JP2013229586A - 第13族窒化物結晶基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平均粒径が1.0μm未満である砥粒が固定された砥石を用いて第13族窒化物結晶に研削加工を行い第13族窒化物結晶基板を製造する方法であって、研削加工中に該第13族窒化物結晶にかかる応力を0.75kg/cm2以下とする第13族窒化物結晶基板の製造方法を提供する。
【選択図】なし
Description
このような方法で得られた窒化物半導体結晶は、スライシングや研削などの形態加工を施して形を整えるが、スライシングや研削などの形態加工後の結晶では結晶表面が粗く、そのままではデバイス構造を作成するための窒化物半導体基板として市場に流通させることはできない。そのため、通常結晶表面を研削・研磨することが行われている。
例えば特許文献1には、粗研磨、精密研磨、化学機械研磨(CMP)の3段階の研磨をして表面を平滑にすることが記載されている。また、物理的な研磨作用をするものとして遊離砥粒を使い、砥粒の粒径を順次小さいものにすることによってウエハ表面の粗度を下げてミラー面とすることができるとされている。
また、特許文献2には、固定砥粒を用いた表面研削が開示されており、固定砥粒の平均粒径が2〜5μmの砥石を用いて、GaN表面のRmsが5nm〜200nmとする研削方法が記載されている。
一方で、固定砥粒を用いた場合には遊離砥粒を用いる場合に比べて研削レートは高いが、砥粒の粒径が小さい場合には砥石が目詰まりしやすいなどの問題があったため、特許文献2に記載されるような、主に砥粒の粒径が比較的大きい固定砥粒を用いて粗研削を行い、表面粗度が高い状態に仕上げるような場合にしか用いられてこなかった。
本発明は、上記課題を解決して粒径の小さな固定砥粒を用いて効率よく研削加工を行うことが可能である、表面粗度が小さい良好な表面を有する第13族窒化物結晶基板の製造方法を提供することを課題とする。
即ち本発明は以下のとおりである。
(1)平均粒径が1.0μm未満である砥粒が固定された砥石を用いて第13族窒化物結晶に研削加工を行い第13族窒化物結晶基板を製造する方法であって、研削加工中に該第13族窒化物結晶にかかる応力を0.75kg/cm2以下とする第13族窒化物結晶基板の製造方法。
(2)前記砥石がボンド剤により砥粒を埋め込んだ砥石であって、該砥粒がダイヤモンドである、(1)に記載の第13族窒化物結晶基板の製造方法。
(3)前記ボンド剤がビトリファイドボンドである、(2)に記載の第13族窒化物結晶基板の製造方法。
(4)前記第13族窒化物結晶がビッカーズ硬さ13GPa以上であり、かつ破壊靱性値が4以上である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の第13族窒化物結晶基板の製造方法。
(5)前記第13族窒化物結晶が窒化ガリウム結晶である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の第13族窒化物結晶基板の製造方法。
(6)第13族窒化物結晶の除去体積/砥石磨耗体積で表される比率が0.03以上である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の第13族窒化物結晶基板の製造方法。
(7)前記第13族窒化物結晶の表面粗度Rmsが5nm以下となるまで研削工程を行う、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の第13族窒化物結晶基板の製造方法。
し、通常結晶成長が行われるべき面である。また、本明細書において「オフ角」とは、ある面の指数面からのずれを表す角度である。また、本明細書においてC面、M面、A面や特定の指数面を称する場合には、±0.01°以内の精度で計測される各結晶軸から10°以内のオフ角を有する範囲内の面を含む。好ましくはオフ角が5°以内であり、より好ましくは3°以内である。
また、研削とは、一般に主として形態加工を目的とした加工であり、固定砥粒を用いた加工をいう。研削を行うための方法は特に限定されないが、ダイヤモンド砥粒や炭化ケイ素砥粒などを結合剤で固定した固定砥粒であって、比較的粒径の大きな砥粒を用いて加工する方法が挙げられる。本発明の製造方法によれば、研削において砥粒の大きさを選定することにより、表面粗度Rmsを小さくし、微細な表面状態の調整を行うことも可能である。
