JP5922933B2 - レーザ加工方法及びレーザ加工装置、並びにシンチレータ構造体の製造方法 - Google Patents

レーザ加工方法及びレーザ加工装置、並びにシンチレータ構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、レーザ加工方法及びレーザ加工装置、並びにシンチレータ構造体の製造方法に関する。
従来、加工対象物の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射することにより、加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。そして、そのようなレーザ加工方法の一例として、異なる波長を有する二種類のパルスレーザ光を用いて改質領域の制御性を向上させる方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2011−69785号公報 国際公開第2011/018989号
しかしながら、従来のレーザ加工方法では、加工対象物のレーザ光入射面からレーザ光の集光点までの距離が長くなるほど収差が大きくなるため、改質領域を形成することが困難となる場合がある。その一方で、所望の改質領域を形成すべくレーザ光のエネルギーを高くすると、加工対象物に不要な亀裂等の損傷が生じる場合がある。
そこで、本発明は、加工対象物のレーザ光入射面からレーザ光の集光点までの距離が長くなっても、加工対象物に損傷が生じるのを防止しつつ、所望の改質領域を形成することができるレーザ加工方法及びレーザ加工装置、並びにシンチレータ構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のレーザ加工方法は、第1のパルス幅を有する第1のパルスレーザ光を、その集光点が加工対象物の内部に位置するように加工対象物に照射することにより、予備改質領域を形成する工程と、第1のパルス幅よりも長い第2のパルス幅を有する第2のパルスレーザ光を、その集光点が予備改質領域内に位置するように加工対象物に照射することにより、改質領域を形成する工程と、を備える。
このレーザ加工方法によれば、加工対象物のレーザ光入射面からレーザ光の集光点までの距離が長くなっても、加工対象物に損傷が生じるのを防止しつつ、所望の改質領域を形成することができる。この効果が奏される理由として、本発明者等は次のように推測する。すなわち、パルス幅が相対的に短い第1のパルスレーザ光の照射により、加工対象物の内部に予備改質領域(第1のパルスレーザ光の1パルスの照射による影響が残っている領域)が形成される。この予備改質領域は、パルス幅が相対的に長い第2のパルスレーザ光の照射による加工閾値が下がっている状態にあると考えられる。このため、加工対象物のレーザ光入射面からレーザ光の集光点までの距離が長く、第2のパルスレーザ光の照射のみでは収差の発生等により改質領域を形成することが困難である深部においても、加工対象物に損傷が生じるのを防止しつつ、所望の改質領域を形成することができる。
このレーザ加工方法では、第2のパルスレーザ光の1パルスの照射は、第1のパルスレーザ光の1パルスの照射と略同時に行われてもよい。更に、第2のパルスレーザ光の1パルスの照射は、第1のパルスレーザ光の1パルスの照射を行ってから100ns未満内に行われてもよい。これらの場合、所望の改質領域を確実に形成することができる。
このレーザ加工方法では、第1のパルスレーザ光の周波数と第2のパルスレーザ光の周波数とは、互いに同期がとられた同一の周波数であってもよい。或いは、第1のパルスレーザ光の周波数は、第2のパルスレーザ光の周波数よりも高くてもよく、第2のパルスレーザ光の周波数の3倍以上であってもよい。これらの場合、予備改質領域内に合わせて第2のパルスレーザ光を加工対象物に照射することが、より容易になる。
このレーザ加工方法では、第1のパルス幅は、5ps以上であってもよい。この場合、加工対象物の深部において、予備改質領域を確実に形成することができる。
このレーザ加工方法では、第1のパルスレーザ光のエネルギーは、10〜30μJであり、かつ、第2のパルスレーザ光のエネルギーは、50〜70μJであってもよい。この場合、加工対象物に損傷が生じるのを防止しつつ、加工対象物の深部においても所望の改質領域を形成することがより確実になる。
さらに、上記目的を達成するために、本発明のレーザ加工装置は、加工対象物を支持する支持部と、第1のパルス幅を有する第1のパルスレーザ光を出射する第1のレーザ光源と、第1のパルス幅よりも長い第2のパルス幅を有する第2のパルスレーザ光を出射する第2のレーザ光源と、第1のレーザ光源から出射された第1のパルスレーザ光を、その集光点が支持部に支持された加工対象物の内部に位置するように加工対象物に照射することにより、予備改質領域を形成し、第2のレーザ光源から出射された第2のパルスレーザ光を、その集光点が予備改質領域内に位置するように加工対象物に照射することにより、改質領域を形成する光学系と、を備える。
このレーザ加工装置では、第2のパルスレーザ光の1パルスの照射は、第1のパルスレーザ光の1パルスの照射と略同時に行われてもよい。更に、第2のパルスレーザ光の1パルスの照射は、第1のパルスレーザ光の1パルスの照射を行ってから100ns未満内に行われてもよい。
このレーザ加工装置では、第1のパルスレーザ光の周波数と第2のパルスレーザ光の周波数とは、互いに同期がとられた同一の周波数であってもよい。或いは、第1のパルスレーザ光の周波数は、第2のパルスレーザ光の周波数よりも高くてもよく、第2のパルスレーザ光の周波数の3倍以上であってもよい。
このレーザ加工装置では、第1のパルス幅は、5ps以上であってもよい。
