JP2013227955A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温の油を給油する場合でも、高い体積効率を実現し、圧縮機効率の高いスクロール圧縮機を提供する。
【解決手段】
前記吸込領域給油手段70は、油溜連結路70a、油溜凹部70b、吸込連結路70cを有し、吸込連結路70cは、旋回運動の1旋回期間に、外線側吸込室最大面積旋回角θaを含む一連の外線側吸込室給油旋回角期間Taと、内線側吸込室最大面積旋回角θbを含む一連の内線側吸込室給油旋回角期間Tbと、の分断した2期間で連結し、油溜連結路70aは、外線側吸込室給油旋回角期間Ta後でかつ内線側吸込室給油旋回角期間Tb前の外内油溜給油旋回角期間Tdと、内線側吸込室給油旋回角期間Tb後でかつ外線側吸込室給油旋回角期間Ta前の内外油溜給油旋回角期間Tcと、の分断した2期間で連結する。
【選択図】図6

Description

本発明は、スクロール圧縮機に関し、特に、閉込み開始によって圧縮室が形成される前段階である非密閉空間(以後、「吸込室」と称する。)に隣接する吸込領域への給油方法に関する。
特許文献1に開示されたスクロール圧縮機は、油溜(油溜領域)を旋回スクロールのスラスト面(スラストシール面)を介して吸入室(吸込領域)と隣接させ、そのスラスト面と対向するスラスト支持面に設けた凹部を、旋回スクロールの1旋回あたり吸込領域と油溜領域の各々へ1回ずつ臨むように配置されている。
このような構成により、特許文献1に開示されたスクロール圧縮機は、旋回スクロールが旋回して凹部が油溜領域内に臨んだ状態において、油溜領域から凹部へ油が入り、その後、更に旋回スクロールが旋回して凹部が吸込領域へ臨んだ状態において、凹部に入っていた油が吸込領域へ排出され、いわゆるポケット給油を行うことができるようになっている。これによって、油溜領域内の油を吸込領域へ供給することができるようになっている。
吸込領域へ供給された油は、その後、吸込室へと流れ込むため、圧縮室と吸込領域との間の漏れが油により抑制され、体積効率が向上し、これに伴って圧縮機効率が向上する。
特開2000−213476号公報
ここで、体積効率ηvは、スクロールラップの幾何学的形状から導かれる理論的な循環量Gtに対する実循環量Gpの割合を%で表した値である。すなわち、体積効率ηvは、以下の式(1)で表すことができる。
ηv=Gp/Gt×100 ………(1)
なお、各記号は、以下のような値である。
ηv:体積効率 [%]
Gt:理論循環量 [kg/s]
Gp:実循環量 [kg/s]
ここで、理論循環量Gtおよび実循環量Gpを用いて、循環量差ΔGを以下の式(2)のように定義する。
ΔG=Gt−Gp ………(2)
式(2)を用いて式(1)は、以下の式(3)のようになる。
ηv=(Gt−ΔG)/Gt×100 ………(3)
式(3)に示すように、循環量差ΔGを小さくすることで、体積効率ηvが向上することがわかる。
この循環量差ΔGは、以下の式(4)に示すように2つの量に分けられる。
ΔG=Gs+Gc ………(4)
Gs:吸込加熱による循環低下量 [kg/s]
Gc:圧縮室から吸込領域へ漏れ戻る作動流体による循環低下量 [kg/s]
吸込加熱による循環低下量Gsは、理論循環量Gtを算出する密度を計測する圧縮機外部の吸込み流路での作動流体温度よりも、吸込室へ入る吸込領域内の作動流体の温度が、いろいろな要因で加熱(一般に「吸込加熱」という。例えば、各圧縮室で発生した圧縮熱が熱伝導や輻射熱により吸込領域内の作動流体を加熱する。)されて上昇するために、作動流体の密度の低下が発生し、循環量が低下する分である。
漏れ戻りによる循環低下量Gcは、閉込んだ圧縮室から、低圧である吸込領域にシール隙間を通って漏れ出る作動流体量である。
以上より、体積効率ηvを向上させるためには、循環低下量Gsと循環低下量Gcを低減させればよいことが分かる。循環低下量Gsは吸込加熱を抑制することで低減でき、循環低下量Gcは圧縮室と吸込領域のシール性を高めることにより低減できる。
上記のようにして体積効率ηvの向上で循環量の増大を実現すると、通常は、圧縮機効率ηcも向上する。そのことを以下で説明する。圧縮機効率ηcは、以下の式(5)で定義される。
Figure 2013227955
ここで、各記号は以下の量を示す。
ΔH :理論循環量を算出する圧縮機外部の吸込み流路内の状態から吐出圧まで断
熱圧縮した場合の作動流体の理論エンタルピ増大量 [J/kg]
ΔH’:圧縮室に入る時の実吸込み状態から吐出圧まで断熱圧縮した場合の作動流
体の理論エンタルピ増加量 [J/kg]
損失和:熱流体損失+機械損失+モータ損失 [W]
なお、理論エンタルピ増加量ΔH’について、一般に、圧力一定の場合、温度が低下すると理論エンタルピ増加量ΔH’は減少する。
このように、体積効率ηvを向上させるために、循環低下量Gsと循環低下量Gcを低減させて実循環量Gpを増大させると、損失和は、圧縮途中の漏れ低減で熱流体損失が低減するために減少し、さらに、実循環量Gpの増大、理論エンタルピ増加量ΔH’の減少によって、式(5)の分母が減少し、圧縮機効率ηcは向上することがわかる。
ところで、特許文献1に開示されたスクロール圧縮機は、油溜領域内の油を吸込領域へ供給することにより、圧縮室と吸込領域のシール性を高めることができるため、循環低下量Gcを低減することができる。
一方、スクロール圧縮機の油は、例えば、圧縮室の圧縮熱やモータの発熱等により加熱され、油温が作動流体の吸込温度よりも高くなる場合がある。このため、油溜領域から流入する油温が作動流体の吸込温度よりも高い場合、油溜領域内の油を吸込領域へ供給することにより、吸込加熱が発生して循環低下量Gsが増大する。
即ち、油溜領域から流入する油温が作動流体の吸込温度よりも高い場合、漏れ戻りによる循環低下量Gcが低減しても吸込加熱による循環低下量Gsが増大するため、体積効率ηvの向上が少なくなる、または、体積効率ηvが低下し、それに伴って圧縮機効率ηcも低下してしまうという課題がある。
そこで、本発明は、高温の油を給油する場合でも、高い体積効率を実現し、圧縮機効率の高いスクロール圧縮機を提供することを課題とする。
このような課題を解決するために、本発明は、旋回鏡板とそれに立設した旋回ラップを有し旋回運動する旋回スクロールと、固定鏡板とそれに立設した固定ラップを有する固定スクロールと、前記固定スクロールが固定され前記旋回鏡板の背面である旋回鏡板下面まで回り込んだ形状を有するフレームと、前記固定スクロールと前記旋回スクロールが噛合って両スクロール間に形成される圧縮室が閉込む前の吸込室と外部に通じる吸込流路との間の吸込領域と、前記吸込領域の圧力である吸込圧力よりも高圧で油溜される油溜領域と、前記旋回スクロールのスラストシール面および前記スラストシール面と対向するスラスト支持面により前記吸込領域と前記油溜領域をシールするシール領域と、前記油溜領域の油を前記吸込領域へ、前記旋回運動の1旋回期間に、2回供給する吸込領域給油手段と、を備えることを特徴とするスクロール圧縮機である。
本発明によれば、高温の油を給油する場合でも、高い体積効率を実現し、圧縮機効率の高いスクロール圧縮機を提供することができる。
