JP2011077357A - 樹脂封止シート及び太陽電池モジュール - Google Patents

樹脂封止シート及び太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】水蒸気バリア性に優れるとともに、製造時においては、長時間の熱キュア工程を必要とせず、かつ真空ポンプやオイルの汚れを低減できる樹脂封止シートを提供すること。
【解決手段】軟化状態の樹脂層を被封止物に密着させて封止する樹脂封止シートであって、前記樹脂層は、密度0.91g/cm3以下の線状低密度ポリエチレンを含み、かつ架橋処理された樹脂封止シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂封止シート及び太陽電池モジュールに関する。
近年、世界的な温暖化現象により、環境に対する意識が高まり、炭酸ガス等の温暖化ガスを発生しない新しいエネルギーシステムが関心を集めている。太陽電池発電によるエネルギーは炭酸ガス等の温暖化の原因となるガスを排出しないため、クリーンなエネルギーとして研究開発が行われており、産業用エネルギーとして注目されている。
太陽電池の代表例としては、単結晶、多結晶のシリコンセル(結晶系シリコンセル)を用いたものや、アモルファスシリコン、化合物半導体を用いたもの(薄膜系セル)等が挙げられる。太陽電池は、長期間、屋外で風雨に曝されて使用されることが多く、発電部分をガラス板やバックシート等を貼り合わせてモジュール化し、外部からの水分の侵入を防止することにより、発電部分の保護、漏電防止等を図っていた。
発電部分を保護する部材としては、発電に必要な光透過を確保するために光入射側には透明ガラスや透明樹脂を使用している。反対側の部材には、バックシートと言われるアルミ箔、フッ化ポリビニル樹脂(PVF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やそのシリカ等のバリアーコート加工の積層シートが使用されている。そして、発電素子を樹脂封止シートで挟み込み、ガラスやバックシートでさらに外部を被覆して熱処理を施すことにより樹脂封止シートを溶融し、全体を一体化封止(モジュール化)している。
上述した樹脂封止シートは、次の(1)〜(3)が特性として要求される。すなわち、(1)ガラス、発電素子、バックシートとの良好な接着性、(2)高温状態における樹脂封止シートの溶融に起因する発電素子の流動防止性(耐クリープ性)、(3)太陽光の入射を阻害しない透明性、である。
このような観点から、樹脂封止シートは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)に、紫外線劣化対策として紫外線吸収剤、ガラスとの接着性向上のためのカップリング剤、架橋のための有機過酸化物等の添加剤を配合し、カレンダー成形やTダイキャストにより製膜されている。
さらに長期に亘って太陽光に曝されることに鑑み、樹脂の劣化による光学特性の低下の防止を図るため耐光剤等の各種添加剤が配合されている。これにより、長期に亘り太陽光の入射を阻害しない透明性を維持している。
上述したような樹脂封止シートにより太陽電池をモジュール化する形態として、ガラス/樹脂封止シート/結晶系シリコンセル等の発電素子/樹脂封止シート/バックシートの順で重ね合わせ、ガラス面を下にして専用の太陽電池真空ラミネーターを用いて、樹脂の溶融温度以上(EVAの場合は150℃の温度条件)で余熱する工程とプレス工程を経て、樹脂封止シートを溶融して貼り合わせる方法がある。
当該方法においては、先ず、余熱工程で樹脂封止シートの樹脂が溶融し、プレス工程で溶融した樹脂に接している部材と密着して真空ラミネートされる。このラミネート工程においては、(i)樹脂封止シートに含有されている架橋剤、例えば有機過酸化物が熱分解し、EVAの架橋が促進された後、(ii)樹脂封止シートに含有しているカップリング剤が接触している部材と共有結合する。これにより、互いの接着性がより向上し、高温状態における樹脂封止シートの溶融に起因する発電部分の流動が防止(耐クリープ性)され、ガラス、発電素子、バックシートとの優れた接着性が実現されるのである。
特許文献1には、カップリング剤及び有機過酸化物を含有するエチレン系共重合体樹脂からなる太陽電池用充填接着材シートが開示されている。特許文献2には、架橋剤及びシランカップリング剤を配合したエチレンビニルアセテート共重合体からなるシートであって、一定のゲル分率まで放射線架橋させたことを特徴とする太陽電池封止用シートが開示されている。上記文献においては、ガラス、封止シート、セル、バックシート等の各部材を重ね合わせた後、真空ラミネーターを用いて溶融貼り合せ及び有機過酸化物による架橋を行うことで太陽電池モジュールを製造している。
特開昭58−060579号公報 特開平8−283696号公報