このレーザ加工装置では、第1のパルスレーザ光のエネルギーは、10〜30μJであり、かつ、第2のパルスレーザ光のエネルギーは、50〜70μJであってもよい。
また、本発明は、所定の面に沿って形成された光学境界領域を有するシンチレータ構造体の製造方法にも係り、当該シンチレータ構造体の製造方法は、第1のパルス幅を有する第1のパルスレーザ光、その集光点がシンチレータ結晶塊の内部に位置するようにシンチレータ結晶塊に照射することにより、予備改質領域を形成する工程と、第1のパルス幅よりも長い第2のパルス幅を有する第2のパルスレーザ光を、その集光点が予備改質領域内に位置するようにシンチレータ結晶塊に照射することにより、所定の面に沿って光学境界領域としての改質領域を形成する工程と、を備える。
このシンチレータ構造体の製造方法では、第2のパルスレーザ光の1パルスの照射は、第1のパルスレーザ光の1パルスの照射と略同時に行われてもよい。更に、第2のパルスレーザ光の1パルスの照射は、第1のパルスレーザ光の1パルスの照射を行ってから100ns未満内に行われてもよい。
このシンチレータ構造体の製造方法では、第1のパルスレーザ光の周波数と第2のパルスレーザ光の周波数とは、互いに同期がとられた同一の周波数であってもよい。或いは、第1のパルスレーザ光の周波数は、第2のパルスレーザ光の周波数よりも高くてもよく、第2のパルスレーザ光の周波数の3倍以上であってもよい。
このシンチレータ構造体の製造方法では、第1のパルス幅は、5ps以上であってもよい。
このシンチレータ構造体の製造方法では、第1のパルスレーザ光のエネルギーは、10〜30μJであり、かつ、第2のパルスレーザ光のエネルギーは、50〜70μJであってもよい。
本発明によれば、加工対象物のレーザ光入射面からレーザ光の集光点までの距離が長くなっても、加工対象物に損傷が生じるのを防止しつつ、所望の改質領域を形成することができるレーザ加工方法及びレーザ加工装置、並びにシンチレータ構造体の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態のシンチレータ構造体の製造方法によって製造されたシンチレータ構造体の斜視図である。 本発明の一実施形態のシンチレータ構造体の製造方法に使用されるレーザ加工装置の構成図である。 本発明の一実施形態のシンチレータ構造体の製造方法の効果の一例を示す写真である。 シンチレータ構造体の位置弁別性を示す図である。 第1及び第2のパルスレーザ光の1パルスの照射タイミングを示す図である。 ディレイタイムを変更した場合の加工結果を示す写真である。 ディレイタイムを変更した場合の加工結果を示す写真である。 ディレイタイムを変更した場合の加工結果を示す写真である。 ディレイタイムを変更した場合の加工結果を示す写真である。 ディレイタイムを変更した場合の加工結果を示す写真である。 ディレイタイムを変更した場合の加工結果を示す写真である。 ディレイタイムを変更した場合の加工結果を示す写真である。 第1のパルスレーザ光の周波数を変更した場合の加工結果を示す写真である。 第1のパルスレーザ光の周波数を変更した場合の加工結果を示す写真である。 第1のパルスレーザ光の周波数を変更した場合の加工結果を示す写真である。 第1のパルスレーザ光の周波数を変更した場合の加工結果を示す写真である。 第1のパルスレーザ光のパルス幅を変更した場合の加工結果を示す写真である。 第1のパルスレーザ光のパルス幅を変更した場合の加工結果を示す写真である。 第1又は第2のパルスレーザ光のエネルギーを変更した場合の加工結果を示す写真である。 第1又は第2のパルスレーザ光のエネルギーを変更した場合の加工結果を示す写真である。 加工対象物が石英ガラスである場合の加工結果を示す写真である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明のレーザ加工方法又はレーザ加工装置によれば、第1及び第2のパルスレーザ光の照射により、加工対象物に改質領域が形成される。ここで改質領域とは、密度、屈折率、透過率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲とは異なる状態になった領域をいい、割れ等を含む場合もある。以下の好適な実施形態では、加工対象物がシンチレータ結晶塊であって、これに光学境界領域としての改質領域を形成してシンチレータ構造体を製造する場合について説明する。
<シンチレータ構造体>
図1は、本発明の一実施形態のシンチレータ構造体の製造方法によって製造されたシンチレータ構造体の斜視図である。シンチレータ構造体1は、光検出器(図示せず)にシンチレーション光を提供するための部材であって、入射した放射線を吸収し、その線量に応じた強さのシンチレーション光を発生するものである。シンチレータ構造体1は、ガンマ線などの放射線の入射によりシンチレーション光を発生するシンチレータ結晶塊(以下、単に「結晶塊」ともいう。)2を加工することにより得られる。
結晶塊2は、例えばBiGe12(BGO)、CeがドープされたLuSiO(LSO)、Lu2(1−X)XSiO(LYSO)、GdSiO(GSO)、PrがドープされたLuAG(LuAl12)などの結晶によって好適に構成される。結晶塊2は、単結晶性の部材でもよく、また、単結晶性以外の部材であってもよい。
シンチレータ構造体1は、図1に示されるように、内部が光学境界領域(改質領域)3によって複数に仕切られている。本実施形態では、シンチレータ構造体1は、196(=7×7×4)の仕切り片に仕切られている。すなわち、シンチレータ構造体1は、各仕切り片が面に対して三次元に配列されるように仕切られている。光学境界領域3は、後述するように、結晶塊2の内部にパルスレーザ光を照射することにより形成される。なお、図1に示す光学境界領域3の形状は、当該光学境界領域3を模式的に表したものであり、実際の形状とは異なる。