第1実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 第1実施形態に係るスクロール圧縮機の図1のS部における部分拡大縦断面図である。 第1実施形態に係るスクロール圧縮機の固定スクロールを上部から透視して固定スクロールの固定ラップと旋回スクロールの旋回ラップとの関係を説明する透視図であり、(a)は旋回内線側吸込室が形成されている状態であり、(b)は旋回外線側吸込室が形成されている状態である。 第1実施形態に係るスクロール圧縮機の旋回スクロールの上面図である。 第1実施形態に係るスクロール圧縮機の旋回スクロールの縦断面図である。 固定スクロールを上部から透視して固定スクロール下面と旋回スクロール上面における吸込領域給油手段を示す部分拡大透視図(図3のQ部)である。 吸込領域給油手段の動作の流れを説明する図である。 吸込領域給油手段の動作の流れを説明する図である。 第2実施形態に係るスクロール圧縮機の旋回スクロールの上面図である。 第2実施形態に係るスクロール圧縮機の旋回スクロールの縦断面図である。 第3実施形態に係るスクロール圧縮機の固定スクロールを上部から透視して固定スクロール下面と旋回スクロール上面における吸込領域給油手段を示す部分拡大透視図である。 第4実施形態に係るスクロール圧縮機の固定スクロールを上部から透視して固定スクロール下面と旋回スクロール上面における吸込領域給油手段を示す部分拡大透視図である。 第5実施形態に係るスクロール圧縮機の固定スクロールを上部から透視して固定スクロール下面と旋回スクロール上面における吸込領域給油手段を示す部分拡大透視図である。 第6実施形態に係るスクロール圧縮機の固定スクロールを上部から透視して固定スクロール下面と旋回スクロール上面における吸込領域給油手段を示す部分拡大透視図である。 第7実施形態に係るスクロール圧縮機の図1のS部における部分拡大縦断面図である。 第7実施形態に係るスクロール圧縮機の固定スクロール2を上部から透視した旋回スクロール3とフレーム4との組図であり、(a)は旋回内線側吸込室が形成されている状態であり、(b)は旋回外線側吸込室が形成されている状態である。 第7実施形態に係るスクロール圧縮機の旋回スクロールの縦断面図である。 第7実施形態に係るスクロール圧縮機の旋回スクロールの下面図である。 第7実施形態に係るスクロール圧縮機の固定スクロールを上部から透視して旋回スクロール下面とフレーム上面における吸込領域給油手段を示す部分拡大透視図(図16のT部)である。 第8実施形態に係るスクロール圧縮機の旋回スクロールの縦断面図である。 第8実施形態に係るスクロール圧縮機の旋回スクロールの下面図である。 第8実施形態に係るスクロール圧縮機の固定スクロールを上部から透視して旋回スクロール下面とフレーム上面における吸込領域給油手段を示す部分拡大透視図(図16のT部)である。 第9実施形態に係るスクロール圧縮機の図1のS部における部分拡大縦断面図である。 第9実施形態に係るスクロール圧縮機の旋回スクロールの上面図である。 第9実施形態に係るスクロール圧縮機の固定スクロールを上部から透視して固定スクロール下面と旋回スクロール上面における吸込領域給油手段を示す部分拡大透視図(図3のQ部)である。 吸込給油量の変化に伴うシール性向上による効率向上量と吸込加熱による効率低下量の関係を示すグラフである。 吸込給油量の変化に伴うスクロール圧縮機の効率向上量を示すグラフである。 吸込室の面積変化と吸込室給油旋回角期間および油溜給油旋回角期間の関係を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
≪第1実施形態≫
<スクロール圧縮機の構成>
第1実施形態に係るスクロール圧縮機1の全体構成について、図1から図3を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係るスクロール圧縮機1の縦断面図である。図2は、第1実施形態に係るスクロール圧縮機1の図1のS部における部分拡大縦断面図である。図3は、第1実施形態に係るスクロール圧縮機1の固定スクロール2を上部から透視して固定スクロール2の固定ラップ2bと旋回スクロール3の旋回ラップ3bとの関係を説明する透視図であり、(a)は旋回内線側吸込室90bが形成されている状態であり、(b)は旋回外線側吸込室90aが形成されている状態である。なお、この例において、スクロール圧縮機1の直径は、10mmから1000mm程度のものである。
図1に示すように、スクロール圧縮機1は、固定スクロール2と、旋回スクロール3と、フレーム4と、オルダムリング5(図2参照)と、クランク軸6と、モータ7と、ケーシング8と、を備えている。
固定スクロール2には、固定鏡板2aの下面側に円のインボリュート曲線を用いた形状(図3参照)の固定ラップ2bが立設されている。同様に、旋回スクロール3には、旋回鏡板3aの上面側に円のインボリュート曲線を用いた形状(図3参照)の旋回ラップ3bが立設されている。これら固定ラップ2bおよび旋回ラップ3bを噛合わせることにより、図3に示すように、両者間の外周寄りに吸込室90を形成することができるようになっている。
また、図1に示すように、固定スクロール2には、吸込口2sが形成されており、スクロール圧縮機1の外部から作動流体を固定スクロール2へ導入する吸込パイプ50が圧入され、吸込流路が形成されている。また、スクロール圧縮機1の停止直後の作動流体の逆流を防止するために逆止弁21が吸込パイプ50の下部に設けられている。そして、図3に示すように、この吸込口2sと吸込室90との間に吸込領域95が形成されている。
旋回スクロール3は、後述するような構成によって旋回運動を行うことができるようになっている。この旋回運動により、吸込室90は閉込みを開始し、密閉空間である圧縮室100へ移行する。この圧縮室100には、図3(a)に示すように、旋回ラップ3bの外線側で形成される旋回外線側圧縮室100aと、図3(b)に示すように、旋回ラップ3bの内線側で形成される旋回内線側圧縮室100bの2系統の圧縮室があり、これら圧縮室へ移行する前段階である各々の吸込室を、旋回外線側吸込室90a(図3(b)参照)、旋回内線側吸込室90b(図3(a)参照)と称するものとする。
また、第1実施形態に係るスクロール圧縮機1では、旋回ラップ3bの巻終り側の両側面を固定スクロール2との噛合いに用いる、いわゆる非対称歯形とする。これにより、固定スクロール2の内線の巻終りである内線側固定巻終りは、対称歯形といわれる従来歯形時のα(図3参照)からβ(図3参照)へ移動する。このβは、インボリュート巻角で180度回転させた位置であり、外線側固定巻終りγと固定ラップ2bの歯溝をはさんで対向する位置となる。このため、旋回外線側吸込室90aおよび旋回内線側吸込室90bは、ともに、吸込領域95を挟んで、吸込口2s側へ開口するようになっている。これにより、旋回外線側吸込室90aの閉込み時の旋回角から180度ずれた旋回角時に旋回内線側吸込室90bが閉込みを開始するようになっている。
また、固定スクロール2の中央付近には、圧縮室100から作動流体を吐出させる吐出穴2dが形成されている。また、その外周側には、図3に示すように、複数のバイパス穴2eが形成され、図2に示すように、各々にバイパス弁22が設けられている。バイパス弁22は、圧縮室100の圧力がケーシング8の内部の圧力よりも等しくなるかわずかに高くなると開弁するようになっている。
図1に示すように、固定スクロール2は、固定ラップ2bの外辺部である台板部2qの下面(固定台板面2u)の外周部をフレーム4にねじ固定するようになっている。
一方、旋回スクロール3は、背面に旋回軸受23が形成されており、旋回軸受23にクランク軸6の偏心部であるピン部6aが挿入される。旋回スクロール3は、主軸受24で回転支持されるクランク軸6が回転することにより、旋回運動するようになっている。また、旋回スクロール3の背面(旋回スクロール3とフレーム4との間)には、背圧室110が形成されるようになっている。
また、図2に示すように、旋回スクロール3とフレーム4との間には、旋回スクロール3の自転運動を防止するためのオルダムリング5が配置されている。
圧縮室100と背圧室110とを連通する圧縮室連通路60には、背圧弁26が設けられている。背圧弁26は、背圧室110の圧力が圧縮室100の圧力よりも所定値以上高くなると開弁するようになっている。このような背圧弁26の動作により、背圧室110の圧力(背圧)は、吸込圧(吸込口2s、吸込領域95における圧力)よりも高く、吐出圧(吐出穴2dにおける圧力)よりも低い、中間圧を保持するようになっている。
これにより、背圧室110は、後述する吐出圧である旋回軸受室115とともに、旋回スクロール3の引付力付加手段となり、旋回スクロール3は固定スクロール2へ付勢されるようになっている。
