JP2013227422A - ワイパーブレードゴム - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた低摩擦性を有し、かつ優れた拭掃性を発揮するワイパーブレードゴムを提供する。
【解決手段】アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを含むアクリルゴム組成物を架橋することにより得られるワイパーブレードゴム。
【選択図】 なし
【解決手段】アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを含むアクリルゴム組成物を架橋することにより得られるワイパーブレードゴム。
【選択図】 なし
Description
本発明は、車両等に使用するワイパーのブレードゴムに関するものである。
ワイパーは、雨、泥などによりフロントウィンドゥ、リアウィンドゥ等の視界を確保できるように、雨や汚れを払拭するためのものであり、ワイパーブレードゴムは、自動車、電車、航空機、船舶などの乗物のワイパーブレードに使用されている。
ワイパーブレードゴムには、天然ゴム、合成ゴム等がその柔軟性や払拭性能から用いられていたが、従来のワイパーブレードゴムでは、拭掃時にガラスとゴムとの摺動抵抗が大きいという問題があり、ゴム表面の低摩擦化が試みられている。
例えば、特許文献1には、加硫ゴム100重量部中に四フッ化エチレン重合体5〜60重量部と、求電子試薬0.1〜10重量部が共に存在する自己潤滑性ゴムからなることを特徴としたワイパーブレードゴムが記載されている。
本発明は、優れた低摩擦性を有し、かつ優れた拭掃性を発揮するワイパーブレードゴムを提供することを目的とする。
本発明者等が、拭掃時の低摩擦性に優れ、かつ拭掃性に優れるワイパーブレードゴムについて鋭意検討したところ、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを含むアクリルゴム組成物を架橋することにより得られるワイパーブレードゴムは、拭掃される面に対する優れた低摩擦性を有し、優れた拭掃性を発揮できることを見出し、本発明は完成したものである。
すなわち、本発明は、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを含むアクリルゴム組成物を架橋することにより得られるワイパーブレードゴムである。
アクリルゴム組成物は、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析させて得られた共凝析組成物を含むものであることが好ましい。
フッ素樹脂(B)は、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及び、ポリフッ化ビニルからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
フッ素樹脂(B)は、パーフルオロフッ素樹脂であることが好ましい。
フッ素樹脂(B)は、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体であることが好ましい。
また、フッ素樹脂(B)は、融点が210℃以下であることが好ましい。
また、フッ素樹脂(B)は、融点が210℃以下であることが好ましい。
本発明のワイパーブレードゴムは、ワイパーブレードゴムに対するフッ素樹脂(B)の体積比が0.03〜0.45であることが好ましい。
アクリルゴム(A)は、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ブトキシエチル、及び、アクリル酸メトキシエチルからなる群より選択される少なくとも1種のアクリル酸エステルに基づく重合単位からなることが好ましい。
本発明のワイパーブレードゴムは、上記構成を有することから、優れた低摩擦性を有し、かつ優れた拭掃性を発揮することができる。
本発明のワイパーブレードゴムは、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを含むアクリルゴム組成物を架橋することにより得られるものである。本発明のワイパーブレードゴムは、上記構成を有することによって、フッ素樹脂(B)に起因する優れた低摩擦性を備えるとともに、アクリルゴム本来の柔軟性も損なわれないため、優れた拭掃性を発揮することができる。
また、使用されるフッ素樹脂(B)の特性に起因して、優れた耐摩耗性を有するため、砂、塵、泥等に含まれる硬質粉によって生じる欠損等を抑制することができる。欠損等を抑制することができるため、長期的に優れた拭掃性を維持することができる。
更に、本発明のワイパーブレードゴムは、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とが一体的に形成されているものであるため、耐久性に優れている。例えば、低摩擦化を目的として、ワイパーブレードゴムの表面に滑剤を塗布して塗膜を形成したような場合には、該塗膜が剥離することがある。
また、使用されるフッ素樹脂(B)の特性に起因して、優れた非粘着性を発揮し、拭掃されるガラス面と長期間接触していた場合にも、ガラス面に貼りつくことを抑制することができる。
以下に、各要素について説明する。
また、使用されるフッ素樹脂(B)の特性に起因して、優れた耐摩耗性を有するため、砂、塵、泥等に含まれる硬質粉によって生じる欠損等を抑制することができる。欠損等を抑制することができるため、長期的に優れた拭掃性を維持することができる。
更に、本発明のワイパーブレードゴムは、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とが一体的に形成されているものであるため、耐久性に優れている。例えば、低摩擦化を目的として、ワイパーブレードゴムの表面に滑剤を塗布して塗膜を形成したような場合には、該塗膜が剥離することがある。
また、使用されるフッ素樹脂(B)の特性に起因して、優れた非粘着性を発揮し、拭掃されるガラス面と長期間接触していた場合にも、ガラス面に貼りつくことを抑制することができる。
以下に、各要素について説明する。
(A)アクリルゴム
アクリルゴム(A)は、アクリル酸エステルに基づく重合単位からなる重合体である。アクリルゴム(A)は、1種のアクリル酸エステルに基づく重合単位からなる単独重合体であってもよいし、2種以上のアクリル酸エステルに基づく重合単位からなる共重合体でもよいし、1種又は2種以上のアクリル酸エステルに基づく重合単位と、アクリル酸エステルと共重合可能な単量体に基づく重合単位とからなる共重合体であってもよい。
アクリルゴム(A)は、アクリル酸エステルの種類、重合単位の量を選択することにより、得られるアクリルゴム組成物の常態物性、耐寒性、耐油性等を調整することができる。
アクリルゴム(A)は、アクリル酸エステルに基づく重合単位からなる重合体である。アクリルゴム(A)は、1種のアクリル酸エステルに基づく重合単位からなる単独重合体であってもよいし、2種以上のアクリル酸エステルに基づく重合単位からなる共重合体でもよいし、1種又は2種以上のアクリル酸エステルに基づく重合単位と、アクリル酸エステルと共重合可能な単量体に基づく重合単位とからなる共重合体であってもよい。
アクリルゴム(A)は、アクリル酸エステルの種類、重合単位の量を選択することにより、得られるアクリルゴム組成物の常態物性、耐寒性、耐油性等を調整することができる。
アクリル酸エステルは、炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、又は、炭素数1〜12のアルコキシアルキル基を有するアクリル酸アルコキシアルキルエステルであることが好ましい。
アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−メチルペンチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、n−オクタデシルアクリレート等が挙げられる。
アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−(n−プロポキシ)エチルアクリレート、2−(n−ブトキシ)エチルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレート、3−エトキシプロピルアクリレート、2−(n−プロポキシ)プロピルアクリレート、2−(n−ブトキシ)プロピルアクリレート等が挙げられる。
アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−メチルペンチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、n−オクタデシルアクリレート等が挙げられる。
アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−(n−プロポキシ)エチルアクリレート、2−(n−ブトキシ)エチルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレート、3−エトキシプロピルアクリレート、2−(n−プロポキシ)プロピルアクリレート、2−(n−ブトキシ)プロピルアクリレート等が挙げられる。
これらのアクリル酸エステルに基づく重合単位の量を調整することで、得られるアクリルゴム組成物、該アクリルゴム組成物から得られるワイパーブレードゴムの耐寒性や耐油性を調整することができる。
例えば、n−ブチルアクリレートの共重合比率を多くすると耐寒性を向上させることができる。また、エチルアクリレートの共重合比率を多くすると耐油性を向上させることができる。
例えば、n−ブチルアクリレートの共重合比率を多くすると耐寒性を向上させることができる。また、エチルアクリレートの共重合比率を多くすると耐油性を向上させることができる。
アクリルゴム(A)は、アクリル酸エステルに基づく重合単位、及び、アクリル酸エステルと共重合可能な単量体に基づく重合単位からなる共重合体であることも好ましい。
アクリル酸エステルと共重合可能な単量体としては、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、架橋部位含有モノマー(但し、酢酸ビニルは除く)、及び、エチレンからなる群より選択される少なくとも1種の単量体が好ましい。
メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルコキシアルキルエステル等が挙げられる。メタクリル酸エステルとしては、例えば、炭素数2〜14のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル、又は、炭素数2〜14のアルコキシアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。