しかしながら、従来のようにEVA等を用いた樹脂封止シートは、水蒸気透過度が大きいため水蒸気が流入しやすく、水分に弱いという問題がある。特に、太陽電池モジュールを高湿度の環境下で用いる場合には、水蒸気が太陽電池モジュールの端部から流入して発電素子等の発電部分に付着することによって、機能不良となり得る。この問題は、薄膜系の太陽電池モジュールの場合に顕著である。
また、樹脂封止シートの耐熱性を改善する目的で有機過酸化物を樹脂中に含有させて架橋を行う場合、有機過酸化物を熱分解させることによって樹脂封止シートの架橋を促進させるために、長時間の熱キュア工程を行う必要がある。そのため、太陽電池モジュール等の封止材として用いた場合に生産性に劣るという問題がある。さらに、有機過酸化物の熱分解によりガスが発生し、その結果、真空ポンプの腐食ダメージ及びオイルの汚れが生じるという問題がある。
本発明は、上記事情を鑑みなされたものであり、水蒸気バリア性に優れるとともに、製造時においては、長時間の熱キュア工程を必要とせず、かつ真空ポンプやオイルの汚れを低減できる樹脂封止シートを提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、軟化状態の樹脂層を被封止物に密着させて封止する樹脂封止シートであって、前記樹脂層は、密度0.91g/cm3以下の線状低密度ポリエチレンを含み、かつ架橋処理された、樹脂封止シートが上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
軟化状態の樹脂層を被封止物に密着させて封止する樹脂封止シートであって、
前記樹脂層は、密度0.91g/cm3以下の線状低密度ポリエチレンを含み、かつ架橋処理された、樹脂封止シート。
〔2〕
前記架橋処理が、電離性放射線照射によるものである上記〔1〕の樹脂封止シート。
〔3〕
前記線状低密度ポリエチレンが、シングルサイト系触媒を用いて重合されたものである上記〔1〕又は〔2〕の樹脂封止シート。
〔4〕
前記樹脂層のゲル分率が、1〜70%である上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一の樹脂封止シート。
〔5〕
前記樹脂層は、カップリング剤を0.01〜5質量%含有する上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一の樹脂封止シート。
〔6〕
前記樹脂層は、多層構造である上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一の樹脂封止シート。
〔7〕
前記樹脂層のうち、前記被封止物と接する層(表面層)の密度が、0.88g/cm3以上である上記〔6〕の樹脂封止シート。
〔8〕
前記表面層は、接着性樹脂を5〜50質量%含有する上記〔6〕又は〔7〕の樹脂封止シート。
〔9〕
上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一の樹脂封止シートを封止材として備えた太陽電池モジュール。
本発明によれば、水蒸気バリア性に優れるとともに、製造時においては、長時間の熱キュア工程を必要とせず、かつ真空ポンプやオイルの汚れを低減できる樹脂封止シートを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本実施の形態に係る樹脂封止シートは、軟化状態の樹脂層を被封止物に密着させて封止する樹脂封止シートであって、前記樹脂層は、密度0.91g/cm3以下の線状低密度ポリエチレンを含み、かつ架橋処理された、樹脂封止シートである。
本実施の形態に係る樹脂封止シートを構成する樹脂層には、密度0.91g/cm3以下の線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含有する。この密度が0.91g/cm3を超えると、透明性が大幅に悪化する。上記密度の下限値は、線状低密度ポリエチレンの製造性の観点から、0.86以上であることが好ましく、0.87以上であることがより好ましい。また、高密度のポリエチレン系樹脂を併用する場合には、低密度のポリエレン系樹脂を、例えば、30質量%程度の割合で添加することで透明性を改善することもできる。さらに、ブロッキング防止の方法として、公知のエンボス方法等によって表面の接触面積を少なくすることも効果的である。
従来から用いられているEVA等を用いた樹脂封止シートは、水蒸気透過度が大きいため水蒸気が流入し易く、水分に弱いという問題等がある。EVA等ではその側鎖部分が分解して脱離しやすい。また、側鎖部分は酸性基となりやすく、あるいは極性基となりやすいため、水分を保持しやすくなるという傾向がある。その結果、EVAを用いて樹脂封止シートとした場合、耐電圧性や絶縁性の低下を引き起こしやすくなる。一方、本実施の形態の樹脂封止シートは、密度0.91g/cm3以下の線状低密度ポリエチレンを含有するため、極性を抑えることができ、優れた絶縁性も得ることができる。そして、水蒸気バリア性に優れ、高温高湿下であっても被封止物を確実に封止することができる。特に、架橋処理を施した場合、これらの利点はより顕著になる。