光学境界領域3は、シンチレーション光を効果的に遮断することができるものである。このため、ある仕切り片において発生したシンチレーション光が、隣接する仕切り片へ漏れ出ることを抑制でき、良好な位置分解能を実現できる。
<レーザ加工装置>
図2は、本発明の一実施形態のシンチレータ構造体の製造方法に使用されるレーザ加工装置の構成図である。レーザ加工装置100は、第1のパルスレーザ光L1を出射する第1のレーザ光源101aと、第2のパルスレーザ光L2を出射する第2のレーザ光源101bと、第1のレーザ光源制御部(光学系)102aと、第2のレーザ光源制御部(光学系)102bとを備える。
第1及び第2のレーザ光源制御部102a,102bは、第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2のパルス幅や出力タイミング等を調節するために第1及び第2のレーザ光源101a,101bを制御する。
ここで、第1及び第2のレーザ光源101a,101bは短パルスレーザ光を発生するNd:YAGレーザである。第1及び第2のレーザ光源101a,101bに用いることができるレーザとして、この他、Yb:YAGレーザ、Nd:YVOレーザ、Nd:YLFレーザ、Yb:KGWレーザやチタンサファイアレーザがある。
第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2としては、ナノ秒(ns)パルスレーザ光やピコ秒(ps)パルスレーザ光等が挙げられる。パルス幅がナノ秒やピコ秒のパルスレーザ光は、結晶塊2の内部に好適な光学境界領域3を形成することができる。本実施形態のレーザ加工装置100では、第1のパルスレーザ光L1が有する第1のパルス幅よりも、第2のパルスレーザ光L2が有する第2のパルス幅のほうが長い。
第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2の波長は、加工対象物に透明である波長等、加工対象物に対して透過性を有する波長であれば特に限定されないが、レーザ加工装置100では、第1のパルスレーザ光L1及び第2のパルスレーザ光L2の光軸をダイクロイックミラー131により同軸化する都合上、第1のパルスレーザ光L1及び第2のパルスレーザ光L2の波長は、互いに異なっていることが好ましい。
レーザ加工装置100は、第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2の光路上に設けられたシャッタ(光学系)103と、ダイクロイックミラー(光学系)104,131と、ミラー(光学系)132と、集光用レンズ(光学系)105とを備える。
第1のレーザ光源101aから出射された第1のパルスレーザ光L1は、ミラー132で反射された後、ダイクロイックミラー131に入射する。第2のレーザ光源102aから出射された第2のパルスレーザ光L2は、ダイクロイックミラー131に、第1のパルスレーザ光L1が入射する面とは反対側の面から入射する。ダイクロイックミラー131第1のパルスレーザ光L1の反射機能と第2のパルスレーザ光L2の透過機能とを有し、これにより、第1のパルスレーザ光L1の光軸と第2のパルスレーザ光L2の光軸とが同軸化される。光軸が同軸化された第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2は、ダイクロイックミラー104により反射され、集光用レンズ105に入射され、それぞれ集光点P1,P2へと集光される。
レーザ加工装置100は、載置台(光学系)107と、X軸ステージ(光学系)109と、Y軸ステージ(光学系)111と、Z軸ステージ(光学系)113と、3つのステージ109,111,113の移動を制御するステージ制御部(光学系)115とを備える。
載置台(支持部)107は、集光用レンズ105で集光された第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2が照射される結晶塊2が載置される。X軸ステージ109は、載置台107をX軸方向に移動させる。Y軸ステージ111は、載置台107をX軸方向に直交するY軸方向に移動させる。Z軸ステージ113は、載置台107をX軸及びY軸方向に直交するZ軸方向に移動させる。
Z軸方向は、結晶塊2に入射する第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2の焦点深度の方向となる。したがって、Z軸ステージ113をZ軸方向に移動させることにより、結晶塊2の内部に第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2の集光点P1,P2を合わせることができる。集光点P1,P2のX軸方向、Y軸方向への各移動は、結晶塊2をX軸ステージ109、Y軸ステージ111によりX軸方向、Y軸方向に移動させることによりそれぞれ行う。
レーザ加工装置100は、観察用光源(光学系)117と、可視光用のビームスプリッタ(光学系)119と、を備える。観察用光源117は、載置台107に載置された結晶塊2を可視光線により照明するために可視光線を発生する。ビームスプリッタ119は、集光用レンズ105に向けて第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2を反射させるダイクロイックミラー104及び集光用レンズ105と同じ光軸上に配置されている。ビームスプリッタ119は、可視光線の約半分を反射し残りの半分を透過する機能を有しかつ可視光線の光軸の向きを90°変えるように配置されている。観察用光源117から発生した可視光線はビームスプリッタ119で約半分が反射され、反射された可視光線がダイクロイックミラー104及び集光用レンズ105を透過し、結晶塊2の被加工部位を照明する。