酢酸ビニルは、アクリルゴム組成物が熱老化した際に、その分子間を架橋させてアクリルゴム組成物の伸び等の機械的特性を維持させるために用いられる。酢酸ビニルの配合量を調整することにより、得られるアクリルゴム組成物の分子間架橋を調整することができる。
アクリルゴム組成物は、熱や紫外線等の影響によりその主鎖が切断し、引張強さや破断伸びといった機械的特性が低下してしまうことがある。そこで、架橋反応を起こしやすいカルボキシル基を有する酢酸ビニルをアクリルゴム(A)の主鎖に共重合させておくと、アクリルゴムの主鎖が切断してしまった際に、酢酸ビニルに基づく重合単位中のカルボキシル基が架橋部位(架橋席)となって、切断した分子間を再度架橋させることができる。
アクリルゴム組成物は、熱や紫外線等の影響によりその主鎖が切断し、引張強さや破断伸びといった機械的特性が低下してしまうことがある。そこで、架橋反応を起こしやすいカルボキシル基を有する酢酸ビニルをアクリルゴム(A)の主鎖に共重合させておくと、アクリルゴムの主鎖が切断してしまった際に、酢酸ビニルに基づく重合単位中のカルボキシル基が架橋部位(架橋席)となって、切断した分子間を再度架橋させることができる。
酢酸ビニルに基づく重合単位は、アクリルゴム(A)を構成する全重合単位に対して、15質量%以下であることが好ましい。酢酸ビニルに基づく重合単位の含有量がこの範囲であれば、アクリルゴム組成物の耐熱老化性を維持しつつ、その機械特性の低下を抑制することができる。
架橋部位含有モノマーは、必要に応じてアクリルゴムに共重合させるものであり、分子間架橋を進めて、得られるアクリルゴムの硬度や伸び特性を調整するためのものである。
架橋部位含有モノマーとしては、活性塩素基、エポキシ基、カルボキシル基、及び、水酸基(但し、カルボキシル基に含まれる水酸基は除く)からなる群より選択される少なくとも1種を有する単量体が好ましい。
架橋部位含有モノマーは、特に限定されるものではないが、例えば、2−クロロエチルビニルエーテル、2−クロロエチルアクリレート、ビニルベンジルクロライド、ビニルクロロアセテート、アリルクロロアセテート等の活性塩素基を有する単量体;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−ペンテン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基を含有する単量体;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を含有する単量体が挙げられる。
架橋部位含有モノマーに基づく重合単位は、アクリルゴム(A)を構成する全重合単位に対して、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下である。架橋部位含有モノマーに基づく重合単位をこの範囲で使用すると効率的に架橋することができ、ゴム弾性を失うことがなく、得られるワイパーブレードゴムの強度も優れる。架橋部位含有モノマーに基づく重合単位が10質量%を超えると、得られたワイパーブレードゴムが硬化してゴム弾性を失ってしまうおそれがある。
アクリルゴム(A)には、本発明の目的を損なわない範囲でこれらのモノマーと共重合可能な他のモノマーを共重合させることもできる。共重合可能な他のモノマーは、特に限定されるものではないが、例えば、メチルビニルケトンのようなアルキルビニルケトン;ビニルエチルエーテル、アリルメチルエーテル等のビニルエーテル又はアリルエーテル;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン等のビニル芳香族化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル;アクリルアミド、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、エチレン、プロピオン酸ビニル等のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
アクリルゴム(A)がエチレンに基づく重合単位を有する場合、エチレンに基づく重合単位は、アクリルゴム(A)を構成する全重合単位に対して、50質量%以下であることが好ましい。エチレンを共重合させることによって、強度を著しく向上させたアクリルゴムが得られる。
アクリルゴム(A)は、上記の単量体を乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の公知の方法により共重合することにより得られる。
本発明のアクリルゴム組成物は、更に、架橋剤を含むものであってもよい。架橋剤は、アクリルゴムの種類等によって適切に選択すればよく、一般的にアクリルゴム組成物の架橋に用いられる架橋剤を用いることができる。アクリルゴムの種類等によって、架橋剤は使用しなくてもよい。
架橋剤の添加量は、特に限定されないが、アクリルゴム(A)及びフッ素樹脂(B)の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。上記範囲の添加量であることによって、充分な架橋処理が行える。架橋剤の量が0.1質量部未満ではアクリルゴム組成物が架橋不足となり、得られる架橋物の引張強度や破断時伸び等の機械的特性が低下するおそれがある。また、10質量部を超えると、得られるワイパーブレードゴムが硬化してしまい弾性を失ってしまうおそれがある。
架橋剤としては、ポリアミン化合物、イミダゾール化合物、及び、過酸化物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
アクリルゴム(A)が架橋部位含有モノマーに基づく重合単位を含むものである場合、その架橋部位含有モノマーに応じて、適切な架橋剤を選択すればよい。
アクリルゴム(A)が架橋部位含有モノマーに基づく重合単位を含むものである場合、その架橋部位含有モノマーに応じて、適切な架橋剤を選択すればよい。
例えば、架橋部位含有モノマーがカルボキシル基を有する単量体である場合、架橋剤としてはポリアミン化合物が好ましく、更に、架橋促進剤としてグアニジン系化合物を用いることが好ましい。
ポリアミン化合物としては、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、ビス(4−3−アミノフェノキシ)フェニルサルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン等の芳香族ポリアミン化合物、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミン化合物等が挙げられる。
グアニジン系化合物としては、グアニジン、テトラメチルグアニジン、ジブチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン等が挙げられる。
架橋部位含有モノマーがエポキシ基を有する単量体である場合、架橋剤はイミダゾール化合物が好ましい。イミダゾール化合物としては、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチル−5−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール・トリメリット酸塩、1−アミノエチルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−アミノエチル−2−エチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾ−ル、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾールトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールトリメリテート、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールトリメリテート、1−シアノエチル−2−ウンデシル−イミダゾールトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1)’〕エチル−s−トリアジン・イソシアヌール酸付加物、1−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ジ−(シアノエトキシメチル)イミダゾール、N−(2−メチルイミダゾリル−1−エチル)尿素、N,N’−ビス−(2−メチルイミダゾリル−1−エチル)尿素、1−(シアノエチルアミノエチル)−2−メチルイミダゾール、N,N’−〔2−メチルイミダゾリル−(1)−エチル〕−アジボイルジアミド、N,N’−〔2−メチルイミダゾリル−(1)−エチル〕−ドデカンジオイルジアミド、N,N’−〔2−メチルイミダゾリル−(1)−エチル〕−エイコサンジオイルジアミド、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1)’〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−ウンデシルイミダゾリル−(1)’〕−エチル−s−トリアジン、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、1,3−ジベンジル−2−メチルイミダゾリウムクロライド等が挙げられる。
架橋部位含有モノマーがエポキシ基を有する単量体である場合、架橋促進剤としては、エポキシ樹脂用の硬化剤、例えば熱分解アンモニウム塩、有機酸、酸無水物、アミン類、硫黄及び硫黄化合物等を用いることができる。
架橋部位含有モノマーを使用していない場合、架橋剤は過酸化物であることが好ましい。過酸化物としては、例えば、3−クロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロ−ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−バラレート、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシ−イソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)−4−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシ)−4−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
過酸化物の添加量は、例えば、アクリルゴム(A)及びフッ素樹脂(B)の合計100質量部に対して、5〜10質量部であることが好ましく、6〜10質量部であることがより好ましい。
過酸化物の添加量が5質量部未満では、架橋不足となり、得られるワイパーブレードゴムの機械的特性が低下するおそれがある。また、10質量部を超えると得られるワイパーブレードゴムが硬化してしまい弾性が損なわれるおそれがある。
