JP2013228942A - 交通信号制御装置及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、リコール制御を実行可能な交通信号制御装置3Bに関する。本発明の交通信号制御装置3Bは、リコール交差点J2の主方向の上流側に位置する車両感知器4Bの感知信号を取得する取得部(通信部33)と、取得した感知信号に基づいて、リコール交差点J2から主方向の下流側に位置する隣接交差点J1に向かって流出する単位時間ごとの車両台数よりなる時系列データD2を生成するデータ処理部37と、を備える。データ処理部37は、リコール制御の実行中にリコール要求があったか否かにより、時系列データD2の流出時刻の時刻補正を行うか否かを判定する。
【選択図】 図2
Description
この場合、交通量の多い都市部では、道路上に設置された車両感知器で得られる車両台数などの交通状況に応じて、信号制御プランの一部又は全部を変更し、適切な信号灯色の切り替えタイミングを決定する感応制御を行い、交通流の円滑化を図ることがある。
また、他の「地点感応制御」として、右折待ち車両の多い交差点について、右折専用車線における待ち行列長に応じて右折青矢印灯の表示時間を延長する「右折感応制御」も既に行われている。
プロファイル制御は、特定の交差点の停止線に到着する車両の単位時間ごとの予測交通量である到着プロファイルに基づいて、その交差点における1サイクル以上未来での車両の信号待ちの遅れ時間が最小となる青時間を決定するものである。
この半感応制御は、従道路側の交通需要が主道路側に比べて少ない場合に、主道路側の通行の不要な停止をなくすことを目的とし、通常時は主道路側に通行権を与えておき、従道路側で車両や歩行者を検出した場合(リコール要求があった場合)に限り、従道路側に通行権を与えるものである(特許文献2参照)。
例えば、プロファイル制御により青時間を調整する交差点(以下、「プロファイル交差点」ともいう。)の上流交差点においてリコール制御を実行する場合は、従来、リコール制御を実施する時間帯においてプロファイル制御を禁止せざるを得なかった。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、リコール制御の実行中でも下流側の隣接交差点への流出交通量を正確に算出できるようにして、隣接交差点におけるプロファイル制御を実行可能とすることを目的とする。
従って、リコール制御を実行中の場合でも、隣接交差点におけるプロファイル制御を正確に実行することができ、渋滞を抑制することができる。
その理由は、リコール制御の実行中にリコール要求があったために、主方向の通行権がなくなった場合は、リコール交差点での信号待ちによる遅延を考慮しないと、時系列データの流出時刻が不正確になるからである。
その理由は、リコール制御の実行中にリコール要求がないために、常に主方向に通行権がある場合は、リコール交差点における信号停止を考慮した上述の時刻補正を行わなくても、概ね正確な時系列データが得られるからである。
その理由は、リコール要求の原因が上記車両の場合には、従方向から流出した車両がリコール交差点から主方向に流出する可能性が高いので、所定値の車両台数を時系列データに反映させる方が当該時系列データをより正確に算出できるからである。
その理由は、リコール要求の原因が上記歩行者である場合には、車両がリコール交差点から主方向に流出する可能性が低いので、車両台数の加算を行わない方が当該時系列データをより正確に算出できるからである。
第1パターン:所定のサイクル内で主方向と従方向に交互に通行権を与えるパターン
第2パターン:常に主方向に通行権があり、従方向に通行権がないパターン
その理由は、第1パターンに切り替えるタイミングを上記のように制御すれば、隣接交差点との系統制御が乱れるのを防止しつつ、リコール制御を実行できるからである。
この場合、取得した前記時系列データと前記感知信号とに基づいて、前記リコール交差点を制御対象としたプロファイル制御を実行する制御部を、更に備えることにすれば、リコール交差点に対するリコール制御と、他の交差点に流出する車両台数の時系列データの生成だけでなく、リコール交差点で対するプロファイル制御を実行できるようになる。
