JP2013225075A - Mems光スキャナ - Google Patents

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Abstract

【課題】ミラー以外の部分にレーザ光が照射されても迷光となることを抑え、正規の信号光の信号品質を維持できるMEMS光スキャナを提供する。
【解決手段】シリコン基板上に形成されたミラー14と、ミラー14を駆動用圧電膜12a,12bによって駆動する機構と、ミラー14の駆動状態を検出用圧電膜12c,12dによって検出する機構と、ミラー14を除く領域に形成された微細凹凸構造17とを備えた。微細凹凸構造17は、略一定の周期構造を有し、そのピッチが、ミラー14に照射される光の波長以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザビーム等の光を反射させて光偏向を行うMEMS光スキャナに関する。
従来、電子写真式複写機、レーザビームプリンタ及びバーコードリーダ等の光学機器を構成する走査装置や、光ディスクのトラッキング制御装置を構成する光偏向装置などにおいては、光スキャナ(光偏向子)が使用されている。また、光スキャナは、光を2次元的にスキャンすることにより2次元の画像を表示する画像表示装置にも用いられる。
このような光スキャナは、レーザ光が照射されるミラーを有し、このミラーを揺動させることにより、このミラーにより反射させたレーザ光をスクリーン等の上にスキャンしてゆく。画像を表示する場合には、光スキャナを2個使用し、1個目の光スキャナでY軸方向のスキャンを行い、この光を2個目の光スキャナに入射させてX軸方向のスキャンを行うことにより、2次元の画像を表示することができる。また、1個で2軸方向のスキャンを可能とした光スキャナも提案されている。
光スキャナの駆動方法としては、例えば、ミラーの外周部にコイルを設けて通電し、この電流により発生する磁界と外部に設けた磁石による磁界とのローレンツ力を利用してミラーを揺動させるMC(Moving Coil)方式がある。また、別の駆動方法としては、ミラーを囲む外周枠にコイルを設置して通電し、ミラーの裏面に磁石を設け、電流により発生する磁界と磁石による磁界とのローレンツ力を利用してミラーを揺動させるMM(Moving Magnet)方式もある。
また、ミラー上に電極を設け、ミラーの周囲に櫛歯状の電極を設けて、これら電極間の静電気力を利用してミラーを揺動させる光スキャナも提案されている。
さらに、ミラーをトーションバーにより揺動可能に支持し、このトーションバーを、圧電膜が上部に設けられ固定枠により保持されたアームにより保持し、圧電膜に電圧を印加した際に生じる反りを利用し、反りの反復によりミラーを揺動させるようにした圧電駆動方式の光スキャナが提案されている。
そして、近年、MEMS(Micro Electro Mechanical System)光スキャナ(マイクロスキャナ)が提案されている。MEMS光スキャナは、フォトエッチング等のウエハプロセスにより、半導体基板上にミラーやミラーを回転駆動させるための機構部等をモノリシックに形成して作製される。このような光偏向子においては、ウエハプロセスを用いることにより、さらなる小型化、軽量化及び低コスト化が期待されている。
MEMS光スキャナにおいて、ミラーの駆動方式をいずれの方式とするかは、ミラーの駆動力や消費電力など、光スキャナの性能上の優位点の他に、MEMSサイズ、製造プロセスの簡便性、製造コストなどについても考慮して決定する必要があるので、優先すべき項目において有利な駆動方式が採用される。
また、MEMS光スキャナにおいて、偏向性能、走査性能を向上させるためには、ミラーの駆動状態を検出し、フィードバック制御を行うことが必要となる。画像表示を制御するには、スキャンデバイス部の圧電膜のスキャン動作の駆動信号を検出し、検出結果を制御部にフィードバックし、X軸及びY軸のそれぞれのスキャン同期信号を制御している。そのため、MEMS光スキャナにおいては、ミラーの駆動状態を精度よく検出する方法の開発が望まれている。
現在、ミラーの駆動状態の検出方法について、種々の検討がなされている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、圧電駆動方式のMEMS光スキャナが記載されている。圧電駆動方式は、圧電膜をミラーの駆動及び検出に用いる方式であり、駆動部及び検出部を同時に形成することができ、また、大きな駆動力が得られるというメリットがある。圧電駆動方式のMEMS光スキャナにおいては、ミラーを駆動するための圧電膜が設けられたアームとは別の他のアームに圧電膜を設け、ミラーの揺動によって他のアームを振動させ、この振動により圧電膜を反らせ、この反りによって生ずる電力を、検出信号として用いることができる。圧電駆動方式のMEMS光スキャナは、作製が容易であり、量産化し易い。
また、ミラー近傍に磁石を設け、この磁石に接近する位置に磁気抵抗検出部を設け、これらの間のミラーの揺動による距離の変化に応じた磁気抵抗の変化を磁気抵抗検出部により検出して、検出信号として用いることもできる。
