以下、図面とともに本発明による加工情報供給装置、及び加工情報供給システムの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1は、本発明による加工情報供給装置を含む加工情報供給システムの一実施形態の構成を概略的に示すブロック図である。図1に示す加工情報供給装置10は、加工対象物の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射することにより、加工対象物の切断予定ラインに沿って、切断の起点となる改質領域を加工対象物の内部に形成するレーザ加工装置についての加工情報を対象とし、レーザ加工装置のユーザである加工者等に対して、レーザ加工装置に適用される加工情報を供給する情報供給装置である。
本実施形態による加工情報供給装置10は、情報入出力部11と、加工情報処理部15と、加工条件データベース19とを備えて構成されている。入出力部11は、対象情報入力部12と、条件情報出力部13とを有している。対象情報入力部12は、レーザ加工装置による半導体ウエハなどの加工対象物に対する切断加工に関し、加工対象物についての加工対象情報を入力する入力手段である。また、条件情報出力部13は、加工情報処理部15で設定された加工条件についての加工条件情報を出力する出力手段である。
加工情報処理部15は、加工条件設定部16と、アクセス管理部17と、設定履歴記憶部18とを有している。また、本供給装置10では、この加工情報処理部15に対して、加工条件データベース19が用意されている。加工条件データベース19は、レーザ加工装置における加工対象情報に応じた加工条件についてのデータが蓄積されたデータベースである。
具体的には、加工条件データベース19には、情報供給の対象としているレーザ加工装置について、レーザ光の照射によって加工対象物の内部に切断加工に必要な改質領域を形成するための加工条件のデータが、加工対象物の種類や形状などの加工対象情報と対応付けられた状態で格納されている。このような加工条件データは、例えば、レーザ加工装置を製造、提供しているメーカ側で様々な加工対象物に対してレーザ加工を行うことで蓄積された加工知識、経験、加工データ等に基づいて作成される。あるいは、レーザ加工装置のユーザ側で取得された加工データ等を収集することで加工条件データを作成することも可能である。なお、具体的な加工条件データについては後述する。
加工情報処理部15において、加工条件設定部16は、上記した加工条件データベース19に格納されている加工条件データを参照し、対象情報入力部12から入力された加工対象情報に基づいて、加工対象物に対する加工条件を設定する設定手段である。加工条件設定部16で設定された加工条件は、条件情報出力部13を介して加工条件情報として外部へと出力され、レーザ加工装置のユーザ等に供給される。
また、設定履歴記憶部18は、加工条件設定部16において加工対象情報に基づいて行われる加工条件の設定について、その設定情報を設定履歴として記憶しておく記憶手段である。具体的には、設定履歴記憶部18は、必要に応じ、加工対象情報または加工条件情報の少なくとも一方を含む情報を設定履歴として記憶する。このような設定履歴は、加工者からの情報供給の要求に応じて加工条件設定部16で繰り返して実行される設定処理について、設定処理毎に、あるいはそれらを集計した形で記憶、管理される。
上記した加工情報供給装置10は、加工条件設定部16での設定処理などの情報供給に必要な各種の処理を実行するCPUと、対象情報入力部12及び条件情報出力部13として機能する入出力I/Fと、処理動作に必要な各ソフトウェアプログラム等が記憶されるROMと、設定履歴記憶部18及び加工条件データベース19に用いられる内部メモリまたは外部記憶装置などの1または複数の記憶装置とによって、加工情報供給サーバとして構成することができる。
このような加工情報供給装置10は、例えば、レーザ加工装置を製造し、その加工情報の蓄積等を行っているメーカ等において用意される。また、図1に示す加工情報供給装置(供給サーバ)10は、インターネットなどのネットワーク30を介して、外部装置に対して接続可能となっている。
具体的には、加工情報供給装置10において、対象情報入力部12及び条件情報出力部13を含む入出力部11は、レーザ加工装置に適用される加工情報を取得するための加工情報取得装置31に対して、ネットワーク30を介して接続可能に構成されている。これにより、ネットワーク30を介して互いに接続された加工情報供給装置10と、加工情報取得装置31とを備える加工情報供給システムが構成される。
加工情報取得装置31は、例えば、ネットワーク30であるインターネットに接続されたパソコンなどの情報取得端末によって構成することができる。レーザ加工装置のユーザは、情報取得装置31を操作することにより、情報供給装置10に対して、対象情報入力部12を介して、レーザ加工装置を用いて切断加工を実行しようとしている加工対象物についての加工対象情報を指示し、加工対象情報に基づいた加工条件の設定を指示する。
また、ユーザは、情報供給装置10に対して、条件情報出力部13を介して、先に指示した加工対象情報に基づいて加工条件設定部16で設定された加工条件を示す加工条件情報を取得する。このとき、加工対象物に対して実際に切断加工を行うレーザ加工装置32については、加工情報取得装置31で取得された加工条件情報に基づいて、自動で、もしくは操作者によって手動でレーザ加工装置32が操作され、それによって加工対象物の切断加工が行われる。