そして、旋回スクロール3が固定スクロール2へ付勢されることにより、吸込領域95と背圧室110の間は、旋回鏡板上面3a1と固定台板面2uによりシール領域を形成する。さらに詳細に述べると、旋回鏡板3aの上面である旋回鏡板上面3a1はスラストシール面、固定台板面2uはスラスト支持面となる。また、この背圧室110は、後述する通り、油溜領域となっている。
クランク軸6の中央には、縦に貫通する給油穴6bが形成されている。また、クランク軸6の下端には、給油パイプ6xが圧入されている。
また、クランク軸6のフレーム4よりも下部には、回転バランスを取るためのシャフトバランス10およびカウンターバランス11が焼き嵌めまたは圧入されている。
副軸受25は、ボール25aとボールホルダ25bからなり、クランク軸6がたわんでも片当りが生じない構成となっている。副軸受25のボールホルダ25bは、下フレーム9へねじ止めまたは溶接により固定配置される。
モータ7は、クランク軸6に固定されたロータ7aと、筒ケーシング8aに焼き嵌めまたは圧入したステータ7bと、を備えて構成され、モータ7に電力を供給するモータ線でハーメチック端子220と接続されている。
ケーシング8は、筒ケーシング8aと、筒ケーシング8aの上部に溶接される上ケーシング8bと、筒ケーシング8aの下部に溶接される底ケーシング8cと、を備えて構成され、固定スクロール2、旋回スクロール3、フレーム4、クランク軸6、モータ7等を取り囲むようになっている。これにより、固定スクロール2の上部には、固定背面室120が形成される。
円筒ケーシング8aには、内部にフレーム4が溶接されて固定配置され、側面に吐出パイプ55が溶接またはロウ付けされて固定配置され、下部に副軸受25を支持する下フレーム9が溶接またはロウ付けされて固定配置されている。なお、固定スクロール2の台板部2qの外周部には上下方向に延びる溝が形成されており、同様にフレーム4の外周部にも上下方向に延びる溝が形成されており、固定スクロール2がフレーム4にねじ固定されると、ケーシング8の内部の上部空間(固定背面室120)とケーシング8の内部の上部空間(モータ7が配置される空間)とを連通するようになっている。
上ケーシング8bには、ハーメチック端子220と固定スクロール2に圧入してある吸込パイプ50が溶接またはロウ付けされて固定配置されている。
また、ケーシング8の内部には、組立ての適当な段階で油を封入するようになっている。これにより、下フレーム9と底ケーシング8cの間には、貯油部125が形成される。
また、第1実施形態に係るスクロール圧縮機1は、油溜領域である背圧室110から吸込領域95へ給油する吸込領域給油手段70(後述する図6参照)を備えている。なお、吸込領域給油手段70については、図6等を用いて後述する。
<スクロール圧縮機の動作>
次に、スクロール圧縮機1の圧縮動作の概要を図1から図3を用いて説明する。
まずは、吸込パイプ50からスクロール圧縮機1に流入した作動流体が、吐出パイプ55から吐出されるまでの流れに沿って説明する。
図1に示すように、モータ7でクランク軸6を回転させ、旋回スクロール3を旋回運動させる。これによって、図3に示すように、旋回スクロール3と噛合う固定スクロール2との間の外辺部に吸込室90が形成される。
吸込パイプ50を経由して吸込口2sから流入する作動流体は、吸込領域95を介して吸込室90に吸い込まれる。
そして、旋回スクロール3が旋回運動することにより、吸込室90は、閉込み開始によって圧縮室100へ移行した後、スクロールラップ中央へ移送しつつ容積が縮小することによって圧縮室100の内部の作動流体を圧縮し、吐出穴2dから図1に示すケーシング8の内部の上部空間である固定背面室120へ流出する。
これにより、ケーシング8の内部の圧力は吐出圧となり、いわゆる高圧チャンバ方式のスクロール圧縮機1となる。なお、過圧縮条件では、圧縮室100の内部の圧力が吐出圧よりも高くなるため、図2に示すバイパス弁22が開いて、バイパス穴2eを介して、圧縮室100(100a,100b)の内部の作動流体を固定背面室120へ流出させる。このような構成により、過圧縮を抑制できるため、スクロール圧縮機1の性能が向上するという効果がある。
固定背面室120へ流出した作動流体は、その後、固定スクロール2とフレーム4の外周部の溝により、モータ7の上部空間へ流入し、吐出パイプ55から外部へ吐出される。
次に、油の流れに沿って説明する。
貯油部125の油は、吐出圧(ケーシング8の内部の圧力)と背圧(背圧室110の内部の圧力)の差圧により、図1に示すように、貯油部125から、給油パイプ6x、クランク軸6内の給油穴6bを通って旋回軸受23と主軸受24を潤滑した後、背圧室110へと流入する。
ここで、ピン部6aの上部の旋回軸受室115の圧力は吐出圧となるため、旋回スクロール3を固定スクロール2へ付勢する引付力付加手段の一つとなる。また、副軸受25へは給油穴6bから遠心力によって給油するようになっている。
背圧室110へ流入した油は、吐出圧であるため、背圧室110の圧力を昇圧する効果がある。また、油に作動流体が溶け込んでいる場合には、背圧室110へ流入したことによる減圧によってガス化するため、これにともなう背圧室110の圧力上昇効果も加わる。この背圧室110への給油によって、図2に示すオルダムリング5の潤滑を行う。
その後、背圧室110へ流入した油のうちのごく少量の油が、後述する吸込領域給油手段70(後述する図6参照)によって吸込領域95へ流入し、残りの油である大部分の油は、図2に示すように、途中に背圧弁26を設けた圧縮室連通路60によって閉込み開始後の圧縮室100へ流入する。このように油を供給することにより、シール性を向上させることができるようになっている。
このように、吸込領域給油手段70により吸込領域95へ給油され、また、圧縮室連通路60により圧縮室100へ給油されることにより、圧縮室100の内部の作動流体は油を含んだ状態となるが、吐出穴2dから固定背面室120へ作動流体が流出したとき、ケーシング8の内壁に油が付着して作動流体と分離する。そして、付着した油は、ケーシング8の内壁を伝って、最終的にスクロール圧縮機1の底部の貯油部125へ戻るようになっている。
また、作動流体の一部は、モータ7の外周溝や巻線隙間を通って、モータ7の上部空間とモータ7の下部空間との間を往復した後に吐出パイプ55から吐出される。これにより、ステータ7bの巻線や積層鋼板へ油が付着する確率が高くなり、作動流体中の油の分離が促進されるようになっている。
<吸込領域給油手段>
次に、油溜領域である背圧室110から吸込領域95へ給油する吸込領域給油手段70の構成について図4から図6を用いて説明する。図4は、旋回スクロール3の上面図である。図5は、旋回スクロール3の縦断面図である。図6は、固定スクロール2を上部から透視して固定スクロール下面(固定台板面2u)と旋回スクロール上面(旋回鏡板上面3a1)における吸込領域給油手段70を示す部分拡大透視図(図3のQ部)である。
ここで、油溜領域である背圧室110(図1参照)と吸込領域95(図3参照)との間には、固定スクロール2の固定台板面2uと旋回スクロール3の旋回鏡板上面3a1とにより、シール領域が形成されている。即ち、スラスト支持面である固定台板面2uとスラストシール面である旋回鏡板上面3a1とで、油溜領域である背圧室110と吸込領域95との間をシールするシール領域が形成されている。
吸込領域給油手段70は、図6に示すように、油溜貫通穴70a(油溜連結路)と、折線油溝70b(油溜凹部)と、吸込掘込み70c(吸込連結路)と、で構成されている。
油溜貫通穴70aは、図4および図5に示すように、旋回スクロール3の旋回鏡板3aに形成された貫通穴であり、スラストシール面である旋回鏡板上面3a1と、旋回スクロール3の旋回鏡板3aの下面側に形成される油溜領域である背圧室110(図1参照)とを連絡するようになっている。なお、油溜貫通穴70aの旋回鏡板上面3a1の側の開口部を油溜凹口70abと称するものとする。
吸込掘込み70cは、図4および図5に示すように、旋回スクロール3の旋回鏡板3aのスラストシール面である旋回鏡板上面3a1に形成された掘り込みである。