さらに、ミラーを支持するトーションバーに櫛歯状構造を一体的に設け、トーションバーの近傍に静電容量センサ部の櫛歯状構造を設け、これらを互いにかみ合わせる形に設置し、トーションバーがねじれてミラーが揺動するときに、各櫛歯状構造が互いに位置ずれすることによる静電容量の変化を検出して、検出信号として用いることもできる。
また、ミラーを支持するトーションバーにピエゾ抵抗検出器を設け、このピエゾ抵抗検出器により、トーションバーのねじれに応じて生じる応力変化から発生する電流を検出して、検出信号として用いることもできる。
特開2005−128147号公報 特開2009−169325号公報
ところで、MEMS光スキャナを用いて構成されたディスプレイやヘッドアップディスプレイ等においては、MEMS光スキャナのミラーに照射されるレーザ光は、高NAのレンズにより回折限界近くまで集光するということはなされず、ミラーのサイズと同等程度までしか集光されていない。そのため、ミラー以外の部分にもレーザ光が照射されることが起こる。特に、MEMS光スキャナの小型化や高速走査を求めると、ミラーに照射するレーザ光のスポット径がミラーよりも大きくなる可能性が高い。
ミラー以外の部分に照射されたレーザ光は、ミラー以外の各部での反射により、素子裏面にも照射される迷光となる。このような迷光は、正規の信号光を乱し、障害の原因となる。すなわち、シリコン基板にレーザ光が照射された場合には、内部光電効果によりキャリア(電荷)が発生することがある。発生したキャリアは、移動して微小な電流を発生させる。この電流は、検出信号にノイズとして混入し、信号品質を著しく低下させ、画像の乱れなどの重大な障害の原因となる。
そこで、本発明は、前述の実情に鑑みて提案されるものであって、ミラー以外の部分にレーザ光が照射されても、このレーザ光が反射されて迷光となることが抑制され、正規の信号光の信号品質が低下することがないMEMS光スキャナを提供することを目的とする。
前述の課題を解決し、前記目的を達成するため、本発明に係るMEMS光スキャナは、以下の構成の少なくとも一を有するものである。
〔構成1〕
シリコン基板の表面上に形成されたミラーと、シリコン基板に形成されミラーを駆動用圧電膜によって駆動する機構と、シリコン基板に形成されミラーの駆動状態を検出用圧電膜によって検出する機構と、シリコン基板の表面上であってミラーを除く領域に形成された微細凹凸構造とを備え、ミラーを駆動することによってミラーに照射される光をスキャンし、微細凹凸構造は、略一定の周期構造を有し、そのピッチが、ミラーに照射される光の波長以下であることを特徴とするものである。
〔構成2〕
構成1を有するMEMS光スキャナにおいて、微細凹凸構造の表面は、金属薄膜で被覆されていることを特徴とするものである。
〔構成3〕
構成1を有するMEMS光スキャナにおいて、微細凹凸構造は、ピッチに対する深さのアスペクト比が、0.6以上であることを特徴とするものである。
構成1を有する本発明に係るMEMS光スキャナにおいては、シリコン基板の表面上であってミラーを除く領域に形成された微細凹凸構造は、略一定の周期構造を有し、そのピッチが、ミラーに照射される光の波長以下であるので、ミラーを除く領域における光の反射が大幅に低減され、迷光の発生が防止される。
すなわち、平滑な基板などの表面に光の波長以下のビッチの周期構造を有する微細凹凸構造を設けると、材料の特有値である屈折率を漸近的に変化させて小さくするのと同等の効果が発現し、表面の光の反射率を極めて小さくすることができる。本発明に係るMEMS光スキャナにおいては、微細凹凸構造により、シリコン基板の表面上であってミラーを除く領域における反射光を抑え、迷光の発生を防止することができる。
したがって、本発明に係るMEMS光スキャナにおいては、ミラーへの光照射時に迷光の発生を抑制し、光電効果による電荷ノイズの発生を防止することができる。そのため、信号品質の劣化を防止することができ、良質の信号を検出することができるので、画像品質等、このMEMS光スキャナを用いたシステム全体の性能を向上させることができる。
構成2を有する本発明に係るMEMS光スキャナにおいては、微細凹凸構造の表面は、金属薄膜で被覆されている。そのため、光源から直接漏れ込む光が金属薄膜により遮蔽され、シリコン基板における光電効果を抑制することができる。したがって、信号品質の劣化を防止することができ、このMEMS光スキャナを用いたシステム全体の性能を向上させることができる。
構成3を有する本発明に係るMEMS光スキャナにおいては、微細凹凸構造は、ピッチに対する深さのアスペクト比が0.6以上であるので、ミラーを除く領域における光の反射が大幅に低減されて迷光の発生が防止され、シリコン基板における光電効果が抑制され、このMEMS光スキャナを用いたシステム全体の性能を向上させることができる。
すなわち、本発明は、ミラー以外の部分にレーザ光が照射されても、このレーザ光が反射されて迷光となることが抑制され、正規の信号光の信号品質が低下することがないMEMS光スキャナを提供することができるものである。