従って、本発明のコンピュータプログラムは、上述の(1)〜(7)に記載した本発明の交通信号制御装置と同様の作用効果を奏する。
〔用語の定義〕
本発明の実施形態を説明するに当たり、まず、本明細書で用いる用語の定義を行う。
「流入路」「流出路」:ある交差点から見て、当該交差点に向かって流入する方向に進む道路を流入路といい、当該交差点から流出する方向に進む道路を流出路という。
「交差点の渋滞」:交差点の手前にできた待ち行列が1回の青信号時間で捌けない状況のことをいう。従って、ある交差点において、1回の青信号時間で信号待ち行列が捌ける場合は、当該交差点では「渋滞」が生じていない。
「車両感知器」:道路を走行する車両の存在を定位置で1台ずつ検出する路側センサのことをいう。例えば、直下を通行する車両を超音波で感知する超音波式の車両感知器や、車両通過時の温度変化から車両の通過を感知する温度式の車両感知器や、インダクタンス変化で車両を感知する道路に埋め込まれたループコイル等がこれに該当する。
例えば、信号灯色の開始時刻(青信号開始、黄信号開始、赤信号開始時刻及び右左折矢印の開始時刻)、信号灯色時間(青信号時間、黄信号時間、赤信号時間及び右左折矢印時間)、及び、信号パラメータ(スプリット、信号サイクル及びオフセット)などがこれに含まれる。
「第1制御機」「第2制御機」:第1交差点の信号灯器を制御する交通信号制御機を第1制御機といい、第2交差点の信号灯器を制御する交通信号制御機を第2制御機という。
「対象流入路」:第1交差点の複数の流入路のうち、プロファイル制御の制御対象となる流入路のことをいう。
「第2ローカル時刻」:第2制御機によって計時される現在時刻、すなわち、第2制御機の時計部によって刻まれるローカル時刻のことをいう。
「第1時系列データ」:プロファイル制御の対象である第1交差点の対象流入路で計測された流入交通量を、第1ローカル時刻における単位時間ごとに集計した時系列データのことをいう。
「第2時系列データ」:第2交差点から第1交差点に向かう流出交通量を、第2ローカル時刻における単位時間ごとに集計した時系列データのことをいう。
本実施形態では、従道路側で車両や歩行者を検出しない場合は主道路側に通行権を与えておき、従道路側で車両や歩行者を検出した場合に限り、従道路側に通行権を与える半感応制御を想定している。
例えば、リコール要求には、従道路の停止線付近に設置した車両感知器の感知信号や、主道路を横断する歩行者により押動操作される押しボタン装置の操作信号がある。
従って、本実施形態では、第1交差点をプロファイル交差点という場合があり、第2交差点をリコール交差点という場合がある。
図1は、本発明の実施形態に係る交通信号制御システムの全体構成図である。また、図2は、同システムで制御される交差点J1,J2の道路平面図である。
図1及び図2において、J1は第1交差点であり、J2は第2交差点である。すなわち、本実施形態では、第2交差点J2から第1交差点J1に向かう、第1交差点J1の流入路Rmについて行うプロファイル制御に着目している。
第2交差点J2では、第1交差点J1におけるプロファイル制御に必要な、流出交通量のデータ収集が行われるとともに、所定の実行時間帯においてリコール要求が検出された場合に限り、従方向(図2の上下方向)に通行権を与える信号現示を出す、リコール制御が行われる。
第1及び第2交差点J1,J2の信号灯器2A,2Bは、車両灯器21A,21Bと歩行者灯器22A,22Bとを含む(図2参照)。車両灯器21A,21Bは、交差点J1,J2に向かう車両5に通行権の有無を灯色で表示し、歩行者灯器22A,22Bは、交差点J1,J2の横断歩道を渡る歩行者に通行権の有無を灯色と点滅で表示する。
第1及び第2制御機3A,3Bは、基本的には、交通管制センタ1から通知された信号制御指令に従って信号灯器2A,2Bの灯色切り替えタイミングを決定する。もっとも、第1制御機3Aは、プロファイル制御を行った場合には、その制御によって決定した歩行者青時間に従って信号灯器2Aの灯色を切り替え、第2制御機3Bは、リコール制御を行った場合には、リコール現示(図6参照)に従って信号灯器2Bの灯色を切り替える。
