JP2007327089A - 被覆プラスチック製品及び被膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、プラスチック製品について、被膜で表面を被覆することで、優れたガスバリア性、耐摩耗性、耐衝撃性及び耐傷性に加えて、優れた耐変形性を付与することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る被覆プラスチック製品は、プラスチック成形体の表面上に炭素原子と水素原子とを主構成原子として含む被膜が形成された被覆プラスチック製品である。被膜は、例えば、TOF−SIMS法の陰イオン解析において、単原子炭素のピークに対する3原子炭素のピークの強度比率(C3/C1)が0.07以上であり、かつ、DSC法の解析において、140〜150℃の間に発熱ピークの頂点が出現し、70〜80℃の間に吸熱ピークの頂点が出現する。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラスチック製品を、炭素及び水素を主成分とし、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)とは異なる構造を有する被膜で被覆した被覆プラスチック製品に関し、ガスバリア性(酸素透過性が小さい性質)、耐衝撃性、耐摩耗性、耐傷性、親和性、耐熱性又は環境性等の基本特性を向上させるものである。これにより、被覆プラスチック製品が、包装容器、摺動部材、記録媒体、繊維又はカード等の用途において優れた性能を発揮する。また、本発明は、プラスチックのみならず、金属、セラミックス又はガラスの基体の表面上に形成された前記被膜にも関する。
プラスチックは、極めて広い範囲の産業で、例えば、包装材、容器、部品等の用途に広く使用されている。特にガラスやアルミニウムの代替材料としても広く採用されているため、飲料容器ではプラスチック容器が主流の一つである。ただし、ガスバリア性、耐摩耗性、耐衝撃性又は耐傷性等の基本特性が不足しているとの指摘がなされている用途もある。このため近年は、これらの基本特性のさらなる向上が求められてきた。そこで、無機物やガラスをポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂からなる成形体の表面に被覆する発明が開示されており、ガスバリア性、耐摩耗性、耐衝撃性又は耐傷性等が改善されてきた。例えば、ポリエチレンテレフタレート製ボトルに炭素膜又は無機物薄膜を被覆した技術が開示されている(例えば、特許文献1、2又は3を参照。)。
特開平8−53116号公報 特開2002−68308号公報 特開2001−158415号公報
しかし、被膜は、脆性材料であるため、被膜の下地母材である樹脂が大きく変形する場合、被膜がその変形に追随できずに、破壊や剥離を招くことがある。或いは、被膜と樹脂との熱膨張率の違いにより、昇温時に被膜が下地母材である樹脂の寸法変化に追随できず、破壊や剥離を招くことがある。
近年は、プラスチック製品について、より幅広い分野で使われるようになったため、優れたガスバリア性、耐摩耗性、耐衝撃性及び耐傷性を有しつつ、優れた耐変形性を有することが望まれる。
また、プラスチック製品のみならず、金属、セラミックス又はガラスの各材料からなる製品についても、耐衝撃性、耐摩耗性、耐傷性又は親和性等の基本特性の向上が求められる。
そこで、本発明は、プラスチック製品について、被膜で表面を被覆することで、優れたガスバリア性、耐摩耗性、耐衝撃性及び耐傷性に加えて、優れた耐変形性を付与することを目的とする。
また、プラスチック製品のみならず、金属、セラミックス又はガラスの各材料からなる製品についても、同様に、耐衝撃性、耐摩耗性、耐傷性又は親和性等の基本特性の向上を図るために、これらの製品の表面を被覆するための被膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究開発したところ、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)とは構成元素を同一とするが、原子の結合構造が異なる被膜でプラスチック製品の表面を被覆することで上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係る被覆プラスチック製品は、常圧低温プラズマCVD法によって、プラスチック成形体の表面上に炭素原子と水素原子とを主構成原子として含む被膜が形成された被覆プラスチック製品において、前記被膜は、炭素原子源及び水素原子源となる原料ガスと不活性ガスとを(原料ガス体積%/不活性ガス体積%)が50/50〜100/0となる割合でそれぞれ含有する供給ガスを常圧下でプラズマ化することによって形成されたことを特徴とする。なお、(原料ガス体積%/不活性ガス体積%)が50/50〜100/0となる割合には、(原料ガス体積%/不活性ガス体積%)=50/50と(原料ガス体積%/不活性ガス体積%)=100/0のいずれの端値も含まれる(以下、同じ表記において同じ)。