線状低密度ポリエチレンは、樹脂封止シートの加工性の観点から、MFR(190℃、2.16kg)が0.5g/10min〜30g/10minであることが好ましく、0.8g/10min〜30g/10minであることがより好ましく、1.0g/10min〜25g/10minであることが更に好ましい。
線状低密度ポリエチレンは、シングルサイト系触媒、マルチサイト系触媒等の公知の触媒を用いて重合することができるが、低分子成分の含有量を抑えることができ、低密度の樹脂を効率よく合成できる観点等から、シングルサイト系触媒を用いて重合することが好ましい。シングルサイト系触媒としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、シクロペンタセン環を有する金属錯体等が挙げられ、市販品を用いることもできる。
さらに、樹脂封止シートを構成する樹脂層は架橋処理が施されている。これにより、長時間の熱キュア工程を行うことなく、良好な耐熱性をシートに付与できる。さらに、架橋処理は、電離性放射線を照射することにより行われることが好ましい。電離性放射線照の場合、架橋処理のために有機過酸化物を必ずしも用いる必要がないため、有機過酸化物の熱分解等によるガス発生が少なく、真空ポンプ等の腐食ダメージやオイルの汚れ等も抑制することができる。本実施の形態において「架橋処理」とは、樹脂を構成する高分子を物理的、又は化学的に架橋した結果、ゲル分率が好ましくは3質量%以上となった状態の樹脂層をいう。
本実施の形態における樹脂封止シートは、電離性放射線の照射強度(加速電圧)と照射密度によって、シート厚さ方向のゲル分率が適度に制御されている。照射強度(加速電圧)はシートの厚さ方向にどれだけ深く電子を届かせるかを示すものであり、照射密度は単位面積当たりどれだけ多くの電子を照射するかを示すものである。電離性放射線の照射による架橋としては、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線を樹脂封止シートに照射して架橋させる方法が挙げられる。
ゲル分率は、好ましくは3質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上60質量%以下、更に好ましくは3質量%以上50質量%以下である。ゲル分率を上記範囲とすることにより、太陽電池セルや配線等の被封止物の段差を隙間なく封止する性能(隙間埋め性)をより向上することができ、かつ、耐クリープ性を発揮することができる。なお、樹脂封止シートが後述する単層構造又は多層構造のいずれの構造を有する場合であっても、上記ゲル分率は、樹脂封止シート全体の平均のゲル分率(全層ゲル分率)の値を意味する。
樹脂封止シートのゲル分率は、沸騰p−キシレン中で樹脂封止シートを12時間抽出し、不溶解部分の割合から下記式により求めることができる。
ゲル分率(質量%)=(抽出後の試料質量/抽出前の試料質量)×100
本実施の形態における樹脂封止シートを構成する樹脂層は、電離性放射線崩壊型樹脂をさらに含んでいてもよい。ここで、電離性放射線崩壊型樹脂とは、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線を照射することにより崩壊する性質を有する樹脂をいう。
電離性放射線崩壊型樹脂としては、例えば、主鎖のC−C結合のα位に官能基が結合した崩壊型樹脂が挙げられる。上記官能基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいアミド基、及び置換されていてもよいアリール基からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
ここで、上記アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、及びアリール基は、置換可能な位置に、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。かかる置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)等が挙げられる。
電離性放射線崩壊型樹脂としては、具体的には、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリα−メチルスチレン、テトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメチルグリシジルメタクリレート、及びセルロースからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
