JP2013229380A - 太陽電池モジュール用の封止材シート及びその製造方法 - Google Patents

太陽電池モジュール用の封止材シート及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013229380A
JP2013229380A JP2012098902A JP2012098902A JP2013229380A JP 2013229380 A JP2013229380 A JP 2013229380A JP 2012098902 A JP2012098902 A JP 2012098902A JP 2012098902 A JP2012098902 A JP 2012098902A JP 2013229380 A JP2013229380 A JP 2013229380A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sealing material
silane coupling
material sheet
coupling agent
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012098902A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6098043B2 (ja
Inventor
Tatsuro Ishitobi
達郎 石飛
Toshio Yoshihara
俊夫 吉原
Hidenori Asai
秀紀 浅井
Noritoshi Akazawa
徳俊 赤澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2012098902A priority Critical patent/JP6098043B2/ja
Publication of JP2013229380A publication Critical patent/JP2013229380A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6098043B2 publication Critical patent/JP6098043B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Abstract

【課題】オレフィン系樹脂を主剤樹脂とした太陽電池モジュール用の封止材シートであって、電離放射線の照射による架橋処理によって耐熱性を向上させたものであり、且つ、更に密着性にも優れる太陽電池モジュール用の封止材シートを提供する。
【解決手段】オレフィン系樹脂からなる主剤樹脂と、シランカップリング剤と、を含有し、電離放射線の照射により架橋処理されている太陽電池モジュール用の封止材シートであって、シランカップリング剤のFedorsの方法により計算されるSP値が、主剤樹脂のSP値よりも大きく、且つ、シランカップリング剤のSP値と主剤樹脂のSP値との差が0.3以上2.0未満である封止材シート。
【選択図】なし