本発明に係るMEMS光スキャナの一実施形態の構成を示すブロック図である。 本発明に係るMEMS光スキャナの一実施形態の要部の構成を示す斜視図である。 本発明に係るMEMS光スキャナを駆動する回路構成の一実施形態を示す回路図である。 本発明に係るMEMS光スキャナの実施例の製造の第1工程を示す断面図である。 本発明に係るMEMS光スキャナの実施例の製造の第2工程を示す断面図である。 本発明に係るMEMS光スキャナの実施例の製造の第3工程を示す断面図である。 本発明に係るMEMS光スキャナの実施例の製造の第4工程を示す断面図である。 本発明に係るMEMS光スキャナの実施例の製造の第5工程を示す断面図である。 本発明に係るMEMS光スキャナの実施例の製造の第6工程を示す断面図である。 本発明に係るMEMS光スキャナの実施例の製造の第6工程を示す平面図である。 本発明に係るMEMS光スキャナの実施例の製造の第7工程を示す平面図(a)及び断面図(b)である。 微細凹凸構造の形成工程を示す工程図である。 本発明に係るMEMS光スキャナの実施例の特性を示すグラフである。 MEMS光スキャナの比較例の特性を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明に係るMEMS光スキャナの一実施形態の構成を示すブロック図である。(a)は、平面図であり、(b)は、(a)におけるy−y′縦断面図であり、(c)は、(a)におけるx−x′縦断面図である。
本発明に係るMEMS(Micro Electro Mechanical System)光スキャナの一実施形態は、図1に示すように、シリコン材料、例えば、SOI(Silicon on Insulator)基板を、半導体加工装置で加工して作成される。このMEMS光スキャナはフレーム15を有し、このフレーム15内に各パーツを有して構成されている。
フレーム15は、MEMS光スキャナの全体を支えるフレームであり、数10μmの薄いシリコン層、例えば、50μmのシリコン層で形成されている。このフレーム15は、例えば、400μmの厚さのベース16に、図示しない埋め込み酸化膜を介して固定されており、変形が生じないようになっている。
フレーム15内には、ミラー14が配置されている。ミラー14は、数10μmの薄いシリコン層、例えば、50μmのシリコン層で形成されている。このミラー14は、このミラー14の表面部に沿った回転軸A回りに、回動動作を行う。このように回動動作を行うミラー14の表面に図示しないレーザ光を照射すると、レーザ光がスキャンされる。
ミラー14は、4本のアーム11a,11b,11c,11d及び4本のトーションバー13a,13b,13c,13dを介して、フレーム15に接続されている。アーム11a,11b,11c,11d及びトーションバー13a,13b,13c,13dは、数10μmの薄いシリコン層、例えば、50μmのシリコン層で形成されている。
4本のアーム11a,11b,11c,11dは、フレーム15の内側縁から、フレーム15の中心方向に向けて突設されている。各トーションバー13a,13b,13c,13dは、各アーム11a,11b,11c,11dの先端部と、ミラー14とを繋いでいる。各トーションバー13a,13b,13c,13dは、回転軸Aに対して平行であり、回転軸Aから所定の距離離間した位置に配置されている。各トーションバー13a,13b,13c,13dは、回転軸Aに対して、対称の位置に配設されている。
各アーム11a,11b,11c,11dには、PZT(チタン酸ジルコン酸塩)やZnO(酸化亜鉛)などからなる圧電膜12a,12b,12c,12dが形成されている。各圧電膜12a,12b,12c,12dの上下には、図示しない金属の電極が形成されており、各圧電膜12a,12b,12c,12dに電界をかけたり、各圧電膜12a,12b,12c,12dに生じた電界を検出する配線となっている。電極材料は、高い電気伝導率が必要であり、また、加工のし易さ等を考慮すると、例えば、Mo(モリブデン)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)等を用いるのが好適である。
例えば、ミラー14の回転軸Aに対して一方の側のアーム11a,11bに設けられた駆動用圧電膜12a,12bの電極に交流電圧を入力信号として入力すると、この圧電膜12a,12bが伸縮し、これらアーム11a、11bに上下(図1(a)における紙面の手前/奥方向)に反る運動を発生する。この運動は、トーションバー13a、13bを介してミラー14に伝わり、ミラー14が回転軸A回りに揺動する。一方、ミラー14の動きは、ミラー14の回転軸Aに対して他方の側のトーションバー13c、13dを介して、他方の側のアーム11c、11dを上下(図1(a)における紙面の手前/奥方向)に反らせる。これらアーム11c、11dの検出用圧電膜12c,12dには電界が発生し、これら圧電膜12c,12dの電極に電圧信号が発生する。この電圧信号を、検出信号と呼ぶ。
このMEMS光スキャナのミラー14に照射されるレーザ光は、一般的に、高いNAのレンズ等を用いて極小スポットまで絞ることはしていない。そのため、レーザ光のスポットサイズは、比較的大きく、ミラー14の外寸と同等のmmオーダ径であることが多い。このようなスポットサイズのレーザ光をミラー14に照射した場合には、ミラー14以外の部分にも、レーザ光が照射され得る。