折線油溝70bは、図6に示すように、スラスト支持面である固定スクロール2の固定台板面2uに形成された溝であり、吸込側油溝部70bcと、吸込側油溝部70bcにほぼ垂直な方向となる油溜側油溝部70baとが繋がって形成され、2本の異なる方向に延在する溝部からなる「く」の字状となっている。
ここで、油溜貫通穴70aおよび吸込掘込み70cは、旋回運動する旋回スクロール3の旋回鏡板3aに設けられているのに対し、折線油溝70bは、固定される固定スクロール2の固定台板面2uに設けられている。このため、油溜貫通穴70aの油溜凹部側開口部である油溜凹口70abと吸込掘込み70cは、折線油溝70bに対して、旋回スクロール3の旋回運動と同じ旋回半径で旋回運動を行う。
また、固定スクロール2の固定台板面2uに設けられた折線油溝70bと吸込領域95との間には、吸込境界線70dがある。
図6には、旋回運動に伴う油溜凹口70abと吸込掘込み70cの掃引領域を一点鎖線で示し、油溜凹口70abと吸込掘込み70cの旋回運動の回転方向を矢印で示す。油溜凹口70abの旋回中心はCaであり、吸込掘込み70cの旋回中心はCcである。また、旋回外線側圧縮室100a(図3(a)参照)の閉込み開始時の油溜凹口70abと吸込掘込み70cの位置を実線で示し、旋回内線側圧縮室100b(図3(b)参照)の閉込み開始時の油溜凹口70abと吸込掘込み70cの位置を二点鎖線で示す。
図6に示すように、油溜凹口70abは、旋回スクロール3の1旋回につき、2回、折線油溝70bの油溜側油溝部70baの下に配置され、油溜領域である背圧室110と折線油溝70bが連結するようになっている。
また、吸込掘込み70cは、旋回スクロール3の1旋回につき、2回、折線油溝70bの吸込側油溝部70bcと吸込領域95との間の吸込境界線70dを跨ぐように配置され、折線油溝70bと吸込領域95が連結するようになっている。
そして、油溜側油溝部70baと吸込側油溝部70bcが、ほぼ垂直な方向に形成されていることにより、これらの連結は、交互に起こり、同時に連結することはないようになっている。
即ち、吸込掘込み70c(吸込連結路)は、旋回スクロール3の1旋回につき、2回だけ間欠的に折線油溝70b(油溜凹部)と吸込領域95とを連結する期間(吸込室給油旋回角期間)を有し、油溜貫通穴70a(油溜連結路)は、吸込掘込み70c(吸込連結路)が連結しない期間(吸込室無給油旋回角期間)内に背圧室110(油溜領域)と折線油溝70b(油溜凹部)と連結する期間(油溜給油旋回角期間)を有している。
<吸込領域給油手段70の動作>
吸込領域給油手段70の動作について図7および図8を用いて更に説明する。図7および図8は、吸込領域給油手段70の動作の流れを説明する図である。
図7(a)に示すように、油溜凹口70abが折線油溝70bの下に配置されることにより、油溜貫通穴70aを介して、背圧室110と折線油溝70bを連結し、背圧室110から折線油溝70bへ折線油溝70bの容積を最大値とする油量が供給される。なお、折線油溝70bの圧力は、背圧室110の圧力(背圧)となる。
そして、旋回スクロール3が旋回することにより、油溜凹口70abが折線油溝70bの下から外れて、背圧室110と折線油溝70bとの連結が解除される。
背圧室110と折線油溝70bとの連結が解除された後で、図7(b)に示すように、吸込掘込み70cを介して、折線油溝70bと吸込領域95を連結する。ここで、折線油溝70bの圧力(背圧)は、吸込領域95の圧力(吸込圧)よりも高いため、折線油溝70bの油は吸込掘込み70cを通って、吸込領域95へ噴出する。これにより、吸込領域95(旋回外線側吸込室90a)への給油を実現することができる。また、この際、背圧室110と折線油溝70bとの連結が解除されているため、折線油溝70bの容積を最大給油量とするポケット給油を実現することができる。
そして、旋回スクロール3が旋回することにより、図7(c)に示すように、旋回外線側吸込室90aは閉込みを開始して、密閉空間である旋回外線側圧縮室100aへ移行する。また、吸込掘込み70cが移動することにより、折線油溝70bと吸込領域95の連結が解除される。
そして、旋回スクロール3が旋回することにより、図8(a)に示すように、油溜凹口70abが折線油溝70bの下に配置されることにより、油溜貫通穴70aを介して、背圧室110と折線油溝70bを連結し、背圧室110から折線油溝70bへ折線油溝70bの容積を最大値とする油量が供給される。
そして、旋回スクロール3が旋回することにより、油溜凹口70abが折線油溝70bの下から外れて、背圧室110と折線油溝70bとの連結が解除される。
背圧室110と折線油溝70bとの連結が解除された後で、図8(b)に示すように、吸込掘込み70cを介して、折線油溝70bと吸込領域95を連結して、吸込領域95(旋回内線側吸込室90b)へのポケット給油を実現することができる。
そして、旋回スクロール3が旋回することにより、図8(c)に示すように、旋回内線側吸込室90bは閉込みを開始して、密閉空間である旋回内線側圧縮室100bへ移行する。また、吸込掘込み70cが移動することにより、折線油溝70bと吸込領域95を連結が解除される。
図7および図8に示すように、吸込領域給油手段70は、旋回スクロール3の1旋回につき、旋回外線側吸込室90aおよび旋回内線側吸込室90bへ、合計2回の給油動作を行うことができるようになっている。
このようにして、吸込領域給油手段70は、いわゆるポケット給油を、各々の吸込室(90a,90b)に対して行うことができるとともに、給油量を折線油溝70b(油溜凹部)の容積で制御することができ、給油量の管理が容易になるという効果がある。
なお、ポケット給油でない場合には、油溜領域(背圧室110)と吸込領域95が直接連通する期間があるため、給油量を管理するためには、この連通時間および連通流路の抵抗を高精度に管理する必要がある。このため、吸込領域給油手段の各構成要素の形状や設定位置の公差を小さく設定しなければならなくなり、加工コストが増大するという問題が生じる。
これに対し、本実施形態に係る吸込領域給油手段70は、折線油溝70b(油溜凹部)の容積で給油量を容易に管理することができ、加工コストを低減できるという効果がある。この効果は、油溜領域(背圧室110)の圧力(背圧)と吸込領域95の圧力(吸込圧)との圧力差が非常に大きいCO等の高圧流体を作動流体とする場合、特に有効となる。
<吸込室給油旋回角期間、油溜給油旋回角期間>
ここで、油溜貫通穴70a(油溜連結路)および吸込掘込み70c(吸込連結路)の連結/非連結のタイミングについて図28を用いて説明する。図28は、吸込室90の面積変化と吸込室給油旋回角期間および油溜給油旋回角期間の関係を示すグラフである。ここで、縦軸は吸込室90の面積であり、横軸は旋回スクロール3の旋回角である。
ここで、吸込室90(旋回外線側吸込室90a,旋回内線側吸込室90b)の面積は、以下のように定義する。
旋回外線側吸込室90aの面積Saは、旋回運動の軸方向に旋回外線側吸込室90aを投影し、旋回ラップ3bの旋回外線巻終り(閉込み時に固定スクロール2の内線の巻終りである内線側固定巻終りβと接する点)から固定スクロール2の内線へ降ろした垂線を外線側吸込室仕切り線La(図7参照)として定義する閉領域の面積である。
旋回内線側吸込室90bの面積Sbは、旋回運動の軸方向に旋回内線側吸込室90bを投影し、旋回ラップ3bの旋回内線巻終り(閉込み時に固定スクロール2の外線の巻終りである外線側固定巻終りγと接する点)から固定スクロール2の外線へ降ろした垂線を内線側吸込室仕切り線Lb(図8参照)として定義する閉領域の面積である。
また、第1実施形態に係るスクロール圧縮機1の固定ラップ2bおよび旋回ラップ3bは、いわゆる非対称歯形であり、図28に示すように、旋回外線側吸込室90aの閉込み時の旋回角から概略180度ずれた旋回角時に旋回内線側吸込室90bが閉込みを開始するようになっている。
一般にスクロール圧縮機の2系統の吸込室面積は、各々、閉込み開始を起こす旋回角の20度〜60度手前で面積が最大となる(この時の旋回角を、各々、「外線側吸込室最大面積旋回角θa」と「内線側吸込室最大面積旋回角θb」と称する)。