レーザ加工装置100は、ビームスプリッタ119、集光用レンズ105に向けて第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2を反射させるダイクロイックミラー104及び集光用レンズ105と同じ光軸上に配置されたCCDカメラ(光学系)121及び結像レンズ(光学系)123を備える。被加工部位を照明した可視光線の反射光は、集光用レンズ105、ダイクロイックミラー104、ビームスプリッタ119を透過し、結像レンズ123で結像されてCCDカメラ121で撮像され、撮像データとなる。
レーザ加工装置100は、CCDカメラ121から出力された撮像データが入力される撮像データ処理部(光学系)125と、レーザ加工装置100全体を制御する全体制御部(光学系)127と、モニタ129と、を備える。撮像データ処理部125は、撮像データを基にして観察用光源117で発生した可視光の焦点を結晶塊2上に合わせるための焦点データを演算する。この焦点データを基にしてステージ制御部115がZ軸ステージ113を移動制御することにより、可視光の焦点が結晶塊2に合うようにする。よって、撮像データ処理部125はオートフォーカスユニットとして機能する。撮像データ処理部125は、撮像データを基にして結晶塊2の拡大画像等の画像データを演算する。この画像データは全体制御部127に送られ、全体制御部で各種処理がなされ、モニタ129に送られる。これにより、モニタ129に拡大画像等が表示される。
全体制御部127には、ステージ制御部115からのデータ、撮像データ処理部125からの画像データ等が入力し、これらのデータも基にしてレーザ光源制御部102、シャッタ103、観察用光源117及びステージ制御部115を制御することにより、レーザ加工装置100全体を制御する。よって、全体制御部127はコンピュータユニットとして機能する。
<レーザ加工方法>
次に、シンチレータ構造体1をレーザ加工装置100を用いて製造する方法について説明する。まず、結晶塊2をレーザ加工装置100の載置台107上に載置する。そして、観察用光源117から可視光を発生させて結晶塊2を照明する。照明された結晶塊2の表面をCCDカメラ121により撮像する。CCDカメラ121により撮像された撮像データは、撮像データ処理部125に送られる。この撮像データに基づいて、撮像データ処理部125は観察用光源117の可視光の焦点が結晶塊2の表面に位置するような焦点データを演算する。この焦点データは、ステージ制御部115に送られる。ステージ制御部115は、この焦点データを基にしてZ軸ステージ113をZ軸方向に移動させる。これにより、観察用光源117の可視光の焦点が結晶塊2の表面に位置する。撮像データ処理部125は、撮像データに基づいて結晶塊2の表面の拡大画像データを演算する。この拡大画像データは全体制御部127を介してモニタ129に送られ、これによりモニタ129に結晶塊2の表面の拡大画像が表示される。
続いて、結晶塊2の内部に光学境界領域3を形成するための第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2の集光点P1,P2が、結晶塊2の内部における当該光学境界領域3の初期加工位置となるよう、X軸ステージ109、Y軸ステージ111及びZ軸ステージ113により結晶塊2を移動させる。このとき、第2のパルスレーザ光L2の集光点P2を、第1のパルスレーザ光L1の照射によって形成された予備改質領域内に合わせて第2のパルスレーザ光L2が結晶塊2に照射されるように調整する。
この状態でシャッタ103を開いて第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2を照射し、該集光部分におけるシンチレータ材料を改質(アモルファス化や割れ)させることによって、結晶塊2の内部に周囲と異なる屈折率、透過率を有する領域を形成する。そして、このような領域を形成しながら、X軸ステージ109又はY軸ステージ111により結晶塊2をX軸のマイナス方向又はY軸のマイナス方向に一定速度で移動させる。これにより、光学境界領域3が、X軸方向又はY軸方向に沿って形成されることとなる。
その後、Z軸ステージ113により結晶塊2をZ軸のマイナス方向に所定のピッチだけ移動させた後、X軸ステージ109又はY軸ステージ111により結晶塊2をX軸のプラス方向又はY軸のプラス方向に一定速度で移動させて、光学境界領域3を形成する。
そして、Z軸のマイナス方向における加工終了位置での加工を終えていない場合は、Z軸ステージ113により結晶塊2をZ軸のマイナス方向に所定のピッチだけ移動させ、加工を継続する。一方、Z軸のマイナス方向における加工終了位置での加工を終えた場合は、シャッタ103を閉じる。
上記工程により、所定の面に沿った複数の光学境界領域3がZ軸方向に層状に形成されることとなる。
続いて、他に形成すべき光学境界領域3がある場合、第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2の集光点P1,P2が結晶塊2の内部における当該改質領域の加工初期位置となるよう、X軸ステージ109、Y軸ステージ111及びZ軸ステージ113により結晶塊2を移動させる。例えば、先に形成した改質領域に対して所定のピッチだけX軸のプラス方向またはY軸のプラス方向に結晶塊2を移動させるとよい。
以降、上記工程を繰り返すことによって、複数の互いに平行な所定の面のそれぞれに沿った複数の光学境界領域3が層状に形成されることとなる。