また、本発明に係る被覆プラスチック製品は、常圧低温プラズマCVD法によって、プラスチック成形体の表面上に炭素原子と水素原子とを主構成原子として含む被膜が形成された被覆プラスチック製品において、前記被膜は、隙間をあけて対向し合う高周波印加用電極と接地電極の少なくともいずれか一方の対向側の電極表面を比誘電率3以上100以下の誘電体で覆い、前記高周波印加用電極、前記接地電極又は前記誘電体のいずれかの上に前記隙間に面してプラスチック成形体を配置し、前記隙間に、炭素原子源及び水素原子源となる原料ガスと不活性ガスとを(原料ガス体積%/不活性ガス体積%)が50/50〜100/0となる割合でそれぞれ含有する供給ガスを流速2.5〜50m/分で流し、前記高周波印加用電極に単位電極面積あたり0.02〜0.2W/mmの高周波電力を供給して、前記供給ガスを常圧下でプラズマ化することによって形成されたことを特徴とする。
ここで、本発明に係る被覆プラスチック製品では、前記原料ガスがアセチレンであることが好ましい。炭素原子/水素原子の比率が高く、成膜効率が高い。
本発明に係る被覆プラスチック製品は、プラスチック成形体の表面上に炭素原子と水素原子とを主構成原子として含む被膜が形成された被覆プラスチック製品において、前記被膜は、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)法の陰イオン解析において、一次イオン源Auを用いて表面を純水洗浄した後の測定での単原子炭素のピークに対する3原子炭素のピークの強度比率(C3/C1)が0.07以上であり、かつ、示差走査熱量分析(DSC)法の解析において、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気の測定条件で140〜150℃の間に発熱ピークの頂点が出現し、70〜80℃の間に吸熱ピークの頂点が出現することを特徴とする。
また、本発明に係る被覆プラスチック製品は、プラスチック成形体の表面上に炭素原子と水素原子とを主構成原子として含む被膜が形成された被覆プラスチック製品において、前記被膜は、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)法の陰イオン解析において、一次イオン源Auを用いて表面を純水洗浄した後の測定での単原子炭素のピークに対する4原子炭素のピークの強度比率(C4/C1)が0.05以上であり、かつ、示差走査熱量分析(DSC)法の解析において、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気の測定条件で140〜150℃の間に発熱ピークの頂点が出現し、70〜80℃の間に吸熱ピークの頂点が出現することを特徴とする。
また、本発明に係る被覆プラスチック製品は、プラスチック成形体の表面上に炭素原子と水素原子とを主構成原子として含む被膜が形成された被覆プラスチック製品において、前記被膜は、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)法の陰イオン解析において、一次イオン源Auを用いて表面を純水洗浄した後の測定での単原子炭素のピークに対する5原子炭素のピークの強度比率(C5/C1)が0.02以上であり、かつ、示差走査熱量分析(DSC)法の解析において、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気の測定条件で140〜150℃の間に発熱ピークの頂点が出現し、70〜80℃の間に吸熱ピークの頂点が出現することを特徴とする。
或いは、本発明に係る被覆プラスチック製品は、プラスチック成形体の表面上に炭素原子と水素原子とを主構成原子として含む被膜が形成された被覆プラスチック製品において、前記被膜は、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)法の陰イオン解析において、一次イオン源Auを用いて表面を純水洗浄した後の測定での単原子炭素のピークに対する3原子炭素のピークの強度比率(C3/C1)が0.07以上であり、単原子炭素のピークに対する4原子炭素のピークの強度比率(C4/C1)が0.05以上であり、単原子炭素のピークに対する5原子炭素のピークの強度比率(C5/C1)が0.02以上であり、かつ、示差走査熱量分析(DSC)法の解析において、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気の測定条件で140〜150℃の間に発熱ピークの頂点が出現し、70〜80℃の間に吸熱ピークの頂点が出現することを特徴とする。
ここで、本発明に係る被覆プラスチック製品では、前記被膜は、同一組成からなる単一層、異組成からなる複数層又は連続的に組成が傾斜している傾斜組成層のいずれかであることが含まれる。
本発明に係る被覆プラスチック製品では、前記プラスチック成形体がポリエチレンテレフタレート樹脂からなることが好ましい。酸素透過度が低く、プラスチック製品が飲料用容器である場合に最適である。
本発明に係る被覆プラスチック製品では、包装容器、摺動部品、記録媒体、シート、繊維又はカードであることが含まれる。
本発明に係る被膜は、常圧低温プラズマCVD法によって、基体の表面上に形成された炭素原子と水素原子とを主構成原子として含む被膜において、前記被膜は、炭素原子源及び水素原子源となる原料ガスと不活性ガスとを(原料ガス体積%/不活性ガス体積%)が50/50〜100/0となる割合でそれぞれ含有する供給ガスを常圧下でプラズマ化することによって形成されたことを特徴とする。
