作製した。陽極12としては、チタン基板に酸化イリジウムと白金を被覆したパンチングメタル形状の電極を選定し、陰極14としては、チタン基板に白金を被覆したパンチングメタル形状の電極を使用した。各電極は、有効面積が100cm2で、開口率が47.2%となるように表面に直径3mmの孔を有している。陰極14に密着するように隔膜15を配設し、電解槽1内を仕切ることで2槽式の電解槽を作製した。なお陽極12と隔膜15との間のシール部材16として、また、陰極14と隔膜15との間のシール部材17として、それぞれ、厚さ0.5mmのガスケットを配設した。ガスケットは、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンモノマー)ゴムからなる。シール部材17としてこのようなガスケットを設けたことにより、隔膜15がたわんでいない状態では、隔膜15と陰極14の表面との間にはガスケットの厚さの分だけの空隙が生じることになるので、陽極室11と陰極室13との間の圧力差によって隔膜15をたわませて、隔膜15を陰極14の表面に密着させるようにした。陽極室11と陰極室13の容積は各々100cm3とした。
陽極室11に供給される電解質として飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を用いることとし、陽極室11には、電解質溶液貯留タンク3内の炭酸水素ナトリウム水溶液を陽極室11の下部から上部へ通液するための供給配管5と排出配管6とを接続した。陽極室11に対し、ポンプ4によって電解質溶液を5L/分で循環通水した。このときの陽極室11の出口における水圧は16kPaであるようにした。陰極室13には、純水を流速1L/分で通水した。この状態で電解電流を14Aとする定電流電解を行い、電解中に陰極室13出口における圧力を3,6,8,10,12,14kPaと変化させた。陰極室13の出口圧力変更から3分後の電解電圧として1秒間間隔で1分間計測し、平均値を算出した。ここでいう電解電圧とは、電解電流を流している状態での陽極12と陰極14との電極間電圧のことである。結果を図7に示す。陰極室13の出口の圧力を3〜14kPaに変動させたときも、陽極室11内の圧力が陰極室13内の圧力よりも高い状態が保たれており、電解電圧は5.2Vで安定していた。
《比較例1−1,1−2》
実施例1と同様の電解水装置装置において、陽極室11の出口の圧力を3kPa(比較例1−1)および10kPa(比較例1−2)としたときに、実施例1と同様の実験を行い、電解電圧を測定した。結果を図7に示す。比較例1−1,1−2では、陰極室13の出口の圧力が陽極室11の出口の圧力を超えたところから電解電圧が上昇を始めた。特に、陰極室13の出口の圧力が14kPaとなったとき、陽極室11の出口圧力が3kPaの条件では11.0V、10kPaの条件では9.8Vまで電解電圧が上昇した。実施例1では陰極室13内の圧力を変動させたときも安定して5.2V程度の電解電圧を保っていたことから、電解時の陽極室11の圧力を陰極室13の圧力よりも高く保つことで、電解槽1にかかる負荷を大幅に低減できることが示された。
《実施例2》
実施例1に示した電解水製造装置において、図2に示したように接液部が0.5mmだけ隔膜15側にせり出した構造の陰極14を使用して、実施例1と同様の実験を行った。結果を図8に示す。せり出し量の0.5mmは、シール部材17の厚さと同じ値であり、これにより、隔膜15はたわむことなく陰極14の表面に密着できることになる。実施例2においても陰極室14出口の圧力を3〜14kPaの範囲で変動させたときに、電解電圧は4.6Vで安定していた。この4.6Vという電解電圧は実施例1の場合よりも低く、隔膜15をたわませることなく陰極14の表面に密着させることによって、さらに電解効率が向上することがわかる。
《比較例2−1,2−2》
実施例2と同様の電解水装置装置において、陽極室11の出口の圧力を3kPa(比較例2−1)および10kPa(比較例2−2)としたときに、実施例2と同様の実験を行い、電解電圧を測定した。結果を図8に示す。比較例2−1,2−2では、陰極室13の出口の圧力が陽極室11の出口の圧力を超えたところから電解電圧が上昇を始めた。特に、陰極室13の出口の圧力が14kPaとなったとき、陽極室11の出口圧力が3kPaの条件では8.3V、10kPaの条件では7.1Vまで電解電圧が上昇した。実施例2では陰極室13内のの圧力を変動させたときも安定して4.8V程度の電解電圧を保っていたことから、ここでも、電解時の陽極室11の圧力を陰極室13の圧力よりも高く保つことで、電解槽1にかかる負荷を大幅に低減できることが示された。
《参考例1》