また、レーザ加工装置32が加工情報取得装置31の機能を含んで構成され、加工情報供給装置10に対して、ネットワーク30を介してレーザ加工装置32が直接に接続される構成としても良い。この場合、例えば、加工情報供給装置10により、レーザ加工装置32での加工条件の設定を直接に遠隔操作する構成とすることも可能である。また、図1に示した構成では、入出力部11に対して、入力装置21及び表示装置22を含む操作部20が接続されている。必要があれば、このような加工情報供給装置10に対して設けられた操作部20によっても、加工情報を取得することが可能である。
加工情報供給装置10では、上記のようにネットワーク30を介して外部装置である加工情報取得装置31が接続可能となっていることに対応して、加工情報処理部15において、アクセス管理部17が設けられている。アクセス管理部17は、外部の加工情報取得装置31から加工情報供給装置10へのアクセスを制御するとともに、そのアクセス情報の管理を行う管理手段である。
上記実施形態による加工情報供給装置、及びそれを用いた加工情報供給システムの効果について説明する。
図1に示した加工情報供給装置10、及び加工情報供給システムでは、レーザ加工装置32を用いた半導体ウエハなどの加工対象物の切断加工について、その具体的な加工条件を加工対象情報と対応付けてデータの蓄積を行うことで加工条件データベース19を用意し、加工条件設定部16において、加工条件データベース19のデータを参照して加工対象物に対して適用すべき加工条件を設定している。これにより、加工対象物の種類や形状などについての加工対象情報に応じたレーザ加工装置32での加工条件を好適に設定することができる。
さらに、このような加工条件設定部16及び加工条件データベース19に対し、加工条件の設定に用いられる加工対象情報を入力するための対象情報入力部12と、設定された加工条件情報を出力するための条件情報出力部13とを含む入出力部11を設けている。このような構成によれば、加工者が情報供給装置10にアクセスすることにより、レーザ加工装置32に適用すべき加工情報を加工者側で好適に取得することが可能となる。
また、図1に示した構成では、加工情報供給装置10において、対象情報入力部12及び条件情報出力部13が、加工情報取得装置31に対してインターネットなどのネットワーク30を介して接続されることにより、加工情報供給システムが構成されている。このような構成によれば、レーザ加工装置32のユーザである加工者は、加工情報取得装置31からネットワーク30を介して、レーザ加工装置の製造メーカ等において設置されている加工情報供給装置10にアクセスする。そして、情報供給装置10に対して必要な加工対象情報を入力することにより、レーザ加工において適用すべき加工条件についての情報を容易に取得することが可能となる。
また、本実施形態では、加工情報供給装置10において、加工条件設定部16で行われる加工条件の設定について、加工対象情報または加工条件情報の少なくとも一方を含む設定履歴を記憶する設定履歴記憶部18を設けている。これにより、加工情報供給装置10側において、レーザ加工装置のユーザによる情報供給装置10の利用状況を容易に把握することが可能となる。また、例えばユーザが入力した加工対象情報を設定履歴として記憶しておくことにより、ユーザ側で必要としている加工情報の内容、あるいはその傾向等を把握することが可能となる。
このような構成の加工情報供給装置10及び供給システムは、ウエハ状の加工対象物に対して透過性となる波長のレーザ光を用い、加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工装置についての加工情報の供給に好適に適用することができる。すなわち、このようなレーザ加工装置では、透過性となる波長のレーザ光を用いて加工対象物の内部に切断加工のための起点となる改質領域を形成する。このような加工装置では、加工対象物を精度良く切断するため、例えば改質領域の大きさ、加工対象物の厚さ方向での改質領域の形成位置、厚さ方向の改質領域の数、切断予定ラインに沿った改質領域の形成ピッチなどの改質領域の形成条件を含む加工対象物に対する切断加工での加工条件が、加工対象物の種類や形状などによって大きく異なってくる。これに対して、上記構成の加工情報供給装置10を用いることにより、個々の加工対象物に応じた最適の加工条件についての情報を、加工者に対して確実に供給することが可能となる。
また、上記構成の加工情報供給装置10において、加工条件設定部16及び加工条件データベース19については、加工条件設定プログラムとデータベースとを別々に用意し、プログラムがデータベースから必要なデータを読み出しながら加工条件の設定を行う構成とすることができる。あるいは、加工条件設定プログラム自体にデータベースの内容が含まれた構成を用いても良い。
本発明による加工情報供給装置及び供給システムについて、具体的な構成例等とともにさらに説明する。
まず、上記した加工情報供給装置10による情報供給の対象となるレーザ加工装置の具体例について説明する。以下に説明するレーザ加工装置では、加工対象物の内部に切断の起点となる改質領域を形成する(特許文献1〜4参照)。このような加工方法では、切断加工用のレーザ光として、上述したように加工対象物に対して透過性となる波長のレーザ光が用いられる。このようなレーザ加工方法について、図2〜図4を用いて簡単に説明する。