本発明は、プラスチック製品について、被膜で表面を被覆することで、優れたガスバリア性、耐摩耗性、耐衝撃性及び耐傷性に加えて、優れた耐変形性を付与することができる。また、被成膜体である基体は、プラスチック製品のみならず、金属、セラミックス又はガラスの各材料からなる製品であっても良く、前記被膜によって、耐衝撃性、耐摩耗性、耐傷性又は親和性等の基本特性の向上を図ることができる。さらにこの被膜には残留応力が少ないため、例えば膜厚が10μm或いは10μm以上の厚さであってもクラックが発生しにくく、かつ、耐変形性を有しているため、基体の変形或いは熱膨張による伸び縮みに対して追随性が高い。
以下本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。
(作用)
常圧低温プラズマCVD法によって、プラスチック成形体の表面上に炭素原子と水素原子とを主構成原子として含む被膜が形成された被覆プラスチック製品については、例えば、特許文献3に開示がある。特許文献3に開示された技術では、プラズマ化させる供給ガスは、ヘリウムガス等の不活性ガスをメインガスとしている(例えば特許文献3の請求項6又は7を参照。)。常圧低温プラズマCVD法では、不活性ガスをメインガスとしなければ供給ガスのプラズマ化が難しいためである。しかし、不活性ガスをメインガスとすれば、(1)同じ膜厚でガスバリア性が低くなる、(2)原料ガスの含有量が小さいので、成膜速度が小さい(例えば特許文献3の実施例を参照すると成膜時間が1分間と非常に長い)、という問題がある。
一方、本実施形態に係る被覆プラスチック製品では、その表面を被覆している被膜が、炭素原子源及び水素原子源となる原料ガスをメインガスとして含有する供給ガスを用いて、常圧低温プラズマCVD法によって成膜されている。つまり、従来困難であった、原料ガスをメインガスとする供給ガスをプラズマ化させる。そのため、推測ではあるが、その被膜は、炭素と水素を主成分とし、炭素骨格の3次元構造と炭化水素の直鎖構造との混合組成物と、不可避不純物とからなる。つまり、その被膜は、炭素骨格の3次元構造を有することで、耐摩耗性、耐衝撃性及び耐傷性に優れた性能を発揮し、その構造を柔軟な炭化水素の直鎖構造が保持することによって耐変形性に優れた性質を併せ持つものである。これにより、被膜に内部応力が残留し難く、クラックが生じない最大厚さを大きくすることができる(例えば最大厚さ100μm)。この被膜で被覆されたプラスチック製品は、ガスバリア性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐傷性を持ちつつ、かつ、耐変形性に優れた性質を併せ持つ。また、原料ガスをメインガスとして含有する供給ガスを用いることから、成膜速度が非常に大きく、最大3μm/秒も可能であり、生産性に優れた被覆プラスチック製品となる。
(本実施形態に係る被覆プラスチック製品)
本実施形態に係る被覆プラスチック製品は、具体的には、常圧低温プラズマCVD法によって、プラスチック成形体の表面上に炭素原子と水素原子とを主構成原子として含む被膜が形成された被覆プラスチック製品であり、前記被膜は、炭素原子源及び水素原子源となる原料ガスと不活性ガスとを(原料ガス体積%/不活性ガス体積%)が50/50〜100/0となる割合でそれぞれ含有する供給ガスを常圧下でプラズマ化することによって形成される。
本実施形態に係る被覆プラスチック製品において、被膜は、周知のプラズマCVD法、スパッタリング法、真空蒸着法等の各種成膜法によって成膜可能であるが、成膜効率及び被膜の平滑性、被膜体の形状選択の自由度の高さからプラズマCVD法が好ましい。特に常圧で行なう常圧低温プラズマCVD法が成膜速度及び被膜構造の制御の容易性、真空装置の不要化に伴う単純化・省スペース化の点からより好ましい。常圧低温プラズマCVD法において、常圧とは、本実施形態では、0.1気圧(10000Pa)以上の大気圧下または準大気圧下のことを指す。また、低温プラズマCVD法であるから、被成膜体は加熱をしないか、或いは、加熱をしてもプラスチック基板が熱ダメージを受けない程度に留めるようにする。例えば基板がPET製の場合、基板温度が80℃以下となるようにする。
被成膜体となるプラスチック成形体は、用途に応じた形態を有するため特に制限はないが、例えば、包装容器であればボトル形状、摺動部品であれば軸部品、記録媒体であれば円盤形状、カードであれば薄板形状、シートであれば反物状、繊維であれば糸状又は中空糸状とする。包装容器は、例えば炭酸飲料や発泡飲料等を充填するワンウェイ若しくはリターナブルで使用可能な飲料用容器、食品容器として使用される。プラスチック成形体の表面に被膜を形成することで、本実施形態に係る被覆プラスチック製品となる。
プラスチック成形体の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、シクロオレフィンコポリマ樹脂(COC、環状オレフィン共重合)、アイオノマ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、又は、4弗化エチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂を例示することができる。この中で、PETが特に好ましい。酸素透過度が低く、プラスチック製品が飲料用容器である場合に最適である。