この結果、旋回外線側吸込室90aは、外線側吸込室最大面積旋回角θaまで吸込領域95から作動流体を吸い込み、その後、閉込み開始までの数十度の旋回角期間では吸込領域95へ作動流体を吐き出す。同様に、旋回内線側吸込室90bは、内線側吸込室最大面積旋回角θbまで吸込領域95から作動流体を吸い込み、その後、閉込み開始までの数十度の旋回角期間では吸込領域95へ作動流体を吐き出す。
しかし、その最大面積は、閉込み開始時の面積の高々105%程度であり、各吸込室90の閉込み前の作動流体の理論的な吐き出し量は極めて少量となる。このため、実際の多くの場合、作動流体の流れの慣性により、吸込室90から吸込領域95への吐き出し流れがほとんど生じず、閉込み開始近くまで吸込動作を継続する。
このため、本実施形態の吸込室給油旋回角期間は、上記の説明したことを考慮し、図28の矢印で示すように、吸込室給油旋回角期間の終了旋回角を各吸込室90の閉込み開始角まで延長している。
即ち、外線側吸込室最大面積旋回角θaよりも30度前の旋回角から外線側吸込室最大面積旋回角θaよりも遅くかつ閉込み開始角に至る旋回角期間(外線側吸込室給油旋回角期間Ta)で、吸込掘込み70c(吸込連結路)を介して、折線油溝70b(油溜凹部)と吸込領域95とを連結させる。
これにより、旋回外線側吸込室90aの閉込み開始前の短い旋回角期間で、かつ、旋回外線側吸込室90aが吸込領域95から作動流体を吸い込みときに、吸込領域給油手段70は吸込領域95へ油を供給することになる。
この結果、吸込領域給油手段70により給油したほぼ全量を旋回外線側吸込室90a内へ流入させることができるうえに、吸込領域95と圧縮室100とのシール部となる吸込室90の入口付近へ集中的に給油することができるため、極めて少量の給油量で吸込領域95とのシール性を効果的に増大できるという効果がある。
同様に、内線側吸込室最大面積旋回角θbよりも30度前の旋回角から内線側吸込室最大面積旋回角θbよりも遅くかつ閉込み開始角に至る旋回角期間(内線側吸込室給油旋回角期間Tb)で、吸込掘込み70c(吸込連結路)を介して、折線油溝70b(油溜凹部)と吸込領域95とを連結させる。
これにより、旋回内線側吸込室90bの閉込み開始前の短い旋回角期間で、かつ、旋回内線側吸込室90bが吸込領域95から作動流体を吸い込みときに、吸込領域給油手段70は吸込領域95へ油を供給することになる。
この結果、吸込領域給油手段70により給油したほぼ全量を旋回内線側吸込室90b内へ流入させることができるうえに、吸込領域95と圧縮室100とのシール部となる吸込室90の入口付近へ集中的に給油することができるため、極めて少量の給油量で吸込領域95とのシール性を効果的に増大できるという効果がある。
外線側吸込室給油旋回角期間Taの前に背圧室110(油溜領域)と折線油溝70b(油溜凹部)と連結して折線油溝70bに油を供給する旋回角期間(内外油溜給油旋回角期間Tc)は、内線側吸込室給油旋回角期間Tbの終了旋回角よりも後で、かつ、外線側吸込室給油旋回角期間Taの開始旋回角よりも前の吸込室無給油旋回角期間の間となっている。
また、内線側吸込室給油旋回角期間Tbの終了旋回角と内外油溜給油旋回角期間Tcの開始旋回角との間に所定の旋回角期間を設け、内外油溜給油旋回角期間Tcの終了旋回角と外線側吸込室給油旋回角期間Taの開始旋回角との間に所定の旋回角期間を設けることにより、油溜領域(背圧室110)と吸込領域95が直接連通することがないようになっている。
内線側吸込室給油旋回角期間Tbの前に背圧室110(油溜領域)と折線油溝70b(油溜凹部)と連結して折線油溝70bに油を供給する旋回角期間(外内油溜給油旋回角期間Td)は、外線側吸込室給油旋回角期間Taの終了旋回角よりも後で、かつ、内線側吸込室給油旋回角期間Tbの開始旋回角よりも前の吸込室無給油旋回角期間の間となっている。
また、外線側吸込室給油旋回角期間Taの終了旋回角と外内油溜給油旋回角期間Tdの開始旋回角との間に所定の旋回角期間を設け、外内油溜給油旋回角期間Tdの終了旋回角と内線側吸込室給油旋回角期間Tbの開始旋回角との間に所定の旋回角期間を設けることにより、油溜領域(背圧室110)と吸込領域95が直接連通することがないようになっている。
<効果>
本実施形態に係るスクロール圧縮機1の効果について、従来例のスクロール圧縮機(例えば、特許文献1参照)と比較しつつ説明する。図26は、吸込給油量(吸込領域95への給油量)の変化に伴うシール性向上による効率向上量と吸込加熱による効率低下量の関係を示すグラフである。
前記したように、本実施形態に係るスクロール圧縮機1は、旋回スクロール3の1旋回に対して2回給油することができるため、旋回外線側吸込室90aおよび旋回内線側吸込室90bのそれぞれに給油することができる。また、吸込領域95と圧縮室100とのシール部となる吸込室90の入口付近へ集中的に給油することができるため、従来例と比較して、同じ吸込給油量でも吸込領域95と圧縮室100とのシール性を効果的に向上させることができる。
ここで、油温が作動流体の吸込温度よりも高い場合、図26に示すように、吸込給油量の増加にほぼ比例して、吸込加熱による効率が低下する。
一方、シール性向上による効率向上量は、図26に示すように、吸込加熱とは傾向が異なり、少量の給油時で急激に効率向上し、その後、効率向上量は飽和する。
即ち、スクロール圧縮機の効率向上量は、シール性の向上による効率向上量と吸込加熱(反転)との差分となる。
図27は、吸込給油量の変化に伴うスクロール圧縮機の効率向上量を示すグラフである。
図27に示すように、本実施形態に係るスクロール圧縮機1は、従来例のスクロール圧縮機と比較して、吸込給油量に対する圧縮機効率を向上させることができる。
ここで、図27に示すように、スクロール圧縮機1の圧縮機効率を向上させるためには、吸込給油量を高精度に管理する必要がある。本実施形態に係るスクロール圧縮機1の吸込領域給油手段70は、折線油溝70bの容積を最大給油量とするポケット給油により、吸込給油量を高精度に管理することができ、スクロール圧縮機1の圧縮機効率を確実に向上できるという効果がある。
即ち、吸込領域給油手段70により少量の油でも漏れ戻りによる循環低下量Gcを減少させることができるので、吸込加熱による循環低下量Gsの増大をできるだけ小さくすることができるようになっている。
一方、圧縮室連通路60により圧縮室100へ流入させる油は、閉込み開始後であるため、多量かつ高温であっても、吸込加熱による循環低下量Gsを増大させないようになっている。
また、油を供給することによりシール性を向上させて、閉込み開始後の漏れ戻りによる循環低下量Gcを低減させることができるようになっている。
<変形例>
なお、各吸込室給油旋回角期間の開始旋回角を吸込室最大面積旋回角よりも30度前の旋回角とするものとして説明したが、これに限られるものではない。
図28に示すように、吸込室面積Sa,Sbは、旋回角の増加とともに増大し、閉込み開始時の面積を超え、吸込室最大面積旋回角θa,θbで最大値となって、その後、旋回角の増加とともに減少し、閉込み開始時に閉込み開始時の面積となる。
ここで、吸込室最大面積旋回角の付近、より具体的には、吸込室面積が最初に閉込み開始時の面積となった時から閉込み時までにおいて、吸込室面積の変化量(吸込室面積の傾き)が小さくなっており、作動流体を吸込室90へ吸い込む力も小さくなっている。
このため、各吸込室給油旋回角期間の開始旋回角を閉込み開始時の面積と略等しくなった時から吸込室最大面積旋回角までの間に設定してもよい。これにより、吸込領域給油手段70により給油された油が吸込室90の奥へ吸い込みさせることを低減して、吸込室90の入口付近へより集中的に給油することができるようになっている。
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態に係るスクロール圧縮機について説明する。なお、第1実施形態に係るスクロール圧縮機と重複する点は、説明を省略する。
図9は、第2実施形態に係るスクロール圧縮機1の旋回スクロール3の上面図である。図10は、第2実施形態に係るスクロール圧縮機1の旋回スクロール3の縦断面図である。