図2は、透過性となる波長のレーザ光を用いた加工対象物のレーザ加工方法について模式的に示す図であり、図2(a)は加工対象物の上面図を、図2(b)は切断予定ラインに直交する面での加工対象物の断面図を示している。図2(a)に示すように、ウエハ状(平板状)などの加工対象物40の表面41には、加工対象物40に対して切断加工を行うための切断予定ライン42が設定されている。切断予定ライン42は直線状に延びた仮想線である。
本レーザ加工方法では、図2(b)に示すように、加工対象物40の内部に集光点Pを合わせてレーザ光Lを照射することで、集光点Pにおいて切断の起点となる改質領域43を形成する。なお、集光点Pとは、レーザ光Lが集光する箇所のことである。また、切断予定ライン42は、直線状に限らず曲線状であってもよいし、仮想線に限らず加工対象物40に実際に引かれた線であってもよい。
そして、レーザ光Lを切断予定ライン42に沿って、図2(a)の矢印A方向に相対的に移動させて、レーザ光Lによる集光点Pを切断予定ライン42に沿ってスキャンする。これにより、図3(a)の切断予定ライン42に沿った断面図に示すように、複数の改質領域43が切断予定ライン42に沿って加工対象物40の内部に形成され、この改質領域43が切断起点領域46となる。
改質領域43を形成するためのレーザ光Lとしては、パルスレーザ光を用いることが好ましい。あるいは、連続レーザ光を用いても良い。また、切断起点領域46とは、加工対象物40が切断される際に切断(割れ)の起点となる領域を意味する。この切断起点領域46は、改質領域43が連続的に形成されることで形成される場合もあるし、あるいは、改質領域43が断続的に形成された改質領域列として形成される場合もある。
このようなレーザ加工方法では、加工対象物40にレーザ光Lを吸収させることにより加工対象物40を発熱させて改質領域43を形成するのではなく、透過性となる波長のレーザ光を用いて加工対象物40にレーザ光Lを透過させて、加工対象物40の内部で改質領域43を形成している。したがって、加工対象物40の表面41ではレーザ光Lがほとんど吸収されないので、加工対象物40の表面41が溶融することはない(ステルスダイシング)。
加工対象物40の内部に改質領域43からなる切断起点領域46が形成されると、この領域46を起点として割れが発生し易くなる。このため、図4に示すように、比較的小さな力によって加工対象物40を切断予定ライン42に沿って切断することができる。これにより、加工対象物40の表面41において不必要な割れを発生させることなく、加工対象物40を高精度に切断することが可能になる。
この場合の加工対象物40の切断方法としては、例えば、切断起点領域46の形成後、加工対象物40に人為的な力が印加されることで切断起点領域46を起点として加工対象物40が割れ、加工対象物40が切断される方法がある。あるいは、切断起点領域46を形成することにより、切断起点領域46を起点として加工対象物40の断面方向(厚さ方向)に向かって自然に割れ、結果的に加工対象物40が切断される方法がある。
また、上記のレーザ加工方法によって加工対象物40の内部に形成される改質領域43については、具体的な例としては、(1)改質領域が1または複数のクラックを含むクラック領域の場合、(2)改質領域が溶融処理領域の場合、及び(3)改質領域が屈折率変化領域の場合等が挙げられる。
また、改質領域43による切断起点領域46については、加工対象物40が比較的薄いものであれば、図3(a)に示したように1本の切断起点領域46を形成すれば良い。一方、加工対象物40が厚いものであれば、加工対象物40に対して切断予定ライン42に沿って集光点Pをスキャンするスキャン本数を2以上としても良い。この場合、例えば図3(b)に3本の切断起点領域46、47、48が形成された例を示すように、加工対象物40の内部において、切断予定ライン42に沿って複数の切断起点領域が形成される。このようなスキャン本数は、好ましくは加工対象物40の材質、及びその厚さ等に応じて設定される。
また、例えば、機能素子がマトリクス状に複数形成された半導体ウエハを加工対象物とし、半導体ウエハを機能素子毎に格子状に切断して複数の半導体素子とするような場合、加工対象物での切断予定ラインは、互いに交差するX軸方向、及びY軸方向の両者について設定される。この場合、そのようなX軸方向、及びY軸方向のそれぞれについての切断起点領域の形成を、必要に応じて加工段階(phase)に分けて、適切な順序で行うことが好ましい(特許文献4参照)。
図5は、加工対象物の切断加工に用いられるレーザ加工装置の一例を概略的に示す構成図である(特許文献2参照)。本構成例によるレーザ加工装置101は、ステージ102上に載置された平板状の加工対象物Sの内部に集光点Pを合わせてレーザ光Lを照射し、加工対象物Sの内部に改質領域Rを形成する加工装置である。ステージ102は、垂直方向(Z軸方向)及び水平方向(X軸方向、Y軸方向)への移動、並びに回転移動が可能に構成されている。また、ステージ102の上方には、主にレーザヘッドユニット103、光学系本体部104、及び対物レンズユニット105からなるレーザ出力装置106が配置されている。
レーザヘッドユニット103は、光学系本体部104の上端部に着脱自在に取り付けられている。このレーザヘッドユニット103はL字状の冷却ジャケット111を有しており、この冷却ジャケット111の縦壁111a内には、冷却水が流通する冷却管112が蛇行した状態で埋設されている。この縦壁111aの前面には、レーザ光Lを下方に向けて出射するレーザヘッド113と、レーザ光Lの光路の開放及び閉鎖を選択的に行うシャッタユニット114とが取り付けられている。なお、レーザヘッド113は、例えば、レーザ光源としてNd:YAGレーザを用いたものであり、好ましくは、レーザ光Lとしてパルス幅1μs以下のパルスレーザ光を出射する。