また、樹脂封止シートを構成する樹脂中には、架橋性を有する部位と崩壊性を有する部位の両方を有する電離性放射線架橋−崩壊型樹脂が含まれていてもよい。そのような樹脂としては、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体、ポリプロピレンを含むエチレン共重合体、メチルメタクリレートを含むエチレン共重合体、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体、イソプレンゴムを含むエチレン共重合体、ブタジエンゴムを含むエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴムを含むエチレン共重合体、等が挙げられる。
グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体とは、反応サイトとしてエポキシ基を有するグリシジルメタクリレートとのエチレンコポリマー及びエチレンターポリマーを示し、例えば、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。上記化合物は、グリシジルメタクリレートの反応性が高いため安定した接着性を発揮でき、また、ガラス転移温度が低く柔軟性が良好となる傾向にある。
また、本実施の形態の樹脂封止シートは、単層構造、多層構造のいずれの構造を有していてもよい。以下、各構造について説明する。ここで、樹脂封止シートが多層構造である場合、樹脂封止シートの被封止物と接する層を「表面層」といい、それ以外を「内層」(3層以上の場合)という。即ち、樹脂封止シートの両表面を形成する2層が「表面層」である。
[単層構造]
樹脂封止シートが単層構造を有する場合、良好な透明性、柔軟性、被接着物の接着性や取扱性を確保する観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、及びポリオレフィン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂をさらに含む層であることが好ましい。
樹脂封止シートを構成する樹脂層に、接着性樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物が含有されている場合は、そのケン化度及び含有量は適宜調整でき、これにより被封止物との接着性を制御できる。接着性と光学特性の観点から、樹脂層中のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物の含有量は、3〜60質量%であることが好ましく、3〜55質量%であることがより好ましく、5〜50質量%であることが更に好ましい。
[多層構造]
樹脂封止シートの樹脂層が多層構造である場合には、いずれかの層が密度0.91g/cm3以下の線状低密度ポリエチレンを含み、かつ架橋処理された層であればよい。
接着性樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、及びエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体ケン化物の少なくともいずれか1種を含有する樹脂層が、被封止物と接触する層(表面層の少なくとも1層)として形成されていることが好ましい。また、表面層としては、上述したケン化物のみからなる層でもよいが、良好な透明性、柔軟性、被接着物の接着性や取扱性を確保する観点から、ケン化物と、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、及びポリオレフィン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂との混合樹脂からなる層であることが好ましい。表面層中における接着性樹脂の含有量は、特に限定されないが、接着性の観点から、5〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、5〜35質量%がさらに好ましい。
また、樹脂封止シートが多層構造を有する場合、上記電離性放射線崩壊型樹脂は、被封止物と接触する層(表面層の少なくとも1層)に含まれていることが好ましい。電離性放射線崩壊型樹脂が樹脂封止シートの被封止物と接触する層に含まれていると、太陽電池セルや配線等の段差を隙間なく封止する性能(隙間埋め性)が良好となる傾向にある。
電離性放射線崩壊型樹脂が被封止物と接触する層(表面層の少なくとも1層)に含まれている場合、被封止物と接触する層中の電離性放射線崩壊型樹脂の含有量は、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは7〜70質量%、さらに好ましくは8〜60質量%である。
被封止物と接触する層が電離性放射線崩壊型樹脂を含む場合、被封止物と接触する層(表面層)のゲル分率は、好ましくは3質量%未満、より好ましくは2質量%以下0.1質量%以上、さらに好ましくは1質量%以下0.1質量%以上である。被封止物と接触する層のゲル分率が3質量%未満であると隙間埋め性が良好となる傾向にあり、0.1質量%以上であると、夏場等の高温状態においても樹脂が融解して被封止物が流動することなく安定する傾向にある。