MEMS光スキャナは、SOI基板を用いて、光リソグラフィ(フォトリソ)技術及びドライエッチング技術により作製される。結晶シリコンからなるフレーム15及び各アーム11a,11b,11c,11d等の筐体部にレーザ光が照射されると、数十%の反射率で反射する。反射された光は、様々な光路をとり、迷光となる。迷光となった光は、映像信号等の正規信号に混線するノイズ源となる。
また、フレーム15等をなす結晶シリコンに可視光線が照射されると、光電効果によりキャリア(電荷)が発生する。ミラー14以外のフレーム15等にレーザ光が照射されると、照射された部分で光電効果によるキャリアが発生する。特に、信号入力電極や信号検出電極の近辺で電荷が発生すると、正規の信号にノイズが混入する。
これらのノイズはいずれも、画像表示システムとして重大な障害になる可能性がある。つまり、表示画像が乱れたり、ノイズの混入した見辛い画像になってしまう虞がある。
図2は、本発明に係るMEMS光スキャナの一実施形態の要部の構成を示す斜視図である。
そこで、このMEMS光スキャナにおいては、図2に示すように、フレーム15等をなすSOI基板の表面上であってミラー14を除く領域に、微細凹凸構造17を形成して、レーザ光の反射率を低くしている。微細凹凸構造17は、略一定の周期構造を有し、そのピッチが、ミラー14に照射されるレーザ光の波長以下となっているものである。
光の反射は、屈折率(n)が異なる物質同士の界面で起こる。一般的には、nの差が大きいほど反射も大きくなる。物質同士の界面に、入射光の波長より小さなピッチの周期構造を有する微細凹凸構造17を形成すると、界面での屈折率の変化を緩やかにすることができる。本発明においては、空気とSOI基板との界面における光の反射がほとんど起こらなくなり、照射された光の大部分は、SOI基板に入射する。
微細凹凸構造17は、フォトリソ技術とRIE(リアクティブイオンエッチング)技術を用いて形成することができる。微細凹凸構造17の具体的な形成方法については後述することとする。
なお、界面における光の反射率を十分に抑制するには、微細凹凸構造17は、ピッチに対する深さのアスペクト比が0.6以上であることが望ましい。
また、光電効果によるキャリアの発生は、微細凹凸構造17が形成されたSOI基板の表面に、光電効果の発生しない、あるいは、ごく弱くしか発生しない金属等の薄膜を形成することにより防止することができる。金属薄膜で覆われたSOI基板は、照射されるレーザ光から遮蔽されるので、光電効果が発生することを防止することができる。
このような金属薄膜は、スパッタリング法や真空蒸着法により、微細凹凸構造17の形状にも追従性良く形成することができる。したがって、微細凹凸構造17による反射率の低下という効果を維持したままで、光電効果の発生を防止することができる。
なお、MEMS光スキャナは、ミラー14が回動動作をすればよく、前述した構成に限定されるものではない。例えば、トーションバーは、4本でなく2本として、回転軸A上に配置してもよい。また、駆動用の圧電膜としては、ミラー14の回転軸Aに対して一側の2つの圧電膜12a,12bを用いることに限定されず、4つの圧電膜12a,12b,12c,12dのうちの1つだけを用いてもよいし、あるいは、3つ、もしくは、4つを用いてもよい。4つの圧電膜12a,12b,12c,12dを駆動用として用いる場合には、一方の側の圧電膜12a,12bと、他方の側の圧電膜12c,12dとでは、供給する交流信号の位相を反転させる。
また、駆動方式としては、圧電膜ではなく、コイルや磁石を使った電磁駆動、あるいは、ベース16を機械的に振動させる方法、静電駆動などを採用してもよい。信号検出方式は、圧電膜ではなく、ピエゾ抵抗素子を各トーションバー13a,13b,13c,13dのいずれかに組み込むか、あるいは、ミラー14におけるレーザ光の反射角によって検出する方式を採用してもよい。
図3は、本発明に係るMEMS光スキャナを駆動する回路構成の一実施形態を示す回路図である。
このMEMS光スキャナを駆動するには、図3に示すように、駆動用の圧電膜12a,12bに交流信号を供給する発振器34と、検出用の圧電膜12c,12dに発生する電圧信号を検出する振れ角検出器33とを備えた回路を用いる。
この回路において、動作点決定手段32が、ミラー14の動作点を決定する。動作点決定手段32による決定に基づいて、発振器34が動作し、交流信号が、切替スイッチ40を介して、駆動用の圧電膜12a,12bに供給される。
一方、検出用の圧電膜12c,12dに発生する電圧信号は、位相比較器31及び振れ角検出器33に送られる。位相比較器31及び振れ角検出器33による検出結果は、動作点決定手段32に送られる。動作点決定手段32は、位相比較器31及び振れ角検出器33から送られた検出結果に基づいて、次の動作点を決定する。なお、位相比較器31には、ドットクロック発生手段41より、クロック信号が供給されている。
切替スイッチ40を切り替えた場合には、動作点決定手段32による決定に基づいて、位相調整器23及びAGC(オートゲインコントローラ)24が動作し、交流信号が、切替スイッチ40を介して、駆動用の圧電膜12a,12bに供給される。