そして、結晶塊2を載置台107上に載置する向きを90°変えながら上記工程を繰り返すことにより、図1に示されるように三次元方向に直交するあらゆる面に沿って形成された光学境界領域を有するシンチレータ構造体1が得られる。
<レーザ加工装置及びレーザ加工方法による効果>
本実施形態のレーザ加工装置及びレーザ加工方法によれば、結晶塊2のレーザ光入射面からレーザ光の集光点P1,P2までの距離が長くなっても、結晶塊2に損傷が生じるのを防止しつつ、所望の光学境界領域3を形成することができる。以下、その実験例を紹介する。
図3は、本発明の一実施形態のシンチレータ構造体の製造方法の効果の一例を示す写真である。2.9×2.9×20mmのLYSOシンチレータ結晶塊2に対し、表1に示す条件で加工を行った。
図3(a)〜図3(c)は、加工後、深さ0.9〜2.6mmの領域を側面から観察した写真である。図3(a)は、第1のパルスレーザ光L1のみで加工を行った場合の加工結果を示す。この場合、結晶塊2の深部まで加工を行うことが可能であったが、形成された加工痕は光透過性が高く、シンチレータの反射面(光学境界領域)として機能するには不十分なものであった。図3(b)は、第2のパルスレーザ光L2のみで加工を行った場合の加工結果を示す。この場合、形成された加工痕はシンチレータの反射面として機能するには十分なものであったが、結晶塊2の深部では収差等の影響により加工を行うことができなかった。図3(c)は、上記第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2の同時照射により加工を行った場合の加工結果を示す。この場合、シンチレータの反射面として機能するのに十分な加工痕を、結晶塊2の深部にまで形成することができた。なお、図3中の文字は、加工痕観察時に使用したレンズの情報を示す(以下、図6〜20において同じ)。
<位置弁別特性について>
本実施形態のレーザ加工装置及びレーザ加工方法により作製されたシンチレータ構造体は、放射線検出器として適用した場合に、位置弁別性に優れた性能を発揮する。以下、その具体例を示す。
20×20×3mmのLYSOシンチレータ結晶塊2に対し、図4(a)に示されるように、従来のレーザ加工方法による光学境界領域3x,3yと本実施形態のレーザ加工方法による光学境界領域3X,3Yとを1:3の割合で形成し、シンチレータ構造体1を製造した。X方向及びY方向のピッチは共に1.25mmとした。加工条件は表2に示すとおりである。
当該シンチレータ構造体1に位置検出型光電子増倍管を光学的に結合した放射線検出器に対して、ガンマ線を一様に照射して、位置検出型光電子増倍管の出力を得た。その結果を図4(b)に示す。図4(b)によれば、本実施形態のレーザ加工方法により得られた光学境界領域は、従来のレーザ加工方法により得られた光学境界領域と遜色ない位置弁別特性(位置分解能)を発揮することが認められる。すなわち、本実施形態のレーザ加工方法により得られた光学境界領域Y1,Y2,Y3,Y4,Y5及びY6は、従来のレーザ加工方法により得られた光学境界領域y1,y2及びy3と同様のシンチレーション光の反射能を示した。
<照射タイミングについて>
本実施形態のレーザ加工装置及びレーザ加工方法では、第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2の2種類のパルスレーザ光を、結晶塊2の内部に対して所定の照射タイミングで照射する。照射タイミングとしては、第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2を、同時に照射してもよく、略同時に照射してもよい。すなわち、第2のパルスレーザ光L2は、第1のパルスレーザ光L1の1パルスの照射と同時に照射してもよく、第1のパルスレーザ光L1の1パルスの照射を行ってから、所定のディレイタイム(遅延時間)の経過後に照射してもよい。なお、レーザ加工装置100において、ディレイタイムの設定は、第1及び第2のレーザ光源制御部102a,102bにより行われる。
ここで、上記「略同時」及び「ディレイタイム」なる語句について、図5を参照しながら説明する。図5は、第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2の1パルスの照射タイミングを示す図である。図5(a)〜図5(d)においてはいずれも、上段が第1のパルスレーザ光L1、下段が第2のパルスレーザ光L2の照射タイミングを示しており、図示右方向に時間が流れているものとする。なお、図5では、本実施形態の実態を反映して、第1のパルスレーザ光L1が有する第1のパルス幅W1よりも、第2のパルスレーザ光L2が有する第2のパルス幅W2のほうを長く描いている。
図5(a)は、第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2の1パルスを同時に照射する例を示している。図5(b)は、第1のパルスレーザ光L1の1パルスを照射してから、所定のディレイタイム(t)の経過後に第2のパルスレーザ光L2の1パルスを照射する例を示している。図5(c)は、第2のパルスレーザ光L2の1パルスを照射している最中に第1のパルスレーザ光L1の1パルスを照射する例を示している。図5(d)は、第2のパルスレーザ光L2の1パルスの照射を終えた後に、第1のパルスレーザ光L1の1パルスを照射する例を示している。
「略同時」とは、図5(a)、図5(b)及び図5(c)の状態をいう。すなわち、第1のパルスレーザ光L1の1パルスの照射の終了時点が、第2のパルスレーザ光L2の1パルスの照射の終了時点よりも早い場合をいう。なお、本明細書では「略同時」は「同時」を包含する概念であるものとする。