本実施形態においては、被成膜体はプラスチック成形体である場合で説明をしているが、例えば、金属、セラミックス又はガラスの各材料からなる基体の表面に被膜を被覆しても良い。同様に、耐衝撃性、耐摩耗性、耐傷性又は親和性等の基本特性の向上を図ることができる。
炭素原子源及び水素原子源となる原料ガスとしては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンなどのアルカン系ガス類、エチレン、プロピレン、ブチンなどのアルケン系ガス類、ブタジエン、ペンタジエンなどのアルカジエン系ガス類、アセチレン、メチルアセチレンなどのアルキン系ガス類、ベンゼン、トルエン、キシレン、インデン、ナフタレン、フェナントレンなどの芳香族炭化水素ガス類、シクロプロパン、シクロヘキサンなどのシクロアルカン系ガス類、シクロベンテン、シクロヘキセンなどのシクロアルケン系ガス類、メタノール、エタノールなどのアルコール系ガス類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系ガス類、フォルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド系ガス類がある。この中でアセチレンが好ましい。炭素原子/水素原子の比率が高く、成膜効率が高い。
不活性ガスとしては、例えば、ヘリウム、アルゴンのような希ガス或いは窒素ガスである。
供給ガスは、前記原料ガスを70体積%以上100体積%以下、前記不活性ガスを0体積%以上30体積%以下含有していることが好ましく、前記原料ガスを85体積%以上100体積%以下、前記不活性ガスを0体積%以上15体積%以下含有していることがより好ましい。前記原料ガスを50体積%未満、不活性ガスを50体積%超の割合でそれぞれ含有する供給ガスをプラズマ化して被膜を形成すれば、前述の通り、(1)同じ膜厚でガスバリア性が低くなる、(2)原料ガスの含有量が小さいので、成膜速度が小さい、という問題がある。なお、供給ガスには、本発明の作用効果に影響を与えない範囲で、他の添加ガス、例えば酸素ガス、水蒸気などが含まれていても良い。また、希ガスと窒素ガスとを混合して不活性ガスとしても良い。
被膜は、炭素原子と水素原子とを主構成原子として含み、前述の通り、推測ではあるが、炭素骨格の3次元構造と炭化水素の直鎖構造との混合組成物と、不可避不純物とからなる。つまり、その被膜は、炭素骨格の3次元構造を有することで、耐摩耗性、耐衝撃性及び耐傷性に優れた性能を発揮し、その構造を柔軟な炭化水素の直鎖構造が保持することによって耐変形性に優れた性質を併せ持つものである。被膜には、原子数比15%以下であれば、酸素、窒素の少なくとも一種を含んでも良い。それを超えると、所望の被膜特性が低下する。
被覆プラスチック製品の被膜は、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)法の陰イオン解析において、一次イオン源Auを用いて表面を純水洗浄した後の測定での単原子炭素のピークに対する3原子炭素のピークの強度比率(C3/C1)が0.07以上であり、かつ、示差走査熱量分析(DSC)法の解析において、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気の測定条件で140〜150℃の間に発熱ピークの頂点が出現し、70〜80℃の間に吸熱ピークの頂点が出現する被膜を含む。
また、被覆プラスチック製品の被膜は、飛行時間型二次イオン質量分析法の陰イオン解析において、一次イオン源Auを用いて表面を純水洗浄した後の測定での単原子炭素のピークに対する4原子炭素のピークの強度比率(C4/C1)が0.05以上であり、かつ、示差走査熱量分析法の解析において、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気の測定条件で140〜150℃の間に発熱ピークの頂点が出現し、70〜80℃の間に吸熱ピークの頂点が出現する被膜を含む。
また、被覆プラスチック製品の被膜は、飛行時間型二次イオン質量分析法の陰イオン解析において、一次イオン源Auを用いて表面を純水洗浄した後の測定での単原子炭素のピークに対する5原子炭素のピークの強度比率(C5/C1)が0.02以上であり、かつ、示差走査熱量分析法の解析において、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気の測定条件で140〜150℃の間に発熱ピークの頂点が出現し、70〜80℃の間に吸熱ピークの頂点が出現する被膜を含む。
或いは、被覆プラスチック製品の被膜は、プラスチック成形体の表面上に炭素原子と水素原子とを主構成原子として含む被膜が形成された被覆プラスチック製品において、前記被膜は、飛行時間型二次イオン質量分析法の陰イオン解析において、一次イオン源Auを用いて表面を純水洗浄した後の測定での単原子炭素のピークに対する3原子炭素のピークの強度比率(C3/C1)が0.07以上であり、単原子炭素のピークに対する4原子炭素のピークの強度比率(C4/C1)が0.05以上であり、単原子炭素のピークに対する5原子炭素のピークの強度比率(C5/C1)が0.02以上であり、かつ、示差走査熱量分析法の解析において、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気の測定条件で140〜150℃の間に発熱ピークの頂点が出現し、70〜80℃の間に吸熱ピークの頂点が出現する被膜を含む。
