JP2013221579A - インホイールモータ駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型コンパクト化および軽量化を図る状態でアルミニウム合金を素材とするケーシングの腐食を効果的に防止することができるようにしたインホイールモータ駆動装置を提供することである。
【解決手段】電動モータ部10と、その電動モータ部10のロータ軸15から出力される回転を減速する減速部20と、その減速部20の出力軸28から出力される回転を駆動車輪に伝達するハブ輪51を有する車輪軸受部50とからなるインホイールモータ駆動装置において、電動モータ部10および減速部20のアルミニウム合金からなるケーシング11、21に表面処理を施して耐食性皮膜70を形成する。
【選択図】図3

Description

この発明は、自動車の駆動車輪を駆動するインホイールモータ駆動装置に関する。
この種のインホイールモータ駆動装置として、特許文献1に記載されたものが従来から知られている。その特許文献1に記載されたインホイールモータ駆動装置においては、電動モータのロータ軸の回転を減速部において減速し、その減速部の出力軸の回転を、その出力軸上に設けられたハブ輪に伝達して、そのハブ輪に支持された駆動車輪を駆動するようにしている。
上記のようなインホイールモータ駆動装置は、ばね下での配置であるため、軽量化とコンパクト化が要求される。また、駆動車輪を駆動するため、大きな回転駆動トルクを発生することが要求される。
その要求に応えるため、電動モータや減速部を覆うケーシングをアルミニウム合金で形成する場合が多い。また、大きな回転駆動トルクを出力するため、電動モータの回転を減速する減速部に減速比の大きな小型のサイクロイド減速機を採用している。
ここで、サイクロイド減速機は潤滑を必要とし、また、電動モータは冷却する必要があるため、ケーシング内部に潤滑油や冷却液を封入し、その潤滑油によって減速機を潤滑し、冷却液によって電動モータを冷却するようにしている。
上記のような潤滑油や冷却液の外部への漏洩を防止し、かつ、外部からケーシング内部に水等が浸入するのを防止するため、ケーシングの接続部はOリング等のシール部材の組み込みによってシールすることが行われ、数多くのシール部材が組み込まれている。
特開2011−185286公報
ところで、特許文献1に記載されたインホイールモータ駆動装置において、アルミニウム合金からなるケーシングが表面処理されることなく使用されると、以下のような問題が発生する。
インホイールモータ駆動装置は足回りに配置されるため、走行時、車輪により掻き上げられた雨水や泥水等がかかることが多く、その水との接触によってケーシングが腐食しやすい。また、降雪地域においては、冬季での、道路の凍結防止のため、塩化カルシウム等の融雪剤が撒かれることが多くある。その融雪剤と雪解けによって生じた水とが混合すると電解液が形成され、その電解液がケーシングに接触すると、ケーシングが早期に腐食することになる。アルミニウムと空気中の酸素との反応により自然酸化被膜は生成されるが、厚さが30Å(3nm)程度しかなく、電解液に対する長期間の耐食性はほぼ無い。
ここで、電解液との接触でケーシングの接続部が腐食すると、シール部材との当接部となるOリング溝にも腐食が進行してシール性が損なわれ、潤滑油や冷却液が外部に漏洩し、また、水等が内部に浸入するおそれがある。潤滑油の外部への漏洩による減少は、潤滑不良によって焼き付きや摩耗が生じて耐久性を低下させることになり、また、冷却液の外部への漏洩による減少は、冷却不良による過熱や焼き付きが生じて、耐久性を低下させることになる。また、過熱からインホイールモータ駆動装置を保護するために、車両のセーフ機能の動作による走行不能に陥る可能性が生じる。
ケーシングのOリング溝等のシール部の腐食の抑制には、そのケーシングの厚さを厚くしシール部と外周面の距離を大きく取り、シール部まで腐食が進むまでの距離を長くすることが有効であるが、インホイールモータ駆動装置が大型化して、質量も重くなり、電気の消費量が多くなるばかりでなく、ばね下質量の増加により乗り心地が悪くなるという問題が生じ、軽量化およびコンパクト化を図ることができなくなる。