第1及び第2制御機3A,3Bは、自機に繋がる車両感知器4A,4Bから受信した感知信号をそれぞれ交通管制センタ1に転送する。
図2に示すように、リコール用センサ6B,7Bは、従道路(図2の上下方向の道路)の停止線に車両5が停止したことを感知する車両センサ6Bと、主道路(図2の左右方向の道路)の横断歩道の入り口付近にそれぞれ設置された押しボタン装置7Bとからなり、各々の押しボタン装置7Bには、図示しない押しボタンスイッチが設けられている。
また、車両5が従道路の停止線の手前で停止すると、車両センサ6Bの感知信号が、車両5からのリコール要求として第2制御機3Bに通信回線を通じて伝送される。
また、信号灯器2A,2Bと車両感知器4A,4Bについても、共通事項を説明する場合は、それぞれ、共通符号を用いて「信号灯器2」及び「車両感知器4」と総称する。
図3は、図1の交通信号制御システムの機能ブロック図である。
図3に示すように、交通管制センタ1には、中央装置11とこれに接続されたルータ12が設けられている。
ルータ12は、第1及び第2制御機3A,3Bと所定の通信回線を介して接続されている。第1及び第2制御機3A,3Bは、配下の1又は複数の車両感知器4A,4Bと所定の通信回線を介して接続されている。
また、ネットワークに属する交通信号制御機3同士でも双方向通信が可能である。中央装置11は、必ずしも交通管制センタ1に設けられている必要はなく、道路上に設置されていてもよい。
各々の車両感知器4A,4Bの感知信号は、それらが通信回線を介して接続された第1及び第2制御機3A,3Bに送信される。
例えば、中央装置11は、自装置が管轄する交差点の交通信号制御機3に対して、同一道路上の信号灯器2群を調整する系統制御、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)、及び、MODERATO(登録商標:Management by Origin-Destination Related Adaptation for Traffic Optimization)制御などを実行可能である。
例えば、スプリット制御の場合には、管轄エリア内の交差点について、現示ごとの各流入路の負荷率の最大値を求め、現示負荷率の比で正規化されたスプリットを配分する負荷率比配分方式が採用される。
中央装置11は、信号灯器2の灯色切り替えタイミングを含む信号制御指令を所定時間ごとに交通信号制御機3に送信している。この所定時間は、例えば、信号制御パラメータの演算周期(例えば、1.0〜2.5分)である。また、中央装置11は、車両感知器4の感知信号を、交通信号制御機3を通じてほぼリアルタイム(例えば、0.1〜1.0秒周期)で受信している。
図4は、交通信号制御機3の機能ブロック図である。
図4に示すように、交通信号制御機3は、制御部31、灯器駆動部32、通信部33、記憶部34及び時計部35を含んでいる。
制御部31は、1又は複数のマイクロコンピュータから構成されている。制御部31は、内部バスなどを介して他のハードウェア各部32〜35と接続されており、これらのハードウェア各部32〜35の動作を制御する。
灯器駆動部32は、半導体リレー(図示せず)を備え、制御部31からの切り替え信号に基づいて、複数の信号灯器2の青色灯、黄色灯、赤色灯それぞれに対応して各色の信号灯に供給される交流電圧(AC100V)又は直流電圧をオン/オフする。
例えば、通信部33は、中央装置11から信号制御指令を受信すると、受信した指令を制御部31に渡す。また、通信部33は、自機に属する車両感知器4や他の交通信号制御機3に属する車両感知器4から感知信号を受信すると、受信した感知信号を中央装置11に転送する。更に、第2制御機3Bの通信部33の場合には、車両センサ6Bの感知信号や押しボタン装置7Bの操作信号を受信すると、受信した信号を制御部31に渡す。
制御部31は、上記プログラムを記憶部34から読み出してプロファイル制御を含む所定の地点感応制御を実行可能であり、プロファイル制御を実行する場合には、その制御に必要な到着プロファイルの算出処理を行う。なお、この算出処理の詳細は後述する。