過酸化物の添加量が5質量部未満では、架橋不足となり、得られるワイパーブレードゴムの機械的特性が低下するおそれがある。また、10質量部を超えると得られるワイパーブレードゴムが硬化してしまい弾性が損なわれるおそれがある。
上記構成のアクリルゴムを用いる場合、架橋剤を使用せずに、受酸剤及び架橋促進剤を配合することで架橋することもできる。
受酸剤としては、例えば、金属酸化物、金属水酸化物等を用いることができる。金属酸化物としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム等が挙げられる。上記金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
架橋促進剤としては、第4級アンモニウム塩又は第4級ホスホニウム塩を用いることもできる。第4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、n−ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルジメチルアンモニウムクロライド、1,6−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7−セチルピリジウムサルフェート、トリメチルベンジルアンモニウムベンゾエート等が挙げられる。第4級アンモニウム塩としては、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイド、トリシクロヘキシルベンジルホスホニウムクロライド、トリシクロヘキシルベンジルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。
架橋部位含有モノマーが有してもよい水酸基としては、フェノール性水酸基が好ましく、フェノール性水酸基を有する架橋部位含有モノマーとしては、α−メチル−o−ヒドロキシスチレン、o−カビコール、p,m−ヒドロキシ安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、オイゲノール、イソオイゲノール、p−イソプロペニルフェノール、o,m,p−アリルフェノール、2,2−(o,m,p−ヒドロキシフェニル−4−ビニルアセチル)プロパン等が挙げられる。
活性塩素基を有する架橋部位含有モノマーとしては、o,m,p−ヒドロキシスチレン、2−クロロエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニル、クロロメチルスチレン、アリルクロライド等が挙げられる。
アクリルゴム(A)は、全重合単位に対して、アクリル酸エステルに基づく重合単位が、40〜95質量%であり、活性塩素基及び水酸基(但し、カルボキシル基に含まれる水酸基は除く)からなる群より選択される少なくとも1種の基を有するモノマーに基づく重合単位が、1〜20質量%であることが好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルに基づく重合単位が、50〜90質量%であり、活性塩素基及び水酸基(但し、カルボキシル基に含まれる水酸基は除く)からなる群より選択される少なくとも1種の基を有するモノマーに基づく重合単位が、2〜10質量%である。
上記アクリルゴム(A)は、例えば下記の重合方法によってえられるラテックスを、通常の塩析操作によって、ポリマーを凝析させた後、水洗、乾燥させて製造される。塩析剤としては、食塩等を用いることができる。
2リットルビーカーに、アニオン性乳化剤、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩5.0gを脱イオン水1250gに溶解し、それにアクリルゴムを構成するモノマー混合物を総量で300gを加え、小型ミキサーを用いて乳化する。つぎに、2リットル還流冷却管付重合容器内に、前記モノマー乳化液を投入し、窒素気流下で70℃まで昇温する。これに過硫酸アンモニウムの10%水溶液10gを添加して重合を開始させる。重合開始後、重合容器内の温度を初期の70℃から80℃まで上昇させ、80〜82℃の範囲で2時間、維持して重合反応を完結させる。
(B)フッ素樹脂
フッ素樹脂(B)は、例えば、少なくとも1種の含フッ素エチレン性単量体に基づく重合単位を有する重合体である。フッ素樹脂(B)は、溶融加工性のフッ素樹脂であることが好ましい。溶融加工性のフッ素樹脂を用いることによって、本発明のワイパーブレードゴムは、より優れた低摩擦性、耐摩耗性及び非粘着性を備えるものとなる。また、後述するような、表面に凸部を有するワイパーブレードゴムを得ることができ、このような凸部を有するワイパーブレードゴムはより優れた低摩擦性、耐摩耗性及び非粘着性を備えるものとなる。更に、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とがより一体的に形成されるため、耐久性も向上する。
溶融加工性のフッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、TFE/PAVE共重合体〔PFA及びMFA〕、エチレン(Et)/TFE共重合体、Et/TFE/HFP共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)/TFE共重合体、Et/CTFE共重合体、ポリフッ化ビニリデン〔PVdF〕、TFE/フッ化ビニリデン(VdF)共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/HFP共重合体、及び、ポリフッ化ビニル〔PVF〕からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、溶融加工性であれば、低分子量のポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕を用いることも可能である。
フッ素樹脂(B)は、低摩擦性、耐摩耗性、非粘着性、耐熱性、耐薬品性の観点からは、パーフルオロフッ素樹脂であることが好ましい。
フッ素樹脂(B)は、例えば、少なくとも1種の含フッ素エチレン性単量体に基づく重合単位を有する重合体である。フッ素樹脂(B)は、溶融加工性のフッ素樹脂であることが好ましい。溶融加工性のフッ素樹脂を用いることによって、本発明のワイパーブレードゴムは、より優れた低摩擦性、耐摩耗性及び非粘着性を備えるものとなる。また、後述するような、表面に凸部を有するワイパーブレードゴムを得ることができ、このような凸部を有するワイパーブレードゴムはより優れた低摩擦性、耐摩耗性及び非粘着性を備えるものとなる。更に、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とがより一体的に形成されるため、耐久性も向上する。
溶融加工性のフッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、TFE/PAVE共重合体〔PFA及びMFA〕、エチレン(Et)/TFE共重合体、Et/TFE/HFP共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)/TFE共重合体、Et/CTFE共重合体、ポリフッ化ビニリデン〔PVdF〕、TFE/フッ化ビニリデン(VdF)共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/HFP共重合体、及び、ポリフッ化ビニル〔PVF〕からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、溶融加工性であれば、低分子量のポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕を用いることも可能である。
フッ素樹脂(B)は、低摩擦性、耐摩耗性、非粘着性、耐熱性、耐薬品性の観点からは、パーフルオロフッ素樹脂であることが好ましい。
フッ素樹脂(B)の融点は、アクリルゴム(A)の種類により適宜決定されるが、210℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、190℃以下であることが更に好ましい。融点が高すぎると、架橋成形時にフッ素樹脂が溶融せず、所望する形状の成形品が得られないおそれがある。また、ワイパーブレードゴムの表面に後述するような凸部を形成する場合、充分な数の凸部を有するワイパーブレードゴムが得られないおそれがある。また、下限は特に限定されないが、例えば、150℃であってよい。また、フッ素樹脂(B)の融点は、アクリルゴム(A)の架橋温度以上であってよい。
フッ素樹脂(B)は、280℃におけるメルトフローレート〔MFR〕が0.3〜200g/10分であることが好ましく、1〜100g/10分であることがより好ましい。MFRが小さすぎると耐摩耗性に劣るおそれがあり、MFRが大きすぎると成形が困難になるおそれがある。上記MFRは、ASTM D1238に準拠し、温度280℃、荷重5kgで測定して得られる値である。
ワイパーブレードゴムの低摩擦性、耐摩耗性及び非粘着性に優れる点から、フッ素樹脂(B)は、TFE単位(a)とHFP単位(b)とからなる共重合体(TFE/HFP共重合体、以下、「FEP」ともいう。)であることが好ましい。FEPは、ワイパーブレードゴムの耐熱性が優れたものとなる点でも好ましい。
FEPは、TFE単位(a)及びHFP単位(b)のみからなる共重合体、又は、TFE単位(a)、HFP単位(b)、並びに、TFE及びHFPと共重合可能な単量体に基づく重合単位からなる共重合体である。
FEPが、TFE単位(a)、HFP単位(b)、並びに、TFE及びHFPと共重合可能な単量体に基づく重合単位からなる共重合体である場合、TFE及びHFPと共重合可能な単量体としては、下記式:
CF2=CF−ORf6
(式中、Rf6は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、下記式:
CX5X6=CX7(CF2)nX8
(式中、X5、X6及びX7は、同一若しくは異なって、水素原子又はフッ素原子を表し、X8は、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは2〜10の整数を表す。)で表されるビニル単量体、及び、下記式:
CF2=CF−OCH2−Rf7
(式中、Rf7は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられる。得られるアクリルゴム成形品の耐摩擦性及び非粘着性がより優れる点から、TFE及びHFPと共重合可能な単量体は、パーフルオロモノマーであることが好ましく、なかでも、PAVEであることがより好ましい。