被封止物と接触する表面層の密度は、多層の場合、表面層に用いられる樹脂はブロッキングの観点より、0.88g/cm3以上であることが好ましく、クッション性、クッション性透明性の観点より0.925g/cm3以下であることが好ましい。ブロッキング防止の方法として公知のエンボス方法にて表面の接触面積を少なくすることも効果的である。被封止物と接触する表面層の層比率は、良好な接着性を確保する観点から、樹脂封止シートの全厚に対し、少なくとも5%以上の厚さを有していることが好ましい。厚さが5%以上であると、上述した単層構造の場合と同等の接着性が得られる傾向にある。
内層を構成する樹脂としては、特に限定されず、上述した表面層に含まれる樹脂に加えて、他のいかなる樹脂を用いてもよい。内層には、他の機能を付与することを目的として、樹脂材料、混合物、添加物等を適宜選定できる。例えば、新たにクッション性を付与する目的として、内層として熱可塑性樹脂を含有する層を設けてもよい。
内層として用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩素系エチレンポリマー系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられ、生分解性を有するものや植物由来原料系のもの等も含まれる。上記の中でも、結晶性ポリプロピレン系樹脂との相溶性がよく、透明性が良好な水素添加ブロック共重合体樹脂、プロピレン系共重合樹脂、エチレン系共重合体樹脂が好ましく、水素添加ブロック共重合体樹脂及びプロピレン系共重合樹脂がより好ましい。
水素添加ブロック共重合体樹脂としては、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体が好ましい。ビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。共役ジエンとは、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
プロピレン系共重合体樹脂としては、プロピレンとエチレン又は炭素原子数4〜20のα−オレフィンとから得られる共重合体が好ましい。そのエチレン又は炭素原子数4〜20のα−オレフィンの含有量は6〜30質量%が好ましい。この炭素原子数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコサン等が挙げられる。
プロピレン系共重合体樹脂は、マルチサイト系触媒、シングルサイト系触媒、その他、いずれの触媒を用いて重合されたものでもよい。さらにポリマーの結晶/非晶構造(モルフォロジ−)をナノオーダーで制御したプロピレン系共重合体を使用できる。
エチレン系共重合体樹脂は、マルチサイト系触媒、シングルサイト系触媒、その他、いずれの触媒で重合されたものでもよい。また、ポリマーの結晶/非晶構造(モルフォロジ−)をナノオーダーで制御したエチレン系共重合体を使用できる。
内層の材料としてポリエチレン系樹脂を用いる場合、ポリエチレン系樹脂の密度は、0.860〜0.925g/cm3であることが好ましい。透明性の観点から、0.925g/cm3以下が好ましく、ポリエチレン系樹脂の製造性の観点から、0.860g/cm3以上が好ましい。
また、樹脂封止シートは、中央層の両面に、中央層に対して対称の配置となるように同一成分の層が1又は2以上積層された構造を有していてもよい。このような樹脂封止シートとしては、例えば、2層の表面層(以下、「スキン層」と記載する場合がある。)と3層の内層からなる樹脂封止シートであって、2層の表面層が同一成分からなり、表面層に隣接する2層の内層(以下、「ベース層」と記載する場合がある。)が同一成分からなる樹脂封止シートが挙げられる。
上記構造を有する樹脂封止シートにおいて、表面層の膜厚は、樹脂封止シート全体の膜厚に対して5〜40%であることが好ましく、上記ベース層の膜厚は、樹脂封止シート全体の膜厚に対して50〜90%であることが好ましく、ベース層に挟まれた内層(以下、「コア層」と記載する場合がある。)の膜厚は、樹脂封止シート全体の膜厚に対して5〜40%であることが好ましい。
次に、樹脂封止シート加工性の観点について検討する。樹脂封止シートを構成する樹脂のMFR(190℃、2.16kg)は、良好な加工性を確保する観点から、0.5〜30g/10minであることが好ましく、0.8〜30g/10minであることがより好ましく、1.0〜25g/10minであることが更に好ましい。樹脂封止シートが2層以上の多層構造の場合、内層(ベース層やコア層)を構成する樹脂のMFRは、樹脂封止シート加工性の観点から、表面層のMFRより低いことが好ましい。
本実施の形態における樹脂封止シートには、特性を損なわない範囲で、各種添加剤、例えば、防曇剤、可塑剤、酸化防止剤、界面活性剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、結晶核剤、滑剤、アンチブロッキング剤、無機フィラー、架橋調整剤等を添加してもよい。