時計部35は、中央装置11から通知された時刻、GPS時刻或いは電波時計の時刻などを受信でき、受信した時刻を用いて、カウンタ回路が出力する現在時刻(ローカル時刻)を補正する機能を有する。
すなわち、制御部31は、自機のローカル時刻に基づく単位時間ごとの感知信号の数(車両台数)を集計し、単位時間ごとの車両台数の時系列データを生成する。例えば集計の単位時間を1秒とすると、制御部31は、車両感知器4が感知した車両台数を1秒刻みで集計し、1秒ごとに進行する各々の集計時刻の台数値よりなる時系列データを生成し、その時系列データを記憶部34に記憶させる。
図5は、リコール制御を担う第2制御機3Bの制御部31の機能ブロック図である。
図5に示すように、第2制御機3Bの制御部31は、リコール制御を実行可能な信号制御部36と、車両感知器4Bからの感知信号の時系列データを用いて、第1制御機3Aが行うプロファイル制御に用いる第2時系列データを生成するデータ処理部37とを有している。信号制御部36は、交通信号制御機3の内部バスに繋がっている。
図6において、「第1方向」は、対象流入路Rmに沿う方向(図2の左右方向:第2交差点J2の「主方向」と同じ。)を意味し、「第2方向」は、対象流入路Rmの交差方向(図2の上下方向:第2交差点J2の「従方向」と同じ。)を意味する。また、「PG」は歩行者青、「PF」は歩行者青点滅、「PR」は歩行者赤、「Y」は黄信号、「AR」は全赤を示している。
第1パターンは、標準的な10階梯方式であり、1サイクル内において、PG→PF→PR→Y→ARの順序で遷移する階梯の変化が、第1方向と第2方向のそれぞれについて交互に生じる信号現示の切り替えパターンとなっている。また、第2パターンは、常に主方向に通行権があり、従方向に通行権がない信号現示の切り替えパターンとなっている。
第2制御機3Bの記憶部34は、リコール制御の実施時間帯(例えば、午後10時〜翌午前5時など)を記憶している。信号制御部36は、現在時刻がその実施時間帯の場合は、リコール要求の有無に応じて現示パターンを第1又は第2パターンに切り替えるリコール制御を実行し、現在時刻がその実施時間帯を外れている場合は、通常制御を実行する。
このタイミング情報Stには、1サイクルの秒数(図6の例では70秒)と、各ステップ1〜10の秒数と、サイクル開始時刻と、ステップ2以降における終了ステップの番号と開始ステップの番号とが含まれる。
制御状態情報S1は、信号制御部36が実行中の信号制御の状態を示す情報である。信号制御部36は、リコール制御を実行中の場合には、制御状態情報S1を「リコール制御」に設定してデータ処理部37に通知し、通常制御を実行中の場合には、制御状態情報S2を「通常制御」に設定してデータ処理部37に通知する。
信号制御部36は、リコール制御の実行開始時点では、要求状態情報S2を「リコール要求なし」に設定しており、通信部33からリコール要求を取得していない間は、「リコール要求なし」の要求状態情報S2をデータ処理部37に通知し続ける。その後、リコール要求を通信部33から取得すると、信号制御部36は、要求状態情報S2を「リコール要求あり」に設定し、その情報S2をデータ処理部37に通知する。
信号制御部36は、受付期間Ta中にリコール要求があったか否かにより、第1パターンに切り替える時期を今回又は次回サイクルのいずれにするかを決定する、いわゆる「回転型」のリコール制御を実行する。
このように、本実施形態では、第1パターンに切り替えるタイミングを上記のように制御する回転型のリコール制御を採用しているので、第1交差点J1などの隣接交差点との系統制御が乱れるのを防止しつつ、リコール制御を実行できるという利点がある。
信号制御部36は、データ処理部37から第2時系列データD2を取得すると、その第2時系列データD2を、通信部33を介して第1制御機3Aに送信する。
また、本実施形態では、リコール制御と通常制御とで同じ第1パターンを採用しているが、リコール制御と通常制御の場合で異なる現示パターンを採用することにしてもよい。