Description

本発明はオレフィン系の太陽電池モジュール用の封止材シート及びその製造方法に関し、更に詳しくは、電子線等の電離放射線によって架橋処理された封止材シートに関する。
太陽電池モジュール用の封止材としては、従来から、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)と、有機過酸化物に代表される架橋剤と、の組み合わせが多く使用されてきた。又、近年、水蒸気遮断性に優れる利点を生かしてEVAに代わりポリエチレン系樹脂も検討されている。
これに関して、下記の特許文献1では、EVAやポリエチレン系樹脂に電離放射線を照射して架橋させて所定のゲル分率を得ることにより、有機過酸化物を用いないで耐クリープ性等を向上させる技術が開示されている。又、下記の特許文献2には、所定の密度以下の線状低密度ポリエチレンに電離放射線を照射して架橋させ、やはり有機過酸化物を用いないで長時間の熱キュア工程を省き、耐熱性を付与する技術が開示されている。
特開2009−249556号公報 特開2011−77357号公報
しかしながら、特許文献1や2に記載の製造方法によって、ポリエチレン系樹脂に単に電離放射線を照射して得られる封止材シートは、架橋によって耐熱性は向上するものの、架橋前に有していた密着性が大きく低下してしまうという問題があった。このため、電離放射線を照射して耐熱性を向上させるとともに、同時に密着性にも優れるオレフィン系の封止材シートが求められていた。
本発明は以上の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電離放射線を照射して耐熱性を向上させる際に、密着性の低下を回避して充分な密着性を備えたオレフィン系の封止材シートを提供することにある。
本発明者らは、オレフィン系の封止材組成物に、SP値が所定の範囲にあるシランカップリング剤を含有させることにより、耐熱性を向上させる電離放射線の照射による架橋処理に際して、密着性の低下を回避して、充分な密着性を備えた封止材とすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) オレフィン系樹脂からなる主剤樹脂と、シランカップリング剤と、を含有し、電離放射線の照射により架橋処理されている太陽電池モジュール用の封止材シートであって、前記シランカップリング剤のFedorsの方法により計算されるSP値が、前記主剤樹脂のSP値よりも大きく、且つ、前記シランカップリング剤のSP値と前記主剤樹脂のSP値との差が0.3以上2.0未満であることを特徴とする封止材シート。
(2) 前記シランカップリング剤が、アクリロキシ基又はメタクリロキシ基含有アルコキシシランである(1)に記載の封止材シート。
(3) 前記オレフィン系樹脂が密度0.850g/cm以上0.910g/cm以下の低密度ポリエチレンである(1)又は(2)に記載の封止材シート。
(4) 前記シランカップリング剤の含有量が0.1質量%以上3質量%以下であることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の封止材シート。
(5) ゲル分率が、0%以上10%以下である、(1)から(4)のいずれかに記載の封止材シート。
(6) 厚さ400μmにおけるヘーズ値が7%以下である(1)から(5)のいずれかに記載の封止材シート。
(7) 前記主剤樹脂が、シラン変性ポリエチレン樹脂を含有しないことを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載の封止材シート。
(8) オレフィン系樹脂からなる主剤樹脂と、シランカップリング剤と、を含有する封止材組成物を溶融成形した後に、電離放射線を照射して架橋処理して得られる太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法であって、前記シランカップリング剤のFedorsの方法により計算されるSP値が、前記主剤樹脂のSP値よりも大きく、且つ、前記シランカップリング剤のSP値と前記主剤樹脂のSP値との差が0.3以上2.0未満である太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法。
(9) 前記シランカップリング剤が、アクリロキシ基又はメタクリロキシ基含有アルコキシシランである(8)に記載の封止材シートの製造方法。
(10) 前記オレフィン系樹脂が密度0.850g/cm以上0.910g/cm以下の低密度ポリエチレンである(8)又は(9)に記載の封止材シートの製造方法。
(11) 前記シランカップリング剤の前記封止材組成物中の含有量が0.1質量%以上3質量%以下である(8)から(10)のいずれかに記載の封止材シートの製造方法。
(12) 前記封止材組成物が更に架橋剤を含有し、該架橋剤の前記封止材組成物中の含有量が0.02質量%以上0.5質量%未満である(8)から(11)のいずれかに記載の封止材シートの製造方法。
(13) 前記溶融成形した後で前記架橋処理前の封止材シートのゲル分率が0%以上2%以下であって、
前記架橋処理後の封止材シートのゲル分率が0%以上10%以下である(12)に記載の封止材シートの製造方法。
(14) 前記主剤樹脂が、シラン変性ポリエチレン樹脂を含有しないことを特徴とする(8)から(13)のいずれかに記載の封止材シートの製造方法。
(15) 下記の密着強度測定方法によって測定した前記架橋処理前の封止材シートのガラス密着強度よりも、前記架橋処理後の封止材シートの前記ガラス密着強度の方が大きいことを特徴とする(8)から(14)に記載の封止材シートの製造方法。
密着強度測定方法:15mm幅にカットした封止材シートを、ガラス板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)上に密着させて150℃、18分で、真空加熱ラミネータで処理を行い、前記ガラス板上に密着している封止材シートを、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)にて垂直剥離(50mm/min)試験を行い密着強度を測定する。
本発明によれば、電離放射線を照射して耐熱性を向上させるとともに、同時に、密着性に優れるオレフィン系の封止材シートを提供することができる。
本発明の一実施形態である太陽電池モジュールの層構成の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態である太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法によって製造した封止材シートのガラス密着強度と、EB照射量の関係を示したグラフである。
以下、本発明に係る封止材組成物(以下、単に「封止材組成物」ともいう)、本発明の太陽電池モジュール用の封止材シート(以下、単に「封止材シート」ともいう)、及びその封止材シートを用いた太陽電池モジュールについて説明する。
<封止材組成物>
本発明に用いられる封止材組成物は、主剤樹脂としてのオレフィン系樹脂と、シランカップリング剤とを必須成分として含有する。オレフィン系樹脂については、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を用いることができるが、中でも、密度0.850g/cm以上0.910g/cm以下の低密度ポリエチレンを好ましく用いることができる。以下においては、主剤樹脂として上記の低密度ポリエチレンを用いた実施形態について説明する。又、密着性向上剤として、以下に詳細を説明する通り、SP値が所定の範囲にあるシランカップリング剤を用いる。以下、上記必須成分について説明した後、その他の樹脂、その他の成分について説明する。
[低密度ポリエチレン]
