JP2013227467A - 活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂 Download PDF

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政彦 吉村
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Abstract

【課題】活性エネルギー線による硬化性を有し、基材に対する密着性が良好で、保存安定性に優れた活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂を提供する。
【解決手段】下記(i)〜(iii)を反応させて得られる数平均分子量が2000〜40000である活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂であって、(ii)由来の単位/(i)由来の単位のモル比が1.05〜1.95であり、末端に(iii)の残基を有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂。(i)酸成分として芳香族ジカルボン酸を40モル%以上含有し、数平均分子量1000〜20000である実質的に直鎖状の共重合ポリエステル。(ii)ビス(2−オキサゾリン)化合物。(iii)分子内に1個以上のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸。
【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線に対する硬化感度に優れ、金属及びプラスチック類に対する密着性、保存安定性に優れた活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂に関する。
従来より、接着剤、インキ、塗料のバインダーなど各種コーティング用途では、紫外線、電子線等の活性エネルギー線による硬化が可能な活性エネルギー線硬化型樹脂が用いられてきた。このような活性エネルギー線硬化型樹脂は、無溶剤で取扱いが可能で、ごく短時間の活性エネルギー線照射により硬化が完了するため、大きな設備を必要としない等、ハンドリング、硬化プロセス面において利点がある。
中でも、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は活性エネルギー線に対する硬化性、硬化後の被膜の強靱性といった優れた性能を有するために、各種分野で検討されている。例えば、特許文献1では、特定のグリコールを含んだウレタンアクリレート樹脂が提案されている。また特許文献2や特許文献3ではそれぞれ特定の繰返し単位を有するポリエステルをベースにしたウレタンアクリレート樹脂が提案されている。
しかしながら、特許文献1の方法では、ポリエステル基材に対する密着性に劣り、また特許文献2、3の方法ではポリエステルをウレタン化する工程の中で分岐構造を生じるために、得られたウレタン(メタ)アクリレート樹脂のライフが短く、保存安定性に劣るものであった。
特許2987887号公報 特許3493724号公報 特開2006−52258号公報
本発明は、活性エネルギー線による硬化性を有し、基材に対する密着性が良好で、保存安定性に優れた活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)下記(i)〜(iii)を反応させて得られる数平均分子量が2000〜40000である活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂であって、(ii)由来の単位/(i)由来の単位のモル比が1.05〜1.95であり、末端に(iii)の残基を有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂。
(i)酸成分として芳香族ジカルボン酸を40モル%以上含有し、数平均分子量1000〜20000である実質的に直鎖状の共重合ポリエステル
(ii)ビス(2−オキサゾリン)化合物
(iii)分子内に1個以上のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸
(2)共重合ポリエステル(i)の酸価が100〜2000当量/トンであることを特徴とする(1)の活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂。
(3)有機溶剤に溶解した共重合ポリエステル(i)と、ビス(2−オキサゾリン)化合物(ii)を反応させた後、前記反応生成物の末端オキサゾリン基に対し、分子内に1個以上のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸(iii)を反応させることを特徴とする(1)または(2)の活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂の製造方法。
(4)(1)または(2)の活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂に対し、光重合性開始剤を添加してなるコーティング剤。
本発明によれば、活性エネルギー線による硬化性を有し、基材に対する密着性が良好で、保存安定性に優れた活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂に用いられる共重合ポリエステルは、カルボン酸成分とグリコール成分から構成されるが、酸成分として芳香族ジカルボン酸を40モル%以上含有し、数平均分子量1000〜20000である実質的に直鎖状の共重合ポリエステルである。
共重合ポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウム−スルホイソフタル酸等が挙げられる。全ジカルボン酸成分に対する芳香族ジカルボン酸の共重合量は40モル%以上含有する必要があり、45モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合比率が40モル%未満の場合、得られる活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂の基材に対する密着性が低下する。
芳香族ジカルボン酸以外で共重合可能なジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ドコサン二酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、パーヒドロナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸、シクロブテンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。これらは無水物であってもよい。
グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ペンタデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,17−ヘプタデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,19−ノナデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、1,4−フェニレングリコール、1,4−フェニレングリコールのエチレンオキサイド付加物、1,4−フェニレングリコールのプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールSのプロピレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールおよびトリシクロデカンジメタノール等が挙げられる。
また、必要に応じて、共重合ポリエステルにはヒドロキシカルボン酸、モノカルボン酸、モノアルコール、3官能以上のカルボン酸および3官能以上のグリコールを共重合してもよい。
共重合ポリエステルに共重合可能なヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、4−(β−ヒドロキシ)エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸類、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の脂肪族ラクトン等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸を共重合する場合、全カルボン酸成分に対して、20モル%以下とすることが好ましく、15モル%とすることがより好ましい。
共重合ポリエステルに共重合可能なモノカルボン酸、モノアルコールとしては、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられ、モノアルコールとしては、セチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。モノカルボン酸、モノアルコールを共重合する場合、それぞれの共重合比率は、全カルボン酸成分、全グリコール成分に対して、0.2〜20モル%とすることが好ましく、0.5〜15モル%とすることがより好ましい。
共重合ポリエステルに共重合可能な3官能以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等が挙げられ、3官能以上のグリコールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコース、マニトール、ソルビトールが挙げられる。本発明に用いる共重合ポリエステルは実質的に直鎖状であるため、3官能以上のカルボン酸、3官能以上のグリコールを共重合する場合、それぞれの共重合比率は、全カルボン酸成分、全グリコール成分に対して、2モル%以下とすることが好ましく、1モル以下とすることがより好ましい。
活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂に用いられる共重合ポリエステルの製造方法としては、直接エステル化法、エステル交換法等の公知の製造方法が挙げられる。直接エステル化法としては、例えば、必要なモノマー原料を反応缶内に注入し、エステル化反応をおこなった後、重縮合反応をおこなう方法が挙げられる。エステル化反応では、窒素雰囲気下、180℃以上の温度で4時間以上、加熱溶融して反応させる。重縮合反応では、130Pa以下の減圧下で、220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進める。エステル化反応および重縮合反応の際には、触媒を用いてもよい。触媒としては、テトラブチルチタネート等のチタン化合物、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム等の金属の酢酸塩、三酸化アンチモン、ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズ等の有機スズ化合物等が挙げられる。触媒の使用量は、酸成分1モルに対し、0.1×10−4〜100×10−4モルとすることが好ましい。
活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂に用いられる共重合ポリエステルの数平均分子量は、1000〜20000であることが必要であり、2000〜18000であることが好ましく、3000〜16000であることがより好ましく、4000〜14000であることがさらに好ましい。共重合ポリエステルの数平均分子量が1000未満であると、基材に対する密着性が低下し、数平均分子量が20000を超えると、不飽和カルボン酸との相溶性が低下し、活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂を合成することが困難となる。また、活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂が得られたとしても基材に対する密着性が低下する。
共重合ポリエステルの分子量を制御する方法としては、重合時の共重合ポリエステルの溶融物を所定の粘度で重合を終了する方法、分子量の高い共重合ポリエステルを製造したのち解重合剤を添加して分子量を制御する方法、仕込み時にモノアルコールやモノカルボン酸を添加する方法等が挙げられる。中でも、共重合ポリエステルの分子量を目標以上に重合反応を進めておき、解重合剤を添加して解重合反応のより分子量を制御する方法が好ましい。
活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂に用いられる共重合ポリエステルの酸価は100〜2000当量/トンであることが好ましく、200〜1800当量/トンであることがより好ましく、300〜1600当量/トンであることがさらに好ましく、400〜1400当量/トンであることが最も好ましい。共重合ポリエステルの酸価が100当量/トン未満であると、不飽和カルボン酸との相溶性が低下し、活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂を合成することが困難となる。酸価が2000当量/トンを超えると、基材への密着性が低下するので好ましくない。
共重合ポリエステルの酸価を制御する方法としては、共重合ポリエステルの分子量を目標以上に重合反応を進めておき多官能カルボン酸を適宜添加して解重合する方法、仕込みのジカルボン酸とグリコールのモル比を調整する方法、共重合ポリエステルを熱分解する方法等が挙げられる。中でも、共重合ポリエステルの分子量を目標以上に重合反応を進めておき、解重合剤を添加して解重合反応のより分子量を制御する方法が好ましい。
共重合ポリエステルの水酸基価は、特に制限はないが、2〜20当量/トンであることが好ましく、3〜18当量/トンであることがより好ましく、4〜16当量/トンであることがさらに好ましい。
共重合ポリエステルのガラス転移温度は、共重合するモノマーを適宜選択することにより、上記範囲に制御することができる。
活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂に用いられるビス(2−オキサゾリン)化合物は、共重合ポリエステルと不飽和カルボン酸の結合を容易にするため用いるものである。