また、本発明においてプレートとは、研削あるいは研磨時に結晶を装置に取り付けるために、第13結晶族窒化物結晶(以下、単に結晶と称する場合がある)を貼り付けるプレートのことを指す。結晶を貼り付けるプレート面は、研削・研磨後に均一な厚みの基板を得るために、平坦なものが好ましい。
研削工程は、砥粒が固定された砥石を用い、第13族窒化物結晶をプレートに固着して、研削すべき結晶面を砥石の研削面にあてて、要すれば研磨液を注ぎながら、プレートと砥石を回転させることによって結晶面を削る。結晶面が研削されていくと、結晶面と研削面の距離が広がり研削が進まなくなるため、プレートまたは砥石を、結晶面と研削面が接触するように近づける。つまり、第13族窒化物結晶を砥石に送ることが必要である。本明細書においては、第13族窒化物結晶を砥石に近づけるために送る速度を「送り速度」といい、結晶面と研削面が接触するように近づけられればよいので、プレートを送っても、砥石を送ってもよい。
りを防止し砥石の自生を促しやすいように、通常、砥粒を保持するための部材が柔らかいもので構成されているため、第13族窒化物結晶にかかる応力が大きい場合には、砥粒を保持するための部材そのものが応力に耐えられなくなって砥石がダメージを受け、研削レートの低下につながるのではないかと考えられた。さらに、砥石がダメージを受けると、脱落した砥粒や砥粒を保持するための部材が研削加工中に巻き込まれ、結晶の表面にスクラッチなどの欠陥を発生させる原因となり得る。
ここで、本明細書において砥粒の平均粒径とは砥粒直径の寸法を基準とした算術平均を意味し、基準となる砥粒直径は動的光散乱法、レーザー回折法、遠心沈降法、FFF法、電
気的検知帯法などを用い測定される値である。
研削加工における、プレートおよび砥石の回転速度は、好ましくは100rmp以上、より好ましくは200rpm以上である。一方上限は、好ましくは500rpm以下、より好ましくは400rpm以下である。
kg/cm2以下であることがより好ましく、0.5kg/cm2であることがさらに好ましい。
ドレッシング砥石のボンド剤としては、ビトリファイドボンドやフェノール樹脂が好ましく用いられる。
さらに、研削加工中にドレッシング処理を行う場合には、目詰まりが発生して砥石の加工能力が低下する前にドレッシング処理を行って砥石の自生を促すことから、研削比をさらに高く維持することができるため好ましい。
靱性値が8未満の結晶に適用することが好ましい。また、研削加工時にクラックが生じやすい結晶である、劈開性を有する結晶に対しても本発明の効果を顕著に奏するため好ましい。
また、研削加工を施す第13族窒化物結晶の面は特に限定されないが、第13族窒化物結晶の主面であることが好ましい。なお、研削加工を施す第13族窒化物結晶の面の面方位は特に限定されないが、C面又は−C面などの極性面、A面又はM面などの非極性面、(20−21)又は(20−2−1)などの半極性面が挙げられる。
一般的に第13族窒化物結晶基板は、アズグロウン結晶からスライス、研削、研磨などの加工を実施して基板を得る。通常、本発明の研削加工は、アズグロウン結晶をスライス後、側面をチャンファー処理し、裏面や表面に必要に応じてより砥粒径の大きい砥石を用いて粗い表面研削やエッチングなどの処理を施した後の第13窒化物結晶に実施するものである。これらの処理は公知の方法を採用すればよく、処理方法、順序は限定されるものではない。また、上記の処理は一例であり、必ずしもこのような処理をすべて行った結晶に対して、本発明の研削加工を施さなければならないものではない。
化学機械研磨工程は、公知の方法を採用して実施することが可能であり、例えばコロイダルシリカスラリーとスウェードパッドを用いることが例示される。スウェードパッドの材質も公知のものを採用すればよく、ポリウレタン製などが挙げられる。
コロイダルシリカスラリーに含まれる砥粒(コロイダルシリカ)の粒径は、通常10nm以上であり、30nm以上であることが好ましい。また、上限としては通常100nm以下である。また、コロイダルシリカスラリーのpHは0.8以上、2.5以下であることが好ましい。
化学機械研磨終了後の窒化物半導体基板は、その表面粗さRmsは1nm以下であ
ることが好ましい。
本発明の製造方法により得られた窒化物半導体基板は、通常研磨後に行われる洗浄工程を経て、製品となる。