本発明においては、好ましくは密度0.850g/cm以上0.910g/cm以下、より好ましくは、密度0.850g/cm以上0.900g/cm以下の低密度ポリエチレン(LDPE)を用いることができる。又、更に好ましくは直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることができる。直鎖低密度ポリエチレンはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、本発明においては、その密度が0.850g/cm以上0.900g/cm以下の範囲内、好ましくは0.860g/cm以上0.890g/cm以下の範囲内、より好ましくは0.870g/cm以上0.885g/cm以下の範囲である。この範囲であれば、シート加工性を維持しつつ良好な柔軟性と透明性を付与することができる。
本発明においてはメタロセン系直鎖低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンは、シングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いて合成されるものである。このようなポリエチレンは、側鎖の分岐が少なく、コモノマーの分布が均一である。このため、分子量分布が狭く、上記のような超低密度にすることが可能であり封止材に対して柔軟性を付与できる。柔軟性が付与される結果、封止材シートと透明前面基板との密着性、封止材シートと裏面保護シートとの密着性等の封止材シートとその他の部材との密着性が高まる。
又、結晶性分布が狭く、結晶サイズが揃っているので、結晶サイズの大きいものが存在しないばかりでなく、低密度であるために結晶性自体が低い。このため、シート状に加工した際の透明性に優れる。したがって、本発明の封止材組成物からなる封止材シートが透明前面基板と太陽電池素子との間に配置されても発電効率はほとんど低下しない。
直鎖低密度ポリエチレンのα−オレフィンとしては、好ましくは分枝を有しないα−オレフィンが好ましく使用され、これらの中でも、炭素数が3〜8のα−オレフィンである1−プロペン、1―ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン又は1−オクテンが特に好ましく使用される。単独或いは複数併用してもよい。α−オレフィンの炭素数が3以上8以下であることにより、封止材に良好な柔軟性を付与することができるとともに良好な強度を付与することができる。その結果、封止材シートとその他の部材との密着性が更に高まる。
低密度ポリエチレンのメルトマスフローレート(MFR)は、JIS−K6922−2により測定した190℃、荷重2.16kgにおけるMFR(本明細書においては、以下、この測定条件による測定値をMFRという。)が0.5g/10分以上40g/10分以下であることが好ましく、2g/10分以上40g/10分以下であることがより好ましい。
本発明の封止材シートは後に電離放射線で架橋される。このため、ベースとなる低密度ポリエチレンのMFRが高くても、後の架橋工程で流動性を抑制できる。このため、上記範囲のような高いMFRであっても好適に使用することができる。
本発明の封止材組成物には、主剤樹脂として、更に、シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有させてもよい。シラン変性ポリエチレン系樹脂は、主鎖となる直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)等に、エチレン性不飽和シラン化合物を側鎖としてグラフト重合してなるものである。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、封止材シートの密着性を向上することができる。
シラン変性ポリエチレン系樹脂は、例えば、特開2003−46105号公報に記載されている方法で製造でき、当該樹脂を太陽電池モジュールの封止材組成物の成分として使用することにより、強度、耐久性等に優れ、且つ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、その他の諸特性に優れ、更に、太陽電池モジュールを製造する加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく極めて優れた熱融着性を有し、安定的に、低コストで、種々の用途に適する太陽電池モジュールを製造し得る。
直鎖低密度ポリエチレンとグラフト重合させるエチレン性不飽和シラン化合物として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシランより選択される1種以上を使用することができる。
エチレン性不飽和シラン化合物の含量であるグラフト量は、後述するその他のポリエチレン系樹脂を含む封止材組成物中の全樹脂成分の合計100質量部に対して、例えば、0.001質量%以上15質量%以下程度、好ましくは、0.01質量%以上5質量%以下程度、特に好ましくは、0.05質量%以上2質量%以下程度となるように適宜調整すればよい。本発明において、エチレン性不飽和シラン化合物の含量が多い場合には、機械的強度及び耐熱性等に優れるが、含量が過度になると、引っ張り伸び及び熱融着性等に劣る傾向にある。
従来より、特に低密度ポリエチレンを主剤樹脂とする従来の封止材組成物には、上記のシラン変性ポリエチレン系樹脂を含有させることによって、封止材シートの密着性を好ましい範囲にまで向上させることが行われてきたが、シラン変性ポリエチレン系樹脂は、高価であるため、封止材シートの製造コストが嵩むという問題があった。本発明の封止材組成物においては、密着性向上剤として、SP値が所定の範囲にあるシランカップリング剤を用いることにより、上記のシラン変性ポリエチレン系樹脂を含有させなくても、充分な密着性を得ることができるため、封止材シートの生産コストを低減させることもできる。
封止材組成物に含まれる上記の密度が0.850g/cm以上0.910g/cm以下のポリエチレン系樹脂の含有量は、組成物中で好ましくは10質量%以上99質量%以下、より好ましくは50質量%以上99質量%以下であり、更に好ましくは90質量%以上99質量%以下である。即ち、本発明の効果を損なわない範囲内であれば他の樹脂を含んでいてもよい。これらは、例えば添加用樹脂として用いてもよく、後述のその他の成分をマスターバッチ化するために使用してもよい。
[架橋剤]
本発明においては、公知のラジカル重合開始剤を架橋剤として用いてもよい。ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;ジ‐t‐ブチルパーオキサイド、t‐ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐パーオキシ)ヘキシン‐3等のジアルキルパーオキサイド類;ビス‐3,5,5‐トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o‐メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t‐ブチルパーオキシアセテート、t‐ブチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート、t‐ブチルパーオキシピバレート、t‐ブチルパーオキシオクトエート、t‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t‐ブチルパーオキシベンゾエート、ジ‐t‐ブチルパーオキシフタレート、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン‐3、t‐ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート等のパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物、又は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4‐ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジクミルパーオキサイド、といったシラノール縮合触媒等を挙げることができる。