隔膜15を陰極14に当接させる支持体を設けたときの電解電圧を検討した。図3及び図4に示す支持体20を陽極12と隔膜15との間に導入し、陽極室11の出口における圧力を3kPaとした条件で実施例1と同様の試験を行った。結果を図7に示す。陰極室13の出口の圧力を3〜14kPaに変動させたとき、電解電圧は6.2V〜6.9Vの間で変化した。ここでは、陽極室11内の圧力が陰極室13内の圧力よりも高い、という条件は満たされていないが、比較例1−1と比較すると、支持体を導入することによって、電解電圧の上昇を抑えられることがわかる。
《実施例3》
本発明に基づく電解水製造装置では、陽極と隔膜との密着状態は保証されず、陽極と隔膜との隙間に進入した電解質溶液による電圧降下の影響が懸念されるところである。そこで、 陽極室11に供給される電解質水溶液の導電率と電解電圧との関係を調べた。実施例1と同様の電解水製造装置を使用し、電解質溶液における炭酸水素ナトリウムの濃度を変化させることによって電解質溶液の導電率を変化させて、電解電圧を測定した。陽極室11の出口における圧力は16kPaとし、陰極室13の出口における圧力は3kPaとした。流量等の条件は実施例1と同じにした。結果を図9に示す。また、導電率の代わりに炭酸水素ナトリウムの質量濃度を用いて表した結果を図10に示す。電解質として炭酸水素ナトリウムはなく炭酸カリウムを用いたと仮定して炭酸カリウムの重量濃度に換算した結果を図11に示す。図9より、電解質溶液の導電率がおおよそ2S/m以上であれば導電率によらずに一定の電解電圧を示すことがわかった。また、多少の電解電圧の上昇はあるとしても、導電率が1S/m以上であれば、その上昇は許容できて実用的であると考えられる。なお、導電率2S/mは、炭酸水素ナトリウム濃度であれば約6.1質量%、炭酸カリウム濃度であれば約3.2質量%、導電率1S/mは、炭酸水素ナトリウム濃度であれば約2.7質量%、炭酸カリウム濃度であれば約1.4質量%に相当する。
1 電解槽
3 電解質溶液貯留タンク
4 循環ポンプ
5 供給配管
6 排出配管
7 ニードル弁
11 陽極室
12 陽極
13 陰極室
14 陰極
14a 給電端子
14b 孔部
14c 接液部
15 隔膜
16,17 シール部材
20,23,24 支持体
21 角棒部材
22 丸棒部材

Claims (7)

  1. 多孔形状の陽極を配した陽極室と、多孔形状の陰極を配した陰極室と、前記陽極室と前記陰極室を隔てる陽イオン交換膜からなる隔膜とを備える電解槽を有し、前記隔膜の外周部と前記陰極との間に前記電解槽からの液漏れを防ぐシール部材が介在し、前記陰極室においてアルカリ性電解水を生成する電解水製造装置において、
    前記陽極室に供給される電解質水溶液を保持するタンクと、
    前記タンクから前記電解質水溶液を前記陽極室に循環供給する循環供給手段と、
    を備え、
    前記陽極室内の圧力を前記陰極室内の圧力よりも高くして前記隔膜の前記陰極への密着状態を保持することを特徴とする、電解水製造装置。
  2. 前記陰極は、前記シール部材の厚みに対応して突出して形成された接液部を有し、前記シール部材の内周に前記接液部が嵌合する請求項1に記載の電解水製造装置。
  3. 前記循環供給手段は、前記タンクを前記陽極室に接続する供給配管と、前記供給配管に設けられ前記電解質水溶液を給送するポンプと、前記陽極室から前記タンクに前記電解質水溶液を戻す排出配管と、前記排出配管に設けられた絞り手段とを備え、前記絞り手段を液が通過するときに発生する圧力によって前記陽極室内の圧力が前記陰極室内の圧力よりも高く維持される、請求項1または2に記載の電解水製造装置。
  4. 前記電解質水溶液の導電率が1S/m以上である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電解水製造装置。
  5. 前記陽極と前記隔膜の間に設けられて前記隔膜および前記陽極に当接し、前記隔膜を前記陰極に向けて押さえる第1の支持体を有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電解水製造装置。
  6. 前記陰極室に設けられ前記陰極に当接する第2の支持体と、前記陽極室に設けられ前記陽極に当接する第3の支持体とを備え、前記第1の支持体の前記隔膜に対する当接位置と前記第3の支持体の前記陰極に対する当接位置とが重なり合わない、請求項5に記載の電解水製造装置。
  7. 前記第1の支持体は、1対の側面がそれぞれ隔膜と陽極に当接して前記陽極室内での流れ方向に延びる複数本の棒部材を備え、前記第2の支持体は、側面が前記陰極に当接して前記陰極室内での流れ方向に延びる複数本の棒部材を備え、前記第3の支持体は、側面が前記陽極に当接して前記陽極室内での流れ方向に延びる複数本の棒部材を備える、請求項6に記載の電解水製造装置。
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