樹脂封止シートには、安定した接着性を確保する目的でカップリング剤をさらに添加してもよい。上記カップリング剤の添加量及び種類は、所望の接着性の度合いや被接着物の種類によって適宜選択できる。上記カップリング剤の添加量としては、カップリング剤を添加する樹脂層の全質量基準で、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.03〜4質量%であることがより好ましく、0.05〜3質量%であることが更に好ましい。
カップリング剤の種類としては、樹脂層に、太陽電池セルやガラスへの良好な接着性を付与する物質が好ましく、例えば、有機シラン化合物、有機シラン過酸化物、有機チタネート化合物等が挙げられる。また、これらのカップリング剤は、押出機内にて樹脂に注入混合する、押出機ホッパー内に混合して導入する、マスターバッチ化して混合して添加する等の公知の添加方法で添加することができる。ただし、押出機を経由する場合、押出機内の熱や圧力等によりカップリング剤の機能が阻害されることがあるため、カップリング剤の種類によっては添加量を適宜調整する必要がある。
カップリング剤の種類は、樹脂封止シートの透明性や分散具合の観点、押出機への腐食や押出安定性の観点等を考慮して、適宜選択すればよい。好ましいカップリング剤としては、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラングリシドキシプロピルトリエトキシシラン等の不飽和基やエポキシ基を有するものが挙げられる。
樹脂封止シートには、紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色防止剤等を添加することができる。特に長期に渡って透明性や接着性を維持する必要がある場合、紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色防止剤等を添加することが好ましい。これらの添加剤を樹脂に添加する場合、その添加量は、添加する樹脂の総量に対して10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。酸化防止剤としては、フェノール系、イオウ系、リン系、アミン系、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ヒドラジン系等の酸化防止剤が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色防止剤等は樹脂封止シートを構成する樹脂中に、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%を添加する。エチレン系樹脂に添加する場合、シラノール基を有する樹脂をマスターバッチ化して混合することで、さらに接着性を付与することもできる。添加方法としては、特に限定されず、液体の状態で溶融樹脂に添加する、直接対象樹脂層に練り込み添加する、シーティング後に塗布する等の方法が挙げられる。
樹脂封止シートは、厚さが50〜1500μmであることが好ましく、100〜1000μmであることがより好ましく、150〜800μmであることが更に好ましい。厚さが50μm未満であると、構造的にクッション性が乏しい場合や、作業性の観点で、耐久性や強度に問題が生ずる傾向にある。一方、厚さが1500μmを超えると、生産性の低下や密着性の低下を招来するという問題が生じる傾向にある。
次に、樹脂封止シートの光学特性について説明する。光学特性の指標としてはヘイズ値が用いられる。ヘイズ値が10.0%以下であると樹脂封止シートにより封止された被封止物を外観上確認できると同時に、太陽電池の封止材として用いた場合に、実用上十分な発電効率が得られるため好ましい。上記観点から、ヘイズ値は9.5%以下であることが好ましく、9.0%以下であることがより好ましい。ここで、ヘイズ値は、ASTM D−1003に準拠して測定することができる。
また、樹脂封止シートは、太陽電池の封止材として用いた場合に、実用上十分な発電効率を確保するために、全光線透過率が85%以上であることが好ましく、87%以上であることがより好ましく、88%以上であることが更に好ましい。ここで、全光線透過率は、ASTM D−1003に準拠して測定することができる。
[樹脂封止シートの製造方法]
樹脂封止シートの製造方法としては、特に制限はないが、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、樹脂を押出機で溶融し、ダイより溶融樹脂を押出し、急冷固化して原反を得る。押出機としては、Tダイ、環状ダイ等が用いられる。樹脂封止シートが多層構造を有する場合には、環状ダイが好ましい。
原反の表面には、最終的に目的とする樹脂封止シートの形態に応じてエンボス加工処理を施してもよい。例えば、両面にエンボス加工処理を行う場合には、2本の加熱エンボスロール間に、片面エンボス加工処理を行う場合には、片方のみ加熱されたエンボスロール間に、前記原反を通過させることによりエンボス加工処理を施すことができる。樹脂封止シートが多層構造の場合、多層Tダイ法、多層環状(サーキュラー)ダイ法が好適であり、その他公知のラミネート方法によって多層構造を形成してもよい。