架橋剤を用いる場合、その含有量としては、封止材組成物中に0.02質量%以上0.5質量%以下であり、上限は好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。この0.02質量%未満であると電子線の架橋では熱量が足りず結晶を溶解するに至らずヘーズが下がりにくい。又、0.5質量%を超えると、押し出し時の負荷が高くなり、成形中にゲルが発生する等して製膜性が低下し、透明性も低下する。
本発明における架橋剤の作用は定かでないが、まず、熱架橋でポリスチレン換算の重量平均分子量で12万以上30万以下程度まで高分子量化させることにより、オレフィンの結晶の核となる部分を減らす。オレフィンは、主鎖が折り重なっているところが結晶部分になりヘーズが上昇するため、適度に高分子量化すれば移動度が下がり結晶化しにくくなるものと推定されるからである。そして、その後のEB照射架橋によって結晶部分が若干架橋に取り込まれることで、更にヘーズが低下するものと推定される。このように、架橋剤による熱的な予備架橋と、後述する電離放射線による架橋処理とを併用することによって、耐熱性と透明性をより高いレベルで両立することが可能となる。
[架橋助剤]
本発明においては炭素−炭素二重結合及び/又はエポキシ基を有する多官能モノマーを架橋助剤として用いてもよい。より好ましくは、多官能モノマーの官能基がアリル基、(メタ)アクリレート基、ビニル基であるものが用いられる。これによって適度な架橋反応を促進させるとともに、本発明においてはこの架橋助剤が低密度ポリエチレンの結晶性を低下させ透明性を維持する。
具体的には、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート等のポリアリル化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート等のポリ(メタ)アクリロキシ化合物、二重結合とエポキシ基を含むグリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル及びエポキシ基を2つ以上含有する1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物を挙げることができる。これらは単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
上記のなかでも、低密度ポリエチレンに対する相溶性が良好で、架橋によって結晶性を低下させ透明性を維持し、低温での柔軟性を付与する観点からTAICが好ましく使用できる。又、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートも好ましく使用することができる。
架橋助剤を用いる場合、その含有量としては、組成物中に0.01質量%以上3質量%以下含まれることが好ましく、より好ましくは0.01質量%以上0.1質量%以下の範囲である。この範囲内であれば適度な架橋反応を電離放射線の照射前にあらかじめ促進させることができる
[ラジカル吸収剤]
本発明においては、ラジカル重合開始剤となる上記の架橋助剤と、それをクエンチするラジカル吸収剤とを併用することにより、架橋の程度を調整してゲル分率を更に細かく調整することができる。このようなラジカル吸収剤としては、ヒンダードフェノール系等の酸化防止剤や、ヒンダードアミン系の耐候安定化等が例示できる。架橋温度付近でのラジカル吸収能力が高い、ヒンダードフェノール系のラジカル吸収剤が好ましい。ラジカル吸収剤の使用量は、組成物中に0.01質量%以上3質量%以下含まれることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下の範囲である。この範囲内であれば適度に架橋反応を抑制してゲル分率を調整できる。
[シランカップリング剤]
封止材組成物には、SP値が所定の範囲にあるシランカップリング剤を添加する。SP値を所定の範囲に限定することにより、低密度ポリエチレンに対する相溶性を適切に調整することができ、それにより、電離放射線の照射による架橋処理を経た本発明の封止材シートに裏面保護シートとの間の好ましい密着性を付与することができる。尚、本発明におけるSP値とは、Fedorsによる蒸発エネルギーとモル体積より求める方法によって計算されるSP値を意味する。
本発明の封止材シートの封止材組成物には、封止材組成物の主剤樹脂よりもSP値が大きく、且つ、封止材組成物の主剤樹脂とのSP値の差が0.3以上2.0未満であるシランカップリング剤を用いることができる。例えば、本発明の封止材シートの封止材組成物の主剤樹脂として好ましく用いることのできる低密度ポリエチレンのSP値は、7.9程度である。よって主剤樹脂として低密度ポリエチレンを用いる場合には、SP値が、8.2程度〜9.9程度のシランカップリング剤を用いることができる。
主剤樹脂として低密度ポリエチレンを用いる場合、シランカップリング剤のSP値が7.9付近であると、シランカップリング剤が主剤樹脂と混和しやすい。そのためSP値が7.9付近であると、基材内部にシランカップリング剤が取り込まれやすく好ましくない。SP値が主剤樹脂より+0.3〜2.0の範囲であると、ガラス等基材密着性が好ましい範囲に向上するのはシランカップリング剤が表面付近で主剤樹脂にグラフトしやすくなる為であるためであると推定される。このように、従来シランカップリング剤の選択において特段着目されることのなかったSP値に着目して、密着向上剤として用いるシランカップリング剤をSP値が特定の範囲にあるものに限定し、これにより、封止材シートに好ましい密着性を付与したものである点に本願発明の新規な点がある。
SP値が上記範囲にあり、低密度ポリエチレンとの組み合わせにおいて好ましく用いることができるシランカップリング剤の具体例として、アクリロキシ基又はメタクリロキシ基含有アルコキシシランを挙げることができる。
アクリロキシ基又はメタクリロキシ基含有アルコキシシランとは、一般式[R3−Si−R4(3−m)R5](mは1〜3の整数を表し、R3はアクリル基又はメタクリル基を表し、R4はアルキル基を表し、R5はアルコキシ基を表す)で表されるものであり、例としては、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは単独又は2種以上使用してもよい。尚、アクリロキシ基含有アルコキシシランの製品名としては例えば、「KBM−5103」(「信越シリコーン株式会社」製)があり、メタクリロキシ基含有アルコキシシランの製品名としては例えば、「KBM−502」、「KBM−503」、「KBE−502」、「KBE−503」(いずれも信越シリコーン株式会社製)があり、市場から容易に入手できる。
これらのシランカップリング剤の含有量は、封止材組成物中に0.1質量%以上10.0質量%以下であり、上限は、好ましくは3.0質量%以下である。シランカップリング剤の含有量が0.1質量%未満であると太陽電池モジュールを構成する部材への密着性が好ましい範囲にまで向上しない。一方、シランカップリング剤の含有量が10.0質量%を超えると、製膜性が低下したり、又、シランカップリング剤が経時により樹脂表面上に染み出してくる、いわゆるブリードアウトが発生する場合があり好ましくない。又、シランカップリング剤の含有量を3.0質量%以下とすることによって、シランカップリング剤を安定して樹脂内にとどまらせることができる為、より好ましい。
上記のシランカップリング剤のうちでも、本発明の太陽電池モジュール用封止材組成物には、メタクロリキシ系のシランカップリング剤を特に好ましく用いることができる。密着性向上材として、上記の通りの適量を添加するシランカップリング剤を、メタクロリキシ系のシランカップリング剤に限定することによって、電離放射線の照射による密着性の低下を抑えて、太陽電池モジュールとしての使用時における密着性を好ましい範囲に維持することができる。
[その他の成分]
封止材組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、本発明の封止材組成物から作製された封止材に耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ封止材組成物中に0.001質量%以上5質量%以下の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、封止材組成物に対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