活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂で用いられるビス(2−オキサゾリン)化合物としては、例えば、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(5,5′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′ビス(4,4,4′,4′−テトラメチル−2−オキサゾリン)、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)エタン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、1,6−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ヘキサン、1,8−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)オクタン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)シクロヘキサン、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,2−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,3−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼンなどが挙げられる。上記したビス(2−オキサゾリン)化合物の中では、1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼンが特に好ましい。
活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂において、共重合ポリエステルとビス(2−オキサゾリン)化合物とを反応させる際には、必要に応じて反応触媒を用いることができる。反応触媒としては、スルホン酸は、例えば、硫酸、スルホン酸などの無機スルホン酸類、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、デカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などの有機スルホン酸類を挙げることができる。これらのうちでp−トルエンスルホン酸とドデシルベンゼンスルホン酸が好ましく、特にp−トルエンスルホン酸が好ましい。
共重合ポリエステル(i)とビス(2−オキサゾリン)化合物(ii)の混合比率(モル比)は、活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂中におけるビス(2−オキサゾリン)化合物(ii)由来の単位/共重合ポリエステル(i)由来の単位が1.05〜1.95となるように用いることが必要であり、1.1〜1.9であることが好ましく、1.15〜1.85であることがより好ましい。(ii)由来の単位/(i)由来の単位が1.05未満であると、共重合ポリエステルとビス(2−オキサゾリン)化合物の反応中間体の末端をオキサゾリン基とすることができず、反応性が乏しくなり、基材に対する密着性が低下する。(ii)由来の単位/(i)由来の単位が1.95を超えると共重合ポリエステルとビス(2−オキサゾリン)化合物が連鎖を形成せず、所定の数平均分子量まで高めた活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂を得ることができない。本発明においては、共重合ポリエステルとビス(2−オキサゾリン)化合物を反応させた後、前記反応生成物の末端オキサゾリン基に対し、分子内に1個以上のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸(iii)を反応させることで、末端に(iii)の残基を有し、かつ所定の数平均分子量である活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂とすることができる。
活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂に用いられる不飽和カルボン酸は、一分子中に1個以上のカルボキシル基を有するものである。一分子中にカルボキシル基と不飽和基を有するものなら特に制限はなく、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニル安息香酸等が挙げられる。これらの中でも汎用性の面から特にアクリル酸、メタクリル酸を好適に使用できる。
本発明の活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂は、さらに光重合性開始剤と混合して用いることにより、活性エネルギー線による硬化、基材への密着性がさらに向上し、保存安定性に優れた活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂とすることができる。光重合性開始剤は、活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂の活性エネルギー線による硬化反応を効率よく進行させるために用いるものである。光重合性開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾインエーテル系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、アシルホスフィンオキシド系等の光重合性開始剤が挙げられる。
アセトフェノン系光重合性開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製ダロキュアー1173)、ベンジルジメチルケタール(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュアー651、BASF社製ルシリンBDK)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュアー184)、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュアー907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュアー369)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノンのオリゴマー(例えば、ランベルチ社製エサキュアー KIP)等が挙げられる。
ベンゾインエーテル系光重合性開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系光重合性開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、O−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
チオキサントン系光重合性開始剤としては、例えば、2−または、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等が挙げられる。また、これら以外にメチルフェニルグリオキシエステル(AKZO社製バイキュアー55)や3,6−ビス(2−モルホリノイソブチル)−9−ブチルカルバゾール(旭電化社製A−Cure3)、チタノセン化合物等も挙げることができる。