一方、検出用の圧電膜12c,12dに発生する電圧信号は、位相比較器31及び振れ角検出器33に送られるとともに、バンドパスフィルタ22を介して、位相調整器23に送られる。位相比較器31及び振れ角検出器33による検出結果は、動作点決定手段32に送られる。動作点決定手段32は、位相比較器31及び振れ角検出器33から送られた検出結果に基づいて、次の動作点を決定する。
このMEMS光スキャナは、ミラー14の振れ角が大きい場合には、非線形動作をする。すなわち、駆動周波数を上げていく場合と、下げていく場合とで、異なる振れ角になる。ここでは、駆動周波数を上げていく場合と下げていく場合とで振れ角がほぼ等しくなる周波数領域を線形領域と呼び、駆動周波数を上げていく場合と下げていく場合とで振れ角が異なる周波数領域を非線形領域と呼ぶことにする。また、ここでは、駆動周波数を上げていく場合の振れ角が、下げていく場合の振れ角よりも大きい場合について述べる。
駆動周波数が低い場合には、ミラー14の動作は線形であり、駆動周波数を上げていくと、共振周波数に近づくにつれて振れ角は大きくなっていき、また、位相も徐々にずれてゆく。駆動周波数をさらに上げると、ミラー14の振れ角はピークに達する。振れ角のピークの状態は非常に不安定で、何かのショック、例えば、電気的な、あるいは、機械的なノイズで簡単に振れ角が落ちてしまい、高周波側の線形領域に入ってしまう。また、ミラー14の形状が非対称である場合などもピークが不安定になる。位相特性は、ピーク付近でも線形解析で予想される位相差(たとえば−90度。検出方法によっては−180度)に達することなく、より低い値になる。逆に、高周波側から駆動周波数を下げていくと、振れ角が徐々に上がり、小さなピークを迎えて線形領域に入る。MEMS光スキャナは、しばしばこのようなヒステリシス特性を持つ。
ここで、動作点をどこに設定するかを考えると、振れ角のピーク付近は不安定で持続的な動作を見込めないので、それよりも安定な、少し低い駆動周波数的に設定する。ここで重要なのは、駆動周波数そのものの設定ではなく、動作位相を設定することである。例えば、温度が上がると共振周波数は低くなる。ここで、駆動周波数を固定にしておくと、動作点の周波数がピークを越えてしまい、線形領域に入ってMEMS光スキャナの動作が止まってしまう。一方、動作位相が固定されるようにすると、共振周波数の変動に追随して駆動周波数が変動し、常に安定した動作を続けることができる。
〔実施例〕
本発明の実施例として、シリコン基板上に埋め込み酸化膜を介してシリコン層が形成されたSOI基板を用いて、前述のように、フォトリソグラフィとエッチングなどの半導体プロセスにより、図1及び図2に示すように、MEMS光スキャナを作成した。
図4は、本発明に係るMEMS光スキャナの実施例の製造の第1工程を示す断面図である。
まず、図4に示すように、表面側シリコン層62がミラー14、各トーションバー13a,13b,13c,13d及び各アーム11a,11b,11c,11dの膜厚となっているSOIウェハを準備する。埋め込み酸化膜層61は、裏面からの後述するウェットエッチング、または、ドライエッチングのストッパ層となるもので、厚みは1μm程度あれば十分である。図1(b)及び(c)のベース16に相当する下地のシリコン層60の膜厚は、ミラー14、各トーションバー13a,13b,13c,13d及び各アーム11a,11b,11c,11d等の構造物を支持するのに必要な膜厚があればよく、一般的には、500μm程度である。
次に、このSOIウェハの表裏両面に、酸化膜層63,64を形成する。酸化膜層63,64の形成方法としては、熱酸化法やCVD法あるいは塗布型の有機絶縁膜を利用することができる。また、酸化膜層63,64に代えて、絶縁性があり、かつ、後述する裏面キャビティエッチングの際のマスクとして作用する膜、すなわち、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)や水酸化カリウム(KOH)などでエッチングされない材質の膜を形成してもよい。なお、裏面キャビティエッチングをフォトレジストマスクでドライエッチングするのであれば、裏面の酸化膜層64、あるいは、他の絶縁膜は不要である。以降は、TMAHやKOHを用いたウェットエッチングでのプロセス実施方法について述べる。
図5は、本発明に係るMEMS光スキャナの実施例の製造の第2工程を示す断面図である。
次に、SOIウェハの裏面側に、フォトレジストパターン65を形成する。フォトレジストパターン65をエッチングマスクとして裏面側の酸化膜層64をエッチングし、図5に示すように、酸化膜パターンを形成する。その後、フォトレジストパターン65を除去しておく。
図6は、本発明に係るMEMS光スキャナの実施例の製造の第3工程を示す断面図である。
次に、図6に示すように、パターン形成した裏面の酸化膜層64をマスクとして、裏面より、下地のシリコン層60をウェットエッチングする。エッチングは、SOIウェハの埋め込み酸化膜層61に達する深さまで行い、SOIウェハの裏面側にキャビティを形成する。エッチング液としては、TMAHやKOHを用いるのが一般的である。使用するSOIウェハの下地のシリコン層60の結晶方位軸は<100>であるものが一般的であり、TMAHやKOHでエッチングすると、<100>面に沿ってエッチングが進む。そのため、エッチング深さが深くなるにつれて、パターンが小さくなる。したがって、必要なエッチング深さに応じて、前述のフォトレジストパターンのサイズを決めておく必要がある。