耐候性マスターバッチとは、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び上記の酸化防止剤等をポリエチレン等の樹脂に分散させたものであり、これを封止材組成物に添加することにより、封止材に良好な耐候性を付与することができる。耐候性マスターバッチは、適宜作製して使用してもよいし、市販品を使用してもよい。耐候性マスターバッチに使用される樹脂としては、本発明に用いる低密度ポリエチレンでもよく、上記のその他の樹脂であってもよい。
尚、これらの光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤は、それぞれ1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
更に、本発明の封止材組成物に用いられる他の成分としては上記以外に、接着性向上剤、核剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤等を挙げることができる。
<封止材シート>
本発明の封止材シートは、上記の封止材組成物を、その融点を超える温度で溶融成形するシート化工程によって、シート状又はフィルム状の予備封止材シートを得て、その後、電離放射線による架橋処理工程を経て、本発明の太陽電池モジュール用の封止材シートとなる。尚、本発明におけるシート状とはフィルム状も含む意味であり両者に差はない。
[シート化工程]
上記封止材組成物の溶融成形は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、即ち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により行われる。
尚、この予備封止材シートの状態におけるゲル分率は、0%以上10%以下であり、0%以上2%以下であることが好ましく、0%であることが更に好ましい。この段階では、架橋が全く開始していなくてもよく、或いは、成膜性が低下しない範囲において、熱と架橋剤による予備的な架橋が限定的に進行していてもよい。
ここで、ゲル分率(%)とは、封止材シート0.1gを樹脂メッシュに入れ、キシレンにて加熱還流により、12時間抽出したのち、樹脂メッシュごと取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の質量比較を行い残留不溶分の質量%を測定しこれをゲル分率としたものである。
[架橋処理工程]
上記のシート化工程後の予備封止材シートに対して、電離放射線による架橋処理を施す架橋処理工程を、シート化工程の終了後、且つ、封止材を他の部材と一体化する太陽電池モジュール一体化工程の開始前に行う。この架橋工程によってゲル分率が0%以上10%以下、好ましくは0%以上2%以下となる封止材シートとする。架橋処理はシート化工程に続いて連続的にインラインで行われてもよく、オフラインで行われてもよい。
架橋工程は、電子線(EB)、α線、β線、γ線、中性子線等の電離放射線によって行うがなかでも電子線を用いることが好ましい。電子線照射における加速電圧は、被照射体であるシート厚みによって決まり、厚いシートほど大きな加速電圧を必要とする。例えば、0.5mm厚みのシートでは100kV以上、好ましくは150kV以上で照射する。加速電圧がこれより低いと架橋が充分に行われない。照射量は片面で5kGy以上50kGy以下、好ましくは5kGy以上30kGy以下の範囲である。照射量が5kGy未満であると充分な架橋が行われず、又50kGyを超えると発生する熱によるシートの変形や着色等が懸念されるようになる。尚、両面側から照射してもよい。又、照射は大気雰囲気下でもよく窒素雰囲気下であってもよい。
又、本発明の封止材シートのヘーズ値は、厚さ400μmにおけるヘーズ値が7%以下であることが好ましく、より好ましくはヘーズ値が5%未満である。上記のように、本発明において、封止材組成物に架橋剤を含有させる場合には、これによって溶融成形の段階で熱架橋が予備的に行われており分子量が増大している。そして、この状態で更に電離放射線による架橋処理を行うことで、ポリエチレン系樹脂において耐熱性と透明性を両立させることができる。
ここで、ポリエチレン系の封止材シートのガラス基板等、太陽電池モジュールを構成する他の部材に対する密着性については、上記の架橋工程を経ることによって、封止材シートとして好ましくない値にまで低下する場合がある。しかしながら、本発明の封止材シートは、SP値が所定の範囲にあるシランカップリング剤を封止材組成物に添加することによって、封止材シートの密着性が、太陽電池モジュールとしての一体化され最終製品として使用される段階において、実用上、好ましい範囲、即ち、少なくともガラス密着強度の値で25N/15mm以上にまで回復することを特長とするものである。尚、本明細書において、ガラス密着強度とは、下記の実施例に記載の方法で測定した太陽電池モジュール用封止材のガラスに対する密着強度のことを言う。
<太陽電池モジュール>
図1は、本発明の封止材シートを用いた太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。本発明の太陽電池モジュール1は、入射光の受光面側から、透明前面基板2、前面封止材層3、太陽電池素子4、背面封止材層5、及び裏面保護シート6が順に積層されている。又、必要に応じて適宜この他の部材を積層してもよい。本発明の太陽電池モジュールは、前面封止材層3及び背面封止材層5の少なくとも一方に、上記説明した本発明の封止材シートを使用する。
[太陽電池モジュールの製造方法]
太陽電池モジュール1は、例えば、上記の透明前面基板2、前面封止材層3、太陽電池素子4、背面封止材層5、及び裏面保護シート6からなる部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。
尚、本発明の太陽電池モジュール1において、前面封止材層3及び背面封止材層5以外の部材である透明前面基板2、太陽電池素子4及び裏面保護シート6は、従来公知の材料を特に制限なく使用することができる。又、本発明の太陽電池モジュール1は、上記部材以外の部材を含んでもよい。尚、本発明の封止材は単結晶型に限らず、薄膜型その他の全ての太陽電池モジュールに適用できる。
本発明の封止材シートによれば、モジュール化前に既に架橋している架橋済封止材シートを用いることで、モジュール化における封止材の流動を抑制できる。又、モジュール化工程又はその後の加熱工程による架橋工程がないので、架橋条件を考慮する必要がなくなる分、モジュール化工程における真空加熱ラミネートの条件の自由度が高くなり、又、モジュール化工程の時間も短縮でき生産性も大幅に向上する。特にEVA系に比べて架橋速度が遅いというポリエチレン系封止材の問題点も解消でき、モジュール化の時間を大幅に短縮することができる。
又、本発明の太陽電池モジュール用封止材組成物に上記において説明した所定範囲のSP値を有するアクリロキシ基又はメタクリロキシ基含有アルコキシシランであるシランカップリング剤を添加した場合は、上記架橋工程において封止材表面付近で効率的にベース樹脂にグラフトし、太陽電池モジュールとして一体化された状態において、太陽電池モジュール用の封止材シートに求められる好ましい範囲にまで、密着強度が維持されることを特長とする。
封止材シートの密着性を充分に回復させるための加熱加圧条件については、温度と時間と圧着圧力の条件の様々な組み合わせにより、実現できるが、例えば、加熱温度80〜180℃、真空時間3〜10分、圧力40〜100kPa、加圧保持時間3〜20分の範囲の組み合わせであればよく、最も好ましい加熱加圧条件の一例として、加熱温度150℃、真空時間5分、圧力100kPa、加圧保持時間7分の組み合わせが挙げられる。このようにして得た本発明の封止材シートの太陽電池モジュールとしての一体化時における密着性については、密着強度が25N/15mm以上となっている。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