一方、プロファイル制御は、中央装置11が管轄する一部の交通信号制御機3が、中央装置11から指令された信号切り替えタイミングを自律分散的に修正するミクロ制御(地点感応制御)の1つである。
具体的には、対象流入路Rmで計測される車両感知器4Aの車両台数に加えて、対象流入路Rmの上流端である第2交差点J2から対象流入路Rmに入る車両台数を用いて、車両5が第1交差点J1を通過する交通量の予測時間を1サイクル以上未来まで拡張する。
より具体的には、プロファイル制御では、第1交差点J1の停止線に到着する車両5の単位時間ごとの時系列データである「到着プロファイル」と、中央装置11から取得した信号切り替えタイミングを用いて所定のシミュレーションを行い、現時点から1サイクル以上未来までの待ち行列台数Eの変動状況を計算する。
プロファイル制御を行うには、上記のシミュレーションを行う所定の制御周期ごとに到着プロファイルPFを決定しておく必要がある。図7は、その到着プロファイルPFの算出方法の説明図である。
図7において、t1は第1交差点J1の第1ローカル時刻を示し、t2は第2交差点J2の第2ローカル時刻を示し、t0は現在時刻を示している。
図7に示すように、第1制御機3A(具体的には、その制御部31)は、対象流入路Rmに設置された自機に繋がる車両感知器4Aから逐次受信する感知信号(車両感知器4Aを通過した車両台数)を、第1ローカル時刻t1に従って単位時間ごとに集計することにより、対象流入路Rmを通行する車両台数の単位時間ごとの時系列データである第1時系列データD1を常時収集している。
第2制御機3Bは、集計した第2時系列データD2を、第1制御機3Aにおけるプロファイル制御の制御周期(例えば数秒)ごとに第1制御機3Aに送信する。
第1予測時間T1=L1/v
第2予測時間T2=L2/v
そして、第1制御機3Aは、各々の流入方向の到着プロファイルPFに基づいて、現在から1サイクル未来までの第1交差点J1に対する流入交通量を予測し、その予測交通量を用いて上述のシミュレーション演算を実行する。
図8は、第2制御機3Bの信号制御部36による状態判定処理の一例を示すフローチャートであり、図9は、第2制御機3Bのデータ処理部37による状態判定処理の一例を示すフローチャートである。
これらの判定処理は、プロファイル制御の制御周期(例えば数秒)よりも十分に短い判定周期(例えば100m秒)ごとに実行される。
その判定の結果、現時点が実施時間帯内である場合は、信号制御部36は、制御状態情報S1としてリコール制御をデータ処理部37に通知するとともに(ステップST3)、現時点の要求状態情報S2をデータ処理部37に通知する(ステップST4)。
かかる状態判定処理により、信号制御部36は、現時点の制御状態情報S1の種別(リコール制御か通常制御かの別)と、リコール制御の実行中における要求状態情報S2の種別(リコール要求ありかなしかの種別)とを、ほぼリアルタイムにデータ処理部37に通知する。
その判定の結果、制御状態情報S1の種別がリコール制御である場合には、データ処理部37は、要求状態情報S2を取得するとともに(ステップST13)、制御状態情報S1と要求状態情報S2の種別を保持する(ステップST14)。
かかる状態判定処理により、データ処理部37は、現時点の制御状態情報S1の種別(リコール制御か通常制御かの別)と、リコール制御の実行中における要求状態情報S2の種別(リコール要求ありかなしかの種別)を保持する。
図10は、データ処理部37による第2時系列データD2の算出方法の説明図である。
図10において、感知器データKは、車両感知器4Bが感知した交通量(車両台数)の時系列データ(時系列交通量データ)であり、この時系列データは単位時間(例えば1秒)ごとに並ぶ台数データdi(i=1,2,……)よりなる。
第2制御機3Bのデータ処理部37は、感知器データKの各々の台数データdiの感知時刻を、それに予測時間Tpを加えた集計時刻(J2への到着時刻)を算出し、算出した集計時刻とこれに対応する台数値とからなる台数データdjを生成する。