Auイオンを用いた飛行時間型二次イオン質量分析法において、炭素原子のみからなる被膜の断片は、陰イオン解析において検出される。この解析において、被膜に3次元構造の炭素骨格が豊富であるほど、炭素原子のみからなる断片のうち、炭素原子数の多い断片が相対的に多くなる。直鎖の炭素骨格の場合に結合している水素などの異元素の原子のみがスパッタリング過程で除去され、直鎖の炭素のみが連なった断片が生じることは、3次元構造の炭素骨格から水素や炭素などの原子が除去され直鎖の状態で、或いは、3次元骨格のままの状態で断片化することよりも、確率的に起こりにくいためである。したがって、3次元構造の炭素骨格を有する典型的な炭化水素化合物であるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)は、一般の直鎖状炭化水素化合物よりも炭素原子のみからなる断片のうち、炭素原子数の多い断片が相対的に多くなる。この相対的な多さは、具体的には、単炭素原子の検出量と複数炭素原子の検出量との比であるピーク高さを観察することで明らかになる。ただし、一般の解析の精度において、単炭素原子と二炭素原子に由来するピークは、DLCと一般の直鎖状炭化水素化合物の間で顕著な差はなく、また、炭素数が増加するにつれて、具体的には炭素数が5を超える領域から、断片の生成確率に対して解析のバックグラウンドが相対的に高くなり、ピーク高さに対する信頼性が乏しくなる。結果、これらの炭素数の間にあたる領域である炭素数3、4及び5については被膜を構成する3次元構造の炭素骨格の相対量を信頼性高く読み取ることができる。
飛行時間型二次イオン質量分析法の陰イオン解析の分析条件は、次の通りである。
分析装置:TOF−SIMS300(ION−TOF社製)
一次イオン源:Au
最表面超純水洗浄後、測定面積200μm角の領域を対象に測定。
耐変形性に優れた性質を備えたプラスチック製品の被膜は、示差走査熱量分析法の解析において、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気の測定条件で140〜150℃の間に発熱ピークの頂点が出現し、70〜80℃の間に吸熱ピークの頂点が出現する。これは、被膜の構造に、直鎖構造が含まれているためと推測される。なお、DLC膜では吸熱ピーク及び発熱ピークのいずれも検出されない。耐変形性については、当該被膜はDLC膜よりも柔軟な構造とすることが好ましく、このような柔軟な構造は炭素骨格の3次元構造と炭化水素の直鎖構造との混合組成物を形成することで得られたと推測される。このうち耐変形性は直鎖構造に由来すると考えられるが、このような構造とすると、被膜を示差走査熱量分析した際にDLC膜とは異なり、明瞭な吸熱ピークと発熱ピークが検出される。
被膜の組成は、厚さ方向において均質であるが、供給ガス中の原料ガス含有量を成膜中に変更するなどの手法により、2種以上の組成が積層された構造としてもよい。残留応力が適宜緩和される。また、プラスチック成形体と被膜との界面から被膜表面に向かって連続的に組成を傾斜させて、被膜を傾斜組成層としても良い。
被膜の膜厚は、0.01〜100μmであることによって、ガスバリア性、耐摩耗性、耐衝撃性及び耐傷性が得られつつ、優れた耐変形性も得られる。0.01〜10μmとすることが好ましく、0.05〜5μmとすることがより好ましい。なお、この被膜は、炭素骨格の3次元構造と炭化水素の直鎖構造との混合組成物であるため、10μm以上としてもクラックが入り難い。
本実施形態に係る被覆プラスチック製品において、被膜の成膜方法の一形態は次の通りである。図1は、被覆プラスチック製品の被膜の成膜装置の一形態を示す概略図である。ここで図1ではプラスチック成形体がPETシート5である場合を示している。図1に示すように、本実施形態において、被膜は、隙間1をあけて対向し合う高周波印加用電極2と接地電極3の両方の対向側の電極表面2a,3aを比誘電率3以上100以下の誘電体4a,4bで覆い、誘電体4bの上に隙間1に面してプラスチック成形体であるPETシート5を配置し、隙間1に、炭素原子源及び水素原子源となる原料ガスと不活性ガスとを(原料ガス体積%/不活性ガス体積%)が50/50〜100/0となる割合でそれぞれ含有する供給ガス12を流速2.5〜50m/分で流し、高周波印加用電極2に単位電極面積あたり0.02〜0.2W/mmの高周波電力を供給して、供給ガス12を常圧下でプラズマ化することによって形成される。なお、高周波印加用電極2の電極面積は、隙間1側を向く端面の面積である。
図1の成膜装置100において、高周波印加用電極2に高周波電源6の出力が接続されている。高周波電源6は、1kHz〜1MHzの高周波電力を出力するタイプのものであり、9kHz〜40kHzの高周波電力を出力するタイプがより好ましい。周波数が1kHz未満であると被膜の炭素の3次元ネットワーク化が不十分となり、また成膜時間が長くなる。一方、周波数が1MHzを超えるとアーク放電を起こしやすくなる。高周波電力の電圧は、放電面積や誘電率によって原料ガスの放電開始電圧が変化するため、装置によって最適電圧を適宜変更するが、単位電極面積あたり0.02〜0.2W/mm、好ましくは0.04〜0.1W/mmとする。