上記フッ素樹脂(B)は、例えば、TFE/HFP共重合体、及び、TFE/HFP/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体であることが好ましい。
CF2=CF−ORf6
(式中、Rf6は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、下記式:
CX5X6=CX7(CF2)nX8
(式中、X5、X6及びX7は、同一若しくは異なって、水素原子又はフッ素原子を表し、X8は、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは2〜10の整数を表す。)で表されるビニル単量体、及び、下記式:
CF2=CF−OCH2−Rf7
(式中、Rf7は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられる。得られるアクリルゴム成形品の耐摩擦性及び非粘着性がより優れる点から、TFE及びHFPと共重合可能な単量体は、パーフルオロモノマーであることが好ましく、なかでも、PAVEであることがより好ましい。
上記フッ素樹脂(B)は、例えば、TFE/HFP共重合体、及び、TFE/HFP/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体であることが好ましい。
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、及び、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、なかでも、PMVE、PEVE及びPPVEからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
得られるワイパーブレードゴムの圧縮永久歪をより小さくする観点からは、フッ素樹脂(B)は、特定の組成を有する下記フッ素樹脂(B1)及び(B2)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
フッ素樹脂(B1)及び(B2)は、特定の組成を有するテトラフルオロエチレン単位及びヘキサフルオロプロピレン単位からなる共重合体である。特定の組成を有するフッ素樹脂(B1)又は(B2)を用いることで、アクリルゴム組成物から得られるワイパーブレードゴム表面の低摩擦性及び非粘着性を損なうことなく、ワイパーブレードゴムの低圧縮永久歪性を向上させられる。
フッ素樹脂(B1)及び(B2)は、特定の組成を有するテトラフルオロエチレン単位及びヘキサフルオロプロピレン単位からなる共重合体である。特定の組成を有するフッ素樹脂(B1)又は(B2)を用いることで、アクリルゴム組成物から得られるワイパーブレードゴム表面の低摩擦性及び非粘着性を損なうことなく、ワイパーブレードゴムの低圧縮永久歪性を向上させられる。
フッ素樹脂(B1)は、テトラフルオロエチレン(TFE)単位(a)及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位(b)のみからなる重合体であり、TFE単位(a)/HFP単位(b)が、モル比で80.0〜87.3/12.7〜20.0である共重合体である。上記の特定範囲の組成を有するフッ素樹脂(B1)を用いると、得られるワイパーブレードゴムの圧縮永久歪性を悪化させることなく低摩擦性や非粘着性を付与することができる。
フッ素樹脂(B1)は、ワイパーブレードゴムの圧縮永久歪性を悪化させない観点、機械物性を優れたものとする観点から、(a)/(b)が、モル比で82.0〜87.0/13.0〜18.0であることが好ましく、83.0〜86.5/13.5〜17.0であることがより好ましく、83.0〜86.0/14.0〜17.0であることが更に好ましい。(a)/(b)が大きすぎると、得られるワイパーブレードゴムの圧縮永久歪性が損なわれるおそれがある。(a)/(b)が小さすぎると、機械物性が低下する傾向がある。
フッ素樹脂(B2)は、TFE単位(a)、HFP単位(b)、並びに、TFE及びHFPと共重合可能な単量体に基づく重合単位(c)からなる共重合体であり、(a)/(b)が、モル比で80.0〜90.0/10.0〜20.0であり、(c)/{(a)+(b)}が、モル比で0.1〜10.0/90.0〜99.9である共重合体である(なお、{(a)+(b)}は、TFE単位(a)とHFP単位(b)との合計を意味する。)。(a)/(b)が、モル比で80.0〜90.0/10.0〜20.0であり、(c)/{(a)+(b)}が、モル比で0.1〜10.0/90.0〜99.9であることによって、得られるワイパーブレードゴムの圧縮永久歪性を悪化させることなく低摩擦性や非粘着性を付与することができる。
フッ素樹脂(B2)は、圧縮永久歪をより小さくする観点、機械物性を優れたものとする観点から、(a)/(b)が、モル比で82.0〜88.0/12.0〜18.0であることが好ましい。
フッ素樹脂(B2)は、(c)/{(a)+(b)}が、モル比で0.3〜8.0/92.0〜99.7であることが好ましい。
TFE及びHFPと共重合可能な単量体は、上記と同じである。
フッ素樹脂(B2)において、TFE及びHFPと共重合可能な単量体に基づく重合単位(c)は、PAVE単位であることが好ましい。そして、フッ素樹脂(B2)は、TFE単位、HFP単位、及び、PAVE単位のみからなる共重合体であることがより好ましい。
フッ素樹脂(B1)及び(B2)は、融点が210℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、190℃以下であることが更に好ましい。下限は特に限定されないが、例えば、150℃であってよい。
(アクリルゴム組成物)
アクリルゴム組成物は、アクリルゴム(A)/フッ素樹脂(B)が体積比(アクリルゴム(A)/フッ素樹脂(B))で97/3〜55/45であることが好ましい。フッ素樹脂(B)の割合が少なすぎると、得られるワイパーブレードゴムの低摩擦性、耐摩耗性及び非粘着性が充分でなくなるおそれがあり、アクリルゴム(A)の割合が少なすぎると、柔軟性が損なわれるおそれがある。アクリルゴム組成物から得られるワイパーブレードゴムの柔軟性と、表面の低摩擦性、耐摩耗性及び非粘着性との両方が良好な点から、体積比(A)/(B)は、95/5〜60/40であることがより好ましく、90/10〜65/35であることが更に好ましい。
アクリルゴム組成物は、アクリルゴム(A)/フッ素樹脂(B)が体積比(アクリルゴム(A)/フッ素樹脂(B))で97/3〜55/45であることが好ましい。フッ素樹脂(B)の割合が少なすぎると、得られるワイパーブレードゴムの低摩擦性、耐摩耗性及び非粘着性が充分でなくなるおそれがあり、アクリルゴム(A)の割合が少なすぎると、柔軟性が損なわれるおそれがある。アクリルゴム組成物から得られるワイパーブレードゴムの柔軟性と、表面の低摩擦性、耐摩耗性及び非粘着性との両方が良好な点から、体積比(A)/(B)は、95/5〜60/40であることがより好ましく、90/10〜65/35であることが更に好ましい。
アクリルゴム組成物は、アクリルゴム(A)及びフッ素樹脂(B)、並びに、必要に応じて架橋剤、架橋促進剤、受酸剤等を含み、更に、相溶性向上のため、少なくとも1種の多官能化合物を含むものであってもよい。多官能化合物とは、1つの分子中に同一又は異なる構造の2つ以上の官能基を有する化合物である。
多官能化合物が有する官能基としては、カルボニル基、カルボキシル基、ハロホルミル基、アミド基、オレフィン基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、エポキシ基等、一般に反応性を有することが知られている官能基であれば任意に用いることができる。これらの官能基を有する化合物は、アクリルゴム(A)との親和性が高いだけではなく、フッ素樹脂(B)が持つ反応性を有することが知られている官能基とも反応しさらに相溶性が向上することが期待される。
アクリルゴム組成物は、更に、通常のゴム配合物に添加される副資材を含むものであってよい。
副資材としては、老化防止剤(例えば、ジフェニルアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体等)、加工助剤(例えば、ステアリン酸等)、充填剤(例えば、カーボンブラック、カオリンクレー、タルク、ケイソウ土等)、可塑剤、着色剤、安定剤、接着助剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤等の各種添加剤等が挙げられる。これらの副資材は、本発明の効果を損なわない範囲で使用すればよい。
アクリルゴム組成物は、例えば、アクリルゴム(A)及びフッ素樹脂(B)、並びに、必要に応じて使用される架橋剤、架橋促進剤、受酸剤、副資材等を、ゴム工業で使用される一般的なオープンミルロール、インターナルミキサー等により混練りすることによって得ることができる。このような方法で、ペレット等としてアクリルゴム組成物が得ることができる。
また、アクリルゴム組成物は、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析させて得られた共凝析組成物を含むものであることが好ましい。アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析して得られる共凝析組成物を用いる場合、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析させて共凝析組成物を得た後、この共凝析組成物と、上記受酸剤、架橋促進剤、副資材等を混練りすればよい。
共凝析する方法の詳細は後述する。
また、アクリルゴム組成物は、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析させて得られた共凝析組成物を含むものであることが好ましい。アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析して得られる共凝析組成物を用いる場合、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析させて共凝析組成物を得た後、この共凝析組成物と、上記受酸剤、架橋促進剤、副資材等を混練りすればよい。
共凝析する方法の詳細は後述する。
本発明のワイパーブレードゴムは、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを含むアクリルゴム組成物を架橋することにより得られるものである。本発明のアクリルゴム成形品は、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを含む上記アクリルゴム組成物を架橋して得られるものであれば限定されないが、後述する製造方法により得られるものであることが好ましい。