アシルホスフィンオキシド系光重合性開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF社製ルシリンTPO)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(BAPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)メチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュアー819)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)エチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)n−ブチルホスフィンオキシド等が挙げられる。
また、これら光重合性開始剤は、1種以上を組み合わせても使用でき、その具体例としては、イルガキュアー1700〔ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド/2−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパン−1−オン=25/75質量%〕、イルガキュアー1800〔ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド/1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン=25/75質量%〕、イルガキュアー1850〔ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド/1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン=50/50質量%〕(いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等を市販品として入手が可能である。
光重合性開始剤の配合は、活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂および後述のエチレン性不飽和化合物の総量100質量部に対して、0.1〜10質量部とすることが好ましく、0.5〜5質量部とすることがより好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂には、光重合性開始剤による光重合反応を促進するため、必要に応じて種々の光重合促進剤、例えば、ジアルキルアミノ安息香酸またはその誘導体(例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステルなど)、ホスフィン系光重合促進剤(トリフェニルホスフィンなどのアリールホスフィン、トリアルキルホスフィンなどのホスフィン系化合物)などを添加してもよい。
重合促進剤の添加量は、活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂および後述のエチレン性不飽和化合物の総量100質量部に対して、0.01〜10質量部とすることが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂には、必要に応じて、エチレン性不飽和化合物を含有することができる。このエチレン性不飽和化合物は、単官能性化合物、二官能性化合物および多官能性化合物が含まれ、反応性希釈剤として機能し、室温(15〜30℃程度)で液体または固体の重合性化合物が使用できる。
単官能性化合物(単官能重合性希釈剤)としては、複素環式エチレン性不飽和化合物〔例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルカプロラクタムなどのN−ビニル複素環化合物、モルホリン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどの複素環式(メタ)アクリレートなど〕、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルフォルムアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート〔例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど〕、N,N′−ジメチルアクリルアミド、アルコキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート〔例えば、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなど〕、アルキルフェノキシエチル(メタ)アクリレート〔例えば、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートなど〕、フェノキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート〔例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなど〕、クミルフェノール(ポリ)アルキレン(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート〔例えば、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど〕、シクロアルキル(メタ)アクリレート〔例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなど〕、アラルキル(メタ)アクリレート〔例えば、ベンジル(メタ)アクリレートなど〕、架橋脂環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレート〔例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシアルキル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレートなど〕、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート〔例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、3−アクリロイルオキシグリセリン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロイルオキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロパン、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど〕、ポリε−カプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕アッシドフォスフェート、ハロゲン含有(メタ)アクリレート〔例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート〕などが挙げられる。