高周波印加用電極2と接地電極3は、導電体であればいずれの材料により形成されていても良いが、例えば、銅、アルミニウム、ステンレスである。高周波印加用電極2と接地電極3との電極間距離、すなわち、隙間1の距離は、誘電体4の厚さによって適宜変更するが、例えば、0.1〜15mm程度が好ましい。隙間1のうち、供給ガスの流路となる空間的隙間1aの距離は0.1〜3mm程度が好ましい。空間的隙間1aの距離が小さすぎるとスパークしたり、アーク放電が生じやすく、一方広すぎると高周波電力の高パワーが必要となる。なお、高周波印加用電極2は、絶縁体11に埋め込まれており、絶縁体11には、供給ガスの流路7と排気流路9が形成されている。絶縁体11の材料としては、例えば4弗化エチレン樹脂等の樹脂がある。
誘電体4a,4bの比誘電率は3以上100以下とし、7以上40以下とすることが好ましい。誘電体4a,4bは、例えばソーダガラス、鉛ガラス等のガラス、アルミナである。比誘電率が3未満であると放電がしにくくなる。一方、比誘電率が100を超えるとアーク放電しやすなり、また発熱しやすくなる。
なお、特許文献3の技術のようにヘリウムガスなどの不活性ガスの供給濃度を高くすることで放電を維持しているが、本実施形態においては、誘電体4a,4bを挟み込むことで放電促進用の不活性ガスが不要とすることができる。このため、炭素原子源及び水素原子源となる原料ガスと不活性ガスとを(原料ガス体積%/不活性ガス体積%)が50/50〜100/0となる割合でそれぞれ含有する供給ガス12をプラズマ化させることができる。不活性ガスを減らすことによって、成膜速度が向上し、また、炭素骨格の3次元構造と炭化水素の直鎖構造との混合組成物からなる被膜が得られる。
供給ガス12は、供給ガス発生手段8から供給され、供給ガスの流路7を通して、空間的隙間1aに流れ込む。次いで、PETシート5の表面とほぼ平行に流れた後、排気流路9を通って排気用ブロア10によって系外に排気される。供給ガス12がPETシート5の表面に対して平行に流れるときの流速は2.5〜50m/分とすることが好ましい。流速2.5m/分未満ではプラズマが生じにくく、また成膜速度が小さくなる。一方、流速50m/分を超えると付着効率が小さくなる。
図1に示した成膜装置100において、誘電体4a,4bは、高周波印加用電極2と接地電極3の両方の対向側の電極表面に配置されているが、この形態に限定されず、いずれか一方のみ配置されることとしても良い。ただし、誘電体を配置しなければ、アーク放電が生じやすく、また、放電促進用の不活性ガスが必要となる。プラスチック成形体であるPETシート5は、高周波印加用電極2、接地電極3又は誘電体4a,4bのいずれかの上に隙間1に面して配置される。図2に高周波印加用電極2、接地電極3及び誘電体並びにプラスチック成形体の配置パターンの態様を示し、(a)は図1のAの拡大図、(b)〜(f)は(a)の他態様例である。図2において、他態様として、(b)は供給ガス12をPETシート5と誘電体4bとの間に流す配置例、(c)は高周波印加用電極2の電極面にのみ誘電体4aを配置し、誘電体4aとPETシート5との間に供給ガス12を流す配置例、(d)は接地電極3の電極面にのみ誘電体4bを配置し、誘電体4bとPETシート5との間に供給ガス12を流す配置例、(e)は接地電極3の電極面にのみ誘電体4bを配置し、PETシート5と高周波印加用電極2との間に供給ガス12を流す配置例、(f)は高周波印加用電極2の電極面にのみ誘電体4aを配置し、PETシート5と接地電極3との間に供給ガス12を流す配置例、をそれぞれ示している。図2に示すように供給ガス12は、プラスチック成形体と誘電体4a又は4bとの隙間、PETシート5と高周波印加用電極2との隙間或いはPETシート5と接地電極3との隙間に流される。
(実施例1)
図1に示した成膜装置を使用して、PETシートの表面に被膜を形成した。PETシートは、40mm×40mmで厚さは0.3mmである。プラズマ放電の条件は、周波数9kHz、電圧20kV、供給ガスとしてアセチレンガス流量1.0リットル/分、PETシートと電極との隙間距離1.0mm、成膜時間5秒間、放電面積40cm、基板温度50℃とした。なお、この場合に、印加された電力密度は、0.05W/mmであった。
(実施例2)
プラズマ放電の条件において、周波数を35kHz、電圧24kV、供給ガスとしてアセチレンガス流量を1.0リットル/分及び窒素ガス流量を1.0リットル/分とした以外は実施例1と同様とした。なお、この場合に、印加された電力密度は、0.08W/mmであった。
(比較例1)
厚さ0.3mmの高密度ポリエチレンシートを準備した。
(比較例2)
厚さ0.3mmのポリスチレンシートを準備した。
(比較例3)
実施例1と同じPETシート(非成膜)を準備した。
(比較例4)
プラズマ放電の条件において、周波数を3kHz、電圧15kV、供給ガスとしてアセチレンガス流量を3.0リットル/分、成膜時間10秒間とした以外は実施例1と同様とした。なお、この場合に、印加された電力密度は、0.01W/mmであった。
(比較例5)
プラズマ放電の条件において、周波数を9kHz、電圧20kV、供給ガスとしてアセチレンガス流量を0.75リットル/分及び窒素ガス流量を2.25リットル/分とした以外は比較例1と同様とした。なお、この場合に、印加された電力密度は、0.05W/mmであった。