例えば、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析することによって得られた共凝析組成物を含むアクリルゴム組成物を架橋させて得られる架橋物を、さらに特定の条件下に熱処理すると、得られるワイパーブレードゴムは、表面の低摩擦性、耐摩耗性及び非粘着性が特に優れ、また、優れた掃拭性が発揮される。
例えば、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析することによって得られた共凝析組成物を含むアクリルゴム組成物を架橋させて得られる架橋物を、さらに特定の条件下に熱処理すると、得られるワイパーブレードゴムは、表面の低摩擦性、耐摩耗性及び非粘着性が特に優れ、また、優れた掃拭性が発揮される。
本発明のワイパーブレードゴムは、上記アクリルゴム組成物から得られるものであるため、優れた低摩擦性、耐摩耗性及び非粘着性を有し、更に柔軟性にも優れるため優れた拭掃性を有する。
本発明のワイパーブレードゴムは、表面に凸部を有することが好ましい。凸部がワイパーブレードゴムの表面に存在していることにより、優れた低摩擦性、耐摩耗性及び非粘着性を示す。
凸部は、実質的にアクリルゴム組成物に含まれるフッ素樹脂(B)からなることが好ましい。凸部は、例えば後述する方法により、上記アクリルゴム組成物に含まれるフッ素樹脂(B)を表面に析出させて形成することができる。
凸部が実質的に上記アクリルゴム組成物に含まれるフッ素樹脂(B)からなることは、IR分析やESCA分析によってアクリルゴム(A)由来のピークとフッ素樹脂(B)由来のピークのピーク比を求めることで示すことができる。例えば、凸部を有する領域において、IR分析によって、アクリルゴム(A)由来の特性吸収のピークとフッ素樹脂(B)由来の特性吸収のピークとの比(成分由来ピーク比)を、凸部と凸部外のそれぞれの部分で測定し、(凸部ピーク/凸部外ピーク=ピーク比)が、1.2以上、好ましくは1.5以上であればよい。
凸部の形状について、図面を参照しながらもう少し詳しく説明する。
図1(a)は、ワイパーブレードゴムが有する凸部の形状を模式的に示す斜視図であり、(b)は(a)の表面に垂直な直線B1と直線B2を含む平面で凸部31を切断した断面図であり、(c)は(a)の表面と平行な直線C1と直線C2を含む平面で切断した断面図である。そして、図1(a)〜(c)には、ワイパーブレードゴムの表面の微小領域を模式的に描画している。ワイパーブレードゴムの表面には、図1(a)〜(c)に示すように、例えば、略円錐形状(コーン形状)の凸部31が形成されている。
図1(a)は、ワイパーブレードゴムが有する凸部の形状を模式的に示す斜視図であり、(b)は(a)の表面に垂直な直線B1と直線B2を含む平面で凸部31を切断した断面図であり、(c)は(a)の表面と平行な直線C1と直線C2を含む平面で切断した断面図である。そして、図1(a)〜(c)には、ワイパーブレードゴムの表面の微小領域を模式的に描画している。ワイパーブレードゴムの表面には、図1(a)〜(c)に示すように、例えば、略円錐形状(コーン形状)の凸部31が形成されている。
ここで、凸部31の高さとは、ワイパーブレードゴムの表面から突出した部分の高さをいう(図1(b)中、H参照)。また、凸部31の底部断面積とは、凸部31を、ワイパーブレードゴム表面と平行な平面(直線C1と直線C2を含む平面)で切断した面において観察される凸部31(図1(c)参照)の断面に於ける面積の値をいう。
本発明のワイパーブレードゴムは、ワイパーブレードゴムの表面積に対して、凸部を有する領域の面積比が0.03(3%)以上であることが好ましい。より好ましい面積比は、0.15(15%)以上であり、0.3(30%)以上が更に好ましい。上記ワイパーブレードゴムの表面における、凸部を有する領域の面積比は、上記凸部の底部断面積を評価する切断面において、凸部が占める面積の比率をいう。
本発明のワイパーブレードゴムにおいて、フッ素樹脂(B)の体積比は、上記ワイパーブレードゴムに対して0.03〜0.45(3〜45体積%)であることが好ましい。体積比の下限は、0.05(5体積%)であることがより好ましく、0.10(10体積%)であることが更に好ましい。体積比の上限は、0.40(40体積%)であることがより好ましく、0.35(35体積%)であることが更に好ましい。
上記フッ素樹脂(B)は優れた耐熱性を有する。従って、成形架橋工程や熱処理工程によって分解することがないので、上記体積比は、アクリルゴム組成物におけるフッ素樹脂(B)の体積割合と同一と推測できる。
上記フッ素樹脂(B)は優れた耐熱性を有する。従って、成形架橋工程や熱処理工程によって分解することがないので、上記体積比は、アクリルゴム組成物におけるフッ素樹脂(B)の体積割合と同一と推測できる。
本発明のワイパーブレードゴムは、凸部を有する領域の面積比が、フッ素樹脂(B)の体積比の1.1倍以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましい。本発明のワイパーブレードゴムは、ワイパーブレードゴムの表面における凸部を有する領域の比率が、ワイパーブレードゴムのフッ素樹脂(B)の体積比よりも高く、アクリルゴム組成物におけるフッ素樹脂(B)の体積比よりも高くなる。
本発明のワイパーブレードゴムは、この特徴によりフッ素樹脂の混合割合が小さくても、アクリルゴムの欠点であった耐摩耗性、低摩擦性及び非粘着性が改善され、また、アクリルゴムの利点が損なわれることもなく、圧縮永久歪が小さいものとすることができる。なお、上記凸部を有する領域の面積比は、拭掃されるガラス等の面と接触するワイパーブレードゴムのワイパーエッジ部において達成されていれば、本発明の効果は十分に奏される。
本発明のワイパーブレードゴムは、この特徴によりフッ素樹脂の混合割合が小さくても、アクリルゴムの欠点であった耐摩耗性、低摩擦性及び非粘着性が改善され、また、アクリルゴムの利点が損なわれることもなく、圧縮永久歪が小さいものとすることができる。なお、上記凸部を有する領域の面積比は、拭掃されるガラス等の面と接触するワイパーブレードゴムのワイパーエッジ部において達成されていれば、本発明の効果は十分に奏される。
上記凸部は、高さが0.1〜30.0μmであることが好ましい。凸部の高さがこの範囲にあると、低摩擦性、拭掃性及び非粘着性が優れる。より好ましい高さは、0.3〜20.0μmであり、更に好ましくは、0.5〜15.0μmである。
上記凸部は、底部断面積が0.1〜2000μm2であることが好ましい。凸部の底部断面積がこの範囲にあると、耐摩耗性、低摩擦性、拭掃性及び非粘着性が優れる。より好ましい底部断面積は、0.3〜1500μm2であり、更に好ましい底部断面積は、0.5〜1000μm2である。
本発明のワイパーブレードゴムは、上記凸部の高さの標準偏差が0.300以下であることが好ましい。この範囲にあると、耐摩耗性、低摩擦性、拭掃性及び非粘着性がより優れる。
本発明のワイパーブレードゴムは、凸部の個数が500〜60000個/mm2であることが好ましい。この範囲にあると、耐摩耗性、低摩擦性、拭掃性及び非粘着性がより優れる。
凸部を有する領域の面積比、凸部の高さ、凸部の底部断面積、凸部の個数等は、例えば、キーエンス社製、カラー3Dレーザー顕微鏡(VK−9700)を用い、解析ソフトとして三谷商事株式会社製のWinRooF Ver.6.4.0を用いて算出することができる。凸部を有する領域の面積比は、凸部の底部断面積を求め、断面積合計の値が、測定全領域面積に占める割合として求められる。凸部の個数は、測定領域中の凸部の個数を1mm2当たりの数に換算したものである。
本発明のワイパーブレードゴムにおいて、上記凸部はワイパーブレードゴムの表面の一部に形成されていればよく、ワイパーブレードゴムの表面には該凸部が形成されていない領域を有していてもよい。例えば、低摩擦性、非粘着性等が要求されないワイパーエッジ部以外の部分には、上記凸部が形成されている必要はない。
次に、本発明のワイパーブレードゴムの形成方法について説明する。
本発明のワイパーブレードゴムは、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを含むアクリルゴム組成物を架橋することにより得られるものである。低摩擦性、耐摩耗性、拭掃性及び非粘着性をより優れたものとする観点から、ワイパーブレードゴムは、下記アクリルゴム組成物を得る混合工程、及び、成形架橋体を得る成形架橋工程からなる製造方法により得ることができる。また、低摩擦性、耐摩耗性、拭掃性及び非粘着性をより優れたものにする観点からは、成形架橋工程の後に、下記熱処理工程を経て得られたものであることがより好ましい。以下に、各工程について説明する。
〔混合工程〕
上記アクリルゴム組成物を得る方法は、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを均一に混合できる方法を用いれば特に制限はないが、例えば、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを溶融混練する方法や、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析させる方法が挙げられる。中でも、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析させる方法が好ましい。
以下に、共凝析について説明する。
上記アクリルゴム組成物を得る方法は、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを均一に混合できる方法を用いれば特に制限はないが、例えば、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを溶融混練する方法や、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析させる方法が挙げられる。中でも、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析させる方法が好ましい。
以下に、共凝析について説明する。
(共凝析)
アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とがより均一に混合される点から、上記アクリルゴム組成物は、共凝析させて得られるものであることが好ましい。上記アクリルゴム組成物は、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析させて得られた共凝析組成物を含むものであることが好ましい。上記アクリルゴム組成物が、上記共凝析組成物を含むと、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とがアクリルゴム組成物中に均一に分散していると予想される。