「ディレイタイム」とは、図5(b)に記号tで示されるように、第1のパルスレーザ光L1の1パルスの照射の開始時点と、第2のパルスレーザ光L2の1パルスの照射の開始時点との時間差をいう。ディレイタイムは、500ns未満であることが好ましく、100ns未満であることがより好ましい。
図6〜図12は、ディレイタイムを変更した場合の加工結果を示す写真である。2.9×2.9×20mmのLYSOシンチレータ結晶塊2に対し、表3に示す条件で加工を行った。なお、この検討においては、第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2の周波数は、互いに同期をとった。
図6〜図9は、加工後、深さ0.3〜2.7mmの領域を側面から観察した写真である。図6(a)、図6(b)、図6(c)、図7(a)、図7(b)、図7(c)、図8(a)、図8(b)、図8(c)及び図9(a)は、それぞれディレイタイムが30μs、20μs、10μs、5μs、1μs、500ns、400ns、200ns、100ns及び50nsの場合を示す。図9(b)は、ディレイタイムが−50nsの場合、すなわち、10nsのパルス幅を有する第2のパルスレーザ光L2を先に照射し、照射を終えた後、40ns経過後に第1のパルスレーザ光L1を照射した場合を示す。
図6〜図9によれば、ディレイタイムが30μs〜1μsである場合、及び、第2のパルスレーザ光L2の1パルスの照射を終えた後に第1のパルスレーザ光L1の1パルスを照射した場合は、結晶塊2の最深部に十分な光学境界領域3が形成されていないことが認められる。また、これらの場合、結晶塊2の浅部においても光学境界領域3が形成されていない領域が生じる傾向が認められる。これに対し、ディレイタイムが500ns〜50nsである場合、結晶塊2の浅部だけでなく、最深部にまで十分な光学境界領域3が形成されていることが認められる。
図10〜図12は、上記条件にてLYSOシンチレータ結晶塊2の別サンプルを用いて加工した加工結果(追試験)を示す写真である。図10(a)、図10(b)、図10(c)、図11(a)、図11(b)、図11(c)及び図12(a)は、それぞれディレイタイムが10μs、850ns、600ns、400ns、200ns、100ns及び50nsの場合を示す。図12(b)は、上記と同様にディレイタイムが−50nsの場合を示す。
図10〜図12によれば、ディレイタイムが10μs〜600nsである場合、及び、第2のパルスレーザ光L2の1パルスの照射を終えた後に第1のパルスレーザ光L1の1パルスを照射した場合は、結晶塊2の最深部では光学境界領域3が形成されない領域が生じていることが認められる。これに対し、ディレイタイムが400ns〜50nsである場合、結晶塊2の最深部にまで十分な光学境界領域3が形成されていることが認められる。
<周波数について>
第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2の周波数は、第2のパルスレーザ光L2を、第1のパルスレーザ光L1の照射により形成された予備改質領域内に照射する観点から、互いに同期がとられた同一の周波数であることが好ましい。同期が取られていない場合は、第1のパルスレーザ光L1の周波数は、第2のパルスレーザ光L2の周波数よりも高いことが好ましく、第2のパルスレーザ光の周波数の3倍以上が好ましく、5倍以上がより好ましい。なお、レーザ加工装置100において、第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2の周波数の設定は、それぞれ第1及び第2のレーザ光源制御部102a,102bにより行われる。
図13〜図16は、第1のパルスレーザ光L1の周波数を変更した場合の加工結果を示す写真である。2.9×2.9×20mmのLYSOシンチレータ結晶塊2に対し、表4に示す条件で加工を行った。
図13及び図14は、加工後、深さ0.3〜2.7mmの領域を側面から観察した写真である。図13(a)、図13(b)、図13(c)、図13(d)、図14(a)、図14(b)及び図14(c)は、それぞれ第1のパルスレーザ光L1の周波数が10kHz、15kHz、20kHz、30kHz、50kHz、100kHz及び200kHzの場合を示す。
図13及び図14によれば、第1のパルスレーザ光L1の周波数が10kHz〜20kHzである場合は、結晶塊2の特に深部において十分な光学境界領域が3形成されていない領域が認められる。これに対し、第1のパルスレーザ光L1の周波数が30kHz〜200kHzである場合、結晶塊2の浅部だけでなく、最深部にまで十分な光学境界領域3が形成されていることが認められる。
図15及び図16は、上記条件にてLYSOシンチレータ結晶塊2の別サンプルを用いて加工した加工結果(追試験)を示す写真である。図15及び図16は、図13及び図14と同様の傾向を示した。
<第1のパルスレーザ光のパルス幅について>
使用する2種類のパルスレーザ光は、第1のパルスレーザ光L1が有する第1のパルス幅W1よりも、第2のパルスレーザ光L2が有する第2のパルス幅W2のほうが長いものとする。ここで、第1のパルスレーザ光L1のパルス幅は3ps以上であることが好ましく、5ps以上であることがより好ましく、第2のパルスレーザ光L2のパルス幅は1ns以上であることが好ましく、10ns以上であることが好ましい。なお、レーザ加工装置100において、第1及び第2のパルス幅W1,W2の設定は、それぞれ第1及び第2のレーザ光源制御部102a,102bにより行われる。