さらに、後処理として、例えば寸法安定化のためのヒートセット、コロナ処理、プラズマ処理、他種樹脂封止シート等とのラミネーションを行ってもよい。
樹脂封止シートを構成する樹脂に対する架橋処理、すなわち電離性放射線照射処理は、それぞれの場合に応じてエンボス加工処理の前工程又は後工程として行うか選定することができる。
[樹脂封止シートの用途]
本実施の形態における樹脂封止シートは、太陽電池を構成する素子等の部材を保護するための封止材として特に有用である。すなわち透明性や耐クリープ特性に優れ、かつ被封止物との接着性が良好であり、用途に応じて接着性の制御を行うことができる。また、太陽電池を構成するガラス板や、アクリルやポリカーボネート等の樹脂板に対しても安定的に強固な接着性を発揮する。本実施の形態における樹脂封止シートを用いることにより、太陽電池用ガラス自身や各種配線や発電素子等、凹凸を有している各種部材を確実に隙間なく封止できる。
また、本実施の形態のおける樹脂封止シートは、太陽電池用の封止シートとして使用できる他、LEDの封緘、合わせガラスや防犯ガラスの中間膜等、プラスチックとガラス、プラスチック同士、ガラス同士の接着等にも使用することができる。
ここで、樹脂封止シートを合わせガラスの中間膜として用いる場合には、例えば、2枚のガラス板及び/又は樹脂板の間に樹脂封止シートを挟持することで、複合材を得ることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。各実施例において樹脂封止シート及び太陽電池モジュールを作製し、その物性を評価した。なお、使用した材料及び評価方法等は以下のとおりである。
<樹脂層>
表1〜3に記載したものを使用した。
<添加剤>
表1〜3に記載したものを使用した。
<透光性絶縁基板>
AGC社製、太陽電池用ガラス 白板ガラスエンボス付き厚さ3.2mm
<裏面絶縁基板(バックシート)>
三菱アルミパッケージング社製、バックシート
<太陽電池セル>
E−TON社製、結晶性シリコンセル厚さ250μm
<照射処理>
樹脂封止シートに、EPS−300又はEPS−800の電子線照射装置(日新ハイボルテージ社製)を用いて、表1〜3に示す加速電圧及び照射密度にて電子線処理を行った。
<発電部分隙間埋め評価>
太陽電池用ガラス板(AGC社製白板ガラス5cm×10cm角:厚さ3.2mm)/樹脂封止シート/発電部分(多結晶シリコンセル、厚さ250μm、大きさ2cm×3cmにカットしたものを使用)/樹脂封止シート/バックシートの順に積層し、LM50型真空ラミネート装置(NPC社)を用いて、150℃、15分間の条件で真空ラミネートし、発電部分の単結晶シリコンセルの樹脂封止シートとの接触状況を目視にて観察した。
<高温高湿試験>
6インチ多結晶セルを6枚(2列×3列)に配置し、AGC社製白板ガラス(530cm×350cm角:厚さ3.2mm)/樹脂封止シート/発電部分(多結晶シリコンセル、厚さ250μm)/樹脂封止シート/バックシートの順に積層し、LM50型真空ラミネート装置(NPC社)を用いて、150℃、15分間の条件で真空ラミネートした。作製したモジュールを試験槽内に設置し、試験温度:85℃、相対湿度:85%に保持し、各時間経過後のモジュールの外観をチェックした。
<温度サイクル試験>
6インチ多結晶セルを6枚(2列×3列)に配置し、AGC社製白板ガラス(530cm×350cm角:厚さ3.2mm)/樹脂封止シート/発電部分(多結晶シリコンセル、厚さ250μm)/樹脂封止シート/バックシートの順に積層し、LM50型真空ラミネート装置(NPC社)を用いて、150℃、15分間の条件で真空ラミネートした。作製したモジュールを試験槽内に設置し、試験槽を閉じ、モジュールの周囲の空気を2m/s以上の速度で循環させ、試験槽内の温度を−40℃〜+85℃との間で周期的に変化させる。1サイクルを4時間とし、最低温度及び最高温度で30分ずつ保持し、温度サイクルを行った。表に示す所定回数後のモジュールの外観をチェックした。
<ゲル分率>
ゲル分率については、沸騰p−キシレン中で、樹脂封止シートを12時間抽出し、不溶解部分の割合を下記式により求めた。
ゲル分率(質量%)=(抽出後の試料質量/抽出前の試料質量)×100
多層の場合は、あらかじめ同方法にて厚さ、樹脂組成が同一のシートを採取し、そのシートに同条件にて照射をしたものをゲル分率測定サンプルとして用いた。
<照射処理>
電子線処理をEPS−300もしくはEPS−800の電子線照射装置(日新ハイボルテージ社製)を用いて種々の加速電圧、照射密度で処理した
<エチレン系重合体の密度>
JIS−K−7112に準拠して測定した。
<エチレン系重合体のMFR(メルトフローレート)>
JIS−K−7210に準拠して測定した。
<真空ポンプのオイル状態確認>
新品のオイルを入れてから通算運転時間で600時間経過後の真空ポンプ内のオイルをドレインから抜き出し、オイルの色を確認した。オイル交換の目処として色が茶色を呈した頃を目処とした。