第2実施形態に係るスクロール圧縮機1の吸込領域給油手段70は、油溜L字穴70a2と、折線油溝70b(図6参照)と、吸込掘込み70cと、を備えている。
油溜連結路である油溜L字穴70a2は、一端が油溜凹部側開口部である油溜凹口70abに開口し、他端が旋回軸受室115(図1参照)に開口している。即ち、油溜領域を吐出圧で液体の油が満たされた旋回軸受室115とするようになっている。
このように構成することにより、作動流体中に油ミストが浮遊している背圧室110を油溜領域とする第1実施形態と比較して、折線油溝70b(油溜凹部)に液体の油を供給することができるので、折線油溝70bの容積で吸込領域給油手段70の給油量を一層高精度に設定することができ、スクロール圧縮機1の圧縮機効率が高くなる吸込給油量(図27参照)を容易に実現することができる。
≪第3実施形態≫
次に、第3実施形態に係るスクロール圧縮機について説明する。なお、第1実施形態に係るスクロール圧縮機と重複する点は、説明を省略する。
図11は、第3実施形態に係るスクロール圧縮機1の固定スクロール2を上部から透視して固定スクロール下面(固定台板面2u)と旋回スクロール上面(旋回鏡板上面3a1)における吸込領域給油手段70を示す部分拡大透視図(図3のQ部)である。
第3実施形態に係るスクロール圧縮機1の吸込領域給油手段70は、油溜凹口70abを有する油溜貫通穴70a(または、油溜L字穴70a2)と、折線油溝70bと、吸込掘込み70c2と、を備えている。
吸込連結路である吸込掘込み70c2は、第1実施形態の吸込掘込み70cよりも、小径に形成されている。
このように構成することにより、旋回外線側吸込室90aの閉じ込み時(図11の実線参照)および旋回内線側吸込室90bの閉じ込み時(図11の二点鎖線参照)に示すように、閉込み時において、吸込掘込み70c2は、吸込境界線70dを跨がなくなっており、非連結となっている。なお、図28において、第3実施形態に係る外線側吸込室給油旋回角期間Taおよび内線側吸込室給油旋回角期間Tbを破線で示す。
これにより、最もシール性に効果がある吸込室最大面積旋回角θa,θbで給油するとともに、給油する旋回角度間隔を狭くすることができるので、シール性をほとんど低下させることなく、吸込給油量を低減できるため、吸込過熱をより抑制することができ、圧縮機効率をより向上させることができる。
≪第4実施形態≫
次に、第4実施形態に係るスクロール圧縮機について説明する。なお、第1実施形態に係るスクロール圧縮機と重複する点は、説明を省略する。
図12は、第4実施形態に係るスクロール圧縮機1の固定スクロール2を上部から透視して固定スクロール下面(固定台板面2u)と旋回スクロール上面(旋回鏡板上面3a1)における吸込領域給油手段70を示す部分拡大透視図(図3のQ部)である。
第4実施形態に係るスクロール圧縮機1の吸込領域給油手段70は、油溜凹口70abを有する油溜貫通穴70a(または、油溜L字穴70a2)と、折線油溝70bと、溝状吸込掘込み70c3と、を備えている。
吸込連結路である溝状吸込掘込み70c3は、第1実施形態の吸込掘込み70および第3実施形態の吸込掘込み70c2と異なり、吸込室仕切り線La,Lb(図7,8参照)に向いた溝状に形成されている。
このように構成することにより、溝状吸込掘込み70c3が吸込境界線70dを跨いで折線油溝70bと吸込領域95とを連結させた時、溝状吸込掘込み70c3の溝方向に沿って油が噴出する。この溝は前記したように各吸込室90のもっともシール性を要する吸込室仕切り線La,Lb(図7,8参照)へ向くように形成されているため、より効率よくシール性を向上させることができる。そして、シール性を向上させることにより、吸込給油量を低減できるため、吸込過熱をより抑制することができ、圧縮機効率をより向上させることができる。
≪第5実施形態≫
次に、第5実施形態に係るスクロール圧縮機について説明する。なお、第4実施形態に係るスクロール圧縮機と重複する点は、説明を省略する。
図13は、第5実施形態に係るスクロール圧縮機1の固定スクロール2を上部から透視して固定スクロール下面(固定台板面2u)と旋回スクロール上面(旋回鏡板上面3a1)における吸込領域給油手段70を示す部分拡大透視図(図3のQ部)である。
第5実施形態に係るスクロール圧縮機1の吸込領域給油手段70は、油溜凹口70abを有する油溜貫通穴70a(または、油溜L字穴70a2)と、細溝折線油溝70b2と、溝状吸込掘込み70c3と、を備えている。
油溜凹部である細溝折線油溝70b2は、細溝吸込側油溝部70b2cと、細溝吸込側油溝部70b2cにほぼ垂直な方向となる細溝油溜側油溝部70b2aとが繋がって形成され、第1実施形態の折線油溝70bよりも、細く形成されている。
このように形成することにより、油溜連結路である油溜貫通穴70a(または、油溜L字穴70a2)により、油溜領域である背圧室110(または、旋回軸受室115)と油溜凹部である細溝折線油溝70b2とが連結する期間、即ち、内外油溜給油旋回角期間Tcおよび外内油溜給油旋回角期間Tdを短くすることができるので、溝状吸込掘込み70c3を吸込室仕切り線La,Lb(図7,8参照)に向いた溝状に形成しても、油溜領域(背圧室110または旋回軸受室115)と吸込領域95が直接連通することがないようにすることができ、ポケット給油を実現することができる。
≪第6実施形態≫
次に、第6実施形態に係るスクロール圧縮機について説明する。なお、第5実施形態に係るスクロール圧縮機と重複する点は、説明を省略する。
図14は、第6実施形態に係るスクロール圧縮機1の固定スクロール2を上部から透視して固定スクロール下面(固定台板面2u)と旋回スクロール上面(旋回鏡板上面3a1)における吸込領域給油手段70を示す部分拡大透視図(図3のQ部)である。
第6実施形態に係るスクロール圧縮機1の吸込領域給油手段70は、油溜凹口70abを有する油溜貫通穴70a(または、油溜L字穴70a2)と、細溝折線油溝70b2と、溝状吸込掘込み70c3と、吸込領域95と通じる固定スクロール2に形成された吸込圧溝2rと、を備えている。
吸込圧溝2rは、細溝折線油溝70b2よりも固定スクロール2の外周側に形成され、固定スクロール2の周方向において細溝折線油溝70b2よりも長く形成されていることが望ましい。
ここで、細溝折線油溝70b2の圧力は、油溜領域である背圧である背圧室110(または、吐出圧である旋回軸受室115)から油が供給される際、吸込領域95の吸込圧よりも高圧となっており、旋回スクロール3を固定スクロール2から離す方向の力がかかって付勢力が低下することとなる。これに対し、吸込圧である吸込領域95と通じる吸込圧溝2rを形成することにより、吸込圧溝2rの圧力を吸込圧とすることができるので、旋回スクロール3を固定スクロール2の方向に付勢する付勢力を維持することができるので、付勢力の変動による旋回スクロール3の揺動が抑制され、漏れ戻りを低減し、圧縮機効率のばらつきが抑制され、圧縮機効率の平均値が向上するという効果がある。
≪第7実施形態≫
次に、第7実施形態に係るスクロール圧縮機について説明する。なお、第1実施形態に係るスクロール圧縮機と重複する点は、説明を省略する。第7実施形態に係るスクロール圧縮機は、旋回スクロール3がフレーム4へ付勢されるスクロール圧縮機であり、例えば、ケーシング8の内部の圧力は吸込圧となる、いわゆる低圧チャンバ方式のスクロール圧縮機である。
図15は、第7実施形態に係るスクロール圧縮機1の図1のS部における部分拡大縦断面図である。図16は、第7実施形態に係るスクロール圧縮機1の固定スクロール2を上部から透視した旋回スクロール3とフレーム4との組図であり、(a)は旋回内線側吸込室90bが形成されている状態であり、(b)は旋回外線側吸込室90aが形成されている状態である。図17は、第7実施形態に係るスクロール圧縮機1の旋回スクロール3の縦断面図である。図18は、第7実施形態に係るスクロール圧縮機1の旋回スクロール3の下面図である。図19は、第7実施形態に係るスクロール圧縮機1の固定スクロール2を上部から透視して旋回スクロール3の下面(旋回鏡板下面3a2)とフレーム4の上面(フレーム支持面4u)における吸込領域給油手段70を示す部分拡大透視図(図16のT部)である。