共凝析を用いることで、非粘着性、耐摩耗性、低摩擦性、拭掃性及び柔軟性がより優れたワイパーブレードゴムを形成することができる。また、ワイパーブレードゴムの表面に形成される凸部を均一に形成することができるし、凸部を有する領域の面積比(占有率)を十分に高くすることもできる。
アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とがより均一に混合される点から、上記アクリルゴム組成物は、共凝析させて得られるものであることが好ましい。上記アクリルゴム組成物は、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析させて得られた共凝析組成物を含むものであることが好ましい。上記アクリルゴム組成物が、上記共凝析組成物を含むと、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とがアクリルゴム組成物中に均一に分散していると予想される。
共凝析を用いることで、非粘着性、耐摩耗性、低摩擦性、拭掃性及び柔軟性がより優れたワイパーブレードゴムを形成することができる。また、ワイパーブレードゴムの表面に形成される凸部を均一に形成することができるし、凸部を有する領域の面積比(占有率)を十分に高くすることもできる。
上記共凝析の方法としては、例えば、(i)アクリルゴム(A)の水性分散液と、フッ素樹脂(B)の水性分散液とを混合した後に凝析させる方法、(ii)アクリルゴム(A)の粉末を、フッ素樹脂(B)の水性分散液に添加した後に凝析させる方法、(iii)フッ素樹脂(B)の粉末を、アクリルゴム(A)の水性分散液に添加した後に凝析させる方法が挙げられる。上記共凝析の方法としては、特に各樹脂が均一に分散し易い点で、上記(i)の方法が好ましい。
上記(i)〜(iii)の凝析方法における凝析は、例えば、凝集剤を用いて行うことができる。このような凝集剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、硫酸アルミニウム、ミョウバン等のアルミニウム塩、硫酸カルシウム等のカルシウム塩、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等のマグネシウム塩、塩化ナトリウムや塩化カリウム等の一価カチオン塩等の公知の凝集剤が挙げられる。凝集剤により凝析を行う際、凝集を促進させるために酸又はアルカリを添加してpHを調整してもよい。
上記混合工程は、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析させて共凝析組成物を得た後、上記アクリルゴム組成物を得る工程であることが好ましい。
上記共凝析組成物は、例えば、アクリルゴム(A)の水性分散液と、フッ素樹脂(B)の水性分散液とを混合した後に凝析し、次いで凝析物を回収し、所望により乾燥させることにより得ることができる。
上記アクリルゴム組成物は、上記共凝析組成物と架橋剤とを含むものであることが好ましく、更に、上述した各種副資材等を含むものであってもよい。
アクリルゴム(A)の架橋系によっては架橋剤が必要であるので、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析させて共凝析組成物を得た後、共凝析組成物に架橋剤を添加してアクリルゴム組成物を得てもよい。
通常は、共凝析粉末に架橋剤を添加した後、共凝析粉末と架橋剤とを混合する。上記混合は、例えば、オープンロールを使用して共凝析組成物と架橋剤とが充分に混合される程度の時間及び温度で混合すればよい。上記混合は、通常、フッ素樹脂(B)の融点未満の温度で行う。
アクリルゴム(A)の架橋系によっては架橋剤が必要であるので、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析させて共凝析組成物を得た後、共凝析組成物に架橋剤を添加してアクリルゴム組成物を得てもよい。
通常は、共凝析粉末に架橋剤を添加した後、共凝析粉末と架橋剤とを混合する。上記混合は、例えば、オープンロールを使用して共凝析組成物と架橋剤とが充分に混合される程度の時間及び温度で混合すればよい。上記混合は、通常、フッ素樹脂(B)の融点未満の温度で行う。
〔成形架橋工程〕
次に、アクリルゴム組成物を成形及び架橋することにより、架橋成形体を作製する。この工程は、混合工程で得られたアクリルゴム組成物を成形し、架橋して架橋成形品を製造する工程である。成形及び架橋の順序は限定されず、成形した後架橋してもよいし、架橋した後成形してもよいし、成形と架橋を同時に行ってもよい。
次に、アクリルゴム組成物を成形及び架橋することにより、架橋成形体を作製する。この工程は、混合工程で得られたアクリルゴム組成物を成形し、架橋して架橋成形品を製造する工程である。成形及び架橋の順序は限定されず、成形した後架橋してもよいし、架橋した後成形してもよいし、成形と架橋を同時に行ってもよい。
アクリルゴム組成物の成形及び架橋の方法及び条件は、採用する成形及び架橋において公知の方法及び条件の範囲内でよい。
成形方法としては、例えば、押出成形、圧縮成形、射出成形、トランスファー成形等が挙げられる。
架橋方法としては、スチーム架橋法、加圧成形法、放射線架橋法、加熱により架橋反応が開始される通常の方法が採用できる。本発明においては、低摩擦性、耐摩耗性、拭掃性及び非粘着性の観点から、加熱による架橋反応が好適である。
架橋を行う温度は、アクリルゴム(A)の架橋温度以上であり、フッ素樹脂(B)の融点未満であることが好ましい。
架橋を行う温度は、フッ素樹脂(B)の融点より5℃低い温度未満であり、かつアクリルゴム(A)の架橋温度以上であることがより好ましい。
限定されない具体的な架橋条件としては、通常、150〜180℃の温度範囲、1分間〜24時間の架橋時間内で、使用する架橋剤等の種類により適宜決めればよい。
架橋を行う温度は、フッ素樹脂(B)の融点より5℃低い温度未満であり、かつアクリルゴム(A)の架橋温度以上であることがより好ましい。
限定されない具体的な架橋条件としては、通常、150〜180℃の温度範囲、1分間〜24時間の架橋時間内で、使用する架橋剤等の種類により適宜決めればよい。
ところで、ゴムの架橋において、最初の架橋処理(1次架橋という)を施した後に2次架橋と称される後処理工程を施すことがあるが、つぎの熱処理工程で説明するように、従来の2次架橋工程と本発明における熱処理工程とは異なる処理工程である。
上記成形架橋工程により得られる架橋成形体を本発明のワイパーブレードゴムとして用いることもできるが、低摩擦性、耐摩耗性、拭掃性及び非粘着性をより優れたものとする観点からは、成形架橋工程により得られた架橋成形体に対して、下記の熱処理工程を行うことが好ましい。
〔熱処理工程〕
この工程では、成形架橋工程で得られた架橋成形体をフッ素樹脂(B)の融点以上の温度に加熱してワイパーブレードゴムを得る。
この工程では、成形架橋工程で得られた架橋成形体をフッ素樹脂(B)の融点以上の温度に加熱してワイパーブレードゴムを得る。
熱処理工程は、ワイパーブレードゴムの表面のフッ素樹脂比率を高めるために行う処理工程であり、この目的に即して、フッ素樹脂(B)の融点以上かつアクリルゴム(A)及びフッ素樹脂(B)の熱分解温度未満の温度が加熱温度として採用される。
加熱温度がフッ素樹脂の融点よりも低い場合は、多数の凸部を有するワイパーブレードゴムを得ることができない。また、加熱温度は、アクリルゴム及びフッ素樹脂の熱分解を回避するために、アクリルゴム(A)又はフッ素樹脂(B)のいずれか低い方の熱分解温度未満の温度でなければならない。好ましい加熱温度は、短時間で非粘着性、耐摩耗性及び低摩擦性を高めることができる点から、フッ素樹脂の融点より5℃以上高い温度である。
熱処理工程において、加熱温度は加熱時間と密接に関係しており、加熱温度が比較的下限に近い温度では比較的長時間の加熱を行い、比較的上限に近い加熱温度では比較的短い加熱時間を採用することが好ましい。
ところで、従来行われている2次架橋は1次架橋終了時に残存している架橋剤を完全に分解してアクリルゴムの架橋を完結し、架橋成形品の機械的特性や圧縮永久歪特性を向上させるために行う処理である。
したがって、フッ素樹脂(B)の共存を想定していない従来の2次架橋条件は、その架橋条件が偶発的に本発明における熱処理工程の加熱条件と重なるとしても、2次架橋ではフッ素樹脂の存在を架橋条件設定の要因として考慮せずにアクリルゴムの架橋の完結(架橋剤の完全分解)という目的の範囲内での加熱条件が採用されているにすぎず、フッ素樹脂(B)を配合した場合にゴム架橋物(ゴム未架橋物ではない)中でフッ素樹脂(B)を加熱軟化または溶融する条件を導き出せるものではない。
したがって、フッ素樹脂(B)の共存を想定していない従来の2次架橋条件は、その架橋条件が偶発的に本発明における熱処理工程の加熱条件と重なるとしても、2次架橋ではフッ素樹脂の存在を架橋条件設定の要因として考慮せずにアクリルゴムの架橋の完結(架橋剤の完全分解)という目的の範囲内での加熱条件が採用されているにすぎず、フッ素樹脂(B)を配合した場合にゴム架橋物(ゴム未架橋物ではない)中でフッ素樹脂(B)を加熱軟化または溶融する条件を導き出せるものではない。
なお、上記成形架橋工程において、アクリルゴム(A)の架橋を完結させるため(架橋剤を完全に分解するため)の2次架橋を行ってもよい。
また、熱処理工程において、残存する架橋剤の分解が起こりアクリルゴム(A)の架橋が完結する場合もあるが、熱処理工程における、かかるアクリルゴム(A)の架橋はあくまで副次的な効果にすぎない。
上記熱処理工程を行うことにより、フッ素樹脂(B)の特性、たとえば低摩擦性、耐摩耗性及び非粘着性が、熱処理をしないものより格段に向上したワイパーブレードゴムを得ることができる。しかも、表面領域以外では逆にアクリルゴム(A)の特性が発揮でき、全体として、低摩擦性、耐摩耗性、非粘着性及び柔軟性のいずれにもバランスよく優れており、優れた拭掃性を有するワイパーブレードゴムが得られる。さらに、得られるワイパーブレードゴムには、フッ素樹脂(B)とアクリルゴム(A)の明確な界面状態が存在しないので、表面のフッ素樹脂(B)に富む領域が脱落や剥離することもなく、耐久性に優れている。このようなワイパーブレードゴムを有することによって、本発明のワイパーブレードゴムは、低摩擦性、耐摩耗性、非粘着性及び柔軟性を兼ね備えており、優れた拭掃性を有するものとなる。
ここで、本発明のワイパーブレードゴムを得るための具体的方法について簡単に説明するが、本発明のワイパーブレードゴムを得る方法は、下記方法に限られるものではない。
本発明のワイパーブレードゴムを得る方法としては、下記方法が挙げられる。
例えば、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析させて共凝析組成物を得た後、必要に応じて架橋剤等と混合してアクリルゴムを調製し、該アクリルゴム組成物をプレス成型機、トランスファー成形機、射出成形機等を用いて成形及び架橋を行うことによって本発明のワイパーブレードゴムを得ることができる。得られたワイパーブレードゴムを加熱炉中に入れ、加熱処理をしてもよい。