(比較例6)
特許文献1の装置を用いて、肉厚0.3mmのPETボトルの内表面にDLC膜を高周波電源の周波数13.56MHz、その出力1200W、原料ガスをアセチレン、成膜時間2秒間の条件で、膜厚30nmのDLC膜の成膜を行なった。
(比較例7)
比較例6において、原料ガスをアセチレンからヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と酸素とした以外は同様にして、酸化珪素被膜を形成した。比較例7について同様に表面の摩擦係数を計測した。
被膜の膜厚は、Veeco社DEKTAK3を用いて測定した。
実施例1〜2及び比較例1〜6について、TOF‐SIMSの陰イオン解析((TOF‐SIMS300(ION−TOF社製)、一次イオン源Auを用いて表面を純水洗浄後測定))によって、単炭素原子ピーク(原子量12.00)及び3〜5炭素原子ピーク(それぞれ原子量36.00、48.00、60.00)のピーク強度を求め、その強度比率を算出した。
実施例1〜2及び比較例1〜6について、DSC解析(示差走査熱量計DSC−60島津製作所製、昇温速度10°/min、窒素雰囲気)によって被膜片の40〜300℃の吸発熱プロファイルを測定し、吸熱ピーク及び発熱ピークの位置を計測した。比較例1〜3のプラスチックシート片についても同様に吸発熱プロファイルを測定し、吸熱ピーク及び発熱ピークの位置を計測した。
実施例1〜2及び比較例4〜7について、酸素透過度測定装置(Oxtran2/20(Modern Control社製、23℃、RH90%))にて酸素透過度を測定した。
実施例1〜2及び比較例4〜7について、回転盤式摩擦計(FPR−2000、レスカ社製、SUS304 3/16インチ球使用、負荷100g、間隔0.1秒、半径5mm、回転速度100r.p.m.、線速度5.2cm/秒、23℃、20分)を用いて表面の摩擦係数を計測した。
実施例1〜2及び比較例4〜7について、成膜時間のみを調整して被膜を全て50nmの膜厚としたサンプルを準備し、85℃の湯に浸漬し、室温に冷却されるまで放置し、PET熱変形後の被膜の密着性を目視観察した。
表1と表2に分析結果を示した。

Figure 2007327089

Figure 2007327089
実施例1の元素組成をHFS(hydrogen foward scattering analysis)/RBS(Rutherford backscattering spectrometry)法で解析したところ、炭素:水素:酸素:窒素の元素比は、41:48:11:0であった。
実施例1について、SIMS(二次イオン質量分析法)解析(Physical Electronic6650、一次イオン種:Cs、一次加速電圧5kv)で被膜厚さ方向の組成プロファイルを測定したところ、厚さ方向の炭素:水素:酸素:窒素の組成はほぼ一定で、水素、酸素、窒素の濃度はそれぞれ約3×1021原子/cm、9×1020原子/cm、2×1020原子/cm、であった。
実施例1について、固体13C−NMR解析(CMX300 7.5mmプローブ(Chemagnetics社製)、CPMAS法(90° pulse 4.5μsec、帯域幅:30kHz、繰り返し時間:5sec、積算回数:3000、回転数:9kHz))にて得られた13C−NMRスペクトルからは、炭素原子に関する結合状態について分離されたsp:sp:−CO:−COOのピーク強度比は、32.5:57.8:4.6:5.1であった。
被覆プラスチック製品の被膜の成膜装置の一形態を示す概略図である。 高周波印加用電極2、接地電極3及び誘電体並びにプラスチック成形体の配置パターンの態様を示し、(a)は図1のAの拡大図、(b)〜(f)は(a)の他態様例である。
符号の説明
1,電極間の隙間
1a,空間的隙間
2,高周波印加用電極
2a,高周波印加用電極の対向側の電極表面
3,接地電極
3a,接地電極の対向側の電極表面
4,4a,4b,誘電体
5,PETシート
6,高周波電源
7,供給ガスの流路
8,供給ガス発生手段
9,排気流路
10,排気用ブロア
11,絶縁体
12,供給ガス
100,成膜装置

Claims (11)

  1. 常圧低温プラズマCVD法によって、プラスチック成形体の表面上に炭素原子と水素原子とを主構成原子として含む被膜が形成された被覆プラスチック製品において、
    前記被膜は、炭素原子源及び水素原子源となる原料ガスと不活性ガスとを(原料ガス体積%/不活性ガス体積%)が50/50〜100/0となる割合でそれぞれ含有する供給ガスを常圧下でプラズマ化することによって形成されたことを特徴とする被覆プラスチック製品。
  2. 常圧低温プラズマCVD法によって、プラスチック成形体の表面上に炭素原子と水素原子とを主構成原子として含む被膜が形成された被覆プラスチック製品において、
    前記被膜は、隙間をあけて対向し合う高周波印加用電極と接地電極の少なくともいずれか一方の対向側の電極表面を比誘電率3以上100以下の誘電体で覆い、前記高周波印加用電極、前記接地電極又は前記誘電体のいずれかの上に前記隙間に面してプラスチック成形体を配置し、前記隙間に、炭素原子源及び水素原子源となる原料ガスと不活性ガスとを(原料ガス体積%/不活性ガス体積%)が50/50〜100/0となる割合でそれぞれ含有する供給ガスを流速2.5〜50m/分で流し、前記高周波印加用電極に単位電極面積あたり0.02〜0.2W/mmの高周波電力を供給して、前記供給ガスを常圧下でプラズマ化することによって形成されたことを特徴とする被覆プラスチック製品。