本発明の封止材シートの、ガラス密着強度、ヘーズ値(JIS K7136)、ゲル分率について測定するために、以下の通り、実施例、比較例、参考例の封止材シートを製造した。
[試験例1]
以下において説明する封止材組成物原料を、封止材組成物中の含有量(質量%)が、下記表2の割合となるように混合し、それぞれ実施例、比較例の封止材シートを作成するための封止材組成物とした。
[低密度ポリエチレン系樹脂]
主剤樹脂1:密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.5g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン。
主剤樹脂2:密度0.901g/cm、190℃でのMFRが2.0g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン。
シラン架橋性樹脂:密度0.881g/cmであり、190℃でのMFRが1.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とからなるシラン架橋性樹脂(シラン変性ポリエチレン系樹脂)をベース樹脂に混合するシラン共重合体を含有する樹脂。この樹脂の密度は0.884g/cm、190℃でのMFRが1.5g/10分である。
[シランカップリング剤]
シランカップリング剤マスターバッチ(MB)1:密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.1g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、メタクリロキシ基含有アルコキシシランとして、メタクロリキシ系のシランカップリング剤(「KBM−503」(「信越シリコーン株式会社」製))(以下「シランカップリング剤1」とも言う)を3.0質量部含浸させたコンパウンドペレット。
シランカップリング剤マスターバッチ(MB)2:上記メタクロリキシ系のシランカップリング剤に代えて、アクリロキシ基含有アルコキシシランとしてアクリル系のシランカップリング剤(「KBM−5103」(「信越シリコーン株式会社」製))(以下「シランカップリング剤2」とも言う)を用いた他は、シランカップリング剤MB1と同じ組成のもの。
シランカップリング剤マスターバッチ(MB)3:上記メタクロリキシ系のシランカップリング剤に代えて、シランカップリング剤としてビニル系のシランカップリング剤(「KBM−1003」(「信越シリコーン株式会社」製))(以下「シランカップリング剤3」とも言う)を用いた他は、シランカップリング剤MB1と同じ組成のもの。
各シランカップリング剤MB(1〜3)に含浸させたそれぞれのシランカップリング剤(1〜3)の、各実施例、比較例の封止材組成物中における含有量(質量%)は、表2に示す通りとなる。
上記のシランカップリング1〜3、及び主剤樹脂1及び2について、Fedorsの方法によりSP値を算出した。結果を下記表1に示す。又、算出したシランカップリング1〜3のSP値と上記主剤樹脂1及び2とのSP値との差についても合わせて表1に示す。
Figure 2013229380
[架橋剤]
密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.1g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.5質量部を含浸させたコンパウンドペレットを架橋剤マスターバッチ(MB)として用いた。
[耐候剤]
耐候剤として、密度0.880g/cmのチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤3.8質量部とヒンダードアミン系光安定化剤5質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチ(MB)を用いた。
Figure 2013229380
上記それぞれの封止材組成物をφ30mm押出し機、200mm幅のTダイスを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minで厚さ400μmの実施例、比較例、参考例それぞれの電子線照射前の予備封止材シートを作製した。
次に、上記の電子線照射前の各予備封止材シートに対して電子線照射装置(岩崎電気株式会社製、製品名EC250/15/180L)を用い、加速電圧200kV、照射強度20kGyで両面照射して計40kGyを照射し、実施例、比較例、参考例それぞれの電子線照射後の封止材シートを作成した。
実施例、比較例、参考例の各封止材シートについて、電子線照射前と照射後におけるそれぞれの、ガラス密着性、ヘーズ値(JIS K7136)を下記の方法によって測定した。結果を表3に示す。
ガラス密着性(密着強度測定試験)
:15mm幅にカットした実施例、比較例の各封止材シートを、シボ加工を施したガラス板(縦50mm×横75mm×3.2mm)上に密着させて、150℃、18分の条件で、真空加熱ラミネータ処理を行い、それぞれの実施例、比較例について密着性評価用試料を得て、ガラス板上に密着している封止材シートを、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)にて垂直剥離(50mm/min)試験を行いガラス密着強度を測定し、3回の測定の平均値を採用した。
へーズ値(透明性試験)
:JISK7136に沿って、株式会社村上色彩研究所 ヘーズ・透過率系HM150にて、ヘーズ(%)を測定した。
Figure 2013229380
実施例、比較例、参考例の各封止材シートの電子線照射前と照射後におけるゲル分率については、いずれも0%であった。尚、ゲル分率は以下の方法により測定した。
ゲル分率(%):封止材シート試料0.1gを樹脂メッシュに入れ、キシレンにて加熱還流で12時間抽出したのち、樹脂メッシュごと取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の重量比較を行い残留不溶分の質量%を測定しこれをゲル分率とした。
[試験例2]
試験例1で製造した実施例2、実施例4、及び比較例2の封止材シートについて、電子線の照射量の変更による密着強度の変化を測定した。試験例1と同じ方法で電子線の照射を行い、照射量を0〜50kGyまで、逐次増加していき、試験例1と同じ方法で、照射後の密着強度を測定した。結果を図2に示す。
表3より、実施例の封止材シートは、いずれも、電子線の照射による架橋処理を経ることにより、ガラスに対しての密着性について、十分に好ましい物性を備えるものとなることが分る。尚、上記密着強度の値については、測定値が25N以上であることをもって好ましい物性を備えているものと評価した。
又、所定量の架橋剤を含有する実施例1〜6の封止材シートについては、更に透明性においても好ましい物性を備えているものであることが分る。尚、上記透明性の値については、測定値が7%以下、より好ましくは5%未満であることをもって好ましい物性を備えているものと評価した。
又、表3より、シランカップリング剤を含有せず、シラン架橋性樹脂を添加することにより、ガラス密着強度を向上させた封止材シート(参考例1〜2)は、電子線の照射による架橋処理により、密着性が大きく低減してしまうのに対し、実施例の封止材シートは、表3及び図2から分かる通り、同処理により、密着性が著しく向上している。シラン架橋性樹脂の添加により、密着性の向上を図る方法は一般的に広く行われているものの、コストアップにつながるという問題があったが、本発明の封止材シートによれば、シラン架橋性樹脂の添加によらずとも、それらと同等以上の密着性を備える封止材シートとできるため、低コストで優れた封止材を得ることができることが分かる。
1 太陽電池モジュール
2 透明前面基板
3 前面封止材層
4 太陽電池素子
5 背面封止剤層
6 裏面保護シート