例えば、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析させて共凝析組成物を得た後、必要に応じて架橋剤等と混合してアクリルゴムを調製し、該アクリルゴム組成物をプレス成型機、トランスファー成形機、射出成形機等を用いて成形及び架橋を行うことによって本発明のワイパーブレードゴムを得ることができる。得られたワイパーブレードゴムを加熱炉中に入れ、加熱処理をしてもよい。
本発明のワイパーブレードゴムの形状は、一般的な形状でよく、用いられる用途に応じて適宜決定すればよい。
図2は、本発明のワイパーブレードゴムの一例を示す断面模式図である。本発明のワイパーブレードゴム10は、ヘッド部11とウェッジ部13を有しており、ヘッド部11とウェッジ部13とはブリッジ部12を介して結合されている。ウェッジ部13は、ヘッド部11側から拭掃されるガラス15と接触するワイパーエッジ部14に向かって幅が狭くなっている。
ガラス面と接触するワイパーエッジ部14がアクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを含むアクリルゴム組成物を架橋することにより得られるものであって、更に上記凸部を有するものであると、ワイパーエッジ部14の表面が低摩擦性であるため、拭掃されるガラス15の表面との摩擦がより低くなる。
また、ワイパーブレードゴム10は全体としてゴム本来の柔軟性が損なわれることもなく、拭掃されるガラス15の表面に密着するため、優れた拭掃性能が発揮される。
ガラス面と接触するワイパーエッジ部14がアクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを含むアクリルゴム組成物を架橋することにより得られるものであって、更に上記凸部を有するものであると、ワイパーエッジ部14の表面が低摩擦性であるため、拭掃されるガラス15の表面との摩擦がより低くなる。
また、ワイパーブレードゴム10は全体としてゴム本来の柔軟性が損なわれることもなく、拭掃されるガラス15の表面に密着するため、優れた拭掃性能が発揮される。
本発明のワイパーブレードゴムは、例えば、自動車、電車、航空機、船舶などの乗物や、各種工作機械用のワイパーブレードに使用することができる。ワイパーブレードゴムが配設される場所についても、特に限定されず、フロントウィンドウ、リアウィンドウ、各種ミラー等に用いることができる。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるもの
ではない。
ではない。
本明細書における各種の特性については、つぎの方法で試験した。その結果を表1に示した。
〔ワイパー性能の試験〕
成形されたワイパーブレードコムを車両のワイパーブレードに取付けて、ワイパー性能の試験を行った。ワイパーは毎分55回往復するように作動させ、ガラス表面は、乾燥状態、霧吹き状態(部分的に乾燥した状態が存在する)、放水状態(全体に水を散布し続ける)の3状態で拭掃性、スティックスリップ現象の有無を観察した。さらに、ワイパーを100時間連続運転させた後の、スティックスリップ現象の有無を観察した。
拭掃性能
○:拭掃時の拭残しが全く認められなかった
△:わずかに拭残しが認められる
×:拭残しが認められる
スティックスリップ現象の評価
○:スティックスリップが全く起こらなかった
△:スティックスリップが時たま起こった
×:スティックスリップが頻繁に起こった
〔ワイパー性能の試験〕
成形されたワイパーブレードコムを車両のワイパーブレードに取付けて、ワイパー性能の試験を行った。ワイパーは毎分55回往復するように作動させ、ガラス表面は、乾燥状態、霧吹き状態(部分的に乾燥した状態が存在する)、放水状態(全体に水を散布し続ける)の3状態で拭掃性、スティックスリップ現象の有無を観察した。さらに、ワイパーを100時間連続運転させた後の、スティックスリップ現象の有無を観察した。
拭掃性能
○:拭掃時の拭残しが全く認められなかった
△:わずかに拭残しが認められる
×:拭残しが認められる
スティックスリップ現象の評価
○:スティックスリップが全く起こらなかった
△:スティックスリップが時たま起こった
×:スティックスリップが頻繁に起こった
〔凸部の数、底部断面積、高さ、凸部を有する領域の面積比〕
凸部を有する領域の面積比、凸部の高さ、凸部の底部断面積、凸部の数等は、例えば、キーエンス社製、カラー3Dレーザー顕微鏡(VK−9700)を用い、解析ソフトとして三谷商事株式会社製のWinRooF Ver.6.4.0を用いて算出した。凸部を有する領域の面積比は、凸部の底部断面積を求め、断面積合計の値が、測定全領域面積に占める割合として求めた。凸部の数は、測定領域中の凸部の数を1mm2当たりの数に換算したものである。
凸部を有する領域の面積比、凸部の高さ、凸部の底部断面積、凸部の数等は、例えば、キーエンス社製、カラー3Dレーザー顕微鏡(VK−9700)を用い、解析ソフトとして三谷商事株式会社製のWinRooF Ver.6.4.0を用いて算出した。凸部を有する領域の面積比は、凸部の底部断面積を求め、断面積合計の値が、測定全領域面積に占める割合として求めた。凸部の数は、測定領域中の凸部の数を1mm2当たりの数に換算したものである。
〔メルトフローレート(MFR)〕
MFRは、ASTM D1238に準拠し、温度280℃、荷重5kgで測定して得られる値である。
MFRは、ASTM D1238に準拠し、温度280℃、荷重5kgで測定して得られる値である。
アクリルゴム(A1)
XF−5140((株)トウペ製)エマルジョン 濃度31.1wt%
アクリルゴム(A2)
XF−5140((株)トウペ製)ベースポリマー
XF−5140((株)トウペ製)エマルジョン 濃度31.1wt%
アクリルゴム(A2)
XF−5140((株)トウペ製)ベースポリマー
合成例1 フッ素樹脂(B1)
攪拌機を備えた内容積3Lのステンレス製オートクレーブに、脱イオン水1767g、含フッ素アリルエーテル化合物としてCH2=CFCF2−O−(CF(CF3)CF2O)−CF(CF3)−COONH4の50%水溶液を0.283g(脱イオン水量の80ppmに相当する量)を、含フッ素アニオン性界面活性剤としてF(CF2)5COONH4の50%水溶液を3.53g(脱イオン水量の1000ppmに相当する量)を仕込んだ。オートクレーブ内を真空引きし、窒素置換した後、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕を3.4MPaになるように導入し、95℃まで昇温した。引き続き、HFP、TFEを圧力が4.0MPaになるまで導入した。引き続き、重合開始剤として3.0質量%の過硫酸アンモニウム水溶液16gを圧入して重合を開始した。重合開始剤を圧入した後、5分経った時点で圧力低下が始まるので、重合槽圧力を4.0MPaに保つようにTFE/HFP=70/30(モル比)の混合ガスを供給して重合を継続した。また、重合速度を維持するため、重合開始時から定常的に3.0質量%の過硫酸アンモニウム水溶液を圧入し、重合終了時までトータル35gを追加した。重合開始4時間後に攪拌を停止してモノマーガスを放出し、反応を停止させた。その後、室温まで冷却して白色のTFE/HFP共重合体〔FEP〕ディスパージョン(エマルション)1990gを得た。得られたエマルションの一部を乾燥して固形分濃度を測定したところ、20.0%であった。
攪拌機を備えた内容積3Lのステンレス製オートクレーブに、脱イオン水1767g、含フッ素アリルエーテル化合物としてCH2=CFCF2−O−(CF(CF3)CF2O)−CF(CF3)−COONH4の50%水溶液を0.283g(脱イオン水量の80ppmに相当する量)を、含フッ素アニオン性界面活性剤としてF(CF2)5COONH4の50%水溶液を3.53g(脱イオン水量の1000ppmに相当する量)を仕込んだ。オートクレーブ内を真空引きし、窒素置換した後、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕を3.4MPaになるように導入し、95℃まで昇温した。引き続き、HFP、TFEを圧力が4.0MPaになるまで導入した。引き続き、重合開始剤として3.0質量%の過硫酸アンモニウム水溶液16gを圧入して重合を開始した。重合開始剤を圧入した後、5分経った時点で圧力低下が始まるので、重合槽圧力を4.0MPaに保つようにTFE/HFP=70/30(モル比)の混合ガスを供給して重合を継続した。また、重合速度を維持するため、重合開始時から定常的に3.0質量%の過硫酸アンモニウム水溶液を圧入し、重合終了時までトータル35gを追加した。重合開始4時間後に攪拌を停止してモノマーガスを放出し、反応を停止させた。その後、室温まで冷却して白色のTFE/HFP共重合体〔FEP〕ディスパージョン(エマルション)1990gを得た。得られたエマルションの一部を乾燥して固形分濃度を測定したところ、20.0%であった。
得られたディスパージョン300gを2倍に希釈し、硫酸アルミニウムを加えて凝析し、スラリーを濾別した。回収したスラリーに1Lのイオン交換水を加えて再分散させた後、再び濾別して洗浄した。この洗浄工程をさらに3回繰り返した。引き続き110℃で乾燥して58gのポリマーを得た。
得られたポリマーは以下の組成及び物性を有していた。
TFE/HFP=83.2/16.8(モル比)
融点:179℃
MFR:8.5g/10min(280℃、5kg)
70℃における貯蔵弾性率(E´):58MPa
熱分解開始温度(1%質量減温度):375℃
TFE/HFP=83.2/16.8(モル比)
融点:179℃
MFR:8.5g/10min(280℃、5kg)
70℃における貯蔵弾性率(E´):58MPa
熱分解開始温度(1%質量減温度):375℃
合成例2 フッ素樹脂(B2)
攪拌機を備えた内容積3Lのステンレス製オートクレーブに、脱イオン水1767g、含フッ素アリルエーテル化合物としてCH2=CFCF2−O−(CF(CF3)CF2O)−CF(CF3)−COONH4の50%水溶液を0.283g(脱イオン水量の80ppmに相当する量)を、含フッ素アニオン性界面活性剤としてF(CF2)5COONH4の50%水溶液を3.53g(脱イオン水量の1000ppmに相当する量)を仕込んだ。オートクレーブ内を真空引きし、窒素置換した後、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕を3.4MPaになるように導入し、パーフルオロ(プロピル)ビニルエーテル〔PPVE〕を17g圧入し、95℃まで昇温した。引き続き、HFP、TFEを圧力が4.0MPaになるまで導入した。引き続き、重合開始剤として3.0質量%の過硫酸アンモニウム水溶液16gを圧入して重合を開始した。重合開始剤を圧入した後、5分経った時点で圧力低下が始まるので、重合槽圧力を4.0MPaに保つようにTFE/HFP=70/30(モル比)の混合ガスを供給して重合を継続した。また、重合速度を維持するため、重合開始時から定常的に3.0質量%の過硫酸アンモニウム水溶液を圧入し、重合終了時までトータル35gを追加した。重合開始4時間後に攪拌を停止してモノマーガスを放出し、反応を停止させた。その後、室温まで冷却して白色のTFE/HFP/PPVE共重合体〔FEP〕ディスパージョン(エマルション)2000gを得た。