図17及び図18は、第1のパルスレーザ光L1のパルス幅W1を変更した場合の加工結果を示す写真である。2.9×2.9×20mmのLYSOシンチレータ結晶塊2に対し、表5に示す条件で加工を行った。
図17及び図18は、加工後、深さ0.3〜2.7mmの領域を側面から観察した写真である。図17(a)、図17(b)、図17(c)、図18(a)、図18(b)及び図18(c)は、それぞれ第1のパルスレーザ光L1のパルス幅W1が239fs、1ps、2ps、3ps、5ps及び10psの場合を示す。
図17及び図18によれば、第1のパルスレーザ光L1のパルス幅W1が239fs〜2psである場合は、結晶塊2の最深部に十分な光学境界領域3が形成されていないことが認められる。これに対し、ディレイタイムが3ps〜10psである場合、結晶塊2の浅部だけでなく、最深部にまで十分な光学境界領域3が形成されていることが認められる。
<エネルギーについて>
第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2のエネルギーとしては、シンチレータ結晶塊2の内部に十分な光学境界領域を形成することができる程度のエネルギーが必要である。第1のパルスレーザ光L1のエネルギーは5〜70μJであることが好ましく、10〜50μJであることがより好ましく、10〜30μJであることが更に好ましい。第2のパルスレーザ光L2のエネルギーは、40〜80μJであることが好ましく、40〜70μJであることがより好ましく、50〜70μJであることが更に好ましい。なお、「エネルギー」とは、結晶塊2の内部でパルスレーザ光が集光した部分のエネルギーをいう。また、レーザ加工装置100において、第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2のエネルギーの設定は、それぞれ第1及び第2のレーザ光源制御部102a,102bにより行われる。
図19及び図20は、第1又は第2のパルスレーザ光L1,L2のエネルギーを変更した場合の加工結果を示す写真である。2.9×2.9×20mmのLYSOシンチレータ結晶塊2に対し、エネルギーを変更したこと以外は表1に記載のものと同一の条件で加工を行った。
図19及び図20は、加工後、深さ0.3〜2.7mmの領域を側面から観察した写真である。図19は、第2のパルスレーザ光L2のエネルギーを70μJに固定し、第1のパルスレーザ光L1のエネルギーを変更した場合の加工結果を示す。図19(a)、図19(b)、図19(c)、図19(d)、図19(e)及び図19(f)は、それぞれ第1のパルスレーザ光L1のエネルギーが3μJ、6μJ、12μJ、24μJ、48μJ及び69μJの場合を示す。
図19によれば、第1のパルスレーザL1光のエネルギーが小さくなるに従い、第2のパルスレーザ光L2のみによる加工に特徴的なZ方向への光学境界領域3が形成されていることが認められる。一方、第1のパルスレーザ光L1のエネルギーが大きくなるに従い、結晶塊2に割れが生じていることが認められる。
図20は、第1のパルスレーザ光L1のエネルギーを24μJに固定し、第2のパルスレーザ光L2のエネルギーを変更した場合の加工結果を示す。図20(a)、図20(b)、図20(c)及び図20(d)は、それぞれ第2のパルスレーザ光L2のエネルギーが30μJ、40μJ、50μJ及び70μJの場合を示す。
図20によれば、第2のパルスレーザ光L2のエネルギーが小さくなるに従い、結晶塊2の深部に十分な光学境界領域3が形成されないことが認められる。一方、第2のパルスレーザ光L2のエネルギーが大きくなるに従い、結晶塊2の深部にも十分な光学境界領域3が形成されていることが認められる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、第1のパルスレーザ光L1の照射により予備改質領域を形成するごとに第2のパルスレーザ光L2を照射して光学境界領域3を形成する態様を示したが、第1のパルスレーザ光L1の照射により予備改質領域を所定の面に沿って形成した後に、第2のパルスレーザ光L2を照射して光学境界領域3を形成してもよい。
また、上記実施形態では加工対象物がシンチレータ結晶塊である態様を示したが、加工対象物は石英ガラスであってもよい。図21は、加工対象物が石英ガラスである場合の加工結果を示す写真である。図21の右側の三つの加工痕10bは、表3に示す第1のパルスレーザ光L1のみを照射した場合の加工痕である。図21の左側の三つの加工痕10aは、表3に示す第1のパルスレーザ光L1を照射した後、50nsのディレイタイムの経過後に第2のパルスレーザ光L2を照射した場合の加工痕である。この結果によれば、第1のパルスレーザ光L1のみを用いた場合は光学境界領域として機能するには不十分な改質領域が形成されるのみであったが、第1及び第2のパルスレーザ光L1,L2を併用した場合は、光学境界領域3として機能するのに十分な改質領域が形成されたことが分かる。
また、本発明は、ウェハ等の板状の加工対象物を切断するために、その切断予定ラインに沿って、切断起点領域としての改質領域を形成する場合にも適用することができる。つまり、加工対象物の材料や改質領域の機能は上述したものに限定されない。
1…シンチレータ構造体、2…シンチレータ結晶塊(加工対象物)、3…光学境界領域(改質領域)、100…レーザ加工装置、101a…第1のレーザ光源、101b…第2のレーザ光源、107…載置台(支持部)、L1…第1のパルスレーザ光、L2…第2のパルスレーザ光、P1,P2…集光点、W1…第1のパルス幅、W2…第2のパルス幅。

Claims (21)

  1. 第1のパルス幅を有する第1のパルスレーザ光を、その集光点が加工対象物の内部に位置するように前記加工対象物に照射することにより、予備改質領域を形成する工程と、