図7は、本発明に係るMEMS光スキャナの実施例の製造の第4工程を示す断面図である。
次に、図7に示すように、埋め込み酸化膜層61の露出部分と、マスクとして使用した裏面の酸化膜層64とを除去する。酸化膜層64の除去方法としては、ドライエッチングが好ましい。それは、露出した埋め込み酸化膜層61のエッチングの際に、フッ酸等によるウェットエッチングを行うと、埋め込み酸化膜層61の等方性エッチングが進んでしまい、各アーム11a,11b,11c,11d等の長さが設計寸法と異なったものになってしまうためである。
図8は、本発明に係るMEMS光スキャナの実施例の製造の第5工程を示す断面図である。
次に、図8に示すように、SOIウェハの表面側に電極及び圧電膜層等を形成する。まず、表面側の酸化膜層63上に、下部電極70及び配向膜を形成する。なお、図8中では、下層電極70及び配向膜をまとめて、下層電極70として示している。電極材料としては、この後に形成する圧電膜71がシリコン面に垂直な方向に変位するように、優先的に配向するような配向膜(たとえばPt)の配向性を助長するような電極材料(例えば、Ti)を用いる。一般的な膜厚としては、下層電極70(Ti)が0.02μm、配向膜(Pt)が0.1μm程度である。
続いて、配向膜上に、圧電膜71を形成する。所定の駆動信号がこの圧電膜71に印加されるとき、圧電膜71の結晶格子は、上下方向に引き伸ばされ、同時に水平方向に圧縮される。このとき、引っ張り応力が加えられることになり、この応力によって、圧電膜71が上方及び下方に撓む。圧電材料としては、高い圧電特性を示すジルコン酸チタン酸鉛(PZT)系や、LaNiO等のペロブスカイト構造を有する複合酸化物を用いることができる。PZTの場合、膜厚は3μm程度が一般的である。
さらに、圧電膜71上に、密着層及び電極層からなる上層電極72を形成する。材料としては、密着層としてTi(チタン)、電極層としてPt(プラチナ)、Ir(イリジウム)、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)等を用いることができる。膜厚は、密着層(Ti)が0.02μm、電極層(例えば、Au)が0.3μm程度とする。
図9は、本発明に係るMEMS光スキャナの実施例の製造の第6工程を示す断面図である。
図10は、本発明に係るMEMS光スキャナの実施例の製造の第6工程を示す平面図である。
次に、図9に示すように、上層電極72、圧電膜71及び下層電極70をパターンエッチングする。なお、図9及び図10においては、外部への配線引き出しについては省略して示している。図10に示すように、次の工程で各アーム11a,11b,11c,11dが形成される領域に、駆動用電極層75a,75b及び揺動検出用電極層74a,74bを形成する。エッチング方法としては、イオンミリング法などを用いることができる。
図11は、本発明に係るMEMS光スキャナの実施例の製造の第7工程を示す平面図(a)及び断面図(b)である。
次に、図11中の(a)に示すように、SOIウェハの表面側のシリコン層を貫通エッチングする。エッチング手法としては、高密度プラズマを利用したICPエッチングが適当である。エッチングの際には、シリコンの貫通後に、エッチング装置のウェハステージが直接プラズマに曝されてウェハステージの表面にダメージが入るのを防ぐために、被エッチングウェハを別の支持ウェハに貼り合わせてエッチングし、エッチングの終了後に支持ウェハを取り除くという手法も有効である。
貫通エッチングの後、SOIウェハ上のMEMSチップを外周フレームに合わせて切断する。切断後に、図11中の(b)に示すように、ミラー14の裏面に、放熱層として、Ag(銀)薄膜をマグネトロンスパッタリング法で形成した。マグネトロンスパッタリングは、真空チャンバーにMEMSチップをミラー14の裏面以外の部分をマスキングして取り付けて行う。チャンバー内を3.0×10−6torr以下まで排気した後、Ar(アルゴン)ガスを3.0mmtorrになるように導入した。その後、DC電源で1.0kWの電力を投入して、Ag(銀)薄膜が1μm厚になるように成膜した。ミラー14の表面には、酸化等の劣化が少ないAl(アルミニウム)を反射層として形成した。反射層も、放熱層と同様のマグネトロンスパッタリング法により、500nm厚になるように成膜した。
本発明に係るMEMS光スキャナにおいては、ミラー14及び各圧電膜12a,12b,12c,12dに相当する領域を除いた全ての領域又は一部の領域に、微細凹凸構造17が形成されている。本発明に係るMEMS光スキャナの製造において、キャビティの形成と、圧電膜71の形成と、微細凹凸構造17の形成とは、その作成順序を問わない。微細凹凸構造17は、MEMS光スキャナの製造工程のどの段階で形成してもよいが、圧電膜71の形成後、シリコン層を貫通エッチングしてミラー14及び各アーム11a,11b,11c,11d等を形成する前に形成することが好ましい。