図15に示すように、オルダムリング5は、旋回鏡板3aの上部に配置される。
旋回スクロール3がフレーム4へ付勢されることにより、吸込領域95と背圧室110の間は、旋回スクロール3の旋回鏡板下面3a2とフレーム4のフレーム支持面4uによりシール領域を形成する。さらに詳細に述べると、旋回鏡板下面3a2はスラストシール面、フレーム支持面4uはスラスト支持面となる。また、油溜領域である背圧室110の背圧を設定するため、圧縮室連通路60が形成される。この圧縮室連通路60の設置は、2通り考えられ、フレーム4の側を通って固定スクロール2の歯底に至る通路と、旋回鏡板3aを貫通する通路が考えられる。これらは、通路だけでもよいが、その途中に背圧弁26を適宜設置してもよい。
吸込領域給油手段70は、図17、図18および図19に示すように、旋回鏡板下面3a2に形成された油溜掘込み70a3(油溜連結路)と、フレーム支持面4uに形成されたフレーム油溜70b3(油溜凹部)と、旋回鏡板下面3a2に形成された吸込貫通穴70c4(吸込連結路)と、で構成され、旋回ラップの巻終り付近に形成されている。
このように構成することにより、旋回スクロール3がフレーム4へ付勢されるスクロール圧縮機に適用することができる。旋回鏡板下面3a2には旋回ラップ3bが立設していないため、シール領域を広く取ることが可能となり、吸込領域給油手段70の設計の自由度を向上させることができるという効果がある。
≪第8実施形態≫
次に、第8実施形態に係るスクロール圧縮機について説明する。なお、第7実施形態に係るスクロール圧縮機と重複する点は、説明を省略する。
図20は、第8実施形態に係るスクロール圧縮機1の旋回スクロール3の縦断面図である。図21は、第8実施形態に係るスクロール圧縮機1の旋回スクロール3の下面図である。図22は、第8実施形態に係るスクロール圧縮機1の固定スクロール2を上部から透視して旋回スクロール3の下面(旋回鏡板下面3a2)とフレーム4の上面(フレーム支持面4u)における吸込領域給油手段70を示す部分拡大透視図(図16のT部)である。
第8実施形態に係るスクロール圧縮機1の吸込領域給油手段70は、油溜L字背面穴70a4(油溜連結路)と、フレーム支持面4uに形成されたフレーム油溜70b4(油溜凹部)(図19参照)と、旋回鏡板下面3a2に形成された吸込貫通穴70c4(吸込連結路)と、で構成されている。
油溜連結路である油溜L字背面穴70a4は、一端が旋回鏡板下面3aに形成された油溜凹部側開口部で開口し、他端が旋回軸受室115に開口している。即ち、油溜領域を液体の油が満たされた旋回軸受室115とするようになっている。
このように構成することにより、作動流体中に油ミストが浮遊している背圧室110を油溜領域とする第7実施形態と比較して、フレーム油溜70b3(油溜凹部)に液体の油を供給することができるので、フレーム油溜70b3の容積で吸込領域給油手段70の給油量を高精度に設定することができ、スクロール圧縮機1の圧縮機効率が高くなる吸込給油量(図27参照)を容易に実現することができる。
また、図22に示すように、フレーム油溜70b4を構成する吸込側溝部70b4cと油溜側溝部70b4aの角度を鋭角に変更したため、フレーム油溜70b4が吸込圧となる時間が増加し、旋回鏡板3aがフレーム4へ安定して付勢される。これにより、付勢力の変動による旋回スクロール3の揺動が抑制され、漏れ戻りを低減し、圧縮機効率のばらつきが抑制され、圧縮機効率の平均値が向上するという効果がある。
≪第9実施形態≫
次に、第9実施形態に係るスクロール圧縮機について説明する。なお、他の実施形態に係るスクロール圧縮機と重複する点は、説明を省略する。
図23は、第9実施形態に係るスクロール圧縮機1の図1のS部における部分拡大縦断面図である。図24は、第9実施形態に係るスクロール圧縮機1の旋回スクロール3の上面図である。図25は、第9実施形態に係るスクロール圧縮機1の固定スクロール2を上部から透視して固定スクロール下面(固定台板面2u)と旋回スクロール上面(旋回鏡板上面3a1)における吸込領域給油手段70を示す部分拡大透視図(図3のQ部)であり、旋回スクロール3を固定したものとして相対的に固定スクロール2が旋回するものとして図示している。
第1から第8実施形態に係るスクロール圧縮機1は、スラストシール面(旋回鏡板上面3a1または旋回鏡板下面3a2)に油溜連結路および吸込連結路を形成し、スラスト支持面(固定台板面2uまたはフレーム支持面4u)に油溜凹部を形成する構成であるものとしたが、第9実施形態に係るスクロール圧縮機1は、スラストシール面(旋回鏡板上面3a1または旋回鏡板下面3a2)に油溜凹部を形成し、スラスト支持面(固定台板面2uまたはフレーム支持面4u)に油溜連結路および吸込連結路を形成する構成である。
この第9実施形態に係る吸込領域給油手段70は、スラスト支持面である固定台板面2uに形成された油溜固定穴70a5(油溜連結路)と、スラストシール面である旋回鏡板上面3a1に形成された旋回油溜70b5(油溜凹部)と、スラスト支持面である固定台板面2uに形成された吸込L字固定穴70c5(吸込連結路)と、を備えている。
固定台板面2uにスラスト損失を低減する施策が施された場合、固定台板面2uをそのまま保持することが必要になる。その場合、この方式では、固定台板面2uにほとんど手を加える必要がなくなるので、スラスト損失低減効果を損なうことなく、体積効率向上とそれに伴う圧縮機効率の向上を実現する効果がある。
なお、図23に示すように、第9実施形態に係る吸込領域給油手段70の油溜固定穴70a5(油溜連結路)は、背圧室110を油溜領域とするものとして説明したが、これに限られるものではない。油溜連結路を、油溜固定穴70a5にかえて、スクロール圧縮機1の外部から来る油溜固定外部穴70a6としてもよい。
例えば、底ケーシング8cの下部から貯油部125の油をスクロール圧縮機1の外部へ取り出し、熱交換器で油を冷却してから、油溜固定外部穴70a6から冷却された油を供給するようにしてもよい。これにより、吸込給油の油温度は低くなるため、吸込過熱が抑制され、より大きな圧縮機効率の向上を実現できるという効果がある。
また、スクロール圧縮機1の外部から油を取り込むのではなく、固定スクロール2の上部から油を取り出す構成であってもよい。固定スクロール2の上部には、吐出穴2dから油が噴出してくるため、常時油が溜まる。この油を油溜領域として、油溜連結路を構成してもよい。
1 スクロール圧縮機
2 固定スクロール
2a 固定鏡板
2b 固定ラップ
2r 吸込圧溝
2s 吸込口(吸込流路)
2u 固定台板面(スラスト支持面)
3 旋回スクロール
3a 旋回鏡板
3a1 旋回鏡板上面(スラストシール面)
3a2 旋回鏡板下面(スラストシール面)
3b 旋回ラップ
4 フレーム
4u フレーム支持面
50 吸込パイプ(吸込流路)
70 吸込領域給油手段
70a 油溜貫通穴(油溜連結路)
70a2 油溜L字穴(油溜連結路)
70a3 油溜掘込み(油溜連結路)
70a4 油溜L字背面穴(油溜連結路)
70a5 油溜固定穴(油溜連結路)
70a6 油溜固定外部穴(油溜連結路)
70ab 油溜凹口(油溜凹側口)
70b 折線油溝(油溜凹部)
70b2 細溝折線油溝(油溜凹部)
70b3 フレーム油溜(油溜凹部)
70b4 フレーム油溜(油溜凹部)
70b5 旋回油溜(油溜凹部)
70ba 油溜側油溝部
70bc 吸込側油溝部
70c 吸込掘込み(吸込連結路)
70c2 吸込掘込み(吸込連結路)
70c3 溝状吸込掘込み(吸込連結路)
70c4 吸込貫通穴(吸込連結路)
70c5 吸込L字固定穴(吸込連結路)
70d 吸込境界線(境界)
90 吸込室
90a 旋回外線側吸込室
90b 旋回内線側吸込室
95 吸込領域
100 圧縮室
100a 旋回外線側圧縮室
100b 旋回内線側圧縮室
110 背圧室(油溜領域)
115 旋回軸受室(油溜領域)
Sa 旋回外線側吸込室面積
Sb 旋回内線側吸込室面積
La 外線側吸込室仕切り線