また、前述の通り、データ処理部37は、感知器データKの台数データdiから第2時系列データD2の台数データdjを生成する場合、予測時間Tpを加算して時刻を遅らせるだけでなく、台数データdiの値に所定の直進率(例えば、90%)を乗じた値を、台数データdjの台数値とする。
従って、第2交差点J2への到着時刻は対象流入路Rmへの流出時刻とほぼ等しいと推定でき、第2時系列データD2の台数データdjの流出時刻を補正する必要はない。
このため、流出時刻の値が不正確な台数データdjを含む第2時系列データD2が第2制御機3Aに提供されてしまい、第2制御機3Aが行うプロファイル制御が正確に実行できなくなる。
図11は、上述の算出方法を具体化した算出処理、すなわち、第2制御機3Bのデータ処理部37による第2時系列データD2の算出処理の一例を示すフローチャートである。この算出処理は、プロファイル制御の制御周期(例えば数秒)ごとに実行される。
図10に示すように、データ処理部37は、まず、制御状態情報S1の種別がリコール制御か否かを判定する(ステップST21)。
その判定の結果、データ処理部37は、要求状態情報S2の種別がリコール要求あり場合は、ステップST23〜ST25までの処理を、第2時系列データD2を構成する台数データdjのデータ数分だけ繰り返す。
そして、データ処理部37は、台数データdiに対応する信号灯色が黄色又は赤色(主方向の通行権がなくなる時間帯)であるか否かを判定する。
また、上記判定の結果が否定的である場合は、データ処理部37は、上記の時刻補正を行わずに、次の台数データdjについてステップST23からの処理を繰り返す。
すなわち、データ処理部37は、第2時系列データD2を構成するすべての台数データdjについて、その流出時刻を補正せずに流出交通量として出力する。なお、ステップST27において、従方向は赤色と見なして第2時系列データS2を算出してもよい。
そして、データ処理部37は、生成した流出交通量(第2時系列データD2)を隣接交差点である第1交差点J1の第1制御機3Aに送信する。
また、データ処理部37は、リコール制御の実行中にリコール要求がない場合には、常に主方向に通行権があるとして第2時系列データD2を生成し、生成した第2時系列データD2に対する時刻補正を行わない(図11のステップST27)。
このため、リコール制御を実行中の場合でも、下流側の第2交差点J1におけるプロファイル制御を正確に実行することができ、第1交差点J1での渋滞の発生を抑制することができる。
上述の実施形態では、データ処理部37が、主方向の流入路R2(図2及び図7参照)に設置された感知器データKのみから第2時系列データD2を生成している。
しかし、例えば、リコール要求が従方向の流入路R1,R3に設けられた車両センサ6Bの感知信号である場合は、少なくとも1台の車両5が第2交差点J2に進入し、進入した車両5が第2交差点J2で右折又は左折して主方向に流出する可能性が高いと考えられる。
もっとも、リコール要求が主方向の道路を横断する歩行者用の押しボタン装置7Bである場合は、従道路の規模にもよるが、必ずしも車両5が第2交差点J2に進入するとは限らず、どちらかと言えば、第2交差点J2への車両5の進入が発生する可能性は非常に低いと考えられる。
上述の実施形態では、プロファイル交差点J1の上流側のリコール交差点J2の第2制御機3Bが、プロファイル交差点J1で実行されるプロファイル制御に用いる時系列データD2の生成とリコール制御とを行う場合を例示したが、リコール交差点J2の第2制御機3Bについても、プロファイル制御を行うことにしてもよい。
上述の実施形態は例示であって本発明の権利範囲を制限するものではない。本発明の権利範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内のすべての変更が本発明に含まれる。
例えば、上述の実施形態において、第2交差点J2は、従方向の流入路R1,R3がそれぞれ流入する十字路交差点だけでなく、いずれか1つの流入路R1,R3が流入するT字路交差点であってもよい。
2A 信号灯器
2B 信号灯器
3 交通信号制御機
3A 第1制御機
3B 第2制御機(交通信号制御装置)
4A 車両感知器