Claims (15)

  1. オレフィン系樹脂からなる主剤樹脂と、
    シランカップリング剤と、を含有し、
    電離放射線の照射により架橋処理されている太陽電池モジュール用の封止材シートであって、
    前記シランカップリング剤のFedorsの方法により計算されるSP値が、前記主剤樹脂のSP値よりも大きく、且つ、前記シランカップリング剤のSP値と前記主剤樹脂のSP値との差が0.3以上2.0未満であることを特徴とする封止材シート。
  2. 前記シランカップリング剤が、アクリロキシ基又はメタクリロキシ基含有アルコキシシランである請求項1に記載の封止材シート。
  3. 前記オレフィン系樹脂が密度0.850g/cm以上0.910g/cm以下の低密度ポリエチレンである請求項1又は2に記載の封止材シート。
  4. 前記シランカップリング剤の含有量が0.1質量%以上3質量%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の封止材シート。
  5. ゲル分率が、0%以上10%以下である、請求項1から4のいずれかに記載の封止材シート。
  6. 厚さ400μmにおけるヘーズ値が7%以下である請求項1から5のいずれかに記載の封止材シート。
  7. 前記主剤樹脂が、シラン変性ポリエチレン樹脂を含有しないことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の封止材シート。
  8. オレフィン系樹脂からなる主剤樹脂と、
    シランカップリング剤と、を含有する封止材組成物を溶融成形した後に、電離放射線を照射して架橋処理して得られる太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法であって、
    前記シランカップリング剤のFedorsの方法により計算されるSP値が、前記主剤樹脂のSP値よりも大きく、且つ、前記シランカップリング剤のSP値と前記主剤樹脂のSP値との差が0.3以上2.0未満である太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法。
  9. 前記シランカップリング剤が、アクリロキシ基又はメタクリロキシ基含有アルコキシシランである請求項8に記載の封止材シートの製造方法。
  10. 前記オレフィン系樹脂が密度0.850g/cm以上0.910g/cm以下の低密度ポリエチレンである請求項8又は9に記載の封止材シートの製造方法。
  11. 前記シランカップリング剤の前記封止材組成物中の含有量が0.1質量%以上3質量%以下である請求項8から10のいずれかに記載の封止材シートの製造方法。
  12. 前記封止材組成物が更に架橋剤を含有し、該架橋剤の前記封止材組成物中の含有量が0.02質量%以上0.5質量%未満である請求項8から11のいずれかに記載の封止材シートの製造方法。
  13. 前記溶融成形した後で前記架橋処理前の封止材シートのゲル分率が0%以上2%以下であって、
    前記架橋処理後の封止材シートのゲル分率が0%以上10%以下である請求項12に記載の封止材シートの製造方法。
  14. 前記主剤樹脂が、シラン変性ポリエチレン樹脂を含有しないことを特徴とする請求項8から13のいずれかに記載の封止材シートの製造方法。
  15. 下記の密着強度測定方法によって測定した前記架橋処理前の封止材シートのガラス密着強度よりも、前記架橋処理後の封止材シートの前記ガラス密着強度の方が大きいことを特徴とする請求項8から14のいずれかに記載の封止材シートの製造方法。
    密着強度測定方法:15mm幅にカットした封止材シートを、シボ加工を施したガラス板(縦50mm×横75mm×3.2mm)上に密着させて、150℃、18分で、真空加熱ラミネータで処理を行い、前記ガラス板上に密着している封止材シートを、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)にて垂直剥離(50mm/min)試験を行い密着強度を測定する。
JP2012098902A 2012-04-24 2012-04-24 太陽電池モジュール用の封止材シート及びその製造方法 Expired - Fee Related JP6098043B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012098902A JP6098043B2 (ja) 2012-04-24 2012-04-24 太陽電池モジュール用の封止材シート及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012098902A JP6098043B2 (ja) 2012-04-24 2012-04-24 太陽電池モジュール用の封止材シート及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013229380A true JP2013229380A (ja) 2013-11-07
JP6098043B2 JP6098043B2 (ja) 2017-03-22