直径が56mm、厚み470.5μmのC面を主面とする窒化ガリウム結晶を3枚準備した。結晶のガリウム(Ga)面を研磨するために、3枚の結晶の窒素(N)面をプレートにワックスで貼付け、これを1バッチとした。
砥石回転数400rpm、プレート回転数400rpm、ドレッシング砥石回転数200rpm、結晶にかかる応力が0.16kg/cm2以下となるようにし、プレート(結晶)送り速度10μm/minの加工条件で、厚みが468.9μmとなるまでGa面の研削加工を行い、窒化ガリウム基板を得た。このとき、砥粒の平均粒径が1μm未満のダイヤモンド砥粒をビトリファイドボンドで固定した砥石であって、砥石番手が#42000である砥石を使用した。また、ドレッシング砥石としては、砥粒の平均粒径が約3μmの緑色炭化ケイ素砥粒をフェノールで固定した砥石であって、砥石番手が#5000であるドレッシング砥石を使用した。
また、研削加工中に結晶にかかる応力が0.16kg/cm2となった時点で砥石のドレッシング処理を実施することで砥石の目詰まりを解消し、結晶にかかる応力を一定として切れ味を一定に保つようにした。
結晶にかかる応力が0.47kg/cm2以下となるようにし、研削加工中に結晶にかかる応力が0.47kg/cm2となった時点で砥石のドレッシング処理を実施した以外は、実施例1と同様にして研削加工を行い、窒化ガリウム基板を得た。研削レートは27.5μm/hであり、除去体積/砥石磨耗体積で表される比率(研削比)は0.13であり、得られた窒化ガリウム基板のGa面の表面粗度Rmsは2.09nmであった。
結晶にかかる応力が0.60kg/cm2以下となるようにし、研削加工中に結晶にかかる応力が0.60kg/cm2となった時点で砥石のドレッシング処理を実施した以外は、実施例1と同様にして研削加工を行い、窒化ガリウム基板を得た。研削レートは20.0μm/hであり、除去体積/砥石磨耗体積で表される比率(研削比)は0.10であり、得られた窒化ガリウム基板のGa面の表面粗度Rmsは0.80nmであった。
結晶にかかる応力が0.81kg/cm2以下となるようにし、研削加工中に結晶にかかる応力が0.81kg/cm2となった時点で砥石のドレッシング処理を実施した以外は、実施例1と同様にして研削加工を行い、窒化ガリウム基板を得た。研削レートは14.5μm/hであり、除去体積/砥石磨耗体積で表される比率(研削比)は0.03であり、得られた窒化ガリウム基板のGa面の表面粗度Rmsは2.43nmであった。また、研削加工中に砥石自体が崩れてしまい、砥粒およびボンド剤が脱落したために、これらにより結晶表面にスクラッチが多数発生した。
直径が50mm、厚み420μmのC面を主面とする窒化ガリウム結晶を3枚準備した。結晶のガリウム(Ga)面を研磨するために、3枚の結晶の窒素(N)面をプレートにワックスで貼付け、これを1バッチとした。
Ga面の研磨はまず、平均粒径3μmのダイヤモンド遊離砥粒を含むスラリーを用いての第一機械研磨(第1ラッピング)を行い、次に平均粒径1μmのダイヤモンド遊離砥粒を含むスラリー用いて第二機械研磨(第2ラッピング)を行ない、最後に平均粒径1μm以下のダイヤモンド遊離砥粒を含むスラリーを用いて第三機械研磨(第3ラッピング)を行い、窒化ガリウム基板を得た。第1ラッピングの加工レートは6.89μm/h、第2
ラッピングの加工レートは1.2μm/h、第3ラッピングの加工レートは0.53μm/hであった。得られた窒化ガリウム基板の厚みは394μmであり、Ga面の表面粗度Rmsは2.51nmであった。
直径が50mm、厚み338μmの、主面が(10−10)面から<000−1>(−c軸)方向に2°のオフ角を有する面である窒化ガリウム結晶を1枚準備した。結晶の主面を研磨するために、結晶の裏面をプレートにワックスで貼付け、これを1バッチとした。
砥石回転数400rpm、プレート回転数400rpm、ドレッシング砥石回転数200rpm、結晶にかかる応力が0.45kg/cm2以下となるようにし、プレート(結晶)送り速度10μm/minの加工条件で、厚みが336μmとなるまで主面の研削加工を行い、窒化ガリウム基板を得た。このとき、砥粒の平均粒径が1μm未満のダイヤモンド砥粒をビトリファイドボンドで固定した砥石であって、砥石番手が#42000である砥石を使用した。また、ドレッシング砥石としては、砥粒の平均粒径が約3μmの緑色炭化ケイ素砥粒をフェノールで固定した砥石であって、砥石番手が#5000であるドレッシング砥石を使用した。