  3. 前記原料ガスがアセチレンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の被覆プラスチック製品。
  4. プラスチック成形体の表面上に炭素原子と水素原子とを主構成原子として含む被膜が形成された被覆プラスチック製品において、
    前記被膜は、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)法の陰イオン解析において、一次イオン源Auを用いて表面を純水洗浄した後の測定での単原子炭素のピークに対する3原子炭素のピークの強度比率(C3/C1)が0.07以上であり、かつ、示差走査熱量分析(DSC)法の解析において、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気の測定条件で140〜150℃の間に発熱ピークの頂点が出現し、70〜80℃の間に吸熱ピークの頂点が出現することを特徴とする被覆プラスチック製品。
  5. プラスチック成形体の表面上に炭素原子と水素原子とを主構成原子として含む被膜が形成された被覆プラスチック製品において、
    前記被膜は、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)法の陰イオン解析において、一次イオン源Auを用いて表面を純水洗浄した後の測定での単原子炭素のピークに対する4原子炭素のピークの強度比率(C4/C1)が0.05以上であり、かつ、示差走査熱量分析(DSC)法の解析において、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気の測定条件で140〜150℃の間に発熱ピークの頂点が出現し、70〜80℃の間に吸熱ピークの頂点が出現することを特徴とする被覆プラスチック製品。
  6. プラスチック成形体の表面上に炭素原子と水素原子とを主構成原子として含む被膜が形成された被覆プラスチック製品において、
    前記被膜は、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)法の陰イオン解析において、一次イオン源Auを用いて表面を純水洗浄した後の測定での単原子炭素のピークに対する5原子炭素のピークの強度比率(C5/C1)が0.02以上であり、かつ、示差走査熱量分析(DSC)法の解析において、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気の測定条件で140〜150℃の間に発熱ピークの頂点が出現し、70〜80℃の間に吸熱ピークの頂点が出現することを特徴とする被覆プラスチック製品。
  7. プラスチック成形体の表面上に炭素原子と水素原子とを主構成原子として含む被膜が形成された被覆プラスチック製品において、
    前記被膜は、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)法の陰イオン解析において、一次イオン源Auを用いて表面を純水洗浄した後の測定での単原子炭素のピークに対する3原子炭素のピークの強度比率(C3/C1)が0.07以上であり、単原子炭素のピークに対する4原子炭素のピークの強度比率(C4/C1)が0.05以上であり、単原子炭素のピークに対する5原子炭素のピークの強度比率(C5/C1)が0.02以上であり、かつ、示差走査熱量分析(DSC)法の解析において、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気の測定条件で140〜150℃の間に発熱ピークの頂点が出現し、70〜80℃の間に吸熱ピークの頂点が出現することを特徴とする被覆プラスチック製品。
  8. 前記被膜は、同一組成からなる単一層、異組成からなる複数層又は連続的に組成が傾斜している傾斜組成層のいずれかであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の被覆プラスチック製品。
  9. 前記プラスチック成形体がポリエチレンテレフタレート樹脂からなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8に記載の被覆プラスチック製品。
  10. 包装容器、摺動部品、記録媒体、シート、繊維又はカードであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、又は9に記載の被覆プラスチック製品。
  11. 常圧低温プラズマCVD法によって、基体の表面上に形成された炭素原子と水素原子とを主構成原子として含む被膜において、
    前記被膜は、炭素原子源及び水素原子源となる原料ガスと不活性ガスとを(原料ガス体積%/不活性ガス体積%)が50/50〜100/0となる割合でそれぞれ含有する供給ガスを常圧下でプラズマ化することによって形成されたことを特徴とする被膜。






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