さらに、レーザヘッドユニット103において、冷却ジャケット111の底壁111bの下面には、冷却ジャケット111の位置及び傾きを調整するための調整部115が取り付けられている。この調整部115は、レーザヘッド113から出射されたレーザ光Lの光軸αを、光学系本体部104及び対物レンズユニット105の光軸βに一致させるためのものである。なお、冷却ジャケット111の底壁111b、調整部115、及び光学系本体部104の筐体121には、レーザ光Lが通過する貫通孔が形成されている。
また、光学系本体部104の筐体121内の光軸β上には、レーザヘッド113から出射されたレーザ光Lのビームサイズを拡大するレーザ整形光学系であるビームエキスパンダ122と、レーザ光Lの出力を調整する光アッテネータ123と、光アッテネータ123により調整されたレーザ光Lの出力を観察する出力観察光学系124と、レーザ光Lの偏光を調整する偏光調整光学系125とが上から下にこの順序で配置されている。また、光アッテネータ123には、除去されたレーザ光を吸収するビームダンパ126が取り付けられており、このビームダンパ126は、ヒートパイプ127を介して冷却ジャケット111に接続されている。以上の構成により、レーザヘッド113から出射されたレーザ光Lが、光学系本体部104において所定の特性に調整される。
さらに、ステージ102上に載置された加工対象物Sを観察すべく、光学系本体部104の筐体121には、観察用可視光を導光するライトガイド128が取り付けられ、筐体121内にはCCDカメラ129が配置されている。観察用可視光はライトガイド128により筐体121内に導かれ、視野絞り131、レチクル132、ダイクロイックミラー133等を順次通過した後、光軸β上に配置されたダイクロイックミラー134により反射される。反射された観察用可視光は、光軸β上を下方に向かって進行して加工対象物Sに照射される。なお、レーザ光Lはダイクロイックミラー134を透過する。
そして、加工対象物Sの表面で反射された観察用可視光の反射光は、光軸βを上方に向かって進行し、ダイクロイックミラー134により反射される。このダイクロイックミラー134により反射された反射光は、ダイクロイックミラー133によりさらに反射されて結像レンズ135等を通過し、CCDカメラ129に入射する。このCCDカメラ129により撮像された加工対象物Sの画像はモニタに映し出される。このように、ライトガイド128、CCDカメラ129、視野絞り131、レクチル132、ダイクロイックミラー133、134、及び結像レンズ135によって、加工対象物観察光学系が構成されている。
対物レンズユニット105は、光学系本体部104の下端部に着脱自在に位置決めされて取り付けられている。また、対物レンズユニット105の筐体141の下端には、ピエゾ素子を用いたアクチュエータ143を介在させて、光軸βに光軸が一致した状態で加工用対物レンズ142が装着されている。なお、光学系本体部104の筐体121、及び対物レンズユニット105の筐体141には、レーザ光Lが通過する貫通孔が形成されている。また、対物レンズ142によって集光されたレーザ光Lの集光点Pにおけるピークパワー密度は、例えば1×108(W/cm2)以上となる。
さらに、対物レンズユニット105の筐体141内には、加工対象物Sに対する集光点Pを所定位置に設定すべく、測定用レーザ光を出射するレーザダイオード144と受光部145とが配置されている。測定用レーザ光は、レーザダイオード144から出射され、ミラー146、ハーフミラー147により順次反射された後、光軸β上に配置されたダイクロイックミラー148により反射される。反射された測定用レーザ光は、光軸β上を下方に向かって進行し、対物レンズ142を通過して加工対象物Sに照射される。なお、レーザ光Lはダイクロイックミラー148を透過する。
そして、加工対象物Sの表面で反射された測定用レーザ光の反射光は、対物レンズ142に再入射して光軸β上を上方に向かって進行し、ダイクロイックミラー148により反射される。ダイクロイックミラー148により反射された測定用レーザ光の反射光は、ハーフミラー147を通過して受光部145内に入射し、フォトダイオードを4等分してなる4分割位置検出素子上に集光される。そして、4分割位置検出素子上に集光された測定用レーザ光の反射光の集光像パターンに基づいて、対物レンズ142による測定用レーザ光の集光点が加工対象物Sに対してどの位置にあるかを検出することができる。
なお、図1に示した加工情報供給装置10による加工情報の供給対象となるレーザ加工装置の構成については、図5はその一例を示すものであり、具体的には様々な構成のレーザ加工装置を対象とすることができる。例えば、図6は、図5に示したレーザ加工装置の変形例を示す構成図である。
図6に示す構成例では、レーザヘッド213と、加工用対物レンズ242との間に設けられる光学系204において、レーザ光Lのビーム径を拡張するレーザ整形光学系222に加えて、一対のナイフエッジ224が設置されている。このナイフエッジ224は、レーザ整形光学系222によって拡張されたレーザ光Lの光軸上に位置し、加工対象物Sでの切断予定ライン(図2参照)に平行な方向に延在するスリット223を形成している。このようなナイフエッジ224を用い、スリット223の幅を変えることにより、加工対象物Sに照射されるレーザ光のビーム幅を調整することができる(特許文献3参照)。