また、研削加工中に結晶にかかる応力が0.45kg/cm2となった時点で砥石のドレッシング処理を実施することで砥石の目詰まりを解消し、結晶にかかる応力を一定として切れ味を一定に保つようにした。
結晶として直径が50mm、厚み343μmの、主面が(10−10)面から<000−1>(−c軸)方向に5°のオフ角を有する面である窒化ガリウム結晶を用いたこと、厚みが340μmとなるまで主面の研削加工を行ったこと以外は実施例4と同様にして研削加工を行い、窒化ガリウム基板を得た。研削レートは0.66μm/hであった。また、研削加工中において砥石自体の崩れはなく、砥粒およびボンド剤の脱落も見られなかった。
結晶として直径が50mm、厚み340μmの、主面が(10−10)面から<000−1>(−c軸)方向に5°のオフ角を有する面である窒化ガリウム結晶を用いたこと、厚みが338μmとなるまで主面の研削加工を行ったこと、結晶にかかる応力が0.23kg/cm2以下となるようにし、研削加工中に結晶にかかる応力が0.23kg/cm2となった時点で砥石のドレッシング処理を実施した以外は実施例4と同様にして研削加工を行い、窒化ガリウム基板を得た。研削レートは13.38μm/hであった。また、研削加工中において砥石自体の崩れはなく、砥粒およびボンド剤の脱落も見られなかった。
結晶として直径が50mm、厚み338μmの、主面が(20−2−1)面である窒化ガリウム結晶を用いたこと、厚みが336μmとなるまで主面の研削加工を行ったこと、結晶にかかる応力が0.23kg/cm2以下となるようにし、研削加工中に結晶にかかる応力が0.23kg/cm2となった時点で砥石のドレッシング処理を実施した以外は実施例4と同様にして研削加工を行い、窒化ガリウム基板を得た。研削レートは5.52μm/hであった。また、研削加工中において砥石自体の崩れはなく、砥粒およびボンド剤の脱落も見られなかった。
研削加工に用いる砥石として、砥粒の平均粒径が1〜2μmのダイヤモンド砥粒をビトリファイドボンドで固定した砥石であって、砥石番手が#10000である砥石を使用し、ドレッシング砥石としては、砥粒の平均粒径が約1.5μmのホワイトアルミナ砥粒をビトリファイドボンドで固定した砥石であって、砥石番手が#10000であるドレッシング砥石を使用して、実施例1と同様に研削加工を行った。
このとき、結晶にかかる応力が0.11kg/cm2以下、0.32kg/cm2以下、0.55kg/cm2以下、2.70kg/cm2以下となるように変化させて研削加工を行い、窒化ガリウム基板を得た。それぞれの場合における研削レートは、18.7μm/h、51.1μm/h、197.0μm/h、334.1μm/hであった。このことより、砥粒の平均粒径が1μm以上の砥石を用いた場合には、結晶にかかる応力が大きいほど研削レートが大きくなることが確認された。参考例の結果を図2に示す。
Claims (7)
- 平均粒径が1.0μm未満である砥粒が固定された砥石を用いて第13族窒化物結晶に研削加工を行い第13族窒化物結晶基板を製造する方法であって、研削加工中に該第13族窒化物結晶にかかる応力を0.75kg/cm2以下とすることを特徴とする第13族窒化物結晶基板の製造方法。
- 前記砥石がボンド剤により砥粒を埋め込んだ砥石であって、該砥粒がダイヤモンドである、請求項1に記載の第13族窒化物結晶基板の製造方法。
- 前記ボンド剤がビトリファイドボンドである、請求項2に記載の第13族窒化物結晶基板の製造方法。
- 前記第13族窒化物結晶がビッカーズ硬さ13GPa以上であり、かつ破壊靱性値が4以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の第13族窒化物結晶基板の製造方法。
- 前記第13族窒化物結晶が窒化ガリウム結晶である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の第13族窒化物結晶基板の製造方法。
- 第13族窒化物結晶の除去体積/砥石磨耗体積で表される比率が0.03以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の第13族窒化物結晶基板の製造方法。
- 前記第13族窒化物結晶の表面粗度Rmsが5nm以下となるまで研削工程を行う、請求項1〜6のいずれか1項に記載の第13族窒化物結晶基板の製造方法。
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