二官能性化合物(2官能重合性希釈剤)としては、例えば、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネートのジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬社製「MANDA」)、(ポリオキシ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート〔例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなど〕、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなど)の付加物のジ(メタ)アクリレート〔例えば、2,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンのジ(メタ)アクリレートなど〕、架橋脂環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレート〔例えば、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジ(メタ)アクリレートなど〕、2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物〔例えば、2,2−ビス(グリシジルオキシフェニル)プロパンの(メタ)アクリル酸付加物など〕などが挙げられる。
多官能性化合物(多官能重合性希釈剤)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシ)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート、トリアリルトリメリット酸、トリアリルイソシアヌレートなどが挙げられる。
エチレン性不飽和化合物の添加量は、用いる活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂の所望する粘度や硬化物の要求特性に応じて任意に選択でき、活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、1〜80質量部であることがより好ましく、5〜50質量部であることがさらに好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂には、必要に応じて、安定剤を少量添加することもできる。安定剤としてはヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などが挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、t−ブチル基が置換したヒドロキシフェニル基を有する化合物、例えば、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−チオビス(4−メチル−6−t−ブチル)フェノール、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチル)フェノール、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステルなどが挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−4−セバケート)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル重縮合物などが挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3′−チオプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
安定剤の添加量は、活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂およびエチレン性不飽和化合物の総量100質量部に対して、2.0質量%以下であることが好ましく、水素ガス発生量、硬化速度の兼ね合いから0.1〜1.0質量%であることがより好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂には、前記安定剤以外にも、必要に応じて、紫外線吸収剤、可塑剤、有機溶剤、シランカップリン剤、撥水性シラン化合物、変性シリコーンオイル、レベリング剤、界面活性剤、着色顔料、有機または無機微粒子などの種々の添加剤を添加してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂には、有機溶剤を加えることができる。有機溶剤は揮発性のものに限定され、活性エネルギー線硬化前に加熱乾燥等により大部分もしくは全部が揮発させることが好ましい。
使用可能な有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、またはこれらの混合物等がある。
本発明の活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂は、基材に対する密着性が良好で、保存安定性に優れた活性エネルギー線硬化性を有するため、例えば、光重合性開始剤を添加する等して、接着剤、インキ、塗料のバインダー樹脂として、各種接着、コーティング用途で用いることができる。
以下に、参考例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
1.評価方法
(1)共重合ポリエステルの組成分析
NMR測定装置(日本電子社製JNM−LA400型)を用い、1H−NMR測定を行って、それぞれの共重合成分のピーク強度から組成を求めた。なお、測定溶媒としては、重水素化トリフルオロ酢酸を用いた。
(2)共重合ポリエステルの数平均分子量
移動相をテトラヒドロフランとしたGPC分析装置(島津製作所社製LC−10ADvp型及びUV-VIS検出器、検出波長:254nm)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。
(3)共重合ポリエステルの酸価
共重合ポリエステル0.5gを25mlのジオキサンに溶解し、クレゾールレッドを指示薬として0.1N−KOHで滴定し、当量/トン単位で求めた。
(4)共重合ポリエステルの水酸基価
共重合ポリエステル2.0gをピリジン50mlに溶解した後、無水酢酸0.6ml加え、1時間加熱還流攪拌してアセチル化し、続いて、蒸留水5mlを加えて10分間加熱還流攪拌、更にジオキサン50mlを加えて1時間加熱還流攪拌した。一方共重合ポリエステルを加えずに同様のブランク試験を実施した。
冷却後、双方の液にクレゾールレッド・チモールブルーを指示薬として0.5N−KOHで滴定を行い、両者の差から水酸基価を当量/トン単位で求めた。
(5)密着性評価