Lb 内線側吸込室仕切り線
Ta 外線側吸込室給油旋回角期間
Tb 内線側吸込室給油旋回角期間
Tc 内外油溜給油旋回角期間
Td 外内油溜給油旋回角期間
θa 外線側吸込室最大面積旋回角
θb 内線側吸込室最大面積旋回角

Claims (14)

  1. 旋回鏡板とそれに立設した旋回ラップを有し旋回運動する旋回スクロールと、
    固定鏡板とそれに立設した固定ラップを有する固定スクロールと、
    前記固定スクロールが固定され前記旋回鏡板の背面である旋回鏡板下面まで回り込んだ形状を有するフレームと、
    前記固定スクロールと前記旋回スクロールが噛合って両スクロール間に形成される圧縮室が閉込む前の吸込室と外部に通じる吸込流路との間の吸込領域と、
    前記吸込領域の圧力である吸込圧力よりも高圧で油溜される油溜領域と、
    前記旋回スクロールのスラストシール面および前記スラストシール面と対向するスラスト支持面により前記吸込領域と前記油溜領域をシールするシール領域と、
    前記油溜領域の油を前記吸込領域へ、前記旋回運動の1旋回期間に、2回供給する吸込領域給油手段と、を備える
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 前記旋回ラップおよび前記固定ラップは、
    前記旋回ラップの外線側で形成される旋回外線側吸込室の閉込み開始旋回角と、前記旋回ラップの内線側で形成される旋回内線側吸込室の閉込み開始旋回角とが、概略180度異なる非対称歯形であり、
    前記吸込領域給油手段は、
    前記スラストシール面および前記スラスト支持面のいずれか一方の面に設ける油溜凹部と、
    いずれか他方の面を有する部材に設け、前記油溜領域と前記油溜凹部を間欠的に連結する油溜連結路と、
    いずれか他方の面を有する部材に設け、前記油溜凹部と前記吸込領域を間欠的に連結する吸込連結路と、を有し、
    前記吸込連結路は、前記旋回運動の1旋回期間に、
    前記旋回運動の軸方向に前記旋回外線側吸込室を投影した場合の前記旋回ラップの旋回外線巻終りから前記固定ラップの固定内線へ降ろした垂線を外線側吸込室仕切り線として定義する旋回外線側吸込室面積が前記旋回運動に伴って最大となる外線側吸込室最大面積旋回角時を含む一連の外線側吸込室給油旋回角期間と、
    前記旋回運動の軸方向に前記旋回内線側吸込室を投影した場合の前記旋回ラップの旋回内線巻終りから前記固定ラップの固定外線へ降ろした垂線を内線側吸込室仕切り線として定義する旋回内線側吸込室面積が前記旋回運動に伴って最大となる内線側吸込室最大面積旋回角時を含む一連の内線側吸込室給油旋回角期間と、の分断した2期間で連結し、
    前記油溜連結路は、
    前記外線側吸込室給油旋回角期間後でかつ前記内線側吸込室給油旋回角期間前にある第1吸込領域無給油旋回角期間内の外内油溜給油旋回角期間と、
    前記内線側吸込室給油旋回角期間後でかつ前記外線側吸込室給油旋回角期間前にある第2吸込領域無給油旋回角期間内の内外油溜給油旋回角期間と、の分断した2期間で連結する
    ことを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記外線側吸込室給油旋回角期間の終了旋回角は、
    前記外線側吸込室最大面積旋回角以上、前記旋回外線側吸込室の閉込み開始旋回角以内であり、
    前記内線側吸込室給油旋回角期間の終了旋回角は、
    前記内線側吸込室最大面積旋回角以上、前記旋回内線側吸込室の閉込み開始旋回角以内である
    ことを特徴とする請求項2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記外線側吸込室給油旋回角期間の開始旋回角は、
    前記旋回外線側吸込室面積が前記旋回外線側吸込室の閉込み開始時の旋回外線側吸込室面積と略等しくなる旋回角以上、前記外線側吸込室最大面積旋回角以内であり、
    前記内線側吸込室給油旋回角期間の開始旋回角は、
    前記旋回内線側吸込室面積が前記旋回内線側吸込室の閉込み開始時の旋回内線側吸込室面積と略等しくなる旋回角以上、前記内線側吸込室最大面積旋回角以内である
    ことを特徴とする請求項3に記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記スラストシール面は、
    前記旋回鏡板の前記旋回ラップが立設する面である旋回鏡板上面であり、
    前記スラスト支持面は、
    前記旋回鏡板上面と対向する前記固定スクロールの固定台板面である
    ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  6. 前記スラストシール面は、
    前記旋回鏡板の前記旋回ラップが立設する面と反対の面である旋回鏡板下面であり、
    前記スラスト支持面は、
    前記旋回鏡板下面と対向する前記フレームのフレーム支持面である
    ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  7. 前記油溜凹部は、前記スラスト支持面に設けられ、
    前記油溜連結路および前記吸込連結路は、前記スラストシール面を有する部材に設けられる
    ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のスクロール圧縮機。
  8. 前記油溜凹部は、前記スラストシール面に設けられ、
    前記油溜連結路および前記吸込連結路は、前記スラスト支持面を有する部材に設けられる
    ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のスクロール圧縮機。
  9. 前記油溜凹部は、
    延在する吸込側油溝部を有し、
    前記吸込連結路は、
    掘込み形状である吸込掘込みであり、
    前記吸込掘込みは、前記旋回運動による1旋回間に前記油溜凹部と前記吸込領域の境界を2回跨がせる
    ことを特徴とする請求項7に記載のスクロール圧縮機。
  10. 前記油溜凹部は、
    前記吸込側油溝部と異なる方向に延在する油溜側油溝部を有し、
    前記油溜連結路は、
    穴形状である油溜貫通穴であり、前記油溜貫通穴の前記油溜領域側の開口部である油溜側口を前記油溜領域へ常時開口させるとともに、
    前記油溜凹部側の開口部である油溜凹側口を前記旋回運動による1旋回間に前記油溜側油溝部へ2回臨ませる
    ことを特徴とする請求項9に記載のスクロール圧縮機。
  11. 前記吸込掘込みを溝形状である溝状吸込掘込みとし、
    前記溝状吸込掘込みの溝方向を、前記外線側吸込室給油旋回角期間は前記外線側吸込室仕切り線側へ向く方向とし、前記内線側吸込室給油旋回角期間は前記内線側吸込室仕切り線側へ向く方向とする
    ことを特徴とする請求項10に記載のスクロール圧縮機。
  12. 前記油溜凹部は、
    延在する吸込側油溝部を有し、
    前記吸込連結路は、
    穴形状である吸込貫通穴であり、前記吸込貫通穴の前記吸込領域側の開口部である吸込側口を前記吸込領域へ常時開口させるとともに、
    前記油溜凹部側の開口部である吸込凹側口を前記旋回運動による1旋回間に前記吸込側油溝部へ2回臨ませる
    ことを特徴とする請求項8に記載のスクロール圧縮機。
  13. 前記油溜凹部は、
    前記吸込側油溝部と異なる方向に延在する油溜側油溝部を有し、
    前記油溜連結路は、
    掘込み形状である油溜掘込みであり、
    前記油溜掘込みは、前記旋回運動による1旋回間に前記油溜凹部と前記油溜領域の境界を2回跨がせる
    ことを特徴とする請求項12に記載のスクロール圧縮機。
  14. 前記スラスト支持面に前記吸込領域と連結し、前記油溜凹部よりも外周側に設けられる吸込圧溝を有する
    ことを特徴とする請求項11に記載のスクロール圧縮機。
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