得られたエマルションの一部を乾燥して固形分濃度を測定したところ、20.3%であった。
攪拌機を備えた内容積3Lのステンレス製オートクレーブに、脱イオン水1767g、含フッ素アリルエーテル化合物としてCH2=CFCF2−O−(CF(CF3)CF2O)−CF(CF3)−COONH4の50%水溶液を0.283g(脱イオン水量の80ppmに相当する量)を、含フッ素アニオン性界面活性剤としてF(CF2)5COONH4の50%水溶液を3.53g(脱イオン水量の1000ppmに相当する量)を仕込んだ。オートクレーブ内を真空引きし、窒素置換した後、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕を3.4MPaになるように導入し、パーフルオロ(プロピル)ビニルエーテル〔PPVE〕を17g圧入し、95℃まで昇温した。引き続き、HFP、TFEを圧力が4.0MPaになるまで導入した。引き続き、重合開始剤として3.0質量%の過硫酸アンモニウム水溶液16gを圧入して重合を開始した。重合開始剤を圧入した後、5分経った時点で圧力低下が始まるので、重合槽圧力を4.0MPaに保つようにTFE/HFP=70/30(モル比)の混合ガスを供給して重合を継続した。また、重合速度を維持するため、重合開始時から定常的に3.0質量%の過硫酸アンモニウム水溶液を圧入し、重合終了時までトータル35gを追加した。重合開始4時間後に攪拌を停止してモノマーガスを放出し、反応を停止させた。その後、室温まで冷却して白色のTFE/HFP/PPVE共重合体〔FEP〕ディスパージョン(エマルション)2000gを得た。
得られたエマルションの一部を乾燥して固形分濃度を測定したところ、20.3%であった。
得られたディスパージョン300gを2倍に希釈し、硫酸アルミニウムを加えて凝析し、スラリーを濾別した。回収したスラリーに1Lのイオン交換水を加えて再分散させた後、再び濾別して洗浄した。この洗浄工程をさらに3回繰り返した。
引き続き110℃で乾燥して56gのポリマーを得た。
引き続き110℃で乾燥して56gのポリマーを得た。
得られたポリマーは以下の組成及び物性を有していた。
TFE/HFP/PPVE=84.2/14.8/1.0(モル比)
融点:178℃
MFR:9.2g/10min(280℃、5kg)
70℃における貯蔵弾性率(E´):63MPa
熱分解開始温度(1%質量減温度):372℃
TFE/HFP/PPVE=84.2/14.8/1.0(モル比)
融点:178℃
MFR:9.2g/10min(280℃、5kg)
70℃における貯蔵弾性率(E´):63MPa
熱分解開始温度(1%質量減温度):372℃
表1に示す配合剤は以下の通りである。
充填剤
ステアリン酸
パラフィンワックス
ナウガード#445(ユニロイヤル社製)
シーストV(東海カーボン(株)製)
充填剤
ステアリン酸
パラフィンワックス
ナウガード#445(ユニロイヤル社製)
シーストV(東海カーボン(株)製)
架橋剤
CHEMINOX AC−6(ユニマテック(株)製)
CHEMINOX AC−6(ユニマテック(株)製)
架橋促進剤
ノクセラーDT(大内新興化学工業(株)製)
ノクセラーDT(大内新興化学工業(株)製)
実施例1
容量1Lのミキサー内に、水500ccと塩化マグネシウム4gをあらかじめ混合した溶液にFEP水性ディスパージョン(B1)とアクリルゴムディスパージョン(A1)とを、固形分が体積比で75/25(アクリルゴム/FEP)となるようにあらかじめ混合した溶液400ccを投入し、ミキサーにて3分間混合し、共凝析した。
共凝析後、固形分を取り出し、80℃×48時間乾燥炉で乾燥させた後、オープンロールにて表1に示す所定の配合物を混合して、アクリルゴム組成物とした。
その後、成形金型内でワイパーブレードの形状に成形し、160℃、30分間、40kg/cm2の加圧下で架橋して、架橋成形品を得た。
その後、架橋成形品を190℃に維持された加熱炉中に24時間入れて加熱処理を行うことで、ワイパーブレードゴムを得た。得られたワイパーブレードゴムを用いて、ワイパー性能の試験を行った。また、凸部の数、底部断面積、高さ、凸部を有する領域の面積比を測定した。
容量1Lのミキサー内に、水500ccと塩化マグネシウム4gをあらかじめ混合した溶液にFEP水性ディスパージョン(B1)とアクリルゴムディスパージョン(A1)とを、固形分が体積比で75/25(アクリルゴム/FEP)となるようにあらかじめ混合した溶液400ccを投入し、ミキサーにて3分間混合し、共凝析した。
共凝析後、固形分を取り出し、80℃×48時間乾燥炉で乾燥させた後、オープンロールにて表1に示す所定の配合物を混合して、アクリルゴム組成物とした。
その後、成形金型内でワイパーブレードの形状に成形し、160℃、30分間、40kg/cm2の加圧下で架橋して、架橋成形品を得た。
その後、架橋成形品を190℃に維持された加熱炉中に24時間入れて加熱処理を行うことで、ワイパーブレードゴムを得た。得られたワイパーブレードゴムを用いて、ワイパー性能の試験を行った。また、凸部の数、底部断面積、高さ、凸部を有する領域の面積比を測定した。
実施例2
実施例1でFEPディスパージョン(B1)の代わりに(B2)を用いた以外は実施例1と同様の方法でワイパーブレードゴムを得た。得られたワイパーブレードゴムを用いて、ワイパー性能の試験を行った。また、凸部の数、底部断面積、高さ、凸部を有する領域の面積比を測定した。
実施例1でFEPディスパージョン(B1)の代わりに(B2)を用いた以外は実施例1と同様の方法でワイパーブレードゴムを得た。得られたワイパーブレードゴムを用いて、ワイパー性能の試験を行った。また、凸部の数、底部断面積、高さ、凸部を有する領域の面積比を測定した。
比較例1
オープンロールにて、アクリルゴム(A2)に表1に示す所定の配合物を混合して、アクリルゴム組成物とした。その後は実施例1と同様の方法でワイパーブレードゴムを得た。得られたワイパーブレードゴムを用いて、ワイパー性能の試験を行った。また、凸部の数、底部断面積、高さ、凸部を有する領域の面積比を測定した。
オープンロールにて、アクリルゴム(A2)に表1に示す所定の配合物を混合して、アクリルゴム組成物とした。その後は実施例1と同様の方法でワイパーブレードゴムを得た。得られたワイパーブレードゴムを用いて、ワイパー性能の試験を行った。また、凸部の数、底部断面積、高さ、凸部を有する領域の面積比を測定した。
本発明のワイパーブレードゴムは低摩擦性、耐摩耗性、非粘着性に優れ、かつ優れた拭掃性を発揮するものであり、種々の乗物、工作機械用のワイパーブレードとして利用可能である。
10、30:ワイパーブレードゴム
11:ヘッド部
12:ブリッジ部
13:ウェッジ部
14:ワイパーエッジ部
15:ガラス
31:凸部
11:ヘッド部
12:ブリッジ部
13:ウェッジ部
14:ワイパーエッジ部
15:ガラス
31:凸部
Claims (8)
- アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを含むアクリルゴム組成物を架橋することにより得られるものであることを特徴とするワイパーブレードゴム。
- アクリルゴム組成物は、アクリルゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを共凝析させて得られた共凝析組成物を含むものである請求項1記載のワイパーブレードゴム。
- フッ素樹脂(B)は、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及び、ポリフッ化ビニルからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載のワイパーブレードゴム。
- フッ素樹脂(B)は、パーフルオロフッ素樹脂である請求項1、2又は3記載のワイパーブレードゴム。
- フッ素樹脂(B)は、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体である請求項1、2、3又は4記載のワイパーブレードゴム。
- フッ素樹脂(B)は、融点が210℃以下である請求項1、2、3、4又は5記載のワイパーブレードゴム。
- ワイパーブレードゴムに対するフッ素樹脂(B)の体積比が0.03〜0.45である請求項1、2、3、4、5又は6記載のワイパーブレードゴム。
- アクリルゴム(A)は、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ブトキシエチル、及び、アクリル酸メトキシエチルからなる群より選択される少なくとも1種のアクリル酸エステルに基づく重合単位からなる請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のワイパーブレードゴム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012100280A JP2013227422A (ja) | 2012-04-25 | 2012-04-25 | ワイパーブレードゴム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012100280A JP2013227422A (ja) | 2012-04-25 | 2012-04-25 | ワイパーブレードゴム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013227422A true JP2013227422A (ja) | 2013-11-07 |
Family
ID=49675412
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012100280A Pending JP2013227422A (ja) | 2012-04-25 | 2012-04-25 | ワイパーブレードゴム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013227422A (ja) |
-
2012
- 2012-04-25 JP JP2012100280A patent/JP2013227422A/ja active Pending
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