    前記第1のパルス幅よりも長い第2のパルス幅を有する第2のパルスレーザ光を、その集光点が前記予備改質領域内に位置するように前記加工対象物に照射することにより、改質領域を形成する工程と、を備え
    前記第1のパルスレーザ光のエネルギーは、10〜30μJであり、かつ、前記第2のパルスレーザ光のエネルギーは、50〜70μJであるレーザ加工方法。
  2. 前記第2のパルスレーザ光の1パルスの照射は、前記第1のパルスレーザ光の1パルスの照射と略同時に行われる請求項1に記載のレーザ加工方法。
  3. 前記第2のパルスレーザ光の1パルスの照射は、前記第1のパルスレーザ光の1パルスの照射を行ってから100ns未満内に行われる請求項2に記載のレーザ加工方法。
  4. 前記第1のパルスレーザ光の周波数と前記第2のパルスレーザ光の周波数とは、互いに同期がとられた同一の周波数である請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザ加工方法。
  5. 前記第1のパルスレーザ光の周波数は、前記第2のパルスレーザ光の周波数よりも高い請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザ加工方法。
  6. 前記第1のパルスレーザ光の周波数は、前記第2のパルスレーザ光の周波数の3倍以上である請求項5に記載のレーザ加工方法。
  7. 前記第1のパルス幅は、5ps以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載のレーザ加工方法。
  8. 加工対象物を支持する支持部と、
    第1のパルス幅を有する第1のパルスレーザ光を出射する第1のレーザ光源と、
    前記第1のパルス幅よりも長い第2のパルス幅を有する第2のパルスレーザ光を出射する第2のレーザ光源と、
    前記第1のレーザ光源から出射された前記第1のパルスレーザ光を、その集光点が前記支持部に支持された前記加工対象物の内部に位置するように前記加工対象物に照射することにより、予備改質領域を形成し、前記第2のレーザ光源から出射された前記第2のパルスレーザ光を、その集光点が前記予備改質領域内に位置するように前記加工対象物に照射することにより、改質領域を形成する光学系と、を備え
    前記第1のパルスレーザ光のエネルギーは、10〜30μJであり、かつ、前記第2のパルスレーザ光のエネルギーは、50〜70μJであるレーザ加工装置。
  9. 前記第2のパルスレーザ光の1パルスの照射は、前記第1のパルスレーザ光の1パルスの照射と略同時に行われる請求項に記載のレーザ加工装置。
  10. 前記第2のパルスレーザ光の1パルスの照射は、前記第1のパルスレーザ光の1パルスの照射を行ってから100ns未満内に行われる請求項又はに記載のレーザ加工装置。
  11. 前記第1のパルスレーザ光の周波数と前記第2のパルスレーザ光の周波数とは、互いに同期がとられた同一の周波数である請求項10のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
  12. 前記第1のパルスレーザ光の周波数は、前記第2のパルスレーザ光の周波数よりも高い請求項10のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
  13. 前記第1のパルスレーザ光の周波数は、前記第2のパルスレーザ光の周波数の3倍以上である請求項12に記載のレーザ加工装置。
  14. 前記第1のパルス幅は、5ps以上である請求項13のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
  15. 所定の面に沿って形成された光学境界領域を有するシンチレータ構造体の製造方法であって、
    第1のパルス幅を有する第1のパルスレーザ光を、その集光点がシンチレータ結晶塊の内部に位置するように前記シンチレータ結晶塊に照射することにより、予備改質領域を形成する工程と、
    前記第1のパルス幅よりも長い第2のパルス幅を有する第2のパルスレーザ光を、その集光点が前記予備改質領域内に位置するように前記シンチレータ結晶塊に照射することにより、前記所定の面に沿って前記光学境界領域としての改質領域を形成する工程と、を備え
    前記第1のパルスレーザ光のエネルギーは、10〜30μJであり、かつ、前記第2のパルスレーザ光のエネルギーは、50〜70μJであるシンチレータ構造体の製造方法。
  16. 前記第2のパルスレーザ光の1パルスの照射は、前記第1のパルスレーザ光の1パルスの照射と略同時に行われる請求項15に記載のシンチレータ構造体の製造方法。
  17. 前記第2のパルスレーザ光の1パルスの照射は、前記第1のパルスレーザ光の1パルスの照射を行ってから100ns未満内に行われる請求項15又は16に記載のシンチレータ構造体の製造方法。
  18. 前記第1のパルスレーザ光の周波数と前記第2のパルスレーザ光の周波数とは、互いに同期がとられた同一の周波数である請求項1517のいずれか一項に記載のシンチレータ構造体の製造方法。
  19. 前記第1のパルスレーザ光の周波数は、前記第2のパルスレーザ光の周波数よりも高い請求項1517のいずれか一項に記載のシンチレータ構造体の製造方法。
  20. 前記第1のパルスレーザ光の周波数は、前記第2のパルスレーザ光の周波数の3倍以上である請求項19に記載のシンチレータ構造体の製造方法。
  21. 前記第1のパルス幅は、5ps以上である請求項1520いずれか一項に記載のシンチレータ構造体の製造方法。
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