4B 車両感知器
6B 車両センサ
7B 押しボタン装置
11 中央装置
31 制御部
32 灯器駆動部
33 通信部(取得部)
34 記憶部
35 時計部
36 信号制御部
37 データ処理部
J1 第1交差点(プロファイル交差点)
J2 第2交差点(リコール交差点)
Claims (8)
- リコール要求がない場合に主方向に通行権があり、リコール要求があった場合に従方向に通行権を付与するリコール制御を実行可能な交通信号制御装置であって、
前記リコール制御の制御対象であるリコール交差点の主方向の上流側に位置する車両感知器の感知信号を取得する取得部と、
取得した前記感知信号に基づいて、前記リコール交差点から主方向の下流側に位置する隣接交差点に向かって流出する単位時間ごとの車両台数よりなる時系列データを生成するデータ処理部と、を備えており、
前記データ処理部は、前記リコール制御の実行中に前記リコール要求があったか否かにより、前記時系列データの流出時刻の時刻補正を行うか否かを判定することを特徴とする交通信号制御装置。 - 前記データ処理部は、前記リコール制御の実行中に前記リコール要求があった場合に、主方向の通行権がなくなる時間帯に前記リコール交差点に到着する予定の前記時系列データの流出時刻を、当該通行権がなくなる時間帯の長さ分だけ遅延させる時刻補正を行う請求項1に記載の交通信号制御装置。
- 前記データ処理部は、前記リコール制御の実行中に前記リコール要求がない場合に、常に主方向に通行権があるとして前記時系列データを生成し、生成した当該時系列データに対する前記時刻補正を行わない請求項1又は2に記載の交通信号制御装置。
- 前記データ処理部は、前記リコール要求の原因が従方向から前記リコール交差点に流入する車両である場合には、所定値の車両台数を前記時系列データに加算する請求項1〜3のいずれか1項に記載の交通信号制御装置。
- 前記データ処理部は、前記リコール要求の原因が主方向の道路を横断する歩行者である場合には、前記時系列データに対する車両台数の加算を行わない請求項1〜4のいずれか1項に記載の交通信号制御装置。
- 信号現示の切り替えパターンとして下記に定義する第1及び第2パターンを実行可能な信号制御部を更に備え、
前記信号制御部は、所定の受付期間に前記リコール要求があった場合に、今回のサイクルから前記第2パターンを前記第1パターンに切り替え、前記受付期間以外の期間に前記リコール要求があった場合に、その次のサイクルの先頭から前記第2パターンを前記第1パターンに切り替える請求項1〜5のいずれか1項に記載の交通信号制御装置。
第1パターン:所定のサイクル内で主方向と従方向に交互に通行権を与えるパターン
第2パターン:常に主方向に通行権があり、従方向に通行権がないパターン - 前記取得部は、更に、前記リコール交差点の主方向の上流側に位置する隣接交差点から当該リコール交差点に流出する単位時間ごとの車両台数よりなる時系列データを取得し、
取得した前記時系列データと前記感知信号とに基づいて、前記リコール交差点を制御対象としたプロファイル制御を実行する制御部を、更に備えている請求項1〜6のいずれか1項に記載の交通信号制御装置。 - リコール要求がない場合に主方向に通行権があり、リコール要求があった場合に従方向に通行権を付与するリコール制御をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記リコール制御の制御対象であるリコール交差点の主方向の上流側に位置する車両感知器の感知信号を取得するステップと、
取得した前記感知信号に基づいて、前記リコール交差点から主方向の下流側に位置する隣接交差点に向かって流出する単位時間ごとの車両台数よりなる時系列データを生成するステップと、
前記リコール制御の実行中に前記リコール要求があったか否かにより、前記時系列データの流出時刻の時刻補正を行うか否かを判定するステップと、
を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
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