次に、図1に示した加工情報供給装置10において実行される情報供給の具体的な方法について説明する。図7〜図9は、加工情報供給装置10において実行される加工条件の設定方法の一例を示すフローチャートである。以下においては、主に、レーザ加工装置による切断加工の対象となる加工対象物を半導体ウエハとした例について説明する。
図7に示す加工条件設定の例では、まず、レーザ加工装置32のユーザ(図1参照)により、情報取得装置31、及び情報供給装置10の対象情報入力部12を介して、加工対象の半導体ウエハについての加工対象情報が入力される(ステップS101)。具体的には、半導体ウエハについて、必須の加工対象情報として、加工対象物の厚さであるウエハ厚(t0μm)と、半導体ウエハに対するレーザ光の入射条件とが入力される。また、必要に応じ、任意の加工対象情報として、半導体ウエハについての詳細情報が入力される。また、レーザ光の入射条件としては、例えば、加工対象物の半導体ウエハに対するレーザ光の表面入射、または裏面入射のいずれかが指定される。
これらの加工対象情報に対し、加工条件設定部16は、加工条件データベース19に含まれる加工条件データを参照し、入力された加工対象情報に基づいて、半導体ウエハに対する加工条件を設定する。まず、加工条件設定部16は、加工条件の設定において、必須情報であるウエハ厚t0、及びレーザ光の入射条件を参照し、加工条件データベース19から加工情報を抽出して基本加工条件を設定する(S102〜S104)。また、必須情報に加えて任意情報である詳細情報が入力されている場合には、必要に応じて詳細情報を参照し、基本加工条件に対して最適化を行って詳細加工条件を設定し、最終的な加工条件とする(S105〜S107)。
このように、半導体ウエハなどの加工対象物についての加工対象情報として、加工対象物の厚さと、加工対象物に対するレーザ光の入射条件とを必須情報として入力させるとともに、必要に応じて、加工対象物についての詳細情報を任意情報として入力させ、加工条件設定部16において、入力された加工情報情報に応じた手順で加工条件の設定処理を行うことにより、加工情報供給装置10において、加工条件の設定に必要な情報の取得、及び取得された情報に基づいた加工条件の設定を確実に実行することができる。
図7に示した例では、具体的には、まず、半導体ウエハに対するレーザ光の入射条件について、表面入射または裏面入射のいずれであるかが判断される(S102)。レーザ光の入射条件として表面入射が指定されていれば、レーザ光表面入射の条件下で、ウエハ厚t0を参照して基本加工条件が設定される(S103)。また、レーザ光の入射条件として裏面入射が指定されていれば、レーザ光裏面入射の条件下で、ウエハ厚t0を参照して基本加工条件が設定される(S104)。
必須の加工対象情報によって基本加工条件が設定されたら、次に、任意の加工対象情報である詳細情報が指定されているかどうかが確認される(S105)。そして、詳細情報が指定されていれば、詳細情報に基づいて加工条件の再設定を行って、最終的な加工条件となる詳細加工条件を設定する(S106)。また、詳細情報が指定されていなければ、基本加工条件がそのまま最終的な加工条件とされる。以上の手順によって加工条件設定部16で設定された最終的な加工条件は、加工条件情報として条件情報出力部13から加工情報取得装置31へと出力される(S107)。
ここで、加工条件設定部16で設定されるレーザ加工の加工条件としては、具体的には例えば、加工対象物の半導体ウエハに対して切断予定ラインに沿って集光点をスキャンして、改質領域が連続的または断続的に形成された切断起点領域を形成する回数を示すスキャン本数(図3参照、図3(a)ではスキャン本数=1、図3(b)ではスキャン本数=3)と、各スキャンでの半導体ウエハに対するレーザ光の照射条件とを設定することが好ましい。これにより、レーザ加工装置において適用すべき加工条件を好適に設定することができる。
また、図7に示した例では、各スキャンでのレーザ光の照射条件として、具体的に、加工対象物の半導体ウエハでの集光点の厚さ方向の位置(Z位置)と、半導体ウエハに対して照射するレーザ光の強度条件と、半導体ウエハに対してレーザ光を照射するための光学系の設定条件(光学系設定)とを設定している。また、レーザ光の強度条件については、さらに具体的に、出口出力と、パワー条件とを設定している。
これらの加工条件のうち、「出口出力」は、加工用対物レンズ142(図5参照)から加工対象物Sへと出射されるレーザ光の出力についての条件である。このようなレーザ光の出力は、例えば図5の構成において、光アッテネータ123を調整することによって設定される。すなわち、この「出口出力」は、光学系設定の一種とも言える。
また、「パワー条件」は、加工用のレーザ光を供給するレーザ光源等についての条件である。具体的には、パワー条件として、レーザ発振器から出射されるレーザ出力、パルスレーザ光を用いる場合の繰り返し周波数、レーザ光を照射する際のステージ102の移動速度(加工対象物Sに対するレーザ光の相対的な移動速度)などの加工速度、レーザ光のパルス幅、及びビームプロファイル等が設定される。また、これらのパワー条件のうち、レーザ出力、及び繰り返し周波数は必須の設定項目である。