以下、微細凹凸構造17の形成工程を説明する。
図12は、微細凹凸構造の形成工程を示す工程図である。
なお、以下の工程では、表面側シリコン層62上の酸化膜層63についての記載を省略している。表面側シリコン層62をエッチングする際、酸化膜層63も同じプロセスでエッチングしてもよいし、事前にエッチングしておいてもよい。
図12(a)に示すように、まず、表面側シリコン層62上に無機レジスト膜160を形成(成膜)する。
無機レジスト膜160は、表面側シリコン層62をエッチングするときのマスクとして機能するため、表面側シリコン層62に対してエッチング選択性のよい材料、すなわち、エッチング速度の遅い材料を用いる。無機レジスト膜160の材料としては、遷移金属の酸化物を主成分とする感光性アモルファス無機材料を用いることが好ましい。このような材料として、例えば、酸化タングステン(WO)、または、タングステンとモリブデンとの合金酸化物(WMoO)を主成分とする感光性アモルファス無機材料が挙げられる。また、ゲルマニウムとアンチモンとテルルとの合金(GeSbTe)系の相変化材料を用いることもできる。中でも、タングステンとモリブデンとビスマスとの合金酸化物(WMoBiO)を主成分とする感光性アモルファス無機材料が好適である。
また、無機レジスト膜160の形成(成膜)方法は、特に限定されるものではないが、例えば、高真空度の減圧状態下のチャンバー内に所定の流量で酸素(O)ガスを導入しながら、タングステンとモリブデンとの合金からなるターゲットを用いてスパッタリングを行う、いわゆる反応性スパッタリング法が好適である。
また、無機レジスト膜160の厚さについても、特に限定されるものではなく、表面側シリコン層62に形成される凹部162の深さ(凸部163の高さ)及び表面側シリコン層62と無機レジスト膜160とのエッチング速度差に応じて適宜設定されるものである。
なお、凹部162及び凸部163のサイズは、後述する微細凹凸構造17に比べて非常に大きいので、無機レジスト膜160を厚く形成してもパターニングが可能である。
次に、無機レジスト膜160の所定の領域に、ステッパー露光機により、レーザ光Laを照射して上記所定の領域における無機レジスト膜160を感光させる。
表面側シリコン層62に形成された無機レジスト膜160は非晶質状態であり、レーザ光Laが照射された領域の無機レジスト膜160は、レーザ光Laの照射エネルギーによって発生する熱によって結晶状態になる。
その後、図12(b)に示すように、アルカリ現像液(例えばテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を用いて上記感光した領域の無機レジスト膜160を除去する。
これにより、表面側シリコン層62に、例えば、複数の方形状パターンが市松模様に配置された無機レジストパターン161が形成される。
次に、図12(c)に示すように、無機レジストパターン161をマスクにして、表面側シリコン層62をエッチングする。
この形成工程では、フルオロカーボン系ガスを用いたRIE(リアクティブイオンエッチング)を行った。フルオロカーボン系ガスとして、CF、CHF、C3F及びC等を用いることができる。
エッチングガスの成分やガス圧を調整することにより、異方性のエッチングを行うことができるので、図12(c)に示すように、表面側シリコン層62はその深さ方向に選択的にエッチングされる。
その後、図12(d)に示すように、無機レジストパターン161を強アルカリ溶液(例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を用いて除去することにより、凹部162及び凸部163が市松模様に表面に形成された表面側シリコン層62を得る。
この形成工程では、凹部162の底面162A及び凸部163の上面163Aをそれぞれ一辺が1.5μmの正方形とし、凹部162と凸部163との高低差、すなわち、底面162Aから上面163Aまでの距離を1.0μmとした。なお、これら寸法は上記の値に限定されるものではない。
次に、図12(e)に示すように、凹部162及び凸部163が市松模様に形成された表面側シリコン層62上に、無機レジスト膜165を形成(成膜)する。無機レジスト膜165は、前述した無機レジスト膜160と同じ材料及び成膜方法で形成することができる。
なお、無機レジスト膜165は後述する微細凹凸構造17を形成するためのエッチングマスクとして機能するため、表面側シリコン層62のエッチング量が少なくて済むので、前述した無機レジスト膜160よりも薄く形成することができ、例えば、80nm〜100nm程度でよい。
次に、無機レジスト膜165の所定の領域に、ステッパー露光機により、レーザ光Laを照射して上記所定の領域における無機レジスト膜165を感光させる。
表面側シリコン層62に形成された無機レジスト膜65は非晶質状態であり、レーザ光Laが照射された領域の無機レジスト膜65はレーザ光Laの照射エネルギーによって発生する熱によって結晶状態になる。