この発明の課題は、小型コンパクト化および軽量化を図る状態でアルミニウム合金を素材とするケーシングの腐食を効果的に防止することができるようにしたインホイールモータ駆動装置を提供することである。
上記の課題を解決するため、この発明においては、電動モータ部と、その電動モータ部のロータ軸から出力される回転を駆動車輪に伝達するハブ輪を有する車輪軸受部とからなり、前記電動モータ部がアルミニウム合金からなるケーシングを有してなるインホイールモータ駆動装置において、前記電動モータ部のケーシングに表面処理を施して耐食性皮膜を形成した構成を採用したものである。
上記のように、アルミニウム合金を素材とするケーシングに表面処理を施して表層部に耐食性皮膜を形成することにより、ケーシングの腐食を効果的に防止することができる。
ここで、表面処理として、陽極酸化皮膜処理(アルマイト処理)や化成処理、防錆黒色薄皮膜処理(LD処理)等を採用することができる。アルマイト処理を採用すると、表層部にきわめて緻密なバリヤ層と、その表層に微細孔を有する皮膜セルの集合体からなる多孔質層の2層構造の耐食性皮膜を形成することができる。
上記のようなアルマイト処理の採用において、後処理として、封孔処理を施すと、その封孔処理により多孔質層を形成する皮膜セルの微細孔が塞がれるため、耐食性をより向上させることができる。
また、アルマイト処理の採用において、二次電解発色法や浸漬処理法による着色処理を施す有色アルマイト処理を採用することによって、微細孔内への金属塩の析出や微細孔に対する染料の浸透によって耐食性皮膜に着色することができ、インホイールモータ駆動装置の組み付け部位における周囲の色調に合わせ、あるいは装飾として赤色等の目立つ色とする等、目的に応じた着色耐食性皮膜を得ることができる。有色アルマイト処理の後処理として封孔処理を施すと、着色された状態で皮膜セルの微細孔が塞がれるため、装飾性と合わせて、より向上した耐食性とを得ることができる。
表面処理として、上記のように、化成処理、例えば、クロメート処理法による化成処理を採用すると、電解を行わないため、寸法変化が小さく、作業性が良いため、コストの低減を図ることができる。
また、表面処理として、LD処理を採用することにより、耐食性皮膜としてのLD皮膜が導電性を有するため、静電気を帯電せず、ケーシングの表面に砂や埃が付着するのを防止することができる。また、自動車の走行中に発生する静電気をケーシング、車輪軸受部および車輪を通して地面へ逃がすことで、受信したラジオ放送にノイズが入るのを防止することができる。
前記電動モータ部は、その電動モータ部のロータ軸から出力される回転を減速してハブ輪に伝達する減速部を有してもよい。また、前記ケーシングは電動モータ部と減速部に分割されたものであってもよい。
この発明に係るインホイールモータ駆動装置において、鋼製の車輪軸受部は、一般的に、ケーシングに取付けて一体化される。アルミニウム合金からなるケーシングが表面処理されていない、あるいは飛び石等により耐食性皮膜が傷ついている場合、鋼製の車輪軸受部とケーシングの耐食性皮膜の無い部分との間に電解液が介在すると、電池作用により電食が生じる。そこで、車輪軸受部の、前記ケーシングと接触する部材に、アルミニウム合金よりも卑電位な金属合金種、例えば、亜鉛ニッケル合金めっきを施しておくと、電食を防止することができる。この場合、亜鉛ニッケル合金めっき膜の表層部にクロム酸化物を化成処理し、さらに、クロム酸化物の表層部に、絶縁性のトップコートを施すことにより、電食をより効果的に防止することができる。
この発明に係るインホイールモータ駆動装置においては、上記のように、アルミニウム合金からなるケーシングに表面処理を施して表層部に耐食性皮膜を形成したことにより、その耐食性皮膜は薄肉であるため、小型コンパクト化および軽量化を図る状態でケーシングの腐食を効果的に防止することができる。
この発明に係るインホイールモータ駆動装置を採用した電動車両の概略図 この発明に係るインホイールモータ駆動装置の実施の形態を示す正面図 図2に示すインホイールモータ駆動装置の縦断面図 図3の減速部および車輪軸受部を拡大して示す断面図 図3のV−V線に沿った断面図 陽極酸化皮膜処理法によって表面処理された酸化皮膜の拡大断面図 図4のケーシングと車輪軸受部の接続部を拡大して示す断面図 腐食防止層の他の例を示す断面図
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、電動車両1は、シャーシ2と、操舵輪としての前輪3と、駆動輪としての後輪4と、左右の後輪4のそれぞれを駆動するインホイールモータ駆動装置Aを備えている。
インホイールモータ駆動装置Aは、図示省略した懸架装置を介して車体に支持されて、図2に示すように、後輪4のホイール4aの内側に位置する配置とされている。
図3に示すように、インホイールモータ駆動装置Aは、電動モータ部10と、その電動モータ部10からの回転を減速して出力する減速部20と、その減速部20からの回転によって回転駆動される後輪4を回転自在に支持する車輪軸受部50とからなる。
電動モータ部10および減速部20は、ケーシング11、21をそれぞれ有し、そのケーシング11、21のそれぞれが、インホイールモータ駆動装置Aの軽量化を図るため、アルミニウム合金を素材として形成されている。
電動モータ部10におけるケーシング11には、軸方向の両端部に端板12が設けられ、アウトボード側の端板12に減速部20におけるケーシング21のインボード側端部に設けられた外向きのフランジ21aが衝合されて、ボルトBの締め付けにより接続され、その接続部間は、シール部材Sの組み込みによってシールされている。
電動モータ部10は、ケーシング11の内径面にステータ13を取付け、そのステータ13の内側に間隔をおいてロータ14を設けたラジアルギャップタイプの電動モータからなる。
なお、ラジアルギャップタイプの電動モータに代えて、軸方向で対向する一対のステータ間にロータを設けたアキシアルギャップタイプの電動モータを採用するようにしてもよい。
ロータ14は、回転中心部に筒状のロータ軸15を有し、そのロータ軸15の両端部は端板12に支持された軸受16によって回転自在に支持され、そのロータ軸15のアウトボード側の端部が減速部20のケーシング21内に臨んでいる。
図4および図5に示すように、減速部20は、サイクロイド減速部からなる。このサイクロイド減速部20は、入力軸22に設けられた偏心軸部23によって外歯車24を回転自在に支持し、その外歯車24の外周に形成された外歯25を減速部ケーシング21の内側に組み込まれた内歯車26の内歯27に噛合し、上記入力軸22の回転により外歯車24を偏心揺動運動させ、その外歯車24の自転を入力軸22と同軸上に配置された出力軸28から出力するようにしている。
ここで、入力軸22は、図4に示すように、その一端部がロータ軸15のアウトボード側端部から内部に挿入され、スプラインの嵌合によりロータ軸15に接続されて電動モータにより回転駆動されるようになっており、その入力軸22に設けられた偏心軸部23が減速部ケーシング21内で回転自在とされている。
図4に示すように、偏心軸部23は、入力軸22の軸方向に一対設けられ、その一対の偏心軸部23は、円筒状外径面の中心が周方向に180°位相がずれるようにして設けられ、その一対の偏心軸部23のそれぞれ外径面に軸受29が嵌合されている。
図5に示すように、外歯車24は、軸受29によって回転自在に支持され、その外周に形成された外歯25はトロコイド曲線歯形とされている。外歯車24には、回転軸心を中心とする一つの円上に複数のピン孔30が等間隔に形成され、軸方向に並ぶ一対のピン孔30のそれぞれに内ピン31が余裕をもって挿入され、その内ピン31に回転自在に支持されたころ軸受32の外周一部がピン孔30の内周一部に接触している。
図4に示すように、ころ軸受32は、針状ころ軸受からなる。ころ軸受32は外歯車24の偏心揺動運動を可能とし、その外歯車24の自転により内ピン31の両端部を支持するピンホルダ33を回転させて、そのピンホルダ33に接続された出力軸28から出力させるようにしている。
ここで、ピンホルダ33は、軸方向に対向配置された一対の環状板34a、34bを有し、その一対の環状板34a、34bによって内ピン31の端部を支持している。
一対の環状板34a、34bのうち、アウトボード側に位置する環状板34aは、入力軸22の軸端部に嵌合された軸受35aによって回転自在に支持され、一方、インボード側に位置する環状板34bはロータ軸15の軸端部上に設けられた軸受35bによって回転自在に支持されている。
環状板34a、34bは、外側面に筒部36を有し、入力軸22の軸端部側に配置されたアウトボード側環状板34aの筒部36に出力軸28が一体に設けられている。
図4および図5に示すように、内歯車26はケーシング21に対して非回転の支持とされ、その内周に設けられた内歯27は、外ピンから形成されて円弧歯形とされ、その内歯27の歯数は外歯車24の外歯25より多くなっている。この内歯車26は、円筒部37の両端部から内向きに形成された一対のフランジ38によって外ピンからなる内歯27の両端部を回転自在に支持した構成とされている。図4に示す39は、外ピンからなる内歯27の両端部を回転自在に支持する軸受を示す。
図3に示すように、車輪軸受部50は、減速部20の出力軸28の回転を後輪4に伝達するハブ輪51と、そのハブ輪51のインボード側端部の小径部51aに圧入された軸受内輪52と、その軸受内輪52およびハブ輪51の外側に設けられた軸受外輪53とを有している。
軸受外輪53の外径面には外向きフランジ54が設けられている。外向きフランジ54は、減速部ケーシング21の端面に衝合され、その衝合部を貫通するボルトBおよびそのボルトBにねじ係合されるナット55の締付けにより減速部ケーシング21に接続され、その接続部間はシール部材Sの組み込みによってシールされている。
ハブ輪51およびそのハブ輪51の小径部51aに圧入された軸受内輪52は、軸受外輪53との間に組み込まれた転動体56によって回転自在に支持されている。また、転動体56の外側にはシール部材57が設けられ、そのシール部材57は軸受外輪53の両端開口を閉塞している。
出力軸28は、車輪軸受部50におけるハブ輪51の内径面に嵌合され、その嵌合面間に形成されたスプライン58によってハブ輪51に回り止めされ、上記出力軸28の軸端部にねじ係合したナット59の締付けにより、出力軸28とハブ輪51が結合一体化されている。
ハブ輪51の外径面には車輪取付フランジ60が設けられ、その車輪取付フランジ60に設けられた複数のボルト61のそれぞれにナット62がねじ係合され、そのナット62の締付けによって、車輪取付フランジ60にブレーキロータ63と後輪4のホイール4aが取付けられている。
実施の形態で示すインホイールモータ駆動装置Aは上記の構造からなり、電動モータ部10のステータ13に対する通電によってロータ14を回転駆動すると、そのロータ14の回転は減速部20の入力軸22に伝達されて、その入力軸22が回転する。
また、入力軸22の回転により、偏心軸部23が偏心回転する。このとき、偏心軸部23には外歯車24が回転自在に支持され、その外歯車24の外周に形成された外歯25が減速部ケーシング21に回り止めされた内歯車26の内歯27に噛合しており、その外歯25の歯数は内歯車26の内歯27の歯数より少ないため、偏心軸部23の偏心回転により外歯車24は偏心揺動運動し、入力軸22の回転方向と逆方向に自転する。その自転は内ピン31およびピンホルダ33を介して出力軸28に伝達され、出力軸28が減速回転する。
また、出力軸28の回転はハブ輪51に伝達され、そのハブ輪51に支持された後輪4が回転駆動される。
上記のような後輪4の回転駆動による電動車両1の走行状態において、インホイールモータ駆動装置Aは足回りに配置されるため、前輪3や後輪4の回転によって掻き上げられた雨水や、融雪剤と雪解けによって生じた水との混合によって形成される電解液がケーシング11、21に接触する。
このとき、ケーシング11、21のそれらは、インホイールモータ駆動装置Aの軽量化を図るため、アルミニウム合金を素材としているため、水や電解液との接触によって早期に腐食する。
ここで、水や電解液との接触でケーシング11、21の接続部が腐食すると、図4に示すシール部材S、Sとのシール部となるOリング溝も腐食してシール性が損なわれ、減速部ケーシング21の内部に充填された潤滑油や電動モータ部10のケーシング11内に充填された冷却液が外部に漏洩し、また、水等がケーシング11、21の内部に浸入するおそれがある。このとき、潤滑油の外部への漏洩による減少は、潤滑不良によって焼き付きや摩耗が生じて耐久性を低下させることになり、冷却液の外部への漏洩による減少は、冷却不良による過熱や焼き付きが生じて、耐久性を低下させることになる。また、過熱からインホイールモータ駆動装置を保護するために、車両のセーフ機能の動作による走行不能に陥る可能性が生じる。
そのような不都合の発生を防止するため、実施の形態においては、電動モータ部10および減速部20のアルミニウム合金からなるケーシング11、21を表面処理して、表層部に耐食性皮膜を形成している。
表面処理として、ここでは、陽極酸化皮膜処理(アルマイト処理)を採用している。そのアルマイト処理によって、図6に示すように、ケーシング11、21の表層部にきわめて緻密なバリヤ層Tと、その表層に微細孔72を有する皮膜セル71の集合体からなる多孔質層Tの2層構造の耐食性皮膜としての酸化皮膜70が形成される。その酸化皮膜70によってケーシング11、21の腐食を防止することができる。
上記のようなアルマイト処理の採用において、後処理として、封孔処理を施すのが好ましい。その封孔処理により多孔質層Tを形成する皮膜セル71の微細孔72が塞がれるため、耐食性をより向上させることができる。
ここで、封孔処理とは、沸騰水や水蒸気での加熱により酸化皮膜70の体積を大きくして微細孔72を閉塞させる処理をいう。
アルマイト処理および封孔処理により形成する酸化皮膜70の厚さ;T+Tは5〜50μm、望ましくは20〜50μmとする。5μm未満では自動車の足回りに求められる耐食性には不十分であり、20μm以上であればより優れた耐食性を確保できる。また、酸化皮膜70の厚さは電解条件と時間により調整するが、ケーシング11、21の嵌合面および当接面の精度を確保するため、また、作業性と耐食性のバランスにより、酸化皮膜70の厚さは50μm以下とする。
また、アルマイト処理の採用において、後処理として、二次電解発色法や浸漬処理法による着色処理を施す有色アルマイト処理を採用することによって、微細孔72内への金属塩の析出や、微細孔72に対する染料の浸透によって酸化皮膜70に着色することができ、インホイールモータ駆動装置Aの組み付け部位における周囲の色調に合わせる、あるいは装飾として赤色等の目立つ色とする等、目的に応じた着色耐食性皮膜を得ることができる。有色アルマイト処理により形成する酸化皮膜70の厚さも、20〜50μmとする。20μm未満では、先に述べた耐食性の確保が不十分となり、また、着色の発色も弱い。
なお、アルマイト処理は、250Hv以上の硬さを持つ酸化皮膜となる硬質アルマイト処理(硬質陽極酸化皮膜処理)を採用してもよい。また、表面処理はアルマイト処理に限定されるものではなく、化成処理、防錆黒色薄皮膜処理(LD処理)を採用してもよい。化成処理、例えば、クロメート処理法による化成処理を採用すると、得られる酸化皮膜は0.1〜1μmでありアルマイト処理と比較し耐食性は劣るものの、電解を行わないため寸法変化が小さく、作業性が良いため、コストの低減を図ることができる。
また、表面処理として、LD処理を採用すると、得られる酸化皮膜は1〜3μmでありアルマイト処理と比較し耐食性は劣るものの、耐食性皮膜としてのLD皮膜が導電性を有するため、静電気を帯電せず、ケーシング11、21の表面に砂や埃が付着するのを防止することができる。また、自動車の走行中に発生する静電気をケーシング11、21、車輪軸受部50および後輪4を通して地面へ逃がすことで、受信したラジオ放送にノイズが入るのを防止することができる。
図3に示すインホイールモータ駆動装置Aにおいては、車輪軸受部50を構成するハブ輪51、軸受内輪52、軸受外輪53および転動体56は、鋼製とされている。その鋼製の軸受外輪53がアルミニウム合金からなるケーシング21に接触する状態でボルトBとナット55の締め付けによってそのケーシング21に締結されると、飛び石等により耐食性皮膜が傷ついている場合、ケーシング21の耐食性皮膜の無い部分と軸受外輪53の間に電解液が介在すると、電池作用により電食が生じる。
ケーシング21の耐食性皮膜の無い部分と軸受外輪53の間での電食を抑制するため、図7においては、軸受外輪53のケーシング21と接触する部材に、アルミニウム合金よりも卑電位な金属合金種、例えば、亜鉛ニッケル合金めっきを施している。80は、その亜鉛ニッケル合金めっき膜を示している。めっき膜厚は、犠牲防食による防錆性を確保するために5μm以上、また、軸受外輪53の外向きフランジ54のフランジ面の精度を確保するために13μm以下とするのがよい。
この場合、図8に示すように、亜鉛ニッケル合金めっき膜80の表層部にクロム酸化物81を化成処理し、さらに、クロム酸化物81の表層部に、絶縁性のトップコート82を施すことにより、電食をより効果的に防止することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、インホイールモータ駆動装置の減速部に、遊星減速機を用いてもよく、あるいは、電動モータ部のロータ軸から出力される回転を、減速機を用いずに、直接に車輪軸受部に出力してもよい。また、電動モータ部および減速部のそれぞれのケーシングを、分割せず一体としてもよい。
4 後輪(駆動車輪)
10 電動モータ部
11 ケーシング
15 ロータ軸
20 減速部
21 ケーシング
28 出力軸
51 ハブ輪
70 酸化皮膜(耐食性皮膜)
80 亜鉛ニッケル合金めっき膜
81 クロム酸化物
82 トップコート

Claims (13)

  1. 電動モータ部と、その電動モータ部のロータ軸から出力される回転を駆動車輪に伝達するハブ輪を有する車輪軸受部とからなり、前記電動モータ部がアルミニウム合金からなるケーシングを有してなるインホイールモータ駆動装置において、
    前記電動モータ部のケーシングに表面処理を施して耐食性皮膜を形成したことを特徴とするインホイールモータ駆動装置。
  2. 前記電動モータ部が、ロータ軸から出力される回転を減速して前記ハブ輪に伝達する減速部を有してなる請求項1に記載のインホイールモータ駆動装置。
  3. 前記表面処理が、陽極酸化皮膜処理からなる請求項1又は2に記載のインホイールモータ駆動装置。
  4. 前記陽極酸化皮膜処理が、着色処理を有してなる有色陽極酸化皮膜処理からなる請求項3に記載のインホイールモータ駆動装置。
  5. 前記陽極酸化皮膜処理に、後処理として封孔処理を施す請求項3又は4に記載のインホイールモータ駆動装置。
  6. 前記表面処理が、化成処理からなる請求項1又は2に記載のインホイールモータ駆動装置。
  7. 前記化成処理が、クロメート処理法による請求項6に記載のインホイールモータ駆動装置。
  8. 前記表面処理が、防錆黒色薄皮膜処理からなる請求項1又は2に記載のインホイールモータ駆動装置。
  9. 前記車輪軸受部が鋼製とされ、その鋼製の車輪軸受部を前記ケーシングに取付けて一体化した請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインホイールモータ駆動装置。
  10. 前記車輪軸受部の、前記ケーシングと接触する部材に、アルミニウム合金よりも卑電位な金属合金種めっきを施した請求項9に記載のインホイールモータ駆動装置。
  11. 前記金属合金種が、亜鉛ニッケル合金からなる請求項10に記載のインホイールモータ駆動装置。
  12. 前記亜鉛ニッケル合金めっき膜の表層部にクロム酸化物を化成処理した請求項11に記載のインホイールモータ駆動装置。
  13. 前記クロム酸化物の表層部に、絶縁性のトップコートを施した請求項12に記載のインホイールモータ駆動装置。
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