また、「光学系設定」は、光学系本体部104等における各種の光学系の設定についての条件である。具体的には、光学系設定として、対物レンズ142に入射するレーザ光のビーム径、ビーム発散角、及びビーム形状等が設定される。ここで、レーザ光のビーム径及び発散角は必須の設定項目であり、例えば図5の構成において、ビームエキスパンダ122などのレーザ整形光学系を調整することによって設定される。また、レーザ光のビーム形状は、加工対象物Sに照射されるレーザ光のビーム形状に相当し、例えば図6の構成において、一対のナイフエッジ224によって形成されるスリット223を調整することによって設定される。
また、半導体ウエハを格子状に切断して複数の半導体素子とする切断加工を行う場合には、上述したように、上記した加工条件に加えて、X軸方向、及びY軸方向のそれぞれについての切断起点領域の形成を加工段階に分けて行うための加工段階(phase)を、加工条件として各スキャンについて設定することが好ましい。
図8は、図7のステップS103で行われる表面入射の場合の基本加工条件の設定方法の一例を示すフローチャートである。以下に示す設定方法の例では、対象情報入力部12において、加工対象情報として加工対象物の厚さを入力させるとともに、加工条件設定部16において、加工対象物の厚さについて基準となる複数の厚さ範囲を用意し、加工条件の設定において、複数の厚さ範囲のうちで入力された加工対象物の厚さに対応する厚さ範囲の加工条件を加工条件データベース19から抽出し、抽出された加工条件に基づいて加工対象物に対する加工条件を設定する方法を用いている。このような方法では、レーザ加工装置において適用すべき加工条件を好適に設定することができる。
具体的には、図8に示す設定方法においては、ウエハ厚について基準となる値T1〜T4(ただし、T1<T2<T3<T4)を用意することで複数の厚さ範囲を用意し、加工対象となる半導体ウエハのウエハ厚t0の値によって加工条件の設定方法を場合分けする方法を用いている。
図8に示した例では、まず、ウエハ厚t0について、T1≦t0<T2の範囲内にあるかどうかが判断される(ステップS201)。そして、指定されたウエハ厚t0μmがこの範囲内にあれば、上記範囲でのウエハ厚の代表値をT1μmとし、加工条件データベース19からウエハ厚T1μmの場合の加工条件を抽出する(S202)。
また、ウエハ厚t0がT1≦t0<T2の範囲内にない場合、続いて、ウエハ厚t0がT2≦t0<T3の範囲内にあるかどうかが判断される(S203)。そして、指定されたウエハ厚t0μmがこの範囲内にあれば、加工条件データベース19からウエハ厚T2μmの場合の加工条件を抽出する(S204)。
さらに、ウエハ厚t0がT2≦t0<T3の範囲内にない場合、続いて、ウエハ厚t0がT3≦t0<T4の範囲内にあるかどうかが判断される(S205)。そして、指定されたウエハ厚t0μmがこの範囲内にあれば、加工条件データベース19からウエハ厚T3μmの場合の加工条件を抽出する(S206)。また、ウエハ厚t0がT3≦t0<T4の範囲内にない場合、すなわち、ウエハ厚t0がT1≦t0<T4の範囲内にない場合(入力された加工対象物の厚さが用意された複数の厚さ範囲の範囲内にない場合)には、指定された加工対象情報について加工条件が設定不能であるとして、設定エラーを出力する(S210)。
ウエハ厚T1、T2またはT3の場合の加工条件を加工条件データベース19から抽出したら(S202、S204、S206)、続いて、指定されたウエハ厚t0が、各範囲での代表値とした厚さTn(n=1、2、3)と一致しているかどうか(Tn=t0)が判断される(S207)。そして、Tnがt0と一致していれば、抽出された加工条件をそのまま基本加工条件として、基本加工条件の設定を完了する(S209)。また、Tnがt0と一致していなければ、抽出された加工条件に対して、Tnとt0との違いに応じて最適化を行って(S208)、基本加工条件を設定する(S209)。
なお、図7のステップS104で行われる裏面入射の場合の基本加工条件の設定についても、図8に示した表面入射の場合と基本的に同様の設定方法が用いられる。ただし、加工条件の設定においてウエハ厚t0で設定方法を場合分けするためのウエハ厚の値T1〜T4等の具体的な設定条件については、表面入射の場合と裏面入射の場合とで異なる条件としても良い。
図9は、図7のステップS106で行われる詳細加工条件の設定方法の一例を示すフローチャートである。この設定方法では、加工対象物についての詳細情報として、詳細情報1、2、…の複数の情報項目が用意されている場合を想定している。ただし、このような詳細情報については、単一の情報項目を用意する構成としても良い。
図9に示した例では、まず、詳細情報1が指定されているかどうかが判断される(ステップS301)。そして、詳細情報1が指定されていれば、必須情報に基づいて設定された加工条件に対して最適化処理を行う(S302)。続いて、次の詳細情報2が指定されているかどうかが判断される(S303)。そして、詳細情報2が指定されていれば、加工条件に対して最適化処理を行う(S304)。このような詳細情報の指定の確認、及び指定されている場合の最適化処理を全ての詳細情報項目について実行することで、最終的な加工条件である詳細加工条件が設定される(S305)。
図10は、加工条件データベース19におけるデータ構成の一例を示す図である。この図10では、図7〜図9に示した加工条件の設定方法を用いた場合における、加工条件データベース19に用意される加工条件データの一例を模式的に示している。この構成例では、加工条件データベース19において、ウエハ厚の基準値であるウエハ厚T1、T2、T3のそれぞれについての加工条件データを含む表面入射の場合の加工条件データ191と、同様にウエハ厚T1’、T2’、T3’のそれぞれについての加工条件データを含む裏面入射の場合の加工条件データ192とが用意されている。