実施例または比較例で得られたポリエステル樹脂溶液に対し、固形分100質量部あたり、反応性希釈モノマーとしてテトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業社製ビスコート#150)8質量部および光重合開始剤イルガキュアー651(チバスペシャルティ・ケミカルズ社製)2.9質量部を配合しコーティング液とした。該コーティング液をフィルムアプリケータ(安田精機製、No.542−AB型、)を用いて、厚さ38μmであるポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製T−38)、厚さ0.3mm、サイズ70mm×100mmであるアルミ板(日本テストパネル社製)に塗布後乾燥厚み10μmとなるよう塗布した後、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製アイグランデージECS−401GX、メタハライドランプ160W)にて照射量600mJ/cm(波長350nm)で照射して硬化させた後、JISK5400に準拠して碁盤目密着試験を行なった。測定結果は非剥離碁盤目数/全碁盤目数の分数で示した。分子の数字が大きいほど密着力が良いことを示す。
(6)保存安定性
(5)で用いたコーティング液400g程度を透明なガラス瓶の中に入れ、35℃で6ヶ月間静置した。静置後、目視でコーティング液の均一性を確認し、以下の基準で評価した。
◎:増粘および層分離しておらず、均一であった。
○:若干の増粘が認められたが、層分離しておらず均一であった。
△:溶液の流動性が低下していたが、層分離しておらず均一であった。
×:層分離または凝固していた。
本発明においては、△以上の評価が必要であるが、○以上の評価であることがより好ましい。
参考例1
(共重合ポリエステルの合成)
温度計、攪拌機、蒸留塔、コンデンサー、減圧装置を具備した反応容器中に、テレフタル酸196.0kg、イソフタル酸63.1kg、アジピン酸64.3kg、エチレングリコール111.6kg、ネオペンチルグリコール124.9kg、トリエチレングリコール30.0kgを反応器に仕込み、系内を窒素に置換した。仕込み原料を30rpmで撹拌しながら、反応器を0.4MPaに加圧し、240℃で加熱し、内容物を溶融させた。反応器内温度が240℃に到達してから4時間エステル化反応を行った。エステル化反応終了後、系内に窒素を封入することで常圧に戻した後、さらに触媒として三酸化アンチモン350gを添加し、系内を285℃に上昇させかつ減圧にし、系内が高真空に到達してから4時間重合反応を行ない、数平均分子量21700のポリマーを得た。重合反応終了後、系内に窒素を封入することで常圧に戻し、イソフタル酸46.5kgを添加し、系内を275℃で2時間解重合反応を行った。生成した樹脂を系外に払い出し、数平均分子量1400、酸価1425当量/トン、水酸基価4当量/トンの共重合ポリエステル(P)を得た。
以下、Q〜Vの共重合ポリエステルについても参考例1と同様の方法で製造した。得られた共重合ポリエステルの特性値を下記の方法により分析した。その結果を表1に示す。
実施例1
温度計、攪拌機、窒素導入管を具備した反応容器中に、上記参考例1で得られ、充分に真空乾燥された共重合ポリエステル(P)(数平均分子量1400、酸価1425当量/トン、水酸価4当量/トン)1000質量部をトルエン1847質量部に溶解させ、2,2’(1,3−フェニレン)ビスー2−オキサゾリン(分子量216)231質量部をビス(2−オキサゾリン)化合物由来の単位/共重合ポリエステル由来の単位のモル比が1.07となるよう加え、窒素雰囲気下、80℃で3時間反応させた。次いで、重合禁止剤ヒドロキノン0.5質量部、アクリル酸(分子量72)を36質量部加えて、さらに80℃で6時間反応させることにより、固形分濃度40質量%であるポリエステル樹脂溶液を得た。得られたポリエステル樹脂溶液について、各種評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例2〜8
表2に記載の共重合ポリエステル、ビスオキサゾリン、アクリル酸を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂について、各種評価を行った。その結果を表2に示す。
比較例1〜6
表3に記載の共重合ポリエステル、ビスオキサゾリン、アクリル酸を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、ポリエステル樹脂を得た。なお、比較例6については、オキサゾリンに代えて4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(分子量250)を用いた。得られたポリエステル樹脂について、各種評価を行った。その結果を表3に示す。
実施例1〜8についてはいずれも良好な密着性、保存安定性を示した。
比較例1は、共重合ポリエステルの数平均分子量が過小であったため密着性に劣るものであった。
比較例2は、共重合ポリエステルの数平均分子量が過大であったため密着性に劣るものであった。また、保存安定性がやや劣った。
比較例3は、共重合ポリエステルを構成する酸成分として芳香族ジカルボン酸が40モル%未満であったため密着性に劣るものであった。
比較例4は、ビス(2−オキサゾリン)化合物由来の単位/共重合ポリエステル由来の単位が過小であったため密着性に劣るものであった。
比較例5は、ビス(2−オキサゾリン)化合物由来の単位/共重合ポリエステル由来の単位が過大であったため密着性に劣るものであった。
比較例6は、ビスオキサゾリンに代えてイソシアネートを用いたため密着性に劣るものであった。また、保存安定性が劣った。














Claims (4)

  1. 下記(i)〜(iii)を反応させて得られる数平均分子量が2000〜40000である活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂であって、(ii)由来の単位/(i)由来の単位のモル比が1.05〜1.95であり、末端に(iii)の残基を有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂。
    (i)酸成分として芳香族ジカルボン酸を40モル%以上含有し、数平均分子量1000〜20000である実質的に直鎖状の共重合ポリエステル
    (ii)ビス(2−オキサゾリン)化合物
    (iii)分子内に1個以上のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸
  2. 共重合ポリエステル(i)の酸価が100〜2000当量/トンであることを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂。
  3. 有機溶剤に溶解した共重合ポリエステル(i)と、ビス(2−オキサゾリン)化合物(ii)を反応させた後、前記反応生成物の末端オキサゾリン基に対し、分子内に1個以上のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸(iii)を反応させることを特徴とする請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型ポリエステル樹脂に対し、光重合性開始剤を添加してなるコーティング剤。














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