<樹脂の融点(mp)>
ティーエイインスツルメント社製の示差走査熱量計「MDSC2920型」を使用し、樹脂約8〜12mgを0℃から200℃まで10℃/分の速度で昇温させ、200℃で5分間溶融保持した後に−50℃以下まで10℃/分の速度で降温し、再度0℃から200℃まで10℃/分で昇温させた際に得られる融解に伴う吸熱ピークの温度を融点とした。
<水蒸気透過率(g/day/m2)>
得られた樹脂封止シートの水蒸気バリア性はJIS−K7129よって測定した。評価用サンプルとして、各実施例及び各比較例で得られた樹脂封止シートと同じ構成で厚さ150μmのフィルムを用いた。
また、EVAを用いて上記樹脂封止シートと同じ構成(厚さ150μm)のフィルムを作製し、その水蒸気透過率を測定した。その結果、EVAの水蒸気透過率は、111g/(m2・day)であった。
<実施例1>
表1に示す材料を用いて、樹脂封止シートを製造した。3台(表面層用、中間層用、内層用)の押出機に接続された多層環状ダイ(直径250φmm、スリット厚さ1mm)より下向き方向にて樹脂をチューブ状に溶融押出し、引き取りながら1対のゴムロールにて封じ、この溶融押出にて形成されたチューブに空気を入れて、所望のシート厚さ、シート折幅になるように水冷リングを用いて急冷固化した。3台の押出機に同じ樹脂を導入することで単層の樹脂封止シートを得た。ラジカル捕捉剤等の添加物は、前もって同じ樹脂にプレブレンドして、樹脂に押出機を用いて練りこんだ3質量%マスターバッチを所定の量になるように混合した。得られた樹脂封止シートのゲル分率、全光線透過率を測定した。測定結果を表1に示す。
得られた樹脂封止シートを用いて、表1に示す各条件に従って太陽電池モジュールを作製した。6インチ多結晶セルを6枚(2列×3枚)に配置し、AGC社製白板ガラス(530mm×350mm角:厚さ3mm)/樹脂封止シート/発電部分(多結晶シリコンセル(厚さ250μm)/樹脂封止シート/バックシート(PET製、厚さ180μm)の順に重ね、LM50型真空ラミネート装置(NPC社)を用いて150℃、15分間の条件で真空ラミネートすることで太陽電池モジュールを製造した。得られた太陽電池モジュールについて、上述した各評価試験を行った。評価結果を表1に示す。
<実施例2〜13>
表1〜3に示した条件で樹脂封止シート及び太陽電池モジュールを作製した以外は同様の条件で、樹脂封止シート及び太陽電池モジュールを作製した。各実施例における各評価試験の結果を表1〜3に示す。
Figure 2011077357
Figure 2011077357
Figure 2011077357
表1〜3に示すように、各実施例の樹脂封止シートは、高温高湿試験及び温度サイクル試験において外観異常が発生せず、水蒸気バリア性に優れていることが確認された。そして、各実施例では製造工程において熱キュア工程を行っておらず、使用した真空ポンプのオイルも変色が確認されなかったことから、生産性に優れていることが確認された。さらに、各実施例の樹脂封止シートを用いた太陽電池モジュールは隙間なくセルを封止できたことから、隙間埋め性に優れていることが確認された。
本発明に係る樹脂封止シートは、太陽電池を構成する素子等の部材を保護するための封止材等としての産業上の利用可能性を有する。

Claims (9)

  1. 軟化状態の樹脂層を被封止物に密着させて封止する樹脂封止シートであって、
    前記樹脂層は、密度0.91g/cm3以下の線状低密度ポリエチレンを含み、かつ架橋処理された、樹脂封止シート。
  2. 前記架橋処理が、電離性放射線照射によるものである請求項1記載の樹脂封止シート。
  3. 前記線状低密度ポリエチレンが、シングルサイト系触媒を用いて重合されたものである請求項1又は2記載の樹脂封止シート。
  4. 前記樹脂層のゲル分率が、1〜70%である請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂封止シート。
  5. 前記樹脂層は、カップリング剤を0.01〜5質量%含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂封止シート。
  6. 前記樹脂層は、多層構造である請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂封止シート。
  7. 前記樹脂層のうち、前記被封止物と接する層(表面層)の密度が、0.88g/cm3以上である請求項6に記載の樹脂封止シート。
  8. 前記表面層は、接着性樹脂を5〜50質量%含有する請求項6又は7に記載の樹脂封止シート。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂封止シートを封止材として備えた太陽電池モジュール。
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