また、本構成例では、これらの加工条件データ191、192に加えて、加工条件最適化データ193が用意されている。この最適化データ193には、基本加工条件の設定においてTn=t0でなかった場合に用いられる最適化データ(図8参照)と、詳細加工条件の設定において詳細情報が指定されていた場合に用いられる最適化データ(図9参照)とが含まれている。この例に示すように、加工条件データベース19の構成については、対象情報入力部12から入力される加工対象情報の内容、及び加工条件設定部16において実行される加工条件の具体的な設定方法等に応じた構成とすることが好ましい。
図1に示した加工情報供給装置10における情報供給方法について、さらに説明する。図11は、加工情報供給装置10への加工対象情報の入力に用いられる入力画面の一例を示す図である。この入力画面50は、例えば、図1に示す構成において、ユーザが操作する加工情報取得装置31の表示部において表示される。
図11に示す入力画面50では、加工ワーク名を入力するワーク名入力部51と、必須情報であるウエハ厚を入力するウエハ厚入力部52と、レーザ光の入射条件を裏面入射または表面入射から選択する入射条件入力部53と、詳細情報を入力する詳細情報入力部54とが設けられている。また、本構成例では、改質領域を形成した後の加工対象物の切断方法についての情報を入力するエキスパンド方法入力部55が設けられている。また、これらの入力部51〜55の下方には、入力された加工対象情報に基づいた加工条件の設定の実行を指示する加工条件設定ボタン56、及び入力された加工対象情報をクリアするためのクリアボタン57が設けられている。
詳細情報入力部54では、具体的には、ウエハ種類、ウエハサイズ、チップサイズ、ストリート幅、結晶方位/加工角度、ドープ種類/率、ストリート状態、及び裏面状態のそれぞれの項目について詳細情報を指定することが可能となっている。
上記の詳細情報の例として、ウエハ種類としては、具体的には、MPU、DSP、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、光デバイス、MEMS、ベアウエハなどがある。また、結晶方位としては、<100>、<111>、<110>などがある。また、ドープ種類としては、Sb(n型)、As(n型)、P(n型)、B(p型)などがある。
また、ストリート状態については、ストリート状態1として、SiO2、SiO2+SiN、Poly−Si、Bear−Siなどがある。また、ストリート状態2として、AlN膜を含む、Low−k膜を含む、SOIを含む、貫通電極が存在する、エッチングによる汚れ有り、などがある。また、裏面状態については、裏面状態1として、Bear−Si、SiO2、SiO2+SiN、Poly−Si、裏面電極(Au)、裏面電極(AuSn)などがある。また、裏面状態2として、ポリミド/樹脂系の膜、金属膜、貫通電極が存在する、バンプ有り、加工後DAFを添付する、加工前からDAFが付いている、エッチングによる汚れ有り、などがある。
図11においては、加工対象情報の入力例として、加工ワーク名=ワーク1について、ウエハ厚t0=230μm、入射条件=表面入射、詳細情報=指定するとし、詳細情報として、ドープ種類=Sb(n型)、ドープ率=0.5Ω・cmとの情報がそれぞれ入力されている例を示している。
図12は、加工情報供給装置10からの加工条件情報の出力に用いられる出力画面の一例を示す図である。この出力画面60は、図11の入力画面50と同様に、例えば、図1に示す構成において、ユーザが操作する加工情報取得装置31の表示部において表示される。
図12に示す出力画面60では、入力画面50において入力された加工対象情報を表示する加工対象情報表示部61と、加工対象情報に基づいて設定された加工条件を示す加工条件情報表示部62とが設けられている。また、これらの表示部61、62の下方には、入力画面50へと戻るための戻るボタン63、及び加工条件の設定処理を終了するための終了ボタン64が設けられている。
図12においては、図11に関して上述した加工対象情報に応じて設定された加工条件情報の出力例として、スキャン本数=4とし、4本のスキャンSD1、SD2、SD3、SD4のそれぞれについて、レーザ加工装置に適用すべき具体的な加工条件が表示されている例を示している。
具体的には、1回目のスキャンSD1について、Z位置=30μm、出口出力=2.00W、加工段階=1が出力されている。また、2回目のスキャンSD2について、Z位置=84μm、出口出力=2.00W、加工段階=1が出力されている。また、3回目のスキャンSD3について、Z位置=139μm、出口出力=2.00W、加工段階=2が出力されている。また、4回目のスキャンSD4について、Z位置=196μm、出口出力=2.50W、加工段階=2が出力されている。また、パワー条件、及び光学系設定については、スキャンSD1〜SD4の全てにおいて、それぞれ条件5、及び設定1が出力されている。
また、スキャンSD1、SD2で加工段階=1が設定され、スキャンSD3、SD4で加工段階=2が設定されている上記の例では、X軸方向、及びY軸方向に格子状に切断するための半導体ウエハのレーザ加工は、以下のような手順で行われる。まず、加工段階1において、X軸方向にスキャンSD1、SD2を順に行って2列の改質領域列を形成し、続いて、Y軸方向にスキャンSD1、SD2を順に行って同じく2列の改質領域列を形成する。さらに、加工段階2において、Y軸方向(またはX軸方向)にスキャンSD3、SD4を順に行って2列の改質領域列を形成し、続いて、X軸方向(またはY軸方向)にスキャンSD3、SD4を順に行って同じく2列の改質領域列を形成する。このような加工段階の設定は、各スキャンにおいて改質領域列を好適に形成する上で有効である。