Family

ID=49676749

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012098902A Expired - Fee Related JP6098043B2 (ja) 2012-04-24 2012-04-24 太陽電池モジュール用の封止材シート及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6098043B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015118980A (ja) * 2013-12-17 2015-06-25 三菱樹脂株式会社 太陽電池モジュール
JP2020191461A (ja) * 2020-07-22 2020-11-26 大日本印刷株式会社 太陽電池モジュール用の封止材シート

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08283696A (ja) * 1995-04-14 1996-10-29 Haishiito Kogyo Kk 太陽電池封止用シート及びその製造方法
JP2000226455A (ja) * 1999-02-08 2000-08-15 Mitsui Chemicals Inc ビニル化合物変性オレフィン重合体の架橋物およびその成形体
WO2007072885A1 (ja) * 2005-12-21 2007-06-28 Sekisui Chemical Co., Ltd. 独立気泡発泡ゴムシート、積層体及びそれらを用いた止水・水密シール材
JP2007177204A (ja) * 2005-12-01 2007-07-12 Hitachi Chem Co Ltd 接着剤組成物並びにこれを用いた接続体及び半導体装置
JP2010226044A (ja) * 2009-03-25 2010-10-07 Asahi Kasei E-Materials Corp 樹脂封止シートの製造方法
JP2011077357A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Asahi Kasei E-Materials Corp 樹脂封止シート及び太陽電池モジュール
JP2011119406A (ja) * 2009-12-02 2011-06-16 Asahi Kasei E-Materials Corp 太陽電池封止シートの製造方法及び太陽電池封止シート
JP2011181637A (ja) * 2010-02-26 2011-09-15 Asahi Kasei E-Materials Corp 樹脂封止シート及び太陽電池モジュール
JP2011210798A (ja) * 2010-03-29 2011-10-20 Dainippon Printing Co Ltd 太陽電池モジュール用充填材組成物及び太陽電池モジュール用充填材

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08283696A (ja) * 1995-04-14 1996-10-29 Haishiito Kogyo Kk 太陽電池封止用シート及びその製造方法
JP2000226455A (ja) * 1999-02-08 2000-08-15 Mitsui Chemicals Inc ビニル化合物変性オレフィン重合体の架橋物およびその成形体
JP2007177204A (ja) * 2005-12-01 2007-07-12 Hitachi Chem Co Ltd 接着剤組成物並びにこれを用いた接続体及び半導体装置
WO2007072885A1 (ja) * 2005-12-21 2007-06-28 Sekisui Chemical Co., Ltd. 独立気泡発泡ゴムシート、積層体及びそれらを用いた止水・水密シール材
JP2010226044A (ja) * 2009-03-25 2010-10-07 Asahi Kasei E-Materials Corp 樹脂封止シートの製造方法
JP2011077357A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Asahi Kasei E-Materials Corp 樹脂封止シート及び太陽電池モジュール
JP2011119406A (ja) * 2009-12-02 2011-06-16 Asahi Kasei E-Materials Corp 太陽電池封止シートの製造方法及び太陽電池封止シート
JP2011181637A (ja) * 2010-02-26 2011-09-15 Asahi Kasei E-Materials Corp 樹脂封止シート及び太陽電池モジュール
JP2011210798A (ja) * 2010-03-29 2011-10-20 Dainippon Printing Co Ltd 太陽電池モジュール用充填材組成物及び太陽電池モジュール用充填材

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015118980A (ja) * 2013-12-17 2015-06-25 三菱樹脂株式会社 太陽電池モジュール
JP2020191461A (ja) * 2020-07-22 2020-11-26 大日本印刷株式会社 太陽電池モジュール用の封止材シート
JP7111131B2 (ja) 2020-07-22 2022-08-02 大日本印刷株式会社 太陽電池モジュール用の封止材シート

Also Published As

Publication number Publication date
JP6098043B2 (ja) 2017-03-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5970769B2 (ja) 太陽電池モジュール用封止材及びそれを用いた太陽電池モジュールの製造方法
JP5866857B2 (ja) 太陽電池モジュール用封止材組成物、太陽電池モジュール用封止材シート
JP2013042101A (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法
JP5589498B2 (ja) 太陽電池モジュール用充填材組成物及び太陽電池モジュール用充填材
JP5556934B1 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法
JP5891745B2 (ja) 太陽電池モジュール用封止材シート及びそれを用いた太陽電池モジュール
JP5900511B2 (ja) 太陽電池モジュール用封止材シート
JP6106945B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法
JP5967115B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材組成物の組合せセット、封止材シート、及び封止材シートの製造方法
JP6476967B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シート
JP2012234965A (ja) 太陽電池モジュール用封止材組成物及びその製造方法
JP6098043B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シート及びその製造方法
JP2013115212A (ja) 太陽電池モジュール用封止材シートの製造方法及びそれを用いた太陽電池モジュールの製造方法
JP5966536B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止シート
JP6028472B2 (ja) 太陽電池モジュール用封止材シートの製造方法
JP6035707B2 (ja) 太陽電池モジュールの製造方法
JP5866858B2 (ja) 太陽電池モジュールの製造方法
JP6287006B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法
JP2015070044A (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シート
JP6303365B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法
JP2014053427A (ja) 太陽電池モジュール用封止材シートの製造方法
JP6102155B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法
JP6089569B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シート及び太陽電池モジュール
JP2014086489A (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法
JP2014072455A (ja) 太陽電池モジュール

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151117

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151118

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160621

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160803

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170124

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170206

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6098043

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees