JP2013220987A - 炭素膜、高分子製品、炭素膜被覆材の製造方法、成膜方法、及び、成膜装置 - Google Patents

炭素膜、高分子製品、炭素膜被覆材の製造方法、成膜方法、及び、成膜装置 Download PDF

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Abstract

【課題】摩擦係数が低くかつ従来より柔軟性を有し、密着性に優れた炭素膜、その炭素膜によって被覆された高分子製品、その炭素膜によって被覆された炭素膜被覆材の製造方法、成膜方法、及び、成膜装置を提供する。
【解決手段】本発明の炭素膜は、ゲルマニウム結晶を用いたATR−FTIRにおいて、2800〜3000cm−1に現れる吸収ピーク強度が0.01以下であり、3000〜3600cm−1に現れる吸収ピーク強度が0.002以下であり、1500〜1800cm−1に現れる吸収ピーク強度が0.005以下であることを特徴とする。
【選択図】図8

Description

本発明は、炭素膜、高分子製品、炭素膜被覆材の製造方法、成膜方法、及び、成膜装置に関する。
プラスチック製品やゴム製品は摩擦低減のためにコーティングが必要とされることがある。このコーティングとしては従来、PTFEやグラファイト、モリブデン等の固体潤滑剤をそのままコーティングしたものや、それらを樹脂に混ぜた状態でコーティングしたものが用いられることが多い。
炭素膜特に、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)を始めとするアモルファスカーボン膜は優れた潤滑性、耐摩耗性、化学安定性、生体適合性を有することから、近年、プラスチック材料やゴム材料に適用することが検討され始め、一部実用化されている(例えば、特許文献1)。
DLC膜は、物理的気相成長法(PVD)や、化学的気相成長法(CVD)によって成膜することができる。例えば、プラズマCVD法は、真空チャンバ内に原料ガスを導入した後、高周波放電やマイクロ波放電により原料ガスを活性化し、基材にDLC膜を成膜するものである。
国際公開第2007/105428号 特開2005−322416号公報
しかしながら、PVDやCVDを用いたDLC膜の成膜には大掛かりな真空装置が必要であり、バッチ処理にならざるを得ないために量産性に劣り、ワーク形状が制限される等の問題があった。また、これらの方法では成膜温度が高くなってしまうため、耐熱性の乏しいプラスチック、ゴム等の高分子材料の基材の成膜には適していないという問題もあった。
このような状況において、大気圧下で低温プラズマを安定に発生させることができ、しかも被処理基材の形状、種類及び作業環境に制限がない大気圧低温プラズマ発生装置が開発された(例えば、特許文献2)。
本発明は、摩擦係数が低くかつ従来より柔軟性を有し、密着性に優れた炭素膜、その炭素膜によって被覆された高分子製品、その炭素膜によって被覆された炭素膜被覆材の製造方法、成膜方法、及び、成膜装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記タイプの大気圧低温プラズマ発生装置を改良し、成膜方法について鋭意検討を行った結果、耐熱性の乏しい高分子材料基材に対しても密着性に優れた炭素膜を成膜することに成功し、本発明に想到した。
すなわち、本発明は以下の手段を提供する。
(1)ゲルマニウム結晶を用いたATR−FTIRにおいて、2800〜3000cm−1に現れる吸収ピーク強度が0.01以下であり、3000〜3600cm−1に現れる吸収ピーク強度が0.002以下であり、1500〜1800cm−1に現れる吸収ピーク強度が0.005以下であることを特徴とする炭素膜。
(2)ラマン散乱分光法により測定された、Dバンドのピーク強度(I)とGバンドのピーク強度(I)との強度比(I/I)が0.1以下であることを特徴とする(1)に記載の炭素膜。
ここで、Dバンドのピーク及びGバンドのピークが共に測定されなった場合には強度比(I/I)はゼロとする。
(3)Gバンドは1600cm−1より高波数側に位置することを特徴とする(1)又は(2)のいずれかに記載の炭素膜。
(4)X線光電子分光法(XPS)により測定された、炭素、窒素及び酸素の原子組成比における炭素の割合が90%以上99%以下であり、かつ、酸素の割合が1%以上10%以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載の炭素膜。
(5)グロー放電発光分光法により測定された、炭素及び水素の原子組成比における水素の割合が40%以上60%以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一項に記載の炭素膜。
(6)SUS材に対する摩擦係数が0.25以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載の炭素膜。
(7)高分子材料からなる基材の少なくとも一面に、(1)〜(6)のいずれか一項に記載の炭素膜を備えていることを特徴とする高分子製品。
(8)前記高分子材料が合成樹脂、又は、ゴムであることを特徴とする(7)に記載の高分子製品。
(9)前記炭素膜の膜厚は1μm以上10μm以下であることを特徴とする(7)又は(8)のいずれかに記載の高分子製品。
(10)前記高分子材料製品がブレードラバー、シール、軸受け、ロール、ブッシュ、マウント、ベルト、チューブ、ブーツのいずれかであることを特徴とする(7)〜(9)のいずれか一項に記載の高分子製品。
(11)被処理基材上に炭素膜が被覆された炭素膜被覆材の製造方法であって、
被処理基材を半密閉容器内に配置し、
誘電体筒の外周面上に外部電極と誘電体筒の内周面上に内部電極をそれぞれ管状に備えてなるプラズマ発生ノズルの中空部に、不活性ガスを導入すると共に、外部電極と内部電極との間に交流電圧を印加することにより大気圧下でプラズマを発生させ、
前記半密閉容器内において、プラズマ発生ノズルのプラズマ吐出口から放出されたプラズマ流に炭素膜原料ガスを添加し、半密閉容器の排出口からプラズマを排出しながら、炭素膜原料ガスを被処理基材に吹き付けて被処理基材上を炭素膜で被覆する、ことを特徴とする炭素膜被覆材の製造方法。
(12)前記不活性ガスは、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス又はこれらの混合ガスであることを特徴とする(11)に記載の炭素膜被覆材の製造方法。
(13)前記炭素膜原料ガスは、炭化水素、芳香族、アルコール、エーテル又はこれらの混合ガスを含むことを特徴とする(11)又は(12)のいずれかに記載の炭素膜被覆材の製造方法。
(14)前記炭素膜原料ガスは不活性ガスを媒体として送り込まれることを特徴とする(11)〜(13)のいずれか一項に記載の炭素膜被覆材の製造方法。
(15)前記被処理基材は高分子材料であることを特徴とする(11)〜(14)のいずれか一項に記載の炭素膜被覆材の製造方法。
(16)被処理基材上に膜を成膜する成膜方法であって、
被処理基材を半密閉容器内に配置し、
誘電体筒の外周面上に外部電極と誘電体筒の内周面上に内部電極をそれぞれ管状に備えてなるプラズマ発生ノズルの中空部に、不活性ガスを導入すると共に、外部電極と内部電極との間に交流電圧を印加することにより大気圧下でプラズマを発生させ、
前記半密閉容器内において、プラズマ発生ノズルのプラズマ吐出口から放出されたプラズマ流に原料ガスを添加し、半密閉容器の排出口からプラズマを排出しながら、原料ガスを被処理基材に吹き付けて成膜する、ことを特徴とする成膜方法。
(17)誘電体筒の外周面上に外部電極と誘電体筒の内周面上に内部電極をそれぞれ管状に備えてなるプラズマ発生ノズルと、
被処理基材が配置されると共に、プラズマを導入するための上部開口とプラズマを排出する排出口とを有する半密閉容器と、
該半密閉容器に接続された原料ガス供給管と、
を備えたことを特徴とする成膜装置。
(18)前記内部電極の、少なくともプラズマ吐出口の近傍の部分は前記誘電体の表面が空隙構造を有してなることを特徴とする(17)に記載の成膜装置。
(19)前記内部電極の内周面が誘電体膜で被覆されていることを特徴とする(17)又は(18)のいずれかに記載の成膜装置。
(20)前記プラズマ発生ノズルの先端部が導体メッシュで被覆され、該導体メッシュが外部接地電極に接続されていることを特徴とする(17)〜(19)のいずれか一項に記載の成膜装置。
本発明によれば、摩擦係数が低くかつ従来より柔軟性を有し、密着性に優れた炭素膜、その炭素膜によって被覆された高分子製品、その炭素膜によって被覆された炭素膜被覆材の製造方法、成膜方法、及び、成膜装置を提供できる。
本発明の実施形態である成膜装置の一例の概略模式図である。 プラズマ発生ノズルの拡大斜視図であり、(a)3層構造、(b)4層構造、である。 本発明の内部電極の3つの例を示す。 本発明のプラズマ発生ノズルの4つの例を示す。 (a)〜(d)は、図4(a)〜(d)のそれぞれの構成について、スパーク発生の実験を行った結果を示す。 (a)〜(d)は、図4(a)〜(d)のそれぞれの構成について、Arプラズマ発光強度を発光分光分析を用いて測定した結果を示す。 (a)及び(b)は、本発明の成膜装置の他の例を示す。 本発明の成膜方法により成膜した炭素膜及び比較例について、ゲルマニウム結晶を用いたATR−FTIRによって測定した結果を示すグラフであり、(a)比較例、(b)本発明の炭素膜(実施例1,2)である。 本発明の成膜方法により成膜した炭素膜及び市販品の炭素膜(日本アイティエフ株式会社製ジニアスコートF(商品名))について、ラマン散乱分光法によって測定した結果を示すグラフである。 本発明の成膜方法により成膜した炭素膜、比較例及び市販品について、X線光電子分光法(XPS)によって測定した結果を示す表である。 本発明の成膜方法により成膜した炭素膜について、グロー放電発光分光法(GD−OES)によって測定した結果を示す表である。 本発明の成膜方法により成膜した炭素膜、比較例、基材(EPDM)、市販品、グラファイトコートについて摩擦係数を測定した結果を示す表である。 本発明の成膜方法により成膜した炭素膜、比較例、基材(EPDM)、市販品、グラファイトコートについて摩擦挙動を測定した結果を示すグラフである 摩擦係数の測定を行った装置の概略模式図である。
以下、本発明の実施形態である炭素膜、高分子製品、炭素膜被覆材の製造方法、成膜方法、及び、成膜装置について、図面を用いてその構成を説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(成膜装置)
図1に、本発明の実施形態である成膜装置の一例を示す。図2(a)及び(b)は、プラズマ発生ノズル1の拡大斜視図である。
図1に示す成膜装置100は、誘電体筒12の外周面12a上に外部電極13と誘電体筒の内周面12b上に内部電極14をそれぞれ管状に備えてなるプラズマ発生ノズル1と、被処理基材10が配置されると共に、プラズマを導入するための上部開口2aとプラズマを排出する排出口2bとを有する半密閉容器2と、該半密閉容器2の側壁(側面)2cに接続された原料ガス供給管3と、を備えている。
本発明の実施形態である成膜装置は、いわゆる沿面放電型の大気圧低温プラズマ発生を利用した成膜装置であり、温度が低い(例えば、80℃以下)プラズマを発生して、そのプラズマにより原料を活性化して成膜を行うことができる。
図1に示すプラズマ発生ノズル1は、誘電体筒12、外部電極13、内部電極14の三重管(3層)構造を有するものである。図1に示すプラズマ発生ノズル1を構成する内部電極、誘電体筒、外部電極はいずれも円筒状であるが、円筒(円管)状に限らず、角型筒(角型管)状等であってもよい。
図2(a)は、図1に示す成膜装置のうち、プラズマ発生ノズル1の拡大斜視図である。
図2(b)は、プラズマ発生ノズル1の他の例であり、図2(a)が三重管(3層)構造であるのに対して、図2(b)は、内部電極14の内周面にさらに誘電体管(誘電体膜)15を備える四重管(4層)構造である。後述するが、内部電極14が不活性ガスと接触しないように内部電極14の内周面を誘電体管(誘電体膜)15で覆うことにより、スパーク抑制の効果が得られる。
プラズマ発生ノズル(プラズマトーチ)1は、中空部1aとプラズマ吐出口1bとを備え、不活性ガスをその中空部1aに導入し、外部電極と内部電極との間に交流電圧を印加することによりその不活性ガスのプラズマを生成し、プラズマ吐出口1bから吐出させる構成となっている。
不活性ガスとしては例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス又はこれらの混合ガスを用いることができる。
二つの電極(外部電極13及び内部電極14)のうち、内部電極14は高電圧側に、外部電極13はアースに接続される構造である。
二つの電極の間には、例えば、パルス状波形の電力が供給され、10kHz以上の周波数、5kV以上の交流電圧が印加される。
内部電極14は、少なくともプラズマ吐出口1bの近傍の部分は誘電体筒12の表面12aが露出するように空隙構造14a(図3参照)を有してなることが好ましい。空隙構造14aとしては限定的ではないが、例えば、図3に示すように、メッシュ、パンチングとすることができる。また、コイル形状とすることもできる。
プラズマは内部電極(高電圧側電極)14と誘電体筒12の接触面外周に沿って発生するので、誘電体筒12と内部電極14の接触外周が多くなるほど、プラズマ発生量が多くなる。そこで、内部電極14をメッシュやパンチングプレート等の空隙構造14aを有するように構成することにより、誘電体筒12を内部電極14の接触外周を稼ぐことができ(すなわち、内部電極14と誘電体筒12との接触境界長さを長くすることができ)、プラズマ発生量を増大させることが可能となるからである。
誘電体筒12の材料としては限定的はないが、例えば、シリコーン、誘電体セラミックス等を用いることができる。
外部電極13及び内部電極14の材料としては限定的はないが、例えば、銅、鉄、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属を用いることができる。
図4(a)〜図4(d)は、プラズマ発生ノズル1の例を示すものである。また、図5(a)〜図5(d)のそれぞれは、図4(a)〜図4(d)のそれぞれの場合のスパーク発生の実験を行った結果を示すものである。また、図6(a)〜図6(d)のそれぞれは、図4(a)〜図4(d)のそれぞれの場合のプラズマ発光強度を発光分光分析を用いて測定した結果を示すものである。図5(c)及び図5(d)、並びに、図6(c)及び図6(d)については、不活性ガスとして、Arだけの場合と、ArとNの混合ガスの場合とを示している。
図5のスパーク発生実験は、Arガスの流量を6L/min、Ar/N混合ガスはArガスの流量を6L/min、Nガスの流量を0.1L/min、交流電圧±8kV、周波数20kHz、Duty50%、の条件で行った。
図5(a)及び図5(b)に示す通り、図4(a)及び図4(b)のいずれもスパークが発生しているが、図4(a)よりも内部電極14の内周面を誘電体管で被覆された図4(b)の方がスパークの発生は抑制されていた。
図5(c)及び図5(d)に示す通り、図4(c)及び図4(d)のいずれもスパークは発生しなかった。
図6のArプラズマ発光強度の測定も図5のスパーク発生実験と同じ条件で行った。
図6(c)及び図6(d)に示す通り、金属メッシュを有する場合は、プラズマ発光強度が高くなっている。
図4(a)〜図4(d)のプラズマ発生ノズル1の構造について詳細に説明する。
図4(a)のプラズマ発生ノズル1の例は、誘電体筒12、外部電極13、内部電極14の三重管構造で、先端部1Aは外部電極13及び内部電極14によって誘電体筒12が覆われていない構成である。具体的な寸法は、誘電体筒12は内径8mm、外径12mm、内部電極14は内径7mm、外径8mm、外部電極13は内径12mm、幅20mm、外部電極及び内部電極によって被覆されていない先端部1Aの長さ10mm、である。
図4(b)のプラズマ発生ノズル1の例は、誘電体筒12、外部電極13、内部電極14の三重管構造にさらに内部電極14の内周面が誘電体管15で覆われており、先端部1Aは外部電極13及び内部電極14によって誘電体筒12が覆われていない構成である。具体的な寸法は、誘電体筒は内径9mm、外径12mm、内部電極は内径8mm、外径9mm、外部電極は内径12mm、幅20mm、誘電体管は内径6mm、外径8mm、外部電極及び内部電極によって被覆されていない先端部の長さ10mm、である。
図4(c)のプラズマ発生ノズル1の例は、誘電体筒12、外部電極13、内部電極14の三重管構造にさらに内部電極14の内周面が誘電体管15で覆われており、先端部1Aは外部電極13及び内部電極14によって誘電体筒12が覆われていない構成だが、その部分(プラズマ吐出口を含む)が金属メッシュ(導体メッシュ)16によって覆われている構成である。具体的な寸法は、誘電体筒は内径9mm、外径12mm、内部電極は内径8mm、外径9mm、外部電極は内径12mm、幅20mm、誘電体管は内径6mm、外径8mm、外部電極及び内部電極によって被覆されていない先端部の長さ10mm、金属メッシュは1mmメッシュである。
図4(d)のプラズマ発生ノズル1の例は、誘電体筒12、内部電極14、内部電極14の内周面上の誘電体管15を備えた構成に、先端部1Aは内部電極14によって誘電体筒12が覆われていない構成だが、その部分(プラズマ吐出口を含む)とさらに誘電体筒12の外側の一部が金属メッシュ16で覆われており、さらに、誘電体管15の先端部の内周面がガラス管17で覆われている構成である。この構成では金属メッシュが外部電極の機能も有する。具体的な寸法は、誘電体筒は内径9mm、外径12mm、内部電極は内径8mm、外径9mm、誘電体管は内径6mm、外径8mm、外部電極及び内部電極によって被覆されていない先端部の長さ10mm、金属メッシュは1mmメッシュ、ガラス管は内径5mm、外径6mmである。
図4(b)〜図4(d)に示すように、内部電極14の内周面を誘電体膜で被覆してもよい。高圧の内部電極14がプラズマ発生ノズル1の中空部1aを通過する不活性ガス(Ar、He、窒素又はこれらの混合ガス)に直接触れると、導電性の比較的高い基材(被覆基材)を用いた場合などにスパークが発生して均一な成膜が妨げられる場合がある。このような場合、図5(b)〜図5(d)に示す通り、内部電極14が不活性ガスと接触しないように内部電極14の内周面を誘電体膜で覆うことにより、スパーク抑制の効果が得られる。
図4(c)及び図4(d)に示すように、プラズマ発生ノズル1の先端部1Aを導体メッシュで被覆し、この導体メッシュを外部接地電極に接続してもよい。
プラズマ吐出口1bをメッシュ状接地電極(導体メッシュ)で覆うことにより、図5(c)及び図5(d)に示す通り、基材(被覆基材)へのスパークをメッシュで防ぐことができ、また、図6(c)及びび図6(d)に示す通り、より強いプラズマを発生することができる。
図1に示す半密閉容器2は、上部2Aと下部2Bとからなる。
上部2Aは、その中心部に上下に貫通するプラズマ導入孔2dを有し(上部2Aの上面の、プラズマ導入孔2dのプラズマの入口が上部開口2aであり、上部2Aの下面の、プラズマ導入孔2dのプラズマの出口が原料ガス吐出口2Aaである)、その側面に原料ガス供給管3が接続される原料ガス供給口2Acを有する。
下部2Bは、上方が開放された有底筒状に形成されてなり、その底部2Ba上に被処理基材10が載置される。上方の開放端の直径(水平方向)は上部2Aの直径より大きく形成されているため、上部2Aと下部2Bとが重ねられた状態で隙間が形成され、その隙間がプラズマの排出口2bを構成する。
なお、図中において、上部開口2aからプラズマ導入孔2d、及び、下部2B内におけるプラズマを摸式的にハッチ模様で示した。
半密閉容器2は、被処理基材10の表面を成膜する成膜チャンバとして機能を有する。半密閉容器2において、上部開口2aからプラズマが導入され、プラズマ流により半密閉容器2内は加圧状態となり、半密閉容器2内のガスが撹拌されながら連続的に外部に排出口2bから排出される。このため、雰囲気空気(酸素)が被処理基材10に触れることを防ぐことができる。
このように雰囲気空気を遮断する(特に、酸素を遮断する)構成を有することにより、本発明の炭素膜及び炭素膜被覆材を作製することが可能となる。
本発明の半密閉容器とは、プラズマを排出する排出口を有しているが、外部の雰囲気空気を遮断して成膜を行うことができる半密閉構造の容器である。かかる容器であれば、その構造に制限はない。
半密閉容器2の上部2Aの外側壁2Abは下部2Bの内壁2Bbより内側に位置し、互いにオーバーラップした構造である。プラズマを排出する排出口2bは連続または複数の孔で構成されており、排出口2bの総断面積はプラズマ発生ノズル1の内径断面積以下である。トーチから吐出されたプラズマ流は、基材に吹き付けられた後、中心から同心円状に外に向かって流れ、下部2Bの内壁2Bbに沿って上昇し、その上部に設置された排出口2bから外部に排出される。半密閉容器2は、このようにプラズマ流が基材表面を経由して半密閉容器内壁に沿って外部に排出される流れを促すような半密閉構造をとる。
原料ガス供給管3は、半密閉容器2内で被処理基材10の表面の成膜を行うために、半密閉容器2(図1に示す例では、その側面)に接続され、原料ガスはプラズマ発生ノズル1のプラズマ吐出口1b近傍(プラズマ発生箇所の下流)に送り込まれる構成とされている。
原料ガスと不活性ガスを一緒にプラズマ発生ノズル1の内部に通すと、原料ガスから発生した活性種がプラズマ発生ノズル1の内部に堆積してしまい、安定した性能が得られなくなるという問題があった。これに対して、本発明では、原料ガス供給管3が半密閉容器2に接続され、原料ガスはプラズマ発生ノズル1の内部を通らないため、原料ガスから発生した活性種がプラズマ発生ノズル1の内部に堆積することがなく、安定したプラズマ発生を利用して効率よく高品質の膜を成膜できる。また、プラズマ発生ノズル1のメンテナンス性が向上する。
成膜装置の寸法の例を記載すると、誘電体筒12の内径6mm、外径9mm、内部電極14の内径4mm、外径6mm、外部電極13の内径9mm、幅(長さ方向)12mm、半密閉容器2の上部2Aの外径41mm、内径9mm、高さ(厚さ)10mm、下部2Bの内径43mm、照射距離(原料ガス吐出口2Aaから底部2Baまでの距離)10mm。
図7(a)及び(b)は、本発明の成膜装置の他の例を示すものである。
図7(a)は、プラズマ発生ノズル1及び原料ガス供給管3を2対備えた構成である。この構成の成膜装置によっては、基材の両面をそれぞれの対によって成膜することができる。
図7(b)は、プラズマ発生ノズル1及び原料ガス供給管3を4対備えた構成である。この構成の成膜装置によっては、基材の4つの面をそれぞれの対によって成膜することができる。
(成膜方法)
本発明の成膜方法は、被処理基材を半密閉容器内に配置し、誘電体筒の外周面上に外部電極と誘電体筒の内周面上に内部電極をそれぞれ管状に備えてなるプラズマ発生ノズルの中空部に、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス又はこれらの混合ガス等の不活性ガスを導入すると共に、外部電極と内部電極との間に交流電圧を印加することにより大気圧下でプラズマを発生させ、半密閉容器内において、プラズマ発生ノズルのプラズマ吐出口から放出されたプラズマ流に原料ガスを添加し、半密閉容器の排出口からプラズマを排出しながら、原料ガスを被処理基材に吹き付けて成膜する。
プラズマ流に原料ガスを添加するに際して、原料ガスを単独で送り込んでもよいし、不活性ガスを媒体として送り込んでもよい。
被処理基材に制限はなく、耐熱性の乏しい材料例えば、高分子材料からなる基材を用いることもできる。
(炭素膜被覆材の製造方法)
本発明の炭素膜被覆材の製造方法は、被処理基材を半密閉容器内に配置し、誘電体筒の外周面上に外部電極と誘電体筒の内周面上に内部電極をそれぞれ管状に備えてなるプラズマ発生ノズルの中空部に、不活性ガスを導入すると共に、外部電極と内部電極との間に交流電圧を印加することにより大気圧下でプラズマを発生させ、半密閉容器内において、プラズマ発生ノズルのプラズマ吐出口から放出されたプラズマ流に炭素膜原料ガスを添加し、半密閉容器の排出口からプラズマを排出しながら、炭素膜原料ガスを被処理基材に吹き付けて被処理基材上を炭素膜で被覆する。
炭素膜原料ガスとしては、炭化水素、芳香族、アルコール、エーテル又はこれらの混合ガスを含むガスを用いることができる。
アセチレンやメタンなどの常温で気体である炭化水素ガスを直接送り込むことができ、常温で液体である芳香族やアルコール、炭化水素などの蒸気をアルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス又はこれらの混合ガスのような不活性ガスを媒体として送り込むことができる。
プラズマ流に原料ガスを添加するに際して、原料ガスを単独で送り込んでもよいし、不活性ガスを媒体として送り込んでもよい。
被処理基材に制限はなく、耐熱性の乏しい材料例えば、高分子材料からなる基材を用いることもできる。
(炭素膜)
本発明の炭素膜は、ゲルマニウム結晶を用いたATR−FTIRにおいて、2800〜3000cm−1に現れる吸収ピーク強度が0.01以下であり、3000〜3600cm−1に現れる吸収ピーク強度が0.002以下であり、1500〜1800cm−1に現れる吸収ピーク強度が0.005以下である。
ここで、2800〜3000cm−1に現れる吸収ピークは炭化水素に起因するピークであり、3000〜3600cm−1に現れる吸収ピークは水酸基(OH)に起因するピークであり、1500〜1800cm−1に現れる吸収ピークは酸素と炭素の二重結合に起因するピークである。
図8は、本発明の成膜方法により成膜した炭素膜及び比較例について、ゲルマニウム結晶を用いたATR−FTIRによって測定した結果を示すグラフである。
ATR−FTIRは、AVATAR370/Continu μM(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて測定した。また、ATRクリスタルとしてはGeクリスタル(slide ATR)を用いた。また、アパーチャは100、分解能は4cm−1であった。
吸収ピーク強度は、図8に示す通り、ベースラインからのピーク高さを測定した。
表1は、3300cm−1、2900cm−1、1700cm−1における吸収ピーク強度を示す。
Figure 2013220987
実施例1は、基材としてEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、不活性ガスとしてArガスを6L/min、原料ガスとしてアセチレンガスを0.05L/min、交流電圧を±8kV、周波数を20kHz、Dutyを50%として、成膜を半密閉構造で行った(半密閉容器を用いた)場合である。
また、実施例2は、基材としてEPDM、不活性ガスとしてAr/Nガスを用いてArガスを5.8L/min、Nガスを0.2L/min、原料ガスとしてアセチレンガスを0.05L/min、交流電圧を±8kV、周波数を20kHz、Dutyを50%として、成膜を半密閉構造で行った(半密閉容器を用いた)場合である。
また、比較例は、基材としてEPDM、不活性ガスとしてArガスを6L/min、原料ガスとしてアセチレンガスを0.05L/min、交流電圧を±8kV、周波数を20kHz、Dutyを50%で、成膜を開放した環境で行った(半密閉構造を用いなかった)場合である。
実施例1と比較例との成膜条件の相違は、成膜を半密閉構造で行った(半密閉容器を用いた)か、開放した環境で行った(半密閉構造を用いなかった)かということである。実施例2と比較例との成膜条件の相違は、成膜を半密閉構造で行った(半密閉容器を用いた)か、開放した環境で行った(半密閉構造を用いなかった)かということと、不活性ガスの違いである。
成膜を開放した環境で行った(半密閉構造を用いなかった)場合、成膜部に外部から空気(酸素)を取り込んでしまうために、プラズマにより生成した活性種が酸素にクエンチされてしまい、原料(アセチレン)を適切に分解できなくなり、また、酸素が原料と反応してしまうことにより、酸素を多く含んだ膜が生成する。
図8に示した結果の通り、比較例は、膜中の炭化水素(C−H)、O−HやC=Oといった含酸素構造が増加する。これに対して、実施例1,2の場合は、成膜を半密閉構造で行ったため、成膜部に外部から空気(酸素)が入り込むことが防止されているので、原料(アセチレン)が適切に分解され、原料が酸素と反応することがないため、膜中の炭化水素(C−H)、O−HやC=Oといった含酸素構造が少なくなる。
このため、本発明の炭素膜は、主により多くのC−H(炭化水素)で構成されることに起因して、ゴムやプラスチックの変形に追従しうる柔軟性及び密着性と低摩擦が特徴である。
実施例1及び2の表面硬さについて、ゴム上に成膜したハードコーティングの硬さを正確に測定することは困難なため、ゴム上成膜と同じ条件でガラス上に成膜したもの(「基材」のみガラスを用いたもの)について、ナノインデンターによって測定した。測定はダイヤモンドバーコビッチ圧子を用いて行った。一般的なDLC膜の硬さは10〜20GPaである。
実施例1及び2の硬さはそれぞれ、1.3GPa、0.8GPaであった。この結果により、本発明の炭素膜が一般的なDLC膜と比べて柔らかい(柔軟である)膜であることが確認できた。
また、本発明の炭素膜は、ラマン散乱分光法により測定された、Dバンドのピーク強度(I)とGバンドのピーク強度(I)との強度比(I/I)が0.1以下である。また、本発明の炭素膜は、Gバンドが1600cm−1より高波数側に位置する。
ここで、Dバンドはグラファイト構造独自のピークであり、Gバンドは炭素結晶中の炭素と炭素の二重結合(グラファイトの六員環の二重結合に限らない。例えば、ポリアセチレンの二重結合でも現れる)を有する場合には、現れるバンドである。
図9は、本発明の成膜方法により成膜した炭素膜及び市販品の炭素膜(日本アイティエフ株式会社製のジニアスコートF(商品名))について、ラマン散乱分光法によって測定した結果を示すグラフである。
ラマン散乱分光は、Almega XR(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて行った。また、励起レーザー波長は532nm、出力は0.1mW、アパーチャは50μmピンホール、OL倍率は×100、分析時間は1sec×16回、で行った。
アモルファスカーボン、特にDLCと呼ばれるものはGバンドとショルダー状のDバンドの2種類のピークが現れるという特徴がある(比較例1参照)。
しかしながら、実施例1は、Gバンドは見られるもののDバンドは確認することはできない(I/I〜0)。また、実施例2では、Gバンド、Dバンドのいずれも見られない。実施例1はグラファイト状6員環構造が存在しないためにそれに起因するDバンドが現れていないと考えられる。一方、実施例2は、成膜物中の水素が多いためにベースラインが高くなりGバンド及びDバンドが隠れてしまっていると考えられる。
実施例1及び実施例2のいずれにもおいても、グラファイト構造に起因するDバンドのピークが観測されていないということは、炭素膜中にグラファイト結晶フラクションが存在しないか、存在しても非常に少ないことを示している。これは炭素膜が通常のDLC膜とは異なることを示している。
このため、本発明の炭素膜は、ゴムやプラスチックの変形に追従しうる柔軟性に特徴がある。
このように通常のDLCとは異なるラマンスペクトルが得られたことは、成膜を半密閉構造で行った(半密閉容器を用いた)炭素膜は、成膜を開放した環境で行った(半密閉構造を用いなかった)炭素膜とは異なる特性を有する膜になることを示している。
本発明の炭素膜は、X線光電子分光法(XPS)により測定された、炭素、窒素及び酸素の原子組成比における炭素の割合が90%以上99%以下であり、かつ、酸素の割合が1%以上10%以下である。
図10は、本発明の成膜方法により成膜した炭素膜(実施例1、2)、比較例及び市販品(日本アイティエフ株式会社製のジニアスコートF(商品名))について、X線光電子分光法(XPS)によって測定した結果を示す表である。
X線光電子分光分析(XPS)は、KRATOS AXIS-NOVA(株式会社島津製作所製)を用いて行った。X線源としてはAl(モノクローム)を用い、前処理はPAH(多環式芳香族炭化水素)エッチングを8kVで3分間行った。
実施例1は炭素、窒素及び酸素の原子組成比における炭素の割合が92.57%、酸素の割合が7.43%であり、実施例2は炭素、窒素及び酸素の原子組成比における炭素の割合が91.67%、酸素の割合が6.86%であり、比較例は炭素、窒素及び酸素の原子組成比における炭素の割合が52.82%、酸素の割合が45.03%であり、市販品は炭素、窒素及び酸素の原子組成比における炭素の割合が71.04%、酸素の割合が27.47%である。
このように、実施例1及び実施例2は炭素、窒素及び酸素の原子組成比における炭素の割合が90%以上であり、かつ、酸素の割合が10%以下であるのに対して、比較例及び市販品はいずれも、炭素の割合が90%より少なく、かつ、酸素の割合も10%を超えている。
実施例1及び実施例2と、比較例とを比較すると、成膜を半密閉構造で行うことにより、開放した環境で行う場合に比べて、炭素の割合が大きく、かつ、酸素の割合が小さい炭素膜が形成できることがわかる。
また、実施例1及び実施例2と、市販品とを比較すると、成膜を半密閉構造で行うことにより、市販品に比べて炭素の割合が大きく、かつ、酸素の割合が小さい炭素膜が形成できることがわかる。
このため、本発明の炭素膜は、主により多いC−H(炭化水素)で構成されることにより低摩擦という特徴がある。
本発明の炭素膜は、グロー放電発光分光法により測定された、炭素及び水素の原子組成比における水素の割合が40%以上60%以下である。
図11は、本発明の成膜方法により成膜した炭素膜について、グロー放電発光分光法(GD−OES)によって測定した結果を示す表である。
グロー放電発光分光(GD−OES)は、GD-Profiler2(株式会社堀場製作所製)を用いて行った。ガス圧力としては600Pa、RF出力としては35W、アノード径としては4mm、スパッタガスとしてはAr、パルス電源条件としては50Hz、Duty0.1とした。
実施例1は炭素及び水素の原子組成比における水素の割合が52%、炭素の割合が48%であり、実施例2は炭素及び水素の原子組成比における水素の割合が51%、炭素の割合が49%であった。
このように、実施例1及び実施例2は炭素及び水素の原子組成比における水素の割合が40%以上60%以下であった。
このため、本発明の炭素膜は、主により多くのC−H(炭化水素)で構成されることに起因して、ゴムやプラスチックの変形に追従しうる柔軟性及び密着性と低摩擦が特徴である。
本発明の炭素膜は、SUS材に対する摩擦係数が0.25以下である。
図12は、本発明の成膜方法により成膜した炭素膜(実施例1,2)、比較例、基材EPDM、市販品(日本アイティエフ株式会社製のジニアスコートF(商品名))、グラファイトコートについて、SUS材に対する摩擦係数を測定した結果を示す表である。図13は、実施例1,2、比較例、基材EPDM、市販品(日本アイティエフ株式会社製のジニアスコートF(商品名))、グラファイトコートについて、摩擦挙動(測定時間に対する摩擦係数の変動)を測定した結果を示すグラフである。
摩擦係数の測定は、図14に概略を示すピンオンディスク型摩擦試験機を用いて行った。測定は、測定子はφ10mmSUS球、摩擦速度として4.4m/min、荷重として980mN(100gf)、雰囲気として25℃、45%RH、という条件で行った。
実施例1及び2の摩擦係数の平均値はそれぞれ、0.22、0.20であった。これに対して、基材、比較例、市販品(日本アイティエフ株式会社製のジニアスコートF(商品名))、グラファイトコートはそれぞれ、0.95、0.33、0.31、0.34であった。
このように、実施例1及び実施例2はSUS材に対する摩擦係数が0.25以下であり、基材の摩擦係数を大きく低減し、また、比較例、市販品及びグラファイトコートの摩擦係数よりも小さかった。
上記の摩擦係数の測定試験と同条件で30分摺動した後の摩擦面を走査電子顕微鏡で観察した。実施例1及び2ではいかなる剥離、摩耗は見られなかったが、比較例ではコーティングが摩耗剥離していた。この結果により、本発明の炭素膜は比較例の場合よりも密着性が高く、かつ、低摩擦であることが確認できた。
図13に示す通り、本発明の成膜方法により成膜した炭素膜(実施例1,2)は、摩擦係数の変動が最も小さく、安定した摩擦係数を維持できることがわかった。
(高分子製品)
本発明の高分子製品は、高分子材料からなる基材の少なくとも一面に本発明の炭素膜を備えたものである。従って、本発明の高分子製品は、低摩擦性を有し、炭素膜の密着性が高いので炭素膜が剥がれにくい。
その炭素膜の膜厚としては1μm以上10μm以下とすることができる。1μm未満では摩擦低減効果が小さく耐摩耗性も期待できいからであり、10μmを超えると基材の柔軟性を損なうからである。
本発明の高分子製品の高分子材料としては例えば、合成樹脂、又は、ゴムが挙げられる。
本発明の高分子製品の例としては、ブレードラバー、シール、軸受け、ロール、ブッシュ、マウント、ベルト、チューブ、ブーツが挙げられる。
1 プラズマ発生ノズル
1a 中空部
2 半密閉容器
2a 上部開口
2b 排出口
2c 側壁
3 原料ガス供給管
10 被処理基材
12 誘電体筒
13 外部電極
14 内部電極
14a 空隙構造
15 誘電体管
16 金属メッシュ(導体メッシュ)
100 成膜装置

Claims (20)

  1. ゲルマニウム結晶を用いたATR−FTIRにおいて、2800〜3000cm−1に現れる吸収ピーク強度が0.01以下であり、3000〜3600cm−1に現れる吸収ピーク強度が0.002以下であり、1500〜1800cm−1に現れる吸収ピーク強度が0.005以下であることを特徴とする炭素膜。
  2. ラマン散乱分光法により測定された、Dバンドのピーク強度(I)とGバンドのピーク強度(I)との強度比(I/I)が0.1以下であることを特徴とする請求項1に記載の炭素膜。
  3. Gバンドは1600cm−1より高波数側に位置することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の炭素膜。
  4. X線光電子分光法(XPS)により測定された、炭素、窒素及び酸素の原子組成比における炭素の割合が90%以上99%以下であり、かつ、酸素の割合が1%以上10%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素膜。
  5. グロー放電発光分光法により測定された、炭素及び水素の原子組成比における水素の割合が40%以上60%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の炭素膜。
  6. SUS材に対する摩擦係数が0.25以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の炭素膜。
  7. 高分子材料からなる基材の少なくとも一面に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の炭素膜を備えていることを特徴とする高分子製品。
  8. 前記高分子材料が合成樹脂、又は、ゴムであることを特徴とする請求項7に記載の高分子製品。
  9. 前記炭素膜の膜厚は1μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項7又は8のいずれかに記載の高分子製品。
  10. 前記高分子材料製品がブレードラバー、シール、軸受け、ロール、ブッシュ、マウント、ベルト、チューブ、ブーツのいずれかであることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の高分子製品。
  11. 被処理基材上に炭素膜が被覆された炭素膜被覆材の製造方法であって、
    被処理基材を半密閉容器内に配置し、
    誘電体筒の外周面上に外部電極と誘電体筒の内周面上に内部電極をそれぞれ管状に備えてなるプラズマ発生ノズルの中空部に、不活性ガスを導入すると共に、外部電極と内部電極との間に交流電圧を印加することにより大気圧下でプラズマを発生させ、
    前記半密閉容器内において、プラズマ発生ノズルのプラズマ吐出口から放出されたプラズマ流に炭素膜原料ガスを添加し、半密閉容器の排出口からプラズマを排出しながら、炭素膜原料ガスを被処理基材に吹き付けて被処理基材上を炭素膜で被覆する、ことを特徴とする炭素膜被覆材の製造方法。
  12. 前記不活性ガスは、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス又はこれらの混合ガスであることを特徴とする請求項11に記載の炭素膜被覆材の製造方法。
  13. 前記炭素膜原料ガスは、炭化水素、芳香族、アルコール、エーテル又はこれらの混合ガスを含むことを特徴とする請求項11又は12のいずれかに記載の炭素膜被覆材の製造方法。
  14. 前記炭素膜原料ガスは不活性ガスを媒体として送り込まれることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の炭素膜被覆材の製造方法。
  15. 前記被処理基材は高分子材料であることを特徴とする請求項11〜14のいずれか一項に記載の炭素膜被覆材の製造方法。
  16. 被処理基材上に膜を成膜する成膜方法であって、
    被処理基材を半密閉容器内に配置し、
    誘電体筒の外周面上に外部電極と誘電体筒の内周面上に内部電極をそれぞれ管状に備えてなるプラズマ発生ノズルの中空部に、不活性ガスを導入すると共に、外部電極と内部電極との間に交流電圧を印加することにより大気圧下でプラズマを発生させ、
    前記半密閉容器内において、プラズマ発生ノズルのプラズマ吐出口から放出されたプラズマ流に原料ガスを添加し、半密閉容器の排出口からプラズマを排出しながら、原料ガスを被処理基材に吹き付けて成膜する、ことを特徴とする成膜方法。
  17. 誘電体筒の外周面上に外部電極と誘電体筒の内周面上に内部電極をそれぞれ管状に備えてなるプラズマ発生ノズルと、
    被処理基材が配置されると共に、プラズマを導入するための上部開口とプラズマを排出する排出口とを有する半密閉容器と、
    該半密閉容器に接続された原料ガス供給管と、
    を備えたことを特徴とする成膜装置。
  18. 前記内部電極の、少なくともプラズマ吐出口の近傍の部分は前記誘電体の表面が空隙構造を有してなることを特徴とする請求項17に記載の成膜装置。
  19. 前記内部電極の内周面が誘電体膜で被覆されていることを特徴とする請求項17又は18のいずれかに記載の成膜装置。
  20. 前記プラズマ発生ノズルの先端部が導体メッシュで被覆され、該導体メッシュが外部接地電極に接続されていることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載の成膜装置。
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