加工情報供給装置10の加工条件設定部16において設定されて、条件情報出力部13から出力されるレーザ加工装置32での加工条件については、対象とするレーザ加工装置32において操作、設定が可能となっている設定項目、及び各設定項目で設定、選択が可能なパラメータに対応するように、加工条件が設定、出力されることが好ましい。
また、レーザ加工装置32では、加工情報供給装置10から供給される情報に基づいて加工条件を設定することが可能な設定操作部が設けられることが好ましい。このような設定操作部については、例えば、レーザ加工装置32に設けられた表示部に設定操作画面を表示する構成を用いることができる。あるいは、レーザ加工装置32において条件設定ボタンや設定つまみなどを含む設定操作パネルを設ける構成を用いても良い。
図13及び図14は、レーザ加工装置において加工条件の設定操作に用いられる操作画面の一例を示す図である。この操作画面70では、第1設定項目タグ71、及び第2設定項目タグ72によって、操作画面70に表示される設定項目表示部を切り換えることが可能となっている。また、これらの項目タグ71、72、及び設定項目表示部の下方には、加工条件の設定操作を完了する設定ボタン75、及び設定内容を取り消すための取消ボタン76が設けられている。
図13においては、第1設定項目タグ71が選択され、対応する第1設定項目表示部73が操作画面70に表示されている。ここでは、図12に示した4本のスキャンSD1、SD2、SD3、SD4のそれぞれについて、Z位置、出口出力、及び加工段階が設定され、その内容が表示されている。また、図14においては、第2設定項目タグ72が選択され、対応する第2設定項目表示部74が操作画面70に表示されている。ここでは、光学系設定、及びパワー条件のそれぞれについて、選択可能な内容、及び選択されている加工条件(ハッチングを付して示す)が表示されている。
本発明による加工情報供給装置、及び加工情報供給システムは、上記実施形態及び構成例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、加工情報供給装置10に入力される加工対象情報の内容、加工情報供給装置10において設定、出力される加工条件情報の内容、加工条件の設定方法、及び加工条件データベースでのデータ構成等については、図7〜図14はその一例を示すものであり、具体的には様々な構成を用いて良い。
このような目的を達成するために、本発明による加工情報供給装置は、加工対象物の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射することにより、加工対象物の切断予定ラインに沿って、切断の起点となる改質領域を加工対象物の内部に形成するレーザ加工装置に適用される加工情報を供給する加工情報供給装置であって、(1)加工対象物についての加工対象情報を入力する対象情報入力手段と、(2)レーザ加工装置における加工対象情報に応じた、レーザ光の照射によって加工対象物の内部に改質領域を形成するための加工条件についてのデータが蓄積された加工条件データベースと、(3)加工条件データベースに含まれる加工条件データを参照し、対象情報入力手段から入力された加工対象情報に基づいて、加工対象物に対する加工条件を設定する加工条件設定手段と、(4)加工条件設定手段で設定された加工条件についての加工条件情報を出力する条件情報出力手段とを備え、対象情報入力手段は、加工対象情報として、加工対象物の厚さと、加工対象物に対するレーザ光の入射条件とを必須情報として入力させ、レーザ光の入射条件として、加工対象物に対するレーザ光の表面入射または裏面入射のいずれかを指定させるとともに、加工対象物についての詳細情報を任意情報として入力させ、加工条件設定手段は、加工条件の設定において、加工対象物の厚さ及びレーザ光の入射条件を参照して、レーザ光の入射条件について表面入射または裏面入射のいずれであるかを判断し、表面入射が指定されていれば、レーザ光表面入射の条件下で加工対象物の厚さを参照して加工条件データベースから加工条件を抽出して基本加工条件を設定し、裏面入射が指定されていれば、レーザ光裏面入射の条件下で加工対象物の厚さを参照して加工条件データベースから加工条件を抽出して基本加工条件を設定するとともに、詳細情報が入力されている場合には、詳細情報を参照して加工条件を最適化して詳細加工条件を設定し、加工条件設定手段は、加工対象物の厚さについて、基準となる複数の厚さ範囲を用意し、加工対象物の厚さを参照した基本加工条件の設定において、複数の厚さ範囲のうちで入力された加工対象物の厚さに対応する厚さ範囲の加工条件として、複数の厚さ範囲のうちで入力された加工対象物の厚さが範囲内にある厚さ範囲を判断し、その厚さ範囲での加工対象物の厚さの代表値の場合の加工条件を加工条件データベースから抽出し、抽出された加工条件に基づいて加工対象物に対する基本加工条件を設定し、抽出された加工条件に基づいた基本加工条件の設定において、入力された加工対象物の厚さが代表値と一致しているかどうかを判断し、一致していれば、抽出された加工条件をそのまま基本加工条件として設定し、一致していなければ、抽出された加工条件に対して入力された加工対象物の厚さと代表値との違いに応じて最適化を行って基本加工条件を設定することを特徴とする。