その後、図12(f)に示すように、アルカリ現像液(例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を用いて、感光した領域の無機レジスト膜165を除去する。これにより、微細な円形状の開口部が最密充填状に複数配列された無機レジストパターン166,167が形成される。すなわち、表面側シリコン層62における複数の凹部162の各底面162Aに、複数の円形状の開口部を有する無機レジストパターン166が形成される。また、表面側シリコン層62における複数の凸部163の各上面163Aに、複数の円形状の開口部を有する無機レジストパターン167が形成される。無機レジストパターン166,167における個々の円の直径は450nmとし、隣接する円との中心距離、ピッチPも450nmとした。
次に、図12(g)に示すように、無機レジストパターン166,167をマスクにして、表面側シリコン層62における複数の凹部162の各底面162A及び複数の凸部163の各上面163Aを一度にエッチングする。この形成工程では、エッチングできるガス(SF6等)を用いて、ドライエッチングを行った。
ドライエッチングは、エッチングガスの成分やガス圧を調整することにより、図12(h)に示すように、異方性エッチングの傾向を高めた条件で行った。表面側シリコン層62は、その深さ方向にエッチングされるとともに、面方向にもエッチングされる。ドライエッチングは、深さ方向に400nm程度になるポイントで止めた。エッチングされた部分には、図2に示すように、複数の凹状の逆円錐形からなる微細凹凸構造17が形成される。
その後、図12(i)に示すように、無機レジストパターン166,167を強アルカリ溶液(例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を用いて除去する。表面側シリコン層62における複数の凹部162の各底面162A及び複数の凸部163の各上面163Aには、微細凹凸構造17が形成されている。
なお、この形成工程においては、図2に示すように、大きな凹凸部(凹部162及び凸部163)を形成した上で、微細凹凸構造17微細凹凸を形成している。しかし、大きな凹凸部(凹部162及び凸部163)を形成せずに、表面側シリコン層62の表面に、単に微細凹凸構造17のみを形成するようにしてもよい。
〔比較例〕
比較例として、微細凹凸構造17を形成せずに、他は、前述の実施例と同様にMEMS光スキャナを作製した。
〔実施例と比較例との比較〕
実施例及び比較例として作製したMEMS光スキャナが駆動できるように、コイル等の部品を組み込んだシャーシ上に組み立てた。組みあがったMEMS光スキャナを駆動しながら、RGBレーザ光を変調して照射し、画像表示試験を行った。
図13は、本発明に係るMEMS光スキャナの実施例の特性を示すグラフである。
図14は、MEMS光スキャナの比較例の特性を示すグラフである。
そして、画像信号出力を計測しながら、レーザ光のオン/オフを繰り返した。その結果、実施例では、図13に示すように、レーザ光のオン/オフに伴う画像信号出力の変動はなく、迷光や光電効果の影響が抑制できていることが確認された。
一方、比較例では、図14に示すように、レーザ光のオン/オフに連動して、画像信号出力が変動した。つまり、光の照射により迷光や光電効果が発生し、画像信号出力に影響を及ぼしていることがわかる。
また、レーザ光の照射時間に伴うミラー14の共振周波数の変動を測定したところ、〔表1〕に示すように、実施例では、レーザ光の照射時間が長くなっても(10分〜5時間)、比較例よりも、共振周波数の上昇が少ないことが確認された。
Figure 2013225075
また、レーザ光の照射時間に伴うミラー14の反射率の変動を測定したところ、〔表2〕に示すように、実施例では、レーザ光の照射時間が長くなっても(24時間〜100時間)、比較例よりも、反射率の変動が少ないことが確認された。
Figure 2013225075
本発明は、レーザビーム等の光を反射させて光偏向を行うMEMS光スキャナに適用される。
11a,11b,11c,11d アーム
12a,12b,12c,12d 圧電膜
13a,13b,13c,13d トーションバー
14 ミラー
15 フレーム
16 ベース
17 微細凹凸構造

Claims (3)

  1. シリコン基板の表面上に形成されたミラーと、
    前記シリコン基板に形成され、前記ミラーを駆動用圧電膜によって駆動する機構と、
    前記シリコン基板に形成され、前記ミラーの駆動状態を検出用圧電膜によって検出する機構と、
    前記シリコン基板の表面上であって前記ミラーを除く領域に形成された微細凹凸構造と
    を備え、
    前記ミラーを駆動することによって、前記ミラーに照射される光をスキャンし、
    前記微細凹凸構造は、略一定の周期構造を有し、そのピッチが、前記ミラーに照射される光の波長以下である
    ことを特徴とするMEMS光スキャナ。
  2. 前記微細凹凸構造の表面は、金属薄膜で被覆されている
    ことを特徴とする請求項1記載のMEMS光スキャナ。
  3. 前記微細凹凸構造は、ピッチに対する深さのアスペクト比が、0.6以上である
    ことを特徴とする請求項1記載のMEMS光スキャナ。
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